JP2013072120A - ガスバリアフィルムの製造方法およびガスバリアフィルム - Google Patents

ガスバリアフィルムの製造方法およびガスバリアフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、太陽電池のバックシート、食品や医薬品等の包装分野に用いられるガスバリアフィルムと製造方法に関するものであって、そのガスバリア層が、基材であるプラスチックフィルムとの密着力に優れるガスバリアフィルムと、その製造においては、インラインでの形成が可能で、高い生産能率を有する生産方法を提供することを課題とするものである。
【解決手段】基材となるプラスチックフィルムの片面、もしくは両面にプラズマ化学的気相成長法(PECVD法)により形成された、SiOxCy膜からなる密着層の膜の組成が、基材表面から膜表面に向けて傾斜的に変化していき、その上にガスバリア層をこの順に、減圧環境化のインライン成膜にて形成するガスバリアフィルムの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池のバックシート、食品や医薬品等の包装分野に用いられるガスバリアフィルムに関するものである。
太陽電池のバックシートは、太陽電池モジュールの起電部分であるパターニングされたシリコン薄膜の湿度による劣化を防止するために、太陽電池の裏側に配置されており、酸素や水蒸気といったガスを遮断し、同時に屋外などの過酷な状況下で使用されてもガスバリア性能が劣化しない耐久性能が求められる。
ハードディスクや半導体モジュール、食品や医薬品類の包装に用いられる包装材料においても、内容物を保護することが必要である。特に、食品包装においては蛋白質や油脂などの酸化や変質を抑制し、味や鮮度を保持することが必要である。また無菌状態での取り扱いが必要とされる医薬品類においては有効成分の変質を抑制し、効能を維持することが求められる。これらの内容物の品質を保護するために、酸素や水蒸気、その他内容物を変質させる気体を遮断するガスバリア性を備える包装体が求められている。
ガスバリア性を備える包装体としては、プラスチックフィルムからなるものが、一般的で、従来、高分子の中では、比較的ガスバリア性能に優れるポリビニルアルコール(PVA)、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)などの樹脂フィルムや或いはこれらの樹脂をラミネートまたはコーティングしたプラスチックフィルムなどが好んで用いられてきた。
しかしながら、これらのフィルムは、温度依存性が高く、高温または高湿度下においてガスバリア性能に劣化が見られ、また、食品包装用途においてはボイル処理や高温高圧力条件下でのレトルト処理を行うとガスバリア性能が著しく劣化する場合が多い。また、PVDC系の高分子樹脂組成物を用いたガスバリア性積層体は、湿度依存性は低いものの、温度依存性がある上に、高いガスバリア性能(例えば、1cc/m・day・atm以下)を得ることができない。
また、PVDCやPANなどは廃棄・焼却の際に有害物質が発生する危険性が高いため、高防湿性を有し、かつ高度のガスバリア性能を要求される包装体については、アルミニウムなどの金属箔などにてガスバリア性能を担保せざるを得なかった。しなしながら、金属箔は不透明であるため、包装材料を透過して内容物を識別することが難しく、金属探知機による内容物検査や、電子レンジでの加熱処理が出来ない。
しかしながら、これらの包装体を屋外などの過酷な条件下に長期間曝した場合、プラスチックフィルムと、金属箔またはセラミック層などとの間で層間剥離が発生し包装体としての機能を損なう問題があり、屋外などで使用される高耐久性を有するガスバリア包装体を得るには鋭意工夫が求められる。
ガスバリア性フィルムとしては、プラスチックフィルム基材表面に、酸化珪素、酸化アルミニウム等からなる金属酸化膜を形成した透明性の高いガスバリア性フィルムが、一般的に数多く、実用化されている。
特許文献1は、高分子樹脂フィルム上に炭化酸化珪素を有するガスバリア性フィルムである。
特許文献2は、透明プラスチック基体上に、非晶質の酸化アルミニウム蒸着薄膜を設けたガスバリア性フィルムである。ところが、プラスチック基体にこれらの蒸着膜を単純に積層しても、プラスチック基材と蒸着層との密着性が十分でなく、レトルト処理やボイル処理、耐環境試験等により、基材と蒸着層間で簡単に剥離してしまうことも少なくない。
そのため、基材と蒸着層の密着性を上げるために、基材に、プラズマ処理、火炎処理、コロナ処理等の一般的な表面処理を基材表面に施す方法(特許文献3)や、アンカーコート層をウエット法によりコーティングする方法が多く提案されている(特許文献4、5、6)。中でも、減圧プラズマ処理による表面処理方法は、蒸着層成膜プロセスと同一系内(インライン)での処理により、工程の簡素化を実現できる。しかし、インラインの密着プロセスでは、高速な蒸着プロセスと同等な処理速度を必要とするため、十分な密着処理が得られない場合が多い。生産能率が高く、強固な密着力を得られるインラインの密着方法が望まれている。
特開2008−179104号公報 特開昭62−179935公報 特開2001−322200号公報 特開2006−116703号公報 特開2006−205533号公報 特開2006−321194号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、従来の方式では不十分であった、プラスチックフィルムとガスバリア膜との密着性を改善するため、密着層とガスバリア層とをインライン成膜で形成することで、従来よりも密着性に優れたガスバリアフィルムを高い生産効率で提供することを課題とするものである。
請求項1に記載の発明は、走行するプラスチックフィルムの片面または両面に、有機シラン系モノマーガスを用いたプラズマ化学的気相成長法によりSiOxCyからなる密着層を形成する工程と、
前記密着層の表面にガスバリア層を形成する工程と、
を備え、
前記密着層を形成する工程が、走行するプラスチックフィルムの上流側から下流側にかけて前記シラン系モノマーガスの流量を段階的に小さく設定した密着層形成ユニットを用いて密着層を形成する工程であることを特徴とするガスバリアフィルムの製造方法である。
請求項2に記載の発明は、前記密着層を形成する工程が、プラスチックフィルムが走行する高周波印加電極である金属ロール電極と、対向電極として面上に設置されたS・N極一対以上のネオジム磁石とを用いて密着層を形成する工程であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリアフィルムの製造方法である。
請求項3に記載の発明は、前記密着層形成ユニットの処理空間内の圧力が、0.5Paから50Pa以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリアフィルム製造方法である。
請求項4に記載の発明は、前記密着層を形成する際に使用する電源が、10kHz以上
、30MHz以下の高周波であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のガスバリアフィルム製造方法である。
請求項5に記載の発明は、前記密着層を形成する際に使用するガスが、前記有機シラン系モノマーガスと、酸素、オゾン、水、過酸化水素、アンモニア、窒素、亜酸化窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、アルゴン、ヘリウムのうちから選択される1種類以上の放電ガスとを組み合わせた混合ガスであることを特徴とした請求項1から4記載のガスバリアフィルム製造方法である。
請求項6に記載の発明は、プラスチックフィルムと、前記プラスチックフィルムの片面または両面に形成されたSiOxCyからなる密着層と、前記密着層の表面に形成したガスバリア層とを備え、前記密着層の組成が、前記プラスチックフィルムの表面から密着層の面に向けて傾斜的に変化していることを特徴とするガスバリアフィルムである。
請求項7に記載の発明は、SiOxCyのXの値が、前記プラスチックフィルムの表面から密着層の面に向けて、0.5≦X≦2.2の間で傾斜的に大きくなっていることを特徴とする請求項6に記載のガスバリアフィルムである。
請求項8に記載の発明は、SiOxCyのYの値が、前記プラスチックフィルムの表面から密着層の面に向けて、0.2≦Y≦1.2の間で傾斜的に小さくなっていることを特徴とする請求項6または7に記載のガスバリアフィルムである。
請求項9に記載の発明は、前記ガスバリア層が、酸化アルミニウム、酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素のいずれかの無機膜であることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載のガスバリアフィルムである。
請求項10に記載の発明は、前記ガスバリア層の表面に、さらに金属アルコキシドと水溶性分子を含む混合溶液を塗布し、加熱乾燥して形成された保護層を備えることを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載のガスバリアフィルムである。
本発明は、従来法よりも、密着性に優れたガスバリアフィルムを得ることができ、かつ高い生産効率でガスバリアフィルムを製造できるという効果を有するものである。
本発明は、プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)によりSiOxCy膜からなる密着層を成膜する際、基材となるプラスチックフィルムが、高周波印加電極である金属ロール電極を走行することによって、プラスチックフィルムが、近傍の高密度なプラズマに晒され、イオンによるボンバード効果や化学反応が増大されることと、イオンによるボンバード効果によるエッチング効果とプラズマ化学的気相成長法(PECVD法)による成膜が同時に進行することで、複合界面が生じ、密着性を向上させる効果を有するものである。
また、SiOxCy膜からなる密着層の膜の組成を、Xの値が基材表面から膜表面へと向けて、0.5≦X≦2.2の間で傾斜的に大きくさせていき、Yの値を基材表面から膜表面へと向けて、0.2≦Y≦1.2の間で傾斜的に小さくさせていくことによって、プラスチック基材近傍においては有機膜となり、従来よりも密着力に優れた密着膜となると共に、密着膜表面においては、無機膜となり、その上に形成される無機膜であるガスバリア膜との密着性が優れるという効果を有するものである。
従来用いられた大気圧環境下における塗布方式による密着層の形成方法では、その度に
製造装置を変える必要が有るのに対し、本発明では、全ての行程を減圧環境下に1つの装置で行うことで、間接時間の減少や異物混入によるロスの発生を抑えることで可能になるため、高い生産性を実現できる効果を有するものである。
図1は、本発明によるガスバリアフィルム断面の説明図である。 図2は、本発明によるガスバリアフィルムの製造装置である
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
本発明のガスバリアフィルムは、図1に示すように、プラスチックフィルム(1)上にプラズマ化学的気相成長法(PECVD法)により形成されたSiOxCyからなる密着層(2)、ガスバリア層(3)、必要に応じて保護層(4)を順次設けた層構成になっている。基材の両面に形成しても、保護層4の上にさらなる多層構成にしても良い。
プラスチックフィルム(1)としては、特に制限を受けるものではなく公知のものを使用することが出来る。例えば、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル系(ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリアミド系(ナイロン―6、ナイロン―66等)、ポリスチレン、エチレンビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネイト、ポリエーテルスルホン、アクリル、セルロース系(トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース等)などが挙げられるが特に限定されない。透明フィルムを用いた場合、大量生産に適するため好ましい。また、厚さに関しても特に制限を受けるものではなく、ガスバリアフィルムを形成する場合の加工性を考慮すると、実用的には12〜100μmの範囲が、好ましく使用できる。
プラスチックフィルム(1)上に密着層(2)を形成する場合、プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)を用いることが有効である。プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)を用いることで、イオンによるボンバード効果によるエッチング効果とプラズマ化学的気相成長法(PECVD法)による成膜が同時に進行することで、複合界面が生じ、基材との密着性に優れた、密着層を形成することが出来る。
プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)により密着層(2)、を形成する際、プラスチックフィルム(1)が、高周波印加電極である金属ロール側を走行すること、さらに向電極である接地電極側に永久磁石が設置されることで、使用する有機シラン系モノマーの分解をより促進することが可能であり、生産効率が向上すると共に、プラズマ中のイオンがプラスチックフィルム(1)へと効率的に衝突し、ボンバード効果を発揮することで、密着強度の低下を招く層を効率よく取り除くことが可能となり、また、プラスチックフィルムが、近傍の高密度なプラズマに晒され、イオンや電子によるボンバード効果や化学反応が増大される結果、優れた密着力を生み出すことが可能となる。
空間中のプラズマ密度の向上方法としては、対向電極にも高周波電源を接続する方法もあるが、装置の複雑化や広幅化への障害となる可能性が大きい。
プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)により密着層(2)を形成する際、その成膜圧力を50Pa以下に設定することで、使用する有機シラン系モノマーの未分解に起因するガスバリア性能や密着性の劣化、ガスバリア層(セラミック層)(3)のガスバリア性能発現の阻害を防ぐことが可能である。また、0.5Pa以下に設定した場合安定した放電を得ることができない。
プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)により密着層(2)を形成する際、使用する高周波電源を10kHz以上にすることで、プラズマによる有機シラン系モノマー分解性能が向上すると共に、1Paなどの比較的低い圧力でも安定した放電を得ることができる。30MHz以上にした場合、プラズマによる原料ガス分解はより向上し、イオンや電子の数も増加するが、電圧が低下するためボンバード効果は弱くなる。また、装置の大型化が非常に困難となる。イオンや電子の数とボンバードの勢い、プラズマによる原料ガス分解、装置大型化などを考慮すると40kHzから400kHzがより好ましい。
各種ガスの導入方法に関しては、特に規制されるものではない。
有機シラン系モノマーとしては、テトラエチルシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、トリエチルシラン、トリメチルシラン、モノシラン、ジシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、トリスジメチルアミノシラン、テトラクロロシラン、テトラエトキシシランおよびビスターティアリィブチルアミノシランなどが使用できる。中でも、ヘキサメチルジシロキサンを用いることで、安全かつ効率的に成膜を実施することができる。また、酸素を用いることで、形成された膜の酸化反応を促進することが可能となる。
有機シラン系モノマーのガスとともに用いる放電ガスとしては、酸素、オゾン、水、過酸化水素、アンモニア、窒素、亜酸化窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、アルゴン、ヘリウムなどが挙げられるが、このうち、ヘリウムを用いることで、電子温度、電子密度が上昇し、使用する原料ガスの分解をより促進することが可能であり、生産効率が向上すると共に、より優れたガスバリア性を発揮できることが可能である。また酸素ガスとヘリウムを組み合わせた場合、プラズマ中においてOイオンが支配的となり酸化作用の促進も可能となる。
プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)によりSiOxCyからなる密着層(2)を形成する際、基材表面から、膜表面へと向けて、Xの値を傾斜的に大きく、Yの値は傾斜的に小さくに変化させていくことで、従来よりも優れた密着力を持った密着層を形成することが出来ると考えられる。これは、基材表面近傍では、基材となるプラスチックフィルムと同じく有機的な振る舞いを取り、一方膜表面では、ガスバリア層と同じく無機的な振る舞いを取ることから実現するものと考えられる。
ガスバリア層(3)を形成する場合、スパッタリング法・真空蒸着法などを用いることが可能である。ただし、スパッタリング法では、膜厚が厚くなっていくに従い、膜の内部応力によるクラック等に起因するガスバリア性能の上げ留まりが生じてしまう、また真空蒸着法は生産性に最も優れる反面優れたガスバリア性を発揮することが困難となってしまう。プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)による密着層(2)の生産スピードや、フレキシブル性を考慮すると、真空蒸着の方がより好ましいが、よりハイレベルの密着性、ガスバリア性が要求される場合は、スパッタリング法が有効である。
全ての工程を減圧環境下におけるインライン成膜にて行うことで、不純物が交ざりにくく、成膜環境に適した状態を維持しやすくなる。また、密着層(2)を塗布法で形成した場合のオフライン成膜と比べて、生産効率は向上すると考えられる。
一般的に、真空蒸着と比較してプラズマ化学的気相成長法(PECVD法)による成膜は、成膜レートが遅くインライン成膜を行う際律速となってしまう。プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)による密着層(2)の生産スピードを向上させるには、原料ガス流量を増やす手段が有効であるが、原料ガス増加に伴い成膜圧力が向上してしまうと、原
料ガスの未分解に起因するガスバリア性能や密着性の劣化、ガスバリア(セラミック層)(3)のガスバリア性能発現の阻害が生じる恐れがあるので、成膜圧力を0.5以上50Pa以下に維持することが重要となり、より好ましくは、5以上、30Pa以下に設定することである。
原料ガス増加に伴い、5以上30Pa以下の成膜圧力維持が困難な場合、密着層成膜ユニットの数を増やし、ラインスピード×成膜膜厚で定義されるダイナミックレートを維持する方法が有効である。例えば、密着成膜ユニット3個ガスバリア層精膜ユニット1個とすることであり、必要膜厚と成膜速度とを鑑みたユニット数の選択が重要となる。
プラスチックフィルム(1)上に密着層(2)を形成する場合、3〜1000nmの範囲内が望ましく、その値は適宜選択される。ただし、その厚さが3nm以下の場合は、均一な膜厚を得ることが困難であったり、膜厚が不十分なために要求通りの密着性を得ることができなかったりすることがある。また、膜厚が1000nmを超える場合は、膜厚が厚すぎるために、成膜時間の長時間化により基材に熱負けが生じ外観不良が生じたり、密着性やガスバリア性能などに悪影響を与えてしまったりする恐れがある。より好ましくは、5nm〜50nmとすることである。
密着層(2)の上に、ガスバリア層(3)を形成する場合、10〜1000nmの範囲内が望ましく、その値は適宜選択される。ただし、その厚さが5nm以下の場合は、均一な膜厚を得ることが困難であったり、膜厚が不十分なために要求通りのガスバリア性を発揮できなかったりする。また、厚が1000nmを超える場合は、膜厚が厚すぎるために、成膜時間の長時間化により基材に熱負けが生じ外観不良が生じたり、ガスバリア性能などに悪影響を与えてしまったりする恐れがある。また、下地層や保護層の成膜ユニットの数が膨大となり、装置構成が複雑になったり、大型化したりしてしまう恐れがある。より好ましくは、10〜60nmとすることである。
図2は、本発明におけるガスバリアフィルムの製造装置であるが、図2に示す装置に限定されるものではない。ダイナミックレートを併せるために、密着層形成ユニットの数を増やしてもよい。
図2に示したように、密着層形成ユニット内において空間を区切り、空間毎に有機シラン系モノマーガスの流量と放電ガスとの流量比を変化させることで、密着層組成の基材表面から膜表面へ向けての傾斜的変化が実現される。例えば、密着層形成ユニット内において区切られた空間のうち、走行するプラスチックフィルムの上流側にある空間においては、放電ガスの流量に対し有機シラン系モノマーガスの流量を大きくし、走行するプラスチックフィルムの下流側にある空間においては、放電ガスの流量に対し有機シラン系モノマーガスの流量を小さくすることで、密着層の組成をプラスチックフィルムの表面から密着層の面に向けて傾斜的に変化させることができる。
有機シラン系モノマーガスの流量と放電ガスとの流量比は、走行するプラスチックフィルムの上流側にある空間においては、放電ガスの流量が1に対し、有機シラン系モノマーガスの流量が1.5〜2.5の間であることが好ましい。一方、走行するプラスチックフィルムの下流側にある空間においては、放電ガスの流量が1に対し、有機シラン系モノマーガスの流量が0.1〜0.8の間であることが好ましい。
保護層はセラミックとの密着性が良好な金属アルコキシドを用いる塗布膜を設けることが望ましい。具体的には一般式R(M−OR)(ただしR、Rは炭素数1〜8の有機基、Mは金属原子)で表されるものであり、金属原子としてはSi、Ti、Al、Zr等を挙げることができる。
金属MがSiであるR(Si−OR)としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等を挙げることができる。
金属MがZrであるR(Zr−OR)としては、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等を挙げることができる。
金属MがTiであるR(Ti−OR)としては、テトラメトキシチタニウム、テトラエトキシチタニウム、テトライソプロポキシチタニウム、テトラブトキシチタニウム等を挙げることができる。
金属MがAlであるR(Al−OR)としては、テトラメトキシアルミニウム、テトラエトキシアルミニウム、テトライソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシアルミニウム等を挙げることができる。
上記金属アルコキシドは1種類のみ用いても2種以上混合して用いても差し支えない。また、アクリル酸やポリビニルアルコール、ウレタン化合物、ポリエステル化合物を混合してもよいが、膨潤性の材料を混合することが望ましい。
以下に、本発明の具体的実施例について説明する。
<実施例1>
図2に示す製造装置を用い、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にプラズマCVD法により、SiOxCy膜からなる密着層を形成した。密着層形成ユニット内で区切られた3つの空間のうち、走行するポリエチレンテレフタレートフィルムの上流側にある空間においては、有機シラン系モノマーガスの流量と放電ガスとの流量比を9:5、走行するポリエチレンテレフタレートフィルムの下流側にある空間においては、有機シラン系モノマーガスの流量と放電ガスとの流量比を5:9、中央の空間においては、有機シラン系モノマーガスの流量と放電ガスとの流量比を5:5に設定した。
なお、有機シラン系モノマーガスとしてヘキサメチルジシロキサンを、放電ガスとしてヘリウムと酸素の混合比1:1の混合ガスを使用した。
その上に酸化珪素によるガスバリア膜を設け、その上に保護層を形成した。SiOxCy膜からなる密着層を形成する際、基材表面から膜表面へと向けて、Xの値を傾斜的に大きく、Yの値は傾斜的に小さくに変化させていった。
形成された密着層の深さ方向の組成SiOxCyを、エッチング処理をしてXPSで測定した結果、ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面側の組成SiOxCyのXの値が1.1、Yの値が0.9であり、ガスバリア層側の組成SiOxCyのXの値が1.9、Yの値が0.1であり、中央部の組成SiOxCyのXの値が1.5、Yの値が0.5であった。
以下に、本発明の比較例について説明する。
<比較例1>
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの酸化珪素によるガスバリア膜を設
け、その上に保護層を形成した。
<比較例2>
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にプラズマCVD法により、SiOxCy膜からなる密着層を形成し、その上に酸化珪素によるガスバリア膜を設け、その上に保護層を形成した。SiOxCy膜からなる密着層を形成する際、有機シラン系モノマーガスの流量と放電ガスとの流量比を5:9のみとし、Xの値が1.9、Yの値が0.1となるように調整し成膜を実施し、傾斜的な変化はさせなかった。
<比較例3>
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にプラズマCVD法により、SiOxCy膜からなる密着層を形成し、その上に酸化珪素によるガスバリア膜を設け、その上に保護層を形成した。SiOxCy膜からなる密着層を形成する際、有機シラン系モノマーガスの流量と放電ガスとの流量比を9:5のみとし、Xの値1.1がYの値が0.9となるよう調整し成膜を実施し、傾斜的な変化はさせなかった。
評価1として、本発明品の密着性をテンシロン万能試験機(ORIENTEC社製 RTC−1250)を用い測定した。なお、測定は保護層の上にナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22、70μ)を積層した後、130℃60分のレトルト処理後に行った。その結果を本発明におけるガスバリアフィルムの密着性・ガスバリア性を比較した表1に示す。
評価2として、本発明品のガスバリア性を水蒸気透過度測定装置(モダンコントロール社製 MOCON PERMATRAN 3/21 40℃90%RH雰囲気)を用い測定した。なお、測定は保護層の上にナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22、70μ)を積層した後、130℃60分のレトルト処理前後に行った。その結果を本発明におけるガスバリアフィルムの密着性・ガスバリア性を比較した表1に示す。
Figure 2013072120
本発明おけるガスバリアフィルムの産業上の利用可能性としては、太陽電池のバックシート、食品や医薬品等の包装分野に用いられるガスバリアフィルムが考えられる。
1、プラスチックフィルム
2、密着層
3、ガスバリア層
4、保護層
5、製造装置
6、密着層形成ユニット
7、高周波電源
8、金属ロール(密着層形成ロール)
9、対向電極
10、磁石
11、有機シラン系モノマー導入パイプ
12、ガスバリア層形成ロール

Claims (10)

  1. 走行するプラスチックフィルムの片面または両面に、有機シラン系モノマーガスを用いたプラズマ化学的気相成長法によりSiOxCyからなる密着層を形成する工程と、
    前記密着層の表面にガスバリア層を形成する工程と、
    を備え、
    前記密着層を形成する工程が、走行するプラスチックフィルムの上流側から下流側にかけて前記シラン系モノマーガスの流量を段階的に小さく設定した密着層形成ユニットを用いて密着層を形成する工程であることを特徴とするガスバリアフィルムの製造方法。
  2. 前記密着層を形成する工程が、プラスチックフィルムが走行する高周波印加電極である金属ロール電極と、対向電極として面上に設置されたS・N極一対以上のネオジム磁石とを用いて密着層を形成する工程であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
  3. 前記密着層形成ユニットの処理空間内の圧力が、0.5Paから50Pa以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガスバリアフィルム製造方法。
  4. 前記密着層を形成する際に使用する電源が、10kHz以上30MHz以下の高周波であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のガスバリアフィルム製造方法。
  5. 前記密着層を形成する際に使用するガスが、前記有機シラン系モノマーガスと、酸素、オゾン、水、過酸化水素、アンモニア、窒素、亜酸化窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、アルゴン、ヘリウムのうちから選択される1種類以上の放電ガスとを組み合わせた混合ガスであることを特徴とした請求項1から4のいずれかに記載のガスバリアフィルム製造方法。
  6. プラスチックフィルムと、前記プラスチックフィルムの片面または両面に形成されたSiOxCyからなる密着層と、前記密着層の表面に形成したガスバリア層とを備え、
    前記密着層の組成が、前記プラスチックフィルムの表面から密着層の面に向けて傾斜的に変化していることを特徴とするガスバリアフィルム。
  7. SiOxCyのXの値が、前記プラスチックフィルムの表面から密着層の面に向けて、0.5≦X≦2.2の間で傾斜的に大きくなっていることを特徴とする請求項6に記載のガスバリアフィルム。
  8. SiOxCyのYの値が、前記プラスチックフィルムの表面から密着層の面に向けて、0.2≦Y≦1.2の間で傾斜的に小さくなっていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載のガスバリアフィルム。
  9. 前記ガスバリア層が、酸化アルミニウム、酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素のいずれかの無機膜であることを特徴とする請求項6、請求項7、請求項8のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
  10. 前記ガスバリア層の表面に、さらに金属アルコキシドと水溶性分子を含む混合溶液を塗布し、加熱乾燥して形成された保護層を備えることを特徴とする請求項6から請求項9のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2020006313A1 (en) * 2018-06-29 2020-01-02 Lam Research Corporation Oxidative conversion in atomic layer deposition processes

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