JP6141481B2 - 電子写真用部材、その製造方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents
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Description
式(1) K2<K1
式(2) K3<K1
式(3) 0.8≦K2/K3≦1.2。
(4)該工程(3)の後に、前記被覆層の表面を再研磨し、該凹のみに該導電性微粒子を存在させる工程、を有する電子写真用部材の製造方法が提供される。
式(1) K2<K1
式(2) K3<K1
式(3) 0.8≦K2/K3≦1.2。
帯電部材の一例を示す概略断面図を図3に示す。図3(3a)の帯電部材は、導電性の基体1と導電性樹脂層2を有している。導電性樹脂層は図3(3b)に示すように、導電性樹脂層21及び22の2層構成であってもよい。尚、導電性樹脂層は、バインダー及びボウル形状の樹脂粒子を含有している。
帯電部材に用いられる導電性の基体は、導電性を有し、その上に設けられる導電性樹脂層を支持する機能を有するものである。材質としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケルの如き金属やその合金(ステンレス鋼等)を挙げることができる。
図5は本発明に係る帯電部材の表面層を構成する導電性樹脂層の表面近傍の部分断面図である。導電性樹脂層に含有されている一部のボウル形状の樹脂粒子41は、前記帯電部材の表面に露出している。そして、帯電部材の表面は、表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子の開口51に由来する凹部52と、表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジ53に由来する凸部とを有しており、エッジ53は図5(5a)及び図5(5b)等に示す形態をとることができる。
導電性樹脂層に含有されるバインダーとしては、公知のゴムまたは樹脂を用いることができる。ゴムとしては、例えば、天然ゴムやこれを加硫処理したもの、合成ゴムを挙げることができる。合成ゴムとしては以下のものが挙げられる。エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプロピレンゴム(IR)、ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム及びフッ素ゴム。
導電性樹脂層の体積抵抗率の目安としては、温度23℃、相対湿度50%の環境下において、1×102Ωcm以上、1×1016Ωcm以下とすることが好ましく、本範囲内とすることで、放電により感光体を適切に帯電することが、より容易になる。そのために、導電性樹脂層中に、公知の導電性微粒子を含有してもよい。導電性微粒子としては金属酸化物、金属、カーボンブラック、グラファイトの微粒子が挙げられる。また、これらの導電性微粒子を、1種類単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。導電性樹脂層中における導電性微粒子の含有量の目安としては、バインダー100質量部に対して2〜200質量部、特には5〜100質量部である。
導電性樹脂層を形成する方法を以下に例示する。まず、導電性の基体上に、バインダー中に中空形状の樹脂粒子を分散させた組成物の被覆層を形成する。その後、被覆層の表面を研磨することにより、中空形状の樹脂粒子のシェルの一部を削除して開口を有するボウル形状とし、該ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹部と、該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジによる凸部を形成する(以下、これらの凹凸を含む形状を「ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状」と称す)。次いで、該凹部への導電性微粒子の塗布、または、酸素含有雰囲気下での被覆層の加熱処理等によって、被覆層の表面に存在する材料の導電率を調整する。
まず、予備被覆層中に中空形状の樹脂粒子を分散させる方法について説明する。一つの方法としては、内部に気体を含有している中空形状の樹脂粒子を、バインダー中に分散させた導電性樹脂組成物の塗膜を基体上に形成し、塗膜を乾燥、硬化、または架橋等を行う方法を例示することができる。尚、導電性樹脂組成物中には導電性粒子を含有させることができる。中空形状の樹脂粒子に使用する材料としては、気体透過性が低く、高反発弾性を有するという観点から、極性基を有する樹脂が好ましく、下記化学式(4)に示すユニットを有する樹脂が、より好ましい。特に研磨性を制御しやすいという観点から、化学式(4)に示すユニットと、化学式(8)に示すユニットを両方有することが、更に好ましい。
続いて、予備被覆層の形成方法について説明する。予備被覆層の形成方法としては、静電スプレー塗布、ディッピング塗布、ロール塗布のような塗布法により導電性の基体上に導電性樹脂組成物の層を形成し、乾燥、加熱、架橋等によってこの層を硬化させる方法が挙げられる。また、導電性樹脂組成物を所定の膜厚に成膜し硬化させたシート形状又はチューブ形状の層を、導電性の基体に対して接着又は被覆する方法が挙げられる。更に、導電性の基体を配置した型の中に導電性樹脂組成物を入れて硬化させて予備被覆層を形成する方法が挙げられる。また、特に、バインダーがゴムの場合には、クロスヘッドを備えた押出機を用いて、導電性の基体と未加硫ゴム組成物を一体的に押出して作製することもできる。クロスヘッドとは、電線や針金の被覆層を構成するために用いられる、押出機のシリンダ先端に設置して使用する押出金型である。この後、乾燥、硬化または架橋等を経た後、予備被覆層の表面を研磨して、中空形状の樹脂粒子のシェルの一部を削除してボウル形状とする。研磨方法としては円筒研磨方法やテープ研磨法を使用できる。円筒研磨機としては、トラバース方式のNC円筒研磨機、プランジカット方式のNC円筒研磨機が例示できる。
予備被覆層の厚みが中空形状の樹脂粒子の平均粒径の5倍以下の場合、予備被覆層の表面には、中空形状の樹脂粒子由来の凸部が形成されている場合が多い。この場合には、中空形状の樹脂粒子の凸部の一部を削除して、ボウル形状とし、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を形成することができる。この場合、研磨時に予備被覆層にかかる圧力が比較的小さい、テープ研磨方式を使用することがより好ましい。一例として、テープ研磨方式を使用する際の予備被覆層の研磨条件として好ましい範囲を下記に示す。
予備被覆層の厚みが中空形状の樹脂粒子の平均粒径の5倍を超える場合、予備被覆層の表面には、中空形状の樹脂粒子由来の凸部が形成されていない場合が発生する。この様な場合は、中空形状の樹脂粒子と予備被覆層の材料との研磨性の差を利用して、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を形成可能である。中空形状の樹脂粒子は、内部に気体を内包しているため、高反発弾性を有する。これに対し、予備被覆層のバインダーとしては、比較的反発弾性が低く、且つ、伸びの小さなゴム又は樹脂を選択する。これにより予備被覆層は研磨されやすく、中空形状の樹脂粒子は研磨されにくい状態を達成できる。上記状態の予備被覆層を研磨すると、中空形状の樹脂粒子は、予備被覆層と同じ状態で研磨されることなく、中空形状の樹脂粒子のシェルの一部が削除されたボウル形状とすることができる。これにより、予備被覆層の表面に、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を形成することができる。この方法は、中空形状の樹脂粒子と予備被覆層の材料との研磨性の差を利用して、凹凸形状を形成する方法であるため、予備被覆層に使用する材料(バインダー)としては、ゴムが好ましい。この中でも、低反発弾性、且つ、伸びが小さいという観点から、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴムを使用することが特に好ましい。
研磨方法としては、円筒研磨法やテープ研磨法を使用することができるが、材料の研磨性の差を顕著に引き出す必要があるため、より速く研磨する条件が好ましい。この観点から円筒研磨法を使用することがより好ましい。円筒研磨法の中でも、予備被覆層の長手方向を同時に研磨でき研磨時間が短縮できるという観点から、プランジカット方式を使用することが、更に好ましい。また、研磨面を均一にするという観点から従来行われていたスパークアウト工程(侵入速度0mm/minでの研磨工程)を、できるだけ短時間とするか、または行わないことが好ましい。一例として、プランジカット方式の円筒研磨砥石の回転数は、1000〜4000rpm、特には2000〜4000rpmが好ましい。予備被覆層への侵入速度は、5〜30mm/min、特には10〜30mm/minがより好ましい。侵入工程の最後には、研磨表面に慣らし工程を有してもよく、0.1以上0.2mm/min以下の侵入速度で2秒間以内とすることが好ましい。スパークアウト工程(侵入速度0mm/minでの研磨工程)は、3秒間以下が好ましい。回転数を50rpm以上500rpm以下に設定することが好ましく、更には200rpm以上に設定することがより好ましい。上記条件とすることで、予備被覆層の表面にボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形成を、より容易に形成することができる。尚、以下の説明において、研磨処理された予備被覆層を、単に「被覆層」と称す。
帯電部材は、前記数式(1)〜(3)を満たす。数式(1)〜(3)におけるK1〜K3は、帯電部材の表面の各部位の導電率に起因した輝度を示しており、数式(1)〜(3)を満たすためには、「被覆層」の各部位の導電率を制御することが好ましい。
〔方法1〕ボウル形状の樹脂粒子に由来する凹部に導電性微粒子を存在させる方法。
〔方法2〕ボウル形状の樹脂粒子のボウルの材質を酸素透過度が140cm3/(m2・24h・atm)以下である酸素透過度の低い材料として、被覆層の表面を酸素含有雰囲気下(大気雰囲気下等)にて加熱処理する方法。
〔方法3〕電子写真用部材の表面の一部を構成する導電性樹脂層中にシリコーンオイルを存在させる方法。
前述の導電率に起因した輝度による帯電部材の評価方法について、以下説明する。図11(11a)は凹凸部の導電率に起因した輝度を算出するための走査電子顕微鏡の一実施形態を示す概略図である。
〔1〕被電子線照射部の導電率が高い場合(図11(11c))
正の電位を有する導電性基体側に、電子線照射により発生した二次電子が吸引され、検出器で検出される二次電子の量は少なくなる。
〔2〕被電子線照射部の導電率が低い場合(図11(11b))
正の電位を有する導電性基体側への、上記二次電子の吸引が抑制され、前記〔1〕に比べ、検出器で検出される二次電子の量は多くなる。
本発明に係る電子写真装置の一例の概略構成を図12に示す。この電子写真装置は、電子写真感光体、電子写真感光体を帯電する帯電装置、露光を行う潜像形成装置、トナー像に現像する現像装置、転写材に転写する転写装置、電子写真感光体上の転写残トナーを回収するクリーニング装置、トナー像を定着する定着装置等から構成されている。
本発明に係るプロセスカートリッジの一例の概略構成を図13に示す。このプロセスカートリッジは、電子写真感光体102、帯電ローラ101、現像ローラ103、クリーニング部材106等を一体化し、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されている。
イオン交換水4000質量部と、分散安定剤としてコロイダルシリカ9質量部およびポリビニルピロリドン0.15質量部からなる水性混合液を調製した。次いで、重合性単量体としてアクリロニトリル50質量部、メタクリロニトリル45質量部、及び、メチルアクリレート5質量部と、内包物質としてノルマルヘキサン12.5質量部と、重合開始剤としてジクミルパーオキシド0.75質量部からなる油性混合液を調製した。この油性混合液を、前記水性混合液に添加し、更に水酸化ナトリウム0.4質量部を添加することにより、分散液を調製した。
製造例1において、分級条件を変更した以外は同様の方法で樹脂粒子2を得た。
コロイダルシリカの使用量、重合性単量体の種類と使用量、重合時の攪拌回転数の一つ以上を変更した以外は、製造例1と同様の方法により樹脂粒子を作製し、分級することによって、樹脂粒子No.3〜8を得た。
樹脂粒子No.1〜8の体積平均粒径測定を、レーザ回折型粒度分布計(商品名:コールターLS−230型粒度分布計、コールター社製)により行った。測定には、水系モジュールを用い、測定溶媒として純水を使用した。純水にて粒度分布計の測定系内を約5分間洗浄し、消泡剤として測定系内に亜硫酸ナトリウムを10〜25mg加えて、バックグラウンドファンクションを実行した。次に純水50ml中に界面活性剤3滴〜4滴を加え、更に測定試料を1mg〜25mg加えた。試料を懸濁した水溶液を超音波分散器で1分間〜3分間分散処理を行い、被験試料液を調製した。前記測定装置の測定系内に被験試料液を徐々に加えて、装置の画面上のPIDSが45%以上55%以下になるように測定系内の被験試料濃度を調整して測定を行った。得られた体積分布から体積平均粒子径を算出した。樹脂粒子No.1〜8の材料の処方、重合時の撹拌条件、および、体積平均粒径を表1に示す。
この製造例のシートは、樹脂粒子から内包物質を除去して得られる樹脂材料のガス透過度を測定するためのシートである。前記樹脂粒子No.1を、100℃で加熱減圧することにより、内包物質を除去することで、樹脂組成物No.1を得た。その後、160℃に加熱した金型(Φ70mm、深さ500μm)に前記樹脂組成物を充填し、10MPaの圧力で加圧することにより、直径70mm、厚み500μmの円形状のガス透過度測定用シートNo.1を得た。
樹脂粒子No.1の代わりに樹脂粒子No.4〜8を用いて、前記と同様の方法により、ガス透過度測定用シートNo.2〜6を得た。
前記ガス透過度測定用シートNo.1〜6を用いて、JIS K 7126に記載の差圧法に基づいて下記条件にて、酸素ガス透過度を測定した。
測定機:ガス透過率測定装置(商品名:M−C3型、東洋精機製作所製)
使用ガス:JIS K 1101相当の酸素ガス
測定温度:23±0.5℃
試験圧力:760mmHg
透過面積:38.46cm2(Φ70mm)
サンプル厚:500μm。
アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)(商品名:N230SV,JSR社製)100質量部に対し、表3の成分(1)の欄に示す他の材料を加えて、50℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。これに、表3の成分(2)の欄に示す材料を添加した。次いで、温度25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、導電性ゴム組成物No.1を得た。
製造例21において、樹脂粒子No.1を表7に示す樹脂粒子(樹脂粒子No.2〜8)に変更した以外は、製造例21と同様にして導電性ゴム組成物No.2〜7及び10を得た。
スチレンブタジエンゴム(SBR)(商品名:タフデン2003、旭化成ケミカルズ社製)100質量部に対し、表4の成分(1)の欄に示す他の材料を加えて、80℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。これに、表4の成分(2)の欄に示す材料を添加した。次いで、温度25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、導電性ゴム組成物No.8を得た。
製造例25において、アクリロニトリルブタジエンゴムをブタジエンゴム(BR)(商品名:JSR BR01、JSR社製)に変更し、カーボンブラックを30質量部に変更した以外は、製造例25と同様にして導電性ゴム組成物No.9を得た。
アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)(商品名:N230SV,JSR社製)100質量部に対し、表5の成分(1)の欄に示す他の材料を加えて、50℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。これに、表5の成分(2)の欄に示す材料を添加した。次いで、温度25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、導電性ゴム組成物No.11を得た。
シリコーンオイルのオイル種、及び添加部数を表7に示す条件とした以外は、製造例31と同様にして導電性ゴム組成物No.12〜21を得た。なお、使用したシリコーンオイルの詳細を表6に示す。
〔1.導電性基体〕
直径6mm、長さ252.5mmのステンレス鋼製の基体に、カーボンブラックを10質量%含有させた熱硬化性樹脂を塗布し、乾燥したものを導電性基体として使用した。
クロスヘッドを具備する押出成形装置を用いて、導電性基体を中心軸として、その周面上に円筒状に製造例21で作製した導電性ゴム組成物1を被覆した。被覆した導電性ゴム組成物の厚みは、1.75mmに調整した。
[3−1.帯電部材の表面粗さRzjis及び平均凹凸間隔Smの測定]
JIS B 0601−1994表面粗さの規格に準じて測定し、表面粗さ測定器(商品名:SE−3500、小坂研究所社製)を用いて測定した。Rz及びSmは、帯電部材の無作為に選ばれた6箇所において測定し、その平均値とした。尚、カットオフ値0.8mmであり、評価長さは8mmである。
測定箇所は、帯電部材の長手方向の中央部、中央部から両端部方向へ各45mm離れた位置、及び中央部から両端部方向へ各90mm離れた位置の、長手方向の各5箇所について、帯電部材の周方向の各2箇所(位相0°及び180°)の合計10箇所とした。これらの各測定箇所において導電性樹脂層を500μmに亘って、20nmずつ集束イオンビーム加工観察装置(商品名:FB−2000C、日立製作所社製)を用いて、切り出し、その断面画像を撮影した。そして得られた断面画像を組み合わせ、ボウル形状の樹脂粒子の立体像を算出した。立体像から、図6で示すように「最大径」55と、図7で示す「開口部の最小径」63を算出した。なお、「最大径」の定義は、前記した通りである。
また、上記立体像から、ボウル形状の樹脂粒子の任意の10点において、ボウル形状の樹脂粒子の「外径と内径の差」即ち「シェルの厚み」を算出した。このような測定を視野内の樹脂粒子10個について行い、得られた計100個の測定値の平均値を算出した。表9−1に示す「最大径」、「開口部の最小径」及び「シェル厚み」は、上記の方法で算出した平均値である。尚、シェルの厚みの測定に際しては、各々のボウル形状の樹脂粒子について、シェルの最も肉厚な部分の厚みが、最も肉薄の部分の厚みの2倍以下、すなわち、シェルの厚みが略均一であることを確認した。
帯電部材の表面をレーザ顕微鏡(商品名:LSM5 PASCAL:カール・ツァイス(Carl Zeiss)社製)を用いて、縦0.5mm、横0.5mmの視野で観察した。レーザを視野内のX−Y平面でスキャンさせることにより2次元の画像データを得、更に焦点をZ方向に移動させ、上記のスキャンを繰り返すことにより3次元の画像データを得た。その結果、まず、ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部が存在していることを確認した。更に、前記凸部の頂点と、前記凹部の底部との高低差54を算出した。このような作業を視野内のボウル形状の樹脂粒子2個について行った。そして、同様の測定を帯電部材の長手方向50箇所について行い、得られた計100個の樹脂粒子の平均値を算出し、この値を「高低差」として表9−1に示した。
図4は帯電部材34の電気抵抗値の測定装置である。導電性基体33の両端に軸受け32により荷重をかけて、帯電部材34を、電子写真感光体と同じ曲率の円柱形金属31に、平行になるように当接させた。この状態で、モータ(不図示)により円柱形金属31を回転させ、当接した帯電部材34を従動回転させながら安定化電源35から直流電圧−200Vを印加した。この時に流れる電流を電流計36で測定し、帯電部材34の電気抵抗値を計算した。荷重は各4.9Nとし、金属製円柱31は直径30mm、金属製円柱31の回転は周速45mm/secとした。なお、測定にあたり、帯電部材34を温度23℃、相対湿度50%の環境下に24時間以上放置し、同環境下に置かれた測定装置を用いて測定を行った。
走査型電子顕微鏡(ULTRA plus、カールツァイス製)を、真空フィードスルーを介して直流電源(P4K−80H、松定プレシジョン製)を接続可能に改造し、観察を行った。観察は、導電性基体に75Vの電位を印加し、電子線を加速電圧1.0kVの条件で帯電部材の表面に照射し、作動距離(WD)2.8mm、倍率2000倍、コントラスト50%、ブライトネス28%として、ボウル形状の樹脂粒子由来の凹部と、帯電部材の表面のバインダーとを共に観察可能な領域を観察することで、二次電子像を得た。
図12に示す構成を有する電子写真装置であるキヤノン(株)製モノクロレーザープリンタ(「LBP6700」(商品名))を370mm/secのプロセススピードに改造し、更に、外部より、帯電部材に電圧を印加した。印加電圧は、交流電圧として、ピークピーク電圧(Vpp)を1800V、周波数(f)を1350Hz、直流電圧(Vdc)を−600Vとした。画像の解像度は、600dpiで出力した。
ランク1:ポチ状の画像欠陥が認められない。
ランク2:ポチ状の画像欠陥がわずかに認められるのみである。
ランク3:ポチ状の画像欠陥が一部の領域に、帯電ローラの回転ピッチに対応して発生していることが認められるが、実用上問題ない。
ランク4:ポチ状の画像欠陥が広範囲に認められ、目立つ。
ランク1:横スジ状の画像欠陥が認められない。
ランク2:横スジ状の画像欠陥がわずかに認められるのみである。
ランク3:横スジ状の画像欠陥が一部の領域に、帯電ローラの回転ピッチに対応して発生していることが認められるが、実用上問題ない。
ランク4:横スジ状の画像欠陥が広範囲に認められ、目立つ。
実施例1において、加硫温度および研磨後の加熱温度を表8に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にして、帯電部材No.2〜10を作製した。
実施例1において、導電性ゴム組成物No.1を表8に示す導電性ゴム組成物No.に変更し、研磨後の加熱温度を表8に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にして、帯電部材No.11〜24を作製した。
研磨までの工程について、実施例13と同様にして行うことにより、研磨した導電性ローラを作製した。次いで、図4の電流測定装置を利用してこの導電性ローラの表面に導電性微粒子として酸化亜鉛粉体(商品名:23−K、ハクスイテック株式会社製)を塗布した。具体的には、研磨した導電性ローラを、その両端のそれぞれに荷重4.9Nをかけて、円柱形金属31に平行になるように当接させた。この状態で、モータ(不図示)により円柱形金属31を周速45mm/secで回転させ、円柱形金属31と従動回転している導電性ローラに、上記酸化亜鉛粉体を染み込ませた不織布を押し当てることにより塗布した。
研磨した導電性ローラに塗布する導電性微粒子を、酸化亜鉛粉体(商品名:パゼットCK、ハクスイテック株式会社製)または、酸化亜鉛粉体(商品名:パゼットAB、ハクスイテック株式会社製)に変更した以外は、実施例25と同様にして、それぞれ、帯電部材No.26〜27を作製した。
実施例3において、導電性ゴム組成物No.1を表8に示す導電性ゴム組成物に変更した以外は、実施例3と同様にして、それぞれ、帯電部材No.28〜38を作製した。
実施例28において、研磨後の加熱を行わなかった以外は、実施例28と同様にして帯電部材No.39を作製した。
2次イオン質量分析(TOF−SIMS)装置(ULVAC−PHI社製TRIFT V nano TOF 型)を用いて測定した。測定箇所は、導電性ローラの表面のボウル型樹脂粒子内部の5箇所、及び導電性ローラの表面をなす導電性樹脂層の5箇所とした。各測定点において、2次イオン像よりROI(Region Of Interest)機能を用いて、スペクトルの抜き出しを行い、ケイ素、及び有機ケイ素由来の成分であるm/z=28Si、73C3H9Siのピーク強度を、それぞれ総2次イオン強度で規格化した。ボウル型樹脂粒子内部の5箇所の測定値の平均値J1、及び導電性ローラの表面をなす導電性樹脂層の5箇所の測定値の平均値J2を算出し、J1に対するJ2の比「J2/J1」を算出した。
研磨後の加熱温度を170℃または220℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、それぞれ、帯電部材No.C1及びNo.C2を作製した。
導電性ゴム組成物No.1を導電性ゴム組成物No.10に変更した以外は、実施例2と同様にして、帯電部材No.C3を作製した。
導電性ゴム組成物No.1を導電性ゴム組成物No.10に変更し、研磨後加熱温度を210℃に変更した以外は、実施例2と同様にして、帯電部材No.C4を作製した。
研磨した導電性ローラに塗布する導電性微粒子を、グラファイト粉体(商品名:UF−G5、昭和電工株式会社製)に変更した以外は、実施例25と同様にして、帯電部材No.C5を作製した。
研磨までの工程について、実施例1と同様にして行うことにより、研磨した導電性ローラを作製した。次いで、実施例27と同様にして帯電部材No.C6を作製した。
研磨後の加熱処理までの工程について、実施例3と同様に行い、研磨した導電性ローラを作製した。その後、比較例6と同様にして帯電部材No.C7を作製した。
2 導電性樹脂層
11 ボウル形状の樹脂粒子
12 導電性樹脂層(バインダー)
14 導電性樹脂層(表面層)
15 電子写真感光体
16 導電性微粒子
21 導電性樹脂層(中間層)
22 導電性樹脂層(表面層)
33 導電性の基体
34 帯電部材
41 ボウル形状の樹脂粒子
42 導電性樹脂層(バインダー)
51 ボウル形状の樹脂粒子の開口
52 ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部
53 ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジ
61 開口
62 開口の凹部
81 ボウル形状の樹脂粒子
82 導電性樹脂層(バインダー)
92 導電性の基体
101 帯電ローラ
102 電子写真感光体
Claims (9)
- 導電性の基体と、該基体上の表面層としての導電性樹脂層と、を有する電子写真用部材であって、
該導電性樹脂層は、バインダーを含み、かつ、開口を有するボウル形状の樹脂粒子を、該開口が該電子写真用部材の表面に露出する状態で保持してなり、
該電子写真用部材の表面は、該表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、該表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部と、を有し、
該電子写真用部材の表面の一部は、該導電性樹脂層によって構成されており、
該電子写真用部材に対向配置させた電極と該基体との間に50V以上100V以下の直流電圧を印加した状態で、該電子写真用部材の表面を、走査型電子顕微鏡を用いて、加速電圧1kV、倍率2000倍にて観察し、
該凸部における輝度をK1、該凹部の底部における輝度をK2、及び、該導電性樹脂層の露出表面における輝度をK3としたとき、K1、K2およびK3が、下記数式(1)〜(3)を満たすことを特徴とする電子写真用部材:
式(1) K2<K1
式(2) K3<K1
式(3) 0.8≦K2/K3≦1.2。 - 前記電子写真用部材の表面の一部を構成する該導電性樹脂層中にシリコーンオイルを含む請求項1に記載の電子写真用部材。
- 導電性の基体と、該基体上の表面層としての導電性樹脂層と、を有する電子写真用部材であって、
該導電性樹脂層は、バインダーとして架橋ゴムを含み、かつ、開口を有するボウル形状の樹脂粒子を、該開口が該電子写真用部材の表面に露出する状態で保持してなり、
該電子写真用部材の表面は、該表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、該表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部と、を有し、
該電子写真用部材の表面の一部は、該導電性樹脂層によって構成されており、
該導電性樹脂層は、導電性微粒子を含む導電性の熱架橋性ゴム組成物の層を酸素存在下で熱架橋せしめることによって形成されてなるものであることを特徴とする電子写真用部材。 - 導電性の基体と、該基体上の表面層としての導電性樹脂層と、を有する電子写真用部材であって、
該導電性樹脂層は、バインダーを含み、かつ、開口を有するボウル形状の樹脂粒子を、該開口が該電子写真用部材の表面に露出する状態で保持してなり、
該電子写真用部材の表面は、該表面に露出している該ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、該表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部と、を有し、
該電子写真用部材の表面の一部は、該導電性樹脂層によって構成されており、かつ、
該凹部に導電性微粒子が存在することを特徴とする電子写真用部材。 - 導電性の基体と、該基体上の表面層としての導電性樹脂層と、を有する電子写真用部材の製造方法であって、
(1)バインダー中に中空形状の樹脂粒子を分散させた組成物の被覆層を該基体上に形成する工程、
(2)該被覆層の表面を研磨することにより、中空形状の樹脂粒子のシェルの一部を削除して、開口を有するボウル形状とし、該ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹部と、該開口のエッジによる凸部を形成する工程、
(3)該凹部に導電性微粒子を存在させる工程、および
(4)該工程(3)の後に、前記被覆層の表面を再研磨し、該凹のみに該導電性微粒子を存在させる工程、を有することを特徴とする電子写真用部材の製造方法。 - 導電性の基体と、該基体上の表面層としての導電性樹脂層と、を有する電子写真用部材の製造方法であって、
(1)導電性微粒子、熱架橋性ゴム、および、中空形状の樹脂粒子を含む熱架橋性ゴム組成物の被覆層を該基体上に形成する工程、
(2)該被覆層の表面を研磨することにより、該中空形状の樹脂粒子のシェルの一部を削除して、開口を有するボウル形状の樹脂粒子となし、かつ、該開口が表面に露出する状態で該ボウル形状の樹脂粒子が保持されてなる層を形成する工程、及び、
(3)該被覆層中の熱架橋性ゴムを酸素存在下で熱架橋せしめて、該開口に由来する凹部と、該開口のエッジに由来する凸部と、を表面に有し、かつ、表面の一部が、導電性樹脂層で構成されてなる電子写真用部材を得る工程、
を有することを特徴とする電子写真用部材の製造方法。 - 前記中空形状の樹脂粒子のシェルの酸素透過度が140cm 3 /(m 2 ・24h・atm)以下である請求項6に記載の電子写真用部材の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真用部材と、電子写真感光体とを有し、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真用部材と、電子写真感光体とを有することを特徴とする電子写真装置。
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