JP2000327337A - マグネタイトの製造方法およびマグネタイト製造設備 - Google Patents

マグネタイトの製造方法およびマグネタイト製造設備

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JP2000327337A
JP2000327337A JP11143428A JP14342899A JP2000327337A JP 2000327337 A JP2000327337 A JP 2000327337A JP 11143428 A JP11143428 A JP 11143428A JP 14342899 A JP14342899 A JP 14342899A JP 2000327337 A JP2000327337 A JP 2000327337A
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magnetite
dispersion
reactor
transfer pipe
concentrator
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JP11143428A
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Yukio Makiishi
幸雄 槇石
Toru Takeuchi
徹 竹内
Mitsuhiro Kuga
光広 久我
Itsushi Nakano
逸史 中野
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Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】マグネタイトの合成時の副生物である塩などの
含有量が少なく、顔料、複写機のトナー材料などとして
好適なマグネタイトを大規模な設備を新たに必要とせ
ず、簡便な手段によって効率よく製造することができる
マグネタイトの製造方法およびマグネタイト製造設備の
提供。 【解決手段】反応器内で水酸化鉄溶液を、アルカリの存
在下、加熱することによりマグネタイト粒子の分散液を
得た後、該分散液を前記反応器から分離装置に移送し、
該分散液から前記マグネタイト粒子を分離してマグネタ
イトを製造するに際して、前記分散液が反応器から分離
装置に移送される移送配管内に、分散液中のマグネタイ
ト粒子を洗浄するための洗浄液を供給し、該移送配管内
に設けられた混合手段により分散液と洗浄液とを混合し
た後、分離装置に移送する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マグネタイトの製
造方法およびマグネタイト製造設備に関し、特に、マグ
ネタイト合成時の副生物である塩化ナトリウムなどの塩
の含有量が少ないマグネタイトを得ることができるマグ
ネタイトの製造方法およびこれを実施するに好適なマグ
ネタイトの製造設備に関する。
【0002】
【従来の技術】マグネタイトは、一般的に、水酸化鉄を
含む溶液を60℃以上の温度で酸化することにより得ら
れる。この反応系では、反応により生成したマグネタイ
ト粒子が水中に分散した状態で得られるため、次いで反
応液(分散液)からマグネタイト粒子を分離し、通常、
さらにこれを乾燥して粉末状で得られる。
【0003】上記反応で得られるマグネタイト分散液
は、反応時に副生する多量の塩も含有している。たとえ
ば水酸化鉄の酸化に先立っては、通常、同一反応器内
で、硫酸鉄、塩化鉄などの鉄塩と、水酸化ナトリウムと
を反応させることにより水酸化鉄を生成させるため、マ
グネタイト分散液中には、この反応で副生する硫酸ナト
リウム、塩化ナトリウムなどの塩やアルカリを含んでい
る。また水酸化第二鉄の鉄を還元した後、水熱反応させ
てマグネタイト粒子を生成させる方法では、水熱反応時
のpH調整のために水酸化ナトリウムを添加することも
ある。
【0004】このような硫酸ナトリウム、塩化ナトリウ
ムなどの塩は、マグネタイト粒子に吸湿性を付与し、た
とえばこれら塩を含むマグネタイト粒子を顔料あるいは
複写機のトナー材料などとして用いた場合には、他の配
合原料との儒れが悪くなる。このため分散液から分離さ
れたマグネタイトは塩などの副生物の残存量が少ないこ
とが望ましい。
【0005】このため従来より、反応で生成したマグネ
タイト粒子をこれを含む分散液から分離する際には、マ
グネタイト粒子を洗浄して副生物(塩やアルカリなど)
を除去している。この方法としては、分散液をろ過し
た後、水洗する方法、分散液を水洗した後、ろ過する
方法が一般的である。
【0006】上記方法は、フィルタープレスなどのろ
過器により、分散液をろ過し、マグネタイトケーキを生
成した後(図6参照)、このケーキに通水することによ
り、残存する副生成物を低減する方法である。しかしな
がら、マグネタイトは他の粉末よりも凝集しやすいた
め、マグネタイトケーキはマグネタイト粒子の凝集体が
充填された状態となっている。このためケーキの密度が
不均一で、洗浄が不十分な部分を生じやすい。この方法
では、副生物の残存量の少ないマグネタイトを得るには
長い洗浄時間を必要とする。
【0007】この方法では、予めろ過前に、マグネタイ
ト粒子分散液をシックナーや遠心脱水機などを用いて濃
縮することもある(図7参照)が、この場合にも上記と
同様の問題を有している。
【0008】また上記方法では、具体的には、分散液
を一旦洗浄槽に移し、洗浄水を添加して攪拌洗浄した
後、ろ過してマグネタイト粒子を得る(図8参照)。し
かし、この方法は、希釈攪拌のための新たな洗浄槽など
の設備を必要とする上に、洗浄槽での攪拌によりマグネ
タイト粒子と洗浄水との接触を充分に行うためには多量
の洗浄水量が必要であり経済性に劣るという問題があ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術に鑑みてなされ、マグネタイトの合成時の副
生物である塩やアルカリの含有量が少なく、顔料、複写
機のトナー材料などとして好適なマグネタイトを大規模
な設備を新たに必要とせず、簡便な手段によって効率よ
く製造することができるマグネタイトの製造方法および
マグネタイト製造設備を提供することを目的としてい
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係るマグネタイ
トの製造方法は、反応器内で水酸化鉄溶液を、アルカリ
の存在下、加熱することによりマグネタイト粒子の分散
液を得た後、該分散液を前記反応器から分離装置に移送
し、該分散液から前記マグネタイト粒子を分離してマグ
ネタイトを製造するに際して、前記分散液が反応器から
分離装置に移送される移送配管内に、分散液中のマグネ
タイト粒子を洗浄するための洗浄液を供給し、該移送配
管内に設けられた混合手段により分散液と洗浄液とを混
合した後、分離装置に移送することを特徴とする。
【0011】このような方法において、上記反応器で得
られたマグネタイト分散液を上記分離装置に移送する前
に、予め少なくとも1つの濃縮器を用いて濃縮してもよ
く、この場合には、前記移送配管内での分散液と洗浄液
との混合は、濃縮器と反応器との間の移送配管内、濃縮
器と分離装置との間の移送配管内、濃縮器間の移送配管
内の少なくともいずれか1個所で行えばよい。
【0012】本発明では、上記のようなマグネタイトの
製造方法を実施するに好適な設備として、水酸化鉄溶液
を、アルカリの存在下、加熱してマグネタイト粒子の分
散液を得るための反応器、前記反応器内で得られた前記
分散液中から前記マグネタイト粒子を分離するための分
離装置、および前記反応器内で得られた前記分散液を前
記分離装置へ移送するための移送配管を有し、かつ前記
移送配管の少なくとも一部に、該移送配管に連通する洗
浄液を供給する洗浄液供給配管と、該洗浄液供給配管の
下流側の前記移送配管内部に設けられた混合手段とから
なる混合機能を備えたマグネタイト製造設備が提供され
る。
【0013】上記のようなマグネタイト製造設備におい
て、前記反応器と、前記分離装置との間には、前記移送
配管を介して前記分散液を濃縮するための1以上の濃縮
器を有し、該濃縮器と前記反応器との間の移送配管、該
濃縮器と前記分離装置との間の移送配管、および濃縮器
間の移送配管の少なくとも1つの移送配管が前記混合機
能を有するものも好ましい。また分散液の移送は、ポン
プを介して行うことが好ましい。
【0014】さらに、前記分離装置で分離されたマグネ
タイト粒子を乾燥する乾燥機を有していてもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るマグネタイト
の製造方法およびマグネタイト製造設備を具体的に説明
する。本発明に係るマグネタイトの製造方法は、反応器
内で水酸化鉄溶液を、アルカリの存在下、加熱すること
によりマグネタイト粒子の分散液を得た後、該分散液を
前記反応器から分離装置に移送し、該分散液から前記マ
グネタイト粒子を分離してマグネタイトを製造するに際
して、前記分散液が反応器から分離装置に移送される移
送配管内に、分散液中のマグネタイト粒子を洗浄するた
めの洗浄液を供給し、該移送配管内に設けられた混合手
段により分散液と洗浄液とを混合した後、分離装置に移
送することを特徴とする。
【0016】上記のような方法において、上記反応器で
得られたマグネタイト分散液を上記分離装置に移送する
前に、予め少なくとも1つの濃縮器を用いて濃縮しても
よく、この場合には、前記移送配管内での分散液と洗浄
液との混合は、濃縮器と反応器との間の移送配管内、濃
縮器と分離装置との間の移送配管内、濃縮器間の移送配
管内の少なくともいずれか1個所で行えばよい。
【0017】以下、図を参照しながら上記のような本発
明に係るマグネタイトの製造方法をより具体的に説明す
る。図1は、本発明で提供されるマグネタイト製造設備
の一態様例を示す構成図である。
【0018】本発明では、まず反応器(反応槽)1にお
いて、水酸化鉄溶液を、アルカリの存在下、加熱するこ
とによりマグネタイト粒子の分散液を得る。マグネタイ
ト粒子の分散液を得る方法としては、公知の方法を広く
採用することができ、いわゆる沈澱法が用いられる。こ
のような方法では、まず反応器1内で鉄塩溶液にアルカ
リ溶液を添加して水酸化鉄コロイドの懸濁液を得た後、
次いでこの水酸化鉄を加熱、酸化してマグネタイトを生
成させる。
【0019】上記水酸化鉄を生成させる鉄塩としては、
第一鉄塩であっても第二鉄塩であっても、またこれらの
混合物であってもよい。第一鉄塩としては、具体的に塩
化第一鉄、硫酸第一鉄、ヨウ化第一鉄、臭化第一鉄など
を用いることができる。また第一鉄塩溶液中には、Z
n、Mn、Ni、Cr、Cuなどのスピネル化合物に入
りうるイオンを含んでいてもよい。このイオン源として
は上記金属の塩であり、第一鉄塩溶液として、たとえば
鋼の酸洗廃液などを用いることができる。アルカリ水溶
液としては水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶
液、炭酸ナトリウム溶液、炭酸カリウム溶液などを用い
ることができる。
【0020】たとえば鉄塩として第一鉄塩を用い、アル
カリとして水酸化ナトリウムを用いた場合には、以下の
ような反応によりマグネタイトが生成される。 FeCl2 +2NaOH → Fe(OH)2 +2NaCl …(1) 6Fe(OH)2 +O2 → 2Fe3 4 +6H2 O …(2)
【0021】水酸化鉄の酸化(上記反応(2) )は、水酸
化鉄コロイドを含む水溶液に、加熱しながら酸素含有ガ
スを通気することにより行われる。この酸素含有ガスは
空気であってもよい。上記反応(2) において、反応温度
は60〜100℃が望ましい。60℃未満には針状ゲー
サイトが生成し、100℃超では工業的に適さない。ま
たpHは酸性域、中性域、アルカリ域のいずれでも可能
であるが、酸性域での合成では、反応溶液中に鉄イオン
が残存するため中性域あるいはアルカリ域での合成が望
ましい。
【0022】また第二鉄塩水溶液を用いる場合には、た
とえば第二鉄塩水溶液をアルカリで中和して水酸化第二
鉄を生成させた後、全第二鉄イオンの3分の1を還元
し、次いで水熱反応させ、マグネタイトを生成させるこ
とができる。この第二鉄塩水溶液を用いる方法は、特開
平8−325098号公報に記載されており、本明細書
でもこの公報の記載を引用することができる。
【0023】具体的に第二鉄塩としては、塩化第二鉄、
硝酸第二鉄、硫酸第二鉄などを用いることができる。第
二鉄塩溶液中に、前記したような鉄以外の金属イオンを
含んでいてもよい。アルカリ水溶液としては、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属の
水溶液が好ましい。第二鉄塩水溶液は、5〜40℃の温
度で中和し、中和により生成した水酸化第二鉄は、次い
でヒドラジン、ハイドロサルファイト、ロンガリットな
どの還元剤を用いて還元した後、水熱反応により酸化す
る。水熱反応は、水酸化第二鉄のスラリーのpHを7〜
11とした後、加圧下に120〜200℃の範囲の温度
で行なう。上記還元前には、水酸化第二鉄を一旦、濾
過、水洗してもよい。
【0024】また第一鉄塩と第二鉄塩との混合物を用い
る場合には、第一鉄イオンと第二鉄イオンの組成比を
1.1〜1.5に制御し、酸化温度を50〜70℃酸化
すれば、超微粒のマグネタイト粒子を得ることができ
る。本発明では、この混合塩を用いる方法も使用するこ
とができる。
【0025】上記のようにマグネタイトを生成させた後
には、分散液にエージング処理を施すことも好ましい。
具体的には、生成したマグネタイト粒子を含む反応液を
加熱しながら、非酸化性、非還元性ガスを通気してエー
ジングを行う。エージング処理は、40℃以上好ましく
は60〜100℃の温度で、pH4〜12好ましくはp
H6〜12の範囲で行うことが好ましい。このようなエ
ージング処理により、新たな核生成を抑制し、微粉を溶
解させて粒成長を優先的に促進させることによって微粉
の生成を減らし、粒度分布を狭くするのである。粒径が
小さいマグネタイト粒子ほど表面エネルギーが大きく溶
解しやすい。
【0026】エージング処理中に通気するガスとしては
窒素ガスやアルゴンガス、ヘリウムガス等の非酸化性か
つ非還元性ガスが使用できる。エージング処理時のガス
流量は特に制限はなく、反応溶液中に空気が入り込まず
にマグネタイト粒子が過酸化しない程度であればよい。
エージング時間は反応溶液のpHにより異なるが、目的
とするマグネタイト粒子のサイズにより決まるため特に
制限はなく適宜選択すればよい。上記のようなエージン
グ処理を含むマグネタイトの反応工程は、特開平7−6
9643号などに記載されており、本明細書でもこの公
報の記載を引用することができる。
【0027】上記反応器1で得られた分散液は、反応で
生成したマグネタイト粒子とともに、反応副生物である
塩やアルカリなども含有している。この分散液は、次い
で反応器1から移送配管2を介して分離装置4に移送さ
れる。
【0028】本発明では、分散液が反応器1から分離装
置4に移送される移送配管2内に、分散液中のマグネタ
イト粒子を洗浄するための洗浄液を洗浄液供給配管22
から供給し、移送配管2内に設けられた混合手段21に
より分散液と洗浄液とを混合した後、分離装置4に移送
する。移送配管2内の混合手段21としては、分散液を
撹拌しうる公知のものであればよく、たとえばラインミ
キサー、スタティックミキサーなど、あるいは移送配管
2内面に凹凸をつけて、混合する方法などを例示でき
る。これらの中でも, 効率の点からラインミキサー、ス
タティックミキサーなどが好ましい。洗浄液には、通常
水が用いられる。
【0029】上記のように移送配管2内で、分散液と洗
浄液とを混合することにより、マグネタイト粒子を分散
させ、かつ洗浄水で希釈することにより、次いで分離装
置4において、分散液中に含まれる塩、アルカリなどを
効率よく、分離除去することができる。このため移送配
管内を強く攪拌することが好ましい。
【0030】分散液の移送には、ポンプあるいは液の自
重、圧力などによる方法を用いることができる。これら
のうちでも、スラリーポンプ3などのポンプを用いると
ポンプによる攪拌効果も活用することができるので好ま
しい。またポンプの設置位置は、撹拌効果を高めるた
め、洗浄液供給配管の下流側が好ましい。
【0031】次いで移送配管2内で洗浄液と混合され、
分離装置4に移送された分散液は、ここで分散液中から
マグネタイト粒子が分離される。分離装置4としては、
分散液からマグネタイト粒子を分離しうる公知のものを
広く用いることができ、たとえばフィルタープレス、ベ
ルトフィルターなどのろ過器、あるいはシックナーなど
の沈降分離機や遠心分離機を用いることができる。
【0032】またろ過後に形成されるケーキにさらに通
水して洗浄することがより好ましい。従来の方法では、
ろ過器内でこのような通水、洗浄を行っても、通水の偏
りなどの問題があり、通水効果は低かったが、本発明で
はろ過前の混合によりケーキ層内の塩量が低下している
上、撹拌効果により凝集密度に偏りが少なく、ろ過器内
での通水、洗浄効果が高い。
【0033】また分離されたマグネタイト粒子は、ケー
キ層内の水分の低減を目的に、ケーキ層内に通気しても
よい。さらにマグネタイト粒子は、脱水後、通常、ベル
ト型などの乾燥機(図示せず)により乾燥される。
【0034】前述のように図6に示すような従来の技術
では、ろ過時に凝集したマグネタイトと洗浄水との接触
には偏りがあり、洗浄が不充分な部分が生じ易い事を述
べたが、移送配管2内で洗浄水と混合を行ってから分離
装置4で分離する本発明によれば、添加された洗浄水と
分散液とが移送配管内のラインミキサー21および配管
途中のスラリーポンプ3などにより、充分に攪拌され、
マグネタイト粒子と洗浄水との接触が均一に行われるた
め、分離装置4においては容易に副生物(塩やアルカ
リ)を除去することができる。
【0035】本発明では、反応器1で得られた分散液を
分離装置4に移送する前に、予め少なくとも1つの濃縮
器5を用いて分散液を濃縮してもよい。この濃縮器5と
しては、通常分散液中のマグネタイト粒子を沈降濃縮す
る濃縮槽(沈降槽)が用いられる。反応器1で得られた
分散液を、濃縮器5内を攪拌しないような量で濃縮器5
内に導入し、濃縮器5内で、マグネタイト粒子を(重
力)沈降させ、分散液を濃縮する。
【0036】濃縮器5内で濃縮された分散液は、濃縮器
5下部より移送配管2を介して、スラリーポンプ3によ
り分離装置4に連続的に移送され、一方沈降によりマグ
ネタイト粒子が除かれた水は、通常、濃縮器5上部から
オーバーフローされる。この濃縮器5では、マグネタイ
ト粒子の凝集を促進し、沈降濃縮を効率的に行うために
凝集剤を添加したり、あるいは濃縮器5内の液pHを調
整することが有効である。沈降凝集効果およびオーバー
フローした後の水処理を考慮して、pHは8〜9程度に
調整することが好ましい。
【0037】このように濃縮器5を用いる場合には、移
送配管2内での分散液と洗浄液との混合は、反応器1と
濃縮器5、濃縮器5と分離装置4との間の少なくともい
ずれか1個所で行えばよい。たとえば図2に示すよう
に、反応器1と濃縮器5との間の移送配管2内にライン
ミキサー21を設け、洗浄液供給配管22から洗浄液を
供給して、反応器1と濃縮器5との間で混合してもよ
く、図3に示すように濃縮器5と分離装置4との間の移
送配管2内にラインミキサー21を設け、洗浄液供給配
管22から洗浄液を供給して、反応器1と濃縮器5との
間で混合してもよい。
【0038】さらに図5に示すように、反応器1と濃縮
器5との間、濃縮器5と分離装置4との間の両方の移送
配管2内にラインミキサー21を設け、洗浄液供給配管
22から洗浄液を供給して、2箇所で混合してもよい。
【0039】複数の濃縮器5を有する場合には、たとえ
ば図5に示すように、反応器1と濃縮器5との間、濃縮
器5と分離装置4との間、濃縮器5,5間の移送配管2
内にラインミキサー21を設け、洗浄液供給配管22か
ら洗浄液を供給して、3箇所で混合してもよい。図5に
は、3個所で混合する例を示したが、この例に限定され
ず、いずれか1箇所で混合を行えばよい。なお図2〜5
中、図1と同一符号は同一のものを示す。
【0040】上記のように移送配管11中に供給する洗
浄液(洗浄水)の量は、特に限定されないが、たとえば
図1に示す場合には、分散液量に対して、0.5〜2倍
(容量比)程度の量で供給することが好ましい。また図
2、図4、図5に示すような濃縮器5の上流で混合する
場合には、混合された分散液で濃縮器5を撹拌しないよ
うな量で、洗浄液を供給することが好ましく、供給する
洗浄液(洗浄水)の量は、分散液量に対して、0.5〜
1倍(容量比)程度の量で供給することが好ましい。
【0041】本発明では、上記のようなマグネタイトの
製造方法を実施するに好適なマグネタイト製造設備すな
わちマグネタイト製造装置も提供される。具体的には、
図1に示すような水酸化鉄溶液を、アルカリの存在下、
加熱してマグネタイト粒子の分散液を得るための反応器
1、反応器1内で得られた前記分散液中から前記マグネ
タイト粒子を分離するための分離装置4、および反応器
1内で得られた前記分散液を分離装置4へ移送するため
の移送配管2を有し、かつ移送配管2の少なくとも一部
に、移送配管2に連通する洗浄液を供給する洗浄液供給
配管22と、洗浄液供給配管の下流側の移送配管2内部
に設けられた混合手段21とからなる混合機能を備えた
マグネタイト製造設備が提供される。
【0042】上記混合手段21としては、ラインミキサ
ー、スタティックミキサーなどが好ましい。分離装置4
としては、フィルタープレスなどのろ過器が好ましい。
洗浄液は、通常、水である。また移送配管2の途中に
は、分散液を移送するためのスラリーポンプ3などのポ
ンプを備えていることが好ましい。
【0043】また図2〜図5に示すように、上記マグネ
タイト製造設備が、反応器1と、分離装置4との間に
は、移送配管2およびスラリーポンプ3を介して分散液
を濃縮するための1以上の濃縮器5を有し、濃縮器5と
反応器1との間の移送配管2、濃縮器5と分離装置4と
の間の移送配管2、および濃縮器5,5間の移送配管2
の少なくとも1つの移送配管2が混合機能を有するマグ
ネタイト製造設備も提供される。
【0044】さらに、分離装置で分離されたマグネタイ
ト粒子を乾燥する乾燥機(図示せず)を有するマグネタ
イト製造設備も好ましい。なお図中、前記製造方法の説
明と同一符号は、同一のものを示す。また図1〜図5に
は、本発明のマグネタイト製造設備の態様例を示した
が、本発明はこの図の構成に限定されるものではない。
【0045】
【実施例】次に本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 (実施例1)図1に示す製造設備を用いてマグネタイト
を製造した。
【0046】鋼材の塩酸酸洗廃液(100ml中に、F
2+:10〜11g、Fe3+:0.2〜0.5g、フリ
ーのHCl:13〜14g含有)を規定濃度に希釈後、
予め水酸化ナトリウムを張込んだ反応器1内に装入し、
さらに水酸化ナトリウムを添加してpHを調整し、水酸
化鉄を生成させた。次いで反応液を蒸気で加熱して、液
温を80℃とした後、pHを調整し、反応器下部のノズ
ルより空気を吹き込み、液中の水酸化鉄を酸化して、マ
グネタイト粒子を生成させ、マグネタイト粒子の分散液
を得た。
【0047】次いで上記反応器1から、マグネタイト粒
子の分散液を、内部にラインミキサー21を備えた配管
(移送配管)2を介してスラリーポンプ3により分離装
置(フィルタープレス)4に連続的に移送した。この
間、移送配管2中には、洗浄液供給配管22から洗浄液
(洗浄水)を分散液量に対して1.2倍(容量比)で供
給し、移送配管11内を移送される分散液と洗浄液と
を、上記ラインキミサー21で混合した。
【0048】フィルタープレス4では、移送配管2内で
希釈混合された分散液をフィルターでろ過し、マグネタ
イトのろ過ケーキを生成させた後、さらに30分通水し
て洗浄した。水洗されたろ過ケーキは、次いでベルト型
乾燥機(図示せず)を用いて90℃で乾燥し、マグネタ
イトを得た。
【0049】得られたマグネタイトの残留Na濃度は1
20ppmであり、顔料用トナー用などに用いる原料と
して、好適であった。なおマグネタイト中のNa濃度
は、高周波プラズマ発光分析法により測定した。
【0050】(実施例2)図2に示す設備を用いてマグ
ネタイトを製造した。実施例1において、反応器1と分
離装置(フィルタープレス)4との間に移送配管2を介
して濃縮器5を設け、この濃縮器5と反応器1との間
に、上記ラインミキサー12および洗浄液供給配管21
を配した。また濃縮器5とフィルタープレス4との間の
移送配管2には、さらにスラリーポンプ3を有する設備
を用いた以外は、実施例1と同様にしてマグネタイトを
製造した。
【0051】上記反応器1から濃縮器5の間の移送配管
中で洗浄液供給配管22から洗浄水(分散液に対して
0.8倍(容量比)で供給)が添加された分散液は、濃
縮器5内を攪拌しないような量で濃縮器5内に導入し、
濃縮器5内で、マグネタイト粒子を(重力)沈降させ、
分散液を濃縮した。濃縮器5内で濃縮された分散液は、
濃縮器5下部より移送配管2を介して、スラリーポンプ
3によりフィルタープレス4に連続的に移送し、一方沈
降によりマグネタイト粒子が除かれた水は、濃縮器5上
部からオーバーフローさせた。
【0052】フィルタープレス4では、移送された濃縮
分散液をフィルターによりろ過し、マグネタイトのろ過
ケーキを生成させた後、さらに水で洗浄した。水洗され
たろ過ケーキは、次いでベルト型乾燥機を用いて90℃
で乾燥し、マグネタイトを得た。得られたマグネタイト
の残留Na濃度は100ppmであり、顔料用トナー用
などに用いる原料として、好適であった。
【0053】(実施例3)図3に示す設備を用いてマグ
ネタイトを製造した。実施例2において、ラインミキサ
ー21と洗浄液供給配管22とを濃縮器5の下流側に配
した以外は、実施例2同様にしてマグネタイトを製造し
た。得られたマグネタイトの残留Na濃度は90ppm
であり、顔料用トナー用などに用いる原料として、好適
であった。
【0054】(実施例4)図4に示す製造設備を用いて
マグネタイトを製造した。実施例2において、ラインミ
キサー21と洗浄液供給配管22とを濃縮器5の上流側
と下流側の両方に配した以外は、実施例2同様にしてマ
グネタイトを製造した。分散液と同量(容量比)の洗浄
液(洗浄水)を、洗浄液供給配管22のそれぞれから供
給した。得られたマグネタイトの残留Na濃度は60p
pmであり、顔料用トナー用などに用いる原料として、
好適であった。
【0055】(実施例5)図5に示す製造設備を用いて
マグネタイトを製造した。実施例4において、濃縮器5
を2個有し、濃縮器5,5間にもラインミキサー21と
洗浄液供給配管22とを配した以外は、実施例4同様に
してマグネタイトを製造した。分散液と同量(容量比)
の洗浄液(洗浄水)を、洗浄液供給配管22のそれぞれ
から供給した。得られたマグネタイトの残留Na濃度は
40ppmであり、顔料用トナー用などに用いる原料と
して、好適であった。なおフィルタープレスの水洗時間
を15分に短縮した場合には、110ppmとなった。
【0056】(比較例1)図6に示す製造設備を用いて
マグネタイトを製造した。得られたマグネタイトの残留
Na濃度は300ppmであり、顔料用トナー用などに
用いる原料としては、塩の含有量が多いため、不適切で
あり、充分な脱塩を行うためには、フィルタープレスの
水洗時間を90分以上必要とした。
【0057】(比較例2)図7に示す製造設備を用いて
マグネタイトを製造した。得られたマグネタイトの残留
Na濃度は140ppmであり、顔料用トナー用などに
用いることは可能であったが、フィルタープレスのケー
キ層の形成が不良であるとともにろ過に長時間を要し
た。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、マグネタイトの合成時
の副生物である塩などの含有量が少なく、顔料、複写機
のトナー材料などとして好適なマグネタイトを大規模な
設備を新たに必要とせず、簡便な手段によって効率よく
製造することができるマグネタイトの製造方法、および
これを実施するに好適なマグネタイト製造設備が提供さ
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のマグネタイトの製造フローを模式的
に示し、本発明のマグネタイト製造設備の一態様例を示
す構成図である。
【図2】 本発明のマグネタイト製造設備の他の態様例
を示す構成図である。
【図3】 本発明のマグネタイト製造設備の他の態様例
を示す構成図である。
【図4】 本発明のマグネタイト製造設備の他の態様例
を示す構成図である。
【図5】 本発明のマグネタイト製造設備の他の態様例
を示す構成図である。
【図6】 従来のマグネタイト製造方法を模式的に示す
フロー図である。
【図7】 従来のマグネタイト製造方法を模式的に示す
フロー図である。
【図8】 従来のマグネタイト製造方法を模式的に示す
フロー図である。
【符号の説明】
1…反応器(反応槽) 2…移送配管 21…ラインミキサー 22…洗浄液供給配管 3…スラリーポンプ 4…分離装置 5…濃縮器(濃縮槽)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久我 光広 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 中野 逸史 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 Fターム(参考) 4G002 AA04 AB02 AE01 AE03 AF01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】反応器内で水酸化鉄溶液を、アルカリの存
    在下、加熱することによりマグネタイト粒子の分散液を
    得た後、該分散液を前記反応器から分離装置に移送し、
    該分散液から前記マグネタイト粒子を分離してマグネタ
    イトを製造するに際して、 前記分散液が反応器から分離装置に移送される移送配管
    内に、分散液中のマグネタイト粒子を洗浄するための洗
    浄液を供給し、該移送配管内に設けられた混合手段によ
    り分散液と洗浄液とを混合した後、分離装置に移送する
    ことを特徴とするマグネタイトの製造方法。
  2. 【請求項2】水酸化鉄溶液を、アルカリの存在下、加熱
    してマグネタイト粒子の分散液を得るための反応器、 前記反応器内で得られた前記分散液中から前記マグネタ
    イト粒子を分離するための分離装置、および前記反応器
    内で得られた前記分散液を前記分離装置へ移送するため
    の移送配管を有し、 かつ前記移送配管の少なくとも一部に、該移送配管に連
    通する洗浄液を供給する洗浄液供給配管と、該洗浄液供
    給配管の下流側の前記移送配管内部に設けられた混合手
    段とからなる混合機能を備えたマグネタイト製造設備。
  3. 【請求項3】前記反応器と、前記分離装置との間には、
    前記移送配管を介して前記分散液を濃縮するための1以
    上の濃縮器を有し、該濃縮器と前記反応器との間の移送
    配管、該濃縮器と前記分離装置との間の移送配管、およ
    び濃縮器間の移送配管の少なくとも1つの移送配管が前
    記混合機能を有する請求項2に記載のマグネタイト製造
    設備。
  4. 【請求項4】さらに、前記分離装置で分離されたマグネ
    タイト粒子を乾燥する乾燥機を有する請求項2または3
    に記載のマグネタイト製造設備。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010100483A (ja) * 2008-10-24 2010-05-06 Mitsui Mining & Smelting Co Ltd 被覆マグネタイト粒子及びその製造方法
WO2015005452A1 (ja) * 2013-07-12 2015-01-15 戸田工業株式会社 黒色磁性酸化鉄粒子粉末及びその製造方法

Cited By (3)

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