JPWO2015098926A1 - ポリオキサレート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明によれば、下記式(1):−(−CO−CO−O−A−O−)n− (1)式中、nは正の数であり、Aは2価の有機基である、で表される繰り返し単位を主構成単位として含み、DSCの1回目昇温時の測定により、下記式;ΔHm=ΔHm’−ΔHc式中、ΔHm’は、昇温中の結晶化を含む融解熱量(J/g)であり、ΔHcは、結晶化による発熱量(J/g)である、で算出される融解熱量ΔHmが60J/g以上であり、TGA測定において、200℃まで昇温した時の揮発成分量が2.0重量%以下であり且つ5%重量減少温度(Td5%)が230℃以下であることを特徴とするポリオキサレート及びその製造方法が提供される。本発明のポリオキサレートは、低温でも高い加水分解性を示すとともに、粉砕性に優れ、即ち、粉砕時のブロッキングが有効に防止されている。

Description

本発明は、ポリオキサレート及びその製造方法に関するものであり、より詳細には、石油、天然ガスなどの地下資源を、水圧破砕法などの坑井掘削法により採取する際に使用される掘削用分散液に好適に適用されるポリオキサレート及びその製造方法に関する。
地下資源採取のために、水圧破砕法、ロータリー式掘削法、ライザーレス掘削法等の坑井掘削法が現在広く採用されている。ロータリー式掘削法では、泥水を還流しながらドリルにより掘削して坑井を形成し、仕上げ流体として、逸水防止剤が配合されているものを用い、坑井の壁面に泥壁と呼ばれるフィルターケーキを形成する。このケーキにより、坑壁を安定的に保って崩壊を防いだり、坑井を流れる流体との摩擦を軽減する。
また水圧破砕法は、坑井内を満たした流体を高圧で加圧することにより、坑井近傍に亀裂(フラクチュア)を生成せしめ、坑井近傍の浸透率(流体の流れ易さ)を改善し、オイルやガスなどの資源が坑井へ有効に流入する断面(流入断面)を拡大し、坑井の生産性を拡大する。
ところで、前述した仕上げ流体に配合される逸水防止剤としては、炭酸カルシウムや各種塩類の顆粒が主に用いられているが、このような逸水防止剤の使用には、これを取り除く際に酸処理を必要としたり、資源を採掘しようとする地層に根詰まりして生産障害をもたらすという問題がある。
また、水圧破砕法で用いられる流体は、フラクチュアリング流体とも呼ばれ、古くはジェル状のガソリンのような粘性流体が使用されていたが、最近では、比較的浅いところに存在する頁岩層から産出するシェールガスなどの開発に伴い、環境に対する影響を考慮し、水にポリマーを溶解乃至分散させた水性分散液が使用されるようになってきた。このようなポリマーとしては、ポリ乳酸が知られている(特許文献1参照)。
ポリ乳酸は加水分解性と生分解性を示す物質であり、地中に残存したとしても地中の水分や酵素により分解するため、環境に対して悪影響を与えない。また、分散媒として用いられる水も、ガソリンなどと比較すれば、環境に対する影響はほとんどないといってよい。
また、ポリ乳酸の水分散液を坑井中に満たして加圧したとき、ポリ乳酸が坑井近傍に浸透していくが、ポリ乳酸は加水分解して樹脂の形態を失っていくこととなるため、ポリ乳酸が浸透していた部分に空間(即ち、亀裂)が生成する。従って、坑井への資源の流入空間を増大することが可能となる。
さらに、ポリ乳酸は、逸水防止剤としても機能し、分散媒として使用されている水の地中への過度の浸透を抑制するため、地層に与える環境変化を最小限に抑制するという利点を有する。また、ポリ乳酸は、地中で分解するため酸処理も不要である。
加えて、ポリ乳酸の分解物である乳酸は有機酸の一種であり、ポリ乳酸が分解して乳酸が放出されると、この乳酸がシェール層を酸浸食する。従って、ポリ乳酸には、シェール層の多孔化を促進する機能もある。
しかしながら、ポリ乳酸は、100℃以上の温度では比較的早く加水分解するものの、100℃未満での加水分解速度は遅い。従って、地中温度の低い箇所から産出するシェールガスなどの採取に適用する場合には、加水分解の効率が悪く、改善が求められている。
本発明者等は、ポリ乳酸の代替品としてポリオキサレートが有効であることを見出し特許出願した(特許文献2)。ポリオキサレートは、シュウ酸ジメチル等のシュウ酸ジエステルにエチレングリコール等のジオールを反応させてエステル化やエステル交換反応によりエステル化重合をすることで得られる。ポリオキサレートは、ポリ乳酸と同様、生分解性に優れ、環境に優しく且つ加水分解によって酸を放出するという性質を有している。加えて、ポリオキサレートは、ポリ乳酸に比して加水分解性が高く、80℃以下、さらには60℃以下の低温でも高い加水分解性を示す。そのため、ポリオキサレートは、上述したフラクチュアリング流体や仕上げ流体といった掘削用分散液の用途に極めて有用である。
しかしながら、ポリオキサレートには、粉砕時にブロッキングを生じ易く、取り扱い難いという欠点がある。即ち、採掘用分散液の用途にポリオキサレートを使用する場合には、採掘現場で分散液を調製するため、大量のポリオキサレートを水に分散させる等の作業が必要となるが、ポリオキサレートはブロッキングして塊の状態となりやすく、水に均一に分散させるのに手間がかかる。よって、改善が求められている。
ところで、ポリオキサレートについては、種々の製造法が提案されているが(例えば特許文献3〜5)、粉砕性に着目したものは無く、加水分解性に加えて、粉砕時のブロッキングが防止されたポリオキサレートは知られていない。
USP7,833950 特開2014−134091号 特開平9−59359号 特開平6−145283号 特許3518954号
従って、本発明の目的は、80℃以下、特に60℃以下の低温でも高い加水分解性を示すとともに、粉砕性に優れ、即ち、粉砕時のブロッキングが有効に防止されたポリオキサレート及びその製造方法を提供することにある。
本発明者等は、ポリオキサレートについて多くの実験を行った結果、ポリオキサレート中に残存しているアルコール成分がブロッキングの要因であることを見出した。そこで、本発明者等は、シュウ酸ジエステルとジアルコールとのエステル化重合反応によりポリオキサレートを製造するに際し、かかる反応を無溶媒下で行うとともに、重合反応系からアルコール成分を留去する条件を調整して結晶化度の高いポリオキサレートを製造することにより、粉砕性が改善されたポリオキサレートを得ることに成功した。
即ち、本発明によれば、下記式(1):
式中、
nは、正の数であり、
Aは、2価の有機基である、
で表される繰り返し単位を主構成単位として含み、DSCの1回目昇温時の測定により、下記式;
ΔHm=ΔHm’−ΔHc
式中、
ΔHm’は、昇温中の結晶化を含む融解熱量(J/g)であり、
ΔHcは、結晶化による発熱量(J/g)であり、
ΔHmは、融解熱量(J/g)である、
で算出される融解熱量ΔHmが60J/g以上であり、TGA測定において、200℃まで昇温した時の揮発成分量が2.0重量%以下であり且つ5%重量減少温度(Td5%)が230℃以下であることを特徴とするポリオキサレートが提供される。
本発明のポリオキサレートにおいては、
(1)前記有機基Aが、エチレングリコール残基であること、
(2)前記繰り返し単位を90モル%以上含有していること、
が好ましい。
本発明によれば、また、頭頂部を有する留去管を備えた重合反応器を使用し、無溶媒下でのシュウ酸ジエステルとジアルコールとのエステル化重合反応によりポリオキサレートを製造する方法であって、
前記重合反応器内でのエステル化重合反応を、シュウ酸ジエステルからの脱アルコールを伴う常圧重合工程と、該常圧重合工程に引き続く脱ジアルコールを伴う減圧重合工程の2段で行うと共に、
前記常圧重合工程において、前記留去管の反応器から頭頂部までの領域の少なくとも一部を留去されるアルコールの沸点+6℃以下に保持してシュウ酸ジエステルの留去を抑止するプロセスを含み、
前記減圧重合工程は、前記重合反応器内の反応液の温度を180〜210℃に維持することにより実施されること、
を特徴とするポリオキサレートの製造方法が提供される。
本発明の製造方法においては、
(3)前記シュウ酸ジエステルとしてシュウ酸ジメチルを使用し、且つ、前記ジアルコールとしてエチレングリコールを使用すること、
(4)前記常圧重合工程において、前記留去管の反応器から頭頂部までの領域の少なくとも一部を留去されるアルコールの沸点以下に保持して、シュウ酸ジエステルから生成して留出するアルコールを還流するプロセスを含むこと、
(5)前記減圧重合工程を実施した後、さらに、減圧乾燥を行うこと、
(6)前記常圧重合工程において、前記留去管の反応器から頭頂部までの領域の少なくとも一部を留去されるアルコールの沸点+5℃未満に保持してシュウ酸ジエステルの留去を抑止するプロセスを含むこと、
が好ましい。
本発明のポリオキサレートは、上記式(1)で表される繰り返し単位から理解されるように、シュウ酸ジエステル(例えばシュウ酸ジメチル)とジアルコール(例えばエチレングリコール)とから誘導されるポリエステル構造を有している。更に、本発明のポリオキサレートは、融解エンタルピーが60J/g以上と高い結晶粉末である。しかも、本発明のポリオキサレートのTGA測定により算出される200℃での揮発成分量は2.0重量%以下であり、反応により副生するアルコールや未反応のジオール(例えばエチレングリコール)の含有量が著しく抑制されている。加えて、本発明のポリオキサレートは、5%重量減少温度(Td5%)が230℃以下と低く、ある程度の量で低分子量成分を含有している。これらの特徴故、本発明のポリオキサレートは、高い加水分解性を保持しているばかりか、優れた粉砕性を示し、粉砕時のブロッキングが有効に抑制されたものとなっており、非常に取り扱い易いという利点を有している。従って、本発明のポリオキサレートは、採掘現場で調製される地下資源採掘用の分散液に効果的に適用される。
本発明の製造方法に用いる反応装置の概略構造を示す図。 予備実験における留去管5の頭頂部Aの温度と初留去液中のシュウ酸ジメチル(DMO)濃度との関係を示すグラフ。 実施例1における常圧重合での反応液の温度履歴と頭頂部の温度履歴を示す図。 実施例1における減圧重合での反応液の温度履歴と頭頂部の温度履歴を示す図。 実施例3における減圧重合での反応液の温度履歴と頭頂部の温度履歴を示す図。
<ポリオキサレート>
本発明のポリオキサレートは、下記式(1):
式中、
nは、正の数であり、
Aは、2価の有機基である、
で表される繰り返し単位を主構成単位として含んでいる。
2価の有機基Aは、シュウ酸ジエステルとエステル形成をするジアルコールに由来する有機残基である。シュウ酸ジエステルとしては、シュウ酸ジアルキルが好ましく、シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸プロピル等の炭素数1〜4のアルキル基からなるシュウ酸ジアルキルがより好ましく、シュウ酸ジメチルとシュウ酸ジエチルが特に好ましい。一方、ジアルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノールなどを例示することができるが、直鎖の2価アルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオールが好ましく、エチレングリコールが特に好ましい。
また、本発明のポリオキサレートは、DSCの1回目昇温時の測定により、下記式;
ΔHm=ΔHm’−ΔHc
式中、
ΔHm’は、昇温中の結晶化を含む融解熱量(J/g)であり、
ΔHcは、結晶化による発熱量(J/g)であり、
ΔHmは、融解熱量(J/g)である、
から算出される融解熱量ΔHmが60J/g以上、特に70J/g以上である。
DSCの1回目昇温時には、測定対象のポリオキサレートの結晶化の度合いに応じて結晶化による発熱ピークと昇温中の結晶化を含む融解吸熱ピークが検出される。即ち、ポリオキサレートが完全に結晶化されている場合には、結晶化による発熱ピークは検出されない。一方、ポリオキサレートが全く結晶化されていない場合には、結晶化による発熱量は最大となり、最も大きなピークが検出される。ここで、一般に結晶化度は、融解吸熱ピークのピーク面積から算出される融解熱量ΔHm’と、結晶化による発熱ピークのピーク面積から算出される結晶化による発熱量ΔHcとの差ΔHmをポリオキサレートが100%結晶化した際の融解熱量(定数)で除することで算出できる。今回は定数が未知であるため、結晶化度そのものの算出はできないものの、ΔHmの値が大きいほど、このポリオキサレートは結晶化されている度合いが大きいことを示す。
本発明のポリオキサレートが、上記の数値範囲の融解熱量ΔHm(以下、DSC結晶化度と呼ぶことがある)を示すということは、所謂コモノマー量が少なく、前記式(1)で表される繰り返し単位が90モル%以上、特に95モル%以上の量で含まれており、さらに、2価の有機基Aも単独のジアルコールに由来することを意味している。換言すると、本発明のポリオキサレートには、シュウ酸ジエステル以外のエステル単位や、2価の有機基Aが複数種存在していてもよいが、同一の繰り返し単位の割合が90モル%以上、特に95モル%以上となる範囲内であることを条件とする。他のエステル単位や2価の有機基Aの種類が多い場合には、結晶化が困難となり、上記のような融解熱量ΔHmを示さなくなるからである。
本発明のポリオキサレートは、例えばガラス転移点(Tg)が20〜50℃程度と低いが、上述の通り高い融解熱量ΔHmを有しているため、後述する実施例に示されているように、粉砕の際にブロッキングすることなく、容易に粉末化される。
さらに、本発明のポリオキサレートは、TGA測定により算出される200℃での揮発成分量が2.0重量%以下、特に1.8重量%以下であり、且つ5%重量減少温度(Td5%)が230℃以下、特に220〜230℃と低い範囲にある。
先にも述べたように、200℃での揮発成分量が少ないことは、反応により副生するメチルアルコールや未反応のジオール(例えばエチレングリコール)の含有量が著しく抑制されていることを意味する。Td5%が低いことは、低分子量成分含量が比較的多いことを意味している。この結果として、本発明のポリオキサレートのポリメタクリル酸メチル換算での重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10万以下、より好ましくは2万〜9万、特に好ましくは2万〜7万、最も好ましくは2万〜4万であり、融点(mp)は、好適には、150〜190℃の範囲にある。本発明のポリオキサレートは、上述したDSC結晶化度に加え、200℃での揮発成分量が少なく、しかもTd5%が小さいため、より高い粉砕性を示す。
上述した本発明のポリオキサレートは、優れた加水分解性を示す。即ち、本発明のポリオキサレートから放出される酸は、0.005g/ml濃度の水分散液でのpH(25℃)が3以下であり、水と混合したときに加水分解してシュウ酸を放出する。このシュウ酸が加水分解触媒となってさらに加水分解が進行するため、本発明のポリオキサレートは、ポリ乳酸やポリグリコール酸と比較して、著しく高い加水分解性を示し、80℃以下、さらには60℃以下の低温領域でも極めて高い加水分解性を示す。
しかも、本発明のポリオキサレートは、適度な量で低分子量成分を含有している。そのため、低温での加水分解性に優れていると同時に、急激には加水分解が進行せず、ある程度の時間は加水分解が抑制される。例えば70℃程度の熱水中では、加水分解は3時間程度経過した後に進行する。このため、本発明のポリオキサレートが掘削用分散液に適用されると、ポリマーに要求される機能をある程度の時間保持し、その後、加水分解によって消失する。低分子量成分の含有量が少なく、ポリオキサレートの平均分子量が必要以上に大きいと、低温での加水分解性が損なわれる。低分子量成分の含有量が多すぎると、加水分解が急激に進行し、採掘用分散液としての適用が困難となる。
本発明のポリオキサレートは、必要に応じて、公知の可塑剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤、顔料、フィラー、充填剤、離型剤、帯電防止剤、香料、滑剤、発泡剤、抗菌・抗カビ剤、核形成剤、層状硅酸塩、末端基封止剤、架橋剤、酵素などの添加剤を配合して使用に供することができる。また、必要に応じて脂肪族ポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロース類のような他の生分解性樹脂と複合化させて使用に供することもできる。
<ポリオキサレートの製造>
本発明のポリオキサレートは、溶媒を使用せず、エステル化やエステル交換といった、シュウ酸ジエステルとジアルコールとのエステル化重合反応により製造される。無溶媒でエステル化重合反応を実行するのは、生成するポリオキサレート中への溶媒の混入を避けるためである。溶媒が混入すると、揮発成分量を前述した少ない範囲(2.0重量%以下)に抑えることが困難となり、粉砕性が低下してしまう。
シュウ酸ジエステルと反応させるジアルコールは、前記式(1)の繰り返し単位中の2価の有機基Aに対応するものである。ジアルコールの使用により、DSC結晶化度の高いポリオキサレートを得ることが可能となる。ジアルコールとしては、先にも述べたように、エチレングリコールが最も好適に使用される。
上記のエステル化重合反応においては、必要に応じて触媒を使用することができる。触媒としては公知のものを使用することができる。公知の触媒としては、例えば、チタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシド、三酸化アンチモン等のアンチモン化合物、ジラウリン酸ブチルスズ等のスズ化合物が代表的であるが、これ以外にも、P,Ge、Zn,Fe,Mn,Co,Zr,V及び各種希土類金属の化合物などを挙げることができる。
本発明において、エステル化重合反応は、常圧重合及び減圧重合の2段で行われる。これらの重合反応は、図1に示すバッチ式の重合反応器を用いて行う必要がある。
図1を参照すると、重合反応器1には、攪拌機3と留去管5が備えられている。留去管5は頭頂部Aを有しており、また、反応器1から頭頂部Aまでの領域の還流部5aと頭頂部Aより下流側の留去部5bとを有している。留去部5bには、熱交換器等の冷却管5cが設けられており、留出する液が速やかに凝縮して排出されるようになっている。還流部5aにも適宜加温管や冷却管を取り付け、頭頂部Aの温度を調整できるようにしてもよい。
本発明においては、反応器1内に反応液10(前述したシュウ酸ジエステル、ジアルコール及び必要により使用される触媒)を供給し、エステル化重合反応に際して副生するアルコールや未反応のジアルコール或いはオリゴマーを、上記留去管5の還流部5aを通して留去部5bから留出液15として留去する。本発明では、この留去条件を調整しながら、エステル化重合反応を2段で行う。
1.常圧重合
常圧重合は、反応器1内を窒素ガス雰囲気に置換し、反応器1内に仕込まれた反応液10を撹拌しながらヒーターで110〜200℃の範囲に加熱することにより行われる。常圧重合により、シュウ酸ジエステルからの脱アルコールが起こり、次いでジアルコールとの間でのエステル化により重合が進行する。その結果、下記式(2a)で表される低重合度のポリオキサレートが得られる。
例えば、ジアルコールとしてエチレングリコールを使用したとき得られる低重合度のポリオキサレートは、下記式(2b)で表される。
式(2a)および(2b)において、
Aは、ジアルコール(OH−A−OH)に由来する2価の有機残基で
あり、
mは、重合度を示す正数である。
反応温度が高すぎると、生成するポリオキサレートが分解する虞がある。反応温度が低すぎると、反応速度が遅く、効果的に重合を行うことができない虞がある。
仕込み反応液10中のジアルコールの仕込み量は、シュウ酸ジエステル1モル当り0.8〜1.2モルとし、シュウ酸ジエステルに対して過剰量とすることが、この常圧重合反応を速やかに進行させる上で好ましい。
ところで、常圧重合においては、前述した留去管5の還流部5aを、留去されるアルコールの沸点+6℃以下、好ましくは+5℃以下、特に好ましくは+5℃未満の温度に保持することが重要である。即ち、かかる工程では、上記反応温度に加熱するにしたがい、シュウ酸ジエステルからアルコールが脱離し、このアルコールが留去管5から留去されることとなるが、還流部5aの温度を高くしすぎると、アルコールと共にシュウ酸ジエステルも留去されてしまう。シュウ酸ジエステルの留去は、収率の低下だけでなく、得られるポリオキサレートの分子量の低下も引き起こす。従って、本発明では、環流部5aを、留去されるアルコールの沸点+6℃以下、好ましくは+5℃以下、特に好ましくは+5℃未満の温度に保持し、副生するアルコール等は留出液15として留去しながらも、シュウ酸ジエステルを含む留出液のほうは還流するわけである。
また、上記のように留去条件を調整する場合、反応初期においては、留去管5の環流部5aの温度をアルコールの沸点以下、例えばメタノールの場合は64.7℃(沸点)以下に保持し、生成するメタノール等アルコールを還流しながら反応を行うことが好ましく、その後、環流部5aの温度をメタノールの沸点+6℃以下、好ましくは+5℃以下、特に好ましくは+5℃未満に維持することが好適である。これにより、副生したメタノールに溶解しているシュウ酸ジメチルを還流させて反応系内に戻して、そのシュウ酸ジメチルを利用することで反応効率を上げることができる。
上記のようにして常圧重合を行い、アルコールの留出が停止した時点で、次の減圧重合を行う。
2.減圧重合
減圧重合は、反応器1内を0.1〜1kPaに減圧・保持しながら、常圧重合により生成したポリオキサレートを含む反応液10を180〜210℃の温度に維持することにより行われる。この減圧重合により、反応液10中に残存するジアルコール(例えばエチレングリコール)を除去しながらエステル化による重合をさらに進行させ、さらに高分子量化されたポリオキサレートを得る。
この高分子量化されたポリオキサレートは下記式(3a)で表される。
上記式(3a)から理解されるように、ジアルコールとしてエチレングリコールを用いた場合に得られるポリオキサレートは、下記式(3b)で表される。
式(3a)および(3b)において、
Aは、ジアルコールに由来する有機残基であり、
nは、重合度を示す正数であり、式(2a)及び(2b)における数
mよりも大きな数である。
上記の減圧重合において、反応液温度が180℃よりも低い場合には、高分子量化を達成することができず、従って、得られるポリオキサレートの加水分解性が過度に大きくなり、例えば水に混合したときに一気に加水分解してしまい、採掘用分散液としての適用が困難となる。また、反応液温度が210℃を超えると、生成したポリオキサレートの分解を生じてしまう。
上述のように、減圧重合を常圧重合に引き続いて行うことにより、融解熱量が高く、また、シュウ酸ジエステルから発生するアルコールの含有量が抑制されており、更に、減圧重合によってエチレングリコールやオリゴマーの含有量も抑制され、その結果、200℃まで昇温した時の揮発成分量が2.0重量%以下のポリオキサレートを得ることができる。さらには、減圧重合工程によりエチレングリコールを除去しながら重合を進行させることにより、低分子量成分量を比較的多くし、Td5%を230℃以下とすることができる。
減圧重合工程では、留去管5の還流部5aを90〜140℃に保温しておくことが好ましい。還流部5aをかかる温度に保つことにより、エチレングリコールの除去を促進し、揮発成分量をより少なくすることができる。
減圧重合工程は、エチレングリコールの除去が停止したときに終了すればよく、例えば留去管5の頭頂部Aでの温度をモニタリングしておき、その温度が80℃以下となった時点で重合完了とすればよい。減圧重合の時間が長いと収率低下が生じる虞があるため、上述の温度モニタリングの結果次第で、取り出す時間を早めることもできる。得られたポリオキサレートは、反応器1から取り出され、粉砕機等により所定の粒度まで粉砕されて使用に供される。
3.後工程
本発明においては、減圧重合工程後、適宜粉砕されたポリオキサレートを減圧乾燥することが好ましい。かかる減圧乾燥により、ポリオキサレート中に僅かに含まれるエチレングリコール等を除去し、揮発成分量をより少なくすることができる。
減圧乾燥は、10kPa以下の真空度且つ100〜150℃の加熱下で行うことが好ましい。このような条件での減圧乾燥は、エステル交換による固相重合を生じさせて、ポリオキサレートの更なる高分子量化を進行させるばかりか、結晶化も進行させる。その結果、融解熱量がより高い、つまり結晶化度がより高いポリオキサレートを得ることができる。一般に、結晶化を目的とする減圧乾燥は、1〜5時間行えばよい。結晶化に加えて固相重合も行う場合の減圧乾燥は、さらに減圧度を高め(例えば1kPa以下)、10〜20時間行えばよい。
<ポリオキサレートの用途>
かくして得られる本発明のポリオキサレートは、低温での加水分解性に優れ、80℃以下、特に60℃以下でも効果的に加水分解するばかりか、加水分解の急激な進行が抑制され、水等の媒体に分散された場合にも、ある程度の時間は分解せずにポリマー状態を維持する。さらには、優れた粉砕性を示し、反応により得られたポリオキサレートの塊状物を粉砕した場合、そのブロッキングが有効に抑制されているため、水等への分散を容易に行うことができる。従って、本発明のポリオキサレートは、地下資源の採掘用分散液の用途に極めて好適に適用される。
例えば、本発明のポリオキサレートを水に分散させた掘削用分散液を地下に圧入した場合、本発明のポリオキサレートは、40〜80℃の温度で適度な時間経過後に加水分解される。そのため、かかる分散液をフラクチュアリング流体として用いての水圧破砕により、目的とする地下資源の掘削を行うことができる。
本発明を次の実験例で説明する。尚、各種測定は、以下の方法によって行った。
<融点、ガラス転移温度、ΔHm>
各実験例で得られたポリオキサレートからペレットを準備し、以下の条件で示差走査熱量分析を行い、ファーストスキャン時の値を記載した。
装置:セイコーインスツルメント株式会社製DSC6220(示差走査熱
量測定)
試料調整:試料量5〜10mg
測定条件:窒素雰囲気下、10℃/minの昇温速度で0〜250℃の範
囲で測定。
ΔHm’{昇温中の結晶化を含む融解熱量(J/g)}は融解の吸熱ピークの面積から、ΔHc{結晶化による発熱量(J/g)}は結晶化の発熱ピークの面積から、融点はピークトップからそれぞれ求めた。更に、ΔHm’とΔHcからΔHm(DSC結晶化度)を算出した。
<実験例1〜7の分子量>
実験例1〜7で得られた試料約1.5mgに溶媒5mLを加え、室温で緩やかに攪拌した(試料濃度約0.03%)。溶解していることを目視で確認した後、0.45μmフィルターにて濾過した。全ての試料について、調製開始から約1時間以内に以下の条件で分子量の測定を行った。スタンダードとしてはポリメチルメタクリレートを用いた。
装置:ゲル浸透クロマトグラフGPC
検出器:示差屈折率検出器RI
カラム:Shodex HFIP−LG(1本)、HFIP−806M
(2本)(昭和電工)
溶媒:ヘキサフルオロイソプロパノール(5mMトリフルオロ酢酸ナト
リウム添加)
流速:0.5mL/min
カラム温度:40℃
<実験例8の分子量>
実験例8で得られた試料約10mgに溶媒3mLを加え、室温で緩やかに攪拌した。溶解していることを目視で確認した後、0.45μmフィルターにて濾過した。全ての試料について、調製開始から約1時間以内に以下の条件で分子量の測定を行った。スタンダードとしてはポリスチレンを用いた。
装置:東ソー株式会社製HLC−8120
検出器:示差屈折率検出器RI
カラム:TSKgel SuperHM−H×2及びガードカラムとし
てTSKguard column SuperH−H
溶媒:クロロホルム
流速:0.5mL/min
カラム温度:40℃
<揮発成分量、5%重量減少温度(Td5%)>
各実験例で得られたポリオキサレートについて、以下の条件でTGA測定を行った。
装置:株式会社日立ハイテクサイエンス社製 TG/DTA 7220
試料調整:試料量5〜10mg
測定条件:窒素雰囲気下、10℃/minの昇温速度で40〜300℃
の範囲で測定。
揮発成分量は以下の式により求めた。
揮発成分量=[(初期重量−200℃時の重量)/初期重量]×100
Td5%は、試料の重量が初期重量に対して5%減少したときの温度とした。
<常温粉砕性>
各実験例で得られた試料1.5gを、岩谷産業株式会社製 IMF−800DGを用いて常温(20℃)で3分間粉砕した。得られた粉体がブロッキング状態にない場合を「良い」と評価し、得られた粉体が明らかに凝集、ブロッキングしている場合を「悪い」と評価した。
<加水分解性>
25mlのバイアル瓶に、各実験例で得られた試料(粉末)10mgと蒸留水10mlを加え、70℃のオーブン内に静置保管した。3h後にバイアル瓶から取り出して、以下の条件で、液体中のシュウ酸濃度をHPLCで定量し、分解率を計算した。
装置:JASCO製GULLIVER series
カラム:Waters製Atlantis dC18 5μm、4.6×
250mm
検出波長:210nmのUV吸収
溶媒:0.5%リン酸とメタノールでグラジエントをかけた。
流速:流速1mL/分
測定温度:40℃
3h後の分解率が20%未満の場合を「良い」と評価し、3h後の分解率が20%を超えているものを「悪い」と評価した。
<予備実験>
ポリオキサレート(PEOx)の重合;
マントルヒーター、液温の温度計、攪拌装置、窒素導入管、留去管5を取り付けた図1の構造の反応器1(1Lのセパラブルフラスコ)に、
シュウ酸ジメチル 472g(4mol)
エチレングリコール 297g(4.8mol)
三酸化アンチモン 0.17g
を入れ、窒素気流下でフラスコ内の液温を120℃に加温し、留去管5の頭頂部Aの温度をモニタリングしながら、常圧重合を行った。具体的には、メタノールの留去が開始された後、液温を200℃まで少しずつ昇温し常圧重合をした。最終的に260mlの留去液を得た。その後、フラスコ内の液温を200℃、減圧度を0.1〜0.8kPaに保持し、留去管5の頭頂部Aの温度をモニタリングしながら、減圧重合をした。得られたポリマーを取り出してクラッシャーで造粒し、120℃で2時間真空加熱処理(減圧乾燥)して結晶化させた。
初留去液中のシュウ酸ジメチル(DMO)濃度を、以下の条件でGCMSにより測定した。
装置:島津製作所製 GCMS−QP2010
カラム:Restek社製RXi−5ms
測定条件:カラムオーブン温度は40℃で2分等温後、8℃/minの
昇温速度で80℃まで昇温し、15℃/minの昇温速度で
250℃まで昇温した。
図2に、留去管5の頭頂部Aの温度と初留去液中のシュウ酸ジメチル(DMO)濃度との関係を示すグラフを示した。図2から、蒸気温度が70℃以下において、シュウ酸ジメチルの沸騰が抑制され、その留去が抑制できることがわかった。
<実験例1>
予備実験の結果に基づき、留去管5の還流部5aに連なる頭頂部Aの温度を常に70℃以下に保持しながら、予備実験と同様にして常圧重合を行った。常圧重合における反応液の温度履歴と留去管5の頭頂部Aの温度履歴を図3に示した。頭頂部Aの温度が約30℃に降下した時点で、常圧重合を停止し、予備実験と同様の減圧重合に切り替えた。減圧重合における反応液の温度履歴と頭頂部Aの温度履歴を図4に示した。頭頂部Aの温度が約140℃に達した後、約80℃まで降下し、さらに約140℃にまで上昇し、次いで約50℃に降下して安定した時点で、減圧重合を停止した。得られたポリオキサレートを反応器(フラスコ)から取り出してクラッシャーで造粒し、120℃で2時間真空加熱処理し(減圧乾燥)、結晶化させた。
得られたポリオキサレートは、重量平均分子量(Mw)70,000、融点180℃、ガラス転移温度35℃であり、収率は50%であった。各種測定結果を表1に示した。
<実験例2>
頭頂部Aの温度をメタノールの沸点以下の温度に10分間維持してメタノールを反応器内に還流させた後、頭頂部Aの温度を常時留去するアルコールであるメタノールの沸点+6℃以下、特に+5℃未満である70℃以下となるように調整しながら、予備実験と同様にして常圧重合を行った。次いで、実験例1と同様にして減圧重合を行った。得られたポリオキサレートを反応器から取り出してクラッシャーで造粒し、120℃で2時間真空加熱処理し結晶化させた。
得られたポリオキサレートは、重量平均分子量(Mw)70,000、融点180℃、ガラス転移温度35℃であり、収率は60%であった。各種測定結果を表1に示した。
<実験例3>
触媒をジラウリン酸ジブチルスズ0.24mlに代えた以外は実験例1と同様にして常圧重合を行った。次いで、実験例1と同様にして減圧重合を行った。減圧重合における反応液の温度履歴と頭頂部Aの温度履歴を図5に示した。頭頂部Aの温度が約120℃に達した後、約60℃まで降下した時点で、減圧重合を停止した。得られたポリオキサレートを反応器(フラスコ)から取り出してクラッシャーで造粒し、120℃で2時間真空加熱処理し(減圧乾燥)、結晶化させた。さらに120℃、14時間、減圧度0.1kPaで固相重合を追加した。
得られたポリオキサレートは、重量平均分子量(Mw)31,000、融点180℃、ガラス転移温度35℃であり、収率は78%であった。各種測定結果を表1に示した。
<実験例4>
頭頂部Aの温度を常時70℃以下となるように調整しながら、予備実験に記載のように常圧重合を行った。次いで、頭頂部Aの温度制御を行うことなく、予備実験に記載のように減圧重合を行い、頭頂部Aの温度が90℃まで降下した時点で減圧重合を停止した。得られたポリオキサレートを反応器(フラスコ)から取り出してクラッシャーで造粒し、120℃で2時間真空加熱処理し(減圧乾燥)、結晶化させた。さらに120℃、14時間、減圧度0.1kPaで固相重合を追加した。
得られたポリオキサレートは、重量平均分子量(Mw)44,000、融点180℃、ガラス転移温度35℃であった。各種測定結果を表1に示した。
<実験例5>
固相重合しなかった点以外は、実験例4と同様にしてポリオキサレートを得た。
得られたポリオキサレートは、重量平均分子量(Mw)43,000、融点167℃、ガラス転移温度35℃であった。各種測定結果を表1に示した。
<実験例6>
頭頂部Aの温度を110℃として、予備実験と同様にして常圧重合を行ったところ、シュウ酸ジメチルが過度に沸騰し、頭頂部Aが閉塞し、所望の反応が行えなかった。
<実験例7>
頭頂部Aの温度を常時70℃以下となるように調整しながら、予備実験と同様にして常圧重合を行った。常圧重合終了後に、得られたポリオキサレートをメタノール中に添加し、沈殿物を濾過し回収したものをクラッシャーで造粒し、120℃で2時間真空加熱処理し(減圧乾燥)、結晶化させた。
得られたポリオキサレートは、重量平均分子量(Mw)2,000、融点148℃、ガラス転移温度35℃であった。各種測定結果を表1に示した。
<実験例8>
投入したモノマーを、シュウ酸ジメチル0.9mol、テレフタル酸ジメチル0.1mol、エチレングリコール1.2molとし、触媒をテトラブチルチタネート0.2gに代えた以外は、実験例1と同様にしてポリオキサレートを得た。
得られたポリオキサレートは、重量平均分子量(Mw)10,000、ガラス転移温度42℃であった。各種測定結果を表1に示した。
1:重合反応器
3:攪拌機
5:留去管
5a:還流部
5b:留去部
A:頭頂部
10:反応液
15:留出液

Claims (8)

  1. 下記式(1):
    式中、
    nは、正の数であり、
    Aは、2価の有機基である、
    で表される繰り返し単位を主構成単位として含み、DSCの1回目昇温時の測定により、下記式;
    ΔHm=ΔHm’−ΔHc
    式中、
    ΔHm’は、昇温中の結晶化を含む融解熱量(J/g)であり

    ΔHcは、結晶化による発熱量(J/g)であり、
    ΔHmは、融解熱量(J/g)である、
    で算出される融解熱量ΔHmが60J/g以上であり、TGA測定において、200℃まで昇温した時の揮発成分量が2.0重量%以下であり且つ5%重量減少温度(Td5%)が230℃以下であることを特徴とするポリオキサレート。
  2. 前記繰り返し単位中の有機基Aが、エチレングリコール残基である請求項1に記載のポリオキサレート。
  3. 前記繰り返し単位を90モル%以上含有している請求項1に記載のポリオキサレート。
  4. 頭頂部を有する留去管を備えた重合反応器を使用し、無溶媒下でのシュウ酸ジエステルとジアルコールとのエステル化重合反応によりポリオキサレートを製造する方法であって、
    前記重合反応器内でのエステル化重合反応を、シュウ酸ジエステルからの脱アルコールを伴う常圧重合工程と、該常圧重合工程に引き続く脱ジアルコールを伴う減圧重合工程の2段で行うと共に、
    前記常圧重合工程において、前記留去管の反応器から頭頂部までの領域の少なくとも一部を留去されるアルコールの沸点+6℃以下に保持してシュウ酸ジエステルの留去を抑止するプロセスを含み、
    前記減圧重合工程は、前記重合反応器内の反応液の温度を180〜210℃に維持することにより実施されること、
    を特徴とするポリオキサレートの製造方法。
  5. 前記シュウ酸ジエステルとしてシュウ酸ジメチルを使用し、且つ、前記ジアルコールとしてエチレングリコールを使用する請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記常圧重合工程において、前記留去管の反応器から頭頂部までの領域の少なくとも一部を留去されるアルコールの沸点以下に保持してシュウ酸ジエステルから生成して留出するアルコールを還流するプロセスを含む請求項4に記載の製造方法。
  7. 前記減圧重合工程を実施した後、さらに、減圧乾燥を行う請求項4に記載の製造方法。
  8. 前記常圧重合工程において、前記留去管の反応器から頭頂部までの領域の少なくとも一部を留去されるアルコールの沸点+5℃未満に保持してシュウ酸ジエステルの留去を抑止するプロセスを含む請求項4に記載の製造方法。
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