JP2016115638A - 透明導電膜およびその製造方法 - Google Patents

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昌紀 後藤
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Abstract

【課題】パターン化後の保存安定性を向上させた透明導電膜を提供する。【解決手段】本発明に係る透明導電膜1は、透明基板2上に形成された第1光学調整層3と、銀を含有する導電層4と、第2光学調整層5と、がこの順に積層された透明導電積層体を備え、前記導電層4がパターン化されており、前記第1光学調整層3および前記第2光学調整層5のうち少なくとも前記第1光学調整層3は硫化物を含有し、前記導電層4は、前記透明導電積層体の端部に露出していないことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、透明導電膜およびその製造方法に関する。
近年、薄型TV需要の高まりに伴い、液晶、プラズマ、有機エレクトロルミネッセンス、フィールドエミッションなど、各種方式のディスプレイ技術が開発されている。これら表示方式の異なるいずれのディスプレイにおいても、透明導電膜を用いた透明電極は必須の構成技術となっている。また、テレビ以外でもタッチパネルや携帯電話、電子ペーパー、各種太陽電池、各種エレクトロルミネッセンス調光素子においても、透明導電膜は欠くことのできない技術要素となっている。
最近では、導電層の低抵抗化を図るため、導電層に銀を含有させることが検討されている。このような技術を採用した発明が、例えば、特許文献1に開示されている。
具体的に、特許文献1には、基体、その基体上に形成された高屈折率層、及びその高屈折率層上に形成された金属導電層を含む実質的に透明の電極組立体であり、前記導電層上に形成された、少なくとも400オーム/□の導電率を有する高屈折率トップ層、並びに、少なくとも前記トップ層及び導電層が、その導電層が複数の個別電極に分割されるようにパターン化されていることを特徴とする、電極組立体が開示されている。そして、この特許文献1には、導電層が、金、銀、及び、金/銀の合金の少なくとも一つを含むと記載されている。
特表2002−509272号公報
しかしながら、特許文献1のように、導電層に銀を用いた場合、次のような問題がある。図3に示すように、透明基板20上に形成された第1光学調整層30と、銀を含有する導電層40と、第2光学調整層50と、がこの順に積層された透明導電積層体にレーザー照射を行ったり、エッチングを行ったりしてパターン化し、所定の配線形態となるようにした透明導電膜10とすると、離間した導電層40と導電層40の間にイオンマイグレーション(以下、マイグレーションとも言う)が発生することがある。なお、マイグレーションとは、導電層40から溶出した金属が析出、成長する現象をいい、これが発生すると、導電層40間が短絡してしまい、故障の原因となる。このように、導電層40に銀を用いた場合、パターン化後の保存安定性が良くないという問題があった。
特に、最近では、製品の小型化や高性能化の要求の高まりから、導電層40と導電層40の間隔(配線間隔)がより狭小化しており、マイグレーションによる故障がさらに生じ易くなっている。
本発明は前記状況に鑑みてなされたものであり、パターン化後の保存安定性を向上させた透明導電膜およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明の前記課題は、以下の構成により達成される。
1.透明基板上に形成された第1光学調整層と、銀を含有する導電層と、第2光学調整層と、がこの順に積層された透明導電積層体を備え、前記導電層がパターン化されている透明導電膜であって、前記第1光学調整層および前記第2光学調整層のうち少なくとも前記第1光学調整層は硫化物を含有し、前記導電層は、前記透明導電積層体の端部に露出していないことを特徴とする透明導電膜。
2.前記導電層のパターン化は、前記透明導電積層体に対してレーザー照射を行うことで成されたものであり、前記レーザー照射は、前記導電層のレーザー光吸収率が、前記第1光学調整層のレーザー光吸収率および前記第2光学調整層のレーザー光吸収率よりも高くなる波長で行われたことを特徴とする前記1に記載の透明導電膜。
3.透明基板上に形成された第1光学調整層と、銀を含有する導電層と、第2光学調整層と、がこの順に積層された透明導電積層体を備え、前記導電層がパターン化されており、前記第1光学調整層および前記第2光学調整層のうち少なくとも前記第1光学調整層は硫化物を含有している透明導電膜の製造方法であって、前記透明導電積層体を形成した後、前記透明導電積層体に対して、前記導電層のレーザー光吸収率が、前記第1光学調整層のレーザー光吸収率および前記第2光学調整層のレーザー光吸収率よりも高くなる波長でレーザー照射を行い、前記導電層をパターン化することを特徴とする透明導電膜の製造方法。
本発明に係る透明導電膜によれば、パターン化後の保存安定性を向上させることができる。
本発明に係る透明導電膜の製造方法によれば、パターン化後の保存安定性を向上させた透明導電膜を製造することができる。
本発明に係る透明導電膜の一実施形態を説明する概略断面図である。 本発明に係る透明導電膜の透過型電子顕微鏡による断面観察像である。同図中のスケールバーは2μmを示す。 従来の透明導電膜を説明する概略断面図である。
以下、適宜図面を参照して、本発明に係る透明導電膜およびその製造方法を実施するための形態(実施形態)について詳細に説明する。
[透明導電膜]
はじめに、本発明に係る透明導電膜の一実施形態について説明する。図1は、本発明に係る透明導電膜1の一実施形態を説明する概略断面図である。
図1に示すように、本発明に係る透明導電膜1は、透明基板2上に第1光学調整層3と、導電層4と、第2光学調整層5と、がこの順に積層された透明導電積層体を備えている。なお、図1では、第1光学調整層3と、導電層4と、第2光学調整層5とが一層ずつ積層されている様子を図示しているがこれに限定されるものではない。透明導電膜1は、例えば、前記した第1光学調整層3と、導電層4と、第2光学調整層5とを1セットとして、これを2セット以上重ねて設けることもできる。
そして、このような構成の透明導電膜1において、第1光学調整層3および第2光学調整層5のうち少なくとも第1光学調整層3は硫化物を含有しており、また、導電層4は、透明導電積層体の端部に露出していない構成としている。
なお、本発明に係る透明導電膜1には、透明基板2、第1光学調整層3、導電層4、第2光学調整層5以外の層が含まれてもよい。
例えば、第1光学調整層3や第2光学調整層5に硫黄(S)が含まれる場合には、第1光学調整層3や第2光学調整層5と導電層4とが接触すると、導電層4中の銀(Ag)が硫化されて導電層4が変色し、導電層4の透明性が低下することがある。そこで、第1光学調整層3と導電層4との間および導電層4と第2光学調整層5との間のうちの少なくとも一方に、導電層4に含まれているAgと、第1光学調整層3や第2光学調整層5に含まれているSとの接触を妨げるための中間層(図示せず)を設けてもよい。
さらに、本発明に係る透明導電膜1の最上層に保護層(図示せず)を設けてもよい。透明導電膜1に保護層を設けると、透明導電膜1の各層が外部の衝撃から保護され、さらに各層の化学的変性を抑制することができる。
(透明基板)
透明基板2は、高い光透過性を有しているものであれば特に制限なく用いることができ、その材料、形状、構造、厚みなどについては公知のものの中から適宜選択することができる。透明基板2としては、例えば、基材としての硬度に優れ、またその表面への導電層4の形成のし易さなどの点でガラス基板、樹脂基板、樹脂フィルムなどが好適に挙げられるが、軽量性と柔軟性の観点から樹脂フィルムを用いることが好ましい。
樹脂基板および樹脂フィルムに用いられる樹脂については特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。樹脂基板および樹脂フィルムに用いられる樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリオレフィンポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブタジエン樹脂、酢酸セルロース、硝酸セルロース、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、透明性および可撓性に優れる点でポリエチレンテレフタレート樹脂が好ましい。
透明基板2の厚みは、1μm〜2mmであることが好ましく、より好ましくは10μm〜2mmである。透明基板2の厚みが1μm以上であると、透明基板2の強度が高まり、第1光学調整層3の作製時に割れたり、裂けたりし難くなる。一方、透明基板2の厚みが2mm以下であれば、透明導電膜1のフレキシブル性が十分となる。さらに透明導電膜1を用いた機器の厚みを薄くできる。また、透明導電膜1を用いた機器を軽量化することもできる。
(第1光学調整層)
第1光学調整層3は、透明導電膜1において、導電層4を含む領域の表面の反射率を調整するための層である。前記したように、第1光学調整層3および第2光学調整層5のうちのうち、少なくともこの第1光学調整層3は硫化物を含有している。硫化物としては、例えば、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化鉛(PbS)、硫化銅(CuS)、硫化銀(AgS)、硫化マンガン(MnS)、硫化モリブデン(MoS)、硫化アンチモン(Sb)などを挙げることができる。
第1光学調整層3および第2光学調整層5は、柔軟性を付与する目的で金属酸化物または金属フッ化を含んでもよい。金属酸化物または金属フッ化物は、硫化物をアモルファス化することが可能な化合物であれば特に制限されず、SiO、NaAl14、NaAlF、AlF、MgF、CaF、BaF、Al、YF、LaF、CeF、NdF、ZrO、SiO、MgO、Yなどを用いることができる。これらは1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。これらの化合物は特に好ましくはSiOである。
金属酸化物または金属フッ化物は、第1光学調整層3および第2光学調整層5の総体積に対して10〜50体積%含まれることが好ましく、より好ましくは15〜30体積%である。
図1に示すように、第1光学調整層3をパターン化して透明導電膜1に導通領域aおよび非導通領域bを形成する場合、第1光学調整層3は、透明導電膜1の導通領域aに少なくとも形成される。なお、導通領域aとは、透明基板2、第1光学調整層3、導電層4および第2光学調整層5を少なくとも含む領域をいい、非導通領域bとは、導電層4を含まない領域(透明基板2のみの領域を含む)をいう。
一般的に導電層4の反射率は、透明基板2の反射率より高いが、導電層4が第1光学調整層3および第2光学調整層5に挟み込まれると、表面反射が抑制される。つまり、導通領域aおよび非導通領域bを形成した場合に、これらの領域の反射率が近くなる。
第1光学調整層3には、前述の透明基板2の屈折率より高い屈折率を有する誘電性材料または酸化物半導体材料が含まれる。透明基板2が複数層からなる場合、誘電性材料または酸化物半導体材料は、透明基板2を構成するいずれの層より高い屈折率を有する材料とする。ここで、第1光学調整層3は、当該誘電性材料または酸化物半導体材料が樹脂バインダーで結着された層であってもよく、樹脂バインダーを含まない層であってもよい。
第1光学調整層3に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料の波長570nmの光の屈折率は、透明基板2の波長570nmの光の屈折率より0.1〜1.1大きいことが好ましく、0.4〜1.0大きいことがより好ましい。一方、第1光学調整層3に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料の波長570nmの光の具体的な屈折率は1.5より大きいことが好ましく、1.7〜2.5であることがより好ましく、さらに好ましくは1.8〜2.5である。誘電性材料または酸化物半導体材料の屈折率が1.5より大きいと、第1光学調整層3によって、導電層4を含む領域(導通領域a)の表面の反射率が十分に調整される。
第1光学調整層3に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料は、絶縁性の材料であってもよく、導電性の材料であってもよい。誘電性材料または酸化物半導体材料としては、例えば、TiO、ITO(酸化インジウムスズ)、ZnO、ZnS、Nb、ZrO、CeO、Ta、Ti、Ti、Ti、TiO、SnO、LaTi、IZO(酸化インジウム・酸化亜鉛)、AZO(AlドープZnO)、GZO(GaドープZnO)、ATO(SbドープSnO)、ICO(インジウムセリウムオキサイド)、Ga、IGZO(In、GaおよびZnの酸化物)などが挙げられる。第1光学調整層3には、誘電性材料または酸化物半導体材料が1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。誘電性材料または酸化物半導体材料は、特に好ましくは、ZnS、ZnO、TiO、GZO、ITO、IGZOである。
なお、第1光学調整層3には、前記の屈折率が高い誘電性材料や酸化物半導体材料以外に、波長570nmの光の屈折率が1.5未満である材料が一部含まれてもよい。波長570nmの光の屈折率が1.5未満である材料としては、例えば、MgF、SiOなどが挙げられる。なお、ZnSと共にSiOが含まれると、第1光学調整層3が非晶質になり易く、透明導電膜1のフレキシブル性が高まり易い。光の屈折率が1.5未満の材料の混合比率は、光の屈折率が高い誘電性材料や酸化物半導体材料100部(原子の数)に対して30部(原子の数)以下であることが好ましく、より好ましくは20部(原子の数)以下である。
ここで、第1光学調整層3が、樹脂バインダーを含まない層である場合、第1光学調整層3の屈折率は、第1光学調整層3に含まれる材料の屈折率や、第1光学調整層3に含まれる材料の密度で調整される。
第1光学調整層3が樹脂バインダーを含まない層である場合、当該第1光学調整層3は、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法などの一般的な気相成膜法、または塗布で成膜された層とすることができる。第1光学調整層3の屈折率(密度)が高まるとの観点から、第1光学調整層3は、電子ビーム蒸着法またはスパッタ法で成膜された層であることが好ましい。電子ビーム蒸着法の場合は膜密度を高めるため、IAD(イオンアシスト)などのアシストがあることが好ましい。
一方、第1光学調整層3が、誘電性材料または酸化物半導体材料を樹脂バインダーで結着した層である場合、第1光学調整層3の屈折率は、第1光学調整層3に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料の屈折率や、第1光学調整層3中の誘電性材料または酸化物半導体材料の密度で調整することができる。このとき、第1光学調整層3の総量に対して、誘電性材料または酸化物半導体材料は10〜50質量%含まれることが好ましく、より好ましくは30〜50質量%である。誘電性材料または酸化物半導体材料の量が前記範囲であると、第1光学調整層3の屈折率が高まり易く、第1光学調整層3によって、導通領域aの表面の反射率が所望の範囲に調整され易くなる。
第1光学調整層3に含まれる樹脂バインダーとしては、光透過性が高い樹脂であれば特に制限されず、熱可塑型樹脂、紫外線硬化型樹脂、または熱硬化型樹脂のいずれでも用いることができる。これらの樹脂としては、例えばアクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂などを用いることができる。
第1光学調整層3が、誘電性材料または酸化物半導体材料を樹脂バインダーで結着した層である場合、当該第1光学調整層3は、樹脂成分(前述の樹脂またはその前駆体)と、誘電性材料または酸化物半導体材料と、必要に応じて重合開始剤や溶媒などを含む樹脂組成物を透明基板2上に塗布し、当該樹脂組成物を固化または硬化させることによって得ることができる。
当該樹脂組成物に含まれる重合開始剤は、樹脂の種類に応じて適宜選択され、一般的な光重合開始剤、熱重合開始剤などを用いることができる。光重合性の樹脂成分と共に用いられる光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、アルキルフェノン系などを用いることができる。また、熱重合性の樹脂成分と共に用いられる熱重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物やカチオン重合開始剤などを用いることができる。
また、前記樹脂組成物に含まれる溶媒は、樹脂バインダーなどの種類に応じて適宜選択され、例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒、炭化水素系溶媒などの各種有機溶媒を用いることができる。
また、樹脂組成物の塗布方法は特に制限されず、例えば、バーコーター法、ロールコーター法、カーテンフロー法、スプレー法、グラビアコート法、ダイコート法、コンマコート法、ディップコート法、スピンコート法などの公知の方法を適用することができる。また、樹脂組成物を固化または硬化させる方法は、樹脂バインダーの種類などに応じて適宜選択される。例えば、樹脂バインダーが熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂である場合、加熱により溶媒を除去し、樹脂組成物を固化または硬化させる方法を採用することができる。一方、樹脂バインダーが紫外線硬化型樹脂である場合、樹脂組成物に紫外線を照射することで、樹脂組成物を硬化させる方法を採用することができる。紫外線硬化時の光源としては、例えば、超高圧、高圧、低圧水銀灯、ケミカルランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、マーキュリーハロゲンランプ、カーボンアーク灯、白熱灯、レーザー光などを挙げることができる。照射時間は、ランプの種類、光源の強さによって適宜選択されるが、数秒〜数分程度である。また、紫外線照射と併せて、溶媒の除去や硬化促進のために、紫外線照射前に加熱してもよい。
第1光学調整層3の厚みは、導電層4を含む領域における所望の反射率、および所望の色度によって適宜選択されるが、通常3〜150nmであることが好ましく、より好ましくは5〜80nmである。第1光学調整層3の厚みが3nm以上であると、第1光学調整層3によって、導電層4を含む領域の反射率の調整が容易となる。一方、第1光学調整層3の厚みが、150nm以下であると、第1光学調整層3が含まれる領域の光透過性が低下し難い。第1光学調整層3の厚みは、エリプソメーターなどで測定することができる。
(導電層)
導電層4は、透明導電膜1において電気を導通させるための層である。導電層4は、パターン化後、透明導電積層体の端部に露出していないようにする。導電層4が透明導電積層体の端部に露出していないようにする手法については後述する。
導電層4は、銀(金属銀)または銀と銀以外の金属との合金(銀合金)を含有してなる層である。銀合金に含まれる金属は、銅、金、白金、チタン、クロム、亜鉛、パラジウム、アルミニウム、マンガン、ビスマス、ネオジム、モリブデンなどが挙げられる。銀合金中には、これらの金属が一種のみ含まれてもよく、二種以上含まれてもよい。銀合金には、導電性の観点から、銀が90原子%(at%)以上含まれることが好ましく、より好ましくは97at%以上含まれることが好ましい。銀合金に含まれる各原子の種類や、その含有量は、例えばXPS法などで特定することができる。
導電層4の厚みは、好ましくは15nm以下であり、より好ましくは3〜13nmであり、さらに好ましくは5〜12nmである。本発明に係る透明導電膜1では、導電層4の厚みが15nm以下であると、導電層4に金属本来の反射が生じ難い。さらに、導電層4の厚みが15nm以下であると、第1光学調整層3および第2光学調整層5によって、透明導電膜1の導通領域aの表面反射が十分に抑制され易くなり、パターン見え(骨見えとも呼称されている)が抑制される。導電層4の厚みは、エリプソメーターで測定することができる。
導電層4は、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法などの一般的な気相成膜法で成膜することができるが、導電層4の平均透過率を高めるためには、スパッタ法で成膜するのが好ましい。導電層4がスパッタ法で形成されると、導電層4が緻密かつ平滑な膜になり易い。スパッタ法の種類は特に制限されず、イオンビームスパッタ法や、マグネトロンスパッタ法、反応性スパッタ法、2極スパッタ法、バイアススパッタ法、対向スパッタ法などを用いることができる。
(第2光学調整層)
第2光学調整層5は、透明導電膜1において、導電層4を含む領域の表面の反射率を調整するための層である。第2光学調整層5は、透明導電膜1の全面に形成されいてもよいが、透明導電膜1に導通領域aおよび非導通領域bを形成する場合、第2光学調整層5は、透明導電膜1の導通領域aに少なくとも形成される。前述のように、透明導電膜1に第1光学調整層3および第2光学調整層5が含まれると、導電層4が形成されている領域の光の表面反射が抑制される。その結果、例えば導通領域aの反射率と、非導通領域bの反射率(透明基板2の反射率)とが近くなる。
第2光学調整層5には、前述の透明基板2の屈折率より高い屈折率を有する誘電性材料または酸化物半導体材料が含まれる。当該誘電性材料または酸化物半導体材料の波長570nmの光の屈折率は、透明基板2の波長570nmの光の屈折率より0.1〜1.1大きいことが好ましく、0.4〜1.0大きいことがより好ましい。一方、第2光学調整層5に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料の波長570nmの光の具体的な屈折率は1.5より大きいことが好ましく、1.7〜2.5であることがより好ましく、さらに好ましくは1.8〜2.5である。誘電性材料または酸化物半導体材料の屈折率が1.5より大きいと、第2光学調整層5によって、導電層4を有する領域の光の表面反射が十分に調整される。
第2光学調整層5に含まれる誘電性材料または酸化物半導体材料は、絶縁性の材料であってもよく、導電性の材料であってもよい。誘電性材料または酸化物半導体材料は、第1光学調整層3に含まれる誘電性材料または酸化物材料と同じものを用いることができる。第2光学調整層5には、誘電性材料または酸化物材料が1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。また、第2光学調整層5には、必要に応じて、屈折率が1.5未満である材料が一部含まれてもよい。当該材料は、第1光学調整層3に含まれる屈折率が1.5未満である材料と同じものを用いることができる。第2光学調整層5に含まれる屈折率が1.5未満である材料は、屈折率が高い誘電性材料や酸化物半導体材料100部(原子の数)に対して30部(原子の数)以下であることが好ましく、より好ましくは20部(原子の数)以下である。
また、第2光学調整層5は、誘電性材料または酸化物半導体材料を樹脂バインダーで結着した層であってもよく、樹脂バインダーを含まない層であってもよい。第2光学調整層5に含まれる樹脂バインダーや、誘電性材料または酸化物半導体材料の濃度は、第1光学調整層3に含まれる樹脂バインダーや、誘電性材料または酸化物半導体材料の濃度と同じとすることができる。また、第2光学調整層5の成膜方法は特に制限されず、第1光学調整層3と同様の方法とすることができる。
第2光学調整層5の厚みは、好ましくは3〜150nmであり、さらに好ましくは5nm〜80nmである。第2光学調整層5の厚みが3nm以上であると、第2光学調整層5によって、透明導電膜1の導電層4を含む領域の表面の反射率が十分に調整される。一方、第2光学調整層5の厚みが150nm以下であれば、第2光学調整層5が含まれる領域の光透過性が低下し難い。第2光学調整層5の厚みは、エリプソメーターで測定することができる。
(中間層)
中間層は、金属酸化物、金属フッ化物、金属窒化物、またはZnを含む層であるのが好ましい。中間層にはこれらが一種のみ含まれてもよく、二種以上含まれてもよい。金属酸化物としては、例えば、TiO、ITO、ZnO、Nb、ZrO、CeO、Ta、Ti、Ti、Ti、TiO、SnO、LaTi、IZO、AZO、GZO、ATO、ICO、Bi、a−GIO、Ga、GeO、SiO、Al、HfO、SiO、MgO、Y、WOなどが挙げられる。金属フッ化物としては、例えば、LaF、BaF、NaAl14、NaAlF、AlF、MgF、CaF、BaF、CeF、NdF、YFなどが挙げられる。金属窒化物としては、例えば、Si、AlNなどが挙げられる。また、中間層にZnを含む場合、中間層は、Znからなる層などとすることができる。
ここで、中間層は、導通領域aの表面の反射率に影響しない厚みであることが好ましい。中間層の厚みは、0.1nm以上3nm未満であることが好ましく、より好ましくは0.5nm以上3nm未満であり、さらに好ましくは1nm以上3nm未満である。
中間層は、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等、一般的な気相成膜法で成膜することができる。
(保護層)
前記したように、透明導電膜1には、表面に(最上層に)保護層を設けてもよい。保護層は、透明導電膜1の全面に設けることもできるが、透明導電膜1に導通領域aおよび非導通領域bを形成する場合、導通領域aのみに設けることもできる。
保護層は、透明導電膜1を外部から保護可能な層であれば、その材料は特に制限されない。保護層は、例えば、金属からなる層、無機化合物からなる層、または有機化合物からなる層のいずれであってもよい。保護層にはこれらが一種のみ含まれていてもよく、二種以上含まれてもよい。
保護層は、透明導電膜1の表面の反射率に影響を与えない厚みであることが好ましい。具体的には、保護層は厚みが1nm〜10μmであることが好ましく、より好ましくは5nm〜10μm、さらに好ましくは10nm〜10μmである。
保護層の成膜方法は、保護層の種類に応じて適宜選択される。例えば、保護層が金属からなる層や、無機化合物からなる層である場合には、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法などで形成することができる。一方、保護層が有機化合物からなる層である場合、有機化合物を必要に応じて、溶媒等に分散または溶解させて、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、公知のコーティング方法で塗布した後、これを乾燥、または硬化させる方法で形成することができる。
[透明導電膜の製造方法(導電層のパターン化)]
次に、本発明に係る透明導電膜の製造方法について説明する。
本発明に係る透明導電膜の製造方法は、前記したようにして透明基板2上に第1光学調整層3と、導電層4と、第2光学調整層5と、をこの順に積層して透明導電積層体を作製した後、当該透明導電積層体に対してレーザー照射を行うことで成すことができる。なお、前記したように、導電層4には銀が含有されており、第1光学調整層3および第2光学調整層5のうち少なくとも第1光学調整層3は硫化物を含有している。硫化物を含有する第1光学調整層3は昇華性に優れており、レーザーを照射することによって容易に昇華する(エッチングする)ことができる。
なお、レーザー照射によるエッチング(以下、レーザーエッチングと呼称することもある。)する場合、レーザーの種類は特に制限されず、例えば、Arレーザー、半導体レーザー、He−Neレーザー、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)レーザー、イットリウム・バナジウムオキサイド(YVO)レーザー、炭酸ガスレーザーなどのいずれでも行うことができる。これらを用いればいずれによっても、非導通領域bを精度よく形成することができる。なお、これらの中でも、YAGレーザーやYVOレーザーといった固体レーザーを用いるのが好ましい。
レーザー照射は、導電層4のレーザー光吸収率Aが、第1光学調整層3のレーザー光吸収率Bおよび第2光学調整層5のレーザー光吸収率Cよりも高くなる波長で行う。つまり、レーザー照射は、A>BかつA>Cとなる波長で行う(レーザーの波長の具体的な説明は後記する。)。このような波長条件でレーザー照射を行うと、第1光学調整層3および第2光学調整層5とともに導電層4も同時にエッチングされる。このとき、導電層4は銀を含有しているので、第1光学調整層3および第2光学調整層5よりも除去され易い。そのため、導電層4は、第1光学調整層3および第2光学調整層5よりも除去される寸法が若干大きくなる。その結果、図1に示すように、導電層4の端部は、レーザー照射によって溶融ないし軟かくなった第1光学調整層3および第2光学調整層5によって包みこまれ、透明導電積層体の端部に露出していない構成となる。これにより、銀のマイグレーションが抑制され、パターン化後の保存安定性が向上する。また、レーザーエッチングを行うことで、導通領域aと非導通領域bとを形成することができるだけでなく、レーザー波長吸収率の高い銀および昇華性の高い硫化物の作用により、透明基板2に対してパターン見えの原因となるダメージを与えることもない。さらに、レーザーエッチングを行うと、第1光学調整層3、導電層4、および第2光学調整層5などを積層して透明導電積層体を作製してから、一度の処理で導電層4のパターン化を終えることができるので、製造効率等の観点から好適である。
例えば、前記したYAGレーザーやYVOレーザーは、基本波の波長が1064nm程度であり、透明基板2の透明領域となりやすく、かつ透明導電積層体は自由電子吸収が存在する波長範囲となるため、透明基板2/透明導電積層体間に明確な吸収係数差が存在し、パターン化に適している。
また、YAGレーザーやYVOレーザーを用いる場合、これらの第2高調波(波長:532nm)、および第3高調波(波長:355nm)でも透明基板2/透明導電積層体間に吸収係数の差が存在するためパターニングが可能である。さらに、この波長領域では、一般的に透明導電積層体の吸収係数が基本波の領域よりも大きくなるので、基本波よりも小さな仕事率でのパターン化が可能である。
レーザーの仕事率は、透明基板2にダメージなく透明導電積層体のスクライブ(エッチング)を十分に行うことができ、パターン化が十分行われる好ましい範囲で、適宜調整することができる。
導通領域aの面内方向におけるパターン形状は、適宜設定することができる。パターン形状は、面発光させる場合は、導電層4の形状(すなわち、発光面の形状)が三角形、四角形や円形などの所定の面形状を成すようにすることができる。また、パターン形状を細線(以下、導電性細線と呼称することもある。)とする場合は、次のようにすることができる。
導電性細線の線幅は、例えば、30μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましく、9μm以下が特に好ましく、7μm以下が最も好ましく、0.5μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましいが、これに制限されるものではない。導電性細線の線幅がこの範囲にあれば、低抵抗の電極を比較的容易に形成することができる。
導電性細線がタッチパネル用導電シートにおける周辺配線(引き出し配線)として適用される場合には、導電性細線の線幅は500μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、30μm以下が特に好ましい。導電性細線の線幅がこの範囲にあれば、低抵抗のタッチパネル電極を比較的容易に形成できる。
導電性細線からなる導電部のパターンは特に制限されず、正三角形、二等辺三角形、直角三角形などの三角形、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、台形などの四角形、(正)六角形、(正)八角形などの(正)n角形、円、楕円、星形などを組み合わせた幾何学図形であることが好ましく、これらの幾何学図形からなるメッシュ状であることが更に好ましい。メッシュ状とは、交差する導電性細線により構成される複数の正方形状の格子を含んでいる形状を意図する。
格子の一辺の長さは特に制限されないが、50〜500μmであることが好ましく、150〜300μmであることがさらに好ましい。単位格子の辺の長さがこの範囲にある場合には、さらに透明性も良好に保つことが可能であり、表示装置の前面にとりつけた際に、違和感なく表示を視認することができる。
全光線透過率の点から、導電性細線より形成される導電部の開口率は85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが最も好ましい。開口率とは、導電性細線がある領域を除いた支持体上の領域が全体に占める割合に相当する。
(透明導電膜の物性について)
本発明に係る透明導電膜1の全光線透過率は、85%以上であることが好ましく、例えば、透明導電膜1が導通領域aおよび非導通領域bを含む場合には、いずれにおいても85%以上であることが好ましく、より好ましくは88%以上である。全光線透過率が85%以上であると、透明導電膜1を、可視光に対して高い透明性が要求される用途に適用することができる。全光線透過率はヘイズメーターで測定することができる。
一方、透明導電膜1の波長400〜800nmの光の平均吸収率は、10%以下であることが好ましい。透明導電膜1が、導通領域aおよび非導通領域bを含む場合には、いずれの領域においても10%以下であることが好ましい。平均吸収率は、より好ましくは8%以下であり、さらに好ましくは7%以下である。透明導電膜1の波長450〜800nmの光の吸収率の最大値は、15%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは9%以下である。
一方、透明導電膜1の波長500〜700nmの光の平均反射率は、導通領域aおよび非導通領域bのいずれにおいても、20%以下であることが好ましく、より好ましくは15%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。導通領域aおよび非導通領域bを含む場合には、これらのいずれの領域においても、平均吸収率や平均反射率を満たすことが好ましい。
透明導電膜1の平均吸収率および平均反射率が低いほど、平均透過率が高まる。透明導電膜1の平均吸収率および平均反射率は、透明導電体の表面の法線に対して5°傾けた角度から測定光を入射させて分光測色計で測定することができる。吸収率は、100−(透過率+反射率)の計算式によって算出することができる。
透明導電膜1の導電層4を含む領域、つまり導通領域aの表面電気抵抗は、50Ω/□以下であることが好ましく、さらに好ましくは30Ω/□以下である。導通領域aの表面電気抵抗値が50Ω/□以下である透明導電膜1は、静電容量方式のタッチパネル等に適用できる。導通領域aの表面電気抵抗値は、導電層4の厚みなどによって調整される。導通領域aの表面電気抵抗値は、例えばJIS K7194、ASTM D257等に準拠して測定することができる。また、市販の表面電気抵抗率計によっても測定することができる。
(透明導電膜の用途)
本発明に係る透明導電膜1は、液晶、プラズマ、有機エレクトロルミネッセンス、フィールドエミッションなど各種方式のディスプレイをはじめ、タッチパネルや携帯電話、電子ペーパー、各種太陽電池、各種エレクトロルミネッセンス調光素子など様々なオプトエレクトロニクスデバイスの基板などに好ましく用いることができる。特に、本発明に係る透明導電膜1は、パターン見えが少ないため、タッチパネルに好適である。透明導電膜1をオプトエレクトロニクスデバイスの基板などに用いる場合、透明導電膜1の表面(例えば、透明基板2と反対側の表面)は、接着層などを介して、他の部材と貼り合わせることができる。
以下、本発明の要件を満たす実施例とそうでない比較例とにより、本発明をより具体的に説明する。
試料101〜113に係る各透明導電膜を作製した。以下に、試料101〜113に係る各透明導電膜の構成および作製手順を示す。
また、表1に、試料101〜113に係る透明導電膜の構成および試料101〜113に係る透明導電膜の評価を示す。なお、試料112の第1光学調整層は、100部(原子の数)のZnSに対して、20部(原子の数)のSiOを混合した。
[透明導電膜の作製]
透明基板として両面ハードコートが形成されたポリエチレンテレフタレート(略称:CHC−PET、きもと社製)フィルムを準備した。そして、このCHC−PETフィルム上に、下記の方法に従って、スパッタ法により第1光学調整層/導電層/第2光学調整層をこの順に積層し、透明導電積層体を作製した。そして、積層した各層を下記の方法でパターン化して、ライン状に非導通領域を形成したパターンを有する透明導電膜をバッチ方式で作製した。
なお、各層の厚さは、J.A.Woollam Co.Inc.製のVB−250型VASEエリプソメーターで測定した。
(第1光学調整層の形成)
はじめに、CHC−PETフィルム上に第1光学調整層を形成した。第1光学調整層は、アネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar:20sccm、スパッタ圧:0.25Pa、室温下、ターゲット側電力:150W、ターゲットと基板の距離:86mm、成膜レート:1.5Å/s、RFスパッタで成膜した。これにより、表1に示す層厚(nm)の第1光学調整層を形成した。
なお、X線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)を用いて測定した結果、第1光学調整層がZnS、ITO、ZnS・SiO、またはCdSであることを確認した。
(導電層の形成)
次に、第1光学調整層を形成したCHC−PETフィルム上に導電層を形成した。導電層は、アネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar:20sccm、スパッタ圧:0.25Pa、室温下、ターゲット側電力:150W、ターゲットと基板の距離:86mm、RFスパッタで成膜した。これにより、表1に示す層厚の導電層を形成した。
(第2光学調整層の形成)
次に、導電層まで形成したCHC−PETフィルム上に、第2光学調整層を形成した。第2光学調整層は、アネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar:20sccm、スパッタ圧:0.25Pa、室温下、ターゲット側電力:150W、ターゲットと基板の距離:86mm、RFスパッタで成膜した。これにより、表1に示す層厚の第2光学調整層を形成した。
(透明導電膜のパターン化)
次に、形成した第1光学調整層、導電層および第2光学調整層を積層してなる透明導電積層体に対して表1に示すパターン形成方法によって、導電層を含まない非導通領域と、第1光学調整層、導電層および第2光学調整層を有する導通領域と、からなる電極パターンを形成した。
(パターン形成方法:レーザーエッチングの条件)
パターン形成方法に関して、レーザーエッチングの条件は、レーザー光の波長:1064nm、532nmまたは355nm、レーザー径:30μm、周波数:150kHz、パルス幅15nmの設定で、レーザー出力を適宜調整し、レーザー光を照射した。透明基板の搬送速度は3000mm/秒とした。また、導通領域および非導通領域の幅は30μmとし、ライン状に形成した。
(パターン形成方法:フォトリソグラフィーの条件)
また、パターン形成方法に関して、フォトリソグラフィーの条件は、レジストとして、東京応化工業社製のポジ型フォトレジストOFPR−800LBをスピンコーティング法により、2000rpmで30秒間の塗布、乾燥を行い、厚さ1μmのレジスト膜を形成した。次いで、L/S=30/30μmのラインパターンマスクを介して、60mJの条件で紫外線を照射し、現像液として、トクヤマ社製のポジ型フォトレジスト用現像液「トクソーSD−1」(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)を用いて現像した。
次いで、PAN(リン酸/酢酸/硝酸)系エッチャントにて、透明導電膜を一括エッチングした後、レジストを除去した。導通領域および非導通領域の幅は30μmとし、ライン状に形成した。
以上のようにして作製した試料101に係る透明導電膜に対し、全光線透過率[%]、シート抵抗[Ω/□]、パターン見え、パターン端部の導電層の露出の有無(パターン端部導電層露出)、およびマイグレーション耐性について評価した。これらの評価は次のようにして行った。その結果を透明導電膜の作製条件とともに表1に示す。なお、表1中の「−」は、第1光学調整層および第2光学調整層を形成していないことや、第1光学調整層および第2光学調整層を形成していないので、導電層がパターン端部に露出するという状態がないことを示す。
〔全光線透過率〕
各試料に係る透明導電膜について、ヘイズメーターNDH−5000(日本電色工業株式会社製)を用いて、全光線透過率を測定した。
〔シート抵抗〕
各試料に係る透明導電膜に、三菱化学アナリテック社製の抵抗率計「ロレスタEP MCP−2560」を接触させて、導通領域のシート抵抗値(Ω/□)を測定した。
〔パターン見え〕
各試料に係る透明導電膜に対し、以下の基準でパターン見え評価を行った。
◎:目視でパターン見えがほとんど確認できず、実用上良好である。
○:目視でパターン見えが若干確認できるが、非常に弱いパターン見えであり、実用上ほぼ良好である。
△:目視でパターン見えが確認できるが、弱いパターン見えであり、実用には耐えるレベルである。
×:目視でパターン見えが目立ち、実用に耐えないレベルである。
〔パターン端部導電層露出〕
各試料に係る透明導電膜のパターン端部において導電層が露出しているか否かを透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)によって確認した。なお、TEMは日本電子社製JEM−2100Fを用いた。導電層が露出しているものを「あり」、露出していないものを「なし」とした。なお、試料112に係る透明導電膜のパターン端部のTEM像を図2に示す。なお、図2のTEM像のスケールバーは0.2μmを示している。図2中、符号1は、透明導電膜を示し、符号2は、透明基板を示し、符号3は、第1光学調整層を示し、符号4は、導電層を示し、符号5は、第2光学調整層を示す。
〔マイグレーション耐性〕
各試料に係る透明導電膜を用いて、以下のようにして強制劣化試験によるマイグレーション耐性の評価を行った。
85℃、85%RHの条件にて、直流電源の正極側、負極側を隣接する透明導電パターンに接続し、両電極間に5Vの直流電圧を一定時間印加して、透明導電パターン間の非導通領域についての経時変化を光学顕微鏡にて観察した。そして、下記の基準に従ってマイグレーション耐性を評価した。
◎:非導通領域や導電層に変化が全く認められない。
○:マイグレーションによる導電層の溶解や析出がわずかに認められるが、実用上は問題ない範囲にある。
△:マイグレーションによる導電層の溶解や析出がやや認められるが、実用上は許容される範囲にある。
×:マイグレーションによる導電層の溶解や樹枝状の析出が明らかに認められ、導電層間が短絡している。
@0005
表1に示すように、本発明の要件を満たす試料104、105、108〜113に係る透明導電膜は、全光線透過率、シート抵抗、パターン見え、パターン端部導電層露出、およびマイグレーション耐性の各評価が良好な結果であった。また、今回行った検討により、少なくとも第1光学調整層に硫化物が含有されていれば良好なマイグレーション耐性が得られることが確認できた。
一方、本発明の要件を満たさない試料101〜103、106、107に係る透明導電膜は、全光線透過率、シート抵抗、パターン見え、パターン端部導電層露出、およびマイグレーション耐性のうちの少なくとも一つが良好でない結果となった。
具体的には、試料101、102に係る透明導電膜は、導電層に銀が含まれておらず、第1光学調整層および第2光学調整層を形成していなかったため、全光線透過率およびシート抵抗が良好でない結果となった。
試料103に係る透明導電膜は、フォトリソグラフィーによってパターン化を行ったので、パターン端部に導電層が露出し、マイグレーション耐性も良好でない結果となった。
試料106、107に係る透明導電膜は、第1光学調整層に硫化物が含有されていなかったので、レーザーエッチング不良となり、パターン見えが良好でない結果となった。
1 透明導電膜
2 透明基板
3 第1光学調整層
4 導電層
5 第2光学調整層

Claims (3)

  1. 透明基板上に形成された第1光学調整層と、銀を含有する導電層と、第2光学調整層と、がこの順に積層された透明導電積層体を備え、前記導電層がパターン化されている透明導電膜であって、
    前記第1光学調整層および前記第2光学調整層のうち少なくとも前記第1光学調整層は硫化物を含有し、
    前記導電層は、前記透明導電積層体の端部に露出していないことを特徴とする透明導電膜。
  2. 前記導電層のパターン化は、前記透明導電積層体に対してレーザー照射を行うことで成されたものであり、
    前記レーザー照射は、前記導電層のレーザー光吸収率が、前記第1光学調整層のレーザー光吸収率および前記第2光学調整層のレーザー光吸収率よりも高くなる波長で行われたことを特徴とする請求項1に記載の透明導電膜。
  3. 透明基板上に形成された第1光学調整層と、銀を含有する導電層と、第2光学調整層と、がこの順に積層された透明導電積層体を備え、前記導電層がパターン化されており、前記第1光学調整層および前記第2光学調整層のうち少なくとも前記第1光学調整層は硫化物を含有している透明導電膜の製造方法であって、
    前記透明導電積層体を形成した後、前記透明導電積層体に対して、前記導電層のレーザー光吸収率が、前記第1光学調整層のレーザー光吸収率および前記第2光学調整層のレーザー光吸収率よりも高くなる波長でレーザー照射を行い、前記導電層をパターン化することを特徴とする透明導電膜の製造方法。
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