JPWO2015068738A1 - 透明導電体 - Google Patents
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Abstract
本願発明は、長期間に亘って光透過性や信頼性が高く、かつフレキシブルな透明導電体を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、透明基板と、前記透明基板の波長570nmの光の屈折率より、波長570nmの光の屈折率が高い誘電性材料または酸化物半導体材料を含む第一高屈折率層と、特定の金属及び銀の合金からなる透明金属膜と、前記透明基板の波長570nmの光の屈折率より、波長570nmの光の屈折率が高い誘電性材料または酸化物半導体材料を含む第二高屈折率層と、がこの順に積層された透明導電体であって、前記第一高屈折率層または前記第二高屈折率層のうち、少なくとも一方の層が、ZnSと金属酸化物または金属フッ化物とを含むアモルファス層である、透明導電体とする。
上記課題を解決するため、透明基板と、前記透明基板の波長570nmの光の屈折率より、波長570nmの光の屈折率が高い誘電性材料または酸化物半導体材料を含む第一高屈折率層と、特定の金属及び銀の合金からなる透明金属膜と、前記透明基板の波長570nmの光の屈折率より、波長570nmの光の屈折率が高い誘電性材料または酸化物半導体材料を含む第二高屈折率層と、がこの順に積層された透明導電体であって、前記第一高屈折率層または前記第二高屈折率層のうち、少なくとも一方の層が、ZnSと金属酸化物または金属フッ化物とを含むアモルファス層である、透明導電体とする。
Description
本発明は、透明金属膜を含む透明導電体に関する。
近年、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、無機及び有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ等の表示装置の電極材料、無機及び有機EL素子の電極材料、タッチパネル材料、太陽電池材料等の各種装置に透明導電膜が使用されている。
このような透明導電膜を構成する材料として、Au、Ag、Pt、Cu、Rh、Pd、Al、Cr等の金属やIn2O3、CdO、CdIn2O4、Cd2SnO4、TiO2、SnO2、ZnO、ITO(酸化インジウムスズ)等の酸化物半導体が知られている。
ここで、タッチパネル型の表示装置では、表示素子の画像表示面上に、透明導電膜等からなる配線が配置される。したがって、透明導電膜には、光の透過性が高いことが求められる。このような各種表示装置には、光透過性の高いITOからなる透明導電膜が多用されている。
近年、静電容量方式のタッチパネル表示装置が開発され、透明導電膜の表面電気抵抗をさらに低くすることが求められている。しかし、従来のITO膜では、表面電気抵抗を十分に下げられない、との問題があった。
そこで、Agの蒸着膜を透明導電膜とすることが検討されている(特許文献1)。また、透明導電体の光透過性を高めるため、Ag膜を屈折率の高い膜(例えば酸化ニオブ(Nb2O5)、IZO(酸化インジウム・酸化亜鉛)、ICO(インジウムセリウムオキサイド)、a−GIO(ガリウム、インジウム、及び酸素からなる非晶質酸化物)等からなる膜)で挟み込むことも提案されている(特許文献2〜4、非特許文献1)。さらに、Ag膜をZnS膜で挟み込むことや、ZnS−SiO2膜で挟み込むこと等が提案されている(非特許文献2及び3、並びに特許文献5)。
Transparent Conductive Film Nb2O5/Ag/IZO with an Anti−Reflection Design,Ywh−Tarng Leu, et al., SID 2012 DIGEST p.352−353
Xuanjie Liu,et al, (2003). Thin Solid Films 441, 200−206
Optically transparent IR reflective heat mirror films of ZnS − Ag − ZnS, Bruce W. Smith, May 1989. Rochester Institute Of Technology Center For Imaging Science
しかし、特許文献2〜4や、非特許文献1に示されるように、酸化ニオブやITO等でAg膜が挟み込まれた透明導電体では、耐湿性が十分でなかった。その結果、湿度環境下で透明導電体を使用すると、Ag膜が腐食しやすい等の問題があった。
一方、Ag層がZnS層やZnS−SiO2層に挟み込まれた透明導電体では、Agが硫化されて硫化銀が生じやすい。その結果、透明導電体の光透過性が低くなったり、透明導電体の表面電気抵抗値が高まりやすい、との問題が生じやすかった。
さらに、Ag層がパターニングされている場合には、Ag層から溶出したAgイオンが移動・析出(マイグレーション)することがあった。このようなマイグレーションが生じると、透明導電体の光透過性が低下するだけでなく、電流がリークする等の問題があった。
本発明はこのような状況を鑑みてなされたものである。本発明は、長期間に亘って光透過性や信頼性が高く、かつフレキシブルな透明導電体を提供することを目的とする。
即ち、本発明は、以下の透明導電体に関する。
[1]透明基板と、前記透明基板の波長570nmの光の屈折率より、波長570nmの光の屈折率が高い誘電性材料または酸化物半導体材料を含む第一高屈折率層と、ゲルマニウム、ビスマス、白金族、銅、金、モリブデン、亜鉛、ガリウム、スズ、インジウム、ネオジム、チタン、アルミニウム、タングステン、マンガン、鉄、ニッケル、イットリウム、及びマグネシウムからなる群から選ばれる一種以上の金属と銀との合金からなる透明金属膜と、前記透明基板の波長570nmの光の屈折率より、波長570nmの光の屈折率が高い誘電性材料または酸化物半導体材料を含む第二高屈折率層と、がこの順に積層された透明導電体であって、前記第一高屈折率層または前記第二高屈折率層のうち、少なくとも一方の層が、ZnSと金属酸化物または金属フッ化物とを含むアモルファス層である、透明導電体。
[2]前記アモルファス層が含む金属酸化物が、SiO2である、[1]に記載の透明導電体。
[3]前記透明金属膜が、所定の形状にパターニングされた金属パターンである、[1]または[2]に記載の透明導電体。
[1]透明基板と、前記透明基板の波長570nmの光の屈折率より、波長570nmの光の屈折率が高い誘電性材料または酸化物半導体材料を含む第一高屈折率層と、ゲルマニウム、ビスマス、白金族、銅、金、モリブデン、亜鉛、ガリウム、スズ、インジウム、ネオジム、チタン、アルミニウム、タングステン、マンガン、鉄、ニッケル、イットリウム、及びマグネシウムからなる群から選ばれる一種以上の金属と銀との合金からなる透明金属膜と、前記透明基板の波長570nmの光の屈折率より、波長570nmの光の屈折率が高い誘電性材料または酸化物半導体材料を含む第二高屈折率層と、がこの順に積層された透明導電体であって、前記第一高屈折率層または前記第二高屈折率層のうち、少なくとも一方の層が、ZnSと金属酸化物または金属フッ化物とを含むアモルファス層である、透明導電体。
[2]前記アモルファス層が含む金属酸化物が、SiO2である、[1]に記載の透明導電体。
[3]前記透明金属膜が、所定の形状にパターニングされた金属パターンである、[1]または[2]に記載の透明導電体。
本発明によれば、長期間に亘って劣化が少なく、光透過性が高く、かつフレキシブルな透明導電体が得られる。
本発明の透明導電体の層構成の例を図1及び図2に示す。図1及び図2に示されるように、本発明の透明導電体100は、透明基板1/第一高屈折率層2/透明金属膜3/第二高屈折率層4がこの順に積層された積層体からなる。本発明の透明導電体100では、第一高屈折率層2または第二高屈折率層4のいずれか一方、もしくは両方が、ZnSと金属酸化物または金属フッ化物とを含むアモルファス層である。さらに、透明金属膜3は、銀と他の金属との合金からなる。
前述のように、第一高屈折率層2または第二高屈折率層4にZnSが含まれると、第一高屈折率層2及び第二高屈折率層4の耐湿性が高まりやすい。また特に、ZnSと共に、金属酸化物や金属フッ化物が含まれると、第一高屈折率層2及び第二高屈折率層4の結晶性が低くなり、第一高屈折率層2及び第二高屈折率層4のフレキシブル性が高まりやすい。しかし、第一高屈折率層2または第二高屈折率層4にZnSが含まれると、銀からなる透明金属膜が硫化されやすく、透明導電体の光透過性が低下しやすいとの問題があった。
これに対し、本発明の透明導電体では、第一高屈折率層2または第二高屈折率層4のいずれか一方もしくは両方にZnSが含まれるものの、透明金属膜3が銀と他の金属との合金からなる。銀以外の他の金属は、透明金属膜3の表面に局在しやすい。そして、当該金属によって透明金属膜3の表面に酸化皮膜等が形成される。その結果、透明金属膜3中の銀が硫化され難くなり、透明導電体の光透過性の低下が抑制される。
一方、透明金属膜が銀のみからなる場合、透明導電体に電流を流すと、透明金属膜中の銀がイオン化し、移動・析出(マイグレーション)しやすい。そして、導通時に電流がリークしたり、透明導電体の光透過性が低下する等の問題もあった。これに対し、透明金属膜3に、銀以外の金属が含まれると、マイグレーションが抑制される。したがって、長期に亘って信頼性の高い透明導電体が得られる。
本発明の透明導電体において、透明金属膜3は、図1に示されるように、透明基板1の全面に形成されていてもよく、図2に示されるように、所望の形状にパターニングされていてもよい。本発明の透明導電体において、透明金属膜3が積層されている領域aが、電気が導通する領域(以下、「導通領域」とも称する)である。一方、図2に示されるように、透明金属膜3が含まれない領域bが絶縁領域である。
導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンは、透明導電体100の用途に応じて、適宜選択される。例えば透明導電体100が静電方式のタッチパネルに適用される場合には、図3に示されるように、複数の導通領域aと、これを区切るライン状の絶縁領域bとを含むパターン等でありうる。
また、本発明の透明導電体100(積層体)には、透明基板1、第一高屈折率層2、透明金属膜3、及び第二高屈折率層4以外の層が含まれてもよい。例えば第一高屈折率層2と透明金属膜3との間に、透明金属膜3の成膜時に成長核となる下地層(図示せず)が含まれてもよく;第二高屈折率層4上に、透明導電体100の光透過性を調整するための低屈折率層(図示せず)が含まれてもよい。さらに、低屈折率層上に、透明導電体の透明性を調整するための第三高屈折率層(図示せず)等が含まれてもよい。また、第一高屈折率層2と透明金属膜3との間や、透明金属膜3と第二高屈折率層4との間に、透明金属膜3の硫化を防止するための硫化防止層(図示せず)が含まれてもよい。ただし、本発明の透明導電体100に含まれる層は、透明基板1を除いて、いずれも無機材料からなる層である。例えば第二高屈折率層4上に有機樹脂からなる接着層が積層されていたとしても、透明基板1から第二高屈折率層4までの積層体が、本発明の透明導電体100である。
1.透明導電体の層構成について
1−1)透明基板
透明導電体100に含まれる透明基板1は、各種表示デバイスの透明基板と同様でありうる。透明基板1は、ガラス基板や、セルロースエステル樹脂(例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース等)、ポリカーボネート樹脂(例えばパンライト、マルチロン(いずれも帝人社製))、シクロオレフィン樹脂(例えばゼオノア(日本ゼオン社製)、アートン(JSR社製)、アペル(三井化学社製))、アクリル樹脂(例えばポリメチルメタクリレート、アクリライト(三菱レイヨン社製)、スミペックス(住友化学社製))、ポリイミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート)、ポリエーテルスルホン、ABS/AS樹脂、MBS樹脂、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール/EVOH(エチレンビニルアルコール樹脂)、スチレン系ブロックコポリマー樹脂等からなる透明樹脂フィルムでありうる。透明基板1が透明樹脂フィルムである場合、当該フィルムには2種以上の樹脂が含まれてもよい。
1−1)透明基板
透明導電体100に含まれる透明基板1は、各種表示デバイスの透明基板と同様でありうる。透明基板1は、ガラス基板や、セルロースエステル樹脂(例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース等)、ポリカーボネート樹脂(例えばパンライト、マルチロン(いずれも帝人社製))、シクロオレフィン樹脂(例えばゼオノア(日本ゼオン社製)、アートン(JSR社製)、アペル(三井化学社製))、アクリル樹脂(例えばポリメチルメタクリレート、アクリライト(三菱レイヨン社製)、スミペックス(住友化学社製))、ポリイミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート)、ポリエーテルスルホン、ABS/AS樹脂、MBS樹脂、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール/EVOH(エチレンビニルアルコール樹脂)、スチレン系ブロックコポリマー樹脂等からなる透明樹脂フィルムでありうる。透明基板1が透明樹脂フィルムである場合、当該フィルムには2種以上の樹脂が含まれてもよい。
透明性の観点から、透明基板1はガラス基板、もしくはセルロースエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂(特にポリエチレンテレフタレート)、トリアセチルセルロース、シクロオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリエーテルスルホン、ABS/AS樹脂、MBS樹脂、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール/EVOH(エチレンビニルアルコール樹脂)、またはスチレン系ブロックコポリマー樹脂からなるフィルムであることが好ましい。
透明基板1は、可視光に対する透明性が高いことが好ましく;波長450〜800nmの光の平均透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。透明基板1の光の平均透過率が70%以上であると、透明導電体100の光透過性が高まりやすい。また、透明基板1の波長450〜800nmの光の平均吸収率は10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下である。
上記平均透過率は、透明基板1の表面の法線に対して、5°傾けた角度から光を入射させて測定する。一方、平均吸収率は、平均透過率と同様の角度から光を入射させて、透明基板1の平均反射率を測定し;平均吸収率=100−(平均透過率+平均反射率)として算出する。平均透過率及び平均反射率は分光光度計で測定される。
透明基板1の波長570nmの光の屈折率は1.40〜1.95であることが好ましく、より好ましくは1.45〜1.75であり、さらに好ましくは1.45〜1.70である。透明基板の屈折率は、通常、透明基板の材質によって定まる。透明基板の屈折率は、エリプソメーターで測定される。
透明基板1のヘイズ値は0.01〜2.5であることが好ましく、より好ましくは0.1〜1.2である。透明基板のヘイズ値が2.5以下であると、透明導電体のヘイズ値が抑制される。ヘイズ値は、ヘイズメーターで測定される。
透明基板1の厚みは、1μm〜20mmであることが好ましい。透明基板の厚みが1μm以上であると、透明基板1の強度が高まり、第一高屈折率層2の作製時に割れたり、裂けたりし難くなる。一方、透明基板1の厚みが20mm以下であれば、透明導電体100のフレキシブル性が十分となる。さらに透明導電体100を用いた機器の厚みを薄くできる。また、透明導電体100を用いた機器を軽量化することもできる。
透明導電体に特に高いフレキシブル性が要求される場合には、透明基板1の厚みが1μm〜20mmであることが好ましく、より好ましくは1μm〜500μmである。透明基板1の厚みが20mm以下であると、透明基板1のフレキシブル性が高まりやすい。
1−2)第一高屈折率層
第一高屈折率層2は、透明導電体の導通領域a、つまり透明金属膜3が成膜されている領域の光透過性(光学アドミッタンス)を調整する層である。したがって、第一高屈折率層2は、透明導電体の導通領域aに形成される。第一高屈折率層2は、透明導電体100の絶縁領域bにも形成されていてもよいが、後述するように、導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンを視認され難くするとの観点から、導通領域aのみに形成されていることが好ましい。
第一高屈折率層2は、透明導電体の導通領域a、つまり透明金属膜3が成膜されている領域の光透過性(光学アドミッタンス)を調整する層である。したがって、第一高屈折率層2は、透明導電体の導通領域aに形成される。第一高屈折率層2は、透明導電体100の絶縁領域bにも形成されていてもよいが、後述するように、導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンを視認され難くするとの観点から、導通領域aのみに形成されていることが好ましい。
第一高屈折率層2には、前述の透明基板1の屈折率より高い屈折率を有する誘電性材料または酸化物半導体材料が含まれる。当該誘電性材料または酸化物半導体材料の波長570nmの光の屈折率は、透明基板1の波長570nmの光の屈折率より0.1〜1.1大きいことが好ましく、0.4〜1.0大きいことがより好ましい。一方、第一高屈折率層2に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料の波長570nmの光の具体的な屈折率は1.5より大きいことが好ましく、1.7〜2.5であることがより好ましく、さらに好ましくは1.8〜2.5である。誘電性材料または酸化物半導体材料の屈折率が1.5より大きいと、第一高屈折率層2によって、透明導電体100の導通領域aの光学アドミッタンスが十分に調整される。なお、第一高屈折率層2の屈折率は、第一高屈折率層2に含まれる材料の屈折率や、第一高屈折率層2に含まれる材料の密度で調整される。
第一高屈折率層2に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料は、絶縁性の材料であってもよく、導電性の材料であってもよい。誘電性材料または酸化物半導体材料は、上記屈折率を有する金属酸化物でありうる。上記屈折率を有する金属酸化物の例には、TiO2、ITO(酸化インジウムスズ)、ZnO、Nb2O5、ZrO2、CeO2、Ta2O5、Ti3O5、Ti4O7、Ti2O3、TiO、SnO2、La2Ti2O7、IZO(酸化インジウム・酸化亜鉛)、AZO(AlドープZnO)、GZO(GaドープZnO)、ATO(SbドープSnO)、ICO(インジウムセリウムオキサイド)、IGZO(インジウム・ガリウム・亜鉛の酸化物)、SGZO(スズ・ガリウム・亜鉛の酸化物)、TIZO(インジウム・亜鉛、スズの酸化物)、Bi2O3、Ga2O3、GeO2、WO3、HfO2、In2O3、a−GIO(ガリウム、インジウム、及び酸素からなる非晶質酸化物)等が含まれる。第一高屈折率層2は、当該金属酸化物が1種のみ含まれる層であってもよく、2種以上が含まれる層であってもよい。
また、第一高屈折率層2に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料は、ZnSでもありうる。第一高屈折率層2にZnSが含まれると、透明基板1側から水分が透過し難くなり、透明金属膜3の腐食が抑制される。またZnSと銀の親和性が高いため、銀が薄くても連続膜になり易い。ただし、ZnSは比較的高い結晶性を有し、ZnSのみからなる膜は剛直な膜になりやすい。そこで、第一高屈折率層2は、ZnSと金属酸化物または金属フッ化物とを含むアモルファス層であることが好ましい。アモルファス層に含まれる金属酸化物または金属フッ化物は、ZnSをアモルファス化することが可能な化合物であれば特に制限されず、SiO2、Na5Al3F14、Na3AlF6、AlF3、MgF2、CaF2、BaF2、Al2O3、YF3、LaF3、CeF3、NdF3、ZrO2、SiO、MgO、Y2O3、ZnO、In2O3、Ga2O3等でありうる。これらは第一高屈折率層2に1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。これらの化合物は特に好ましくはSiO2である。
第一高屈折率層2がアモルファス層である場合、当該アモルファス層には、アモルファス層の総体積に対してZnSが0.1〜95体積%含まれることが好ましく、より好ましくは50〜90体積%であり、さらに好ましくは70〜85体積%である。ZnSの比率が高いと、スパッタ速度が速くなり、第一高屈折率層2の成膜速度が速くなる。一方、金属酸化物が多く含まれると、第一高屈折率層2の非晶質性が高まり、第一高屈折率層2の割れが抑制される。
第一高屈折率層2の厚みは15〜150nmであることが好ましく、より好ましくは20〜80nmである。第一高屈折率層2の厚みが15nm以上であると、第一高屈折率層2によって、透明導電体100の導通領域aの光学アドミッタンスが十分に調整される。一方、第一高屈折率層2の厚みが150nm以下であれば、第一高屈折率層2が含まれる領域の光透過性が低下し難い。また、第一高屈折率層2の厚みが150nm以下であれば、第一高屈折率層2のフレキシブル性が高まりやすく、透明導電体のフレキシブル性を高めることもできる。第一高屈折率層2の厚みは、エリプソメーターで測定される。
第一高屈折率層2は、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等、一般的な気相成膜法で成膜された層でありうる。第一高屈折率層2の屈折率(密度)が高まるとの観点から、第一高屈折率層2は、電子ビーム蒸着法またはスパッタ法で成膜された層であることが好ましい。電子ビーム蒸着法の場合は膜密度を高めるため、IAD(イオンアシスト)などのアシストがあることが望ましい。
ここで、第一高屈折率層2がZnSと金属酸化物とを含むアモルファス層である場合、ZnS及び金属酸化物を所望の比率で混合した混合物を、蒸着源やスパッタリングターゲットとしてもよい。また、ZnS及び金属酸化物を共蒸着または共スパッタしてもよい。
また、第一高屈折率層2が所望の形状にパターニングされた層である場合、パターニング方法は特に制限されない。第一高屈折率層2は、例えば、所望のパターンを有するマスク等を被成膜面に配置して、気相成膜法でパターン状に成膜された層であってもよく;公知のエッチング法によってパターニングされた層であってもよい。
1−3)透明金属膜
本発明の透明金属膜3は、透明導電体100において電気を導通させるための膜である。透明金属膜3は、前述のように、透明基板1の全面に形成されていてもよく、また所望の形状にパターニングされていてもよい。
本発明の透明金属膜3は、透明導電体100において電気を導通させるための膜である。透明金属膜3は、前述のように、透明基板1の全面に形成されていてもよく、また所望の形状にパターニングされていてもよい。
透明金属膜3は、銀と銀以外の金属との合金からなる。透明金属膜3に銀と共に含まれる銀以外の金属は、銀との合金としたときに、透明金属膜3の表面に局在しやすい金属、もしくは銀と硫黄との結合力より、銀との結合力が強い金属であることが好ましい。透明金属膜3に銀と共に含まれる銀以外の金属は、具体的にはゲルマニウム、ビスマス、白金族、銅、金、モリブデン、亜鉛、ガリウム、スズ、インジウム、ネオジム、チタン、アルミニウム、タングステン、マンガン、鉄、ニッケル、イットリウム、及びマグネシウムである。好ましくはゲルマニウム、ビスマス、パラジウム、銅、金、及びネオジムである。透明金属膜3には、これらの金属が一種のみ含まれてもよく、二種以上含まれてもよい。
透明金属膜3に含まれる銀以外の金属の量は、透明金属膜3を構成する全原子の量に対して、0.01〜10at%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5at%であり、さらに好ましくは0.2〜3at%である。透明金属膜3に他の金属が0.1at%以上含まれると、銀の硫化が抑制されやすい。一方、透明金属膜3に含まれる他の金属の量が10at%以下であると、透明金属膜3の光透過性が高まりやすい。透明金属膜に含まれる各原子の種類や、その含有量は、例えばXPS法等で特定される。
透明金属膜3のプラズモン吸収率は、波長400nm〜800nmにわたって(全範囲で)10%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは5%以下である。波長400nm〜800nmの一部にプラズモン吸収率が大きい領域があると、透明導電体100の導通領域aの透過光が着色しやすくなる。
透明金属膜3の波長400nm〜800nmにおけるプラズモン吸収率は、以下の手順で測定される。
(i)ガラス基板上に、白金パラジウムをマグネトロンスパッタ装置にて0.1nm成膜する。白金パラジウムの平均厚みは、スパッタ装置のメーカー公称値の成膜速度等から算出する。その後、白金パラジウムが付着した基板上にスパッタ法にて金属からなる膜を20nm成膜する。
(i)ガラス基板上に、白金パラジウムをマグネトロンスパッタ装置にて0.1nm成膜する。白金パラジウムの平均厚みは、スパッタ装置のメーカー公称値の成膜速度等から算出する。その後、白金パラジウムが付着した基板上にスパッタ法にて金属からなる膜を20nm成膜する。
(ii)そして、得られた金属膜の表面の法線に対して、5°傾けた角度から測定光を入射させ、金属膜の透過率及び反射率を測定する。そして各波長における透過率及び反射率から、吸収率=100−(透過率+反射率)を算出し、これをリファレンスデータとする。透過率及び反射率は、分光光度計で測定する。
(iii)続いて、測定対象の透明金属膜について、同様に透過率及び反射率を測定する。そして、得られた吸収率から上記リファレンスデータを差し引き、算出された値を、プラズモン吸収率とする。
透明金属膜3の厚みは10nm以下であることが好ましく、好ましくは3〜9nmであり、さらに好ましくは5〜8nmである。透明金属膜3の厚みが10nm以下であると、透明金属膜3に金属本来の反射が生じ難い。さらに、透明金属膜3の厚みが10nm以下であると、後述するように、第一高屈折率層2及び第二高屈折率層4によって、透明導電体100の光学アドミッタンスが調整されやすく、導通領域a表面での光の反射が抑制されやすい。透明金属膜3の厚みは、エリプソメーターで測定される。
透明金属膜3は、いずれの成膜方法で成膜された膜でありうるが、前述のように、透明導電体の波長400〜1000nmの光の平均透過率を80%以上とするためには、スパッタ法で成膜された膜;イオンアシスト法等で成膜された膜;もしくは後述する下地層上に成膜された膜であることが好ましい。
スパッタ法やイオンアシスト法では、成膜時に材料が被成膜体に高速で衝突するため、緻密かつ平滑な膜が得られやすく;透明金属膜3の光透過性が高まりやすい。スパッタ法の種類は特に制限されず、イオンビームスパッタ法や、マグネトロンスパッタ法、反応性スパッタ法、2極スパッタ法、バイアススパッタ法、対向スパッタ法等でありうる。透明金属膜3は、特に対向スパッタ法で成膜された膜であることが好ましい。透明金属膜3が、対向スパッタ法で成膜された膜であると、透明金属膜3が緻密になり、表面平滑性が高まりやすい。その結果、透明金属膜3の表面電気抵抗がより低くなり、光の透過率も高まりやすい。
スパッタ法で透明金属膜3を成膜する場合、銀及び他の金属を所望の比率で混合した合金をスパッタリングターゲットにしてもよく、銀及び他の金属をそれぞれスパッタリングターゲットにしてもよい。
一方、透明金属膜3が後述する下地層上に成膜された膜である場合、透明金属膜3の成膜時に下地層が成長核となるため、透明金属膜3が平滑な膜になりやすい。その結果、透明金属膜3が薄くとも、プラズモン吸収が生じ難くなる。この場合、透明金属膜3の成膜方法は特に制限されず、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等、一般的な気相成膜法でありうる。
また、透明金属膜3が所望の形状にパターニングされた膜である場合、パターニング方法は特に制限されない。透明金属膜3は、例えば、所望のパターンを有するマスクを配置して成膜された膜であってもよく;公知のエッチング法によってパターニングされた膜であってもよい。
1−4)第二高屈折率層
第二高屈折率層4は、透明導電体100の導通領域a、つまり透明金属膜3が成膜されている領域の光透過性(光学アドミッタンス)を調整し、かつ透明金属膜3を外部の水分等から保護するための層である。したがって、第二高屈折率層4は、透明導電体100の導通領域aに形成される。第二高屈折率層4は、透明導電体100の絶縁領域bに形成されてもよいが、後述するように、導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンを視認され難くするとの観点から、導通領域aのみに形成されていることが好ましい。
第二高屈折率層4は、透明導電体100の導通領域a、つまり透明金属膜3が成膜されている領域の光透過性(光学アドミッタンス)を調整し、かつ透明金属膜3を外部の水分等から保護するための層である。したがって、第二高屈折率層4は、透明導電体100の導通領域aに形成される。第二高屈折率層4は、透明導電体100の絶縁領域bに形成されてもよいが、後述するように、導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンを視認され難くするとの観点から、導通領域aのみに形成されていることが好ましい。
第二高屈折率層4には、前述の透明基板1の屈折率より高い屈折率を有する誘電性材料または酸化物半導体材料が含まれる。当該誘電性材料または酸化物半導体材料の波長570nmの光の屈折率は、透明基板1の波長570nmの光の屈折率より0.1〜1.1大きいことが好ましく、0.4〜1.0大きいことがより好ましい。一方、第二高屈折率層4に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料の波長570nmの光の具体的な屈折率は1.5より大きいことが好ましく、1.7〜2.5であることがより好ましく、さらに好ましくは1.8〜2.5である。誘電性材料または酸化物半導体材料の屈折率が1.5より大きいと、第二高屈折率層4によって、透明導電体100の導通領域aの光学アドミッタンスが十分に調整される。なお、第二高屈折率層4の屈折率は、第二高屈折率層4に含まれる材料の屈折率や、第二高屈折率層4に含まれる材料の密度で調整される。
第二高屈折率層4に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料は、絶縁性の材料であってもよく、導電性の材料であってもよい。誘電性材料または酸化物半導体材料は、上記屈折率を有する金属酸化物でありうる。当該金属酸化物は、第一高屈折率層に含まれる金属酸化物と同様でありうる。第二高屈折率層4は、当該金属酸化物が1種のみ含まれる層であってもよく、2種以上含まれる層であってもよい。
第二高屈折率層4に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料は、ZnSでもありうる。第二高屈折率層4にZnSが含まれると、第二高屈折率層4側から水分が透過し難くなり、透明金属膜3の腐食が抑制される。ただし、ZnSは比較的高い結晶性を有し、ZnSのみからなる膜は剛直な膜になりやすい。そこで、第二高屈折率層4は、ZnSと金属酸化物または金属フッ化物とを含むアモルファス層であることが好ましい。アモルファス層に含まれる金属酸化物や金属フッ化物は、ZnSをアモルファス化することが可能な化合物であれば特に制限されず、第一高屈折率層2にZnSと共に含まれる金属酸化物や金属フッ化物等と同様の化合物でありうる。これらは第二高屈折率層4に一種のみ含まれてもよく、二種以上含まれてもよい。ZnSと共に含まれる化合物は、特に好ましくはSiO2である。
第二高屈折率層4がアモルファス層である場合、当該アモルファス層には、アモルファス層の総体積に対してZnSが0.1〜95体積%含まれることが好ましく、より好ましくは50〜90体積%であり、さらに好ましくは70〜85体積%である。ZnSの比率が高いとスパッタ速度が速くなり、第二高屈折率層4の成膜速度が速くなる。一方、ZnS以外の成分が多く含まれると、第二高屈折率層4の非晶質性が高まり、第二高屈折率層4の割れが抑制される。
第二高屈折率層4の厚みは15nm以上150nm以下であることが好ましい。第二高屈折率層4の厚みは、より好ましくは15〜150nmであり、さらに好ましくは20nm〜80nmである。第二高屈折率層4の厚みが15nm以上であると、第二高屈折率層4によって、透明導電体100の導通領域aの光学アドミッタンスが十分に調整される。一方、第二高屈折率層4の厚みが150nm以下であれば、第二高屈折率層4が含まれる領域の光透過性が低下し難い。さらに、第二高屈折率層4のフレキシブル性も高まりやすい。第二高屈折率層4の厚みは、エリプソメーターで測定される。
第二高屈折率層4の成膜方法は特に制限されず、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等、一般的な気相成膜法で成膜された層であり得る。第二高屈折率層4の透湿性が低くなるとの観点から、第二高屈折率層4はスパッタ法で成膜された膜であることが特に好ましい。
ここで、第二高屈折率層4がZnSと金属酸化物とを含むアモルファス層である場合、ZnS及び金属酸化物を所望の比率で混合した混合物を、蒸着源やスパッタリングターゲットとしてもよい。また、ZnS及び金属酸化物を共蒸着または共スパッタしてもよい。
また、第二高屈折率層4が所望の形状にパターニングされた層である場合、パターニング方法は特に制限されない。第二高屈折率層4は、例えば、所望のパターンを有するマスク等を被成膜面に配置して、気相成膜法でパターン状に成膜された層であってもよい。また、公知のエッチング法によってパターニングされた層であってもよい。
1−5)下地層
前述のように、第一高屈折率層2と透明金属膜3との間に、透明金属膜3の成膜時に成長核となる下地層が含まれてもよい。下地層は、少なくとも透明導電体の導通領域aに成膜されていることが好ましく、透明導電体100の絶縁領域bに成膜されていてもよい。
前述のように、第一高屈折率層2と透明金属膜3との間に、透明金属膜3の成膜時に成長核となる下地層が含まれてもよい。下地層は、少なくとも透明導電体の導通領域aに成膜されていることが好ましく、透明導電体100の絶縁領域bに成膜されていてもよい。
前述のように、透明導電体100に下地層が含まれると、透明金属膜3の厚みが薄くとも、透明金属膜3の表面の平滑性が高まる。その理由は以下の通りである。
一般的な気相成膜法で透明金属膜3の材料を第一高屈折率層2上に堆積させると、成膜初期には、第一高屈折率層2上に付着した原子がマイグレート(移動)し、原子が寄り集まって塊(島状構造)を形成する。そして、この塊にまとわりつきながら膜が成長する。そのため、成膜初期の膜では、塊同士の間に隙間があり、導通しない。この状態からさらに塊が成長すると、塊同士の一部が繋がり、かろうじて導通する。しかし、塊同士の間に未だ隙間があるため、プラズモン吸収が生じる。そして、さらに成膜が進むと、塊同士が完全に繋がって、プラズモン吸収が少なくなる。しかしその一方で、金属本来の反射が生じ、膜の光透過性が低下する。
これに対し、第一高屈折率層2上をマイグレートし難い金属からなる下地層が成膜されていると、当該下地層を成長核として、透明金属膜3が成長する。つまり、透明金属膜3の材料がマイグレートし難くなり、前述の島状構造を形成せずに膜が成長する。その結果、厚みが薄くとも平滑な透明金属膜3が得られやすくなる。
ここで、下地層には、パラジウム、モリブデン、亜鉛、ゲルマニウム、ニオブまたはインジウム;あるいはこれらの金属と他の金属との合金や、これらの金属の酸化物や硫化物(例えばZnS)が含まれることが好ましい。下地層には、これらが一種のみ含まれてもよく、二種以上が含まれてもよい。
下地層に含まれるパラジウム、モリブデン、亜鉛、ゲルマニウム、ニオブまたはインジウムの量は、20質量%以上であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上であり、さらに好ましくは60質量%以上である。下地層に上記金属が20質量%以上含まれると、下地層と透明金属膜3との親和性が高まり、下地層と透明金属膜3との密着性が高まりやすい。下地層にはパラジウムまたはモリブデンが含まれることが特に好ましい。
一方、パラジウム、モリブデン、亜鉛、ゲルマニウム、ニオブまたはインジウムと合金を形成する金属は特に制限されないが、例えばパラジウム以外の白金族、金、コバルト、ニッケル、チタン、アルミニウム、クロム等でありうる。
下地層の厚みは、3nm以下であり、好ましくは0.5nm以下であり、より好ましくは単原子膜である。下地層は、透明基板1上に金属原子が互いに離間して付着している膜でもありうる。下地層の付着量が3nm以下であれば、下地層が透明導電体100の光学アドミッタンスに影響を及ぼし難い。下地層の有無はICP−MS法で確認される。また、下地層の厚みは、成膜速度と成膜時間との積から算出される。
下地層は、スパッタ法または蒸着法で成膜された層でありうる。スパッタ法の例には、イオンビームスパッタ法や、マグネトロンスパッタ法、反応性スパッタ法、2極スパッタ法、バイアススパッタ法等が含まれる。下地層成膜時のスパッタ時間は、所望の下地層の平均厚み、及び成膜速度に合わせて適宜選択される。スパッタ成膜速度は、好ましくは0.1〜15Å/秒であり、より好ましくは0.1〜7Å/秒である。
一方、蒸着法の例には、真空蒸着法、電子線蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法等が含まれる。蒸着時間は、所望の下地層の厚み、及び成膜速度に合わせて適宜選択される。蒸着速度は、好ましくは0.1〜15Å/秒であり、より好ましくは0.1〜7Å/秒である。
下地層が所望の形状にパターニングされた層である場合、パターニング方法は特に制限されない。下地層は、例えば、所望のパターンを有するマスク等を被成膜面に配置して、気相成膜法でパターン状に成膜された層であってもよく;公知のエッチング法によってパターニングされた層であってもよい。
1−6)低屈折率層
前述のように、本発明の透明導電体100には、第二高屈折率層4上に、透明導電体の導通領域aの光透過性(光学アドミッタンス)を調整する低屈折率層が含まれてもよい。低屈折率層は、透明導電体100の導通領域aにのみ成膜されていてもよく、透明導電体100の導通領域a及び絶縁領域bの両方に成膜されていてもよい。
前述のように、本発明の透明導電体100には、第二高屈折率層4上に、透明導電体の導通領域aの光透過性(光学アドミッタンス)を調整する低屈折率層が含まれてもよい。低屈折率層は、透明導電体100の導通領域aにのみ成膜されていてもよく、透明導電体100の導通領域a及び絶縁領域bの両方に成膜されていてもよい。
低屈折率層には、第一高屈折率層2に含まれる誘電性材料または酸化物半導材料、及び第二高屈折率層4に含まれるZnSの波長570nmの光の屈折率より、波長570nmの光の屈折率が低い誘電性材料または酸化物半導体材料が含まれる。低屈折率層に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料の波長570nmの光屈折率は、第一高屈折率層2及び第二高屈折率層4に含まれる上記材料の波長570nmの光の屈折率より、それぞれ0.2以上低いことが好ましく、0.4以上低いことがより好ましい。
低屈折率層に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料の波長570nmの光の具体的な屈折率は1.8未満であることが好ましく、より好ましくは1.30〜1.6であり、特に好ましくは1.35〜1.5である。なお、低屈折率層の屈折率は主に、低屈折率層に含まれる材料の屈折率や、低屈折率層に含まれる材料の密度で調整される。
低屈折率層に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料は、MgF2、SiO2、AlF3、CaF2、CeF3、CdF3、LaF3、LiF、NaF、NdF3、YF3、YbF3、Ga2O3、LaAlO3、Na3AlF6、Al2O3、MgO、及びThO2等でありうる。誘電性材料または酸化物半導体材料は中でも、MgF2、SiO2、CaF2、CeF3、LaF3、LiF、NaF、NdF3、Na3AlF6、Al2O3、MgO、またはThO2であることが好ましく、屈折率が低いとの観点から、MgF2及びSiO2が特に好ましい。低屈折率層には、これらの材料が1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。
低屈折率層の厚みは、10〜150nmであることが好ましく、より好ましくは20〜100nmである。低屈折率層の厚みが10nm以上であると、透明導電体表面の光学アドミッタンスが微調整されやすい。一方、低屈折率層の厚みが150nm以下であれば、透明導電体の厚みが薄くなる。低屈折率層の厚みは、エリプソメーターで測定される。
低屈折率層は、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等、一般的な気相成膜法で成膜された層であり得る。成膜の容易性等の観点から、低屈折率層は、電子ビーム蒸着法またはスパッタ法で成膜された層であることが好ましい。
また、低屈折率層がパターニングされた層である場合、パターニング方法は特に制限されない。低屈折率層は、例えば、所望のパターンを有するマスク等を被成膜面に配置して、気相成膜法でパターン状に成膜された層であってもよく;公知のエッチング法でパターニングされた層であってもよい。
1−7)第三高屈折率層
前述のように、本発明の透明導電体100には、低屈折率層上にさらに、透明導電体の導通領域aの光透過性(光学アドミッタンス)を調整する第三高屈折率層が含まれてもよい。第三高屈折率層は、透明導電体100の導通領域aにのみ成膜されていてもよく、透明導電体100の導通領域a及び絶縁領域bの両方に成膜されていてもよい。
前述のように、本発明の透明導電体100には、低屈折率層上にさらに、透明導電体の導通領域aの光透過性(光学アドミッタンス)を調整する第三高屈折率層が含まれてもよい。第三高屈折率層は、透明導電体100の導通領域aにのみ成膜されていてもよく、透明導電体100の導通領域a及び絶縁領域bの両方に成膜されていてもよい。
第三高屈折率層には、前述の透明基板1の屈折率及び前記低屈折率層の屈折率より高い屈折率を有する誘電性材料または酸化物半導体材料が含まれることが好ましい。
第三高屈折率層に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料の波長570nmの光の具体的な屈折率は1.5より大きいことが好ましく、1.7〜2.5であることがより好ましく、さらに好ましくは1.8〜2.5である。誘電性材料または酸化物半導体材料の屈折率が1.5より大きいと、第三高屈折率層によって、透明導電体100の導通領域aの光学アドミッタンスが十分に調整される。なお、第三高屈折率層の屈折率は、第三高屈折率層に含まれる材料の屈折率や、第三高屈折率層に含まれる材料の密度で調整される。
第三高屈折率層に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料の波長570nmの光の具体的な屈折率は1.5より大きいことが好ましく、1.7〜2.5であることがより好ましく、さらに好ましくは1.8〜2.5である。誘電性材料または酸化物半導体材料の屈折率が1.5より大きいと、第三高屈折率層によって、透明導電体100の導通領域aの光学アドミッタンスが十分に調整される。なお、第三高屈折率層の屈折率は、第三高屈折率層に含まれる材料の屈折率や、第三高屈折率層に含まれる材料の密度で調整される。
第三高屈折率層に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料は、絶縁性の材料であってもよく、導電性の材料であってもよい。誘電性材料または酸化物半導体材料は、金属酸化物または金属硫化物であることが好ましい。金属酸化物または金属硫化物の例には、前述の第一高屈折率層2または第二高屈折率層4に含まれる金属酸化物または金属硫化物等が含まれる。第三高屈折率層には、当該金属酸化物または金属硫化物が1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。
第三高屈折率層の厚みは特に制限されず、好ましくは1〜40nmであり、さらに好ましくは5〜20nmである。第三高屈折率層の厚みが上記範囲であると、透明導電体100の導通領域aの光学アドミッタンスが十分に調整される。第三高屈折率層の厚みは、エリプソメーターで測定される。
第三高屈折率層の成膜方法は特に制限されず、第一高屈折率層2や第二高屈折率層4と同様の方法で成膜された層でありうる。
1−8)硫化防止層
前述のように、本発明の透明導電体では、第一高屈折率層2及び第二高屈折率層4のいずれか一方、もしくは両方にZnSが含まれる。そこで、ZnSが含まれる層と透明金属膜との間、具体的には第一高屈折率層2と透明金属膜3との間、もしくは透明金属膜3と第二高屈折率層4との間に、透明金属膜3の硫化を防止するための硫化防止層が含まれてもよい。第一高屈折率層2と透明金属膜3との間に前述の下地層が含まれる場合には、第一高屈折率層2と下地層との間に硫化防止層が含まれることが好ましい。硫化防止層は、透明導電体100の導通領域aのみに形成されてもよく、導通領域a及び絶縁領域bの両方に形成されてもよい。
前述のように、本発明の透明導電体では、第一高屈折率層2及び第二高屈折率層4のいずれか一方、もしくは両方にZnSが含まれる。そこで、ZnSが含まれる層と透明金属膜との間、具体的には第一高屈折率層2と透明金属膜3との間、もしくは透明金属膜3と第二高屈折率層4との間に、透明金属膜3の硫化を防止するための硫化防止層が含まれてもよい。第一高屈折率層2と透明金属膜3との間に前述の下地層が含まれる場合には、第一高屈折率層2と下地層との間に硫化防止層が含まれることが好ましい。硫化防止層は、透明導電体100の導通領域aのみに形成されてもよく、導通領域a及び絶縁領域bの両方に形成されてもよい。
透明金属膜3とZnSを含む層(第一高屈折率層2または第二高屈折率層4)とが隣接して成膜されると、透明金属膜3の成膜時、もしくは第二高屈折率層4の成膜時に、透明金属膜中の金属が硫化されて金属硫化物が生成し、透明導電体の光透過性が低下することがある。これに対し、第一高屈折率層2と透明金属膜3との間、もしくは透明金属膜3と第二高屈折率層4との間に、硫化防止層が含まれると、金属硫化物の生成が抑制される。
硫化防止層は、金属酸化物、金属窒化物、金属フッ化物、またはZnを含む層でありうる。硫化防止層には、これらが一種のみ含まれてもよく、二種以上含まれてもよい。
金属酸化物の例には、TiO2、ITO、ZnO、Nb2O5、ZrO2、CeO2、Ta2O5、Ti3O5、Ti4O7、Ti2O3、TiO、SnO2、La2Ti2O7、IZO、AZO、GZO、ATO、ICO、Bi2O3、a−GIO、Ga2O3、GeO2、SiO2、Al2O3、HfO2、SiO、MgO、Y2O3、WO3、等が含まれる。
金属フッ化物の例には、LaF3、BaF2、Na5Al3F14、Na3AlF6、AlF3、MgF2、CaF2、BaF2、CeF3、NdF3、YF3等が含まれる。
金属窒化物の例には、Si3N4、AlN等が含まれる。
金属フッ化物の例には、LaF3、BaF2、Na5Al3F14、Na3AlF6、AlF3、MgF2、CaF2、BaF2、CeF3、NdF3、YF3等が含まれる。
金属窒化物の例には、Si3N4、AlN等が含まれる。
硫化防止層の厚みは、透明金属膜3の成膜時、もしくは第二高屈折率層4の成膜時に、透明金属膜3が硫化されることを防止可能な厚みであれば、特に制限されない。ただし、第一高屈折率層2や第二高屈折率4に含まれるZnSは、透明金属膜3に含まれる金属との親和性が高い。そのため、硫化防止層の厚みが非常に薄いと、透明金属膜3と第一高屈折率層2、または透明金属膜3と第二高屈折率層4とが接する部分が生じ、各層同士の密着性が高まりやすい。つまり、硫化防止層は比較的薄いことが好ましく、0.1nm〜10nmであることが好ましく、より好ましくは0.5nm〜5nmであり、さらに好ましくは1nm〜3nmである。硫化防止層の厚みは、エリプソメーターで測定される。
硫化防止層は、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等、一般的な気相成膜法で成膜された層でありうる。
硫化防止層が、所望の形状にパターニングされた層である場合、パターニング方法は特に制限されない。硫化防止層は、例えば、所望のパターンを有するマスク等を被成膜面に配置して、気相成膜法でパターン状に成膜された層であってもよく;公知のエッチング法によってパターニングされた層であってもよい。
2.透明導電体の光学アドミッタンスについて
本発明の透明導電体100では、透明金属膜3が、第一高屈折率層2及び第二高屈折率層4に挟み込まれている。その結果、透明金属膜3が含まれる領域;つまり導通領域aの表面の反射が抑制され、導通領域aの光の透過性が高まる。
本発明の透明導電体100では、透明金属膜3が、第一高屈折率層2及び第二高屈折率層4に挟み込まれている。その結果、透明金属膜3が含まれる領域;つまり導通領域aの表面の反射が抑制され、導通領域aの光の透過性が高まる。
透明導電体(導通領域a)の表面(透明導電体における透明基板と反対側の表面)の反射率Rは、光が入射する媒質の光学アドミッタンスYenvと、透明導電体の表面の等価アドミッタンスYEとから定まる。ここで光が入射する媒質とは、透明導電体に入射する光が、その入射直前に通過する部材または環境であって;有機樹脂からなる部材、もしくは環境をいう。媒質の光学アドミッタンスYenvと、透明導電体の表面の等価アドミッタンスYEとの関係は以下の式で表される。
上記の式に基づけば、|Yenv−YE|が0に近い程、透明導電体(導通領域a)の表面の反射率Rが低くなる。
前記媒質の光学アドミッタンスYenvは、電場強度と磁場強度との比(H/E)から求められ、媒質の屈折率nenvと同一である。一方、等価アドミッタンスYEは、透明導電体を構成する層の光学アドミッタンスYから求められる。例えば透明導電体(導通領域a)が一層からなる場合には、透明導電体の等価アドミッタンスYEは、当該層の光学アドミッタンスY(屈折率)と等しくなる。
一方、透明導電体が積層体である場合、1層目からx層目までの積層体の光学アドミッタンスYx(Ex Hx)は、1層目から(x−1)層目までの積層体の光学アドミッタンスYx−1(Ex−1 Hx−1)と、特定のマトリクスとの積で表され;具体的には以下の式(1)または式(2)にて求められる。
そして、x層目が最表層であるときの、透明基板から最表層までの積層物の光学アドミッタンスYx(Ex Hx)が、当該透明導電体の等価アドミッタンスYEとなる。
図4Aに、後述する実施例1の透明導電体(透明基板/第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/下地層(Mo)/透明金属膜(Ag合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)を備える透明導電体)の導通領域aの波長570nmのアドミッタンス軌跡を示す。グラフの横軸は、当該領域の光学アドミッタンスYをx+iyで表したときの実部;つまり当該式におけるxであり、縦軸は光学アドミッタンスの虚部;つまり当該式におけるyである。なお、実施例1の透明導電体では、下地層の厚みが十分に薄いため、その光学アドミッタンスは無視できる。
図4Aにおいて、アドミッタンス軌跡の最終座標が、導通領域aの等価アドミッタンスYEである。そして、等価アドミッタンスYEの座標(xE,yE)と、光が入射する媒質のアドミッタンス座標(nenv,0)(図示せず)との距離が、透明導電体の導通領域aの表面の反射率Rに比例する。
透明金属膜は、一般的に光学アドミッタンスの虚部の値が大きい。そのため、透明基板上に直接透明金属膜を積層すると、アドミッタンス軌跡が縦軸(虚部)方向に大きく移動する。図5Aに、透明基板/透明金属膜/高屈折率層をこの順に備える透明導電体の波長570nmのアドミッタンス軌跡を示し、図5Bに当該透明導電体の波長450nm、波長570nm、及び波長700nmのアドミッタンス軌跡を示す。図5Aに示されるように、透明基板上に直接透明金属膜を積層すると、アドミッタンス軌跡の始点(透明基板のアドミッタンス座標(約1.5,0))から縦軸(虚部)方向にアドミッタンス軌跡が大きく移動し、アドミッタンス座標の虚部の絶対値が非常に大きくなる。そしてアドミッタンス座標の虚部の絶対値が大きくなると、透明金属膜上に高屈折率層を積層しても、等価アドミッタンスYEが、光が入射する媒質のアドミッタンス座標(nenv,0)に近づき難い。
また、図5Aに示されるように、透明基板上に直接透明金属膜を積層すると、アドミッタンス軌跡が、グラフの横軸を中心に線対称になり難い。そして、特定波長(本発明では570nm)におけるアドミッタンス軌跡が、グラフの横軸を中心に線対称にならないと、図5Bに示されるように、他の波長(例えば450nmや700nm)における等価アドミッタンスYEの座標が、大きくぶれやすい。そのため、反射率Rを十分に小さくできない波長領域が生じる。
これに対し、図4Aに示されるように、透明金属膜が、高い屈折率を有する層(第一高屈折率層及び第二高屈折率層)で挟み込まれると、第一高屈折率層によって、アドミッタンス軌跡の虚部の座標が正方向に大きく移動する。そして、透明金属膜によって、アドミッタンス軌跡が虚部の負方向に大きく移動しても、虚部の絶対値が大きくなり難くなる。また、透明金属膜の他方に配設された第二高屈折率層によって、アドミッタンス軌跡の虚部の座標が、再度正方向に大きく移動するため、等価アドミッタンスYEが、光が入射する媒質のアドミッタンス座標(nenv,0)に近くなる。
さらに、透明金属膜が高い屈折率を有する層(第一高屈折率層及び第二高屈折率層)で挟み込まれると、アドミッタンス軌跡がグラフの横軸を中心に線対称になりやすくなる。その結果、いずれの波長においても、等価アドミッタンスYEが、光が入射する媒質のアドミッタンス座標(nenv,0)に近くなる。
ここで、本発明の透明導電体では、透明金属膜の高屈折率層側の表面の波長570nmにおける光学アドミッタンスをY1(=x1+iy1)とし、透明金属膜の中間層側の表面の波長570nmにおける光学アドミッタンスをY2(=x2+iy2)とした場合に、x1及びx2のうちいずれか一方、もしくは両方が1.6以上であることが好ましい。x1またはx2のうちいずれか一方が、1.6以上であると透明導電体の光透過性が高まりやすい。
各層界面のアドミッタンスYと、各層に存在する電場強度Eとの間には、下記関係式が成り立つ。
上記関係式に基づけば、透明金属膜表面の光学アドミッタンスY1及びY2の実数部(x1及びx2)が大きくなれば、電場強度Eが小さくなり、電場損失(光の吸収)が抑制される。すなわち、透明導電体の光透過性が十分に高まる。
したがって、上記x1及びx2のうち、いずれか一方、もしくは両方が1.6以上であることが好ましく、より好ましくは1.8以上であり、さらに好ましくは2.0以上である。特にx1が1.6以上であることが好ましい。またx1及びx2は、7.0以下であることが好ましく、より好ましくは5.5以下である。x1は、第一高屈折率層の屈折率や、第一高屈折率層の厚み等で調整される。x2は、x1の値や透明金属膜の屈折率、第一透明金属膜の厚み等によって調整される。例えば、第一高屈折率層の屈折率が高い場合や、第一高屈折率層の厚みがある程度厚い場合には、x1及びx2の値が大きくなりやすい。またx1とx2との差の絶対値(|x1−x2|)は1.5以下であることが好ましく、より好ましくは1.0以下であり、さらに好ましくは0.8以下である。
また、アドミッタンス軌跡は前述のように、グラフの横軸を中心に線対称であることが好ましい。したがって、上記Y1の虚部の座標y1と、Y2の虚部の座標y2が、y1×y2≦0を満たすことが好ましい。さらに、|y1+y2|が0.8未満であることが好ましく、より好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.3以下である。
さらに、前述のy1が十分に大きいことが好ましい。前述のように、透明金属膜の光学アドミッタンスは虚部の値が大きく、アドミッタンス軌跡が縦軸(虚部)方向に大きく移動する。そのため、y1が十分に大きければ、アドミッタンス座標の虚部の絶対値が適切な範囲に収まり、アドミッタンス軌跡が線対称になりやすい。y1は0.2以上であることが好ましく、より好ましくは0.3〜1.5であり、さらに好ましくは0.3〜1.0である。一方、前述のy2は、−0.3〜−2.0であることが好ましく、より好ましくは−0.6〜−1.5である。
一方、導通領域aの波長570nmの光の等価アドミッタンス座標(xE,yE)と、透明導電体の第二高屈折率層側の表面と接する部材もしくは環境(媒質)の波長570nmの光の等価アドミッタンス座標(nenv,0)との距離((xE−nenv)2+(yE)2)0.5は、0.5未満であることが好ましく、さらに好ましくは0.3以下である。上記距離が0.5未満であれば、導通領域aの表面の反射率Raが十分に小さくなり、導通領域aの光の透過性が高まる。
さらに、透明金属膜3がパターニングされている場合には、導通領域aの波長570nmの光の等価アドミッタンス座標(xE,yE)と、絶縁領域bの波長570nmの光の等価アドミッタンス座標((xb,yb)で表す)との距離、((xE−xb)2+(yE−yb)2)0.5が0.5未満であることが好ましく、より好ましくは0.3以下である。導通領域aの等価アドミッタンス座標と、絶縁領域bの等価アドミッタンス座標との距離が近くなると、導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンが視認され難くなる。また、|(xenv−xb)2+(yenv−yb)2−(xenv−xE)2−(yenv−yE)2|が0.01以下であることが好ましい。当該値が0.01以下であると、導通領域a及び絶縁領域bがいずれも視認され難くなる。
導通領域aの等価アドミッタンスYEの座標と、絶縁領域bの等価アドミッタンスYbの座標とを十分に近づける;つまり((xE−xb)2+(yE−yb)2)0.5を小さくするためには、(i)導通領域aのアドミッタンス軌跡がグラフの横軸を中心に線対称になるようにし、(ii)絶縁領域bには透明基板のみが含まれる構成とすることが好ましい。導通領域aのアドミッタンス軌跡がグラフの横軸を中心に線対称になると、YEの座標は、自ずと透明基板1のアドミッタンスに近づくからである。
3.透明導電体の物性について
本発明の透明導電体の波長400〜1000nmの光の平均透過率は80%以上であることが好ましく、より好ましくは83%以上、さらに好ましくは85%以上である。なお、透明金属膜3がパターニングされており、透明導電体100に導通領域a及び絶縁領域bが含まれる場合、いずれの領域においても、上記平均透過率は80%以上である。波長400〜1000nmの光の平均透過率が80%以上であると、広い波長範囲の光に対して透明性が要求される用途、例えば太陽電池用の透明導電膜等にも透明導電体を適用することができる。
本発明の透明導電体の波長400〜1000nmの光の平均透過率は80%以上であることが好ましく、より好ましくは83%以上、さらに好ましくは85%以上である。なお、透明金属膜3がパターニングされており、透明導電体100に導通領域a及び絶縁領域bが含まれる場合、いずれの領域においても、上記平均透過率は80%以上である。波長400〜1000nmの光の平均透過率が80%以上であると、広い波長範囲の光に対して透明性が要求される用途、例えば太陽電池用の透明導電膜等にも透明導電体を適用することができる。
また特に、透明導電体の波長450〜800nmの光の平均透過率は、導通領域a及び絶縁領域bのいずれにおいても83%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは88%以上である。上記波長範囲における平均透過率が85%以上であると、透明導電体を、可視光に対して高い透明性が要求される用途に適用することができる。
一方、透明導電体の波長400nm〜800nmの光の平均吸収率は、導通領域a及び絶縁領域bのいずれにおいても10%以下であることが好ましく、より好ましくは8%以下であり、さらに好ましくは7%以下である。また、透明導電体の波長450nm〜800nmの光の吸収率の最大値は、導通領域a及び絶縁領域bのいずれにおいても15%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは9%以下である。一方、透明導電体の波長500nm〜700nmの光の平均反射率は、導通領域a及び絶縁領域bのいずれにおいても、20%以下であることが好ましく、より好ましくは15%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。透明導電体の平均吸収率及び平均反射率が低いほど、前述の平均透過率が高まる。
上記平均透過率、平均反射率、及び平均反射率は、透明導電体の使用環境下での平均透過率、平均反射率、及び平均反射率であることが好ましい。具体的には、透明導電体が有機樹脂と貼り合わせて使用される場合には、透明導電体上に有機樹脂からなる層を配置して平均透過率及び平均反射率測定することが好ましい。一方、透明導電体が大気中で使用される場合には、大気中での平均透過率及び平均反射率を測定することが好ましい。透過率及び反射率は、透明導電体の表面の法線に対して5°傾けた角度から測定光を入射させて分光光度計で測定する。吸収率は、100−(透過率+反射率)の計算式より算出される。
また透明導電体100に導通領域a及び絶縁領域bが含まれる場合、導通領域aの反射率及び絶縁領域bの反射率がそれぞれ近似することが好ましい。具体的には、導通領域aの視感反射率と、絶縁領域bの視感反射率との差ΔRが3%以下であることが好ましく、より好ましくは1%以下であり、さらに好ましくは0.3%以下である。一方、導通領域a及び絶縁領域bの視感反射率は、それぞれ5%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。視感反射率は、分光光度計(U4100;日立ハイテクノロジーズ社製)で測定されるY値である。
また透明導電体100に導通領域a及び絶縁領域bが含まれる場合、いずれの領域においても、L*a*b*表色系におけるa*値及びb*値は±30以内であることが好ましく、より好ましくは±5以内であり、さらに好ましくは±3.0以内であり、特に好ましくは±2.0以内である。L*a*b*表色系におけるa*値及びb*値が±30以内であれば、導通領域a及び絶縁領域bのいずれの領域も無色透明に観察される。L*a*b*表色系におけるa*値及びb*値は、分光光度計で測定される。
透明導電体の導通領域aの表面電気抵抗は、50Ω/□以下であることが好ましく、さらに好ましくは30Ω/□以下である。導通領域の表面電気抵抗値が50Ω/□以下である透明導電体は、静電容量方式のタッチパネル用の透明導電パネル等に適用できる。導通領域aの表面電気抵抗値は、透明金属膜の厚み等によって調整される。導通領域aの表面電気抵抗値は、例えばJIS K7194、ASTM D257等に準拠して測定される。また、市販の表面電気抵抗率計によっても測定される。
4.透明導電体の用途
前述の透明導電体は、液晶、プラズマ、有機エレクトロルミネッセンス、フィールドエミッションなど各種方式のディスプレイをはじめ、タッチパネルや携帯電話、電子ペーパー、各種太陽電池、各種エレクトロルミネッセンス調光素子など様々なオプトエレクトロニクスデバイスの基板等に好ましく用いることができる。
前述の透明導電体は、液晶、プラズマ、有機エレクトロルミネッセンス、フィールドエミッションなど各種方式のディスプレイをはじめ、タッチパネルや携帯電話、電子ペーパー、各種太陽電池、各種エレクトロルミネッセンス調光素子など様々なオプトエレクトロニクスデバイスの基板等に好ましく用いることができる。
このとき、透明導電体の表面(例えば、透明基板と反対側の表面)は、接着層等を介して、他の部材と貼り合わせられてもよい。この場合には、前述のように、透明導電体の表面の等価アドミッタンス座標と、接着層のアドミッタンス座標と、がそれぞれ近似することが好ましい。これにより、透明導電体と接着層との界面での反射が抑制される。
一方、透明導電体の表面が空気と接するような構成で使用される場合には、透明導電体の表面のアドミッタンス座標と、空気のアドミッタンス座標と、がそれぞれ近似することが好ましい。これにより、透明導電体と空気との界面での光の反射が抑制される。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はこれによって何ら制限を受けない。
[実施例1]
シクロオレフィンポリマーからなるフィルム(厚み100μm)上に、下記の方法で、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/下地層(Mo)/透明金属膜(APC合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)をこの順に積層した。その後、当該積層体を下記の方法でパターニングした。各層の厚みは、J.A.Woollam Co.Inc.製のVB−250型VASEエリプソメーターで測定した。ただし、下地層の平均厚みはスパッタ装置のメーカー公称値の成膜速度から算出した。得られた透明導電体の分光特性を図4Bに示す。
シクロオレフィンポリマーからなるフィルム(厚み100μm)上に、下記の方法で、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/下地層(Mo)/透明金属膜(APC合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)をこの順に積層した。その後、当該積層体を下記の方法でパターニングした。各層の厚みは、J.A.Woollam Co.Inc.製のVB−250型VASEエリプソメーターで測定した。ただし、下地層の平均厚みはスパッタ装置のメーカー公称値の成膜速度から算出した。得られた透明導電体の分光特性を図4Bに示す。
(第一高屈折率層(ZnS−SiO2))
前記透明基板上に、大阪真空社のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート3.0Å/sでZnS−SiO2をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
ZnSとSiO2との比率(体積比)は、95:5であり、第一高屈折率層の屈折率は2.14であった。
前記透明基板上に、大阪真空社のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート3.0Å/sでZnS−SiO2をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
ZnSとSiO2との比率(体積比)は、95:5であり、第一高屈折率層の屈折率は2.14であった。
(下地層(Mo))
前記第一高屈折率層上に、アネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar 20sccm、スパッタ圧0.5Pa、室温下、ターゲット側電力50W、成膜レート0.4Å/sでMoをDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。
前記第一高屈折率層上に、アネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar 20sccm、スパッタ圧0.5Pa、室温下、ターゲット側電力50W、成膜レート0.4Å/sでMoをDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。
(透明金属膜(APC合金))
アネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar 20sccm、スパッタ圧0.3Pa、室温下、ターゲット側電力100W、成膜レート2.5Å/sでAPC合金(フルヤ金属社製)をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。
アネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar 20sccm、スパッタ圧0.3Pa、室温下、ターゲット側電力100W、成膜レート2.5Å/sでAPC合金(フルヤ金属社製)をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。
(第二高屈折率層(ZnS−SiO2))
前記透明金属膜上に、第一高屈折率層と同様に、第二高屈折率層を成膜した。ZnSとSiO2との比率(体積比)は、95:5であり、第一高屈折率層の屈折率は2.14であった。
前記透明金属膜上に、第一高屈折率層と同様に、第二高屈折率層を成膜した。ZnSとSiO2との比率(体積比)は、95:5であり、第一高屈折率層の屈折率は2.14であった。
(積層体のパターニング)
得られた積層体上にレジスト層をパターン状に成膜し、第一高屈折率層、下地層、透明金属膜、及び第二高屈折率層を図3に示されるパターン(複数の導通領域aと、これを区切るライン状の絶縁領域bとを含むパターン)状にITOエッチング液(林純薬製)でパターニングした。絶縁領域には、透明基板のみが含まれるものとした。また、ライン状の絶縁領域bの幅は16μmとした。
得られた積層体上にレジスト層をパターン状に成膜し、第一高屈折率層、下地層、透明金属膜、及び第二高屈折率層を図3に示されるパターン(複数の導通領域aと、これを区切るライン状の絶縁領域bとを含むパターン)状にITOエッチング液(林純薬製)でパターニングした。絶縁領域には、透明基板のみが含まれるものとした。また、ライン状の絶縁領域bの幅は16μmとした。
[実施例2]
コニカミノルタ製TACフィルム(厚み40μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(APC合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)をこの順に積層した。
下地層を成膜せず、第一高屈折率層及び第二高屈折率層のZnSとSiO2との比率(体積比)を80:20とした以外は、実施例1と同様に各層を成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図6に示す。
コニカミノルタ製TACフィルム(厚み40μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(APC合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)をこの順に積層した。
下地層を成膜せず、第一高屈折率層及び第二高屈折率層のZnSとSiO2との比率(体積比)を80:20とした以外は、実施例1と同様に各層を成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図6に示す。
[実施例3]
東洋紡製PET(コスモシャインA4300 厚み50μm)からなる透明基板上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(APC−SR合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)をこの順に積層した。
第一高屈折率層及び第二高屈折率層は、ZnSとSiO2との比率(体積比)を90:10とした以外は実施例1と同様に成膜した。
透明金属膜は、成膜時のターゲットをAPC−SR合金(フルヤ金属社製)変更した以外は、実施例2と同様に各層を成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図7に示す。
東洋紡製PET(コスモシャインA4300 厚み50μm)からなる透明基板上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(APC−SR合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)をこの順に積層した。
第一高屈折率層及び第二高屈折率層は、ZnSとSiO2との比率(体積比)を90:10とした以外は実施例1と同様に成膜した。
透明金属膜は、成膜時のターゲットをAPC−SR合金(フルヤ金属社製)変更した以外は、実施例2と同様に各層を成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図7に示す。
[実施例4]
ポリカーボネートからなるフィルム(厚み100μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/下地層(Pd)/透明金属膜(APC−SR合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)をこの順に積層した。
第一高屈折率層、及び第二高屈折率層は、それぞれ実施例2と同様に成膜した。
下地層及び透明金属膜は、それぞれ以下の方法で成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図8に示す。
ポリカーボネートからなるフィルム(厚み100μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/下地層(Pd)/透明金属膜(APC−SR合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)をこの順に積層した。
第一高屈折率層、及び第二高屈折率層は、それぞれ実施例2と同様に成膜した。
下地層及び透明金属膜は、それぞれ以下の方法で成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図8に示す。
(下地層(Pd))
真空デバイス社製のマグネトロンスパッタ装置(MSP−1S)で、パラジウムを0.4秒間成膜し、平均厚み0.2nmの成長核を形成した。
真空デバイス社製のマグネトロンスパッタ装置(MSP−1S)で、パラジウムを0.4秒間成膜し、平均厚み0.2nmの成長核を形成した。
(透明金属膜(APC−SR))
FTSコーポレーション社の対向スパッタ機を用い、Ar 20sccm、スパッタ圧0.5Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート14Å/sでAgを対向スパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
FTSコーポレーション社の対向スパッタ機を用い、Ar 20sccm、スパッタ圧0.5Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート14Å/sでAgを対向スパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
[実施例5]
コニカミノルタ製TACフィルム(厚み40μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(APC−SR合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)をこの順に積層した。
透明金属膜は、実施例4と同様に成膜した。
第一高屈折率層及び第二高屈折率層は、それぞれZnSとSiO2との比率(体積比)を70:30とした以外は実施例1と同様に成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図9に示す。
コニカミノルタ製TACフィルム(厚み40μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(APC−SR合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)をこの順に積層した。
透明金属膜は、実施例4と同様に成膜した。
第一高屈折率層及び第二高屈折率層は、それぞれZnSとSiO2との比率(体積比)を70:30とした以外は実施例1と同様に成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図9に示す。
[実施例6]
シクロオレフィンポリマーからなるフィルム(厚み100μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(APC−TR合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)をこの順に積層した。
第一高屈折率層及び第二高屈折率層は、それぞれ実施例2と同様に成膜した。
透明金属膜は、成膜時のターゲットをAPC−TR合金に変更した以外は、実施例4と同様に成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図10に示す。
シクロオレフィンポリマーからなるフィルム(厚み100μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(APC−TR合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)をこの順に積層した。
第一高屈折率層及び第二高屈折率層は、それぞれ実施例2と同様に成膜した。
透明金属膜は、成膜時のターゲットをAPC−TR合金に変更した以外は、実施例4と同様に成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図10に示す。
[実施例7]
ガラスからなる透明基板(厚み50μm)上に、第一高屈折率層(ZnO)/下地層(Pd)/透明金属膜(APC−TR合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)をこの順に積層した。
第一高屈折率層は以下の方法で成膜した。
下地層は実施例4と同様の方法で成膜した。
透明金属膜は成膜時のターゲットをAPC−TR(フルヤ金属社製)とした以外は、実施例4と同様に成膜した。
第二高屈折率層は、実施例2と同様に成膜した。得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図11に示す。
ガラスからなる透明基板(厚み50μm)上に、第一高屈折率層(ZnO)/下地層(Pd)/透明金属膜(APC−TR合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)をこの順に積層した。
第一高屈折率層は以下の方法で成膜した。
下地層は実施例4と同様の方法で成膜した。
透明金属膜は成膜時のターゲットをAPC−TR(フルヤ金属社製)とした以外は、実施例4と同様に成膜した。
第二高屈折率層は、実施例2と同様に成膜した。得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図11に示す。
(第一高屈折率層(ZnO))
大阪真空社のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート1.1Å/sでZnOをRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。ZnOの波長570nmの光の屈折率は、2.01であり、第一高屈折率層の波長570nmの光の屈折率も2.01とした。
大阪真空社のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート1.1Å/sでZnOをRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。ZnOの波長570nmの光の屈折率は、2.01であり、第一高屈折率層の波長570nmの光の屈折率も2.01とした。
[実施例8]
コニカミノルタ製TACフィルム(厚み60μm)上に、第一高屈折率層(ITO)/下地層(Pd)/透明金属膜(Ag−Bi−Ge−Au合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)を順に積層した。
第一高屈折率層は以下の方法で成膜した。
下地層は実施例4と同様の方法で成膜した。
透明金属膜は成膜時のターゲットをGBR15(コベルコ科研社製:Ag(98.35at%)/Bi(0.35at%)/Ge(0.3%)/Au(1.0at%))とした以外は、実施例4と同様に成膜した。
第二高屈折率層は、実施例2と同様の方法で成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図12に示す。
コニカミノルタ製TACフィルム(厚み60μm)上に、第一高屈折率層(ITO)/下地層(Pd)/透明金属膜(Ag−Bi−Ge−Au合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)を順に積層した。
第一高屈折率層は以下の方法で成膜した。
下地層は実施例4と同様の方法で成膜した。
透明金属膜は成膜時のターゲットをGBR15(コベルコ科研社製:Ag(98.35at%)/Bi(0.35at%)/Ge(0.3%)/Au(1.0at%))とした以外は、実施例4と同様に成膜した。
第二高屈折率層は、実施例2と同様の方法で成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図12に示す。
(第一高屈折率層(ITO))
アネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar 20sccm、O2 5sccm、スパッタ圧0.3Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート2.0Å/sでITOをDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。ITOの波長570nmの光の屈折率は、2.12であり、第一高屈折率層の波長570nmの光の屈折率も2.12とした。ITOは、In2O3:SnO2=90:10(質量%比)とした。
アネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar 20sccm、O2 5sccm、スパッタ圧0.3Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート2.0Å/sでITOをDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。ITOの波長570nmの光の屈折率は、2.12であり、第一高屈折率層の波長570nmの光の屈折率も2.12とした。ITOは、In2O3:SnO2=90:10(質量%比)とした。
[実施例9]
東洋紡製PET(コスモシャインA4300 厚み50μm)からなる透明基板上に、第一高屈折率層(Nb2O5)/下地層(Pd)/透明金属膜(Ag−Bi−Ge−Au合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)を順に積層した。
第一高屈折率層は以下の方法で成膜した。
下地層は実施例4と同様の方法で成膜した。
透明金属膜、及び第二高屈折率層は、それぞれ実施例8と同様の方法で成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図13に示す。
東洋紡製PET(コスモシャインA4300 厚み50μm)からなる透明基板上に、第一高屈折率層(Nb2O5)/下地層(Pd)/透明金属膜(Ag−Bi−Ge−Au合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)を順に積層した。
第一高屈折率層は以下の方法で成膜した。
下地層は実施例4と同様の方法で成膜した。
透明金属膜、及び第二高屈折率層は、それぞれ実施例8と同様の方法で成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図13に示す。
(第一高屈折率層(Nb2O5))
アネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar 20sccm、O2 1sccm、スパッタ圧0.5Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート1.2Å/sでNb2O5をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。Nb2O5の波長570nmの光の屈折率は、2.31であり、第一高屈折率層の波長570nmの光の屈折率も2.31とした。
アネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar 20sccm、O2 1sccm、スパッタ圧0.5Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート1.2Å/sでNb2O5をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。Nb2O5の波長570nmの光の屈折率は、2.31であり、第一高屈折率層の波長570nmの光の屈折率も2.31とした。
[実施例10]
コニカミノルタ製TACフィルム(厚み60μm)上に、第一高屈折率層(ZrO2)/下地層(Pd)/透明金属膜(Ag−Bi合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)を順に積層した。
第一高屈折率層は以下の方法で成膜した。
下地層は実施例4と同様の方法で成膜した。
透明金属膜は、成膜ターゲットをGB100(コベルコ科研社製:Ag(99.0at%)/Bi(1.0at%))とした以外は、実施例1と同様の方法で成膜した。
第二高屈折率層は、実施例2と同様に成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図14に示す。
コニカミノルタ製TACフィルム(厚み60μm)上に、第一高屈折率層(ZrO2)/下地層(Pd)/透明金属膜(Ag−Bi合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)を順に積層した。
第一高屈折率層は以下の方法で成膜した。
下地層は実施例4と同様の方法で成膜した。
透明金属膜は、成膜ターゲットをGB100(コベルコ科研社製:Ag(99.0at%)/Bi(1.0at%))とした以外は、実施例1と同様の方法で成膜した。
第二高屈折率層は、実施例2と同様に成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図14に示す。
(第一高屈折率層(ZrO2))
アネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar 20sccm、O2 1sccm、スパッタ圧0.5Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート0.5Å/sでZrO2をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。ZrO2の波長570nmの光の屈折率は、2.05であり、第一高屈折率層の波長570nmの光の屈折率も2.05とした。
アネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar 20sccm、O2 1sccm、スパッタ圧0.5Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート0.5Å/sでZrO2をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。ZrO2の波長570nmの光の屈折率は、2.05であり、第一高屈折率層の波長570nmの光の屈折率も2.05とした。
[実施例11]
東洋紡製PET(コスモシャインA4300 厚み50μm)からなる透明基板上に、第一高屈折率層(Ta2O5)/下地層(Pd)/透明金属膜(Ag−Bi合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)を順に積層した。
第一高屈折率層は以下の方法で成膜した。
下地層は実施例4と同様の方法で成膜した。
透明金属膜は、成膜ターゲットをGB100(コベルコ科研社製:Ag(99.0at%)/Bi(1.0at%))とした以外は、実施例4と同様の方法で成膜した。
第二高屈折率層は、実施例2と同様に成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図15に示す。
東洋紡製PET(コスモシャインA4300 厚み50μm)からなる透明基板上に、第一高屈折率層(Ta2O5)/下地層(Pd)/透明金属膜(Ag−Bi合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)を順に積層した。
第一高屈折率層は以下の方法で成膜した。
下地層は実施例4と同様の方法で成膜した。
透明金属膜は、成膜ターゲットをGB100(コベルコ科研社製:Ag(99.0at%)/Bi(1.0at%))とした以外は、実施例4と同様の方法で成膜した。
第二高屈折率層は、実施例2と同様に成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図15に示す。
(第一高屈折率層(Ta2O5))
Optorun社のGener 1300により、蒸着装置内の全圧が2.0×10−2Paとなるように酸素導入し、400mA、成膜レート4Å/sでTa2O5をイオンアシストせずに電子ビーム(EB)蒸着した。Ta2O5の波長570nmの光の屈折率は2.16であり、第一高屈折率層の屈折率も2.16とした。
Optorun社のGener 1300により、蒸着装置内の全圧が2.0×10−2Paとなるように酸素導入し、400mA、成膜レート4Å/sでTa2O5をイオンアシストせずに電子ビーム(EB)蒸着した。Ta2O5の波長570nmの光の屈折率は2.16であり、第一高屈折率層の屈折率も2.16とした。
[実施例12]
コニカミノルタ製TACフィルム(厚み40μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(APC合金)/第二高屈折率層(ITO)をこの順に積層した。
第一高屈折率層は、実施例2と同様に成膜した。
透明金属膜は、実施例1と同様に成膜した。
第二高屈折率層は、実施例8の第一高屈折率層と同様に成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図16に示す。
コニカミノルタ製TACフィルム(厚み40μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(APC合金)/第二高屈折率層(ITO)をこの順に積層した。
第一高屈折率層は、実施例2と同様に成膜した。
透明金属膜は、実施例1と同様に成膜した。
第二高屈折率層は、実施例8の第一高屈折率層と同様に成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図16に示す。
[実施例13]
ガラスからなる透明基板(厚み50μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(APC−TR合金)/第二高屈折率層(IZO)を順に積層した。
第一高屈折率層及び透明金属膜は、それぞれ実施例6と同様に成膜した。
第二高屈折率層は、以下の方法で成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図17に示す。
ガラスからなる透明基板(厚み50μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(APC−TR合金)/第二高屈折率層(IZO)を順に積層した。
第一高屈折率層及び透明金属膜は、それぞれ実施例6と同様に成膜した。
第二高屈折率層は、以下の方法で成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図17に示す。
(第二高屈折率層(IZO))
アネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar 20sccm、O2 5sccm、スパッタ圧0.3Pa、室温下、ターゲット側電力300W、成膜レート2.2Å/sでIZOをRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。IZOの波長570nmの光の屈折率は2.05であり、第二高屈折率層の波長570nmの光の屈折率も2.05とした。IZOは、In2O3:ZnO=90:10とした。
アネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar 20sccm、O2 5sccm、スパッタ圧0.3Pa、室温下、ターゲット側電力300W、成膜レート2.2Å/sでIZOをRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。IZOの波長570nmの光の屈折率は2.05であり、第二高屈折率層の波長570nmの光の屈折率も2.05とした。IZOは、In2O3:ZnO=90:10とした。
[実施例14]
シクロオレフィンポリマーからなるフィルム(厚み100μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(APC−TR合金)/第二高屈折率層(GZO)をこの順に積層した。
第一高屈折率層及び透明金属膜は、それぞれ実施例6と同様に成膜した。
第二高屈折率層は、以下の方法で成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図18に示す。
シクロオレフィンポリマーからなるフィルム(厚み100μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(APC−TR合金)/第二高屈折率層(GZO)をこの順に積層した。
第一高屈折率層及び透明金属膜は、それぞれ実施例6と同様に成膜した。
第二高屈折率層は、以下の方法で成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図18に示す。
(第二高屈折率層(GZO))
大阪真空社のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート1.1Å/sでGZOをRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
GZOの波長570nmの光の屈折率は、2.04であり、第二高屈折率層の波長570nmの光の屈折率も2.04とした。GZOは、Ga2O3:ZnO=5:95とした。
大阪真空社のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート1.1Å/sでGZOをRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
GZOの波長570nmの光の屈折率は、2.04であり、第二高屈折率層の波長570nmの光の屈折率も2.04とした。GZOは、Ga2O3:ZnO=5:95とした。
[実施例15]
ポリカーボネートからなるフィルム(厚み100μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(APC−SR合金)/第二高屈折率層(Nb2O5)をこの順に積層した。
第一高屈折率層及び透明金属膜は、それぞれ実施例4と同様に成膜した。
第二高屈折率層は、実施例9の第一高屈折率層と同様に成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図19に示す。
ポリカーボネートからなるフィルム(厚み100μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(APC−SR合金)/第二高屈折率層(Nb2O5)をこの順に積層した。
第一高屈折率層及び透明金属膜は、それぞれ実施例4と同様に成膜した。
第二高屈折率層は、実施例9の第一高屈折率層と同様に成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図19に示す。
[実施例16]
東洋紡製PET(コスモシャインA4300 厚み50μm)からなる透明基板上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(Ag−Bi−Ge−Au合金)/第二高屈折率層(TiO2)をこの順に成膜した。
第一高屈折率層は実施例2と同様に成膜し、透明金属膜は実施例8と同様に成膜した。
第二高屈折率層は、以下の方法で成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図20に示す。
東洋紡製PET(コスモシャインA4300 厚み50μm)からなる透明基板上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(Ag−Bi−Ge−Au合金)/第二高屈折率層(TiO2)をこの順に成膜した。
第一高屈折率層は実施例2と同様に成膜し、透明金属膜は実施例8と同様に成膜した。
第二高屈折率層は、以下の方法で成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図20に示す。
(第二高屈折率層(TiO2))
Optorun社のGener 1300により、320mA、成膜レート3Å/sでTiO2を、イオンアシストしながら電子ビーム(EB)蒸着した。イオンビームは電流500mA、電圧500V、加速電圧400Vで照射した。イオンビーム装置内には、O2ガス:50sccm、及びArガス:8sccmを導入した。TiO2の波長570nmの光の屈折率は2.35であり、第二高屈折率層の波長570nmの光の屈折率も2.35とした。
Optorun社のGener 1300により、320mA、成膜レート3Å/sでTiO2を、イオンアシストしながら電子ビーム(EB)蒸着した。イオンビームは電流500mA、電圧500V、加速電圧400Vで照射した。イオンビーム装置内には、O2ガス:50sccm、及びArガス:8sccmを導入した。TiO2の波長570nmの光の屈折率は2.35であり、第二高屈折率層の波長570nmの光の屈折率も2.35とした。
[実施例17]
コニカミノルタ製TACフィルム(厚み40μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(APC−TR合金)/第二高屈折率層(IGZO)をこの順に成膜した。
第一高屈折率層は実施例2と同様に成膜し、透明金属膜は実施例6と同様に成膜した。
第二高屈折率層は、以下の方法で成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図21に示す。
コニカミノルタ製TACフィルム(厚み40μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(APC−TR合金)/第二高屈折率層(IGZO)をこの順に成膜した。
第一高屈折率層は実施例2と同様に成膜し、透明金属膜は実施例6と同様に成膜した。
第二高屈折率層は、以下の方法で成膜した。
得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。得られた透明導電体の分光特性を図21に示す。
(第二高屈折率層(IGZO))
アネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar 20sccm、O2 5sccm、スパッタ圧0.3Pa、室温下、ターゲット側電力300W、成膜レート2.2Å/sでIGZOをRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。IGZOの波長570nmの光の屈折率は、2.09であり、第二高屈折率層の波長570nmの光の屈折率も2.09とした。IGZOは、O:Zn:Ga:In=48.4:13.2:24.9:13.6(at%比)とした。
アネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar 20sccm、O2 5sccm、スパッタ圧0.3Pa、室温下、ターゲット側電力300W、成膜レート2.2Å/sでIGZOをRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。IGZOの波長570nmの光の屈折率は、2.09であり、第二高屈折率層の波長570nmの光の屈折率も2.09とした。IGZOは、O:Zn:Ga:In=48.4:13.2:24.9:13.6(at%比)とした。
[実施例18]
シクロオレフィンポリマーからなるフィルム(厚み100μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(APC合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)をこの順に積層した。
第一高屈折率層及び第二高屈折率層は、実施例2と同様に成膜した。
透明金属膜は、成膜ターゲットをAPC−SR(フルヤ金属社製)とした以外は、実施例4と同様の方法で成膜した。
得られた透明導電体の分光特性を図22に示す。
シクロオレフィンポリマーからなるフィルム(厚み100μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(APC合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)をこの順に積層した。
第一高屈折率層及び第二高屈折率層は、実施例2と同様に成膜した。
透明金属膜は、成膜ターゲットをAPC−SR(フルヤ金属社製)とした以外は、実施例4と同様の方法で成膜した。
得られた透明導電体の分光特性を図22に示す。
[実施例19]
ポリカーボネートからなるフィルム(厚み100μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(APC−SR合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)/低屈折率層(SiO2)/第三高屈折率層(Bi2O3)をこの順に積層した。
第一高屈折率層、透明金属膜、及び第二高屈折率層は、それぞれ実施例4と同様に成膜した。
低屈折率層及び第三高屈折率層は、以下の方法で成膜した。
得られた透明導電体の分光特性を図23に示す。
ポリカーボネートからなるフィルム(厚み100μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(APC−SR合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)/低屈折率層(SiO2)/第三高屈折率層(Bi2O3)をこの順に積層した。
第一高屈折率層、透明金属膜、及び第二高屈折率層は、それぞれ実施例4と同様に成膜した。
低屈折率層及び第三高屈折率層は、以下の方法で成膜した。
得られた透明導電体の分光特性を図23に示す。
(低屈折率層(SiO2))
大阪真空社のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力300W、成膜レート1.6Å/sでSiO2をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。SiO2の波長570nmの光の屈折率は1.46であり、低屈折率層の波長570nmの光の屈折率も1.46とした。
大阪真空社のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力300W、成膜レート1.6Å/sでSiO2をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。SiO2の波長570nmの光の屈折率は1.46であり、低屈折率層の波長570nmの光の屈折率も1.46とした。
(第三高屈折率層(Bi2O3))
大阪真空社のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、Bi2O3をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。Bi2O3の波長570nmの光の屈折率は1.95であり、第三高屈折率層の波長570nmの光の屈折率も1.95とした。
大阪真空社のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、Bi2O3をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。Bi2O3の波長570nmの光の屈折率は1.95であり、第三高屈折率層の波長570nmの光の屈折率も1.95とした。
[実施例20]
ガラスからなるフィルム(厚み50μm)上に、第一高屈折率層(ZnO)/下地層(Pd)/透明金属膜(APC−TR合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)/低屈折率層(SiO2)/第三高屈折率層(ZnS)をこの順に積層した。
第一高屈折率層、下地層、透明金属膜、及び第二高屈折率層は、それぞれ実施例7と同様に成膜した。
低屈折率層は、実施例19と同様の方法で成膜した。
第三高屈折率層は、以下の方法で成膜した。
得られた透明導電体の分光特性を図24に示す。
ガラスからなるフィルム(厚み50μm)上に、第一高屈折率層(ZnO)/下地層(Pd)/透明金属膜(APC−TR合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)/低屈折率層(SiO2)/第三高屈折率層(ZnS)をこの順に積層した。
第一高屈折率層、下地層、透明金属膜、及び第二高屈折率層は、それぞれ実施例7と同様に成膜した。
低屈折率層は、実施例19と同様の方法で成膜した。
第三高屈折率層は、以下の方法で成膜した。
得られた透明導電体の分光特性を図24に示す。
(第三高屈折率層(ZnS))
大阪真空社のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート3.8Å/sでZnSをRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。ZnSの波長570nmの光の屈折率は、2.37であり、第三高屈折率層の波長570nmの光の屈折率も2.37とした。
大阪真空社のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート3.8Å/sでZnSをRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。ZnSの波長570nmの光の屈折率は、2.37であり、第三高屈折率層の波長570nmの光の屈折率も2.37とした。
[実施例21]
東洋紡製PET(コスモシャインA4300 厚み50μm)からなる透明基板上に、第一高屈折率層(ITO)/下地層(Pd)/透明金属膜(Ag−Bi−Ge−Au合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)をこの順に積層した。
第一高屈折率層、下地層、透明金属膜、及び第二高屈折率層は、それぞれ実施例8と同様に成膜した。
得られた透明導電体の分光特性を図25に示す。
東洋紡製PET(コスモシャインA4300 厚み50μm)からなる透明基板上に、第一高屈折率層(ITO)/下地層(Pd)/透明金属膜(Ag−Bi−Ge−Au合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)をこの順に積層した。
第一高屈折率層、下地層、透明金属膜、及び第二高屈折率層は、それぞれ実施例8と同様に成膜した。
得られた透明導電体の分光特性を図25に示す。
[実施例22]
東洋紡製PET(コスモシャインA4300 厚み50μm)からなる透明基板上に、第一高屈折率層(TiO2)/透明金属膜(Ag−Bi合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)をこの順に積層した。
第一高屈折率層は、実施例16の第二高屈折率層と同様に成膜した。
透明金属膜は、実施例11と同様に成膜した。
第二高屈折率層は、実施例2と同様に成膜した。
得られた透明導電体の分光特性を図26に示す。
東洋紡製PET(コスモシャインA4300 厚み50μm)からなる透明基板上に、第一高屈折率層(TiO2)/透明金属膜(Ag−Bi合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)をこの順に積層した。
第一高屈折率層は、実施例16の第二高屈折率層と同様に成膜した。
透明金属膜は、実施例11と同様に成膜した。
第二高屈折率層は、実施例2と同様に成膜した。
得られた透明導電体の分光特性を図26に示す。
[実施例23]
コニカミノルタ製TACフィルム(厚み40μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(Ag−Bi合金)/第二高屈折率層(ITO)をこの順に積層した。
第一高屈折率層及び透明金属膜は、実施例17とそれぞれ同様に成膜した。
第二高屈折率層は、実施例12と同様に成膜した。
得られた透明導電体の分光特性を図27に示す。
コニカミノルタ製TACフィルム(厚み40μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(Ag−Bi合金)/第二高屈折率層(ITO)をこの順に積層した。
第一高屈折率層及び透明金属膜は、実施例17とそれぞれ同様に成膜した。
第二高屈折率層は、実施例12と同様に成膜した。
得られた透明導電体の分光特性を図27に示す。
[実施例24]
ガラスからなるフィルム(厚み50μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(Ag−Ge合金)/第二高屈折率層(IZO)をこの順に積層した。
第一高屈折率層は実施例2と同様に成膜した。
透明金属膜は、成膜ターゲットをAg(99.0at%)−Ge(1.0at%)合金とした以外は、実施例4と同様の方法で成膜した。
第二高屈折率層は実施例13と同様に成膜した。
得られた透明導電体の分光特性を図28に示す。
ガラスからなるフィルム(厚み50μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(Ag−Ge合金)/第二高屈折率層(IZO)をこの順に積層した。
第一高屈折率層は実施例2と同様に成膜した。
透明金属膜は、成膜ターゲットをAg(99.0at%)−Ge(1.0at%)合金とした以外は、実施例4と同様の方法で成膜した。
第二高屈折率層は実施例13と同様に成膜した。
得られた透明導電体の分光特性を図28に示す。
[実施例25]
シクロオレフィンポリマーからなるフィルム(厚み100μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(Ag−Pd合金)/第二高屈折率層(GZO)をこの順に積層した。
第一高屈折率層は実施例2と同様に成膜した。
透明金属膜は、成膜ターゲットをAg(99.0at%)−Pd(1.0at%)合金とした以外は、実施例1と同様の方法で成膜した。
第二高屈折率層は実施例14と同様に成膜した。
得られた透明導電体の分光特性を図29に示す。
シクロオレフィンポリマーからなるフィルム(厚み100μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(Ag−Pd合金)/第二高屈折率層(GZO)をこの順に積層した。
第一高屈折率層は実施例2と同様に成膜した。
透明金属膜は、成膜ターゲットをAg(99.0at%)−Pd(1.0at%)合金とした以外は、実施例1と同様の方法で成膜した。
第二高屈折率層は実施例14と同様に成膜した。
得られた透明導電体の分光特性を図29に示す。
[実施例26]
ポリカーボネートからなるフィルム(厚み100μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(Ag−Cu合金)/第二高屈折率層(Nb2O5)/低屈折率層(SiO2)/第三高屈折率層(ZnS)をこの順に積層した。
第一高屈折率層及び第二高屈折率層は実施例15と同様に成膜した。
透明金属膜は、成膜ターゲットをAg(95.0at%)−Cu(5.0at%)合金とした以外は、実施例4と同様の方法で成膜した。
低屈折率層及び第三高屈折率層は実施例20と同様に成膜した。
得られた透明導電体の分光特性を図30に示す。
ポリカーボネートからなるフィルム(厚み100μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(Ag−Cu合金)/第二高屈折率層(Nb2O5)/低屈折率層(SiO2)/第三高屈折率層(ZnS)をこの順に積層した。
第一高屈折率層及び第二高屈折率層は実施例15と同様に成膜した。
透明金属膜は、成膜ターゲットをAg(95.0at%)−Cu(5.0at%)合金とした以外は、実施例4と同様の方法で成膜した。
低屈折率層及び第三高屈折率層は実施例20と同様に成膜した。
得られた透明導電体の分光特性を図30に示す。
[実施例27]
東洋紡製PET(コスモシャインA4300 厚み50μm)からなる透明基板上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(Ag−Nd合金)/第二高屈折率層(TiO2)をこの順に積層した。
第一高屈折率層及び第二高屈折率層は実施例16と同様に成膜した。
透明金属膜は、成膜ターゲットをAg(99.0at%)−Nd(1.0at%)合金とした以外は、実施例4と同様の方法で成膜した。
得られた透明導電体の分光特性を図31に示す。
東洋紡製PET(コスモシャインA4300 厚み50μm)からなる透明基板上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(Ag−Nd合金)/第二高屈折率層(TiO2)をこの順に積層した。
第一高屈折率層及び第二高屈折率層は実施例16と同様に成膜した。
透明金属膜は、成膜ターゲットをAg(99.0at%)−Nd(1.0at%)合金とした以外は、実施例4と同様の方法で成膜した。
得られた透明導電体の分光特性を図31に示す。
[実施例28]
コニカミノルタ製TACフィルム(厚み40μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(APC−TR合金)/第二高屈折率層(IGZO)をこの順に積層した。
第一高屈折率層及び第二高屈折率層は実施例17と同様に成膜した。
透明金属膜は実施例6と同様に成膜した。
得られた透明導電体の分光特性を図32に示す。
コニカミノルタ製TACフィルム(厚み40μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(APC−TR合金)/第二高屈折率層(IGZO)をこの順に積層した。
第一高屈折率層及び第二高屈折率層は実施例17と同様に成膜した。
透明金属膜は実施例6と同様に成膜した。
得られた透明導電体の分光特性を図32に示す。
[実施例29]
ポリカーボネートからなるフィルム(厚み100μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(Ag−Au合金)/第二高屈折率層(Nb2O5)/低屈折率層(SiO2)/第三高屈折率層(ZnS)をこの順に積層した。
第一高屈折率層、第二高屈折率層、低屈折率層、第三高屈折率層は、それぞれ実施例26の各層と同様に成膜した。
透明金属膜は成膜ターゲットをAg(98.0at%)−Au(2.0at%)合金とした以外は、実施例4と同様の方法で成膜した。
ポリカーボネートからなるフィルム(厚み100μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(Ag−Au合金)/第二高屈折率層(Nb2O5)/低屈折率層(SiO2)/第三高屈折率層(ZnS)をこの順に積層した。
第一高屈折率層、第二高屈折率層、低屈折率層、第三高屈折率層は、それぞれ実施例26の各層と同様に成膜した。
透明金属膜は成膜ターゲットをAg(98.0at%)−Au(2.0at%)合金とした以外は、実施例4と同様の方法で成膜した。
[実施例30]
シクロオレフィンポリマーからなるフィルム(厚み100μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(APC−TR合金)/硫化防止層(ZnO)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)をこの順に積層した。そして、得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。
第一高屈折率層及び第二高屈折率層は、それぞれ実施例2と同様に成膜した。
透明金属膜は実施例6と同様に成膜した。
硫化防止層は、実施例7の第一高屈折率層と同様に成膜した。
シクロオレフィンポリマーからなるフィルム(厚み100μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(APC−TR合金)/硫化防止層(ZnO)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)をこの順に積層した。そして、得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。
第一高屈折率層及び第二高屈折率層は、それぞれ実施例2と同様に成膜した。
透明金属膜は実施例6と同様に成膜した。
硫化防止層は、実施例7の第一高屈折率層と同様に成膜した。
[実施例31]
コニカミノルタ製TACフィルム(厚み40μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/硫化防止層(ZnO)/透明金属膜(APC合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)をこの順に積層した。そして、得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。
第一高屈折率層及び第二高屈折率層は、それぞれ実施例2と同様に成膜した。
透明金属膜は実施例6と同様に成膜した。
硫化防止層は、実施例7の第一高屈折率層と同様に成膜した。
コニカミノルタ製TACフィルム(厚み40μm)上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/硫化防止層(ZnO)/透明金属膜(APC合金)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)をこの順に積層した。そして、得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。
第一高屈折率層及び第二高屈折率層は、それぞれ実施例2と同様に成膜した。
透明金属膜は実施例6と同様に成膜した。
硫化防止層は、実施例7の第一高屈折率層と同様に成膜した。
[実施例32]
東洋紡製PET(コスモシャインA4300 厚み50μm)からなる透明基板上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/第一硫化防止層(ZnO)/透明金属膜(APC−TR合金)/第二硫化防止層(ZnO)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)をこの順に積層した。そして、得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。
第一高屈折率層及び第二高屈折率層は、それぞれ実施例2と同様に成膜した。
透明金属膜は実施例6と同様に成膜した。
硫化防止層は、実施例7の第一高屈折率層と同様に成膜した。
東洋紡製PET(コスモシャインA4300 厚み50μm)からなる透明基板上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/第一硫化防止層(ZnO)/透明金属膜(APC−TR合金)/第二硫化防止層(ZnO)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)をこの順に積層した。そして、得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。
第一高屈折率層及び第二高屈折率層は、それぞれ実施例2と同様に成膜した。
透明金属膜は実施例6と同様に成膜した。
硫化防止層は、実施例7の第一高屈折率層と同様に成膜した。
[実施例33]
東洋紡製PET(コスモシャインA4300 厚み50μm)からなる透明基板上に、第一高屈折率層(ZnS系化合物)/第一硫化防止層(GZO)/透明金属膜(APC−TR合金)/第二硫化防止層(GZO)/第二高屈折率層(SGZO)/第三高屈折率層(ITO)をこの順に積層した。そして、得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。
東洋紡製PET(コスモシャインA4300 厚み50μm)からなる透明基板上に、第一高屈折率層(ZnS系化合物)/第一硫化防止層(GZO)/透明金属膜(APC−TR合金)/第二硫化防止層(GZO)/第二高屈折率層(SGZO)/第三高屈折率層(ITO)をこの順に積層した。そして、得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。
第一高屈折率層及び第二高屈折率層は、成膜時のターゲットを、それぞれ、ZnS化合物(ZnS・ZnO・In2O3・Ga2O3・SiO2(O:Zn:In:Ga:S:Si(at%比)=35:33:5:9:17:1))及びSGZO(O:S:Zn:Ga(at%比)=48.4:0.8:45.2:5.6)とした以外は、実施例1の第一高屈折率層と同様に成膜した。
硫化防止層は、実施例14の第二高屈折率層と同様に成膜した。
透明金属膜は実施例6と同様に成膜した。
第三高屈折率層は、実施例8の第一高屈折率層と同様に成膜した。
得られた透明導電体の分光特性を図36に示す。
硫化防止層は、実施例14の第二高屈折率層と同様に成膜した。
透明金属膜は実施例6と同様に成膜した。
第三高屈折率層は、実施例8の第一高屈折率層と同様に成膜した。
得られた透明導電体の分光特性を図36に示す。
[実施例34]
東洋紡製PET(コスモシャインA4300 厚み50μm)からなる透明基板上に、第一高屈折率層(ZnS系化合物)/第一硫化防止層(IGZO)/透明金属膜(APC−TR合金)/第二硫化防止層(IGZO)/第二高屈折率層(TIZO)/第三高屈折率層(ITO)をこの順に積層した。そして、得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。
東洋紡製PET(コスモシャインA4300 厚み50μm)からなる透明基板上に、第一高屈折率層(ZnS系化合物)/第一硫化防止層(IGZO)/透明金属膜(APC−TR合金)/第二硫化防止層(IGZO)/第二高屈折率層(TIZO)/第三高屈折率層(ITO)をこの順に積層した。そして、得られた積層体を実施例1と同様にパターニングした。
第一高屈折率層及び第二高屈折率層は、成膜時のターゲットを、それぞれ、ZnS・ZnO・Ga2O3(O:Zn:Ga:S(at%比)=29:51:4:16)及びTIZO(O:Zn:In:Sn(at%比)=48:32:16:4)とした以外は、実施例1の第一高屈折率層と同様に成膜した。
硫化防止層は、実施例17の第二高屈折率層と同様に成膜した。
透明金属膜は実施例6と同様に成膜した。
第三高屈折率層は、実施例8の第一高屈折率層と同様に成膜した。
得られた透明導電体の分光特性を図37に示す。
硫化防止層は、実施例17の第二高屈折率層と同様に成膜した。
透明金属膜は実施例6と同様に成膜した。
第三高屈折率層は、実施例8の第一高屈折率層と同様に成膜した。
得られた透明導電体の分光特性を図37に示す。
[比較例1]
石英からなる透明基板上に、第一高屈折率層(ZnS)/透明金属膜(Ag)/第二高屈折率層(ZnS)をこの順に積層した。
第一高屈折率層、透明金属膜、及び第二高屈折率層は、それぞれ以下の方法で成膜した。
得られた透明導電体の分光特性を図33に示す。
石英からなる透明基板上に、第一高屈折率層(ZnS)/透明金属膜(Ag)/第二高屈折率層(ZnS)をこの順に積層した。
第一高屈折率層、透明金属膜、及び第二高屈折率層は、それぞれ以下の方法で成膜した。
得られた透明導電体の分光特性を図33に示す。
(第一高屈折率層及び第二高屈折率層(ZnS))
第一高屈折率層及び第二高屈折率層は、それぞれシンクロン製のBMC−800T蒸着機を用いて、抵抗加熱でZnSからなる膜を成膜した。このときの投入電流値は210A、成膜レートは5Å/sとした。
第一高屈折率層及び第二高屈折率層は、それぞれシンクロン製のBMC−800T蒸着機を用いて、抵抗加熱でZnSからなる膜を成膜した。このときの投入電流値は210A、成膜レートは5Å/sとした。
(透明金属膜(Ag))
第一高屈折率層上に、シンクロン製のBMC−800T蒸着機を用いて、抵抗加熱で銀を12nm成膜した。このときの投入電流値は210A、成膜レートは5Å/sとした。
第一高屈折率層上に、シンクロン製のBMC−800T蒸着機を用いて、抵抗加熱で銀を12nm成膜した。このときの投入電流値は210A、成膜レートは5Å/sとした。
[比較例2]
EAGLE Glassからなる透明基板上に、第一高屈折率層(ZnS)/透明金属膜(Ag)/第二高屈折率層(ZnS)を順に積層した。
第一高屈折率層、及び第二高屈折率層の成膜方法は、実施例1と同様とした。
透明金属膜は、比較例1と同様に成膜した。
EAGLE Glassからなる透明基板上に、第一高屈折率層(ZnS)/透明金属膜(Ag)/第二高屈折率層(ZnS)を順に積層した。
第一高屈折率層、及び第二高屈折率層の成膜方法は、実施例1と同様とした。
透明金属膜は、比較例1と同様に成膜した。
[比較例3]
東洋紡製PET(コスモシャインA4300 厚み50μm)からなる透明基板上に、第一高屈折率層(Nb2O5)/透明金属膜(Ag)/第二高屈折率層(IZO)を順に積層した。
各層はそれぞれ下記の方法で成膜した。
得られた透明導電体の導通領域の分光特性を図34に示す。
東洋紡製PET(コスモシャインA4300 厚み50μm)からなる透明基板上に、第一高屈折率層(Nb2O5)/透明金属膜(Ag)/第二高屈折率層(IZO)を順に積層した。
各層はそれぞれ下記の方法で成膜した。
得られた透明導電体の導通領域の分光特性を図34に示す。
(第一高屈折率層(Nb2O5))
アネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar 20sccm、O2 5sccm、スパッタ圧0.3Pa、室温下、ターゲット側電力300W、成膜レート0.74Å/sでNb2O5をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。Nb2O5の波長570nmの光の屈折率は2.31であるが、高屈折率層の波長570nmの光の屈折率は2.35とした。
アネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar 20sccm、O2 5sccm、スパッタ圧0.3Pa、室温下、ターゲット側電力300W、成膜レート0.74Å/sでNb2O5をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。Nb2O5の波長570nmの光の屈折率は2.31であるが、高屈折率層の波長570nmの光の屈折率は2.35とした。
(透明金属膜(Ag))
日本真空技術株式会社の小型スパッタ装置(BC4279)でDCスパッタした。このとき、ターゲット側電力200Wとした。
日本真空技術株式会社の小型スパッタ装置(BC4279)でDCスパッタした。このとき、ターゲット側電力200Wとした。
(第二高屈折率層(IZO))
アネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar 20sccm、O2 5sccm、スパッタ圧0.3Pa、室温下、ターゲット側電力300W、成膜レート2.2Å/sでIZOをRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。IZOの波長570nmの光の屈折率は2.05であるが、第二高屈折率層の波長570nmの光の屈折率は1.98とした。
アネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar 20sccm、O2 5sccm、スパッタ圧0.3Pa、室温下、ターゲット側電力300W、成膜レート2.2Å/sでIZOをRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。IZOの波長570nmの光の屈折率は2.05であるが、第二高屈折率層の波長570nmの光の屈折率は1.98とした。
[比較例4]
コニカミノルタ製TACフィルム(透明基板)上に、第一高屈折率層(ICO)/下地層(NiCr)/透明金属膜(AgAu)/密着層(NiCr)/第二高屈折率層(ICO)/低屈折率層(SiO2)/フッ素系材料層(KP801M)を順に積層した。
低屈折率層は、実施例12の低屈折率層と同様に成膜した。それ以外の各層は、それぞれ下記の方法で成膜した。
コニカミノルタ製TACフィルム(透明基板)上に、第一高屈折率層(ICO)/下地層(NiCr)/透明金属膜(AgAu)/密着層(NiCr)/第二高屈折率層(ICO)/低屈折率層(SiO2)/フッ素系材料層(KP801M)を順に積層した。
低屈折率層は、実施例12の低屈折率層と同様に成膜した。それ以外の各層は、それぞれ下記の方法で成膜した。
(第一高屈折率層及び第二高屈折率層(ICO))
ターゲットをインジウム中にセリウムが10原子%含まれる材料(ICO)とした以外は、比較例3の第二高屈折率層と同様に成膜した。ICOの波長570nmの光の屈折率は2.2であり、第一高屈折率層及び第二高屈折率層の波長570nmの光の屈折率も2.2とした。
ターゲットをインジウム中にセリウムが10原子%含まれる材料(ICO)とした以外は、比較例3の第二高屈折率層と同様に成膜した。ICOの波長570nmの光の屈折率は2.2であり、第一高屈折率層及び第二高屈折率層の波長570nmの光の屈折率も2.2とした。
(下地層及び密着層(NiCr))
ターゲットをNiCrとした以外は、実施例5の下地層(Pd)と同様に成膜した。
ターゲットをNiCrとした以外は、実施例5の下地層(Pd)と同様に成膜した。
(透明金属膜(AgAu))
アネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar 20sccm、スパッタ圧0.3Pa、室温下、ターゲット側電力100W、成膜レート2.5Å/sでAg合金(Ag中にAuが1.5原子%、Cuが0.5原子%含まれる合金)をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。
アネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar 20sccm、スパッタ圧0.3Pa、室温下、ターゲット側電力100W、成膜レート2.5Å/sでAg合金(Ag中にAuが1.5原子%、Cuが0.5原子%含まれる合金)をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。
(フッ素系材料層(KP801M))
Optorun社のGener 1300によって、190mA、成膜レート10Å/sでフッ素系材料(信越化学工業社製:KP801M)を抵抗加熱蒸着した。
Optorun社のGener 1300によって、190mA、成膜レート10Å/sでフッ素系材料(信越化学工業社製:KP801M)を抵抗加熱蒸着した。
[比較例5]
東洋紡製PET(コスモシャインA4300 厚み50μm)からなる透明基板上に、第一高屈折率層(ITO)/透明金属膜(APC)/第二高屈折率層(ITO)を順に積層した。
第一高屈折率層、及び第二高屈折率層はそれぞれ実施例17の第一高屈折率層と同様の方法で成膜した。
透明金属膜は、下記の方法で成膜した。
東洋紡製PET(コスモシャインA4300 厚み50μm)からなる透明基板上に、第一高屈折率層(ITO)/透明金属膜(APC)/第二高屈折率層(ITO)を順に積層した。
第一高屈折率層、及び第二高屈折率層はそれぞれ実施例17の第一高屈折率層と同様の方法で成膜した。
透明金属膜は、下記の方法で成膜した。
(透明金属膜(APC))
アネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar 20sccm、スパッタ圧0.3Pa、室温下、ターゲット側電力100W、成膜レート2.5Å/sでAgとPdとCuとの合金(Ag:Pd:Cu=99:1:1(質量比))をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。
アネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar 20sccm、スパッタ圧0.3Pa、室温下、ターゲット側電力100W、成膜レート2.5Å/sでAgとPdとCuとの合金(Ag:Pd:Cu=99:1:1(質量比))をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。
[比較例6]
コーニング社製ガラス基板(#7059、厚み1.1mm)からなる透明基板上に、第一高屈折率層(a−GIO)/透明金属膜(Ag)/第二高屈折率層(a−GIO)を順に積層した。
各層はそれぞれ下記の方法で成膜した。
コーニング社製ガラス基板(#7059、厚み1.1mm)からなる透明基板上に、第一高屈折率層(a−GIO)/透明金属膜(Ag)/第二高屈折率層(a−GIO)を順に積層した。
各層はそれぞれ下記の方法で成膜した。
(第一高屈折率層及び第二高屈折率層(a−GIO))
O2ガスを混入したArガス0.6Paの雰囲気中、2.2W/cm2の電力密度で、GaとInの酸化物焼結体を直流スパッタした。導入するO2ガスの割合は、8〜12体積%とした。
O2ガスを混入したArガス0.6Paの雰囲気中、2.2W/cm2の電力密度で、GaとInの酸化物焼結体を直流スパッタした。導入するO2ガスの割合は、8〜12体積%とした。
(透明金属膜(Ag))
Arガス0.6Paの雰囲気中、0.55W/cm2の電力密度で純度4NのAgターゲットを直流スパッタした。
Arガス0.6Paの雰囲気中、0.55W/cm2の電力密度で純度4NのAgターゲットを直流スパッタした。
[比較例7]
K9ガラス基板上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(Ag)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)を順に積層した。
各層はそれぞれ下記の方法で成膜した。
得られた透明導電体の導通領域の分光特性を図35に示す。
K9ガラス基板上に、第一高屈折率層(ZnS−SiO2)/透明金属膜(Ag)/第二高屈折率層(ZnS−SiO2)を順に積層した。
各層はそれぞれ下記の方法で成膜した。
得られた透明導電体の導通領域の分光特性を図35に示す。
(第一高屈折率層及び第二高屈折率層(ZnS−SiO2))
第一高屈折率層及び第二高屈折率層は、前述の特許文献5に記載の方法と同様に成膜した。具体的には、マグネトロンスパッタにより、ZnS−SiO2をRFスパッタした。ZnSとSiO2との比率(質量比)は、80:20であり、第一高屈折率層の屈折率は2.14であった。
第一高屈折率層及び第二高屈折率層は、前述の特許文献5に記載の方法と同様に成膜した。具体的には、マグネトロンスパッタにより、ZnS−SiO2をRFスパッタした。ZnSとSiO2との比率(質量比)は、80:20であり、第一高屈折率層の屈折率は2.14であった。
(透明金属膜(Ag))
第一高屈折率層上に、前述の特許文献5に記載の方法と同様に、Agターゲットを直流スパッタした。
第一高屈折率層上に、前述の特許文献5に記載の方法と同様に、Agターゲットを直流スパッタした。
[評価]
各実施例及び比較例で得られた透明導電体について、腐食性、フレキシブル性、光の透過率、光の反射率、光の吸収率、視感反射率、a*値及びb*値、並びに表面電気抵抗を測定した。結果を表1〜4に示す。さらに、透明導電体の光学アドミッタンスを算出した。値を表5〜8に示す。
各実施例及び比較例で得られた透明導電体について、腐食性、フレキシブル性、光の透過率、光の反射率、光の吸収率、視感反射率、a*値及びb*値、並びに表面電気抵抗を測定した。結果を表1〜4に示す。さらに、透明導電体の光学アドミッタンスを算出した。値を表5〜8に示す。
(腐食評価)
実施例及び比較例で得られた透明導電体の腐食耐性を評価した。腐食耐性は、実施例または比較例で得られた透明導電体を、2個ずつ、65℃、95%Rh中に100時間保存した後の外観で評価した。評価は、以下の基準とした。
○:30mm×30mmの領域において、サイズ20μm以上の腐食箇所が0個
△:30mm×30mmの領域において、サイズ20μm以上の腐食箇所が1個以上10個未満
×:30mm×30mmの領域において、サイズ20μm以上の腐食箇所が10個以上
実施例及び比較例で得られた透明導電体の腐食耐性を評価した。腐食耐性は、実施例または比較例で得られた透明導電体を、2個ずつ、65℃、95%Rh中に100時間保存した後の外観で評価した。評価は、以下の基準とした。
○:30mm×30mmの領域において、サイズ20μm以上の腐食箇所が0個
△:30mm×30mmの領域において、サイズ20μm以上の腐食箇所が1個以上10個未満
×:30mm×30mmの領域において、サイズ20μm以上の腐食箇所が10個以上
(フレキシブル性評価)
実施例及び比較例で得られた透明導電体を平板状の支持部材に載置し、一端を固定した。当該透明導電体をU字状に屈曲させた。屈曲部の曲率半径は5mmとした。そして、支持部材と平行に配置した摺動板に、透明導電体の他端を固定した。摺動板と支持部材とを平行に保ったまま、透明導電体の長さ方向に摺動板を1000回往復移動させた。その後、透明導電体の各層にクラック等が生じたかを目視で確認した。フレキシブル性は以下のように評価した。
○:屈曲部位を含む30mm×30mmの領域に、クラックが一つも生じなかった
△:屈曲部位を含む30mm×30mmの領域に、1個以上50個以下のクラックが生じた
×:屈曲部位を含む30mm×30mmの領域に、50個超のクラックが生じた
実施例及び比較例で得られた透明導電体を平板状の支持部材に載置し、一端を固定した。当該透明導電体をU字状に屈曲させた。屈曲部の曲率半径は5mmとした。そして、支持部材と平行に配置した摺動板に、透明導電体の他端を固定した。摺動板と支持部材とを平行に保ったまま、透明導電体の長さ方向に摺動板を1000回往復移動させた。その後、透明導電体の各層にクラック等が生じたかを目視で確認した。フレキシブル性は以下のように評価した。
○:屈曲部位を含む30mm×30mmの領域に、クラックが一つも生じなかった
△:屈曲部位を含む30mm×30mmの領域に、1個以上50個以下のクラックが生じた
×:屈曲部位を含む30mm×30mmの領域に、50個超のクラックが生じた
(光の透過率、反射率、及び吸収率の測定)
実施例1〜5、7〜17、22、30〜34の透明導電体表面については、以下のように光の透過率、反射率、及び吸収率を測定した。
各実施例で得られた透明導電体の第二高屈折率層上に、マッチングオイル(ニコン社製 屈折率=1.515)を塗布した。そして、透明導電体とコーニング社製無アルカリガラス基板(EAGLE XG(厚さ7mm×縦30mm×横30mm))とを貼り合わせた。そして、無アルカリガラス基板側から、透明導電体の透過率及び反射率を測定した。このとき、無アルカリガラス基板の表面の法線に対して、5°傾けた角度から、導通領域に測定光(例えば、波長450nm〜800nmの光)を入射させ、日立株式会社製:分光光度計 U4100にて、光の透過率及び反射率を測定した。そして、吸収率は、100−(透過率+反射率)の計算式より算出した。
実施例1〜5、7〜17、22、30〜34の透明導電体表面については、以下のように光の透過率、反射率、及び吸収率を測定した。
各実施例で得られた透明導電体の第二高屈折率層上に、マッチングオイル(ニコン社製 屈折率=1.515)を塗布した。そして、透明導電体とコーニング社製無アルカリガラス基板(EAGLE XG(厚さ7mm×縦30mm×横30mm))とを貼り合わせた。そして、無アルカリガラス基板側から、透明導電体の透過率及び反射率を測定した。このとき、無アルカリガラス基板の表面の法線に対して、5°傾けた角度から、導通領域に測定光(例えば、波長450nm〜800nmの光)を入射させ、日立株式会社製:分光光度計 U4100にて、光の透過率及び反射率を測定した。そして、吸収率は、100−(透過率+反射率)の計算式より算出した。
なお、反射率の測定値から、無アルカリガラス基板と大気との界面での反射(4%)、及び透明導電体の透明基板と大気との界面での反射(4%)を差し引いた値を、透明導電体の反射率とした。また、透過率についても、上記無アルカリガラス基板と大気との界面での反射、及び透明導電体の透明基板と大気との界面での反射を考慮し、透過率の測定値に8%足した値を透明導電体の透過率とした。
一方、実施例6、18〜21、23〜29、比較例1、3、及び7の透明導電体は、空気と接触して使用されるものとした。したがって、透明導電体上に、無アルカリガラス基板を貼り合わせずに、導通領域に測定光(例えば、波長450nm〜800nmの光)を入射させ、日立株式会社製:分光光度計 U4100にて、光の透過率及び反射率を測定した。そして、吸収率は、100−(透過率+反射率)の計算式より算出した。なお、測定光は、第二高屈折率層側から入射させた。
なお、反射率の測定値から、透明導電体の透明基板と大気との界面での反射(4%)を差し引いた値を、透明導電体の反射率とした。また、透過率についても、上記透明導電体の透明基板と大気との界面での反射を考慮し、透過率の測定値に4%足した値を透明導電体の透過率とした。
(視感反射率の測定方法)
各透明導電体の視感反射率は、分光光度計(U4100;日立ハイテクノロジーズ社製)で測定した。表中のΔRは、導通領域の視感率と絶縁領域の視感率との差の絶対値を表す。
各透明導電体の視感反射率は、分光光度計(U4100;日立ハイテクノロジーズ社製)で測定した。表中のΔRは、導通領域の視感率と絶縁領域の視感率との差の絶対値を表す。
(導通領域のa*値及びb*値の測定方法)
各透明導電体のL*a*b*表色系におけるa*値及びb*値は、日立株式会社製:分光光度計 U4100で測定した。実施例1〜17、及び30〜34については、導通領域のa*値及びb*値をそれぞれ測定した。
各透明導電体のL*a*b*表色系におけるa*値及びb*値は、日立株式会社製:分光光度計 U4100で測定した。実施例1〜17、及び30〜34については、導通領域のa*値及びb*値をそれぞれ測定した。
(導通領域の表面電気抵抗の測定方法)
各透明導電体の導通領域に三菱化学アナリテック製のロレスタEP MCP−T360を接触させて、導通領域の表面電気抵抗を測定した。
各透明導電体の導通領域に三菱化学アナリテック製のロレスタEP MCP−T360を接触させて、導通領域の表面電気抵抗を測定した。
(光学アドミッタンス)
実施例及び比較例で得られた透明導電体の光学アドミッタンスを特定した。透明金属の第一高屈折率層側の表面の波長570nmの光学アドミッタンスをY1=x1+iy1、透明金属膜の前記第二高屈折率層側の表面の波長570nmの光学アドミッタンスをY2=x2+iy2としたときの(x1,y1)、及び(x2,y2)の値を表に示す。
また、第一高屈折率層、透明金属膜、及び第二高屈折率層をパターニングした透明導電体については、前記透明金属膜を含む積層体(導通領域)表面の波長570nmの光の等価アドミッタンスをYE=xE+iyEで表し、前記透明金属膜を含まない積層体(絶縁領域)表面;つまり透明基板表面の波長570nmの光の等価アドミッタンスをYsub=xsub+iysubで表したときの(xE,yE)、及び(xsub,ysub)の値をそれぞれ表に示す。さらに、((xE−xsub)2+(yE)2)0.5の値、積層体の第二高屈折率層側の表面に接する部材の屈折率をnenvとしたときの|((xsub−xenv)/(xsub+xenv))2−((xE−xenv)/(xE+xenv))2|の値を、それぞれ表に示す。
実施例及び比較例で得られた透明導電体の光学アドミッタンスを特定した。透明金属の第一高屈折率層側の表面の波長570nmの光学アドミッタンスをY1=x1+iy1、透明金属膜の前記第二高屈折率層側の表面の波長570nmの光学アドミッタンスをY2=x2+iy2としたときの(x1,y1)、及び(x2,y2)の値を表に示す。
また、第一高屈折率層、透明金属膜、及び第二高屈折率層をパターニングした透明導電体については、前記透明金属膜を含む積層体(導通領域)表面の波長570nmの光の等価アドミッタンスをYE=xE+iyEで表し、前記透明金属膜を含まない積層体(絶縁領域)表面;つまり透明基板表面の波長570nmの光の等価アドミッタンスをYsub=xsub+iysubで表したときの(xE,yE)、及び(xsub,ysub)の値をそれぞれ表に示す。さらに、((xE−xsub)2+(yE)2)0.5の値、積層体の第二高屈折率層側の表面に接する部材の屈折率をnenvとしたときの|((xsub−xenv)/(xsub+xenv))2−((xE−xenv)/(xE+xenv))2|の値を、それぞれ表に示す。
透明導電体に含まれる層の光学アドミッタンスは、薄膜設計ソフトEssential Macleod Ver.9.4.375で算出した。なお、算出に必要な各層の厚みd、屈折率n、及び吸収係数kは、J.A.Woollam Co.Inc.製のVB−250型VASEエリプソメーターで測定した。
表1〜表3に示されるように、第一高屈折率層または第二高屈折率層がZnS−SiO2からなるアモルファス層であったとしても、透明金属膜がAg合金である場合には、波長400〜800nmの光の平均透過率が86.6%以上であり、波長400〜1000nmの光の平均透過率が80.7%以上であった(実施例1〜34)。
これに対し、表4に示されるように、第一高屈折率層または第二高屈折率層にZnSが含まれており、さらに透明金属膜がAgのみからなる場合(比較例1及び7)には、波長400〜800nmの光の平均透過率が84.2もしくは86.8%であり、波長400〜1000nmの光の平均透過率は80%以下であった。第一高屈折率層または第二高屈折率層に含まれる硫黄成分によって、透明金属膜が硫化されて、光の透過性が低下したと推察される。
なお、蒸着法で透明金属膜を作製した比較例2では、連続膜が得られず、電気が導通しなかった。また、厚みが12nmになると連続膜になったものの(比較例1)、波長400〜1000nmの光の平均反射率が80%を下回った。金属本来の反射が生じたため、透過率が十分に高まらなかったと推察される。
一方、第二高屈折率層がIZOやICO、ITO、a−GIOからなる膜では、透明金属膜が腐食した(比較例3〜6)。
また、第一高屈折率層または第二高屈折率層にZnSが含まれる場合、ZnSと共にSiO2が含まれると、透明導電体のフレキシブル性が高まった。特に、第一高屈折率層または第二高屈折率層にSiO2が10体積%以上含まれると、透明導電体のフレキシブル性が良好であった。
本出願は、2013年11月5日出願の特願2013−229256に基づく優先権を主張する。当該出願明細書および図面に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
本発明で得られる透明導電体は、透明金属膜が硫化し難いため、光透過性が高く、さらに表面電気抵抗値が低い。したがって、各種方式のディスプレイをはじめ、タッチパネルや携帯電話、電子ペーパー、各種太陽電池、各種エレクトロルミネッセンス調光素子など様々なオプトエレクトロニクスデバイスに好ましく用いられる。
1 透明基板
2 第一高屈折率層
3 透明金属膜
4 第二高屈折率層
100 透明導電体
2 第一高屈折率層
3 透明金属膜
4 第二高屈折率層
100 透明導電体
Claims (3)
- 透明基板と、
前記透明基板の波長570nmの光の屈折率より、波長570nmの光の屈折率が高い誘電性材料または酸化物半導体材料を含む第一高屈折率層と、
ゲルマニウム、ビスマス、白金族、銅、金、モリブデン、亜鉛、ガリウム、スズ、インジウム、ネオジム、チタン、アルミニウム、タングステン、マンガン、鉄、ニッケル、イットリウム、及びマグネシウムからなる群から選ばれる一種以上の金属と銀との合金からなる透明金属膜と、
前記透明基板の波長570nmの光の屈折率より、波長570nmの光の屈折率が高い誘電性材料または酸化物半導体材料を含む第二高屈折率層と、
がこの順に積層された透明導電体であって、
前記第一高屈折率層または前記第二高屈折率層のうち、少なくとも一方の層が、ZnSと金属酸化物または金属フッ化物とを含むアモルファス層である、透明導電体。 - 前記アモルファス層が含む前記金属酸化物が、SiO2である、請求項1に記載の透明導電体。
- 前記透明金属膜が、所定の形状にパターニングされた金属パターンである、請求項1に記載の透明導電体。
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