JP2008062498A - ガスバリアフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 高分子フィルム基材の少なくとも一方の面に、炭素を含む酸化珪素(SiOX)膜が積層されたガスバリアフィルムにおいて、前記SiOX膜のxが1.7〜2.1であり、前記SiOX膜中の炭素元素の濃度が10%以下であり、前記炭素元素の濃度が前記高分子フィルム基材側から前記SiOX膜表面側に向かって減少しているガスバリアフィルムを用いる。
【選択図】 図1
Description
前記SiOX膜のxが1.7〜2.1であり、
前記SiOX膜中の炭素元素の濃度が10%以下であり、
前記炭素元素の濃度が前記高分子フィルム基材側から前記SiOX膜表面側に向かって減少している
ことを特徴とするガスバリアフィルムである。
化学量論に近い酸化珪素(SiO2)である1.7から2.1に規定し、炭素を含む酸化珪素膜は膜中の炭素濃度が10%以下と低い状態とすることにより非常に高い水蒸気バリア性が得られる。酸化珪素膜中の炭素濃度を低く抑えることは酸化珪素のネットワークを寸断する炭素残基を少なくし、さらに、化学量論に近い酸化珪素(SiO2)に近づけることによって高度なネットワークを有し、膜が緻密化し、高い水蒸気バリア性が得られるものと考えられる。
熱CVD法により得られたSiO2膜の屈折率は1.465とされ、この値よりも大きいと(1.465<)シリコンリッチな膜となり、小さい場合(1.465>)は酸素リッチまたは密度の低い膜となることが知られている。本発明の酸化珪素膜においても屈折率を1.45〜1.48に規定することにより、組成、密度を制御することができ、高いバリア性を維持できる。
図1は本発明のガスバリアフィルムを説明する断面図である。図1における基材(1)は透明高分子材料からなる高分子フィルム基材であり、基材上に酸化珪素膜(2)を成膜したものである。これより、高分子フィルム基材および、酸化珪素膜について順に説明する。
図2はその概略図である。本透明ガスバリアフィルムを作成する真空成膜装置には、ウエブ状の高分子フィルム基材の巻出し、巻き取り室(4)に、トルクモータ等の一定の張力にて巻き取り可能な巻き取り手段をもつ巻き取り軸(7)、かつパウダークラッチ等のトルク制御手段により一定のバックテンションをかけつつウエブ状の高分子フィルム基材の巻出しを可能にする巻出し軸(6)、高分子フィルムの走行を規制する複数のアイドルローラ(11、12)、適宣にフィードバックを行うための張力検出器を具備したテンションロール(13、14)、フィルム表面の温度を監視するための温度センサー(15、16)を有しており、また成膜室(5)には、成膜時のフィルム表面の温度をコントロールし、表面に膜を形成するための温調入り成膜ドラム(17)、プロセスガスまたは原料ガスを導入するシャワーヘッドをもつプラズマCVD用の電極(18)でなる成膜部を配置することによりなる真空成膜装置である。今回例として示したのは巻き取り式の真空成膜装置の例であるが、その他のバッチ式の成膜装置でも全く問題はない。プラズマ発生法としては直流(DC)プラズマ、低周波プラズマ、高周波(RF)プラズマ、パルス波プラズマ、3極構造プラズマ、マイクロ波プラズマ等の低温プラズマ発生装置が用いられる。
厚さ100μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材として、図2に示す巻き取り式プラズマCVD成膜装置の巻出し部にセットし、真空ポンプで排気し、巻き取り式プラズマCVD成膜装置内部を、5×10−5torrにまで減圧をした。つぎにヘキサメチルジシロキサン(HMDSO):酸素=5:100となるように混合した原料ガスを、成膜室の各電極表面のシャワーヘッドより導入し、成膜室内部を2×10−3torrとした。続いて、各電極に13.56MHzの高周波を0.5kW印可し、プラズマを発生させた。続いてPETフィルムを0.3m/minで走行させて成膜を行った。そのとき得られた酸化珪素膜の膜厚は30nmであった。このようにして本発明の目的であるガスバリアフィルムを得た。
HMDSO:酸素比=7.5:100とし、また酸化珪素膜の膜厚が30nmとなるようにラインスピードを調節したことを除き、実施例1と同様にガスバリアフィルムを得た。
<実施例3>
HMDSO:酸素比=10:100とし、また酸化珪素膜の膜厚が30nmとなるようにラインスピードを調節したことを除き、実施例1と同様にガスバリアフィルムを得た。
HMDSO:酸素比=2.5:100とし、また酸化珪素膜の膜厚が30nmとなるようにラインスピードを調節したことを除き、実施例1と同様にガスバリアフィルムを得た。
HMDSO:酸素比=15:100とし、また酸化珪素膜の膜厚が30nmとなるようにラインスピードを調節したことを除き、実施例1と同様にガスバリアフィルムを得た。
図2に示す巻き取り式プラズマCVD成膜装置の成膜ドラム上に、厚さ100μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを固定した。成膜条件は実施例2と同様とし、成膜ドラムのみを0.3m/minで3、5、7回転させて積層膜の成膜を行った。そのとき得られた酸化珪素積層膜の膜厚は90、150、210nmであった。得られた積層膜の各層は実施例2と同様の組成をもつ酸化珪素膜であった。このようにして本発明の目的であるガスバリアフィルムを得た。
反応性スパッタリング装置において、ターゲットにシリコンターゲットを用い厚さ100μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に酸化珪素膜の成膜を試みた。成膜速度を0.05、0.10、0.15、0.20m/minとすることで膜厚を変化させたサンプルを得た。表2に成膜条件を示す。
得られた酸化珪素の膜厚は210、90、56、43nmである。
2 バリア層
3 巻き取り式真空成膜機
4 巻き出し、巻き取り室
5 成膜室
6 巻き出し軸
7 巻き取り軸
8 プラスチックフィルム
9 ウエブ状のプラスチックフィルム原反
10 ウエブ状の成膜済みフィルム
11、12 アイドルロール
13、14 テンションロール
15、16 温度センサー
17 温調入りドラム
18 シャワーヘッドを持つプラズマCVD用の電極
Claims (3)
- 高分子フィルム基材の少なくとも一方の面に、炭素を含む酸化珪素(SiOX)膜が積層されたガスバリアフィルムにおいて、
前記SiOX膜のxが1.7〜2.1であり、
前記SiOX膜中の炭素元素の濃度が10%以下であり、
前記炭素元素の濃度が前記高分子フィルム基材側から前記SiOX膜表面側に向かって減少している
ことを特徴とするガスバリアフィルム。 - 前記炭素を含むSiOX膜が少なくとも2層以上積層されていることを特徴とする請求項1に記載のガスバリアフィルム。
- 前記SiOX膜の屈折率が1.45〜1.48であることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリアフィルム。
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