JP2005047178A - 導電性を有する多層膜付透明基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 透明基板上に透明導電体の薄膜を積層する導電性を有する多層膜付透明基板において、最外層に透明導電体からなる第1導電膜層と、該第1導電膜層の下層に形成される主成分として酸化亜鉛を含有する透明導電体からなる第2導電膜層と、を有することにより、耐擦傷性を得られつつ最表面に形成する電極との密着性を高くすることができる。
【選択図】 図1
Description
本発明では上記従来技術の問題点に鑑み、耐擦傷性(耐ペン摺動性)及び密着性が高い導電性を有する多層膜付透明基板を提供することを技術課題とする。
(2) (1)の多層膜付透明基板において、前記第1導電膜層と第2導電膜層と合わせた光学膜厚は所望する表面抵抗値が得られるように決定されていることを特徴とする。
(3) (2)の多層膜付透明基板において、前記第2導電膜層はアルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛又は酸化亜鉛から選ばれる少なくとも1種類の導電体にて形成されていることを特徴とする。
(4) (1)の多層膜付透明基板において、前記第2導電膜層と前記透明基板との間には透過率を向上させるための反射防止膜層が形成されることを特徴とする。
1は透明の基板である。基板1は通常に入手できるものであればよく、屈折率は1.48以上1.7以下程度のものを使用する。具体的に、基板材料としてはガラス類(屈折率1.48〜1.70)、プラスチック類(ポリカーボネイト(屈折率1.59)、ポリエチレンテレフタレート(屈折率1.63)等)が用いられ、光学的に透明であれば特に限定されない。また、本実施形態で述べる基板とは板状に限らず、フィルム基板を含むものとしている。
何れの場合においても、ハードコート(アンダーコート)の膜厚は、光学的な阻害が起こらないように基板の屈折率と同程度の屈折率を有するようにしておくことが好ましい。
初めに、用途に応じて必要な表面抵抗値が得られるような導電膜層(ここでは第1導電膜層5及び第2導電膜層4)の膜厚を決定させておく。次に誘電膜層3に使用する材料の屈折率を固定値とし、最適化アルゴリズムを用いながら誘電膜層3の膜厚を変化させていく。このような手法により、視野2°、標準光CにおけるL*a*b*表色系のクロマティクネス指数a*、b*を−2〜+2の範囲以内としつつ、このようなクロマティクネス指数a*、b*の範囲内において最も高い透過率若しくは最も低い反射率が得られるような誘電体層膜厚を求める。最適化アルゴリズムは例えば、Adaptive Random SearchやModified Gardient、Monte Carilo method、Simurated Annealing等、メリット関数を使用した様々な最適化手法を基に与えられる。
<実施例1>
ハードコート付きポリカーボネイト基板(屈折率1.59)を用意し、真空蒸着法により、誘電膜層を基板上に形成した。第1誘電膜層としては、オプトロン社製SiO2顆粒を使用し、アンダーコート層であるハードコート上にSiO2を主成分とする薄膜層を形成した。このときの誘電膜層の膜厚は60nmとした。
次に住友金属鉱山(株)製AZOターゲットを使用し、第2導電膜層として誘電膜層上にAZOの薄膜層をスパッタ法により形成した。このときの第2導電膜層の膜厚は5nmとした。また、最表面となる第1導電膜層としては、真空治金(株)製ITOターゲットを使用し、第1導電膜層としてITOを主成分とする薄膜層をスパッタ法により形成した。このときの第1導電膜層の膜厚は25nmとした。
次に、物理膜厚188μmのITO付のPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムのITO形成面側と作成した多層膜付透明基板の膜形成面側とを張り合わせた後、耐ペン摺動性評価を行った。耐ペン摺動性評価は、張り合わせたPETフィルムのITO電極面の裏面より、ポリアセタール製のペン(先端形状は、0.8mmR)に250gの荷重を掛け、往復10万回の摺動試験を行うことにより評価した。往復10万回の摺動試験を行っても、目視にて多層膜付基板上に白濁が見られなければ○、白濁が生じていれば×とした。
以上の結果を表1に示す。
実施例2では、第2導電膜層をAZOからGZOに変えた以外は、すべて実施例1と同じ条件にて導電性を有する多層膜付透明基板を得た。なお、第2導電膜層に用いたGZOは、住友金属鉱山(株)製GZOターゲットを使用してスパッタ法により形成した。得られた導電性を有する多層膜付透明基板の視感度透過率は、90.4%であった。また、表面抵抗値は500Ω/□であった。
また、実施例1と同様に摺動試験及び密着性の評価を行った。また、クロマティクネス指数a*は-0.23、b*は1.30であった。その結果を表1に示す。
実施例3では、第2導電膜層をAZOからZnOに変えた以外は、すべて実施例1と同じ条件にて導電性を有する多層膜付透明基板を得た。なお、第2導電膜層に用いたZnOは、三和研磨工業(株)製ZnOタブレットを使用して真空蒸着方法により形成した。得られた導電性を有する多層膜付透明基板の視感度透過率は、90.3%であった。また、表面抵抗値は500Ω/□であった。
また、実施例1と同様に摺動試験及び密着性の評価を行った。また、クロマティクネス指数a*は-0.24、b*は1.35であった。その結果を表1に示す。
比較例1では、第2導電膜層をAZOからITOに変えた以外は、すべて実施例1と同じ条件にて導電性を有する多層膜付透明基板を得た。得られた導電性を有する多層膜付透明基板の視感度透過率は、90.2%であった。また、表面抵抗値は500Ω/□であった。
また、実施例1と同様に摺動試験及び密着性の評価を行った。また、クロマティクネス指数a*は-0.28、b*は1.31であった。その結果を表1に示す。
比較例2では、第1導電膜層をAZO(膜厚5nm)、第2導電膜層をITO(膜厚25nm)に変えた以外は、すべて実施例1と同じ条件にて導電性を有する多層膜付透明基板を得た。得られた導電性を有する多層膜付透明基板の視感度透過率は、90.4%であった。また、表面抵抗値は500Ω/□であった。
また、実施例1と同様に摺動試験及び密着性の評価を行った。また、クロマティクネス指数a*は-0.22、b*は1.31であった。その結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜3の導電性を有する多層膜付透明基板においては、何れも視感度透過率が90%以上と高透過率を示すとともに、クロマティクネス指数は-1.5〜1.5の範囲内にあり、無色に近い透過光が得られていることが示された。また、ペン摺動による白濁も無く、高い耐ペン摺動性を有することが確認された。また、剥離試験による電極の剥がれも無く、密着性も良好であった。なお、比較例2の導電性を有する多層膜付透明基板においては摺動試験は良好であったものの、剥離試験においては電極の剥がれが生じてしまい、密着性が悪い結果となった。
<実施例4>
実施例4では、基板側から順にZrO2からなる誘電層(第1層)を膜厚55nm、SiO2からなる誘電層(第2層)を膜厚100nm積層して反射防止層帯とし、さらにこの上にAZOからなる導電層(第2導電層)を5nm、ITOからなる導電層(第1導電層)を25nm積層することにより、導電性を有する多層膜付透明基板を得た。得られた導電性を有する多層膜付透明基板の視感度透過率は、91.2%であった。また、表面抵抗値は500Ω/□であった。
また、実施例1と同様に摺動試験及び密着性の評価を行った。また、クロマティクネス指数a*は-0.99、b*は0.07であった。その結果を表2に示す。
実施例5では、第2導電層をGZOとした以外は、すべて実施例4と同じ条件にて導電性を有する多層膜付透明基板を得た。得られた導電性を有する多層膜付透明基板の視感度透過率は、91.1%であった。また、表面抵抗値は500Ω/□であった。
また、実施例1と同様に摺動試験及び密着性の評価を行った。また、クロマティクネス指数a*は-0.91、b*は0.13であった。その結果を表2に示す。
実施例6では、第2導電層をZnOとした以外は、すべて実施例4と同じ条件にて導電性を有する多層膜付透明基板を得た。得られた導電性を有する多層膜付透明基板の視感度透過率は、91.0%であった。また、表面抵抗値は500Ω/□であった。
また、実施例1と同様に摺動試験及び密着性の評価を行った。また、クロマティクネス指数a*は-1.11、b*は0.53であった。その結果を表2に示す。
比較例3では、第2導電層をITOとした以外は、すべて実施例4と同じ条件にて導電性を有する多層膜付透明基板を得た。得られた導電性を有する多層膜付透明基板の視感度透過率は、91.2%であった。また、表面抵抗値は500Ω/□であった。
また、実施例1と同様に摺動試験及び密着性の評価を行った。また、クロマティクネス指数a*は-1.03、b*は0.23であった。その結果を表2に示す。
比較例4では、第1導電膜層をAZO(膜厚5nm)、第2導電膜層をITO(膜厚25nm)に変えた以外は、すべて実施例4と同じ条件にて導電性を有する多層膜付透明基板を得た。得られた導電性を有する多層膜付透明基板の視感度透過率は、91.2%であった。また、表面抵抗値は500Ω/□であった。
また、実施例1と同様に摺動試験及び密着性の評価を行った。また、クロマティクネス指数a*は-1.03、b*は0.15であった。その結果を表2に示す。
表2に示すように、実施例4〜6の導電性を有する多層膜付透明基板においては、透過率及びクロマティクネス指数ともに実施例1〜3よりも良い結果が得られた。また、ペン摺動による白濁も無く、高い耐ペン摺動性を有することが確認された。また、剥離試験による電極の剥がれも無く、密着性も良好であった。なお、比較例4の導電性を有する多層膜付透明基板においては摺動試験は良好であったものの、剥離試験においては電極の剥がれが生じてしまい、密着性が悪い結果となった。
2 薄膜層
3 誘電膜層
4 第2導電膜層
5 第1導電膜層
Claims (4)
- 透明基板上に透明導電体の薄膜を積層する導電性を有する多層膜付透明基板において、最外層に透明導電体からなる第1導電膜層と、該第1導電膜層の下層に形成される主成分として酸化亜鉛を含有する透明導電体からなる第2導電膜層と、を有することを特徴とする導電性を有する多層膜付透明基板。
- 請求項1の多層膜付透明基板において、前記第1導電膜層と第2導電膜層と合わせた光学膜厚は所望する表面抵抗値が得られるように決定されていることを特徴とする導電性を有する多層膜付透明基板。
- 請求項2の多層膜付透明基板において、前記第2導電膜層はアルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛又は酸化亜鉛から選ばれる少なくとも1種類の導電体にて形成されていることを特徴とする導電性を有する多層膜付透明基板。
- 請求項1の多層膜付透明基板において、前記第2導電膜層と前記透明基板との間には透過率を向上させるための反射防止膜層が形成されることを特徴とする導電性を有する多層膜付透明基板。
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