JP6344095B2 - 透明導電体及びタッチパネル - Google Patents

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Description

本発明は、透明導電体及びタッチパネルに関する。より詳しくは、低抵抗、高透過性及び湿熱耐性を備えた透明導電体及びタッチパネルに関する。
近年、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、無機及び有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ等の表示装置、タッチパネル、太陽電池等の各種装置に透明導電体が使用されている。
タッチパネル型の表示装置等では、表示素子の画像表示面上に、透明導電体を含む配線が配置される。したがって、透明導電体には、光の透過性が高いことが求められる。このような各種表示装置には、光透過性の高いITOを用いた透明導電体が多用されている。
近年、静電容量方式のタッチパネル表示装置が開発され、透明導電体の表面電気抵抗をさらに低くすることが求められている。しかし、従来のITO膜では、表面抵抗を十分に下げられないという問題があった。
そこで、銀を蒸着して形成する層(以下、Ag層又は透明金属層ともいう。)を透明導電体に用いることが検討されている。また、透明導電体の光透過性を高めるため、Ag層を屈折率の高い膜(例えば、酸化ニオブ(Nb)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、ICO(インジウム・セリウム酸化物)、a−GIO(ガリウム・インジウム・酸化物)等からなる膜)で挟み込むことも提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
さらに、Ag層を、硫化亜鉛を含有する層(以下、ZnS層又は硫化亜鉛含有層ともいう。)や、ZnSSiO層で挟み込むことが提案されている。
また、Ag層を、GZO(ガリウム・亜鉛酸化物)層で挟み込むことが提案されている(例えば、特許文献2及び非特許文献1参照)。
しかし、特許文献1に示されるように、酸化ニオブやIZO等の誘電体層でAg層を挟み込んだ透明導電体では、耐湿性が十分でなかった。その結果、高湿度環境下で透明導電体を使用すると、Ag層が腐食しやすい等の問題があった。
一方、Ag層をZnSを含む層に挟み込んだ透明導電体では、透明導電体の耐湿性が十分に高いものの、Ag層を形成する際に、又はZnSを含む層を形成する際に、銀が硫化されて硫化銀が生じやすい。その結果、透明導電体の光透過性が低くなるという問題があった。また、基材に対して最上層にZnSを含有していると、ZnSは絶縁性が高いため、金属系引出配線と透明導電体が電気的に接続しなくなってしまうという問題が生じていた。
また、Ag層をGZO層で挟み込んだ透明導電体は、GZOは導電性が高いため、金属系引出配線と電気的に接続するが、GZOの屈折率が低いため、透明性が不足していた。また、高温高湿での耐久性も不十分であった。
特開2008−226581号公報 特開2006−236747号公報
Ho-KyunPark,Jae-WookKang,Seok-InNa,Don-YuKim,Han-KiKim,「Solar Energy Materials & Solar Cells」Volume 93,(2009),p.1994-2002
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、低抵抗、高透過性及び湿熱耐性を備え、かつ、金属引出配線と電気的に接続可能な透明導電体及びタッチパネルを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、透明金属層を、少なくとも硫黄を含有する層と、少なくともガリウムを含有する層で、挟み込んだ透明導電体とすることによって、低抵抗、高透過性及び湿熱耐性を備え、かつ、金属引出配線と電気的に接続可能となることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも、透明基板、第1高屈折率層、透明金属層及び第2高屈折率層を、この順に有する透明導電体であって、
前記第1高屈折率層が、少なくとも硫黄を含有し、
前記第2高屈折率層が、少なくともガリウムを含有し、
前記ガリウムが、Gaとして、前記第2高屈折率層に〜35質量%の範囲内で含有され、かつ、
前記第1高屈折率層と透明金属層との間に、前記透明金属層の硫化を防止するための硫化防止層を有し、
前記硫化防止層が、ZnOとGa からなる複合酸化物(GZO)からなることを特徴とする透明導電体。
2.前記第2高屈折率層が、ZnO、In3、又はSnOのうち少なくともいずれかを含有することを特徴とする第1項に記載の透明導電体。
.前記第2高屈折率層が、ZnO、In、又はSnOのうち少なくとも2種類以上を含有することを特徴とする第2項に記載の透明導電体。
.前記第1高屈折率層が、ZnS又はSiOのうち少なくとも一方を含有することを特徴とする第1項から第項までのいずれか一項に記載の透明導電体。
.第1項から第項までのいずれか一項に記載の透明導電体を用いたことを特徴とするタッチパネル。
本発明の上記手段により、低抵抗、高透過性及び湿熱耐性を備え、かつ、金属引出配線と電気的に接続可能な透明導電体及びタッチパネルを提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
第1高屈折率層が少なくとも硫黄を含有することによって、透明基板側から水分が透過し難くなり、透明金属層の腐食が抑制され、耐湿性に優れる。また、第2高屈折率層が少なくともガリウムを含有することによって、導電性が高く、金属引出配線との電気的接続が可能となる。さらに、銀と硫化亜鉛と接する層の間(透明金属層と第1高屈折率層との間)に他の層を設けることで硫化防止するため、低抵抗及び高透過性に優れると推察される。
本発明の透明導電体の構成の一例を示す概略断面図 本発明の透明導電体の導通領域及び絶縁領域からなるパターンの一例を示す模式図 電極パターンを有する透明導電体を備えたタッチパネルの構成の一例を示す斜視図 透明導電体の波長570nmのアドミッタンス軌跡を示すグラフ
本発明の透明導電体は、少なくとも、透明基板、第1高屈折率層、透明金属層及び第2高屈折率層を、この順に有する透明導電体であって、前記第1高屈折率層が、少なくとも硫黄を含有し、前記第2高屈折率層が、少なくともガリウムを含有し、前記ガリウムが、Gaとして、前記第2高屈折率層に〜35質量%の範囲内で含有され、かつ、
前記第1高屈折率層と透明金属層との間に、前記透明金属層の硫化を防止するための硫化防止層を有し、前記硫化防止層が、ZnOとGa からなる複合酸化物(GZO)からなることを特徴とする。この特徴は、本実施形態に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、前記第2高屈折率層が、ZnO、In、又はSnOのうち少なくともいずれかを含有することが好ましい。
また、前記ガリウムが、Gaとして、前記第2高屈折率層に1〜35質量%の範囲内で含有されていることが、導電性の点で好ましい。
また、前記第2高屈折率層が、ZnO、In、又はSnOのうち少なくとも2種類以上を含有することが、フォトリソグラフィー法による電極パターンの形成の際に、耐薬品性に優れる点で好ましい。
また、前記第1高屈折率層が、ZnS又はSiOのうち少なくとも一方を含有することが、第1高屈折率層が非晶質になりやすく、透明導電体のフレキシブル性が高まりやすい点で好ましい。
本発明の透明導電体は、タッチパネルに好適に用いられる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[透明導電体]
<透明導電体の構成>
図1は、本発明の透明導電体の構成の一例を示す概略断面図である。
本発明の透明導電体100は、少なくとも、透明基板1、第1高屈折率層2、透明金属層3及び第2高屈折率層4を、この順に有する透明導電体100であって、第1高屈折率層が、少なくとも硫黄を含有し、第2高屈折率層が、少なくともガリウムを含有することを特徴とする。
また、図1に示すように、第1高屈折率層2と透明金属層3との間には、硫化防止層5aを設けることが好ましい。
本発明の透明導電体100では、図1で示すように、透明金属層3が透明基板1の全面に積層されていてもよく、図2に示すように、例えば、第1高屈折率層2、硫化防止層5a、透明金属層3、第2高屈折率層4から構成される透明電極ユニットEUが所望の形状にパターニングされていてもよい。本発明の透明導電体100において、透明電極ユニットEUが積層されている領域aが、電気が導通する領域(以下、「導通領域」とも称する)である。一方、透明電極ユニットEUを有していない領域bが絶縁領域である。
また、導通領域aから金属引出配線202(図3参照)が形成されている。
導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンは、透明導電体100の用途に応じて、適宜選択される。静電方式のタッチパネルに適用するパターンの詳細については、後述する。
また、本発明の透明導電体100には、透明基板1、第1高屈折率層2、透明金属層3、第2高屈折率層4、及び硫化防止層5aの他に、必要に応じて公知の機能性層を設けてもよい。
例えば、透明金属層3の形成時に成長核になり得る下地層(図示略)が、透明金属層3と第1高屈折率層2との間に、透明金属層3に隣接して設けられてもよい。
本発明の透明導電体100に含まれる層は、透明基板1を除いて、いずれも無機材料からなる層であることが好ましい。例えば、第2高屈折率層4上に有機樹脂からなる接着層が積層されていたとしても、透明基板1から第2高屈折率層4までの積層体が、本発明の透明導電体100であると定義する。
以下、本発明の透明導電体の各構成要素について説明する。
<透明基板>
透明基板1は、各種表示デバイスの透明基板と同様とすることができる。
透明基板1は、ガラス基板や、セルロースエステル樹脂(例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース等)、ポリカーボネート樹脂(例えばパンライト、マルチロン(いずれも帝人社製))、シクロオレフィン樹脂(例えばゼオノア(日本ゼオン社製)、アートン(JSR社製)、アペル(三井化学社製))、アクリル樹脂(例えばポリメチルメタクリレート、「アクリライト(三菱レイヨン社製)、スミペックス(住友化学社製))、ポリイミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート)、ポリエーテルスルホン、ABS/AS樹脂、MBS樹脂、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール/EVOH(エチレンビニルアルコール樹脂)、スチレン系ブロックコポリマー樹脂等からなる透明樹脂フィルムでありうる。透明基板1が透明樹脂フィルムである場合、当該フィルムには二種以上の樹脂が含まれてもよい。
透明性の観点から、透明基板1はガラス基板、セルロースエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂(特にポリエチレンテレフタレート)、トリアセチルセルロース、シクロオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリエーテルスルホン、ABS/AS樹脂、MBS樹脂、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール/EVOH(エチレンビニルアルコール樹脂)、又はスチレン系ブロックコポリマー樹脂からなるフィルムであることが好ましい。
透明基板1は、可視光に対する透明性が高いことが好ましく、波長450〜800nmの範囲内の光の平均透過率が、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。透明基板1の光の平均透過率が70%以上であると、透明導電体100の光透過性が高まりやすい。
また、透明基板1の波長450〜800nmの範囲内の光の平均吸収率は、10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下である。
上記平均透過率は、透明基板1の表面の法線に対して、5°傾けた角度から光を入射させて測定する。一方、平均吸収率は、平均透過率と同様の角度から光を入射させて、透明基板1の平均反射率を測定し、平均吸収率=100−(平均透過率+平均反射率)として算出する。平均透過率及び平均反射率は分光光度計で測定される。
透明基板1の波長570nmの光の屈折率(25℃、55%RH環境下で測定)は、1.40〜1.95の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1.45〜1.75の範囲内であり、さらに好ましくは1.45〜1.70の範囲内である。
透明基板の屈折率は、通常、透明基板の材質によって定まる。透明基板の屈折率は、エリプソメーターで測定される。
透明基板1のヘイズ値は、0.01〜2.5の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜1.2の範囲内である。透明基板のヘイズ値が2.5以下であると、透明導電体のヘイズ値が抑制される。ヘイズ値は、ヘイズメーターで測定される。
透明基板1の厚さは、1μm〜20mmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10μm〜2mmの範囲内である。透明基板の厚さが1μm以上であると、透明基板1の強度が高まり、第1高屈折率層2の作製時に割れたり、裂けたりし難くなる。一方、透明基板1の厚さが20mm以下であれば、透明導電体100のフレキシブル性が十分となる。さらに、透明導電体100を用いた機器の厚さを薄くできる。また、透明導電体100を用いた機器を軽量化することもできる。
<第1高屈折率層>
第1高屈折率層2は、透明導電体の導通領域a、つまり透明金属層3が形成されている領域の光透過性を調整する層であり、少なくとも透明導電体100の導通領域aに形成される。第1高屈折率層2は、透明導電体100の絶縁領域bにも形成されていてもよいが、導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンを視認され難くするとの観点から、導通領域aのみに形成されていることが好ましい。
第1高屈折率層2は、少なくとも硫黄(S)を含有し、好ましくはZnS(硫化亜鉛)又はSiOのうち少なくとも一方を含有する。
第1高屈折率層2にZnSが含まれると、透明基板1側から水分が透過し難くなり、透明金属層3の腐食が抑制される。
ZnSとともにSiOが含まれると、第1高屈折率層2が非晶質になりやすく、透明導電体100のフレキシブル性が高まりやすい。
また、第1高屈折率層2は、ZnSやSiOの他に、金属酸化物を含有することが好ましい。
ZnSやSiOとともに含まれる金属酸化物は、誘電性材料又は酸化物半導体材料である。
第1高屈折率層2は、透明基板1の屈折率より高い屈折率を有する。第1高屈折率層2の波長570nmの光の屈折率(25℃、55%RH環境下で測定)は2.0〜2.4の範囲内であることが、白色に見えて、骨見え防止の観点から好ましい。
第1高屈折率層2に含有される上記誘電性材料又は酸化物半導体材料の波長570nmの光の屈折率は、透明基板1の波長570nmの光の屈折率より0.1〜1.1大きいことが好ましく、0.4〜1.0大きいことがより好ましい。
一方、第1高屈折率層2に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料の波長570nmの光の具体的な屈折率は1.5より大きいことが好ましく、1.7〜2.5の範囲内であることがより好ましく、さらに好ましくは1.8〜2.5の範囲内である。誘電性材料又は酸化物半導体材料の屈折率が1.5より大きいと、第1高屈折率層2によって、透明導電体100の導通領域aの光透過性が十分に調整される。
なお、第1高屈折率層2の屈折率は、第1高屈折率層2に含まれる材料の屈折率や、第1高屈折率層2に含まれる材料の密度で調整される。
第1高屈折率層2に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料は、絶縁性の材料であってもよく、導電性の材料であってもよい。
誘電性材料又は酸化物半導体材料としては、以下の金属酸化物が挙げられる。例えば、TiO、ITO(インジウム・スズ酸化物)、ZnO、Nb、ZrO、CeO、Ta、Ti、Ti、Ti、TiO、SnO、LaTi、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、AZO(アルミニウム・亜鉛酸化物)、GZO(ガリウム・亜鉛酸化物)、ATO(アンチモン・スズ酸化物)、ICO(インジウム・セリウム酸化物)、Bi、Ga、GeO、WO、HfO、a−GIO(ガリウム・インジウム酸化物)、IGZO(インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物)等が挙げられる。第1高屈折率層2には、当該金属酸化物が1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。
また、第1高屈折率層2は、複数層から構成されても良い。
第1高屈折率層2にZnSとともに他の材料が含まれる場合、ZnSの量は、第1高屈折率層2を構成する材料の総モル数に対して、0.1〜95質量%以下であることが好ましく、50〜90質量%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは60〜85質量%以下である。
ZnSの比率が高いとスパッタ速度が速くなり、第1高屈折率層2の形成速度が速くなる。一方、ZnS以外の成分が多く含まれると、第1高屈折率層2の非晶質性が高まり、第1高屈折率層2の割れが抑制される。
第1高屈折率層2の厚さは、15〜150nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは20〜50nmの範囲内である。第1高屈折率層2の厚さが15nm以上であると、第1高屈折率層2によって、透明導電体100の導通領域aの光透過性が十分に調整される。一方、第1高屈折率層2の厚さが150nm以下であれば、第1高屈折率層2が含まれる領域の光透過性が低下し難い。第1高屈折率層2の厚さは、エリプソメーターで測定される。
第1高屈折率層2は、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法及び熱CVD法等の一般的な気相成膜法で形成された層である。
第1高屈折率層2の屈折率(密度)が高まるとの観点から、第1高屈折率層2は、電子ビーム蒸着法又はスパッタ法で形成された層であることが好ましい。電子ビーム蒸着法の場合は膜密度を高めるため、イオンアシスト法(Ion Assisted Deposition:IAD)などによるアシストがあることが望ましい。
また、第1高屈折率層2が所望の形状にパターニングされた層である場合、パターニング方法は特に制限されない。第1高屈折率層2は、例えば、所望のパターンを有するマスク等を被形成面に配置して、気相成膜法でパターン状に形成された層であってもよく、公知のエッチング法によってパターニングされた層であってもよい。
<透明金属層>
透明金属層3は、透明導電体100において電気を導通させるための層である。
本発明の透明導電体100では、透明金属層3が透明基板1の全面に積層されていてもよく、図2及び図3に示すように、目的とするデバイスの用途に合わせて所望の形状にパターニングされていてもよい。
図2においては、透明電極ユニットEUを除去した領域を絶縁領域bとしているが、一例であって、少なくとも透明金属層3が除去されていれば適宜変更することができる。
導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンは、透明導電体100の用途に応じて、適宜選択される。
透明金属層3に含まれる金属は、導電性の高い金属であれば特に制限されず、例えば、銀、銅、金、白金、チタン、クロム等が挙げられる。
透明金属層3には、これらの金属が一種のみ含まれてもよく、二種以上含まれてもよい。導電性が高いとの観点から、透明金属層は銀、又は銀が90at%以上含まれる合金からなることが好ましい。
銀と組み合わされる金属としては、亜鉛、金、銅、パラジウム、アルミニウム、マンガン、ビスマス、ネオジム、モリブデン等が挙げられる。例えば、銀と亜鉛とが組み合わされると、透明金属層の耐硫化性が高まる。銀と金とが組み合わされると、耐塩(NaCl)性が高まる。さらに、銀と銅とが組み合わされると、耐酸化性が高まる。
透明金属層3は、500nmにおいて透過率が20%以上で、かつ、プラズモン吸収率が30%以下であることが好ましい。
透明金属層3のプラズモン吸収率は、波長400〜800nmにわたって(全範囲で)10%以下であることがより好ましく、7%以下であることがさらに好ましく、特に好ましくは5%以下である。波長400〜800nmの一部にプラズモン吸収率が大きい領域があると、透明導電体100の導通領域aの透過光が着色しやすくなる。
透明金属層3の波長400〜800nmにおけるプラズモン吸収率は、以下の手順で測定される。
(i)ガラス基板上に、白金パラジウムをマグネトロンスパッタ装置にて0.1nm成膜する。白金パラジウムの平均厚さは、スパッタ装置のメーカー公称値の成膜速度等から算出する。その後、白金パラジウムが付着した基板上にスパッタ法にて金属からなる膜を20nm形成する。
(ii)そして、得られた金属膜の表面の法線に対して、5°傾けた角度から測定光を入射させ、金属膜の光透過率及び光反射率を測定する。そして各波長における光透過率及び光反射率から、光吸収率=100−(光透過率+光反射率)を算出し、これをリファレンスデータとする。光透過率及び光反射率は、分光光度計で測定する。
(iii)続いて、測定対象の透明金属層を同様のガラス基板上に形成する。そして、当該透明金属層について、同様に光透過率及び光反射率を測定する。得られた光吸収率から上記リファレンスデータを差し引き、算出された値を、プラズモン吸収率とする。
透明金属層3の厚さは、20nm以下が好ましく、10nm以下がより好ましく、さらに好ましくは3〜9nmの範囲内であり、特に好ましくは5〜8nmの範囲内である。
透明金属層3の厚さを20nm以下にすることによって、透明金属層3に金属本来の反射が生じ難い。さらに、透明金属層3の厚さが20nm以下であると、第1高屈折率層2及び第2高屈折率層4によって、透明導電体100の光透過性が調整されやすく、導通領域a表面での光の反射が抑制されやすい。透明金属層3の厚さは、エリプソメーターで測定される。
透明金属層3は、いずれの形成方法で形成された層でもよいが、透明金属層の平均透過率を変えるためには、スパッタ法で形成された層、又は後述する下地層上に形成された層であることが好ましい。
スパッタ法では、形成時に材料が被形成体に高速で衝突するため、緻密かつ平滑な層が得られやすく、透明金属層3の光透過性が高まりやすい。また、透明金属層3がスパッタ法により形成された層であると、透明金属層3が高温かつ低湿度な環境においても腐食し難くなる。
スパッタ法の種類は特に制限されず、イオンビームスパッタ法や、マグネトロンスパッタ法、反応性スパッタ法、2極スパッタ法、バイアススパッタ法、対向スパッタ法等が挙げられる。
透明金属層3は、特に対向スパッタ法で形成された層であることが好ましい。すなわち、透明金属層3が、対向スパッタ法で形成された層であると、透明金属層3が緻密になり、表面平滑性が高まりやすい。その結果、透明金属層3の表面電気抵抗がより低くなり、光の透過率も高まりやすい。
一方、透明金属層3が後述する下地層上に形成された層である場合、透明金属層3の形成時に下地層が成長核となるため、透明金属層3が平滑な層になりやすい。その結果、透明金属層3が薄くとも、プラズモン吸収が生じ難くなる。
この場合、透明金属層3の形成方法は、特に制限されず、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等、一般的な気相成膜法を用いることができる。
また、透明金属層3が所望の形状にパターニングされた層である場合、パターニング方法は特に制限されない。
透明金属層3は、例えば、所望のパターンを有するマスクを配置して形成された層であってもよく、公知のエッチング法によってパターニングされた層であってもよい。
<第2高屈折率層>
第2高屈折率層4は、透明導電体100の導通領域a、つまり透明金属層3が形成されている領域の光透過性を調整するための層であり、少なくとも透明導電体100の導通領域aに形成される。
第2高屈折率層4は、透明導電体100の絶縁領域bに形成されてもよいが、導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンを視認され難くするとの観点から、導通領域aのみに形成されていることが好ましい。
第2高屈折率層4は、少なくともガリウムを含有し、より好ましくはGaを含有する。また、第2高屈折率層4は、ZnO、In又はSnOのうち少なくともいずれかを含有することが好ましく、ZnO、In又はSnOのうち少なくとも2種類以上を含有することがより好ましい。
また、第2高屈折率層4は、さらに、誘電性材料又は酸化物半導体材料やSiO等を含有してもよい。
また、第2高屈折率層4が、第2高屈折率層全体に対して、Gaを1〜35質量%の範囲内で含有することが好ましい。つまり、第2高屈折率層4に、ZnOとGaからなる複合酸化物(GZO)のみが含有されている場合には、ZnOとGaの質量比が99〜25:1〜35であることを意味し、ZnOとGaからなる複合酸化物以外にも含有されている場合には、ZnO及びその他含有されている材料とGaの質量比が99〜25:1〜35であることを意味する。
第2高屈折率層4は、透明基板1の屈折率より高い屈折率を有する。第2高屈折率層4の波長570nmの光の屈折率(25℃、55%RH環境下で測定)は、1.9〜2.15の範囲内であることが、白色に見えて、骨みえ防止の観点から好ましい。
第2高屈折率層4に含有される上記誘電性材料又は酸化物半導体材料の波長570nmの光の屈折率は、透明基板1の波長570nmの光の屈折率より0.1〜1.1大きいことが好ましく、0.4〜1.0大きいことがより好ましい。
一方、第2高屈折率層4に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料の波長570nmの光の具体的な屈折率は1.5より大きいことが好ましく、1.7〜2.5であることがより好ましく、さらに好ましくは1.8〜2.5である。誘電性材料又は酸化物半導体材料の屈折率が1.5より大きいと、第2高屈折率層4によって、透明導電体100の導通領域aの光透過性が十分に調整される。
なお、第2高屈折率層4の屈折率は、第2高屈折率層4に含まれる材料の屈折率や、第2高屈折率層4に含まれる材料の密度で調整される。
第2高屈折率層4に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料は、絶縁性の材料であってもよく、導電性の材料であってもよい。
当該誘電性材料又は酸化物半導体材料は、第1高屈折率層に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料と同様の金属酸化物が挙げられる。
第2高屈折率層4には、当該金属酸化物が1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。
また、第2高屈折率層4は、複数層から構成されても良い。
第2高屈折率層4の厚さは、15〜150nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは20〜50nmの範囲内である。第2高屈折率層4の厚さが15nm以上であると、第2高屈折率層4によって、透明導電体100の導通領域aの光透過性が十分に調整される。一方、第2高屈折率層4の厚さが150nm以下であれば、第2高屈折率層4が含まれる領域の光透過性が低下し難い。第2高屈折率層4の厚さは、エリプソメーターで測定される。
第2高屈折率層4の形成方法は、特に制限されず、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等、一般的な気相成膜法で形成された層が挙げられる。
第2高屈折率層4の透湿性が低くなるとの観点から、第2高屈折率層4は、スパッタ法で形成された層であることが特に好ましい。
また、第2高屈折率層4が所望の形状にパターニングされた層である場合、パターニング方法は特に制限されない。
第2高屈折率層4は、例えば、所望のパターンを有するマスク等を被形成面に配置して、気相成膜法でパターン状に形成された層であってもよい。また、公知のエッチング法によってパターニングされた層であってもよい。
<硫化防止層>
図1に示すように、第1高屈折率層2と透明金属層3との間に、透明金属層3の硫化を防止するための硫化防止層5aを設けることが好ましい。
硫化防止層5aは、透明導電体100の絶縁領域bにも形成されていてもよいが、導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンを視認され難くするとの観点から、導通領域aのみに形成されていることが好ましい。
硫化防止層5aは、金属酸化物、金属窒化物、金属フッ化物、半導体、金属等、又はZnを含む層である。
硫化防止層5aには、これらが一種のみ含まれてもよく、二種以上含まれてもよい。ただし、第1高屈折率層2と、硫化防止層5aと、透明金属層3とが連続的に形成される場合には、金属酸化物が硫黄と反応可能、若しくは硫黄を吸着可能な化合物であることが好ましい。金属酸化物が、硫黄と反応する化合物である場合、金属酸化物と硫黄との反応物は、可視光の透過性が高いことが好ましい。
金属酸化物としては、TiO、ITO、ZnO、Nb、ZrO、CeO、Ta、Ti、Ti、Ti、TiO、SnO、LaTi、IZO、AZO、GZO、ATO、ICO、Bi、a−GIO、Ga、GeO、SiO、Al、HfO、SiO、MgO、Y、WO、IGZO等が挙げられる。
金属フッ化物としては、LaF、BaF、NaAl14、NaAlF、AlF、MgF、CaF、BaF、CeF、NdF、YF等が挙げられる。
半導体はSi等が挙げられる。
金属はZn等が挙げられる。
金属窒化物としては、Si、AlN等が挙げられる。
上記の化合物を用いることができるが、十分な硫化防止機能及び耐久性を持たせるために、特にZnO、GZO、IGZOを用いることが好ましい。
ここで、硫化防止層5aの厚さは、透明金属層3の形成時の衝撃から、第1高屈折率層2及び第2高屈折率層4の表面を保護可能な厚さであることが好ましい。
一方で、第1高屈折率層2及び第2高屈折率層4に含まれ得るZnSは、透明金属層3に含まれる金属との親和性が高い。そのため、硫化防止層5aの厚さが非常に薄く、第1高屈折率層2及び第2高屈折率層4の一部が僅かに露出していると、当該露出部分を中心に透明金属層が成長し、透明金属層3が緻密になりやすい。つまり、硫化防止層5aは比較的薄いことが好ましく、0.1〜10nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5nmの範囲内であり、さらに好ましくは1〜3nmの範囲内である。
硫化防止層5aの厚さは、エリプソメーターで測定される。
硫化防止層5aは、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等、一般的な気相成膜法で形成することができる。
硫化防止層5aが、所望の形状にパターニングされた層である場合、パターニング方法は特に制限されない。
硫化防止層5aは、例えば、所望のパターンを有するマスク等を被形成面に配置して、気相成膜法でパターン状に形成された層であってもよく、公知のエッチング法によってパターニングされた層であってもよい。
<下地層>
上述のように、透明導電体100には、透明金属層3の形成時に成長核となる下地層が設けられてもよい。
下地層は、透明金属層3より透明基板1側、かつ透明金属層3に隣接して形成された層、つまり、第1高屈折率層2と透明金属層3との間、又は硫化防止層5aと透明金属層3との間に形成された層である。
下地層は、少なくとも透明導電体の導通領域aに形成されていることが好ましく、透明導電体100の絶縁領域bに形成されていてもよい。
透明導電体100に下地層が設けられると、透明金属層3の厚さが薄くとも、透明金属層3の表面の平滑性が高まる。その理由は以下のとおりである。
一般的な気相成膜法で透明金属層3の材料を、例えば第1高屈折率層2上に堆積させると、形成初期には、第1高屈折率層2上に付着した原子がマイグレート(移動)し、原子が寄り集まって塊(島状構造)を形成する。そして、この塊にまとわりつきながら膜が成長する。そのため、形成初期の層では、塊同士の間に隙間があり、導通しない。この状態からさらに塊が成長すると、塊同士の一部がつながり、辛うじて導通する。しかし、塊同士の間にいまだ隙間があるため、プラズモン吸収が生じる。そして、さらに形成が進むと、塊同士が完全につながって、プラズモン吸収が少なくなる。しかしその一方で、金属本来の反射が生じ、層の光透過性が低下する。
これに対し、第1高屈折率層2上をマイグレートし難い金属からなる下地層が形成されていると、当該下地層を成長核として、透明金属層3が成長する。つまり、透明金属層3の材料がマイグレートし難くなり、前述の島状構造を形成せずに膜が成長する。その結果、厚さが薄くとも平滑な透明金属層3が得られやすくなる。
ここで、下地層には、パラジウム、モリブデン、亜鉛、ゲルマニウム、ニオブ又はインジウム、若しくはこれらの金属と他の金属との合金や、これらの金属の酸化物や硫化物(例えばZnS)が含まれることが好ましい。下地層には、これらが一種のみ含まれてもよく、二種以上が含まれてもよい。
下地層に含まれるパラジウム、モリブデン、亜鉛、ゲルマニウム、ニオブ又はインジウムの量は、20質量%以上であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上であり、さらに好ましくは60質量%以上である。下地層に上記金属が20質量%以上含まれると、下地層と透明金属層3との親和性が高まり、下地層と透明金属層3との密着性が高まりやすい。下地層にはパラジウム又はモリブデンが含まれることが特に好ましい。
一方、パラジウム、モリブデン、亜鉛、ゲルマニウム、ニオブ又はインジウムと合金を形成する金属は特に制限されないが、例えばパラジウム以外の白金族、金、コバルト、ニッケル、チタン、アルミニウム、クロム等が挙げられる。
下地層の厚さは、3nm以下であり、好ましくは0.5nm以下であり、より好ましくは単原子膜である。
下地層は、透明基板1上に金属原子が互いに離間して付着している膜でもありうる。下地層の付着量が3nm以下であれば、下地層が透明導電体100の光透過性や光学アドミッタンスに影響を及ぼし難い。下地層の有無はICP−MS法で確認される。また、下地層の厚さは、形成速度と形成時間との積から算出される。
下地層は、スパッタ法又は蒸着法で形成することができる。
スパッタ法の例としては、イオンビームスパッタ法や、マグネトロンスパッタ法、反応性スパッタ法、2極スパッタ法、バイアススパッタ法等が挙げられる。下地層形成時のスパッタ時間は、所望の下地層の平均厚さ、及び形成速度に合わせて適宜選択される。スパッタ形成速度は、好ましくは0.1〜15Å/秒の範囲内であり、より好ましくは0.1〜7Å/秒の範囲内である。
一方、蒸着法の例としては、真空蒸着法、電子線蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法等が挙げられる。蒸着時間は、所望の下地層の厚さ及び形成速度に合わせて適宜選択される。蒸着速度は、好ましくは0.1〜15Å/秒の範囲内であり、より好ましくは0.1〜7Å/秒の範囲内である。
下地層が所望の形状にパターニングされた層である場合、パターニング方法は特に制限されない。下地層は、例えば、所望のパターンを有するマスク等を被形成面に配置して、気相成膜法でパターン状に形成された層であってもよく、公知のエッチング法によってパターニングされた層であってもよい。
<金属引出配線>
本発明に用いられる金属引出配線202(図3参照)は、公知のプリント印刷等のプリント基板に用いられる方法により形成することができる。
材質については、銀又は銅が好ましく、線幅については、20〜50μmの範囲内が好ましいが、目的に応じて適宜変更することができる。
<電極パターンを有する透明導電体の形成方法>
本発明の透明導電体100においては、上記のような方法で透明基板1上に、少なくとも、第1高屈折率層2と、透明金属層3と、第2高屈折率層4とをこの順で積層して製造した後、透明導電体100を所定の形状にパターニングして、金属パターン電極を形成する。
具体的には、フォトリソグラフィー法により、エッチング液を用いて、例えば、図2に示すような電極パターンを形成することが好ましい。形成する電極の線幅としては、50μm以下であることが好ましく、特に好ましくは、20μm以下である。
以下、フォトリソグラフィー法による電極パターンの形成方法について説明する。
本発明に適用するフォトリソグラフィー法とは、硬化性樹脂等のレジスト塗布、予備加熱、露光、現像(未硬化樹脂の除去)、リンス、エッチング液によるエッチング処理、レジスト剥離の各工程を経ることにより、銀薄膜層を、例えば、図2に示すようなパターンに加工することができ、パターンの形状は適宜変更することができる。
本発明では、従来公知の一般的なフォトリソグラフィー法を適宜利用することができる。例えば、レジストとしてはポジ型又はネガ型のいずれのレジストでも使用可能である。また、レジスト塗布後、必要に応じて予備加熱又はプリベークを実施することができる。露光に際しては、所定のパターンを有するパターンマスクを配置し、その上から、用いたレジストに適合する波長の光、一般には紫外線や電子線等を照射すればよい。露光後、用いたレジストに適合する現像液で現像を行う。現像後、水等のリンス液で現像を止めるとともに洗浄を行うことで、レジストパターンが形成される。
次いで、形成されたレジストパターンを、必要に応じて前処理又はポストベークを実施してから、有機溶媒を含むエッチング液によるエッチングで、レジストで保護されていない領域の中間層の溶解及び銀薄膜電極の除去を行う。
エッチング後、残留するレジストを剥離することによって、所定のパターンを有する透明電極が得られる。このように、本発明に適用されるフォトリソグラフィー法は、当業者に一般に認識されている方法であり、その具体的な適用態様は当業者であれば所定の目的に応じて容易に選定することができる。
次いで、図を交えて、本発明に適用可能な電極パターンの形成方法について説明する。
第1ステップとして、透明基板1上に、第1高屈折率層2、硫化防止層5a、透明金属層3、及び第2高屈折率層4をこの順で積層した透明電極ユニットEUを作製する。
次いで、レジスト膜の形成工程で、透明電極ユニットEU上に感光性樹脂組成物等から構成されるレジスト膜を均一に塗設する。感光性樹脂組成物としては、ネガ型感光性樹脂組成物又はポジ型感光性樹脂組成物を用いることができる。
塗布方法としては、マイクログラビアコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、カーテンフローコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、スリットコーティングなどの公知の方法によって、透明電極ユニットEU10上に塗布し、ホットプレート、オーブンなどの加熱装置でプリベークすることができる。プリベークは、例えば、ホットプレート等を用いて、50〜150℃の範囲内で30秒〜30分間行うことができる。
次いで、露光工程で、所定の電極パターンにより作製したマスクを介して、ステッパー、ミラープロジェクションマスクアライナー(MPA)、パラレルライトマスクアライナーなどの露光機を用いて、10〜4000J/m程度(波長365nm露光量換算)の光を、次工程で除去するレジスト膜に照射する。露光光源に制限はなく、紫外線、電子線や、KrF(波長248nm)レーザー、ArF(波長193nm)レーザーなどを用いることができる。
次いで、現像工程で、露光済みの透明導電体を、現像液に浸漬して、光照射した領域のレジスト膜を溶解する。
現像方法としては、シャワー、ディッピング、パドルなどの方法で現像液に5秒〜10分間浸漬することが好ましい。
現像液としては、公知のアルカリ現像液を用いることができる。具体例としては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩などの無機アルカリ、2−ジエチルアミノエタノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、コリンなどの4級アンモニウム塩を一種又は二種以上含む水溶液などが挙げられる。
現像後、水でリンスすることが好ましく、続いて50〜150℃の範囲内で乾燥ベークを行ってもよい。
次いで、エッチング液を用いたエッチング処理を行う。
本発明に適用可能なエッチング液としては、無機酸又は有機酸を含有する液が好ましく、シュウ酸、塩酸、酢酸、リン酸、硝酸を挙げることができ、特に、シュウ酸、酢酸、リン酸が好ましい。
具体的には、例えば、有機酸等を含むエッチング液に、レジスト膜を有する透明導電層透明電極ユニットEUを浸漬し、レジスト膜で保護されていない絶縁領域bの透明電極ユニットEUを溶解し、レジスト膜で保護している導通領域aの透明電極ユニットEUを所定の電極パターンとして形成する。
最後に、レジスト膜剥離液、例えば、ナガセケムテックス社製のN−300に浸漬して、レジスト膜を除去して、電極パターンを有する透明導電体を作製することができる。
[透明導電体の物性]
本発明の透明導電体の波長450〜800nmの光の平均透過率は、導通領域a及び絶縁領域bのいずれにおいても90%以上であることが好ましい。上記波長範囲における平均透過率が90%以上であると、透明導電体を、可視光に対して高い透明性が要求される用途に適用することができる。
一方、透明導電体の波長400〜1000nmの光の平均透過率は、導通領域a及び絶縁領域bのいずれにおいても90%以上であることが好ましい。波長400〜1000nmの光の平均透過率が90%以上であると、広い波長範囲の光に対して透明性が要求される用途、例えば太陽電池にも透明導電体を適用することができる。
一方、本発明の透明導電体の波長400〜800nmの光の平均吸収率は、導通領域a及び絶縁領域bのいずれにおいても10%以下であることが好ましく、より好ましくは8%以下であり、さらに好ましくは7%以下である。
また、透明導電体の波長450〜800nmの光の吸収率の最大値は、導通領域a及び絶縁領域bのいずれにおいても15%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは9%以下である。
一方、透明導電体の波長500〜700nmの光の平均反射率は、導通領域a及び絶縁領域bのいずれにおいても、20%以下であることが好ましく、より好ましくは15%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。
透明導電体の平均吸収率及び平均反射率が低いほど、前述の平均透過率が高まる。
上記平均透過率、平均吸収率、及び平均反射率は、透明導電体の使用環境下での平均透過率、平均吸収率、及び平均反射率であることが好ましい。具体的には、透明導電体が有機樹脂と貼り合わせて使用される場合には、透明導電体上に有機樹脂からなる層を作製して平均透過率及び平均反射率測定することが好ましい。
一方、透明導電体が大気中で使用される場合には、大気中での平均透過率及び平均反射率を測定することが好ましい。
透過率及び反射率は、透明導電体の表面の法線に対して5°傾けた角度から測定光を入射させて分光光度計で測定する。吸収率は、100−(透過率+反射率)の計算式より算出される。
また、透明導電体100が導通領域a及び絶縁領域bを有する場合、導通領域aの反射率及び絶縁領域bの反射率がそれぞれ近似することが好ましい。具体的には、導通領域aの視感反射率と、絶縁領域bの視感反射率との差ΔRが1.5以下であることが好ましく、より好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。
一方、導通領域a及び絶縁領域bの視感反射率は、それぞれ5%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。視感反射率は、分光測色計(CM−5;コニカミノルタ株式会社製)で測定されるY値である。
また、透明導電体100が導通領域a及び絶縁領域bを有する場合、いずれの領域においても、L表色系におけるa値が−2〜2の範囲内が好ましく、さらに好ましくは−0.5〜0の範囲内、b値が−2〜2の範囲内が好ましく、さらに好ましくは0〜2の範囲内であることが好ましい。L表色系におけるa値が−0.5〜0の範囲内、b*値が0〜2の範囲内であれば、導通領域a及び絶縁領域bのいずれの領域も無色透明に観察される。L表色系におけるa値及びb値は、分光光度計で測定される。
透明導電体の導通領域aの表面電気抵抗は、50Ω/□以下であることが好ましく、さらに好ましくは30Ω/□以下である。導通領域の表面電気抵抗値が50Ω/□以下である透明導電体は、静電容量方式のタッチパネル用の透明導電パネル等に適用できる。
導通領域aの表面電気抵抗値は、透明金属層の厚さ等によって調整される。導通領域aの表面電気抵抗値は、例えばJIS K7194−1994、ASTM D257等に準拠して測定される。また、市販の表面電気抵抗率計によっても測定される。
[透明導電体の光学アドミッタンスについて]
光学アドミッタンスは、一般に複素数で与えられる。実部は、光を通過させる空間又は物質の屈折率nと等しく、虚部は、前記空間又は物質の消衰係数と等しい値となる。
また、各アドミッタンスを表す点は、後述するアドミッタンス軌跡にしたがい、用いる物質に特徴的であるとともに、光を通過させる際の物質の厚さに依存する。
透明導電体の導通領域aの表面(透明導電体100において透明基板1とは反対側の表面)の反射率Rは、光が入射する媒質の光学アドミッタンスYenvと、透明導電体の導通領域aの表面の等価アドミッタンスYとから定まる。
ここで、光が入射する媒質とは、透明導電体に入射する光が、その入射直前に通過する部材又は環境であって、有機樹脂からなる部材、又は環境をいう。光が入射する媒質の光学アドミッタンスYenvと、透明導電体の表面の等価アドミッタンスYとの関係は以下の式で表される。
Figure 0006344095
上記の式に基づけば、|Yenv−Y|が0に近い程、透明導電体(導通領域a)の表面の反射率Rが低くなる。
前記媒質の光学アドミッタンスYenvは、電場強度と磁場強度との比(H/E)から求められ、通常、媒質の屈折率nenvと同一である。一方、透明導電体の導通領域aの表面の等価アドミッタンスYは、導通領域aを構成する層の光学アドミッタンスYから求められる。例えば、透明導電体(導通領域a)が一層からなる場合には、透明導電体の等価アドミッタンスYは、当該層の光学アドミッタンスY(屈折率)と等しくなる。
一方、透明導電体(導通領域a)が積層体からなる場合、1層目からx層目までの積層体の光学アドミッタンスY(E)は、1層目から(x−1)層目までの積層体の光学アドミッタンスYx−1(Ex−1x−1)と、特定のマトリクスとの積で表され、具体的には以下の式(1)又は式(2)にて求められる。
・x層目が誘電性材料又は酸化物半導体材料からなる層である場合
Figure 0006344095
上記式において、δ=2πnd/λであり、y=n(x層目の膜のアドミッタンス)、dはx層目の層の層厚である。
・x層目が理想金属層である場合
Figure 0006344095
上記式において、γ=(2π/λ)kd、dはx層目の層の層厚、kは層の屈折率(虚部)である。
そして、x層目が最表層であるときの、透明基板から最表層までの積層物の光学アドミッタンスYx(E)が、当該透明導電体の等価アドミッタンスYとなる。
ここで、上述したとおり、透明導電体の導通領域の反射率、及び絶縁領域の反射率がそれぞれ近似することが好ましく、具体的には、導通領域の視感反射率と、絶縁領域の視感反射率との差ΔRが1.5%以下で、かつ、透明導電体の導通領域及び絶縁領域のいずれの領域においても、L*a*b*表色系におけるa*値が−2〜2の範囲内、b*値が0〜2の範囲内であり、さらに、透明導電体の波長450〜800nmの光の平均透過率が、導通領域a及び絶縁領域bのいずれにおいても88%以上となる条件に収まるように、シミュレーションを行った時のアドミッタンス軌跡を図4に示す。
図4に示す(1)〜(4)のアドミッタンス軌跡は、以下のとおりである。
(1)最上層である第2高屈折率層の屈折率がn=2.13で、透明基板/第1高屈折率層(ZnSSiO(20%))/透明金属層(Ag)/第2高屈折率層(ZnSSiO(20%))を備える透明導電体の導通領域aの波長570nmのアドミッタンス軌跡
(2)第2高屈折率層の屈折率がn=2.03で、透明基板/第1高屈折率層(ZnSSiO(20%))/透明金属層(Ag)/第2高屈折率層(IGZO:GZO+In(10%))を備える透明導電体の導通領域aの波長570nmのアドミッタンス軌跡
(3)第2高屈折率層の屈折率がn=1.95で、透明基板/第1高屈折率層(ZnSSiO(20%))/透明金属層(Ag)/第2高屈折率層(GZO(5.7%))を備える透明導電体の導通領域aの波長570nmのアドミッタンス軌跡
(4)第2高屈折率層の屈折率がn=1.92で、透明基板/第1高屈折率層(ZnSSiO(20%))/透明金属層(Ag)/第2高屈折率層(GZO(20%))を備える透明導電体の導通領域aの波長570nmのアドミッタンス軌跡
なお、グラフの横軸は、当該領域の光学アドミッタンスYをx+iyで表したときの実部、つまり当該式におけるxであり、縦軸は光学アドミッタンスの虚部、つまり当該式におけるyである。
図4において、アドミッタンス軌跡の最終座標が、導通領域aの等価アドミッタンスYである。そして、等価アドミッタンスYの座標(x,y)と、光が入射する媒質のアドミッタンス座標Yenv(nenv,0)(図示略)との距離が、透明導電体の導通領域aの表面の反射率Rに比例する。
ここで、本発明の透明導電体では、透明金属層の第1高屈折率層側の表面の波長570nmにおける光学アドミッタンスをY(=x+iy)とし、透明金属層の第2高屈折率層側の表面の波長570nmにおける光学アドミッタンスをY(=x+iy)としたときに、下記式(A)及び式(B)を満たすことが好ましい。
式(A):x−x≧0.05
式(B):y+y≧0.01
ここで、x及びxは、光学アドミッタンスの実部を示す変数を表す。y及びyは、光学アドミッタンスの虚部を示す変数を表す。iは、虚数単位を表す。
なお、図4では、アドミッタンス軌跡(4)の場合の、光学アドミッタンスY、Y及びYの座標をそれぞれ示している。
また、下記表1は、図4に示す各アドミッタンス軌跡(1)〜(4)における、ΔR、a値、b値及び平均透過率を示している。
Figure 0006344095
[透明導電体の適用分野]
上記構成からなる本発明の透明導電体は、液晶方式、プラズマ方式、有機エレクトロルミネッセンス方式、フィールドエミッション方式など各種ディスプレイをはじめ、タッチパネルや携帯電話、電子ペーパー、各種太陽電池、各種エレクトロルミネッセンス調光素子など様々なオプトエレクトロニクスデバイス等に好ましく用いることができる。
このとき、透明導電体の表面(例えば、透明基板と反対側の表面)は、接着層等を介して、他の部材と貼り合わせられてもよい。この場合には、透明導電体の表面の等価アドミッタンス座標と、接着層のアドミッタンス座標と、がそれぞれ近似することが好ましい。これにより、透明導電体と接着層との界面での反射が抑制される。
一方、透明導電体の表面が空気と接するような構成で使用される場合には、透明導電体の表面のアドミッタンス座標と、空気のアドミッタンス座標と、がそれぞれ近似することが好ましい。これにより、透明導電体と空気との界面での光の反射が抑制される。
以下、本発明の透明導電体をタッチパネルに適用した一例を示す。
図3は、電極パターンを有する透明導電体を具備したタッチパネルの構成の一例を示す斜視図である。
図3に示すタッチパネル200は、投影型静電容量式のタッチパネルである。このタッチパネル21は、透明基板1−1及び1−2の一主面上に、第1の透明電極ユニットEU−1及び第2の透明電極ユニットEU−2がこの順に配置され、この上部が前面板201で覆われている。
第1の透明電極ユニットEU−1及び第2の透明電極ユニットEU−2は、それぞれが、図2を用いて説明した電極パターンが形成された透明導電体100である。したがって、第1の透明電極ユニットEU−1は、透明基板1上に、第1高屈折率層2、硫化防止層5a、透明金属層3、第2高屈折率層4をこの順で積層した構成である。第2の透明電極ユニットEU−2も同様の構成である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り、「質量%」で表す。
透明基板として、きもと株式会社製クリアハードコート付きPETフィルム(G1SBF、「HCPET」と称する。厚さ125μm)を用い、HCPETフィルム上に、下記の方法に従って、第1高屈折率層/(硫化防止層)/透明金属層/第2高屈折率層をこの順に積層して各透明導電体を作製した。
なお、各層の厚さは、J.A.Woollam Co.Inc.製のVB−250型VASEエリプソメーターで測定した。
また、光の屈折率は、25℃、55%RH環境下で測定した。
<透明導電体1の作製>
≪第1高屈折率層(In+SiO(20%)+S(0.7%))の形成≫
真空スパッタ装置として、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力750W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(In+SiO(20%)+S(0.7%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、In+SiO(20%)+S(0.7%)とは、InとSiOとSの質量比がIn:SiO:S=79.3:20:0.7であることを意味する。
≪透明金属層(Ag)の形成≫
Ar 20sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート3.8Å/秒でAgをRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
≪第2高屈折率層(GZO(10%))の形成≫
Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(10%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、GZO(10%)とは、ZnOとGaの質量比がZnO:Ga=90:10であることを意味する。
<透明導電体2の作製>
上記「透明導電体1の作製」において、下記に示す第1高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体2を作製した。
≪第1高屈折率層(Nb+S(0.7%))の形成≫
真空スパッタ装置として、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(Nb+S(0.7%)の焼成体)をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、Nb+S(0.7%)とは、NbとSの質量比がNb:S=99.3:0.7であることを意味する。
<透明導電体3の作製>
上記「透明導電体1の作製」において、下記に示す第1高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体3を作製した。
≪第1高屈折率層(ITO+S(0.7%))の形成≫
真空スパッタ装置として、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(ITO+S(0.7%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、ITO+S(0.7%)とは、ITOとSの質量比がITO:S=99.3:0.7であることを意味する。
<透明導電体4の作製>
上記「透明導電体1の作製」において、下記に示す第1高屈折率層及び第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体4を作製した。
≪第1高屈折率層(ZnS)の形成≫
真空スパッタ装置として、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート2.2Å/秒でターゲット(ZnSの焼成体)をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
≪第2高屈折率層(ZnO+Ga(3%))の形成≫
真空スパッタ装置として、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(ZnO+Ga(3%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、ZnO+Ga(3%)とは、ZnOとGaの質量比がZnO:Ga=97:3であることを意味する。
<透明導電体5の作製>
上記「透明導電体1の作製」において、下記に示す第1高屈折率層及び第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体5を作製した。
≪第1高屈折率層(ZnSSiO(20%))の形成≫
真空スパッタ装置として、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート1.5Å/秒でターゲット(ZnSSiO(20%)の焼成体)をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、ZnSSiO(20%)とは、ZnSとSiOの質量比がZnS:SiO=80:20であることを意味する。
≪第2高屈折率層(SnO+Ga(10%))の形成≫
真空スパッタ装置として、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(SnO+Ga(10%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、SnO+Ga2(10%)とは、SnOとGa2の質量比がSnO:Ga=90:10であることを意味する。
<透明導電体6の作製>
上記「透明導電体5の作製」において、下記に示す第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体6を作製した。
≪第2高屈折率層(In+Ga(10%))の形成≫
真空スパッタ装置として、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(In+Ga(10%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、In+Ga2(10%)とは、InとGa2の質量比がIn:Ga=90:10であることを意味する。
<透明導電体7の作製>
上記「透明導電体5の作製」において、下記に示す第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体7を作製した。
≪第2高屈折率層(GZO(10%))の形成≫
Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(10%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
<透明導電体8の作製>
上記「透明導電体5の作製」において、下記に示す第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体8を作製した。
≪第2高屈折率層(GZO(5.7%))の形成≫
Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(5.7%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、GZO(5.7%)とは、ZnOとGaの質量比がZnO:Ga=94.3:5.7であることを意味する。
<透明導電体9の作製>
上記「透明導電体5の作製」において、下記に示す第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体9を作製した。
≪第2高屈折率層(GZO(20%)の形成≫
Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(20%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、GZO(20%)とは、ZnOとGaの質量比がZnO:Ga=80:10であることを意味する。
<透明導電体10の作製>
上記「透明導電体5の作製」において、下記に示す第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体10を作製した。
≪第2高屈折率層(GZO(1%)の形成≫
Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(1%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、GZO(1%)とは、ZnOとGaの質量比がZnO:Ga=99:1であることを意味する。
<透明導電体11の作製>
上記「透明導電体5の作製」において、下記に示す第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体11を作製した。
≪第2高屈折率層(GZO(40%))の形成≫
Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(40%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、GZO(40%)とは、ZnOとGaの質量比がZnO:Ga=60:40であることを意味する。
<透明導電体12の作製>
上記「透明導電体5の作製」において、下記に示す第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体12を作製した。
≪第2高屈折率層(GZO(10%)+In(10%))の形成≫
Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(10%)+In(10%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、GZO(10%)+In(10%)とは、ZnOとGaとInの質量比がZnO:Ga:In=80:10:10であることを意味する。
<透明導電体13の作製>
上記「透明導電体5の作製」において、下記に示す硫化防止層及び第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体13を作製した。
≪硫化防止層(GZO(10%))の形成≫
Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(10%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
≪第2高屈折率層(GZO(10%)+In(10%))の形成≫
Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(10%)+In(10%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
<透明導電体14の作製>
上記「透明導電体13の作製」において、下記に示す第1高屈折率層及び第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体14を作製した。
≪第1高屈折率層(ZnSSiO(10%))の形成≫
真空スパッタ装置として、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート1.5Å/秒でターゲット(ZnSSiO(10%)の焼成体)をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、ZnSSiO(10%)とは、ZnSとSiOの質量比がZnS:SiO=90:10であることを意味する。
≪第2高屈折率層(GZO(10%)+In(10%))の形成≫
Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(10%)+In(10%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。なお、第2高屈折率層の層厚は、透明導電体13と異なり、48nmとした。
<透明導電体15の作製>
上記「透明導電体14の作製」において、下記に示す第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体15を作製した。
≪第2高屈折率層(GZO(10%)+In(10%)+SnO(10%))の形成≫
Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(10%)+In(10%)+SnO(10%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
GZO(10%)+In(10%)+SnO(10%)とは、ZnOとGaとInとSnOの質量比がZnO:Ga:In:SnO=70:10:10:10であることを意味する。
<透明導電体16の作製>
上記「透明導電体14の作製」において、下記に示す第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体16を作製した。
≪第2高屈折率層(Zn:Ga:In:O(1:1:1:4))の形成≫
Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力50W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(Zn:Ga:In:O(1:1:1:4)の焼成体)をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
Zn:Ga:In:O(1:1:1:4)とは、ZnとGaとInとOの原子量比がZn:Ga:In:O=1:1:1:4であることを意味する。
<透明導電体17の作製>
上記「透明導電体14の作製」において、下記に示す第1高屈折率層及び第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体17を作製した。
≪第1高屈折率層(ZnS)の形成≫
真空スパッタ装置として、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート2.2Å/秒でターゲット(ZnSの焼成体)をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
≪第2高屈折率層(GZO(10%)+In(10%))の形成≫
Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(10%)+In(10%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。なお、第2高屈折率層の層厚は、透明導電体14と異なり、51nmとした。
<透明導電体18の作製>
上記「透明導電体17の作製」において、下記に示す第1高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体18を作製した。
≪第1高屈折率層(ZnS)の形成≫
真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、第1のモリブデン製抵抗加熱ボートにZnSを装填し、真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、第1の抵抗加熱ボートに通電加熱し、抵抗加熱ボートの通電加熱条件を適宜調製して、形成速度1.0nm/秒で蒸着した。
<透明導電体19の作製>
上記「透明導電体17の作製」において、下記に示す第1高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体19を作製した。なお、第1高屈折率層は、下記のとおり2層構造とした。
≪第1高屈折率層(ZnSSiO(20%)−ZnS)の形成≫
Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート1.5Å/秒でターゲット(ZnSSiO(20%)の焼成体)をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
次いで、形成したZnSSiO膜上に、真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、第1のモリブデン製抵抗加熱ボートにZnSを装填し、真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、第1の抵抗加熱ボートに通電加熱し、抵抗加熱ボートの通電加熱条件を適宜調製して、形成速度1.0nm/秒で蒸着した。
<透明導電体20の作製>
上記「透明導電体13の作製」において、下記に示す第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体20を作製した。
≪第2高屈折率層(GZO(10%)+TiO(10%))の形成≫
Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(10%)+TiO(10%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、GZO(10%)+TiO(10%)とは、ZnOとGaとTiOの質量比がZnO:Ga:TiO=80:10:10であることを意味する。
<透明導電体21の作製>
上記「透明導電体13の作製」において、下記に示す第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体21を作製した。
≪第2高屈折率層(GZO(10%)+SnO(10%))の形成≫
Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.8Å/秒でターゲット(GZO(10%)+SnO(10%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、GZO(10%)+SnO(10%)とは、ZnOとGaとSnOの質量比がZnO:Ga:SnO=80:10:10であることを意味する。
<透明導電体22の作製>
上記「透明導電体13の作製」において、下記に示す第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体22を作製した。なお、第2高屈折率層は、下記のとおり2層構造とした。
≪第2高屈折率層(GZO(10%)−SnO)の形成≫
Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(10%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
次いで、形成したGZO膜上に、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(SnOの焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
<透明導電体23の作製>
上記「透明導電体13の作製」において、下記に示す第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体23を作製した。なお、第2高屈折率層は、下記のとおり2層構造とした。
≪第2高屈折率層(GZO(10%)−In)の形成≫
Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(10%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
次いで、形成したGZO膜上に、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(Inの焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
<透明導電体24の作製>
上記「透明導電体1の作製」において、下記に示す第1高屈折率層及び第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体24を作製した。
≪第1高屈折率層(ZnO)の形成≫
Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート0.6Å/秒でターゲット(ZnOの焼成体)をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
≪第2高屈折率層(ZnO)の形成≫
Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート0.6Å/秒でターゲット(ZnOの焼成体)をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
<透明導電体25の作製>
上記「透明導電体8の作製」において、下記に示す第1高屈折率層及び第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体25を作製した。
≪第1高屈折率層(GZO(5.7%))の形成≫
Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(5.7%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
≪第2高屈折率層(GZO(5.7%))の形成≫
Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(5.7%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。なお、第2高屈折率層の層厚は、透明導電体8と異なり、40nmとした。
<透明導電体26の作製>
上記「透明導電体5の作製」において、下記に示す第1高屈折率層及び第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体26を作製した。
≪第1高屈折率層(ZnSSiO(20%))の形成≫
真空スパッタ装置として、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート1.5Å/秒でターゲット(ZnSSiO(20%)の焼成体)をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。なお、第1高屈折率層の層厚は、透明導電体5と異なり、40nmとした。
≪第2高屈折率層(ZnSSiO(20%))の形成≫
真空スパッタ装置として、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート1.5Å/秒でターゲット(ZnSSiO(20%)の焼成体)をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
<透明導電体27の作製>
上記「透明導電体4の作製」において、下記に示す第2高屈折率層以外は、同様にして透明導電体27を作製した。
≪第2高屈折率層(ZnS)の形成≫
真空スパッタ装置として、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート2.2/秒でターゲット(ZnSの焼成体)をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
上記透明導電体1〜27の各層の層厚と、第1及び第2高屈折率層の波長570nmの光の屈折率は、下記表2及び表3に示す。
<パターン状に形成された透明導電体1〜27の作製>
上記のように作製した各透明導電体に対して以下のようにしてパターニングを施し、図2に示すようなパターン状に形成された透明導電体1〜27を作製した。
各透明導電体の少なくとも第1高屈折率層、透明金属層及び第2高屈折率層を有する透明電極ユニットに対し、導通領域aと、絶縁領域bを有するパターンを形成した。
具体的に、透明電極ユニット上に、フォトリソグラフィー法でレジスト層をパターン状に形成し、少なくとも第1高屈折率層、透明金属層及び第2高屈折率層をエッチング液を用いて、複数の導通領域aと、これを区切るライン状の絶縁領域bとを含むパターン状にエッチングした。
エッチング液としては、関東化学社製の「混液 SEA−5」(リン酸:55質量%、酢酸:30質量%、水その他の成分:15質量%)を用いた。絶縁領域bには、透明基板のみが含まれるものとした。また、ライン状の絶縁領域bの幅は16μmとした。
[評価方法]
以下に示す評価方法に従って、上記で作製した透明導電体の評価を行った。評価結果を下記表4に示す。
<平均透過率>
パターン状に形成された透明導電体を用いて導通領域における平均透過率を以下の方法に従って測定した。
パターン状に形成された透明導電体の第2高屈折率層側の表面に、マッチングオイル(ニコン社製 屈折率=1.515)を塗布した。そして、透明導電体とコーニング社製無アルカリガラス基板(EAGLE XG(厚さ7mm×縦30mm×横30mm)とを貼り合わせた。そして、無アルカリガラス基板側から、透明導電体の450〜800nmの波長範囲における平均透過率(%)を測定した。このとき、無アルカリガラス基板の表面の法線に対して、5°傾けた角度から、導通領域に測定光を入射させ、株式会社日立ハイテクノロジーズ製:分光光度計 U−4100にて、光の透過率及び反射率を測定した。
以下の基準で評価した。
◎:平均透過率が90%以上である
○:平均透過率が88%以上90%未満である
△:平均透過率が83%以上88%未満である
×:平均透過率が83%未満である
<抵抗安定性及び電気的接続可能性>
各透明導電体の第2高屈折率層の表面(2点)に、三菱化学アナリテック製のロレスタEP MCP−T360を接触させて、抵抗値の安定性を確認した。測定環境の温度は24℃であり、湿度は30%RHとした。抵抗値の安定性及び電気的接続可能性は、以下の基準で評価した。
◎:測定開始から5秒後に抵抗値が安定し、かつ抵抗値が20Ω/□以下である。またタッチパネルに実装し金属配線と電気的に接続可能であることを確認した。
○:測定開始から5秒後に抵抗値が安定しないものの、抵抗値が50Ω/□以下に収まる。またタッチパネルに実装し金属配線と電気的に接続可能であることを確認した。
△:測定開始から5秒後に抵抗値が安定せず、かつ抵抗値が50Ω/□超である。
またタッチパネルに実装し金属配線と電気的に接続不可能であった。
<湿熱耐性>
各透明導電体を85℃、85%RHの湿熱環境下に240時間載置した。その後、透明導電体の外観を目視で観察し、以下の基準で評価した。
◎:外観に異常なし
○:1〜5個の斑点が観察される
△:6個以上の斑点が観察される
×:全面変色する。
<耐薬品性>
上述のフォトリソグラフィー法によりパターン状に形成された透明導電体の外観を目視で観察し、以下の基準で評価した。
◎:外観に異常なし
○:1〜5個の斑点が観察される
△:6個以上の斑点が観察される
<フレキシブル性>
各透明導電体を平板状の支持部材に載置し、一端を固定した。当該透明導電体をU字状に屈曲させた。屈曲部の曲率半径は5mmとした。そして、支持部材と平行に配置した摺動板に、透明導電体の他端を固定した。摺動板と支持部材とを平行に保ったまま、透明導電体の長さ方向に摺動板を1000回往復移動させた。その後、透明導電体の各層にクラック等が生じたかを目視で確認した。フレキシブル性は以下のように評価した。
◎:屈曲部位を含む30mm×30mmの領域に、クラックが一つも生じなかった
○:屈曲部位を含む30mm×30mmの領域に、1個以上50個以下のクラックが生じた
△:屈曲部位を含む30mm×30mmの領域に、50個超のクラックが生じた
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表4に示した結果より、透明導電体1〜23は、透明導電体24〜27に比べて、平均透過率、抵抗安定性、電気的接続可能性、湿熱耐性、耐薬品性及びフレキシブル性の点で全体的に優れていることが認められる。
1、1−1、1−2 透明基板
2 第1高屈折率層
3 透明金属層
4 第2高屈折率層
5a 硫化防止層
100 透明導電体
200 タッチパネル
201 前面板
202 金属引出配線
EU、EU−1、EU−2 透明電極ユニット
a 導通領域
b 絶縁領域

Claims (5)

  1. 少なくとも、透明基板、第1高屈折率層、透明金属層及び第2高屈折率層を、この順に有する透明導電体であって、
    前記第1高屈折率層が、少なくとも硫黄を含有し、
    前記第2高屈折率層が、少なくともガリウムを含有し、
    前記ガリウムが、Gaとして、前記第2高屈折率層に〜35質量%の範囲内で含有され、かつ、
    前記第1高屈折率層と透明金属層との間に、前記透明金属層の硫化を防止するための硫化防止層を有し、
    前記硫化防止層が、ZnOとGa からなる複合酸化物(GZO)からなることを特徴とする透明導電体。
  2. 前記第2高屈折率層が、ZnO、In3、又はSnOのうち少なくともいずれかを含有することを特徴とする請求項1に記載の透明導電体。
  3. 前記第2高屈折率層が、ZnO、In、又はSnOのうち少なくとも2種類以上を含有することを特徴とする請求項2に記載の透明導電体。
  4. 前記第1高屈折率層が、ZnS又はSiOのうち少なくとも一方を含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の透明導電体。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の透明導電体を用いたことを特徴とするタッチパネル。
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