JP5774176B1 - 帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 Download PDF

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Abstract

【課題】長期間に亘る使用においても、バンディング画像の発生が抑制された帯電部材を提供する。【解決手段】導電性基体と、導電性樹脂層とを有する帯電部材であって、該導電性樹脂層は、バインダー、複数個のボウル形状の樹脂粒子及び複数個の中空粒子を含有しており、該帯電部材の表面は、該ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部とを有し、1個の該ボウル形状の樹脂粒子とその近傍の中空粒子との位置に関して、ボウル形状の樹脂粒子の下方の所定深さの空間内に少なくとも平均4個の中空粒子が存在する。【選択図】図1

Description

本発明は、帯電部材、それを用いたプロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置(以下、「電子写真装置」と称する場合がある。)に関する。
電子写真方式を採用した電子写真装置は、主に、電子写真感光体(以下、単に「感光体」と称する場合がある。)、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置及び定着装置からなる。帯電装置には、ローラ形状、ブレード形状、コロナワイヤー等の部材が好適に用いられる。特に好んで用いられるのが、ローラ形状の帯電部材(以下、単に「帯電ローラ」と称する場合がある。)である。帯電装置は、感光体の表面に接触配置又は近接配置され、電圧(直流電圧のみの電圧又は直流電圧に交流電圧を重畳した電圧)を印加することによって感光体の表面を帯電する装置である。
特許文献1には、帯電ローラとして、導電性の樹脂粒子に由来する凸部を有している帯電ローラが開示されている。
しかしながら、特許文献1に係る帯電ローラでは、感光体と当接した際、帯電ローラの表面の樹脂粒子に由来した凸部に圧力が集中し、長期間に亘る使用においては感光体の表面を不均一に摩耗させることがあった。
このような課題に対して、特許文献2は、導電性樹脂層中に開口を有したボウル形状の樹脂粒子を含有し、表面にボウル形状の樹脂粒子の開口部及びエッジ部に由来した凹凸形状を有するローラ部材を開示している。特許文献2に係るローラ部材によれば、ボウル形状の樹脂粒子のエッジ部が感光体と当接した際に弾性変形することで、当接圧力が緩和され、長期間に亘る使用においても感光体の不均一な摩耗を抑制することができることが記載されている。
また、非特許文献1には、多重動吸振器に関する設計方法が記載されている。
特開2008−276026号公報 特開2011−237470号公報
多重動吸振器の最適設計法 日本機械学会論文集(C編)62巻601号(1996−9)
特許文献2に係る帯電ローラにおいては、ボウル形状の樹脂粒子の開口部のエッジ部が弾性変形することで感光体への当接圧力が緩和される。上記理由により、長期間に亘る使用によっても感光体の表面の不均一な摩耗を抑制することが可能となる。その一方で、特許文献2に係るローラ部材は、感光体の回転に従って回転する性能(以下、「従動回転性」と称する場合がある。)が低下してしまう可能性がある。
近年、電子写真装置のプロセススピードの高速化に伴って、電子写真画像の形成の際に感光体に振動が生じ易くなってきている。また、更に電子写真に用いられる帯電ローラは低コストと小型化のため、小径化の傾向にあり、振動にはより不利な構成となってきている。
振動している感光体に、従動回転性の低い帯電ローラを当接させて感光体を帯電させようとする場合、当該帯電ローラが感光体の回転に追従できず、帯電ローラが感光体の表面を滑る現象(以下、「スティックスリップ」と称する場合がある。)が発生する場合がある。スティックスリップの発生は、感光体に帯電ムラを生じさせ、電子写真画像に横スジ状の濃度ムラを生じさせる原因となる。なお、以下、電子写真画像に生じた横スジ状の濃度ムラを「バンディング」と称する。また、横スジ状の濃度ムラが生じた電子写真画像を「バンディング画像」と称する。また、近年帯電ローラは小径化の傾向にある。このことが感光体と帯電ローラの接触面積の減少につながり、スティックスリップの発生を高める原因となっている。
そこで、本発明の目的は、電子写真装置のプロセススピードの高速化や帯電部材の小径化によるバンディング画像の発生を十分に抑制し得る帯電部材を提供することである。また、本発明の他の目的は、高品位な電子写真画像の形成に資するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
本発明に係る帯電部材は、導電性基体と、導電性樹脂層とを有する帯電部材であって、該導電性樹脂層は、バインダー、複数個のボウル形状の樹脂粒子及び複数個の中空粒子を含有しており、該帯電部材の表面は、該ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部とを有し、該導電性樹脂層は、該ボウル形状の樹脂粒子と該中空粒子との位置に関して、下記の条件(1)で規定される関係を満たしていることを特徴とする帯電部材である。
条件(1):1個の該ボウル形状の樹脂粒子の該凹部を形成しているシェルの外壁面の最深部の位置pから深さ方向の距離dが「b/(1+√2)」(μm)の位置pを通る該導電性基体の表面と平行な面Mと、該シェルの外壁面と、の間であって、該導電性樹脂層の表面から深さ方向に向けて該1個のボウル形状の樹脂粒子を正投影したときの該ボウル形状の樹脂粒子の正投影領域内に、少なくとも4.0個の該中空粒子が存在する。但し、bは、該ボウル形状の樹脂粒子の球形近似による粒子径(μm)を表す。
また、本発明は、上記帯電部材が被帯電体と少なくとも一体化され、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジである。更に、本発明は、上記の帯電部材、露光装置及び現像装置を少なくとも有する電子写真装置である。
本発明によれば、電子写真装置のプロセススピードの高速化や帯電部材の小径化によるバンディング画像の発生を十分に抑制し得る帯電部材を提供することができる。また、本発明によれば、高品位な電子写真画像の形成に資するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することができる。
本発明に係る帯電部材の表面近傍の部分断面図である。 (2a)は、本発明のボウル形状の樹脂粒子と中空粒子との位置関係を示す部分断面図である。(2b)は、(2a)の符号10で示す面を切断面とする部分断面図である。 本発明に係る帯電部材(ローラ形状)の断面図である。 本発明に係る帯電部材の表面近傍の部分断面図である。 本発明に係る帯電部材の表面近傍の部分断面図である。 本発明のボウル形状の樹脂粒子の形状の説明図である。 プランジ式研磨機の説明図である。 電子線照射装置の説明図である。 本発明に係る電子写真装置の一態様の説明図である。 本発明に係るプロセスカートリッジの一態様の説明図である。 クロスヘッド押出機の説明図である。 2種類のカプセル粒子を用いた製造方法で作製した導電性樹脂層の表面近傍の一態様の説明図である。
本発明に係る帯電部材として、帯電ローラを例示して説明する。
本発明の帯電部材は、導電性基体と、表面層としての導電性樹脂層とを有する。この導電性樹脂層は、バインダー、複数個のボウル形状の樹脂粒子及び複数個の中空粒子を含有している。帯電部材の表面は、ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部とを有する。導電性樹脂層中において、ボウル形状の樹脂粒子と中空粒子は、下記の条件(1)で規定される関係を満たしている。
条件(1):1個の該ボウル形状の樹脂粒子の該凹部を形成しているシェルの外壁面の最深部の位置pから深さ方向の距離dが「b/(1+√2)」(μm)の位置pを通る該導電性基体の表面と平行な面Mと、該シェルの外壁面と、の間であって、該導電性樹脂層の表面から深さ方向に向けて該1個のボウル形状の樹脂粒子を正投影したときの該ボウル形状の樹脂粒子の正投影領域内に、少なくとも4.0個の該中空粒子が存在する。但し、bは、該ボウル形状の樹脂粒子の球形近似による粒子径(μm)を表す。
先ず初めに、条件(1)について説明する。
本発明に係る帯電部材の表面近傍の部分断面図を図1に示す。図中のZ→Z’方向は帯電部材の厚み方向であり、本発明において、「深さ方向」とは、ZからZ’に向かう方向を意味する。帯電部材が帯電ローラである場合、Z→Z’方向は、ローラの半径方向であり、「深さ方向」とは、帯電ローラの外表面から中心部へ向かう方向である。また帯電部材が帯電ローラである場合、この紙面に平行な面が、帯電ローラの中心軸と直交する横断面である。
図1において、符号1は、ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジを示す。符号2は、ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部を示す。符号3は、導電性樹脂層を示し、導電性樹脂層は、少なくともバインダー、ボウル形状の樹脂粒子、及び中空粒子を含有している。符号4は、ボウル形状の樹脂粒子の凹部を形成しているシェルを示す。
符号5は、ボウル形状の樹脂粒子の凹部を形成している「シェルの外壁面の最深部の位置p」を示す。この位置は、「導電性基体」と「ボウル形状の樹脂粒子のシェルの外壁面」との距離が最短となる「シェルの外壁面の位置」と定義される。帯電部材が帯電ローラである場合、「シェルの外壁面の最深部の位置p」は、「帯電ローラの中心軸」と「ボウル形状の樹脂粒子のシェルの外壁面」とを結ぶ直線の距離が最短となる「シェルの外壁面の位置」である。以下の説明において、この「シェルの外壁面の最深部の位置p」を「上方基準位置p」と称する場合がある。
符号6は、この「上方基準位置p」から深さ方向の距離がd=「b/(1+√2)」(μm)の位置p(以下、「下方基準位置p」と称する場合がある。)を示している。符号7はこの下方基準位置pを通る、導電性基体の表面に平行な面(以下、「下方基準面M」と称する場合がある。)を示している。帯電部材が帯電ローラである場合、「上方基準位置p」において帯電ローラの中心軸を中心とする円の接線を描き、その接線を導電性基体の方向に距離d、平行移動させることによって、「下方基準面M」を決定することができる。
符号9で示される、Z→Z’方向に延びる2本の線分は、ボウル形状の樹脂粒子を導電性基体の表面に正投影した時の投影部(以下、「ボウルの投影部」と称する場合がある。)の境界線である。このボウルの投影部の境界線は、符号7で示される「下方基準面M」と符号102及び103で示される位置において交差している。
条件(1)は、この「下方基準面M」と、「シェルの外壁面」との間であって、該導電性樹脂層の表面から深さ方向に向けて該1個のボウル形状の樹脂粒子を正投影したときの該ボウル形状の樹脂粒子の正投影領域内に少なくとも4.0個の中空粒子が存在していることを要求している。この領域において存在する中空粒子の個数は、ダンパー効果の発現の観点から、4.0個以上、19.0個以下であることが好ましく、4.0個以上、15.0個以下であることがより好ましい。この理由に関しては後に詳述する。
尚、以下の説明において、条件(1)における「下方基準面M」と「シェルの外壁面」との間であって、前記正投影領域内の空間を「ボウル直下の充填空間」と称する場合がある。
条件(1)においては、「ボウル直下の充填空間」内に完全に含まれる中空粒子のみがカウントされ、その一部が該空間からはみ出している中空粒子はカウントされない。具体的には、走査型電子顕微鏡(SEM)等の観察装置を用いてカウントする方法が挙げられる。後述する測定方法を用いて、50個のボウル形状の粒子の近傍の中空粒子の個数を数えて、その算術平均値で表示する。この個数の有効数字は少数点以下1桁として表示される。
この図において、4個の中空粒子が、2本の「ボウルの投影部の境界線」のいずれとも交差することなく、「下方基準面M」と「シェルの外壁面」との間であって該2本の「ボウルの投影部の境界線」に挟まれる領域内に存在するので、「ボウル直下の充填空間」内に、4個の中空粒子が完全に含まれていることが分かる。
図2の(2a)は、条件(1)で規定される関係を満たす状態であって、4個の中空粒子が「ボウル直下の充填空間」内に最密充填状態で配置された時の説明図である。この空間を図2の(2a)の符号10で示す面で切断した時の切断面が図2の(2b)である。この図2の(2b)は、直径b(μm)のボウル形状の樹脂粒子の「ボウル直下の充填空間」内に、4個の中空粒子が最密充填されている時の投影図であり、符号11は、「ボウルの投影部」の輪郭を示している。
この投影図から直径b(μm)のボウル形状の樹脂粒子の「ボウル直下の充填空間」内に4個の中空粒子が最密充填されている時の中空粒子の粒径を求めると、「b/(1+√2)」(μm)となる。すなわち、中空粒子の粒径が「b/(1+√2)」(μm)より大きいと、本発明の「ボウル直下の充填空間」内に、4個以上の中空粒子が存在することができない。尚、この説明は、存在する全ての中空粒子が同一の粒子径である事を前提としている。
本発明において、下方基準面Mより下方における中空粒子の充填状態は、特に限定されない。帯電部材の表面近傍に存在するボウル形状の粒子とその直下の中空粒子の界面における振動吸収効果がバンディングに対して、支配的であることが判明しているからである。
本発明の帯電部材において、ボウル形状の樹脂粒子の「ボウル直下の充填空間」内に完全に含まれる中空粒子の個数は、4.0個以上である。非特許文献1には、多重動吸振器に関する設計方法が記載されている。駆動起因による振動が、ボウル形状の樹脂粒子に伝わった時、条件(1)で規定する関係を満たす状態に配置された中空粒子は、並列配置されたダンパーの役目を果たすものと考えられる。並列配置されたダンパーが4個以上存在することで、動吸振器としての振動吸収効果が大きくなる。中空粒子の粒子径は、球形近似によって求められる。この求め方に関しては後述する。
ボウル形状の樹脂粒子の「ボウル直下の充填空間」内に完全に含まれる中空粒子の数が20個以上である場合は、中空粒子の粒子径が小さいので、中空粒子のダンパーとしての能力(振動拡散能力)は小さい。よって、バンディング抑制の観点から、ボウル形状の樹脂粒子の「ボウル直下の充填空間」内に完全に含まれる中空粒子の数は19.0個以下であることが好ましく、4.0個以上15.0個以下であることがより好ましい。
次に、ボウル形状の樹脂粒子の粒子径と中空粒子の粒子径について説明する。ボウル形状の樹脂粒子の粒子径としては、ボウル形状の樹脂粒子の球形近似による粒子径(b)とボウル形状の樹脂粒子の体積平均粒子径(Mvb)の二つを定義する。中空粒子の粒子径としては、中空粒子の球形近似による粒子径(c)と中空粒子の球形近似による体積平均粒子径(Mvc)の二つを定義する。これらの物性値の求め方は、以下の説明の通りである。
導電性基体の表面から任意のボウル形状の樹脂粒子を選択し、ボウル形状の樹脂粒子をスライスし、1個のボウル形状の樹脂粒子について複数の断面を得る。ボウル形状の樹脂粒子の切断方向は、特に指定しないが、導電性基体の表面に対して、垂直な方向が好ましい。この複数の断面に基づき、球形近似することにより、当該ボウル形状の樹脂粒子の直径bを求め、また、体積vbを算出する。導電性基体の表面の任意の50箇所のボウル形状の樹脂粒子について前記操作を行い、得られたbとvbからMvbを求める。
次に、ボウル形状の樹脂粒子を導電性基体の表面に正投影した投影部の領域において、シェル外壁面と下方基準面Mとで囲まれる「ボウル直下の充填空間」内の中空粒子の1個について、同様にスライスし、複数の断面を得る。得られた複数の断面に基づき、球形近似することにより、当該中空粒子の直径cを求め、また、体積vcを算出する。導電性基体の表面の任意の50箇所の「ボウル直下の充填空間」において前記操作を行い、得られたcとvcからMvcを求める。
尚、上記、球形近似を行うために、1個のボウル形状の樹脂粒子、及び1個の中空粒子について、複数の断面を得るためのスライス幅は、1〜50nmの範囲が好ましく、10〜30nmの範囲がより好ましい。これは、作業効率と球形近似の精度の観点から最もバランスのとれた範囲であるからである。
粒子径bは、50μm以上、150μm以下であることが望ましい。50μmより小さいと振動吸収効果が小さくなる。150μm超では大きな凹が形成されて、スジ画像が確認されやすくなる。また、体積平均粒子径Mvbは、60μm以上、140μm以下であることが望ましい。この理由は、前記のbの場合の理由と同じである。粒子径cは、b/5(μm)以上、b/(1+√2)(μm)以下であることが望ましい。b/(1+√2)(μm)超であると、「ボウル直下の充填空間」内の中空粒子の個数が3個以下になる恐れがある。b/5(μm)未満では、中空粒子の粒子径が小さいため、前述したダンパーとしての効果を発揮し難くなり、振動吸収効果が小さくなる。体積平均粒子径Mvcは、15μm以上、50μm以下であることが望ましい。この理由は、上記範囲内となることで、前述のダンパー効果を発揮しやすくなるからである。
<帯電ローラ>
以下に、本発明に係る帯電ローラについて詳細に説明する。図3は、本発明に係る帯電ローラの断面の一例の概略図である。図3(3a)の帯電ローラは、導電性基体12と導電性樹脂層13を有している。導電性樹脂層は図3(3b)に示すように、導電性樹脂層13及び14の2層構成であってもよい。尚、導電性樹脂層は、バインダー、ボウル形状の樹脂粒子を含有している。
導電性基体及び導電性樹脂層、あるいは、導電性基体上に順次積層する層(例えば、図3(3b)に示す導電性樹脂層2及び導電性樹脂層3)は、接着剤を介して接着してもよい。この場合、接着剤は導電性であることが好ましい。導電性にするための接着剤には公知のものを用いることができる。接着剤としては、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が挙げられるが、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系、ポリエーテル系、エポキシ系のような公知のものを用いることができる。接着剤に導電性を付与するための導電剤としては、後述する、導電性樹脂層を導電化するために用い得る導電性微粒子から適宜選択し、単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に係る帯電ローラは、長手方向の中央部での感光体との従動回転性を向上させるという観点から、長手方向の中央部が一番太く、長手方向の両端部にいくほど細くなるクラウン形状が好ましい。クラウン量の好ましい範囲は、30〜200μmである。但し、クラウン量は、ローラ部材の長手方向における中央部の外径D2と、中央部から両端方向へ各90mm離れた位置の外径D1及びD3との差の平均値であり、下記の数式(1)にて算出される値である。
クラウン量=D2−(D1+D3)/2 ・・・(1) 。
<導電性基体>
本発明の帯電ローラに用いられる導電性基体は、導電性を有し、その上に設けられる導電性樹脂層を支持する機能を有するものである。材質としては、例えば、鉄、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケルの如き金属やその合金を挙げることができる。
<導電性樹脂層>
図4は帯電ローラの導電性樹脂層の表面近傍の部分断面図である。導電性樹脂層に含有されている複数個のボウル形状の樹脂粒子のうちの一部のボウル形状の樹脂粒子4は、ローラの表面に露出している。そして、帯電ローラの表面は、表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子の開口15に由来する凹部2と、表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジ1に由来する凸部とを有している。図5に示す、ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部16の頂点と、当該ボウル形状の樹脂粒子のシェルによって画定された凹部2の底部との距離17を、5μm以上100μm以下、特に8μm以上80μm以下とすることが好ましい。なお、以下、当該距離を「高低差」と称することがある。距離17を、上記の範囲内とすることにより、より確実に当接圧力を緩和させることができる。また、前記高低差17と、前記ボウル形状の樹脂粒子の最大径18との比、すなわち、樹脂粒子の[最大径]/[高低差]は、0.8以上3.0以下であることが好ましい。本範囲内とすることにより、より確実に上述した当接圧力を減少させることができる。
前記凹凸形状の形成により、ローラ部材の表面状態、すなわち、導電性樹脂層の表面状態は、下記のように制御されていることが好ましい。十点平均粗さ(Rzjis)は、5μm以上65μm以下、特には、10μm以上50μm以下が好ましい。表面の凹凸平均間隔(Sm)は、30μm以上200μm以下、特には40μm以上150μm以下が好ましい。上記の範囲内とすることにより、より確実に当接圧力を減少させることができる。尚、表面の十点平均粗さ(Rzjis)及び表面の凹凸平均間隔(Sm)の測定法については、後に詳述する。
本発明に用いるボウル形状の樹脂粒子の一例を図6(6a)から図6(6e)に示す。本発明において、「ボウル形状」の樹脂粒子とは、開口部19を有し、シェルによって画定された丸みのある凹部20を有する形状を有する粒子をいう。開口部は、図6(6a)及び図6(6b)に示すように、エッジ形状が平坦であってもよく、また、図6(6c)から図6(6e)に示すようにエッジ形状が凹凸であってもよい。
ボウル形状の樹脂粒子の最大径18の目安は、5μm以上150μm以下、特には、8μm以上120μm以下である。また、ボウル形状の樹脂粒子の最大径18と、開口部の最小径21の比、即ち、ボウル形状の樹脂粒子の[最大径]/[開口部の最小径]が、1.1以上4.0以下であることがより好ましい。本範囲内とすることにより、より確実に上述した当接圧力を減少させることができる。
ボウル形状の樹脂粒子のシェルの厚みは0.1μm以上3μm以下、特には、0.2μm以上2μm以下であることが好ましい。シェルの厚みをこの範囲内とすることによって、エッジをより柔軟に弾性変性させることが可能となり、その結果として、より確実に当接圧力を緩和させることができる。また、上記シェルの厚みは、最大厚みが、最小厚みの3倍以下であることが好ましく、2倍以下であることがより好ましい。
<バインダー>
本発明の導電性樹脂層に含有されるバインダーとしては、公知のゴムまたは樹脂を用いることができる。ゴムとしては、例えば、天然ゴムやこれを加硫処理したもの、合成ゴムを挙げることができる。合成ゴムとしては以下のものが挙げられる。エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプロピレンゴム(IR)、ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム及びフッ素ゴム。樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の如き樹脂が使用できる。中でも、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂がより好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらバインダーの原料である単量体を共重合させ、共重合体としてもよい。
<導電性微粒子>
導電性樹脂層は、導電性を発現するために公知の導電性微粒子を含有しても良い。導電性微粒子としては金属酸化物、金属微粒子、カーボンブラックが挙げられる。また、これらの導電性微粒子を、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。導電性樹脂層中における導電性微粒子の含有量の目安としては、バインダー100質量部に対して2〜200質量部、特には5〜100質量部である。
<導電性樹脂層の形成方法>
導電性樹脂層を形成する方法を下記に例示する。まず、導電性基体上に、バインダーに中空形状の樹脂粒子を分散させた被覆層(以下、「予備被覆層」と称する。)を作製する。その後、表面を研磨することにより、中空形状の樹脂粒子の一部分を削除してボウル形状とし、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹部と、ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジによる凸部を形成する。以下、これらの凹部と凸部を含む形状を「ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状」と称する。この様にしてバインダー、ボウル形状の樹脂粒子及び中空粒子(中空形状の樹脂粒子)を含む導電性樹脂層を形成し、次にその表面に電子線照射を行い、導電性樹脂層の弾性変形の復元速度を制御する。
<熱膨張性マイクロカプセル>
中空形状の樹脂粒子を形成する材料として、熱膨張性マイクロカプセルを用いることができる。熱膨張性マイクロカプセルは、粒子の内部に内包物質を含み、熱を加えることにより内包物質が膨張し、中空形状の樹脂粒子となる材料である。
熱膨張性マイクロカプセルを用いる場合、バインダーとして熱可塑性樹脂を用いる必要がある。熱可塑性樹脂としては以下のものが挙げられる。アクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メタクリル酸樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂、メタクリロニトリル樹脂、アクリル酸樹脂、アクリル酸エステル樹脂類、メタクリル酸エステル樹脂類。この中でも、ガス透過性が低く、高い反発弾性を示すアクリロニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メタクリロニトリル樹脂から選ばれる少なくとも1種からなる熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。これら熱可塑性樹脂は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。更に、これら熱可塑性樹脂の原料となる単量体を共重合させ、共重合体としてもよい。
熱可塑性マイクロカプセルの内包物質としては、前記熱可塑性樹脂の軟化点以下の温度でガスになって膨張するものが好ましく、例えば以下のものが挙げられる。プロパン、プロピレン、ブテン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタンの如く低沸点液体;ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、イソオクタン、ノルマルデカン、イソデカンの如く高沸点液体。
上記の熱膨張性マイクロカプセルは、懸濁重合法、界面重合法、界面沈降法、液中乾燥法の公知の製法によって製造することができる。例えば、懸濁重合法においては、重合性単量体、上記熱膨張性マイクロカプセルに内包させる物質及び重合開始剤を混合し、この混合物を、界面活性剤や分散安定剤を含有する水性媒体中に分散させた後、懸濁重合させる方法を例示することができる。尚、重合性単量体の官能基と反応する反応性基を有する化合物、有機フィラーを添加することもできる。
重合性単量体としては、下記のものを例示することができる。アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、塩化ビニリデン、酢酸ビニル;アクリル酸エステル(メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート);メタクリル酸エステル(メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート);スチレン系モノマー、アクリルアミド、置換アクリルアミド、メタクリルアミド、置換メタクリルアミド、ブタジエン、εカプロラクタム、ポリエーテル、イソシアネート。これらの重合性単量体は単独であるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
重合開始剤としては、重合性単量体に可溶の開始剤が好ましく、公知のパーオキサイド開始剤及びアゾ開始剤を使用できる。これらのうち、アゾ開始剤が好ましい。アゾ開始剤の例を以下に挙げる。2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサン1−カーボニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル。中でも、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルが好ましい。重合開始剤を用いる場合、重合性単量体100重量部に対して、0.01〜5質量部が好ましい。
界面活性剤としてはアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子型分散剤を使用できる。界面活性剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましい。
分散安定剤としては以下のものが挙げられる。有機微粒子(ポリスチレン微粒子、ポリメタクリル酸メチル微粒子、ポリアクリル酸微粒子及びポリエポキシド微粒子等)、シリカ(コロイダルシリカ等)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸バリウム、及び、水酸化マグネシウム等。分散安定剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。
懸濁重合は、耐圧容器を用い、密閉下で行うことが好ましい。また、重合用原料を分散機等で懸濁してから、耐圧容器内に移して懸濁重合してもよく、耐圧容器内で懸濁してもよい。重合温度は50℃〜120℃が好ましい。重合は、大気圧で行ってもよいが、上記熱膨張マイクロカプセルに内包させる物質を気化させないようにするため、加圧下(大気圧に0.1〜1MPaを加えた圧力下)で行うことが好ましい。重合終了後は、遠心分離や濾過によって、固液分離及び洗浄を行ってもよい。固液分離や洗浄する場合、その後、熱膨張マイクロカプセルを構成する樹脂の軟化温度以下にて乾燥や粉砕を行ってもよい。乾燥及び粉砕は、既知の方法により行うことができ、気流乾燥機、順風乾燥機及びナウターミキサーを使用できる。また、乾燥及び粉砕は、粉砕乾燥機によって同時に行うこともできる。界面活性剤及び分散安定剤は、製造後に洗浄濾過を繰り返すことにより除去できる。
本発明では、ボウル形状の樹脂粒子、中空粒子を成形するための手段として、熱膨張性マイクロカプセルを利用する方法が望ましい。ボウル形状の樹脂粒子に関しては、熱膨張性マイクロカプセルを導電性樹脂層中に分散させて、加熱することで中空粒子を生成させる。この中空粒子を後述する研磨工程により、中空粒子の一部分を切削することで、ボウル形状の樹脂粒子を形成できる。
また、本発明の条件(1)で規定される状態に中空粒子を配置する方法について、説明する。本発明では、膨張後の粒子径が異なる2種類の熱膨張性マイクロカプセルを利用することで、本発明の条件(1)で規定される関係を満たす状態に中空粒子を配置することが可能となる。膨張後の粒子径を制御する方法としては、未膨張の熱膨張性マイクロカプセルの粒子径を制御する方法が好んで用いられる。この方法は、熱膨張性マイクロカプセルの構成成分(バインダー、内包物質)を一定にした時、その粒子径を制御することで、膨張後(中空粒子)の粒子径が制御できる。粒子径の大きな中空粒子が、ボウル形状の樹脂粒子となり、粒子径の小さな中空粒子が本発明の条件(1)で規定される関係を満たす状態に配置される。この場合、粒子径の大きな中空粒子が、粒子径の大きい熱膨張性マイクロカプセルに対応し、粒子径の小さな中空粒子が、粒子径の小さい熱膨張性マイクロカプセルに対応する。よって、この手段では、図12に示すようにボウル形状粒子の下方に小さい中空粒子が存在し、その下方には大きな中空粒子の周りに小さな中空粒子が存在する構成となる。
本発明の条件(1)で規定される関係を満たす状態に中空粒子を配置する方法として、粒子径の大きい熱膨張性マイクロカプセルの表面に粒子径の小さい熱膨張性マイクロカプセルを被覆する方法が挙げられる。被覆方法としては、ハイブリダイザーを用いて、大粒径の粒子に小粒径の粒子を付着させて、大粒径の粒子を小粒径の粒子で被覆する方法が好ましい。例えば、株式会社奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステムを用いて被覆処理を行うことできる。
また、シランカップリング剤、またはチタネートカップリング剤を用いて粒子径の大きい熱膨張性マイクロカプセルと粒子径の小さい熱膨張性マイクロカプセルを接着する方法が好ましい。接着方法として乾式攪拌法が好んで用いられる。乾式攪拌法は、粒子径の大きい熱膨張性マイクロカプセルと粒子径の小さい熱膨張性マイクロカプセルをヘンシェル、リボン、V型ミキサーの如き高速攪拌機の中に入れてカップリング剤を含む水溶液または有機溶剤を滴下させる方法である。
これらの中空粒子の配置に際しては、熱膨張性マイクロカプセルのバインダーや内包物質を適宜制御して、中空粒子の粒子径を制御してもよい。バインダーに関しては、アクリレート及び/又はメタクリレート系のモノマーを使用し、バインダーのTgを制御することで、膨張後の粒子径を制御できる。内包物質は、含有量や沸点を制御することで、膨張後の粒子径を制御できる。
<予備被覆層、及び導電性樹脂層の形成方法>
続いて、予備被覆層の形成方法について説明する。予備被覆層の形成方法としては、静電スプレー塗布、ディッピング塗布、ロール塗布のような塗布法により導電性基体上に導電性樹脂組成物の層を形成し、乾燥、加熱、架橋等によってこの層を硬化させる方法が挙げられる。また、導電性樹脂組成物を所定の膜厚に成膜し硬化させたシート形状又はチューブ形状の層を導電性基体に対して接着又は被覆する方法が挙げられる。更に、導電性基体を配置した型内で導電性樹脂組成物を所定の形状に硬化、成形する方法が挙げられる。また、特に、バインダーがゴムの場合には、クロスヘッドを備えた押出機を用いて、導電性基体と未加硫ゴム組成物を一体的に押出して作製することもできる。クロスヘッドとは、電線や針金の被覆層を構成するために用いられる、押出機のシリンダ先端に設置して使用する押出金型である。
この予備被覆層を形成した後、乾燥、硬化、または、架橋を経た予備被覆層の表面を研磨して、中空形状の樹脂粒子の一部分を削除してボウル形状とする。これにより、導電性樹脂層の表面に、ボウル形状の樹脂粒子が露出するように固定され、且つボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、ボウル形状の樹脂粒子の開口エッジに由来する凸部とが形成される。研磨方法としては、円筒研磨方法やテープ研磨法を使用することができる。円筒研磨機としては、トラバース方式のNC円筒研磨機、プランジカット方式のNC円筒研磨機を例示することができる。
中空の樹脂粒子は、内部に気体を内包しているため、高い反発弾性を有する。従って、導電性樹脂層のバインダーとしては、相対的に低い反発弾性を有し、かつ、伸びの小さなゴムまたは樹脂を選択することが好ましい。これにより、導電性樹脂層は研磨されやすく、中空の樹脂粒子は研磨されにくい状態を達成することができる。この状態にある導電性樹脂層を研磨すると、中空の樹脂粒子の一部分のみを削除し、ボウル形状の樹脂粒子とすることができる。その結果、導電性樹脂層の表面には、ボウル形状の樹脂粒子の開口を形成することができる。本方法は、中空の樹脂粒子と予備被覆層との研磨性の差を利用して、開口に由来する凹部と、該開口のエッジに由来する凸部を形成する方法であるため、導電性弾性層に使用するバインダーにはゴムを使用することが好ましい。具体的には、低い反発弾性を有し、かつ、伸びが小さいアクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、または、ブタジエンゴムを好適に用い得る。
更に、中空粒子としては、シェルが、気体透過性が低く、高反発弾性を有するという観点から、極性基を有する樹脂を含むものが好ましい。かかる樹脂としては、下記式(1)で示されるユニットを有する樹脂が挙げられる。更には、中空粒子の研磨の制御の容易性という観点から、式(1)で示されるユニットと、式(5)で示されるユニットの両方を有する樹脂が、更に好ましい。
式(1)中、Aは下記式(2)、(3)及び(4)から選択される少なくとも1種である。R1は、水素原子または炭素数1から4のアルキル基である。
式(5)中、R2は、水素原子または炭素数1から4のアルキル基である。R3は、水素原子または炭素数1から10のアルキル基である。R2とR3は、同じ構造であっても、異なる構造であってもよい。
<研磨方法>
研磨方法としては、円筒研磨方法やテープ研磨法を使用することができるが、材料の研磨性の差を顕著に引き出す必要があるため、より速く研磨する条件が好ましい。この観点から、円筒研磨方法を使用することがより好ましい。円筒研磨法の中でも、導電性ローラの長手方向を同時に研磨でき、研磨時間が短縮できるという観点から、プランジカット方式を使用することが、更に好ましい。プランジカット方式の研磨機の説明図を図7に示す。(7a)はプランジカット方式の研磨機の正面図である。(7b)はプランジカット方式の研磨機の側面図である。また、研磨面を均一にするという観点から従来行われていたスパークアウト工程(侵入速度0mm/minでの研磨工程)を、できるだけ短時間とすること、または行わないことが好ましい。一例として、プランジカット方式の円筒研磨砥石の回転数は、1000〜4000rpm、特には、2000〜4000rpmが好ましい。予備被覆層への侵入速度は、5〜30mm/min、特には、10〜30mm/minがより好ましい。侵入工程の最後には、研磨表面に慣らし工程を有してもよく、0.1〜0.2mm/minの侵入速度で2秒間以内とすることが好ましい。スパークアウト工程(侵入速度0mm/minでの研磨工程)は、3秒間以下が好ましい。回転数を50rpm以上500rpm以下に設定することが好ましく、更には、200rpm以上に設定することがより好ましい。上記条件とすることで、予備被覆層の表面に、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形成を、より容易に形成することができ、導電性樹脂層を有する導電性ローラを作製することができる。
<表面処理>
更には、導電性樹脂層を研磨した層を形成した後、その表面に、紫外線照射や電子線照射等の表面処理を行ってもよい。図8に、導電性樹脂層を形成したローラ形状の部材に、電子線を照射する方法の一例を説明する説明図を示す。まず、導電性樹脂層を形成した部材27を、不図示の回転冶具に設置し、シャッター備え付けの投入口28から電子線照射装置29の内部へと搬入する。この後、シャッターを閉じ、電子線照射装置の内部雰囲気を窒素置換して、酸素濃度が100ppm以下になったことを確認してから、電子線発生部30から電子線を照射する。電子線発生部30には、電子線加速用の真空チャンバーと、フィラメント状の陰極が存在する。そして、この陰極を加熱すると、その表面から熱電子が放出される。このように放出された熱電子は加速電圧によって加速された後、電子線として放出される。また、このフィラメントの形状やフィラメントの加熱温度を変えることによって、陰極から放出される電子線の数(照射線量)を調節することができる。
電子線照射における電子線の線量は、下記の数式(2)で定義される。
D=(K・I)/V ・・・(2) 。
ここで、Dは線量(kGy)、Kは装置定数、Iは電子電流(mA)、Vは処理スピード(m/min)である。装置定数Kは装置個々の効率を表す定数であって、装置の性能の指標である。装置定数Kは一定の加速電圧の条件で、電子電流と処理スピードを変えて線量を測定することによって求めることができる。電子線の線量測定は、線量測定用フィルムをローラ表面に貼り付け、これを実際に電子線照射装置で処理し、この線量測定用フィルムの電子線の線量をフィルム線量計により測定する。線量測定用フィルムはFWT−60、フィルム線量計はFWT−92D型(いずれもFar West Technology社製)である。本発明における電子線の線量は、表面改質の効果の観点から30kGy以上、また表面の過度の架橋や崩壊防止の観点から3000kGy以下の範囲が好ましい。
<導電性樹脂層中のその他の成分>
帯電部材の導電性樹脂層は、前記の導電性微粒子に加えイオン導電剤、絶縁性粒子を含有してもよい。
イオン導電剤としては、以下のものが挙げられる。例えば、LiClOやNaClOの過塩素酸塩、4級アンモニウム塩が挙げられ、これらを単独又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
絶縁性粒子としては、以下の材料の粒子が挙げられる。酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、酸化チタン(二酸化チタン、一酸化チタン等)、酸化鉄、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、ドロマイト、タルク、カオリンクレー、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ゼオライト、ウオラストナイト、けいそう土、ガラスビーズ、ベントナイト、モンモリナイト、中空ガラス、有機金属化合物及び有機金属塩。
<導電性樹脂層の体積抵抗率>
導電性樹脂層の体積抵抗率の目安としては、温度23℃、相対湿度50%の環境において、1×10Ω・cm以上、1×1016Ω・cm以下とすることが好ましい。この範囲内とすることで、放電により電子写真感光体を適切に帯電することが、より容易になる。
導電性樹脂層の体積抵抗率は、以下のようにして求める。まず、帯電部材から、導電性樹脂層を、縦5mm、横5mm、厚さ1mm程度の短冊形に切り出す。両面に金属を蒸着して電極とガード電極とを作製し測定用サンプルを得る。導電性樹脂層が薄膜で切り出せない場合には、アルミニウム製のシートの上に導電性樹脂層形成用の導電性弾性組成物を塗布して塗膜を形成し、塗膜面に金属を蒸着して測定用サンプルを得る。得られた測定用サンプルについて微小電流計(商品名:ADVANTEST R8340A ULTRA HIGHRESISTANCE METER、(株)アドバンテスト製)を用いて200Vの電圧を印加する。そして、30秒後の電流を測定し、膜厚と電極面積とから計算して体積抵抗率を求める。導電性樹脂層の体積抵抗率は、前述した導電性微粒子及びイオン導電剤により調整することができる。また、導電性微粒子の平均粒径の目安としては、0.01μm〜0.9μm、特には0.01μm〜0.5μmである。導電性樹脂層中の導電性微粒子の含有量の目安はバインダー100質量部に対して2〜80質量部、特には20〜60質量部である。
<電子写真装置>
本発明に係る電子写真装置は、本発明の帯電部材と、露光装置及び現像装置を少なくとも有することを特徴とする電子写真装置である。電子写真装置の一例の概略構成を図9に示す。この電子写真装置は、電子写真感光体、電子写真感光体の帯電装置、露光を行う潜像形成装置、現像装置、転写装置、電子写真感光体上の転写残トナーのクリーニング装置及び定着装置等から構成されている。電子写真感光体31は、導電性基体上に感光層を有する回転ドラム型である。電子写真感光体は矢示の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。帯電装置は、電子写真感光体31に所定の押圧力で当接されることにより接触配置される接触式の帯電ローラ32を有する。帯電ローラ32は、電子写真感光体31の回転に従い回転する従動回転であり、帯電用電源から所定の直流電圧を印加することにより、電子写真感光体を所定の電位に帯電する。電子写真感光体31に静電潜像を形成する潜像形成装置は、例えばレーザービームスキャナーなどの如き露光装置が用いられる。一様に帯電された電子写真感光体31に画像情報に対応した露光光33を照射することにより、静電潜像が形成される。
現像装置は、電子写真感光体31に近接又は接触して配設される現像スリーブ又は現像ローラ34を有する。電子写真感光体の帯電極性と同極性に静電的処理されたトナーを反転現像により、静電潜像を現像してトナー像を形成する。転写装置は、接触式の転写ローラ35を有する。電子写真感光体からトナー像を普通紙などの如き転写材に転写する。転写材36は、搬送部材を有する給紙システムにより搬送される。クリーニング装置は、ブレード型のクリーニング部材37、回収容器38を有し、転写した後、電子写真感光体31上に残留する転写残トナーを機械的に掻き落とし回収する。ここで、現像装置にて転写残トナーを回収する現像同時クリーニング方式を採用することにより、クリーニング装置を省くことも可能である。定着部材39は、加熱されたロールで構成され、転写されたトナー像を転写材36に定着し、機外に排出する。
<プロセスカートリッジ>
本発明に係るプロセスカートリッジは、本発明の帯電部材が被帯電体と少なくとも一体化され、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジである。プロセスカートリッジの一例の概略構成を図10に示す。プロセスカートリッジは、被帯電体である電子写真感光体31、帯電ローラ32、現像ローラ34、クリーニング部材37等を一体化し、電子写真装置に着脱可能に構成されている。また、本発明の帯電部材は上記の現像ローラとしても用いることができる。
本発明に係る各種物性の測定方法を以下に示す。
<1.カプセル粒子の体積平均粒径の測定>
粉体の体積平均粒子径測定を、レーザー回折型粒度分布計(商品名:コールターLS−230型粒度分布計、コールター社製)を用いて行う。測定には、水系モジュールを用い、測定溶媒として純水を使用する。純水にて粒度分布計の測定系内を約5分間洗浄し、消泡剤として測定系内に亜硫酸ナトリウムを10mg〜25mg加えて、バックグラウンドファンクションを実行する。次に純水50ml中に界面活性剤3滴〜4滴を加え、更に測定試料を1mg〜25mg加える。試料を懸濁した水溶液を超音波分散器で1分間〜3分間分散処理を行い、被験試料液を調製する。前記測定装置の測定系内に被験試料液を徐々に加えて、装置の画面上のPIDSが45%以上55%以下になるように測定系内の被験試料濃度を調整して測定を行う。得られた体積分布から体積平均粒子径を算出する。
<2.bおよびMvbの測定>
帯電ローラの表面から任意のボウル形状の樹脂粒子を50個選択し、各ボウル形状の樹脂粒子を厚み20nmずつ集束イオンビーム(商品名:FB−2000C、日立製作所社製)にて切り出しながら、断面画像を撮影する。この断面画像を基に球形近似した時の直径をbとする。球形近似した時の体積をvbとする。選択した50個のボウル形状の樹脂粒子について前記の直径bと体積vbを個々に算出し、これらの値から50個のボウル形状の樹脂粒子の体積平均粒子径を算出してMvbとする。
<3.cおよびMvcの測定>
bおよびMvbを測定した50個のボウル形状の樹脂粒子について、ボウル形状の樹脂粒子を導電性基体の表面に正投影した投影部の面に平行な面を切断面として「上方基準位置p」から「下方基準位置p」までの間の「ボウル直下の充填空間」を厚み20nmずつ集束イオンビーム(商品名:FB−2000C、日立製作所社製)にて切り出しながら、断面画像を撮影する。この断面画像から、「ボウル直下の充填空間」内に存在する中空粒子を球形近似し、その直径を中空粒子の球形近似による粒子径cとする。ボウル形状の樹脂粒子の各「ボウル直下の充填空間」内に存在する全ての中空粒子について前記直径cと体積vcを個々に計算して、これらの値から50個のボウル形状樹脂粒子の「ボウル直下の充填空間」内に存在する中空粒子の体積平均粒子径を算出してMvcとする。
<4.中空粒子の個数>
前記cおよびMvcの測定の際に使用された中空粒子は「ボウル直下の充填空間」内に完全に含まれる中空粒子であるので、本発明の条件(1)を同時に満たす中空粒子である。従って、これらの50個のボウル形状の樹脂粒子の各「ボウル直下の充填空間」内に存在する中空粒子の数の平均個数を、「中空粒子の個数」として表示する。
<5.表面粗さRzjisの測定>
JIS B 0601−1994表面粗さの規格に準じて測定し、表面粗さ測定器(商品名:SE−3500、小坂研究所社製)を用いて測定する。Rzjisは、無作為に選ばれた帯電ローラの表面6箇所において測定し、その平均値とする。尚、カットオフ値0.8mmであり、評価長さは8mmである。
以下に、具体的な製造例及び実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。尚、製造例1〜33はカプセル粒子1〜33の製造例である。
<製造例1>
イオン交換水4000質量部と、分散安定剤としてコロイダルシリカ2質量部およびポリビニルピロリドン0.15質量部の水性混合液を調製した。次いで、重合性単量体としてアクリロニトリル50質量部、メタクリロニトリル45質量部及び、メチルメタクリロレート5質量部と、内包物質としてノルマルヘキサン15.0質量部と、重合開始剤としてジクミルパーオキシド0.75質量部からなる油性混合液を調製した。この油性混合液を、前記水性混合液に添加し、更に水酸化ナトリウム0.4質量部を添加することにより、分散液を調製した。
得られた分散液を、ホモジナイザーを用いて3分間攪拌混合し、窒素置換した重合反応容器内へ仕込み、50rpmの攪拌下、60℃で20時間反応させることにより、反応生成物を調製した。得られた反応生成物について、濾過と水洗を繰り返した後、80℃で5時間乾燥することでカプセル粒子を作製した。
得られたカプセル粒子を乾式気流分級機(クラッシールN−20:セイシン企業社製)により篩い分け、カプセル粒子1を得た。分級条件は、分級ローターの回転数を400rpmとした。得られたカプセル粒子の体積平均粒子径は、表1に示す。
<製造例2〜8>
分級ローターの回転数を、それぞれ500rpm、600rpm、750rpm、800rpm、820rpm、900rpm、または1000rpmとした以外は、製造例1と同様の条件で、カプセル粒子2〜8を得た。得られたカプセル粒子の体積平均粒子径は、表1に示す。
<製造例9>
コロイダルシリカを5質量部、ホモジナイザーの回転数を100rpm、分級ローターの回転数を1000rpmとした以外は、製造例1と同様の方法で、カプセル粒子9を得た。得られたカプセル粒子の体積平均粒子径は、表1に示す。
<製造例10〜17>
分級ローターの回転数を、それぞれ1050rpm、1120rpm、1150rpm、1200rpm、1270rpm、1300rpm、1350rpm、または1380rpmとした以外は、製造例9と同様の条件で、カプセル粒子10〜17を得た。得られたカプセル粒子の体積平均粒子径は、表1に示す。
<製造例18>
コロイダルシリカを9質量部、ホモジナイザーの回転数を200rpm、分級ローターの回転数を1380rpmとした以外は、製造例1と同様の方法で、カプセル粒子18を得た。得られたカプセル粒子の体積平均粒子径は、表1に示す。
<製造例19〜25>
分級ローターの回転数を、それぞれ1400rpm、1430rpm、1470rpm、1500rpm、1580rpm、1600rpm、または1650rpmとした以外は、製造例18と同様の条件で、カプセル粒子19〜25を得た。得られたカプセル粒子の体積平均粒子径は、表1に示す。
<製造例26>
コロイダルシリカを12質量部、ホモジナイザーの回転数を1000rpm、分級ローターの回転数を1650rpmとした以外は、製造例1と同様の方法で、カプセル粒子26を得た。得られたカプセル粒子の体積平均粒子径は、表1に示す。
<製造例27〜33>
分級ローターの回転数を、それぞれ1680rpm、1720rpm、1760rpm、1780rpm、1830rpm、1900rpm、または1950rpmとした以外は、製造例26と同様の条件で、カプセル粒子27〜33を得た。得られたカプセル粒子の体積平均粒子径は、表1に示す。
<実施例1>
〔1.導電性基体〕
直径6mm、長さ252.5mmのステンレス鋼製の円筒状基体に、カーボンブラックを10質量%含有させた熱硬化性樹脂を塗布し、乾燥したものを導電性基体として使用した。
〔2.カプセル粒子の前処理〕
カプセル粒子Aとして100質量部のカプセル粒子15に対して、カプセル粒子Bとして40質量部のカプセル粒子24を添加し、これらをハイブリタイザー(商品名:ハイブリタイゼーションシステム、株式会社奈良機械製作所社製)で混合し、カプセル粒子混合物を得た。次に、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)(商品名:N230SV,JSR社製)100質量部に対し、前記カプセル粒子混合物を100質量部添加して、密閉型ミキサーにて15分間混練して、「カプセル粒子マスターバッチ」を作製した。
〔3.導電性ゴム組成物の作製〕
アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)(商品名:N230SV,JSR社製)100質量部に対し、カーボンブラック(商品名:トーカブラック#7360SB、東海カーボン社製)を45質量部、酸化亜鉛(商品名:亜鉛華2種、堺化学工業社製)を5質量部、炭酸カルシウム(商品名:スーパー1700、丸尾カルシウム社製)を20質量部加えて、50℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。次いで、前記カプセル粒子マスターバッチを20質量部、硫黄を1質量部、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(TRA)(商品名:ノクセラーTRA、大内新興化学工業社製)を0.5質量部、2−メルカプトベンゾチアゾール(商品名:ノクセラーM−P、大内新興化学工業社製)を0.5質量部添加して、温度25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、導電性ゴム組成物を得た。
〔4.導電性樹脂層の形成〕
図11に示すクロスヘッドを具備する押出成形装置を用いて、導電性基体を中心軸として、その周面に円筒状に前記導電性ゴム組成物を被覆した。被覆した導電性ゴム組成物の厚みは、1.0mmに調整した。押出後のローラを、熱風炉にて160℃で1時間加熱して導電性ゴム組成物を加硫した後、該ゴム層の端部を除去して、長さを224.2mmとした。更に、160℃で1時間2次加硫を行い、層厚3.5mmの予備被覆層を有するローラを作製した。得られたローラの外周面を、プランジカット式の円筒研磨機を用いて研磨した。研磨砥粒としてピトリファイド砥石を用い、砥粒は緑色炭化珪素(GC)で粒度は100メッシュとした。ローラの回転数を350rpmとし、研磨砥石の回転数を2050rpmとした。切り込み速度を20mm/minとし、スパークアウト時間(切り込み0mmでの時間)を0秒と設定して研磨を行い、導電性樹脂層を有する導電性ローラを作製した。導電性樹脂層の厚みは、1.3mmに調整した。尚、このローラのクラウン量は120μmであった。
〔5.導電性樹脂層への電子線照射〕
上記導電性ローラに対して、以下の条件で電子線照射を行うことにより、ローラ部材1を得た。電子線照射は、電子線照射装置(商品名:低エネルギー電子線照射源 EB−ENGINE、浜松ホトニクス社製)により行った。窒素ガスパージにより雰囲気の酸素濃度を500ppm以下とし、ローラ部材の導電性基体を回転軸として、ローラ部材を300rpmで回転させながら、処理スピード10mm/sで搬送して電子線の照射を行った。電子線照射条件は、加速電圧70kV、線量が1000kGyになるように電子電流を調整した。このようにして帯電ローラ1を得た。
帯電ローラ1は、b=50.0μm、c=20.0μm、Mvb=60.0μm、Mvc=24.0μm、Rzjis=26.1μmであった。また、ボウル形状の樹脂粒子の「ボウル直下の充填空間」内に完全に含まれる中空粒子の個数は4.2個であった。結果は、表2に示す。
〔6.バンディング画像の評価〕
図9に示す構成を有する電子写真装置であるキヤノン(株)製モノクロレーザープリンタ(「LBP6700」(商品名))を370mm/secのプロセススピードに改造し、更に、外部より、帯電ローラに電圧を印加した。印加電圧は、交流電圧として、ピークピーク電圧(Vpp)を1800V、周波数(f)を1350Hz、直流電圧(Vdc)を−600Vとした。画像の解像度は、600dpiで出力した。
尚、プロセスカートリッジとして、上記プリンタ用のトナーカートリッジ524IIを用いた。上記トナーカートリッジから付属の帯電ローラを取り外し、作製した帯電ローラ1をセットした。また、帯電ローラ1は、電子写真感光体に対し、一端で4.9N、両端で合計9.8Nのバネによる押し圧力で当接させた。このプロセスカートリッジを温度15℃、相対湿度10%の低温低湿環境に24時間馴染ませた。その後、出力してバンディング画像の評価を行った。プロセスカートリッジにセットした初期のハーフトーン画像(電子写真感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドット、間隔2ドットの横線を描く画像)を出力した。
そして、得られたハーフトーン画像を目視にて観察し、帯電ムラに起因する横スジ状の濃度ムラであるバンディングが認められるか否かを、下記の基準で判定した。
ランク1:バンディングは発生しない。
ランク2:軽微なバンディングが認められるのみである。
ランク3:一部に、バンディングが帯電ローラのピッチで認められるが、実用上は問題ない。
ランク4:バンディングが目立ち、画質の低下が認められる。
帯電ローラ1の評価結果は、表2に示す。帯電ローラ1は、バンディング画像の評価ランクが1であったため、良好な結果であった。
<実施例2〜22>
カプセル粒子AとBを下記表2に示す値に変えた以外は、実施例1と同様の方法で帯電ローラ2〜22を作製し、実施例1と同様の評価を行ない、表2に示す結果を得た。帯電ローラ2〜22は、ボウル形状の樹脂粒子の「ボウル直下の充填空間」内に完全に含まれる中空粒子の個数が4個以上であるため、振動吸収効果が大きく、バンディング画像の評価で良好な結果が得られた。
<比較例1〜11>
カプセル粒子AとBを下記表3に示すものに変えた以外は、実施例1と同様の方法で帯電ローラ23〜33を作製し、実施例1と同様の評価を行い、表3に示す結果を得た。帯電ローラ23〜33は、ボウル形状の樹脂粒子の「ボウル直下の充填空間」内に完全に含まれる中空粒子の個数が4個未満であり、振動吸収効果が不十分だったために、バンディング画像の評価ランクが4であった。
1.ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジ
2.ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部
3.導電性樹脂層
4.シェル
5.シェルの外壁面の最深部の位置p(上方基準位置p
6.下方基準位置p
7.下方基準面M
8.中空粒子
9.「ボウルの投影部」の境界線
10.切断面
11.「ボウルの投影部」の輪郭
12.導電性基体
13.導電性樹脂層その1
14.導電性樹脂層その2
15.ボウル形状の樹脂粒子の開口部
16.ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部
17.ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部の頂点と、シェルによって画定された凹部2の底部との距離
18.ボウル形状の樹脂粒子の最大径
19.ボウル形状の樹脂粒子の開口部
20.丸みのある凹部
21.開口部の最小径
22.砥石
23.研磨ワーク
24.把持冶具
25.研磨ワークの回転方向
26.砥石の回転方向
27.導電性樹脂層を形成した部材
28.投入口
29.電子線照射装置
30.電子線発生部
31.電子写真感光体
32.帯電ローラ
33.露光光
34.現像ローラ
35.転写ローラ
36.転写材
37.クリーニング部材
38.回収容器
39.定着部材
40.大粒径の中空粒子

Claims (5)

  1. 導電性基体と、導電性樹脂層とを有する帯電部材であって、
    該導電性樹脂層は、バインダー、複数個のボウル形状の樹脂粒子及び複数個の中空粒子を含有しており、
    該帯電部材の表面は、該ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部とを有し、
    該導電性樹脂層は、該ボウル形状の樹脂粒子と該中空粒子との位置に関して、下記の条件(1)で規定される関係を満たしていることを特徴とする帯電部材:
    [条件(1):1個の該ボウル形状の樹脂粒子の該凹部を形成しているシェルの外壁面の最深部の位置pから深さ方向の距離dが「b/(1+√2)」(μm)の位置pを通る該導電性基体の表面と平行な面Mと、該シェルの外壁面と、の間であって、該導電性樹脂層の表面から深さ方向に向けて該1個のボウル形状の樹脂粒子を正投影したときの該ボウル形状の樹脂粒子の正投影領域内に、少なくとも4.0個の該中空粒子が存在する。但し、bは、該ボウル形状の樹脂粒子の球形近似による粒子径(μm)を表す。]。
  2. 前記中空粒子の球形近似による粒子径cが、b/5(μm)以上、b/(1+√2)(μm)以下である請求項1に記載の帯電部材。
  3. 前記bの値が、50μm以上、150μm以下である請求項1または2に記載の帯電部材。
  4. 請求項1〜3のいずれかの一項に記載の帯電部材が被帯電体と少なくとも一体化され、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  5. 請求項1〜3のいずれかの一項に記載の帯電部材、露光装置及び現像装置を少なくとも有することを特徴とする電子写真装置。
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