JP6344095B2 - 透明導電体及びタッチパネル - Google Patents
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Description
さらに、Ag層を、硫化亜鉛を含有する層(以下、ZnS層又は硫化亜鉛含有層ともいう。)や、ZnSSiO2層で挟み込むことが提案されている。
また、Ag層を、GZO(ガリウム・亜鉛酸化物)層で挟み込むことが提案されている(例えば、特許文献2及び非特許文献1参照)。
一方、Ag層をZnSを含む層に挟み込んだ透明導電体では、透明導電体の耐湿性が十分に高いものの、Ag層を形成する際に、又はZnSを含む層を形成する際に、銀が硫化されて硫化銀が生じやすい。その結果、透明導電体の光透過性が低くなるという問題があった。また、基材に対して最上層にZnSを含有していると、ZnSは絶縁性が高いため、金属系引出配線と透明導電体が電気的に接続しなくなってしまうという問題が生じていた。
また、Ag層をGZO層で挟み込んだ透明導電体は、GZOは導電性が高いため、金属系引出配線と電気的に接続するが、GZOの屈折率が低いため、透明性が不足していた。また、高温高湿での耐久性も不十分であった。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも、透明基板、第1高屈折率層、透明金属層及び第2高屈折率層を、この順に有する透明導電体であって、
前記第1高屈折率層が、少なくとも硫黄を含有し、
前記第2高屈折率層が、少なくともガリウムを含有し、
前記ガリウムが、Ga2O3として、前記第2高屈折率層に1〜35質量%の範囲内で含有され、かつ、
前記第1高屈折率層と透明金属層との間に、前記透明金属層の硫化を防止するための硫化防止層を有し、
前記硫化防止層が、ZnOとGa 2 O 3 からなる複合酸化物(GZO)からなることを特徴とする透明導電体。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
第1高屈折率層が少なくとも硫黄を含有することによって、透明基板側から水分が透過し難くなり、透明金属層の腐食が抑制され、耐湿性に優れる。また、第2高屈折率層が少なくともガリウムを含有することによって、導電性が高く、金属引出配線との電気的接続が可能となる。さらに、銀と硫化亜鉛と接する層の間(透明金属層と第1高屈折率層との間)に他の層を設けることで硫化防止するため、低抵抗及び高透過性に優れると推察される。
前記第1高屈折率層と透明金属層との間に、前記透明金属層の硫化を防止するための硫化防止層を有し、前記硫化防止層が、ZnOとGa 2 O 3 からなる複合酸化物(GZO)からなることを特徴とする。この特徴は、本実施形態に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、前記第2高屈折率層が、ZnO、In2O3、又はSnO2のうち少なくともいずれかを含有することが好ましい。
<透明導電体の構成>
図1は、本発明の透明導電体の構成の一例を示す概略断面図である。
本発明の透明導電体100は、少なくとも、透明基板1、第1高屈折率層2、透明金属層3及び第2高屈折率層4を、この順に有する透明導電体100であって、第1高屈折率層が、少なくとも硫黄を含有し、第2高屈折率層が、少なくともガリウムを含有することを特徴とする。
また、導通領域aから金属引出配線202(図3参照)が形成されている。
例えば、透明金属層3の形成時に成長核になり得る下地層(図示略)が、透明金属層3と第1高屈折率層2との間に、透明金属層3に隣接して設けられてもよい。
透明基板1は、各種表示デバイスの透明基板と同様とすることができる。
透明基板1は、ガラス基板や、セルロースエステル樹脂(例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース等)、ポリカーボネート樹脂(例えばパンライト、マルチロン(いずれも帝人社製))、シクロオレフィン樹脂(例えばゼオノア(日本ゼオン社製)、アートン(JSR社製)、アペル(三井化学社製))、アクリル樹脂(例えばポリメチルメタクリレート、「アクリライト(三菱レイヨン社製)、スミペックス(住友化学社製))、ポリイミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート)、ポリエーテルスルホン、ABS/AS樹脂、MBS樹脂、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール/EVOH(エチレンビニルアルコール樹脂)、スチレン系ブロックコポリマー樹脂等からなる透明樹脂フィルムでありうる。透明基板1が透明樹脂フィルムである場合、当該フィルムには二種以上の樹脂が含まれてもよい。
また、透明基板1の波長450〜800nmの範囲内の光の平均吸収率は、10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下である。
透明基板の屈折率は、通常、透明基板の材質によって定まる。透明基板の屈折率は、エリプソメーターで測定される。
第1高屈折率層2は、透明導電体の導通領域a、つまり透明金属層3が形成されている領域の光透過性を調整する層であり、少なくとも透明導電体100の導通領域aに形成される。第1高屈折率層2は、透明導電体100の絶縁領域bにも形成されていてもよいが、導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンを視認され難くするとの観点から、導通領域aのみに形成されていることが好ましい。
第1高屈折率層2にZnSが含まれると、透明基板1側から水分が透過し難くなり、透明金属層3の腐食が抑制される。
また、第1高屈折率層2は、ZnSやSiO2の他に、金属酸化物を含有することが好ましい。
ZnSやSiO2とともに含まれる金属酸化物は、誘電性材料又は酸化物半導体材料である。
第1高屈折率層2に含有される上記誘電性材料又は酸化物半導体材料の波長570nmの光の屈折率は、透明基板1の波長570nmの光の屈折率より0.1〜1.1大きいことが好ましく、0.4〜1.0大きいことがより好ましい。
一方、第1高屈折率層2に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料の波長570nmの光の具体的な屈折率は1.5より大きいことが好ましく、1.7〜2.5の範囲内であることがより好ましく、さらに好ましくは1.8〜2.5の範囲内である。誘電性材料又は酸化物半導体材料の屈折率が1.5より大きいと、第1高屈折率層2によって、透明導電体100の導通領域aの光透過性が十分に調整される。
なお、第1高屈折率層2の屈折率は、第1高屈折率層2に含まれる材料の屈折率や、第1高屈折率層2に含まれる材料の密度で調整される。
誘電性材料又は酸化物半導体材料としては、以下の金属酸化物が挙げられる。例えば、TiO2、ITO(インジウム・スズ酸化物)、ZnO、Nb2O5、ZrO2、CeO2、Ta2O5、Ti3O5、Ti4O7、Ti2O3、TiO、SnO2、La2Ti2O7、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、AZO(アルミニウム・亜鉛酸化物)、GZO(ガリウム・亜鉛酸化物)、ATO(アンチモン・スズ酸化物)、ICO(インジウム・セリウム酸化物)、Bi2O3、Ga2O3、GeO2、WO3、HfO2、a−GIO(ガリウム・インジウム酸化物)、IGZO(インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物)等が挙げられる。第1高屈折率層2には、当該金属酸化物が1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。
また、第1高屈折率層2は、複数層から構成されても良い。
ZnSの比率が高いとスパッタ速度が速くなり、第1高屈折率層2の形成速度が速くなる。一方、ZnS以外の成分が多く含まれると、第1高屈折率層2の非晶質性が高まり、第1高屈折率層2の割れが抑制される。
第1高屈折率層2の屈折率(密度)が高まるとの観点から、第1高屈折率層2は、電子ビーム蒸着法又はスパッタ法で形成された層であることが好ましい。電子ビーム蒸着法の場合は膜密度を高めるため、イオンアシスト法(Ion Assisted Deposition:IAD)などによるアシストがあることが望ましい。
透明金属層3は、透明導電体100において電気を導通させるための層である。
本発明の透明導電体100では、透明金属層3が透明基板1の全面に積層されていてもよく、図2及び図3に示すように、目的とするデバイスの用途に合わせて所望の形状にパターニングされていてもよい。
図2においては、透明電極ユニットEUを除去した領域を絶縁領域bとしているが、一例であって、少なくとも透明金属層3が除去されていれば適宜変更することができる。
透明金属層3には、これらの金属が一種のみ含まれてもよく、二種以上含まれてもよい。導電性が高いとの観点から、透明金属層は銀、又は銀が90at%以上含まれる合金からなることが好ましい。
銀と組み合わされる金属としては、亜鉛、金、銅、パラジウム、アルミニウム、マンガン、ビスマス、ネオジム、モリブデン等が挙げられる。例えば、銀と亜鉛とが組み合わされると、透明金属層の耐硫化性が高まる。銀と金とが組み合わされると、耐塩(NaCl)性が高まる。さらに、銀と銅とが組み合わされると、耐酸化性が高まる。
透明金属層3のプラズモン吸収率は、波長400〜800nmにわたって(全範囲で)10%以下であることがより好ましく、7%以下であることがさらに好ましく、特に好ましくは5%以下である。波長400〜800nmの一部にプラズモン吸収率が大きい領域があると、透明導電体100の導通領域aの透過光が着色しやすくなる。
(i)ガラス基板上に、白金パラジウムをマグネトロンスパッタ装置にて0.1nm成膜する。白金パラジウムの平均厚さは、スパッタ装置のメーカー公称値の成膜速度等から算出する。その後、白金パラジウムが付着した基板上にスパッタ法にて金属からなる膜を20nm形成する。
透明金属層3の厚さを20nm以下にすることによって、透明金属層3に金属本来の反射が生じ難い。さらに、透明金属層3の厚さが20nm以下であると、第1高屈折率層2及び第2高屈折率層4によって、透明導電体100の光透過性が調整されやすく、導通領域a表面での光の反射が抑制されやすい。透明金属層3の厚さは、エリプソメーターで測定される。
スパッタ法の種類は特に制限されず、イオンビームスパッタ法や、マグネトロンスパッタ法、反応性スパッタ法、2極スパッタ法、バイアススパッタ法、対向スパッタ法等が挙げられる。
透明金属層3は、特に対向スパッタ法で形成された層であることが好ましい。すなわち、透明金属層3が、対向スパッタ法で形成された層であると、透明金属層3が緻密になり、表面平滑性が高まりやすい。その結果、透明金属層3の表面電気抵抗がより低くなり、光の透過率も高まりやすい。
この場合、透明金属層3の形成方法は、特に制限されず、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等、一般的な気相成膜法を用いることができる。
透明金属層3は、例えば、所望のパターンを有するマスクを配置して形成された層であってもよく、公知のエッチング法によってパターニングされた層であってもよい。
第2高屈折率層4は、透明導電体100の導通領域a、つまり透明金属層3が形成されている領域の光透過性を調整するための層であり、少なくとも透明導電体100の導通領域aに形成される。
第2高屈折率層4は、透明導電体100の絶縁領域bに形成されてもよいが、導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンを視認され難くするとの観点から、導通領域aのみに形成されていることが好ましい。
また、第2高屈折率層4は、さらに、誘電性材料又は酸化物半導体材料やSiO2等を含有してもよい。
また、第2高屈折率層4が、第2高屈折率層全体に対して、Ga2O3を1〜35質量%の範囲内で含有することが好ましい。つまり、第2高屈折率層4に、ZnOとGa2O3からなる複合酸化物(GZO)のみが含有されている場合には、ZnOとGa2O3の質量比が99〜25:1〜35であることを意味し、ZnOとGa2O3からなる複合酸化物以外にも含有されている場合には、ZnO及びその他含有されている材料とGa2O3の質量比が99〜25:1〜35であることを意味する。
第2高屈折率層4に含有される上記誘電性材料又は酸化物半導体材料の波長570nmの光の屈折率は、透明基板1の波長570nmの光の屈折率より0.1〜1.1大きいことが好ましく、0.4〜1.0大きいことがより好ましい。
一方、第2高屈折率層4に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料の波長570nmの光の具体的な屈折率は1.5より大きいことが好ましく、1.7〜2.5であることがより好ましく、さらに好ましくは1.8〜2.5である。誘電性材料又は酸化物半導体材料の屈折率が1.5より大きいと、第2高屈折率層4によって、透明導電体100の導通領域aの光透過性が十分に調整される。
なお、第2高屈折率層4の屈折率は、第2高屈折率層4に含まれる材料の屈折率や、第2高屈折率層4に含まれる材料の密度で調整される。
当該誘電性材料又は酸化物半導体材料は、第1高屈折率層に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料と同様の金属酸化物が挙げられる。
第2高屈折率層4には、当該金属酸化物が1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。
また、第2高屈折率層4は、複数層から構成されても良い。
第2高屈折率層4の透湿性が低くなるとの観点から、第2高屈折率層4は、スパッタ法で形成された層であることが特に好ましい。
第2高屈折率層4は、例えば、所望のパターンを有するマスク等を被形成面に配置して、気相成膜法でパターン状に形成された層であってもよい。また、公知のエッチング法によってパターニングされた層であってもよい。
図1に示すように、第1高屈折率層2と透明金属層3との間に、透明金属層3の硫化を防止するための硫化防止層5aを設けることが好ましい。
硫化防止層5aは、透明導電体100の絶縁領域bにも形成されていてもよいが、導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンを視認され難くするとの観点から、導通領域aのみに形成されていることが好ましい。
硫化防止層5aには、これらが一種のみ含まれてもよく、二種以上含まれてもよい。ただし、第1高屈折率層2と、硫化防止層5aと、透明金属層3とが連続的に形成される場合には、金属酸化物が硫黄と反応可能、若しくは硫黄を吸着可能な化合物であることが好ましい。金属酸化物が、硫黄と反応する化合物である場合、金属酸化物と硫黄との反応物は、可視光の透過性が高いことが好ましい。
金属フッ化物としては、LaF3、BaF2、Na5Al3F14、Na3AlF6、AlF3、MgF2、CaF2、BaF2、CeF3、NdF3、YF3等が挙げられる。
半導体はSi等が挙げられる。
金属はZn等が挙げられる。
金属窒化物としては、Si3N4、AlN等が挙げられる。
上記の化合物を用いることができるが、十分な硫化防止機能及び耐久性を持たせるために、特にZnO、GZO、IGZOを用いることが好ましい。
一方で、第1高屈折率層2及び第2高屈折率層4に含まれ得るZnSは、透明金属層3に含まれる金属との親和性が高い。そのため、硫化防止層5aの厚さが非常に薄く、第1高屈折率層2及び第2高屈折率層4の一部が僅かに露出していると、当該露出部分を中心に透明金属層が成長し、透明金属層3が緻密になりやすい。つまり、硫化防止層5aは比較的薄いことが好ましく、0.1〜10nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5nmの範囲内であり、さらに好ましくは1〜3nmの範囲内である。
硫化防止層5aの厚さは、エリプソメーターで測定される。
硫化防止層5aは、例えば、所望のパターンを有するマスク等を被形成面に配置して、気相成膜法でパターン状に形成された層であってもよく、公知のエッチング法によってパターニングされた層であってもよい。
上述のように、透明導電体100には、透明金属層3の形成時に成長核となる下地層が設けられてもよい。
下地層は、透明金属層3より透明基板1側、かつ透明金属層3に隣接して形成された層、つまり、第1高屈折率層2と透明金属層3との間、又は硫化防止層5aと透明金属層3との間に形成された層である。
下地層は、少なくとも透明導電体の導通領域aに形成されていることが好ましく、透明導電体100の絶縁領域bに形成されていてもよい。
下地層は、透明基板1上に金属原子が互いに離間して付着している膜でもありうる。下地層の付着量が3nm以下であれば、下地層が透明導電体100の光透過性や光学アドミッタンスに影響を及ぼし難い。下地層の有無はICP−MS法で確認される。また、下地層の厚さは、形成速度と形成時間との積から算出される。
スパッタ法の例としては、イオンビームスパッタ法や、マグネトロンスパッタ法、反応性スパッタ法、2極スパッタ法、バイアススパッタ法等が挙げられる。下地層形成時のスパッタ時間は、所望の下地層の平均厚さ、及び形成速度に合わせて適宜選択される。スパッタ形成速度は、好ましくは0.1〜15Å/秒の範囲内であり、より好ましくは0.1〜7Å/秒の範囲内である。
本発明に用いられる金属引出配線202(図3参照)は、公知のプリント印刷等のプリント基板に用いられる方法により形成することができる。
材質については、銀又は銅が好ましく、線幅については、20〜50μmの範囲内が好ましいが、目的に応じて適宜変更することができる。
本発明の透明導電体100においては、上記のような方法で透明基板1上に、少なくとも、第1高屈折率層2と、透明金属層3と、第2高屈折率層4とをこの順で積層して製造した後、透明導電体100を所定の形状にパターニングして、金属パターン電極を形成する。
具体的には、フォトリソグラフィー法により、エッチング液を用いて、例えば、図2に示すような電極パターンを形成することが好ましい。形成する電極の線幅としては、50μm以下であることが好ましく、特に好ましくは、20μm以下である。
本発明に適用するフォトリソグラフィー法とは、硬化性樹脂等のレジスト塗布、予備加熱、露光、現像(未硬化樹脂の除去)、リンス、エッチング液によるエッチング処理、レジスト剥離の各工程を経ることにより、銀薄膜層を、例えば、図2に示すようなパターンに加工することができ、パターンの形状は適宜変更することができる。
本発明では、従来公知の一般的なフォトリソグラフィー法を適宜利用することができる。例えば、レジストとしてはポジ型又はネガ型のいずれのレジストでも使用可能である。また、レジスト塗布後、必要に応じて予備加熱又はプリベークを実施することができる。露光に際しては、所定のパターンを有するパターンマスクを配置し、その上から、用いたレジストに適合する波長の光、一般には紫外線や電子線等を照射すればよい。露光後、用いたレジストに適合する現像液で現像を行う。現像後、水等のリンス液で現像を止めるとともに洗浄を行うことで、レジストパターンが形成される。
エッチング後、残留するレジストを剥離することによって、所定のパターンを有する透明電極が得られる。このように、本発明に適用されるフォトリソグラフィー法は、当業者に一般に認識されている方法であり、その具体的な適用態様は当業者であれば所定の目的に応じて容易に選定することができる。
第1ステップとして、透明基板1上に、第1高屈折率層2、硫化防止層5a、透明金属層3、及び第2高屈折率層4をこの順で積層した透明電極ユニットEUを作製する。
次いで、レジスト膜の形成工程で、透明電極ユニットEU上に感光性樹脂組成物等から構成されるレジスト膜を均一に塗設する。感光性樹脂組成物としては、ネガ型感光性樹脂組成物又はポジ型感光性樹脂組成物を用いることができる。
現像方法としては、シャワー、ディッピング、パドルなどの方法で現像液に5秒〜10分間浸漬することが好ましい。
現像液としては、公知のアルカリ現像液を用いることができる。具体例としては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩などの無機アルカリ、2−ジエチルアミノエタノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、コリンなどの4級アンモニウム塩を一種又は二種以上含む水溶液などが挙げられる。
現像後、水でリンスすることが好ましく、続いて50〜150℃の範囲内で乾燥ベークを行ってもよい。
本発明に適用可能なエッチング液としては、無機酸又は有機酸を含有する液が好ましく、シュウ酸、塩酸、酢酸、リン酸、硝酸を挙げることができ、特に、シュウ酸、酢酸、リン酸が好ましい。
具体的には、例えば、有機酸等を含むエッチング液に、レジスト膜を有する透明導電層透明電極ユニットEUを浸漬し、レジスト膜で保護されていない絶縁領域bの透明電極ユニットEUを溶解し、レジスト膜で保護している導通領域aの透明電極ユニットEUを所定の電極パターンとして形成する。
本発明の透明導電体の波長450〜800nmの光の平均透過率は、導通領域a及び絶縁領域bのいずれにおいても90%以上であることが好ましい。上記波長範囲における平均透過率が90%以上であると、透明導電体を、可視光に対して高い透明性が要求される用途に適用することができる。
また、透明導電体の波長450〜800nmの光の吸収率の最大値は、導通領域a及び絶縁領域bのいずれにおいても15%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは9%以下である。
一方、透明導電体の波長500〜700nmの光の平均反射率は、導通領域a及び絶縁領域bのいずれにおいても、20%以下であることが好ましく、より好ましくは15%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。
透明導電体の平均吸収率及び平均反射率が低いほど、前述の平均透過率が高まる。
一方、透明導電体が大気中で使用される場合には、大気中での平均透過率及び平均反射率を測定することが好ましい。
透過率及び反射率は、透明導電体の表面の法線に対して5°傾けた角度から測定光を入射させて分光光度計で測定する。吸収率は、100−(透過率+反射率)の計算式より算出される。
一方、導通領域a及び絶縁領域bの視感反射率は、それぞれ5%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。視感反射率は、分光測色計(CM−5;コニカミノルタ株式会社製)で測定されるY値である。
導通領域aの表面電気抵抗値は、透明金属層の厚さ等によって調整される。導通領域aの表面電気抵抗値は、例えばJIS K7194−1994、ASTM D257等に準拠して測定される。また、市販の表面電気抵抗率計によっても測定される。
光学アドミッタンスは、一般に複素数で与えられる。実部は、光を通過させる空間又は物質の屈折率nと等しく、虚部は、前記空間又は物質の消衰係数と等しい値となる。
また、各アドミッタンスを表す点は、後述するアドミッタンス軌跡にしたがい、用いる物質に特徴的であるとともに、光を通過させる際の物質の厚さに依存する。
ここで、光が入射する媒質とは、透明導電体に入射する光が、その入射直前に通過する部材又は環境であって、有機樹脂からなる部材、又は環境をいう。光が入射する媒質の光学アドミッタンスYenvと、透明導電体の表面の等価アドミッタンスYEとの関係は以下の式で表される。
(1)最上層である第2高屈折率層の屈折率がn=2.13で、透明基板/第1高屈折率層(ZnSSiO2(20%))/透明金属層(Ag)/第2高屈折率層(ZnSSiO2(20%))を備える透明導電体の導通領域aの波長570nmのアドミッタンス軌跡
(2)第2高屈折率層の屈折率がn=2.03で、透明基板/第1高屈折率層(ZnSSiO2(20%))/透明金属層(Ag)/第2高屈折率層(IGZO:GZO+In2O3(10%))を備える透明導電体の導通領域aの波長570nmのアドミッタンス軌跡
(3)第2高屈折率層の屈折率がn=1.95で、透明基板/第1高屈折率層(ZnSSiO2(20%))/透明金属層(Ag)/第2高屈折率層(GZO(5.7%))を備える透明導電体の導通領域aの波長570nmのアドミッタンス軌跡
(4)第2高屈折率層の屈折率がn=1.92で、透明基板/第1高屈折率層(ZnSSiO2(20%))/透明金属層(Ag)/第2高屈折率層(GZO(20%))を備える透明導電体の導通領域aの波長570nmのアドミッタンス軌跡
なお、グラフの横軸は、当該領域の光学アドミッタンスYをx+iyで表したときの実部、つまり当該式におけるxであり、縦軸は光学アドミッタンスの虚部、つまり当該式におけるyである。
式(A):x1−x2≧0.05
式(B):y1+y2≧0.01
ここで、x1及びx2は、光学アドミッタンスの実部を示す変数を表す。y1及びy2は、光学アドミッタンスの虚部を示す変数を表す。iは、虚数単位を表す。
上記構成からなる本発明の透明導電体は、液晶方式、プラズマ方式、有機エレクトロルミネッセンス方式、フィールドエミッション方式など各種ディスプレイをはじめ、タッチパネルや携帯電話、電子ペーパー、各種太陽電池、各種エレクトロルミネッセンス調光素子など様々なオプトエレクトロニクスデバイス等に好ましく用いることができる。
図3は、電極パターンを有する透明導電体を具備したタッチパネルの構成の一例を示す斜視図である。
なお、各層の厚さは、J.A.Woollam Co.Inc.製のVB−250型VASEエリプソメーターで測定した。
また、光の屈折率は、25℃、55%RH環境下で測定した。
≪第1高屈折率層(In2O3+SiO2(20%)+S(0.7%))の形成≫
真空スパッタ装置として、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力750W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(In2O3+SiO2(20%)+S(0.7%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、In2O3+SiO2(20%)+S(0.7%)とは、In2O3とSiO2とSの質量比がIn2O3:SiO2:S=79.3:20:0.7であることを意味する。
Ar 20sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート3.8Å/秒でAgをRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(10%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、GZO(10%)とは、ZnOとGa2O3の質量比がZnO:Ga2O3=90:10であることを意味する。
上記「透明導電体1の作製」において、下記に示す第1高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体2を作製した。
真空スパッタ装置として、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(Nb2O5+S(0.7%)の焼成体)をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、Nb2O5+S(0.7%)とは、Nb2O5とSの質量比がNb2O5:S=99.3:0.7であることを意味する。
上記「透明導電体1の作製」において、下記に示す第1高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体3を作製した。
真空スパッタ装置として、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(ITO+S(0.7%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、ITO+S(0.7%)とは、ITOとSの質量比がITO:S=99.3:0.7であることを意味する。
上記「透明導電体1の作製」において、下記に示す第1高屈折率層及び第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体4を作製した。
真空スパッタ装置として、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート2.2Å/秒でターゲット(ZnSの焼成体)をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
真空スパッタ装置として、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(ZnO+Ga(3%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、ZnO+Ga(3%)とは、ZnOとGaの質量比がZnO:Ga=97:3であることを意味する。
上記「透明導電体1の作製」において、下記に示す第1高屈折率層及び第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体5を作製した。
真空スパッタ装置として、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート1.5Å/秒でターゲット(ZnSSiO2(20%)の焼成体)をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、ZnSSiO2(20%)とは、ZnSとSiO2の質量比がZnS:SiO2=80:20であることを意味する。
真空スパッタ装置として、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(SnO2+Ga2O3(10%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、SnO2+Ga2O3(10%)とは、SnO2とGa2O3の質量比がSnO2:Ga2O3=90:10であることを意味する。
上記「透明導電体5の作製」において、下記に示す第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体6を作製した。
真空スパッタ装置として、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(In2O5+Ga2O3(10%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、In2O5+Ga2O3(10%)とは、In2O5とGa2O3の質量比がIn2O5:Ga2O3=90:10であることを意味する。
上記「透明導電体5の作製」において、下記に示す第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体7を作製した。
Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(10%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
上記「透明導電体5の作製」において、下記に示す第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体8を作製した。
Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(5.7%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、GZO(5.7%)とは、ZnOとGa2O3の質量比がZnO:Ga2O3=94.3:5.7であることを意味する。
上記「透明導電体5の作製」において、下記に示す第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体9を作製した。
Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(20%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、GZO(20%)とは、ZnOとGa2O3の質量比がZnO:Ga2O3=80:10であることを意味する。
上記「透明導電体5の作製」において、下記に示す第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体10を作製した。
Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(1%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、GZO(1%)とは、ZnOとGa2O3の質量比がZnO:Ga2O3=99:1であることを意味する。
上記「透明導電体5の作製」において、下記に示す第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体11を作製した。
Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(40%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、GZO(40%)とは、ZnOとGa2O3の質量比がZnO:Ga2O3=60:40であることを意味する。
上記「透明導電体5の作製」において、下記に示す第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体12を作製した。
Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(10%)+In2O3(10%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、GZO(10%)+In2O3(10%)とは、ZnOとGa2O3とIn2O3の質量比がZnO:Ga2O3:In2O3=80:10:10であることを意味する。
上記「透明導電体5の作製」において、下記に示す硫化防止層及び第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体13を作製した。
Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(10%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(10%)+In2O3(10%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
上記「透明導電体13の作製」において、下記に示す第1高屈折率層及び第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体14を作製した。
真空スパッタ装置として、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート1.5Å/秒でターゲット(ZnSSiO2(10%)の焼成体)をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、ZnSSiO2(10%)とは、ZnSとSiO2の質量比がZnS:SiO2=90:10であることを意味する。
Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(10%)+In2O3(10%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。なお、第2高屈折率層の層厚は、透明導電体13と異なり、48nmとした。
上記「透明導電体14の作製」において、下記に示す第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体15を作製した。
Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(10%)+In2O3(10%)+SnO2(10%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
GZO(10%)+In2O3(10%)+SnO2(10%)とは、ZnOとGa2O3とIn2O3とSnO2の質量比がZnO:Ga2O3:In2O3:SnO2=70:10:10:10であることを意味する。
上記「透明導電体14の作製」において、下記に示す第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体16を作製した。
Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力50W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(Zn:Ga:In:O(1:1:1:4)の焼成体)をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
Zn:Ga:In:O(1:1:1:4)とは、ZnとGaとInとOの原子量比がZn:Ga:In:O=1:1:1:4であることを意味する。
上記「透明導電体14の作製」において、下記に示す第1高屈折率層及び第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体17を作製した。
真空スパッタ装置として、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート2.2Å/秒でターゲット(ZnSの焼成体)をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(10%)+In2O3(10%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。なお、第2高屈折率層の層厚は、透明導電体14と異なり、51nmとした。
上記「透明導電体17の作製」において、下記に示す第1高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体18を作製した。
真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、第1のモリブデン製抵抗加熱ボートにZnSを装填し、真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、第1の抵抗加熱ボートに通電加熱し、抵抗加熱ボートの通電加熱条件を適宜調製して、形成速度1.0nm/秒で蒸着した。
上記「透明導電体17の作製」において、下記に示す第1高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体19を作製した。なお、第1高屈折率層は、下記のとおり2層構造とした。
Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート1.5Å/秒でターゲット(ZnSSiO2(20%)の焼成体)をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
次いで、形成したZnSSiO2膜上に、真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、第1のモリブデン製抵抗加熱ボートにZnSを装填し、真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、第1の抵抗加熱ボートに通電加熱し、抵抗加熱ボートの通電加熱条件を適宜調製して、形成速度1.0nm/秒で蒸着した。
上記「透明導電体13の作製」において、下記に示す第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体20を作製した。
Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(10%)+TiO2(10%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、GZO(10%)+TiO2(10%)とは、ZnOとGa2O3とTiO2の質量比がZnO:Ga2O3:TiO2=80:10:10であることを意味する。
上記「透明導電体13の作製」において、下記に示す第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体21を作製した。
Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.8Å/秒でターゲット(GZO(10%)+SnO2(10%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
なお、GZO(10%)+SnO2(10%)とは、ZnOとGa2O3とSnO2の質量比がZnO:Ga2O3:SnO2=80:10:10であることを意味する。
上記「透明導電体13の作製」において、下記に示す第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体22を作製した。なお、第2高屈折率層は、下記のとおり2層構造とした。
Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(10%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
次いで、形成したGZO膜上に、Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(SnO2の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
上記「透明導電体13の作製」において、下記に示す第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体23を作製した。なお、第2高屈折率層は、下記のとおり2層構造とした。
Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(10%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
次いで、形成したGZO膜上に、Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(In2O5の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
上記「透明導電体1の作製」において、下記に示す第1高屈折率層及び第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体24を作製した。
Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート0.6Å/秒でターゲット(ZnOの焼成体)をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート0.6Å/秒でターゲット(ZnOの焼成体)をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
上記「透明導電体8の作製」において、下記に示す第1高屈折率層及び第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体25を作製した。
Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(5.7%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力75W、成膜レート0.7Å/秒でターゲット(GZO(5.7%)の焼成体)をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。なお、第2高屈折率層の層厚は、透明導電体8と異なり、40nmとした。
上記「透明導電体5の作製」において、下記に示す第1高屈折率層及び第2高屈折率層の形成以外は、同様にして透明導電体26を作製した。
真空スパッタ装置として、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート1.5Å/秒でターゲット(ZnSSiO2(20%)の焼成体)をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。なお、第1高屈折率層の層厚は、透明導電体5と異なり、40nmとした。
真空スパッタ装置として、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート1.5Å/秒でターゲット(ZnSSiO2(20%)の焼成体)をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
上記「透明導電体4の作製」において、下記に示す第2高屈折率層以外は、同様にして透明導電体27を作製した。
真空スパッタ装置として、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート2.2/秒でターゲット(ZnSの焼成体)をRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
上記のように作製した各透明導電体に対して以下のようにしてパターニングを施し、図2に示すようなパターン状に形成された透明導電体1〜27を作製した。
各透明導電体の少なくとも第1高屈折率層、透明金属層及び第2高屈折率層を有する透明電極ユニットに対し、導通領域aと、絶縁領域bを有するパターンを形成した。
具体的に、透明電極ユニット上に、フォトリソグラフィー法でレジスト層をパターン状に形成し、少なくとも第1高屈折率層、透明金属層及び第2高屈折率層をエッチング液を用いて、複数の導通領域aと、これを区切るライン状の絶縁領域bとを含むパターン状にエッチングした。
エッチング液としては、関東化学社製の「混液 SEA−5」(リン酸:55質量%、酢酸:30質量%、水その他の成分:15質量%)を用いた。絶縁領域bには、透明基板のみが含まれるものとした。また、ライン状の絶縁領域bの幅は16μmとした。
以下に示す評価方法に従って、上記で作製した透明導電体の評価を行った。評価結果を下記表4に示す。
<平均透過率>
パターン状に形成された透明導電体を用いて導通領域における平均透過率を以下の方法に従って測定した。
以下の基準で評価した。
◎:平均透過率が90%以上である
○:平均透過率が88%以上90%未満である
△:平均透過率が83%以上88%未満である
×:平均透過率が83%未満である
各透明導電体の第2高屈折率層の表面(2点)に、三菱化学アナリテック製のロレスタEP MCP−T360を接触させて、抵抗値の安定性を確認した。測定環境の温度は24℃であり、湿度は30%RHとした。抵抗値の安定性及び電気的接続可能性は、以下の基準で評価した。
◎:測定開始から5秒後に抵抗値が安定し、かつ抵抗値が20Ω/□以下である。またタッチパネルに実装し金属配線と電気的に接続可能であることを確認した。
○:測定開始から5秒後に抵抗値が安定しないものの、抵抗値が50Ω/□以下に収まる。またタッチパネルに実装し金属配線と電気的に接続可能であることを確認した。
△:測定開始から5秒後に抵抗値が安定せず、かつ抵抗値が50Ω/□超である。
またタッチパネルに実装し金属配線と電気的に接続不可能であった。
各透明導電体を85℃、85%RHの湿熱環境下に240時間載置した。その後、透明導電体の外観を目視で観察し、以下の基準で評価した。
◎:外観に異常なし
○:1〜5個の斑点が観察される
△:6個以上の斑点が観察される
×:全面変色する。
上述のフォトリソグラフィー法によりパターン状に形成された透明導電体の外観を目視で観察し、以下の基準で評価した。
◎:外観に異常なし
○:1〜5個の斑点が観察される
△:6個以上の斑点が観察される
各透明導電体を平板状の支持部材に載置し、一端を固定した。当該透明導電体をU字状に屈曲させた。屈曲部の曲率半径は5mmとした。そして、支持部材と平行に配置した摺動板に、透明導電体の他端を固定した。摺動板と支持部材とを平行に保ったまま、透明導電体の長さ方向に摺動板を1000回往復移動させた。その後、透明導電体の各層にクラック等が生じたかを目視で確認した。フレキシブル性は以下のように評価した。
◎:屈曲部位を含む30mm×30mmの領域に、クラックが一つも生じなかった
○:屈曲部位を含む30mm×30mmの領域に、1個以上50個以下のクラックが生じた
△:屈曲部位を含む30mm×30mmの領域に、50個超のクラックが生じた
2 第1高屈折率層
3 透明金属層
4 第2高屈折率層
5a 硫化防止層
100 透明導電体
200 タッチパネル
201 前面板
202 金属引出配線
EU、EU−1、EU−2 透明電極ユニット
a 導通領域
b 絶縁領域
Claims (5)
- 少なくとも、透明基板、第1高屈折率層、透明金属層及び第2高屈折率層を、この順に有する透明導電体であって、
前記第1高屈折率層が、少なくとも硫黄を含有し、
前記第2高屈折率層が、少なくともガリウムを含有し、
前記ガリウムが、Ga2O3として、前記第2高屈折率層に1〜35質量%の範囲内で含有され、かつ、
前記第1高屈折率層と透明金属層との間に、前記透明金属層の硫化を防止するための硫化防止層を有し、
前記硫化防止層が、ZnOとGa 2 O 3 からなる複合酸化物(GZO)からなることを特徴とする透明導電体。 - 前記第2高屈折率層が、ZnO、In2O3、又はSnO2のうち少なくともいずれかを含有することを特徴とする請求項1に記載の透明導電体。
- 前記第2高屈折率層が、ZnO、In2O3、又はSnO2のうち少なくとも2種類以上を含有することを特徴とする請求項2に記載の透明導電体。
- 前記第1高屈折率層が、ZnS又はSiO2のうち少なくとも一方を含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の透明導電体。
- 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の透明導電体を用いたことを特徴とするタッチパネル。
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