JP6772008B2 - 電子写真用部材、その製造方法、プロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置 - Google Patents
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Description
式(1) D=L1/L2−tanθ>0 。
式(1) D=L1/L2−tanθ>0 。
(1)前記凹部の最大内径を規定する2点を直径とする疑似円を描き、前記第1の方向の接線a”を描く。
(2)該接線a”から、前記第1の凸部領域の先端Eまでの前記第2の方向の距離をL1とする。
(3)前記凹部内の前記樹脂粒子の内壁面と、前記第1の直線aとの交点Pを通り、前記第2の方向に延在する第2の直線bを描く。
(4)前記最高点Cを通り前記第2の方向に延在する第3の直線b”を描く。
(5)該第2の直線bから、第3の直線b”までの距離をL2とする。
(6)前記第1の凸部領域の先端Eの前記第1の方向の最高点C’と前記第2の凸部領域の最外端Aとを結ぶ第4の直線cを描く。
(7)該第4の直線cと前記第2の方向とがなす角をθとする。
式(1) D=L1/L2−tanθ>0 。
式(2) M1=FL2sinθ
式(3) M2=FL1cosθ 。
式(4) M2>M1 。
式(1) D=L1/L2−tanθ>0 。
本発明に係る電子写真用部材の一例を示す概略断面図を図5に示す。図5(5a)の電子写真用部材は、導電性基体1と導電性弾性層2を有している。導電性弾性層は図5(5b)に示すように、導電性弾性層21及び22の2層構成であってもよい。尚、導電性弾性層は、バインダー及びボウル形状の樹脂粒子を含有している。
本件の電子写真用部材に用いられる導電性基体は、導電性を有し、その上に設けられる導電性弾性層を支持する機能を有するものである。材質としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケルの如き金属やその合金(ステンレス鋼等)を挙げることができる。
図6は本発明に係る電子写真用部材の表面層を構成する導電性弾性層の表面近傍の部分断面図である。導電性弾性層は、バインダー42と、中空形状の樹脂粒子が開口したボウル形状の樹脂粒子41を含み、導電性弾性層の表面には該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジ部が露出している。該ボウル形状の樹脂粒子は、開口51と、前記開口のエッジ部と前記樹脂粒子の内壁とで規定される凹部52と、前記開口のエッジ部に由来する凸部53とを有している。
ボウル形状の樹脂粒子の一例を図7の(7a)から(7d)に示す。本発明において、「ボウル形状」とは、開口を有し、開口の内側に丸みのある凹部を有する形状をいう。「開口」は、図7の(7b)から(7d)に示すようにボウルのエッジ部が突き出た凸部を有していることが必要である。但し、導電性弾性層には、図7の(7a)に示すような、ボウルのエッジ部がすべて平坦な開口を有するボウル形状の樹脂粒子が含まれていてもよい。
導電性弾性層に含有されるバインダーとしては、公知のゴムまたは樹脂を用いることができる。ゴムとしては、例えば、天然ゴムやこれを加硫処理したもの、合成ゴムを挙げることができる。合成ゴムとしては以下のものが挙げられる。エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプロピレンゴム(IR)、ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム及びフッ素ゴム。
導電性弾性層の体積抵抗率の目安としては、温度23℃、相対湿度50%の環境下において、1×102Ωcm以上、1×1016Ωcm以下とすることが好ましい。本範囲内とすることで、放電により感光体を適切に帯電することが、より容易になる。そのために、導電性弾性層中に、公知の導電性微粒子を含有してもよい。導電性微粒子としては金属酸化物、金属、カーボンブラック、グラファイトの微粒子が挙げられる。また、これらの導電性微粒子を、1種類単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。導電性弾性層中における導電性微粒子の含有量の目安としては、バインダー100質量部に対して2〜200質量部、特には5〜100質量部である。
導電性弾性層を形成する方法を以下に例示する。まず、導電性基体上に、バインダー中に中空形状の樹脂粒子を分散させた組成物の被覆層を形成する。その後、被覆層の表面を研磨することにより、中空形状の樹脂粒子のシェルの一部を削除して開口を有するボウル形状とし、該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジ部と該樹脂粒子の内壁とで規定される凹部と、該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジ部に由来する凸部を形成する(以下、これらの凹凸を含む形状を「ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状」と称す)。次いで、該凹部への導電性微粒子の塗布、または、酸素含有雰囲気下での被覆層の加熱処理等によって、被覆層の表面に存在する材料の導電率を調整する。
まず、予備被覆層中に中空形状の樹脂粒子を分散させる方法について説明する。一つの方法としては、内部に気体を含有している中空形状の樹脂粒子を、バインダー中に分散させた導電性樹脂組成物の塗膜を基体上に形成し、塗膜を乾燥、硬化、または架橋等を行う方法を例示することができる。尚、導電性樹脂組成物中には導電性粒子を含有させることができる。中空形状の樹脂粒子に使用する材料としては、気体透過性が低く、高反発弾性を有するという観点から、極性基を有する樹脂が好ましく、下記化学式(5)に示すユニットを有する樹脂が、より好ましい。特に研磨性を制御しやすいという観点から、化学式(5)に示すユニットと、化学式(9)に示すユニットを両方有することが、更に好ましい。
導電性弾性層中には上記の他に、絶縁性粒子や、硬度を調整するために、軟化油及び可塑剤の如き添加剤を含有させても良い。可塑剤としては高分子タイプのものを用いることが好ましく、その重量平均分子量は好ましくは2000以上、より好ましくは4000以上である。さらに、種々な機能を付与する材料として、老化防止剤、充填剤、加工助剤、粘着付与剤、粘着防止剤、分散剤、粗し粒子以外の樹脂粒子を含有させてもよい。樹脂粒子としては、以下のものが挙げられる。ポリメタクリル酸メチル粒子、ポリエチレン粒子、シリコーンゴム粒子、ポリウレタン粒子、ポリスチレン粒子、アミノ樹脂粒子、またはフェノール樹脂粒子。
続いて、予備被覆層の形成方法について説明する。予備被覆層の形成方法としては、静電スプレー塗布、ディッピング塗布、ロール塗布のような塗布法により導電性基体上に導電性樹脂組成物の層を形成し、乾燥、加熱、架橋等によってこの層を硬化させる方法が挙げられる。また、導電性樹脂組成物を所定の膜厚に成膜し硬化させたシート形状又はチューブ形状の層を、導電性基体に対して接着又は被覆する方法が挙げられる。更に、導電性基体を配置した型の中に導電性樹脂組成物を入れて硬化させて予備被覆層を形成する方法が挙げられる。また、特に、バインダーがゴムの場合には、クロスヘッドを備えた押出機を用いて、導電性基体と未加硫ゴム組成物を一体的に押出して作製することもできる。クロスヘッドとは、電線や針金の被覆層を構成するために用いられる、押出機のシリンダ先端に設置して使用する押出金型である。この後、乾燥、硬化または架橋等を経た後、予備被覆層の表面を研磨して、中空形状の樹脂粒子のシェルの一部を削除してボウル形状とする。研磨方法としては、円筒研磨方法やテープ研磨法を使用できる。円筒研磨機としては、トラバース方式のNC円筒研磨機、プランジカット方式のNC円筒研磨機が例示できる。
予備被覆層の厚みが中空形状の樹脂粒子の平均粒径の5倍以下の場合、予備被覆層の表面には、中空形状の樹脂粒子由来の凸部が、形成されている場合が多い。この場合には、中空形状の樹脂粒子由来の凸部の一部を樹脂粒子の中空内壁が露出するまで研磨してボウル形状とし、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を形成することができる。この場合、研磨時に予備被覆層にかかる圧力が比較的小さい、テープ研磨方式を使用することがより好ましい。一例として、テープ研磨方式を使用する際の、予備被覆層の研磨条件として好ましい範囲を下記に示す。
予備被覆層の厚みが中空形状の樹脂粒子の平均粒径の5倍を超える場合、予備被覆層の表面には、中空形状の樹脂粒子由来の凸部が形成されていない場合が発生する。この様な場合は、中空形状の樹脂粒子と予備被覆層の材料との研磨性の差を利用して、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を形成可能である。中空形状の樹脂粒子は、内部に気体を内包しているため、高反発弾性を有する。これに対し、予備被覆層のバインダーとしては、比較的反発弾性が低く、且つ、伸びの小さなゴム又は樹脂を選択する。これにより予備被覆層は研磨されやすく、中空形状の樹脂粒子は研磨されにくい状態を達成できる。上記状態の予備被覆層を研磨すると、中空形状の樹脂粒子は、予備被覆層と同じ状態で研磨されることなく、中空形状の樹脂粒子のシェルの一部が削除されたボウル形状とすることができる。これにより、予備被覆層の表面に、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を形成することができる。この方法は、中空形状の樹脂粒子と予備被覆層の材料との研磨性の差を利用して、凹凸形状を形成する方法であるため、予備被覆層に使用する材料(バインダー)としては、ゴムが好ましい。この中でも、低反発弾性、且つ、伸びが小さいという観点から、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴムを使用することが特に好ましい。
本発明に係る電子写真用部材は、前記数式(1)を満たすボウル形状の樹脂粒子をその表面に有することにより、「弾性変形方向の遷移」を抑制する。そして、前記数式(1)を満たすためには、適度に下記に示す表面仕上げを行うことが好ましい。この表面仕上げは、上述した研磨工程の後工程として行うことが好ましい。上記表面仕上げの手段として、下記の2つが例示できる。
〔方法1〕圧接部材によって圧力をかけ、回転させながら加熱を行う圧接回転加熱工程。
〔方法2〕被覆層の表面を酸素含有雰囲気下(大気雰囲気下等)にて加熱処理した後、表面仕上げ研削を行う工程。
上記〔方法2〕を行うために、好ましい表面仕上げ研削手法について、以下に詳述する。表面仕上げ研削の一例として図9に示すテープ研磨方式を使用する際の、予備被覆層の研磨条件として好ましい範囲を以下に示す。
〔1〕中空形状の樹脂粒子をバインダー中に分散させた組成物の被覆層を導電性基体上に形成して導電性ローラを作製する工程1、該被覆層の表面を研磨することにより、中空形状の樹脂粒子のシェルの一部を削除して開口を有するボウル形状とし、該被覆層の表面に該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジ部と樹脂粒子の内壁とで規定される凹部と、該開口のエッジ部に由来する凸部を形成する工程2、及び、該導電性ローラに、該導電性基体の回転軸に平行な回転軸を有する円筒状の圧接部材を押し当てて両者を回転させながら加熱を行う圧接回転加熱工程3、を有する電子写真用部材の製造方法。
〔2〕前記方法において、工程3の代わりに、該導電性ローラを酸素含有雰囲気下にて加熱処理する工程3’、及び、テープ研磨方式により該被覆層の表面仕上げ研削を行う工程4、を有する電子写真用部材の製造方法。
〔3〕導電性微粒子、熱架橋性ゴム、および、中空形状の樹脂粒子を含む熱架橋性ゴム組成物の被覆層を該基体上に形成する工程、該被覆層の表面を研磨することにより、該中空形状の樹脂粒子のシェルの一部を削除して、開口を有するボウル形状の樹脂粒子となし、かつ、開口のエッジ部が表面に露出する状態で該ボウル形状の樹脂粒子が保持されてなる層を形成する工程、及び、該被覆層中の熱架橋性ゴムを、酸素存在下で熱架橋せしめて、該開口のエッジ部と樹脂粒子の内壁とで規定される凹部と、該開口のエッジ部に由来する凸部と、を表面に有し、かつ、表面の一部が、導電性弾性層で構成されてなる電子写真用部材を得る工程、を有する電子写真用部材の製造方法。
本発明に係る電子写真画像形成装置は電子写真部材と電子写真感光体を有する。本発明に係る電子写真部材はこの電子写真画像形成装置において用いることができる。
本発明に係るプロセスカートリッジは、電子写真用部材と電子写真感光体を有し、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されている。本発明に係るプロセスカートリッジの一例の概略構成を図11に示す。このプロセスカートリッジは、電子写真感光体102、帯電ローラ101、現像ローラ103、クリーニング部材106等を一体化し、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されている。本発明に係る電子写真用部材は、このプロセスカートリッジが備える帯電ローラとして使用することができる。
イオン交換水4000質量部と、分散安定剤としてコロイダルシリカ9質量部およびポリビニルピロリドン0.15質量部からなる水性混合液を調製した。次いで、重合性単量体としてアクリロニトリル50質量部、メタクリロニトリル45質量部、及び、メチルアクリレート5質量部と、内包物質としてノルマルヘキサン12.5質量部と、重合開始剤としてジクミルパーオキシド0.75質量部からなる油性混合液を調製した。この油性混合液を、前記水性混合液に添加し、更に水酸化ナトリウム0.4質量部を添加することにより、分散液を調製した。
製造例A1において、分級条件を変更した以外は同様の方法で樹脂粒子No.2を得た。
コロイダルシリカの使用量、重合性単量体の種類と使用量、重合時の攪拌回転数の一つ以上を変更した以外は、製造例A1と同様の方法により樹脂粒子を作製し、分級することによって、樹脂粒子No.3及びNo.5〜No.8を得た。
製造例A3において、分級条件を変更した以外は同様の方法で樹脂粒子No.4を得た。
製造例A7において、分級条件を変更した以外は同様の方法で樹脂粒子No.9を得た。
製造例A8において、分級条件を変更した以外は同様の方法で樹脂粒子No.10を得た。
樹脂粒子No.1〜No.10の体積平均粒径測定を、レーザ回折型粒度分布計(商品名:コールターLS−230型粒度分布計、コールター社製)により行った。測定には、水系モジュールを用い、測定溶媒として純水を使用した。純水にて粒度分布計の測定系内を約5分間洗浄し、消泡剤として測定系内に亜硫酸ナトリウムを10〜25mg加えて、バックグラウンドファンクションを実行した。次に純水50ml中に界面活性剤3滴〜4滴を加え、更に測定試料(樹脂粒子)を1mg〜25mg加えた。試料を懸濁した水溶液を超音波分散器で1分間〜3分間分散処理を行い、被験試料液を調製した。前記測定装置の測定系内に被験試料液を徐々に加えて、装置の画面上の偏光散乱強度差(PIDS)が45%以上55%以下になるように測定系内の被験試料濃度を調整して測定を行った。得られた体積分布から体積平均粒子径Dvを算出した。樹脂粒子No.1〜No.10の材料の処方、重合時の撹拌条件、および、体積平均粒径を表1に示す。
アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)(商品名:N230SV,JSR社製)100質量部に対し、表2の成分(1)の欄に示す他の材料を加えて、50℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。これに、表2の成分(2)の欄に示す材料を添加した。次いで、温度25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、導電性ゴム組成物No.1を得た。
アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)(商品名:N230SV,JSR社製)100質量部に対し、表3の成分(1)の欄に示す他の材料を加えて、50℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。これに、表3の成分(2)の欄に示す材料を添加した。次いで、温度25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、導電性ゴム組成物No.2を得た。
シリコーンオイルのオイル種、樹脂粒子(樹脂粒子No.3〜No.8)を表5に示す条件とした以外は、製造例B1と同様にして導電性ゴム組成物No.3〜No.8を得た。なお、使用したシリコーンオイルの詳細を表4に示す。
製造例B5において、アクリロニトリルブタジエンゴムをブタジエンゴム(BR)(商品名:JSR BR01、JSR社製)に変更し、樹脂粒子、カーボンブラックを表5に示す条件とした以外は、製造例B2と同様にして導電性ゴム組成物No.9〜No.12を得た。
クロスヘッドを具備する押出成形装置を用いて、導電性基体を中心軸として、その周面上に円筒状に製造例B1で作製した導電性ゴム組成物No.1を被覆した。導電性ゴム組成物の厚みは、1.75mmに調整した。
3−1.ボウル形状の樹脂粒子(以下「ボウル」とも称す)の形状測定
以下の方法にて測定を行う。測定箇所は、電子写真用部材の長手方向の中央部、中央部から両端部方向へ各30mm離れた位置、及び中央部から両端部方向へ各75mm離れた位置の、長手方向の各5箇所について、電子写真用部材の周方向の各6箇所(位相0°、60°、120°、180°、240°、及び300°)の合計30箇所とする。これらの各測定点を中心とした長手方向0.5mm、周方向0.5mmの範囲(以下、「測定範囲」と称す)をレーザ顕微鏡(商品名:LXM5 PASCAL:Carl Zeiss社製)を用いて観察する。レーザを視野内のX−Y平面でスキャンさせることにより表面の2次元の画像データを得、更に焦点をZ方向(電子写真用部材の中心軸方向)に移動させ、上記のスキャンを繰り返すことにより3次元の画像データを得る。その結果、まず、電子写真用部材の表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子が、開口のエッジ部と樹脂粒子の内壁とで規定される凹部と、該開口のエッジ部に由来する凸部とを有していることを確認する。この測定範囲において、電子写真用部材の回転軸の中心点Oからの距離が最も離れた最高点Cを有する、突き出した第1の凸部領域を有するボウルを選択する。選択したボウルを、該第1の凸部領域の最高点Cを通る電子写真用部材の回転軸に直交する断面に関して集束イオンビーム加工観察装置(商品名:FB−2000C、日立製作所社製)を用いて、切り出し、その断面画像を撮影する。断面画像から、図1に示すL1、L2及びθを測定する。次いで、前記数式(1)におけるD値を算出する。
図11に示す構成を有する電子写真装置であるキヤノン(株)製モノクロレーザープリンタ(「LBP6700」(商品名))を370mm/secのプロセススピードに改造した。このプリンタ用のプロセスカートリッジから付属の帯電ローラを取り外し、その代わりに電子写真用部材No.1を帯電ローラとしてセットした。帯電ローラは、電子写真感光体に対し、一端で4.9N、両端で合計9.8Nのバネによる押し圧力で当接させた。更に、外部より、帯電ローラに電圧を印加した。印加電圧は、交流電圧として、ピーク−ピーク電圧(Vpp)を1800V、周波数(f)を1350Hz、直流電圧(Vdc)を−600Vとした。画像の解像度は600dpiとした。
ランク1:ポチ状の画像欠陥が認められない。
ランク2:ポチ状の画像欠陥がわずかに認められる。
ランク3:ポチ状の画像欠陥が一部の領域に、帯電ローラの回転ピッチに対応して発生していることが認められる。
ランク4:ポチ状の画像欠陥が広範囲に認められ、目立つ。
ランク1:横スジ状の画像欠陥が認められない。
ランク2:横スジ状の画像欠陥がわずかに認められる。
ランク3:横スジ状の画像欠陥が一部の領域に、帯電ローラの回転ピッチに対応して発生していることが認められる。
ランク4:横スジ状の画像欠陥が広範囲に認められ、目立つ。
実施例1において、樹脂粒子の種類、表面仕上げ研削時のワーク回転数、ラッピングフィルムの砥粒粒度を表7に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真部材No.2〜No.18を作製した。各電子写真用部材の物性測定及び画像評価の結果を表8に示す。実施例2〜10の電子写真用部材には、30箇所の全ての測定範囲において、数式(1)を満たすボウル形状の樹脂粒子が存在している。
研磨までの工程について、実施例1と同様にして行うことにより、研磨した導電性ローラを作製した。次に、図8に模式的に示す圧接加硫装置を用いて円筒状の圧接部材62による圧接加硫と同時に、端部に押し付ける圧接部材63(端部圧接部材)により導電性ローラ61の両側から圧接を行った。圧接部材63として、凹部の形状はR=1.5mmの円弧状のものを用いた。円筒状の圧接部材の温度は160℃とし、端部に押し付ける圧接部材63の温度は180℃とし、20分間の圧接加硫を行った。その際、圧接加硫装置の両端部において、片側1kgの荷重になるようにバネ64を調整した。さらにその後、予め180℃に温度上昇させた熱風炉中で30分間の二次加硫を行い、端部がR面付きの電子写真用部材No.19を得た。この電子写真用部材の物性測定及び画像評価の結果を表8に示す。なお、円筒状の圧接部材62はいわゆる逆クラウン形状(長手方向の中央部の外径が端部の外径より小さい形状)をなしており、ローラゴム部の端部に相当する部分と中央に相当する部分で、0.1mmの外径差を設けているものである。
導電性ゴム組成物を表9に示す材料に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、研磨した導電性ローラを作製した。各導電性ローラの表面に対して、引用文献1に記載の条件と同様の以下に示す条件で、電子線照射により処理を行って、電子写真用部材No.21〜No.24を得た。電子線の照射には、最大加速電圧150kV、最大電子電流40mAの電子線照射装置(岩崎電気株式会社製)を用い、照射時には窒素ガスパージを行った。処理条件は加速電圧:125kV、電子電流:35mA、処理速度:1.27m/min、酸素濃度:100ppmであった。電子写真用部材No.21〜No.24の物性測定及び画像評価の結果を表10に示す。
2:導電性弾性層
21:導電性弾性層
22:導電性弾性層
32:電子写真用部材
41:ボウル形状の樹脂粒子
42:導電性弾性層
51:ボウル形状の樹脂粒子の開口
52:ボウル形状の樹脂粒子の凹部
53:ボウル形状の樹脂粒子の凸部
61:電子写真用部材
62:円筒状の圧接部材
94:電子写真用部材
101:帯電ローラ
102:電子写真感光体
Claims (15)
- 導電性基体と、該導電性基体上の表面層としての導電性弾性層とを有するロール形状の電子写真用部材であって、
該導電性弾性層は、バインダーと、中空形状の樹脂粒子が開口したボウル形状の樹脂粒子とを含み、
該導電性弾性層の表面には、該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジ部が露出されており、
該ボウル形状の樹脂粒子は、該開口のエッジ部と該樹脂粒子の内壁とで規定される凹部と、該開口のエッジ部に由来する凸部と、を有し、
該電子写真用部材の回転軸の中心Oから該凹部内の該樹脂粒子の内壁までの最短距離を形成する第1の直線aに沿う方向を第1の方向とし、該第1の方向に直交しかつ該電子写真用部材の長手方向に直交する方向を第2の方向としたとき、
該凸部は、該回転軸の中心Oから該第1の方向に最も離れた最高点Cを有し、該最高点を該第1の方向に正投影した際に、該最高点の投影点P’が、該凹部内に位置するように突き出た第1の凸部領域と、該第1の凸部領域の突き出た先端Eから該第2の方向にある開口のエッジ部A-A’で構成される第2の凸部領域と、を有し、かつ、
該凹部の最大内径を規定する2点を直径とする疑似円の該第1の方向の接線a”から、該第1の凸部領域の先端Eまでの該第2の方向の距離をL1、
該凹部内の該樹脂粒子の内壁面と、該第1の直線aとの交点Pを通り、該第2の方向に延在する第2の直線bから、該最高点Cを通り該第2の方向に延在する第3の直線b”までの距離をL2、
該第1の凸部領域の先端Eの該第1の方向の最高点C’と該第2の凸部領域の最外端Aとを結ぶ第4の直線cと該第2の方向とがなす角をθとしたとき、
下記数式(1)を満たすボウル形状の樹脂粒子を少なくとも一つ有することを特徴とする電子写真用部材:
式(1) D=L1/L2−tanθ>0 。 - 電子写真用部材の長手方向を5等分割した5領域内に各1箇所、及び各箇所における周方向の各6箇所(位相0°、60°、120°、180°、240°、及び300°)の合計30箇所のそれぞれにおいて、長手方向0.5mm、周方向0.5mmの領域の表層を「測定範囲」とした場合に、前記数式(1)を満たす、ボウル形状の樹脂粒子が、少なくとも一つ存在する「測定範囲」が15箇所以上である、請求項1に記載の電子写真用部材。
- 前記30箇所の測定範囲にて算出される前記D値の平均値D(Ave)が0.02以上である請求項2に記載の電子写真用部材。
- 前記30箇所の測定範囲にて算出される前記D値が、いずれも0より大きい、請求項2に記載の電子写真用部材。
- 前記30箇所の測定範囲にて測定される前記D値が、いずれも0.01以上である、請求項2に記載の電子写真用部材。
- 前記L1の値が、前記樹脂粒子の内径をdとした場合、0.1d以上0.9d以下である、請求項1〜5のいずれかの一項に記載の電子写真用部材。
- 前記L2の値が、前記樹脂粒子の内径をdとした場合、0.1d以上0.9d以下である、請求項1〜6のいずれかの一項に記載の電子写真用部材。
- 前記θの値が1°以上40°以下である、請求項1〜7のいずれかの一項に記載の電子写真用部材。
- 請求項1〜8のいずれかの一項に記載の電子写真用部材の製造方法であって、
中空形状の樹脂粒子をバインダー中に分散させた組成物の被覆層を導電性基体の外周に形成して導電性ローラを作製する工程、
該被覆層の表面を研磨することにより、中空形状の樹脂粒子のシェルの一部を削除して開口を有するボウル形状とし、該被覆層の表面に、該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジ部と樹脂粒子の内壁とで規定される凹部と、該開口のエッジ部に由来する凸部と、を形成する工程、及び、
該導電性ローラに、該導電性基体の回転軸に平行な回転軸を有する円筒状の圧接部材を押し当てて両者を回転させながら加熱を行う圧接回転加熱工程、
を有することを特徴とする電子写真用部材の製造方法。 - 前記圧接回転加熱工程において、前記導電性ローラの両側に一組の円筒状の圧接部材を押し当てる、請求項9に記載の電子写真用部材の製造方法。
- 前記圧接回転加熱工程を、140℃以上240℃以下の温度で1〜120分間行う、請求項9または10に記載の電子写真用部材の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれかの一項に記載の電子写真用部材の製造方法であって、
中空形状の樹脂粒子をバインダー中に分散させた組成物の被覆層を導電性基体の外周に形成して導電性ローラを作製する工程、
該被覆層の表面を研磨することにより、中空形状の樹脂粒子のシェルの一部を削除して開口を有するボウル形状とし、該被覆層の表面に、該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジ部と樹脂粒子の内壁とで規定される凹部と、該開口のエッジ部に由来する凸部と、を形成する工程、
該導電性ローラを酸素含有雰囲気下にて加熱処理する工程、及び
テープ研磨方式により該被覆層の表面仕上げ研削を行う工程、
を有することを特徴とする電子写真用部材の製造方法。 - 前記加熱処理する工程を、180℃以上210℃以下の温度で10〜200分間行う、請求項12に記載の電子写真用部材の製造方法。
- 請求項1〜8いずれかの一項に記載の電子写真部材と電子写真感光体を有し、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 請求項1〜8いずれかの一項に記載の電子写真部材と電子写真感光体を有することを特徴とする電子写真画像形成装置。
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