JP2015226995A - ガスバリア性積層フィルム - Google Patents

ガスバリア性積層フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2015226995A
JP2015226995A JP2014112952A JP2014112952A JP2015226995A JP 2015226995 A JP2015226995 A JP 2015226995A JP 2014112952 A JP2014112952 A JP 2014112952A JP 2014112952 A JP2014112952 A JP 2014112952A JP 2015226995 A JP2015226995 A JP 2015226995A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas barrier
layer
film
less
barrier layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014112952A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6547241B2 (ja
Inventor
学 ▲辻▼野
学 ▲辻▼野
Manabu Tsujino
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toppan Printing Co Ltd filed Critical Toppan Printing Co Ltd
Priority to JP2014112952A priority Critical patent/JP6547241B2/ja
Publication of JP2015226995A publication Critical patent/JP2015226995A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6547241B2 publication Critical patent/JP6547241B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】ガスバリア性を十分に確保し、酸素バリア性及び水蒸気バリア性に優れた、透明なガスバリア性積層フィルムを提供する。【解決手段】ガスバリア性積層フィルムは、透明なプラスチックフィルムからなる基材層の一方の表面上に、プライマー層と、第1のガスバリア層と、中間層と、第2のガスバリア層とが、この順に積層されている。プライマー層及び中間層の各々は、SiOxCyで表される酸化珪素からなる。xは1.5以上2.0以下である。yは0.1以上0.5以下である。プライマー層の厚みは5nm以上50nm以下である。プライマー層の表面の算術平均粗さRaは2nm以下である。中間層の厚みは20nm以上200nm以下である。第1のガスバリア層及び第2のガスバリア層の各々は無機酸化物からなる。第1のガスバリア層及び第2のガスバリア層の厚みは3nm以上30nm以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、食品、日用品、医薬品等の包装分野、及び太陽電池関連部材や電子機器関連部材等の分野において、特に高いガスバリア性が必要とされる場合に、好適に用いられる透明なガスバリア性積層フィルムに関する。
食品、日用品、医薬品等の包装に用いられる包装材料は、収容物の変質を抑制して、その機能や性質を包装中においても保持できるようにするため、包装材料を透過する酸素、水蒸気等、収容物を変質させる気体による影響を防止する必要があり、これらの気体を遮断するガスバリア性を備えていることが求められている。
通常のガスバリア性を有する包装材料としては、比較的ガスバリア性に優れている塩化ビニリデン樹脂フィルム又は塩化ビニリデン樹脂をコーティングしたフィルム等がよく用いられてきたが、これらの包装材料は、高度なガスバリア性が要求される包装に用いることはできない。従って高度なガスバリア性が要求される場合には、アルミニウム等の金属箔をガスバリア層として積層した包装材料を用いざるを得なかった。アルミニウム等の金属箔を積層した包装材料は、温度や湿度の影響が殆どなく、高度なガスバリア性を有している。しかし、こうした包装材料では、それを透視して収容物を確認することができない、使用後に不燃物として廃棄処理しなければならない、収容物の検査に金属探知器が使用できない、等の多くの欠点を有していた。
これらの欠点を克服した包装材料として、特許文献1には、透明なプラスチックフィルムからなる基材層に、透明な酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の無機酸化物の蒸着薄膜層をガスバリア層とし、その上に適宜のガスバリア性被膜層とを積層してなる積層フィルムが開示されている。
一方、近年、地球温暖化問題に対する関心が高まるなか、太陽電池市場が急速に拡大している。太陽電池の構造としては、太陽電池素子単体をそのままの状態で使用することはなく、一般的に数枚から数十枚の素子を直列、並列に配線し、素子を長期間保護するためにパッケージが行なわれ、ユニット化されている。このパッケージに組み込まれたユニットを太陽電池モジュールと呼び、一般的に太陽光が当たる面をガラスで覆い、熱可塑性プラスチックからなる充填材で隙間を埋め、裏面を耐熱、耐候性プラスチック材料等からなるシートで保護された構成になっている。
これらの太陽電池モジュールは、屋外で使用されるため、使用される材料及びその構成等において、十分な耐久性、耐候性が要求される。特に、裏面保護シートは耐候性とともに高いガスバリア性が要求されている。これは水分の透過によるユニット内の充填材が剥離したりして配線の腐食を起こし、モジュールの出力そのものに悪影響を及ぼすためである。
従来、この太陽電池用裏面保護シートとしては、白色のフッ素系フィルムでアルミニウム箔を両側からサンドイッチした積層構成が多く用いられていた。しかし、このフッ素系フィルムは機械的強度が弱いため、太陽電池素子とアルミニウム箔が短絡して電池性能に悪影響を及ぼす欠点があり、更に価格が高いため、太陽電池モジュールを低価格化する際に1つの障害となっている。これらの問題点を改善するべく、アルミニウム箔を用いずに、耐候性と高いガスバリア性を兼ね備えたガスバリアフィルムの要求が高まっている。
また、この太陽電池モジュールをフレキシブル化させるべく開発も行なわれており、これを達成するためには太陽光が当たる表面のガラス基板もプラスチック材料等からなるシートに置き換える必要があり、この表面保護シートも裏面保護シートと同様に、耐候性及び高いガスバリア性が要求されている。
また近年、次世代のフラットパネルディスプレイ(FPD)として期待される電子ペーパー、有機EL等の開発が進むなかで、これらFPDのフレキシブル化を達成するため、ガラス基板をプラスチックフィルムに置き換えたいという要求が高まっている。ガラス基板は環境由来の酸素や水蒸気による内部素子の劣化を抑制するため必要とされるガスバリア性が備わっている。しかし、上述した包装材料用のガスバリアフィルムはそのバリアレベルには達しておらず、プラスチックフィルムが適用され得る電子ペーパー、有機EL等では、食品包材用バリアフィルムの100倍から1万倍のガスバリア性が必要とも言われている。
このような高いガスバリア性を有するプラスチックフィルムを実現するために、電子ビーム蒸着や誘導加熱蒸着を用いた反応性蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法(化学気相成長法)等のドライコーティング法により成膜された無機酸化物薄膜は、高いガスバリア性の発現が期待できるものとして検討されている。
その中で、有機シラン化合物を用いたプラズマCVD法による酸化珪素薄膜は、高いガスバリア性を発現するバリア層として検討されており、食品包装分野では実用化されている。特許文献2には炭素濃度及び、酸化珪素薄膜の組成を制御することで、密着性と透明性が改善するとの報告がある。
特開平7−164591号公報 特開平11−322981号公報
しかしながら、特許文献1に記載された積層フィルムは、印刷、ラミネート、製袋等の、包装材料としての通常の加工を施すときにおける酸素透過度や水蒸気透過度等のガスバリア性が必要とされていなかった。
また、高いガスバリア性を有するプラスチックフィルムを得るために上記ドライコーティング法を用いたとしても、高いガスバリア性を目指すために緻密な膜を得ようとすると、高温プロセスが必要であったり、緻密であるために膜中の応力が大きくなったりする傾向がある。そのため、プラスチックフィルムの使用可能な温度範囲では緻密な膜を得ることが困難であったり、プラスチックフィルムと無機酸化物薄膜との熱膨張係数の差が大きいため密着不良やクラックが発生したりする問題が生じ、高いガスバリア性の発現は容易ではない。
また、特許文献2に記載された透明バリア性フィルムは、高い水蒸気バリア性は要求されておらず、高いガスバリア性を必要とする電子ペーパーや有機EL等のFPD向けとしては想定されていなかった。
そこで、本発明の目的は、太陽電池モジュールの裏面保護シートや表面保護シート、電子ペーパーや有機EL等のFPD向けとして、ガスバリア性を十分に確保し、酸素バリア性及び水蒸気バリア性に優れた、透明なガスバリア性積層フィルムを提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明の一態様に係るガスバリア性積層フィルムは、透明なプラスチックフィルムからなる基材層の一方の表面上に、透明なプライマー層と、透明な第1のガスバリア層と、透明な中間層と、透明な第2のガスバリア層とが、この順に積層されている。プライマー層及び中間層の各々は、SiOxCyで表される酸化珪素からなる。xは1.5以上2.0以下である。yは0.1以上0.5以下である。プライマー層の厚みは5nm以上50nm以下である。プライマー層の表面の算術平均粗さは2nm以下である。中間層の厚みは20nm以上200nm以下である。第1のガスバリア層及び第2のガスバリア層の各々は、無機酸化物からなる。第1のガスバリア層及び第2のガスバリア層の厚みは3nm以上30nm以下である。
例えば、中間層は、プラズマCVD法(化学的気相成長法)により第1のガスバリア層と第2のガスバリア層との間に形成されている。プライマー層は、プラズマCVD法により基材層と第1のガスバリア層との間に形成されている。第1のガスバリア層及び第2のガスバリア層の各々は、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン又は酸化マグネシウムのいずれかからなる。
また、ガスバリア性積層フィルムの40℃90%RH環境下における水蒸気透過度Xは、0.1g/m・day以下である。ガスバリア性積層フィルムの85℃85%RH環境下における水蒸気透過度Yは、1.0g/m・day以下である。XとYとの関係は、Y/X≦10の式を満たす。
本発明の一様態に係るガスバリア性積層フィルムは、ガスバリア性と透明性を十分に確保し、酸素バリア性及び水蒸気バリア性に優れているため、太陽電池モジュールの裏面保護シートや表面保護シート、電子ペーパーや有機EL等のFPD向けとして、特に高いガスバリア性と透明性が必要とされる場合に好適に用いることができる。
本発明の一実施形態に係るガスバリア性積層フィルムの一例の断面図である。
<実施形態>
以下に、本発明の一実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムでは、基材層1の一方の表面上に、プライマー層2と、第1のガスバリア層3と、中間層4と、第2のガスバリア層5とが厚み方向に順次積層されており、かつ、プライマー層2及び中間層4は、SiOxCyで表される酸化珪素からなっている。ここで、xは1.5以上2.0以下である。また、yは0.1以上0.5以下である。
本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムにおいて、基材層1は透明なプラスチックフィルムからなる。透明なプラスチックフィルムの例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリ乳酸等の生分解性プラスチックフィルム、等が考えられる。
これらの透明なプラスチックフィルムは、延伸、未延伸のどちらでも良いが、機械的強度や寸法安定性等が優れたものが好ましい。特に、耐熱性や寸法安定性等の面から、二軸方向に延伸したポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。また、透明なプラスチックフィルムは、帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤等の添加剤を含有しても良い。更に、透明なプラスチックフィルムにおいて、他の層を積層する側の表面には、密着性を良くするために、コロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理、薬品処理、溶剤処理等を施しても良い。
これらの透明なプラスチックフィルムからなる基材層1の厚さは、特に制限を受けるものではないが、包装材料としての適性や他の層を積層する場合の加工適性等を考慮すると、実用的には6μm以上100μm以下の範囲、特に9μm以上25μm以下の範囲であることが好ましい。また、太陽電池の表面保護シートや裏面保護シート、更には電子ペーパーや有機EL等で使用される場合にも、基材層1の厚さは、特に制限を受けるものではないが、本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムの後工程での加工適正等を考慮すると、実用的には12μm以上200μm以下の範囲、特に12μm以上125μm以下の範囲であることが望ましい。
本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムにおいて、プライマー層2の役割は、基材層1と第1のガスバリア層3との間に安定した高い密着性を得ること、及び、第1のガスバリア層3及び第2のガスバリア層5のガスバリア性を向上させることである。そして特に、第1のガスバリア層3を積層するプライマー層2の表面の平滑性は、高いガスバリア性を発現するための重要な特性の1つである。これは、プライマー層2の表面が平滑であればあるほど表面近傍からより緻密なガスバリア層を形成することができ、均一な膜厚も得られやすいためである。一般的には、表面の平滑性を示す算術平均粗さRaが5nm以下であることが、高いガスバリア性を発現させるための必要条件と考えられている。しかしながら、本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムでは、後述するように、生産性を考慮して第1のガスバリア層3及び第2のガスバリア層5の各々の厚みを3nm以上30nm以下と薄くしていることが特徴である。そのため、上述した算術平均粗さ5nm以下よりも更なる表面平滑性が求められている。具体的には、本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムにおいては、算術平均粗さRaを2nm以下にすることが必要である。
本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムにおいて、プライマー層2は、SiOxCyで表される酸化珪素からなる。ここで、xは1.5以上2.0以下である。また、yは0.1以上0.5以下である。含有する炭素成分の含有量を制御することで、プライマー層2としての密着性と表面の平滑性の両方を発現することが可能になる。すなわち、炭素成分の含有量を示す上記y値が0.1未満であるとプライマー層2としての柔軟性が不足し、密着性が低下する。また、上記y値が0.5を超えるとプライマー層2としての柔軟性は高いが、緻密な膜が得られず、表面の平滑性が低下する。従って、上記y値を0.1以上0.5以下にする必要があり、このy値を制御することが本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムにおける重要なポイントの1つである。
本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムにおいて、プライマー層2の形成方法は特に限定されるものではないが、上述するように、SiOxCyで表されるプライマー層2のy値を0.1以上0.5以下にするためには、現時点ではプラズマCVD法(化学的気相成長法)が好ましい。また、プラズマ発生装置としては、直流(DC)プラズマ、低周波プラズマ、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、3極構造プラズマ、マイクロ波プラズマ等の低温プラズマ発生装置が考えられる。
このプライマー層2の厚さは、5nm以上50nm以下である。ここで、膜厚が5nm未満であると、基材層1と第1のガスバリア層3との間に形成されるプライマー層2としての役割である表面平滑性を得ることが難しい。一方、膜厚が50nmを越えると、プライマー層にフレキシビリティ(可撓性)を保持させることが難しく、折り曲げや引っ張り等の外部応力が加わると、蒸着薄膜層に亀裂を生じる恐れがある。
プラズマCVD法により積層される酸化珪素からなるプライマー層2は、分子内に炭素を有するシラン化合物と酸素ガスを原料として成膜することができ、この原料に不活性ガスを加えて成膜することもできる。分子内に炭素を有するシラン化合物の例としては、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラメチルシラン(TMS)、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラメチルジシロキサン、メチルトリメトキシシラン等の比較的低分子量のシラン化合物が考えられる。これらシラン化合物のうちから1つ又は複数(少なくとも1つ)を選択しても良い。成膜圧力と蒸気圧を考えると、これらシラン化合物のうち、特にTEOS、TMOS、TMS、HMDSO等が好ましい。
プラズマCVD法による成膜では、シラン化合物を気化させ酸素ガスと混合したものを電極間に導入し、低温プラズマ発生装置にて電力を印加してプラズマ化し、基材層1の表面上に積層することができる。また、プラズマCVD法では、酸化珪素からなるプライマー層2の膜質を様々な方法で変えることが可能である。例えば、シラン化合物やガス種の変更、シラン化合物と酸素ガスの混合比や、印加電力の増減等が考えられる。
本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムにおいて、第1のガスバリア層3及び第2のガスバリア層5の各々は無機酸化物からなり、その形成方法には特に限定されるものではないが、無機酸化物からなる第1のガスバリア層3及び第2のガスバリア層5が高いガスバリア性を発現するためには、真空中でガスバリア層を形成できる真空成膜が適している。中でも、より早い速度で積層する場合には、真空蒸着法が最も優れている。
現時点の真空蒸着法において、真空蒸着装置内での蒸発源材料の加熱手段としては、電子線加熱方式や抵抗加熱方式や誘導加熱方式等が好ましい。また、プライマー層2との密着性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法等を用いることも可能である。更に透明性を向上させるために、酸素ガス等を吹き込んで反応性蒸着を行っても良い。
また、真空蒸着法以外の方法としては、ガスバリア層を形成する堆積速度が真空蒸着法ほど速くはないが、より高いガスバリア性を発現しやすい方法として、プラズマCVD法が好ましい。また、プラズマ発生装置の例としては、直流(DC)プラズマ、低周波プラズマ、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、3極構造プラズマ、マイクロ波プラズマ等の低温プラズマ発生装置が用いられる。
本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムにおいて、第1のガスバリア層3及び第2のガスバリア層5の各々は、透明であり、ガスバリア性を発現する無機酸化物であれば、特にその組成について限定されるものではない。現時点では、透明性と、酸素や水蒸気等に対する高いガスバリア性とを両立できる無機酸化物として、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウムのいずれかの組成を用いることが望ましい。
これら第1のガスバリア層3及び第2のガスバリア層5の各々の厚さは、3nm以上30nm以下である。一般的にはガスバリア層の膜厚を厚くすることでガスバリア性を向上することができるため、より高いガスバリア性が必要なガスバリア性積層フィルムでは、ガスバリア性を向上させる1つの手法として厚膜化が用いられることがある。しかし、生産性を考慮した場合、ガスバリア層の膜厚はできるだけ薄い方が理想的である。また、形成されたガスバリア層には内部応力が生じており、この内部応力はガスバリア層の膜厚が厚くなるほど大きくなり、ガスバリア性を低下させるクラックが発生しやすくなる。更に、膜厚を厚くすることで、ガスバリア層のフレキシビリティを保持させることが難しくなり、折り曲げや引っ張り等の外部応力が加わると、ガスバリア層に亀裂を生じる恐れもある。これらの理由から、第1のガスバリア層3及び第2のガスバリア層5の各々の膜厚の上限値は、ガスバリア層の形成方法や膜組成にもよるが、30nm以下であることが望ましい。また、膜厚の下限値については、膜厚が3nm未満であると、均一な薄膜が得られないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができないため、膜厚は3nm以上であることが望ましい。
また、成膜方式については、プラスチックからなる基材層1の特徴を活かした巻取式による連続成膜が可能であるため、巻取式の真空蒸着成膜装置又は巻取式のプラズマCVD成膜装置を用いることが好ましい。
上述したように、ガスバリア層のバリア性を向上する手法の1つとして膜厚化が用いられることがあるが、ガスバリア層の膜厚を厚くすればするほど、過度の内部応力によるクラック発生や、フレキシビリティ不足による亀裂の発生等により、逆にガスバリア性の低下を引き起こしやすくなる。そこで、これらを防ぐため、第1のガスバリア層3と第2のガスバリア層5との間には、緩衝層として働く柔軟性の高い中間層4を形成することが必要になり、この中間層4としては、柔軟性を考慮して一般的に無機系より有機系の薄膜層を使用することが多い。しかしながら、有機系の薄膜層は無機系と比較して高温領域においてガスバリア性の低下が激しく、太陽電池、電子ペーパー、有機EL等、高温環境下でも高いガスバリア性が求められる用途には不向きである。従って、高温環境下においても高いガスバリア性を発現できるように、中間層4を無機系にすることが、本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムにおける重要なポイントの1つである。
本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムにおいて、中間層4は、SiOxCyで表される酸化珪素からなる。ここで、xは1.5以上2.0以下である。また、yは0.1以上0.5以下である。含有する炭素成分の含有量を制御することで、中間層4としての柔軟性とガスバリア性の両方を発現することが可能になる。すなわち、炭素成分の含有量を示す上記y値が0.1未満であると中間層としての柔軟性が不足する。また、上記y値が0.5を超えると中間層4としての柔軟性は高いが、緻密な膜が得られないためガスバリア性が低下する。従って、上記y値を0.1以上0.5以下にする必要があり、このy値を制御することが本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムにおける重要なポイントの1つである。
そして、無機系の中間層4を用いて高温領域での高いガスバリア性を発現させる効果としては、主に包装材料向け評価として用いられる、ガスバリア性積層フィルムの40℃90%RH環境下における水蒸気透過度(X)が、0.1g/m・day以下であり、主に太陽電池向け評価として用いられる、ガスバリア性積層フィルムの85℃85%RH環境下における水蒸気透過度(Y)が、1.0g/m・day以下であり、かつ、XとYとの関係が、Y/X≦10の式を満たしていることが望ましい。例えば、太陽電池やディスプレイ等の環境試験で用いられる高温領域では、バリアフィルムの水蒸気透過度が高くなるが、これを少しでも抑制させる構成として、本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムでは、ガスバリア層だけでなく、プライマー層や中間層を無機系の膜で形成している。その効果として、従来の包装用バリアフィルムの一般的な試験条件(40℃90%RH)での水蒸気透過度(X)を基準に、太陽電池評価用の試験条件(85℃85%RH)での水蒸気透過度(Y)が10倍以下(Y/X≦10)になることが望ましい。
本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムにおいて、中間層4の形成方法は特に限定されるものではないが、上述するように、SiOxCyで表される中間層4のy値を0.1以上0.5以下にするためには、現時点ではプラズマCVD法が好ましい。また、プラズマ発生装置としては、直流(DC)プラズマ、低周波プラズマ、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、3極構造プラズマ、マイクロ波プラズマ等の低温プラズマ発生装置が考えられる。
この中間層4の厚さは、20nm以上200nm以下である。ここで、膜厚が20nm未満であると、第1のガスバリア層3と第2のガスバリア層5との間に形成される中間層4としての役割(上述した緩衝層としての機能)を十分に果たすことができない。一方、膜厚が200nmを越えると、生産性が悪くなる。更に、中間層4にフレキシビリティを保持させることが難しく、折り曲げや引っ張り等の外部応力が加わると、蒸着薄膜層に亀裂を生じる恐れがある。
プラズマCVD法により積層される酸化珪素からなる中間層4は、分子内に炭素を有するシラン化合物と酸素ガスを原料として成膜することができ、この原料に不活性ガスを加えて成膜することもできる。分子内に炭素を有するシラン化合物の例としては、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラメチルシラン(TMS)、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラメチルジシロキサン、メチルトリメトキシシラン等の比較的低分子量のシラン化合物が考えられる。これらシラン化合物のうちから1つ又は複数(少なくとも1つ)を選択しても良い。成膜圧力と蒸気圧を考えると、これらシラン化合物のうち、特にTEOS、TMOS、TMS、HMDSO等が好ましい。
プラズマCVD法による成膜では、シラン化合物を気化させ酸素ガスと混合したものを電極間に導入し、低温プラズマ発生装置にて電力を印加してプラズマ化し、第1のガスバリア層3の表面上に積層することができる。また、プラズマCVD法では、酸化珪素からなる中間層4の膜質を様々な方法で変えることが可能である。例えば、シラン化合物やガス種の変更、シラン化合物と酸素ガスの混合比や、印加電力の増減等が考えられる。
また、プラズマCVD法以外の中間層4の形成方法としては、真空蒸着法が好ましい。現時点の真空蒸着法において、真空蒸着装置内での蒸発源材料の加熱手段としては、電子線加熱方式や抵抗加熱方式や誘導加熱方式等が好ましい。また、第1のガスバリア層3との密着性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法等を用いることも可能である。更に、中間層4の透明性を上げるために、酸素ガス等吹き込んで反応性蒸着を行っても良い。
また、本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムは、他のフィルムと積層して、食品、日用品、医薬品等の包装分野や太陽電池関連部材や電子機器関連部材等の分野において用いることもできる。例えば、包装分野では、本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムを最外層として使用し、接着剤を介して中間フィルム層やヒートシール層等を積層した構成にしても良い。また、本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムを中間に使用し、その片面側に接着剤を介して外側フィルム層等を積層し、そのもう一方の面側に接着剤を介してヒートシール層等を積層した構成にしても良い。
中間フィルム層又は外側フィルム層の例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアクリルニトリル系フィルム、ポリイミド系フィルム等の透明なフィルム層が考えられる。
ヒートシール層の例として、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、及びこれらの金属架橋物、等の合成樹脂が用いられる。
中間フィルム層、外側フィルム層、及びヒートシール層の厚さは、目的に応じて決められるが、一般的には15μm以上200μm以下の範囲である。接着剤の例としては、1液硬化型又は2液硬化型のポリウレタン系接着剤等が考えられる。接着剤を介してこれらの層を積層するには、ドライラミネート法等が用いることができる。また、ヒートシール層の他の積層方法として、ヒートシール層の合成樹脂を、熱溶融押出する方法(エクストルージョンラミ)を用いることもできる。
以下、本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムについて、実施例と、その比較対象となる比較例により詳細に説明するが、実際には下記の例に制限されるものではない。以下の実施例1、2、3、4、5においては、図1に示したように、基材層1の一方の表面上に、プライマー層2と、第1のガスバリア層3と、中間層4と、第2のガスバリア層5を順次積層したガスバリア性積層フィルムを作製した。
(実施例1)
基材層1として、厚さ25μm、一方の表面の算術平均粗さRaが8nmである、ニ軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意し、真空成膜装置内に設置して、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)5sccm/酸素50sccmの混合ガスを電極間に導入し、13.56MHzの高周波を0.5kW印加してプラズマ化し、基材層1の算術平均粗さRaが8nmである一方の表面上に、厚さ20nmのSiOxCyで表される酸化珪素からなるプライマー層2を積層した。このときのx値は1.8であり、y値は0.3である。また、このとき、プライマー層2の表面のRaは1.2である。
次に、同じく真空成膜装置内で、電子線加熱方式で金属アルミニウムを蒸発させて、そこに酸素ガスを導入して、このプライマー層2の表面上に厚さ20nmの酸化アルミニウムからなる第1のガスバリア層3を積層した。
次に、同じく真空成膜装置内で、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)5sccm/酸素50sccmの混合ガスを電極間に導入し、13.56MHzの高周波を0.5kW印加してプラズマ化し、第1のガスバリア層3の表面上に厚さ100nmのSiOxCyで表される酸化珪素からなる中間層4を積層した。このときのx値は1.8であり、y値は0.3である。
次に、同じく真空成膜装置内で、第1のガスバリア層3の積層と同様にして、電子線加熱方式で金属アルミニウムを蒸発させて、そこに酸素ガスを導入して、中間層4の表面上に厚さ20nmの酸化アルミニウムからなる第2のガスバリア層5を積層した。
このようにして、実施例1のガスバリア性積層フィルムを作製した。
(実施例2)
実施例1のガスバイア性積層フィルムにおいて、プライマー層2の表面に積層した第1のガスバリア層3を、電子線加熱方式で酸化珪素を蒸発させて、厚さ20nmの酸化珪素からなるガスバリア層にした。また更に、中間層4の表面上に積層した第2のガスバリア層5を、同じく電子線加熱方式で酸化珪素を蒸発させて、厚さ20nmの酸化珪素からなるガスバリア層にした。その他の条件は実施例1と同様である。こうして実施例2のガスバリア性積層フィルムを作製した。
(実施例3)
実施例1のガスバイア性積層フィルムにおいて、プライマー層2の表面に積層した第1のガスバリア層3を電子線加熱方式で酸化珪素を蒸発させて、厚さ20nmの酸化珪素からなるガスバリア層にした。その他の条件は実施例1と同様である。こうして実施例3のガスバリア性積層フィルムを作製した。
(実施例4)
実施例1のガスバイア性積層フィルムにおいて、SiOxCyで表される酸化珪素からなる中間層4の厚みを30nmにした。このとき、実施例1と同様に、x値は1.8であり、y値は0.3である。その他の条件は実施例1と同様である。こうして実施例4のガスバリア性積層フィルムを作製した。
(実施例5)
実施例1のガスバリア性積層フィルムにおいて、SiOxCyで表される酸化珪素からなるプライマー層2の厚みを15nmにした。このとき、実施例1と同様に、x値は1.8であり、y値は0.3である。また、このとき、プライマー層2の表面の算術平均粗さRaは1.8nmである。その他の条件は実施例1と同様である。こうして実施例5のガスバリア性積層フィルムを作製した。
(比較例1)
実施例1のガスバリア性積層フィルムにおいて、第1のガスバリア層3の表面に積層する中間層4として、下記方法にて調液した溶液(A)から(C)をA/B/C=100/20/10(固形分重量比)の割合で混合した塗布液をバーコーターにより上記ガスバリア層3の表面上に塗布し、120℃で1分間乾燥させ、厚さ100nmの有機系の中間層4を形成した。その他の条件は実施例1と同様である。こうして比較例1のガスバリア性積層フィルムを作製した。
[中間層用の溶液]
(A):テトラエトキシシラン(Si(OC、以下、TEOSと称す)17.9gと、メタノール10gに塩酸(0.1N)72.1gを加え、30分間撹拌し、加水分解させた固形分5%(重量比SiO換算)の加水分解溶液
(B):ポリビニルアルコールの5%(重量比)、水/メタノール=95/5(重量比)水溶液
(C):1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートを、水/IPA=1/1溶液で、固形分5%(重量比RSi(OH)換算)
(比較例2)
実施例1のガスバリア性積層フィルムにおいて、中間層4を積層する際、真空成膜装置内で、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)5sccm/酸素100sccmの混合ガスを電極間に導入し、13.56MHzの高周波を0.5kW印加してプラズマ化し、第1のガスバリア層3の表面上に厚さ100nmのSiOxCyで表される酸化珪素からなる中間層4を積層した。このときのx値は1.9、y値は0.05である。その他の条件は実施例1と同様である。こうして比較例2のガスバリア性積層フィルムを作製した。
(比較例3)
実施例1のガスバリア性積層フィルムにおいて、中間層4を積層する際、真空成膜装置内で、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)5sccm/酸素10sccmの混合ガスを電極間に導入し、13.56MHzの高周波を0.5kW印加してプラズマ化し、第1のガスバリア層3の表面上に厚さ100nmのSiOxCyで表される酸化珪素からなる中間層4を積層した。このときのx値は1.5、y値は0.8である。その他の条件は実施例1と同様である。こうして比較例3のガスバリア性積層フィルムを作製した。
(比較例4)
実施例1のガスバリア性積層フィルムにおいて、プライマー層2を積層する際、真空成膜装置内で、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)5sccm/酸素10sccmの混合ガスを電極間に導入し、13.56MHzの高周波を0.5kW印加してプラズマ化し、基材層1の表面上に厚さ30nmのSiOxCyで表される酸化珪素からなるプライマー層2を積層した。このときのx値は1.5、y値は0.8である。その他の条件は実施例1と同様である。こうして比較例4のガスバリア性積層フィルムを作製した。
(比較例5)
実施例1のガスバリア性積層フィルムにおいて、中間層4を積層せずに、第1のガスバリア層3の表面に、直接、第2のガスバリア層5を積層した。その他の条件は実施例1と同様である。こうして比較例5のガスバリア性積層フィルムを作製した。
(比較例6)
実施例2のガスバリア性積層フィルムにおいて、中間層4を積層せずに、第1のガスバリア層3の表面に、直接、第2のガスバリア層5を積層した。その他の条件は実施例2と同様である。こうして比較例6のガスバリア性積層フィルムを作製した。
(比較例7)
実施例1のガスバリア性積層フィルムにおいて、プライマー層2を積層せずに、基材層1の表面の算術平均粗さRaが8nmである一方の表面上に、直接、第1のガスバリア層3を積層した。その他の条件は実施例1と同様である。こうして比較例7のガスバリア性積層フィルムを作製した。
[比較評価]
(1)40℃90%RH環境下の水蒸気透過度
実施例1、2、3、4、5及び比較例1、2、3、4、5、6、7のガスバリア性積層フィルムについて、モダンモダンコントロール社製の水蒸気透過度計(MOCON PERMATRAN−W 3/31)により、40℃90%RH環境下での水蒸気透過度(g/m・day)を測定した。また、この40℃90%RH環境下で測定した水蒸気透過度の測定値をXとした。
(2)85℃85%RH環境下の水蒸気透過度
実施例1、2、3、4、5及び比較例1、2、3、4、5、6、7のガスバリア性積層フィルムについて、モダンモダンコントロール社製の水蒸気透過度計(MOCON PERMATRAN−W 3/31)に、日立ハイテクノロジーズ社製の高温試験システムTH−85型を設置して、85℃85%RH環境下での水蒸気透過度(g/m・day)を測定した。また、この85℃85%RH環境下で測定した水蒸気透過度の測定値をYとした。
これらの測定結果を表1に示した。また、高温領域でガスバリア性が低下する度合いを示すため、YをXで割ったY/Xの値を同じく表1に示した。なお、この値が大きくなればなるほど、高温領域でのガスバリア性の低下を示すことになる。
Figure 2015226995
表1からわかるように、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4及び実施例5のガスバイア性積層フィルムは、40℃90%RH及び85℃85%RHともに、水蒸気透過度が低くなり、高いガスバリア性を備えていた。
一方、有機系の中間層4を用いた比較例1のガスバリア性積層フィルムは、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4及び実施例5のガスバリア性積層フィルムと比較して、40℃90RHの水蒸気透過度(X)は同等レベルであったが、85℃85%RHの水蒸気透過度(Y)は高くなり、更に、高温領域でガスバリア性が低下する度合いを示すY/Xの値が10以上となり、高温領域での大きなガスバリア性の低下が確認された。
更にまた、SiOxCyで表される酸化珪素からなる中間層4のy値が0.1より小さくなる比較例2、及びy値の値が0.5より大きくなる比較例3のガスバリア性積層フィルムは、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4及び実施例5のガスバリア性積層フィルムと比較して、40℃90RHの水蒸気透過度(X)及び85℃85%RHの水蒸気透過度(Y)が共に高くなり、ガスバリア性に劣っていた。
更にまた、SiOxCyで表される酸化珪素からなるプライマー層2のy値の値が0.5より大きくなる比較例4のガスバリア性積層フィルムは、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4及び実施例5のガスバリア性積層フィルムと比較して、40℃90RHの水蒸気透過度(X)及び85℃85%RHの水蒸気透過度(Y)が共に高くなり、ガスバリア性に劣っていた。
更にまた、中間層4を形成していない比較例5及び比較例6のガスバリア性積層フィルムは、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4及び実施例5のガスバリア性積層フィルムと比較して、40℃90RHの水蒸気透過度(X)及び85℃85%RHの水蒸気透過度(Y)が共に高くなり、ガスバリア性に劣っていた。
更にまた、プライマー層2を形成していない比較例7のガスバリア性積層フィルムは、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4及び実施例5のガスバリア性積層フィルムと比較して、40℃90RHの水蒸気透過度(X)及び85℃85%RHの水蒸気透過度(Y)が共に高くなり、ガスバリア性に劣っていた。
本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムは、食品、日用品、医薬品等の包装分野、及び太陽電池関連部材や電子機器関連部材等の分野において、特に高いガスバリア性が必要とされる場合に好適に用いられる。
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、実際には、上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があっても本発明に含まれる。
1… 基材層
2… プライマー層
3… 第1のガスバリア層
4… 中間層
5… 第2のガスバリア層

Claims (5)

  1. 透明なプラスチックフィルムからなる基材層の一方の表面上に、透明なプライマー層と、透明な第1のガスバリア層と、透明な中間層と、透明な第2のガスバリア層とが、この順に積層されており、
    前記プライマー層及び前記中間層の各々は、SiOxCyで表される酸化珪素からなり、xは1.5以上2.0以下であり、yは0.1以上0.5以下であり、
    前記プライマー層は、厚みが5nm以上50nm以下であり、表面の算術平均粗さが2nm以下であり、
    前記中間層は、厚みが20nm以上200nm以下であり、
    前記第1のガスバリア層及び前記第2のガスバリア層の各々は、無機酸化物からなり、厚みが3nm以上30nm以下であることを特徴とするガスバリア性積層フィルム。
  2. 前記中間層は、プラズマCVD法により第1のガスバリア層と前記第2のガスバリア層との間に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のガスバリア性積層フィルム。
  3. 前記プライマー層は、プラズマCVD法により前記基材層と前記第1のガスバリア層との間に形成されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のガスバリア性積層フィルム。
  4. 前記第1のガスバリア層及び前記第2のガスバリア層の各々は、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン又は酸化マグネシウムのいずれかからなることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のガスバリア性積層フィルム。
  5. 40℃90%RH環境下における水蒸気透過度Xは、0.1g/m・day以下であり、
    85℃85%RH環境下における水蒸気透過度Yは、1.0g/m・day以下であり、
    XとYとの関係は、Y/X≦10の式を満たすことを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のガスバリア性積層フィルム。
JP2014112952A 2014-05-30 2014-05-30 ガスバリア性積層フィルム Active JP6547241B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014112952A JP6547241B2 (ja) 2014-05-30 2014-05-30 ガスバリア性積層フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014112952A JP6547241B2 (ja) 2014-05-30 2014-05-30 ガスバリア性積層フィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015226995A true JP2015226995A (ja) 2015-12-17
JP6547241B2 JP6547241B2 (ja) 2019-07-24

Family

ID=54884814

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014112952A Active JP6547241B2 (ja) 2014-05-30 2014-05-30 ガスバリア性積層フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6547241B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016087815A (ja) * 2014-10-30 2016-05-23 凸版印刷株式会社 透明ガスバリア性フィルム
WO2017164387A1 (ja) * 2016-03-25 2017-09-28 リンテック株式会社 ガスバリアフィルム及びガスバリアフィルムの製造方法

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003340971A (ja) * 2002-05-24 2003-12-02 Dainippon Printing Co Ltd ガスバリア性プラスチックフィルム
JP2003342735A (ja) * 2002-05-24 2003-12-03 Dainippon Printing Co Ltd ガスバリア性フィルム
JP2010208029A (ja) * 2009-03-06 2010-09-24 Toppan Printing Co Ltd ガスバリアフィルム、その製造方法および製造装置
JP2012062514A (ja) * 2010-09-15 2012-03-29 Toppan Printing Co Ltd ガスバリア性フィルムおよびその製造方法
JP2012061671A (ja) * 2010-09-15 2012-03-29 Toppan Printing Co Ltd ガスバリア性積層フィルム
US20120301634A1 (en) * 2010-01-27 2012-11-29 Shuji Nakamura Gas barrier film and process for producing the same, and device using the same
JP2013072120A (ja) * 2011-09-28 2013-04-22 Toppan Printing Co Ltd ガスバリアフィルムの製造方法およびガスバリアフィルム

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003340971A (ja) * 2002-05-24 2003-12-02 Dainippon Printing Co Ltd ガスバリア性プラスチックフィルム
JP2003342735A (ja) * 2002-05-24 2003-12-03 Dainippon Printing Co Ltd ガスバリア性フィルム
JP2010208029A (ja) * 2009-03-06 2010-09-24 Toppan Printing Co Ltd ガスバリアフィルム、その製造方法および製造装置
US20120301634A1 (en) * 2010-01-27 2012-11-29 Shuji Nakamura Gas barrier film and process for producing the same, and device using the same
JP2012062514A (ja) * 2010-09-15 2012-03-29 Toppan Printing Co Ltd ガスバリア性フィルムおよびその製造方法
JP2012061671A (ja) * 2010-09-15 2012-03-29 Toppan Printing Co Ltd ガスバリア性積層フィルム
JP2013072120A (ja) * 2011-09-28 2013-04-22 Toppan Printing Co Ltd ガスバリアフィルムの製造方法およびガスバリアフィルム

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016087815A (ja) * 2014-10-30 2016-05-23 凸版印刷株式会社 透明ガスバリア性フィルム
WO2017164387A1 (ja) * 2016-03-25 2017-09-28 リンテック株式会社 ガスバリアフィルム及びガスバリアフィルムの製造方法
JPWO2017164387A1 (ja) * 2016-03-25 2019-01-31 リンテック株式会社 ガスバリアフィルム及びガスバリアフィルムの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6547241B2 (ja) 2019-07-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5889281B2 (ja) バリア性蒸着フィルム
JP5899044B2 (ja) ガスバリア性フィルム
JP2009101548A (ja) バリアフィルムおよびその製造方法
CN102365169A (zh) 阻气膜以及电子器件
JP5446656B2 (ja) 水蒸気ガスバリア性積層フィルム
JP5948928B2 (ja) ガスバリア性積層フィルム
JP6467867B2 (ja) 透明ガスバリア性フィルム
JP2009274251A (ja) 透明バリアフィルムおよびその製造方法
JP5515861B2 (ja) ガスバリア性積層フィルム
JP2010208029A (ja) ガスバリアフィルム、その製造方法および製造装置
JP2010000743A (ja) ガスバリア積層体
JP2010076288A (ja) ガスバリア性積層フィルム
JP6303350B2 (ja) ガスバリア性積層フィルム
JP2013253319A (ja) ガスバリア性フィルム及びその製造方法
JP2013202822A (ja) ガスバリア性積層フィルム
JP6547241B2 (ja) ガスバリア性積層フィルム
JPWO2012060424A1 (ja) ガスバリア性積層フィルム
JP2012061651A (ja) ガスバリア性積層フィルム
JP2013226773A (ja) ガスバリア性フィルム
JP2011051277A (ja) ガスバリア性積層フィルム
JP2014162176A (ja) ガスバリア性積層フィルム
JP2012166499A (ja) ガスバリア性積層フィルム
WO2013168739A1 (ja) ガスバリア性フィルム及びその製造方法
JP2013071339A (ja) ガスバリア性積層フィルム
JP6102135B2 (ja) ガスバリア性積層フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170420

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180207

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180320

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180516

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181030

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181220

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190528

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190610

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6547241

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250