JP2016177940A - 透明導電体の製造方法 - Google Patents

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仁一 粕谷
一成 多田
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一成 多田
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Abstract

【課題】耐湿性が高く、さらに光透過性が良好な透明導電体の製造方法を提供する。
【解決手段】透透明基板上に、気相成膜法により、前記透明基板の波長570nmの光の屈折率より波長570nmの光の屈折率が高い誘電性材料または酸化物半導体材料を含む第一高屈折率層を形成する工程と、前記第一高屈折率層上に、蒸着法により、銀またはその合金を含む透明金属層を形成する工程と、前記透明金属層上に、スパッタ法により、前記透明基板の波長570nmの光の屈折率より波長570nmの光の屈折率が高い誘電性材料または酸化物半導体材料を含む第二高屈折率層を形成する工程と、を有する透明導電体の製造方法とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、透明金属層を含む透明導電体の製造方法に関する。
近年、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、無機及び有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ等の表示装置の電極材料、無機及び有機EL素子の電極材料、タッチパネル材料、太陽電池材料等の各種装置に導電体が使用されている。
このような導電体の導電層の材料として、Au、Ag、Pt、Cu、Rh、Pd、Al、Cr等の金属やIn、CdO、CdIn、CdSnO、TiO、SnO、ZnO、ITO(酸化インジウムスズ)等の酸化物半導体が知られている。
ここで、タッチパネル型の表示装置では、画像表示素子上に、導電体(配線)が配置される。そのため、導電体には、高い光透過性が求められ、導電層の材料として、光透過性の高いITO(酸化インジウムスズ)が多用されてきた。しかしながら、近年、静電容量方式のタッチパネル表示装置が開発され、このような表示装置では、導電体の表面電気抵抗値をさらに低くすることが求められている。そして、従来のITO膜では、表面電気抵抗値を十分に下げることが難しい、との課題があった。
そこで、導電性が高く、かつ光の透過性が高いAg薄膜の開発が進められている(特許文献1)。そして、当該Ag薄膜を含む導電体の光透過性を高めるため、Ag薄膜を屈折率の高い膜(例えば酸化ニオブ(Nb)、IZO(酸化インジウム・酸化亜鉛)、ICO(インジウムセリウムオキサイド)、a−GIO(ガリウム、インジウム、及び酸素からなる非晶質酸化物)、ZnS、ZnS−SiO等からなる膜)で挟み込むことも検討されている(特許文献2〜5、非特許文献1〜3)。
特表2011−508400号公報 特開2006−184849号公報 特開2002−15623号公報 特開2008−226581号公報 中国特許出願公開第102677012号明細書
Transparent Conductive Film Nb2O5/Ag/IZO with an Anti-Reflection Design,Ywh-Tarng Leu, et al., SID 2012 DIGEST p.352-353 Xuanjie Liu,et al, (2003). Thin Solid Films 441, 200-206 Optically transparent IR reflective heat mirror films of ZnS - Ag - ZnS, Bruce W. Smith, May 1989. Rochester Institute Of Technology Center For Imaging Science
上記特許文献や非特許文献の技術では、いずれも透明金属層や、高屈折率膜を、スパッタ法や蒸着法等で形成している。例えば、上記非技術文献2等では、透明基板/ZnS/Ag/ZnSからなる透明導電体のZnS層やAg層を、全て蒸着法で形成することが提案されている。しかしながら、この方法では、ZnS層が緻密になり難く、透明導電体の耐湿性が低いとの課題があった。
本発明はこのような状況を鑑みてなされたものである。本発明は、耐湿性が高く、さらに光透過性が良好な透明導電体の製造方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明は、以下の透明導電体の製造方法に関する。
[1]透明基板上に、気相成膜法により、前記透明基板の波長570nmの光の屈折率より波長570nmの光の屈折率が高い誘電性材料または酸化物半導体材料を含む第一高屈折率層を形成する工程と、前記第一高屈折率層上に、蒸着法により、銀またはその合金を含む透明金属層を形成する工程と、前記透明金属層上に、スパッタ法により、前記透明基板の波長570nmの光の屈折率より波長570nmの光の屈折率が高い誘電性材料または酸化物半導体材料を含む第二高屈折率層を形成する工程と、を有する透明導電体の製造方法。
[2]前記第一高屈折率層の形成方法が、蒸着法である、[1]記載の透明導電体の製造方法。
[3]前記第二高屈折率層上に、スパッタ法により、前記透明基板の波長570nmの光の屈折率より波長570nmの光の屈折率が高い誘電性材料または酸化物半導体材料を含む第三高屈折率層を形成する工程をさらに有し、前記第三高屈折率層形成時のスパッタ雰囲気の絶対圧が、前記第二高屈折率層形成時のスパッタ雰囲気の絶対圧より低い、[1]または[2]に記載の透明導電体の製造方法。
[4]前記第三高屈折率層形成時のスパッタ雰囲気の絶対圧が、前記第二高屈折率層形成時のスパッタ雰囲気の絶対圧より0.1Pa以上低い、[3]に記載の透明導電体の製造方法。
[5]前記第二高屈折率層の厚みは0.5nm以上であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の透明導電体の製造方法。
[6]前記透明金属層上に保護層を形成する工程をさらに含む[1]〜[5]のいずれかに記載の透明導電体の製造方法。
[7]前記透明導電体を、パターニングする工程をさらに含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の透明導電体の製造方法。
本発明の製造方法によれば、耐湿性に優れ、さらに光透過性が良好な透明導電体が得られる。
本発明の透明導電体の層構成一例を示す概略断面図である。 本発明の透明導電体の層構成の他の例を示す概略断面図である。 本発明の透明導電体の層構成の他の例を示す概略断面図である。 本発明の透明導電体の導通領域及び非導通領域からなるパターンの一例を示す模式図である。
本発明は、各種ディスプレイ等の基板に適用可能な透明導電体の製造方法に関する。本発明の製造方法で製造される透明導電体の層構成の例を図1に示す。本発明の製造方法により得られる透明導電体100は、透明基板1/第一高屈折率層2/透明金属層3/第二高屈折率層4がこの順に積層された構造を有する。
当該透明導電体100では、透明金属層3の両面に屈折率の高い層(第一高屈折率層2、第二高屈折率層4、第三高屈折率層等)が配置される。そして、これらの層によって、透明導電体の光の透過性(光学アドミッタンス)が調整され、透明導電体100の光透過性が高くなる。また、当該透明導電体100では、第二高屈折率層4等により、透明金属層3が、外部の酸素、硫黄成分、水分等から保護される。
ここで、透明導電体100では、例えば図2に示されるように、透明金属層3が所望の形状にパターニングされていてもよい。図2に示される態様では、透明基板1、第一高屈折率層2、透明金属層3、及び第二高屈折率層4が少なくとも含まれる領域が導通領域aとされ、透明基板1のみが含まれる領域が非導通領域bとされる。
導通領域aのパターン及び非導通領域bのパターンは、透明導電体100の用途等に応じて適宜選択される。例えば透明導電体100が静電方式のタッチパネルに適用される場合には、図4に示されるような、複数の導通領域aと、これを区切るライン状の非導通領域bとを含むパターン等でありうる。非導通領域bのラインの幅は50μm以下であることが好ましく、より好ましくは20μm以下である。
また、本発明の製造方法で得られる透明導電体には、必要に応じて、上記以外の層が含まれてもよい。例えば、第二高屈折率層側には、高い屈折率を有する層が複数層積層されていてもよく、図3に示されるように、第二高屈折率層4上に第三高屈折率層5が含まれてもよい。なお、第二高屈折率層4及び第三高屈折率層5は、同一の材料からなる層でもあってもよく、これらの間に明確な境界が認識されない場合もある。また、例えば、透明基板1と第一高屈折率層2との間に、これらの密着性を高めるための密着層(図示せず)が含まれてもよい。またさらに、透明金属層3と第二高屈折率層4との間に、透明金属層3の酸化を防止するための酸化防止層(図示せず)等が含まれてもよい。また、第三高屈折率層上に、高い屈折率層を有する層(例えば、第四高屈折率層)がさらに含まれてもよい。
前述のように、従来より、透明導電体の各層は、蒸着法やスパッタ法等により形成されてきた。そして蒸着法は、スパッタ法等より成膜速度が早く、所望の層を効率良く形成できるとの利点がある。そこで、第一高屈折率層/透明金属層/第二高屈折率層からなる透明導電体の全ての層を蒸着法で形成すること等が提案されている。しかしながら当該方法では、第二高屈折率層が緻密になり難く、透明導電体の耐湿性が十分でないとの課題があった。
これに対し、本発明では、透明導電体の透明金属層を蒸着法で形成し、第二高屈折率層をスパッタ法で形成する。そのため、透明金属層を効率良く形成することができる。一方で、第二高屈折率層を緻密な層とすることができ、透明金属層を、透明導電体外部の水分や硫化ガス等から保護することができる。したがって、長期間にわたって耐湿性が高く、光透過性の高い透明導電体が得られる。つまり、本発明の製造方法で得られる透明導電体は、各種ディスプレイ用の透明導電体として、非常に有用である。以下、本発明の製造方法で得られる透明導電体の各層について先に説明し、その後、製造方法について説明する。
1.透明導電体に含まれる層
1−1.透明基板
透明基板は、透明導電体の用途に応じて適宜選択され、各種表示デバイスの透明基板と同様でありうる。透明基板は、ガラス基板や、セルロースエステル樹脂(例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース等)、ポリカーボネート樹脂(例えばパンライト、マルチロン(いずれも帝人社製))、シクロオレフィン樹脂(例えばゼオノア(日本ゼオン社製)、アートン(JSR社製)、アペル(三井化学社製))、アクリル樹脂(例えばポリメチルメタクリレート、アクリライト(三菱レイヨン社製)、スミペックス(住友化学社製))、ポリイミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート)、ポリエーテルスルホン、ABS/AS樹脂、MBS樹脂、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール/EVOH(エチレンビニルアルコール樹脂)、スチレン系ブロックコポリマー樹脂等からなる透明樹脂フィルムでありうる。透明基板が透明樹脂フィルムである場合、当該フィルムには2種以上の樹脂が含まれてもよい。
透明性の観点から、透明基板はガラス基板、もしくはセルロースエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂(特にポリエチレンテレフタレート)、トリアセチルセルロース、シクロオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリエーテルスルホン、ABS/AS樹脂、MBS樹脂、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール/EVOH(エチレンビニルアルコール樹脂)、またはスチレン系ブロックコポリマー樹脂からなるフィルムであることが好ましい。これらのフィルム上には、ハードコート層や平滑層が形成されていてもよい。
透明基板は、可視光に対する透明性が高いことが好ましく、波長450〜800nmの光の平均透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。透明基板の光の平均透過率が70%以上であると、透明導電体の光透過性も高まりやすい。上記平均透過率は、透明基板の表面の法線に対して、5°傾けた角度から光を入射させて測定される値であり、平均透過率は分光光度計で測定することができる。
また、透明基板の波長570nmの光の屈折率は1.40〜1.95であることが好ましく、より好ましくは1.45〜1.75であり、さらに好ましくは1.45〜1.70である。透明基板の屈折率は、通常、透明基板の材質によって定まる。透明基板の屈折率は、エリプソメーターで測定される。
さらに、透明基板のヘイズ値は0.01〜2.5であることが好ましく、より好ましくは0.1〜1.2である。透明基板のヘイズ値が2.5以下であると、透明導電体のヘイズ値が抑制される。透明基板のヘイズ値は、ヘイズメーターで測定される。
透明基板の厚みは、1μm〜20mmであることが好ましく、より好ましくは10μm〜2mmである。透明基板の厚みが1μm以上であると、透明基板の強度が高まりやすく、第一高屈折率層の形成時に割れたり、裂けたりし難くなる。一方、透明基板の厚みが20mm以下であれば、透明導電体のフレキシブル性が十分となる。さらに透明導電体を用いた機器の厚みを薄くできる。また、透明導電体を用いた機器を軽量化することもできる。
1−2.第一高屈折率層
第一高屈折率層は気相成膜法で形成された層であり、透明導電体の導通領域、つまり透明金属層が形成されている領域の光透過性(光学アドミッタンス)を調整する層である。第一高屈折率層や、後述の第二高屈折率層、第三高屈折率層等の厚みを適宜調整することにより、高い透過率を有する透明導電体とすることが可能となる。第一高屈折率層は、透明導電体の導通領域に少なくとも形成される。第一高屈折率層は、透明導電体の非導通領域に形成されていてもよいが、導通領域及び非導通領域からなるパターンを視認され難くするとの観点から、図2に示されるように導通領域aのみに形成されていることが好ましい。
ここで、第一高屈折率層には、前述の透明基板の屈折率より高い屈折率を有する誘電性材料または酸化物半導体材料が少なくとも含まれる。透明基板が複数層からなる場合、第一高屈折率層には、透明基板を構成するいずれの層より高い屈折率を有する誘電性材料または酸化物半導体材料が含まれる。
第一高屈折率層に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料の波長570nmの光の屈折率は、前記透明基板の波長570nmの光の屈折率より0.1〜1.1大きいことが好ましく、0.4〜1.0大きいことがより好ましい。また、第一高屈折率層に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料の波長570nmの光の具体的な屈折率は1.5より大きいことが好ましく、1.7〜2.5であることがより好ましく、さらに好ましくは1.8〜2.5である。誘電性材料または酸化物半導体材料の屈折率が1.5より大きいと、第一高屈折率層によって、透明金属層を含む領域(導通領域)の光透過性が十分に調整される。
なお、第一高屈折率層自体の屈折率は、第一高屈折率層に含まれる材料の屈折率や、第一高屈折率層に含まれる材料の密度で適宜調整される。
ここで、第一高屈折率層に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料の例にはTiO、ITO(酸化インジウムスズ)、ZnO、ZnS、Nb、ZrO、CeO、Ta、Ti、Ti、Ti、TiO、SnO、LaTi、IZO(酸化インジウム・酸化亜鉛)、AZO(AlドープZnO)、GZO(GaドープZnO)、ATO(SbドープSnO)、ICO(インジウムセリウムオキサイド)、Ga等が含まれる。第一高屈折率層には、誘電性材料または酸化物半導体材料が1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。誘電性材料または酸化物半導体材料は、好ましくは、ZnS、ZnO、TiO、GZO、ITOであり、特に好ましくはZnSである。
硫黄原子は、透明金属層を構成する金属(特に銀)との親和性が高い。したがって、第一高屈折率層にZnSが含まれると、透明金属層の形成時に金属が凝集し難くなり、薄くとも、均一な厚みの透明金属層が得られる。第一高屈折率層に含まれる硫黄原子の量は、第一高屈折率層を構成する全原子の数に対して0.1〜50at%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜50at%である。
ここで、第一高屈折率層には、上記の屈折率が高い誘電性材料や酸化物半導体材料以外に、波長570nmの光の屈折率が1.5未満である材料が一部含まれてもよい。波長570nmの光の屈折率が1.5未満である材料としては、MgF、SiO等が挙げられる。例えば、ZnSと共に、SiOが含まれると、第一高屈折率層が非晶質になりやすく、透明導電体のフレキシブル性が高まりやすい。ただし、屈折率が1.5未満の材料は、屈折率が高い誘電性材料や酸化物半導体材料100部(原子の数)に対して30部(原子の数)以下であることが好ましく、20部(原子の数)以下であることがより好ましい。
第一高屈折率層の厚みは、透明金属層に含まれる金属の種類、透明金属層の厚み、透明導電体の所望の光透過性等に応じて適宜選択されるが、通常3〜150nmであることが好ましく、より好ましくは5〜80nmである。第一高屈折率層の厚みが3nm以上であると、第一高屈折率層によって、透明金属層を含む領域の光透過性が十分に調整されやすい。一方、第一高屈折率層の厚みが、150nm以下であれば、第一高屈折率層の光吸収や光反射によって、透明導電体の光透過性が低下することを抑制できる。第一高屈折率層の厚みは、エリプソメーター等で測定される。
1−3.透明金属層
透明金属層は、蒸着法で形成された層であり、透明金属層は、透明導電体において電気を導通させるための層である。透明導電体の全面を導通領域とする場合には、透明金属層が透明導電体の全面に形成される。一方、透明導電体の一部の領域のみを導通領域とする場合には、透明金属層は、透明基板上にパターン状に形成される。
透明金属層は、銀またはその合金を含む層であるが、銀を主成分とする層であることが導電性、透明性の観点から好ましい。具体的には、透明金属層を構成する全原子に対して、銀が60at%(原子%)以上含まれることが好ましい。また導電性の観点から銀が90at%以上含まれることがより好ましく、さらに好ましくは95at%以上である。
銀と組み合わされる金属の例には、亜鉛、金、銅、パラジウム、アルミニウム、マンガン、ビスマス、ネオジム、モリブデン、白金、チタン、クロム等が含まれる。例えば、銀と亜鉛とが組み合わされると、透明金属層の耐硫化性が高まる。銀と金とが組み合わされると、耐塩(NaCl)性が高まる。さらに銀と銅とが組み合わされると、耐酸化性が高まる。透明金属層に含まれる各原子の種類や、その含有量は、例えばXPS法等で特定される。
透明金属層の厚みは好ましくは15nm以下であり、より好ましくは3〜12nmであり、さらに好ましくは5〜10nmである。透明金属層の厚みが15nm以下であると、透明金属層に金属本来の反射が生じ難い。さらに、透明金属層の厚みが15nm以下であると、透明導電体の導通領域の光透過性が良好になる。その結果、導通領域及び非導通領域の形状が視認される現象(以下「骨見え」とも称する)等が抑制される。透明金属層の厚みは、エリプソメーターで測定される。
1−4.第二高屈折率層
第二高屈折率層はスパッタ法で形成された層であり、透明導電体において、透明金属層を含む領域の光透過性を調整するための層である。また、透明導電体外部の水分や酸素等が透明金属層側へ透過することを抑制するための層でもある。さらに、後述の製造方法で説明するように、第三高屈折率層を絶対圧の低いスパッタ雰囲気中で形成する場合、スパッタ時の衝撃によって、透明金属層表面が荒れないように、保護する機能も果たす。第二高屈折率層は、透明導電体の非導通領域に形成されていてもよいが、導通領域及び非導通領域からなるパターンを視認され難くするとの観点から、図2に示されるように導通領域aのみに形成されていることが好ましい。当該第二高屈折率層には、複数の層が含まれてもよい。本発明では、誘電性材料または酸化物半導体材料を含む、隣り合う層が有り、これらが同一のスパッタ環境(絶対圧)下で形成されている場合には、これらを同一の層(ここでは、第二高屈折率層)として取り扱う。
第二高屈折率層には、前記透明基板の屈折率より高い屈折率を有する誘電性材料または酸化物半導体材料が含まれる。当該誘電性材料または酸化物半導体材料の波長570nmの光の屈折率は、透明基板の波長570nmの光の屈折率より0.1〜1.1大きいことが好ましく、0.4〜1.0大きいことがより好ましい。また、第二高屈折率層に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料の波長570nmの光の具体的な屈折率は1.5より大きいことが好ましく、1.7〜2.5であることがより好ましく、さらに好ましくは1.8〜2.5である。誘電性材料または酸化物半導体材料の屈折率が1.5より大きいと、第二高屈折率層によって、透明金属層を有する領域の光透過性が十分に調整される。
第二高屈折率層に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料は、第一高屈折率層に含まれる誘電性材料または酸化物材料と同様でありうる。第二高屈折率層には、誘電性材料または酸化物材料が1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。これらの誘電性材料または酸化物半導体材料は、絶縁性の材料であってもよく、導電性の材料であってもよいが、第二高屈折率層に含まれる材料は、導電性を有することが特に好ましい。
第二高屈折率層に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料が導電性を有すると、透明導電体表面(第二高屈折率層側の表面)から導通を取りやすくなる。そこで、第二高屈折率層に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料の体積抵抗率は、1×10−4Ω・cm以上1×102Ω・cm以下Ω・cmであることが好ましく、より好ましくは1×10−4Ω・cm以上1×10Ω・cm以下Ω・cmであり、さらに好ましくは1×10−4Ω・cm以上1Ω・cm以下Ω・cmである。第二高屈折率層に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料の体積抵抗率が1×102Ω・cm以下であると、透明導電体の導電性が安定しやすい。また、第二高屈折率層自体の体積抵抗率は、1×10−4Ω・cm以上1×102Ω・cm以下であることが好ましく、より好ましくは1×10−4Ω・cm以上1×10-1Ω・cm以下である。このような導電性を有する誘電性材料または酸化物半導体材料の例には、GZO、ITO、IGZO、等が含まれる。
第二高屈折率層の体積抵抗率は、第二高屈折率層をガラス基板上に単膜で作製し、厚みをエリプソメーターで測定し、表面電気抵抗値を、例えばJIS K7194、ASTM D257等に準拠して測定することで算出できる。
なお、第二高屈折率層には、必要に応じて、屈折率が1.5未満である材料が一部含まれてもよく、これらの種類や含有量は、第一高屈折率層と同様でありうる。
第二高屈折率層の厚みは、0.5nm以上であることが好ましく、より好ましくは0.5〜20nmであり、さらに好ましくは0.5〜10nmであり、特に好ましくは0.5〜3.0nmである。また0.5〜1.0nmであることがさらに好ましい。第二高屈折率層の厚みが0.5nm以上であると、第三高屈折率層を真空度が高い状態で形成しても、第二高屈折率層によって透明金属層が十分に保護されて、透明金属層の表面荒れを抑制できる。第二高屈折率層の厚みは、エリプソメーターで測定される。第二高屈折率層が複数層からなる場合は、総厚みが上記の範囲であることが好ましい。
1−5.第三高屈折率層
本発明の製造方法で製造する透明導電体には、第二高屈折率層上に、さらに第三高屈折率層が含まれてもよい。第三高屈折率層はスパッタ法で形成された層であり、透明導電体において、透明金属層を含む領域の光透過性を調整するため、第二高屈折率層上に形成する層である。また、透明導電体外部の水分や酸素等が透明金属層側へ透過することを抑制するための層でもある。透明導電体に第三高屈折率層が含まれることで、透明導電体の耐湿性等が高まり、透明導電体の耐久性が高まる。第三高屈折率層は、透明導電体の非導通領域に形成されていてもよいが、導通領域及び非導通領域からなるパターンを視認され難くするとの観点から、導通領域のみに形成されていることが好ましい。当該第三高屈折率層には、複数の層が含まれてもよい。前述のように、誘電性材料または酸化物半導体材料を含む、隣り合う層が有り、これらが同一のスパッタ環境(絶対圧)下で形成されている場合には、これらを同一の層(ここでは、第三高屈折率層)として取り扱う。
第三高屈折率層には、前述の透明基板の屈折率より高い屈折率を有する誘電性材料または酸化物半導体材料が含まれる。当該誘電性材料または酸化物半導体材料の波長570nmの光の屈折率は、透明基板の波長570nmの光の屈折率より0.1〜1.1大きいことが好ましく、0.4〜1.0大きいことがより好ましい。また、第三高屈折率層に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料の波長570nmの光の具体的な屈折率は1.5より大きいことが好ましく、1.7〜2.5であることがより好ましく、さらに好ましくは1.8〜2.5である。第三高屈折率層に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料の屈折率が1.5より大きいと、第三高屈折率層によって、透明金属層を有する領域の光透過性が十分に調整される。
第三高屈折率層に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料は、第一高屈折率層に含まれる誘電性材料または酸化物材料と同様でありうる。当該第三高屈折率層には、誘電性材料や酸化物材料が1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。また、第三高屈折率層に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料は、第二高屈折率層に含まれる材料と同一であってもよく、異なる材料であってもよい。ここで、第三高屈折率層に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料は、絶縁性の材料であってもよく、導電性の材料であってもよいが、第三高屈折率層に含まれる材料も、導電性を有することが好ましい。
第三高屈折率層に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料が導電性を有すると、透明導電体表面(第三高屈折率層側の表面)側から導通を取りやすくなる。第三高屈折率層に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料の体積抵抗率は、1×10−4Ω・cm以上1×102Ω・cm以下Ω・cmであることが好ましく、より好ましくは1×10−4Ω・cm以上1×10Ω・cm以下Ω・cmであり、さらに好ましくは1×10−4Ω・cm以上1Ω・cm以下Ω・cmである。誘電性材料または酸化物半導体材料の体積抵抗率が1×102Ω・cm以下であると、透明導電体の導電性が安定する。また、第三高屈折率層自体の体積抵抗率は、1×10−4Ω・cm以上1×102Ω・cm以下であることが好ましく、より好ましくは1×10−4Ω・cm以上1×10-1Ω・cm以下である。このような導電性を有する誘電性材料または酸化物半導体材料の例には、GZO、ITO、IGZO、等が含まれる。第三高屈折率層の体積抵抗率は、第二高屈折率層の体積抵抗率と同様の方法で算出することができる。
また、第三高屈折率層には、必要に応じて、屈折率が1.5未満である材料が一部含まれてもよく、これらの種類や含有量は、第一高屈折率層と同様でありうる。
第三高屈折率層の厚みは、10〜40nmであることが好ましく、より好ましくは15〜40nmであり、さらに好ましくは20〜40nmである。第三高屈折率層の厚みが10nm以上であると、第三高屈折率層により、透明導電体の導通領域の光透過性が十分に高まるだけでなく、透明導電体の耐湿性が十分に高まりやすい。第三高屈折率層の厚みは、エリプソメーターで測定される。第三高屈折率層が複数層からなる場合は、総厚みが上記の範囲であることが好ましい。
1−6.密着層
透明導電体には、透明基板と第一高屈折率層との間に、必要に応じて密着層が含まれてもよい。透明導電体に密着層が含まれると、透明基板と第一高屈折率層との密着性が高まり、透明導電体の耐久性が高まる。密着層は、透明基板の全面に形成されていてもよく、透明導電体の導通領域のみに形成されていてもよい。
密着層は、第一高屈折率層に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料(例えばZnS)と親和性が高い材料からなる層でありうる。例えば、第一高屈折率層がZnSからなる層である場合、透明基板との密着性が十分に得られ難いことがある。そこで、このような場合に、透明導電体に密着層が含まれることが好ましい。密着層の材料は、第一高屈折率層に含まれる材料等に応じて適宜選択される。例えば、第一高屈折率層にZnSが含まれる場合、密着層にはSiOまたはZnOが含まれることが好ましい。特に好ましくはSiOからなる層である。
密着層の厚みは、透明導電体の光の透過性に影響を与えない厚みであることが好ましく、1〜5nmであることが好ましく、より好ましくは1〜3nmである。密着層の厚みは、エリプソメーターで測定される。
1−7.保護層
透明導電体には、透明金属層と第二高屈折率層との間に、必要に応じて、透明金属層を保護するための保護層が含まれてもよい。後述するように、本発明の透明導電体の製造方法では、透明金属層を蒸着法で形成し、第二高屈折率層をスパッタ法で形成する。そのため、透明金属層の形成と第二高屈折率層の形成とが異なる装置で行われることがある。このような場合には、第二高屈折率層の形成までに、透明金属層が酸化しないよう、保護層を形成することが好ましい。保護層は、透明導電体の導通領域に少なくとも形成されるが、必要に応じて透明導電体の非導通領域に形成されてもよい。
保護層は、透明金属層の酸化等を抑制可能な安定な材料からなる層であり、かつ透明導電体の光透過性(光学アドミッタンス)に影響を与えない層であれば特に制限されない。例えば、保護層は、第二高屈折率層と同様の材料からなる層とすることができる。また、保護層の厚みは、透明導電体の光の透過性に影響を与えない厚みであることが好ましく、1〜5nmであることが好ましく、より好ましくは1〜3nmである。
1−8.その他
透明導電体には、必要に応じて、第三高屈折率層上に、さらに屈折率の高い層(例えば、第四高屈折率層等)が含まれてもよい。第四高屈折率層は、第三高屈折率層と同様の誘電性材料や酸化物半導体材料を含む層とすることができる。
なお、透明導電体では、透明金属層を屈折率の高い層で、両面から挟み込むことで、透明導電体の光の透過性(光学アドミッタンス)を調整する。したがって、第一高屈折率層の厚みと、第二高屈折率層側の高屈折率層の総厚みとがほぼ等しくなることが好ましく、第二高屈折率層や第三高屈折率層、第四高屈折率層の総厚みは、3〜150nmであることが好ましく、より好ましくは5〜80nmである。第二高屈折率層や第三高屈折率層、第四高屈折率層等の厚みは、他の層の厚みに応じて適宜調整されうる。
2.透明導電体の製造方法
本発明の透明導電体の製造方法は、少なくとも以下の3つの工程を含む。
(1)透明基板上に、気相成膜法により、誘電性材料または酸化物半導体材料を含む第一高屈折率層を形成する工程
(2)第一高屈折率層上に、蒸着法により、銀またはその合金を含む透明金属層を形成する工程
(3)透明金属層上に、スパッタ法により、誘電性材料または酸化物半導体材料を含む第二高屈折率層を形成する工程
本発明の製造方法では、透明金属層を蒸着法で形成することから、透明金属層の成膜効率が良好となり、透明導電体の生産効率が高まる。一方で、第二高屈折率層をスパッタ法で形成することから、第二高屈折率層を緻密な層とすることができ、透明導電体の耐湿性を高めることができる。
ここで、本発明の透明導電体の製造方法には、必要に応じて、(4)第二高屈折率層上に、スパッタ法により、誘電性材料または酸化物半導体材料を含む第三高屈折率層を形成する工程が含まれてもよい。蒸着法で形成する透明金属層は、緻密になり難い。そのため、透明金属層上に第二高屈折率層を形成する際に、スパッタ雰囲気の絶対圧を低くすると、透明金属層表面の原子がスパッタ粒子によって叩き出されたり、削られて、透明金属層表面の平滑性が低下することがある。その結果、透明金属層表面で光の吸収が生じて、透明導電体の光透過性が低下することがある。そこで、このような場合には、第二高屈折率層を比較的穏やかなスパッタ条件で形成し、第三高屈折率層を第二高屈折率層より厳しいスパッタ条件、つまりスパッタ雰囲気の絶対圧が低い状態で形成することで、光透過性の高い、耐湿性の高い透明導電体が得られる。
上記スパッタ雰囲気の絶対圧とは、スパッタ法にて層を形成する際の絶対圧をいい、絶対圧が小さいほど、絶対真空に近く、スパッタ粒子がより大きいエネルギーを持って被スパッタ面と衝突する。つまり、第三高屈折率層形成工程のスパッタ雰囲気の絶対圧を第二高屈折率層より低く設定することで、緻密な第三高屈折率層が得られ、耐湿性やガスバリア性の高い透明導電体が得られる。なお、第三高屈折率層形成時には、透明金属層表面が第二高屈折率層によって保護されているため、絶対圧が低い状態でスパッタ法にて第三高屈折率層を形成しても、透明金属層表面は荒れ難い。
またさらに、本発明の透明導電体の製造方法には、必要に応じて、透明金属層をパターニングする工程が含まれてもよい。また、第一高屈折率層形成工程前に、密着層を形成する密着層形成工程が含まれてもよく;透明金属層形成工程後、第二高屈折率層形成工程前に、保護層を形成する保護層形成工程等が含まれてもよい。さらに、第三高屈折率層上に、高屈折率層(第四高屈折率層等)を形成する工程等がさらに含まれてもよい。
2−1.第一高屈折率層形成工程
透明基板上に、前述の誘電性材料または酸化物半導体材料を気相成膜法で堆積させて第一高屈折率層を形成する。なお、透明基板上に前述の密着層が形成されている場合には、密着層上に、第一高屈折率層を形成する。
第一高屈折率層形成時の気相成膜法の種類は特に制限されず、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等、公知の方法でありうるが、本発明では、特に、蒸着法であることが好ましい。蒸着法は、他の気相成膜法と比較して、成膜速度が速い。また本発明では、第一高屈折率層上に蒸着法で透明金属層を形成する。したがって、第一高屈折率層を蒸着法で形成すると、第一高屈折率層と透明金属層とを、同一の蒸着装置にて連続して形成することが可能となり、透明導電体の製造効率が高まる。
上記蒸着法の種類は特に制限されず、例えば、真空蒸着法(抵抗加熱法)、電子線蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法等でありうるが、第一高屈折率層の平滑性を高め、透明導電体の透明性を高めるとの観点から、好ましくは電子線蒸着法またはイオンビーム蒸着法等である。
なお、第一高屈折率層に複数の化合物が含まれる場合には、各化合物を予め所定の比率で混合した混合物を、蒸着源にしてもよい。また、各化合物をそれぞれ個別に準備し、これらをそれぞれ蒸着源としてもよい。
また、第一高屈折率層を蒸着法で形成する場合、その蒸着速度は、好ましくは0.1〜15Å/秒であり、より好ましくは0.1〜7Å/秒である。蒸着速度が当該範囲であると、第一高屈折率層を効率よく形成することができる。
ここで、本発明の透明導電体の製造方法では、第一高屈折率層形成工程にて、第一高屈折率層を導通領域のパターン状に形成してもよい。第一高屈折率層をパターン状に形成する方法の例として、非導通領域を被覆するようにマスクを配置して、気相成膜法で誘電性材料または酸化物材料を堆積させる方法が挙げられる。また、透明基板の全面に誘電性材料または酸化物材料を堆積させた後、エッチング等により、誘電性材料や酸化物材料を部分的に除去する方法等も挙げられる。
ただし、後述の透明金属層パターニング工程で説明するように、透明導電体の製造効率の観点からは、透明基板の全面に第一高屈折率層、透明金属層、第二高屈折率、及び第三高屈折率層等を積層してから、これらを一度にパターニングする方法が好ましい。
2−2.透明金属層形成工程
続いて、上記第一高屈折率層上に、銀またはその合金を、蒸着法で堆積させて透明金属層を形成する。蒸着法の種類は特に制限されず、例えば真空蒸着法(抵抗加熱法)、電子線蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法等でありうる。透明金属層の平滑性を高め、透明導電体の透明性を高めるとの観点から、好ましくは電子線蒸着法またはイオンビーム蒸着法等である。
また、透明金属層形成時の蒸着速度は、好ましくは0.1〜15Å/秒であり、より好ましくは0.1〜7Å/秒である。蒸着速度が当該範囲であると、透明金属層を効率よく形成することができる。
本発明の透明導電体の製造方法では、透明金属層形成工程にて、透明金属層を導通領域のパターン状に形成してもよい。透明金属層をパターン状に形成する方法の例として、非導通領域を被覆するようにマスクを配置して、蒸着法で銀または銀合金を堆積させる方法が挙げられる。また、第一高屈折率層を覆うように、透明基板の全面に銀または銀合金を堆積させた後、エッチング等により、これらを部分的に除去する方法等も挙げられる。
ただし、後述の透明金属層パターニング工程で説明するように、透明基板の全面に第一高屈折率層、透明金属層、第二高屈折率、及び第三高屈折率層等を積層してから、これらの層を一度にパターニングする方法が好ましい。
2−3.第二高屈折率層形成工程
上記透明金属層上に、前述の誘電性材料または酸化物半導体材料をスパッタ法で堆積させて第二高屈折率層を形成する。なお、透明金属層上に前述の保護層が形成されている場合には、保護層上に、第二高屈折率層を形成する。
ここで、第二高屈折率層形成時のスパッタ雰囲気の絶対圧は、透明金属層表面に影響を及ぼし難い程度の圧力とすることが好ましい。また、第二高屈折率層は複数層からなるものとしてもよい。第二高屈折率層として複数層を形成する場合、いずれも同一の条件(絶対圧)下で層形成を行うものとする。
また、後述のように、第三高屈折率層を形成する場合、第三高屈折率層形成時のスパッタ雰囲気の絶対圧は、第二高屈折率層形成工程のスパッタ雰囲気の絶対圧より低い値とすることが好ましい。第二高屈折率層形成時の該絶対圧は、当該圧力はスパッタ装置内のターゲットと透明金属層との距離等に応じて適宜選択され、ターゲットと被スパッタ面(透明金属層)との距離が近い場合には、絶対圧を比較的高く設定する。一方当該距離が遠い場合には、絶対圧を比較的低くすることができる。
第二高屈折率層形成時のスパッタ雰囲気の具体的な絶対圧は、通常0.25Pa〜2.0Pa程度とすることができる。当該絶対圧は、より好ましくは0.3〜1.0Paであり、さらに好ましくは0.4〜0.7Paである。第二高屈折率層の形成時の絶対圧が上記範囲であると、透明金属層表面が荒れ難く、透明導電体の光透過性が高まりやすい。
また、第二高屈折率層を形成する際には、スパッタ粒子を透明金属層に対して斜めから入射させることも好ましい。これにより、透明金属層表面の原子が、スパッタ粒子によって叩き出されたり、削られることが少なくなり、透明金属層表面の平滑性が維持されやすい。
第二高屈折率層の成膜速度は、好ましくは0.1〜6.0Å/秒であり、より好ましくは0.1〜3.0Å/秒である。蒸着速度が当該範囲であると、第二高屈折率層を効率よく形成することができる。
本工程で形成する第二高屈折率層の厚みは、0.5nm以上であることが好ましく、より好ましくは0.5〜20nmであり、さらに好ましくは0.5〜10nmであり、特に好ましくは0.5〜3.0nmである。第二高屈折率層の厚みが0.5nm以上であると、第三高屈折率層を、絶対圧が低い環境下で形成したとしても、第二高屈折率層によって透明金属層が十分に保護されて、透明金属層表面の荒れが抑制される。
本発明の透明導電体の製造方法では、第二高屈折率層形成工程にて、第二高屈折率層を導通領域のパターン状に形成してもよい。第二高屈折率層をパターン状に形成する方法の例として、非導通領域を覆うようにマスクを配置して、気相成膜法で誘電性材料または酸化物材料を堆積させる方法が挙げられる。また、透明金属層を覆うように、透明基板の全面に誘電性材料または酸化物材料を堆積させた後、エッチング等により、誘電性材料や酸化物材料を部分的に除去する方法等も挙げられる。
ただし、後述の透明金属層パターニング工程で説明するように、透明基板の全面に第一高屈折率層、透明金属層、第二高屈折率、及び第三高屈折率層等を積層してから、これらの層を一度にパターニングする方法が好ましい。
2−4.第三高屈折率層形成工程
第二高屈折率層の形成後、当該第二高屈折率層上に、前述の誘電性材料または酸化物半導体材料をスパッタ法で堆積させて第三高屈折率層を形成する工程を有してもよい。第三高屈折率層は、第二高屈折率層の形成には、第二高屈折率層と同じ材料を用いてもよく、異なる材料を用いてもよい。また、第三高屈折率層は複数層からなるものとしてもよい。第三高屈折率層として複数層を形成する場合、いずれも同一の条件(絶対圧)下で層形成を行うものとする。
ここで、第三高屈折率層形成時のスパッタ雰囲気の絶対圧は、前述の第二高屈折率層形成工程のスパッタ雰囲気の絶対圧より低い値とすることが好ましく、得られる第三高屈折率層が緻密になる圧力とすることが好ましい。具体的な圧力は、スパッタ装置内のターゲットと透明金属層との距離等に応じて適宜選択されるが、0.1〜1.0Paであることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.25Paである。第三高屈折率層形成時の絶対圧が上記範囲であると、緻密な第三高屈折率層が得られやすく、透明導電体の耐湿性やガスバリア性が高まりやすい。
また、第二高屈折率層形成時の絶対圧と第三高屈折率層形成時の絶対圧の差は、0.1Pa以上であることが好ましく、0.2Pa以上であることがさらに好ましい。第二高屈折率層形成工程において、第三高屈折率層形成工程より高い絶対圧下でスパッタ法を行うことで、透明金属層の表面が荒れることを抑制することができる。一方で、第三高屈折率層形成工程では、絶対圧が低い環境下でスパッタ法を行うことで、第三高屈折率層を緻密に形成することができる。
また、第三高屈折率層の成膜速度は、好ましくは0.1〜15.0Å/秒であり、より好ましくは0.1〜0.7Å/秒である。蒸着速度が当該範囲であると、第三高屈折率層を効率よく形成することができる。
本工程で形成する第三高屈折率層の厚みは、10〜40nmであることが好ましく、より好ましくは15〜40nmであり、さらに好ましくは20〜40nmである。第三高屈折率層の厚みが上記範囲であると、透明導電体の耐湿性が高まりやすい。
なお、第三高屈折率層を形成するための装置は、第二高屈折率層を形成する装置と異なる装置であってもよいが、第二高屈折率層及び第三高屈折率層を形成するためのスパッタ室が連続して配置された連続式のスパッタ装置を使用することが、製造効率の観点からより好ましい。
また、本発明の透明導電体の製造方法では、第三高屈折率層形成工程にて、第三高屈折率層を導通領域のパターン状に形成してもよい。第三高屈折率層をパターン状に形成する方法の例として、非導通領域を覆うようにマスクを配置して、気相成膜法で誘電性材料または酸化物材料を堆積させる方法が挙げられる。また、第二高屈折率層を覆うように、透明基板の全面に誘電性材料または酸化物材料を堆積させた後、エッチング等により、誘電性材料や酸化物材料を部分的に除去する方法等も挙げられる。
ただし、後述の透明金属層パターニング工程で説明するように、透明基板の全面に第一高屈折率層、透明金属層、第二高屈折率、及び第三高屈折率層等を積層してから、これらの層を一度にパターニングする方法が好ましい。
2−5.パターニング工程
透明導電体に、導通領域及び非導通領域を形成する場合には、透明金属層をパターン状に形成する工程が含まれてもよい。透明金属層をパターニングする方法の一例として、透明基板の全面に第一高屈折率層、透明金属層、第二高屈折率、第三高屈折率層等を積層してから、これらを一度にパターニングする方法が挙げられる。透明金属層と共に、第一高屈折率層や第二高屈折率層等を合わせてパターニングすると、透明導電体の導通領域と非導通領域(透明基板のみの領域)との光の反射率が近くなり、導通領域及び非導通領域の形状が視認される現象(以下「骨見え」とも称する)等が抑制される。
各層を一度にパターニングする方法は、公知のドライエッチング法や、ウェットエッチング法、リフトオフ法等でありうる。ドライエッチング法の例には、反応ガスエッチングや、レンズペーパー等による研磨、ガスやイオン、ラジカル等の物理的な衝突によるエッチング等が含まれる。一方、ウェットエッチング法の例には、エッチャントによるエッチング等が含まれる。これらは、所望のパターンや、各層の材料等に応じて、適宜選択される。
2−6.密着層形成工程
本発明の製造方法には、第一高屈折率層形成工程前に、透明基板上にSiO等を堆積させて、密着層形成工程が含まれてもよい。密着層形成工程を行うことにより、第一高屈折率層形成工程にて、第一高屈折率層により形成される第一高屈折率層と透明基板との密着性が高まり、得られる透明導電体の耐久性が高まる。
密着層の形成方法は、特に制限されず、一般的な気相成膜法等とすることができ、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等、公知の方法でありうる。本発明では、特に蒸着法であることが好ましい。蒸着法は、他の気相成膜法と比較して、成膜効率が高い。またさらに、密着層を蒸着法で形成する場合、密着層形成後に形成する、第一高屈折率層や透明金属層と同一の装置で製造することができ、透明導電体の製造効率が高まる。
2−7.保護層形成工程
本発明の製造方法には、透明金属層形成工程後、第二高屈折率層形成工程前に、透明金属層を保護する保護層形成工程が含まれてもよい。透明金属層形成工程は、蒸着装置にて行われ、第二高屈折率層形成工程は、スパッタ装置にて行われる。したがって、透明金属層形成工程後、第二高屈折率層形成工程までに、透明金属層が大気中に晒される場合等には、透明金属層の酸化等を抑制するための保護層を形成することが好ましい。
保護層の形成方法は特に制限されないが、透明金属層形成工程と同一の蒸着装置内で行うことが好ましい。透明金属層の酸化を十分に抑制するためである。
2−8.第四高屈折率層形成工程
本発明の製造方法には、第三高屈折率層上に、前述の誘電性材料または酸化物半導体材料を堆積させて第三高屈折率層を形成する工程がさらに含まれてもよい。第四高屈折率層を形成することで、透明導電体の光透過性をさらに調整したり、透明導電体の耐湿性をより高めることができる。
第四高屈折率層の形成方法は、スパッタ法であることが好ましい。緻密な第四高屈折率層を得るためである。またこのときのスパッタ雰囲気の絶対圧は、第三高屈折率層の形成時と同様の範囲とすることができる。
3.透明導電体の物性について
本発明の透明導電体の製造方法により得られる透明導電体の波長400〜1000nmの光の平均透過率は80%以上であることが好ましく、より好ましくは83%以上、さらに好ましくは85%以上である。なお、透明金属層がパターニングされており、透明導電体に導通領域及び非導通領域が含まれる場合、いずれの領域においても、上記平均透過率は80%以上であることが好ましい。波長400〜1000nmの光の平均透過率が80%以上であると、広い波長範囲の光に対して透明性が要求される用途、例えば太陽電池等にも透明導電体を適用することができる。
また特に、透明導電体の波長450〜800nmの光の平均透過率は、導通領域及び非導通領域のいずれにおいても83%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは88%以上である。上記波長範囲における平均透過率が85%以上であると、透明導電体を、可視光に対して高い透明性が要求される用途に適用することができる。
一方、透明導電体の波長400nm〜800nmの光の平均吸収率は、導通領域及び非導通領域のいずれにおいても10%以下であることが好ましく、より好ましくは8%以下であり、さらに好ましくは7%以下である。また、透明導電体の波長450nm〜800nmの光の吸収率の最大値は、導通領域及び非導通領域のいずれにおいても15%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは9%以下である。一方、透明導電体の波長500nm〜700nmの光の平均反射率は、導通領域a及び非導通領域bのいずれにおいても、20%以下であることが好ましく、より好ましくは15%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。透明導電体の平均吸収率及び平均反射率が低いほど、平均透過率が高まる。
透明導電体の光の平均透過率及び平均反射率は、透明導電体の表面の法線に対して5°傾けた角度から測定光を入射させて分光光度計で測定する。また、平均吸収率は、100−(平均透過率+平均反射率)の計算式より算出される。
また透明導電体に導通領域a及び非導通領域bが含まれる場合、導通領域aの反射率及び非導通領域bの反射率がそれぞれ近似することが好ましい。具体的には、導通領域aの視感反射率と、非導通領域bの視感反射率との差ΔRが3%以下であることが好ましく、より好ましくは1%以下であり、さらに好ましくは0.3%以下である。一方、導通領域a及び非導通領域bの視感反射率は、それぞれ5%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。視感反射率は、分光光度計(U4100;日立ハイテクノロジーズ社製)で測定されるY値である。
また透明導電体100に導通領域a及び非導通領域bが含まれる場合、いずれの領域においても、L*a*b*表色系におけるa*値及びb*値は±30以内であることが好ましく、より好ましくは±5以内であり、さらに好ましくは±3.0以内であり、特に好ましくは±2.0以内である。L*a*b*表色系におけるa*値及びb*値が±30以内であれば、導通領域a及び非導通領域bのいずれの領域も無色透明に観察される。L*a*b*表色系におけるa*値及びb*値は、分光光度計で測定される。
4.透明導電体の用途
本発明の製造方法で得られる透明導電体は、液晶、プラズマ、有機エレクトロルミネッセンス、フィールドエミッションなど各種方式のディスプレイをはじめ、タッチパネルや携帯電話、電子ペーパー、各種太陽電池、各種エレクトロルミネッセンス調光素子など様々なオプトエレクトロニクスデバイスの基板等に好ましく用いることができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はこれによって何ら制限を受けない。
1.透明導電体の作製
以下に示す方法で、それぞれ透明導電体を得た。各透明導電体に含まれる層の材料及び厚み、形成方法を表1及び表2に示す。また、スパッタ法で形成する場合には、スパッタ雰囲気の絶対圧も併せて表1及び表2に示す。なお、各透明導電体の第一高屈折率層に用いたZnSの波長570nmの光の屈折率は、2.37であり、第二高屈折率層に用いたGZOの波長570nmの光の屈折率は2.04であり;NS−1P(商品名、JXホールディング社製)の波長570nmの光の屈折率は2.05であり;ITOの波長570nmの光の屈折率は2.12であり;IGZOの波長570nmの光の屈折率は2.09である。これらはいずれも、透明基板(HCPET)の波長570nmの光の屈折率1.68より高かった。
[比較例1]
きもと社製HCPETフィルム、型番125G1SBFからなる透明基板上に、下記の蒸着法による各工程により、第一高屈折率層、透明金属層、及び第二高屈折率層を形成した。
(第一高屈折率層形成工程)
シンクロン製のBMC−800T蒸着機を用いて、透明基板上に抵抗加熱でZnSからなる層を形成した。このときの投入電流値は300A、成膜レートは10Å/sとした。
(透明金属層形成工程)
第一高屈折率層上に、シンクロン製のBMC−800T蒸着機を用いて、抵抗加熱で銀からなる透明金属層を形成した。このときの投入電流値は210A、成膜レートは7Å/sとした。
(第二高屈折率層形成工程)
シンクロン製のBMC−800T蒸着機を用いて、透明金属層上に抵抗加熱でZnSからなる層を形成した。このときの投入電流値は300A、成膜レートは10Å/sとした。
[比較例2]
きもと社製HCPETフィルム、型番125G1SBFからなる透明基板上に、下記のスパッタ法による各工程により、第一高屈折率層、透明金属層、及び第二高屈折率層を形成した。
(第一高屈折率層及び第二高屈折率層形成工程)
アネルバ社のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、絶対圧0.4Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート1.7Å/sでZnSをRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmとした。
(透明金属層形成工程)
アネルバ社のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、絶対圧0.4Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート4.0Å/sで銀をDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmとした。
[実施例1]
透明基板上に、第一高屈折率層、透明金属層、及び第二高屈折率層を形成して、透明導電体を得た。なお、第一高屈折率層の形成方法は、比較例2の第一高屈折率層と同様にスパッタ法で形成した。また、透明金属層は、比較例1の透明金属層と同様に蒸着法で形成した。また、第二高屈折率層の形成は、以下のようにスパッタ法で行った。
(第二高屈折率層形成工程)
アネルバ社のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、絶対圧0.4Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート1.7Å/sでGZOをDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmとした。
[実施例2]
第一高屈折率層の形成方法を、比較例1の第一高屈折率層と同様の蒸着法とした以外は、実施例1と同様に透明導電体を作製した。
[実施例3]
第二高屈折率層の形成時のスパッタ雰囲気の絶対圧を表1に示す値に変更した以外は、実施例2と同様に透明導電体を作製した。
[実施例4]
第二高屈折率層の形成時のスパッタ雰囲気の絶対圧及び厚みを表1に示す値に変更し、さらに第三高屈折率層を以下のようにスパッタ法で形成した以外は、実施例3と同様に透明導電体を作製した。
(第三高屈折率層形成工程)
続けて、第二高屈折率層形成工程と同一の装置にて、Ar 20sccm、O 0sccm、絶対圧0.2Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート1.7Å/sでGZOをDCスパッタした。
[実施例5]
第二高屈折率層及び第三高屈折率層形成時のスパッタ雰囲気の絶対圧及び厚みを表1に示す値に変更した以外は、実施例4と同様に透明導電体を作製した。
[実施例6]
第二高屈折率層及び第三高屈折率層形成時のスパッタ雰囲気の絶対圧及び厚みを表1に示す値に変更した以外は、実施例4と同様に透明導電体を作製した。
[実施例7]
第二高屈折率層及び第三高屈折率層形成時のスパッタ雰囲気の絶対圧及び厚みを表1に示す値に変更した以外は、実施例4と同様に透明導電体を作製した。
[実施例8]
密着層及び保護層を以下の方法で形成し、第二高屈折率層及び第三高屈折率層形成時のスパッタ雰囲気の絶対圧及び厚みを表1に示す値に変更した以外は、実施例4と同様に透明導電体を作製した。
(密着層形成工程及び保護層形成工程)
シンクロン製のBMC−800T蒸着機を用いて、抵抗加熱でSiOを蒸発源としSiOからなる密着層を形成し、GZOを蒸発源としてGZOからなる保護層を形成した。いずれも投入電流値は210A、成膜レートは5Å/sとした。
[実施例9]
各層の厚みを表1に示される厚みとした以外は、実施例8と同様に透明導電体を作製した。
[実施例10]
各層の厚みを表1に示される厚みとし、さらに第三高屈折率層をNS−1Pからなる層とITOからなる層との積層構造とした以外は、実施例9と同様に透明導電体を作製した。
[実施例11]
各層の厚みを表2に示される厚みとし、第二高屈折率層をNS−1Pからなる層とし、第三高屈折率層をITOからなる層とした以外は、実施例9と同様に透明導電体を得た。
[実施例12]
保護層を形成しなかった以外は、実施例11と同様に透明導電体を得た。
[実施例13]
密着層及び保護層を形成しなかった以外は、実施例11と同様に透明導電体を得た。
[実施例14]
各層の厚みを表2に示される厚みとし、さらに第三高屈折率層をIGZOからなる層とITOからなる層との積層構造とした以外は、実施例9と同様に透明導電体を作製した。
[実施例15]
第二高屈折率層をIGZOからなる層とした以外は、実施例11と同様に透明導電体を作製した。
[実施例16]
第二高屈折率層形成工程及び第三高屈折率層形成工程のスパッタ雰囲気の絶対圧を表2に示されるように変更した以外は、実施例15と同様に透明導電体を作製した。
[実施例17]
透明金属層の蒸着源をAPC−TR(商品名、フルヤ金属社製)に変更した以外は、実施例15と同様に透明導電体を得た。
[実施例18]
第二高屈折率層をZnSからなる層、第三高屈折率層をIGZOからなる層とした。また第二高屈折率層及び第三高屈折率層形成時のスパッタ雰囲気の絶対圧及び厚みは表2に示す値とした。さらに、第四高屈折率層を以下の方法で形成した。密着層、第一高屈折率層、透明金属層、及び保護層については、実施例11と同様に作成した。
(第四高屈折率層形成工程)
第二高屈折率層形成工程及び第三高屈折率層形成工程と同一の装置にて、Ar 20sccm、O 0sccm、真空度0.25Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート1.7Å/sでITOをDCスパッタした。
2.評価
各実施例及び比較例の製造方法で得られた透明導電体について、平均透過率、及び耐湿性を下記の方法で評価した。結果を表1及び表2に示す。
(平均透過率)
各実施例及び比較例で得られた透明導電体の波長450〜800nmの光の平均透過率を以下のように算出した。得られた透明導電体について、透明金属層の表面(第二高屈折率層側の表面)の法線に対して5°傾けた位置から測定光を入射させた。そして、透明導電体の平均透過率を分光光度計(日立ハイテク社製U4100)で測定した。
(耐湿性)
各透明導電体を85℃、85%Rhの湿熱環境下に250時間載置した。その後、透明導電体の外観を目視で観察し、以下の基準で評価した。
◎:外観に異常なし
○:1〜5個の斑点が観察される
×:6個以上の斑点が観察される
(生産性)
生産性を以下の基準で評価した。
◎:透明導電体の作製時間が7分51秒未満
○:透明導電体の作製時間が7分51秒〜7分55秒未満
×:透明導電体の作製時間が7分55秒以上
Figure 2016177940
Figure 2016177940
表1及び表2に示されるように、透明金属層を蒸着法で形成し、第二高屈折率層をスパッタ法で形成した場合には、耐湿性及び生産性のいずれの評価も良好であった(実施例1〜18)。これに対し、透明金属層をスパッタ法で形成すると、生産性が低かった(比較例2)。また、第二高屈折率層を蒸着法で形成すると、第二高屈折率層が緻密になり難く、耐湿性が十分に得られなかった(比較例1)。
なお、透明金属層上に、スパッタ雰囲気の絶対圧が低い状態で第二高屈折率層を形成すると(例えば実施例3や実施例4)、透明導電体の平均透過率が若干低下した。これは、透明金属層表面が、スパッタにより荒れて、透明金属層表面で光の吸収が生じやすかったためであると推察される。
これに対し、第三高屈折率層を設け、さらに第二高屈折率層より第三高屈折率層のスパッタ雰囲気の絶対圧を低くした場合(実施例5〜18)、いずれも平均透過率が86.1%以上となり、十分な光透過性が得られた。第二高屈折率層形成時に、透明金属層表面が荒れ難く、光の吸収が生じ難かったと推察される。また特に、第三高屈折率層形成時のスパッタ雰囲気の絶対圧を、第二高屈折率層形成時のスパッタ雰囲気の絶対圧より0.1Pa以上高くし、第二高屈折率層の厚みを0.5nm以上とすると(実施例7〜18)、光透過率がさらに高まりやすく、さらに透明導電体の耐湿性が高まりやすかった。
1 透明基板
2 第一高屈折率層
3 透明金属層
4 第二高屈折率層
5 第三高屈折率層
100 透明導電体

Claims (7)

  1. 透明基板上に、気相成膜法により、前記透明基板の波長570nmの光の屈折率より波長570nmの光の屈折率が高い誘電性材料または酸化物半導体材料を含む第一高屈折率層を形成する工程と、
    前記第一高屈折率層上に、蒸着法により、銀またはその合金を含む透明金属層を形成する工程と、
    前記透明金属層上に、スパッタ法により、前記透明基板の波長570nmの光の屈折率より波長570nmの光の屈折率が高い誘電性材料または酸化物半導体材料を含む第二高屈折率層を形成する工程と、を有する透明導電体の製造方法。
  2. 前記第一高屈折率層の形成方法が、蒸着法である、請求項1記載の透明導電体の製造方法。
  3. 前記第二高屈折率層上に、スパッタ法により、前記透明基板の波長570nmの光の屈折率より波長570nmの光の屈折率が高い誘電性材料または酸化物半導体材料を含む第三高屈折率層を形成する工程をさらに有し、
    前記第三高屈折率層形成時のスパッタ雰囲気の絶対圧が、前記第二高屈折率層形成時のスパッタ雰囲気の絶対圧より低い、請求項1または2に記載の透明導電体の製造方法。
  4. 前記第三高屈折率層形成時のスパッタ雰囲気の絶対圧が、前記第二高屈折率層形成時のスパッタ雰囲気の絶対圧より0.1Pa以上低い、請求項3に記載の透明導電体の製造方法。
  5. 前記第二高屈折率層の厚みは0.5nm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の透明導電体の製造方法。
  6. 前記透明金属層上に保護層を形成する工程をさらに含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の透明導電体の製造方法。
  7. 前記透明導電体を、パターニングする工程をさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の透明導電体の製造方法。
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