JP2015206096A - ガスバリアーフィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
前記ガスバリアー層のX線光電子分光法による深さ方向の元素分布測定に基づく各構成元素の分布曲線のうち、前記ガスバリアー層の層厚方向における前記基材側とは反対側の前記ガスバリアー層の表面からの距離と、炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子の総原子数(100at%)に対する炭素原子数の比率(炭素原子比率)との関係を示す炭素分布曲線が、層厚方向の位置変化に対し、連続的に極大値と極小値とを示しながら変化し、かつ、少なくとも六つの極大値を有し、
前記ガスバリアー層の層厚に対し、前記基材とは反対側の前記ガスバリアー層表面から1/3までの領域に存在する任意の二つの極大値、1/3から2/3までの領域に存在する任意の二つの極大値、及び2/3から基材までの領域に存在する任意の二つの極大値におけるそれぞれの炭素原子比率(y)と表面からの距離(x)とから最小二乗法により導出される1次関数式y=ax+bの傾きaが、0.03〜0.70の範囲内であることを特徴とするガスバリアーフィルム。
前記基材を対向するローラー電極間に複数回搬送して、プラズマCVD法により、層厚方向に炭素原子比率の異なる前記ガスバリアー層を形成することを特徴とするガスバリアーフィルムの製造方法。
>基材とは反対側のガスバリアー層表面近傍の炭素原子比率の極大値
また、層厚方向に対する炭素原子比率の傾斜を適切な値に制御することにより、原子間結合の切断の進行を抑制することが可能となり、十分な高温高湿度環境に対する耐性を得ることができるものと推察される。
図1に示すとおり、本発明のガスバリアーフィルム1は、基材2上に、ガスバリアー層3が積層されて構成されている。
ガスバリアー層2は、酸化炭化ケイ素(SiOC)を含有するとともに、その組成が層厚方向において変化している。
本発明に係るガスバリアー層は、X線光電子分光法による深さ方向の元素分布測定に基づく各構成元素の分布曲線のうち、ガスバリアー層の層厚方向における基材とは反対側のガスバリアー層の表面からの距離と、炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子の総原子数(100at%)に対する炭素原子数の比率(炭素原子比率)との関係を示す炭素分布曲線が、層厚方向の位置変化に対し、連続的に極大値と極小値とを示しながら変化し、かつ、少なくとも六つの極大値を有し、ガスバリアー層の層厚に対し、基材とは反対側のガスバリアー層表面から1/3までの領域に存在する任意の二つの極大値、1/3から2/3までの領域に存在する任意の二つの極大値、及び2/3から基材までの領域に存在する任意の二つの極大値におけるそれぞれの炭素原子比率(y)と表面からの距離(x)とから最小二乗法により導出される1次関数式y=ax+bの傾きaが、0.03〜0.70の範囲内であることを特徴とする。
傾きaが0.03より小さい場合には、高温高湿度環境下において表面側から次々と膜中の炭素−ケイ素結合が切断され、ガスバリアー性能が著しく劣化してしまい、0.70より大きい場合には、炭素原子比率の変化が大きいため結晶構造に大きな歪が生じ、薄膜中で剥離が発生する。
なお、ガスバリアー層における炭素分布曲線の極大値から最小二乗法により導出される1次関数式y=ax+bの相関係数Rの二乗である決定係数R2値は、0.6〜1.0の範囲内が好ましく、0.8〜1.0の範囲内であることがより好ましい。
また、ガスバリアー層中、基材側のガスバリアー層表面から35nmの範囲内にある炭素原子比率の極大値が、全ての極大値の中で最も大きく、基材とは反対側のガスバリアー層表面から35nmの範囲内にある炭素原子比率の極大値が、全ての極大値の中で最も小さいことが好ましい。
これにより、層厚方向に対する炭素原子比率の傾斜を適切な値に制御し、原子間結合の切断の進行を抑制することが可能となり、十分な高温高湿度環境に対する耐性を得ることができるものと推察される。
炭素分布曲線(ガスバリアー層の層厚方向におけるガスバリアー層表面からの距離(L)と、炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子の総原子数(100at%)に対する炭素原子数の比率(炭素原子比率)との関係を示す曲線)、ケイ素分布曲線(距離Lと、炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子の総原子数(100at%)に対するケイ素原子数の比率(ケイ素原子比率)との関係を示す曲線)及び酸素分布曲線(距離Lと、炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子の総原子数(100at%)に対する酸素原子数の比率(酸素原子比率)との関係を示す曲線)は、X線光電子分光法(X−ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)の測定とアルゴン等の希ガスイオンスパッタとを併用することにより、試料内部を露出させつつ順次表面組成分析を行う、いわゆるXPSデプスプロファイル測定により作成することができる。
このようなXPSデプスプロファイル測定により得られる分布曲線は、例えば、縦軸を各元素の原子比率(at%)とし、横軸をエッチング時間(スパッタ時間)として作成することができる。なお、このように横軸をエッチング時間とする元素の分布曲線において、エッチング時間は層厚方向におけるガスバリアー層の層厚方向におけるガスバリアー層の表面からの距離(L)に概ね相関することから、「ガスバリアー層の層厚方向におけるガスバリアー層の表面からの距離」として、XPSデプスプロファイル測定の際に採用したエッチング速度とエッチング時間との関係から算出されるガスバリアー層の表面からの距離(すなわち、SiO2換算層厚(nm)=(エッチング時間(sec)×エッチング速度(nm/sec))を採用することができる。
本発明に係るガスバリアー層の層厚は、薄膜化及びガスバリアー性能の両立の観点から、80〜250nmの範囲内であることが好ましい。
ガスバリアー層は、ガスバリアー性を有することが好ましい。ここで、ガスバリアー性を有するとは、基材上にガスバリアー層のみを積層させ、MOCON社製のMOCON水蒸気透過率測定装置Aquatranを用いて測定された水蒸気透過度(38℃、相対湿度90%RH)が、0.1g/(m2・day)以下であることを指し、0.01g/(m2・day)以下であることが好ましい。
本発明に係るガスバリアー層は、プラズマ化学気相成長法(プラズマCVD、PECVD(plasma−enhanced chemical vapor deposition)、以下、単に「プラズマCVD法」とも称する。)により形成することができる。
このようにして、一対の成膜ローラーを用い、その一対の成膜ローラー上に基材を配置して、かかる一対の成膜ローラー間に放電することにより、成膜時に一方の成膜ローラー上に存在する基材の表面部分を成膜しつつ、もう一方の成膜ローラー上に存在する基材の表面部分も同時に成膜することが可能となって効率よく薄膜を製造できる。加えて、ローラーを使用しない通常のプラズマCVD法と比較して成膜レートを倍にできる。
送出しローラー12及び搬送ローラー13は、搬送系チャンバー27内に配置され、巻取りローラー25及び搬送ローラー18は、搬送系チャンバー29内に配置されている。搬送系チャンバー27及び29と成膜チャンバー28とは、それぞれ連結部30及び31を介して接続されている。例えば、連結部30及び31に真空ゲートバルブを設けて成膜チャンバー28と搬送系チャンバー27及び29とを物理的に隔離してもよい。真空ゲートバルブを用いることによって、例えば、成膜チャンバー28内のみを真空系とし、搬送系チャンバー27及び29内は大気下とすることができる。また、成膜チャンバー28と搬送系チャンバー27及び29とを物理的に隔離することにより、成膜チャンバー28内で発生したパーティクルによって搬送系チャンバー27及び29が汚染されることを抑制することができる。
また、このような製造装置10においては、一対の成膜ローラー(成膜ローラー19及び20)は、その中心軸が同一平面上において略平行となるようにして配置することが好ましい。このようにして、一対の成膜ローラー(成膜ローラー19及び20)を配置することにより、ローラーを使用しない通常のプラズマCVD法と比較して成膜レートを倍にできる。
図2において、ガス供給管21は一つであるが、ガス供給管21は複数あってもよく、各ノズルから異なる供給ガスを放出する形態であってもよい。
また、このようなプラズマ発生用電源22としては、より効率よくプラズマCVDを実施することが可能となることから、印加電力を100W〜20kWの範囲内とすることが好ましく、100W〜10kWの範囲内とすることがより好ましく、かつ交流の周波数を50Hz〜13.56MHzの範囲内とすることが好ましく、50Hz〜500kHzの範囲内とすることがより好ましい。
また、プラズマプロセス安定化の点から、高周波電流波及び電圧波がどちらも正弦波となるような高周波電源を用いてもよい。
また、成膜ローラーへの給電方法としては、ローラー端の一方のみから給電するローラー片端給電でもよいし、ローラーの両端から給電するローラー両端給電であってもよい。高周波帯を供給する場合には、均一な供給が可能となることから、ローラー両端給電であってもよい。
また、給電方法としては、異なる周波数を印加する2周波給電を行ってもよく、一方の成膜ローラーに異なる2周波を印加する形態であっても、一方の成膜ローラーと他方の成膜ローラーとで異なる周波数を印加する形態であってもよい。このような2周波給電により、プラズマ密度が上がり、成膜速度を向上させることができる。
なお、実際のプラズマCVDチャンバー内の反応では、原料のヘキサメチルジシロキサンと反応ガスの酸素とは、ガス供給部から成膜領域へ供給されて成膜されるので、反応ガスの酸素のモル量(流量)が原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の12倍のモル量(流量)であったとしても、現実には完全に反応を進行させることはできず、酸素の含有量を化学量論比に比して大過剰に供給して初めて反応が完結すると考えられる(例えば、CVDにより完全酸化させて酸化ケイ素を得るために、酸素のモル量(流量)を原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の20倍以上程度とする場合もある。)。
そのため、原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)は、化学量論比である12倍以下、より好ましくは10倍以下の量であることが好ましい。
このため、成膜ガスを成膜する際の成膜ガス中のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)は、等倍〜10倍の範囲内であることが好ましく、等倍〜6倍の範囲内であることがより好ましく、等倍〜3倍の範囲内であることが更に好ましい。
本発明のガスバリアーフィルムの基材としては、プラスチックフィルムを用いる。用いられるプラスチックフィルムは、ガスバリアー層を保持できるフィルムであれば材質、厚さ等に特に制限はなく、使用目的等に応じて適宜選択することができる。
プラスチックフィルムとしては、具体的には、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィルンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
すなわち、これらの用途にガスバリアーフィルムを用いる場合、ガスバリアーフィルムは、150℃以上の工程に曝されることがある。この場合、ガスバリアーフィルムにおける基材の線膨張係数が15〜100ppm/Kの範囲内であることで、熱耐性に強く、またフレキシビリティがよいものとなる。基材の線膨張係数やTgは、添加剤などによって調整することができる。
光線透過率は、JIS K 7105:1981に記載された方法、すなわち、積分球式光線透過率測定装置を用いて全光線透過率及び散乱光量を測定し、全光線透過率から拡散透過率を引いて算出することができる。
本発明に係る基材の表面には、接着性(密着性)の向上を目的として、アンカーコート層を易接着層として形成してもよい。アンカーコート層の構成材料、形成方法等は、特開2013−52561号公報の段落0229〜0232に開示される材料、方法等が適宜採用される。
本発明のガスバリアーフィルムは、基材のガスバリアー層を有する面に平滑層を有していてもよい。平滑層は、突起等が存在する基材の粗面を平坦化するために、あるいは、樹脂基材に存在する突起により、ガスバリアー層に生じた凹凸やピンホールを埋めて平坦化するために設けられる。平滑層の構成材料、形成方法、表面粗さ、層厚等は、特開2013−52561号公報の段落0233〜0248に開示される材料、方法等が適宜採用される。
本発明のガスバリアーフィルムは、ブリードアウト防止層を更に有することができる。ブリードアウト防止層は、平滑層を有するフィルムを加熱した際に、樹脂基材中から未反応のオリゴマー等が表面へ移行して、接触する面を汚染する現象を抑制する目的で、平滑層を有する基材の反対面に設けられる。ブリードアウト防止層は、この機能を有していれば、基本的に平滑層と同じ構成をとっても構わない。ブリードアウト防止層の構成材料、形成方法、層厚等は、特開2013−52561号公報の段落0249〜0262に開示される材料、方法等が適宜採用される。
上記したような本発明のガスバリアーフィルムは、優れたガスバリアー性、透明性、屈曲性を有する。このため、本発明のガスバリアーフィルムは、電子デバイス等のパッケージ、光電変換素子(太陽電池素子)や有機EL素子、液晶表示素子等の電子デバイスに用いられるガスバリアーフィルム及びこれを用いた電子デバイスなど、様々な用途に使用することができる。
電子素子本体は電子デバイスの本体であり、本発明のガスバリアーフィルム側に配置される。電子素子本体としては、ガスバリアーフィルムによる封止が適用されうる公知の電子デバイスの本体が使用できる。例えば、有機EL素子、太陽電池(PV)、液晶表示素子(LCD)、電子ペーパー、薄膜トランジスタ、タッチパネル等が挙げられる。本発明の効果がより効率的に得られるという観点から、該電子素子本体は、有機EL素子又は太陽電池であることが好ましい。これらの電子素子本体の構成についても、特に制限はなく、従来公知の構成を有しうる。
本発明のガスバリアーフィルム1を封止フィルムとして用いた電子機器である有機ELパネルの一例を図3に示す。
図3に示すように、有機ELパネル9は、ガスバリアーフィルム1と、ガスバリアーフィルム1上に形成されたITOなどの透明電極4と、透明電極4を介してガスバリアーフィルム1上に形成された有機EL素子5と、その有機EL素子5を覆うように接着剤層6を介して配設された対向フィルム7等を備えている。なお、透明電極4は、有機EL素子5の一部を成すともいえる。
このガスバリアーフィルム1におけるガスバリアー層3が形成された面に、透明電極4と有機EL素子5が形成されるようになっている。また、対向フィルム7は、アルミ箔などの金属フィルムのほか、本発明のガスバリアーフィルムを用いてもよい。対向フィルム7にガスバリアーフィルムを用いる場合、ガスバリアー層が形成された面を有機EL素子5に向けて、接着剤層6によって貼付するようにすればよい。
(2)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(3)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(4)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(5)陽極/正孔注入層(陽極バッファー層)/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層(陰極バッファー層)/陰極
有機EL素子5における陽極(透明電極4)としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In2O3−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
また、陽極としてのシート抵抗は、数百Ω/□以下が好ましい。
また、陽極の膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nmの範囲内、好ましくは10〜200nmの範囲内で選ばれる。
有機EL素子5における陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する。)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物や、アルミニウム等が陰極として好適である。
また、陰極としてのシート抵抗は、数百Ω/□以下が好ましい。
また、陰極の膜厚は通常10nm〜5μmの範囲内、好ましくは50〜200nmの範囲内で選ばれる。
なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子5の陽極又は陰極のいずれか一方が透明又は半透明であれば、発光輝度が向上し好都合である。
注入層には、電子注入層(陰極バッファー層)と正孔注入層(陽極バッファー層)とがあり、電子注入層と正孔注入層とを必要に応じて設けられ、陽極と発光層又は正孔輸送層との間、及び陰極と発光層又は電子輸送層との間に存在させる。
有機EL素子5における発光層は、電極(陰極、陽極)又は電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
発光ドーパントは、大きく分けて蛍光を発光する蛍光性ドーパントとリン光を発光するリン光性ドーパントの2種類がある。
ホスト化合物(単にホストともいう。)とは、2種以上の化合物で構成される発光層中にて混合比(質量)の最も多い化合物のことを意味し、それ以外の化合物については「ドーパント」という。例えば、発光層を化合物A及び化合物Bという2種で構成し、その混合比がA:B=10:90であれば化合物Aがドーパントであり、化合物Bがホスト化合物である。さらに、発光層を化合物A、化合物B及び化合物Cの3種から構成し、その混合比がA:B:C=5:10:85であれば、化合物A及び化合物Bがドーパントであり、化合物Cがホスト化合物である。
この発光層は、ドーパントやホスト化合物が1種又は2種以上からなる1層構造であってもよいし、あるいは同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。
正孔輸送層は、単層又は複数層設けることができる。
電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する電子輸送材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。
電子輸送層は、単層又は複数層設けることができる。
電子輸送層は、上記材料の1種又は2種以上からなる1層構造であってもよい。
有機EL素子5(陽極としての透明電極4を含む。)の作製方法について説明する。
(樹脂基材の準備)
シートロール状の樹脂基材として、熱可塑性樹脂支持体であって、両面に易接着加工された厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製、コスモシャインA4300、以下、PETと略記する。)を用いた。
上記樹脂基材の片方の易接着面側に、JSR株式会社製のUV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR(登録商標) Z7501を用い、乾燥後の層厚が3μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、乾燥条件として、80℃で3分間の乾燥を行った。次いで、空気雰囲気下で高圧水銀ランプを使用し、硬化条件;1.0J/cm2で硬化を行い、アンカーコート層を形成した。
上記樹脂基材のもう一方の易接着面側に、JSR株式会社製のUV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR(登録商標) Z7535を、乾燥後の層厚が3μmとなるようにワイヤーバーで塗布した後、80℃、3分で乾燥した後、空気雰囲気下で高圧水銀ランプを用い、硬化条件:1.0J/cm2で硬化を行い、ブリードアウト防止層を形成した。このブリードアウト防止層を形成後、圧力5Paの減圧下、温度35℃の環境下で96時間保管して調湿した樹脂基材として用いた。
図2に記載の磁場を印加したローラー間放電プラズマCVD装置(以下、この方法をローラーCVD法と称す。)を用い、樹脂基材のブリードアウト防止層を形成した面が成膜ローラーと接触するようにして、樹脂基材を装置に装着し、下記の成膜条件(プラズマCVD条件)のうち、原料ガス、酸素ガス、真空チャンバー内の真空度、及びプラズマ発生用電源からの印加電力を下記に記載の範囲内で変化させて炭素原子比率が異なるようにして、複数回組み合わせることにより、アンカーコート層上に表1に記載のとおりの層厚となるように成膜し、これをガスバリアー層とした。本実施例においては、4回成膜を繰り返して、層厚方向に炭素原子比率の異なるガスバリアー層を形成した。
炭素原子比率を高くするため、主として全供給ガス中のHMDSOの供給量を増やす、あるいは酸素ガスの供給量を減らすことで調整を行い、層厚の調整のために真空チャンバー内の真空度を増減した。
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO))の供給量:100〜400sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O2)の供給量:400〜2500sccm
真空チャンバー内の真空度:1.5〜3.0Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:1.0〜4.0kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
樹脂基材の搬送速度:12m/min
上記形成したガスバリアー層について、下記条件にてXPSデプスプロファイル測定を行い、層厚方向の薄膜層の表面からの距離に対する、炭素分布曲線、ケイ素分布曲線及び酸素分布曲線を得た。
エッチングレート(SiO2熱酸化膜換算値):0.05nm/sec
エッチング間隔(SiO2換算値):0.8nm
X線光電子分光装置:Thermo Fisher Scientific社製、機種名「VG Theta Probe」
照射X線:単結晶分光AlKα
X線のスポット及びそのサイズ:800μm×400μmの楕円形
その結果、ガスバリアー層中の炭素原子比率が複数の極値を有しながら深さ方向に連続的に変化していることが確認された。
作製した各ガスバリアーフィルムを、温度85℃、相対湿度85%RHの高温高湿度環境下、恒温恒湿オーブンYamato Humidic Chamber IG47M内に設置し、48時間連続で保存した。
高温高湿度環境試験後に、下記の評価ランクに従って、密着性を評価した。
評価結果を表1に示す。
○:評価面積のうち、剥がれた面積が1%より大きく5%以下の範囲内
△:評価面積のうち、剥がれた面積が5%より大きく50%以下の範囲内
×:評価面積のうち、剥がれた面積が50%より大きい
作製した各ガスバリアーフィルムについて、高温高湿度環境試験前後の水蒸気透過度をMOCON社製のMOCON水蒸気透過率測定装置Aquatranを用いて測定し、下記の評価ランクに従って評価した。測定条件は、温度40℃、相対湿度90%RHとした。
評価結果を表1に示す。
○:ガスバリアー性の変化率が、5%より大きく10%以下の範囲内
△:ガスバリアー性の変化率が、10%より大きく50%以下の範囲内
×:ガスバリアー性の変化率が、50%より大きい
2 基材
3 ガスバリアー層
4 透明電極
5 有機EL素子
6 接着剤層
7 対向フィルム
9 有機ELパネル
10 製造装置
12 送出しローラー
13〜18 搬送ローラー
19、20 成膜ローラー
21 ガス供給管
22 プラズマ発生用電源
23、24 磁場発生装置
25 巻取りローラー、
27、29 搬送系チャンバー
28 成膜チャンバー
30、31 連結部
A 炭素分布曲線
B ケイ素分布曲線
C 酸素分布曲線
Claims (6)
- 基材上に、酸化炭化ケイ素を含有するとともに、その組成が層厚方向において変化するガスバリアー層を有するガスバリアーフィルムであって、
前記ガスバリアー層のX線光電子分光法による深さ方向の元素分布測定に基づく各構成元素の分布曲線のうち、前記ガスバリアー層の層厚方向における前記基材とは反対側の前記ガスバリアー層の表面からの距離と、炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子の総原子数(100at%)に対する炭素原子数の比率(炭素原子比率)との関係を示す炭素分布曲線が、層厚方向の位置変化に対し、連続的に極大値と極小値とを示しながら変化し、かつ、少なくとも六つの極大値を有し、
前記ガスバリアー層の層厚に対し、前記基材とは反対側の前記ガスバリアー層表面から1/3までの領域に存在する任意の二つの極大値、1/3から2/3までの領域に存在する任意の二つの極大値、及び2/3から前記基材までの領域に存在する任意の二つの極大値におけるそれぞれの炭素原子比率(y)と表面からの距離(x)とから最小二乗法により導出される1次関数式y=ax+bの傾きaが、0.03〜0.70の範囲内であることを特徴とするガスバリアーフィルム。 - 最小二乗法により導出された1次関数式y=ax+bの切片bが、−10〜20at%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリアーフィルム。
- 前記炭素分布曲線において極大値を示す位置のうち、前記基材に最も近い位置の炭素原子比率の極大値が25〜45at%の範囲内であり、かつ、前記基材とは反対側の前記ガスバリアー層表面に最も近い位置の炭素原子比率の極大値が1〜20at%の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガスバリアーフィルム。
- 前記ガスバリアー層中、前記基材側の前記ガスバリアー層表面から35nmの範囲内にある炭素原子比率の極大値が、全ての極大値の中で最も大きく、前記基材とは反対側の前記ガスバリアー層表面から35nmの範囲内にある炭素原子比率の極大値が、全ての極大値の中で最も小さいことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルム。
- 前記ガスバリアー層の層厚が、80〜250nmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルム。
- 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルムを製造するガスバリアーフィルムの製造方法であって、
前記基材を対向するローラー電極間に複数回搬送して、プラズマCVD法により、層厚方向に炭素原子比率の異なる前記ガスバリアー層を形成することを特徴とするガスバリアーフィルムの製造方法。
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