JP2016044356A - 透明導電体の製造方法 - Google Patents

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仁一 粕谷
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一成 多田
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健一郎 平田
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Abstract

【課題】低電気抵抗、高光透過性及び耐湿性に優れる透明導電体を高生産性で製造する透明導電体の製造方法の提供。
【解決手段】透明基板2上に第1高屈折率層3、透明金属層4及び第2高屈折率層5をこの順に設ける透明導電体1の製造方法であって、第2高屈折率層5を、透明金属層4側からA層及びB層の少なくとも2層構成で、スパッタ法によりこの順に形成し、透明金属層側4に設けられる前記A層を、前記B層より低い電力密度(W/cm)の条件下で形成する透明導電体1の製造方法。
【選択図】図1A

Description

本発明は、透明導電体の製造方法に関する。より詳しくは、低電気抵抗、高光透過性及び耐湿性に優れる透明導電体を高生産性で製造する透明導電体の製造方法に関する。
近年、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、無機及び有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ等の表示装置、タッチパネル、太陽電池等の各種装置に透明導電体が使用されている。
例えば、タッチパネル型の表示装置等では、表示素子の画像表示面上に、透明導電体を含む配線が配置される。したがって、透明導電体には、光の透過性が高いことが求められる。このような各種表示装置には、光透過性の高い透明金属層としてITOを用いた透明導電体が多用されている。
近年、静電容量方式のタッチパネル表示装置が開発され、透明導電体の表面電気抵抗をさらに低くすることが求められている。しかし、従来のITO膜では、表面電気抵抗を十分に下げられないという問題があった。
そこで、銀を蒸着して形成する層を透明金属層(以下、Ag層ともいう。)に用いることが検討されている(例えば、特許文献1参照。)。また、透明導電体の光透過性を高めるため、Ag層を屈折率の高い膜(例えば、Nb(酸化ニオブ)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、ICO(インジウム・セリウム酸化物)、a−GIO(ガリウム・インジウム酸化物)等からなる膜)で挟み込むことも提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
さらに、Ag層を、ZnS(硫化亜鉛)を含有する層(以下、ZnS層又は硫化亜鉛含有層ともいう。)で挟み込むことが提案されている(例えば、非特許文献2参照。)。
また、大気圧プラズマ装置を用いて、Ag層を、GZO(ガリウム・亜鉛酸化物)層で挟み込むことが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、非特許文献1に示されるように、酸化ニオブやIZO等の誘電体層でAg層が挟み込まれた透明導電体では、耐湿性が十分でなかった。その結果、高湿度環境下で透明導電体を使用すると、Ag層が腐食しやすい等の問題があった。
Ag層をZnSを含む層に挟み込んだ透明導電体では、透明導電体の耐湿性は十分に高いものの、Ag層を形成する際に、又はZnSを含む層を形成する際に、銀が硫化されて硫化銀が生じやすく、その結果、透明導電体の光透過性が低くなるという問題があった。 また、透明電極層の上層にZnSを含有していると、ZnSは絶縁性が高いため、金属系引出配線と透明導電体が電気的に接続しにくくなってしまうという問題が生じていた。
一方、Ag層をGZO層で挟み込んだ透明導電体は、GZOが導電性が高いため、金属系引出配線と電気的に接続可能であり、特にAg層の上層としてGZO層を設けることは導電性上好都合である。しかしながら、特許文献2で用いられている透明導電体の製造方法は、Ag層の形成を塗布方式で行い、GZO層の形成を大気圧プラズマ装置によって行うため、生産方式が複雑である。
特許文献3には、熱線遮断膜として、スパッタ法によって形成されるAg層上にGZO層を形成する際に、当該GZO層を無酸素雰囲気でスパッタ法によって積層する技術が開示されている。しかしながら、Ag層上にGZO層を生産性を高めるため高レート、高パワーなスパッタリング条件で形成すると、材料からOが微量排出され、当該OによってAg層の表面が荒れて不要な吸収が生じ、透明性が劣化するという問題が起こることが分かった。
特開2007−250430号公報 特開2006−236747号公報 特開平07−178866号公報
Transparent Conductive Film Nb2O5/Ag/IZO with an Anti−Reflection Design,Ywh−Tarng Leu, et al., SID 2012 DIGEST p.352−353 Ho−KyunPark,Jae−WookKang,Seok−InNa,Don−YuKim,Han−KiKim,「Solar Energy Materials & Solar Cells」Volume 93,(2009),p.1994−2002
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、低電気抵抗、高光透過性及び耐湿性に優れる透明導電体を高生産性で製造する透明導電体の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、透明金属層の上層に設けられる第2高屈折率層を、透明金属層側からA層及びB層の少なくとも2層構成で、スパッタ法によりこの順に形成し、前記透明金属層側に設けられる前記A層を、前記B層より低い電力密度(W/cm)の条件下で形成することで、低電気抵抗、高光透過性及び耐湿性に優れる透明導電体を高生産性で製造できる透明導電体の製造方法が得られることを見出した。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも、透明基板上に第1高屈折率層、透明金属層及び第2高屈折率層をこの順に設ける透明導電体の製造方法であって、
前記第2高屈折率層を、前記透明金属層側からA層及びB層の少なくとも2層構成で、スパッタ法によりこの順に形成し、
前記透明金属層側に設けられる前記A層を、前記B層より低い電力密度(W/cm)の条件下で形成することを特徴とする透明導電体の製造方法。
2.前記A層を形成するときの電力密度(W/cm)をAp、前記B層を形成するときの電力密度(W/cm)をBpとしたときの比の値Bp/Apが、下記式(1)を満たすことを特徴とする第1項に記載の透明導電体の製造方法。
式(1):1.0<Bp/Ap≦8.0
3.前記A層を形成する際の電力密度(W/cm)が、3.0W/cm以下であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の透明導電体の製造方法。
4.前記A層を形成する際の酸素導入量が、0sccmであることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の透明導電体の製造方法。
5.前記A層の層厚が、2〜10nmの範囲内であることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の透明導電体の製造方法。
6.前記A層を形成する材料が、原子番号40以下の金属からなる金属化合物を含有していることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の透明導電体の製造方法。
7.前記A層が、亜鉛成分を主成分として含有することを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の透明導電体の製造方法。
8.前記B層が、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム(In)又は酸化スズ(SnO)のいずれかを含有することを特徴とする第1項から第7項までのいずれか一項に記載の透明導電体の製造方法。
9.前記第1高屈折率層が、硫黄成分を含有することを特徴とする第1項から第8項までのいずれか一項に記載の透明導電体の製造方法。
10.前記第1高屈折率層が硫黄成分を含有し、かつ当該第1高屈折率層と前記透明金属層の間に、さらに亜鉛成分を含有した硫化防止層を設けることを特徴とする第1項から第9項までのいずれか一項に記載の透明導電体の製造方法。
本発明の上記手段により、低電気抵抗、高光透過性及び耐湿性に優れる透明導電体を高生産性で製造する透明導電体の製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
透明基板上に第1高屈折率層及び透明金属層をこの順に設け、さらに上層として第2高屈折率層を、スパッタ法にて高レート、高パワー条件で成膜すると、透明金属層の光透過率が低下するという現象が見られたが、これは当該成膜条件では、ターゲット材(スパッタ源)からOが微量排出され、その酸化的雰囲気によって透明金属層の表面を荒らして不要な吸収が生じ、光透過率が低下するものと推察された。
本願のように第2高屈折率層を、Oの微量排出を抑制するように成膜初期には低パワー条件下でスパッタ法により成膜を行い、下層に対して保護層的に第2高屈折率層の一部を形成し、次いで高パワー条件下で第2高屈折率層の残余の部分をスパッタ法により成膜を行うことによって、当該Oの微量排出の影響なしに、高レートで残余の第2高屈折率層を形成できることから、成膜全体の生産性が高く、かつ透明金属層表面を荒らすことなく、高い光透過率を実現できたものと推察される。
本発明に係る透明導電体の構成の一例を示す概略断面図 本発明に係る透明導電体の構成の一例を示す概略断面図 本発明に係る透明導電体の構成の一例を示す概略断面図 本発明に係る透明導電体の導通領域及び絶縁領域からなるパターンの一例を示す模式図 パターニングされた電極を有する透明導電体を具備したタッチパネルの構成の一例を示す斜視図
本発明の透明導電体の製造方法は、透明金属層の上層に設けられる第2高屈折率層を、透明金属層側からA層及びB層の少なくとも2層構成で、スパッタ法によりこの順に形成し、前記透明金属層側に設けられる前記A層を、前記B層より低い電力密度(W/cm)の条件下で形成することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項10までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記A層を形成するときの電力密度(W/cm)をAp、前記B層を形成するときの電力密度(W/cm)をBpとしたときの比の値Bp/Apが、前記式(1)を満たすことが、本発明の効果を得ることに加えて、第2高屈折率層としてのA層/B層の均一性を増す観点からも好ましい。
また、前記A層を形成する際の電力密度(W/cm)が、3.0W/cm以下であることが、ターゲット材(スパッタ源)からのOの微量排出を抑制する観点から好ましい。
また、前記A層を形成する際の酸素導入量は、0sccmであることが好ましく、当該A層の成膜で酸素を導入せずに成膜すると、成膜時に透明導電層(Ag層)表面が酸素によるボンバードで荒れることがなく、その結果プラズモン吸収が起きにくくなる。
前記A層の層厚が、2〜10nmの範囲内であることが好ましい。2nm以上にすれば次に積層する前記B層の高パワー成膜時のボンバードから、透明導電層(Ag層)を保護することができる。また、A層の層厚を10nm以下にすれば、低パワーで成膜するA層が厚すぎることはなく、本発明の課題である高生産性を阻害することがなく、好ましい。
さらに本発明においては、前記A層を形成する材料が、原子番号40以下の金属からなる金属化合物を含有していることが、本発明の効果を発現する上で、好ましい態様である。原子番号40が超える重たい金属からなる化合物は、成膜時のエネルギーが高すぎ、透明金属層(例えば、Ag層)にダメージを与える。結果、透明金属層(Ag層)の連続膜性が壊れプラズモン吸収が大きくなる。前記A層を形成する主成分(50質量%以上)の材料が、原子番号40以下の元素からなる金属化合物でできていれば、透明金属層(Ag層)にダメージはない。
中でも、前記A層が、亜鉛成分を主成分として含有することが好ましく、また前記B層が、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム(In)又は酸化スズ(SnO)のいずれかを含有することが、透明金属層と外部回路を接続するに足る導電性を第2高屈折率層に付与することができ、好ましい。
前記第1高屈折率層が硫黄成分を含有することが耐湿性を向上することができるため、好ましい。さらに当該第1高屈折率層と前記透明金属層の間に、亜鉛成分を含有した硫化防止層を設けることが、透明金属層に含有される金属の薄膜層形成を促進し、かつ当該硫化防止層によって第1高屈折率層に含有される硫黄成分との反応を抑制し、当該金属層の腐食等を防止できる観点から、好ましい実施態様である。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。また、本発明の透明導電体の製造方法によって製造される透明導電体を、「本発明に係る透明導電体」という場合がある。
≪本発明の透明導電体の製造方法の概要≫
本発明の透明導電体の製造方法は、少なくとも、透明基板上に第1高屈折率層、透明金属層及び第2高屈折率層をこの順に設ける透明導電体の製造方法であって、前記第2高屈折率層を、前記透明金属層側からA層及びB層の少なくとも2層構成で、スパッタ法によりこの順に形成し、前記透明金属層側に設けられる前記A層を、前記B層より低い電力密度(W/cm)の条件下で形成することを特徴とし、かかる構成によって、低電気抵抗、高光透過性及び耐湿性に優れる透明導電体を高生産性で製造する透明導電体の製造方法を提供することができる。
<透明導電体の基本的構成>
図1A〜Cは、本発明に係る透明導電体の構成の一例を示す概略断面図である。
本発明に係る透明導電体1は、少なくとも、透明基板2、第1高屈折率層3、透明金属層4及び第2高屈折率層5をこの順に有することを特徴とし、第2高屈折率層5はスパッタ法によって成膜する際に、透明金属層に接する側に設けられる電力密度(W/cm)を低くしてスパッタ法により形成するA層、及び当該電力密度(W/cm)を高くしてスパッタ法により形成するB層の少なくとも2層構成をとることを特徴とする。ただし、当該A層及びB層は複数の層を形成してもよく(不図示)、組成の異なる層をそれぞれ積層してもよい。
図1Aでは、第1高屈折率層3と第2高屈折率層5との間に透明金属層4が設けられている。本発明では第1高屈折率層が硫黄成分を含有することが好ましいが、このように硫黄成分を含有した第1高屈折率層を透明金属層4に隣接して設けると、透明金属層4中の金属、例えば銀原子と硫黄成分との親和性が高いため、銀原子のマイグレーション(移動)が抑えられ、薄膜で均一な透明金属層4を得ることができる。かつ、この銀薄膜は安定であるため、耐湿性にも優れている。
また、図1Bでは、透明金属層4と前記第1高屈折率層3の間に第1硫化防止層6Aが設けられている。このような構成とすることで、亜鉛成分を含有した第1硫化防止層6Aを透明金属層4に隣接して設けると、透明金属層中の銀が第1高屈折率層に含まれる硫黄により硫化されることを抑えることができる。
さらに図1Cのように、透明金属層4と第2高屈折率層5の間にも第2硫化防止層6Bを設けてもよい。このような構成の場合は、例えば第2高屈折率層に硫黄成分が含まれる場合には、透明金属層の金属が硫黄により硫化されることを抑えることができる。
本発明に係る透明導電体1では、図1A〜Cで示すように、透明金属層4が透明基板2の全面に積層されていてもよいが、図2に示すように、例えば、第1高屈折率層3、第1硫化防止層6A、透明金属層4、第2高屈折率層5から構成される透明電極ユニットEUが所望の形状にパターニングされていることが好ましい。
本発明に係る透明導電体1において、透明電極ユニットEUが積層されている領域aが、電気が導通する領域(以下、「導通領域」とも称する。)である。一方、図2に示されるように、透明電極ユニットEUを有していない領域bが絶縁領域である。
導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンは、透明導電体1の用途に応じて、適宜選択される。一例として、静電方式のタッチパネルに適用するパターンの詳細については、後述する。
また、本発明に係る透明導電体1には、前記透明基板2、第1高屈折率層3、第1硫化防止層6A、透明金属層4、第2硫化防止層6B及び第2高屈折率層5の他に、必要に応じて公知の機能性層を設けてもよい。
本発明に係る透明導電体1に含まれる層は、透明基板2を除いて、いずれも無機材料からなる層であることが好ましい。例えば、第2高屈折率層5上に有機樹脂からなる接着層が積層されていたとしても、透明基板2から第2高屈折率層5までの積層体が、本発明に係る透明導電体1であると定義する。
<第2高屈折率層の製造方法の特徴>
本発明に係る透明導電体は、前記第2高屈折率層を、透明金属層側から少なくともA層及びB層の2層構成で、スパッタ法によりこの順に形成し、前記透明金属層側に設けられる前記A層を、前記B層より低い電力密度(W/cm)条件下で形成することを特徴とする。
本発明でいうスパッタ法は、真空チャンバー内に薄膜として形成したい金属をターゲットとして設置し、高電圧をかけてイオン化させた希ガス元素(通常はアルゴン)や窒素(通常は空気由来)を衝突させ、ターゲット表面の原子をはじき飛ばして、基板に高密度に金属を成膜する方法である。また、上記希ガスとともに、反応性ガス(OやN)を導入することで、金属酸化物や金属窒化物を成膜することもできる。
本発明に係るスパッタ法には、2極スパッタ法、マグネトロンスパッタ法、DCスパッタ法、DCパルススパッタ法、RF(高周波)スパッタ法、デュアルマグネトロンスパッタ法、反応性スパッタ法、イオンビームスパッタ法、バイアススパッタ法、及び対向ターゲットスパッタ法などの、公知のスパッタ法を適宜用いることができる。中でも高生産性であるマグネトロンスパッタ法や対向ターゲットスパッタ法を用いることが好ましく、特に対向ターゲットスパッタ法で形成された層であることが好ましい。すなわち、透明金属層3が、対向ターゲットスパッタ法で形成された層であると、層が緻密になり、表面平滑性が高まりやすい。その結果、光の透過率も高まりやすい。
具体的な市販のスパッタ装置としては、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置、ウルバック社の各種スパッタ装置(例えば、マルチチャンバ型スパッタリング装置ENTRONTM−EX W300)やアネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置等を用いることができる。
本発明に係る第2高屈折率層5は、透明金属層4側から少なくともA層及びB層の2層構成でこの順に形成されることが特徴であるが、第2高屈折率層5の全体の層厚は、15〜150nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは20〜50nmの範囲内である。第2高屈折率層5の層厚が15nm以上であると、第2高屈折率層5によって、透明導電体1の導通領域aの光透過性が十分に調整される。一方、第2高屈折率層5の層厚が150nm以下であれば、第2高屈折率層5が含まれる領域の光透過性が低下し難い。第2高屈折率層5の層厚は、エリプソメーターで測定される。
前記A層及びB層のそれぞれの層厚は特に制限されるものではないが、スパッタリングに高生産性を付与する観点から、電力密度(W/cm)を高くするスパッタリング領域、すなわちB層の層厚の比率をA層よりも大きくすることが好ましい。
具体的には、A層の層厚/B層の層厚の比率を、1:99〜49:51の範囲内にすることが好ましく、5:95〜40:60の範囲内にすることがより好ましい。光透過性の改善と高生産性を両立する観点からは、A層の層厚は、2〜10nmの範囲内であることが好ましい。2nm以上にすれば次に積層する前記B層の高パワー成膜時のボンバードから、透明導電層(Ag層)を保護することができる。また、A層の層厚を10nm以下にすれば、低パワーで成膜するA層が厚すぎることはなく、本発明の課題である高生産性を阻害することがなく、好ましい。
本発明では、前記A層を、前記B層より低い電力密度(W/cm)条件下で形成することを特徴とするものであるが、前記A層を形成するときの電力密度(W/cm)をAp、前記B層を形成するときの電力密度(W/cm)をBpとしたときの比の値Bp/Apは、1.0<Bp/Ap≦12.0の範囲内であることが好ましく、中でも式(1)1.0<Bp/Ap≦8.0の範囲内であることがより好ましい。
式(1)の範囲を満たす場合には、本発明の効果を得ることに加えて、第2高屈折率層としてのA層/B層の均一性を増す観点からも好ましい。
前記A層を形成する際の電力密度(W/cm)は、1.0〜8.0W/cmの範囲内であることが、成膜初期に低パワーで成膜し、Oの微量排出を抑制しながら下層に対して保護層的に第2高屈折率層の一部を成膜する観点から、好ましい。特に、当該A層を形成する際の電力密度(W/cm)が、3.0W/cm以下であることが、ターゲット材(スパッタ源)からのOの微量排出を抑制する観点から好ましい。
前記B層を形成する際の電力密度(W/cm)は、9.0〜30.0W/cmの範囲内であることが、スパッタリングを高生産性で行う観点から好ましい。
当該A層及びB層を成膜する際の電力密度(W/cm)は、上記範囲内であれば一定値で行ってもよく、また、中途で変化させてもよい。例えば、A層の成膜過程において(初期)1.0W/cmでスタートし、(中途〜最終)4.0W/cmと変化させてもよく、B層の成膜過程においてを、(初期)12.0W/cmでスタートし、(中途〜最終)24.0W/cmと変化させてもよい。
これらの電力密度((W/cm)の調整は、前記スパッタ装置によって適宜調整される。
前記B層の形成速度は0.5nm/秒以上であることが好ましい。形成速度は0.5〜5.0nm/秒の範囲内であることがより好ましく、特に好ましくは1.0〜2.0nm/秒の範囲内である。
当該A層及びB層を成膜する際の希ガスとしてはアルゴン(Ar)を用いることが好ましく、ガス圧が0.05〜0.5Paの範囲となるようにArを導入させることが好ましく、反応槽内のアルゴンの流量比率は100%に近いことが好ましく、100%であることがより好ましい。
特に、A層ではアルゴン流量比率が100%であることが好ましい。すなわち、当該A層を形成する際の酸素導入量は、0sccmであることが、A層を成膜する際に透明金属層(Ag層)表面が酸素によるボンバードで荒れることを防止し、その結果プラズモン吸が起きにくくなるため、好ましい。
B層はアルゴンの流量比率が99.9%〜80%、酸素の流量比率が0.1〜20%であることが好ましい。
スパッタ圧は、0.05〜0.5Paの範囲内であることが好ましく、スパッタ時の温度は制限はなく、室温でもよいが、25℃以下の低温でA層を製膜するのが好ましい。
スパッタ時のターゲットと基板間の距離は特に制限はないが、通常は50〜100mmの範囲内であることが好ましい。
また、当該A層及びB層はそれぞれ複数の層を形成してもよく、組成の異なる層をそれぞれ積層してもよい。このような構成とすることによって、第2高屈折率層の屈折率を調整することによって、光透過性(光学アドミッタンス)を調整することが容易となり、高光透過性を得る観点から好ましい。
<透明導電体の各構成要素>
〔透明基板〕
本発明に係る透明導電体1に適用可能な透明基板2としては、各種表示デバイスの透明基板に適用されている材料を用いることができる。
透明基板2は、ガラス基板や、セルロースエステル樹脂(例えば、トリアセチルセルロース(略称:TAC)、ジアセチルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース等)、ポリカーボネート樹脂(例えば、パンライト、マルチロン(以上、帝人社製))、シクロオレフィン樹脂(例えば、ゼオノア(日本ゼオン社製)、アートン(JSR社製)、アペル(三井化学社製))、アクリル樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリライト(三菱レイヨン社製)、スミペックス(住友化学社製))、ポリイミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル(略称:PPE)樹脂、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート(略称:PET)、ポリエチレンナフタレート(略称:PEN))、ポリエーテルスルホン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(略称:ABS樹脂)/アクリロニトリル・スチレン樹脂(略称:AS樹脂)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン樹脂(略称:MBS樹脂)、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール/エチレンビニルアルコール樹脂(略称:EVOH)、スチレン系ブロックコポリマー樹脂等からなる透明樹脂フィルムでありうる。透明基板2が透明樹脂フィルムである場合、当該フィルムには2種以上の樹脂が含まれてもよい。
高い光透過性を達成することができる観点から、本発明に適用する透明基板2としては、ガラス基板や、セルロースエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂(特にポリエチレンテレフタレート)、シクロオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリエーテルスルホン、ABS/AS樹脂、MBS樹脂、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール/EVOH(エチレンビニルアルコール樹脂)、スチレン系ブロックコポリマー樹脂等の樹脂成分から構成されるフィルムであることが好ましい。
透明基板2は、可視光に対する光透過性が高いことが好ましく、波長450〜800nmの光の平均光透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。透明基板2の光の平均光透過率が70%以上であると、透明導電体1の光透過性が高まりやすい。また、透明基板2の波長450〜800nmの光の平均光吸収率は10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下である。上記平均光透過率は、透明基板2の表面の法線に対して、5°傾けた角度から光を入射させて測定する。
一方、平均光吸収率は、平均光透過率と同様の角度から光を入射させて、透明基板2の平均反射率を測定し、
平均光吸収率(%)=100−(平均光透過率+平均反射率)(%)
として算出する。平均光透過率及び平均反射率は、分光光度計(例えば、U4100;日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定することができる。
透明基板2の波長570nmの光の屈折率は1.40〜1.95の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1.45〜1.75の範囲内であり、さらに好ましくは1.45〜1.70の範囲内である。透明基板2の屈折率は、通常、透明基板2の材質によって定まる。透明基板2の屈折率は、エリプソメーターを用い、25℃の環境下で測定することにより求めることができる。
透明基板2のヘイズ値は、0.01〜2.5%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜1.2%の範囲内である。透明基板のヘイズ値が2.5%以下であると、透明導電体としてのヘイズ値を抑制することができ、好ましい。ヘイズ値は、ヘイズメーターを用いて測定することができる。
透明基板2の厚さは、1μm〜20mmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10μm〜2mmの範囲内である。透明基板の厚さが1μm以上であれば、透明基板2の強度が高まり、第1高屈折率層3Aの作製時に割れたり、裂けたりすることを防止することができる。一方、透明基板2の厚さが20mm以下であれば、透明導電体1の十分なフレキシブル性を得ることができる。さらに、透明導電体1を具備した電子デバイス機器等の厚さを薄くできる。また、透明導電体1を用いた電子デバイス機器等を軽量化することもできる。
本発明においては、使用する透明基板2は、各構成層を製膜する前に、基板中に含まれている水分や残留している溶媒を、クライオポンプ等を用いてあらかじめ除いたのち、形成工程で使用することが好ましい。
また、本発明に適用する透明基板上には、そのあとに形成する第1高屈折率層の平滑性を得る観点から、公知のクリアハードコート層を設けてもよいし、市販のクリアハードコート層付き透明基板を用いてもよい。
〔第1高屈折率層〕
本発明に係る透明導電体1は、第1高屈折率層3と第2高屈折率層5を有しており、透明基板2に近い方を第1高屈折率層3、遠い方を第2高屈折率層5と呼ぶ(図1A参照。)。
第1高屈折率層3及び第2高屈折率層5は、それぞれ、誘電性材料又は酸化物半導体材料を含有し、波長570nmの光に対して、第1高屈折率層3及び第2高屈折率層5の屈折率が、透明基板2の屈折率よりも高いことを特徴とする。
第1高屈折率層3は、硫黄成分を含有することが好ましく、当該硫黄成分を0.1〜50at%の範囲内で含有することが好ましい。
第1高屈折率層に含有される硫黄成分が50at%以下とすることで、硫黄過多となってターゲットが作製しにくくなることを抑制することができる点で好ましい。また、0.1at%以上とすることで、透明金属層に含有されるAgのマイグレーションを抑え込みやすくすることができる点で好ましい。硫黄成分は多い方がAgが島状にならず、連続膜性を向上することができる。
第1高屈折率層が含有する硫黄成分としては、ZnS(硫化亜鉛)及び単体の硫黄に由来するものを用いることができるが、ZnS(硫化亜鉛)に由来するものであることが特に好ましい。ZnS(硫化亜鉛)に由来する硫黄成分は、高屈折率層中で安定して存在することができるため、硫黄成分が望まない場所に拡散し反応するのを防ぎやすい。
第1高屈折率層3は、透明導電体の導通領域a、つまり透明金属層4が形成されている領域の光透過性(光学アドミッタンス)を調整する層であり、少なくとも透明導電体1の導通領域aに形成される。第1高屈折率層3は、透明導電体1の絶縁領域bにも形成されていてもよいが、導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンを視認され難くするとの観点から、図2に例示するように導通領域aのみに形成されていることが好ましい。
第1高屈折率層3は、透明基板2の屈折率より高い屈折率を有する。第1高屈折率層3には、前述の透明基板2の屈折率より高い屈折率を有する誘電性材料又は酸化物半導体材料が含まれることが好ましい。波長570nmの光に対する当該誘電性材料又は酸化物半導体材料の屈折率は、透明基板の屈折率より0.1〜1.1大きいことが好ましく、0.4〜1.0大きいことがより好ましい。
なお、本発明でいう屈折率は、温度25℃、相対湿度55%における測定値である。
波長570nmの光に対する第1高屈折率層に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料の屈折率は1.5より高いことが好ましく、1.7〜2.5であることがより好ましく、さらに好ましくは1.8〜2.5である。誘電性材料又は酸化物半導体材料の屈折率が1.5より高いと、第1高屈折率層によって、透明導電体の導通領域aの光学アドミッタンスが十分に調整される。なお、第1高屈折率層の屈折率は、第1高屈折率層に含まれる材料の屈折率や、第1高屈折率層に含まれる材料の密度で調整される。高屈折率層の屈折率も透明基板と同様に、エリプソメーターを用い、25℃の環境下で測定することにより求めることができる。
第1高屈折率層3に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料は、絶縁性の材料であってもよく、導電性の材料であってもよい。誘電性材料又は酸化物半導体材料は、上記屈折率を有する金属酸化物でありうる。
上記屈折率を有するZnS以外の金属酸化物の例には、TiO、SiO、ITO(インジウム・スズ酸化物)、ZnO、Nb、ZrO、CeO、Ta、Ti、Ti、Ti、TiO、SnO、LaTi、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、AZO(アルミニウム・亜鉛酸化物)、GZO(ガリウム・亜鉛酸化物)、ATO(アンチモン・スズ酸化物)、ICO(インジウム・セリウム酸化物)、IGZO(インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物)、Bi、Ga、GeO、WO、HfO、In、a−GIO(ガリウム・インジウム酸化物)等が含まれる。第1高屈折率層は、当該金属酸化物が1種のみ含まれる層であってもよく、2種以上が含まれる層であってもよい。
また、上記高屈折率材料に、その他の材料を混ぜても良い。
特にZnSとSiOとの混合物は安定でフレキシブル性が高い点で好ましい。第1高屈折率層3にZnSが含まれると、透明基板2側から水分が透過し難くなり、透明金属層4の腐食が抑制される。
また、ZnSとともにSiOが含まれると、第1高屈折率層3が非晶質になりやすく、透明導電体1のフレキシブル性が高まりやすい。
さらに、上記2種類以上の高屈折率層が積層されて複数層からなる第1高屈折率層を形成してもよい。
第1高屈折率層3の層厚は、10〜150nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10〜80nmの範囲内である。これらの高屈折率層の層厚が10nm以上であると、高屈折率層によって、透明導電体1の導通領域aの光学アドミッタンスが十分に調整される。一方、高屈折率層の層厚が150nm以下であれば、高屈折率層が含まれる領域の光透過性が低下し難い。高屈折率層の層厚は、エリプソメーターで測定される。
第1高屈折率層は、蒸着法若しくはスパッタ法により形成することが好ましく、蒸着法であることがより好ましい。本発明に適用可能な蒸着法としては、抵抗加熱蒸着法、電子線蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法等が含まれる。蒸着装置としては、例えば、シンクロン社製のBMC−800T蒸着機等を用いることができる。蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度として500〜2000℃の範囲、真空度として1×10−6〜1×10−2Paの範囲、蒸着速度として0.01〜50nm/秒の範囲、基板温度として−50〜300℃の範囲で、各条件を適宜選択することが望ましい。
また、高屈折率層が所望の形状にパターニングされた層である場合、パターニング方法は特に制限されない。高屈折率層は、例えば、所望のパターンを有するマスク等を被形成面に配置して、気相形成法でパターン状に形成された層であってもよく、公知のエッチング法、例えば、フォトリソグラフィー法によってパターニングされた層であってもよい。
本発明においては、第1高屈折率層が硫黄成分を含有することが好ましく、硫黄成分を含有することにより、透明金属層の湿気による劣化を好適に防ぐことができ、高い導電性を維持することができる。
これにより、第1高屈折率層の上部に、例えば銀を主成分として含有している透明金属層を成膜する際には、透明金属層を構成する銀原子が、第1高屈折率層に含有されている銀原子と親和性のある硫化亜鉛の硫黄原子と相互作用し、当該高屈折率層表面上での銀原子の拡散距離が減少し、特異箇所での銀の凝集が抑えられる。
すなわち、銀原子は、まず銀原子と硫化亜鉛を含有する高屈折率層表面上で2次元的な核を形成し、それを中心に2次元の単結晶層を形成するという層状成長型(Frank−van der Merwe:FM型)の膜成長によって成膜されるようになる。
なお、一般的には、高屈折率層表面において付着した銀原子が表面を拡散しながら結合し3次元的な核を形成し、3次元的な島状に成長するという島状成長型(Volumer−Weber:VW型)での膜成長により島状に成膜しやすいと考えられるが、本発明では、高屈折率層に含有されている硫化亜鉛により、このような様式の島状成長が防止され、層状成長が促進されると推察される。
したがって、薄い膜厚でありながらも、均一な膜厚の導電性層が得られるようになる。そのため、透明金属層4が薄くとも、プラズモン吸収が生じ難くなる。この結果、より薄い膜厚として光透過性を保ちつつも、導電性が確保された透明導電体とすることができる。
また、このような層を設けることにより、銀と硫黄原子の親和性が強くなり、かつ水の透過性を妨げるため銀の腐食が防止され、透明導電体の耐湿性を向上させることができるものと考えられる。
〔硫化防止層〕
本発明に係る透明導電体は、第1高屈折率層と透明金属層との間に、亜鉛成分を含有した硫化防止層を有することが好ましい。
硫化防止層としては、金属酸化物、金属窒化物、金属フッ化物、金属又は半導体が使用でき、例えば、ZnO、GZO、AZO等の亜鉛成分を含有した層であることが好ましく、これらが1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。
硫化防止層は、複数設けてもよく、透明基板に近い方を第1硫化防止層、遠い方を第2硫化防止層と呼ぶ。
透明金属層とZnSを含む第1高屈折率層とが隣接して成膜されると、透明金属層4の成膜時、透明金属層中の金属が硫化されて金属硫化物が生成し、透明導電体の光透過性が低下する場合がある。これに対し、第1高屈折率層3と透明金属層4との間に硫化防止層が含まれると、金属硫化物の生成が抑制される。また、第2高屈折率層に硫黄成分が含有される場合には、透明金属層4と第2高屈折率層5Bとの間にも硫化防止層を設けることも好ましい。
金属酸化物の例には、TiO、ITO、ZnO、Nb、ZrO、CeO、Ta、Ti、Ti、Ti、TiO、SnO、LaTi、IZO、AZO、GZO、ATO、ICO、Bi、a−GIO、Ga、GeO、SiO、Al、HfO、SiO、MgO、Y、WO等が含まれる。
金属フッ化物の例には、LaF、BaF、NaAl14、NaAlF、AlF、MgF、CaF、BaF、CeF、NdF、YF等が含まれる。
金属窒化物の例には、Si、AlN等が含まれる。
硫化防止層の層厚は、透明金属層4の成膜時に透明金属層4が硫化されることを防止可能な層厚であれば、特に制限されない。ただし、第1高屈折率層3に含まれるZnSは、透明金属層4に含まれる金属との親和性が高い。そのため、硫化防止層の層厚が非常に薄いと、透明金属層4と第1高屈折率層3とが接する部分が生じ、各層同士の密着性が高まりやすい。つまり、硫化防止層は比較的薄いことが好ましく、0.1〜10nmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5nmの範囲であり、さらに好ましくは0.1〜3nmの範囲である。硫化防止層の層厚は、エリプソメーターで測定される。特にZnやGa金属が入った硫化防止層であれば耐湿性を劣化させず、また銀との相互作用も強いため好ましい。
硫化防止層は、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等、一般的な気相成膜法で成膜された層でありうる。
硫化防止層が、所望の形状にパターニングされた層である場合、パターニング方法は特に制限されない。硫化防止層は、例えば、所望のパターンを有するマスク等を被成膜面に配置して、気相成膜法でパターン状に成膜された層であってもよく、公知のエッチング法によってパターニングされた層であってもよい。
〔透明金属層〕
透明金属層4は、透明導電体1において電気を導通させるための層である。透明金属層4は、図1A〜Cに記載のように透明基板2の全面に形成されていてもよいが、また、図2に示すように所定の形状にパターニングされていてもよい。
本発明に係る透明金属層は、金属及び合金が材料として用いられる。具体的には、金、アルミニウム、銀、銅、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属、ITO(Indium Tin Oxide;酸化インジウム・スズ)等が挙げられる。
中でも銀を主成分として含有することが好ましく、本発明においては、金属層の銀の含有比率が60at%(原子%)以上であることをいう。好ましくは銀の含有比率は導電性の観点から90at%以上でより好ましくは95at%以上で、さらには透明電極が銀のみからなることが好ましい。
銀と組み合わされる金属としては、亜鉛、金、銅、パラジウム、アルミニウム、マンガン、ビスマス、ネオジム、モリブデン、白金、チタン、クロム等でありうる。例えば、銀と亜鉛とが組み合わされると、透明金属層の耐硫化性が高まる。銀と金とが組み合わされると、耐塩(NaCl)性が高まる。さらに銀と銅とが組み合わされると、耐酸化性が高まる。
透明金属層4のプラズモン吸収率は、波長400〜800nmにわたって(全範囲で)10%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは5%以下である。波長400〜800nmの一部にプラズモン吸収率が大きい領域があると、透明導電体1の導通領域aの透過光が着色しやすくなる。
透明金属層4の波長400〜800nmにおけるプラズモン吸収率は、以下の手順で測定される。
(i)ガラス基板上に、白金パラジウムをシンクロン社製のBMC−800T蒸着装置にて0.1nmで形成する。白金パラジウムの平均厚さは、蒸着装置のメーカー公称値の形成速度等から算出する。その後、白金パラジウムが付着した基板上に、真空蒸着法にて金属からなる層を20nmの層厚で形成する。
(ii)そして、得られた金属膜の表面の法線に対して、5°傾けた角度から測定光を入射させ、金属膜の透過率及び反射率を測定する。そして各波長における透過率及び反射率から、吸収率(%)=100−(透過率+反射率)(%)を算出し、これをリファレンスデータとする。透過率及び反射率は、分光光度計で測定する。
(iii)続いて、測定対象の透明金属層を同様のガラス基板上に形成する。そして、当該透明金属層について、同様に透過率及び反射率を測定する。得られた吸収率から上記リファレンスデータを差し引き、算出された値を、プラズモン吸収率とする。
透明金属層4の層厚は4〜20nmの範囲内であることが好ましいが、4〜10nmの範囲内であることがより好ましく、さらに好ましくは3〜9nmの範囲内であり、特に好ましくは5〜8nmの範囲内である。透明導電体1では、透明金属層4の層厚が10nm以下の場合、透明金属層4に金属本来の反射が生じ難い。さらに、透明金属層4の層厚が10nm以下であると、第1高屈折率層3A及び第2高屈折率層3Bによって、透明導電体1の光学アドミッタンスが調整されやすく、導通領域a表面での光の反射が抑制されやすい。透明金属層4の層厚は、エリプソメーターを用いて測定して求めることができる。
透明金属層4は、いずれの形成方法で形成された層でもよいが、真空蒸着法若しくはスパッタ法で形成された層であることが好ましい。
スパッタ法若しくは真空蒸着法であれば、平面性の高い透明金属層を、極めて速い形成速度で形成することができる。また、ZnSを含有する高屈折率層の上に金属層を成膜する際、層の形成速度が速ければ、金属の硫化物が生成しにくいため、銀を主成分として含有する透明金属層の形成速度は0.3nm/秒以上であることが好ましい。形成速度が0.5〜30nm/秒の範囲内であることがより好ましく、特に好ましくは1.0〜15nm/秒の範囲内である。また成膜時の温度は、−25〜25℃の範囲内であることが好ましい。
スパッタ法として、対向ターゲットスパッタ法を用いることは、銀の平滑性を高めるため、また透明性と導電性が良好するため好ましい。
また、透明金属層4が所望の形状にパターニングされた膜である場合、パターニング方法は特に制限されない。透明金属層4は、例えば、所望のパターンを有するマスクを配置して形成された層であってもよく、公知のエッチング法によってパターニングされた膜であってもよい。
〔第2高屈折率層〕
第2高屈折率層5は、透明導電体1の導通領域a、つまり透明金属層4が形成されている領域の光透過性を調整するための層であり、少なくとも透明導電体1の導通領域aに形成される。
第2高屈折率層5は、透明導電体1の絶縁領域bに形成されてもよいが、導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンを視認され難くするとの観点から、導通領域aのみに形成されていることが好ましい。
第2高屈折率層5は、透明基板2の屈折率より高い屈折率を有する。第2高屈折率層5の波長570nmの光の屈折率(25℃、55%RH環境下で測定)は、1.9〜2.15の範囲内であることが、白色に見えて、骨みえ防止の観点から好ましい。
第2高屈折率層5に含有される誘電性材料又は酸化物半導体材料の波長570nmの光の屈折率は、透明基板2の波長570nmの光の屈折率より0.1〜1.1大きいことが好ましく、0.4〜1.0大きいことがより好ましい。
一方、第2高屈折率層5に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料の波長570nmの光の具体的な屈折率は1.5より大きいことが好ましく、1.7〜2.5であることがより好ましく、さらに好ましくは1.8〜2.5である。誘電性材料又は酸化物半導体材料の屈折率が1.5より大きいと、第2高屈折率層5によって、透明導電体1の導通領域aの光透過性が十分に調整される。
すなわち、第2高屈折率層に含まれる材料の屈折率が1.5より大きいと、第2高屈折率層によって、透明導電体の導通領域aの光学アドミッタンスが十分に調整される。
このような屈折率を透明導電体が有することにより、透明金属層に含有される金属、例えば銀による反射を相殺することができる。
具体的には、基材と比較して、第1高屈折率層の屈折率が高いほど、基材と第1高屈折率層の界面での反射が高まるため、透明金属層に含有される銀から発生する反射を打ち消しやすくなる。
また、第2高屈折率層も同様に屈折率が高いほど第2高屈折率層の表面で発生する反射が高まり、銀の反射光を相殺させることが可能になる。したがって高屈折率層の屈折率は基材の屈折率より高いほど望ましい。
なお、第2高屈折率層5の屈折率は、第2高屈折率層5に含まれる材料の屈折率や、第2高屈折率層5に含まれる材料の密度で調整される。
第2高屈折率層5は、さらに、電気接続性を確保するために導電性をも有する層である。本発明において、良好な電気接続性を確保するためには、比抵抗が1000Ω・cm以下の材料であることが好ましい。さらに好ましくは0.1Ω・cm以下であることが望ましい。このような構成とすることで、この第2高屈折率層5を通して外側に設けられた端子と、透明金属層との電気接続性が得られ、透明金属層を通して通電できるので、透明導電体の導電性が格段に向上する。
第2高屈折率層5に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料は、絶縁性の材料であってもよく、導電性の材料であってもよい。
当該誘電性材料又は酸化物半導体材料は、第1高屈折率層3に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料と同様の金属酸化物が挙げられる。
第2高屈折率層5には、当該金属酸化物が1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。
第2高屈折率層5に含まれる材料は、上記した第1高屈折率層3に含まれる材料の中でも酸化物半導体材料が含まれることが好ましい。中でも金属酸化物が好ましい。
第2高屈折率層は、チタン(Ti)、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、セリウム(Ce)、タングステン(W)、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、ゲルマニウム(Ge)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する金属酸化物を含有することが好ましい。
金属酸化物の例には、TiO、ITO(インジウム・スズ酸化物)、ZnO、Nb、ZrO、CeO、Ta、Ti、Ti、Ti、TiO、SnO、LaTi、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、AZO(アルミニウム・亜鉛酸化物)、GZO(ガリウム・亜鉛酸化物)、ATO(アンチモン・スズ酸化物)、ICO(インジウム・セリウム酸化物)、IGZO(インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物)、Bi、Ga、GeO、WO、HfO、In、a−GIO(ガリウム・インジウム酸化物)等が含まれる。
また、金属フッ化物を用いることもでき、LaF、BaF、NaAl14、NaAlF、AlF、MgF、CaF、BaF、CeF、NdF、YF等を挙げることができる。
また、金属窒化物を用いることもでき、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化クロム、窒化ケイ素、窒化タングステン、窒化マグネシウム、窒化モリブデン、窒化リチウム、窒化チタン等を挙げることができる。
中でも、第2高屈折率層5を構成する前記A層が、原子番号40以下の金属化合物を含有することが好ましく、中でも亜鉛成分を含有することが好ましい。当該亜鉛成分として、酸化亜鉛(ZnO)を主成分として含有することが好ましく、前記B層が、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム(In)又は酸化スズ(SnO)のいずれかを含有することが、屈折率、導電性、耐熱及び耐湿度安定性の観点から、好ましい。
また、第2高屈折率層5は、少なくともガリウムを含有し、Gaを含有することが、より好ましい。
第2高屈折率層5は、第2高屈折率層全体に対して、Gaを1〜35質量%の範囲内で含有することが好ましい。つまり、第2高屈折率層5に、ZnOとGaからなる複合酸化物(GZO)のみが含有されている場合には、ZnOとGaの質量比が99〜25:1〜35であることを意味し、ZnOとGaからなる複合酸化物以外にも含有されている場合には、ZnO及びその他含有されている材料とGaの質量比が99〜25:1〜35であることを意味する。
さらに、第2高屈折率層5は、さらに、誘電性材料又は酸化物半導体材料やSiO等を含有してもよい。
また、第2高屈折率層5が所望の形状にパターニングされた層である場合、パターニング方法は特に制限されない。
第2高屈折率層5は、例えば、所望のパターンを有するマスク等を被形成面に配置して、気相成膜法でパターン状に形成された層であってもよい。また、公知のエッチング法によってパターニングされた層であってもよい。
〔その他の構成層〕
(密着層)
本発明に係る透明導電体1には、透明基板と第1高屈折率層の密着改善のために透明基板上に密着層があってもよい。密着層は第1高屈折率層が透明基板としっかり密着するものであればよい。
密着層は、誘電性材料、酸化物半導体材料、絶縁性又は導電性の材料を含有してもよい。
誘電性材料又は酸化物半導体材料は、金属酸化物、金属硫化物又は金属窒化物であることが好ましい。屈折率は限定されない。特に第1高屈折率層が蒸着法で成膜される場合、密着層があることが好ましい。これは、明確な作用機構は明らかになっていないが、スパッタ法で成膜した場合に比べて、蒸着法で成膜される方が成膜にかかるエネルギーが小さいため、密着性が透明基板と第1高屈折率層の材質による相性に左右されると考えている。
例えば、SiO膜や、スパッタ法で成膜したZnS/SiO膜が挙げられる。層の厚さは特に制限されず、好ましくは0.01〜15nmの範囲内であり、さらに好ましくは0.1〜3nmの範囲内である。
(下地層)
透明導電体1には、透明金属層4の形成時に成長核となる下地層が設けられてもよい。
下地層は、透明金属層4より透明基板2側、かつ透明金属層4に隣接して形成された層、つまり、第1高屈折率層3と透明金属層4との間、又は硫化防止層6aと透明金属層4との間に形成される層である。
下地層は、少なくとも透明導電体の導通領域aに形成されていることが好ましく、透明導電体1の絶縁領域bに形成されていてもよい。
透明導電体1に下地層が設けられると、透明金属層4の層厚が薄くとも、透明金属層4の表面の平滑性が高まる。その理由は以下のとおりである。
一般的な気相成膜法で透明金属層4の材料を、例えば第1高屈折率層3上に堆積させると、形成初期には、第1高屈折率層3上に付着した原子がマイグレート(移動)し、原子が寄り集まって塊(島状構造)を形成する。そして、この塊にまとわりつきながら膜が成長する。そのため、形成初期の層では、塊同士の間に隙間があり、導通しない。この状態からさらに塊が成長すると、塊同士の一部がつながり、辛うじて導通する。しかし、塊同士の間にいまだ隙間があるため、プラズモン吸収が生じる。そして、さらに形成が進むと、塊同士が完全につながって、プラズモン吸収が少なくなる。しかしその一方で、金属本来の反射が生じ、層の光透過性が低下する。
これに対し、第1高屈折率層3上をマイグレートし難い金属からなる下地層が形成されていると、当該下地層を成長核として、透明金属層4が成長する。つまり、透明金属層4の材料がマイグレートし難くなり、前述の島状構造を形成せずに膜が成長する。その結果、層厚が薄くとも平滑な透明金属層4が得られやすくなる。
ここで、下地層には、パラジウム、モリブデン、亜鉛、ゲルマニウム、ニオブ又はインジウム、若しくはこれらの金属と他の金属との合金や、これらの金属の酸化物や硫化物(例えばZnS)が含まれることが好ましい。下地層には、これらが1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。
下地層に含まれるパラジウム、モリブデン、亜鉛、ゲルマニウム、ニオブ又はインジウムの量は、20質量%以上であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上であり、さらに好ましくは60質量%以上である。下地層に上記金属が20質量%以上含まれると、下地層と透明金属層4との親和性が高まり、下地層と透明金属層4との密着性が高まりやすい。下地層にはパラジウム又はモリブデンが含まれることが特に好ましい。
一方、パラジウム、モリブデン、亜鉛、ゲルマニウム、ニオブ又はインジウムと合金を形成する金属は特に制限されないが、例えばパラジウム以外の白金族、金、コバルト、ニッケル、チタン、アルミニウム、クロム等が挙げられる。
下地層の層厚は、3nm以下であり、好ましくは0.5nm以下であり、より好ましくは単原子膜である。
下地層は、透明基板1上に金属原子が互いに離間して付着している膜でもありうる。下地層の付着量が3nm以下であれば、下地層が透明導電体100の光透過性や光学アドミッタンスに影響を及ぼし難い。下地層の有無はICP−MS法で確認される。また、下地層の層厚は、形成速度と形成時間との積から算出される。
下地層は、スパッタ法又は蒸着法で形成することができる。
スパッタ法の例としては、イオンビームスパッタ法や、マグネトロンスパッタ法、反応性スパッタ法、2極スパッタ法、バイアススパッタ法等が挙げられる。下地層形成時のスパッタ時間は、所望の下地層の平均層厚、及び形成速度に合わせて適宜選択される。スパッタ形成速度は、好ましくは0.1〜15Å/秒の範囲内であり、より好ましくは0.1〜7Å/秒の範囲内である。
一方、蒸着法の例としては、真空蒸着法、電子線蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法等が挙げられる。蒸着時間は、所望の下地層の層厚及び形成速度に合わせて適宜選択される。蒸着速度は、好ましくは0.1〜15Å/秒の範囲内であり、より好ましくは0.1〜7Å/秒の範囲内である。
下地層が所望の形状にパターニングされた層である場合、パターニング方法は特に制限されない。下地層は、例えば、所望のパターンを有するマスク等を被形成面に配置して、気相成膜法でパターン状に形成された層であってもよく、公知のエッチング法によってパターニングされた層であってもよい。
(低屈折率層)
本発明に係る透明導電体1には、第2高屈折率層5上に、透明導電体の導通領域aの光透過性(光学アドミッタンス)を調整する低屈折率層(図示せず)を有していてもよい。低屈折率層は、透明導電体1の導通領域aにのみ形成されていてもよく、透明導電体1の導通領域a及び絶縁領域bの両方に形成されていてもよい。
低屈折率層には、第1高屈折率層3及び第2高屈折率層5に含まれる誘電性材料又は酸化物半導材料の波長570nmの光の屈折率より、光の屈折率が低い誘電性材料又は酸化物半導体材料が含まれる。低屈折率層に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料の波長570nmの光の屈折率は、第1高屈折率層3及び第2高屈折率層5に含まれる上記材料の波長570nmの光の屈折率より、それぞれ0.2以上低いことが好ましく、0.4以上低いことがより好ましい。
(第3高屈折率層)
本発明に係る透明導電体1には、第2高屈折率層上にさらに、透明導電体の導通領域aの光透過性(光学アドミッタンス)を調整する第3高屈折率層が含まれてもよい。第3高屈折率層は、透明導電体1の導通領域aにのみ成膜されていてもよく、透明導電体1の導通領域a及び絶縁領域bの両方に成膜されていてもよい。
第3高屈折率層には、前述の透明基板2の屈折率及び前記低屈折率層の屈折率より高い屈折率を有する誘電性材料又は酸化物半導体材料が含まれることが好ましい。
第3高屈折率層に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料の波長570nmの光の具体的な屈折率は1.5より大きいことが好ましく、1.7〜2.5であることがより好ましく、さらに好ましくは1.8〜2.5である。
誘電性材料又は酸化物半導体材料の屈折率が1.5より大きいと、第3高屈折率層によって、透明導電体1の導通領域aの光学アドミッタンスが十分に調整される。
なお、第3高屈折率層の屈折率は、第3高屈折率層に含まれる材料の屈折率や密度で調整される。
第3高屈折率層に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料は、絶縁性の材料であってもよく、導電性の材料であってもよい。誘電性材料又は酸化物半導体材料は、金属酸化物又は金属硫化物又は金属窒化物であることが好ましい。金属酸化物又は金属硫化物の例には、前述の第1高屈折率層3又は第2高屈折率層5に含まれる金属酸化物又は金属硫化物等が含まれる。第3高屈折率層には、当該金属酸化物又は金属硫化物が1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。
第3高屈折率層の層厚は特に制限されず、好ましくは1〜40nmであり、さらに好ましくは5〜20nmである。第3高屈折率層の層厚が上記範囲であると、透明導電体1の導通領域aの光学アドミッタンスが十分に調整される。第3高屈折率層の層厚は、エリプソメーターで測定される。
第3高屈折率層の成膜方法は特に制限されず、第1高屈折率層3や第2高屈折率層5と同様の方法で成膜された層でありうる。
〔透明導電体の物性〕
本発明に係る透明導電体の波長400〜1000nmの平均光透過率(全光線透過率ともいう。)は、導通領域a及び絶縁領域bのいずれにおいても84%以上であることが好ましく、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上である。波長400〜1000nmの光の平均光透過率が84%以上であると、広い波長範囲の光に対して光透過性が要求される用途、例えば太陽電池用の透明導電膜等にも本発明に係る透明導電体を適用することができる。平均光透過率は、JIS K7375:2008に準拠して測定することができる。
一方、透明導電体の波長400〜800nmの光の平均光吸収率は、導通領域a及び絶縁領域bのいずれにおいても10%以下であることが好ましく、より好ましくは8%以下であり、さらに好ましくは7%以下である。また、透明導電体の波長450〜800nmの光の吸収率の最大値は、導通領域a及び絶縁領域bのいずれにおいても15%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは9%以下である。一方、透明導電体の波長500〜700nmの光の平均光反射率は、導通領域a及び絶縁領域bのいずれにおいても、20%以下であることが好ましく、より好ましくは15%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。透明導電体の平均光吸収率及び平均反射率が低いほど、前述の平均光透過率が高まる。
上記平均光透過率、平均光吸収率、及び平均反射率は、透明導電体の使用環境下で測定した平均光透過率、平均光吸収率、及び平均反射率であることが好ましい。具体的には、透明導電体が有機樹脂と貼り合わせて使用される場合には、透明導電体上に有機樹脂からなる層を配置して平均光透過率及び平均反射率測定することが好ましい。一方、透明導電体が大気中で使用される場合には、大気中での平均光透過率及び平均反射率を測定することが好ましい。透過率及び反射率は、透明導電体の表面の法線に対して5°傾けた角度から測定光を入射させて分光光度計で測定する。吸収率(%)は、100−(透過率+反射率)の計算式より算出される。
また、透明導電体1が、図2に示すように導通領域a及び絶縁領域bを有する場合、導通領域aの反射率及び絶縁領域bの反射率がそれぞれ近似することが好ましい。具体的には、導通領域aの視感反射率と、絶縁領域bの視感反射率との差ΔRが5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは1%以下であり、特に好ましくは0.3%以下である。一方、導通領域a及び絶縁領域bの視感反射率は、それぞれ5%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。視感反射率は、分光光度計(U4100;日立ハイテクノロジーズ社製)で測定されるY値である。
また透明導電体1に導通領域a及び絶縁領域bが含まれる場合、いずれの領域においても、L表色系におけるa値及びb値は±2.0以内であることが好ましく、より好ましくはa値が±0.5の範囲、b値が±1.0の範囲である。L表色系におけるa値及びb値が±2.0であれば、導通領域a及び絶縁領域bのいずれの領域も無色透明に観察される。L表色系におけるa値及びb値は、分光光度計(CM−5;コニカミノルタ製)で測定される。
透明導電体の導通領域aの表面電気抵抗値は、50Ω/□以下であることが好ましく、さらに好ましくは30Ω/□以下である。導通領域の表面電気抵抗値が50Ω/□以下である透明導電体は、静電容量方式のタッチパネル用の透明導電パネル等に適用できる。導通領域aの表面電気抵抗値は、透明金属層の層厚等によって調整される。導通領域aの表面電気抵抗値は、例えばJIS K7194、ASTM D257等に準拠して測定される。また、市販の表面電気抵抗率計によっても測定される。
〔パターニングされた電極を有する透明導電体の形成方法〕
本発明に係る透明導電体に対し、図2で示すような導通領域及び絶縁領域からなるパターンの形成方法について説明する。パターンの形成にあたっては、市販のレーザーエッチング装置(武井電機)などを用いることができる。波長は1064nm、532nm又は355nmが特に望ましい。線幅は5〜30μmが望ましい。
本発明に係る透明導電体においては、上記のような方法で透明基板上に、例えば、第1高屈折率層と、透明金属層と、第2高屈折率層とをこの順で積層して製造した後、透明金属層を所定の形状にパターニングされた金属電極を形成することが好ましく、具体的には、フォトリソグラフィー法により、エッチング液を用いて、パターニングされた電極を形成することが好ましい。形成する電極の線幅としては、50μm以下であることが好ましく、特に好ましくは、20μm以下である。
《透明導電体の適用分野》
上記構成からなる本発明に係る透明導電体は、液晶方式、プラズマ方式、有機エレクトロルミネッセンス方式、フィールドエミッション方式など各種ディスプレイをはじめ、タッチパネルや携帯電話、電子ペーパー、各種太陽電池、各種エレクトロルミネッセンス調光素子など様々なオプトエレクトロニクスデバイスの基板等に好ましく用いることができる。
このとき、透明導電体の表面(例えば、透明基板と反対側の表面)は、接着層等を介して、他の部材と貼り合わせられてもよい。この場合には、透明導電体の表面の等価アドミッタンス座標と、接着層のアドミッタンス座標とがそれぞれ近似することが好ましい。これにより、透明導電体と接着層との界面での反射が抑制される。具体的には、波長550nmの反射率が1%以下になるように透明導電体の表面のアドミッタンス座標を調整するのが好ましい。接着剤の屈折率は一般的に、大きく調整することが難しいためである。
一方、透明導電体の表面が空気と接するような構成で使用される場合には、透明導電体の表面のアドミッタンス座標と、空気のアドミッタンス座標とがそれぞれ近似することが好ましい。これにより、透明導電体と空気との界面での光の反射が抑制される。具体的には、波長550nmの反射率が1%以下になるように透明導電体の表面のアドミッタンス座標を調整するのが好ましい。
以下、本発明に係る透明導電体をタッチパネルに適用した一例を示す。
図3は、パターニングされた電極を有する透明導電体を具備したタッチパネルの構成の一例を示す斜視図である。
図3に示すタッチパネル21は、投影型静電容量式のタッチパネルである。このタッチパネル21は、透明基板2−1及び2−2の一主面上に、第1の透明電極ユニットEU−1及び第2の透明電極ユニットEU−2がこの順に配置され、この上部が前面板13で覆われている。
第1の透明電極ユニットEU−1及び第2の透明電極ユニットEU−2は、それぞれが、図2を用いて説明したパターニングされた電極が形成された透明導電体1である。したがって、第1の透明電極ユニットEU−1は、透明基板2−1上に、第1高屈折率層3、第1硫化防止層6A、透明金属層4、第2高屈折率層5をこの順で積層した構成である。第2の透明電極ユニットEU−2も同様の構成である。
本発明に係る透明導電体は、投影型静電容量式のタッチパネルに加え、種々の方式のタッチパネルのタッチセンサー(以下において、「タッチセンサー電極部」ともいう。)に適用され得る。例えば、表面型静電容量方式タッチパネル、抵抗膜式タッチパネルなどにおいても用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
また、実施例に用いた酸化物の組成比を下に示す。
IGZO*1:In:Ga:Zn=6:6:88(at%比);IGZO(6:6:88)と表記
IGZO*2:In:Ga:Zn=1:1:1(at%比);IGZO(1:1:1)と表記
GZO :Ga:ZnO=10:90(質量%比);GZO10%と表記
SGZO :S:Ga:Zn=0.7:6:93.3(at%比);SGZO(0.7:6:93.3)と表記
ITO :In:SnO=90:10(質量%比)
TNO :TiO:Nb=94:6(質量%比)
また、層厚はスパッタ時間又は蒸着時間を調整することで調節した。
実施例1
《透明導電体の作製》
〔透明導電体1の作製〕
透明基板としてポリエチレンテレフタレート(略称:PET)フィルム(東洋紡製「コスモシャインA4300」厚さ50μm)を用い、PETフィルム上に、下記の方法に従って、第1高屈折率層(ZnS/SiO)/第1硫化防止層(GZO)/透明金属層(Ag)/第2高屈折率層であるA層(GZO)/B層(ITO)をこの順に積層した。
なお、以下に示す各層の層厚及び屈折率は、J.A.Woollam Co.Inc.製のVB−250型VASEエリプソメーターで測定した。
(第1高屈折率層(ZnS/SiO)の形成)
透明基板(PET)上に、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度12W/cm、形成速度0.82nm/sで、層厚が36nmとなるようZnS/SiOをRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。ターゲットであるZnS/SiOは、ZnSにSiOを混合し、焼結させることで作製した。ZnS/SiO層に含有される硫黄成分の含有率は、25at%とした。
(第1硫化防止層(GZO)の形成)
次いで、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、電力密度4W/cm、成膜レート0.25nm/秒でGZOをDCパルススパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。GZO層の層厚は1nmであった。
(透明金属層(Ag)の形成)
アネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar 20sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度2W/cm、形成速度0.7nm/sで銀(以下、Agと表記する。)を層厚が7nmとなるようDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。
(第2高屈折率層(GZO)の形成)
〈A層の形成〉
透明金属層を作製したPETフィルムに、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度3W/cm、形成速度0.25nm/秒の条件で、層厚が3nmとなるようにGZOをDCパルススパッタした。成膜した膜厚はターゲット−基板間距離は86mmであった。
〈B層の形成〉
次いで、他の条件は変えずに、Ar 20sccm、O 2sccm、電力密度を12W/cmに増加し、形成速度1.45nm/秒の条件で、層厚が45nmとなるようにITOをDCパルススパッタした。
このようにしてA層/B層を有する第2高屈折率層を含む透明導電体1を作製した。
〔透明導電体2の作製〕
透明導電体1の作製において、第2高屈折率層を以下のように形成した。
〈A層の形成〉
アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度3W/cm、形成速度0.25nm/秒の条件で、層厚が20nmとなるようにGZOをDCパルススパッタした。成膜した膜厚はターゲット−基板間距離は86mmであった。
〈B層の形成〉
次いで、他の条件は変えずに、Ar 20sccm、O 2sccm、電力密度を12W/cmに増加し、形成速度1.47nm/秒の条件で、層厚が28nmとなるようにITOをDCパルススパッタした。
このようにして、表1で示すA層/B層を有する第2高屈折率層を含む透明導電体2を作製した。
〔透明導電体3の作製〕
透明導電体1の作製において、第2高屈折率層を以下のように形成した。
〈A層の形成〉
アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度3W/cm、形成速度0.25nm/秒の条件で、層厚が1nmとなるようにGZOをDCパルススパッタした。成膜した膜厚はターゲット−基板間距離は86mmであった。
〈B層の形成〉
次いで、他の条件は変えずに、Ar 20sccm、O 2sccm、電力密度を12W/cmに増加し、形成速度1.52nm/秒の条件で、層厚が47nmとなるようにITOをDCパルススパッタした。
このようにして、表1で示すA層/B層を有する第2高屈折率層を含む透明導電体3を作製した。
〔透明導電体4の作製〕
透明導電体1の作製において、第2高屈折率層を以下のように形成した。
〈A層の形成〉
アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度4W/cm、形成速度0.5nm/秒の条件で、層厚が3nmとなるようにGZOをDCパルススパッタした。成膜した膜厚はターゲット−基板間距離は86mmであった。
〈B層の形成〉
次いで、他の条件は変えずに、Ar 20sccm、O 2sccm、電力密度を12W/cmに増加し、形成速度1.45nm/秒の条件で、層厚が45nmとなるようにITOをDCパルススパッタした。
このようにして、表1で示すA層/B層を有する第2高屈折率層を含む透明導電体4を作製した。
〔透明導電体5の作製〕
透明導電体1の作製において、第2高屈折率層を以下のように形成した。
〈A層の形成〉
アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度1W/cm、形成速度0.06nm/秒の条件で、層厚が3nmとなるようにGZOをDCパルススパッタした。成膜した膜厚はターゲット−基板間距離は86mmであった。
〈B層の形成〉
次いで、他の条件は変えずに、Ar 20sccm、O 2sccm、電力密度を12W/cmに増加し、形成速度1.45nm/秒の条件で、層厚が45nmとなるようにITOをDCパルススパッタした。
このようにして、表1で示すA層/B層を有する第2高屈折率層を含む透明導電体5を作製した。
〔透明導電体6の作製〕
透明導電体1の作製において、第2高屈折率層を以下のように形成した。
〈A層の形成〉
アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度3W/cm、形成速度0.25nm/秒の条件で、層厚が3nmとなるようにGZOをDCパルススパッタした。成膜した膜厚はターゲット−基板間距離は86mmであった。
〈B層の形成〉
次いで、他の条件は変えずに、Ar 20sccm、O 2sccm、電力密度を24W/cmに増加し、形成速度3.0nm/秒の条件で、層厚が45nmとなるようにITOをDCパルススパッタした。
このようにして、表2で示すA層/B層を有する第2高屈折率層を含む透明導電体6を作製した。
〔透明導電体7の作製〕
透明導電体1の作製において、第2高屈折率層を以下のように形成した。
〈A層の形成〉
アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度4/cm、形成速度0.5nm/秒の条件で、層厚が3nmとなるようにNbをRFパルススパッタした。成膜した膜厚はターゲット−基板間距離は86mmであった。
〈B層の形成〉
次いで、他の条件は変えずに、Ar 20sccm、O 2sccm、電力密度を12W/cmに増加し、形成速度1.45nm/秒の条件で、層厚が45nmとなるようにITOをDCパルススパッタした。
このようにして、表2で示すA層/B層を有する第2高屈折率層を含む透明導電体7を作製した。
〔透明導電体8の作製〕
透明導電体1の作製において、硫化防止層を形成せず、第2高屈折率層を以下のように形成した。
〈A層の形成〉
アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度1W/cm、形成速度0.06nm/秒の条件で、層厚が3nmとなるようにGZOをDCパルススパッタした。成膜した膜厚はターゲット−基板間距離は86mmであった。
〈B層の形成〉
次いで、他の条件は変えずに、Ar 20sccm、O 2sccm、電力密度を24W/cmに増加し、形成速度1.45nm/秒の条件で、層厚が45nmとなるようにITOをDCパルススパッタした。
このようにして、表2で示すA層/B層を有する第2高屈折率層を含む透明導電体6を作製した。
〔透明導電体9の作製〕
透明導電体1の作製において、第2高屈折率層を以下のように形成した。
〈A層の形成〉
アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度3W/cm、形成速度0.25nm/秒の条件で、層厚が3nmとなるようにGZOをDCパルススパッタした。成膜した膜厚はターゲット−基板間距離は86mmであった。
〈B層の形成〉
次いで、他の条件は変えずに、Ar 20sccm、O 2sccm、電力密度を6W/cmに増加し、形成速度0.46nm/秒の条件で、層厚が45nmとなるようにTNOをRFスパッタした。
このようにして、表2で示すA層/B層を有する第2高屈折率層を含む透明導電体9を作製した。
〔透明導電体10の作製〕
透明導電体1の作製において、第2高屈折率層を以下のように形成した。
〈A層の形成〉
アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度3W/cm、形成速度0.25nm/秒の条件で、層厚が3nmとなるようにZnOをDCパルススパッタした。成膜した膜厚はターゲット−基板間距離は86mmであった。
〈B層の形成〉
次いで、他の条件は変えずに、Ar 20sccm、O 2sccm、電力密度を24W/cmに増加し、形成速度3.0nm/秒の条件で、層厚が45nmとなるようにITOをDCパルススパッタした。
このようにして、表2で示すA層/B層を有する第2高屈折率層を含む透明導電体10を作製した。
〔透明導電体11の作製〕
透明導電体1の作製において、第2高屈折率層を以下のように形成した。
〈A層の形成〉
アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度3W/cm、形成速度0.25nm/秒の条件で、層厚が3nmとなるようにIGZO*1をDCパルススパッタした。成膜した膜厚はターゲット−基板間距離は86mmであった。
〈B層の形成〉
次いで、他の条件は変えずに、Ar 20sccm、O 2sccm、電力密度を24W/cmに増加し、形成速度3.0nm/秒の条件で、層厚が45nmとなるようにITOをDCパルススパッタした。
このようにして、表3で示すA層/B層を有する第2高屈折率層を含む透明導電体10を作製した。
〔透明導電体12の作製〕
透明導電体1の作製において、第2高屈折率層を以下のように形成した。
〈A層の形成〉
アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度3W/cm、形成速度0.25nm/秒の条件で、層厚が3nmとなるようにGZOをDCパルススパッタした。成膜した膜厚はターゲット−基板間距離は86mmであった。
〈B層の形成〉
次いで、他の条件は変えずに、Ar 20sccm、O 2sccm、電力密度を12W/cmに増加し、形成速度0.96nm/秒の条件で、層厚が45nmとなるようにSGZOをDCパルススパッタした。
このようにして、表3で示すA層/B層を有する第2高屈折率層を含む透明導電体12を作製した。
〔透明導電体13の作製〕
透明導電体1の作製において、第2高屈折率層を以下のように形成した。
〈A層の形成〉
アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度3W/cm、形成速度0.25nm/秒の条件で、層厚が3nmとなるようにGZOをDCパルススパッタした。成膜した膜厚はターゲット−基板間距離は86mmであった。
〈B層の形成〉
次いで、他の条件は変えずに、Ar 20sccm、O 2sccm、電力密度を12W/cmに増加し、形成速度0.96nm/秒の条件で、層厚が45nmとなるようにGZOをDCパルススパッタした。
このようにして、表3で示すA層/B層を有する第2高屈折率層を含む透明導電体13を作製した。
〔透明導電体14の作製〕
透明導電体1の作製において、第2高屈折率層を以下のように形成した。
〈A層の形成〉
アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度3W/cm、形成速度0.25nm/秒の条件で、層厚が3nmとなるようにGZOをDCパルススパッタした。成膜した膜厚はターゲット−基板間距離は86mmであった。
〈B層の形成〉
次いで、他の条件は変えずに、Ar 20sccm、O 2sccm、電力密度を12W/cmに増加し、形成速度1.45nm/秒の条件で、層厚が45nmとなるようにSnOをDCパルススパッタした。
このようにして、表3で示すA層/B層を有する第2高屈折率層を含む透明導電体14を作製した。
〔透明導電体15の作製〕
透明導電体1の作製において、第2高屈折率層を以下のように形成した。
〈A層の形成〉
アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度3W/cm、形成速度0.25nm/秒の条件で、層厚が3nmとなるようにGZOをDCパルススパッタした。成膜した膜厚はターゲット−基板間距離は86mmであった。
〈B層の形成〉
次いで、他の条件は変えずに、Ar 20sccm、O 2sccm、電力密度を12W/cmに増加し、形成速度1.45nm/秒の条件で、層厚が45nmとなるようにIGZO*1をDCパルススパッタした。
このようにして、表3で示すA層/B層を有する第2高屈折率層を含む透明導電体14を作製した。
〔透明導電体16の作製〕
透明導電体1の作製において、第2高屈折率層を以下のように形成した。
〈A層の形成〉
アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度3W/cm、形成速度0.25nm/秒の条件で、層厚が3nmとなるようにGZOをDCパルススパッタした。成膜した膜厚はターゲット−基板間距離は86mmであった。
〈B層の形成〉
次いで、他の条件は変えずに、Ar 20sccm、O 2sccm、電力密度を12W/cmに増加し、形成速度1.45nm/秒の条件で、層厚が45nmとなるようにIGZO*2をDCパルススパッタした。
このようにして、表4で示すA層/B層を有する第2高屈折率層を含む透明導電体16を作製した。
〔透明導電体17の作製〕
透明基板としてポリエチレンテレフタレート(略称:PET)フィルム(東洋紡製「コスモシャインA4300」厚さ50μm)を用い、PETフィルム上に、下記の方法に従って、第1高屈折率層(ZnS)/第1硫化防止層(GZO)/透明金属層(Ag)/第2高屈折率層であるA層(GZO)/B層(IGZO*2)をこの順に積層した。
なお、以下に示す各層の層厚及び屈折率は、J.A.Woollam Co.Inc.製のVB−250型VASEエリプソメーターで測定した。
(第1高屈折率層(ZnS)の形成)
透明基板(PET)上に、真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、モリブデン製抵抗加熱ボートにZnSを装填し、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、Arガスを導入して真空槽を2×10−3Paに設定した。次いで、300WでRFプラズマを焚きながら、抵抗加熱ボートに通電加熱し、抵抗加熱ボートの通電加熱条件を調整して、形成速度2.0nm/秒の条件で蒸着して、層厚36nmの第1高屈折率層を形成した。第1高屈折率層に含有される硫黄の含有率の割合は、39%とした。
(第1硫化防止層(GZO)の形成)
次いで、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、電力密度4W/cm、形成速度0.25nm/秒でGZOをDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。GZO層の層厚は1nmであった。
(透明金属層(Ag)の形成)
アネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar 20sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度2W/cm、形成速度0.7nm/sでAgを層厚が7.0nmとなるようDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。
(第2高屈折率層(GZO)の形成)
〈A層の形成〉
透明金属層を作製したPETフィルムに、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度3W/cm、形成速度0.25nm/秒の条件で、層厚が3nmとなるようにGZOをDCパルススパッタした。成膜した膜厚はターゲット−基板間距離は86mmであった。
〈B層の形成〉
次いで、他の条件は変えずに、Ar 20sccm、O 2sccm、電力密度を12W/cmに増加し、形成速度1.45nm/秒の条件で、層厚が45nmとなるようにIGZO*2をDCパルススパッタした。
このようにしてA層/B層を有する第2高屈折率層を含む透明導電体17を作製した。
〔透明導電体18の作製:比較例〕
透明基板としてポリエチレンテレフタレート(略称:PET)フィルム(東洋紡製「コスモシャインA4300」厚さ50μm)を用い、PETフィルム上に、下記の方法に従って、第1高屈折率層(ZnS/SiO)/第1硫化防止層(GZO)/透明金属層(Ag)/第2高屈折率層であるGZO層をこの順に積層し、透明導電体18を作製した。
なお、以下に示す各層の層厚及び屈折率は、J.A.Woollam Co.Inc.製のVB−250型VASEエリプソメーターで測定した。
(第1高屈折率層(ZnS/SiO−ZnS)の形成)
透明基板(PET)上に、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度12W/cm2、形成速度0.81nm/sで、層厚が1nmとなるようZnS/SiOをDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。ターゲットであるZnS/SiOは、ZnSにSiOを混合し、焼結させることで作製した。ZnS/SiO層に含有される硫黄成分の含有率は、25at%とした。
次いで、真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、モリブデン製抵抗加熱ボートにZnSを装填し、真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートに通電加熱し、抵抗加熱ボートの通電加熱条件を調整して、形成速度1.25nm/秒の条件でPETフィルム上に蒸着して、層厚が45nmの第1高屈折率層を形成した。第1高屈折率層に含有される硫黄成分の含有率は、35at%とした。
(第1硫化防止層(GZO)の形成)
次いで、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、電力密度4W/cm、形成速度0.25nm/秒でGZOをDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。GZO層の層厚は1nmであった。
(透明金属層(Ag)の形成)
アネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar 20sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度2W/cm、形成速度0.7nm/sでAgを層厚が7.0nmとなるようDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。
(第2高屈折率層(GZO)の形成)
透明金属層を作製したPETフィルムに、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度12W/cm、形成速度0.96nm/秒の条件で、層厚が48nmとなるように、単層でGZOをDCスパッタした。成膜した膜厚はターゲット−基板間距離は86mmであった。
〔透明導電体19の作製:比較例〕
透明導電体18の作製において、以下の第2高屈折率層であるGZO層を形成し、透明導電体19を作製した。
(第2高屈折率層(GZO)の形成)
透明金属層を作製したPETフィルムに、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度4W/cm、形成速度0.32nm/秒の条件で、層厚が48nmとなるように、単層でGZOをDCパルススパッタした。成膜した膜厚はターゲット−基板間距離は86mmであった。
≪透明導電体の評価≫
上記作製した各透明導電体1〜19について、下記の各特性値の測定及び評価を行った。
〔光透過性:全光線透過率の測定〕
全光線透過率は、25℃、55%RHの条件下、光波長400〜1000nmの範囲について、光透過率を分光光度計(U4100;日立ハイテクノロジーズ社製)で測定して、その平均値を求めて以下の基準で評価した。
◎:平均光透過率が90%以上である
○:平均光透過率が88%以上90%未満である
△:平均光透過率が83%以上88%未満である
×:平均光透過率が83%未満である
実用上、○以上が許容内である。
〔生産性〕
生産性を以下の基準で評価した。
◎:第2高屈折率層の成膜時間が1分10秒未満
○:第2高屈折率層の成膜時間が1分10秒以上、2分未満
×:第2高屈折率層の成膜時間が2分以上
〔導電性〕
株式会社カスタムのCDM−2000Dデジタルテスタを用いて測定する。透明導電体上で1cmの距離を離して2探針を当て、抵抗値を測定した。
◎:50Ω未満
○:50〜100Ω未満
△:100〜150Ω未満
×:150Ω以上
〔耐湿性〕
各透明導電体を85℃、85%Rhの湿熱環境下に240時間載置した。その後、透明導電体の外観を目視で観察し、以下の基準で評価した。
◎:外観に異常なし
○:1〜5個の斑点が観察される
△:6〜10個の斑点が観察される
×:11個以上の斑点が観察される
透明導電体の構成内容、及び評価結果を下記表1〜表4に示す。
Figure 2016044356
Figure 2016044356
Figure 2016044356
Figure 2016044356
表1〜表4より、本発明の透明導電体の製造方法によって製造された、透明導電体1〜17は、比較例である透明導電体18及び19に対して、低電気抵抗、高光透過性及び耐湿性に優れ、かつ高い生産性を有することが分かる。
実施例2
〔透明導電体20の作製〕
透明基板としてポリエチレンテレフタレート(略称:PET)フィルム(東洋紡製「コスモシャインA4300」厚さ50μm)を用い、PETフィルム上に、下記の方法に従って、第1高屈折率層(ZnS/SiO)/第1硫化防止層(GZO)/透明金属層(Ag)/第2高屈折率層であるA1層(GZO)/A2層(SGZO)/B1層(SGZO)/B2層(ITO)をこの順に積層した。
なお、以下に示す各層の層厚及び屈折率は、J.A.Woollam Co.Inc.製のVB−250型VASEエリプソメーターで測定した。
(第1高屈折率層(ZnS/SiO)の形成)
透明基板(PET)上に、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度12W/cm、形成速度0.25nm/sで、層厚が36nmとなるようZnS/SiOをRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。ターゲットであるZnS/SiOは、ZnSにSiOを混合し、焼結させることで作製した。ZnS/SiO層に含有される硫黄成分の含有率は、25at%とした。
(第1硫化防止層(GZO)の形成)
次いで、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、電力密度4W/cm、成膜レート0.25nm/秒でGZOをDCパルススパッタした。ターゲット−基板間距離は90mmであった。GZO層の層厚は1nmであった。
(透明金属層(Ag)の形成)
アネルバ社のL−430S−FHSを用い、Ar 20sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度2W/cm、形成速度0.7nm/sで銀(以下、Agと表記する。)を層厚が7nmとなるようDCスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。
(第2高屈折率層の形成)
〈A1層の形成〉
透明金属層を作製したPETフィルムに、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度2W/cm、形成速度0.08nm/秒の条件で、層厚が1nmとなるようにGZOをDCパルススパッタした。成膜した膜厚はターゲット−基板間距離は86mmであった。
〈A2層の形成〉
上記成膜したA1層上に、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度2W/cm、形成速度0.22nm/秒の条件で、層厚が2nmとなるようにSGZOをDCパルススパッタした。成膜した膜厚はターゲット−基板間距離は86mmであった。
〈B1層の形成〉
次いで、他の条件は変えずに、Ar 20sccm、O 2sccm、電力密度を12W/cmに増加し、形成速度0.94nm/秒の条件で、層厚が15nmとなるようにSGZOをDCパルススパッタした。
〈B2層の形成〉
次いで、他の条件は変えずに、Ar 20sccm、O 2sccm、電力密度を12W/cmに増加し、形成速度1.43nm/秒の条件で、層厚が20nmとなるようにITOをDCパルススパッタした。
このようにしてA1層/A2層/B1層/B2層を有する第2高屈折率層を含む透明導電体20を作製した。
〔透明導電体21の作製〕
透明基板としてポリエチレンテレフタレート(略称:PET)フィルム(東洋紡製「コスモシャインA4300」厚さ50μm)を用い、PETフィルム上に、下記の方法に従って、第1高屈折率層(ZnS/SiO)/第1硫化防止層(GZO)/透明金属層(Ag)/第2高屈折率層であるA1層(GZO)/A2層(IGZO*2)/B1層(ITO)/B2層(SGZO)/B3層(ITO)をこの順に積層した。
透明導電体20と同様にして第1高屈折率層、硫化防止層及び透明金属層を成膜した。
(第2高屈折率層の形成)
〈A1層の形成〉
透明金属層を作製したPETフィルムに、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度2W/cm、形成速度0.08nm/秒の条件で、層厚が1nmとなるようにGZOをDCパルススパッタした。成膜した膜厚はターゲット−基板間距離は86mmであった。
〈A2層の形成〉
上記成膜したA1層上に、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度2W/cm、形成速度0.22nm/秒の条件で、層厚が2nmとなるようにIGZOをDCパルススパッタした。成膜した膜厚はターゲット−基板間距離は86mmであった。
〈B1層の形成〉
次いで、他の条件は変えずに、Ar 20sccm、O 2sccm、電力密度を12W/cmに増加し、形成速度1.43nm/秒の条件で、層厚が10nmとなるようにITOをDCパルススパッタした。
〈B2層の形成〉
次いで、他の条件は変えずに、Ar 20sccm、O 2sccm、電力密度を12W/cmに増加し、形成速度0.94nm/秒の条件で、層厚が15nmとなるようにSGZOをDCパルススパッタした。
〈B3層の形成〉
次いで、他の条件は変えずに、Ar 20sccm、O 2sccm、電力密度を12W/cmに増加し、形成速度1.43nm/秒の条件で、層厚が15nmとなるようにITOをDCパルススパッタした。
このようにしてA1層/A2層/B1層/B2層/B3層を有する第2高屈折率層を含む透明導電体21を作製した。
〔透明導電体22の作製〕
透明基板としてポリエチレンテレフタレート(略称:PET)フィルム(東洋紡製「コスモシャインA4300」厚さ50μm)を用い、PETフィルム上に、下記の方法に従って、第1高屈折率層(ITO)/第1硫化防止層(GZO)/透明金属層(Ag)/第2高屈折率層であるA1層(GZO)/A2層(IGZO*2)/B1層(ITO)/B2層(SGZO)/B3層(ITO)をこの順に積層した。
(第1高屈折率層(ITO)の形成)
透明基板(PET)上に、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度12W/cm、形成速度1.44nm/sで、層厚が36nmとなるようITOをDCパルススパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。
上記第1高屈折率層上に、透明導電体21の作製と同様に、第1硫化防止層(GZO)/透明金属層(Ag)/第2高屈折率層であるA1層(GZO)/A2層(IGZO*2)/B1層(ITO)/B2層(SGZO)/B3層(ITO)をこの順に積層して、透明導電体22を作製した。
〔透明導電体23の作製〕
透明基板としてポリエチレンテレフタレート(略称:PET)フィルム(東洋紡製「コスモシャインA4300」厚さ50μm)を用い、PETフィルム上に、下記の方法に従って、第1高屈折率層(ITO)/第1硫化防止層(GZO)/透明金属層(Ag)/第2高屈折率層であるA1層(GZO)/A2層(IGZO*2)/B1層(ITO)/B2層(SGZO)/B3層(ITO)をこの順に積層した。
透明導電体の作製において、下記A1層及びA2層の形成に変更した以外は同様にして、透明導電体23を作製した。
〈A1層の形成〉
透明金属層を作製したPETフィルムに、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 1sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度2W/cm、形成速度0.08nm/秒の条件で、層厚が1nmとなるようにGZOをDCパルススパッタした。成膜した膜厚はターゲット−基板間距離は86mmであった。
〈A2層の形成〉
上記成膜したA1層上に、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 1sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度2W/cm、形成速度0.22nm/秒の条件で、層厚が2nmとなるようにIGZOをDCパルススパッタした。成膜した膜厚はターゲット−基板間距離は86mmであった。
〔透明導電体24の作製〕
透明基板としてポリエチレンテレフタレート(略称:PET)フィルム(東洋紡製「コスモシャインA4300」厚さ50μm)を用い、PETフィルム上に、下記の方法に従って、第1高屈折率層(ZnS)/第1硫化防止層(GZO)/透明金属層(Ag)/第2高屈折率層であるA1層(GZO)/A2層(IGZO*2)/B1層(ITO)/B2層(SGZO)/B3層(ITO)をこの順に積層した。
透明導電体21の作製において、下記第1高屈折率層の形成に変更した以外は同様にして、透明導電体24を作製した。
(第1高屈折率層(ZnS)の形成)
透明基板(PET)上に、真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、モリブデン製抵抗加熱ボートにZnSを装填し、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、Arガスを導入して真空槽を2×10−3Paに設定した。次いで、300WでRFプラズマを焚きながら、抵抗加熱ボートに通電加熱し、抵抗加熱ボートの通電加熱条件を調整して、形成速度2.0nm/秒の条件で蒸着して、層厚36nmの第1高屈折率層を形成した。第1高屈折率層に含有される硫黄の含有率の割合は、39%とした。
〔透明導電体25の作製〕
透明基板としてポリエチレンテレフタレート(略称:PET)フィルム(東洋紡製「コスモシャインA4300」厚さ50μm)を用い、PETフィルム上に、下記の方法に従って、第1高屈折率層(ZnS/SiO−ZnS)/第1硫化防止層(GZO)/透明金属層(Ag)/第2高屈折率層であるA1層(GZO)/A2層(IGZO*2)/B1層(ITO)/B2層(SGZO)/B3層(ITO)をこの順に積層した。
透明導電体21の作製において、下記第1高屈折率層の形成に変更した以外は同様にして、透明導電体25を作製した。
(第1高屈折率層(ZnS/SiO−ZnS)の形成)
透明基板(PET)上に、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度12W/cm、形成速度0.25nm/sで、層厚が1nmとなるようZnS/SiOをRFスパッタした。ターゲット−基板間距離は86mmであった。ターゲットであるZnS/SiOは、ZnSにSiOを混合し、焼結させることで作製した。ZnS/SiO層に含有される硫黄成分の含有率は、25at%とした。
次いで、真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、モリブデン製抵抗加熱ボートにZnSを装填し、真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートに通電加熱し、抵抗加熱ボートの通電加熱条件を調整して、形成速度1.25nm/秒の条件でPETフィルム上に蒸着して、層厚が35nmの第1高屈折率層を形成した。第1高屈折率層に含有される硫黄成分の含有率は、44at%とした。
上記作製した各透明導電体20〜25について、実施例1と同様な各特性値の測定及び評価を行った。
透明導電体の構成内容、及び評価結果を下記表5及び表6に示す。
Figure 2016044356
Figure 2016044356
表6の評価結果から、本発明の透明導電体20〜26はいずれも、低電気抵抗、高光透過性及び耐湿性に優れ、かつ高い生産性を有することが分かる。
また、実用上問題はないが、第1高屈折率層にITOを用いた透明導電体22、23はやや耐湿性に劣り、第2高屈折率層のA層形成時に、Oを1sccm導入した透明導電体23は、光透過性にやや劣ることが分かった。
1 透明導電体
2、2−1、2−2 透明基板
3 第1高屈折率層
4 透明金属層
5 第2高屈折率層
6A 第1硫化防止層
6B 第2硫化防止層
13 前面板
21 タッチパネル
a 導通領域
b 絶縁領域
EU、EU−1、EU−2 透明電極ユニット

Claims (10)

  1. 少なくとも、透明基板上に第1高屈折率層、透明金属層及び第2高屈折率層をこの順に設ける透明導電体の製造方法であって、
    前記第2高屈折率層を、前記透明金属層側からA層及びB層の少なくとも2層構成で、スパッタ法によりこの順に形成し、
    前記透明金属層側に設けられる前記A層を、前記B層より低い電力密度(W/cm)の条件下で形成することを特徴とする透明導電体の製造方法。
  2. 前記A層を形成するときの電力密度(W/cm)をAp、前記B層を形成するときの電力密度(W/cm)をBpとしたときの比の値Bp/Apが、下記式(1)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の透明導電体の製造方法。
    式(1):1.0<Bp/Ap≦8.0
  3. 前記A層を形成する際の電力密度(W/cm)が、3.0W/cm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の透明導電体の製造方法。
  4. 前記A層を形成する際の酸素導入量が、0sccmであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の透明導電体の製造方法。
  5. 前記A層の層厚が、2〜10nmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の透明導電体の製造方法。
  6. 前記A層を形成する材料が、原子番号40以下の金属からなる金属化合物を含有していることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の透明導電体の製造方法。
  7. 前記A層が、亜鉛成分を主成分として含有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の透明導電体の製造方法。
  8. 前記B層が、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム(In)又は酸化スズ(SnO)のいずれかを含有することを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の透明導電体の製造方法。
  9. 前記第1高屈折率層が、硫黄成分を含有することを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の透明導電体の製造方法。
  10. 前記第1高屈折率層が硫黄成分を含有し、かつ当該第1高屈折率層と前記透明金属層の間に、さらに亜鉛成分を含有した硫化防止層を設けることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の透明導電体の製造方法。
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