JP6493225B2 - 透明導電性フィルム - Google Patents
透明導電性フィルム Download PDFInfo
- Publication number
- JP6493225B2 JP6493225B2 JP2015560904A JP2015560904A JP6493225B2 JP 6493225 B2 JP6493225 B2 JP 6493225B2 JP 2015560904 A JP2015560904 A JP 2015560904A JP 2015560904 A JP2015560904 A JP 2015560904A JP 6493225 B2 JP6493225 B2 JP 6493225B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- transparent conductive
- layer
- refractive index
- high refractive
- conductive film
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B32—LAYERED PRODUCTS
- B32B—LAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
- B32B27/00—Layered products comprising a layer of synthetic resin
- B32B27/06—Layered products comprising a layer of synthetic resin as the main or only constituent of a layer, which is next to another layer of the same or of a different material
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B32—LAYERED PRODUCTS
- B32B—LAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
- B32B7/00—Layered products characterised by the relation between layers; Layered products characterised by the relative orientation of features between layers, or by the relative values of a measurable parameter between layers, i.e. products comprising layers having different physical, chemical or physicochemical properties; Layered products characterised by the interconnection of layers
- B32B7/02—Physical, chemical or physicochemical properties
- B32B7/023—Optical properties
-
- G—PHYSICS
- G02—OPTICS
- G02F—OPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
- G02F1/00—Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
- G02F1/01—Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour
- G02F1/13—Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour based on liquid crystals, e.g. single liquid crystal display cells
- G02F1/133—Constructional arrangements; Operation of liquid crystal cells; Circuit arrangements
- G02F1/1333—Constructional arrangements; Manufacturing methods
- G02F1/13338—Input devices, e.g. touch panels
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B32—LAYERED PRODUCTS
- B32B—LAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
- B32B2307/00—Properties of the layers or laminate
- B32B2307/40—Properties of the layers or laminate having particular optical properties
- B32B2307/412—Transparent
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B32—LAYERED PRODUCTS
- B32B—LAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
- B32B2307/00—Properties of the layers or laminate
- B32B2307/40—Properties of the layers or laminate having particular optical properties
- B32B2307/418—Refractive
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B32—LAYERED PRODUCTS
- B32B—LAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
- B32B2457/00—Electrical equipment
- B32B2457/20—Displays, e.g. liquid crystal displays, plasma displays
- B32B2457/202—LCD, i.e. liquid crystal displays
-
- G—PHYSICS
- G06—COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
- G06F—ELECTRIC DIGITAL DATA PROCESSING
- G06F2203/00—Indexing scheme relating to G06F3/00 - G06F3/048
- G06F2203/041—Indexing scheme relating to G06F3/041 - G06F3/045
- G06F2203/04103—Manufacturing, i.e. details related to manufacturing processes specially suited for touch sensitive devices
-
- G—PHYSICS
- G06—COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
- G06F—ELECTRIC DIGITAL DATA PROCESSING
- G06F3/00—Input arrangements for transferring data to be processed into a form capable of being handled by the computer; Output arrangements for transferring data from processing unit to output unit, e.g. interface arrangements
- G06F3/01—Input arrangements or combined input and output arrangements for interaction between user and computer
- G06F3/03—Arrangements for converting the position or the displacement of a member into a coded form
- G06F3/041—Digitisers, e.g. for touch screens or touch pads, characterised by the transducing means
- G06F3/044—Digitisers, e.g. for touch screens or touch pads, characterised by the transducing means by capacitive means
Landscapes
- Physics & Mathematics (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Nonlinear Science (AREA)
- General Physics & Mathematics (AREA)
- Theoretical Computer Science (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Human Computer Interaction (AREA)
- Mathematical Physics (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
- Optics & Photonics (AREA)
- Non-Insulated Conductors (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
Description
本発明は、透明導電性フィルムに関し、更に詳しくは、良好な導電性と透明性を有し、かつ角度依存性のある虹ムラの発生しない美麗な映像表示が可能な透明導電性フィルムに関する。
近年、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、無機及び有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、タッチパネル、太陽電池等の各種装置に透明導電膜が使用されている。
このような透明導電膜を構成する材料として、金、銀、白金、銅、ロジウム、パラジウム、アルミニウム、クロム等の金属やIn2O3、CdO、CdIn2O4、Cd2SnO4、TiO2、SnO2、ZnO、ITO(インジウム・スズ酸化物)等の酸化物半導体が知られている。
ここで、タッチパネル型の表示装置等では、表示素子の画像表示面上に、透明導電膜等からなる透明導電性フィルムが配置される。したがって、透明導電膜には、光の透過性が高いことが求められる。このような各種表示装置には、光透過性の高いITOからなる透明導電膜が多用されている。
近年、静電容量方式のタッチパネル表示装置が開発され、透明導電膜の表面電気抵抗をさらに低くすることが求められている。しかし、従来のITO膜では、表面電気抵抗を十分に下げられないという問題があった。
そこで、銀の蒸着膜を透明導電膜とすることが検討されている(例えば、特許文献1参照。)。また、透明導電体の光透過性を高めるため、銀の蒸着膜を屈折率の高い膜(例えば酸化ニオブ(Nb2O5)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、ICO(インジウム・セリウム酸化物)、a−GIO(ガリウム、インジウム、及び酸素からなる非晶質酸化物)等からなる膜)で挟み込むことも提案されている(例えば、特許文献2〜4参照。)。さらに、銀の蒸着膜を硫化亜鉛の膜で挟み込むことが提案されている(例えば、非特許文献1及び2参照。)。
一方、近年のタッチパネルを備えた情報機器は大画面化・軽量薄型化の要求と同時に、一層の画質の高さ、動作精度と応答速度を両立する必要に迫られた結果、高い電気伝導性と透明性の重要性はこれまで以上に増しており、さらに映像表示機能の面から求められる特性から、元の表示映像を劣化させないことが重要である。しかしながら、タッチパネルデバイスが大画面化を遂げるのにあわせ、ユーザーはより広角に映像を鑑賞することになった結果、表示装置を斜め方向から視認した場合、画面に虹状のムラが発生する虹ムラ現象の発生が重要な問題となった。そして透明導電膜を構成する材料として金属を使用し薄膜とした場合には、角度依存性のある虹ムラが発生した。
Xuanjie Liu,et al,(2003).Thin Solid Films 441,200−206
Optically transparent IR reflective heat mirror films of ZnS−Ag−ZnS,Bruce W.Smith,May 1989.Rochester Institute Of Technology Center For Imaging Science
本発明の課題は、良好な導電性と透明性を有し、かつ角度依存性のある虹ムラの発生しない美麗な映像表示が可能な透明導電性フィルムを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、透明導電性フィルムに、面内リターデーション値Roの小さい透明樹脂支持体を用い、その上に銀を含有する透明導電層と透明導電層の両側に高屈折率層を設け、さらに少なくとも一方の高屈折率層に硫化亜鉛を含有することによって、良好な導電性と角度依存性のある虹ムラの発生しない美麗な映像表示が可能な透明導電性フィルムを得ることができることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.透明樹脂支持体上に少なくとも一層の透明導電層と高屈折率層とを有する透明導電性フィルムであって、
前記透明樹脂支持体の測定波長589nmにおける面内リターデーション値Roが、0〜150nmの範囲内であり、
前記透明導電層が、銀を含有し、かつ層厚が、3〜15nmの範囲内であり、
前記高屈折率層が、前記透明導電層の両側に設けられ、かつ少なくとも一方の高屈折率層が硫化亜鉛を含有することを特徴とする透明導電性フィルム。
前記透明樹脂支持体の測定波長589nmにおける面内リターデーション値Roが、0〜150nmの範囲内であり、
前記透明導電層が、銀を含有し、かつ層厚が、3〜15nmの範囲内であり、
前記高屈折率層が、前記透明導電層の両側に設けられ、かつ少なくとも一方の高屈折率層が硫化亜鉛を含有することを特徴とする透明導電性フィルム。
2.前記透明樹脂支持体の測定波長589nmにおける厚さ方向リターデーション値Rtが、0〜400nmの範囲内であることを特徴とする第1項に記載の透明導電性フィルム。
3.前記透明樹脂支持体が、少なくともセルロースエステル樹脂、シクロオレフィン樹脂及びポリカーボネート樹脂から選択されるいずれか一種を含有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の透明導電性フィルム。
4.前記透明導電層が、金、銅、ニッケル、パラジウム、白金、亜鉛、アルミニウム、マンガン、ゲルマニウム、ビスマス、ネオジム及びモリブデンから選択される少なくとも一種の金属を含有することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の透明導電性フィルム。
5.前記透明導電層の両側に設けられた高屈折率層のうち、支持体側の高屈折率層が、硫化亜鉛を含有することを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の透明導電性フィルム。
6.前記透明導電層の両側に設けられた高屈折率層のうち、支持体側とは反対側に設けられた高屈折率層が、インジウム・スズ酸化物、インジウム・亜鉛酸化物、ガリウム・亜鉛酸化物又はインジウム・ガリウム・亜鉛酸化物のいずれかを含有することを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の透明導電性フィルム。
7.前記透明導電層と前記少なくとも一方の高屈折率層との間に、酸化亜鉛を含有する層を有することを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の透明導電性フィルム。
本発明の上記手段により、良好な導電性と透明性を有し、かつ角度依存性のある虹ムラの発生しない美麗な映像表示が可能な透明導電性フィルムを提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明の透明導電性フィルムは、透明樹脂支持体上に少なくとも一層の透明導電層と高屈折率層とを有する透明導電性フィルムであり、透明樹脂支持体の面内リターデーションRoを0〜150nmの範囲内とすることにより、角度依存性のある虹ムラを防止することができたものである。
一般の虹ムラとは、透過型静電容量タッチパネルの表示映像において、透明導電性フィルムを構成する部材の一部又は全体が大きなリターデーション値を持つことにより、ある偏光状態をもった映像光がタッチモジュールの積層された各部材を通過するときに波長・視野角ごとに異なる偏光状態に変換されることによって生じる。
図1は、一般の虹ムラ発生機構を説明する模式図であり、アウトセルタイプの透過型静電容量タッチパネルの代表的な構成を、光線の偏光状態の変化に着目して簡略化・模式化して示した。したがって、実際の製品の形態及び光線を忠実に再現したものではない。
図1中、300は液晶などの画像表示素子を模しており、その最表面には偏光板200が設けられている。さらにその上部には透明導電性フィルム100が存在する。
ここで、異なる画素A及びBから発せられた光は、偏光板の作用により直線偏光として透明導電性フィルム中を、異なる光路に沿って進行する。このとき、透明導電性フィルムの支持体がリターデーションを持つことから、異なる光路を進行する各々の光線はA1、B1を経由するまでに互いに異なる偏光状態に変換されたのち、観測者の視点Oに到達する。
このとき、透明導電性フィルム100の視認側界面で界面反射が生ずるが、フレネルの式によれば、このときの反射率は光線の偏光成分ごとに異なり、入射角をφ1、屈折角をφ2としたとき(図1中、φA1は、A点からの入射角を表し、φA2は、A点からの屈折角を表す。同様にφB1は、B点からの入射角を表し、φB2は、B点からの屈折角を表す。)、
p偏光Rpは、
Rp={tan(φ1−φ2)}/{tan(φ1+φ2)}
S偏光Rsは、
Rs=−{sin(φ1−φ2)}/{sin(φ1+φ2)}
で表される。
p偏光Rpは、
Rp={tan(φ1−φ2)}/{tan(φ1+φ2)}
S偏光Rsは、
Rs=−{sin(φ1−φ2)}/{sin(φ1+φ2)}
で表される。
上記式から明らかなように、s偏光成分はp偏光成分に対して高い反射率を示すが、結果おのずと透過光線の強度はp偏光がs偏光に対し大となり、またその比は角度依存性を有することがわかる。
他方、前述の通り、図1中で画素A及びBから発せられた光線は、異なる偏光状態を有しているがゆえに、各々のp偏光及びs偏光成分の振幅比は既に同一でない。
したがってA1、B1から観察者側へと透過する二つの光線の強度は異なっており、観察者においては部位ごとの明暗コントラストとして視認される。加えて、屈折率は波長によって異なることから、前述のp−s偏光成分ごとの反射強度比も波長によって異なっており、結果として発生する明暗コントラストの程度は色ごとにおいても異なる。
これが一般の虹ムラの発生原理であり、近年のタッチパネルを備えた映像表示装置の大画面化の流れの中では非常に重要な問題となっている。
従前のタッチパネルでは、透明導電膜としてITOのような屈折率の大きい材料を使用し一般の虹ムラが強く発生していたことから、銀のような屈折率がITOよりも小さい材料の場合は、界面反射が小さくなりその発生が抑制されると予測していたが、予想に反し角度依存性のある虹ムラが発生した。銀を含有する透明導電層の吸収と、層厚の薄さが起因しているのではないかと推測している。
本発明者らは上述のように、銀を含有することを特徴とする透明導電性フィルムは、優れた透明導電性に基づき、大画面かつ視認性に優れたタッチパネルを備えた映像表示装置を提供しうるものでありながら、その実際に供される形態においては、従前に比して使用者はより大きな視野角で映像を鑑賞することになるため、前記角度依存性のある色ムラが却って顕著な問題となることを見いだした。
同時に、本発明者らはこの課題に対し、限定的かつ緻密に構成された条件のもとで、前記角度依存性の色ムラが解消可能であることを突き止めた。すなわち、リタ―デーションの低い支持体を使用し、かつ後述の高屈折率層及び硫化防止層と、銀を含有する導電層を巧みに組み合わせることで、工業的実用性と、優れた導電性と透明性及び美麗な映像表示を同時に実現する透明導電性フィルムを得ることができる。
本発明の透明導電性フィルムは、透明樹脂支持体上に少なくとも一層の透明導電層と高屈折率層とを有する透明導電性フィルムであって、
前記透明樹脂支持体の測定波長589nmにおける面内リターデーション値Roが、0〜150nmの範囲内であり、
前記透明導電層が、銀を含有し、かつ層厚が、3〜15nmの範囲内であり、
前記高屈折率層が、前記透明導電層の両側に設けられ、かつ少なくとも一方の高屈折率層が硫化亜鉛を含有することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項7までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
前記透明樹脂支持体の測定波長589nmにおける面内リターデーション値Roが、0〜150nmの範囲内であり、
前記透明導電層が、銀を含有し、かつ層厚が、3〜15nmの範囲内であり、
前記高屈折率層が、前記透明導電層の両側に設けられ、かつ少なくとも一方の高屈折率層が硫化亜鉛を含有することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項7までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様として、本発明の効果発現の観点から、前記透明樹脂支持体の厚さ方向リターデーション値Rtが、0〜400nmの範囲内であることが好ましい。
また、前記透明樹脂支持体が、少なくともセルロースエステル樹脂、シクロオレフィン樹脂及びポリカーボネート樹脂から選択されるいずれか一種を含有すると、面内リターデーション値Roを上記範囲内にすることができ、角度依存性のある虹ムラ防止する効果が得られるので好ましい。
前記透明導電層が、金、銅、ニッケル、パラジウム、白金、亜鉛、アルミニウム、マンガン、ゲルマニウム、ビスマス、ネオジム及びモリブデンから選択される少なくとも一種の金属を含有することが好ましい。
また、前記透明導電層の両側に設けられた高屈折率層のうち、支持体側の高屈折率層が、硫化亜鉛を含有することが好ましい。
また、前記透明導電層の両側に設けられた高屈折率層のうち、支持体側とは反対側に設けられた高屈折率層が、インジウム・スズ酸化物、インジウム・亜鉛酸化物、ガリウム・亜鉛酸化物又はインジウム・ガリウム・亜鉛酸化物のいずれかを含有することが好ましい。
また、前記透明導電層と前記少なくとも一方の高屈折率層との間に、酸化亜鉛を含有する層を有することが好ましい。
以下本発明の構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で用いる。
≪透明導電性フィルム≫
本発明の透明導電性フィルムの層構成の一実施態様を図2及び図3に示す。
本発明の透明導電性フィルムの層構成の一実施態様を図2及び図3に示す。
本発明の透明導電性フィルム100には、透明樹脂支持体1/第1高屈折率層2/透明導電層3/第2高屈折率層4が含まれる。そして、本発明の透明導電性フィルム100では、当該第1高屈折率層2及び第2高屈折率層4のどちらか一方が、硫化亜鉛(ZnS)を含有する層である。さらに当該第1、第2の高屈折率層2及び4と透明導電層3との間には、少なくともどちらか一層の酸化亜鉛を含有する硫化防止層5a又は5bを有することが好ましい。また、これらの層は薄膜から形成される層である。
図2においては、第1高屈折率層2及び第2高屈折率層4のどちらか一方が、硫化亜鉛を含有する層であり、当該第1高屈折率層2又は第2高屈折率層4と透明導電層3との間に、硫化防止層5(酸化亜鉛を含有する硫化防止層5a又は5b)が設けられることが好ましい。
透明導電層と硫化亜鉛を含有する高屈折率層とが隣接して形成されると、金属硫化物が生成されやすく、透明導電性フィルムの光透過性が低下しやすいという問題がある。金属硫化物は、以下のように生成されると推察される。
第1高屈折率層2(硫化亜鉛含有層)上にスパッタ法等の気相成膜法で透明導電層を形成する場合、第1高屈折率層2中の未反応の硫黄成分が、透明導電層の金属材料(銀)によって成膜雰囲気中に弾き出される。そして、弾き出された硫黄成分と銀とが反応し、硫化銀が高屈折率層上に堆積する。また、高屈折率層と透明導電層とを連続的に形成する場合、高屈折率層の成膜雰囲気に含まれる硫黄成分が透明導電層の銀を含有する金属層雰囲気内に残存する。そして、この硫黄成分と銀とが反応し、硫化銀が高屈折率層上に堆積する。
一方、透明導電層上に第2高屈折率層(硫化亜鉛含有層)を形成する場合、透明導電層の銀を含有する金属膜中の銀が、第2高屈折率層の材料によって、成膜雰囲気中に弾き出される。そして、弾き出された銀と硫黄成分とが反応し、硫化銀が透明導電層表面に堆積する。さらに、透明導電層の表面と、成膜雰囲気中の硫黄成分とが接触することでも、透明導電層の銀を含有する金属層表面に硫化銀が生成する。
これに対し、本発明の透明導電性フィルム100では、例えば図2に示されるように、第1高屈折率層2上に、酸化亜鉛を含有する第1硫化防止層5aが積層されてもよい。当該構成では、第1高屈折率層2が第1硫化防止層5aで保護されるため、透明導電層3の形成時に第1高屈折率層2中の硫黄成分が弾き出され難い。また、第1高屈折率層2と導電層3とを連続的に形成したとしても、第1高屈折率層2の成膜雰囲気に含まれる硫黄成分が、第1硫化防止層5aの構成成分と反応したり、第1硫化防止層5aの構成成分に吸着される。したがって、透明導電層3の成膜雰囲気には硫黄が含まれ難くなり、硫化銀の生成が抑制される。
また本発明の透明導電性フィルム100では、例えば図2に示されるように、透明導電層3上に第2硫化防止層5bが積層されてもよい。当該構成では、透明導電層3が第2硫化防止層5bで保護されるため、第2高屈折率層4の形成時に透明導電層3中の銀が弾き出され難い。また、第2高屈折率層4の成膜雰囲気中の硫黄成分が、透明導電層3の表面と接触し難い。したがって、透明導電層3表面に硫化銀が生成し難い。
本発明の透明導電性フィルムでは、図2に示されるように、透明導電層3が透明樹脂支持体1の全面に積層されていてもよく、図3に示されるように、透明導電層3が所望の形状にパターン化されていてもよい。本発明の透明導電性フィルムにおいて、透明導電層3が積層されている領域aが、電気が導通する領域(以下、「導通領域」とも称する)である。一方、図3に示されるように、透明導電層3が含まれない領域bが絶縁領域である。
導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンは、透明導電性フィルム100の用途に応じて、適宜選択される。例えば透明導電性フィルム100が静電方式のタッチパネルに適用される場合には、図4に示されるように、複数の導通領域aと、これを区切るライン状の絶縁領域bとを含むパターン等でありうる。
また、本発明の透明導電性フィルム100には、透明樹脂支持体1、第1高屈折率層2、透明導電層3、及び第2高屈折率層4、及び硫化防止層5以外の層が含まれてもよい。例えば透明導電層3の形成時に成長核になり得る下地層が、透明導電層と第1高屈折率層2との間に、透明導電層3に隣接して含まれてもよい。
≪透明導電性フィルムの層構成について≫
<1.透明樹脂支持体>
透明導電性フィルム100に用いられる透明樹脂支持体1としては、セルロースエステル樹脂(例えばトリアセチルセルロース(ゼロタック(コニカミノルタ社製))、ジアセチルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース等)、ポリカーボネート樹脂(例えばパンライト、マルチロン(いずれも帝人社製))、シクロオレフィン樹脂(例えばゼオノア(日本ゼオン社製)、アートン(JSR社製)、アペル(三井化学社製))、アクリル樹脂(例えばポリメチルメタクリレート、アクリライト(三菱レイヨン社製)、スミペックス(住友化学社製))が挙げられ、これらの樹脂が透明樹脂支持体の50質量%以上であることが好ましい。これらの樹脂は2種以上であってもよい。
<1.透明樹脂支持体>
透明導電性フィルム100に用いられる透明樹脂支持体1としては、セルロースエステル樹脂(例えばトリアセチルセルロース(ゼロタック(コニカミノルタ社製))、ジアセチルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース等)、ポリカーボネート樹脂(例えばパンライト、マルチロン(いずれも帝人社製))、シクロオレフィン樹脂(例えばゼオノア(日本ゼオン社製)、アートン(JSR社製)、アペル(三井化学社製))、アクリル樹脂(例えばポリメチルメタクリレート、アクリライト(三菱レイヨン社製)、スミペックス(住友化学社製))が挙げられ、これらの樹脂が透明樹脂支持体の50質量%以上であることが好ましい。これらの樹脂は2種以上であってもよい。
これらの樹脂のうち、セルロースエステル樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂が好ましい。
またその他混合してもよい樹脂として、ポリイミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート)、ポリエーテルスルホン、ABS/AS樹脂、MBS樹脂、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール/EVOH(エチレンビニルアルコール樹脂)、スチレン系ブロックコポリマー樹脂等から選択される1種以上の樹脂が含まれてもよい。
また本発明において用いられる透明樹脂支持体1がセルロースエステルである場合については、低級脂肪酸エステルが好ましく、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、またはセルロースアセテートプロピオネートブチレート等が好ましく用いられる。本発明で用いられるセルロースエステルはアシル基の置換度が2.85〜3.00であることが面配向度がより低く維持できるため好ましく、特に2.92〜3.00であることが好ましい。
アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96の規定に準じて測定することができる。
重合度は250〜400であるセルロースエステルが好ましく用いられ、特にセルローストリアセテートが好ましく用いられる。本発明に係るセルロースエステルの数平均分子量Mnは、70000〜250000が、機械的強度に優れ、かつ、適度なドープ粘度となるので好ましく、更に好ましくは、80000〜150000である。また、重量平均分子量Mwとの比Mw/Mnは1.0〜5.0のセルロースエステルが好ましく用いられる。
本発明の透明樹脂支持体の測定波長589nmにおける面内リターデーション値Roは、0〜150nmの範囲内である。好ましくはRoが、0〜20nm又は40〜150nmの範囲内が好ましい。
また、測定波長589nmにおける厚さ方向リターデーション値Rtが0〜400nmの範囲内であることが好ましく、特に好ましくはRtが0〜70nmの範囲内又はRtが80〜300nmの範囲内である。Rtを好ましい範囲とすることで、偏光板を使用したサングラスを装着したときの視認性が改善される。
式(i) Ro=(nx−ny)×d
式(ii) Rt=((nx+ny)/2−nz)×d
(式中、Roはフィルム面内リターデーション値、Rtは厚さ方向リターデーション値、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率、dはフィルムの厚さ(nm)を表す。)
本発明においては、測定波長589nmにおける面内リターデーション値Ro及び厚さ方向リターデーション値Rtは、23℃・55%RHの環境下において、位相差測定装置「KOBRA−21ADH」(王子計測機器(株)製)によって測定する。
式(ii) Rt=((nx+ny)/2−nz)×d
(式中、Roはフィルム面内リターデーション値、Rtは厚さ方向リターデーション値、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率、dはフィルムの厚さ(nm)を表す。)
本発明においては、測定波長589nmにおける面内リターデーション値Ro及び厚さ方向リターデーション値Rtは、23℃・55%RHの環境下において、位相差測定装置「KOBRA−21ADH」(王子計測機器(株)製)によって測定する。
透明樹脂支持体のリターデーション値は、樹脂材料の選択、製膜時の延伸倍率等で制御することができる。具体的には、縦方向、横方向の延伸倍率を適宜選択することにより、任意の値に制御することができる。
本発明の透明樹脂支持体1は、可視光に対する透明性が高いことが好ましく、波長450〜800nmの光の平均透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。透明樹脂支持体1の光の平均透過率が70%以上であると、透明導電性フィルム100の光透過性が高まりやすい。また、透明樹脂支持体1の波長450〜800nmの光の平均吸収率は10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下である。
上記平均透過率は、透明樹脂支持体1の表面の法線に対して、5°傾けた角度から光を入射させて測定する。一方、平均吸収率は、平均透過率と同様の角度から光を入射させて、透明基板1の平均反射率を測定し、
平均吸収率(%)=100−(平均透過率+平均反射率)
として算出する。平均透過率及び平均反射率は分光光度計で測定される。
平均吸収率(%)=100−(平均透過率+平均反射率)
として算出する。平均透過率及び平均反射率は分光光度計で測定される。
また、透明樹脂支持体の透過率を上記範囲内とするためには、透明樹脂支持体の表面粗さRaが、透明樹脂支持体の両面において、3.5nm以下であることが好ましく、より好ましくは、3.0nm以下である。透明樹脂支持体の表面粗さRaが透明樹脂支持体の両面において、3.5nm以下であるとヘイズ値が小さくなり透明性に優れた透明樹脂支持体とすることができる。ここで、表面粗さRaとは、JIS B0601:2001における算術平均粗さをいう。
本発明の透明樹脂支持体1のヘイズ値は0.01〜2.5であることが好ましく、より好ましくは0.1〜1.2である。支持体のヘイズ値が2.5以下であると、透明導電性フィルムのヘイズ値が抑制される。ヘイズ値は、ヘイズメーター「型式:NDH 2000」(日本電色(株)製)で測定される。
透明樹脂支持体1の波長570nmの光の屈折率は1.40〜1.95であることが好ましく、より好ましくは1.45〜1.75であり、さらに好ましくは1.45〜1.70である。透明樹脂支持体の屈折率は、通常、支持体の材質によって定まる。透明樹脂支持体の屈折率は、23℃・55%RHでエリプソメーターで測定される。
透明樹脂支持体1の厚さは、1μm〜20mmであることが好ましく、より好ましくは10μm〜2mmである。透明樹脂支持体の厚さが1μm以上であると、透明樹脂支持体1の強度が高まり、第1高屈折率層2の作製時に割れたり、裂けたりし難くなる。一方、透明樹脂支持体1の厚さが20mm以下であれば、透明導電性フィルム100のフレキシブル性が十分となる。さらに透明導電性フィルム100を用いた機器の厚さを薄くできる。また、透明導電性フィルム100を用いた機器を軽量化することもできる。
<2.第1高屈折率層>
本発明でいう高屈折率層とは、透明樹脂支持体1よりも高い屈折率を有する層をいう。
本発明でいう高屈折率層とは、透明樹脂支持体1よりも高い屈折率を有する層をいう。
第1高屈折率層2は、透明導電性フィルムの導通領域a、つまり透明導電層3が形成されている領域の光透過性(光学アドミッタンス)を調整する層であり、少なくとも透明導電性フィルム100の導通領域aに形成される。第1高屈折率層2は、透明導電層を雰囲気中の水分や硫化物やイオウ含有成分等から透明導電層を保護する機能を有することから、透明導電性フィルム100の絶縁領域bにも形成されていることが好ましい。
第1高屈折率層2は、硫化亜鉛(ZnS)を含有することが好ましい層である。第1高屈折率層2に硫化亜鉛が含まれると、透明樹脂支持体1側から水分が透過し難くなり、透明導電層3の腐食が抑制される。第1高屈折率層2には、硫化亜鉛とともに他の誘電性材料又は酸化物半導体材料が含まれてもよい。硫化亜鉛とともに含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料の波長570nmの光の屈折率は、透明樹脂支持体1の波長570nmの光の屈折率より0.1〜1.1大きいことが好ましく、0.4〜1.0大きいことがより好ましい。一方、第1高屈折率層2に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料の波長570nmの光の具体的な屈折率は1.5より大きいことが好ましく、1.7〜2.5であることがより好ましく、さらに好ましくは1.8〜2.5である。誘電性材料又は酸化物半導体材料の屈折率が1.5より大きいと、第1高屈折率層2によって、透明導電体100の導通領域aの光学アドミッタンスが十分に調整される。なお、第1高屈折率層2の屈折率は、第1高屈折率層2に含まれる材料の屈折率や、第1高屈折率層2に含まれる材料の密度で調整される。上記屈折率は、23℃・55%RHの環境下、エリプソメーターで測定される。
第1高屈折率層2に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料は、絶縁性の材料であってもよく、導電性の材料であってもよい。誘電性材料又は酸化物半導体材料は、金属酸化物でありうる。金属酸化物の例には、SiO2、TiO2、ITO(インジウム・スズ酸化物)、ZnO、Nb2O5、ZrO2、CeO2、Ta2O5、Ti3O5、Ti4O7、Ti2O3、TiO、SnO2、La2Ti2O7、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、AZO(アルミニウム・亜鉛酸化物)、GZO(Ga・亜鉛酸化物)、ATO(アンチモン・スズ酸化物)、ICO(インジウム・セリウム酸化物)、IGZO(インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物)、Bi2O3、Ga2O3、GeO2、WO3、HfO2、a−GIO(ガリウム、インジウム、及び酸素からなる非晶質酸化物)等が含まれる。第1高屈折率層2には、当該金属酸化物が一種のみ含まれてもよく、二種以上が含まれてもよい。
上記硫化亜鉛とともに用いられる材料の中で、特に好ましくはSiO2である。ZnS及びSiO2の組成を制御する方法としては、例えば、適切な濃度でSiO2を含有したZnSのターゲットを用いたスパッタリング法、SiO2とZnSのターゲットを同時に用いた共スパッタリング法を利用することにより行うことができる。
硫化亜鉛ととともに上記範囲内でSiO2が含まれると、第1高屈折率層が非晶質になりやすく、透明導電性フィルムのフレキシブル性が高まりやすい。
第1高屈折率層2に硫化亜鉛とともに他の材料が含まれる場合、硫化亜鉛の量は、第1高屈折率層2の総体積に対して、0.1〜95体積%であることが好ましく、50〜90体積%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは60〜85体積%以下である。硫化亜鉛の比率が高いとスパッタ速度が速くなり、第1高屈折率層2の形成速度が速くなる。一方、硫化亜鉛以外の成分が多く含まれると、第1高屈折率層2の非晶質性が高まり、第1高屈折率層2の割れが抑制される。
第1高屈折率層2の層厚は、15〜150nmであることが好ましく、より好ましくは20〜80nmである。第1高屈折率層2の層厚が15nm以上であると、第1高屈折率層2によって、透明導電性フィルム100の導通領域aの光学アドミッタンスが十分に調整される。一方、第1高屈折率層2の層厚が150nm以下であれば、第1高屈折率層2が含まれる領域の光透過性が低下し難い。第1高屈折率層2の層厚は、エリプソメーター「多入射角分光エリプソメーターVASE(登録商標)」(J.A.Woollam社製)で測定される。
第1高屈折率層2は、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等、一般的な気相成膜法(堆積法、気相成長法ともいう。)で形成された層でありうる。第1高屈折率層2の屈折率(密度)が高まるとの観点から、第1高屈折率層2は、電子ビーム蒸着法又はスパッタ法で形成された層であることが好ましい。電子ビーム蒸着法の場合は膜密度を高めるため、IAD(イオンアシスト)などのアシストがあることが望ましい。
また、第1高屈折率層2が所望の形状にパターン化された層である場合、パターン化方法は特に制限されない。第1高屈折率層2は、例えば、所望のパターンを有するマスク等を被成膜面に配置して、気相成膜法でパターン状に形成された層であってもよく、公知のエッチング法によってパターン化された層であってもよい。
<3.第1硫化防止層>
前述の第1高屈折率層2には硫化亜鉛が含有されるので、図2に示されるように、第1高屈折率層2と透明導電層3との間にZnO(酸化亜鉛)を含有する第1硫化防止層5aが含まれることが好ましい。第1硫化防止層5aは、第1高屈折率層からの硫化物やイオウ含有成分の拡散を防止する機能を持っている。また、第1硫化防止層5aは、透明導電性フィルム100の絶縁領域bにも形成されていてもよく、この場合、透明導電層を雰囲気中の水分や硫化物やイオウ含有成分等から透明導電層を保護する機能を有することから絶縁領域bにも形成されていることが好ましい。
前述の第1高屈折率層2には硫化亜鉛が含有されるので、図2に示されるように、第1高屈折率層2と透明導電層3との間にZnO(酸化亜鉛)を含有する第1硫化防止層5aが含まれることが好ましい。第1硫化防止層5aは、第1高屈折率層からの硫化物やイオウ含有成分の拡散を防止する機能を持っている。また、第1硫化防止層5aは、透明導電性フィルム100の絶縁領域bにも形成されていてもよく、この場合、透明導電層を雰囲気中の水分や硫化物やイオウ含有成分等から透明導電層を保護する機能を有することから絶縁領域bにも形成されていることが好ましい。
当該第1硫化防止層5aは、酸化亜鉛を好ましく含有する層であり、その他に、金属酸化物、金属窒化物、金属フッ化物等を含む層でありうる。第1硫化防止層5aには、これらが一種のみ含まれてもよく、二種以上含まれてもよい。ただし、第1高屈折率層2と、第1硫化防止層5aと、透明導電層3とが連続的に形成される場合には、金属酸化物が硫黄と反応可能、若しくは硫黄を吸着可能な化合物であることが好ましい。金属酸化物が、硫黄と反応する化合物である場合、金属酸化物と硫黄との反応物は、可視光の透過性が高いことが好ましい。
金属酸化物の例には、ZnOの他、TiO2、ITO、Nb2O5、ZrO2、CeO2、Ta2O5、Ti3O5、Ti4O7、Ti2O3、TiO、SnO2、La2Ti2O7、IZO、AZO、GZO、ATO、ICO、Bi2O3、a−GIO、Ga2O3、GeO2、SiO2、Al2O3、HfO2、SiO、MgO、Y2O3、WO3、等が含まれる。
金属フッ化物の例には、LaF3、BaF2、Na5Al3F14、Na3AlF6、AlF3、MgF2、CaF2、BaF2、CeF3、NdF3、YF3等が含まれる。
金属窒化物の例には、Si3N4、AlN等が含まれる。
これらの中でも酸化亜鉛を含有する層であることが好ましい。
ここで、第1硫化防止層5aの層厚は、後述する透明導電層3の形成時の衝撃から、第1高屈折率層2の表面を保護可能な層厚であることが好ましい。一方で、第1高屈折率層に含まれ得るZnSは、透明導電層3に含まれる金属との親和性が高い。そのため、第1硫化防止層5aの層厚が非常に薄く、第1高屈折率層2の一部が僅かに露出していると、当該露出部分を中心に透明導電層の透明金属膜が成長し、透明導電層3が緻密になりやすい。つまり、第1硫化防止層5aは比較的薄いことが好ましく、0.1〜5.0nmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜2.0nmである。
第1硫化防止層5aは、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等、一般的な気相成膜法で形成された層である。
第1硫化防止層5aが、所望の形状にパターン化された層である場合、パターン化方法は特に制限されない。第1硫化防止層5aは、例えば、所望のパターンを有するマスク等を被成膜面に配置して、気相成膜法でパターン状に形成された層であってもよく、公知のエッチング法によってパターン化された層であってもよい。
<4.透明導電層>
透明導電層3は、透明導電性フィルム100において電気を導通させるための膜である。透明導電層3は、前述のように、透明樹脂支持体1の全面に形成されていてもよく、また所望の形状にパターン化されていてもよい。
透明導電層3は、透明導電性フィルム100において電気を導通させるための膜である。透明導電層3は、前述のように、透明樹脂支持体1の全面に形成されていてもよく、また所望の形状にパターン化されていてもよい。
透明導電層3は銀を含有する層であり、その他の金属を含有してもよい。銀とともに用いられる金属としては、透明導電性の高い金属であれば特に制限されず、例えば金、銅、ニッケル、パラジウム、白金、亜鉛、アルミニウム、マンガン、ゲルマニウム、ビスマス、ネオジム及びモリブデンが好ましい。
これらの中でも、金、パラジウム、ゲルマニウム、ビスマス、銅、白金、ネオジム及びニオブが好ましい。透明導電層3には、これらの金属が一種のみ含まれてもよく、二種以上含まれてもよい。導電性の観点から、透明導電層には銀が90atm%以上含まれる合金からなることが好ましい。銀が90atm%以上含有されると優れた導電性と高耐久性が得られる。
また、上記透明導電性の高い金属を少なくとも一種を上記範囲内で含有すると透明導電層の層厚を薄層化しても所定の導電性を確保することができ、また透明導電層に含有される銀の劣化防止の効果が得られ信頼性が向上する。例えば銀と亜鉛とが組み合わされると、透明金属膜の耐硫化性が高まる。銀と金とが組み合わされると、耐塩(NaCl)性が高まる。さらに銀と銅とが組み合わされると、耐酸化性が高まる。
本発明の透明導電層の層厚は、3〜15nmの範囲内であり、好ましくは5〜13nmの範囲内である。この層厚により所望の透明性、プラズモン吸収率を担保することができる。
透明導電層3のプラズモン吸収率は、波長400〜800nmにわたって(全範囲で)10%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは5%以下である。
透明導電層3は、いずれの形成方法で形成された膜でありうるが、透明導電層の平均透過率を変えるためには、スパッタ法で形成された膜、若しくは後述する下地層上に形成された膜であることが好ましい。
スパッタ法では、層の形成時に材料が被成膜体に高速で衝突するため、緻密かつ平滑な膜が得られやすく、透明導電層3の光透過性が高まりやすい。また、透明導電層3がスパッタ法により形成された膜であると、透明導電層3が高温かつ低湿度な環境においても腐食し難くなる。
スパッタ法の種類は特に制限されず、イオンビームスパッタ法や、マグネトロンスパッタ法、反応性スパッタ法、2極スパッタ法、バイアススパッタ法、対向スパッタ法等でありうる。透明導電層3は、特に対向スパッタ法で形成された膜であることが好ましい。透明導電層3が、対向スパッタ法で形成された膜であると、透明導電層3が緻密になり、表面平滑性が高まりやすい。その結果、透明導電層3の表面電気抵抗がより低くなり、光の透過率も高まりやすい。
<5.第2硫化防止層>
後述する第2高屈折率層が硫化亜鉛含有層である場合は、図2に示されるように、透明導電層3と第2高屈折率層4との間に酸化亜鉛を含有する第2硫化防止層5bが含まれることが好ましい。第2硫化防止層5bは、透明導電性フィルム100の絶縁領域bにも形成されていてもよいが、導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンを視認され難くするとの観点から、導通領域aのみに形成されていることが好ましい。
後述する第2高屈折率層が硫化亜鉛含有層である場合は、図2に示されるように、透明導電層3と第2高屈折率層4との間に酸化亜鉛を含有する第2硫化防止層5bが含まれることが好ましい。第2硫化防止層5bは、透明導電性フィルム100の絶縁領域bにも形成されていてもよいが、導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンを視認され難くするとの観点から、導通領域aのみに形成されていることが好ましい。
当該第2硫化防止層5bは、酸化亜鉛を含有する層であり、その他に金属酸化物、金属窒化物、金属フッ化物等を含む層である。第2硫化防止層5bには、酸化亜鉛の他にこれらが一種のみ含まれてもよく、二種以上が含まれてもよい。金属酸化物、金属窒化物、金属フッ化物は、前述の第1高屈折率層2に含まれる金属酸化物、金属窒化物、金属フッ化物と同様でありうる。これらの中でも酸化亜鉛を含有する層であることが好ましい。
一方、第2硫化防止層5bの層厚は、後述する第2高屈折率層4の形成時の衝撃から、透明導電層3の表面を保護可能な厚さであることが好ましい。一方で、透明導電層3に含まれる金属と、第2高屈折率層4に含まれるZnSは、親和性が高い。そのため、第2硫化防止層5bの層厚が非常に薄く、透明導電層3の一部が僅かに露出していると、透明導電層3や第2硫化防止層5bと第2高屈折率層4との密着性が高まりやすい。したがって、第2硫化防止層5bの具体的な層厚は0.1〜5.0nmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜2.0nmである。第2硫化防止層5bの層厚は、エリプソメーターで測定される。
第2硫化防止層5bは、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等、一般的な気相成膜法で形成された層でありうる。
第2硫化防止層5bが、所望の形状にパターン化された層である場合、パターン化方法は特に制限されない。第2硫化防止層5bは、例えば、所望のパターンを有するマスク等を被成膜面に配置して、気相成膜法でパターン状に形成された層であってもよく、公知のエッチング法によってパターン化された層であってもよい。
<6.第2高屈折率層>
第2高屈折率層4は、透明導電性フィルム100の導通領域a、つまり透明導電層3が形成されている領域の光透過性(光学アドミッタンス)を調整するための層であり、少なくとも透明導電性フィルム100の導通領域aに形成される。第2高屈折率層4は、透明導電性フィルム100の絶縁領域bに形成されてもよいが、導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンを視認され難くするとの観点から、導通領域aのみに形成されていることが好ましい。第2高屈折率層4は、大気側から水分を透過しにくくするので、透明導電層3の腐食が抑制される効果を有する。
第2高屈折率層4は、透明導電性フィルム100の導通領域a、つまり透明導電層3が形成されている領域の光透過性(光学アドミッタンス)を調整するための層であり、少なくとも透明導電性フィルム100の導通領域aに形成される。第2高屈折率層4は、透明導電性フィルム100の絶縁領域bに形成されてもよいが、導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンを視認され難くするとの観点から、導通領域aのみに形成されていることが好ましい。第2高屈折率層4は、大気側から水分を透過しにくくするので、透明導電層3の腐食が抑制される効果を有する。
第2高屈折率層4は前述の透明樹脂支持体1の屈折率より高い屈折率を有する層であり、第1高屈折率層のどちらか一方の層が硫化亜鉛(ZnS)を含有する層である。第2高屈折率層4には、硫化亜鉛又は他の誘電性材料又は酸化物半導体材料が含まれてもよい。硫化亜鉛又は他の誘電性材料又は酸化物半導体材料の波長570nmの光の屈折率は、透明基板1の波長570nmの光の屈折率より0.1〜1.1大きいことが好ましく、0.4〜1.0大きいことがより好ましい。
一方、第2高屈折率層4に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料の波長570nmの光の具体的な屈折率は1.5より大きいことが好ましく、1.7〜2.5であることがより好ましく、さらに好ましくは1.8〜2.5である。誘電性材料又は酸化物半導体材料の屈折率が1.5より大きいと、第2高屈折率層4によって、透明導電性フィルム100の導通領域aの光学アドミッタンスが十分に調整される。なお、第2高屈折率層4の屈折率は、第2高屈折率層4に含まれる材料の屈折率や、第2高屈折率層4に含まれる材料の密度で調整される。
第2高屈折率層4に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料は、絶縁性の材料であってもよく、導電性の材料であってもよい。誘電性材料又は酸化物半導体材料は、金属酸化物でありうる。金属酸化物の例には、SiO2、TiO2、ITO(インジウム・スズ酸化物)、ZnO、Nb2O5、ZrO2、CeO2、Ta2O5、Ti3O5、Ti4O7、Ti2O3、TiO、SnO2、La2Ti2O7、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、AZO(アルミニウム・亜鉛酸化物)、GZO(ガリウム・亜鉛酸化物)、ATO(アンチモン・スズ酸化物)、ICO(インジウム・セリウム酸化物)、IGZO(インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物)、Bi2O3、Ga2O3、GeO2、WO3、HfO2、a−GIO(ガリウム、インジウム、及び酸素からなる非晶質酸化物)等が含まれる。第2高屈折率層4には、当該金属酸化物が一種のみ含まれてもよく、二種以上が含まれてもよい。
本発明においては、上記金属酸化物の中では、ITO、IZO、GZO、IGZOが好ましい。これらの材料は、パターン化に好適であると同時に、銀の保護機能を得ることができる。
また、本発明において、第2高屈折率層4に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料としては、硫化亜鉛(ZnS)が特に好ましい。第2高屈折率層4にZnSが含まれると、透明樹脂支持体1側から水分が透過し難くなり、透明導電層3の腐食が抑制される。第2高屈折率層4には、ZnSのみが含まれてもよく、ZnSとともに他の材料が含まれてもよい。ZnSとともに含まれる材料は、上記誘電性材料または酸化物半導体材料でありうる金属酸化物やSiO2等であり、特に好ましくはSiO2である。ZnSとともにSiO2が含まれると、第2高屈折率層が非晶質になりやすく、透明導電体のフレキシブル性が高まりやすい。
第2高屈折率層4にZnSとともに他の材料が含まれる場合、ZnSの量は、第2高屈折率層4の総体積に対して、0.1〜95体積%であることが好ましく、50〜90体積%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは60〜85体積%である。ZnSの比率が高いとスパッタ速度が速くなり、第2高屈折率層4の成形成速度が速くなる。一方、ZnS以外の成分が多く含まれると、第2高屈折率層4の非晶質性が高まり、第2高屈折率層4の割れが抑制される。
硫化亜鉛及びSiO2の組成を上記範囲内に制御する方法としては、例えば、適切な濃度でSiO2を含有したZnSのターゲットを用いたスパッタリング法、SiO2とZnSのターゲットを同時に用いた共スパッタリング法を利用することにより行うことができる。
硫化亜鉛とともに上記範囲内でSiO2が含まれると、第2高屈折率層が非晶質になりやすく、透明導電性フィルムのフレキシブル性が高まりやすい。
ZnSの比率が高いとスパッタ速度が速くなり、第2高屈折率層4の形成速度が早くなる。一方、ZnS以外の成分が多くなると、第2高屈折率層4の非晶質性が高まり、第2高屈折率層4の割れが抑制される。
第2高屈折率層4の層厚は、好ましくは15〜150nmであり、さらに好ましくは20nm〜80nmである。第2高屈折率層4の層厚が15nm以上であると、第2高屈折率層4によって、透明導電体100の導通領域aの光学アドミッタンスが十分に調整される。一方、第2高屈折率層4の層厚が150nm以下であれば、第2高屈折率層4が含まれる領域の光透過性が低下し難い。第2高屈折率層4の層厚は、エリプソメーターで測定される。
第2高屈折率層4の形成方法は特に制限されず、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等、一般的な気相成膜法で形成された層であり得る。第2高屈折率層4の透湿性が低くなるとの観点から、第2高屈折率層4はスパッタ法で形成された膜であることが特に好ましい。
また、第2高屈折率層4が所望の形状にパターン化された層である場合、パターン化方法は特に制限されない。第2高屈折率層4は、例えば、所望のパターンを有するマスク等を被成膜面に配置して、気相成膜法でパターン状に形成された層であってもよい。また、公知のエッチング法によってパターン化された層であってもよい。
<7.ハードコート層>
透明導電性フィルムの製造時において透明樹脂支持体の表面に傷が発生するのを防止する目的で、透明樹脂支持体の少なくとも一方の面、好ましくは、透明導電層側にハードコート層が設けられていることが好ましい。
透明導電性フィルムの製造時において透明樹脂支持体の表面に傷が発生するのを防止する目的で、透明樹脂支持体の少なくとも一方の面、好ましくは、透明導電層側にハードコート層が設けられていることが好ましい。
透明樹脂支持体の少なくともどちらか一方の面にハードコート層を設けることによって、透明樹脂支持体の製膜時から本発明の透明導電性フィルムの作製過程において、フィルムの巻き取り・搬送・巻き出しにおけるフィルム表面間の面圧や摩擦による傷の発生を防止する効果を有する。
ハードコート層は、紫外線硬化性アクリレート系樹脂を塗布乾燥、その後紫外線光源にて硬化されて提供される。
ハードコート層の層厚は、0.2〜5.0μmの範囲内であることが好ましく、ハードコート層の層厚が、上記範囲内であると十分な耐傷効果が得られるので、製造過程における傷の発生を防止することができるので透明導電性フィルムとしたときに十分な透明性が得られる。
ハードコート層は、塗布の他、CVD法、スパッタリング法、蒸着法などによるSiO2薄膜を100nm以下の層厚で積層することによって作製することもできる。
<8.ブロッキング防止層>
本発明の透明導電性フィルムの透明樹脂支持体の透明導電層が設けられた面とは反対側の面に、十点平均粗さRzが、50nm以下のブロッキング防止層が設けられていることが好ましい。ブロッキング防止層とは、フィルムを巻き取りハンドリングする際のフィルム同士の貼付き防止のためになされるが、これはフィルムの表面に任意の粗さを設け、この隙間を空気が埋めることで、巻き出し・巻き取り操作時のフィルム同士の貼付きを防ぐことができる。
本発明の透明導電性フィルムの透明樹脂支持体の透明導電層が設けられた面とは反対側の面に、十点平均粗さRzが、50nm以下のブロッキング防止層が設けられていることが好ましい。ブロッキング防止層とは、フィルムを巻き取りハンドリングする際のフィルム同士の貼付き防止のためになされるが、これはフィルムの表面に任意の粗さを設け、この隙間を空気が埋めることで、巻き出し・巻き取り操作時のフィルム同士の貼付きを防ぐことができる。
十点平均粗さRzとは、JIS B0601:1994に規定されるRzをいう。
ブロッキング防止層は、アクリレート系樹脂などの樹脂に微粒子を混合した塗布液を塗布することによって設けることができる。微粒子としては、シリカなどの無機微粒子の他、樹脂の微粒子を用いることができる。上記微粒子の平均粒子径としては、10〜300nmの範囲内のものを用いることが好ましい。
本発明の透明導電性フィルムにおいては、透明樹脂支持体上に設けられた高屈折率層、硫化防止層及び透明導電層の各薄膜層が、スパッタリング法又は蒸着法で形成されたものであることが好ましい。前記透明樹脂支持体上に設けられた各薄膜層が、スパッタリング法又は蒸着法で形成されたものであると生産性が向上し大量生産に好適な効果が得られる。ただし、化学気相蒸着法(CVD法)等他のあらゆる薄膜製造方法によったものであっても、本発明によって得られる価値は損なわれない。
≪透明導電層のパターン化≫
本発明の透明導電性フィルムを用いて例えば、静電容量方式のタッチパネルを作製するためには、図4に示すように透明導電層を複数の導通領域aと、これを区切るライン状の絶縁領域bとを含む所定の形状にパターン化することが好ましい。
本発明の透明導電性フィルムを用いて例えば、静電容量方式のタッチパネルを作製するためには、図4に示すように透明導電層を複数の導通領域aと、これを区切るライン状の絶縁領域bとを含む所定の形状にパターン化することが好ましい。
銀を含有する透明導電層の劣化因子としては、雰囲気中に含まれる水分や硫化物が挙げられる。これらは、透明樹脂支持体やハードコート層に取り込まれ、またハードコート層を透過して透明導電層まで到達する。したがって、透明樹脂支持体とハードコート層だけでは、透明導電層の銀の保護機能が十分ではなく、そのため第1高屈折率層、好ましくは第1硫化防止層がある場合は硫化防止層も含めて透明樹脂支持体上にパターン化されずに残存させることが、透明導電層の劣化防止の観点から好ましい。
透明導電層をパターン化する方法としては、公知の方法を用いることができ、このようなパターン化の方法としては、具体的には、以下のようにして行うことができる。
(パターン化工程)
以下、フォトリソグラフィー法による電極パターンの形成方法について説明する。
以下、フォトリソグラフィー法による電極パターンの形成方法について説明する。
本発明に適用するフォトリソグラフィー法とは、硬化性樹脂等のレジスト塗布、予備加熱、露光、現像(未硬化樹脂の除去)、リンス、エッチング液によるエッチング処理、レジスト剥離の各工程を経ることにより、透明導電層を、図4に示すような所望のパターンに加工する方法である。
本発明では、従来公知の一般的なフォトリソグラフィー法を適宜利用することができる。例えば、レジストとしてはポジ型又はネガ型のいずれのレジストでも使用可能である。また、レジスト塗布後、必要に応じて予備加熱又はプリベークを実施することができる。露光に際しては、所期のパターンを有するパターンマスクを配置し、その上から、用いたレジストに適合する波長の光、一般には紫外線や電子線等を照射すればよい。露光後、用いたレジストに適合する現像液で現像を行う。
現像後、水等のリンス液で現像を止めるとともに洗浄を行うことで、レジストパターンが形成される。次いで、形成されたレジストパターンを、必要に応じて前処理又はポストベークを実施してから、有機溶媒を含むエッチング液によるエッチングで、レジストで保護されていない領域の中間層の溶解及び銀薄膜電極の除去を行う。
エッチング後、残留するレジストを剥離することによって、所期のパターンを有する透明電極が得られる。このように、本発明に適用されるフォトリソグラフィー法は、当業者に一般に認識されている方法であり、その具体的な適用態様は当業者であれば所期の目的に応じて容易に選定することができる。
次いで、図5A〜図5Gを用いて、本発明に適用可能な電極パターンの形成方法について説明する。
図5A〜図5Gは、本発明の透明導電体に電極パターンをフォトリソグラフィー法で形成する一例を示す工程フロー図である。
第1ステップとして、図5Aで示すように、透明樹脂支持体1上に、第1高屈折率層2、第1硫化防止層5a、透明導電層3、第2硫化防止層5b、第2高屈折率層4をこの順で積層した透明導電性フィルム100を作製する。
次いで、図5Bで示すレジスト膜の形成工程で、透明導電性フィルム100上に感光性樹脂組成物等から構成されるレジスト膜6を均一に塗設する。感光性樹脂組成物としては、ネガ型感光性樹脂組成物あるいはポジ型感光性樹脂組成物を用いることができる。
塗布方法としては、マイクログラビアコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、カーテンフローコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、スリットコーティングなどの公知の方法によって、透明導電性フィルム100上に塗布し、ホットプレート、オーブンなどの加熱装置でプリベークすることができる。プリベークは、例えば、ホットプレート等を用いて、50℃以上、150℃以下の範囲で30秒〜30分間行うことができる。
次いで、図5Cに示す露光工程で、所定の電極パターンにより作製したマスク7を介して、ステッパー、ミラープロジェクションマスクアライナー(MPA)、パラレルライトマスクアライナーなどの露光機を用いて、10〜4000J/m2程度(波長365nm露光量換算)の光を、次工程で除去するレジスト膜6Aに照射する。露光光源に制限はなく、紫外線、電子線や、KrF(波長248nm)レーザー、ArF(波長193nm)レーザーなどを用いることができる。
次いで、図5Dに示す現像工程で、露光済みの透明導電性フィルムを、現像液に浸漬して、光照射した領域のレジスト膜6Aを溶解する。
現像方法としては、シャワー、ディッピング、パドルなどの方法で現像液に5秒〜10分間浸漬することが好ましい。現像液としては、公知のアルカリ現像液を用いることができる。具体例としては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩などの無機アルカリ、2−ジエチルアミノエタノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、コリンなどの4級アンモニウム塩を一種あるいは二種以上含む水溶液などが挙げられる。現像後、水でリンスすることが好ましく、続いて50℃以上150℃以下の範囲で乾燥ベークを行ってもよい。
この後、第2高屈折率層及び第2硫化防止層を除去すべく、エッチング液として林純薬工業(株)製「PURE ETCH 100」を使用する。(図5E)
次いで、透明導電層、第1硫化防止層のみを溶解すべく関東化学(株)製「SEA−5」を短時間のエッチングにおいて実施する。(図5F)
最後に、図5Gに示すように、レジスト膜剥離液、例えば、ナガセケムテックス社製の「N−300」に浸漬して、レジスト膜6を除去して、第1高屈折率層2を残した電極パターンを有する透明導電性フィルムを作製することができる。
次いで、透明導電層、第1硫化防止層のみを溶解すべく関東化学(株)製「SEA−5」を短時間のエッチングにおいて実施する。(図5F)
最後に、図5Gに示すように、レジスト膜剥離液、例えば、ナガセケムテックス社製の「N−300」に浸漬して、レジスト膜6を除去して、第1高屈折率層2を残した電極パターンを有する透明導電性フィルムを作製することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
≪透明導電性フィルムの作製≫
透明導電性フィルムの作製には、以下の透明樹脂支持体及び導電性材料を用いた。
透明導電性フィルムの作製には、以下の透明樹脂支持体及び導電性材料を用いた。
1.TPS1:コニカミノルタ(株)製「ゼロタック」厚さ50μm Ro=0nm Rt=0nm n=1.50
2.TPS2:コニカミノルタ(株)製「コニカミノルタタック」厚さ50μm Ro=5nm Rt=30nm n=1.48
3.TPS3:コニカミノルタ(株)製「ゼロタック」を延伸し、厚さ50μm Ro=3nm Rt=3nmに調整した。n=1.50
2.TPS2:コニカミノルタ(株)製「コニカミノルタタック」厚さ50μm Ro=5nm Rt=30nm n=1.48
3.TPS3:コニカミノルタ(株)製「ゼロタック」を延伸し、厚さ50μm Ro=3nm Rt=3nmに調整した。n=1.50
4.TPS4:コニカミノルタ(株)製「コニカミノルタタック」を延伸し、厚さ50μm Ro=15nm Rt=30nmに調整した。n=1.48
5.PET1:東洋紡製ポリエチレンテレフタレートフィルム「コスモシャインA4300」厚さ50μm Ro=5000nm Rt=10000nm n=1.60
6.PC1 :カネカ製ポリカーボネートフィルム「エルメック R40#435フィルム」厚さ40μm Ro=435nm Rt=600nm n=1.58
7.TPS5 :カネカ製ポリカーボネートフィルム「エルメック R40#140フィルム」厚さ40μm Ro=140nm Rt=350nm n=1.58
8.TPS6:日本ゼオン製シクロオレフィンフィルム「ゼオノアZ14(50μm)」厚さ50μm Ro=1.5nm Rt=10nm n=1.53
9.TPS7:コニカミノルタ(株)製「VA−TAC」厚さ80μm Ro=50nm Rt=130nm n=1.48
10.PET2:2軸延伸PET 厚さ50μm Ro=1500nm Rt=5000nm n=1.60
11.APC:フルヤ金属製「Ag合金」(Pd、Cuを含有)
12.APC−TR:フルヤ金属製「Ag合金」(Pd、Cuを含有)
13.APC−SR:フルヤ金属製「Ag合金」(Pd、Cuを含有)
上記3グレードの合金は、各々の組成が異なっている。
6.PC1 :カネカ製ポリカーボネートフィルム「エルメック R40#435フィルム」厚さ40μm Ro=435nm Rt=600nm n=1.58
7.TPS5 :カネカ製ポリカーボネートフィルム「エルメック R40#140フィルム」厚さ40μm Ro=140nm Rt=350nm n=1.58
8.TPS6:日本ゼオン製シクロオレフィンフィルム「ゼオノアZ14(50μm)」厚さ50μm Ro=1.5nm Rt=10nm n=1.53
9.TPS7:コニカミノルタ(株)製「VA−TAC」厚さ80μm Ro=50nm Rt=130nm n=1.48
10.PET2:2軸延伸PET 厚さ50μm Ro=1500nm Rt=5000nm n=1.60
11.APC:フルヤ金属製「Ag合金」(Pd、Cuを含有)
12.APC−TR:フルヤ金属製「Ag合金」(Pd、Cuを含有)
13.APC−SR:フルヤ金属製「Ag合金」(Pd、Cuを含有)
上記3グレードの合金は、各々の組成が異なっている。
14.GB−100:コベルコ科研製「Ag合金」Ag(99.0atm%)/Bi(1.0atm%)
15.GBR−15:コベルコ科研製「Ag合金」Ag(98.35atm%)/Bi(0.35atm%)/Ge(0.3atm%)/Au(1.0atm%)
16.Ag:(純度99.99%)
17.KP801M:信越化学工業社製「フッ素系表面改質材料」
18.a−GIO:非晶性ガリウム・インジウム酸化物
19.ITO:インジウム・スズ酸化物 n=1.80
20.ZnS:硫化亜鉛 n=2.37
21.SiN:窒化ケイ素 n=2.02
22.TiO2:酸化チタン n=2.52
23.Nb2O5:5酸化ニオブ n=2.31
24.Au:(純度99.99%)n=0.34
25.ZnO:酸化亜鉛 n=1.95
26.Cr:金属クロム
27.ICO:インジウム・セリウム酸化物
28.IZO:インジウム・亜鉛酸化物 n=2.10
29.GZO:ガリウム・亜鉛酸化物
30.IGZO:インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物
上記の中で、nは屈折率を表す。
<透明導電性フィルム1の作製>
(第1高屈折率層(ZnS−SiO2))
透明樹脂支持体としてコニカミノルタ(株)製「ゼロタック」(Ro=0nm、Rt=0nm)膜厚50μm上に、大阪真空社のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O2 5sccm、スパッタ圧0.2Pa、室温下、ターゲット側電力150W、形成速度3.0Å/sec(0.3nm/sec)でZnS−SiO2をRFスパッタし、層厚45.0nmの第1高屈折率層を形成した。ターゲット−基板間距離は90mmとした。Ro及びRtは、23℃・55%RHの環境下において、位相差測定装置「KOBRA−21ADH」(王子計測機器(株)製)によって測定した。
15.GBR−15:コベルコ科研製「Ag合金」Ag(98.35atm%)/Bi(0.35atm%)/Ge(0.3atm%)/Au(1.0atm%)
16.Ag:(純度99.99%)
17.KP801M:信越化学工業社製「フッ素系表面改質材料」
18.a−GIO:非晶性ガリウム・インジウム酸化物
19.ITO:インジウム・スズ酸化物 n=1.80
20.ZnS:硫化亜鉛 n=2.37
21.SiN:窒化ケイ素 n=2.02
22.TiO2:酸化チタン n=2.52
23.Nb2O5:5酸化ニオブ n=2.31
24.Au:(純度99.99%)n=0.34
25.ZnO:酸化亜鉛 n=1.95
26.Cr:金属クロム
27.ICO:インジウム・セリウム酸化物
28.IZO:インジウム・亜鉛酸化物 n=2.10
29.GZO:ガリウム・亜鉛酸化物
30.IGZO:インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物
上記の中で、nは屈折率を表す。
<透明導電性フィルム1の作製>
(第1高屈折率層(ZnS−SiO2))
透明樹脂支持体としてコニカミノルタ(株)製「ゼロタック」(Ro=0nm、Rt=0nm)膜厚50μm上に、大阪真空社のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O2 5sccm、スパッタ圧0.2Pa、室温下、ターゲット側電力150W、形成速度3.0Å/sec(0.3nm/sec)でZnS−SiO2をRFスパッタし、層厚45.0nmの第1高屈折率層を形成した。ターゲット−基板間距離は90mmとした。Ro及びRtは、23℃・55%RHの環境下において、位相差測定装置「KOBRA−21ADH」(王子計測機器(株)製)によって測定した。
ZnSとSiO2との比率(体積比)は、75:25(ZnS:75体積%)であった。
(透明導電層(Ag))
前記第1高屈折率層上に、大阪真空社のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、スパッタ圧0.5Pa、室温下、ターゲット側電力150W、形成速度14Å/sec(1.4nm/sec)でAPC−TR(フルヤ金属製「Ag合金」)を対向スパッタし、層厚7.5nmの透明導電層を形成した。ターゲット−基板間距離は90mmとした。
前記第1高屈折率層上に、大阪真空社のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、スパッタ圧0.5Pa、室温下、ターゲット側電力150W、形成速度14Å/sec(1.4nm/sec)でAPC−TR(フルヤ金属製「Ag合金」)を対向スパッタし、層厚7.5nmの透明導電層を形成した。ターゲット−基板間距離は90mmとした。
(第2硫化防止層)
大阪真空社のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、形成速度1.1Å/sec(0.11nm/sec)でZnOを層厚1.0nmになるようにしてRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
大阪真空社のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O2 0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、形成速度1.1Å/sec(0.11nm/sec)でZnOを層厚1.0nmになるようにしてRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
(第2高屈折率層(ZnO−SiO2))
上記硫化防止層の上に、第1高屈折率層と同一の方法で、ZnS−SiO2をRFスパッタし、層厚45.0nmの第2高屈折率層を形成し透明導電性フィルム1を作製した。ZnSとSiO2との体積比は75:25であった。
上記硫化防止層の上に、第1高屈折率層と同一の方法で、ZnS−SiO2をRFスパッタし、層厚45.0nmの第2高屈折率層を形成し透明導電性フィルム1を作製した。ZnSとSiO2との体積比は75:25であった。
<透明導電性フィルム2〜28、31〜33の作製>
表1及び表2の構成にした他は、透明導電性フィルム1と同様にして、本発明の透明導電性フィルム2〜28及び31〜33を作製した。なお、ZnSとSiO2の比率は、ZnSとSiO2のターゲットを同時に用いた共スパッタリング法を利用することにより行った。各層の層厚は、スパッタ時間を調整することにより行った。また、第1硫化防止層と第2硫化防止層は、いずれも同様の方法で形成した。
表1及び表2の構成にした他は、透明導電性フィルム1と同様にして、本発明の透明導電性フィルム2〜28及び31〜33を作製した。なお、ZnSとSiO2の比率は、ZnSとSiO2のターゲットを同時に用いた共スパッタリング法を利用することにより行った。各層の層厚は、スパッタ時間を調整することにより行った。また、第1硫化防止層と第2硫化防止層は、いずれも同様の方法で形成した。
<透明導電性フィルム29、30の作製>
透明樹脂支持体としてTPS3を用い、オプトラン製真空蒸着装置であるGENER1300に設けた1機の電子加熱蒸発源と、2機の抵抗加熱蒸発源を組み合わせて用い、以下のように全ての層を真空蒸着法により形成した。
透明樹脂支持体としてTPS3を用い、オプトラン製真空蒸着装置であるGENER1300に設けた1機の電子加熱蒸発源と、2機の抵抗加熱蒸発源を組み合わせて用い、以下のように全ての層を真空蒸着法により形成した。
まず、第1高屈折率層をZnS−SiO2とし、ZnSを抵抗加熱蒸発源から、SiO2を電子加熱蒸発源から、それぞれ共蒸着した。このとき、抵抗加熱・電子銃の電流を、ZnSとSiO2の体積比が75:25となるように独立に制御した。層厚は45.0nmとした。
次に、第1硫化防止層としてZnOを電子加熱蒸発源から層厚1.0nmで形成した。次いで、透明導電層として第1の抵抗加熱蒸発源からAgを、第2の抵抗加熱蒸発源からAuを、それぞれ共蒸着した。このとき、AgとAuの比率を重量比で98:2となるよう、各々の蒸発源の電流を独立に制御した。層厚は7.5nmとした。
次に、第2硫化防止層としてZnOを電子加熱蒸発源から層厚1.0nmで形成した。
最後に、第2高屈折率層をZnS−SiO2とし、ZnSを抵抗加熱蒸発源から、SiO2を電子加熱蒸発源から、それぞれ共蒸着した。このとき、抵抗加熱・電子銃の電流を、ZnSとSiO2の体積比が75:25となるように独立に制御した。層厚は45.0nmとしたこれを透明導電性フィルム29とした。
透明導電性フィルム30は、表2に記載の通り透明導電性フィルム29と同様に作製した。
<透明導電性フィルム101〜116の作製>
表3の構成にした他は、透明導電性フィルム1と同様にして、比較例の透明導電性フィルム101〜116を作製した。なお、透明導電性フィルム112及び113は下記の方法で作製した。
表3の構成にした他は、透明導電性フィルム1と同様にして、比較例の透明導電性フィルム101〜116を作製した。なお、透明導電性フィルム112及び113は下記の方法で作製した。
<透明導電性フィルム112>
透明樹脂支持体に東洋紡製PET(コスモシャインA4300 厚さ50μm)を用いた。これに、第1高屈折率層としてNb2O5を層厚27.5nmで形成した。ただし、Nb2O5層についてはアネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar 20sccm、O2 1sccm、スパッタ圧0.5Pa、室温下、ターゲット側電力150W、形成速度1.2Å/sec(0.12nm/sec)でNb2O5をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。続いて大阪真空製のスパッタリング装置を用い、透明導電層としてAgを層厚7.3nmまで形成した。続いて第2高屈折率層としてIZOを層厚36.0nmまで形成した。これを透明導電性フィルム112とした。
透明樹脂支持体に東洋紡製PET(コスモシャインA4300 厚さ50μm)を用いた。これに、第1高屈折率層としてNb2O5を層厚27.5nmで形成した。ただし、Nb2O5層についてはアネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar 20sccm、O2 1sccm、スパッタ圧0.5Pa、室温下、ターゲット側電力150W、形成速度1.2Å/sec(0.12nm/sec)でNb2O5をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。続いて大阪真空製のスパッタリング装置を用い、透明導電層としてAgを層厚7.3nmまで形成した。続いて第2高屈折率層としてIZOを層厚36.0nmまで形成した。これを透明導電性フィルム112とした。
<透明導電性フィルム113>
コニカミノルタ(株)製「ゼロタック」を用い、乾燥前に延伸工程を加えることでRo=3nmとした。これに、第1高屈折率層をICOとし、層厚27.0nmとして形成した。続いて第1硫化防止層として、Crを層厚0.8nmにて形成し、さらに透明導電層としてAg−Au合金を、Ag、Auをそれぞれ98atm%、2atm%、含まれるよう調製された合金をターゲットに用いて、層厚9.0nmにて形成した。続いて第2硫化防止層として、Crを層厚0.8nmにて形成し、その上に第2高屈折率層としてICOを27.0nmの層厚で形成した。
コニカミノルタ(株)製「ゼロタック」を用い、乾燥前に延伸工程を加えることでRo=3nmとした。これに、第1高屈折率層をICOとし、層厚27.0nmとして形成した。続いて第1硫化防止層として、Crを層厚0.8nmにて形成し、さらに透明導電層としてAg−Au合金を、Ag、Auをそれぞれ98atm%、2atm%、含まれるよう調製された合金をターゲットに用いて、層厚9.0nmにて形成した。続いて第2硫化防止層として、Crを層厚0.8nmにて形成し、その上に第2高屈折率層としてICOを27.0nmの層厚で形成した。
次いで、上記の第2高屈折率層の上に改めてSiO2を40.0nmの層厚で形成した。さらに、フッ素系表面改質材料である「KP801M」を、Optorun社のGener 1300によって、190mA、形成速度10Å/sec(1nm/sec)で抵抗加熱蒸着し6.0nmの層厚で形成した。これを透明導電性フィルム113とした。
≪評価方法≫
上記のようにして作製した本発明の透明導電性フィルム1〜33及び比較例の透明導電性フィルム101〜116について、以下のようして評価した。
上記のようにして作製した本発明の透明導電性フィルム1〜33及び比較例の透明導電性フィルム101〜116について、以下のようして評価した。
<角度依存性虹ムラ>
角度依存性虹ムラの評価は、10インチサイズ(1インチ=2.54cm)で設けた透明導電性フィルムに電極を模したパターニング加工を行い、LCDディスプレイパネルに貼り合せてアウトセル型タッチパネルとした上で、画面にカラーチャートを実写投影し、盲検法にて、法線方向に対し45度の角度からの映像について50人の目視官能評価を行い、最大多数回答で比較判定する。
角度依存性虹ムラの評価は、10インチサイズ(1インチ=2.54cm)で設けた透明導電性フィルムに電極を模したパターニング加工を行い、LCDディスプレイパネルに貼り合せてアウトセル型タッチパネルとした上で、画面にカラーチャートを実写投影し、盲検法にて、法線方向に対し45度の角度からの映像について50人の目視官能評価を行い、最大多数回答で比較判定する。
(評価判定基準)
○:虹ムラが見られない
△:軽微な虹ムラが認められる
×:視認性を損なう程度に虹ムラが発生する
<表面抵抗(導電性)>
透明導電性フィルムの初期の表面抵抗の測定は、低抵抗率計「ロレスタ−EP」((株)三菱化学アナリテック製)を用いて行った。
○:虹ムラが見られない
△:軽微な虹ムラが認められる
×:視認性を損なう程度に虹ムラが発生する
<表面抵抗(導電性)>
透明導電性フィルムの初期の表面抵抗の測定は、低抵抗率計「ロレスタ−EP」((株)三菱化学アナリテック製)を用いて行った。
(評価判定基準)
◎:10Ω/□未満
○:10Ω/□未満
△:10Ω/□以上15Ω/□未満
×:15Ω/□未満
<透明性の評価>
透明導電性フィルムの初期の透明性の測定は、分光光度計「U4100」(日立ハイテク製)を用いて、測定波長400〜800nmの平均透過率を測定することによって行った。
◎:10Ω/□未満
○:10Ω/□未満
△:10Ω/□以上15Ω/□未満
×:15Ω/□未満
<透明性の評価>
透明導電性フィルムの初期の透明性の測定は、分光光度計「U4100」(日立ハイテク製)を用いて、測定波長400〜800nmの平均透過率を測定することによって行った。
この測定は、透過型静電容量タッチパネルに供されることを想定し、現実の系を反映すべく、支持体、高屈折率層、硫化防止層及び透明導電層からなる透明導電性フィルムを、油浸光学系で用いられるイマージョンオイル「タイプA(n=1.515)」((株)ニコン製)にてガラス基板に貼りつけ、上記の全透過率を測定することにより評価した。
上記平均透過率は、透明導電性フィルムの透明樹脂支持体側の表面の法線に対して、5°傾けた角度から光を入射させて測定した。
(評価判定基準)
◎:平均透過率が、92%以上
○:平均透過率が、90%以上、92%未満
△:平均透過率が、85%以上、90%未満
×:平均透過率が、85%未満
上記のようにして評価した結果を表4に示した。
◎:平均透過率が、92%以上
○:平均透過率が、90%以上、92%未満
△:平均透過率が、85%以上、90%未満
×:平均透過率が、85%未満
上記のようにして評価した結果を表4に示した。
以上の結果から本発明の導電性フィルム1〜33が、良好な導電性と透明性を有し、かつ角度依存性のある虹ムラの発生しない美麗な映像表示が可能な透明導電性フィルムを提供できることが分かる。
一方、本発明の効果に対する比較例として作成した透明導電性フィルム101〜116は、いずれも本発明に比して諸特性で劣る結果となった。
透明導電性フィルム101は、銀を含有する導電層の層厚が厚すぎるために透過率が不十分となった。
透明導電性フィルム102は、導電層にITOを用いた結果、導電性の観点で著しく劣った。
透明導電性フィルム103は、導電層に金を用いているが、金の屈折率波長分散の特性ゆえに可視域全体においての高い透明性を確保できず、結果として平均透過率が不足していた。
透明導電性フィルム104〜106及び111は、透明樹脂支持体のリタ―デーションが大きすぎるがゆえに、角度依存性の虹ムラが顕著に発生した。
透明導電性フィルム107は、光学アドミッタンスを調整する機能を有する第2高屈折率層が存在しないことにより、入射した光のエネルギーの少なくない部分が反射に仕向けられた結果、全体の透過率が劣った。
透明導電性フィルム108は、同じく光学アドミッタンスを調整する第1高屈折率層が存在しないために透過率の面で好ましくないばかりか、導電性もやや不足する結果となった。これは、第1硫化防止層であるZnOが形成される際の下地が剥き出しの有機物である支持体表面であることから、Volmer−Weberの成長様式において島状核で説明される、ZnO薄膜の微視的な構造特性が粒塊性の強いものとなった結果、その直後に成膜される導電層もこの影響を受け、同じく粒状界面性の強い膜となったものと推測される。
透明導電性フィルム109、110、112、114及び115についても、高屈折率層としてZnSに代わって選定したSiN、TiO2、Nb2O5、ITO、GIOの各種材料固有の屈折率波長分散特性ゆえに光学アドミッタンスの調整が不十分となったほか、やや導電性も劣った。この導電性の不足については、同じく導電層の成膜される面の物理化学的性状が、硫化物を用いた層の場合と異なるために、導電層の微視的な構造が均質連続性に欠けるものとなったものと推測される。
透明導電性フィルム116については、導電層の厚みが薄すぎるために導電性の観点で劣っていた。
上記の比較例は、本発明により提供される透明導電性フィルムの効果および優位性を明らかに示すものである。
本発明は、良好な導電性と透明性を有し、かつ角度依存性のある虹ムラの発生しない美麗な映像表示が可能な透明導電性フィルムに好適に利用することができる。
100 透明導電性フィルム
200 偏光板
300 画像表示素子
1 透明樹脂支持体
2 第1高屈折率層
3 透明導電層
4 第2高屈折率層
5a 第1硫化防止層
5b 第2硫化防止層
6 レジスト膜
6A 除去するレジスト膜
7 マスク
8 露光機
EU 透明電極ユニット
a 導通領域
b 絶縁領域
200 偏光板
300 画像表示素子
1 透明樹脂支持体
2 第1高屈折率層
3 透明導電層
4 第2高屈折率層
5a 第1硫化防止層
5b 第2硫化防止層
6 レジスト膜
6A 除去するレジスト膜
7 マスク
8 露光機
EU 透明電極ユニット
a 導通領域
b 絶縁領域
Claims (7)
- 透明樹脂支持体上に少なくとも一層の透明導電層と高屈折率層とを有する透明導電性フィルムであって、
前記透明樹脂支持体の測定波長589nmにおける面内リターデーション値Roが、0〜150nmの範囲内であり、
前記透明導電層が、銀を含有し、かつ層厚が、3〜15nmの範囲内であり、
前記高屈折率層が、前記透明導電層の両側に設けられ、かつ少なくとも一方の高屈折率層が硫化亜鉛を含有することを特徴とする透明導電性フィルム。 - 前記透明樹脂支持体の測定波長589nmにおける厚さ方向リターデーション値Rtが、0〜400nmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性フィルム。
- 前記透明樹脂支持体が、少なくともセルロースエステル樹脂、シクロオレフィン樹脂及びポリカーボネート樹脂から選択されるいずれか一種を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の透明導電性フィルム。
- 前記透明導電層が、金、銅、ニッケル、パラジウム、白金、亜鉛、アルミニウム、マンガン、ゲルマニウム、ビスマス、ネオジム及びモリブデンから選択される少なくとも一種の金属を含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の透明導電性フィルム。
- 前記透明導電層の両側に設けられた高屈折率層のうち、支持体側の高屈折率層が、硫化亜鉛を含有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の透明導電性フィルム。
- 前記透明導電層の両側に設けられた高屈折率層のうち、支持体側とは反対側に設けられた高屈折率層が、インジウム・スズ酸化物、インジウム・亜鉛酸化物、ガリウム・亜鉛酸化物又はインジウム・ガリウム・亜鉛酸化物のいずれかを含有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の透明導電性フィルム。
- 前記透明導電層と前記少なくとも一方の高屈折率層との間に、酸化亜鉛を含有する層を有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の透明導電性フィルム。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014023242 | 2014-02-10 | ||
JP2014023242 | 2014-02-10 | ||
PCT/JP2015/050580 WO2015118904A1 (ja) | 2014-02-10 | 2015-01-13 | 透明導電性フィルム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2015118904A1 JPWO2015118904A1 (ja) | 2017-03-23 |
JP6493225B2 true JP6493225B2 (ja) | 2019-04-03 |
Family
ID=53777712
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015560904A Expired - Fee Related JP6493225B2 (ja) | 2014-02-10 | 2015-01-13 | 透明導電性フィルム |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6493225B2 (ja) |
WO (1) | WO2015118904A1 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107287851B (zh) * | 2016-03-30 | 2021-03-02 | 青岛海尔滚筒洗衣机有限公司 | 带装饰圈的洗衣机门体、洗衣机及洗衣方法 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3589331B2 (ja) * | 1996-05-28 | 2004-11-17 | 東洋紡績株式会社 | 電極基板 |
JP2012230491A (ja) * | 2011-04-25 | 2012-11-22 | Nitto Denko Corp | タッチパネル用透明導電性フィルムおよび画像表示装置 |
JP6090174B2 (ja) * | 2012-02-06 | 2017-03-08 | コニカミノルタ株式会社 | 導電性フィルムの製造方法 |
JP2013188876A (ja) * | 2012-03-12 | 2013-09-26 | Toppan Printing Co Ltd | 透明薄膜積層体及びその製造方法 |
JP2013225296A (ja) * | 2012-03-23 | 2013-10-31 | Fujifilm Corp | 導電性部材、それを用いたタッチパネル、表示装置、及び入力装置 |
-
2015
- 2015-01-13 JP JP2015560904A patent/JP6493225B2/ja not_active Expired - Fee Related
- 2015-01-13 WO PCT/JP2015/050580 patent/WO2015118904A1/ja active Application Filing
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPWO2015118904A1 (ja) | 2017-03-23 |
WO2015118904A1 (ja) | 2015-08-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6314463B2 (ja) | 透明導電体 | |
TWI554410B (zh) | Transparent conductive film | |
JP6292225B2 (ja) | 透明導電体 | |
JP2016081318A (ja) | 透明導電体及びタッチパネル | |
JP6319302B2 (ja) | 透明導電体及びその製造方法 | |
WO2015068738A1 (ja) | 透明導電体 | |
JP6493225B2 (ja) | 透明導電性フィルム | |
JP6344095B2 (ja) | 透明導電体及びタッチパネル | |
JP6536575B2 (ja) | 透明導電体及びタッチパネル | |
JP6206262B2 (ja) | 透明導電体、その製造方法及び導電性ペースト | |
JP2015156270A (ja) | 透明電極パターンの形成方法 | |
TWI640435B (zh) | 折射率匹配膜及ito導電膜 | |
JP2016152182A (ja) | 透明導電膜、透明導電膜の製造方法、及び、電子機器 | |
JP2016182786A (ja) | 透明導電性フィルム及びタッチパネル | |
WO2015107968A1 (ja) | 透明導電体の製造方法及び透明導電体 | |
WO2015087895A1 (ja) | 透明導電体 | |
WO2015125677A1 (ja) | 透明導電体 | |
JP2016091071A (ja) | 透明導電性フィルムとその製造方法 | |
JP6256253B2 (ja) | 透明導電体及びタッチパネル | |
JP6586738B2 (ja) | 透明導電部材、及び、透明導電部材の製造方法 | |
JP2016177940A (ja) | 透明導電体の製造方法 | |
WO2015053371A1 (ja) | 透明導電体 | |
JP2016160115A (ja) | 透明導電部材の選別方法 | |
WO2015151677A1 (ja) | 透明導電部材、及び、透明導電部材の製造方法 | |
WO2015025525A1 (ja) | 透明導電体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20180104 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20190205 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20190218 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6493225 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |