JP6786241B2 - 帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 Download PDF

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Description

本発明は、電圧を印加して被帯電体である電子写真感光体の表面を所定の電位に帯電するための帯電部材、それを用いたプロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置(以下、「電子写真装置」と称す)に関する。
電子写真方式を採用した電子写真装置は、主に、電子写真感光体(以下、単に「感光体」とも称す)、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置及び定着装置からなる。帯電装置としては、感光体の表面に接触又は近接配置された帯電部材に電圧(直流電圧のみの電圧又は直流電圧に交流電圧を重畳した電圧)を印加することによって感光体の表面を帯電する接触帯電装置が多く採用されている。
接触帯電による感光体の帯電をより安定化させるため、特許文献1には、表面に樹脂粒子等に由来した凸部を有する表面層を備えた接触帯電用の帯電部材が開示されている。このような帯電部材を用いることで感光体の帯電がより安定化する。しかしながら、特許文献1に記載の帯電部材では、感光体と当接した際、帯電部材(帯電ローラ)の表面の樹脂粒子に由来した凸部に当接圧が集中する。そのため、長期間に亘る使用においては感光体の表面に不均一な摩耗を生じ、このような不均一な摩耗に起因した縦スジ状の画像不良が発生する場合があった。
この課題に対して、特許文献2では導電性樹脂層中に開口を有したボウル形状の樹脂粒子を含有し、帯電部材の表面にボウル形状の樹脂粒子の開口及びエッジに由来した凹凸形状を有する帯電部材が提案されている。特許文献2に記載されている帯電部材を用いることにより、帯電部材の表面のボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジ(以下、単に「エッジ」とも称す)が弾性変形することで、感光体への当接圧力が緩和される。上記理由により、長期間に亘る使用においても感光体の不均一な摩耗を抑制することが可能となる。
特開2008−276026号公報 特開2011−237470号公報
しかしながら、近年の電子写真の高速・高耐久化に伴い、感光体の不均一な摩耗のさらなる抑制と、耐汚れ性のさらなる向上が求められている。特許文献2に記載の帯電部材では、感光体の不均一な摩耗は抑制可能であるものの、耐汚れ性については必ずしも十分ではなかった。帯電部材の汚れは、一般的に以下の現象によって発生する。転写工程後にも感光体上に残存しているトナー成分(以下、「残存トナー」とも称す)は、本来、クリーニング工程においてクリーニングブレード等によって除去されるべきものである。しかしながら、クリーニングブレードの振動や感光体の微小な傷をきっかけとして残存トナーがクリーニングブレードをすり抜け、クリーニング工程を経た後にも感光体上に残留することがある。かかるトナーが、帯電部材との接触により、帯電部材の汚れを引き起こす。
本発明者らの検討によれば、特許文献2で挙げられている帯電部材は、感光体に傷を付けにくい。また、感光体との従動性が向上することでクリーニングブレードの振動制御もある程度可能となり、クリーニングブレードをすり抜けるトナーを削減する効果がある。しかし、すり抜けるトナーは減少するものの、長期間に亘る使用により徐々に帯電部材に残存トナーが付着蓄積し、帯電部材の汚れを引き起こしてしまう場合がある。
特に、低温低湿環境下においては、トナーの流動性が高いため、トナーのすり抜けが助長され、画像不良につながる帯電部材の汚れが顕在化しやすい傾向にあった。それにより、付着蓄積した汚れに起因したドット状及び横スジ状の画像が発生してしまう場合がある。本発明者らの更なる検討によれば、特許文献2で挙げられている帯電部材が汚れる理由としては、帯電部材と感光体のニップ部における、前記エッジの接触面積が増加することにより、接触部へ汚れが固着し易くなってしまうためと考えられる。
上記汚れ固着発生のメカニズムにつき、図2(2a)および図2(2b)を用いて以下説明する。ニップ部におけるボウル形状の樹脂粒子は、図2(2a)に示されるように、感光体13と接触したエッジが矢印Aの方向へ撓む動きをするため、図2(2b)に示されるように感光体13とエッジの接触面積が増大した状態に弾性変形する。これにより、汚れの固着が発生してしまうと、本発明者らは考察している。尚、ニップとは、帯電部材の長手方向に直交する方向における帯電部材と感光体との接触点の両端の2箇所について、各々の接触点を通る帯電部材の長手方向に平行な2本の直線で挟まれる領域であると本明細書では定義している。
上記感光体13とエッジの接触面積の増大による汚れの固着に起因したドット状及び横スジ状の画像の抑制方法として、エッジ周囲の導電性弾性層12の硬度を全域に亘って上昇させることにより、エッジの矢印Aの方向への撓みを抑制する方法が考えられる。しかしながら、そのようにした場合、エッジの撓みは抑制できるが、当接圧を緩和することができない為、感光体13とエッジの接触点にて当接圧力の集中が生じ、長期間に亘る使用において感光体の不均一な摩耗が生じる。すなわち、汚れ固着の抑制と感光体の不均一な磨耗の抑制を両立することは、電子写真の高速・高耐久化に対して、解決することが必要な課題であると、本発明者らは認識した。
そこで、本発明は、長期間に亘る使用においても感光体の不均一な摩耗を抑制し、且つ、帯電部材の表面への汚れの固着を抑制し得る帯電部材の提供に向けたものである。また、本発明は、高品位な電子写真画像の形成に資するプロセスカートリッジ及び電子写真装置の提供に向けたものである。
本発明の一態様によれば、導電性基体と、該基体上の表面層としての導電性弾性層とを有する帯電部材であって、該導電性弾性層は、バインダーを含み、且つ、開口を有するボウル形状の樹脂粒子を、該開口が該帯電部材の表面に露出する状態で保持してなり、該帯電部材の表面は、該表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、該表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部、を有し、該帯電部材の表面の一部は、該バインダーによって構成されており、該帯電部材をガラス板に対して、該ガラス板に対する負荷を100(g)として押圧したときに、該帯電部材と該ガラス板とのニップ内の、該帯電部材と該ガラス板との接触部を少なくとも1箇所含む接触領域R1における、各接触部の該帯電部材と該ガラス板との接触面積の平均値をS1とし、該接触領域R1における該帯電部材と該ガラス板との間に形成される空間の高さの平均値をd1とし、該帯電部材をガラス板に対して、該ガラス板に対する負荷を500(g)として押圧したときに、該帯電部材と該ガラス板とのニップ内の、該帯電部材と該ガラス板との接触部を少なくとも1箇所含む接触領域R5における、各接触部の該帯電部材と該ガラス板との接触面積の平均値をS5とし、該接触領域R5における該帯電部材と該ガラス板との間に形成される空間の高さの平均値をd5としたとき、下記数式(1)及び数式(2)で示される関係を満たす帯電部材が提供される。
Figure 0006786241
また、本発明の他の態様によれば、上記の帯電部材と、電子写真感光体とを有し、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジが提供される。更に本発明の他の態様によれば、上記の帯電部材と、電子写真感光体とを具備している電子写真装置が提供される。
本発明の一態様によれば、長期間に亘る使用においても感光体の不均一な摩耗を抑制し、且つ、帯電部材の表面への汚れの固着を抑制し、感光体の不均一な摩耗による縦スジ画像、ならびに、汚れの固着によるドット状及び横スジ状の画像の発生が抑制された帯電部材が提供される。また、本発明の他の態様によれば、高品位な電子写真画像の形成に資するプロセスカートリッジ及び電子写真装置が提供される。
(1a)及び(1b)は、ボウル形状の樹脂粒子の変形の説明図である。(1c)は、本発明に係る帯電部材の一例のニップ部における接触位置と荷重との関係の説明図である。 (2a)及び(2b)は、従来の帯電部材のニップ部におけるボウル形状の樹脂粒子の変形の説明図である。 (3a)及び(3b)は、本発明に係る帯電部材の一例を示す概略断面図である。 帯電部材の電流測定装置の概略図である。 (5a)及び(5b)は、本発明に係る帯電部材の一例における表面近傍の部分断面図である。 本発明に係る帯電部材の一例における表面近傍の部分断面図である。 (7a)、(7b)、(7c)、(7d)及び(7e)は、本発明に係るボウル形状の樹脂粒子の一例の形状の説明図である。 帯電部材の表面における硬度測定位置の説明図である。 (9a)は、ガラス板と帯電部材の表面とを当接させる冶具の概略図である。(9b)は、ガラス板と帯電部材との間に形成される空間の説明図である。 本発明に係る電子写真装置の一例を表す概略断面図である。 本発明に係るプロセスカートリッジの一例を表す概略断面図である。
本発明に係る帯電部材(以下、「帯電部材」と称す)は、導電性基体と該基体上の表面層としての導電性弾性層とを有する帯電部材である。導電性弾性層は、開口を有するボウル形状の樹脂粒子と、バインダーと、を含有している。該導電性弾性層は、ボウル形状の樹脂粒子を、該ボウル形状の樹脂粒子の該開口が、帯電部材の表面に露出した状態で保持している。帯電部材の表面は、該表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部(以下、単に「ボウルの凹部」とも称す)と、該表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジ(以下、単に「ボウルのエッジ」とも称す)に由来する凸部(以下、単に「ボウルの凸部」とも称す)とを有している。また、帯電部材の表面の一部は、導電性弾性層によって構成されている。
帯電部材は、数式(1)で示される関係を満たしている。
Figure 0006786241
数式(1)において、「S1」は、帯電部材をガラス板に対して、該ガラス板に対する負荷を100(g)として押圧したときに、該帯電部材と該ガラス板とのニップ内の、該帯電部材と該ガラス板との接触部を少なくとも1箇所含む接触領域R1における、各接触部の帯電部材とガラス板との接触面積の平均値である。「S5」は、帯電部材をガラス板に対して、該ガラス板に対する負荷を500(g)として押圧したときに、該帯電部材と該ガラス板とのニップ内の、該帯電部材と該ガラス板との接触部を少なくとも1箇所含む接触領域R5における、各接触部の帯電部材とガラス板との接触面積の平均値である。また、「ニップ」とは、帯電部材とガラス板との間の接触部であり、より詳しくは、帯電部材の長手方向に直交する方向における、帯電部材とガラス板との接触点の両端の2箇所について、各々の接触点を通る帯電部材の長手方向に平行な2本の直線で挟まれる領域である。
ここで、接触領域R1に含まれる接触部が1箇所である場合には、当該接触部の接触面積がS1となる。また、接触領域R5に含まれる接触部が1箇所である場合には、当該接触面積がS5となる。なお、接触領域R1および接触領域R5は各々ニップ内において、帯電部材とガラス板との接触部が少なくとも1個含まれるように設定される領域である。接触領域R1および接触領域R5は、互いに異なっていてもよく、同じあってもよい。但し、接触面積の測定の工数および精度の観点からは、接触領域R1、および、接触領域R5は、同じ領域とすることが好ましい。
更に、帯電部材は、数式(2)で示される関係を満たしている。
Figure 0006786241
数式(2)において、d1は、前記接触領域R1において該帯電部材と該ガラス板との間に形成される複数の空間の高さの平均値である。またd5は、前記接触領域R5において該帯電部材と該ガラス板との間に形成される複数の空間の高さの平均値である。これらの空間は、ボウルの凹部においてだけでなく、隣接するボウル間においても形成される。図9(9b)の符号85は、ガラス板に対して負荷を100(g)として押圧したときの、帯電部材とガラス板との間に形成される空間を示す。また、距離d’は、該空間の高さであり、即ち、該空間内のガラス面から最も遠い位置とガラス面との距離を示す。
図1(1c)に示すように、帯電部材14と感光体13との接触状態は、ニップ部突入直後(Hの位置)からニップ部中央(Iの位置)、そして、当接開放直前(Jの位置)と変化している。この際、上記Iの位置における荷重と、H及びJの位置における荷重は異なっている。ニップ突入するかしないかの位置(Gの位置)及び当接開放直後の位置(Kの位置)において、荷重はほとんどないと考察できるが、一般的な電子写真装置において、HからJまでの範囲において、荷重の変化は5倍以内となることが予想できる。これは、帯電部材14を感光体13に当接させた際の、ニップ内の荷重分布から予想することができる。一般的な電子写真装置で前記荷重分布を計測したところ5倍以内であったことから、本発明者らはニップ通過時の荷重変化を5倍以内であると判断した。したがって、荷重を5倍に変化させた際の比率をとることで、帯電部材と感光体との接触状態に関し、HからJの範囲にわたる接触状態の変化を模擬的に評価することが可能になる。そして、本発明者らは、上記接触状態の評価をより正確に行うため、且つ、一般的な電子写真装置の荷重の下限が100gであることを考慮し、下限荷重としては100gを使用することが好ましいと判断した。従って、本発明においては、当接荷重は100gとその5倍である500gとし、上記接触状態の評価を行うこととした。
前記数式(1)に示す上記2つの当接荷重における接触面積の比率Sは、当接荷重を100gから500gに変化させた際、ボウルのエッジに由来する凸部がどれだけ感光体との点接触状態を維持できているかを示す値である。即ち、この比率Sは、帯電部材のニップ部における帯電部材の感光体に対する点接触状態の維持能力を評価する指標であるといえる。具体的には、比率Sの値が小さい場合、点接触状態の維持能力が高く、比率Sの値が大きい場合はその逆である。
図1(1c)における、ニップ部突入直後のHの位置からニップ部中央Iの位置にかけて、帯電部材の表面にかかる荷重は増大するため、ボウル形状の樹脂粒子11は、図2(2a)に示されるように、ボウルのエッジが矢印Aの方向へ撓む動きをする。そして、帯電部材の点接触状態の維持能力が低い場合には、図2(2b)に示されるように、感光体13とボウルのエッジとの接触面積が増大した状態となる。このような場合には、前述した、帯電部材の表面に汚れ固着が発生する可能性が高くなる。
帯電部材において、2つの当接荷重における接触面積の比率Sは数式(1)に示す範囲を満たす。比率Sが0.5以下(S≦0.5)であれば、前述した通り、帯電部材は感光体の表面との点接触状態の維持能力は高い。そのため、前述の通り、接触部における汚れの固着を抑制することが可能になる。比率Sの下限を0.2とした理由については、導電性弾性層中にバインダーとボウル形状の樹脂粒子とを含有させる本構成において、実用に耐え得る材料及び製法にて、比率Sを0.2未満とする手段を見出すことができなかったことによる。比率Sは、0.2以上0.5以下であり、より好ましくは0.2以上0.3以下である。本範囲内とすることで、帯電部材は、より高い点接触状態の維持能力を発現し、汚れの固着の抑制効果を更に高めることができる。
前記数式(2)が示す上記2つの当接荷重における空間の高さの比率dは、当接荷重を100gから500gに変化させた際、帯電部材の表面と感光体との間に、どれだけ空間が維持できているかを示す指標である。具体的には、比率dの値が小さい場合、空間維持能力が高く、比率dの値が大きい場合はその逆である。そして上記比率dにより、帯電部材と感光体とのニップ部におけるボウル形状の樹脂粒子の変形状態を評価することができる。
ところで、帯電部材は、前記数式(1)で説明した通り、高い点接触状態の維持能力を有する。即ち、前記数式(1)を満たすことで、図2(2a)の状態から図2(2b)の状態にボウル形状の樹脂粒子11の形状が変化する動きを抑制できる。上記条件を満たした点接触状態の維持能力の高い帯電部材の表面において、ボウル形状の樹脂粒子は、ニップ部において以下に説明するような挙動を示すものと考えられる。
図1(1c)における、ニップ部突入直後のHの位置からニップ部中央Iの位置に向かうに連れて、帯電部材14の表面にかかる荷重が増大していく。帯電部材14の表面の点接触状態の維持能力が高い場合、導電性弾性層12に囲まれたボウル形状の樹脂粒子11は、図1(1a)に示すように、ボウルのエッジは矢印Cの方向へ撓む。これにより、ボウル形状の樹脂粒子11自身は、矢印Bの方向、即ち、導電性弾性層の内部方向に沈み込む。即ち、比率dの値が小さい場合には、ニップ部中央Iの位置においては、図1(1b)に示されるような形状となっていると考えられる。上記当接によりボウルのエッジに負荷荷重のかかるボウル形状の樹脂粒子11自身が導電性弾性層の内部方向に沈み込む動きをし、これにより、当接圧力を緩和することができるため、感光体の不均一な摩耗を抑制することが可能となる。
一方、帯電部材の表面の空間維持能力が高すぎる場合、すなわち、比率dの値が0.15未満である場合、ボウル形状の樹脂粒子は実質的に弾性変形をしていないことを意味する。この場合、ボウル形状の樹脂粒子による当接圧力の緩和が発現しにくくなるため、前述した感光体の不均一な摩耗を招来する可能性がある。
帯電部材においては、比率dは数式(2)に示す範囲を満たす。比率dが0.5以下(d≦0.5)であれば、前述した通り、帯電部材は、感光体の表面との空間維持能力は高く、これにより、接触部における汚れの固着を抑制することが可能になる。比率dが0.15以上(0.15≦d)であれば、ボウル形状の樹脂粒子は弾性変形を行うことができるため、感光体に対する当接圧力緩和が可能になり、前述した、感光体の不均一な摩耗を抑制することが可能になる。また、比率dは0.15以上0.5以下であり、より好ましくは、0.4以上0.5以下である。本範囲内とすることで、帯電部材は、感光体との当接部の空間維持能力及び感光体に対する当接圧力の緩和について、より高い効果を発現することが可能になる。
上述した通り、数式(1)及び数式(2)を満たす帯電部材は、感光体との点接触状態の維持、及び、空間維持が可能であると同時に、ボウルのエッジに由来する凸部での当接圧力の緩和が可能である。その結果、帯電部材の表面の汚れ固着の抑制と、感光体の不均一な摩耗の抑制を両立することが可能となる。
比率S及び比率dを確実に前記数式(1)及び数式(2)の範囲内とするために、帯電部材(導電性弾性層72)の表面のバインダー(図8のF)のマルテンス硬度をM1とし、帯電部材の表面のボウル形状の樹脂粒子71の開口に由来する凹部の底部の直下におけるバインダー(図8のE、以下「ボウルの凹部直下のバインダー」とも称す)のマルテンス硬度をM2としたとき、「M2/M1」の値が1未満であることが好ましい。更には、「M2/M1」の値が0.7以下であることがより好ましい。
M1及びM2の値を上記範囲内にするために、ボウル形状の樹脂粒子のシェルの材料として酸素透過度の小さい材料を用い、帯電部材の表面を大気雰囲気下にて加熱処理により酸化硬化させる方法が好ましい。上記については後に詳述する。
<ガラス板>
本発明においてガラス板としては、例えば、材質:BK7、面精度:両面光学研磨面、平行度:1分以内、厚み:2mmのガラス板が用いられる。
<帯電部材>
帯電部材の断面の一例の概略図を図3(3a)および図3(3b)に示す。図3(3a)の帯電部材は、導電性基体1と導電性弾性層2を有している。導電性弾性層は図3(3b)に示すように、導電性弾性層21及び22の2層構成であってもよい。
導電性基体1及び導電性弾性層2、あるいは、導電性基体1上に順次積層する層(例えば、図3Bに示す導電性弾性層21及び導電性弾性層22)は、接着剤を介して接着してもよい。この場合、接着剤は導電性であることが好ましい。導電性の接着剤には公知のものを用いることができる。
接着剤の基剤としては、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が挙げられるが、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系、ポリエーテル系、エポキシ系のような公知のものを用いることができる。接着剤に導電性を付与するための導電剤としては、後に詳述する導電性微粒子から適宜選択し、1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
〔導電性基体〕
導電性基体は、導電性を有し、その上に設けられる導電性弾性層を支持する機能を有するものである。材質としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケルの如き金属やその合金(ステンレス鋼等)を挙げることができる。
〔導電性弾性層〕
図5(5a)および図5(5b)は、帯電部材の表面層を構成する導電性弾性層の表面近傍の部分断面図である。導電性弾性層に含有されている一部のボウル形状の樹脂粒子41は、前記帯電部材の表面に露出している。そして、帯電部材の表面は、表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子41の開口51に由来する凹部52と、表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子41の開口51のエッジ53に由来する凸部と、表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子41の周囲の導電性弾性層42と、で構成されている。エッジ53は図5(5a)及び図5(5b)等に示す形態をとることができる。
図6に示す、前記ボウル形状の樹脂粒子41の開口55のエッジ53に由来する凸部の頂点と、当該ボウル形状の樹脂粒子41のシェルによって画定された凹部52の底部との高低差54は、5μm以上100μm以下、特には10μm以上80μm以下とすることが好ましい。本範囲内とすることにより、より確実にニップ部におけるボウルのエッジの点接触を維持することができる。また、前記凸部の頂点と前記凹部の底部との高低差54と、前記ボウル形状の樹脂粒子の最大径55との比、すなわち、樹脂粒子の[最大径]/[高低差]は、0.8以上3.0以下であることが好ましく、特には1.1以上1.6以下が好ましい。樹脂粒子の[最大径]/[高低差]の値をこの範囲内とすることにより、より確実にニップ部におけるボウルのエッジの点接触を維持することができる。なお、本発明において、ボウル形状の樹脂粒子の「最大径」とは、当該ボウル形状の樹脂粒子が与える円形の投影像における最大長さであると定義する。当該ボウル形状の樹脂粒子が複数個の円形の投影像を与える場合は、各々の投影像における最大長さのうちの最大値を、当該ボウル形状の樹脂粒子の「最大径」とする。
前記凹凸形状の形成により、導電性弾性層の表面状態は、下記のように制御されていることが好ましい。十点平均表面粗さ(Rzjis)は、5μm以上65μm以下、特には10μm以上50μm以下が好ましい。表面の凹凸平均間隔(Sm)は、30μm以上200μm以下、特には40μm以上150μm以下が好ましい。上記の範囲内とすることにより、より確実にニップ部におけるボウルのエッジの点接触を維持することができる。尚、表面の十点平均粗さ(Rzjis)及び表面の凹凸平均間隔(Sm)の測定法については、後に詳述する。
ボウル形状の樹脂粒子の一例を図7(7a)から図7(7e)に示す。本発明において、「ボウル形状」とは、開口61と、丸みのある凹部62と、を有する形状をいう。「開口」は、図7(7a)及び図7(7b)に示すように、ボウルのエッジが平坦であってもよく、また、図7(7c)から図7(7e)に示すようにボウルのエッジが凹凸を有していてもよい。
ボウル形状の樹脂粒子の最大径55の目安は、10μm以上150μm以下、特には20μm以上100μm以下である。また、ボウル形状の樹脂粒子の最大径55と、開口の最小径63の比、即ち、ボウル形状の樹脂粒子の[最大径]/[開口の最小径]が、1.1以上4.0以下であることがより好ましい。本範囲内とすることにより、より確実に後述するニップ部にてボウル形状の樹脂粒子が導電性弾性層の内部方向へ沈む動きをすることができる。
ボウル形状の樹脂粒子の開口周辺のシェルの厚み(縁の外径と内径の差)は0.1μm以上3.0μm以下、特には0.2μm以上2.0μm以下であることが好ましい。本範囲内とすることによって、より確実に後述するニップ部にてボウル形状の樹脂粒子が導電性弾性層の内部方向へ沈む動きをすることができる。また、上記シェルの厚みは、「最大厚み」が、「最小厚み」の3倍以下であることが好ましく、2倍以下であることがより好ましい。
[バインダー]
導電性弾性層に含有されるバインダーとしては、公知のゴムまたは樹脂を用いることができる。ゴムとしては、例えば、天然ゴムやこれを加硫処理したもの、合成ゴムを挙げることができる。合成ゴムとしては、例えば、以下のものが挙げられる。エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプロピレンゴム(IR)、ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム及びフッ素ゴム。樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の如き樹脂が使用できる。中でも、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂がより好ましい。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、これら樹脂の単量体を共重合させ、共重合体としてもよい。
[導電性微粒子]
導電性弾性層の体積抵抗率の目安としては、温度23℃、相対湿度50%の環境下において、1×10Ωcm以上、1×1016Ωcm以下とすることが好ましい。本範囲内とすることで、放電により電子写真感光体を適切に帯電することが、より容易になる。そのために、導電性弾性層中に公知の導電性微粒子を含有してもよい。導電性微粒子としては金属酸化物、金属、カーボンブラック、グラファイトの微粒子が挙げられる。また、これらの導電性微粒子を、1種類単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。導電性弾性層中における導電性微粒子の含有量の目安としては、バインダー100質量部に対して2質量部以上200質量部以下、特には5質量部以上100質量部以下である。
[導電性弾性層の形成方法]
導電性弾性層を形成する方法を以下に例示する。まず、導電性基体上に、バインダー中に中空形状の樹脂粒子を分散させた被覆層を作製する。その後、被覆層の表面を研磨することにより、中空形状の樹脂粒子の一部を削除してボウル形状とし、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹部と、ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジによる凸部を形成する。以下、これらの凹凸を含む形状を「ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状」と称す。この様に導電性樹脂層を形成し、次に加熱処理を行うことで、熱硬化させる。尚、前記被覆層のうち研磨工程前の被覆層を「予備被覆層」と称す。
[予備被覆層中への樹脂粒子の分散]
まず、予備被覆層に中空形状の樹脂粒子を分散させる方法について説明する。一つの方法としては、内部に気体を含有している中空形状の樹脂粒子を、バインダー中に分散させた導電性樹脂組成物の塗膜を基体上に形成し、塗膜を乾燥、硬化、または架橋等を行う方法を例示することができる。尚、導電性樹脂組成物中には導電性粒子を含有させることができる。中空形状の樹脂粒子に使用する材料としては、気体透過性が低く、高反発弾性を有するという観点から、極性基を有する樹脂が好ましく、下記化学式(4)に示すユニットを有する樹脂が、より好ましい。特に研磨性を制御しやすいという観点から、化学式(4)に示すユニットと、化学式(8)に示すユニットとを両方有することが、更に好ましい。
Figure 0006786241
化学式(4)中、Aは下記化学式(5)、(6)及び(7)から選択される少なくとも1種である。R1は、水素原子、もしくは炭素数1から4のアルキル基である。
Figure 0006786241
化学式(8)中、R2は、水素原子、もしくは、炭素数1から4のアルキル基であり、R3は、水素原子、もしくは、炭素数1から10のアルキル基である。
別の方法としては、粒子の内部に内包物質を含み、熱を加えることにより内包物質が膨張し、中空形状の樹脂粒子となる、熱膨張性マイクロカプセルを使用する方法を例示することができる。熱膨張性マイクロカプセルを、バインダー中に分散させた導電性樹脂組成物を作製し、この組成物を、導電性基体上に被覆し、乾燥、硬化、または架橋等を行う方法である。この方法の場合、予備被覆層に使用するバインダーの乾燥、硬化、または架橋時の熱で内包物質を膨張させ、中空形状の樹脂粒子を形成することができる。この際、温度条件を制御することにより、粒径を制御可能である。
熱膨張性マイクロカプセルを用いる場合、バインダーとして熱可塑性樹脂を用いる必要がある。熱可塑性樹脂としては以下のものが挙げられる。アクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メタクリル酸樹脂、スチレン樹脂、ブタジエン樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂、メタクリロニトリル樹脂、アクリル酸樹脂、アクリル酸エステル樹脂類、メタクリル酸エステル樹脂類。この中でも特に、ガス透過度が低く、高い反発弾性を示すアクリロニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メタクリロニトリル樹脂から選ばれる少なくとも1種からなる熱可塑性樹脂を用いることが、後述する硬度分布に制御する上で、より好ましい。これら熱可塑性樹脂は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。更に、これら熱可塑性樹脂の単量体を共重合させ、共重合体としてもよい。
熱膨張性マイクロカプセルに内包させる物質としては、前記熱可塑性樹脂の軟化点以下の温度でガスになって膨張するものが好ましく、例えば以下のものが挙げられる。プロパン、プロピレン、ブテン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタンの如き低沸点液体、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、イソオクタン、ノルマルデカン、イソデカンなどの如き高沸点液体。
上記の熱膨張性マイクロカプセルは、懸濁重合法、界面重合法、界面沈降法、液中乾燥法といった公知の製法によって製造することができる。例えば、懸濁重合法においては、重合性単量体、上記熱膨張性マイクロカプセルに内包させる物質及び重合開始剤を混合し、この混合物を、界面活性剤や分散安定剤を含有する水性媒体中に分散させた後、懸濁重合させる方法を例示することができる。尚、重合性単量体の官能基と反応する反応性基を有する化合物、有機フィラーを添加することもできる。
重合単量体としては、下記のものを例示することができる。アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル(メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート)、メタクリル酸エステル(メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート)、スチレン系モノマー、アクリルアミド、置換アクリルアミド、メタクリルアミド、置換メタクリルアミド、ブタジエン、εカプロラクタム、ポリエーテル、イソシアネート。これらの重合性単量体は単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、重合性単量体に可溶の開始剤が好ましく、公知のパーオキサイド開始剤及びアゾ開始剤を使用できる。これらのうち、アゾ開始剤が好ましい。アゾ開始剤の例を以下に挙げる。2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサン−1−カルボニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル。中でも、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルが好ましい。重合開始剤を用いる場合、その使用量は、重合性単量体100質量部に対して、0.01質量部以上5質量部以下が好ましい。
界面活性剤としてはアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子型分散剤を使用できる。界面活性剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下が好ましい。分散安定剤としては以下のものが挙げられる。有機微粒子(ポリスチレン微粒子、ポリメタクリル酸メチル微粒子、ポリアクリル酸微粒子及びポリエポキシド微粒子)、シリカ(コロイダルシリカ)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸バリウム、及び、水酸化マグネシウム等。分散安定剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下が好ましい。
懸濁重合は、耐圧容器を用い、密閉下で行うことが好ましい。また、重合性原料を分散機等で懸濁してから、耐圧容器内に移して懸濁重合してもよく、耐圧容器内で懸濁してもよい。重合温度は50℃以上120℃以下が好ましい。重合は、大気圧で行ってもよいが、上記熱膨張マイクロカプセルに内包させる物質を気化させないようにするため、加圧下(大気圧に0.1MPa以上1MPa以下を加えた圧力下)で行うことが好ましい。重合終了後は、遠心分離や濾過によって、固液分離及び洗浄を行ってもよい。固液分離や洗浄する場合、この後、熱膨張マイクロカプセルを構成する樹脂の軟化温度以下にて乾燥や粉砕を行ってもよい。乾燥及び粉砕は、既知の方法により行うことができ、気流乾燥機、順風乾燥機及びナウターミキサーを使用できる。また、乾燥及び粉砕は、粉砕乾燥機によって同時に行うこともできる。界面活性剤及び分散安定剤は、製造後に洗浄濾過を繰り返すことにより除去できる。
[予備被覆層の形成方法]
続いて、予備被覆層の形成方法について説明する。予備被覆層の形成方法としては、静電スプレー塗布、ディッピング塗布、ロール塗布のような塗布法により導電性基体上に導電性樹脂組成物の層を形成し、乾燥、加熱、架橋等によってこの層を硬化させる方法が挙げられる。また、導電性樹脂組成物を所定の膜厚に成膜し硬化させたシート形状又はチューブ形状の層を、導電性基体に対して接着又は被覆する方法が挙げられる。更に、導電性基体を配置した型の中に導電性樹脂組成物を入れて硬化させて予備被覆層を形成する方法が挙げられる。また、特に、バインダーがゴムの場合には、クロスヘッドを備えた押出機を用いて、導電性基体と未加硫ゴム組成物を一体的に押出して予備被覆層を作製することもできる。クロスヘッドとは、電線や針金の被覆層を構成するために用いられる、押出機のシリンダ先端に設置して使用する押出金型である。この後、乾燥、硬化または架橋等を経た後、予備被覆層の表面を研磨して、中空形状の樹脂粒子の一部を削除してボウル形状とする。研磨方法としては、円筒研磨方法やテープ研磨法を使用できる。円筒研磨機としては、トラバース方式のNC円筒研磨機、プランジカット方式のNC円筒研磨機が例示できる。
(a)予備被覆層の厚みが中空形状の樹脂粒子の平均粒径の5倍以下の場合
予備被覆層の厚みが中空形状の樹脂粒子の平均粒径の5倍以下の場合、予備被覆層表面には、中空形状の樹脂粒子由来の凸部が、形成されている場合が多い。この場合には、中空形状の樹脂粒子の凸部の一部を削除して、ボウル形状とし、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を形成することができる。
この場合、研磨時に予備被覆層にかかる圧力が比較的小さい、テープ研磨方式を使用することがより好ましい。一例として、テープ研磨方式を使用する際の、予備被覆層の研磨条件として好ましい範囲を下記に示す。研磨テープは、研磨砥粒を樹脂に分散させ、それを、シート状基材に塗布して得られるものである。
研磨砥粒としては、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化鉄、ダイヤモンド、酸化セリウム、コランダム、窒化珪素、炭化珪素、炭化モリブデン、炭化タングステン、炭化チタン及び酸化珪素が例示できる。研磨砥粒の平均粒径は、0.01μm以上、50μm以下が好ましく、より好ましくは、1μm以上、30μm以下である。尚、上記研磨砥粒の平均粒径は、遠心沈降法により測定されたメジアン径D50である。上記好ましい範囲の研磨砥粒を有する研磨テープの番手の好ましい範囲は、500以上、20000以下であり、より好ましくは、1000以上、10000以下である。研磨テープの具体例を以下に挙げる。「MAXIMA LAP、MAXIMA Tタイプ」(商品名、レフライト株式会社)、「ラピカ」(商品名、KOVAX社製)、「マイクロフィニッシングフィルム」、「ラッピングフィルム」(商品名、住友3M株式会社(新社名:スリーエム ジャパン社))、ミラーフィルム、ラッピングフィルム(商品名、三共理化学株式会社製)、Mipox(商品名、Mipox(旧社名:日本ミクロコーティング株式会社)製)。
研磨テープの送り速度は、10mm/min以上、500mm/min以下が好ましく、50mm/min以上、300mm/min以下がより好ましい。研磨テープの予備被覆層への押し当て圧は、0.01MPa以上、0.4MPa以下が好ましく、0.1MPa以上、0.3MPa以下がより好ましい。押し当て圧を制御するため、予備被覆層には、研磨テープを介してバックアップローラを当接させてもよい。また、所望の形状を得るために、複数回に亘り、研磨処理を行ってもよい。回転数を10rpm以上、1000rpm以下に設定することが好ましく、50rpm以上、800rpm以下に設定することがより好ましい。上記の条件とすることで、予備被覆層の表面にボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状をより容易に形成することができる。尚、予備被覆層の厚みが上記範囲外であっても、下記に記載する(b)の方法により、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を形成可能である。
(b)予備被覆層の厚みが中空形状の樹脂粒子の平均粒径の5倍超の場合
予備被覆層の厚みが中空形状の樹脂粒子の平均粒径の5倍を超える場合、予備被覆層の表面には、中空形状の樹脂粒子由来の凸部が形成されていない場合が発生する。この様な場合は、中空形状の樹脂粒子と予備被覆層の材料との研磨性の差を利用して、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を形成可能である。中空形状の樹脂粒子は、内部に気体を内包しているため、高反発弾性を有する。これに対し、予備被覆層のバインダーとしては、比較的反発弾性が低く、且つ、伸びの小さなゴム又は樹脂を選択する。これにより予備被覆層は研磨されやすく、中空形状の樹脂粒子は研磨されにくい状態を達成できる。上記状態の予備被覆層を研磨すると、中空形状の樹脂粒子は、予備被覆層と同じ状態で研磨されることなく、中空形状の樹脂粒子の一部が削除されたボウル形状とすることができる。これにより、予備被覆層の表面に、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を形成することができる。この方法は、中空形状の樹脂粒子と予備被覆層の材料との研磨性の差を利用して、凹凸形状を形成する方法であるため、予備被覆層に使用する材料(バインダー)としては、ゴムが好ましい。この中でも、低反発弾性、且つ、伸びが小さいという観点から、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴムを使用することが特に好ましい。
[研磨方法]
研磨方法としては、円筒研磨法やテープ研磨法を使用することができるが、材料の研磨性の差を顕著に引き出す必要があるため、より速く研磨する条件が好ましい。この観点から、円筒研磨法を使用することがより好ましい。円筒研磨法の中でも、予備被覆層の長手方向を同時に研磨でき、研磨時間が短縮できるという観点から、プランジカット方式を使用することが、更に好ましい。また、研磨面を均一にするという観点から従来行われていたスパークアウト工程(侵入速度0mm/minでの研磨工程)を、できるだけ短時間とするか、または行わないことが好ましい。
一例として、プランジカット方式の円筒研磨砥石の回転数は1000rpm以上4000rpm以下、特には2000rpm以上4000rpm以下が好ましい。予備被覆層への侵入速度は5mm/min以上30mm/min以下、特には10mm/min以上30mm/min以下がより好ましい。侵入工程の最後には研磨表面に慣らし工程を有してもよく、0.1mm/min以上0.2mm/min以下の侵入速度で2秒間以内とすることが好ましい。スパークアウト工程(侵入速度0mm/minでの研磨工程)は3秒間以下が好ましい。回転数を50rpm以上500rpm以下に設定することが好ましく、更には200rpm以上に設定することがより好ましい。上記条件とすることで、予備被覆層の表面にボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形成をより容易に形成することができる。
尚、以下の説明において、研磨処理された予備被覆層を単に「被覆層」と称す。
[表面硬度の制御手法]
帯電部材において、比率Sは前記数式(1)に示す範囲を満たし、比率dは前記数式(2)に示す範囲を満たす。この条件を確保するためには、前述した通り、「M2/M1」の値が1未満であることが好ましく、更に0.7以下であることがより好ましい。「M2/M1」の値を1未満とするための手段として、ボウル形状の樹脂粒子のシェルを構成する材料として酸素透過度が140cm/(m・24h・atm)以下の如き、酸素透過度の小さい材料を用い、帯電部材の表面を大気雰囲気下にて加熱処理により酸化硬化させる手段が好ましい。
大気雰囲気下での加熱処理では、バインダー及びボウル形状の樹脂粒子のシェルを構成する材料の分子鎖が酸化架橋することにより導電性弾性層のマルテンス硬度が増大する。この酸化架橋の度合いは、加熱処理温度、架橋部の酸素濃度によって影響を受ける。酸素濃度については、架橋部の酸素濃度が高いほど酸化架橋の進行が大きい。したがって、ボウル形状の樹脂粒子のシェル材の酸素ガス透過度を制御することで、ボウルの凹部直下のバインダー(図8のE)のマルテンス硬度を制御することが可能となる。
具体的には、ボウル形状の樹脂粒子のシェル材の酸素ガス透過度が小さい場合には、帯電部材の表面のバインダー(図8のF)のマルテンス硬度M1は、酸化架橋の進行により大きくなるが、ボウルの凹部直下のバインダー(図8のE)のマルテンス硬度M2は、酸化架橋が進行し難いので、大きくならない。その理由は、ボウルの凹部直下のバインダーへの酸素の供給量が少ないためである。その結果、M2値はM1値に比べて小さくなる。M1値が大きいことにより、ニップ部でのボウルのエッジに由来する凸部の撓みが抑制され、点接触の維持能力は高くなる。加えて、M2値がM1値に比べ小さいことにより、ニップ部では前述した図1(1a)の矢印Bで示すような、ボウル形状の樹脂粒子が導電性弾性層の内部方向に沈み込む動きが可能となる。このため、点接触性を維持した状態で、ボウルのエッジに負荷のかかるボウル形状の樹脂粒子自身が導電性弾性層の内部方向へ沈み込むことにより当接圧力を緩和することができる。
これに対して、ボウル形状の樹脂粒子のシェル材の酸素ガス透過度が大きい場合には、ボウルの凹部直下のバインダーにも十分な酸素が供給されるため、M1値とM2値が同程度となる。その結果、図1(1a)の矢印Bで示すような、ボウル形状の樹脂粒子が導電性弾性層の内部方向に沈み込むことが困難となり、当接圧の緩和を適切に行うことができず、感光体の不均一な摩耗が生じてしまう場合がある。
帯電部材を得るためには、上記のように、ボウル形状の樹脂粒子を酸素透過度の低い材料で形成することが非常に有用である。従って、ボウル形状の樹脂粒子を形成する材料としては、前記したように酸素透過度が低い材料を選択することが好ましい。具体的には、例えば、アクリロニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メタクリロニトリル樹脂、メチルメタクリレート樹脂、及びこれらの樹脂の共重合体からなる群から選択される少なくとも1つの材料を使用することが好ましい。これらの中でも、アクリロニトリル樹脂、および、塩化ビニリデン樹脂から選択される少なくとも一方を使用することがより好ましい。
上記、加熱処理の手法については、熱風連続炉、オーブン、近赤外加熱法、遠赤外加熱法など公知の手段を使用することができるが、大気雰囲気下にて帯電部材の表面を加熱処理可能な手法であれば、特にこれらの手法に限定されない。加熱による酸化架橋の効果は、高温である程促進されるが、バインダーの低分子成分の揮発等による収縮を抑えるため、加熱温度は180℃以上240℃以下が好ましく、更には210℃以上240℃以下がより好ましい。
また、前述したバインダーとしては、酸化架橋の効果が促進される観点から、分子中に2重結合を有し、且つ、耐熱性の高いゴムを用いることが好ましい。具体的には、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、および、ブタジエンゴム(BR)からなる群から選択される少なくとも1つを用いることが好ましい。
また、本発明に係る帯電部材が、ローラ形状を有する帯電ローラである場合において、その電気抵抗値は、1.0×10Ω以上10.0×10Ω以下とすることが、電子写真感光体の如き被帯電体に対して優れた帯電性能を発揮し得るため好ましい。なお、帯電ローラの電気抵抗値の測定方法は、実施例において詳述する。
<電子写真装置>
本発明に係る電子写真装置の一例の概略構成を図10に示す。この電子写真装置は、電子写真感光体、電子写真感光体を帯電する帯電装置、電子写真感光体に露光を行って静電潜像を形成する潜像形成装置、静電潜像をトナー像として現像する現像装置、転写材にトナー像を転写する転写装置、電子写真感光体上の転写残トナーを回収するクリーニング装置、トナー像を転写材に定着する定着装置等から構成されている。本発明に係る帯電部材は、この電子写真装置の帯電装置が備える帯電部材として使用することができる。
電子写真感光体102は、導電性基体上に感光層を有する回転ドラム型である。電子写真感光体102は矢印の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。帯電装置は、電子写真感光体102に所定の押圧力で当接されることにより接触配置される接触式の帯電ローラ101を有する。帯電ローラ101は、電子写真感光体102の回転に従い回転する従動回転であり、帯電用電源109から所定の直流電圧を印加することにより、電子写真感光体102を所定の電位に帯電する。電子写真感光体102に静電潜像を形成する潜像形成装置(不図示)は、例えばレーザービームスキャナーなどの如き露光装置が用いられる。一様に帯電された電子写真感光体102に画像情報に対応した露光光107を照射することにより、静電潜像が形成される。
現像装置は、電子写真感光体102に近接又は接触して配設される現像スリーブ又は現像ローラ103を有する。現像装置は、電子写真感光体102の帯電極性と同極性に静電的処理されたトナーで、反転現像により静電潜像を現像してトナー像を形成する。転写装置は、接触式の転写ローラ104を有する。電子写真感光体102からトナー像を普通紙などの如き転写材に転写する。転写材は、搬送部材を有する給紙システムにより搬送される。
クリーニング装置は、ブレード型のクリーニング部材106、回収容器108を有し、現像されたトナー像が転写材に転写された後に、電子写真感光体102上に残留する転写残トナーを機械的に掻き落とし回収する。ここで、現像装置にて転写残トナーを回収する現像同時クリーニング方式を採用することにより、クリーニング装置を省くことも可能である。転写材に転写されたトナー像は、不図示の加熱装置によって加熱された定着ベルト105と、該定着ベルトに対向して配置されたローラとの間を通過することで、して転写材に定着される。
<プロセスカートリッジ>
本発明に係るプロセスカートリッジの一例の概略構成を図11に示す。このプロセスカートリッジは、電子写真感光体102、帯電ローラ101、現像ローラ103、クリーニング部材106等を一体化し、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されている。本発明に係る帯電部材は、このプロセスカートリッジの帯電ローラとして使用することができる。
以下に、具体的な製造例及び実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。まず、実施例に先立ち、製造例1〜8(樹脂粒子No.1〜8の製造)、体積平均粒径の測定方法、製造例11〜16(ガス透過度測定用シートNo.1〜6の製造)、樹脂粒子の酸素ガス透過度の測定方法、製造例21〜32(導電性ゴム組成物No.1〜12の製造)について説明する。なお、以下の実施例および比較例の部数及び%は、特に明記しない限り、すべて質量基準である。
<製造例1:樹脂粒子No.1の製造>
イオン交換水4000質量部と、分散安定剤としてコロイダルシリカ9質量部およびポリビニルピロリドン0.15質量部からなる水性混合液を調製した。次いで、重合性単量体としてアクリロニトリル50質量部、メタクリロニトリル45質量部、及び、メチルアクリレート5質量部と、内包物質としてノルマルヘキサン12.5質量部と、重合開始剤としてジクミルパーオキシド0.75質量部からなる油性混合液を調製した。この油性混合液を、前記水性混合液に添加し、更に水酸化ナトリウム0.4質量部を添加することにより、分散液を調製した。
得られた分散液を、ホモジナイザーを用いて3分間攪拌混合し、窒素置換した重合反応容器内へ仕込み、400rpmの攪拌下、60℃で20時間反応させることにより、反応生成物を調製した。得られた反応生成物について、濾過と水洗を繰り返した後、80℃で5時間乾燥することで樹脂粒子を作製した。この樹脂粒子を音波式分級機により解砕して分級することによって、樹脂粒子No.1を得た。樹脂粒子No.1の物性を表1に示す。
<製造例2:樹脂粒子No.2の製造>
製造例1において、分級条件を変更した以外は同様の方法で樹脂粒子No.2を作製した。樹脂粒子No.2の物性を表1に示す。
<製造例3〜8:樹脂粒子No.3〜8の製造>
コロイダルシリカの使用量、重合性単量体の種類と使用量、重合時の攪拌回転数の一つ以上を変更した以外は、製造例1と同様の方法により樹脂粒子を作製し、分級することによって、樹脂粒子No.3〜8を得た。各樹脂粒子の物性を表1に示す。
Figure 0006786241
<樹脂粒子の体積平均粒径の測定>
樹脂粒子No.1〜8の体積平均粒径測定を、レーザ回折型粒度分布計(商品名:コールターLS−230型粒度分布計、コールター社製)により行った。
測定には、水系モジュールを用い、測定溶媒として純水を使用した。純水にて粒度分布計の測定系内を約5分間洗浄し、消泡剤として測定系内に亜硫酸ナトリウムを10mg〜25mg加えて、バックグラウンドファンクションを実行した。次に純水50ml中に界面活性剤3滴〜4滴を加え、更に測定試料を1mg〜25mg加えた。試料を懸濁した水溶液を超音波分散器で1分間〜3分間分散処理を行い、被験試料液を調製した。前記測定装置の測定系内に被験試料液を徐々に加えて、装置の画面上のPIDSが45%以上55%以下になるように測定系内の被験試料濃度を調整して測定を行った。得られた体積分布から体積平均粒子径を算出した。
<製造例11:ガス透過度測定用シートNo.1の製造>
この製造例のシートは、樹脂粒子から内包物質を除去して得られる樹脂材料のガス透過度を測定するためのシートである。前記樹脂粒子No.1を、100℃で加熱減圧することにより、内包物質を除去することで、樹脂組成物を得た。その後、160℃に加熱した金型(Φ70mm、深さ500μm)に前記樹脂組成物を充填し、10MPaの圧力で加圧することにより、直径70mm、厚み500μmの円形状のガス透過度測定用シートNo.1を得た。
<製造例12〜16:ガス透過度測定用シートNo.2〜6の製造>
樹脂粒子No.1の代わりにそれぞれ樹脂粒子No.4〜8を用いて、前記と同様の方法により、ガス透過度測定用シートNo.2〜6を得た。
<シートの酸素ガス透過度の測定>
前記ガス透過度測定用シートNo.1〜6を用いて、JIS K 7126に記載の差圧法に基づいて下記条件にて、酸素ガス透過度を測定した。
測定機:ガス透過率測定装置M−C3型(東洋精機製作所製)
使用ガス:JIS K 1101相当の酸素ガス
測定温度:23±0.5℃
試験圧力:760mmHg
透過面積:38.46cm(Φ70mm)
サンプル厚:500μm。
具体的な操作は以下の通りである。まず、ガス透過度測定用シートを透過セルに装着し、空気漏れが生じないよう均一な圧力で固定した。測定装置内の低圧側、高圧側を排気し、低圧側の排気を止め、真空に保った。その後、酸素ガスを高圧側に1気圧導入し、その際の高圧側の圧力をPuとした。低圧側の圧力が上昇し始め、酸素ガスの透過が確認された後、透過曲線(横軸:時間、縦軸:圧力)を描き、透過が定常状態を示す直線部分が確認されるまで、測定を行った。測定終了後、透過曲線の傾きをd/dとし、下記数式(9)を用いて、酸素ガス透過度GTR(cm/(m・24h・atm))を算出した。
Figure 0006786241
Vc:低圧側容積、T:試験温度、Pu:供給気体の差圧、
A:透過面積、d/d:単位時間における低圧側の圧力変化。
上記製造例11〜16に係る結果を下記表2に示す。
Figure 0006786241
<製造例21:導電性ゴム組成物No.1の製造>
アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)(商品名:N230SV,JSR社製)100質量部に対し、表3の成分(1)の欄に示す他の材料を加えて、50℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。これに、表3の成分(2)の欄に示す材料を添加した。次いで、得られた混合物を、温度25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、導電性ゴム組成物No.1を得た。
Figure 0006786241
<製造例22及び23:導電性ゴム組成物No.2及びNo.3の製造>
導電性ゴム組成物No.1の製造例21において、樹脂粒子No.1の部数を表5に示す量に変更した以外は、製造例21と同様にして導電性ゴム組成物No.2及びNo.3を得た。
<製造例24〜29:導電性ゴム組成物No.4〜9の製造>
導電性ゴム組成物No.1の製造例21において、樹脂粒子No.1を表5に示す樹脂粒子(樹脂粒子No.2〜7)に変更した以外は、製造例21と同様にして導電性ゴム組成物No.4〜9を得た。
<製造例30:導電性ゴム組成物No.10の製造>
スチレンブタジエンゴム(SBR)(商品名:タフデン2003、旭化成ケミカルズ社製)100質量部に対し、表4の成分(1)の欄に示す他の材料を加えて、80℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。これに、表4の成分(2)の欄に示す材料を添加した。得られた混合物を、温度25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、導電性ゴム組成物No.10を得た。
<製造例31:導電性ゴム組成物No.11の製造>
導電性ゴム組成物No.1の製造例21において、アクリロニトリルブタジエンゴムをブタジエンゴム(BR)(商品名:JSR BR01、JSR社製)に変更し、カーボンブラックを30質量部に変更した以外は、製造例21と同様にして導電性ゴム組成物No.11を得た。
<製造例32:導電性ゴム組成物No.12の製造>
導電性ゴム組成物No.1の製造例21において、樹脂粒子No.1を樹脂粒子No.8に変更した以外は、製造例21と同様にして導電性ゴム組成物No.12を得た。
Figure 0006786241
Figure 0006786241
<実施例1>
〔1.導電性基体〕
直径6mm、長さ252.5mmのステンレス鋼製の基体に、カーボンブラックを10質量%を含有させた熱硬化性樹脂を塗布し、乾燥したものを導電性基体として使用した。
〔2.導電性弾性層の形成〕
クロスヘッドを具備する押出成形装置を用いて、前記導電性基体を中心軸として、その周面上に円筒状に製造例21で作製した導電性ゴム組成物No.1を被覆した。被覆した導電性ゴム組成物No.1の厚みは、1.75mmに調整した。
押出後のローラを、熱風炉にて160℃で1時間加硫した後、ゴム層の端部を除去して、長さを224.2mmとし、予備被覆層を有するローラを作製した。得られたローラの外周面を、プランジカット式の円筒研磨機を用いて研磨した。研磨砥粒としてビトリファイド砥石を用い、砥粒は緑色炭化珪素(GC)で粒度は100メッシュとした。ローラの回転数を350rpmとし、研磨砥石の回転数を2050rpmとした。切り込み速度を20mm/minとし、スパークアウト時間(切り込み0mmでの時間)を0秒と設定して研磨を行い、導電性弾性層(被覆層)を有する導電性ローラを作製した。導電性弾性層の厚みは、1.5mmに調整した。尚、このローラのクラウン量(中央部の外径と、中央部から両端部方向へ各90mm離れた位置の外径と、の差の平均値)は120μmであった。
研磨後、熱風炉にて210℃で1時間、後加熱処理を行うことにより、帯電部材1を得た。この帯電部材1はその表面に、ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部とボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部を有する導電性樹脂層を有していた。以下の方法で行った帯電部材1の物性測定及び画像評価の結果を表6及び表7に示す。
〔3.帯電部材の評価方法〕
[3−1.帯電部材の表面粗さRzjis及び平均凹凸間隔Smの測定]
JIS B 0601−1994表面粗さの規格に準じて、表面粗さ測定器(商品名:SE−3500、小坂研究所社製)を用いて測定した。Rzjis及びSmは、帯電部材の無作為に選ばれた6箇所において測定し、その平均値とした。尚、カットオフ値0.8mmであり、評価長さは8mmである。
[3−2.ボウル形状の樹脂粒子の形状測定]
測定箇所は、帯電部材の長手方向の中央部、中央部から両端部方向へ各45mm離れた位置、及び中央部から両端部方向へ各90mm離れた位置の、長手方向の各5箇所について、帯電部材の周方向の各2箇所(位相0°及び180°)の合計10箇所とした。これらの各測定箇所において導電性樹脂層を500μmに亘って、20nmずつ集束イオンビーム加工観察装置(商品名:FB−2000C、日立製作所社製)を用いて、切り出し、その断面画像を撮影した。そして得られた断面画像を組み合わせ、ボウル形状の樹脂粒子の立体像を算出した。立体像から、図6で示すように「最大径」55と、図7(7a)〜図7(7e)で示す「開口の最小径」63を算出した。なお、「最大径」の定義は、前記した通りである。
また、上記立体像から、ボウル形状の樹脂粒子の任意の10点において、ボウル形状の樹脂粒子の「外径と内径の差」即ち「シェルの厚み」を算出した。このような測定を視野内の樹脂粒子10個について行い、得られた計100個の測定値の平均値を算出した。表6に示した「最大径」、「開口の最小径」及び「シェルの厚み」は、上記の方法で算出した平均値である。尚、シェルの厚みの測定に際しては、各々のボウル形状の樹脂粒子について、シェルの最も肉厚な部分の厚みが、最も肉薄の部分の厚みの2倍以下、すなわち、シェルの厚みが、略均一であることを確認した。
[3−3.帯電部材の表面の凸部の頂点と凹部の底部との高低差の測定]
帯電部材の表面をレーザ顕微鏡(商品名:LSM5 PASCAL:カール・ツァイス(Carl Zeiss)社製)を用いて、縦0.5mm、横0.5mmの視野で観察した。レーザを視野内のX−Y平面でスキャンさせることにより2次元の画像データを得、更に焦点をZ方向に移動させ、上記のスキャンを繰り返すことにより3次元の画像データを得た。その結果、まず、ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部が存在していることを確認した。更に、前記凸部の頂点53と、前記凹部の底部52との高低差54を算出した。このような作業を視野内のボウル形状の樹脂粒子2個について行った。そして、同様の測定を帯電部材1の長手方向50箇所について行い、得られた計100個の樹脂粒子の平均値を算出し、この値を「高低差」として表6に示した。
[3−4.帯電部材の表面硬度の測定]
ISO 14577に基づき、表面被膜物性試験機(商品名:ピコデンターHM500、ヘルムート フィッシャー(Helmut Fischer)社製)を用いて測定した。圧子としては、四角錘型ダイヤモンド製のビッカース圧子を用いた。帯電部材の表面の長手方向の中央部において任意に選ばれた10箇所を測定点として、各測定点の近傍のバインダー(非ボウル粒子部)及びボウルの凹部(ボウル粒子部)の2箇所において、マルテンス硬度の測定を行った。10箇所の測定の平均値から、マルテンス硬度M1及びM2を得た。尚、マルテンス硬度M2の測定は、ボウルの凹部の底部の中心に圧子が押圧されるようにして行った。尚、測定条件は下記のとおりである。
・測定環境:温度23℃、相対湿度50%
・最大押し込み深さ=100μm
・負荷保持時間(押し込み時間)=20sec
深さ=20μmの位置におけるマルテンス硬度を測定した。ボウルのシェルの厚みが1.5μmであるので、マルテンス硬度M2は、ボウルの凹部直下の弾性層にて測定されている。
[3−5.帯電部材(帯電ローラ)の電気抵抗値の測定]
図4はローラ形状を有する帯電部材(帯電ローラ)34の電気抵抗値の測定装置である。導電性基体33の両端に軸受け32により荷重をかけて、帯電部材を、電子写真感光体と同じ曲率の円柱形金属31に、平行になるように当接させた。この状態で、モータ(不図示)により円柱形金属31を回転させ、当接した帯電部材を従動回転させながら安定化電源35から直流電圧−200Vを印加した。この時に流れる電流を電流計36で測定し、帯電部材の電気抵抗値を計算した。荷重は各4.9Nとし、円柱形金属31は直径30mm、円柱形金属31の回転は周速45mm/secとした。なお、測定にあたり、帯電部材を温度23℃、相対湿度50%の環境下に24時間以上放置し、同環境下に置かれた測定装置を用いて測定を行った。
[3−6.帯電部材とガラス板との間に形成される接触面積の測定]
図9(9a)に示す下方ステージ81、上方ステージ83及び荷重計84を有する冶具を用いた。下方ステージは帯電部材をセット可能、且つ、上下に動かすことが可能である。ガラス板に帯電部材を押圧した際にかかる荷重は、荷重計84により検知が可能である。
下方ステージにセットされた帯電部材を上方に移動させて、上方ステージにセットされた20mm角、厚み2mmのガラス板(材質:BK7、面精度:両面光学研磨面、平行度:1分以内)82に荷重100gとなるように押圧させ、帯電部材とガラス板の接触面をガラス板側からビデオマイクロスコープ(商品名:DIGITAL MICROSCOPE VHX−500、株式会社キーエンス製)により観察した。観察倍率は200倍とし、画像解析ソフトウェア(「ImageProPlus」商品名、メディア サイバネティクス社製)を用いて帯電部材とガラス板との間に形成される接触領域R1のみを抽出し、2値化処理を行い、接触部1箇所の当たりの接触面積の平均値S1’を算出した。尚、上記測定を、帯電部材の長手方向中央部、中央部から両端部方向へ各90mmの位置の3箇所について、それぞれ周方向(120度間隔)の3箇所、合計9箇所において行った。これら9箇所におけるS1’の平均値をS1とした。
その後、ガラス板にかかる荷重を500gに変更し、同様の手法により接触部1箇所の当たりの接触面積の平均値S5を算出した。これらのS1及びS5の値から、前記数式(1)で示される比率Sを算出した。
[3−7.帯電部材とガラス板との間に形成される空間の高さの測定]
上記[3−6]の測定と同様に、図9(9a)の機構を有する冶具及びガラス板を用いた。帯電部材をガラス板に荷重100gとなるように押圧させ、帯電部材とガラス板の接触面をガラス板側からワンショット3D測定マクロスコープ(商品名:VR−3000、株式会社キーエンス社製)により観察し、ガラス板に押圧されている帯電部材の表面形状を測定した。観察倍率は160倍とした。その形状測定から、ニップ幅(周方向のニップ長さ)Lμmを断面プロファイルから算出し、[ニップ幅Lμm]×[長手方向Aμm]の領域における、帯電部材とガラス面との間に形成される空間の空間体積V1(μm)を体積計測から求めた後、下記数式(10)により前記空間の高さの平均値d1’を算出した。ここで、空間体積V1を算出した領域の長手方向(軸方向)の長さAμmは、1000μmとした。尚、上記測定を、帯電部材の長手方向中央部、中央部から両端部方向へ各90mmの位置の3箇所について、それぞれ周方向(120度間隔)の3箇所、合計9箇所において行った。これら9箇所におけるd1’の平均値をd1とした。
Figure 0006786241
その後、ガラス板にかかる荷重を500gに変更し、同様の手法により空間の高さの平均値d5を算出した。これらのd1及びd5の値から、前記数式(2)で示される比率dを算出した。
[3−8.画像評価]
[3−8−1.摩耗性の評価]
図10に示す構成を有する電子写真装置であるキヤノン(株)製モノクロレーザープリンタ(「LBP6700」(商品名))を370mm/secのプロセススピードに改造し、更に、外部より、帯電部材101に電圧を印加した。印加電圧は、交流電圧として、ピークピーク電圧(Vpp)を1800V、周波数(f)を1350Hz、直流電圧(Vdc)を−600Vとした。画像の解像度は、600dpiで出力した。
尚、プロセスカートリッジとして、上記プリンタ用のトナーカートリッジ524IIを用いた。上記プロセスカートリッジから付属の帯電ローラを取り外し、その代わりに帯電部材1をセットした。また、帯電部材1は、電子写真感光体に対し、一端で4.9N、両端で合計9.8Nのバネによる押し圧力で当接させた。このプロセスカートリッジを温度32.5℃、相対湿度80%の高温高湿環境に24時間馴染ませた後、耐久性の評価を行った。
具体的には、電子写真感光体の回転方向に対して垂直方向に延びる幅2ドット、間隔176ドットの横線画像を描く2枚間欠耐久試験(出力2枚ごとにプリンタの回転を3秒間停止する試験)を行った。出力10000枚毎に、ハーフトーン画像(電子写真感光体の回転方向に対して垂直方向に延びる幅1ドットの横線が、該回転方向に間隔2ドットで描かれた画像)を出力し、上記の耐久試験を出力40000枚まで行い、評価を行った。尚、評価はハーフトーン画像を目視にて観察し、電子写真画像に、感光体の摩耗ムラに起因する縦スジ状の欠陥の有無を下記の基準で判定した。
ランク1:縦スジ状の欠陥が認められない。
ランク2:縦スジ状の欠陥がわずかに認められる。
ランク3:縦スジ状の欠陥が一部の領域に認められる。
ランク4:縦スジ状の欠陥が広範囲に認められ、目立つ。
[3−8−2.耐汚れ性の評価]
前記プロセスカートリッジを温度15℃、相対湿度10%の低温低湿環境下に24時間馴染ませた後、[3−8−1.摩耗性の評価]と同様の電子写真装置及び電圧印加条件により評価を行った。尚、評価は得られたハーフトーン画像を目視にて観察し、帯電部材の表面の汚れに起因するドット状及び横スジ状の画像欠陥の有無を下記基準で判定した。
ランク1:ドット状及び横スジ状の欠陥が認められない。
ランク2:ドット状及び横スジ状の欠陥がわずかに認められる。
ランク3:ドット状及び横スジ状の欠陥が帯電部材の回転ピッチに対応して、発生していることが認められる。
ランク4:ドット状及び横スジ状の欠陥が目立つ。
<実施例2〜26>
導電性樹脂組成物、加硫温度及び研磨後の加熱温度の一つ以上を表6に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にして、帯電部材2〜26を作製し、評価した。評価結果を表6及び表7に示す。
<比較例1〜6>
導電性樹脂組成物、加硫温度及び研磨後の加熱温度の一つ以上を表6に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にして、帯電部材C1〜C6を作製し、評価した。評価結果を表6及び表7に示す。
Figure 0006786241
Figure 0006786241
上記の様に、実施例1〜26においては、接触面積の比率S及び空間の高さの比率dがそれぞれ前記数式(1)及び(2)を満たすため、耐摩耗性、耐汚れ性が共に良好であった。一方、比較例1及び2については、接触面積の比率Sが前記数式(1)の上限より大きく、耐汚れ性が悪かった。比較例3及び4については、空間の高さの比率dが前記数式(2)の下限より小さく、耐摩耗性が悪かった。また、比較例5及び6については、空間の高さの比率dが前記数式(2)の上限より大きく、耐汚れ性が悪かった。
1 導電性基体
2 導電性の弾性層
11 ボウル形状の樹脂粒子
12 バインダー
13 電子写真感光体
14 帯電部材
33 導電性基体
34 帯電部材
41 ボウル形状の樹脂粒子
42 バインダー
51 ボウル形状の樹脂粒子の開口
52 ボウル形状の樹脂粒子に由来する凹部
53 ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジ
61 開口
62 開口の凹部
71 ボウル形状の樹脂粒子
72 導電性の弾性層
101 帯電ローラ
102 電子写真感光体

Claims (18)

  1. 導電性基体と、該基体上の表面層としての導電性の弾性層とを有する帯電部材であって、
    該弾性層は、バインダーを含み、且つ、開口を有するボウル形状の樹脂粒子を、該開口が該帯電部材の表面に露出する状態で保持してなり、
    該帯電部材の表面は、該表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、該表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部と、を有し、
    該帯電部材の表面の一部は、該弾性層によって構成されており、
    該帯電部材をガラス板に対して、該ガラス板に対する負荷を100(g)として押圧したときに、
    該帯電部材と該ガラス板とのニップ内の、該帯電部材と該ガラス板との接触部を少なくとも1箇所含む接触領域R1における、各接触部の該帯電部材と該ガラス板との接触面積の平均値をS1とし、
    該接触領域R1における該帯電部材と該ガラス板との間に形成される空間の高さの平均値をd1とし、
    該帯電部材をガラス板に対して、該ガラス板に対する負荷を500(g)として押圧したときに、
    該帯電部材と該ガラス板とのニップ内の、該帯電部材と該ガラス板との接触部を少なくとも1箇所含む接触領域R5における、各接触部の該帯電部材と該ガラス板との接触面積の平均値をS5とし、
    該接触領域R5における該帯電部材と該ガラス板との間に形成される空間の高さの平均値をd5としたとき、
    下記数式(1)及び数式(2)で示される関係を満たすことを特徴とする帯電部材。
    Figure 0006786241
  2. 前記比率Sが、0.2以上0.3以下である請求項1に記載の帯電部材。
  3. 前記比率dが、0.4以上0.5以下である請求項1または2に記載の帯電部材。
  4. 前記帯電部材の表面のバインダーのマルテンス硬度をM1とし、該帯電部材の表面のボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部の底部の直下におけるバインダーのマルテンス硬度をM2としたとき、M2/M1の値が1未満である請求項1〜3のいずれか一項に記載の帯電部材。
  5. 前記M2/M1の値が、0.7以下である請求項4に記載の帯電部材。
  6. 前記ボウル形状の樹脂粒子のシェルが、酸素透過度が140cm/(m・24h・atm)以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載の帯電部材。
  7. 前記ボウル形状の樹脂粒子のシェルが、アクリロニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メタクリロニトリル樹脂、メチルメタクリレート樹脂およびこれらの樹脂の共重合体からなる群から選択される少なくとも1つである請求項1〜6のいずれか一項に記載の帯電部材。
  8. 前記シェルの厚みが、0.1μm以上3.0μm以下である請求項1〜7のいずれか一項に記載の帯電部材。
  9. 前記シェルの最大厚みが、最小厚みの3倍以下である請求項1〜8のいずれか一項に記載の帯電部材。
  10. 前記弾性層が、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、および、ブタジエンゴム(BR)からなる群から選択される少なくとも1つを前記バインダーとして含む請求項1〜9のいずれか一項に記載の帯電部材。
  11. 前記ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部の頂点と、該ボウル形状の樹脂粒子のシェルによって画定された凹部の底部との高低差が、5μm以上100μm以下である請求項1〜10のいずれか一項に記載の帯電部材。
  12. 前記ボウル形状の樹脂粒子の最大径と前記高低差との比([最大径]/[高低差])が、0.8以上3.0以下である請求項11に記載の帯電部材。
  13. 前記弾性層の表面の十点平均表面粗さが、5μm以上65μm以下である請求項1〜12のいずれか一項に記載の帯電部材。
  14. 前記弾性層の表面の凹凸平均間隔が、30μm以上200μm以下である請求項1〜13のいずれか一項に記載の帯電部材。
  15. 前記帯電部材が、ローラ形状を有する帯電ローラである請求項1〜14のいずれか一項に記載の帯電部材。
  16. 前記帯電ローラの電気抵抗値が、1.0×10Ω以上10.0×10Ω以下である請求項15に記載の帯電部材。
  17. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の帯電部材と、電子写真感光体とを有し、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  18. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の帯電部材と、電子写真感光体とを有することを特徴とする電子写真装置。
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