JP2016169420A - 透明導電部材の製造装置、及び、透明導電部材の製造方法 - Google Patents

透明導電部材の製造装置、及び、透明導電部材の製造方法 Download PDF

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孝敏 末松
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Abstract

【課題】高い光透過性と低い抵抗とを両立した透明導電部材を作製するための製造方法を提供する。
【解決手段】透明基板上に設けられた透明基板よりも波長570nmの光の屈折率が高い誘電体材料及び酸化物半導体材料からなる第1高屈折率層上に、銀薄膜を形成する面の表面温度を−40℃以上10℃以下に冷却した状態で銀薄膜を形成する工程を有する。そして、銀薄膜上に、透明基板よりも波長570nmの光の屈折率が高い、誘電体材料及び酸化物半導体材料から選ばれる1種以上の材料を用いて第2高屈折率層を形成する工程を有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、銀薄膜を備える透明導電部材の製造装置、及び、透明導電部材の製造方法に係わる。
近年、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、無機及び有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ等の表示装置、タッチパネル、太陽電池等の各種装置に透明導電部材が使用されている。
タッチパネル型の表示装置等では、表示素子の画像表示面上に、透明導電部材を含む配線が配置される。従って、透明導電部材には、光の透過性が高いことが求められる。このような各種表示装置には、光透過性の高いITOを用いた透明導電部材が多用されている。
近年、静電容量方式のタッチパネル表示装置が開発され、透明導電部材の表面電気抵抗をさらに低くすることが求められている。しかし、従来のITO膜では、表面電気抵抗を十分に下げられないという問題があった。
そこで、銀の蒸着層を用いることが検討されている(例えば、特許文献1参照)。また、透明導電部材の光透過性を高めるため、銀層を屈折率の高い膜、例えばITO、Nb(酸化ニオブ)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、ICO(インジウム・セリウム酸化物)、a−GIO(ガリウム・インジウム酸化物)等からなる膜で挟み込むことも提案されている(例えば、特許文献2、非特許文献1参照)。さらに、銀層を、硫化亜鉛を含有する層(以下、ZnS層又は硫化亜鉛含有層ともいう)で挟み込むことも提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
特開2007−250430号公報 特開2003−73860号公報
Transparent Conductive Film Nb2O5/Ag/IZO with an Anti-Reflection Design,Ywh-Tarng Leu, et al., SID 2012 DIGEST p.352-353 Xuanjie Liu,et al, (2003). Thin Solid Films 441, 200-206
上述のように、表示装置、タッチパネル、太陽電池等に透明導電部材を用いる場合、表示装置やタッチパネルの視認性、太陽電池のエネルギー効率の観点から、光の透過性がより高いことが求められている。一方、特許文献1、2、非特許文献1、2に示されるような構成においても、透明導電部材の高透明化を狙い、銀層を薄膜化すると、透明導電部材の吸収率が増大し、ねらい通りの光の透過性が得られないといった問題があった。
上述した問題の解決のため、本発明においては、高い光透過性と低い抵抗とを両立した透明導電部材を作製するための製造装置、及び、透明導電部材の製造方法を提供するものである。
本発明の透明導電部材の製造装置は、透明基板上に、第1高屈折率層、銀薄膜層、及び、第2高屈折率層をこの順に備える透明導電部材を製造する装置である。この製造装置は、透明基板上に形成された透明基板よりも波長570nmの光の屈折率が高い誘電体材料及び酸化物半導体材料から選ばれる1種以上の材料からなる第1高屈折率層上に、銀薄膜を形成する銀薄膜形成部を有する。また、銀薄膜上に、透明基板よりも波長570nmの光の屈折率が高い誘電体材料及び酸化物半導体材料から選ばれる1種以上の材料からなる第2高屈折率層を形成する第2高屈折率層形成部を有する。そして、銀薄膜形成部に銀薄膜を形成する面の表面温度を−40℃以上10℃以下に冷却する透明基板の冷却部を有する。
また、本発明の透明導電部材の製造方法は、透明基板上に設けられた透明基板よりも波長570nmの光の屈折率が高い誘電体材料及び酸化物半導体材料からなる第1高屈折率層上に、銀薄膜を形成する面の表面温度を−40℃以上10℃以下に冷却した状態で銀薄膜を形成する工程を有する。そして、銀薄膜上に、透明基板よりも波長570nmの光の屈折率が高い、誘電体材料及び酸化物半導体材料から選ばれる1種以上の材料を用いて第2高屈折率層を形成する工程を有する。
本発明によれば、高い光透過性と低い抵抗とを両立した透明導電部材を作製するための製造装置、及び、透明導電部材の製造方法を提供することができる。
透明導電部材の製造装置の概略構成を示す図である。 透明導電部材の製造装置の概略構成を示す図である。 枚葉式の銀薄膜形成部の概略構成を示す図である。 透明導電部材の概略構成を示す図である。 透明導電部材の概略構成を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.透明導電部材の製造装置
2.透明導電部材の製造方法
〈1.透明導電部材の製造装置〉
以下本発明の透明導電部材の製造装置の具体的な実施の形態について説明する。
本実施形態の透明導電部材の製造装置により作製される透明導電部材は、透明基板上に、少なくとも、第1高屈折率層、銀薄膜層、及び、第2高屈折率層をこの順に備える。このため、透明導電部材の製造装置は、少なくとも、第1高屈折率層が形成された透明基板上に銀薄膜を形成する銀薄膜形成部、及び、銀薄膜上に第2高屈折率層を形成する第2高屈折率層形成部を備える。
また、透明導電部材の製造装置は、銀薄膜形成部において、銀薄膜を形成する面の表面温度を−40℃以上10℃以下に冷却する透明基板の冷却部を有する。銀薄膜を形成する面(銀薄膜形成面)とは、銀薄膜が形成される層の表面であり、銀薄膜の下層側で銀薄膜と直に接する層の表面を示す。例えば、本例では、第1高屈折率層の表面を示す。なお、第1高屈折率層と銀薄膜との間に他の層が介在する場合には、銀薄膜が形成される面は、第1高屈折率層との間介在する他の層の銀薄膜側の表面が、銀薄膜を形成する面(形成面)である。
なお、ここでの銀薄膜を形成する面の表面温度は、銀薄膜の形成部、例えばスパッタ装置のチャンバを閉める前に、接触式温度計等、例えば、TNA−110(タスコジャパン社製)を用いて、銀薄膜形成面の表面温度を測定する値である。
なお、透明導電部材としては、第1高屈折率層、銀薄膜層、及び、第2高屈折率層をこの順に備えていればよく、これらの層の間に他の層が設けられていてもよい。また、透明導電部材において、第1高屈折率層、及び、第2高屈折率層は、透明基板よりも波長570nmの光の屈折率が高い、誘電体材料及び酸化物半導体材料から選ばれる1種以上の材料から構成される。銀薄膜は、銀又は銀を主成分とする合金から構成される。
また、透明導電部材の製造装置は、銀薄膜層形成部、及び、第2高屈折率層形成部の各形成部の間や前後に、透明導電部材を構成する他の構成を設けるための形成部が配置されていてもよい。例えば、透明導電部材の製造装置は、透明基板上に第1高屈折率層を形成するための第1高屈折率層形成部を備えていてもよい。
[透明導電部材の製造装置]
図1に透明導電部材の製造装置の概略構成を示す。図1に示す透明導電部材の製造装置は、ロールツーロール方式で透明導電部材を作製する製造装置である。透明導電部材の製造装置は、第1高屈折率層形成部20、銀薄膜形成部22、第2高屈折率層形成部24を備える。また、透明基板10を搬送する搬送ローラ11,12,13,14,15,16を備える。
第1高屈折率層形成部20は、透明基板10上に第1高屈折率層を形成するための成膜ローラ21を備える。銀薄膜形成部22は、第1高屈折率層上に銀薄膜を形成するための成膜ローラ23を備える。第2高屈折率層形成部24は、銀薄膜上に第2高屈折率層を形成するための成膜ローラ25を備える。
なお、図1に示す透明導電部材の製造装置では、透明基板10上に形成される高屈折率層、銀薄膜については記載を省略している。また、各形成部が蒸着装置の場合には、チャンバ内に、ロータリーポンプ等の排気装置、原料となる蒸着源、抵抗加熱や電子ビーム等を用いた加熱装置等が設けられる。また、各形成部がスパッタ装置の場合には、チャンバ内に、ロータリーポンプ等の排気装置、原料となるターゲット材、試料とターゲットとの間に電圧を印加するための電源等が設けられる。各形成部がCVD(chemical vapor deposition)装置の場合には、ロータリーポンプ等の排気装置、原料ガス等の供給部、加熱部やプラズマ発生用の電極等が設けられる。これらの構成は、必要に応じて透明導電部材の製造装置に適用され、図1ではこれら各構成の図示を省略している。
銀薄膜形成部22において、成膜ローラ23は、透明基板10の冷却部を有する。銀薄膜形成部22の成膜ローラ23に冷却部を設けることにより、透明基板10を冷却し、銀薄膜層を形成際の銀薄膜形成面の表面温度、例えば第1高屈折率層の表面温度を、−40℃以上10℃以下の範囲に冷却できる製造装置を構成できる。冷却部は、例えば、成膜ローラ23内に冷却水、ショーワ社製のショウブラインPEスーパー等の不凍液等の冷却液を冷媒として供給する構成を適用できる。
銀薄膜を形成する際の銀薄膜形成面の表面温度を−40℃以上10℃以下とすることにより、銀薄膜の吸収率の増大を抑制でき、高透明な透明導電部材を得ることができる。
銀薄膜を形成する際の銀薄膜形成面の表面温度を−40℃以上10℃以下とすることによる効果の発現機構、作用機構については明確になっていないが、以下のように推察される。
透明導電部材は、銀薄膜層を第1高屈折率層と第2高屈折率層とで挟み込む構成により、表面反射を抑えることができ、高い光透過性を得ることができると推察される。さらに少なくとも銀薄膜層形成の際の銀薄膜形成面の表面温度を−40℃から10℃とすることで、銀薄膜層の吸収の増大を抑制できると推察される。原理的には銀等の金属は固有の吸収を持つため、銀薄膜層が薄ければ薄いほど、銀薄膜層の吸収率は小さくなり、透明導電部材の透明性は高くなる。しかし、実際、スパッタ装置や蒸着装置等の成膜装置を用いて10nm以下の非常に薄い銀層を形成すると、銀が連続で平滑な膜にならず、微小な粒塊や凝集物ができる。これが銀粒子特有のプラズモン吸収を引き起こし、吸収が増大する原因と考えている。そこで、銀薄膜形成面の表面温度を−40℃から10℃とした状態で、スパッタ装置や蒸着装置等の成膜装置を用いて銀薄膜層を形成すると、スパッタや蒸着で飛ばされる銀粒子が基板に付着した際に冷却され、銀粒子の動きが小さくなると推察される。この結果、銀の粒塊、凝集物の成長を抑制でき、銀薄膜層の吸収の増大を抑制できると考えている。
[透明導電部材の製造装置(変形例)]
透明導電部材の製造装置において、第1高屈折率層形成部と銀薄膜層形成部、及び、第2高屈折率層形成部の各形成部は、連続して配置されていなくてもよい。例えば、第1高屈折率層が形成された透明基板を巻き取るための巻き取り部を備えていてもよい。また、第1高屈折率層が形成され、ロール状に巻き取られた透明基板を準備し、この透明基板のロールを、銀薄膜層形成部に供給する構成としてもよい。
図2に、透明導電部材の製造装置の変形例の概略構成を示す。図2に示す製造装置では、ロール状に巻き取られた透明基板を準備し、この透明基板のロールを銀薄膜層形成部に供給する構成である。図2に示す製造装置は、ロール状の第1高屈折率層が形成された透明基板10を保持する送り出しローラ26と、銀薄膜形成部22とを備える。銀薄膜形成部22は、上述の図1に示す構成と同様であり、成膜ローラ23に透明基板10の冷却部を有する。図2に示す製造装置においても、銀薄膜形成部22の成膜ローラ23に冷却部を設けることにより、銀薄膜層を形成する際の銀薄膜形成面の表面温度を、−40℃以上10℃以下の範囲に冷却できる製造装置とする。
銀薄膜形成部22の後工程は、図1に示すように第2高屈折率層形成部に搬送してもよく、また、巻き取りローラにより巻き取ってもよい。
また、透明導電部材の製造装置は、上述のロールツーロール方式以外にも、枚葉式の製造装置とすることもできる。枚葉式の透明導電部材の製造装置の構成を図3に示す。図3では、銀薄膜形成部のみを示し、第2高屈折率層形成部やその他の形成部については銀薄膜形成部と同様の装置を適用することができるため、これらの構成の記載は省略する。
図3に示す銀薄膜形成部は、第1高屈折率層が形成された透明基板10が載置される試料台27と、この試料台27に接続された冷却ホース28とを備える。なお、チャンバやチャンバ内に設けられる成膜用のその他の構成は記載を省略する。
試料台27は、透明基板10の冷却部を有し、この冷却部に冷却ホース28を通じて冷媒を供給する構成である。銀薄膜形成部の試料台27に冷却部を設け、銀薄膜層を形成する際の銀薄膜形成面の表面温度を、−40℃以上10℃以下の範囲に冷却できる構成とすることにより、上述の図1に示す製造装置と同様に、銀薄膜の吸収率の増大を抑制でき、高透明な透明導電部材を得ることができる。
透明導電部材の製造装置は、銀薄膜層形成部、及び、第2高屈折率層形成部の各形成部の間や前後に、透明導電部材を構成する他の構成を設けるための形成部が配置されていてもよい。例えば、透明導電部材の製造装置は、第2高屈折率層上に第3高屈折率層を形成するための第3高屈折率層形成部を備えていてもよい。さらに、銀薄膜と第1高屈折率層の間や、銀薄膜と第2高屈折率層との間に、硫化防止層を設けるための硫化防止層形成部を備えていてもよい。
第1高屈折率層を、硫黄を含む材料で形成する場合には、硫黄を含む第1高屈折率層と、銀薄膜との間に、硫化防止層を形成することが好ましい。同様に、第2高屈折率層を、硫黄を含む材料で形成する場合には、硫黄を含む第2高屈折率層と、銀薄膜との間に、硫化防止層を形成することが好ましい。このような硫化防止層を形成する場合には、透明導電部材の製造装置においても、第1高屈折率層形成部と銀薄膜形成部との間、銀薄膜形成部と第2高屈折率層形成部との間に、硫化防止層形成部を配置する。
第3高屈折率層形成部や硫化防止層形成部の構成は、図1に示す高屈折率層形成部の構成を適用することができる。第3高屈折率層形成部や硫化防止層形成部を備える場合にも透明導電部材の製造装置は、各形成部が連続して配置されていなくてもよく、各形成部の後に透明基板の巻き取り部を備える構成としてもよい。
〈2.透明導電部材の製造方法〉
次に、透明導電部材の製造方法について説明する。本実施形態の製造方法で作製される透明導電部材は、透明基板上に、少なくとも、第1高屈折率層、銀薄膜、及び、第2高屈折率層を備える。このため、透明導電部材の製造方法は、第1高屈折率層上に銀薄膜を形成する工程と、銀薄膜上に第2高屈折率層を形成する工程とを有する。
ここで、本実施形態の製造方法で作製される透明導電部材は、図4に示すように、透明基板10、透明基板10上に設けられた第1高屈折率層31、第1高屈折率層31上に設けられた銀薄膜32、銀薄膜32上に設けられた第2高屈折率層33を備える。そして、銀薄膜32等がパターニングされ、透明基板10、第1高屈折率層31、銀薄膜32、及び、第2高屈折率層33が少なくとも含まれる導通領域37と、透明基板10のみが含まれる非導通領域38とを有する。
導通領域37のパターン及び非導通領域38のパターンは、透明導電部材の用途等に応じて適宜選択される。例えば透明導電部材が静電方式のタッチパネルに適用される場合には、複数の導通領域37と、これを区切るライン状の非導通領域38とを含むパターンとすることができる。非導通領域38のラインの幅は50μm以下であることが好ましく、より好ましくは20μm以下である。
また、透明導電部材の製造方法では、透明基板上に、第1高屈折率層を形成する工程を有していてもよい。第1高屈折率層が硫黄を含む場合には、第1高屈折率層と銀薄膜との間に硫化防止層を形成する工程を有していてもよい。同様に、第2高屈折率層が硫黄を含む場合には、銀薄膜と第2高屈折率層との間に硫化防止層を形成する工程を有していてもよい。さらに、第2高屈折率層上に、第3高屈折率層を形成する工程を有していてもよい。
例えば図5に示すように、本実施形態の製造方法で作製される透明導電部材は、銀薄膜32と第1高屈折率層31の間に第1硫化防止層34、銀薄膜32と第2高屈折率層33との間に第2硫化防止層35、及び、第2高屈折率層33上に第3高屈折率層36を備えていてもよい。この場合にも、銀薄膜32等がパターニングされ、透明基板10上に第1高屈折率層31から第3高屈折率層36までが含まれる導通領域37と、透明基板10のみが含まれる非導通領域38とを有する。
図5に示す構成の透明導電部材では、銀薄膜を形成する面は、第1硫化防止層34の表面である。なお、第1硫化防止層34は後述するように、非常に薄い層で形成されるため、第1硫化防止層34の間から第1高屈折率層31の表面が露出する場合がある。この場合には、第1硫化防止層34と、この第1硫化防止層34の間から露出する第1高屈折率層31の表面とが銀薄膜を形成する面である。
なお、透明導電部材は、透明基板10の一方の面を全て第1高屈折率層31、銀薄膜32、及び、第2高屈折率層33が覆うように形成されていてもよい。同様に、透明基板10の一方の面を全て第1高屈折率層31、第1硫化防止層34、銀薄膜32、第2硫化防止層35、第2高屈折率層33、及び、に第3高屈折率層36が覆うように形成されていてもよい。
以下、透明導電部材の製造方法と、透明導電部材の各構成の詳細について説明する。透明導電部材の製造方法では、少なくとも、第1高屈折率層上に銀薄膜を形成する工程と、銀薄膜上に第2高屈折率層を形成する工程が必要である。その他の構成の形成工程については、必要に応じて適用することができる。また、各構成の間には以下で説明する以外の他の構成が設けられていてもよく、これら他の構成が各層間に介在していてもよい。
[透明基板]
透明導電部材の製造方法に適用可能な透明基板10は、各種表示デバイスの透明基板に適用されている基板が挙げられる。透明基板10は、例えば、ガラス基板等の無機系の基板であってもよく、セルロースエステル樹脂(例えば、トリアセチルセルロース(略称:TAC)、ジアセチルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース等)、ポリカーボネート樹脂(例えば、パンライト、マルチロン(以上、帝人社製))、シクロオレフィン樹脂(例えば、ゼオノア(日本ゼオン社製)、アートン(JSR社製)、アペル(三井化学社製))、アクリル樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリライト(三菱レイヨン社製)、スミペックス(住友化学社製))、ポリイミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル(略称:PPE)樹脂、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート(略称:PET)、ポリエチレンナフタレート(略称:PEN))、ポリエーテルスルホン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(略称:ABS樹脂)/アクリロニトリル・スチレン樹脂(略称:AS樹脂)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン樹脂(略称:MBS樹脂)、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール/エチレンビニルアルコール樹脂(略称:EVOH)、スチレン系ブロックコポリマー樹脂等からなる透明樹脂フィルムであってもよい。透明基板10が透明樹脂フィルムである場合、当該フィルムには2種以上の樹脂が含まれてもよい。
高い光透過性を達成することができる観点から、透明基板10は、ガラス基板や、セルロースエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂(特にポリエチレンテレフタレート)、トリアセチルセルロース、シクロオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリエーテルスルホン、ABS/AS樹脂、MBS樹脂、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール/EVOH(エチレンビニルアルコール樹脂)、スチレン系ブロックコポリマー樹脂等の樹脂成分から構成されるフィルムであることが好ましい。
また、透明基板10は、表面に公知のクリアハードコート層等を有していてもよい。透明基板10にハードコート層等が含まれると、後述の第1高屈折率層31の表面平滑性が高まりやすい。その結果、銀薄膜32が平滑な連続膜となり、光の吸収が抑えられ、透明導電部材の光透過性が高まる。
透明基板10は、可視光に対する光透過性が高いことが好ましい。具体的には、波長400〜800nmの光の平均光透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。透明基板10の光の平均光透過率が70%以上であると、透明導電部材の光透過性が高まりやすい。
上記平均光透過率は、透明基板10の表面の法線に対して、5°傾けた角度から光を入射させて測定する。平均光透過率は、分光光度計(例えば、U4100;日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定される。
透明基板10の波長570nmの光の屈折率は1.40〜1.95の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1.45〜1.75の範囲内であり、さらに好ましくは1.45〜1.70の範囲内である。透明基板10の屈折率は、通常、透明基板10の材質によって定まる。透明基板10の屈折率は、エリプソメータを用い、25℃の環境下で測定することにより求められる。
透明基板10のヘイズ値は、0.01〜2.5%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜1.0%の範囲内である。透明基板10のヘイズ値が2.5%以下であると、透明導電部材のヘイズ値が抑制される。ヘイズ値は、ヘイズメーター(例えば、NDH−5000;日本電色工業社製)を用いて測定される。
透明基板10の厚さは、1μm〜20mmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10μm〜2mmの範囲内である。透明基板10の厚さが1μm以上であれば、透明基板10の強度が高まり、第1高屈折率層31の成膜時に割れたり、裂けたりし難い。一方、透明基板10の厚さが20mm以下であれば、透明導電部材のフレキシブル性が十分に高まる。さらに、透明導電部材を具備した電子デバイス機器等の厚さを薄くできる。また、透明導電部材を用いた電子デバイス機器等を軽量化することもできる。
なお、透明基板10上に第1高屈折率層31を形成する際、透明基板10に含まれる水分や残留溶媒を、十分に除去しておくことが好ましい。溶媒等の除去は、クライオポンプ等による真空乾燥、オーブン等による加熱乾燥で行うことができる。
[第1高屈折率層]
第1高屈折率層31は、透明導電部材の導通領域37、つまり銀薄膜32が形成されている領域の光透過性(光学アドミッタンス)を調整する層である。第1高屈折率層31と後述の第2高屈折率層33の膜厚を適宜調整することにより、高い透過率をもった透明導電部材を作製することが可能となる。
(形成方法)
第1高屈折率層31は、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等、一般的な気相成膜法、又は、塗布法により形成することができる。第1高屈折率層31の屈折率(密度)が高まるとの観点から、第1高屈折率層31は、電子ビーム蒸着法、又は、スパッタ法で形成することが好ましい。電子ビーム蒸着法の場合は膜密度を高めるため、IAD(イオンアシスト)等のアシストを用いることが好ましい。
第1高屈折率層31は、少なくとも透明導電部材の導通領域37に形成する。第1高屈折率層31は、透明導電部材の非導通領域38に形成してもよいが、導通領域37及び非導通領域38からなるパターンを視認され難くするため、図4に示すように導通領域37のみに形成することが好ましい。
第1高屈折率層31を導通領域37にのみ形成する場合、その方法は特に制限されない。例えば、所望のパターンを有するマスク等を被成膜面に配置して第1高屈折率層31をパターン状に成膜する方法等でよい。また、透明基板10の全面に層を形成し、これを公知のエッチング法によりパターニングする方法でもよい。第1高屈折率層31をエッチングするタイミングは特に制限されず、透明基板10上に第1高屈折率層31、銀薄膜32、第2高屈折率層33等を積層してから、これらの層を一度にエッチングすることが、製造効率等の観点から好ましい。
公知のエッチング法としては、フォトリソグラフィー法、レーザー照射法等が挙げられる。フォトリソグラフィー法等でエッチングする場合、エッチング液は、無機酸又は有機酸のいずれを含んでいてもよいが、シュウ酸、塩酸、塩化鉄、酢酸、若しくは、リン酸、又は、これらの混合物であることがより好ましい。
一方、レーザー照射によりエッチングする場合、レーザーの種類は特に制限されず、例えば、Arレーザー、半導体レーザー、He−Neレーザー、YAGレーザー、炭酸ガスレーザー等のいずれを用いてもよい。これにより、精度よく第1高屈折率層31等を透明基板10上から除去することができ、非導通領域38を精度よく形成することができる。
(組成)
第1高屈折率層31は、透明導電部材の光の透過性を調整する観点から、上述の透明基板10の屈折率より高い屈折率を有する誘電性材料、又は、酸化物半導体材料が少なくとも含まれる。透明基板10が複数層からなる場合、第1高屈折率層31に含まれる誘電性材料、又は、酸化物半導体材料は、透明基板10を構成するいずれの層より高い屈折率を有する材料とする。
第1高屈折率層31に含まれる誘電性材料、又は、酸化物半導体材料の波長570nmの光の屈折率は、透明基板10の波長570nmの光の屈折率より0.1〜1.1大きいことが好ましく、0.4〜1.0大きいことがより好ましい。一方、第1高屈折率層31に含まれる誘電性材料、又は、酸化物半導体材料の波長570nmの光の具体的な屈折率は1.5より大きいことが好ましく、1.7〜2.5であることがより好ましく、さらに好ましくは1.8〜2.5である。誘電性材料、又は、酸化物半導体材料の屈折率が1.5より大きいと、第1高屈折率層31によって、銀薄膜32を含む領域(導通領域37)の光透過性が十分に調整される。
ここで、第1高屈折率層31には、銀薄膜32成膜時の金属の凝集を抑制し、薄くとも均一な厚みの銀薄膜32を得るとの観点から、硫黄が含まれることが好ましい。硫黄は第1高屈折率層31に、単体の状態で含まれてもよいが、金属硫化物の状態で含まれることが、安定性の観点から好ましく、中でも硫化亜鉛(ZnS)、硫化インジウム(In)等がターゲットの作りやすさの観点から好ましい。
第1高屈折率層31に含まれる硫黄原子の量は、第1高屈折率層31を構成する全原子の数に対して0.1〜50at%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜50at%である。硫黄原子は銀薄膜32に含まれる銀との親和性が高い。そのため、銀薄膜32の成膜時に、銀が第1高屈折率層31上に凝集しにくくなり、厚みが薄く均一な銀薄膜32を得ることができる。つまり、吸収の少ない、光透過性の高い銀薄膜32が作製される。また上述のとおり、硫黄原子は銀薄膜32に含まれる銀との親和性が高いため、高湿度環境下での水分による銀の凝集や、銀の腐食を抑制できる。その結果、透明導電部材の耐湿性が高まる。一方、硫黄原子の量が過剰であると、第1高屈折率層31の均一な成膜が難しくなり、透明性が低下する場合がある。
上記誘電性材料、又は、酸化物半導体材料としての屈折率を満たし、かつ硫黄を含む材料としては、硫化亜鉛(ZnS)が挙げられる。このため、第1高屈折率層31には、少なくともZnSが含まれることが好ましい。第1高屈折率層31には、ZnSのみが含まれてもよく、ZnSとZnS以外の誘電性材料、又は、酸化物半導体材料との混合物が含まれてもよい。
ZnS以外の誘電性材料、又は、酸化物半導体材料としては、TiO、ITO(インジウム・スズ酸化物)、ZnO、Nb、ZrO、CeO、Ta、Ti、Ti、Ti、TiO、SnO、LaTi、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、AZO(アルミニウム・亜鉛酸化物)、GZO(ガリウム・亜鉛酸化物)、ATO(アンチモン・スズ酸化物)、ZTO(亜鉛酸化物・スズ酸化物)、ICO(インジウム・セリウム酸化物)、IGZO(インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物)、Bi、Ga、GeO、WO、HfO、In、a−GIO(ガリウム・インジウム酸化物)等が挙げられる。第1高屈折率層31には、これらの誘電性材料、又は、酸化物半導体材料が1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。ZnS以外の誘電性材料、又は、酸化物半導体材料は、ZnO、TiO、GZO、ITOであることが特に好ましい。
また、第1高屈折率層31には、ZnSや、ZnS以外の誘電性材料や酸化物半導体材料の他に、波長570nmの光の屈折率が1.5未満である材料が一部含まれてもよい。波長570nmの光の屈折率が1.5未満である材料としては、MgF、SiO等が挙げられる。例えば、ZnSと共に、SiOが含まれると、第1高屈折率層31が非晶質になりやすく、透明導電部材のフレキシブル性が高まりやすい。ただし、ZnSや、ZnS以外の誘電性材料や酸化物半導体材料由来の金属元素の量100部(原子の数)に対して、屈折率が1.5未満の材料由来の金属元素の量(原子の数)が30部以下となるように、屈折率が1.5未満の材料が添加されることが好ましく、より好ましくは20部以下である。屈折率が1.5未満の材料の添加量が上記範囲であれば、第1高屈折率層31自体の屈折率が十分に高く維持でき、光透過性(光学アドミッタンス)を調整する層としての十分な役割を果たすことができる。
第1高屈折率層31の屈折率は、第1高屈折率層31に含まれる材料の屈折率や、第1高屈折率層31に含まれる材料の密度で調整される。第1高屈折率層の屈折率は、透明基板10と同様に、エリプソメータを用い、25℃の環境下で測定することにより求めることができる。
第1高屈折率層31の厚みは、銀薄膜32、第2高屈折率層33、第3高屈折率層36を含む領域における所望の反射率、及び所望の色度によって適宜選択されるが、通常3〜150nmであることが好ましく、より好ましくは5〜80nmである。第1高屈折率層31の厚みが3nm以上であると、第1高屈折率層31によって、銀薄膜32を含む領域の反射率が十分に調整されやすい。一方、第1高屈折率層31の厚みが、150nm以下であると、第1高屈折率層31が含まれる領域の光透過性が低下し難い。第1高屈折率層31の厚みは、エリプソメータ等で測定される。
[銀薄膜]
(形成方法)
銀薄膜32は、透明導電部材において電気を導通させるための層である。銀薄膜32の形成には、上述の方法で作製した、第1高屈折率層を有する透明基板、又は、上述の方法に限らず別に準備した第1高屈折率層を有する透明基板を用いてもよい。
銀薄膜32は、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等、一般的な気相成膜法を用いて形成することができる。特に、真空蒸着法、又は、スパッタ法で形成することが好ましい。スパッタ法や真空蒸着法であれば、平面性の高い銀薄膜32を形成することができる。スパッタ法の種類は特に制限されず、イオンビームスパッタ法や、マグネトロンスパッタ法、反応性スパッタ法、2極スパッタ法、バイアススパッタ法、対向スパッタ法等を用いることができる。これらの中でも、銀薄膜32の平滑性が高まり、透明性と導電性が良好になるため、対向スパッタ法が好ましい。
また、銀薄膜32を形成する際の銀薄膜形成面の表面温度は、−40℃以上10℃以下の範囲内とする。銀薄膜形成面の表面温度を−40℃以上10℃以下の範囲内とするためには、上述の透明導電部材の製造装置で説明するように、成膜ローラや試料台に基板の冷却部を設けることが好ましい。銀薄膜32を形成する際の形成面の表面温度は、銀薄膜の形成部、例えばスパッタ装置のチャンバを閉める前に接触式温度計等、例えばTNA−110(タスコジャパン社製)を用いて測定することができる。
銀薄膜32は、透明導電部材の全面に形成されていてもよいが、透明導電部材に導通領域37及び非導通領域38を形成する場合には、銀薄膜32を導通領域37にのみ形成する。銀薄膜32を導通領域37にのみ形成する場合、その方法は特に制限されない。例えば、所望のパターンを有するマスクを配置して、気相成膜法で銀薄膜32を形成する方法等を用いることができる。また、第1高屈折率層31を覆うように透明基板10上に全面に層を形成した後、これをエッチングにより部分的に除去する方法を用いることができる。エッチングの方法は、第1高屈折率層31のエッチング方法と同様でよい。また、エッチングのタイミングは特に制限されず、透明基板10上に第1高屈折率層31、銀薄膜32、第2高屈折率層33等を積層してから、これらの層を一度にエッチングすることが、製造効率等の観点から好ましい。
(組成)
銀薄膜32は、銀又は銀を主成分とする層であることが導電性、透明性の観点から好ましい。具体的には、銀薄膜32を構成する全原子に対して、銀が60at%(原子%)以上含まれることが好ましい。また導電性の観点から銀が90at%以上含まれることが寄り好ましく、さらに好ましくは97at%以上である。
銀と組み合わされる金属としては、亜鉛、金、銅、パラジウム、アルミニウム、マンガン、ビスマス、ネオジム、モリブデン、白金、チタン、クロム等でよい。例えば、銀と亜鉛とが組み合わされると、銀薄膜の耐硫化性が高まる。銀と金とが組み合わされると、耐塩(NaCl)性が高まる。さらに銀と銅とが組み合わされると、耐酸化性が高まる。銀薄膜32に含まれる各原子の種類や、その含有量は、例えばXPS法等で特定される。
銀薄膜32の厚みは好ましくは15nm以下であり、より好ましくは3〜12nmであり、さらに好ましくは5〜10nmである。透明導電部材は、銀薄膜32の厚みが15nm以下であると、銀薄膜32に金属本来の反射が生じ難い。さらに、銀薄膜32の厚みが15nm以下であると、第1高屈折率層31、第2高屈折率層33によって、透明導電部材の導通領域37の光の透過性が良好になり、導通領域37及び非導通領域38の形状が視認される現象が抑制される。銀薄膜32の厚みは、エリプソメータ等で測定される。
[第2高屈折率層]
第2高屈折率層33は、透明導電部材において、銀薄膜32を含む領域の表面の反射率を調整するための層であり、銀薄膜32を外部の酸素、硫黄成分、水分等から保護するための層でもある。透明導電部材が第1高屈折率層31、及び、第2高屈折率層33を備えることにより、銀薄膜32が形成されている領域の光の透過性が高まる。また、第2高屈折率層33は、第2高屈折率層33表面と銀薄膜32との導通を取るための層でもある。
(形成方法)
第2高屈折率層33は、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等、一般的な気相成膜法、又は、塗布法で形成することができる。第2高屈折率層33の屈折率(密度)が高まるとの観点から、第2高屈折率層33は、電子ビーム蒸着法又はスパッタ法で形成することが好ましい。電子ビーム蒸着法の場合は膜密度を高めるため、IAD(イオンアシスト)等のアシストを用いることが好ましい。
また、第2高屈折率層33は、透明導電部材の全面に形成してもよく、透明導電部材に導通領域37、及び、非導通領域38を形成する場合、第2高屈折率層33は、透明導電部材の導通領域37に少なくとも形成する。第2高屈折率層33を導通領域37にのみ形成する場合、その方法は特に制限されない。例えば、所望のパターンを有するマスクを配置して、気相成膜法で第2高屈折率層33を形成する方法等を用いることができる。また、銀薄膜32を覆うように全面に層を形成した後、これをエッチングにより部分的に除去する方法を用いることができる。エッチングの方法は、第1高屈折率層31のエッチング方法と同様でよい。また、エッチングのタイミングは特に制限されず、透明基板10上に第1高屈折率層31、銀薄膜32、第2高屈折率層33等を積層してから、これらの層を一度にエッチングすることが、製造効率等の観点から好ましい。
(組成)
第2高屈折率層33には、上述の透明基板10の屈折率より高い屈折率を有する誘電性材料、又は、酸化物半導体材料が少なくとも含まれる。誘電性材料、又は、酸化物半導体材料の波長570nmの光の屈折率は、透明基板10の波長570nmの光の屈折率より0.1〜1.1大きいことが好ましく、0.4〜1.0大きいことがより好ましい。一方、第2高屈折率層33に含まれる誘電性材料、又は、酸化物半導体材料の波長570nmの光の具体的な屈折率は1.5より大きいことが好ましく、1.7〜2.5であることがより好ましく、さらに好ましくは1.8〜2.5である。誘電性材料、又は、酸化物半導体材料の屈折率が1.5より大きいと、第2高屈折率層33によって、銀薄膜32を有する領域の光の表面反射が十分に調整される。
一方で、第2高屈折率層33には、透明導電部材の外部から第2高屈折率層33の微小な隙間を通り侵入してくる酸素、水分が引き起こす銀薄膜32中の金属の凝集、腐食を抑えるため硫黄が含まれることが好ましい。特に第1高屈折率層31及び第2高屈折率層33の両層に硫黄が含まれることで、銀薄膜32が安定化し、耐凝集性や耐腐食の効果を発現し、透明導電部材の耐湿性が高くなる。硫黄は第2高屈折率層33に、単体の状態で含まれてもよいが、硫化亜鉛(ZnS)等、硫化物の状態で含まれることが、安定性等の観点からより好ましい。
第2高屈折率層33に含まれる硫黄原子の量は、第2高屈折率を構成する全原子の数に対して0.1〜10at%であり、好ましくは0.1〜5at%である。硫黄原子の量が0.1at%以上であると、透明導電部材の耐湿性が高まりやすい。一方で、硫黄原子の量が10at%以下であると、第2高屈折率層33表面と銀薄膜32との導通、後述の第3高屈折率層36表面と銀薄膜32との導通が安定しやすくなる。
上記誘電性材料、又は、酸化物半導体材料としての屈折率を満たし、かつ硫黄を含む材料としては硫化亜鉛(ZnS)が挙げられ、第2高屈折率層33には、硫化亜鉛(ZnS)以外の誘電性材料、又は、酸化物半導体材料と、硫化亜鉛(ZnS)とが含まれることが好ましい。ZnS以外の誘電性材料、又は、酸化物半導体材料としては、第1高屈折率層31に含まれる誘電性材料、又は、酸化物半導体材料と同様でよい。特に、第2高屈折率層33表面と銀薄膜32との導通、第3高屈折率層36表面と銀薄膜32との導通の安定性の観点から、誘電性材料、又は、酸化物半導体材料は、GZO、ITO、IGZO等の導電性の高い酸化物半導体材料が好ましい。第2高屈折率層33には、誘電性材料、又は、酸化物半導体材料が1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。
なお、第2高屈折率層33には、ZnS及びZnS以外の誘電性材料や酸化物半導体材料の他に、波長570nmの光の屈折率が1.5未満である材料が一部含まれてもよい。波長570nmの光の屈折率が1.5未満である材料としては、MgF、SiO等が挙げられる。ただし、屈折率が1.5未満の材料は、ZnSや、ZnS以外の誘電性材料や酸化物半導体材料由来の金属元素の量100部(原子の数)に対して、屈折率が1.5未満の材料由来の金属元素の量が30部以下となるように添加されることが好ましく、より好ましくは20部以下である。屈折率が1.5未満の材料の添加量が上記範囲であれば、第2高屈折率層33自体の屈折率を十分に維持できる。
第2高屈折率層33の屈折率は、第2高屈折率層33に含まれる材料の屈折率や、第2高屈折率層33に含まれる材料の密度で調整される。第2高屈折率層33の屈折率も透明基板10と同様に、エリプソメータを用い、25℃の環境下で測定することにより求めることができる。
第3高屈折率層を形成する場合、第2高屈折率層33の厚みは、3nm以上20nm以下であり、好ましくは3〜15nmであり、より好ましくは5〜15nmである。第2高屈折率層33の厚みが20nm以下であると、第2高屈折率層33が含まれる領域の光透過性が低下し難い。一方で、第2高屈折率層の厚みが3nm以上であると、透明導電部材の耐湿性が高まりやすい。第2高屈折率層33の厚みは、エリプソメータで測定される。
一方、第3高屈折率層を形成しない場合、第2高屈折率層33の厚みは、3nm以上150nm以下であり、好ましくは3〜80nmであり、より好ましくは5〜80nmである。
[第3高屈折率層]
第3高屈折率層36は、透明導電部材において、第1高屈折率層31や第2高屈折率層33と共に、銀薄膜32を含む領域の表面の反射率を調整するための層である。また、銀薄膜32を外部の酸素、硫黄成分、水分等から保護するための層でもある。さらに、第3高屈折率層36は、銀薄膜32との導通を取るための層でもある。
(形成方法)
透明導電部材の製造方法においては、図5に示すように、第2高屈折率層33上に第3高屈折率層36を形成してもよい。
第3高屈折率層36は、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等、一般的な気相成膜法、又は、塗布法で形成することができる。第3高屈折率層36の屈折率(密度)が高まるとの観点から、第3高屈折率層36は、電子ビーム蒸着法又はスパッタ法で形成することが好ましい。電子ビーム蒸着法の場合は膜密度を高めるため、IAD(イオンアシスト)等のアシストを用いることが好ましい。
第3高屈折率層36は、透明導電部材の全面に形成された層でもよいが、透明導電部材に導通領域37、及び、非導通領域38を形成する場合、第3高屈折率層36は、透明導電部材の導通領域37に少なくとも形成する。透明導電部材が、第1高屈折率層31、第2高屈折率層33、及び、第3高屈折率層36を備えることにより、銀薄膜32が形成されている領域の光の透過性が高まる。
ここで、第3高屈折率層36を導通領域37にのみ形成する場合、その方法は特に制限されない。例えば、所望のパターンを有するマスクを配置して、気相成膜法で第3高屈折率層36を形成する方法等でよい。また、第2高屈折率層33を覆うように全面に層を形成した後、これをエッチングにより部分的に除去する方法でもよい。エッチングの方法は、第1高屈折率層31のエッチング方法と同様でよい。また、エッチングのタイミングは特に制限されず、透明基板10上に第1高屈折率層31、銀薄膜32、第2高屈折率層33、第3高屈折率層36等を全て積層してから、これらの層を一度にエッチングすることが、製造効率等の観点から好ましい。
(組成)
第3高屈折率層36には、透明導電部材の光の透過性を調整する観点から、透明基板10の屈折率より高い屈折率を有する誘電性材料、又は、酸化物半導体材料が少なくとも含まれる。誘電性材料、又は、酸化物半導体材料の波長570nmの光の屈折率は、透明基板10の波長570nmの光の屈折率より0.1〜1.1大きいことが好ましく、0.4〜1.0大きいことがより好ましい。一方、第3高屈折率層36に含まれる誘電性材料、又は、酸化物半導体材料の波長570nmの光の具体的な屈折率は1.5より大きいことが好ましく、1.7〜2.5であることがより好ましく、さらに好ましくは1.8〜2.5である。誘電性材料、又は、酸化物半導体材料の屈折率が1.5より大きいと、第3高屈折率層36によって、銀薄膜32を有する領域の光の表面反射が十分に調整される。
一方、第3高屈折率層36には、銀薄膜32との導通を取る観点から、導電性を有する金属酸化物も含まれる。導電性を有する金属酸化物とは、体積抵抗率が1×10−4Ω・cm以上1×102Ω・cm以下である金属酸化物であり、当該金属酸化物の導電性は好ましくは1×10−4Ω・cm以上1×10-1Ω・cm以下である。また、第3高屈折率層36の体積抵抗率は、1×10−4Ω・cm以上1×102Ω・cm以下であることが好ましく、より好ましくは1×10−4Ω・cm以上1×10-1Ω・cm以下である。
第3高屈折率層36の体積抵抗率は、第3高屈折率層36をガラス上に単膜で作製し、膜厚をエリプソメータで測定し、表面電気抵抗値を、例えばJIS K7194、ASTM D257等に準拠して測定することで計算できる。第3高屈折率層36の導電性は、第3高屈折率層36に含まれる、導電性を有する金属酸化物の種類や量に応じて適宜調整される。
第3高屈折率層36には、上記誘電性材料、又は、酸化物半導体材料としての屈折率を満たし、かつ金属酸化物としての導電性も満たす化合物が含まれることが好ましく、このような化合物(金属酸化物)としては、ITO(インジウム・スズ酸化物)、GZO(ガリウム・亜鉛酸化物)、IGZO(インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物)、ZTO(亜鉛酸化物・スズ酸化物)、ZnO、ATO(アンチモン・スズ酸化物)、SnO等が挙げられる。第3高屈折率層36は、これらの化合物が一種のみ含まれてもよく、二種以上含まれてもよい。また、第3高屈折率層36には、上記化合物と共に、第3高屈折率層36の導電性を損なわない範囲で、上記以外の誘電性材料や酸化物半導体材料がさらに含まれてもよい。
第3高屈折率層36に含まれる、上記以外の誘電性材料、又は、酸化物半導体材料は、第1高屈折率層31に含まれる誘電性材料、又は、酸化物半導体材料と同様である。第3高屈折率層36には、これらの誘電性材料、又は、酸化物半導体材料が1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。
また、第3高屈折率層36には、上述の導電性を維持できる範囲で、上記導電性化合物や、それ以外の誘電性材料や酸化物半導体材料の他に、波長570nmの光の屈折率が1.5未満である材料が一部含まれてもよい。波長570nmの光の屈折率が1.5未満である材料としては、MgF、SiO等が挙げられる。
第3高屈折率層36の屈折率は、第3高屈折率層36に含まれる材料の屈折率や、第3高屈折率層36に含まれる材料の密度で調整される。第3高屈折率層36の屈折率も透明基板と同様に、エリプソメータを用い、25℃の環境下で測定することにより求められる。
第3高屈折率層36の厚みは、5〜130nmであることが好ましく、より好ましくは5〜80nmである。第3高屈折率層36の厚みが5nm以上であると、透明導電部材の光の透過性が高く、耐湿性も高くなる。一方、第3高屈折率層36の厚みが130nm以下であれば、相対的に第2高屈折率層33の厚みを厚くすることができ、透明導電部材の耐湿性が高まりやすい。第3高屈折率層36の厚みは、エリプソメータ等で測定される。
[硫化防止層]
透明導電部材において、第1高屈折率層31、又は、第2高屈折率層33が硫黄を含む材料により形成されている場合、含まれる硫黄によって銀薄膜32が硫化されて変色する場合がある。この場合、透明導電部材の製造方法においては、図5に示すように、透明導電部材の第1高屈折率層31と銀薄膜32との間に第1硫化防止層34を形成してもよい。また、銀薄膜32と第2高屈折率層33との間に第2硫化防止層35を形成してもよい。第1硫化防止層34及び第2硫化防止層35は、いずれか一方のみを形成してもよく、両方を形成してもよい。透明導電部材に硫化防止層を形成することにより、銀薄膜32の変色を抑制することができ、銀薄膜32を含む領域が視認され難くなる。
(形成方法)
第1硫化防止層34、及び、第2硫化防止層35は、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等、一般的な気相成膜法で形成することができる。
第1硫化防止層34、及び、第2硫化防止層35を導通領域37にのみ形成する場合、その方法は特に制限されない、例えば、所望のパターンを有するマスクを配置して、気相成膜法で硫化防止層を形成する方法等が挙げられる。また、第1高屈折率層31や銀薄膜32等を覆うように全面に層を形成した後、これをエッチングにより部分的に除去する方法も適用できる。エッチングの方法は、第1高屈折率層31のエッチング方法と同様でよい。また、エッチングのタイミングは特に制限されず、第1高屈折率層31、銀薄膜32、第2高屈折率層33等と共にエッチングすることが、製造効率等の観点から好ましい。
(組成)
第1硫化防止層34、及び、第2硫化防止層35は、金属酸化物、金属フッ化物、金属窒化物、又は、亜鉛(Zn)を含む層でよい。第1硫化防止層34、及び、第2硫化防止層35にはこれらが一種のみ含まれてもよく、二種以上含まれてもよい。金属酸化物の例には、TiO、ITO、ZnO、Nb、ZrO、CeO、Ta、Ti、Ti、Ti、TiO、SnO、LaTi、IZO、AZO、GZO、ATO、ICO、Bi、a−GIO、Ga、GeO、SiO、Al、HfO、SiO、MgO、Y、WO、等が含まれる。金属フッ化物の例には、LaF、BaF、NaAl14、NaAlF、AlF、MgF、CaF、BaF、CeF、NdF、YF等が含まれる。金属窒化物の例には、Si、AlN等が含まれる。また、硫化防止層は、Znのみからなる層でもよい。
ここで、第1硫化防止層34、及び、第2硫化防止層35は、導通領域37の表面の反射率に影響なく、また、上述の第1屈折率層に含まれる硫黄と銀薄膜の相互作用を妨げない厚みであることが好ましく0.1nm以上5nmであることが好ましく、より好ましくは0.5nm以上3nm以下であり、さらに好ましくは1nm以上3nm以下である。
[透明導電部材の物性]
上述の各実施形態の透明導電部材、及び、上述の製造方法で作製される透明導電部材は、以下を満たすことが好ましい。
透明導電部材の全光線透過率は、80%以上であることが好ましく、例えば透明導電部材が導通領域(透明基板、第1高屈折率層、銀薄膜、及び、第2高屈折率層を少なくとも含む領域)と、非導通領域(透明基板のみを含む領域)とを含む場合には、いずれにおいても80%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上である。全光線透過率が80%以上であると、透明導電部材を、可視光に対して高い透明性が要求される用途に適用することができる。上記全光線透過率はヘイズメーター等で測定される。
一方、透明導電部材の波長400nm〜740nmの平均吸収率が6.0%以下であることが好ましい。また、透明導電部材が、導通領域及び非導通領域を含む場合には、いずれの領域においても6.0%以下であることが好ましい。
一方、透明導電部材の波長400〜740nmの光の平均反射率は、導通領域および非導通領域のいずれにおいても、20%以下であることが好ましく、より好ましくは15%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。導通領域および非導通領域を含む場合には、これらのいずれの領域においても、平均吸収率や平均反射率を満たすことが好ましい。
透明導電部材の平均吸収率および平均反射率が低いほど、上述の平均透過率が高まる。透明導電部材の平均透過率および平均反射率は、透明導電部材の表面の法線に対して5°傾けた角度から測定光を入射させて分光測色計で測定することができる。平均吸収率は、100−(平均透過率+平均反射率)の計算式によって算出することができる。
透明導電部材の導電層を含む領域、つまり導通領域の表面電気抵抗は、50Ω/sq.以下であることが好ましく、さらに好ましくは30Ω/sq.以下である。導通領域の表面電気抵抗値が50Ω/sq.以下である透明導電部材は、静電容量方式のタッチパネル等に適用できる。導通領域の表面電気抵抗値は、導電層の厚み等によって調整される。導通領域の表面電気抵抗値は、例えばJIS K7194、ASTM D257等に準拠して測定される。また、市販の表面電気抵抗率計によっても測定される。
[透明導電部材の用途]
上述の透明導電部材の製造方法で作製される透明導電部材は、液晶、プラズマ、有機エレクトロルミネッセンス、フィールドエミッション等各種方式のディスプレイをはじめ、タッチパネルや携帯電話、電子ペーパー、各種太陽電池、各種エレクトロルミネッセンス調光素子等様々なオプトエレクトロニクスデバイスの基板等に好ましく用いることができる。特に、上述の製造方法で作製される透明導電部材は、透明導電部材表面(第3高屈折率層表面)と銀薄膜との間で導通が取りやすく安定している。従って、タッチパネルに好適である。
なお、透明導電部材の表面(例えば、透明基板と反対側の表面)は、接着層等を介して、他の部材と貼り合わせられてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
また、実施例で使用する材料の組成比を以下に示す。
・GZO; ZnO:Ga=94.3:5.7(質量%比)
・ITO; In:SnO=90:10(質量%比)
・SGZO; O:S:Zn:Ga=48.4:0.8:45.2:5.6(at%比)
・ZSSO; O:Zn:In:Ga:S:Si=35:33:5:9:17:1(at%比)(三菱マテリアル社製ZSSO)
・APC−TR; Ag:Pd:Cu=98.07:0.87:1.06(at%比)(フルヤ金属社製APC−TR)
また、各層の厚さは成膜時間を調整することで調節した。以下の実施例に用いた第1高屈折率層、第2高屈折率層、第3高屈折率層の各層の屈折率を測定したところ、屈折率はすべて1.8以上であり、透明基板(CHC-PETフィルム)の屈折率1.59より高い屈折率を有する材料であった。
各層の厚さ及び屈折率は、J.A.Woollam Co.Inc.製のVB−250型VASEエリプソメータで測定した。
〈試料101の透明導電部材の作製〉
透明基板として、株式会社きもと製のクリアハードコート付きポリエチレンテレフタレート(PET/CHC)フィルム(G1SBF、厚さ125μm、屈折率1.59、以下CHC-PETフィルムと称する)を準備した。そして、この透明基板上に、下記の方法で、第1高屈折率層(ZnSSiO)/第1硫化防止層(GZO)/銀薄膜(Ag)/第2高屈折率層(GZO)をこの順に積層した。
[第1高屈折率層(ZnSSiO)]
透明基板(CHC-PETフィルム)上に、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar:20sccm、O:0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、形成速度0.15nm/sで、層の厚さが40nmとなるようにZnSSiOをRF(交流)スパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。ターゲットであるZnSSiOは、ZnSにSiOを混合し、焼結させることで作製した。
[第1硫化防止層(GZO)]
第1高屈折率層上に、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar:20sccm、O:0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、形成速度0.06nm/秒で、層の厚さが1.0nmとなるようにGZOをRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。
[銀薄膜(Ag)]
アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar:20sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、形成速度0.7nm/sで銀(以下、Agと表記する。)を層の厚さが4.0nmとなるようにDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。また、銀薄膜(Ag)を形成する際の形成面の表面温度は、室温とした。
[第2高屈折率層(GZO)]
銀薄膜上に、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar:20sccm、O:0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、形成速度0.03nm/秒で、層の厚さが40nmとなるようにGZOをRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。
〈試料102〜106の透明導電部材の作製〉
上述の試料101の透明導電部材の作製において、銀薄膜(Ag)を形成する際の形成面の表面温度を下記表1に示すように、10℃、0℃、−10℃、−20℃、及び、−40℃とした以外は、試料101と同様の方法で試料102〜106の透明導電部材を作製した。なお、基板冷却はアネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置に基板冷却機構を取り付け行った。また、銀薄膜を形成する面の表面温度は、スパッタ前に接触式温度計TNA−110(タスコジャパン社製)を用いて測定した。
〈試料107〜112の透明導電部材の作製〉
上述の試料101の透明導電部材の作製において、銀薄膜(Ag)を形成する際の形成面の表面温度を下記表1に示すように、室温、10℃、0℃、−10℃、−20℃、及び、−40℃とし、銀薄膜(Ag)の厚さを7.0nmで作製した以外は、試料101と同様の方法で試料107〜112の透明導電部材を作製した。
〈試料113〜118の透明導電部材の作製〉
上述の試料101の透明導電部材の作製において、銀薄膜(Ag)を形成する際の形成面の表面温度を下記表1に示すように、室温、10℃、0℃、−10℃、−20℃、及び、−40℃とし、銀薄膜(Ag)の厚さを9.0nmで作製した以外は、試料101と同様の方法で試料113〜118の透明導電部材を作製した。
〈試料119の透明導電部材の作製〉
透明基板として、株式会社きもと製のクリアハードコート付きポリエチレンテレフタレート(PET/CHC)フィルムを準備した。そして、この透明基板上に、下記の方法で、第1高屈折率層(ZnSSiO)/第1硫化防止層(GZO)/銀薄膜(APC−TR)/第2高屈折率層(ITO)をこの順に積層した。
[第1高屈折率層(ZnSSiO)、第1硫化防止層(GZO)]
第1高屈折率層(ZnSSiO)及び第1硫化防止層(GZO)の作製は、上述の試料101の透明導電部材と同様の方法で行なった。
[銀薄膜(APC)]
アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar:20sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、形成速度0.7nm/sでフルヤ金属社製のAPC−TRを層の厚さが5.0nmとなるようにDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。また、銀薄膜(APC−TR)を形成する際の形成面の表面温度は、室温とした。
[第2高屈折率層(ITO)]
銀薄膜上に、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar:20sccm、O:0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、形成速度0.03nm/秒で、層の厚さが40nmとなるようにITOをRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。
〈試料120、試料121の透明導電部材の作製〉
上述の試料119の透明導電部材の作製において、銀薄膜(APC−TR)を形成する際の形成面の表面温度を下記表1に示すように、0℃、及び、−30℃とした以外は、試料119と同様の方法で試料120、試料121の透明導電部材を作製した。
〈試料122〜124の透明導電部材の作製〉
上述の試料119の透明導電部材の作製において、銀薄膜(APC−TR)を形成する際の形成面の表面温度を下記表1に示すように、室温、0℃、及び、−30℃とし、銀薄膜(APC−TR)の厚さを8.0nmで作製した以外は、試料119と同様の方法で試料122〜124の透明導電部材を作製した。
〈試料125の透明導電部材の作製〉
透明基板として、株式会社きもと製のクリアハードコート付きポリエチレンテレフタレート(PET/CHC)フィルムを準備した。そして、この透明基板上に、下記の方法で、第1高屈折率層(ZSSO)/第1硫化防止層(GZO)/銀薄膜(APC−TR)/第2硫化防止層(GZO)/第2高屈折率層(SGZO)/第3高屈折率層(ITO)をこの順に積層した。
[第1高屈折率層(ZSSO)]
第2硫化防止層上に、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar:20sccm、O:0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、形成速度0.03nm/秒で、層の厚さが10nmとなるようにZSSOをRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。
[第1硫化防止層(GZO)]
硫化防止層(GZO)の作製は、上述の試料101の透明導電部材と同様の方法で行なった。
[銀薄膜(APC−TR)]
アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar:20sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、形成速度0.7nm/sでフルヤ金属社製のAPC−TRを層の厚さが6.5nmとなるようにDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。また、銀薄膜(APC−TR)を形成する際の形成面の表面温度は、室温とした。
[第2硫化防止層(GZO)]
銀薄膜上に、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar:20sccm、O:0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、形成速度0.06nm/秒で、層の厚さが3.0nmとなるようにGZOをRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。
[第2高屈折率層(SGZO)]
第2硫化防止層上に、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar:20sccm、O:0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、形成速度0.03nm/秒で、層の厚さが10nmとなるようにSGZOをRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。
[第3高屈折率層(ITO)]
第2高屈折率層上に、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar:20sccm、O:0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、形成速度0.03nm/秒で、層の厚さが30nmとなるようにITOをRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。
〈試料126、試料127の透明導電部材の作製〉
上述の試料125の透明導電部材の作製において、銀薄膜(APC−TR)を形成する際の形成面の表面温度を下記表1に示すように、0℃、及び、−20℃とした以外は、試料125と同様の方法で試料126、試料127の透明導電部材を作製した。
〈試料128〜130の透明導電部材の作製〉
上述の試料125の透明導電部材の作製において、銀薄膜(APC−TR)を形成する際の形成面の表面温度を下記表1に示すように、室温、0℃、及び、−20℃とし、銀薄膜(APC−TR)の厚さを8.5nmで作製した以外は、試料125と同様の方法で試料128〜130の透明導電部材を作製した。
〈評価〉
[吸収率]
透明導電部材の表面の法線に対して、5°傾けた角度から測定光(例えば、波長400nm〜740nmの光)を入射させ、日立株式会社製:分光光度計 U4100にて、平均光透過率と平均反射率とを測定した。そして、[100−(平均透過率+平均反射率)]の計算式によって波長400nm〜740nmの平均吸収率を求め、これを各試料の透明導電部材の吸収率(%)とした。
[抵抗]
各透明導電部材の第2高屈折率層側表面、又は、第3高屈折率層側表面に、三菱化学アナリテック社製の抵抗率計「ロレスタEP MCP−T360」を接触させてシート抵抗値(Ω/sq.)を測定し、これを各試料の透明導電部材の抵抗値(Ω/sq.)とした。
下記表1に、試料101〜130の透明導電部材の各構成、及び、評価結果を示す。
Figure 2016169420
表1に示すように、銀薄膜の形成の際の形成面の表面温度を10℃以下とした試料は、銀薄膜の形成の際の形成面の表面温度を室温とした試料に比べ、吸収率が小さく、抵抗値も小さい結果が得られた。この結果から、銀薄膜の形成の際の形成面の表面温度を10℃以下とすることにより、透明導電部材の光透過性の向上、及び、抵抗値の低下という効果が得られ、透明導電部材の特性が向上した。
また、銀薄膜の形成の際の形成面の表面温度が低いほど、上記の透明導電部材の特性が向上している。従って、銀薄膜形成面の表面温度を−40℃以上10℃以下とした状態で銀薄膜層を形成することにより、銀の粒塊、凝集物の成長を抑制でき、銀薄膜層の吸収の増大を抑制できる。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
10 透明基板、11,12,13,14,15,16 搬送ローラ、20 第1高屈折率層形成部、21,23,25 成膜ローラ、22 銀薄膜形成部、24 第2高屈折率層形成部、26 送り出しローラ、27 試料台、28 冷却ホース、31 第1高屈折率層、32 銀薄膜、33 第2高屈折率層、34 第1硫化防止層、35 第2硫化防止層、36 第3高屈折率層、37 導通領域、38 非導通領域

Claims (10)

  1. 透明基板上に、第1高屈折率層、銀薄膜層、及び、第2高屈折率層をこの順に備える透明導電部材を製造する装置であって、
    透明基板上に形成された前記透明基板よりも波長570nmの光の屈折率が高い誘電体材料及び酸化物半導体材料から選ばれる1種以上の材料からなる第1高屈折率層上に、銀薄膜を形成する、銀薄膜形成部と、
    前記銀薄膜上に、前記透明基板よりも波長570nmの光の屈折率が高い誘電体材料及び酸化物半導体材料から選ばれる1種以上の材料からなる第2高屈折率層を形成する、第2高屈折率層形成部と、を有し、
    前記銀薄膜形成部に前記銀薄膜を形成する面の表面温度を−40℃以上10℃以下に冷却する透明基板の冷却部を有する
    透明導電部材の製造装置。
  2. 前記第2高屈折率層上に第3高屈折率層を形成する第3高屈折率層形成部を有する請求項1に記載の透明導電部材の製造装置。
  3. 前記銀薄膜形成部の前工程、及び、後工程の少なくともいずれか一方に、硫化防止層を形成する硫化防止層形成部を有する請求項1に記載の透明導電部材の製造装置。
  4. 前記透明基板上に前記第1高屈折率層を形成する第1高屈折率層形成部を有する請求項1に記載の透明導電部材の製造装置。
  5. 透明基板上に設けられた前記透明基板よりも波長570nmの光の屈折率が高い誘電体材料及び酸化物半導体材料からなる第1高屈折率層上に、銀薄膜を形成する面の表面温度を−40℃以上10℃以下に冷却した状態で銀薄膜を形成する工程と、
    前記銀薄膜上に、前記透明基板よりも波長570nmの光の屈折率が高い、誘電体材料及び酸化物半導体材料から選ばれる1種以上の材料を用いて第2高屈折率層を形成する工程と、を有する
    透明導電部材の製造方法。
  6. 前記透明基板上に、前記透明基板よりも波長570nmの光の屈折率が高い誘電体材料及び酸化物半導体材料から選ばれる1種以上の材料を用いて前記第1高屈折率層を形成する工程を有する請求項5に記載の透明導電部材の製造方法。
  7. 前記第2高屈折率層上に第3高屈折率層を形成する工程を有する請求項5に記載の透明導電部材の製造方法。
  8. 前記銀薄膜を4nm以上9nm以下の厚さに形成する請求項5に記載の透明導電部材の製造方法。
  9. 前記第1高屈折率層、及び、前記第2高屈折率層の少なくともいずれか一方を、硫黄(S)を含む材料で形成する請求項6に記載の透明導電部材の製造方法。
  10. 前記第1高屈折率層と前記銀薄膜との間、及び、前記銀薄膜と前記第2高屈折率層との間の少なくともいずれか一方に、硫化防止層を形成する請求項9に記載の透明導電部材の製造方法。
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