JPWO2015005452A1 - 黒色磁性酸化鉄粒子粉末及びその製造方法 - Google Patents

黒色磁性酸化鉄粒子粉末及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、八面体形状であって、粒子内部にケイ素元素が一定に分布し、薄い厚さの塗膜とした場合においても黒色度に優れているマグネタイト粒子粉末からなる黒色磁性酸化鉄粒子粉末に関するものであり、本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末を用いて磁性トナーを製造した場合には、黒色度に優れた磁性トナーを得ることができる。黒色磁性酸化鉄粒子において、八面体形状であって、鉄元素に対してケイ素元素換算で0.19〜1.90原子%含有し、鉄元素溶解率(X)が20<X20〜40≦40%、40<X40〜60≦60%、60<X60〜80≦80%の各範囲におけるケイ素元素溶解率(Y)が、鉄元素溶解率(X)と鉄元素溶解率が10%のときのケイ素元素溶解率(a)とからなる特定の関係式を満足することを特徴とする黒色磁性酸化鉄粒子粉末である。【選択図】 なし

Description

本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末は、八面体形状であり、黒色であることから、塗料用、樹脂用、印刷インキ等の黒色着色顔料として用いることができ、また、磁性トナー用黒色磁性粒子として用いた場合には、黒色度の高い磁性トナーを得ることができる。
従来、静電潜像現像法の一つとして、キャリアを使用せずに樹脂中にマグネタイト粒子粉末等の磁性粒子粉末を混合分散させた複合体粒子を現像剤として用いる所謂「一成分系磁性トナー」による現像法が広く知られ、汎用されている。
近時、レーザービームプリンターやデジタル複写機の高性能化に伴い、現像剤である磁性トナーの黒色度のより高いものが要求されている。
前記磁性トナーの黒色度は、磁性トナー中に含有するマグネタイトの黒色度に大きく依存するものである。そこで、黒色度の高い黒色磁性粒子が強く要求されている。
特に粒子形状が八面体であるマグネタイト粒子は、黒色度が高いことが知られている。
より黒色度の高いマグネタイト粒子を得るために様々な試みがなされている(特許文献1〜3)。
特開平3−131866号公報 特開2008−184338号公報 特開2011−213548号公報
上述の諸問題に鑑み、微細粒子であり、黒色度に優れている黒色磁性酸化鉄粒子粉末は、現在最も要求されているところであるが、このような黒色磁性酸化鉄粒子粉末は未だ提供されていない。
前出特許文献1記載のマグネタイト粒子は、珪素元素の分布が一定ではないため、黒色度が十分とは言い難い。
また、前出特許文献2記載のマグネタイト粒子粉末は、珪素元素の分布が一定ではないため、黒色度が十分とは言い難い。
また、前出特許文献3記載のマグネタイト粒子は、珪素元素の分布が一定ではないため、黒色度が十分とは言い難い。
そこで、本発明は、八面体形状であって、粒子内部にケイ素元素が一定に分布し、薄い厚さの塗膜とした場合においても黒色度に優れている磁性トナーに好適に用いられる黒色磁性酸化鉄粒子粉末を提供することを技術的課題とする。
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
即ち、本発明は、八面体形状であって、鉄元素に対してケイ素元素換算で0.19〜1.90原子%のケイ素を含有し、鉄元素溶解率(X%)が20<X20〜40≦40%、40<X40〜60≦60%、60<X60〜80≦80%の各範囲におけるケイ素元素溶解率(Y%)が、鉄元素溶解率(X%)と鉄元素溶解率が10%のときのケイ素元素溶解率(a%)とからなる下記式(1)、(2)を満足することを特徴とする黒色磁性酸化鉄粒子粉末である(本発明1)。
{(100−a)X+100(a−10)}/90−10(1−a/100)≦Y≦{(100−a)X+100(a−10)}/90+10(1−a/100) ・・・(1)
10≦a≦80 ・・・(2)
(但し、10≦X≦100、10≦Y≦100)
また、本発明は、黒色磁性酸化鉄粒子中のナトリウム含有量が0.02〜0.10重量%であって、全鉄元素量に対して鉄元素溶解率50%におけるナトリウム元素溶解率が、全ナトリウム元素溶解量に対して50%以上である本発明1記載の黒色磁性酸化鉄粒子粉末である(本発明2)。
また、本発明は、平均粒子径が0.05〜0.30μmである本発明1又は2記載の黒色磁性酸化鉄粒子粉末である(本発明3)。
また、本発明は、粒度分布における変化係数が30%以下である本発明1〜3のいずれかに記載の黒色磁性酸化鉄粒子粉末である(本発明4)。
また、本発明は、黒色磁性酸化鉄粒子粉末を用いて作成した膜厚が23〜26μmのときの塗膜のb*値が2以下であり、
a*(I) : 塗膜膜厚4〜6μmでのa*値
a*(II) : 塗膜膜厚23〜26μmでのa*値
α=a*(I)/a*(II)としたときに、
1.0≦α≦2.0を満たすことを特徴とする本発明1〜4のいずれかに記載の黒色磁性酸化鉄粒子粉末である(本発明5)。
また、本発明は、Si及びAlの被覆層を有する本発明1〜5のいずれかに記載の黒色磁性酸化鉄粒子粉末である(本発明6)。
また、本発明は、八面体形状であって、鉄元素に対してケイ素元素換算で0.19〜1.90原子%のケイ素を含有する黒色磁性酸化鉄粒子粉末であって、黒色磁性酸化鉄粒子粉末を用いて作成した膜厚が23〜26μmのときの塗膜のb*値が2以下であり、
a*(I):塗膜膜厚4〜6μmでのa*値
a*(II):塗膜膜厚23〜26μmでのa*値
α=a*(I)/a*(II)としたときに、
1.0≦α≦2.0を満たすことを特徴とする黒色磁性酸化鉄粒子粉末である(本発明7)。
また、本発明は、第一鉄塩水溶液と、該第一鉄塩水溶液中の第一鉄塩に対し0.90〜1.00等量の水酸化アルカリ水溶液と、第一鉄塩溶液中のFeに対しSi換算で0.05〜1.00原子%の水可溶性ケイ酸塩とを反応させて得られた水酸化第一鉄コロイドを含む反応溶液のpHを8〜9に調整し、70〜100℃の温度範囲に加熱しながら酸素含有ガスを通気して鉄の酸化反応率が7〜12%まで酸化反応を行い、核晶マグネタイト粒子を生成させる第一段反応、該第一段反応終了後の核晶マグネタイト粒子と水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩反応液に対し1.01〜1.50当量となるように水酸化アルカリ水溶液を添加し、70〜100℃の温度範囲に加熱しながら酸素含有ガスを通気して鉄の酸化反応率が40〜60%まで酸化反応を行う第二段反応、第二段反応終了後pHを5〜9に一旦調整し、その後、反応溶液のpHを9.5以上に再調整した後、水可溶性ケイ酸塩を第一段反応で添加した水可溶性ケイ酸塩に対して20〜200%(第一段反応と第三段反応で添加するケイ素元素が合計で1.9原子%以下)添加し70〜100℃の温度範囲に加熱しながら酸素含有ガスを通気して酸化反応を行う(第三段反応)ことを特徴とする本発明1〜7のいずれかに記載の黒色磁性酸化鉄粒子粉末の製造方法である(本発明8)。
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末は八面体形状であって、粒子内部に含有されるケイ素元素の分布を一定にすることで黒色磁性酸化鉄粒子の結晶性が均一となり、平均粒子径が0.05〜0.30μmの微細粒子であっても黒色度に優れていることから、電子写真用磁性トナー用の磁性粒子粉末として好適に用いることができる。
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
先ず、本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末について述べる。
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末は、組成的にはマグネタイト((FeO)x・Fe、0<x≦1)からなる。
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末の粒子形状は八面体である。本発明では、粒子形状が八面体であることによって、黒色度が高い黒色磁性酸化鉄粒子粉末とするものである。
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末は、鉄元素に対してケイ素元素換算で0.19〜1.90原子%のケイ素を含有する。ケイ素の含有量が0.19原子%未満では、黒色磁性酸化鉄の粒度分布が悪くなり黒色度に優れる磁性酸化鉄粒子を得ることができない。ケイ素の含有量が1.90原子%を超える場合、マグネタイト以外の副生成物が生成し、黒色度に優れる磁性酸化鉄粒子を得ることができない。好ましいケイ素の含有量は0.25〜1.87原子%であり、より好ましくは0.30〜1.85原子%である。
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末は、鉄元素溶解率(X%)が20<X20〜40≦40%、40<X40〜60≦60%、60<X60〜80≦80%の各範囲におけるケイ素元素溶解率(Y%)が、鉄元素溶解率10%におけるケイ素元素溶解率a%からなる下記式(1)、(2)を満足することを特徴とする黒色磁性酸化鉄粒子粉末である。
{(100−a)X+100(a−10)}/90−10(1−a/100)≦Y≦{(100−a)X+100(a−10)}/90+10(1−a/100) ・・・(1)
10≦a≦80 ・・・(2)
(但し、10≦X≦100、10≦Y≦100)
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末は、前記関係式を満たすことによって、微細でありながら、黒色度に優れた磁性酸化鉄粒子粉末を得るものである。
ここで、鉄元素溶解率(X)は粒子全体のFeに対する溶解したFeの割合であり、0%は溶解していない状態、100%はすべて溶解した状態である。また、ケイ素元素溶解率(Y)も同様に、0%はケイ素が溶解していない状態、100%は磁性酸化鉄粒子中に存在する全てのケイ素がすべて溶解された状態である。とくに、鉄元素溶解率が10%(X=10%)のときのケイ素元素溶解率を(a)とするものである。
式(1)は、黒色磁性酸化鉄粒子について、鉄元素溶解率(X)、鉄元素溶解率10%におけるケイ素元素溶解率(a)及びケイ素元素溶解率(Y)の関係を示したものであり、黒色磁性酸化鉄粒子中のSiの分布状態を示すものである。すなわち、本発明において、式(1)を満足するということは、各範囲での鉄元素溶解率(X)とケイ素元素溶解率(Y)とが、特定の狭い範囲(式(1)に示す範囲)で一致するということを示し、すなわち、鉄元素の溶解と共にケイ素元素も近い比率で溶解していくことであり、ケイ素元素が磁性酸化鉄内に均一に存在していることを意味するものである。なお、各範囲での鉄元素溶解率(X)は、その範囲内のいずれの溶解率を選択してもよく、鉄元素溶解率(X%)が20<X20〜40≦40%、40<X40〜60≦60%、60<X60〜80≦80%の各範囲において、それぞれ20〜40%、40〜60%、60〜80%の範囲内のいずれの点の測定値でケイ素元素溶解率(Y)を評価してもよい。なお、式(1)は鉄元素溶解率(X%)が20<X20〜40≦40%、40<X40〜60≦60%、60<X60〜80≦80%の各範囲において満足する必要がある。
式(1)において、Yが下限値未満の場合には、粒子中心部にSiが多量に存在することになり好ましくない。また、Yが上限値を超える場合には、粒子表面近くにSiが多量に存在することになり好ましくない。すなわち、ある範囲での鉄元素溶解率(X)においてケイ素元素溶解率(Y)が下限値未満であるということは、その鉄元素溶解範囲までに溶解したケイ素元素の割合が鉄元素の溶解割合に比べて低すぎるということであり、まだ溶解していない粒子の中に溶解していないケイ素元素がまだ多量にあるということであり、ケイ素元素は粒子中心部に偏在化しており、均一に存在していないことになる。一方、ケイ素元素溶解率(Y)が上限値を超える場合は、その鉄元素溶解範囲までに溶解したケイ素元素の割合が鉄元素の溶解割合に比べて多すぎるということであり、すでに溶解した部分にケイ素元素が多量に含まれているということであり、ケイ素元素は粒子表面付近に偏在化しており、均一に存在していないことになる。
式(2)において、aが下限値未満の場合には、粒子中心部にSiが多量に存在することになり好ましくない。また、aが上限値を超える場合には、粒子表面に過剰のSi成分が存在することになり好ましくない。より好ましくは10.5≦a≦75、更により好ましくは11.0≦a≦70である。
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子中のナトリウム含有量は0.02〜0.10重量%が好ましい。より好ましいナトリウム含有量は0.03〜0.9重量%である。ナトリウム含有量を前記範囲に制御することによって吸湿性が高くならない点で好ましい。
また、本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子のナトリウム元素は、全鉄元素量に対して鉄元素溶解率50%のときのナトリウム元素溶解率が、全ナトリウム元素溶解量(全ナトリウム含有量)に対して50%以上であることが好ましい。これは、黒色磁性酸化鉄粒子中に存在するナトリウム元素は、粒子の中心部よりも表面近傍に多量に存在することを表している。より好ましくは、全鉄元素量に対して鉄元素溶解率50%のときのナトリウム元素溶解率が、全ナトリウム元素溶解量(全ナトリウム含有量)に対して55%以上であることが好ましい。
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末の平均粒子径は0.05〜0.30μmが好ましい。平均粒子径が0.05μm未満の場合には、単位容積中の粒子が多くなり過ぎ粒子間の接点数が増えるため、粉体層間の付着力が大きくなり、磁性トナーとする場合に、樹脂中への分散性が悪くなる。平均粒子径が0.30μmを越える場合には、一個のトナー粒子中に含まれる黒色磁性酸化鉄粒子の個数が少なくなり、各トナー粒子について黒色磁性酸化鉄粒子の分布に偏りが生じ、その結果、トナーの帯電の均一性が損なわれる。より好ましい平均粒子径は0.07〜0.28μmの範囲である。
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末の粒度分布における変化係数が30%以下であることが好ましい。粒度分布の変化係数が30%以下であることによって、微粒子成分の影響が小さくなり黒色度が向上する。より好ましい変化係数は29%以下である。
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末を用いて作成した膜厚が23〜26μm(代表的には24μm)の塗膜のb*値が2以下であることが好ましい。前記b*値が2.0以下であることによって、優れた黒色度を有するものである。より好ましいb*値は0〜1.8である。
また、本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末を用いて作成した塗膜の膜厚を種々変化させて測定したa*が下記関係式を満たすことが好ましい。
a*(I):塗膜膜厚4〜6μm(代表的には5μm)でのa*値
a*(II):塗膜膜厚23〜26μm(代表的には24μm)でのa*値
α=a*(I)/a*(II)としたときに、1.0≦α≦2.0を満たす。前記αが1.0〜2.0であることによって、優れた黒色度を有するものである。より好ましいα値は1.1〜1.9である。
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末はBET比表面積が3〜30m/gが好ましい。より好ましくは4〜20m/gである。BET比表面積が3m/g未満の場合、平均粒子径が0.50μmを超えることとなり、上述した通り、トナー粒子とした場合にトナーの帯電の均一性が損なわれるとともに、着色力が小さくなり高解像度のトナーを得られない。BET比表面積が30m/gを超える場合、粉体層間の付着力が大きくなり、磁性トナーとする場合に、樹脂中への分散性が悪くなる。より好ましいBET比表面積は4〜20m/gである。
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子の外部磁場796kA/m(10kOe)における飽和磁化が85.0〜92.0Am/kgが好ましく、より好ましくは86.0〜90.0Am/kgであり、特に高速複写機用のトナーとして用いた場合に好適である。
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子は、粒子表面にSi化合物またはAl化合物若しくはSi化合物及びAl化合物を有することが好ましく、Siを0.02〜1.0重量%含有し、Al量が0.02〜1.0重量%含有することが黒色磁性酸化鉄粒子に耐熱層形成のために好ましい。Al量、Si量が1.0重量%を超える場合には吸着水分量が増加する場合があり、トナーとした場合、トナーの環境安定性に影響を及ぼす場合がある。Al量、Si量が0.02重量%未満では、耐熱層として不十分である。
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末の成型体密度が2.7g/cm成型物の15Vの直流電圧印加時の電気抵抗値は1×10Ωcm以下が好ましく、より好ましくは8×10Ωcm以下である。
また、本発明の黒色磁性酸化鉄粒子粉末は、八面体形状であって、鉄元素に対してケイ素元素換算で0.19〜1.90原子%のケイ素を含有し、黒色磁性酸化鉄粒子粉末を用いて作成した膜厚が23〜26μmのときの塗膜のb*値が2以下であり、
a*(I):塗膜膜厚4〜6μmでのa*値
a*(II):塗膜膜厚23〜26μmでのa*値
α=a*(I)/a*(II)としたときに、
1.0≦α≦2.0を満たすことを特徴とする黒色磁性酸化鉄粒子粉末である。上記黒色磁性酸化鉄粒子粉末は、上述の本発明1の式(1)、(2)を満足することが好ましく、また本発明2〜6の規定および上記記載を満足することが好ましい。
次に、本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末の製造法について述べる。
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末は、第一鉄塩水溶液と、該第一鉄塩水溶液中の第一鉄塩に対し0.90〜1.00等量の水酸化アルカリ水溶液と、第一鉄塩溶液中のFeに対しSi換算で0.05〜1.00原子%の水可溶性ケイ酸塩とを反応させて得られた水酸化第一鉄コロイドを含む反応溶液のpHを8〜9に調整し、70〜100℃の温度範囲に加熱しながら酸素含有ガスを通気して鉄の酸化反応率が7〜12%まで酸化反応を行い、核晶マグネタイト粒子を生成させる第一段反応、該第一段反応終了後の核晶マグネタイト粒子と水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩反応液に対し1.01〜1.50当量となるように水酸化アルカリ水溶液を添加し、70〜100℃の温度範囲に加熱しながら酸素含有ガスを通気して鉄の酸化反応率が40〜60%まで酸化反応を行う第二段反応、第二段反応終了後pHを5〜9に一旦調整し、その後pHを9.5以上に再調整した後、水可溶性ケイ酸塩を第一段反応で添加した水可溶性ケイ酸塩に対して20〜200%(第一段反応と第三段反応で添加するケイ素元素が合計で1.9原子%以下)添加し70〜100℃の温度範囲に加熱しながら酸素含有ガスを通気して酸化反応を行って(第三段反応)得ることができる。
本発明における第一鉄塩水溶液としては、硫酸第一鉄水溶液、又は、硫酸第一鉄及び塩化第一鉄水溶液等を使用することができる。
本発明における水酸化アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物の水溶液、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物の水溶液、また、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム等の炭酸アルカリ水溶液及びアンモニア水等を使用することができる。
第一段反応において水酸化アルカリ水溶液の添加量は、第一鉄塩水溶液中のFe2+に対して0.90〜1.0当量である。好ましくは0.92〜0.99当量の範囲である。0.90当量未満の場合には、針状晶ゲータイト粒子が混在してくる。1.0当量を超える場合には、ケイ素元素が取り込まれやすくなり、黒色度に優れる磁性酸化鉄粒子を得ることができない。
第一段反応において水可溶性ケイ酸塩の添加量は、第一鉄塩溶液中のFeに対しSi換算で0.05〜1.00原子%である。水可溶性ケイ酸塩の添加量が前記範囲外の場合には、ケイ素元素の分布が一定にはならず、黒色度に優れる磁性酸化鉄粒子を得ることができない。より好ましい水可溶性ケイ酸塩の添加量は0.07〜0.95原子%である。
本発明において使用される水可溶性ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウムや、ケイ酸カリウム等が使用できる。
第一鉄塩水溶液、水酸化アルカリ水溶液及び水可溶性ケイ酸塩を反応させた反応溶液のpHを8〜9に調整する。反応溶液のpHを前記範囲に調整することによって、粒子中心部のSi分布を抑制できる。
反応溶液のpHを調製した後、70〜100℃の温度範囲に加熱しながら酸素含有ガスを通気する。70℃未満である場合には、針状晶ゲータイト粒子が混在してくる。100℃を越える場合もマグネタイト粒子は生成するが、オートクレーブ等の装置を必要とするため工業的に容易ではない。より好ましい温度範囲は75〜98℃である。
酸化手段は酸素含有ガス(例えば、空気)を液中に通気することにより行う。
本発明では、反応溶液に酸素含有ガスを通気して、鉄の酸化反応率が7〜12%まで酸化反応を行って、核晶マグネタイト粒子を生成させる第一段反応とする。酸化反応率が7%未満では、黒色磁性酸化鉄の粒度分布が悪くなり黒色度に優れる磁性酸化鉄粒子を得ることができない。12%を超えると八面体以外の六面体、多面体や球状の粒子が混入してくる。より好ましい酸化反応率は8〜11である。鉄の酸化反応率を7〜12%に調整する方法としては、後述する実施例に示す方法で反応溶液中のFe2+含有量を経時的に測定して酸化反応率(%)を求めながら、上記範囲の酸化反応率となった時点で第一段反応を終了させる。
前記第一段反応終了後の核晶マグネタイト粒子と水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩反応液に対し1.01〜1.50当量となるように水酸化アルカリ水溶液を添加する。水酸化アルカリ水溶液の添加量が1.01当量未満の場合には、八面体以外の六面体、多面体や球状の粒子が混入してくる。水酸化アルカリ水溶液の添加量が1.5当量を超える場合には、粒度分布が大きくなり、均一な粒子径のものが得られない。より好ましい水酸化アルカリ水溶液の添加量は、1.02〜1.48である。
70〜100℃の温度範囲に加熱しながら酸素含有ガスを通気して鉄の酸化反応率が40〜60%まで酸化反応を行う第二段反応を行う。70℃未満である場合には、針状晶ゲータイト粒子が混在してくる。100℃を越える場合もマグネタイト粒子は生成するが、オートクレーブ等の装置を必要とするため工業的に容易ではない。
本発明の第二段反応では反応溶液に酸素含有ガスを通気して、鉄の酸化反応率が40〜60%まで酸化反応を行う。酸化反応率が40%未満では、後段の酸化反応が長くなり粒度分布が大きくなり、均一な粒子径のものが得られない。60%を超えると第三段反応における酸化反応が短くなり粒度分布が大きくなり、均一な粒子径のものが得られない。鉄の酸化反応率を40〜60%に調整する方法としては、後述する実施例に示す方法で反応溶液中のFe2+含有量を経時的に測定して酸化反応率(%)を求めながら、上記範囲の酸化反応率となった時点で第二段反応を終了させる。
前記第二段反応終了後、反応溶液のpHを、一旦、5〜9に調整する(中継条件)。前記pHの範囲に調整しない場合には、水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄反応水溶液の粘性が高くなり、反応温度の均一性や反応速度の均一性が損なわれ、結果として粒子の結晶成長速度が不均一となり結晶性が悪く、均一な粒子径のものが得られない。
その後、反応溶液のpHを9.5以上に再調整する。使用する水酸化アルカリ水溶液の量は残存するFe2+に対して1.00当量以上である。1.00当量未満の場合、残存するFe2+が全量沈殿しない場合がある。実用上、1.00当量以上であって工業性を考慮した量が好ましい。
前記第二段反応を行った反応溶液に、再度、水可溶性ケイ酸塩を添加する。第三段反応において、添加する水可溶性ケイ酸塩は、第一段反応で添加した水可溶性ケイ酸塩に対してモル比で20〜200%であり、第一段反応と第三段反応で添加するケイ素元素が合計で1.9原子%以下であることが好ましい。
次いで、反応溶液を70〜100℃の温度範囲に加熱しながら酸素含有ガスを通気して酸化反応を行う。より好ましい温度範囲は72〜98℃である。
また、黒色磁性酸化鉄粒子の粒子表面に、Al、又はAl及びSiからなる化合物を形成する場合には、第二段反応終了後の黒色磁性酸化鉄粒子を含む懸濁液中に水可溶性アルミニウム塩、又は水可溶性アルミニウム塩及び水可溶性塩珪酸塩をAl量が0.02から1.0重量%、Si量が0.02〜1.0重量%になるように添加した後、pHを5〜9の範囲に調整してSiとAlを黒色磁性酸化鉄粒子表面に析出沈着させることにより得ることができる。
<作用>
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末は、八面体形状であって粒子内部に含有されるケイ素元素の分布を一定にすることにより、塗膜膜厚が薄くなってもa*の値が小さく黒色度に優れるものであり、磁性トナーとして使用した場合においても黒色度の優れているものである。
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子粉末は、八面体形状であって粒子内部に含有されるケイ素元素の分布を一定にすることができたので、黒色度に優れたマグネタイト粒子とすることができたものである。
本発明の代表的な実施例は次の通りである。
形状・平均粒子径・変化係数:
黒色磁性酸化鉄粒子の粒子形状及び平均粒子径は、「走査型電子顕微鏡S−4800」((株)日立ハイテクノロジーズ製)により観察し、電子顕微鏡写真から測定した数値の平均値で示した。
粒度分布における変化係数は個数分布の標準偏差σを平均粒子径で割って100をかけて%で表わした。
比表面積:
比表面積は「Mono Sorb MS−II」(湯浅アイオニックス株式会社製)を用いて比表面積はBET法により測定した値で示した。
酸化反応率:
第一段反応および第二段反応の第一鉄塩の酸化反応率は、反応溶液中のFe2+含有量を測定し、下記式によって算出した。
(A−B)÷A×100=酸化反応率(%)
但し、Aは第一鉄塩水溶液とアルカリ水溶液との混合直後の反応溶液中のFe2+の含有量、Bは水酸化第一鉄とマグネタイト粒子との混合物を含む第一鉄塩反応溶液中のFe2+含有量である。
SiおよびAl元素量:
黒色磁性酸化鉄粒子粉末のSi量及びAl量は「蛍光X線分析装置RIX−2100」(理学電気工業株式会社製)にて測定し、黒色磁性酸化鉄粒子粉末に対して元素換算で求めた値である。
表面Si量:
黒色磁性酸化鉄粒子粉末の粒子表面のSi量は、黒色磁性酸化鉄粒子粉末とイオン交換水を混合した後、分散させて懸濁液としたものを水酸化アルカリ水溶液と混合して30分間以上攪拌した後、懸濁液を濾過、乾燥して得られた黒色磁性酸化鉄粒子粉末のSi量を測定し、前記アルカリによる処理前の全Si量との差をもって粒子表面のSi量とした。
ケイ素元素およびナトリウム元素溶解率:
鉄元素の溶解率に対するケイ素元素およびナトリウム元素の溶解率は、次の方法により求めることができる。
3mol/lの塩酸溶液3Lに黒色磁性酸化鉄粒子粉末30gを懸濁させる。ついで50℃に黒色磁性酸化鉄粒子懸濁塩酸溶液を保ち、黒色磁性酸化鉄粒子が全て溶解するまで一定時間毎にサンプリングし、これをメンブランフィルタで濾過し濾液を得る。この濾液を誘導プラズマ原子発光分光光度計で鉄元素及びケイ素元素の定量を行う。鉄元素溶解率およびケイ素元素溶解率は、次式により計算される。
鉄元素溶解率(%)=サンプル中の鉄元素濃度(mg/l)/完全に溶解したときの鉄元素濃度(mg/l)×100
ケイ素元素溶解率(%)=サンプル中のケイ素元素濃度(mg/l)/完全に溶解したときのケイ素元素濃度(mg/l)×100
ナトリウム素元素溶解率(%)=サンプル中のナトリウム元素濃度(mg/l)/完全に溶解したときのナトリウム元素濃度(mg/l)×100
塗膜色特性:
黒色磁性酸化鉄粒子粉末を用いた塗膜のa*値、b*値は、以下のようにして測定した。
ポリエステル樹脂8gをトルエン20gに溶解させる。このトルエンにポリエステル樹脂が溶解した溶液に黒色磁性酸化鉄粒子粉末8gと1.5mmφガラスビーズ50gを加えペイントコンディショナーで4時間分散させ分散液を得る。この分散液をウエットの膜厚が12μm、40μm、100μmのバーを用いてキャストコート紙上にバーコーターを用いて塗布する。乾燥後、分光測色濃度計X−rite939を用いて測色する。
塗布膜の膜厚はデジタル電子マイクロメーターK351C(安立電気株式会社製)を用いて、先ず、キャストコート紙の厚み(A)を測定する。次に、キャストコート紙と該キャストコート紙上に形成された塗布膜の厚み(B)(キャストコート紙の厚みと塗布膜の厚みとの総和)を同様にして測定する。塗布膜の膜厚は(B)−(A)であり、30回測定を行いその平均値を塗布膜の膜厚とした。
電気抵抗:
黒色磁性酸化鉄粒子粉末の電気抵抗値は、測定対象の粒子粉末0.5gを秤量し、KBr錠剤成形器(島津製作所製)を用い、ハンドプレス(島津製作所製 SSP−10型)のゲージ読み値で14MPaの圧力で10秒間、加圧成形する(この条件で、密度が2.7g/cm程度の成型体が得られるが、他の成形器を使用する場合は、適宜、密度が2.7g/cm程度となる条件を設定すればよい。なお、密度が2.5〜2.8g/cm大幅に超える場合には、電気抵抗値が変化し、測定値の比較が困難となる。)。次に、加圧成形した試料をステンレス電極間にセットする。その際、電極間をフッ素樹脂性ホルダーで外部と完全に隔離する。セットした試料にホイーストンブリッジ(横河電機社製 TYPE 2768型)で15Vの電圧を印加して抵抗値を測定する。そのときの測定値R(Ω)と試料の電極面積A(cm)および厚みt(cm)を測定し、下記の式により体積固有抵抗値X(Ωcm)を計算する。
X=R/(A/t)
実施例1:
Fe2+:1.5mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液16l(Fe2+:24mol)と3.0Nの水酸化ナトリウム溶液15.2l(Fe2+に対し0.95当量に該当する。)を混合し、pH8.2に調整して第一鉄塩懸濁液の生成を行った。この際、ケイ素成分として3号水ガラス(SiO:28.8wt%)13.3g(Feに対してSi換算で0.25原子%に該当する。)を0.5lのイオン交換水に希釈したものを、あらかじめ、水酸化ナトリウムに添加した。上記第一鉄塩懸濁液を温度90℃において毎分70lの空気を通気して、第一鉄塩の酸化反応率が10%になるところまで酸化反応を行い、マグネタイト核晶粒子を含む第一鉄塩懸濁液を得た(第一段反応)。
次いで、上記マグネタイト核晶粒子を含む第一鉄塩懸濁液に3.0Nの水酸化ナトリウム溶液3.2lを加え(Fe2+ に対し1.15当量に該当する。)、温度90℃において毎分70lの空気を通気して、第一鉄塩の酸化反応率が50%になるところまで酸化反応を行った(第二段反応)。
次いで、上記マグネタイト核晶粒子を含む第一鉄塩懸濁液に16.1Nの硫酸を適量加えpH8に調整した(中継条件)。
次いで、3.0Nの水酸化ナトリウム溶液を適量加えpH10.5調整した。この際、ケイ素成分として3号水ガラス(SiO 28.8wt%)21.3g(Feに対してSi換算で0.40原子%に相当する。第一段反応で添加した水可溶性ケイ酸塩に対して160%であり、第一段反応と第三段反応で添加するケイ素元素の合計は0.65原子%である)を0.5lのイオン交換水に希釈したものを上記マグネタイト核晶粒子を含む第一鉄塩懸濁液に添加し、温度90℃において毎分70lの空気を通気してマグネタイト粒子を生成させた(第三段反応)。
生成粒子は、常法により、水洗、濾別、乾燥、粉砕した。得られたマグネタイト粒子は八面体であり、平均粒子径が0.14μm、粒度分布における変化係数が26%、Si含有量が0.65原子%であった。
また、鉄元素溶解率10%におけるケイ素元素溶解率(a)が10.8%、鉄元素溶解率が20<X20〜40≦40%、40<X40〜60≦60%、60<X60〜80≦80%の各範囲におけるケイ素元素溶解率(Y)はX20〜40の鉄元素溶解率が31.6%でケイ素元素溶解率は32.5%、X40〜60の鉄元素溶解率が53.6%でケイ素元素溶解率は53.9%、X60〜80の鉄元素溶解率が72.8%でケイ素元素溶解率は71.2%であり、鉄元素溶解率50%におけるナトリウム元素溶解率は63%であった。
また、この黒色磁性粒子粉末は、塗膜膜厚24μmでのb*値は0.3、a*値(a*(II))は0.4、塗膜膜厚5μmでのa*値(a*(I))は0.5で、塗膜膜厚5μmのa*値の塗膜膜厚24μmでのa*値に対する比α(a*(I)/a*(II))は1.3であった。
また、この黒色磁性粒子粉末の電気抵抗が5×10Ωcmであった。この黒色磁性粉末は、粒子内部に含有されるケイ素元素の分布が一定で、黒色度に優れているものであった。
実施例2〜12、比較例5〜9:
第一段反応における当量比、ケイ素元素量、酸化反応率10%までのpH、第二段反応における当量比、酸化反応率、中継条件のpH、第三段反応におけるpH、ケイ素元素量を表に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、黒色磁性粉末を得た。
またSiおよびAlの被覆層は、マグネタイト粒子を含む懸濁液にケイ素成分として3号水ガラス、アルミニウム成分として1.9mol/lの硫酸アルミニウム溶液1用いて表に示すように適量加えpH7に調整し、被覆層を形成した。
比較例1:
Fe2+ 1.5mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液16l(Fe2+ 24mol)と3.0Nの水酸化ナトリウム溶液16.8l(Fe2+に対し1.05当量に該当する。)を混合し、第一鉄塩懸濁液の生成を行った。この際、ケイ素成分として3号水ガラス(SiO 28.8wt%)を75.7g(Feに対してSi換算で1.42原子%に該当する。)を0.5lのイオン交換水に希釈したものを水酸化ナトリウムに添加した。上記第一鉄塩懸濁液を温度90℃において毎分70lの空気を通気して酸化反応を行い、マグネタイト粒子を生成した。
比較例2:
Fe2+ 1.5mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液16l(Fe2+ 24mol)にケイ素成分として3号水ガラス(SiO 28.8wt%)を80.0g(Feに対してSi換算で1.50原子%に該当する。)0.5lのイオン交換水に希釈し添加した。この水溶液と3.0Nの水酸化ナトリウム溶液16.3l(Fe2+に対し1.02当量に該当する。)を混合し、第一鉄塩懸濁液を得た。水酸化ナトリウム溶液を用いて、この第一鉄塩懸濁液のpHを12に調整した。上記第一鉄塩懸濁液を温度90℃において毎分30lの空気を通気して酸化反応を行い、酸化反応率が50%を越えた時点で通気量を毎分20lに減少させた。更に酸化反応率が75%を越えた時点で通気量を毎分10lに減少させた。そして酸化反応率が90%を越えた時点で通気量を毎分5lに減少させFe2+イオンがなくなるまで酸化を行い、マグネタイト粒子を生成した。
比較例3:
Fe2+ 1.5mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液16l(Fe2+ 24mol)と3.0Nの水酸化ナトリウム溶液18.4l(Fe2+に対し1.15当量に該当する。)を混合し、第一鉄塩懸濁液の生成を行った。上記第一鉄塩懸濁液を温度90℃において毎分70lの空気を通気して、第一鉄塩の酸化反応率が50%になるところまで酸化反応を行い、マグネタイト核晶粒子を含む第一鉄塩懸濁液を得た(第一段反応)。
次いで、上記マグネタイト核晶粒子を含む第一鉄塩懸濁液に16.1Nの硫酸を適量加えpH8に調整した(中継条件)。
次いで、上記マグネタイト核晶粒子を含む第一鉄塩懸濁液に3.0Nの水酸化ナトリウム溶液9.2lを加え(残存するFe2+ に対し1.15当量に該当する。)、この際、ケイ素成分として3号水ガラス(SiO 28.8wt%)を20.8g(Feに対してSi換算で0.39原子%に該当する。)を0.5lのイオン交換水に希釈したものを水酸化ナトリウムに添加した。温度90℃において毎分70lの空気を通気してマグネタイト粒子を生成させた(第二段反応)。
このときの製造条件を表1に、生成マグネタイト粒子粉末の諸特性を表2にそれぞれ示す。
比較例4:
比較例3に基づいて、種々条件を変更して黒色磁性酸化鉄粒子粉末を得た。
このときの製造条件を表1に、生成マグネタイト粒子粉末の諸特性を表2にそれぞれ示す。
Figure 2015005452
Figure 2015005452
本発明に係る黒色磁性酸化鉄粒子は、環境安定性に優れていることから電子写真用磁性トナーの磁性粉末として好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. 八面体形状であって、鉄元素に対してケイ素元素換算で0.19〜1.90原子%のケイ素を含有し、鉄元素溶解率(X)が20<X20〜40≦40%、40<X40〜60≦60%、60<X60〜80≦80%の各範囲におけるケイ素元素溶解率(Y)が、鉄元素溶解率(X)と鉄元素溶解率が10%のときのケイ素元素溶解率(a)とからなる下記式(1)、(2)を満足することを特徴とする黒色磁性酸化鉄粒子粉末。
    {(100−a)X+100(a−10)}/90−10(1−a/100)≦Y≦{(100−a)X+100(a−10)}/90+10(1−a/100) ・・・(1)
    10≦a≦80 ・・・(2)
    (但し、10≦X≦100、10≦Y≦100)
  2. 黒色磁性酸化鉄粒子中のナトリウム含有量が0.02〜0.10重量%であって、全鉄元素量に対して鉄元素溶解率50%におけるナトリウム元素溶解率が、全ナトリウム元素溶解量に対して50%以上である請求項1記載の黒色磁性酸化鉄粒子粉末。
  3. 平均粒子径が0.05〜0.30μmである請求項1又は2記載の黒色磁性酸化鉄粒子粉末。
  4. 粒度分布における変化係数が30%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の黒色磁性酸化鉄粒子粉末。
  5. 黒色磁性酸化鉄粒子粉末を用いて作成した膜厚が23〜26μmのときの塗膜のb*値が2以下であり、
    a*(I):塗膜膜厚4〜6μmでのa*値
    a*(II):塗膜膜厚23〜26μmでのa*値
    α=a*(I)/a*(II)としたときに、
    1.0≦α≦2.0を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の黒色磁性酸化鉄粒子粉末。
  6. Si及びAlの被覆層を有する請求項1〜5のいずれかに記載の黒色磁性酸化鉄粒子粉末。
  7. 八面体形状であって、鉄元素に対してケイ素元素換算で0.19〜1.90原子%のケイ素を含有する黒色磁性酸化鉄粒子粉末であって、黒色磁性酸化鉄粒子粉末を用いて作成した膜厚が23〜26μmのときの塗膜のb*値が2以下であり、
    a*(I):塗膜膜厚4〜6μmでのa*値
    a*(II):塗膜膜厚23〜26μmでのa*値
    α=a*(I)/a*(II)としたときに、
    1.0≦α≦2.0を満たすことを特徴とする黒色磁性酸化鉄粒子粉末。
  8. 第一鉄塩水溶液と、該第一鉄塩水溶液中の第一鉄塩に対し0.90〜1.00等量の水酸化アルカリ水溶液と、第一鉄塩溶液中のFeに対しSi換算で0.05〜1.00原子%の水可溶性ケイ酸塩とを反応させて得られた水酸化第一鉄コロイドを含む反応溶液のpHを8〜9に調整し、70〜100℃の温度範囲に加熱しながら酸素含有ガスを通気して鉄の酸化反応率が7〜12%まで酸化反応を行い、核晶マグネタイト粒子を生成させる第一段反応、該第一段反応終了後の核晶マグネタイト粒子と水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩反応液に対し1.01〜1.50当量となるように水酸化アルカリ水溶液を添加し、70〜100℃の温度範囲に加熱しながら酸素含有ガスを通気して鉄の酸化反応率が40〜60%まで酸化反応を行う第二段反応、第二段反応終了後pHを5〜9に一旦調整し、その後、反応溶液のpHを9.5以上に再調整した後、水可溶性ケイ酸塩を第一段反応で添加した水可溶性ケイ酸塩に対して20〜200%(第一段反応と第三段反応で添加するケイ素元素が合計で1.9原子%以下)添加し70〜100℃の温度範囲に加熱しながら酸素含有ガスを通気して酸化反応を行う(第三段反応)ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の黒色磁性酸化鉄粒子粉末の製造方法。
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