JP2013225296A - 導電性部材、それを用いたタッチパネル、表示装置、及び入力装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の導電性部材は、基板上に、金属ナノワイヤーを含有する導電層を有し、前記基板の前記導電層と隣接する表面の表面抵抗値が108〜1013Ω/□である。
導電層は、導電性領域と非導電性領域を有し、前記導電性領域の隣接電極間距離の最小値が15μm以上であることが好ましい。また、金属ナノワイヤーは、銀を含むことが好ましい。
【選択図】図1
Description
しかし、金属ナノワイヤーは、ワイヤー構造であることからヘイズ値が高く、金属ナノワイヤーの直径増大に伴いヘイズ値が大きくなり、特に透明電極をパターニングした際に金属ナノワイヤーを有する部分(導電性領域)と有しない部分(非導電性領域)とのヘイズ値の差が大きく、電極パターンが見え易くなるという視認性の問題がある。
また、銀は、金属の中で最も高い導電率を有していることから、金属ナノワイヤーとして、銀ナノワイヤーを使用することが好ましい一方、銀は、高温高湿下でマイグレーションを起こしやすい金属であることが知られている。
また、本発明者は、予期せぬことに、基板の表面抵抗値を108〜1013Ω/□とすることで、導電性部材に更に銀ペーストなどのインクを印刷する際に、静電気によりインクが引っ張られ線幅が不均一になる(ヒゲが発生する)ことを防止でき、歩留まりを向上させることができることも見出した。その他、静電気によるICチップの故障防止などにも効果があることを見出した。
さらに、本発明者は、マイグレーションは、静電容量式タッチパネルの駆動電圧が3Vでも発生し、パターニングされた電極配線の抵抗値が数倍以上になると、静電容量の検出不良が発生し、デバイスの動作不良がおき易いことを知見した。
[1] 基板上に、金属ナノワイヤーを含有する導電層を有し、基板の導電層と隣接する表面の表面抵抗値が108〜1013Ω/□であることを特徴とする導電性部材。
[2] 基板の少なくとも一方の面に帯電防止層を有する[1]の導電性部材。
[3] 導電層の隣接電極間距離の最小値が15μm以上である[1]又は[2]の導電性部材。
[4] 金属ナノワイヤーが、銀を含む[1]〜[3]のいずれか1つの導電性部材。
[5] 金属ナノワイヤーの平均短軸長が、5〜50nmである[1]〜[4]のいずれか1つの導電性部材。
[6] 金属ナノワイヤーの平均短軸長が、5〜25nmである[1]〜[4]のいずれか1つの導電性部材。
[7] 導電層の表面に絶縁膜が積層された[1]〜[6]のいずれか1つの導電性部材。
[8] 帯電防止層は、導電性針状金属酸化物微粒子を含む[2]〜[7]のいずれか1つの導電性部材。
[9] [1]〜[8]のいずれか1つの導電性部材を用いた、駆動電圧が1V以上であることを特徴とするタッチパネル。
[10] [9]のタッチパネルを用いたことを特徴とする表示装置。
[11] [9]のタッチパネルを用いたことを特徴とする入力装置。
[12] [1]〜[8]のいずれか1つの導電性部材を有することを特徴とする偏光板。
[13] [1]〜[8]のいずれか1つの導電性部材を有することを特徴とする円偏光板。
[14] [1]〜[8]のいずれか1つの導電性部材の製造方法であって、
基板の表面抵抗値が108〜1013Ω/□である面上に、金属ナノワイヤーを含有する導電層を適用する工程を含むことを特徴とする導電性部材の製造方法。
[15] マイグレーション試験前後の配線抵抗値の変化が2倍以下である[1]〜[8]のいずれか1つの導電性部材。
本発明では、支持体と、導電層と隣接する層を含めた全体を基板と定義する。例えば、図2に示すように、支持体と帯電防止層とを有し、帯電防止層が導電層と隣接する場合、支持体と帯電防止層を含めて基板と定義する。帯電防止層の詳細については後述する。
本発明の導電性部材は、前記導電層を支持する基板を有する。基板の金属ナノワイヤーを含有する導電層と隣接する表面の表面抵抗値は、108〜1013Ω/□であり、108〜1012Ω/□であることが好ましく、108〜1011Ω/□であることがより好ましい。基板の表面抵抗値は、例えば、ハイレスタUP(三菱化学株式会社製)により測定することができる。金属ナノワイヤーを含有する導電層と隣接する表面の表面抵抗値が108Ω/□未満では、電極から発生した金属イオンに電界がかかりやすく、イオンが電気泳動で動いていきやすく、マイグレーションがおきやすい。また、1013Ω/□を超えると、電極から金属イオンが発生しても電界がかからず、マイグレーションは起き難くなるものの、基板に静電気が発生しやすくなるために後の配線印刷工程等で印刷パターンが不均一になるなどの問題が生じる。
基板の光透過率は、65%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。前記光透過率は、例えば分光光度計(V670、日本分光社製)により測定することができる。
プラズマ処理やコロナ処理などの方法により処理するのに好ましい高分子フィルム等の例には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、トリアセチルアセテート(TAC)、シクロオレフィンポリマー(COP)等が含まれる。
本発明では、基板の少なくとも一方の面に帯電防止層を有していることが好ましく、基板と導電層との間に有していることがより好ましい。
また、帯電防止層は、接着剤等を含有させ、基板と導電層とを接着する接着層の機能を有するようにしてもよい。帯電防止層を有することで、導電層のパターニングや貼合プロセスの段階で異物が付着することを防止し、歩留まりを向上させることができる。
基板に帯電防止性を付与する手段として、界面活性剤やカーボンブラックを基板フィルムに練り込む方法が挙げられるが、界面活性剤を練り込むと経時によるブリードアウトが発生したり、カーボンブラックを練り込むと基板フィルムの透明性が損なわれたり、カーボンブラックが粉落ちし汚染させるなどの問題がある。このため、本発明では、基板の少なくとも一方の面に帯電防止層を有する態様とすることで好適に基板の帯電防止性を付与することができる。
導電性金属酸化物微粒子としては、例えば、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アンチモンなどが挙げられる。導電性金属酸化物微粒子の詳細は、特開2010−188604号公報に記載されている。なお帯電防止剤としては、導電性金属酸化物微粒子の他に、界面活性剤類、導電性ポリマー類、カーボン粒子類、金属平板粒子類や金属フィラー類でも良い。界面活性剤としては例えばアニオン系、カチオン系、両イオン性系、ノニオン系化合物など、導電性ポリマーとしては例えばポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)、ポリアニリン、ポリピロールなど、カーボン粒子類としては例えばカーボンブラックやカーボンフィラー、カーボンナノチューブ、グラフェンなど、金属平板粒子類や金属フィラー類としては例えばアルミや銀などのフィラーやフレークなどが挙げられる。
本発明で用いる導電性針状金属酸化物微粒子は、スズおよび/またはアンチモンを含む酸化物であることが好ましく、アンチモンがドープされた酸化スズであることがより好ましい。アンチモンがドープされた酸化スズの場合、アンチモン含有率が0〜10モル%であることが好ましく、1〜5モル%であることがより好ましい。
導電性針状金属酸化物微粒子は、バインダー100質量部に対し、10〜100質量部含まれることが好ましく、20〜90質量部含まれることがより好ましい。
また、導電性針状金属酸化物微粒子は、導電層に対し、5〜50質量%の割合で含まれることが好ましく、10〜45質量%の割合で含まれることがさらに好ましい。
バインダーは、ガラス転移温度が90℃以上であることが好ましい。このようなバインダーを採用することにより、支持体からのオリゴマーの析出を抑止することができる。バインダーのガラス転移温度(Tg)が90℃以上という観点で好ましいものとしては、ポリエステル、ポリウレタンが挙げられる。
界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンイミダゾールスルホン酸塩、ナフタリンスルホン酸塩、カルボン酸スルホンエステル、リン酸エステル、ヘテロ環アミン類、アンモニウム塩類、ホスホニウム塩類及びベタイン系両性塩類を挙げることができる。界面活性剤は、バインダー100質量部に対し、0.1〜20質量部含まれることが好ましく、1〜10質量部含まれることがより好ましい。
架橋剤として好ましい化合物は、エポキシ系化合物、アルデヒド系化合物、活性ハロゲン系化合物、活性ビニル系化合物、N−カルバモイルピリジニウム塩化合物、N−メチロール系化合物(ジメチロールウレア、メチロールジメチルヒダントイン等)、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物、高分子硬膜剤(特開昭62−234157号公報などに記載の化合物)、ホウ酸及びその塩、ホウ砂、アルミみょうばん等を挙げることができる。架橋剤は、バインダーの種類に応じて適宜定めることができる。水溶性バインダーを用いる場合、カルボジイミド化合物が好ましい。架橋剤は、バインダー100質量部に対し、2〜80質量部含まれることが好ましく、5〜50質量部含まれることがより好ましい。
帯電防止層の塗布量は、固形分で0.01〜10g/m2が好ましく、0.1〜5g/m2がより好ましい。該塗布量が0.01g/m2以上の場合は、導電性の観点で好ましい。
帯電防止層と導電層との間に中間層を設けてもよい。導電層と帯電防止層との間に中間層を設けることにより、導電層を塗布する基板表面の表面抵抗値を制御することができるので、マイグレーションの発生を抑止できる効果、導電層の基板への密着性を良くする効果、さらに、屈折率を制御することができるので、基板の全光線透過率を調整できるといった効果が得られる。
前記中間層の厚みについても特に制限はない。平均厚みは、0.05μm〜5μmであることが好ましく、0.1mm〜3μmであることが好ましい。但し、この範囲に限定されるものではない。
本明細書では、金属ナノワイヤーとは、導電性を有し、且つ長軸方向長さが直径(短軸方向長さ)に比べて十分に長い形状を持つものをいう。金属ナノワイヤーは、中実繊維であっても、中空繊維であってもよい。
前記銀との合金で使用する金属としては、白金、オスミウム、パラジウム、イリジウム、スズ、ビスマス、ニッケルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ここで、前記金属ナノワイヤーの断面形状は、基板上に金属ナノワイヤー水分散液を塗布し、ミクロトームにより作製した断面切片を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより調べることができる。
前記平均短軸長さが、5nm未満であると、耐酸化性が悪化し、耐久性が悪くなることがある。一方平均短軸長が50nm以上であると、金属ナノワイヤーの散乱が大きくなり、導電性部材のヘイズ値が大きくなることがある。
前記金属ナノワイヤーの平均短軸長さは、透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、300本の金属ナノワイヤーを観察し、その平均値から金属ナノワイヤーの平均短軸長さを求めた。なお、前記金属ナノワイヤーの短軸が円形でない場合の短軸長さは、最も長いものを短軸長さとした。
前記平均長軸長さが、5μm未満であると、密なネットワークを形成することが難しく、十分な導電性を得ることができないことがあり、40μmを超えると、金属ナノワイヤーが長すぎて製造時に絡まり、製造過程で凝集物が生じてしまうことがある。
前記金属ナノワイヤーの平均長軸長さは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、300本の金属ナノワイヤーを観察し、その平均値から金属ナノワイヤーの平均長軸長さを求めた。なお、前記金属ナノワイヤーが曲がっている場合、それを弧とする円を考慮し、その半径、及び曲率から算出される値を長軸長さとした。
前記変動係数は、上記電子顕微鏡(TEM)像からランダムに選択した300本のナノワイヤーの短軸長(直径)を測定し、その300本についての標準偏差と平均値を計算することにより、求めた。
また、金属ナノワイヤーの製造方法としては、特開2009−215594号公報、特開2009−242880号公報、特開2009−299162号公報、特開2010−84173号公報、特開2010−86714号公報、などに記載の方法を用いることができる。
アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどが挙げられる。多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコールなどが挙げられる。エーテル類としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。加熱する場合、その加熱温度は、用いる溶媒の沸点を超えない限りにおいて、250℃以下が好ましく、20℃以上200℃以下がより好ましく、30℃以上180℃以下がさらに好ましく、40℃以上170℃以下が特に好ましく、50℃以上100℃以下が最も好ましい。なお、上記沸点とは、反応溶媒の蒸気圧が反応容器中の圧力と等しくなる温度のことを指す。上記温度を20℃以上とすることで、金属ナノワイヤーの形成が促進され、製造にかかる工程時間を短縮できるため好ましい。また、250℃以下とすることで、金属ナノワイヤーの短軸長さ及び長軸長さの単分散性が向上し、透明性、及び、導電性の観点から好適である。なお、必要に応じて、金属ナノワイヤーの製造過程で温度を変更してもよく、途中での温度変更は核形成の制御や再核発生の抑制、選択成長の促進による単分散性向上の効果があることがある。
前記還元剤としては、特に制限はなく、通常使用されるものの中から適宜選択することができ、例えば、水素化ホウ素金属塩、水素化アルミニウム塩、アルカノールアミン、脂肪族アミン、ヘテロ環式アミン、芳香族アミン、アラルキルアミン、アルコール類、多価アルコール類、有機酸類、還元糖類、糖アルコール類、亜硫酸ナトリウム、ヒドラジン化合物、デキストリン、ハイドロキノン、ヒドロキシルアミン、グルタチオンなどが挙げられる。これらの中でも、還元糖類、その誘導体としての糖アルコール類、多価アルコール類が特に好ましい。前記還元剤によっては、機能として分散剤や溶媒としても機能する化合物があり、同様に好ましく用いることができる。
分散剤の添加のタイミングは、還元剤の添加前でも、還元剤の添加と同時でも、さらには、還元剤の添加後でもよく、金属イオンあるいはハロゲン化金属微粒子の添加前でも、金属イオンあるいはハロゲン化金属微粒子の添加と同時でも、さらには、金属イオンあるいはハロゲン化金属微粒子の添加後でもよい。
前記分散剤としては、例えばアミノ基含有化合物、チオール基含有化合物、スルフィド基含有化合物、アミノ酸又はその誘導体、ペプチド化合物、多糖類、多糖類由来の天然高分子、合成高分子、又はこれらに由来するゲル等の高分子化合物類、などが挙げられる。これらのうち分散剤として用いられる各種高分子化合物類は、後述するポリマーに包含される化合物である。
分散剤として用いるポリマーはGPC法により測定した重量平均分子量(Mw)が、3000以上300000以下であることが好ましく、5000以上100000以下であることがより好ましい。
前記分散剤として使用可能な化合物の構造については、例えば「顔料の事典」(伊藤征司郎編、株式会社朝倉書院発行、2000年)の記載を参照できる。
使用する分散剤の種類によって得られる金属ナノワイヤーの形状を変化させることができる。
前記ハロゲン化合物によっては、分散剤として機能するものがありうるが、同様に好ましく用いることができる。
前記ハロゲン化合物の代替としてハロゲン化銀微粒子を使用してもよいし、ハロゲン化合物とハロゲン化銀微粒子を共に使用してもよい。
分散剤としての機能を有するハロゲン化合物としては、例えば、アミノ基と臭化物イオン又は塩化物イオン、ヨウ化物イオンを含むヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムアイオダイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムアイオダイド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムアイオダイド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムアイオダイド、ジメチルジステアリルアンモニウムブロミド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムアイオダイド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロミド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ジラウリルジメチルアンモニウムアイオダイド、ジメチルジパルミチルアンモニウムブロミド、ジメチルジパルミチルアンモニウムクロリド、ジメチルジパルミチルアンモニウムアイオダイド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムアイオダイド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムアイオダイド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムアイオダイド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、メチルトリエチルアンモニウムクロリド、メチルトリエチルアンモニウムブロミド、メチルトリエチルアンモニウムアイオダイド、ジメチルジエチルアンモニウムブロミド、ジメチルジエチルアンモニウムクロリド、ジメチルジエチルアンモニウムアイオダイド、エチルトリメチルアンモニウムブロミド、エチルトリメチルアンモニウムクロリド、エチルトリメチルアンモニウムアイオダイド、ヘキサデシルジメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルジメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルジメチルアンモニウムアイオダイド、ドデシルジメチルアンモニウムブロミド、ドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ドデシルジメチルアンモニウムアイオダイド、ステアリルジメチルアンモニウムブロミド、ステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルアンモニウムアイオダイド、デシルジメチルアンモニウムブロミド、デシルジメチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルアンモニウムアイオダイドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記金属ナノワイヤーを水性分散させたときの20℃における粘度は、0.5mPa・s〜100mPa・sが好ましく、1mPa・s〜50mPa・sがより好ましい。
前記アスペクト比の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子顕微鏡等により測定する方法などが挙げられる。
前記金属ナノワイヤーのアスペクト比を電子顕微鏡で測定する場合、前記金属ナノワイヤーのアスペクト比が10以上であるか否かは、電子顕微鏡の1視野で確認できればよい。また、前記金属ナノワイヤーの平均長軸長さと平均短軸長さとを各々別に測定することによって、前記金属ナノワイヤー全体のアスペクト比を見積もることができる。
なお、前記金属ナノワイヤーがチューブ状(中空繊維)の場合には、前記アスペクト比を算出するための直径としては、該チューブ状の金属ナノワイヤーの外径を用いる。
前記金属ナノワイヤーの比率が、5%未満であると、導電性に寄与する導電性物質が減少し導電性が低下してしまうことがあり、同時に密なネットワークを形成できないために電圧集中が生じ、耐久性が低下してしまうことがある。また、金属ナノワイヤー以外の形状の粒子は、導電性に大きく寄与しない上に吸収を持つため好ましくない。特に形状が金属導電性繊維以外の粒子が金属の場合で、球形などのプラズモン吸収が強い場合には透明度が悪化してしまうことがある。
また、前記金属ナノワイヤーの比率が、5%未満であると、導電性に寄与する導電性物質が減少し導電性が低下してしまうことがあり、同時に密なネットワークを形成できないために電圧集中が生じ、耐久性が低下してしまうことがある。また、金属ナノワイヤー以外の形状の粒子は、導電性に大きく寄与しない上に吸収を持つため好ましくない。特に金属の場合で、球形などのプラズモン吸収が強い場合には透明度が悪化してしまうことがある。
本発明では、マトリクス成分(導電層塗布液に含まれる金属ナノワイヤー及び溶剤を除いた全ての成分)の金属ナノワイヤーに対する質量比が0.5〜15(より好ましくは1.0〜12、特に好ましくは2.0〜10)であることが好ましい。
前記質量比が0.5未満であると、マトリクス成分が少なく、金属ナノワイヤーの基板表面に対する密着性が弱く、膜強度が弱くなるということがあり、前記質量比が15を超えると、導電層の表面抵抗値が上昇してしまうことがある。
また前記導電層には金属ナノワイヤーと金属ナノワイヤーを固定するマトリクス成分以外に、必要に応じて分散剤や界面活性剤の他、酸化防止剤、還元剤、紫外線吸収剤、防錆剤、導電性粒子、染料、顔料等を含んでいてもよい。また必要に応じて導電層の表面に更に保護層を設けても良い。
バインダーとしては、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基(例えばカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基など)を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。
これらの中でも、有機溶剤に可溶でアルカリ水溶液に可溶なものが好ましく、また、酸解離性基を有し、酸の作用により酸解離性基が解離した時にアルカリ可溶となるものが特に好ましい。
ここで、前記酸解離性基とは、酸の存在下で解離することが可能な官能基を表す。
前記側鎖にカルボン酸を有するポリマーとしては、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたポリマー等が挙げられ、更に側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する高分子重合体も好ましいポリマーとして挙げられる。
更に、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する高分子重合体や(メタ)アクリル酸/グリシジル(メタ)アクリレート/他のモノマーからなる多元共重合体も有用なものとして挙げられる。該ポリマーは任意の量で混合して用いることができる。
前記アルキル(メタ)アクリレート又はアリール(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、前記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて求めることができる。
光重合性組成物は、露光により画像を形成する機能を導電層に付与するか、又はそのきっかけを与える化合物を意味する。(a)付加重合性不飽和化合物と、(b)光が照射されるとラジカルを発生する光重合開始剤とを基本成分として含む。
成分(a)の付加重合性不飽和化合物(以下、「重合性化合物」ともいう。)は、ラジカルの存在下で付加重合反応を生じて高分子化される化合物であり、通常、分子末端に少なくとも一つの、より好ましくは二つ以上の、更に好ましくは四つ以上の、更により好ましくは六つ以上のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物が使用される。
これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、即ち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物などの化学的形態をもつ。
このような重合性化合物としては、種々のものが知られており、それらは成分(a)として使用することができる。
このうち、特に好ましい重合性化合物としては、膜強度の観点から、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
成分(b)の光重合開始剤は、光が照射されるとラジカルを発生する化合物である。このよう光重合開始剤には、光照射により、最終的には酸となる酸ラジカルを発生する化合物及びその他のラジカルを発生する化合物などが挙げられる。以下、前者を「光酸発生剤」と呼び、後者を「光ラジカル発生剤」と呼ぶ。
−光酸発生剤−
光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸ラジカルを発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
また、活性光線又は放射線の照射により酸ラジカルを発生する基、あるいは化合物を樹脂の主鎖又は側鎖に導入した化合物、例えば、米国特許第3,849,137号明細書、独国特許第3914407号明細書、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号の各公報等に記載の化合物を用いることができる。
更に、米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等の各明細書に記載の化合物も、酸ラジカル発生剤として使用することができる。
キノンジアジド化合物のうち、下記に示される化合物のDが各々独立して水素原子又は1,2−ナフトキノンジアジド基である化合物が高感度である観点から好ましい。
光ラジカル発生剤は、光を直接吸収し、又は光増感されて分解反応若しくは水素引き抜き反応を起こし、ラジカルを発生する機能を有する化合物である。光ラジカル発生剤としては、波長300nm〜500nmの領域に吸収を有する化合物であることが好ましい。
このような光ラジカル発生剤としては、多数の化合物が知られており、例えば特開2008−268884号公報に記載されているようなトリアジン系化合物、カルボニル化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、アクリジン化合物、有機過酸化化合物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オキシムエステル化合物、アシルホスフィン(オキシド)化合物、が挙げられる。これらは目的に応じて適宜選択することができる。これらの中でも、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、オキシムエステル化合物、及びアシルホスフィン(オキシド)化合物が露光感度の観点から特に好ましい。
連鎖移動剤は、光重合性組成物の露光感度向上のために使用されるものである。このような連鎖移動剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどのN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、N−フェニルメルカプトベンゾイミダゾール、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンなどの複素環を有するメルカプト化合物、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタンなどの脂肪族多官能メルカプト化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋剤は、フリーラジカル又は酸及び熱により化学結合を形成し、導電層を硬化させる化合物で、例えばメチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの基で置換されたメラミン系化合物、グアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物、ウレア系化合物、フェノール系化合物もしくはフェノールのエーテル化合物、エポキシ系化合物、オキセタン系化合物、チオエポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、又はアジド系化合物、メタクリロイル基又はアクリロイル基などを含むエチレン性不飽和基を有する化合物、などが挙げられる。これらの中でも、膜物性、耐熱性、溶剤耐性の点でエポキシ系化合物、オキセタン系化合物、エチレン性不飽和基を有する化合物が特に好ましい。
また、前記オキセタン樹脂は、1種単独で又はエポキシ樹脂と混合して使用することができる。特にエポキシ樹脂との併用で用いた場合には反応性が高く、膜物性を向上させる観点から好ましい。
なお、架橋剤としてエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物を用いる場合、当該架橋剤も、また、前記重合性化合物に包含され、その含有量は、本発明における重合性化合物の含有量に含まれることを考慮すべきである。
架橋剤の含有量は、前述の金属ナノワイヤーを含む光重合性組成物の固形分の総質量を100質量部としたとき、1質量部〜250質量部が好ましく、3質量部〜200質量部がより好ましい。
分散剤は、光重合性組成物中における前述の金属ナノワイヤーが凝集することを防止しつつ分散させるために用いられる。分散剤としては、前記金属ナノワイヤーを分散させることができれば特に制限はなく、目的に応じて適否選択することができる。例えば、顔料分散剤として市販されている分散剤を利用でき、特に金属ナノワイヤーに吸着する性質を持つ高分子分散剤が好ましい。このような高分子分散剤としては、例えばポリビニルピロリドン、BYKシリーズ(ビックケミー社製)、ソルスパースシリーズ(日本ルーブリゾール社製など)、アジスパーシリーズ(味の素株式会社製)などが挙げられる。
なお、分散剤として高分子分散剤を、前記金属ナノワイヤーの製造に用いたもの以外をさらに別に添加する場合、当該高分子分散剤も、また、前記バインダーに包含され、その含有量は、前述のバインダーの含有量に含まれることを考慮すべきである。
分散剤の含有量としては、バインダー100質量部に対し、0.1質量部〜50質量部が好ましく、0.5質量部〜40質量部がより好ましく、1質量部〜30質量部が特に好ましい。
分散剤の含有量を0.1質量部以上とすることで、分散液中での金属ナノワイヤーの凝集が効果的に抑制され、50質量部以下とすることで、塗布工程において安定な液膜が形成され、塗布ムラの発生が抑制されるため好ましい。
溶媒は、前述の金属ナノワイヤー並びに特定アルコキシド化合物と、光重合性組成物とを含む組成物を基板表面に膜状に形成するための塗布液とするために使用される成分であり、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシブタノール、水、1−メトキシ−2−プロパノール、イソプロピルアセテート、乳酸メチル、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)、プロピレンカーボネート、などが挙げられる。この溶媒は、前述の金属ナノワイヤーの分散液の溶媒の少なくとも一部が兼ねていてもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
このような溶媒を含む塗布液の固形分濃度は、0.1質量%〜20質量%の範囲で含有させることが好ましい。
金属ナノワイヤーの金属腐食防止剤を含有させておくことが好ましい。このような金属腐食防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばチオール類、アゾール類などが好適である。
金属腐食防止剤を含有させることで、防錆効果を発揮させることができ、導電性部材の経時による導電性及び透明性の低下を抑制することができる。金属腐食防止剤は感光性層形成用組成物中に、適した溶媒で溶解した状態、又は粉末で添加するか、後述する導電層用塗布液による導電膜を作製後に、これを金属腐食防止剤浴に浸すことで付与することができる。
金属腐食防止剤を添加する場合は、金属ナノワイヤーに対して0.5質量%〜10質量%含有させることが好ましい。
上記ゾルゲル硬化物は、Si、Ti、ZrおよびAlからなる群から選ばれた元素のアルコキシド化合物(以下、「特定アルコキシド化合物」ともいう。)を加水分解及び重縮合し、更に所望により加熱、乾燥して得られるものである。
〔特定アルコキシド化合物〕
特定アルコキシド化合物は、下記一般式(I)で示される化合物であることが、入手が容易である点で好ましい。
M1(OR1)aR2 4-a (I)
(一般式(I)中、M1はSi、TiおよびZrから選択される元素を示し、R1、R2はそれぞれ独立に水素原子または炭化水素基を示し、aは2〜4の整数を示す。)
アルキル基を示す場合の炭素数は好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8であり、さらにより好ましくは1〜4である。また、アリール基を示す場合は、フェニル基が好ましい。
アルキル基又はアリール基は置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基などが挙げられる。
なお、一般式(I)で示される化合物は低分子化合物であり、分子量1000以下であることが好ましい。
上記質量比は、より好ましくは0.5/1〜20/1の範囲、更に好ましくは1/1〜15/1、最も好ましくは2/1〜8/1の範囲が高い導電性と高い透明性(全光透過率及びヘイズ)を有すると共に、耐摩耗性、耐熱性および耐湿熱性に優れ、かつ耐屈曲性に優れる導電性部材を安定的に得ることができるので、好ましい。
導電層の形成方法の一例は、以下の通りであるが、下記の例に限定されるものではない。
まず、導電層用塗布液を調製する。該塗布液は、少なくとも金属ナノワイヤーを含み、好ましくはバインダー及び感光性化合物、又はゾルゲル硬化物、又は高分子を少なくとも含有する組成物、さらには必要に応じてその他の成分を混合して、常法により調製することができる。
露光方法としては、特に制限はなく、用途などに応じて適宜選択することができるが、紫外線照射装置や、紫外線照射ランプなどを用いた露光方法が好ましい。
前記アルカリ溶液に含まれるアルカリとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
前記アルカリ処理を行うことにより、前記導電層の導電性を上げることができる。
前記アルカリ溶液の浸漬時間は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10秒間〜5分間であることが好ましい。
導電性層のマトリックスが非感光性のものである場合には、下記の(1)〜(2)の方法によりパターンニングされる。
(1)非パターン化導電性層上にフォトレジスト層を設け、このフォトレジスト層に所望のパターン露光および現像を行って、当該パターン状のレジストを形成したのちに(エッチングマスク材)、金属ナノワイヤーをエッチング可能なエッチング液で処理するウェットプロセスか、または反応性イオンエッチングのようなドライプロセスにより、レジストで保護されていない領域の導電性層中の金属ナノワイヤーをエッチングして断線または消失させるパターニング方法。この方法は、例えば特表2010−507199号公報(特に、段落0212〜0217)に記載されている。
(2)非パターン化導電性層上の所望の領域に、光硬化性樹脂をインクジェット方式やスクリーン印刷方式によりパターン上に設け、この光硬化性樹脂層に所望の露光を行って、当該パターン状のレジスト(エッチングマスク材)を形成したのちに、金属ナノワイヤーをエッチング可能なエッチング液中に浸漬するか、または前記エッチング液をシャワリングして、レジストで保護されていない領域の導電性層中の金属ナノワイヤーを、金属ナノワイヤーを溶解する溶解液で断線または消失させるパターニング方法。
上記(1)または(2)の方法による場合には、パターニングが終了した後に、導電性層上のレジストは常法により除去することが、透明性に優れる導電性部材が得られるので好ましい。
前記塗布法としては、特に制限はなく、例えばロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、などが挙げられる。
前記印刷法としては、例えば凸版(活版)印刷法、孔版(スクリーン)印刷法、平版(オフセット)印刷法、凹版(グラビア)印刷法、などが挙げられる。
なお、この工程で形成されるレジスト層はポジ型レジスト層でもよく、ネガ型レジスト層でもよい。ポジ型レジスト層の場合には、パターン状の露光領域が可溶化され、未露光領域(未溶解化領域)にパターン状のレジスト層が形成され、ネガ型レジスト層の場合には、露光領域が硬化されたレジスト層となり、溶解液の付与により、未露光部、即ち未硬化部のレジスト層が除去され、パターン状のレジスト層が形成される。
この方法によれば、非導電性領域は、導電性層に含まれる金属ナノワイヤ及びバインダが何れも除去され、基板若しくは、基板上に形成された中間層が露出することになる。
フォトレジスト層の形成には、市販のアルカリ可溶性フォトレジストを適宜選択して用いることができ、例えば、富士フイルム製カラーモザイクシリーズ、FILSシリーズ、FIOSシリーズ、FMESシリーズ、FTENSシリーズ、FIESシリーズ、半導体プロセス用各ポジ型、ネガ型フォトレジストシリーズ、富士薬品製フジレジストシリーズを用いることができ、中でも、FRシリーズ、FPPRシリーズ、FMRシリーズ、FDERシリーズなどを好ましく用いることができる。また、AZエレクトロニックマテリアルズ製フォトレジストシリーズを用いることができ、中でも、RFPシリーズ、TFPシリーズ、SZPシリーズ、HKTシリーズ、SFP、シリーズ、SRシリーズ、SOPシリーズ、SZCシリーズ、CTPシリーズ、ANRシリーズ、P4000シリーズ、TPM606、40XT、nXTシリーズなどを好ましく用いることができる。さらに、JSR社製の各フォトレジストなども、高解像度タイプから、低解像度タイプまで広く用いることが可能である。
ドライフィルムレジストとしては、日立化成工業製、プリント配線板用感光性フィルム、旭化成イーマテリアルズ製感光性ドライフィルムSUNFORTシリーズ、デュポンMRCドライフィルム製FXGシリーズ、FXRシリーズ、FX900シリーズ、JSF100シリーズ、SA100シリーズ、LDIシリーズ、FRAシリーズ、CMシリーズ、富士フイルム製トランサー各シリーズ等が挙げられ、これらを適宜使用することができる。
これらレジスト層形成材料は、導電性部材において形成されるパターンの解像度などに応じて、適宜、選択すればよい。
フォトレジスト層の形成において、ドライフィルム型のレジスト層形成用材料を用いる場合、予め作製されたドライフィルムレジストの感光性レジスト層を、形成された導電性層の表面に転写すればよい。
前記露光は酸素濃度が5%以下の雰囲気下にて行われる。酸素濃度は2%以下であることがより好ましく、1%以下であることが更に好ましく、0.1%以下であることが特に好ましい。
前記露光を酸素濃度が5%を超える雰囲気下で行うと、エッチングマスク材に含まれる光重合開始剤から生じる副生成物、或いは、オゾン等の酸化物との反応により金属ナノワイヤーが断線され、パターニング後の導電部配線抵抗値が上昇するため好ましくない。酸素濃度が高い雰囲気下における金属ナノワイヤーの断線は、直径の細い金属ナノワイヤーを用いる場合に特に顕著となる傾向がある。
更に、前記露光を酸素濃度が5%を超える雰囲気下で行うと、エッチングマスク材の硬化における反応効率が低下し、タクトタイムが長くなるため好ましくない。
使用することができる不活性ガスは、紫外線照射装置や、紫外線照射ランプなどを用いて露光する場合は、UV硬化反応の妨げとならないものであれば特に制限がない。不活性ガスとしては、窒素ガス又はアルゴンガスが好ましく、入手が容易で安価な点から窒素ガスがより好ましい。
これらの露光方式は、必要に応じて適宜選択することができる。例えば、前記付与されたエッチングマスク材が予めパターン状に付与されている場合は、フォトマスクを利用せずベタ露光することも可能である。
上記パターン露光や露光に用いる光源は、フォトレジスト組成物の感光波長域との関連で選定されるが、一般的にはg線、h線、i線、j線等の紫外線が好ましく用いられる。また、紫外線LEDを用いてもよい。
パターン露光の方法にも特に制限はなく、フォトマスクを利用した面露光で行ってもよいし、レーザービーム等による走査露光で行ってもよい。この際、レンズを用いた屈折式露光でも反射鏡を用いた反射式露光でもよく、コンタクト露光、プロキシミティー露光、縮小投影露光、反射投影露光などの露光方式を用いることができる。また露光時のサンプル膜面温度は低い方が良く、0℃〜80℃の範囲が好ましく、より好ましくは5℃〜70℃が好ましく、更に好ましくは10℃〜50℃が好ましい。露光時の温度が0℃より低いと温度を制御するのが難しく、80℃以上になると金属ナノワイヤーの断線数が増え、抵抗上昇倍率が大きくなってしまう。
前記希硝酸の濃度は、1質量%〜20質量%であることが好ましい。
前記過酸化水素の濃度は、3質量%〜30質量%であることが好ましい。
漂白定着時間は、180秒間以下が好ましく、120秒間以下1秒間以上がより好ましく、90秒間以下5秒間以上が更に好ましい。また、水洗又は安定化時間は、180秒間以下が好ましく、120秒間以下1秒間以上がより好ましい。
前記漂白定着液としては、写真用漂白定着液であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、富士フイルム株式会社製CP−48S、CP−49E(カラーペーパー用漂白定着剤)、コダック社製エクタカラーRA漂白定着液、大日本印刷株式会社製漂白定着液D−J2P−02−P2、D−30P2R−01、D−22P2R−01などが挙げられる。これらの中でも、CP−48S、CP−49Eが特に好ましい。
前記露光工程において用いた前記パターン状のレジスト(エッチングマスク材)を除去する現像工程を含んでいてもよい。
前記現像工程は、溶媒を付与して前記エッチングマスク材を除去する工程であることが好ましい。ポジ型レジストを用いた場合はマスク露光後の工程およびエッチング後の工程で実施することが好ましく、ネガ型レジストを用いた場合はエッチング後の工程で実施することが好ましい。
前記アルカリ溶液に含まれるアルカリとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
また、前記溶媒としては、市販のフォトレジスト用現像液を使用することができる。
前記アルカリ溶液の浸漬時間は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10秒間〜5分間であることが好ましい。またアルカリ溶液の温度は目的に応じて適宜選択することができるが、5℃〜50℃であることが好ましい。
本発明における導電性部材を導電性領域及び非導電性領域にパターニングする工程は、前記露光工程及び前記現像工程に加えて、必要に応じて更に他の工程を含んでいてもよい。
その他の工程としては、エッチングマスク除去後の水洗工程、および乾燥工程等が挙げられる。
前記表面抵抗は、例えば表面抵抗計(三菱化学株式会社製、Loresta−GP MCP−T600)により、測定することができる。
本発明では、導電層表面に隣接した、絶縁膜を有することが好ましい。絶縁膜を有することで、外部の水分や酸素、硫化水素、二酸化硫黄、及び二酸化窒素などの腐食性ガスから導電層を保護することができる。なお、絶縁膜は、導電層に隣接している面に有することがより好ましい。
絶縁膜は、水分や腐食性ガスから導電層を保護することができれば、材料などは特に限定されず、光学透明粘着シートや光学透明粘着剤などが挙げられる。光学透明粘着シート及び光学透明粘着剤は、目的に応じて、防錆剤や紫外線吸収剤が添加されているものを使用してもよい。
光学透明粘着シートとしては、3M社が上市する市販品などを使用することができ、防錆剤が添加されている光学粘着シートが好ましい。特に透水率や吸水率の低い光学粘着シートを用いるのが、マイグレーション抑止の観点から良い。また、光学透明粘着剤としては、日本合成化学社が上市する市販品などを使用することができ、紫外線硬化性の光学透明粘着剤が好ましい。
本発明の導電性部材は、基板及び導電層等以外にその他の層(機能層)を有していてもよい。
機能層としては、例えば、保護膜、下塗り層、密着層、クッション層、オーバーコート保護層、保護フィルム層、防汚層、撥水層、撥油層、着色層、ハードコート層、粘着層、バリア層などが挙げられる。
また、例えば、アンチグレア層、反射防止層、低反射層、λ/4層、偏光層、位相差層などを積層させることで、光学的な機能を付与することができる。これらは単層でもよく、複数を積層してもよい。
波長550nmの面内レターデーションRe(550)が、40nm以下の透明材料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート、熱可塑性ノルボルネン系樹脂(日本ゼオン(株)製のゼオネックス、ゼオノア、JSR(株)製のアートン)等があげられる。
本発明の偏光板及び円偏光板は、本発明の導電性部材を有する以外は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。偏光板及び円偏光板は、導電性部材と、偏光膜とを有し、さらに必要に応じて保護フィルムを有する。好ましくは、導電性部材が、偏光膜又は保護フィルム上に積層されている態様である。
保護フィルムとしては、基板と同様に、波長550nmの面内レターデーションRe(550)が、40nm以下の透明材料を使用することが好ましい。
本発明の表示装置は、液晶表示装置であってもよく、本発明の導電性部材を有することが好ましく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、株式会社工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、前記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
前記液晶表示装置に用いられる液晶、即ち液晶化合物及び液晶組成物については特に制限はなく、いずれの液晶化合物及び液晶組成物をも使用することができる。
本発明のタッチパネルは、駆動電圧が1V以上であり、本発明の前記導電性部材(透明導電体)を有する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、表面型静電容量方式タッチパネル、投影型静電容量方式タッチパネル、抵抗膜式タッチパネルなどが挙げられる。駆動電圧が高い場合には金属イオンの移動が促進されるためマイグレーションが顕著となるため本発明の効果がより顕著となる。なお、タッチパネルとは、いわゆるタッチセンサ及びタッチパッドを含むものとする。
前記タッチパネルにおけるタッチパネルセンサー電極部の層構成が、2枚の透明電極を貼合する貼合方式、1枚の基板の両面に透明電極を具備する方式、片面ジャンパーあるいはスルーホール方式あるいは片面積層方式のいずれかであることが好ましい。
また投影型静電容量式タッチパネルは、DC駆動よりAC駆動が好ましく、電極への電圧印加時間が少ない駆動方式がより好ましい。
なお、図3中、13は、シールド電極となる透明導電体を示し、14、17は、保護膜を示し、15は、中間保護膜を示し、16は、グレア防止膜を示す。
透明導電体12上の任意の点を指でタッチ等すると、前記透明導電体12は、タッチされた点で人体を介して接地され、各電極端子18と接地ラインとの間の抵抗値に変化が生じる。この抵抗値の変化を前記外部検知回路によって検知し、タッチした点の座標が特定される。
絶縁カバー層25を指等でタッチすると、指等と透明導電体22又は透明導電体23の間の静電容量の値に変化が生じる。この静電容量値の変化を前記外部検知回路によって検知し、タッチした点の座標が特定される。
また、図5により、投影型静電容量方式タッチパネルとしてのタッチパネル20を透明導電体22と透明導電体23とを平面から視た配置を通じて模式的に説明する。
タッチパネル20は、X軸方向の位置を検出可能とする複数の透明導電体22と、Y軸方向の複数の透明導電体23とが、外部端子に接続可能に配されている。透明導電体22と透明導電体23とは、指先等の接触対象に対し複数点で接触して、接触情報が多点で入力されることを可能とされる。
このタッチパネル20上の任意の点を指でタッチ等すると、X軸方向及びY軸方向の座標が位置精度よく特定される。
なお、透明基板、保護層等のその他の構成としては、前記表面型静電容量方式タッチパネルの構成を適宜選択して適用することができる。また、タッチパネル20において、複数の透明導電体22と、複数の透明導電体23とによる透明導電体のパターンの例を示したが、その形状、配置等としては、これらに限られない。
このタッチパネル30に対して、透明フィルム35側からタッチすると、透明フィルム35が押圧され、押し込まれた透明導電体32と透明導電体33とが接触し、この位置での電位変化を図示しない外部検知回路で検出することで、タッチした点の座標が特定される。
本発明の表示装置は、本発明の前記タッチパネルを用いることが好ましい。表示装置としては、目的に応じて適宜選択することができるが、液晶表示装置が好ましく、また、タッチパネルとして利用する本発明の偏光板を用いた液晶表示装置が好ましい。
前記液晶表示装置が備える本発明の偏光板は、液晶パネル内側に配されてもよく、液晶パネル外側に配されてもよい。
<金属ナノワイヤーの平均短軸長(平均直径)>
透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用いて拡大観察される金属ナノワイヤーから、ランダムに選択した300本の金属ナノワイヤーの短軸長(直径)と長軸長を測定し、その平均値から金属ナノワイヤーの平均短軸長(平均直径)を求めた。
<金属ナノワイヤーの短軸長(直径)の変動係数>
上記電子顕微鏡(TEM)像からランダムに選択した300本のナノワイヤーの短軸長(直径)を測定し、その300本についての標準偏差と平均値を計算することにより、求めた。
なお、銀ナノワイヤーの比率を求める際の銀ナノワイヤーの分離は、メンブレンフィルター(Millipore社製、FALP 02500、孔径1.0μm)を用いて行った。
―銀ナノワイヤー分散液(1)の調製―
予め、下記の添加液A、B、C、及び、Dを調製した。
〔添加液A〕
ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド60mg、ステアリルトリメチルアンモニウムヒドロキシド10%水溶液6.0g、グルコース2.0gを蒸留水120.0gに溶解させ、反応溶液A−1とした。さらに、硝酸銀粉末70mgを蒸留水2.0gに溶解させ、硝酸銀水溶液A−1とした。反応溶液A−1を25℃に保ち、激しく攪拌しながら、硝酸銀水溶液A−1を添加した。硝酸銀水溶液A−1の添加後から180分間、激しい攪拌をし、添加液Aとした。
〔添加液B〕
硝酸銀粉末42.0gを蒸留水958gに溶解した。
〔添加液C〕
25%アンモニア水75gを蒸留水925gと混合した。
〔添加液D〕
ポリビニルピロリドン(K30)400gを蒸留水1.6kgに溶解した。
次に、以下のようにして、銀ナノワイヤー分散液(1)を調製した。ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド粉末1.30gと臭化ナトリウム粉末33.1gとグルコース粉末1,000g、硝酸(1N)115.0gを80℃の蒸留水12.7kgに溶解させた。この液を80℃に保ち、500rpmで攪拌しながら、添加液Aを添加速度250ml/分、添加液Bを500ml/分、添加液Cを500ml/分で順次添加した。攪拌速度を200rpmとし、80℃で加熱をした。ついで、攪拌速度を200rpmにしてから100分間、加熱攪拌を続けた後に、25℃に冷却した。その後、攪拌速度を500rpmに変更し、添加液Dを500ml/分で添加した。この液を仕込液101とした。次に、1−プロパノールを激しく攪拌しながら、そこへ仕込液101を混合比率が体積比1対1となるように一気に添加した。得られた混合液を3分間撹拌し、仕込液102とした。
分画分子量15万の限外濾過モジュールを用いて、限外濾過を次の通り実施した。仕込液102を4倍に濃縮した後、蒸留水と1−プロパノールの混合溶液(体積比1対1)の仕込液102への添加と濃縮を、最終的にろ液の伝導度が50μS/cm以下になるまで繰り返した。得られたろ液を濃縮し、金属含有量0.45%の銀ナノワイヤー分散液(1)を得た。
得られた銀ナノワイヤー分散液(1)の銀ナノワイヤーについて、前述のようにして平均短軸長、平均長軸長、銀ナノワイヤーの短軸長の変動係数、平均アスペクト比を測定した。
その結果、平均短軸長18.6nm、平均長軸長8.2μm、変動係数が15.0%であった。平均アスペクト比は440であった。以後、「銀ナノワイヤー水分散液(1)」と表記する場合は、上記方法で得られた銀ナノワイヤー水分散液を示す。
調製例1において、添加液Aの代わりに蒸留水130.0gを使用したこと以外は調製例1と同様にして、金属含有量0.45%の銀ナノワイヤー分散液(2)を得た。得られた銀ナノワイヤー分散液(2)の銀ナノワイヤーについて、前述のようにして平均短軸長、平均長軸長、銀ナノワイヤーの短軸長の変動係数、平均アスペクト比を測定した。その結果、平均短軸長49.2nm、平均長軸長12.6μm、変動係数が23.1%であった。平均アスペクト比は267であった。以後、「銀ナノワイヤー分散液(2)」と表記する場合は、上記方法で得られた銀ナノワイヤー分散液を示す。
調製例1において、添加液Aを70g、蒸留水60.0gを使用したこと以外は調製例1と同様にして、金属含有量0.45%の銀ナノワイヤー分散液(3)を得た。得られた銀ナノワイヤー分散液(3)の銀ナノワイヤーについて、前述のようにして平均短軸長、平均長軸長、銀ナノワイヤーの短軸長の変動係数、平均アスペクト比を測定した。その結果、平均短軸長29.1nm、平均長軸長9.8μm、変動係数が21.4%であった。
平均アスペクト比は377であった。以後、「銀ナノワイヤー分散液(3)」と表記する場合は、上記方法で得られた銀ナノワイヤー分散液を示す。
後述する銀ナノワイヤー分散液(6)の調製において、激しく攪拌している反応溶液301へ添加する硝酸銀溶液301を2.50gから4.45gに変更したこと以外は後述する銀ナノワイヤー分散液(6)の調製と同様にして、金属含有量0.45%の銀ナノワイヤー分散液(4)を得た。得られた銀ナノワイヤー分散液(4)の銀ナノワイヤーについて、前述のようにして平均短軸長、平均長軸長、銀ナノワイヤーの短軸長の変動係数、平均アスペクト比を測定した。その結果、平均短軸長79.5nm、平均長軸長8.5μm、変動係数が26.1%であった。平均アスペクト比は107であった。以後、「銀ナノワイヤー分散液(4)」と表記する場合は、上記方法で得られた銀ナノワイヤー分散液を示す。
後述する銀ナノワイヤー分散液(6)の調製において、激しく攪拌している反応溶液301へ添加する硝酸銀溶液301を2.50gから6.9gに変更したこと以外は後述する銀ナノワイヤー分散液(6)の調製と同様にして、金属含有量0.45%の銀ナノワイヤー分散液(5)を得た。得られた銀ナノワイヤー分散液(5)の銀ナノワイヤーについて、前述のようにして平均短軸長、平均長軸長、銀ナノワイヤーの短軸長の変動係数、平均アスペクト比を測定した。その結果、平均短軸長99.7nm、平均長軸長7.7μm、変動係数が29.4%であった。平均アスペクト比は77であった。以後、「銀ナノワイヤー分散液(5)」と表記する場合は、上記方法で得られた銀ナノワイヤー分散液を示す。
プロピレングリコール370gに硝酸銀粉末60gを溶解させ、硝酸銀溶液301を調製した。プロピレングリコール4.45kgにポリビニルピロリドン(分子量55,000)72.0gを添加し、窒素ガスを容器の気相部分に通気しながら、90℃に昇温した。この液を反応溶液301とした。窒素ガスの通気を保持したまま、激しく攪拌している反応溶液301へ硝酸銀溶液301を2.50g添加して、加熱攪拌を1分間行った。さらに、この溶液へテトラブチルアンモニウムクロリド11.8gをプロピレングリコール100gに溶解させた溶液を添加し、反応溶液302とした。
90℃に保ち、攪拌速度500rpmで攪拌している反応溶液302へ、硝酸銀溶液301を添加速度50ml/分で200g添加した。攪拌速度を100rpmに落とし、窒素ガスの通気を止めて、加熱攪拌を15時間行った。90℃に保ち、攪拌速度100rpmで攪拌しているこの液へ、硝酸銀溶液301を添加速度0.5ml/分にて220g添加し、添加終了後から2時間、加熱攪拌を続けた。攪拌を500rpmに変更し、蒸留水1.0kgを添加した後に、25℃まで冷却して仕込液301を作製した。
分画分子量15万の限外濾過モジュールを用いて、限外濾過を次の通り実施した。蒸留水と1−プロパノールの混合溶液(体積比1対1)の添加と濃縮を、最終的にろ液の伝導度が50μS/cm以下になるまで繰り返した。濃縮を行い、金属含有量0.45%の銀ナノワイヤー分散液(6)を得た。
得られた銀ナノワイヤー分散液(6)の銀ナノワイヤーについて、前述のようにして平均短軸長、平均長軸長、銀ナノワイヤーの短軸長の変動係数、平均アスペクト比を測定した。
その結果、平均短軸長28.5nm、平均長軸長15.2μm、変動係数が18.6%であった。平均アスペクト比は533であった。以後、「銀ナノワイヤー分散液(6)」と表記する場合は、上記方法で得られた銀ナノワイヤー分散液を示す。
−PET基板101の作製−
下記の配合で接着用溶液1を調製した。
[接着用溶液1]
・タケラックWS−4000 5.0部
(コーティング用ポリウレタン、固形分濃度30%、三井化学(株)製)
・界面活性剤 0.3部
(ナローアクティHN−100、三洋化成工業(株)製)
・界面活性剤 0.3部
(サンデットBL、固形分濃度43%、三洋化成工業(株)製)
・水 94.4部
[接着用溶液2]
・テトラエトキシシラン 5.0部
(KBE−04、信越化学工業(株)製)
・3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 3.2部
(KBM−403、信越化学工業(株)製)
・2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン 1.8部
(KBM−303、信越化学工業(株)製)
・酢酸水溶液(酢酸濃度=0.05%、pH=5.2) 10.0部
・硬化剤 0.8部
(ホウ酸、和光純薬工業(株)製)
・コロイダルシリカ 60.0部
(スノーテックスO、平均粒子径10nm〜20nm、固形分濃度20%、pH=2.6、日産化学工業(株)製)
・界面活性剤 0.2部
(ナローアクティHN−100、三洋化成工業(株)製)
・界面活性剤 0.2部
(サンデットBL、固形分濃度43%、三洋化成工業(株)製)
PET基板(厚み125μm)の表面をコロナ放電処理したのちに、0.02%の(N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン水溶液をバーコート法で塗布量が8.8mg/m2となるように塗布し、100℃で1分間乾燥し、表面処理されたPET基板102を得た。
ポリカーボネート基板(厚み75μm)の表面をコロナ放電処理したのちに、0.02%の(N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン水溶液をバーコート法で塗布量が8.8mg/m2となるように塗布し、100℃で1分間乾燥し、表面処理されたポリカーボネート基板103を得た。
TAC(トリアセチルセルロース:フジタック製)基板(厚み100μm)の表面をコロナ放電処理したのちに、0.02%の(N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン水溶液をバーコート法で塗布量が8.8mg/m2となるように塗布し、100℃で1分間乾燥し、表面処理されたTAC基板104を得た。
下記組成のアルコキシド化合物の溶液を60℃で1時間撹拌して均一になったことを確認した。得られたアルコキシド化合物の溶液(ゾルゲル液)の重量平均分子量(Mw)をGPC(ポリスチレン換算)で測定したところMwは4,400であった。ゾルゲル液2.24部と前記調製例1で得られた銀ナノワイヤー水分散液(1)17.76部を混合し、さらに蒸留水と1−プロパノールで希釈してゾルゲル塗布液を得た。得られたゾルゲル塗布液の溶剤比率は蒸留水:1−プロパノール=60:40であった。上記のPET基板102表面にバーコート法で銀量が0.015g/m2、全固形分塗布量が0.120g/m2となるように上記ゾルゲル塗布液を塗布したのち、100℃で1分間乾燥してゾルゲル反応を起こさせて、導電層を形成した。
<アルコキシド化合物の溶液>
・テトラエトキシシラン 5.0部
(KBE−04、信越化学工業(株)製)
・1%酢酸水溶液 11.0部
・蒸留水 4.0部
導電性部材T1の作製において、表面抵抗の異なる基板に変更した以外は導電性部材T1の作製と同様にして、導電性部材T2〜T18を得た。なお基板の表面抵抗を変更するには、(調製例2)に記載した接着用溶液1に二酸化スズ-アンチモン複合針状金属酸化物水分散物(石原産業株式会社製、FS−10D、長軸長/短軸長で求める比=25、酸化アンチモン含有率3.5%)を添加し、針状金属粒子添加量を下記表1に記載の様に変更した。なお、全液量は、針状金属酸化物水分散物を添加した質量%分、蒸留水の添加量を減らして調整した。
導電性部材T1〜T18の導電層のパターニングはポジレジストを用い、フォトリソグラフィー法により行った。
(合成例1)
<バインダー(A−1)の合成>
共重合体を構成するモノマー成分として、メタクリル酸(MAA)(7.79g)、メタクリル酸ベンジル(BzMA)(37.21g)を使用し、ラジカル重合開始剤としてAIBN(0.5g)を使用し、これらを溶剤プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)(55.00g)中において重合反応させることによりバインダー(A−1)のPGMEA溶液(固形分濃度:45質量%)を得た。なお、重合温度は、温度60℃乃至100℃に調整した。
分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィ法(GPC)を用いて測定した結果、ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)は30,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.21であった。
バインダー(A−1)4.19質量部(固形分40.0質量%、PGMEA溶液)、感光性化合物としての下記構造式で表されるTAS−200(エステル化率66%、東洋合成株式会社製)0.95質量部、架橋剤としてのEHPE−3150(ダイセル化学株式会社製)0.80質量部、及びPGMEA 19.06質量部を加え、攪拌し、感光性組成物(1)を調製した。
導電層上に、感光性組成物(1)を乾燥膜厚が5μmとなるようバー塗布し、150℃のオーブンで5分間乾燥し、露光マスク上から、高圧水銀灯i線(365nm)を60mJ/cm2の強度(照度20mW/cm2)で照射し露光を行った。露光後の導電層を、35℃1%水酸化ナトリウム水溶液で60秒間シャワー現像した。シャワー圧は0.08MPa、ストライプパターンが出現するまでの時間は30秒であった。純水のシャワーでリンスした後、50℃で1分間乾燥し、レジストパターン付導電層1を作製した。
また、露光マスクは、ベタ露光/未露光箇所、かつ櫛型電極パターン(JIS Z 3197)に準拠しており、L/S=10/10μm、15/15μm、20/20μm、50/50μm、隣接電極の重なり長さ15mm)が形成可能な露光マスクを用いた。
漂白定着液CP−48S−A液と、漂白定着液CP−48S−B液(いずれも、富士フイルム株式会社製)と、純水とを質量比で1:1:6となるように混合し、35℃に調整して得たエッチング液に、レジストパターン付導電層1を2分間浸漬させてエッチング処理を行った。エッチング処理後のレジストパターン付導電膜1を純水のシャワーでリンスした後、エアーナイフでサンプル表面の水を吹き飛ばし、60℃で5分間乾燥し、レジストパターン付パターン状導電層1Aを作製した。
レジストパターン付パターン状導電層1Aにマスクをせず、高圧水銀灯i線(365nm)を100mJ/cm2の強度(照度20mW/cm2)で照射し露光を行った。露光後の導電層を、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で75秒間シャワー現像した。シャワー圧は0.1MPaであった。シャワー現像後のレジストパターン付パターン状導電層1Aを純水のシャワーでリンスした後、エアーナイフでサンプル表面の水を吹き飛ばし、60℃で5分間乾燥し、図7に示すパターニング形状のパターン導電膜1を作製した。
基板の表面抵抗を、三菱化学株式会社製ハイレスタUP/MCP−HT450を用いて測定した。測定は10cm×10cmのサンプルのランダムに選択した5箇所の中央部を測定し平均値を求めた。
導電性層の導電性領域の表面抵抗を、三菱化学株式会社製ロレスタGP/MCP−T600(ESPプローブ)を用いて測定した。測定は10cm×10cmのサンプルのランダムに選択した5箇所の導電性領域の中央部を測定し平均値を求めた。
得られた各パターニング形状のパターン導電膜(導電性部材)について、後述の方法で隣接電極間距離最小値、隣接電極間絶縁抵抗、マイグレーション試験後の抵抗上昇倍率および銀ペーストを印刷した場合のヒゲ発生数(導電性インク配線の印刷不良)について評価し、その結果を下記表2に示した。
パターニングしたサンプルの隣接電極間距離最小値は、光学顕微鏡(株式会社ニコン製工業用顕微鏡/ECLIPSE)を用いて観察し、測定を行った。なお、隣接電極間距離最小値とは、導電性領域間距離、即ち図7に示す距離Sのことを示す。
隣接電極間の絶縁抵抗値(Ri)は、マイクロプローバ(MP−10A、日本マイクロニクス社製)とアナライザ(4155C、アジレント社製)を用いて測定した。なお、測定位置は、図8に示す位置より行った。
図9に示すようなパターニングにより作製した櫛型電極は、その両端部に銀ペースト(藤倉化成製:D−500)を載せ、風乾した後に130℃で10分間ベークした後、該櫛型電極に光学透明粘着材(パナック株式会社製:PD-S1)を介してPETフィルム(100μm厚)を銀ペーストが一部被覆されない様に貼り合わせを行った。更に被覆されていない銀ペースト部分に銅テープを貼り付け、マイグレーション試験用サンプル片を作製した。またマイグレーション試験前後の電極配線抵抗値は、マイクロプローバ(MP−10A、日本マイクロニクス社製)とアナライザ(4155C、アジレント社製)を用いて測定した。マイグレーション試験は、60℃90%RH環境下にて印加電圧3V(DC)で1時間印加し、マイグレーション試験前後における抵抗上昇倍率を測定した。なお、測定位置は、図9に示す位置より行った。
マイグレーション試験前後における抵抗上昇倍率の結果から、マイグレーション耐性を4段階で評価した。
4点: 試験後の抵抗上昇倍率が0.8倍以上1.3倍未満である。(実用上問題なし)
3点: 試験後の抵抗上昇倍率が1.3倍以上〜1.7倍未満である。(実用上問題なし)
2点: 試験後の抵抗上昇倍率が1.7倍以上〜2.1倍未満である。(実用上問題が発生することがある)
1点: 試験後の抵抗上昇倍率が2.1倍以上である。(実用上問題がある)
櫛型電極パターンを有する導電性領域に取り出し配線を形成した。銀ペースト(藤倉化成製:D−500)をスクリーン印刷機(ミタニマイクロニクス社製:MEC−2400)を用いて配線を印刷し、1時間風乾した後、クリーンオーブン中100℃で10分間乾燥することにより形成した。取り出し配線のサイズは線幅100μm、長さ30mmであるが、形成された配線のヒゲ(ウィスカー)発生数を4段階で評価した。
4点: 0箇所(実用上問題なし)
3点: 1箇所以下(実用上問題なし)
2点: 2箇所以下(実用上問題が発生することがある)
1点: 3箇所以上(実用上問題がある)
導電性部材の導電層を形成し、ガラス基板上に透明導電膜を形成した。得られた透明導電膜を用いて、『最新タッチパネル技術』(2009年7月6日発行、株式会社テクノタイムズ)、三谷雄二監修、"タッチパネルの技術と開発"、シーエムシー出版(2004年12月発行)、「FPD International 2009 Forum T−11講演テキストブック」、「Cypress Semiconductor Corporation アプリケーションノートAN2292」等に記載の方法により、タッチパネルを作製した。
作製したタッチパネルを使用した場合、光透過率の向上により視認性に優れ、かつ導電性の向上により素手、手袋を嵌めた手、指示具のうち少なくとも一つによる文字等の入力又は画面操作に対し応答性に優れるタッチパネルを製作できることが分かった。
200 基板
300 帯電防止層
400 支持体
Claims (14)
- 基板上に、金属ナノワイヤーを含有する導電層を有し、前記基板の前記導電層と隣接する表面の表面抵抗値が108〜1013Ω/□であることを特徴とする導電性部材。
- 前記基板の少なくとも一方の面に帯電防止層を有する請求項1に記載の導電性部材。
- 前記導電層の隣接電極間距離の最小値が15μm以上である請求項1又は2に記載の導電性部材。
- 前記金属ナノワイヤーが、銀を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性部材。
- 前記金属ナノワイヤーの平均短軸長が、5〜50nmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性部材。
- 前記金属ナノワイヤーの平均短軸長が、5〜25nmである請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性部材。
- 前記導電層の表面に絶縁膜が積層された請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性部材。
- 前記帯電防止層は、導電性針状金属酸化物微粒子を含む請求項2〜7のいずれか1項に記載の導電性部材。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電性部材を用いた、駆動電圧が1V以上であることを特徴とするタッチパネル。
- 請求項9に記載のタッチパネルを用いたことを特徴とする表示装置。
- 請求項9に記載のタッチパネルを用いたことを特徴とする入力装置。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電性部材を有することを特徴とする偏光板。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電性部材を有することを特徴とする円偏光板。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電性部材の製造方法であって、
基板の表面抵抗値が108〜1013Ω/□である面上に、金属ナノワイヤーを含有する導
電層を適用する工程を含むことを特徴とする導電性部材の製造方法。
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