JPWO2014207871A1 - 画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

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Abstract

クリーニング不良に起因する縦スジ画像の発生を抑制した画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供する。表面に、ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、ボウル形状の樹脂粒子の開口エッジに由来する凸部とを有する帯電部材と、トナーの表面のシリカ微粒子による被覆率X1が50.0面積%以上75.0面積%以下であり、シリカ微粒子による理論被覆率をX2としたとき、下記式1で示される拡散指数が下記式2を満足するトナーとを有する画像形成装置及びプロセスカートリッジ。(式1)拡散指数=X1/X2(式2)拡散指数≧−0.0042×X1+0.62

Description

本発明は、画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
電子写真方式を採用した画像形成装置(以下、「画像形成装置」と称す。)は、主に、電子写真感光体、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、クリーニング装置、及び定着装置等からなり、帯電、露光、現像、転写、クリーニング等の工程が繰り返し行われる。
帯電装置は、電子写真感光体(以下、「感光体」とも称す。)の表面を帯電する装置であり、感光体の表面に当接させた帯電部材を用いる接触式帯電方式の採用が多い。この場合、ローラ形状の帯電部材が好んで用いられる。
一方、感光体の表面には、転写工程において、紙等の被転写材に転写されなかったトナー(以下、「残留トナー」とも称す。)が付着している場合がある。残留トナーを感光体の表面から除去し、感光体を次の画像形成プロセスに供するために、感光体の表面には、クリーニング工程を行う、例えば弾性ブレードに代表されるクリーニング部材等が当接されている場合が多い。
上記クリーニング部材により除去できなかった残留トナーは、次の画像形成プロセスに影響を与え、画像の品位を低下させる現象が発生する場合がある。本現象は、一般的にクリーニング不良と称される。本現象が発生した場合、ベタ白地に、縦スジ状の画像(以下、「縦スジ画像」と称す。)として顕在化する場合が多い。
そして、特許文献1には、感光体の表面の放電生成物の固着を抑制することで、上記クリーニング不良の発生を抑制した帯電部材が開示されている。
特開2012−037875号公報
近年、画像形成装置に対して、より一層の高速化が要求されると同時に、画像形成装置の使用環境も多岐にわたっている。本発明者らの検討によれば、画像形成装置の高速化や低温低湿環境での画像形成は、クリーニング部材のスティックスリップを増大させるため、クリーニング不良を発生させやすいことがわかった。
即ち、画像形成装置の高速化及び使用環境変化に伴い、以前には発生しなかった縦スジ画像が、顕在化してくる場合があり、クリーニング不良の抑制は、より安定な画像形成を行うために解決すべき課題であると、本発明者らは認識した。
そこで、本発明の目的は、クリーニング不良の発生に起因する縦スジ画像の発生を抑制した画像形成装置、また、該画像形成装置から着脱可能に構成されているプロセスカートリッジを提供することにある。
本発明は、感光体と、該感光体を帯電部材によって帯電するための帯電手段と、帯電された該感光体の表面に静電潜像を形成するための露光手段と、静電潜像が形成された該感光体にトナーを供給してトナー像を該感光体の表面に形成するための現像手段と、該帯電手段前に、残留トナーを回収するためのクリーニング手段とを有する画像形成装置であって、
該帯電部材は、導電性基体と導電性樹脂層を有し、
該導電性樹脂層は、結着樹脂Cとボウル形状の樹脂粒子とを含み、
該帯電部材の表面は、該ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、該ボウル形状の樹脂粒子の開口エッジに由来する凸部とを有し、
該トナーは、結着樹脂T及び着色剤を含有するトナー粒子と、無機微粒子とを含有するトナーであって、
該無機微粒子がシリカ微粒子であり、
該トナーは、該シリカ微粒子をトナー粒子100質量部あたり0.40質量部以上1.50質量部以下含有し、
該シリカ微粒子は、シリカ原体100質量部に対して、15.0質量部以上40.0質量部以下のシリコーンオイルによって処理されており、該シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率(%)が70%以上であり、X線光電子分光装置(ESCA)により求めた、該トナーの表面の該シリカ微粒子による被覆率X1が50.0面積%以上75.0面積%以下であり、該シリカ微粒子による理論被覆率をX2としたとき、下記式1で示される拡散指数が下記式2を満足するトナーであることを特徴とする画像形成装置に関する。
(式1)拡散指数=X1/X2
(式2)拡散指数≧−0.0042×X1+0.62
本発明によれば、クリーニング不良の発生が抑制され、当該クリーニング不良の発生に起因する縦スジ画像の発生を抑制することができる。
本発明に係る帯電部材(ローラ形状)の断面図である。 本発明に係る帯電部材の表面近傍の部分断面図である。 本発明に係る帯電部材の表面近傍の部分断面図である。 本発明のボウル形状の樹脂粒子の形状の説明図である。 本発明の帯電部材の電気抵抗測定値の測定装置である。 本発明に係る画像形成装置の一態様の概略断面図である。 本発明に係る帯電部材における荷重変位曲線の一例を表す図である。 本発明に係る帯電部材と電子写真感光体との当接部近傍の拡大図である。 本発明に用いる電子線照射装置の一態様の概略断面図である。 本発明に係るプロセスカートリッジの一態様の概略断面図である。 本発明に係るトナーの拡散指数の境界線を示した図である。 本発明に係るトナーの被覆率X1と拡散指数をプロットした図である。 本発明に係る無機微粒子の外添混合に用いることができる混合処理装置の一態様の概略断面図である。 本発明に係る混合処理装置に使用される撹拌部材の構成の一態様の概略断面図である。 本発明に係るクリーニング部材(ブレード形状)の表面観察装置の一態様の概略図である。
本発明者らは、上記のような帯電部材とトナー用いた画像形成装置、または、プロセスカートリッジにおいて、クリーニング不良の発生抑制効果が発現する機構について鋭意検討した。一例としてブレード形状のクリーニング部材を用いて検討した結果に基づき、以下詳細に説明する。
本発明者らは、当該クリーニング不良発生時、感光体に当接しているクリーニング部材表面を、詳細に観察した。その結果、クリーニング部材長手位置の数箇所で、局所的な振動、即ち、微細なスティックスリップが発生し、当該スティックスリップが発生する箇所から、トナーがすり抜けていることが観察できた。同時に、当該スティックスリップは、凝集した残留トナーがクリーニング部材に衝突する箇所で発生しやすいこともわかった。
ここで、まず、本発明者らは、残留トナーが存在しない場合におけるクリーニング部材表面の挙動観察を行った。帯電部材として、特許文献1に記載されている従来の帯電部材を用いて感光体を帯電させ、序々に感光体を高速回転していった。感光体の回転を高速化していくと、クリーニング部材表面のスティックスリップ発生箇所が増大すると同時に、スリップ距離が増大する傾向を確認できた。
一方で、本発明者らは、従来トナーが適用されている画像形成装置を使用して、転写工程を経たトナーを準備した。即ち、残留トナーを模擬的に再現した凝集トナーとして、上記トナーを別途用意した(以下、「凝集トナー」とも称す。)。そして、上記高速回転した感光体と当接しているクリーニング部材に、上記凝集トナーを供給した。その結果、上記スティックスリップが発生した箇所からトナーがすり抜け、クリーニング部材通過後の感光体の表面に、トナーのスジが形成された。更に、回転を続けると、上記スティックスリップを発生する箇所が拡大し、トナーのスジが増加していった。
続いて、上記従来の帯電部材に換えて本発明に係る帯電部材を使用し、まず上記凝集トナーを存在させない状態で、クリーニング部材表面の観察を行った。従来の帯電部材で観察されるスティックスリップは確認できなかった。その後、上記凝集トナーを上記と同様にしてクリーニング部材に供給すると、供給直後は、トナーのスジの発生はなかったものの、供給後しばらくすると、トナーのスジが発生してしまった。
更に、本発明者らは、本発明に係るトナーを使用し、上記検討を行った。まず、上記凝集トナーと同様にして、残留トナーを模擬的に再現しようとしたものの、本発明に係るトナーは、転写工程を経ても、凝集トナーを形成しにくいことがわかった。他方で、転写工程を経た本発明に係るトナーを準備した。
続いて、上記と同様にして、本発明に係る帯電部材により感光体を帯電させながら、感光体を高速回転させた。そして、転写工程を経た本発明に係るトナーをクリーニング部材に供給した。その結果、上記スティックスリップは確認できず、且つ、トナーのスジも確認できなかった。
上記一連の検討より、発明者らは、本発明に係る帯電部材と本発明に係るトナーを用いることで、クリーニング不良を抑制できる機構を下記のように推測している。
本発明に係る帯電部材表面は、図2に示すように、「当該ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部」と、「当該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部」を有している。上記の凹凸形状を有する帯電部材は、感光体と当接した際、該開口に由来する凸部が、感光体と接触し、前記凹部は、感光体との間に、空間を有しており、該凸部は、図8に示す様な弾性変形が可能となる。これにより、感光体の高速回転化に伴って増大する振動を当該帯電部材が吸収し、感光体の高速回転を安定化するため、クリーニング部材の局所的なスティックスリップの発生を抑制できると推察している。
一方、転写工程を経た凝集トナーは、厚密状態を経ていると同時に、大きな電界を付与されている場合が多く、感光体表面への付着力が大きい。即ち、感光体との離型性が小さい。この様な凝集トナーは、クリーニング部材衝突時に、少なからず物理的衝撃力を与える。スティックスリップが発生している箇所に、上記凝集トナーがやってくると、上記の物理的衝撃により、スティックスリップが増大し、クリーニング不良が誘発されると推察している。
本発明に係る帯電部材によってスティックスリップの発生の要因となる振動が抑制されている状態のクリーニング部材は、凝集トナーを感光体表面から除去可能であり、凝集トナー供給直後は、クリーニング不良が発生しない。しかしながら、クリーニング部材表面には、除去された凝集トナーが残存している場合が多く、次から次へとやってくる凝集トナー同士が、更に、クリーニング部材表面近傍で集積と再凝集を繰り返すことになる。この集積・再凝集したトナーは、感光体表面との付着力が更に大きくなり、感光体表面に引っかかりやすくなる。上記集積・再凝集したトナーが、クリーニング部材のスティックスリップを誘発し、時間を経るとともに、クリーニング不良を発生する要因であると推察している。
一方で、本発明に係るトナーは、トナー表面のシリカ微粒子の状態を精密に制御し、トナー同士の凝集性を大幅に低減している。これにより、転写工程を経た後の凝集トナー発生と、クリーニング部材表面近傍でのトナーの集積・再凝集を大幅に低減している。この様に、凝集性を制御した当該トナーは、当該帯電部材によりスティックスリップの発生の要因となる振動が抑制されているクリーニング部材と組み合わせられることによって格段に感光体の高速回転時のスティックスリップが抑制される。これにより、感光体を高速回転しても継続して良好なクリーニング性を維持することが可能となると推察している。
クリーニング部材の表面近傍の観察は、図15で示す装置を用いて観察した。図15で示す、感光体401は、ガラスドラムの表面上に5μmのITO膜を形成し、更に、その外周に、感光体に使用される電荷輸送層のみを17μmに成膜したものである。図15で示すように、該感光体に帯電部材5とクリーニング部材10を当接させ、クリーニング部材10の当接部反対側から、高速度カメラを用いて観察を行った。
尚、トナー表面のシリカ微粒子状態を精密に制御することによる、凝集トナーの発生抑制についての考察は、後に詳述する。ところで、クリーニング部材をすり抜けた凝集トナーは付着力が高いため、帯電部材表面に固着しやすく、帯電工程に影響を与える。これは、一般的に、帯電部材汚れと称される。帯電部材汚れが進行すると、当該汚れに起因した異常放電を引き起こす。本現象が発生した場合、ハーフトーン画像上に、ドット状の画像(以下、「ドット画像」とも称す。)として顕在化する場合が多い。
本発明者らは、前記観察装置を用い、当該帯電部材汚れについても鋭意検討行った結果、凝集トナーは、帯電表面に固着しやすいと同時に、帯電部材の従動回転性を低下させ、帯電部材の微小なスリップを発生しやすいことがわかった。
凝集トナーが帯電部材の表面に固着した部分は、固着していない部分と比較して、感光体に対して引っかかりやすくなる。当該固着部分は、帯電部材と感光体との当接状態の開放時には、帯電部材の表面に微小な歪みが発生し、当該歪みが開放する際に、微小なスリップを発生させる。そして、この微小なスリップにより、凝集トナーは、更にこすり付けられることになる。これにより、更に、固着が拡大し、帯電部材の汚れが進行していくと推察できる。
本発明に係る帯電部材は、前述した通り、当該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部を有し、該凸部が感光体と接触することになる。この場合、感光体との引っかかりやすさは、該凸部で制御することになる。
上記凸部に、凝集トナーがやってきた場合、上記凸部は、前述した弾性変形を行うため、凝集トナーに対する圧力は、特許文献1に記載されている従来の帯電部材と比較して格段に小さくなる。その結果、上記凸部への凝集トナー固着の進行は、抑制傾向にあることが観察された。しかしながら、いったん凸部に付着した凝集トナーは、凸部から離れにくく、前記の微小なスリップを発生させ、最終的には、帯電工程に影響を与える大きさの汚れへと成長していった。
一方、本発明に係るトナーは、クリーニング部材を通り抜けたトナーや無機微粒子(以下、「トナー成分」とも称す。)が少なからず存在している。しかしながら、当該トナー成分は、本発明に係る帯電部材の凸部に、一旦付着するものの、当接開放時に微小なスリップを発生することはなく、トナー固着の拡大も観察されなかった。
本発明者らは、上記現象の発生機構について、下記のように推測している。
本発明に係るトナーは、トナーの表面のシリカ微粒子の状態を精密に制御している。特に、無機微粒子の表面には、シリコーンオイルが固着され、トナー粒子に対する被覆率が規定されている。このようなトナーから発生するトナー成分は、本発明に係る帯電部材の凸部に固着することなく、一旦付着するのみである。そして、上記凸部に一旦付着した本発明に係るトナー成分は、本発明に係る帯電部材と感光体との間で、スペーサー的な役割を果たすことになる。これにより、感光体と帯電部材の間の微小なスリップを抑制すると同時に、高速化においても安定な従動回転性を維持できると推察している。
一方で、本発明に係る帯電部材は、ボウル形状の樹脂粒子由来の凹凸形状により、感光体との当接時には弾性変形を行うと同時に、当接開放時にはその反動による弾性変形の開放が発生する。変形をもとに戻そうとする力(以下、「復元力」とも称す。)により、上記凸部に付着した当該トナー成分は、凸部から離れやすくなる。当該現象は、当該トナー成分が帯電部材の凸部に固着することを抑制する。これにより、帯電部材の表面には、順次新しいトナー成分が付着することになり、上記微小なスリップの抑制と、従動回転の安定化を達成できると推察している。
上記一連の検討を通じて、本発明者らは、クリーニング不良を抑制する、と同時に、帯電部材の汚れを抑制する、本発明に係る効果発現機構について、下記のように結論づけている。
上述の通り、本発明に係る帯電部材は、クリーニング部材のスティックスリップを抑制し、且つ、本発明に係るトナーは、トナー同士の凝集性を大幅に低減している。本発明に係る帯電部材に本発明に係るトナーを組み合わせることで、クリーニング部材の局所的なスティックスリップの発生の抑制効果を格段に高めることができる。これにより、クリーニング不良の発生を抑制することができる。
同時に、当該クリーニング部材のスティックスリップの抑制は、クリーニング工程を通過した当該トナー成分を帯電部材の表面に均一に供給することを可能にする。弾性変形可能な本発明に係る帯電部材の表面への当該トナー成分の付着を制御することで、帯電部材の微小なスリップが格段に抑制される、と同時に、従動回転安定性が格段に向上する。これにより、帯電部材の汚れを抑制することができる。
一方で、当該従動回転の安定性向上は、上記クリーニング部材のスティックスリップの抑制効果を更に高めていると、本発明者らは推察している。
<トナー>
本発明者らは、クリーニング不良の発生の抑制と、帯電部材の汚れを抑制、とを達成するためのトナーの条件として、下記の4点が必要であると考察している。
(1)トナーの表面の無機微粒子(以下、「外添剤」とも称す)がトナーへ埋め込まれにくいこと。
外添剤がトナーへ埋め込まれてしまうと、上記外添剤により付与したトナーの下記離型性や、前述したスペーサー効果が発現できなくなる。
(2)トナーの離型性
これにより、前記凝集トナーの発生が抑制できると同時に、帯電部材の表面へのトナー成分の固着が抑制できる
(3)トナーの潤滑性
これにより、帯電部材の表面に付着したトナー成分が、入れ替わりやすくなる。
(4)トナーのほぐれ易さ
これにより、上記凝集トナーの発生が抑制できる。
そして、本発明者らは、上記(1)乃至(4)を達成するため、本発明に係る外添剤である、シリカ微粒子の表面性状を規定すると同時に、トナー表面に存在するシリカ微粒子の外添状態を規定するに至った。
以下に、本発明の形態の詳細について説明する。本発明に係るトナーは、「シリカ微粒子の表面性状」を以下のように規定する。
本発明に係るトナーは、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と、無機微粒子とを含有する。以下、トナー粒子中に含有される結着樹脂を結着樹脂Tとも称する。
本発明において、無機微粒子がシリカ微粒子であり、トナーは該シリカ微粒子をナー粒子100質量部あたり0.40質量部以上1.50質量部以下含有する。好ましくは、シリカ微粒子をトナー粒子100質量部あたり0.50質量部以上1.30質量部以下含有する。
シリカ微粒子の含有量を上述範囲に制御することで、トナーの離型性を高めることができると同時に、外添剤のトナーの埋め込みを抑制することができる。これにより、クリーニング不良の発生を抑制すると同時に、帯電部材の汚れの抑制が可能になる。
シリカ微粒子の含有量が、0.40質量部未満の場合、トナーの離型性が十分でなく、クリーニング不良が発生する。
本発明に係るトナーにおいて、シリカ微粒子はシリカ原体100質量部に対して15.0質量部以上40.0質量部以下のシリコーンオイルによって処理されており、該シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率(%)が70%以上である。
ここで、シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率は、シリカ原体の表面に化学的に結合しているシリコーンオイル分子の量に対応する。
本発明に係るトナーに用いられるシリカ微粒子において、シリコーンオイルによる処理部数及び固定化率を上記範囲に制御することで、シリカ微粒子間の凝集性および摩擦係数を本発明に必要な範囲に制御できる。そして、このシリカ微粒子を外添したトナーにも、同様な性質を付与させることができ、上述(2)の効果を改善しやすくなる。本発明者らは、効果発現メカニズムを以下のように推測している。
一般に、シリカ原体に添加されるシリコーンオイル部数が増加すると、シリコーンオイル分子の有する低表面エネルギー性により、前記現像部材からの離型性が向上することが知られている。一方、シリコーンオイルの分子同士の親和性により、シリカ微粒子同士の離型性、又は凝集性は悪化するとともに、シリカ微粒子同士の摩擦係数が増加する。本発明では、シリコーンオイル処理部数が比較的多く、固定化率も高いシリカ微粒子が特徴である。このようなシリカ微粒子は、シリカ微粒子同士の凝集性を悪化させずに、摩擦係数を増加させることができる。シリコーンオイル分子の末端をシリカ原体表面に固定化することで、凝集性の悪化が軽減できている、と本発明者らは考えている。これにより、前述した凝集トナーの発生を抑制し、クリーニング不良の発生を抑制することができる。
次に、上記シリカ微粒子をトナー粒子に外添した時の、トナーの表面への影響について述べる。後述するトナーの表面のシリカ微粒子による被覆率X1の範囲においては、トナー同士が接触する場合に、微視的には、トナー粒子表面に存在するシリカ微粒子同士の接触が支配的であるため、トナーもシリカ微粒子の性質の影響を強く受ける。このため、本発明に係るトナーは、トナー同士の凝集性を悪化させずに、トナー同士の摩擦係数を増加させたトナーである。これは、上記(2)と(3)の効果を同時に得ることを可能としている。これにより、前述した凝集トナーの発生を抑制し、クリーニング部材のスティックスリップを抑制することができる。同時に、帯電部材の表面のトナー成分の入れ替わりを促進することができるため、帯電部材の汚れを抑制することができる。
上記シリコーンオイルによる処理部数が15.0質量部未満の場合、十分な摩擦係数を得ることができず、トナーの循環性が低下する。一方、40.0質量部より多い場合、十分な摩擦係数を得ることができるものの、固定化率を適正な範囲に制御することが難しく、シリカ微粒子同士の凝集性が悪化するため、前記(4)の効果を得ることができない。
また、シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率が70%未満の場合、シリカ微粒子同士の凝集性が悪化するため、前記(4)の効果を得ることができない。そのため、クリーニング不良が発生していまう。
なお、上記シリカ微粒子のシリコーンオイルによる処理部数は、シリカ原体100質量部に対して17.0質量部以上30.0質量部以下であること更に好ましく、また、シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率(%)は90%以上であることが更に好ましい。これにより、上述した効果の発現をより高めることができる。
次に、本発明に係るトナーは、「シリカ微粒子の外添状態」を以下のように規定する。
本発明に係るトナーは、X線光電子分光装置(ESCA)により求めた、トナー表面のシリカ微粒子による被覆率X1が50.0面積%以上75.0面積%以下である。また、本発明に用いられるトナーは、シリカ微粒子による理論被覆率をX2としたとき、下記式1で示される拡散指数が下記式2を満足することを特徴とする。
(式1)拡散指数=X1/X2
(式2)拡散指数≧−0.0042×X1+0.62
上記被覆率X1は、シリカ微粒子単体をESCAで測定した時のSi元素の検出強度に対して、トナーを測定した時のSi元素の検出強度の比から、算出することができる。この被覆率X1は、トナー粒子の表面のうち、シリカ微粒子が実際に被覆している面積の割合を示す。
被覆率X1が50.0面積%以上75.0面積%以下の場合、耐久試験を通じて、トナーの流動性及び帯電性を良好な状態に制御できる。被覆率X1が50.0面積%未満の場合、後述するトナーのほぐれ易さを十分に得ることができない。このため、上述のような厳しい評価条件においては、トナーの劣化により流動性が悪化し、前記現像部材からの離型性が足りずに、耐久放置問題が改善できない。
一方、シリカ微粒子による理論被覆率X2は、トナー粒子100質量部あたりのシリカ微粒子の質量部数、及びシリカ微粒子の粒径等を用い、下記式4より算出される。これはトナー粒子表面を理論的に被覆できる面積の割合を示す。
(式4)理論被覆率X2(面積%)=31/2/(2π)×(dt/da)×(ρt/ρa)×C×100
da:シリカ微粒子の個数平均粒径(D1)
dt:トナーの重量平均粒径(D4)
ρa:シリカ微粒子の真比重
ρt:トナーの真比重
C:シリカ微粒子の質量/トナーの質量
(Cは後述するトナー中のシリカ微粒子の含有量を用いる。)
上記式1で示される拡散指数の物理的な意味合いを以下に示す。
拡散指数は、実測の被覆率X1と理論的な被覆率X2の乖離を示す。この乖離の程度は、トナー粒子表面から垂直方向に二層、三層と積層したシリカ微粒子の多さを示すと考えている。理想的には拡散指数は1になるが、これは、被覆率X1が理論被覆率X2と一致した場合であり、二層以上積層したシリカ微粒子が全く存在しない状態である。一方、シリカ微粒子が、凝集した二次粒子としてトナー表面に存在すると、実測の被覆率と理論的被覆率の乖離が生じ、拡散指数が低くなる。つまり、拡散指数は、二次粒子として存在するシリカ微粒子の量を示すと言い換えることもできる。
本発明において、拡散指数は、上記式2で示される範囲であることが重要であり、この範囲は従来の技術で製造されるトナーよりも大きいと考えている。拡散指数が大きいということは、トナー粒子の表面のシリカ微粒子のうち二次粒子として存在している量が少なく、一次粒子として存在する量が多いことを示す。なお、上述した通り、拡散指数の上限は1である。
被覆率X1、及び、拡散指数が式2で示される範囲を同時に満たした場合、加圧時のトナーのほぐれ易さが大幅に改善できることを本発明者らは見出した。
これまで、トナーのほぐれ易さは、数nm程度の小粒径の外添剤を多量に外添して被覆率X1を上げることで、向上すると考えられてきた。一方、本発明者らの検討によると、被覆率X1を同じにして、拡散指数の異なるトナーのほぐれ易さを測定した場合、トナーのほぐれ易さに差が生じることが明らかとなった。さらに、加圧しながらほぐれ易さを測定した場合、さらに顕著な差が見られることも明らかとなった。特に、転写工程に代表される圧力のかかった状態におけるトナーの挙動をより反映するのは、加圧時のトナーのほぐれ易さであると本発明者らは考えている。このため、加圧時のトナーのほぐれ易さをより緻密に制御するために、被覆率X1に加えて拡散指数も非常に重要であると本発明者らは考えている。
被覆率X1、及び、拡散指数が式2で示される範囲を同時に満たした場合、トナーのほぐれ易さが良好になる理由について、本発明者らは次のように推測している。トナーがブレードニップのような狭く圧の高い場所に存在するとき、トナー同士は表面に存在する外添剤同士が衝突しないように、「噛みあわせ」の状態になりやすいことに起因すると考えている。このとき、二次粒子として存在しているシリカ微粒子が多いと、噛みあわせの影響が大きくなりすぎてしまい、迅速にトナー同士をほぐすのが困難になってしまう。
特に、トナーが劣化した際には、一次粒子として存在しているシリカ微粒子がトナー粒子の表面に埋没してしまい、トナーの流動性が低下する。その時に、埋没していない二次粒子として存在するシリカ微粒子同士による噛みあわせの影響が大きくなり、トナーのほぐれやすさを阻害すると推察される。本発明に係るトナーは、多くのシリカ微粒子が一次粒子として存在するため、トナーが劣化した際にも、トナー同士の噛み込みが発生しづらく、転写工程等で摺擦を受けた場合おいても、一粒一粒へ非常にほぐれやすい。すなわち、従来の被覆率X1の制御だけでは困難であった、上記(4)で述べた「トナーのほぐれ易さ」を劇的に改善することが可能となった。
さらに、被覆率X1、及び、拡散指数が式2で示される範囲を同時に満たした場合、トナーの劣化の進行度合いが大幅に低減されることを本発明者らは見出した。その理由は、トナー粒子の表面のシリカ微粒子が一次粒子で存在している場合、トナー同士が接触しても、シリカ微粒子同士の接触する可能性が低くなるとともに、シリカ微粒子のうける圧力が小さくなるためだと推察される。即ち、上述した(1)の効果を得ることができる。
本発明における拡散指数の境界線は、被覆率X1が50.0面積%以上75.0面積%以下の範囲において、被覆率X1を変数とした関数である。この関数の算出は、シリカ微粒子、外添条件等を変化させて、被覆率X1と拡散指数を得た際、トナーが加圧時に十分にほぐれ易くなる現象から、経験的に得たものである。
上述の通り、トナーのほぐれ易さを制御することにより、クリーニング部材のスティックスリップを抑制できるため、クリーニング不良の発生を抑制することができる。同時に、本発明に係る帯電部材の微小なスリップの抑制し、且つ、従動回転を安定化するため、帯電部材の汚れを抑制することができる。
図11は、3種の外添混合条件を用いて、添加するシリカ微粒子の量を変えて被覆率X1を任意に変化させたトナーを製造し、被覆率X1と拡散指数の関係をプロットしたグラフである。このグラフにプロットしたトナーのうち、式2を満足する領域にプロットされるトナーは、加圧時のほぐれ易さが十分に向上することが分かった。
ここで、拡散指数が被覆率X1に依存する理由に関して、本発明者らは次のように推測している。加圧時のトナーのほぐれ易さを改善するためには、二次粒子として存在しているシリカ微粒子の量が少ない方が良いが、被覆率X1の影響も少なからず受ける。被覆率X1が増加するにつれて、トナーのほぐれ易さが徐々に良好になるため、二次粒子として存在するシリカ微粒子の量の許容量が増えることになる。このように、拡散指数の境界線は、被覆率X1を変数とした関数になると考えている。すなわち、被覆率X1と拡散指数の間には相関関係があり、被覆率X1に応じて拡散指数を制御することが重要であることを、上記の如く実験的に求めた。
拡散指数が下記に示される式3の範囲にある場合、二次粒子として存在するシリカ微粒子の量が多くなり、トナーのほぐれやすさが足りないため、クリーニング不良が発生すると同時に、帯電部材の汚れが発生してしまう。
(式3)拡散指数<−0.0042×X1+0.62
上述の通り、本発明者らは、クリーニング不良の発生を抑制し、且つ、帯電部材の汚れを抑制するためのトナー条件として、上記(1)乃至(4)が必要であると考察している。そして、「シリカ微粒子の表面性状」及び「シリカ微粒子の外添状態」双方の制御による相乗効果により、本発明に係るトナーは、上記(1)乃至(4)の特性を発揮し、上記課題を初めて解決できるものであると推測している。
本発明に係るトナーは、着色剤を含有する。
本発明に好ましく使用される着色剤として、以下のものが挙げられる。
シアン系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。
マゼンタ系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物。
イエロー系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、上記イエロー系着色剤、マゼンタ系着色剤、及びシアン系着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。
着色剤を用いる場合、好ましくは重合性単量体又は結着樹脂T100質量部に対し1質量部以上20質量部以下添加して用いられる。
本発明に係るトナーは、磁性体を含有させることも可能である。本発明において、磁性体は着色剤の役割をかねることもできる。
本発明に用いられる磁性体は、四三酸化鉄やγ−酸化鉄などを主成分とするものであり、リン、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウムなどの元素を含んでもよい。磁性体の形状としては、多面体、8面体、6面体、球形、針状、燐片状などがあるが、多面体、8面体、6面体、球形等の異方性の少ないものが、画像濃度を高める上で好ましい。本発明における磁性体の含有量は、重合性単量体又は結着樹脂T100質量部に対して、50質量部以上150質量部以下であることが好ましい。
本発明に係るトナーは、ワックスを含有することが好ましい。該ワックスとして、炭化水素系ワックスを含むことが好ましい。その他のワックスとして、以下のものが挙げられる。アミドワックス、高級脂肪酸、長鎖アルコール、ケトンワックス、エステルワックス及びこれらのグラフト化合物、ブロック化合物の如き誘導体。必要に応じて2種以上のワックスを併用しても良い。その中でも、フィッシャートロプシュ法による炭化水素系ワックスを使用した場合、現像性を長期にわたり良好に維持した上で、耐高温オフセット性を良好に保ち得る。なお、これらの炭化水素系ワックスには、トナーの帯電性に影響を与えない範囲で酸化防止剤が添加されていてもよい。
ワックスの含有量は、結着樹脂T100質量部に対して、4.0質量部以上30.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは16.0質量部以上28.0質量部以下である。
本発明に係るトナーにおいては、必要に応じて荷電制御剤をトナー粒子に含有させることも可能である。荷電制御剤を配合することにより、荷電特性を安定化し、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールが可能となる。
荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を直接重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
本発明に係るトナーは、これら荷電制御剤を単独で或いは2種類以上組み合わせて含有することができる。
荷電制御剤の配合量は、重合性単量体又は結着樹脂T100質量部に対して、0.3質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上8.0質量部以下である。
本発明に係るトナーは、トナー粒子と無機微粒子とを含有する。本発明において、前記無機微粒子はシリカ微粒子である。
本発明に用いられるシリカ微粒子は、シリカ原体100質量部に対して15.0質量部以上40.0質量部以下のシリコーンオイルによって疎水化処理して製造される。疎水化処理の程度は、高温多湿環境における帯電性の低下の抑制という観点から、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が70%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上である。
上記シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルが挙げられる。
本発明において、シリカ微粒子の処理に用いるシリコーンオイルの25℃における動粘度は、30cSt以上500cSt以下であることが好ましい。動粘度が上記範囲の場合、シリカ原体をシリコーンオイルで疎水化処理する際に、均一性を制御しやすい。さらに、シリコーンオイルの動粘度は、シリコーンオイルの分子鎖長に密接に関係しており、動粘度が上述の範囲にある場合、シリカ微粒子の凝集度を好適な範囲に制御しやすいため、好ましい。シリコーンオイルの25℃における動粘度のより好ましい範囲は、40cSt以上300cSt以下である。シリコーンオイルの動粘度を測定する装置としては、細管式動粘度計(蕪木科学器械工業(株)製)又は全自動微量動粘度計(ビスコテック(株)製)が挙げられる。
本発明に用いられるシリカ微粒子は、シリカ原体をシリコーンオイルにより処理した後に、アルコキシシラン及びシラザンの少なくとも一方で処理されたものであることが好ましい。こうすることにより、シリコーンオイルで疎水化処理できなかったシリカ原体表面を疎水化処理できるため、高疎水化度のシリカ微粒子を安定して得ることが可能である。さらに、トナーのほぐれ易さを大幅に改善できるため、好ましい。ほぐれ易さを改善できる理由の詳細は明らかになっていないが、本発明者らは以下のように考えている。シリカ微粒子表面のシリコーンオイル分子末端のうち、片末端のみが自由度を有しており、シリカ微粒子同士の凝集性に影響する。一方、上述のような2段処理を行うことで、シリカ微粒子の最表面にシリコーンオイル分子末端がほとんど存在しなくなるため、シリカ微粒子の凝集性をより低下させることができる。これにより、外添した際のトナー同士の凝集性を大幅に低下させることができ、トナーのほぐれ易さを向上することが可能である。
本発明において、シリカ原体は、例えば、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された、いわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造された、いわゆる湿式シリカの両者が使用可能である。
本発明に用いられるシリカ微粒子は、上記処理工程中に、又は、処理工程後に解砕処理を行ってもよい。さらに、2段処理を行う場合、処理の間に解砕処理を行うことも可能である。
上記シリカ原体のシリコーンオイルによる表面処理、並びに、アルコキシシラン及びシラザンによる表面処理は乾式処理または湿式処理の何れでも良い。
上記シリカ原体のシリコーンオイルによる表面処理の具体的な手順は、例えば、シリコーンオイルを溶かした溶剤(好ましくは有機酸等でpH4に調整)の中にシリカ微粒子を入れて反応させ、その後、溶剤を除去する。その後、解砕処理を施してもよい。
続いて、アルコキシシラン及びシラザンの少なくとも一方による表面処理を行う場合の具体的な手順としては、以下の通りである。
アルコキシシラン及びシラザンの少なくとも一方を溶かした溶剤の中に、解砕したシリコーンオイル処理済シリカ微粒子を入れて反応させ、その後、溶剤を除去し、解砕処理を施す。
また、以下のような方法でも良い。
例えば、シリコーンオイルによる表面処理では、シリカ微粒子を反応槽に入れる。そして、窒素雰囲気下、撹拌しながらアルコール水を添加し、シリコーンオイルを反応槽に導入して表面処理を行い、さらに加熱撹拌して溶剤を除去し、解砕処理を行う。アルコキシシラン及びシラザンの少なくとも一方による表面処理では、窒素雰囲気下、撹拌しながら、アルコキシシラン及びシラザンの少なくとも一方を導入して表面処理を行い、さらに加熱撹拌して溶剤を除去した後に冷却する。
上記アルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシランが好適に例示できる。一方、シラザンとしては、ヘキサメチルジシラザンが好適に例示できる。
これらアルコキシシラン及びシラザンの少なくとも一方による処理量は、シリカ原体100質量部に対して、アルコキシシラン及びシラザンの少なくとも一方の総量として、0.1質量部以上20.0質量部以下である。
上記シリカ微粒子における、シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率を上げるためには、上述のシリカ微粒子を得る過程において、シリコーンオイルをシリカ原体の表面に化学的に固定化させる必要がある。そのためには、シリカ微粒子を得る過程において、シリコーンオイルの反応のために、加熱処理を行う方法が好適に例示できる。加熱処理温度は100℃以上が好ましく、加熱処理温度が高いほど、固定化率を上げることが可能である。この加熱処理工程は、シリコーンオイル処理を行った直後に行うことが好ましいが、解砕処理を行う場合は、解砕処理工程後に加熱処理工程を行ってもよい。
本発明に用いられるシリカ微粒子は、見掛け密度が15g/L以上50g/L以下であることが好ましい。シリカ微粒子の見掛け密度が上記範囲にあることは、シリカ微粒子が密に詰まり難く、微粒子間に空気を多く介在しながら存在しており、見掛け密度が非常に低いことを示している。このため、トナーにおいても、トナー同士が密に詰まりにくくなるため、劣化の速度を大幅に低下することが可能である。より好ましい範囲は、18g/L以上45g/L以下である。
シリカ微粒子の見掛け密度を上記範囲に制御する手段としては、シリカ微粒子に用いるシリカ原体の粒径、上述の解砕処理の有無とその強度、及びシリコーンオイルの処理量を調整することが挙げられる。シリカ原体の粒径を低下させることで、得られるシリカ微粒子のBET比表面積が大きくなり、空気を多く介在できるようになるため、見掛け密度を低下させることができる。また、解砕処理を行うことで、シリカ微粒子に含有される、比較的大きな二次粒子を、比較的小さな二次粒子へほぐすことができ、見掛け密度を低下させることが可能である。
本発明に用いられるシリカ原体は、トナーに良好な流動性を付与する為に、窒素吸着によるBET法で測定した比表面積(BET比表面積)が130m/g以上330m/g以下のものが好ましい。この範囲の場合、トナーに付与する流動性及び帯電性が耐久を通じて確保しやすくなる。シリカ原体のBET比表面積は、200m/g以上320m/g以下であることがより好ましい。
上記窒素吸着によるBET法で測定した比表面積(BET比表面積)の測定は、JISZ8830(2001年)に準じて行う。測定装置としては、定容法によるガス吸着法を測定方式として採用している「自動比表面積・細孔分布測定装置 TriStar3000(島津製作所社製)」を用いる。
また、本発明に用いられるシリカ原体の一次粒子の個数平均粒径は、3nm以上50nm以下であることが好ましく、5nm以上40nm以下であることがより好ましい。
本発明に係るトナーは、現像性や定着性のバランスの観点から、重量平均粒径(D4)が、5.0μm以上、10.0μm以下であることが好ましく、より好ましく5.5μm以上、9.5μm以下である。
本発明において、トナー粒子の平均円形度は、0.960以上であることが好ましく、0.970以上であることがより好ましい。トナー粒子の平均円形度が0.960以上の場合、トナーの形状が球形又はこれに近い形となり、流動性に優れ均一な摩擦帯電性を得られやすい。そのため、耐久後半においても高い現像性を維持し易くなるために好ましい。加えて、平均円形度が高いトナー粒子は、後述する無機微粒子の外添処理において、上記被覆率X1及び拡散指数を本発明の範囲へ制御しやすくなるため、好ましい。さらに、加圧時のトナーのほぐれ易さという観点においても、トナー粒子の表面形状における噛み合わせ効果が発生し難くなり、ほぐれ易さをさらに向上できるため、好ましい。
以下に、本発明に係るトナーの製造方法について例示するが、これに限定されるわけではない。
本発明に係るトナーは、シリカ微粒子のシリコーンオイルによる処理部数、シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率、被覆率X1及び拡散指数を調整することができる。好ましくは平均円形度を調整する工程を有する製造方法であれば、それ以外の製造工程においては、特に限定されず、公知の方法によって製造することができる。
粉砕法により製造する場合は、例えば、結着樹脂T及び着色剤、並びに、必要に応じて離型剤等のその他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー又はボールミル等の混合機により十分混合する。その後、加熱ロール、ニーダー、及びエクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練してトナー材料を分散又は溶解し、冷却固化、粉砕後、分級、必要に応じて表面処理を行ってトナー粒子を得る。分級及び表面処理の順序はどちらが先でもよい。分級工程においては生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
上記粉砕には、機械衝撃式、ジェット式の公知の粉砕装置を用いた方法により行うことができる。また、好ましい円形度を有するトナーを得るためには、更に熱をかけて粉砕したり、補助的に機械的衝撃力を加える処理を行ったりすることが好ましい。また、微粉砕(必要に応じて分級)されたトナー粒子を熱水中に分散させる湯浴法、熱気流中を通過させる方法を用いても良い。
機械的衝撃力を加える手段としては、例えば川崎重工社製のクリプトロンシステムやターボ工業社製のターボミルの如き機械衝撃式粉砕機を用いる方法が挙げられる。また、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステムや奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステムの装置のように、圧縮力、摩擦力の力によりトナーに機械的衝撃力を加える方法が挙げられる。
本発明に用いられるトナー粒子は、分散重合法、会合凝集法、溶解懸濁法、及び懸濁重合法の如き水系媒体中で製造されたものであることが好ましく、懸濁重合法で製造されたものであることがより好ましい。
懸濁重合法とは、重合性単量体及び着色剤、並びに、必要に応じて重合開始剤、架橋剤及び荷電制御剤などのその他の添加剤を、均一に溶解又は分散させて重合性単量体組成物を得る。その後、この重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する連続層(例えば水相)中に適当な撹拌器を用いて分散後、重合性単量体組成物中の重合性単量体を重合し、所望の粒径を有するトナー粒子を得るものである。この懸濁重合法で得られるトナー粒子(以後、「重合トナー粒子」ともいう)は、個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っているため、所定の平均円形度を満たし、かつ、帯電量の分布も比較的均一となるために好ましい。
本発明に関わる重合トナー粒子の製造において、重合性単量体組成物を構成する重合性単量体としては公知のものが使用できる。その中でも、スチレン又はスチレン誘導体を単独で、或いは他の重合性単量体と混合して使用することがトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
本発明において、上記懸濁重合法に使用される重合開始剤としては、重合反応時における半減期が0.5時間以上30.0時間以下であるものが好ましい。また、重合開始剤の添加量は重合性単量体100質量部に対して0.5質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
具体的な重合開始剤例としては、アゾ系又はジアゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
上記懸濁重合法において、重合反応時に架橋剤を添加しても良く、好ましい添加量としては、重合性単量体100質量部に対して0.1質量部以上10.0質量部以下である。ここで架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられる。例えば、芳香族ジビニル化合物、二重結合を2個有するカルボン酸エステル、ジビニル化合物、及び3個以上のビニル基を有する化合物が、単独又は2種以上の混合物として用いられる。
以下、具体的に懸濁重合法によるトナー粒子の製造を説明するが、これに限定されるわけではない。まず、上述の重合性単量体及び着色剤等を適宜加えて、ホモジナイザー、ボールミル、超音波分散機等の分散機に依って均一に溶解又は分散させた重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁する。この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような分散機を使用して一気に所望のトナー粒子のサイズとするほうが、得られるトナー粒子の粒径がシャープになる。重合開始剤添加の時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時に同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体又は溶媒に溶解した重合開始剤を加えることもできる。
造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行なえば良い。
上記分散安定剤として公知の界面活性剤、有機分散剤又は無機分散剤が使用できる。その中でも無機分散剤は、有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いため、好ましく使用できる。
無機分散剤の例としては、燐酸三カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛、ヒドロキシアパタイトの如き燐酸多価金属塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムの如き無機塩;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムの如き無機化合物が挙げられる。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.20質量部以上20.00質量部以下の量を用いる事が好ましい。また、上記分散安定剤は単独で用いても良いし、複数種を併用してもよい。更に、重合性単量体100質量部に対して、0.0001質量部以上0.1000質量部以下の界面活性剤を併用しても良い。
上記重合性単量体の重合反応における、重合温度は40℃以上、一般には50℃以上90℃以下の温度に設定される。
上記重合性単量体の重合終了後、得られた重合体粒子を公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥することによりトナー粒子が得られる。このトナー粒子に、無機微粒子であるシリカ微粒子を外添混合してトナー粒子の表面に付着させることで、本発明に係るトナーを得る。また、製造工程(無機微粒子の混合前)に分級工程を入れ、トナー粒子中に含まれる粗粉や微粉を除去することも可能である。
本発明に係るトナーには、上記シリカ微粒子に加えて、一次粒子の個数平均粒径(D1)が80nm以上、3μm以下の粒子を添加してもよい。例えば、フッ素樹脂粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤;酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤;シリカ等のスペーサー粒子を本発明の効果に影響を与えない程度に少量用いることもできる。
上記シリカ微粒子を外添混合する混合処理装置としては、公知の混合処理装置を用いることができるが、被覆率X1及び拡散指数を容易に制御できる点で図13に示すような装置が好ましい。
図13は、本発明に用いられるシリカ微粒子を外添混合する際に、用いることができる混合処理装置の一例を示す模式図である。
当該混合処理装置は、トナー粒子とシリカ微粒子に対して、狭いクリアランス部において、シェアがかかる構成になっているために、シリカ微粒子を二次粒子から一次粒子へとほぐしながら、トナー粒子表面に付着することができる。
さらに、後述するように、回転体の軸方向において、トナー粒子とシリカ微粒子が循環しやすく、固着が進む前に十分に均一混合されやすい点で、被覆率X1及び拡散指数を本発明において好ましい範囲に制御しやすい。
一方、図14は、上記混合処理装置に使用される攪拌部材の構成の一例を示す模式図である。
以下、上記シリカ微粒子の外添混合工程について図13及び図14を用いて説明する。
上記シリカ微粒子を外添混合する混合処理装置は、少なくとも複数の攪拌部材203が表面に設置された回転体202と、回転体を回転駆動する駆動部208と、攪拌部材203と間隙を有して設けられた本体ケーシング201とを有する。
本体ケーシング201の内周部と、撹拌部材203との間隙(クリアランス)は、トナー粒子に均一にシェアを与え、シリカ微粒子を二次粒子から一次粒子へとほぐしながら、トナー粒子表面に付着しやすくするために、一定かつ微小に保つことが重要である。
また本装置は、本体ケーシング1の内周部の径が、回転体202の外周部の径の2倍以下である。図13において、本体ケーシング201の内周部の径が、回転体202の外周部の径(回転体2から撹拌部材3を除いた胴体部の径)の1.7倍である例を示す。本体ケーシング201の内周部の径が、回転体202の外周部の径の2倍以下であると、トナー粒子に力が作用する処理空間が適度に限定されるため、二次粒子となっているシリカ微粒子に十分に衝撃力が加わるようになる。
また、上記クリアランスは、本体ケーシングの大きさに応じて、調整することが重要である。本体ケーシング1の内周部の径の、1%以上5%以下程度とすることが、シリカ微粒子に十分なシェアをかけるという点で重要である。具体的には、本体ケーシング1の内周部の径が130mm程度の場合は、クリアランスを2mm以上5mm以下程度とし、本体ケーシング1の内周部の径が800mm程度の場合は、10mm以上30mm以下程度とすればよい。
本発明におけるシリカ微粒子の外添混合工程は、混合処理装置を用い、駆動部208によって回転体202を回転させ、混合処理装置中に投入されたトナー粒子及びシリカ微粒子を攪拌、混合することで、トナー粒子の表面にシリカ微粒子を外添混合処理する。
図14に示すように、複数の撹拌部材203の少なくとも一部が、回転体202の回転に伴って、トナー粒子及びシリカ微粒子を回転体の軸方向の一方向に送る送り用撹拌部材203aとして形成される。また、複数の撹拌部材203の少なくとも一部が、トナー粒子及びシリカ微粒子を、回転体202の回転に伴って、回転体の軸方向の他方向に戻す戻し用撹拌部材203bとして形成されている。
ここで、図13のように、原料投入口205と製品排出口206が本体ケーシング201の両端部に設けられている場合には、原料投入口205から製品排出口206へ向かう方向(図13で右方向)を「送り方向」という。
すなわち、図14に示すように、送り用撹拌部材203aの板面は送り方向(213)にトナー粒子を送るように傾斜している。一方、撹拌部材203bの板面は戻り方向(212)にトナー粒子及びシリカ微粒子を送るように傾斜している。
これにより、「送り方向」への送り(213)と、「戻り方向」への送り(212)とを繰り返し行いながら、トナー粒子の表面にシリカ微粒子の外添混合処理を行う。
また、撹拌部材203aと203bは、回転体202の円周方向に間隔を置いて配置した複数枚の部材が一組となっている。図14に示す例では、撹拌部材203a、203bが回転体202に互いに180度の間隔で2枚の部材が一組をなしているが、120度の間隔で3枚、あるいは90度の間隔で4枚、というように多数の部材を一組としてもよい。
図14に示す例では、撹拌部材203aと203bは等間隔で、計12枚形成されている。
さらに、図14において、Dは撹拌部材の幅、dは撹拌部材の重なり部分を示す間隔を示す。トナー粒子及びシリカ微粒子を、送り方向と戻り方向に効率よく送る観点から、図14における回転体202の長さに対して、Dは20%以上30%程度の幅であることが好ましい。図14においては、23%である例を示す。さらに撹拌部材203aと203bは撹拌部材203aの端部位置から垂直方向に延長線を引いた場合、撹拌部材203bと撹拌部材の重なり部分dをある程度有することが好ましい。これにより、二次粒子となっているシリカ微粒子に効率的にシェアをかけることが可能である。Dに対するdは、10%以上30%以下であることがシェアをかける点で好ましい。
なお、羽根の形状に関しては、図14に示すような形状以外にも、送り方向及び戻り方向にトナー粒子を送ることができ、クリアランスを維持することができれば、曲面を有する形状や先端羽根部分が棒状アームで回転体2に結合されたパドル構造であってもよい。
以下、図13及び図14に示す装置の模式図に従って、本発明を更に詳細に説明する。
図13に示す装置は、中心軸207を有し、少なくとも複数の攪拌部材203が表面に設置された回転体202と、回転体202を回転駆動する駆動部208を有する。また、図13に示す装置は、攪拌部材203と間隙を有して設けられた本体ケーシング201と、本体ケーシング201の内側及び回転体端部側面210にあって、冷熱媒体を流すことのできるジャケット204を有している。
更に、図13に示す装置は、トナー粒子及びシリカ微粒子を導入するために、本体ケーシング201上部に形成された原料投入口205を有している。また、図13に示す装置は、外添混合処理されたトナーを本体ケーシング201から外に排出するために、本体ケーシング201下部に形成された製品排出口206を有している。更に、図13に示す装置は、原料投入口205内に、原料投入口用インナーピース216が挿入されており、製品排出口206内に、製品排出口用インナーピース217が挿入されている。
本発明においては、まず、原料投入口205から原料投入口用インナーピース216を取り出し、トナー粒子を原料投入口205より処理空間209に投入する。次にシリカ微粒子を原料投入口205より処理空間209に投入し、原料投入口用インナーピース216を挿入する。次に、駆動部208により回転体202を回転させ(211は回転方向を示す)、上記で投入した処理物を、回転体202表面に複数設けられた撹拌部材203により撹拌、混合しながら外添混合処理する。
尚、投入する順序は、先にシリカ微粒子を原料投入口205より投入し、次に、トナー粒子を原料投入口205より投入しても構わない。また、ヘンシェルミキサーのような混合機で予め、トナー粒子とシリカ微粒子を混合した後、混合物を、図13に示す装置の原料投入口205より投入しても構わない。
より具体的には、外添混合処理条件として、駆動部208の動力を、0.2W/g以上、2.0W/g以下に制御することが、本発明で規定する被覆率X1及び拡散指数を得るうえで好ましい。また、駆動部208の動力を、0.6W/g以上、1.6W/g以下に制御することが、より好ましい。
0.2W/gより動力が低い場合には、被覆率X1が高くなりにくく、拡散指数が低くなりすぎる傾向にある。一方、2.0W/gより高い場合には、拡散指数が高くなるが、シリカ微粒子が埋め込まれすぎてしまう傾向にある。
処理時間としては、特に限定されないが、好ましくは、3分以上、10分以下である。処理時間が3分より短い場合には、被覆率X1及び拡散指数が低くなる傾向にある。
外添混合時の撹拌部材の回転数については特に限定されないが、処理空間209の容積が2.0×10−3の装置において、撹拌部材203の形状を図5のものとしたときの撹拌部材の回転数は、800rpm以上、3000rpm以下であることが好ましい。800rpm以上、3000rpm以下であることで本発明で規定する被覆率X1及び拡散指数を得やすくなる。
さらに、本発明において、特に好ましい処理方法は、外添混合処理操作の前に、プレ混合工程を持たせることである。プレ混合工程を入れることにより、シリカ微粒子がトナー粒子表面上で高度に均一分散されることで、被覆率X1が高くなりやすく、さらに拡散指数を高くしやすい。
より具体的には、プレ混合処理条件として、駆動部208の動力を、0.06W/g以上、0.20W/g以下とし、処理時間を0.5分以上、1.5分以下とすることが好ましい。プレ混合処理条件として、0.06W/gより負荷動力が低い、或いは処理時間が0.5分より短い場合には、プレ混合として十分な均一混合がなされにくい。一方、プレ混合処理条件として、0.20W/gより負荷動力が高い、或いは処理時間1.5分より長い場合には、十分な均一混合がなされる前に、トナー粒子表面にシリカ微粒子が固着されてしまう場合がある。
プレ混合処理の撹拌部材の回転数については、処理空間209の容積が2.0×10−3の装置において、撹拌部材303の形状を図14のものとしたときの撹拌部材の回転数は、50rpm以上、500rpm以下であることが好ましい。50rpm以上、500rpm以下であることで本発明で規定する被覆率X1及び拡散指数を得やすくなる。
外添混合処理終了後、製品排出口206内の、製品排出口用インナーピース217を取り出し、駆動部208により回転体202を回転させ、製品排出口206からトナーを排出する。得られたトナーを、必要に応じて円形振動篩機等の篩機で粗粒等を分離し、トナーを得る。
次に、本発明に係る各物性の測定方法に関して記載する。
<シリカ微粒子の定量方法>
(1)トナー中のシリカ微粒子の含有量の定量(標準添加法)
トナー3gを直径30mmのアルミリングに入れ、10トンの圧力でペレットを作製する。そして、波長分散型蛍光X線分析(XRF)により、珪素(Si)の強度を求める(Si強度−1)。なお、測定条件は使用するXRF装置で最適化されたものであれば良いが、一連の強度測定はすべて同一条件で行うこととする。トナーに、一次粒子の個数平均粒径が12nmのシリカ微粒子を、トナーに対して1.0質量%添加して、コーヒーミルにより混合する。
混合後、上記と同様にペレット化したのちに、上記同様にSiの強度を求める(Si強度−2)。同様の操作を、シリカ微粒子を、トナーに対して2.0質量%、3.0質量%添加混合したサンプルにおいても、Siの強度を求める(Si強度−3,Si強度−4)。Si強度−1乃至4を用いて、標準添加法によりトナー中のシリカ含有量(質量%)を計算する。
(2)トナーからシリカ微粒子の分離
トナーが磁性体を含有する場合、次の工程を経て、シリカ微粒子の定量を行う。
トナー5gを、精密天秤を用いて200mlの蓋付きポリカップに秤量し、メタノールを100ml加え、超音波分散機で5分間分散させる。ネオジム磁石によりトナーを引き付け、上澄み液を捨てる。このメタノールによる分散と上澄みを捨てる操作を3回繰り返した。その後、10%NaOHを100mlと、「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を数滴加え、軽く混合したのち、24時間静置する。その後、再びネオジム磁石を用いて分離する。なお、この際にNaOHが残留しないように繰り返し蒸留水ですすぐ。回収された粒子を真空乾燥機により十分に乾燥させ、粒子Aを得る。上記操作により、外添されたシリカ微粒子は溶解、除去される。
(3)粒子A中のSi強度測定
3gの粒子Aを直径30mmのアルミリングに入れ、10トンの圧力でペレットを作製し、波長分散型蛍光X線分析(XRF)により、Siの強度を求める(Si強度−5)。Si強度−5とトナー中のシリカ含有量の定量で使用したSi強度−1乃至4を利用して、粒子A中のシリカ含有量(質量%)を計算する。
(4)トナーから磁性体の分離
5gの粒子Aに対して、100mlのテトラヒドロフランを加え、良く混合した後に超音波分散を10分間行う。磁石により磁性粒子を引き付け、上澄み液を捨てる。この作業を5回繰り返し、粒子Bを得る。この操作で、磁性体以外の樹脂等の有機成分はほぼ取り除くことができる。ただし、樹脂中のテトラヒドロフラン不溶解分が残存する可能性があるため、上記操作で得られた粒子Bを800℃まで加熱して残存する有機成分を燃焼させることが好ましく、加熱後に得られた粒子Cを、トナーに含有されていた磁性体と近似することができる。
粒子Cの質量を測定することにより、磁性トナー中の磁性体含有量W(質量%)とすることができる。この際、磁性体の酸化増量分を補正するために、粒子Cの質量に0.9666(Fe→Fe)を乗じる。各定量値を以下の式に代入することにより、外添されたシリカ微粒子量を算出する。
外添されたシリカ微粒子量(質量%)=トナー中のシリカ含有量(質量%)−粒子A中のシリカ含有量(質量%)
<被覆率X1の測定方法>
トナー表面のシリカ微粒子による被覆率X1は、以下のようにして算出する。
下記装置を下記条件にて使用し、トナー表面の元素分析を行う。
・測定装置:Quantum2000(商品名、アルバックファイ株式会社製)
・X線源:モノクロAl Kα
・Xray Setting:100μmφ(25W(15KV))
・光電子取りだし角:45度
・中和条件:中和銃とイオン銃の併用
・分析領域:300×200μm
・Pass Energy:58.70eV
・ステップサイズ:1.25eV
・解析ソフト:Maltipak(PHI社)
ここで、Si原子の定量値の算出には、C 1c(B.E.280〜295eV)、O1s(B.E.525〜540eV)及びSi 2p(B.E.95〜113eV)のピークを使用した。ここで得られたSi元素の定量値をY1とする。
次いで、シリカ微粒子単体の測定を行う。トナーからシリカ微粒子単体を得る方法としては、上述の「トナーからシリカ微粒子を分離」に記載した手法を用いる。ここで得たシリカ微粒子を用いて、上述のトナー表面の元素分析と同様にして、シリカ微粒子単体の元素分析を行い、ここで得られたSi元素の定量値をY2とする。
本発明において、トナー表面のシリカ微粒子による被覆率X1を次のように定義する。
被覆率X1(面積%)=Y1/Y2×100
尚、本測定の精度を向上させるために、Y1及びY2の測定を、2回以上行うことが好ましい。
<トナーの重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する(トナー粒子の場合も同様に算出する)。測定装置としては、100μmのアパーチャチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャのフラッシュ」機能により、アパーチャチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<シリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径の測定方法>
シリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径は、日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ)にて撮影されるトナー表面のシリカ微粒子画像から算出される。S−4800の画像撮影条件は以下の通りである。
(1)試料作製
試料台(アルミニウム試料台15mm×6mm)に導電性ペーストを薄く塗り、その上にトナーを吹きつける。さらにエアブローして、余分なトナーを試料台から除去し十分乾燥させる。試料台を試料ホルダにセットし、試料高さゲージにより試料台高さを36mmに調節する。
(2)S−4800観察条件設定
シリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径の算出は、S−4800の反射電子像観察により得られた画像を用いて行う。反射電子像は二次電子像と比べてシリカ微粒子のチャージアップが少ないため、シリカ微粒子の粒径を精度良く測定することが出来る。
S−4800の鏡体に取り付けられているアンチコンタミネーショントラップに液体窒素を溢れるまで注入し、30分間置く。S−4800の「PCSTEM」を起動し、フラッシング(電子源であるFEチップの清浄化)を行う。画面上のコントロールパネルの加速電圧表示部分をクリックし、[フラッシング]ボタンを押し、フラッシング実行ダイアログを開く。フラッシング強度が2であることを確認し、実行する。フラッシングによるエミッション電流が20〜40μAであることを確認する。試料ホルダをS−4800鏡体の試料室に挿入する。コントロールパネル上の[原点]を押し試料ホルダを観察位置に移動させる。
加速電圧表示部をクリックしてHV設定ダイアログを開き、加速電圧を[0.8kV]、エミッション電流を[20μA]に設定する。オペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、信号選択を[SE]に設置し、SE検出器を[上(U)]および[+BSE]を選択し、[+BSE]の右の選択ボックスで[L.A.100]を選択し、反射電子像で観察するモードにする。同じくオペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、電子光学系条件ブロックのプローブ電流を[Normal]に、焦点モードを[UHR]に、WDを[3.0mm]に設定する。コントロールパネルの加速電圧表示部の[ON]ボタンを押し、加速電圧を印加する。
(3)シリカ微粒子の個数平均粒径(D1)(前記da)の算出
コントロールパネルの倍率表示部内をドラッグして、倍率を100000(100k)倍に設定する。操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。この操作を更に2度繰り返し、ピントを合わせる。
その後、トナー表面上の少なくとも300個のシリカ微粒子について粒径を測定して、平均粒径を求める。ここで、シリカ微粒子は凝集塊として存在するものもあるため、一次粒子と確認できるものの最大径を求め、得られた最大径を算術平均することによって、シリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径(D1)(da)を得る。
<トナー粒子の平均円形度の測定方法>
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.2ml加える。更に測定試料を0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを2ml添加する。
測定には、対物レンズとして「UPlanApro」(倍率10倍、開口数0.40)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本発明においては、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像測定装置を使用する。解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行う。
フロー式粒子像測定装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512画素の画像処理解像度(一画素あたり0.37×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積Sや周囲長L等が計測される。
次に、上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度は、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度=2×(π×S)1/2/L
粒子像が円形の時に円形度は1.000になり、粒子像の外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.200〜1.000の範囲を800分割し、得られた円形度の相加平均値を算出し、その値を平均円形度とする。
<シリカ微粒子の見掛け密度の測定方法>
シリカ微粒子の見掛け密度の測定は、100mlのメスシリンダーに、紙の上にのせた測定試料をゆっくり加えて100mlになるようにし、試料を加える前と後のメスシリンダーの質量差を求め次式によって算出する。なお、試料をメスシリンダーに加える場合、紙を叩いたりしないよう注意する。
見掛け密度(g/L)=(100ml投入した時点の質量(g))/0.1
<トナー及びシリカ微粒子の真比重の測定方法>
トナー及びシリカ微粒子の真比重は、乾式自動密度計オートピクノメーター(ユアサアイオニクス社製)により測定した。条件は下記の通りである。
セル :SMセル(10ml)
サンプル量 :2.0g(トナー)、0.05g(シリカ微粒子)
この測定方法は、気相置換法に基づいて、固体・液体の真比重を測定するものである。液相置換法と同様、アルキメデスの原理に基づいているが、置換媒体としてガス(アルゴンガス)を用いるため、微細孔への精度が高い。
<シリカ微粒子における、シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率の測定方法>
(遊離シリコーンオイルの抽出)
(1)ビーカーにシリカ微粒子0.50g、クロロホルム40mlを入れ、2時間攪拌する。
(2)攪拌を止めて、12時間静置する。
(3)サンプルをろ過して、クロロホルム40mlで3回洗浄する。
(炭素量測定)
酸素気流下、1100℃で試料を燃焼させ、発生したCO、CO量をIRの吸光度により測定して、試料中の炭素量を測定する。シリコーンオイルの抽出前後での炭素量を比較して、シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率を下記の通り計算する。
(1)試料0.40gを円筒金型に入れプレスする。
(2)プレスした試料0.15gを精秤し、燃焼用ボードに乗せ、堀場製作所EMA−110で測定する。
(3)[シリコーンオイル抽出後の炭素量]/[シリコーンオイル抽出前の炭素量]×100、をシリコーンオイルの炭素量基準の固定化率とする。
なお、シラン化合物等で疎水化処理した後に、シリコーンオイルによる表面処理を行っている場合は、まず、シラン化合物等で疎水化処理した後に試料中の炭素量を測定する。そして、シリコーンオイルによる表面処理後に、シリコーンオイルの抽出前後での炭素量を比較して、シリコーンオイル由来の炭素量基準の固定化率を下記の通り計算する。
(4)[シリコーンオイル抽出後の炭素量]/[(シリコーンオイル抽出前の炭素量−シラン化合物等で疎水処理後の炭素量)]×100、をシリコーンオイルの炭素量基準の固定化率とする。
一方、シリコーンオイルによる表面処理後にシラン化合物等で疎水処理を行っている場合は、シリコーンオイル由来の炭素量基準の固定化率を下記の通り計算する。
(5)[(シリコーンオイル抽出後の炭素量−シラン化合物等で疎水処理後の炭素量)]/[シリコーンオイル抽出前の炭素量]×100、をシリコーンオイルの炭素量基準の固定化率とする。
<帯電部材>
本発明に係る帯電部材は、導電性基体及び該導電性基体上に形成された導電性樹脂層を有し、該導電性樹脂層は、結着樹脂及びボウル形状の樹脂粒子を含有する。以下、帯電部材の導電性樹脂層に含まれる結着樹脂を結着樹脂Cとも称する。
また、該帯電部材の表面は、該ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部とを有する。この帯電部材は、ローラ形状、平板形状、またはベルト形状等の形状を取ることができる。以下、図1に示す帯電ローラによって、本発明に係る帯電部材の構成を説明する。
図1(1a)に示す帯電部材は、導電性基体1とその周面を被覆している導電性樹脂層3とを有する。導電性樹脂層3は、結着樹脂C、導電性微粒子及びボウル形状の樹脂粒子を含有している。図1(1b)に示すように、導電性樹脂層3は、第1の導電性樹脂層31と第2の導電性樹脂層32とで形成してもよい。また、図1(1c)(1d)のように、導電性樹脂層3の内周に導電性弾性層2を一層以上設けることも可能である。導電性基体は、その直上の層と、接着剤を介して接着してもよい。この場合、接着剤は導電性であることが好ましい。導電性とするため、接着剤には公知の導電剤を有することができる。接着剤の結着樹脂としては、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が挙げられるが、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系、ポリエーテル系、エポキシ系の公知のものを用いることができる。接着剤に導電性を付与するための導電剤としては、後述する導電性微粒子、イオン導電剤から適宜選択し、単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
帯電部材は、電子写真感光体の帯電を良好なものとするため、通常、電気抵抗値が、温度23℃、相対湿度50%の環境中において、1×10Ω以上、1×1010Ω以下であることが好ましい。また帯電部材は、電子写真感光体に対して、長手方向のニップ幅を均一にするという観点から、長手方向の中央部が一番太く、長手方向の両端部にいくほど細くなるクラウン形状が好ましい。クラウン量(中央部の外径と中央部から両端部方向へ各90mm離れた位置の外径との差の平均値)は、30μm以上、200μm以下であることが好ましい。帯電部材の表面の硬度は、マイクロ硬度(MD−1型)で90°以下が好ましく、より好ましくは、40°以上、80°以下である。この範囲内とすることにより、帯電部材と電子写真感光体との当接をより確実に行うことができる。
〔帯電部材の表面の凹凸構造〕
図2(2a)及び図2(2b)は、帯電部材の表面の導電性樹脂層31の部分断面図である。これらの帯電部材において、ボウル形状の樹脂粒子61が、前記帯電部材の表面に露出している。そして、帯電部材の表面は、表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子の開口51に由来する凹部52と、表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジ53に由来する凸部54とを有している。
ここで、本発明における「ボウル形状の樹脂粒子」とは、樹脂製のシェルを有し、当該シェルの一部が欠損し、当該欠損部が開口51を構成しており、かつ、球状の凹部52を有する粒子をいう。シェルの厚さとしては、0.1〜3マイクロメートル(μm)の範囲内にあることが好ましい。また、シェルは略均一な厚みを有することが好ましい。厚みが略均一とは、例えば、シェルの最も肉厚な部分の厚みが、最も肉薄の部分の厚みの3倍以下、好ましくは2倍以下であることをいう。ボウル形状の樹脂粒子の例を図4(4a)から図4(4e)に示す。
開口51は、図4(4a)及び図4(4b)に示すように、そのエッジが平坦であってもよく、また、図4(4c)、図4(4d)または図4(4e)に示すように、そのエッジが凹凸を有していてもよい。ボウル形状の樹脂粒子の最大径58は、5μm以上、150μm以下、特には8μm以上、120μm以下とすることが好ましい。この範囲内とすることにより、電子写真感光体との当接をより確実に行うことができる。
図4の71はボウル形状の樹脂粒子の開口部を、74は開口部の最小径を、72は丸みのある凹部を示す。丸みのある凹部72を有することで、前述の弾性変形を発現することができる。
図2(2c)及び図2(2d)は、各々導電性樹脂層を第1の導電性樹脂層31と第2の導電性樹脂層32で形成した帯電部材の導電性樹脂層の表層部の部分断面図である。これらの帯電部材において、ボウル形状の樹脂粒子61は、帯電部材の表面に非露出の状態で存在している。より詳細に説明すると、ボウル形状の樹脂粒子61は、その開口部が第1の導電性樹脂層31の表面に露出し、開口のエッジ53が凸部を構成するように存在している。そして、第2の導電性樹脂層(薄層)32がボウル形状の樹脂粒子61の、球状の凹部52の内壁に沿って形成されているため、帯電部材の表面にはボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部が形成されている。更に、第2の導電性樹脂層(薄層)が、前記開口51のエッジ53を被覆していることにより、帯電部材の表面には、当該エッジに由来する凸部54が形成されている。
本発明に係る帯電部材は、帯電部材表面のユニバーサル硬さが、その表面から内部方向に向かって小さくなっていることがより好ましい。これにより、前述したボウル形状の樹脂粒子の弾性変形をより安定化し、前述したスティックスリップの抑制効果をより高めることができる。ユニバーサル硬さの測定方法については、後に詳述する。
本発明に係る帯電部材は、ボウル形状の樹脂粒子と導電性樹脂層に含有させ、表面に、「当該ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部」と、「当該該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部」を有している。上記の凹凸形状を有する帯電部材は、感光体と当接した際、該開口に由来する凸部が、感光体と接触し、前記凹部は、感光体との間に、空間を有しており、該凸部は、図8に示す様な弾性変形が可能となる。
図8(8a)及び図8(8b)は、それぞれ、図2(2a)及び図2(2b)に示す凹部と凸部を有する帯電部材が、電子写真感光体と当接する前の状態を示す図である。また、図8(8c)及び図8(8d)は、それぞれ、図2(2a)及び図2(2b)に示す凹部と凸部を有する帯電部材が、電子写真感光体と当接した時のニップ状態を示す図である。
ボウル形状の樹脂粒子61の開口のエッジ53は電子写真感光体803との当接圧力により、弾性変形していることが観察された。これにより、感光体の高速化に伴って増大する振動を当該帯電部材が吸収し、感光体の高速回転を安定化するため、クリーニング部材の局所的なスティックスリップの発生を抑制できると、本発明者らは推察している。
図3に示す、前記ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部54の頂点55と、当該ボウル形状の樹脂粒子のシェルによって画定された丸みのある凹部52の底部56との高低差57は、5μm以上100μm以下であることが好ましい。また、8μm以上、80μm以下とすることがより好ましい。この範囲内とすることにより、帯電部材と電子写真感光体との当接をより確実に行うことができる。また、前記の高低差57と、前記ボウル形状の樹脂粒子の最大径58の比、即ち、〔最大径〕/〔高低差〕が、0.8以上、3.0以下であることが好ましい。この範囲内とすることにより、帯電部材と電子写真感光体との当接をより確実に行うことができる。
前記凹凸形状の形成により、導電性樹脂層の表面状態は、下記のように制御されていることが好ましい。表面の十点平均粗さ(Rzjis)は、15μm以上75μm以下が好ましい。また、表面の算術平均粗さ(Ra)は、3.0μm以上7.0μm以下が好ましい。Rzjis及びRaをこの範囲内とすることで、帯電部材と電子写真感光体との当接をより確実に行うことができ、前述した帯電部材の微小なスリップの抑制効果をより高めることができる。また、表面の凹凸平均間隔(Sm)は、20μm以上、200μm以下であることが好ましく、30μm以上150μm以下が好ましい。Smがこの範囲内であれば、凹凸の平均間隔が短く、帯電部材と電子写真感光体との接触点が多くなり、帯電部材と電子写真感光体との当接をより確実に行うことができる。なお、帯電部材の表面の十点平均粗さ(Rzjis)、凹凸平均間隔(Sm)、算術平均粗さ(Ra)の測定法は、後に詳述する。
また、ボウル形状の樹脂粒子の最大径58と、開口部の最小径74の比、即ち、ボウル形状の樹脂粒子の〔最大径〕/〔開口部の最小径〕は、1.1以上、4.0以下であることが好ましい。これにより、電子写真感光体との当接をより確実に行うことができる。
本発明に係る帯電部材の弾性変形の復元速度は、帯電部材表面から内部方向に向かって小さくなっていることが好ましい。これにより、前述したボウル形状の樹脂粒子の弾性変形をより安定化し、前述したクリーニング部材のスティックスリップの抑制と、帯電部材の微小なスリップの抑制効果をより高めることができる。
本発明に係る復元速度とは、帯電部材表面に存在するボウル形状の樹脂粒子が、上記弾性変形から通常の状態に戻るまでの回復の速度を表す値である。当該復元速度が大きいということは、当該ボウル形状の樹脂粒子は、感光体と当接して弾性変形したのち、すばやくもとの状態に回復する、即ち、前述した復元力が大きいことを意味する。これは、前述した通り、トナー成分がボウル形状の樹脂粒子の凸部に固着することを抑制する。そして、当該凸部には、順次新しいトナー成分が付着することになり微小なスリップの抑制と同時に、従動回転安定化を達成できる。
一方、帯電部材の内部方向の復元速度は、帯電部材と感光体との当接の幅、即ち、ニップ幅に寄与する値である。上記復元速度が小さいということは、当接により変形したままの状態がある程度の時間継続するということを意味する。これは、帯電部材と感光体とのニップ幅を稼ぐことを意味する。これにより、感光体との接触点の数を稼ぐことが可能になり、当該凸部一つ一つにかかる圧力を低減することができる、と同時に、弾性変形できる当該凸部を増加させることができる。これにより、前述したクリーニング部材のスティックスリップの抑制と、帯電部材の微小なスリップの抑制効果をより高めることができる。
即ち、復元速度が帯電部材表面から内部方向に向かって小さくなっていることは、ボウル形状の樹脂粒子の弾性変形による振動吸収効果を更に向上させる、と同時に、ボウル形状の樹脂粒子の凸部へのトナー成分の付着制御効果を更に向上させるものである。
本発明に係る当該復元速度は以下の方法により求めるものとする。すなわち、ISO 14577(金属材料−硬さのためのインデンテーション試験テストと材料パラメーター)に準拠したインデンテーション試験法に基づく微小硬さ試験機を用いて、弾性層に対して荷重を加えて圧子を所定量(Dμm)沈み込ませる。なお、当該所定量を、以下、「押込み深さ」と称する場合がある。また、上記微小硬さ試験機の例としては、「ピコデンター HM500」(商品名、フィッシャー・インスツルメント社製)等が挙げられる。
その後、圧子に印加した荷重を除荷し、除荷の過程において圧子が帯電部材から受ける力に基づき、帯電部材の復元距離(μm)を算出する。そして、図7に示すような、圧子に印加した荷重(mN)と押込み深さ(μm)および除荷時の帯電部材の復元距離(μm)との関係を表すグラフを得る。
そして、除荷開始直後、具体的には、除荷開始から0.1秒後における上記復元距離をLμmとしたとき、下記計算式(1)により復元速度v(μm/sec)を得る。
復元速度v(μm/sec)=L(μm)/0.1(sec) ・・・(30)
復元速度の算出に、除荷開始から0.1秒後の復元距離Lを用いる理由は以下の通りである。帯電部材の表面領域が当接圧力から解放された直後の復元速度が、ボウル形状の樹脂粒子のエッジ部の弾性変形からの復元速度を規制していると考えられる。帯電部材の婦深さ領域(以下、「深層領域」とも称す。)が当接圧力から解放された直後の復元速度が、実質的なニップ幅を規制していると考えられる。そこで、本発明においては、当該復元速度を、上記除荷開始から0.1秒後の復元距離を用いて算出することで、帯電部材が当接圧力から解放された直後の復元速度であると擬制することとした。
また、本発明に係る表面領域とは、帯電部材の、導電性基体と面している側とは反対側の面から深さ10μmとする。これは、エッジの弾性変形からの復元が、帯電部材の表面から深さ10μmの領域における復元速度によって実質的に支配されていると考えられることによる。そのため、微小硬さ試験機の圧子の押し込み深さDμmとしては、10μmとすることが好ましい。
さらに、本発明において、帯電部材の深層領域を規定する、帯電部材の基材に面する側とは反対側の面から深さtμmの値の目安としては、30μm以上100μm以下が好ましい。tμmの値をこの範囲内とすることで、帯電部材の実質的なニップ幅の拡大の効果をより確実に享受し得る。そのため、本発明にかかる帯電部材の深層領域の復元速度の測定における圧子の押込み深さDμmとしては、20〜100μmとすることが好ましい。
〔導電性樹脂層〕
[結着樹脂C]
帯電部材の導電性樹脂層に含有される結着樹脂Cとしては、公知のゴムまたは樹脂を使用することができる。ゴムとしては、例えば、天然ゴムやこれを加硫処理したもの、合成ゴムを挙げることができる。合成ゴムとしては以下のものが挙げられる。エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム及びフッ素ゴム。樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の如き樹脂が使用できる。中でも、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂がより好ましい。上記の材料を使用することにより、帯電部材と電子写真感光体との当接をより確実に行うことができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これら結着樹脂の原料である単量体を共重合させ、共重合体としてもよい。
導電性樹脂層を、第1の導電性樹脂層と第2の導電性樹脂層で形成する場合、第1の導電性樹脂層に用いる結着樹脂は、ゴムを使用することが好ましい。これは、帯電部材と電子写真感光体との当接をより確実に行うことができるためである。第1の導電性樹脂層に用いる結着樹脂としてゴムを使用した場合、第2の導電性樹脂層に用いる結着樹脂は、樹脂を使用することが好ましい。これは、帯電部材と電子写真感光体との密着性及び摩擦性の制御を、より容易に行うことができるためである。導電性樹脂層は、プレポリマー化した結着樹脂の原料に架橋剤等を添加し、硬化または架橋することによって形成してもよい。また、導電性樹脂層の内周に導電性弾性層を設ける場合、導電性弾性層の材料は、上記導電性樹脂層と同じ材料を用いてもよい。本発明においては、上記混合物についても、以下、結着樹脂と称して説明する。
[導電性微粒子]
帯電部材の導電性樹脂層は、導電性を発現するために導電性微粒子を含有する。導電性微粒子の具体例としては、金属酸化物、金属微粒子、カーボンブラックが挙げられる。また、これらの導電性微粒子を、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。導電性樹脂層中における導電性微粒子の含有量の目安としては、結着樹脂C100質量部に対して2〜200質量部、特には5〜100質量部である。第1の導電性樹脂層と第2の導電性樹脂層に使用する結着樹脂及び導電性微粒子の種類は、同じであっても、異なっていてもよい。
〔導電性樹脂層の形成方法〕
前記導電性樹脂層を形成する方法を以下に説明する。
<方法1> 導電性樹脂層が単層の場合(図1(1a)の場合)
まず、結着樹脂C中に導電性微粒子及び中空の樹脂粒子を分散させた被覆層(以下、「予備被覆層」とも称す。)を導電性基体上に形成する。次に、この予備被覆層の表面を研磨して中空の樹脂粒子の一部を削除してボウル形状とする。これにより、表面にボウル形状の樹脂粒子の開口による凹部と、ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジによる凸部が形成される(以下、「ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状」とも称す。)。
[1−1.予備被覆層中への樹脂粒子の分散]
まず、予備被覆層に中空の樹脂粒子を分散させる方法について説明する。一つの方法としては、内部に気体を含有している中空形状の樹脂粒子を、結着樹脂C及び導電性微粒子とともに分散させた導電性樹脂組成物の塗膜を導電性基体上に形成し、当該塗膜を、乾燥、硬化または架橋させる方法が挙げられる。中空の樹脂粒子に用いる材料としては、前記結着樹脂Cとしての樹脂あるいは公知の樹脂を挙げることができる。
別の方法としては、粒子の内部に内包物質を含み、熱を加えることにより内包物質が膨張し、中空の樹脂粒子となる、いわゆる熱膨張マイクロカプセルを使用する方法を例示することができる。熱膨張マイクロカプセルを、結着樹脂C及び導電性微粒子とともに分散させた導電性樹脂組成物を作製し、この組成物の層を、導電性基体上に形成し、乾燥、硬化、または、架橋を行う方法である。この方法の場合、予備被覆層に使用する結着樹脂Cの乾燥、硬化、または架橋時の熱で、内包物質を膨張させ、中空の樹脂粒子を形成することができる。この際、温度条件を制御することで、粒径を制御することもできる。
熱膨張マイクロカプセルを用いる場合、熱可塑性樹脂を結着樹脂Cとして用いる必要がある。熱可塑性樹脂の例を以下に挙げる。アクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メタクリル酸樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂、メタクリロニトリル樹脂、アクリル酸樹脂、アクリル酸エステル樹脂類、メタクリル酸エステル樹脂類。この中でも、ガス透過性が低く、高い反発弾性を示すアクリロニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メタクリロニトリル樹脂から選ばれる少なくとも1種からなる熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。これらの樹脂は、本発明に用いる樹脂粒子を作製しやすく、結着樹脂Cへの分散が容易であるという観点から好ましい。これらの熱可塑性樹脂は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。更に、これらの熱可塑性樹脂の原料となる単量体を共重合させ、共重合体として用いても良い。
熱膨張マイクロカプセルに内包させる物質としては、結着樹脂Cに用いる熱可塑性樹脂の軟化点以下の温度で気化するものが好ましく、例えば以下のものが挙げられる。プロパン、プロピレン、ブテン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタンなどの低沸点液体;ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、イソオクタン、ノルマルデカン、イソデカンの如き高沸点液体。
上記の熱膨張マイクロカプセルは、懸濁重合法、界面重合法、界面沈殿法、液中乾燥法の公知の製法により製造することができる。例えば、懸濁重合法においては、重合性単量体、上記熱膨張マイクロカプセルに内包させる物質及び重合開始剤を混合し、この混合物を、界面活性剤や分散安定剤を含有する水性媒体中に分散させた後、懸濁重合させる方法を例示することができる。なお、重合性単量体の官能基と反応する反応性基を有する化合物、有機フィラーを添加することもできる。
重合性単量体としては、下記のものを例示することができる。アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル(メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート等)、メタクリル酸エステル(メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等)、スチレン系モノマー、アクリルアミド、置換アクリルアミド、メタクリルアミド、置換メタクリルアミド、ブタジエン、εカプロラクタム、ポリエーテル、イソシアネート。これらの重合性単量体は単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
重合開始剤としては、公知のパーオキサイド開始剤及びアゾ開始剤を使用できる。中でも重合の制御、溶媒との相溶性、取扱時の安全性の観点から、アゾ開始剤が好ましい。アゾ開始剤の具体例を以下に挙げる。2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサン1−カーボニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、及び2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル。特には、開始剤効率の観点から2,2’−アゾビスイソブチロニトリルが好ましい。重合開始剤を用いる場合、重合性単量体100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましい。本範囲内であれば、重合開始剤の効果が発揮されて十分な重合度の重合体を得ることができる。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子型分散剤等を使用できる。界面活性剤を使用する場合、重合性単量体100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましい。分散安定剤としては、以下のものが挙げられる。有機微粒子(ポリスチレン微粒子、ポリメタクリル酸メチル微粒子、ポリアクリル酸微粒子、及びポリエポキシド微粒子等)、シリカ(コロイダルシリカ等)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸バリウム、及び、水酸化マグネシウム。分散安定剤を使用する場合、重合性単量体100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。本範囲内であれば、分散が安定化し、また、未吸着の分散剤の増加による溶媒の増粘という弊害を防止することができる。
懸濁重合は、モノマーや溶媒の気化による蒸発や揮散を防止するため、耐圧容器を用い、密閉下で行うことが好ましい。また、分散機で懸濁してから、耐圧容器に移して懸濁重合してもよく、耐圧容器内で懸濁させて重合してもよい。重合温度は、50℃〜120℃が好ましい。本範囲内であれば、十分な重合度を有する目的とする重合体を得ることができる。重合は、大気圧下で行ってもよいが、上記熱膨張カプセルに内包させる物質を気化させないために加圧下(大気圧に0.1〜1MPaを加えた圧力下)で行うことが好ましい。重合終了後は、遠心分離や濾過によって、固液分離及び洗浄を行ってもよい。固液分離や洗浄を行う場合、その後、熱膨張マイクロカプセルを構成する樹脂の軟化温度以下にて乾燥や粉砕してもよい。乾燥及び粉砕は、既知の方法により行うことができ、気流乾燥機、順風乾燥機及びナウターミキサーを使用できる。また、乾燥及び粉砕は粉砕乾燥機によって同時に行うこともできる。界面活性剤及び分散安定剤は、製造後に洗浄濾過を繰り返すことにより除去することができる。
[予備被覆層の形成方法]
続いて、予備被覆層の形成方法について説明する。
予備被覆層の形成方法としては、静電スプレー塗布、ディッピング塗布、ロール塗布、所定の膜厚に成膜されたシート形状又はチューブ形状の層を接着又は被覆する方法、型内で所定の形状に材料を硬化、成形する方法が挙げられる。また、特に、結着樹脂がゴムの場合には、クロスヘッドを備えた押出機を用いて、導電性基体と未加硫ゴム組成物を一体的に押出して作製することもできる。クロスヘッドとは、電線や針金の被覆層を構成するために用いられる、押出機のシリンダ先端に設置して使用する押出金型である。この後、乾燥、硬化、または、架橋を経た後、予備被覆層の表面を研磨して、中空の樹脂粒子の一部を削除してボウル形状とする。研磨方法としては、円筒研磨方法やテープ研磨法を使用することができる。円筒研磨機としては、トラバース方式のNC円筒研磨機、プランジカット方式のNC円筒研磨機を例示することができる。
中空の樹脂粒子は、内部に気体を内包しているため、高い反発弾性を有する。従って、予備被覆層の結着樹脂としては、相対的に低い反発弾性を有し、かつ、伸びの小さなゴムまたは樹脂を選択することが好ましい。これにより、予備被覆層は研磨されやすく、中空の樹脂粒子は研磨されにくい状態を達成することができる。この状態にある予備被覆層を研磨すると、中空の樹脂粒子の一部のみを削除し、ボウル形状の樹脂粒子とすることができる。その結果、予備被覆層の表面には、ボウル形状の樹脂粒子の開口を形成することができる。本方法は、中空の樹脂粒子と予備被覆層との研磨性の差を利用して、開口に由来する凹部と、該開口のエッジに由来する凸部を形成する方法であるため、予備被覆層に使用する結着樹脂にはゴムを使用することが好ましい。具体的には、低い反発弾性を有し、かつ、伸びが小さいアクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、または、ブタジエンゴムを好適に用い得る。
中空の樹脂粒子としては、シェルが、気体透過性が低く、高反発弾性を有するという観点から、極性基を有する樹脂を含むものが好ましい。かかる樹脂としては、下記式(21)で示されるユニットを有する樹脂が挙げられる。更には、研磨の制御の容易性という観点から、式(21)で示されるユニットと、式(25)で示されるユニットの両方を有することが、更に好ましい。
Figure 2014207871

式(21)中、Aは、下記式(22)、(23)及び(24)から選択される少なくとも1種である。R1は、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基である。
Figure 2014207871
Figure 2014207871
Figure 2014207871
Figure 2014207871

式(25)中、R2は、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基であり、R3は、水素原子、または炭素数1〜10のアルキル基である。R2とR3は、同じ構造であっても、異なる構造であってもよい。
[研磨方法]
研磨方法としては、円筒研磨方法やテープ研磨法を使用することができるが、材料の研磨性の差を顕著に引き出す必要があるため、より速く研磨する条件とすることが好ましい。この観点から、円筒研磨法を使用することがより好ましい。円筒研磨法のなかでも、長手方向を同時に研磨でき、研磨時間が短縮できるという観点から、プランジカット方式を使用することが、更に好ましい。また、研磨面を均一にするという観点から従来行われていたスパークアウト工程(侵入速度0mm/minでの研磨工程)を、できるだけ短時間とすること、もしくは行わないことが好ましい。
一例として、プランジカット方式の円筒研磨機を使用する際の、予備被覆層の研磨条件として好ましい範囲を以下に示す。円筒研磨砥石の回転数は、1000rpm以上、4000rpm以下、特には2000rpm以上、4000rpmが好ましい。予備被覆層への侵入速度は、5mm/min以上、30mm/min以下、特には10mm/min以上が好ましい。侵入工程の最後には、研磨表面に慣らし工程を有してもよく、0.1mm/min〜0.2mm/minの侵入速度で2秒間以内とすることが好ましい。スパークアウト工程(侵入速度0mm/minでの研磨工程)は、3秒間以下が好ましい。予備被覆層を形成した部材が回転可能な形状の場合(例えば、ローラ形状の場合)は、回転数を、50rpm以上、500rpm以下、特には200rpm以上、500rpm以下とすることが好ましい。予備被覆層への侵入速度及びスパークアウト工程を上述の条件とすることで、導電性樹脂層の表面に、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を、より容易に形成することができる。
予備被覆層を研磨したローラは、そのまま、本発明に係る帯電部材として使用することができる。また、予備被覆層を研磨した層を第1の導電性樹脂層とし、その表面に第2の導電性樹脂層を形成した構成のローラを本発明に係る帯電部材として使用することができる。
<方法2> 導電性樹脂層が2層の場合(図(1b)の場合)
[第2の導電性樹脂層の形成]
前記方法にて得られた第1の導電性樹脂層の表面に、導電性樹脂組成物を被覆し、乾燥、硬化、または、架橋を行うことにより、第2の導電性樹脂層を形成することができる。被覆方法としては、前記の方法を使用することができる。第1の導電性樹脂層の表面に存在するボウル形状の樹脂粒子の開口およびそのエッジによる凹凸形状を反映した表面とすることが必要である。そのため、第2の導電性樹脂層は、比較的薄いことが好ましい。第2の導電性樹脂層の厚さの目安としては、50μm以下、特には30μm以下である。従って、上記被覆方法の中でも、静電スプレー塗布、ディッピング塗布、またはロール塗布により第2の導電性樹脂層を形成する方法がより好ましい。これらの塗布法を使用する場合、結着樹脂中に導電性微粒子を分散した導電性樹脂組成物の塗布液を作製し、塗布を行う。
[表面処理]
前記予備被覆層を研磨した層、あるいは、前記第2の樹脂層を形成した後、その表面に、電子線照射、紫外線照射、熱処理を行っても良い。また、前述の復元速度を所望の関係に調整するためには、電子線照射、熱処理、または、その両方を行うことがより好ましい。
{電子線照射}
上記のように電子線照射することにより、前述の復元速度を所望の関係に調整することができる。
図9に、導電性樹脂層を形成したローラ形状の部材に、電子線を照射する方法の一例を説明する概略図を示す。まず、導電性樹脂層を形成した部材101を、不図示の回転冶具に設置し、シャッター備え付けの投入口102から電子線照射装置103の内部へと搬入する。この後、シャッターを閉じ、電子線照射装置の内部雰囲気を窒素置換して、酸素濃度が100ppm以下になったことを確認してから、電子線発生部104から電子線を照射する。電子線発生部104には、電子線加速用の真空チャンバーと、フィラメント状の陰極が存在する。そして、この陰極を加熱すると、その表面から熱電子が放出される。このように放出された熱電子は加速電圧によって加速された後、電子線として放出される。また、このフィラメントの形状やフィラメントの加熱温度を変えることによって、陰極から放出される電子線の数(照射線量)を調節することができる。
電子線照射における電子線の線量は、下記の数式(31)で定義される。
D=(K・I)/V ・・・(31)
ここで、Dは線量(kGy)、Kは装置定数、Iは電子電流(mA)、Vは処理スピード(m/min)である。装置定数Kは装置個々の効率を表す定数であって、装置の性能の指標である。装置定数Kは一定の加速電圧の条件で、電子電流と処理スピードを変えて線量を測定することによって求めることができる。電子線の線量測定は、線量測定用フィルムをローラ表面に貼り付け、これを実際に電子線照射装置で処理し、この線量測定用フィルムの電子線の線量をフィルム線量計により測定する。線量測定用フィルムはFWT−60、フィルム線量計はFWT−92D型(いずれもFar West Technology社製)である。本発明における電子線の線量は、表面改質の効果の観点から30kGy以上、また表面の過度の架橋や崩壊防止の観点から3000kGy以下の範囲が好ましい。
{紫外線照射}
紫外線の照射には、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、エキシマUVランプなどを用いることができ、これらのうち、紫外線の波長が150nm以上480nm以下の光を豊富に含む紫外線源が用いることが好ましい。なお、紫外線の積算光量は、下記計算式(32)のように定義される。
紫外線積算光量[mJ/cm]=紫外線強度[mW/cm]×照射時間[s] ・・・(32)
紫外線の積算光量の調節は、照射時間や、ランプ出力や、ランプと被照射体との距離で行うことが可能である。また、照射時間内で積算光量に勾配をつけてもよい。
低圧水銀ランプを用いる場合、紫外線の積算光量は、ウシオ電機(株)製の紫外線積算光量計UIT−150−AやUVD−S254(いずれも商品名)を用いて測定することができる。また、エキシマUVランプを用いる場合、紫外線の積算光量は、ウシオ電機(株)製の紫外線積算光量計UIT−150−AやVUV−S172(いずれも商品名)を用いて測定することができる。
{熱処理}
熱処理は、熱風循環乾燥機等を使用した加熱処理である。熱処理の条件としては、180℃〜250℃分の雰囲気下、5分乃至60分間加熱処理を行うことが好ましい。前述の復元速度を所望の関係に調整するためには、時間を5乃至15分程度に調整することが更に好ましい。
[導電性樹脂層中のその他の成分]
帯電部材の導電性樹脂層は、前記の導電性微粒子に加えて、公知のイオン導電剤および絶縁性粒子を含有させてもよい。
[導電性樹脂層の体積抵抗率]
導電性樹脂層の体積抵抗率の目安としては、温度23℃、相対湿度50%の環境において、1×10Ω・cm以上、1×1016Ω・cm以下とすることが好ましい。この範囲内とすることで、放電により電子写真感光体を適切に帯電することが、より容易になる。
導電性樹脂層の体積抵抗率は、以下のようにして求める。まず、帯電部材から、導電性樹脂層を、縦5mm、横5mm、厚さ1mm程度の短冊形に切り出す。両面に金属を蒸着して電極とガード電極とを作製し測定用サンプルを得る。導電性樹脂層が薄膜で切り出せない場合には、アルミニウム製のシートの上に導電性樹脂層形成用の導電性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、塗膜面に金属を蒸着して測定用サンプルを得る。得られた測定用サンプルについて微小電流計(商品名:ADVANTEST R8340A ULTRAHIGHRESISTANCE METER、(株)アドバンテスト製)を用いて200Vの電圧を印加する。そして、30秒後の電流を測定し、膜厚と電極面積とから計算して体積抵抗率を求める。導電性樹脂層の体積抵抗率は、前述した導電性微粒子及びイオン導電剤により調整することができる。また、導電性微粒子の平均粒径の目安としては、0.01μm〜0.9μm、特には0.01μm〜0.5μmである。導電性樹脂層中の導電性微粒子の含有量の目安は結着樹脂C100質量部に対して2〜80質量部、特には20〜60質量部である。
〔導電性基体〕
本発明に係る帯電部材に用いられる導電性基体は、導電性を有し、その上に設けられる導電性樹脂層等を支持する機能を有するものである。材質としては、例えば、鉄、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケルの如き金属やその合金を挙げることができる。
〔体積抵抗率〕
本発明に係る帯電部材の表面に用いる導電性樹脂層の体積抵抗率は、温度23℃/湿度50%RH環境において、1×10Ω・cm以上1×1016Ω・cm以下であることが、好ましい。本範囲とすることで、電子写真感光体を、放電により適切に帯電することが、より容易になる。
導電性樹脂層の体積抵抗率は、以下のようにして求める。まず、帯電部材から、導電性樹脂層を、縦5mm、横5mm、厚さ1mm程度の短冊形に切り出す。両面に金属を蒸着して測定用サンプルを得る。導電性樹脂層が薄膜で切り出せない場合には、アルミシートの上に導電性樹脂層形成用の導電性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、塗膜面に金属を蒸着して測定用サンプルを得る。得られた測定用サンプルについて微小電流計(商品名:ADVANTEST R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METER、(株)アドバンテスト製)を用いて200Vの電圧を印加する。そして、30秒後の電流を測定し、膜厚と電極面積とから計算して求める。導電性樹脂層の体積抵抗率は、前述した導電性微粒子により調整することができる。
また、導電性微粒子は、平均粒径が0.01μmから0.9μmがより好ましく、0.01μmから0.5μmであることが更に好ましい。この範囲であれば、導電性樹脂層の体積抵抗率の制御が容易になる。
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置の一例の概略構成を図6に示す。
画像形成装置は、感光体、感光体を帯電部材によって帯電するための帯電装置(帯電手段)、帯電された感光体の表面に静電潜像を形成するための露光装置(露光手段)、静電潜像が形成された感光体にトナーを供給してトナー像を感光体の表面に形成するための現像装置(現像手段)、該帯電手段の前に、残留トナーを回収するためのクリーニング装置(クリーニング手段)を有する。また、図6に示される画像形成装置には、さらに、トナー像を転写材に転写するための転写装置(転写手段)、トナー像を定着するための定着装置(定着手段)等を有している。
感光体4は、導電性基体の外周に感光層を有する回転ドラム型である。感光体は矢示の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。
帯電装置は、感光体4に所定の押圧力で当接されることにより接触配置される接触式の帯電ローラ5を有する。帯電ローラ5は、電子写真感光体の回転に従い回転する従動回転であり、帯電用電源19から所定の電圧を印加することにより、電子写真感光体を所定の電位に帯電する。
感光体4に静電潜像を形成する潜像形成装置11は、例えばレーザービームスキャナーの如き露光装置が用いられる。一様に帯電された感光体に画像情報に対応した露光を行うことにより、静電潜像が形成される。
現像装置は、感光体4に近接又は接触して配設される現像スリーブ又は現像ローラ6を有する。感光体の帯電極性と同極性に静電的処理されたトナーを反転現像により、静電潜像を現像してトナー像を形成する。
転写装置は、接触式の転写ローラ8を有する。感光体からトナー像を普通紙の如き転写材7(転写材は、搬送部材を有する給紙システムにより搬送される。)に転写する。
クリーニング装置は、ブレード型のクリーニング部材10、回収容器14を有し、転写した後、感光体上に残留する転写残トナーを機械的に掻き落とし回収する。
定着装置9は、加熱されたロール等で構成され、転写されたトナー像を転写材7に定着し、機外に排出する。
<プロセスカートリッジ>
感光体、帯電装置(帯電手段)及び現像装置(現像手段)、クリーニング装置(クリーニング手段)を一体に支持し、画像形成装置から着脱可能に構成されたプロセスカートリッジ(図10)を用いることもできる。
また、画像形成装置は、プロセスカートリッジ、露光装置及び現像部材6を有する現像装置を有し、該プロセスカートリッジが上記のプロセスカートリッジであってもよい。
以下に、実施例によって本発明を更に詳細に説明する。
まず、磁性体、ポリエステル樹脂、トナー粒子及びトナーの製造例、帯電部材及び樹脂粒子の評価方法、樹脂粒子、導電性ゴム及び帯電部材の製造例について説明する。
なお、以下の各粒子について、「平均粒径」とは、特に明記しない限り、「体積平均粒径」を意味する。また、実施例および比較例の部数及び%は、特に明記しない限り、すべて質量基準である。
<磁性体1の製造例>
硫酸第一鉄水溶液に、鉄元素に対し1.00〜1.10当量の苛性ソーダ溶液、鉄元素に対しリン元素換算で0.15質量%となる量のP、鉄元素に対し珪素元素換算で0.50質量%となる量のSiOを混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。水酸化第一鉄を含む水溶液のpHを8.0とし、空気を吹き込みながら85℃で酸化反応を行い、種晶を有するスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.90〜1.20当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた。その後、スラリー液をpH7.6に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。濾過、洗浄した後、この含水スラリー液を一旦取り出した。この時、含水サンプルを少量採取し、含水量を計っておいた。次に、この含水サンプルを乾燥せずに別の水系媒体中に投入し、撹拌すると共にスラリーを循環させながらピンミルにて再分散させ、再分散液のpHを4.8に調整した。そして、撹拌しながらn−ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤を磁性酸化鉄100質量部に対し1.6質量部(磁性酸化鉄の量は含水サンプルから含水量を引いた値として計算した)添加し、加水分解を行った。その後、撹拌を十分行い、分散液のpHを8.6にして表面処理を行った。生成した疎水性磁性体をフィルタープレスにてろ過し、多量の水で洗浄した後に100℃で15分、90℃で30分乾燥し、得られた粒子を解砕処理して体積平均粒径が0.21μmの磁性体1を得た。
<ポリエステル樹脂1の製造例>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、下記成分を入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。
・ビスフェノールA プロピレンオキサイド2モル付加物 75質量部
・ビスフェノールA プロピレンオキサイド3モル付加物 25質量部
・テレフタル酸 100質量部
・チタン系触媒 0.25質量部
(チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート))
次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2mgKOH/g以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸10質量部を加え、常圧密閉下2時間反応後取り出し、室温まで冷却後、粉砕してポリエステル樹脂1を得た。得られたポリエステル樹脂1は、ゲルパーミェーションクロマトグラフィ(GPC)で測定されたメインピーク分子量(Mp)が10500であった。
<トナー粒子1の製造例>
イオン交換水720質量部に0.1M−NaPO水溶液450質量部を投入して60℃に加温した後、1.0M−CaCl水溶液67.7質量部を添加して、分散安定剤を含む水系媒体を得た。
・スチレン 78.0質量部
・n−ブチルアクリレート 22.0質量部
・ジビニルベンゼン 0.6質量部
・モノアゾ染料の鉄錯体(T−77:保土谷化学工業(株)) 3.0質量部
・磁性体1 90.0質量部
・ポリエステル樹脂1 5.0質量部
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合して重合性単量体組成物を得た。得られた重合性単量体組成物を60℃に加温し、フィッシャートロプシュワックス(融点:74℃、数平均分子量Mn:500)15.0質量部を添加し、溶解させた。重合性単量体組成物にフィッシャートロプシュワックスを溶解した後に、重合開始剤としてジラウロイルパーオキサイド7.0質量部を溶解し、トナー組成物を得た。
上記水系媒体中に上記トナー組成物を投入し、60℃、N雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて12000rpmで10分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ74℃で6時間反応させた。
反応終了後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えて洗浄した後に濾過・乾燥してトナー粒子1を得た。得られた磁性トナー粒子1の物性を表1に示す。
<トナー粒子2の製造例>
・スチレンアクリル共重合体 100質量部
(スチレンとn−ブチルアクリレートの質量比が78.0:22.0、メインピーク分子量Mpが10000)
・磁性体1 90質量部
・モノアゾ染料の鉄錯体(T−77:保土谷化学工業(株)) 2質量部
・フィッシャートロプシュワックス 4質量部
(融点:74℃、数平均分子量Mn:500)
上記混合物をヘンシェルミキサーで前混合した後、110℃に加熱された2軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕してトナー粗粉砕物を得た。得られた粗粉砕物を、機械式粉砕機ターボミル(ターボ工業社製;回転子および固定子の表面に炭化クロムを含有したクロム合金めっきでコーティング(めっき厚150μm、表面硬さHV1050))を用いて機械式粉砕(微粉砕)した。得られた微粉砕物を、コアンダ効果を利用した多分割分級装置(日鉄鉱業社製エルボジェット分級機)で微粉及び粗粉を同時に分級除去した。
得られた原料トナー粒子を、表面改質装置ファカルティー(ホソカワミクロン社製)で表面改質及び微粉除去を行い、トナー粒子4を得た。この表面改質装置を用いた表面改質及び微粉除去の条件は、分散ローターの回転周速を150m/sec、微粉砕品の投入量を1サイクル当たり7.6kg、表面改質時間(サイクルタイム:原料供給が終了してから排出弁が開くまでの時間)を82秒間とした。またトナー粒子排出時の温度は44℃であった。得られたトナー粒子2の物性を表1に示す。
Figure 2014207871
<トナーの製造例A1〜A12、a13〜a18>
〔トナーの製造例A1〕
上記トナー粒子1に対して、図13に示す装置を用いて、外添混合処理を行った。
本実施例においては、図13に示す装置で、本体ケーシング1の内周部の径が130mmであり、処理空間209の容積が2.0×10−3m3の装置を用い、駆動部208の定格動力を5.5kWとし、攪拌部材203の形状を図14のものとした。そして、図14における攪拌部材203aと攪拌部材203bの重なり幅dを攪拌部材203の最大幅Dに対して0.25Dとし、攪拌部材3と本体ケーシング1内周とのクリアランスを3.0mmとした。
上記した装置構成で、トナー粒子1の100質量部と、表2に示すシリカ微粒子1(シリカ原体の一次粒子の個数平均粒径:7nm、処理後のシリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径:8nm)の0.50質量部とを、図13に示す装置に投入した。
トナー粒子とシリカ微粒子を投入後、トナー粒子とシリカ微粒子を均一に混合するために、プレ混合を実施した。プレ混合の条件は、駆動部8の動力を0.10W/g(駆動部8の回転数150rpm)とし、処理時間を1分間とした。
プレ混合終了後、外添混合処理を行った。外添混合処理条件は、駆動部208の動力を0.60W/g(駆動部8の回転数1400rpm)で一定となるように、攪拌部材203の最外端部周速を調整し、処理時間を5分間とした。外添混合処理条件を表3に示す。
外添混合処理後、直径500mm、目開き75μmのスクリーンを設置した円形振動篩機で粗粒等を除去し、トナーA1を得た。トナーA1を走査型電子顕微鏡で拡大観察し、トナー表面のシリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径を測定したところ、8nmであった、トナーA1の外添条件、物性を表3に示す。
〔トナーの製造例A2〜A12〕
上記トナーA1の製造例において、表2、表3に示す、シリカ微粒子の種類及び添加部数、トナー粒子、外添条件等へ変更した以外は同様にして、トナーA2乃至トナーA12を製造した。得られたトナーA2乃至トナーA12の外添条件、物性を表3にそれぞれ示す。
〔トナーの製造例a13〜a18〕
上記トナーA1の製造例において、表2、表3に示す、シリカ微粒子の種類及び添加部数、トナー粒子、外添装置、外添条件等へ変更した以外は同様にして、トナーa13乃至トナーa18を製造した。得られたトナーa13乃至トナーa18の外添条件、物性を表3にそれぞれ示す。
ここで、外添装置としてヘンシェルミキサーを使用する場合、ヘンシェルミキサーFM10C(三井三池化工機(株))を用いた。また、一部の製造例においては、プレ混合工程を行わなかった。
図12として、トナーA1乃至トナーA12、トナーa13乃至トナーa18において、被覆率X1と拡散指数をプロットした図を示す。なお、実施例で用いたトナーは○印、比較例で用いたトナーについては、×印で記載している。
Figure 2014207871
Figure 2014207871
<樹脂粒子の製造例b1〜b10>
〔製造例b1〕
イオン交換水4000質量部と、分散安定剤としてコロイダルシリカ9質量部及びポリビニルピロリドン0.15質量部を添加し、水性混合液を調製した。次いで、重合性単量体としてアクリロニトリル50質量部、メタクリロニトリル45質量部、メチルメタクリレート5質量部と、内包物質としてノルマルヘキサン12.5質量部と、重合開始剤としてジクミルパーオキシド0.75質量部からなる油性混合液を調製した。この油性混合液を、前記水性混合液に添加し、更に水酸化ナトリウム0.4質量部を添加することにより、分散液を調製した。得られた分散液をホモジナイザーを用いて3分間攪拌混合し、窒素置換した重合反応容器内へ仕込み、200rpmの撹拌下、60℃で20時間反応させることにより、反応生成物を調製した。得られた反応生成物について、ろ過と水洗を繰り返した後、80℃で5時間乾燥して樹脂粒子を作製した。得られた樹脂粒子を音波式分級機により解砕して分級することによって、平均粒径12μmの樹脂粒子b1を得た。
〔製造例b2〕
製造例b1において、コロイダルシリカの添加部数を4.5質量部に変更した以外は製造例b1と同様の方法で樹脂粒子を作製した。また同様に分級して平均粒径50μmの樹脂粒子b2を得た。
〔製造例b3〜b6〕
製造例b2で分級した粒経違いの平均粒径が下記表4に記載の粒子を樹脂粒子b3〜b6とした。
Figure 2014207871
〔製造例b7〕
製造例b1において、重合性単量体をメタクリロニトリル45質量部及びメチルアクリレート55質量部に変更した以外は、製造例b1と同様の方法で樹脂粒子を作製し、分級して、平均粒径25μmの樹脂粒子b7を得た。
〔製造例b8〕
製造例b2において、重合性単量体をアクリルアミド45質量部及びメタクリルアミド55質量部に変更した以外は、製造例b2と同様の方法で樹脂粒子を作製し、分級して、平均粒径45μmの樹脂粒子b8を得た。
〔製造例b9〕
製造例b2において、重合性単量体をメチルメタクリレート60質量部及びアクリルアミド40質量部に変更した以外は、製造例b2と同様の方法で樹脂粒子を作製し、分級して、平均粒径10μmの樹脂粒子b9を得た。
〔製造例b10〕
製造例b1において、重合性単量体をアクリルアミド100質量部に変更した以外は、製造例b1と同様の方法で樹脂粒子を作製した。また、同様に分級して平均粒径8μmの樹脂粒子b10を得た。
<導電性ゴム組成物の製造方法c1〜c16>
〔製造例c1〕
アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)(商品名:N230SV、JSR社製)100質量部に対し下記表6の成分(1)の欄に示す他の4種類の材料を加えて、50℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。これに表5の成分(2)の欄に示す3種類の材料を添加した。次いで、温度25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、導電性ゴム組成物c1を作製した。
Figure 2014207871
〔製造例c2〕
樹脂粒子b1を樹脂粒子b2に変更した以外は、製造例c1と同様にして、導電性ゴム組成物c2を作製した。
〔製造例c3〜c8〕
樹脂粒子の種類及び添加部数を表8に示すように変更した以外は、製造例c1と同様にして、導電性ゴム組成物c3〜c8を作製した。
〔製造例c9〕
スチレンブタジエンゴム(SBR)(商品名:SBR1500、JSR社製)100質量部に対し下記表7の成分(1)の欄に示す他の6種類の材料を加えて、80℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。これに表6の成分(2)の欄に示す3種類の材料を添加した。次いで、温度25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、導電性ゴム組成物c9を作製した。
Figure 2014207871
〔製造例c10、c11、c14及びc15〕
樹脂粒子の種類及び添加部数を表8に示すように変更した以外は、製造例c1と同様にして、導電性ゴム組成物c10、c11、c14及びc15を作製した。
〔製造例c12及びc13〕
製造例c1において、アクリロニトリルブタジエンゴムをブタジエンゴムBR)(「JSR BR01」(商品名、JSR(株)製)に変更し、カーボンブラックを30質量部に変更した。更に、樹脂粒子の種類及び添加部数を表8に示すように変更した。上記以外は、製造例c1と同様にして、導電性ゴム組成物c12及びc13を作製した。
〔製造例c16〕
クロロプレンゴム(商品名:ショープレンWRT、昭和電工(株)製)75質量部に対し下記表8の成分(1)の欄に示す他の3種類の材料を加えて、50℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。これに表7の成分(2)の欄に示す3種類の材料を添加し、温度20℃に冷却した二本ロール機で15分間混練し、導電性ゴム組成物c18を作製した。
Figure 2014207871
Figure 2014207871
<帯電部材の製造例T1〜T19>
〔製造例T1〕
[導電性基体の作製]
直径6mm、長さ252.5mmのステンレス製丸棒に、カーボンブラックを10質量%含有させた熱硬化性接着剤を塗布し、乾燥したものを導電性基体とした。
[帯電部材の作製]
クロスヘッドを具備する押出成形装置を用いて、導電性基体を中心軸として、その外周部を、同軸円筒状に導電性ゴム組成物c1によって被覆し、ゴムローラを得た。被覆したゴム組成物の厚みは、1mmに調整した。このローラを、熱風炉にて160℃で1時間加熱したのち、ゴム組成物の層の両端部を除去して、長さを224.2mmとし、更に、160℃で1時間2次加熱を行い、厚さが2mmのゴム組成物からなる予備被覆層を有するローラを作製した。
得られたローラの外周面を、プランジカット式の円筒研磨機を用いて研磨した。研磨砥石としてビトリファイド砥石を用い、砥粒は緑色炭化珪素(GC)で粒度は100メッシュとした。ローラの回転数を350rpmとし、研磨砥石の回転数を2050rpmとした。ローラの回転方向と研磨砥石の回転方向は、同方向(従動方向)とした。切込み速度を20mm/minとし、スパークアウト時間(切込み0mmでの時間)を0秒と設定して研磨を行い、弾性ローラe1を作製した。樹脂層の厚みは、1.5mmに調整した。なお、このローラのクラウン量は110μmに調整した。
得られた弾性部材e1に対して、以下に示す条件(表9に記載)で表面を電子線照射により処理を行い、弾性ローラを得た。
電子線の照射には、最大加速電圧150kV、最大電子電流40mAの電子線照射装置(岩崎電気株式会社製)を用い、照射時には窒素ガスパージを行った。処理条件は加速電圧:80kV、電子電流:20mA、処理速度:2.04m/min、酸素濃度:100ppmであった。本電子線照射装置の加速電圧80kVにおける装置定数は20.4であり、前記数式(1)より算出される線量は200kGyである。
この弾性ローラはその表面に、ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部とボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部を有する導電性樹脂層を有していた。この弾性ローラを帯電部材T1とした。帯電部材物性値の評価結果を表10に示す。
〔製造例T2〕
導電性ゴム組成物の種類を表9に示す条件に変更した以外は、製造例T1と同様にして、弾性部材e2を得た。得られた弾性部材e2を、まず、熱風循環乾燥機にて温度200℃で30分間加熱した。その後、製造例T1と同様にして、電子線照射により処理を行い、帯電部材T2を得た。帯電部材物性値の評価結果を表10に示す。
〔製造例T3〜T15〕
導電性ゴム組成物の種類、研磨条件、弾性部材、熱風循環乾燥機加熱条件、電子線照射条件を、各々表9に示す条件に変更した以外は、製造例T2と同様にして帯電部材T3〜T15を作製した。帯電部材物性値の評価結果を表10に示す。尚、表9において数値が記載されていない場合は、条件を付与しなかったことを意味する。
〔製造例T16及びT17〕
導電性ゴム組成物の種類、研磨条件を変更した以外は、製造例T2と同様にして、弾性部材を得た。得られた弾性部材に、紫外線照射により処理を行い。帯電部材T16及びT17を得た。紫外線照射には、紫外線の照射には低圧水銀ランプ(ハリソン東芝ライティング(株)製)を用い、254nmの波長の紫外線を積算光量が9000mJ/cmになるように照射した。帯電部材物性値の評価結果を表10に示す。
〔製造例T18及びT19〕
導電性ゴム組成物の種類、研磨条件、弾性部材、熱風循環乾燥機加熱条件、電子線照射条件を、各々表9に示す条件に変更した以外は、製造例T2と同様にして帯電部材T18及びT19を作製した。帯電部材物性値の評価結果を表10に示す。
<帯電部材及び樹脂粒子の評価方法>
〔帯電部材の電気抵抗〕
図5は帯電部材の電気抵抗値の測定装置である。導電性基体1の両端に軸受け33により荷重をかけて、帯電部材5を、電子写真感光体と同じ曲率の円柱形金属39に、平行になるように当接させる。この状態で、モータ(不図示)により円柱形金属39を回転させ、当接した帯電部材5を従動回転させながら安定化電源34から直流電圧−200Vを印加する。この時に流れる電流を電流計35で測定し、帯電部材の電気抵抗値を計算する。荷重は各4.9Nとし、金属製円柱は直径30mm、金属製円柱の回転は周速45mm/secとする。
なお、測定にあたり、帯電部材を温度23℃、相対湿度50%の環境に24時間以上放置し、同環境下に置かれた測定装置を用いて測定を行う。
〔表面粗さ〕
十点平均粗さRzjis、算術平均粗さRa及び凹凸平均間隔Smは、JIS B 0601−1994表面粗さの規格に準じて測定し、表面粗さ測定器「SE−3500」(商品名、株式会社小坂研究所製)を用いて行う。十点平均粗さRzjis及び算術平均粗さRaは、帯電部材を任意に6箇所測定し、その平均値である。また、平均凹凸間隔Smは、前記任意の6点の各箇所において10点の凹凸間隔を測定し、その平均値を求め、6箇所の平均値の平均値として算出する。測定に際し、カットオフ値は0.8mm、評価長さは8mmに設定する。
〔ボウル形状の樹脂粒子の形状測定〕
測定箇所は、ローラ長手方向の中央部、中央部から両端部方向へ各45mm離れた位置、及び中央部から両端部方向へ各90mm離れた位置の、長手方向の各5箇所について、ローラ周方向の各2箇所(位相0°及び180°)の合計10か所とする。これらの各測定箇所において導電性樹脂層を500μmに亘って、20nmずつ集束イオンビーム加工観察装置(商品名:FB−2000C、日立製作所社製)を用いて、切り出し、その断面画像を撮影する。そして得られた断面画像を組み合わせ、ボウル形状の樹脂粒子の立体像を算出する。立体像から、図3で示すように最大径58と、図4で示す開口径の最小径74を算出する。また、上記立体像から、ボウル形状の樹脂粒子の任意の5点において、ボウル形状の樹脂粒子のシェルの厚さを測定する。このような測定を視野内の樹脂粒子10個について行い、得られた計100個の測定値の平均値を算出し、これらをそれぞれ、「最大径」、「開口径の最小径」及び「シェル厚さ」とする。また、シェルの厚さの測定に際しては、各々のボウル形状の樹脂粒子について、シェルの最も肉厚な部分の厚みが、最も肉薄の部分の厚みの2倍以下、すなわち、シェルの厚さが、略均一であることを確認した。
〔帯電部材表面の凸部の頂点と凹部の底部との高低差の測定〕
帯電部材の表面をレーザー顕微鏡(商品名:LXM5 PASCAL;カール・ツアイス(Carl Zeiss)社製)を用いて、縦0.5mm、横0.5mmの視野で観察する。レーザーを視野内のX−Y平面でスキャンさせることにより2次元の画像データを得、更に焦点をZ方向に移動させ、上記のスキャンを繰り返すことにより3次元の画像データを得る。その結果、まず、ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部を有していることを確認する。更に、前記凸部54の頂点55と、前記凹部の底部56との高低差57を算出する。このような作業を視野内のボウル形状の樹脂粒子2個について行う。そして、同様の測定を帯電部材の長手方向50箇所について行い、得られた計100個の測定値の平均値を算出し、この値を「高低差」とする。
〔樹脂粒子の平均粒径の測定方法〕
コールターカウンターマルチサイザーにより、樹脂粒子の粉体を用いて測定する。具体的には、電解質溶液100〜150mlに界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml添加し、この液中に樹脂粒子を2〜20mg添加する。樹脂粒子を懸濁した電解質液を超音波分散器で1〜3分間分散処理して、コールターカウンターマルチサイザーにより100μmのアパチャーを用いて、体積を基準として粒度分布を測定する。得られた粒度分布から体積平均粒子径をコンピュータ処理により求め、これを樹脂粒子の平均粒径とする。
〔帯電部材の弾性変形に対する復元速度の測定〕
ISO14577に基づき、ピコデンターHM500(商品名、株式会社フィッシャー・インストルメント社製)を用いて測定した。圧子としては、基部が正方形の角錐型ダイヤモンド圧子で、頂点を挟む対面角度が136°である圧子(ビッカース角錐)を用いた。測定は、長手方向の中央部及び両端部(中央部から両端方向へ各90mmの位置)において行い、平均値を本発明の復元速度とする。
測定は上記圧子を所定の速度により所定の深さまで押し込む工程(以下、「押し込み工程」と称する)と、所定の押し込み深さ位置から所定の速度により荷重を除荷する工程(以下、「除荷工程」と称する)からなる。こうして得られる図7に示すような荷重変位曲線から、弾性変形に対する復元速度を算出した。復元速度の算出方法については後述する。
測定は、下記に示す2つの条件にて行った。尚、図7は、<条件2>におけるt=100μmの場合の荷重変位曲線の例である。
[条件1]表面における復元速度の測定
{押し込み工程}
・最大押し込み深さ=10μm
・押し込み時間=20秒
尚、最大押し込み深さまで押し込むことが可能なように、最大荷重Fmaxは十分大きな値とする必要があり、本測定では10mNとした。
{除荷工程}
・最小荷重=0.005mN
・除荷時間=1秒
尚、除荷は圧子の最小荷重に到達するまで行った。
弾性変形に対する復元速度vは、除荷工程における除荷開始0.1秒での圧子の変位(=復元距離L)から下記式により算出した。
復元速度v=L/0.1
[条件2]所定の深さtμmにおける復元速度の測定
{押し込み工程}
・最大押し込み深さ(所定の深さt)=20、30、50、100μm
・押し込み時間=20秒
尚、最大押し込み深さまで押し込むことが可能なように、最大荷重は十分大きな値とする必要があり、本測定では300mNとした。
{除荷工程}
・最小荷重=0.005mN
・除荷時間=(最大押し込み深さ)/10sec
除荷は圧子の最小荷重に到達するまで行った。除荷時間は、押し込み工程の最大押し込み深さにより決定され、例えば、最大押し込み深さt=20μmの場合は、除荷時間は2秒となる。これは、条件1と条件2の除荷速度を同一にするためである。弾性変形に対する復元速度vの算出は、条件1と同様にして行った。
Figure 2014207871
Figure 2014207871
<実施例1>
図6に示す構成を有する画像形成装置であるキヤノン(株)製モノクロレーザープリンタ(「LBP6300」(商品名))を、370mm/secのプロセススピードに改造し、更に、外部より、帯電部材に電圧を印加した。印加する電圧は、交流電圧として、ピークピーク電圧(Vpp)が1600V、周波数(f)が1350Hz、直流電圧(Vdc)が−560Vをとした。画像の解像度は、600dpiで出力した。なお、プロセスカートリッジとして、上記プリンタ用のプロセスカートリッジを用いた。
まず、上記プロセスカーリッジから、トナーをすべて取り出し清掃した。そして、製造例A1で作製したトナー1を、上記プロセスカーリッジから取り出した重量と同重量投入した。
更に、プロセスカートリッジから付属の帯電部材を取り外し、製造例T1で作製した帯電部材T1をセットした。尚、帯電部材は、電子写真感光体に対し、一端で4.9N、両端で合計9.8Nのバネによる押し圧力で当接させた。
このプロセスカートリッジを低温低湿環境(7.5℃/30%RH環境)に24時間馴染ませた後、クリーニング性の評価を行った。
画像形成は、電子写真感光体の回転方向と垂直方向に幅2ドット、間隔186ドットの横線画像を10千枚出力した。10千枚の出力は、2枚ごとにプリンタの回転を3秒間停止する条件での画像形成を行い、1日目から3日目は、1日3千枚の画出し試験、4日目は、1日1千枚の画出し試験を行った。
クリーニング性の評価は、
(a)当該横線画像出力開始直後から1千枚印字する間の当該横線画像(表14における評価1)、
(b)3千枚耐久使用後であって2日目の画出し試験開始直後から1千枚印字する間の当該横線画像(表における評価2)、
(c)6千枚耐久使用後であって3日目の画出し試験開始直後から1千枚印字する間の当該横線画像(表14における評価3)、及び、
(d)9千枚耐久使用後であって4日目の画出し試験開始直後から1千枚印字する間の当該横線画像(表14における評価4)
で行った。
クリーニング性に対しては、2日目、3日目が最も厳しい評価条件となる。これは、画像形成初日または最終日と比較し、転写工程を経て形成される凝集トナーが最も発生しやすいためである。
得られた1千枚の当該横線画像を目視で評価し、下記表11に示す基準によって、クリーニング性を判定した。尚、クリーニング不良が発生すると、前述した通り、当該画像に縦スジ画像として観察される。
Figure 2014207871
帯電部材汚れの評価は、当該横線画像出力3千枚耐久使用後、ハーフトーン画像(電子写真感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドット、間隔2ドットの横線を描く画像)を出力し評価した(表13における評価5)。また、上記と同様にして、6千枚耐久出力後(表13の評価6)、9千枚出力後(表13の評価7)、10千枚出力後(表13の評価8)、各々にハーフトーン画像を出力した。尚、評価はハーフトーン画像を目視にて観察し、該画像に帯電部材汚れに起因する前述したドット状画像が認められるか否かを下記表12に記載の基準で判定した。
Figure 2014207871
<実施例2〜34>
トナーと帯電部材の組み合わせを表13に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表13に示す。
<比較例1〜12>
トナーと帯電部材の組み合わせを表13に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表13に示す。いずれの比較例においても、縦スジ画像が目立ち、画質の低下が認められた。
Figure 2014207871
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために以下の請求項を添付する。
1 導電性基体
2 導電性弾性層
3 導電性樹脂層
4 電子写真感光体
5 帯電部材(帯電ローラ)
10 クリーニング部材
51 ボウル形状の樹脂粒子の開口
52 ボウル形状脂粒子の開口に由来する凹部
53 ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジ
54 ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部
55 ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部の頂点
56 ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部の底部
57 高低差
58 ボウル形状の樹脂粒子の最大径
61 ボウル形状の樹脂粒子
71 開口部
72 開口部に丸みのある凹部
74 開口部の最小径

Claims (5)

  1. 感光体と、該感光体を帯電部材によって帯電するための帯電手段と、帯電された該感光体の表面に静電潜像を形成するための露光手段と、静電潜像が形成された該感光体にトナーを供給してトナー像を該感光体の表面に形成するための現像手段と、該帯電手段の前に、残留トナーを回収するためのクリーニング手段とを有する画像形成装置であって、
    該帯電部材は、導電性基体と導電性樹脂層を有し、
    該導電性樹脂層は、結着樹脂Cとボウル形状の樹脂粒子とを含み、
    該帯電部材の表面は、該ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部とを有し、
    該トナーは、結着樹脂T及び着色剤を含有するトナー粒子と、無機微粒子とを含有するトナーであって、
    該無機微粒子がシリカ微粒子であり、
    該トナーは、該シリカ微粒子をトナー粒子100質量部あたり0.40質量部以上1.50質量部以下含有し、
    該シリカ微粒子は、シリカ原体100質量部に対して、15.0質量部以上40.0質量部以下のシリコーンオイルによって処理されており、該シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率(%)が70%以上であり、
    X線光電子分光装置(ESCA)により求めた、該トナーの表面の該シリカ微粒子による被覆率X1が50.0面積%以上75.0面積%以下であり、該シリカ微粒子による理論被覆率をX2としたとき、下記式1で示される拡散指数が下記式2を満足するトナーであることを特徴とする画像形成装置。
    (式1)拡散指数=X1/X2
    (式2)拡散指数≧−0.0042×X1+0.62
  2. 前記ボウル形状の樹脂粒子が、開口部を有し、且つ、シェルによって画定された丸みのある凹部を有する樹脂粒子であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記帯電部材の表面の十点平均粗さRzjisが、15μm以上75μm以下であり、且つ、前記帯電部材の表面の算術平均粗さRaが3.0μm以上7.0μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. 前記帯電部材の復元速度が、帯電部材の表面から内部方向に向かって小さくなっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  5. 前記帯電手段、前記感光体及び前記クリーニング手段を一体に支持し、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置から着脱可能に構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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