JP4830733B2 - ガスバリアフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は高分子フィルムの水蒸気および酸素バリア性を向上させることを目的に、高分子フィルム上に透明な無機膜を成膜し、高分子フィルムのガスバリア性を改善した透明ガスバリアフィルムに関するものである。
高分子フィルムのガスバリア性を改善しようとする試みは盛んに検討され、ガスバリア性を付与されたガスバリアフィルムは食品、医薬品、電子部品の包装材料や、産業資材として用いられてきた。また近年、次世代のFPDとして期待される電子ペーパー、有機EL等の開発が進むなかで、これらFPDのフレキシブル化を達成すべく、ガラスを高分子フィルム基材に置き換えを狙う要求が高まってきた。ガラス基板は環境に由来する酸素や水蒸気による内部素子の劣化を抑制する為に必要とされるガスバリア機能は当然の如く備わっている。高分子フィルム基材が適用され得るディスプレイとして電子ペーパー、ELを挙げることができるが、その要求されるバリアレベルは食品包材用バリアフィルムの100倍から10000倍とも言われている。
そのガスバリア性を付与する方法としては、フィルム上へガスバリア性を有する薄膜層(ガスバリア層)を付与することが有効と考えられ、ガスバリア層を形成する方法としては有機物や、有機−無機ハイブリッド層をウェットコーティング法によって形成させる方法や、無機薄膜をドライコーティング法によって形成させる方法が提案されている。有機物に比べ、3次元のネットワーク構造を有する無機薄膜は均一で密度が高く、緻密な膜となり、高いガスバリア性が得られることが予想される。また無機膜の中でも酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの無機酸化物は高い緻密な構造と、高い透明性を併せ持つものとしてバリア層として最適なものとされている。
このようなハイバリア膜を実現するために、ドライコーティング法による無機酸化物膜は高いガスバリア性が期待できるものとして盛んに検討されている。ドライコーティング法により、無機酸化物薄膜をフィルム上へ形成する方法としては、電子ビーム蒸着や誘導加熱蒸着を用いた反応性蒸着法、スパッタリング法や、プラズマ化学蒸着(CVD)法が一般的である。
しかしながら、上記のようなドライコーティング法を用いたとしても、ハイバリア化を目指すために、緻密な膜を得ようとすると、高温である必要があったり、緻密であるが故に膜の応力が大きくなる傾向にある。そのため高分子フィルム基材の使用可能な温度範囲では緻密な膜を得ることができなかったり、フィルムと無機酸化物膜との熱膨張係数の差が大きいため密着性、クラック等が問題となり、ハイバリア化の達成は容易ではない。
その中でプラズマCVD法による酸化珪素膜は、高品質な膜を得るためには、特殊高圧ガス指定のシラン(SiH)を用いなければならなかったり、成膜温度が高温であったりと、高分子フィルム基材への応用が難しかった。それらを改善した有機シラン化合物を用いたプラズマCVD法による酸化珪素膜も検討されており、食品包装分野では実用化されている。特許文献1には炭素濃度および、膜組成をコントロールする記載があり、密着性、透明性が改善するとの報告があるが水蒸気バリア性は若干劣ると記載されており、ハイバリア膜としても不十分なバリア性である。非特許文献1には炭素濃度と水蒸気バリア性の相関が示してあり、炭素濃度が高いほど水蒸気バリア性が高いとの記載がある。
以下に先行技術文献を示す。
特開平11−322981 45th Annual Technical Conference Proceedings 525, (2002) 「PECVD of SiOx Barrier Films」
本発明は、上記のような問題点を解決するためのものであり、その課題とするところは水蒸気バリア性に優れかつ高透明性を合わせ持つ、ガスバリアフィルムを提供することにある。
請求項1に記載の発明は、高分子フィルム基材の少なくとも一方の面に、炭素を含む酸化珪素(SiOX)膜が積層されたガスバリアフィルムにおいて、
前記SiOX膜のxが1.7〜2.1であり、
前記SiOX膜中の炭素元素の濃度が10%以下であり、
前記炭素元素の濃度が前記高分子フィルム基材側から前記SiOX膜表面側に向かって連続的に減少している
ことを特徴とするガスバリアフィルムである。
請求項2に記載の発明は、前記SiOX膜の屈折率が1.45〜1.48であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリアフィルムである。
請求項3に記載の発明は、高分子フィルム基材の少なくとも一方の面に、炭素を含む酸化珪素(SiOX)膜が積層されたガスバリアフィルムの製造方法において、巻取り式CVD装置を用いて、分子内に炭素を有するシラン化合物を前記高分子フィルム基材の上流側より導入することにより、前記SiOX膜のxが1.7〜2.1であり、前記SiOX膜中の炭素元素の濃度が10%以下であり、前記炭素元素の濃度が前記高分子フィルム基材側から前記SiOX膜表面側に向かって連続的に減少しているSiOX膜を形成することを特徴とするガスバリアフィルムの製造方法である。
本発明におけるガスバリアフィルムは、高分子基材フィルムに炭素を含む酸化珪素(SiO)膜を積層したものである。
化学量論に近い酸化珪素(SiO)である1.7から2.1に規定し、炭素を含む酸化珪素膜は膜中の炭素濃度が10%以下と低い状態とすることにより非常に高い水蒸気バリア性が得られる。酸化珪素膜中の炭素濃度を低く抑えることは酸化珪素のネットワークを寸断する炭素残基を少なくし、さらに、化学量論に近い酸化珪素(SiO)に近づけることによって高度なネットワークを有し、膜が緻密化し、高い水蒸気バリア性が得られるものと考えられる。
また、ハイバリア化を達成するために、炭素濃度勾配を有する酸化珪素膜が有効である。これは、緻密なSiOに近い組成の酸化珪素膜を厚く成膜すると、応力の問題のためクラックや、膜剥がれや、密着性の問題が発生し、ある膜厚をすぎるとバリア性はそれ以上向上しないことが知られている。そこで、酸化珪素膜中に炭素の濃度勾配をもつ傾斜膜にすることにより、炭素リッチな部分が応力緩和の働きをし、積層構造をとったとしてもクラックが発生せず、高いバリア性を発現するものと考えられる。そして、基材側の炭素濃度を高く、膜表面側の炭素濃度を低くしたことは、基材や、膜上のダメージを軽減するものである。
本発明におけるガスバリアフィルムは、高分子基材フィルムに炭素を含む酸化珪素(SiO)膜を2層以上積層したものである。これにより、さらなるハイバリア化が可能となる。
本発明におけるガスバリアフィルムは、酸化珪素膜の屈折率が1.45〜1.48である。
熱CVD法により得られたSiO膜の屈折率は1.465とされ、この値よりも大きいと(1.465<)シリコンリッチな膜となり、小さい場合(1.465>)は酸素リッチまたは密度の低い膜となることが知られている。本発明の酸化珪素膜においても屈折率を1.45〜1.48に規定することにより、組成、密度を制御することができ、高いバリア性を維持できる。
以下本発明を詳細に説明する。
図1は本発明のガスバリアフィルムを説明する断面図である。図1における基材(1)は透明高分子材料からなる高分子フィルム基材であり、基材上に酸化珪素膜(2)を成膜したものである。これより、高分子フィルム基材および、酸化珪素膜について順に説明する。
本発明に用いられる透明高分子フィルム基材はバリア層の透明性を生かすために透明なフィルムが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム(PC)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリカーボネートフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルムや、環状シクロオレフィンを含むシクロオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム等が用いられ、延伸、未延伸のどちらでも良く、また機械的強度や寸法安定性を有するものが良い。これらをフィルム状に加工して用いられる。二軸方向に任意に延伸されていても問題ない。またこの基材の表面に、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤などが使用されていても良く、薄膜との密着性を良くするために、プライマー層を設けたり、前処理としてコロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理を施したりしておいても良く、さらに薬品処理、溶剤処理などを施しても良い。
ガスバリア膜として成膜されるのは分子内に炭素を有するシラン化合物を出発原料に用いたプラズマCVD法により形成された酸化珪素膜(SiO)が好ましく、上記基材の片面または両面に成膜することができる。また高分子フィルム基材の特徴を活かした巻き取り式による連続蒸着を行うことができ、巻き取り式の真空成膜装置を用いることが好ましい。
次に、この酸化珪素膜を形成するための巻き取り式真空成膜機の例を示す。
図2はその概略図である。本透明ガスバリアフィルムを作成する真空成膜装置には、ウエブ状の高分子フィルム基材の巻出し、巻き取り室(4)に、トルクモータ等の一定の張力にて巻き取り可能な巻き取り手段をもつ巻き取り軸(7)、かつパウダークラッチ等のトルク制御手段により一定のバックテンションをかけつつウエブ状の高分子フィルム基材の巻出しを可能にする巻出し軸(6)、高分子フィルムの走行を規制する複数のアイドルローラ(11、12)、適宣にフィードバックを行うための張力検出器を具備したテンションロール(13、14)、フィルム表面の温度を監視するための温度センサー(15、16)を有しており、また成膜室(5)には、成膜時のフィルム表面の温度をコントロールし、表面に膜を形成するための温調入り成膜ドラム(17)、プロセスガスまたは原料ガスを導入するシャワーヘッドをもつプラズマCVD用の電極(18)でなる成膜部を配置することによりなる真空成膜装置である。今回例として示したのは巻き取り式の真空成膜装置の例であるが、その他のバッチ式の成膜装置でも全く問題はない。プラズマ発生法としては直流(DC)プラズマ、低周波プラズマ、高周波(RF)プラズマ、パルス波プラズマ、3極構造プラズマ、マイクロ波プラズマ等の低温プラズマ発生装置が用いられる。
プラズマCVD法にて積層される酸化珪素膜は、分子内に炭素を有するシラン化合物と酸素ガスを加えたもの、場合によってはそれに不活性ガスを加えたものを原料として用いて成膜される。分子内に炭素を有するシラン化合物としては、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラメチルシラン(TMS)、ヘキサメチルジシラン、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラメチルジシロキサン、メチルトリメトキシシラン等の比較的低分子量のシラン化合物を選択し、これらシラン化合物の一つまたは、複数を選択しても良い。これらシラン化合物の中で成膜圧力と蒸気圧を考えると、TEOS、TMOS、TMS、HMDSO、テトラメチルシラン等が好ましい。成膜には前述の巻き取りこれらの有機珪素化合物を気化させ、酸素ガスと混合し、上記、真空成膜装置の電極(18)へと導入し、温調ドラム(17)と電極(18)間にプラズマを発生させ、プラズマCVD法にて酸化珪素膜を高分子フィルム基材上に成膜する。また酸化珪素膜の性質はプラズマCVD法では様々な方法で変えることが可能である。例えば有機珪素化合物やガス種の変更、有機珪素化合物と酸素ガスの混合比や、投入電力等の様々な方法が考えられる。
バリア層である酸化珪素膜の膜厚は特に限定されるものではないが、あまり薄すぎるとバリア性の発現が難しいため、10nm以上は必要であると考えられる。これ以上の膜厚は、透明性が損なわれない範囲において、必要なバリア性能に合わせて膜厚をコントロールすることが可能であるが、あまり膜厚が厚すぎると生産性の面で問題となるため、1層のみの積層を行う場合は100nm以下が好ましい。さらなるハイバリア化を達成するために酸化珪素膜を2層以上積層することが可能であり、この場合は2000nm以下の範囲が好ましい。また膜厚のコントロールはバッチ装置では成膜時間をコントロールすることにより可能であるが、巻き取り式の装置の場合には、ラインスピードをコントロールすることで膜厚の制御が可能である。また積層を行うためには成膜ドラム電極を複数個配置することにより積層が可能であり、また、一度成膜を行った後に再度反転し、積層することも可能である。
また、本発明によればガスバリア膜として成膜された酸化珪素膜(SiO)の組成として、xの値を1.7〜2.1、膜中の炭素原子の割合が10%以下と規定し、炭素の混入をできるだけ少なくし、SiOに近い、酸化珪素膜を得ようとしてある。その酸化珪素膜の組成はX線光電子分光法(XPS)、飛行時間型2次イオン 質量分析法(TOF−SIMS)等を用いて測定が可能である。酸化珪素膜(SiO)のxの値を、1.7〜2.1と規定したのはできるだけ、化学量論であるSiOの組成が、バリア膜には必要であることが判明したためであり、1.7〜2.1を外れると、化学量論的を外れ、余剰なボンドが発生し、バリア性が発現しづらくなる。例えば1.7を下回ると珪素リッチな膜となり、ダングリングボンド等が発生し、粗なネットワークとなることが考えられ、2.1を上回ると余剰な酸素が取り込まれ、これも粗なネットワークとなることが考えられる。また、酸化珪素膜中に含まれるさらに、原料に分子内に炭素を有するシラン化合物を用いた場合、極力炭素は混入すべきではない。それは混入してしまう炭素はC−H結合を有する可能性が高く、膜中の欠陥となりやすいと考えられている。しかし、ハイバリア化を達成するために、積層する課程において、炭素濃度勾配を有する酸化珪素膜が有効であることを見いだした。これは、緻密なSiOに近い組成の酸化珪素膜を厚く成膜すると、応力の問題のためクラックや、膜剥がれや、密着性の問題が発生し、ある膜厚をすぎるとバリア性はそれ以上向上しないことが知られている。そこで、酸化珪素膜中に炭素の濃度勾配をもつ傾斜膜にすることにより、炭素リッチな部分が応力緩和の働きをし、積層構造をとったとしてもクラックが発生せず、高いバリア性を発現するものと考えられる。
次に炭素濃度勾配を有する酸化珪素膜を得るための方法について記す。各層の基材表面側に存在する炭素原子は原料として用いられる分子内に炭素を有するシラン化合物に由来するものであると考えられる。よって、炭素濃度勾配を有する酸化珪素を作製するためには、原料ガスの濃度を変化させることにより、作製が可能である。例えば、分子内に炭素を有するシラン化合物の流量を制御し、成膜開始直後は高流量とし、徐々に流量を減少させていくことにより、濃度勾配が得られる。また、前記巻取り式CVD装置の場合、分子内に炭素を有するシラン化合物を基材の上流側より導入することにより、電極上での濃度勾配が発生し炭素濃度勾配を有する酸化珪素が形成される。
酸化珪素膜の屈折率は、エリプソメトリにより測定することが可能である。測定には波長633nmのレーザー光を用い測定を行った。他にも得られたガスバリアフィルムの透過光および、反射光を測定することによっても測定が可能である。膜の屈折率は酸化珪素に吸収のない範囲の屈折率で規定することが可能である。酸化珪素膜の屈折率は主に密度と相関があるものとされている。たとえば熱CVD法により得られた化学量論にあるSiO膜の屈折率は1.465とされている。この値よりも大きいと(1.465<)シリコンリッチな膜となり、小さい場合(1.465>)は酸素リッチまたは、密度の低い膜となることが知られている。今回の分子内に炭素を有するシラン化合物を出発原料に用いたプラズマCVD法による酸化珪素膜においても屈折率を1.45〜1.48に規定することにより、組成、密度を制御することができ、高いバリア性を維持できる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
厚さ100μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材として、図2に示す巻き取り式プラズマCVD成膜装置の巻出し部にセットし、真空ポンプで排気し、巻き取り式プラズマCVD成膜装置内部を、5×10−5torrにまで減圧をした。つぎにヘキサメチルジシロキサン(HMDSO):酸素=5:100となるように混合した原料ガスを、成膜室の各電極表面のシャワーヘッドより導入し、成膜室内部を2×10−3torrとした。続いて、各電極に13.56MHzの高周波を0.5kW印可し、プラズマを発生させた。続いてPETフィルムを0.3m/minで走行させて成膜を行った。そのとき得られた酸化珪素膜の膜厚は30nmであった。このようにして本発明の目的であるガスバリアフィルムを得た。
<実施例2>
HMDSO:酸素比=7.5:100とし、また酸化珪素膜の膜厚が30nmとなるようにラインスピードを調節したことを除き、実施例1と同様にガスバリアフィルムを得た。
<実施例3>
HMDSO:酸素比=10:100とし、また酸化珪素膜の膜厚が30nmとなるようにラインスピードを調節したことを除き、実施例1と同様にガスバリアフィルムを得た。
<比較例1>
HMDSO:酸素比=2.5:100とし、また酸化珪素膜の膜厚が30nmとなるようにラインスピードを調節したことを除き、実施例1と同様にガスバリアフィルムを得た。
<比較例2>
HMDSO:酸素比=15:100とし、また酸化珪素膜の膜厚が30nmとなるようにラインスピードを調節したことを除き、実施例1と同様にガスバリアフィルムを得た。
得られた酸化珪素膜の膜組成は、XPSにより決定した。膜組成はPET近傍までのデプスプロファイルを測定し、その表面を除いた組成の平均値を膜組成とした。また、炭素濃度の傾斜に関してはデプスプロファイルによる炭素濃度により決定した。
ガスバリア性の測定は水蒸気透過率測定装置(MOCON社製 PERMATRAN−W 3/33)をもちい、40℃、相対湿度90%の条件下で測定を行った。その結果を表1に示す。また基材に用いたPETフィルムのバリア性は5.0g/m/dayである。
表1には実施例、比較例における評価結果をしめす。実施例1から3では得られた酸化珪素膜中の炭素濃度、珪素に対する酸素の比及び、屈折率を規定することにより、優れた水蒸気バリア性が得られていることがわかる。これに対し、比較例1では酸素過剰の状態となっており、また、比較例2では珪素過剰の状態となっており水蒸気バリア性が得られていない。
図3には実施例2における炭素濃度のデプスプロファイルを示した。得られた酸化珪素膜中の炭素濃度はエッチングが進むにつれ増加しており、酸化珪素膜中の炭素濃度は基材側が高く、膜表面側が低くなっている濃度分布をもつことわかる。
<実施例4>
図2に示す巻き取り式プラズマCVD成膜装置の成膜ドラム上に、厚さ100μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを固定した。成膜条件は実施例2と同様とし、成膜ドラムのみを0.3m/minで3、5、7回転させて積層膜の成膜を行った。そのとき得られた酸化珪素積層膜の膜厚は90、150、210nmであった。得られた積層膜の各層は実施例2と同様の組成をもつ酸化珪素膜であった。このようにして本発明の目的であるガスバリアフィルムを得た。
<比較例3>
反応性スパッタリング装置において、ターゲットにシリコンターゲットを用い厚さ100μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に酸化珪素膜の成膜を試みた。成膜速度を0.05、0.10、0.15、0.20m/minとすることで膜厚を変化させたサンプルを得た。表2に成膜条件を示す。
得られた酸化珪素の膜厚は210、90、56、43nmである。
図4には実施例2、4によりプラズマCVD法により得られた積層膜の水蒸気バリア性と、比較例3によるスパッタリング法による酸化珪素膜の膜厚に対する水蒸気バリア性を示している。実施例4では膜中の炭素濃度が基材側が高く、膜表面側が低くなっている濃度分布をもつ、酸化珪素膜を積層していくことにより水蒸気バリア性は劣化することがないことがわかる。しかし、スパッタリング法による酸化珪素膜は90nmまではバリア性が上昇していくが、それ以上膜厚を厚くすることにより、水蒸気バリア性が劣化してしまうことがわかる。
上記の発明により、プラズマCVD法によって作製された炭素を含む酸化珪素膜は膜中の炭素濃度が10%以下と低い状態とし、化学量論に近い酸化珪素(SiO)である1.7から2.1に規定することにより非常に高い水蒸気バリア性が得られることを見いだしたものである。また、ハイバリア化を達成するために、積層する課程において、炭素濃度勾配を有する酸化珪素膜が有効であることを見いだした。これは、緻密なSiOに近い組成の酸化珪素膜を厚く成膜すると、応力の問題のためクラックや、膜剥がれや、密着性の問題が発生し、ある膜厚をすぎるとバリア性はそれ以上向上しないことが知られている。そこで、酸化珪素膜中に炭素の濃度勾配をもつ傾斜膜にすることにより、炭素リッチな部分が応力緩和の働きをし、積層構造をとったとしてもクラックが発生せず、高いバリア性を発現するものと考えられる。上記のように得られたガスバリアフィルムは非常に高いバリア性をしめし、さらに積層構造をとった場合にもバリア性の劣化もなく、高いバリア性を期待できるものである。
本発明の透明ガスバリアフィルムの側断面を表した説明図である。 本発明に関わる巻き取り式真空成膜装置の全体図を示す概略説明図である。 本発明の実施例2における炭素濃度のデプスプロファイルを表した図である。 本発明の実施例2、4および比較例3における酸化珪素膜と水蒸気バリア性の関係を表す図である。
符号の説明
1 プラスチック基材
2 バリア層
3 巻き取り式真空成膜機
4 巻き出し、巻き取り室
5 成膜室
6 巻き出し軸
7 巻き取り軸
8 プラスチックフィルム
9 ウエブ状のプラスチックフィルム原反
10 ウエブ状の成膜済みフィルム
11、12 アイドルロール
13、14 テンションロール
15、16 温度センサー
17 温調入りドラム
18 シャワーヘッドを持つプラズマCVD用の電極

Claims (3)

  1. 高分子フィルム基材の少なくとも一方の面に、炭素を含む酸化珪素(SiOX)膜が積層されたガスバリアフィルムにおいて、
    前記SiOX膜のxが1.7〜2.1であり、
    前記SiOX膜中の炭素元素の濃度が10%以下であり、
    前記炭素元素の濃度が前記高分子フィルム基材側から前記SiOX膜表面側に向かって連続的に減少している
    ことを特徴とするガスバリアフィルム。
  2. 前記SiOX膜の屈折率が1.45〜1.48であることを特徴とする請求項に記載のガスバリアフィルム。
  3. 高分子フィルム基材の少なくとも一方の面に、炭素を含む酸化珪素(SiOX)膜が積層されたガスバリアフィルムの製造方法において、
    巻取り式CVD装置を用いて、分子内に炭素を有するシラン化合物を前記高分子フィルム基材の上流側より導入することにより、前記SiOX膜のxが1.7〜2.1であり、前記SiOX膜中の炭素元素の濃度が10%以下であり、前記炭素元素の濃度が前記高分子フィルム基材側から前記SiOX膜表面側に向かって連続的に減少しているSiOX膜を形成することを特徴とするガスバリアフィルムの製造方法。
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