JP2012009383A - 塗膜形成用組成物、該組成物から得られるパターニングされた透明導電膜を有する基板の製造方法および該製造物の用途 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の塗膜形成用組成物は、第1成分として金属ナノワイヤまたは金属ナノチューブ、第2成分としてアミドを有する化合物、第3成分として(メタ)アクリロイルを有する化合物、第4成分として溶媒、および第5成分として光重合開始剤を含有する。
【選択図】なし
Description
これらの透明電極に用いられる透明導電膜には、従来、ITO(酸化インジウム錫)が用いられてきた。
光線透過率を示すことが報告されており(たとえば特許文献2および非特許文献1参照)、更に、フレキシブル性も有しているため、「ITO代替材料」に最適である。
金属ナノワイヤを含有した導電性材料にパターニングを形成する方法としては、非特許文献1には以下の工程が記載されている。
(1)金属ナノワイヤを含有する導電性インクを基板に塗布する工程。
(2)焼成を行い、透明導電層を形成する工程。
(3)感光性を有するレジストを前記透明導電層上に形成する工程
(4)微細パターンに相当する適当な遮光マスクを通じてレジストに光エネルギーを付与する工程。
(5)得られたレジストの潜像を、適当な現像用溶液による溶出によって現像する工程。
(6)適当なエッチング方法を用いて露出した被パターニング膜を除去する工程。
(7)残存したレジストを適当な方法を用いて除去する工程。
実際には、上記工程に加え、さらに、各工程の前後に、適当な基板表面処理、洗浄および乾燥工程等が必要となると考えられる。
(1)水に分散した銀ナノワイヤを含有する導電性インクを基板に塗布する工程。
(2)焼成を行い、銀ナノワイヤ網層を形成する工程。
(3)プレポリマーを含有する光硬化型のマトリクス材を前記銀ナノワイヤ網層上に形成する工程。
(4)微細パターンに相当する適当な遮光マスクを通じてマトリクス材に光エネルギーを付与する工程。
(5)非硬化領域を溶媒(エタノール)で洗浄することによって除去する工程。または、粘着テープや粘着性ロールを用いて非硬化領域を物理的に除去する工程。
[1]第1成分として金属ナノワイヤまたは金属ナノチューブ、第2成分としてアミドを有する化合物、第3成分として(メタ)アクリロイルを有する化合物、第4成分として溶媒、および第5成分として光重合開始剤を含有する塗膜形成用組成物。
[4]第4成分が1−メトキシ−2−プロパノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジアセトンアルコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールおよびトリエチレングリコールモノエチルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種である[1]〜[3]のいずれかに記載の塗膜形成用組成物。
[6]第1成分の短軸の長さの平均が5nm以上100nm以下であり、かつ長軸の長さの平均が2μm以上50μm以下であり、さらにアスペクト比が100以上である[1]〜[5]のいずれかに記載の塗膜形成用組成物。
[8]25℃における粘度が0.2mPa・s以上10mPa・s以下である[1]〜[7]のいずれかに記載の塗膜形成用組成物。
[10]第4成分が1−メトキシ−2−プロパノールである[4]〜[9]のいずれかに記載の塗膜形成用組成物。
[12]感光性および導電性を有する塗膜の形成に用いられる[1]〜[11]のいずれかに記載の塗膜形成用組成物
[13](工程1)基板に[1]〜[12]のいずれかに記載の組成物を塗布した後、溶媒を除去して、基板上に塗膜を形成する工程、
(工程2)工程1で得られた塗膜に、パターン情報を有するフォトマスクを通して光エネルギーを照射する工程、および
(工程3)工程2を経た塗膜を、現像液によって現像する工程
を含むパターニングされた透明導電膜を有する基板の製造方法。
[16]導電領域の膜厚が5nm以上100nm以下であって、導電領域の表面抵抗が10Ω/□以上200Ω/□以下の範囲にあり、かつ導電領域の全光線透過率が90%以上である[15]に記載のパターニングされた透明導電膜を有する基板。
[18]液晶表示素子である[17]に記載のデバイス素子。
[19]有機エレクトロルミネッセンス素子である[17]に記載のデバイス素子。
[21]太陽電池素子である[17]に記載のデバイス素子。
[22]第1成分として金属ナノワイヤまたは金属ナノチューブ、第2成分として光重合開始剤、および第3成分として(メタ)アクリロイルを有する化合物を含有する塗膜形成用組成物。
本明細書において、「透明導電膜」は、103Ω/□以下の表面抵抗を有し、かつ、80%以上の全光線透過率を有する膜を意味する。「パターニングされた透明導電膜」は、導電領域と非導電領域を有する透明導電膜を意味する。「バインダー」は、導電性膜中において金属ナノワイヤまたは金属ナノチューブの導電性材料を分散させ、かつ担持させるために用いられる樹脂である。「重合体」は単一のモノマーからなるホモポリマー、または2種類以上のモノマーからなるコポリマーである。「感光性」は、光露光により硬化することが可能な樹脂の性質である。
本発明の塗膜形成用組成物は、第1成分として金属ナノワイヤまたは金属ナノチューブ、第2成分としてアミドを有する化合物、第3成分として(メタ)アクリロイルを有する化合物、第4成分として溶媒、および第5成分として光重合開始剤を含有する。
本発明の塗膜形成用組成物は、第1成分として、金属ナノワイヤまたは金属ナノチューブを含む。第1成分は、本発明の組成物から得られる塗膜中でネットワークを形成して、塗膜に導電性を与える。
金属の種類としては、金、銀、白金、銅、ニッケル、鉄、コバルト、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、カドミウム、オスミウム、イリジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種およびこれら金属を組み合わせた合金等が挙げられる。低い表面抵抗かつ高い全光線透過率である塗膜を得るための観点からは、金、銀および銅のいずれかを少なくとも1種含むことが好ましい。これらの金属は、導電性が高いため、一定の表面抵抗を得る際に、面に占める金属の密度を減らすことができるため、高い透過率を実現できる。中でも、金または銀の少なくとも1種を含むことがより好ましい。最適な態様としては、銀のナノワイヤが挙げられる。
本発明の塗膜形成用組成物は、第2成分としてアミドを有する化合物を含有する。第2成分は、本発明の組成物を成膜するとともに、得られた膜を基板と接合する。またバインダーの役割を果たす。第2成分は、第1成分の組成物中における分散性を妨げることなく、かつ該組成物から得られる塗膜中で本発明の組成物の第1成分が形成するネットワークを破壊することなく、該機能を発揮すると考えられる。また、本発明の組成物から得られる塗膜の光学特性への影響が少ない。
本発明の塗膜形成用組成物は、第3成分として(メタ)アクリロイルを有する化合物を含有する。第3成分は、露光することで重合し硬化する。そのため、本発明の組成物から得られる塗膜に光エネルギーを照射する際に、露光部と非露光部を設けることにより、露光部が硬化して現像後も残存する一方で、未露光部分が硬化することなく現像により除去されて、塗膜にパターンが形成される。第3成分は、第1成分の組成物中における分散性を妨げることなく、かつ該組成物から得られる塗膜中で本発明の組成物の第1成分が形成するネットワークを破壊することなく、該機能を発揮すると考えられる。また、第3成分が光硬化した膜は、光線透過率が良好である。
また、第3成分の(メタ)アクリロイルを有する化合物のさらなる具体例として、一般式(M−1)から(M−3)で表わされる化合物を挙げることができる。
これらの(メタ)アクリロイルを有する化合物は、単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。
本発明の塗膜形成用組成物は、第4成分として溶媒を含有する。第4成分は、本発明の組成物中の他の成分を分散させるとともに、本発明の組成物の基板への塗布を容易にする。
溶媒の例としては、水、アルコール、ケトン、エーテル、炭化水素系溶剤および芳香族系溶剤が挙げられる。組成物中の各成分を良好に分散する観点から、水、エタノール、イソプロピルアルコール、1−メトキシ−2−プロパノール(PGME)、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチルラクテート、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジ−1−メトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリエチレングリコールモノエチルエーテルが好ましく、1−メトキシ−2−プロパノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジアセトンアルコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールおよびトリエチレングリコールモノエチルエーテルがより好ましく、1−メトキシ−2−プロパノールが特に好ましい。これらの溶媒は単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の塗膜形成用組成物は、第5成分として光重合開始剤を含有する。第5成分は、光の照射を受けて、第3成分の(メタ)アクリロイルを有する化合物の重合を開始する。
光重合開始剤の例としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4'−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(IRGACURE 907;商品名、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製、以下「IRGACURE 907」と記すことがある)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(IRGACURE 369;商品名、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製、以下「IRGACURE 369」と記すことがある)、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4'−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、
本発明の塗膜形成用組成物は、その性質を損なわない範囲で、任意成分を含んでいてもよい。
例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル等のポリアクリロイル化合物、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタラート、ポリエステルナフタレート、ポリカーボネート等のポリエステル、ノボラック等の高共役性ポリマー、ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリビニルキシレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリフェニレン、ポリフェニルエーテル、ポリウレタン、エポキシ、ポリプロピレン、ポリメチルペンタン、環式オレフィン等のポリオレフィン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合ポリマー(ABS)、ヒドロキシプロピルメチル セルロース(HPMC)、ニトロセルロース等のセルロース類、シリコーン樹脂、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリアセテート、ポリノルボルネン、合成ゴム、ポリフルオロビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ化ポリマー、フルオロオレフィン−ヒドロカーボンオレフィンの共重合ポリマー、フルオロカーボンポリマー等のバインダーを含んでいてもよい。
本発明の塗膜形成用組成物における各成分の含有量は、組成物中の各成分の良好な分散性ならびに本発明の組成物から得られる塗膜の良好なパターニング性、高い導電性および良好な光学特性の観点から、塗膜形成用組成物総重量に対して、第1成分が0.05重量%以上2.0重量%以下の量であり、第2成分が0.05重量%以上2.0重量%以下の量であり、第3成分が0.05重量%以上2.0重量%以下の量であり、第4成分が93.5重量%以上99.845重量%以下の量であり、第5成分が0.005重量%以上0.5重量%以下の量であることが好ましく、第1成分が0.1重量%以上1.0重量%以下の量であり、第2成分が0.1重量%以上1.0重量%以下の量であり、第3成分が0.1重量%以上1.0重量%以下の量であり、第4成分が96.7重量%以上99.69重量%以下の量であり、第5成分が0.01重量%以上0.3重量%以下の量であることがより好ましい。
本発明の塗膜形成用組成物の粘度は、25℃における粘度が0.2mPa・s以上20mPa・s以下であることが好ましく、0.2mPa・s以上10mPa・s以下であることがより好ましい。本発明において、粘度は円錐平板型回転粘度計(コーンプレートタイプ)を用いて測定した値である。
本発明の塗膜形成用組成物を用いて、パターニングされた透明導電膜を有する基板を製造することができる。該製造方法は、以下の工程を含む。
(工程1)基板に上記組成物を塗布した後、溶媒を除去して、基板上に塗膜を形成する工程、
(工程2)工程1で得られた塗膜に、パターン情報を有するフォトマスクを通して光エネルギーを照射する工程、および
(工程3)工程2を経た塗膜を、現像液によって現像する工程。
工程1においては、基板に上記組成物を塗布した後、溶媒を除去して、基板上に感光性および導電性を有する塗膜を形成する。
基板としては、堅くてもよく、曲がり易くてもよい。また、着色されていてもよい。基板の材料としては、たとえばガラス、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、アクリロイル、ポリエステル、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル等の材料が挙げられる。これらは、高い光線透過率と低いヘイズ値を有することが好ましい。基板には、更に、TFT素子等の回路が形成されていてもよく、カラーフィルター等の機能性材料が形成されていてもよい。また基板は多数積層されていてもよい。
膜厚は、用途に基づいて選択される。所望の膜厚は、組成物の塗布量および塗布方法の条件を調整することにより得られる。膜厚は、低い表面抵抗の観点からは厚いほど良く、段差による表示不良の発生を抑制する観点からは薄いほど良いことから、これらを総合的に勘案すると、5nm〜500nmの膜厚が好ましく、5nm〜200nmの膜厚がより好ましく、5nm〜100nmの膜厚がさらに好ましい。
得られた膜の表面抵抗および全光線透過率は、膜厚すなわち組成物の塗布量および塗布方法の条件の調整、本発明の塗膜形成用組成物中の第1成分の濃度の調整により、所望の値とすることができる。
上記のようにして得られた塗膜は、表面抵抗が5Ω/□以上1000Ω/□以下であり、かつ全光線透過率が80%以上であることが好ましく、表面抵抗が10Ω/□以上200Ω/□以下であり、かつ全光線透過率が90%以上であることがより好ましい。
なお、本発明において、表面抵抗は、特に断らない限り、後述する非接触式測定法による測定値をいう。
工程2においては、工程1で得られた塗膜に、パターン情報を有するフォトマスクを通して光エネルギーを照射する。工程1で得られた塗膜は、本発明の塗膜形成用組成物における第3成分である(メタ)アクリロイルを有する化合物および第5成分である光重合開始剤を含有するため、光エネルギーの照射により、重合が生じ、露光部分が硬化する。その一方、フォトマスクの使用により露光しなかった部分は、未硬化の状態で残される。
露光において、光エネルギー源としては、光源超高圧水銀ランプ等から生じる紫外線光が挙げられ、照射量としては、100〜1000mJ/cm2が好ましく、300〜600mJ/cm2がより好ましい。
工程3においては、工程2を経た塗膜を現像液によって現像する。現像により、工程2における未露光部分は除去され、露光部分が残留することになり、パターニングされた透明導電膜を有する基板を得ることができる。パターニングとして残された部分は、導電領域となり、現像により除去された部分は非導電領域となる。導電領域は通常表面抵抗が103Ω/□以下であり、非導電領域は通常表面抵抗が107Ω/□以上である。
上記(工程1)から(工程3)の各々の工程の前後に、適切な処理工程、洗浄工程および乾燥工程を適宜入れてもよい。処理工程としては、例えば、プラズマ表面処理、超音波処理、オゾン処理および加熱処理等が挙げられる。また、水に浸漬する工程を入れてもよい。このように水に浸漬することは、低い表面抵抗の観点から好ましい。
上記パターニングされた透明導電膜の導電領域は、さらにその表面に絶縁膜、保護機能を有するオーバーコート、または配向機能を有するポリイミド層を設けることができる。
パターニングされた透明導電膜を有する基板は、その導電性および光学特性から、デバイス素子に用いられる。
デバイス素子としては、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス素子、タッチパネル素子、太陽電池素子が挙げられる。
各評価項目における測定方法または評価方法は下記方法に従った。
(1)〜(3)は、ことわりのない限り、評価試料の導電領域について測定した。
評価方法は、四探針法と非接触式測定法の2種類用いた。
四探針測定法(JIS K 7194に準拠)には、Loresta−GP MCP−T610(三菱化学製)を用いた。測定に用いたプローブは、5mmのピン間距離と2mmのピン先の直径を有する専用のESP型プローブである。このプローブを評価試料に接触させて、外側2端子に一定の電流を流したときの内側2端子の電位差を測定し、この測定によって得られた抵抗に補正係数を乗ずることによって、表面抵抗(Ω/□)を算出した。このようにして得られた表面抵抗値と導電性膜の厚みにより、体積抵抗率(Ω・cm)および導電率(ジーメンス/cm)を求めることができる。
全光線透過率および曇度(ヘイズ)の測定には、ヘイズガードプラス(BYKガードナー(株)製)を用いた。リファレンスは空気とした。
膜厚の測定には、段差計P−16+(KLA−Tencor製)を用いた。
パターニング性の評価は、以下の方法で行った。得られた評価試料のパターニング性は、未露光領域、露光領域および境界部のエッジ領域からなる表面を、倍率50倍から1000倍の偏光顕微鏡(NIKON製)で観察することによって評価した。具体的には、未露光領域における金属ナノワイヤまたは金属ナノチューブおよびバインダーが完全に除去されている場合、露光領域において、金属ナノワイヤが均一に分散した塗膜が残る場合、ならびにエッジ領域において境界が明瞭である場合のすべてに該当する場合に、良好なパターニングであると判断した。
実施例で用いた組成物の粘度はTV−22L形粘度計(東機産業(株)製)を用いて、測定した。
実施例で用いた重合体の重量平均分子量(Mw)は、重量平均分子量が645〜132900のポリスチレンのスタンダード(VARIAN(株)製のポリスチレンキャリブレーションキットPL2010−0102)、PLgel MIXED−D(VARIAN(株)製)カラムを用い、移動相としてTHFを使用してゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した。
実施例で得られた塗膜形成用組成物から、以下のようにして評価試料を得た。
(1)厚さ0.7mmのガラス基板表面(Eagle2000 コーニング(株)製)をUVオゾン処理によって洗浄した。UVオゾン源は、低圧水銀灯(254ナノメートル)であり、照射エネルギーは1000mJ/cm2である。
(2)スピンコーター(MS−A150 ミカサ(株)製)にセットされた前記基板上に実施例で得られた塗膜形成用組成物を、1ml滴下し、500rpmの条件でスピンコートを行った。
(3)ホットステージ上で前記基板を50℃で90秒間の条件で予備焼成を行い、その後、80℃で90秒間の条件で本焼成を行い、20nmから60nmの透明導電膜を得た。
(4)露光機(型式 HB−20201CL、光源超高圧水銀ランプ、型式 USH−2004TO、ウシオ電機(株)製)を用いて、Cr蒸着のフォトマスクを介して、前記(3)で得た塗膜上に、上方から500mJ/cm2の条件でUV光を照射した。
(5)UV照射後の塗膜を超純水に30秒間浸漬することによって未露光部を除去しパターニングを行った。
(6)エアガンを用いて塗膜および基板に乾燥空気を吹き付けて乾燥させた。
ポリ(N−ビニルピロリドン):「ポリビニルピロリドンK90」、東京化成工業(株)製、Mw630,000、
ポリ(1−モルホリノ−2−プロペン−1−オン):「アクリロイルモルホリン(興人(株)製)」を重合して得られた重合体(Mw20,000)を用いた、
2−ヒドロキシプロパン−1,2−ジイルビス(2−メタクリレート):「ライトエステルG−101P」、共栄社化学(株)製、
1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート:「ライトエステル1,6HXA」、共栄社化学(株)製、
1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート:「SR213」、サートマー(株)製、
トリス[(メタ)アクリロイロキシエチル]イソシアヌレート:「アロニックスM315」、東亜合成(株)製、
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1:「イルガキュア369」、チバスペシャリティケミカル(株)製、
1−メトキシ−2−プロパノール:関東化学(株)製、
ポリ(メチルメタクリレート):メタクリル酸メチル(関東化学(株)製)を重合して得られた重合体(Mw10,000)を用いた、
ポリ(2,2,6,6-テトラメチルピペリジルメタクリレート):「FA−712HM(日立化成(株)製)」を重合して得られた重合体(Mw2,100)を用いた、
ポリ(テトラヒドロフルフリルメタクリレート):「SR−203(サートマー(株)製)」を重合して得られた重合体(Mw29,000)を用いた、
テトラメチルアンモニウムヒドロキシド:「TMA−508」、関東化学(株)製。
ポリ(N−ビニルピロリドン)(製品名ポリビニルピロリドンK30、Mw40000、東京化成工業(株)製)4.171gとテトラブチルアンモニウムクロリド(製品名テトラブチルアンモニウムクロリド、和光純薬工業(株)製)70mgと硝酸銀(製品名硝酸銀、和光純薬工業(株)製)4.254gとエチレングリコール(製品名硝酸銀、和光純薬工業(株)製)500mLを1000mLのフラスコに入れ、15分間撹拌し均一に溶解した後、オイルバス中110℃で16時間撹拌することで、銀ナノワイヤを含有した反応液を得た。
次いで、反応液を室温に戻した後、反応液に水を注ぎ入れ生じた沈殿物を濾過し乾燥させた。この操作により反応液中の未反応の硝酸銀、鋳型として用いたポリ(N−ビニルピロリドン)やテトラブチルアンモニウムクロリド、エチレングリコール及び粒径の小さな銀のナノ粒子を除去した。濾紙上の沈殿物を1−メトキシ−2−プロパノール(PGME)に加えることで任意の濃度の銀ナノワイヤ分散PGME溶液を得た。銀ナノワイヤの短軸、長軸およびアスペクト比の平均値はそれぞれ68nm、18μm、265であった。
表1に示す組成の塗膜形成用組成物を調製し、該組成物を用いて上記方法にて評価試料を作成した。組成物の粘度、評価試料についての表面抵抗、全光線透過率およびヘイズ、膜厚ならびにパターニング性を測定または評価した結果を表1に示す。
得られた評価試料の写真(倍率50倍)を図1に示す。なお、各図面中、境界より上部が露光領域、境界より下部が未露光領域である。未露光領域においては金属ナノワイヤおよびポリ(N−ビニルピロリドン)が全く残っておらず、露光領域においては金属ナノワイヤが均一に分散した塗膜が残り、また、未露光領域と露光領域の境界は明瞭であり、パターニング性が良好であることがわかる。また、得られた評価試料の露光領域における導電性領域の表面抵抗を、非接触式測定法を用いて測定した結果、151Ω / □と高い導電性を示した。露光領域における導電性領域の全光線透過率およびヘイズは、それぞれ、91.7%および1.07%となり、良好な光学特性を示した。膜厚は22ナノメートルであった。
表1に示す組成の塗膜形成用組成物を調製し、該組成物を用いて上記方法にて評価試料を作成した。組成物および評価試料の物性について、実施例1と同様に測定または評価した結果を表1に示す。
得られた評価試料の写真(倍率50倍)を図2に示す。未露光領域においては金属ナノワイヤおよびポリ(N−ビニルピロリドン)が全く残っておらず、露光領域においては金属ナノワイヤが均一に分散した塗膜が残り、また、未露光領域と露光領域の境界は明瞭であるため、パターニング性は良好であることがわかる。また、得られた評価試料の導電領域は、非接触式測定法で測定した表面抵抗が138Ω / □と高い導電性を示し、全光線透過率が91.7%、ヘイズが1.01%と良好な光学特性を示した。膜厚は24ナノメートルであった。
表1に示す組成の塗膜形成用組成物を調製し、該組成物を用いて上記方法にて評価試料を作成した。組成物および評価試料の物性について、実施例1と同様に測定または評価した結果を表1に示す。
得られた評価試料の写真(倍率50倍)を図3に示す。未露光領域においては金属ナノワイヤおよびポリ(N−ビニルピロリドン)が全く残っておらず、露光領域においては金属ナノワイヤが均一に分散した塗膜が残り、また、未露光領域と露光領域の境界は明瞭であるため、パターニング性は良好であることがわかる。また、得られた評価試料の導電領域は、非接触式測定法で測定した表面抵抗が130Ω / □と高い導電性を示し、全光線透過率が91.6%、ヘイズが1.17%と良好な光学特性を示した。膜厚は26ナノメートルであった。
表1に示す組成の塗膜形成用組成物を調製し、該組成物を用いて上記方法にて評価試料を作成した。組成物および評価試料の物性について、実施例1と同様に測定または評価した結果を表1に示す。
得られた評価試料の写真(倍率50倍)を図4に示す。未露光領域においては金属ナノワイヤおよびポリ(N−ビニルピロリドン)が全く残っておらず、露光領域においては金属ナノワイヤが均一に分散した塗膜が残り、また、未露光領域と露光領域の境界は明瞭であるため、パターニング性は良好であることがわかる。また、得られた評価試料の導電領域は、非接触式測定法で測定した表面抵抗が74Ω / □と高い導電性を示し、全光線透過率が92.1%、ヘイズが2.00%と良好な光学特性を示した。膜厚は23ナノメートルであった。
表1に示す組成の塗膜形成用組成物を調製し、該組成物を用いて上記方法にて評価試料を作成した。組成物および評価試料の物性について、実施例1と同様に測定または評価した結果を表1に示す。
得られた評価試料は、パターニングは良好であった。また、得られた評価試料の導電領域は、非接触式測定法で測定した表面抵抗が197Ω / □であり、全光線透過率が90.6%、ヘイズが1.72%と良好な光学特性を示した。膜厚は26ナノメートルであった。
表1に示す組成の塗膜形成用組成物を調製し、該組成物を用いて上記方法にて評価試料を作成した。組成物および評価試料の物性について、実施例1と同様に測定または評価した結果を表1に示す。
表1に示す組成の塗膜形成用組成物を調製し、該組成物を用いて上記方法にて評価試料を作成した。組成物および評価試料の物性について、実施例1と同様に測定または評価した結果を表1に示す。
表1に示す組成の塗膜形成用組成物を調製し、該組成物を用いて上記方法にて評価試料を作成した。組成物および評価試料の物性について、実施例1と同様に測定または評価した結果を表1に示す。
表1に示す組成の塗膜形成用組成物を調製し、該組成物を用いて上記方法にて評価試料を作成した。組成物および評価試料の物性について、実施例1と同様に測定または評価した結果を表1に示す。
表1に示す組成の塗膜形成用組成物を調製し、該組成物を用いて上記方法にて評価試料を作成した。組成物および評価試料の物性について、実施例1と同様に測定または評価した結果を表1に示す。
表1に示す組成の塗膜形成用組成物を調製し、該組成物を用いて上記方法にて評価試料を作成した。組成物および評価試料の物性について、実施例1と同様に測定または評価した結果を表1に示す。
表1に示す組成の塗膜形成用組成物を調製し、該組成物を用いて上記方法にて評価試料を作成した。組成物および評価試料の物性について、実施例1と同様に測定または評価した結果を表1に示す。
表1に示す組成の塗膜形成用組成物を調製し、該組成物を用いて上記方法にて評価試料を作成した。組成物および評価試料の物性について、実施例1と同様に測定または評価した結果を表1に示す。
表1に示す組成の塗膜形成用組成物を調製し、該組成物を用いて上記方法にて評価試料を作成した。組成物および評価試料の物性について、実施例1と同様に測定または評価した結果を表1に示す。
表1に示す組成の塗膜形成用組成物を調製し、該組成物を用いて上記方法にて評価試料を作成した。組成物および評価試料の物性について、実施例1と同様に測定または評価した結果を表1に示す。
AgNW:銀ナノワイヤ、表に記載の濃度は純分の濃度である。
PVP:ポリ(N−ビニルピロリドン)
pACMO:ポリ(1−モルホリノ−2−プロペン−1−オン)
G101P:2−ヒドロキシプロパン−1,2−ジイルビス(2−メタクリレート)
16HXA:1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート
SR213:1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート
M315:トリス[(メタ)アクリロイロキシエチル]イソシアヌレート
PGME:1−メトキシ−2−プロパノール
Irg369:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1
pMMA:ポリ(メチルメタクリレート)
pTMPMA:ポリ(2,2,6,6-テトラメチルピペリジルメタクリレート)
pTHFMA:ポリ(テトラヒドロフルフリルメタクリレート)2.38%水溶液
TMAH:テトラメチルアンモニウムヒドロキシド。
Claims (22)
- 第1成分として金属ナノワイヤまたは金属ナノチューブ、第2成分としてアミドを有する化合物、第3成分として(メタ)アクリロイルを有する化合物、第4成分として溶媒、および第5成分として光重合開始剤を含有する塗膜形成用組成物。
- 第2成分が一般式(B−1)〜(B−8)で表わされる化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種から導かれる構成単位を有する重量平均分子量1万以上500万以下の重合体である請求項1に記載の塗膜形成用組成物。
- 第2成分が重量平均分子量10万以上100万以下の重合体である請求項2に記載の塗膜形成用組成物。
- 第4成分が1−メトキシ−2−プロパノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジアセトンアルコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールおよびトリエチレングリコールモノエチルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の塗膜形成用組成物。
- 第3成分が(メタ)アクリロイルを2個以上6個以下有する化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の塗膜形成用組成物。
- 第1成分の短軸の長さの平均が5nm以上100nm以下であり、かつ長軸の長さの平均が2μm以上50μm以下であり、さらにアスペクト比が100以上である請求項1〜5のいずれかに記載の塗膜形成用組成物。
- 塗膜形成用組成物総重量に対して、第1成分が0.1重量%以上1.0重量%以下の量で、第2成分が0.1重量%以上1.0重量%以下の量で、第3成分が0.1重量%以上1.0重量%以下の量で、第4成分が96.7重量%以上99.69重量%以下の量で、第5成分が0.01重量%以上0.3重量%以下の量で含まれる請求項1〜6のいずれかに記載の塗膜形成用組成物。
- 25℃における粘度が0.2mPa・s以上10mPa・s以下である請求項1〜7のいずれかに記載の塗膜形成用組成物。
- 第2成分がポリ(N−ビニルピロリドン)である請求項2〜8のいずれかに記載の塗膜形成用組成物。
- 第4成分が1−メトキシ−2−プロパノールである請求項4〜9のいずれかに記載の塗膜形成用組成物。
- 第1成分が銀のナノワイヤである請求項1〜10のいずれかに記載の塗膜形成用組成物。
- 感光性および導電性を有する塗膜の形成に用いられる請求項1〜11のいずれかに記載の塗膜形成用組成物。
- (工程1)基板に請求項1〜12のいずれかに記載の組成物を塗布した後、溶媒を除去して、基板上に塗膜を形成する工程、
(工程2)工程1で得られた塗膜に、パターン情報を有するフォトマスクを通して光エネルギーを照射する工程、および
(工程3)工程2を経た塗膜を、現像液によって現像する工程
を含むパターニングされた透明導電膜を有する基板の製造方法。 - 現像液が、水またはアルカリ性水溶液である請求項13に記載のパターニングされた透明導電膜を有する基板の製造方法。
- 請求項13または14に記載の製造方法で製造されたパターニングされた透明導電膜を有する基板。
- 導電領域の膜厚が5nm以上100nm以下であって、導電領域の表面抵抗が10Ω/□以上200Ω/□以下の範囲にあり、かつ導電領域の全光線透過率が90%以上である請求項15に記載のパターニングされた透明導電膜を有する基板。
- 請求項15または16に記載のパターニングされた透明導電膜を有する基板を用いたデバイス素子。
- 液晶表示素子である請求項17に記載のデバイス素子。
- 有機エレクトロルミネッセンス素子である請求項17に記載のデバイス素子。
- タッチパネル素子である請求項17に記載のデバイス素子。
- 太陽電池素子である請求項17に記載のデバイス素子。
- 第1成分として金属ナノワイヤまたは金属ナノチューブ、第2成分として光重合開始剤、および第3成分として(メタ)アクリロイルを有する化合物を含有する塗膜形成用組成物。
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