JP7030537B2 - 電子写真用の帯電部材、プロセスカートリッジおよび電子写真画像形成装置 - Google Patents

電子写真用の帯電部材、プロセスカートリッジおよび電子写真画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真用の帯電部材、プロセスカートリッジおよび電子写真画像形成装置に関する。
電子写真方式を採用した画像形成装置は、主に、電子写真感光体(以下、単に「感光体」とも称す)、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置及び定着装置からなる。帯電装置としては、接触帯電装置が多く採用されている。接触帯電装置は、感光体の表面に接触又は近接配置された帯電部材(典型的には帯電ローラ)に、直流電圧、又は、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加することによって、感光体の表面を帯電する。
近年の電子写真装置の高速化や長寿命化に伴って、帯電部材に対しては、被帯電体を長期に亘って安定に帯電させることが求められている。
かかる課題に対して、特許文献1には、帯電ローラの表面に、樹脂粒子由来の凸部を有する導電層を設けてなる帯電ローラが開示されている。また、特許文献2には、ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部とを、表面に有している帯電ローラが開示されている。
特開2008-276026号公報 特開2011-248353号公報
特許文献1および特許文献2に係る帯電部材を用いて感光体を帯電させる場合、帯電部材の表面には、その表面形状に応じた表面電位が、印加電圧によって形成される。帯電部材の表面層に内包された樹脂粒子由来の凸部や、ボウル形状の樹脂粒子のエッジに由来した凸部では、非凸部よりも高い表面電位が形成される。そのため、帯電部材表面の凸部では、非凸部に比べて、感光体との間に強い放電が生じる。したがって、感光体表面の、帯電部材表面の凸部に対応する部分においては、その周囲の部分よりも帯電電位が高くなる。
特に高精細な低濃度画像を形成する場合、露光装置による露光強度が弱くなる。そのため、上記のように帯電電位が高くなった感光体表面部位を、露光後に、トナーを現像するのに適した表面電位にすることが難しい。その結果、電子写真画像上に、本来トナーが転写されるべき部位にトナーが転写されず、電子写真画像に白抜けが発生する場合がある。
本発明の一態様は、帯電部材の表面の凸部に由来する強い放電の抑制及び白抜け画像の抑制に資する、電子写真用の帯電部材の提供に向けたものである。また、本発明の別の態様は、帯電部材の表面の凸部に由来する強い放電の抑制及び白抜け画像の抑制に資する、プロセスカートリッジおよび電子写真画像形成装置の提供に向けたものである。
本発明の一態様によれば、
導電性の基体と、導電性の弾性層と、絶縁性の表面層をこの順で有する電子写真用の帯電部材であって、
該弾性層は、バインダーを含み、複数個のボウル形状の樹脂粒子を、該弾性層の該基体に対向する側とは反対側の面に保持してなり、
該ボウル形状の樹脂粒子は、開口と、該開口の周囲のエッジと、該開口に連なる空隙とを有し、該ボウル形状の樹脂粒子の各々は、該開口と該エッジとが、該弾性層の、該基体に対向する側とは反対側の面から露出するように該弾性層に保持されており、
該表面層の、該基体に対向する側とは反対側の表面は、該帯電部材の表面を構成し、
該帯電部材の表面は、該空隙に由来する複数個の凹部と、該エッジに由来する複数個の凸部とを有し、
該帯電部材の長手方向に直交し、かつ、該凸部の頂点を含む断面において、該頂点と該基体の回転中心とを結ぶ線分は、該凹部の空間を通り、
該表面層の体積抵抗率が、1.0×1016Ω・cm以上、1.0×1018Ω・cm以下であり、かつ、
該表面層の膜厚が、1μm以上、5μm以下である、電子写真用の帯電部材が提供される。
本発明の別の態様によれば、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、
前記電子写真用の帯電部材を有するプロセスカートリッジが提供される。
本発明の更に別の態様によれば、電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電可能に配置された帯電部材と、を有する電子写真画像形成装置であって、該帯電部材が、上記の帯電部材である電子写真画像形成装置が提供される。
本発明の一態様によれば、帯電部材の表面の凸部に由来する強い放電の抑制及び白抜け画像の抑制に資する、電子写真用の帯電部材が提供される。また、本発明の別の態様によれば、帯電部材の表面の凸部に由来する強い放電の抑制及び白抜け画像の抑制に資する、プロセスカートリッジおよび電子写真画像形成装置が提供される。
本発明に係る帯電部材の構成例を示す模式断面図である。 帯電部材のボウル形状の樹脂粒子の一例の断面模式図である。 帯電部材のボウル形状の樹脂粒子の一例の寸法を説明するための断面模式図である。 本発明の効果を発現するメカニズムを説明するための図であり、(A)はボウル形状の樹脂粒子の場合の断面模式図、(B)は中実樹脂粒子の場合の断面模式図である。 実施例で使用した、コロナ放電表面処理装置の構成を示す模式図である。 実施例で使用した、帯電部材の放電光観察を行う装置の構成を示す模式図である。 本発明に係る電子写真画像形成装置の一例の断面模式図である。 本発明に係るプロセスカートリッジの一例の断面模式図である。 実施例で使用した、表面仕上げ研削装置を示す模式図である。 比較例3で得られた帯電部材の典型的なボウル形状の樹脂粒子の断面模式図である。
本発明の一態様に係る帯電部材は、導電性の基体と、導電性の弾性層と、絶縁性の表面層とをこの順に備えている。弾性層は、バインダーを含む。また弾性層は、複数個のボウル形状の樹脂粒子を、弾性層の基体に対向する側とは反対側の面に保持してなる。ボウル形状の樹脂粒子は、開口と、開口の周囲のエッジと、開口に連なる空隙とを有する。また、ボウル形状の樹脂粒子の各々は、開口とエッジとが、弾性層の、基体に対向する側とは反対側の面から露出するように弾性層に保持されている。
当該帯電部材によれば、低濃度の電子写真画像を形成する場合においても、当該電子写真画像への白抜けの発生を抑制できる理由を本発明者らは以下のように推定している。
まず、従来例に係る帯電部材として、図4(B)に示すように中実で導電性の樹脂粒子(4b)が、導電性の弾性層(1b)の表面から露出し、絶縁性の表面層(1a)が、樹脂粒子(4b)及び導電性の弾性層(1b)を覆っている帯電部材について説明する。
帯電部材の表面層は、印加される電圧と逆の極性を帯びる。ここで、帯電部材の導電性基体に負極性の電圧を印加する場合を考える。
放電空間内において、電界の強さが或る値(パッシェンの法則により求めることができる)を超えると、空気中の気体分子が電離し、電子と正イオンが生成して最初の放電が起こる。次に、生成された電子は、印加された電界に従って移動する過程で多くの空気中の気体分子と衝突し、電子雪崩を形成しながら感光体の方向へ移動する。電子雪崩の先端では、電子と気体分子との衝突が生じている。そのため、電子雪崩は放電電荷量を増大させながら進展し、最終的には感光体の表面に電子が蓄積する。すなわち、感光体の表面が帯電される。
生成した正イオンは、感光体とは逆向き、すなわち、帯電部材の表面へと移動する。ここで、帯電部材の表面層の体積抵抗率が低い場合は、帯電部材の表面へと移動した正イオンの正電荷は表面層を通過し、導電性弾性層、導電性基体へと抜けていく。しかし、表面層の体積抵抗率が高い場合、すなわち表面層が絶縁性である場合は、正イオンの正電荷は表面層(1a)を通過することができずに、表面層(1a)の表面に蓄積する。すなわち、表面層が正にチャージアップする。これを模式的に示したものが図4(B)である。
上記のように表面層が正にチャージアップすると、蓄積した正電荷が、印加電圧によって生じるマイナスの電界を相殺し、強い放電を抑制することが可能となる。しかし、図4(B)のように、凸部として、中実な導電性の樹脂粒子(4b)による凸形状のみが存在する場合、電界を全体的に相殺するにすぎず、凸部と非凸部との電界強度の差を埋めるには不十分である。
一方、本態様に係る帯電部材においては、図4(A)に示すように、ボウル形状の樹脂粒子由来の凸部(図2における2d)と凹部(図2における2c)を有する表面に対し、チャージアップする表面層を有する。このことにより、凸部と非凸部との電界強度の差を低減することが可能となる。
ここで、図2を参照する。図2は、本態様に係る帯電部材の、長手方向に直交し、かつ、該凸部の頂点を含む断面の断面図である。該帯電部材は、ボウル形状の樹脂粒子(201)の空隙(2a)に由来する凹部(2c)と、開口の周囲のエッジ(2h)に由来する凸部(2d)を表面に有し、チャージアップ可能な表面層(1a)を備える。
該帯電部材の基体に負極性の電圧を印加すると、凸部(2d)の頂点(2e)に電界が集中する。一方、凸部(2d)の下に存在する、ボウル形状の樹脂粒子(201)の空隙(2a)に由来する凹部(2c)の表面に形成される電界は、凸部よりも弱く、また、帯電ローラ表面の平坦部分よりも弱い。さらに、凹部(2c)は、チャージアップ可能な表面層(1c)が存在しているため、凹部表面に形成される電界はさらに弱い。
したがって、図4(A)に示す破線で囲った部分(4a)において、凸部の強いマイナスの電界を相殺できる正にチャージアップした部位を、凸部下の凹部の表面に形成することができる。そのため、エッジ由来の凸部(2d)においては、非凸部と比較して、マイナスの電界を相殺する効果が大きくなり、凸部と非凸部との電界強度の差を低減させることができる。その結果、低濃度の電子写真画像を形成する際においても白抜けの発生を抑制することが可能となる。
以下に、図面を参照しつつ、本発明を説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。また、電子写真用の帯電部材として、特に帯電ローラについて詳述するが、帯電部材の形状は、ローラ形状に限定されるものではない。
<構成>
図1に示す帯電ローラは導電性の基体(1c)と、その導電性基体上に設けられた導電性の弾性層(1b)と、導電性の弾性層上に設けられた絶縁性の表面層(1a)とを、この順で有する。
<導電性の基体>
導電性基体としては導電性の材料からなる基体を用いることができ、例えば鉄、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金又はニッケルで形成されている金属(合金を含む)製の支持体(例えば、円柱状の金属)を用いることができる。
<導電性の弾性層>
導電性の弾性層(1b)は、バインダーと、複数個のボウル形状の樹脂粒子(201)を含む。この弾性層は、その導電性を発現するために導電性微粒子を含むことができる。ボウル形状の樹脂粒子(201)のそれぞれは、1つの開口(2b)と、その開口のエッジ(2h)と、その開口に連なる空隙(2a)とを有する。このボウル形状の樹脂粒子は、中空の樹脂粒子が開口した形状を有する。この開口(2b)とそのエッジ(2h)とは、この弾性層(1b)の外周面(すなわち基体に対向する側とは反対側の面)から露出している。なお、空隙(2a)は、樹脂粒子(201)の内壁面と、開口(2b)とによって画定される。
(導電性弾性層のバインダー)
導電性弾性層に含有されるバインダーとしては、公知のゴムまたは樹脂を使用することができる。ゴムとしては、例えば、天然ゴムやこれを加硫処理したもの、合成ゴムを挙げることができる。合成ゴムとしては以下のものが挙げられる。エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム及びフッ素ゴム。樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の如き樹脂が使用できる。中でも、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂がより好ましい。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらバインダーの原料である単量体を共重合させ、共重合体としてもよい。導電性弾性層は、プレポリマー化したバインダーの原料に架橋剤等を添加し、硬化または架橋することによって形成してもよい。
(導電性微粒子)
導電性弾性層は、導電性を発現するために公知の導電性微粒子を含有することができる。導電性微粒子の具体例としては、金属酸化物、金属微粒子、カーボンブラック等が挙げられる。また、これらの導電性微粒子を、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。導電性弾性層中における導電性微粒子の含有量の目安としては、バインダー100質量部に対して2~200質量部、特には5~100質量部である。
(導電性弾性層を構成するその他の成分)
導電性弾性層中には上記の他に、絶縁性粒子や、硬度を調整するための、軟化油及び可塑剤の如き添加剤を含有させてもよい。可塑剤としては高分子タイプのものを用いることが好ましく、その重量平均分子量は好ましくは2000以上、より好ましくは4000以上である。さらに、種々な機能を付与する材料として、老化防止剤、充填剤、加工助剤、粘着付与剤、粘着防止剤、分散剤、粗し粒子以外の樹脂粒子を含有させてもよい。樹脂粒子としては、以下のものが挙げられる。ポリメタクリル酸メチル粒子、ポリエチレン粒子、シリコーンゴム粒子、ポリウレタン粒子、ポリスチレン粒子、アミノ樹脂粒子、またはフェノール樹脂粒子。
<表面層>
表面層(1a)の外周面(基体に対向する側とは反対側の表面)は、帯電ローラの表面を構成する。したがって、弾性層(1b)の外周面は、ボウル形状の樹脂粒子(201)の弾性層外周面から露出している部分も含めて、表面層(1a)で覆われている。その結果、帯電ローラの表面は、複数の樹脂粒子(201)の空隙(2a)に由来する複数個の凹部(2c)と、複数の樹脂粒子(201)のエッジ(2h)に由来する複数個の凸部(2d)とを有する。
放電で発生する正電荷を捕捉してチャージアップするために、表面層の体積抵抗率および膜厚を、下記の範囲内とする。
(表面層の膜厚)
絶縁性の表面層(1a)の膜厚は1μm以上、5μm以下である。膜厚が1μm以上とすることで、チャージアップした表面層上の正電荷を導電性基体に抜けさせずに表面層内に保持することができる。また、膜厚が5μm以下とすることで、放電を十分に発生させることができ、放電の安定化が達成でき、帯電不良を起こさずに均一な帯電を行うことができる。なお、表面層の膜厚は、帯電ローラの断面を鋭利な刃物で切り出して、得られたサンプルを光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察することにより測定できる。
(表面層の体積抵抗率)
表面層(1a)の体積抵抗率は1.0×1016Ω・cm以上、1.0×1018Ω・cm以下である。表面層の体積抵抗率を1.0×1016Ω・cm以上にすることで、チャージアップした表面層上の正電荷を導電性基体に抜けさせずに表面層上に保持することができ、凸部に集中した電界を緩和することできる。また、表面層の体積抵抗率が1.0×1018Ω・cm以下にすることで、表面層に蓄積される正電荷の量を適正にでき、放電の安定化が達成でき、感光体の帯電不良を起こさずに均一な帯電を行うことができる。
(表面層の体積抵抗率の測定)
表面層の体積抵抗率の測定は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、導電性モードによって測定した測定値を採用することができる。先ず、帯電ローラの表面層(1a)を、マニュピレーターを用いてシート片に切り出し、その片面に金属蒸着を施す。金属蒸着を施した面に直流電源を接続し、電圧を印加し、表面層のもう一方の面にはカンチレバーの自由端を接触させ、AFM本体を通して電流像を得る。
この電流像から、無作為に選んだ100箇所の表面における電流値を求め、測定された電流値の、低い方から10個の電流値の平均と、シート片の膜厚とカンチレバーの接触面積から、体積抵抗率を算出できる。
測定環境は温度23℃、相対湿度50%とすることができる。
(チャージアップの確認方法)
チャージアップは、帯電ローラ表面にコロナ放電などによって電荷を与え、次いで、表面電位測定を行うことで、確認できる。
具体的には、帯電量測定装置(商品名:DRA-2000L、(株)QEA製)を、そのグリッド部と、帯電ローラの表面との間隙が1mmとなるように配置する。次いで、コロナ放電器に8kVの電圧を印加して放電を発生させて、帯電ローラの表面を帯電させ、放電終了後、10秒経過後の帯電ローラの表面電位を測定すればよい。
測定環境は温度23℃、相対湿度50%とすることができる。
(表面層の材料)
表面層(1a)を形成するための樹脂としては、表面層の体積抵抗率を1×1016Ω・cm以上、1×1018Ω・cm以下とすることのできる樹脂を用いる。このような樹脂の例としては、上記の体積抵抗率を示すようなフッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂、ポリオレフィン樹脂(例えばポリエチレン樹脂)を挙げることができる。また、これらの樹脂の原料となる単量体の2種以上から、あるいはこれらの樹脂をプレポリマーとして他の樹脂の原料となる単量体と反応させて、製造される共重合体を使用することもできる。
これらの中でも、表面層(1a)の体積抵抗率を高抵抗に制御する上で、ポリオレフィン骨格を有する樹脂を用いることが好ましい。さらにポリオレフィン骨格を有する樹脂の中でも、ポリイソプレン骨格を有する樹脂が好ましい。ポリイソプレン骨格は骨格中に二重結合に隣接した炭素、つまりアリル位となる炭素が多く、表面層がチャージアップした際、正電荷を安定して保持することが容易である。また、二重結合が共役していないため、表面層の体積抵抗率を高抵抗で安定して制御することが容易である。
また、表面層の樹脂は放射線崩壊型の樹脂であることが好ましい。放射線崩壊型の樹脂は、放射線の照射が行われた際に、不安定ラジカルが発生するため、架橋反応に比べて分子鎖の切断が起こりやすい樹脂である。放射線崩壊型の樹脂の例は、篠原健一ほか著「放射線と高分子」(槇書店,1968)などの文献で紹介されている。
放射線崩壊型の樹脂であるかどうかは、放射線、またはそれに相当するエネルギーを印加する処理前後での樹脂の分子量変化を測定することで、判定が可能である。帯電ローラ表面が表面に正電荷を保持する場合、長時間の使用によって表面層上にラジカルを生じることがある。表面層に放射線崩壊型の樹脂を用いれば、その崩壊によって不安定ラジカルを生成し、この不安定ラジカルを利用して常に表面層内でラジカルが消失する状態を達成することができる。その結果、表面層の表面に存在する酸素や水との反応によって表面層の樹脂の抵抗が低下していく現象を防ぐことができる。
中でも、ポリオレフィン骨格を有し放射線崩壊型である樹脂、たとえばポリイソブチレンを用いると高抵抗を厳密に維持しやすく、長期間の使用に特に適した表面層を提供することができる。
表面層の体積抵抗率を1.0×1016Ω・cm以上に保つためには、表面層中にイオン導電剤や導電性粒子等の導電剤を含まないことが好ましい。
(表面層の樹脂が放射線崩壊型であるか否かの確認)
次のような方法によって、表面層を形成する樹脂が放射線崩壊型であるか否かを確認することができる。まず、当該表面層を形成する樹脂をサンプリングし、その樹脂の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定する。次いで、帯電ローラ対して、コロナ放電処理を施した後、帯電ローラの表面層を構成する樹脂をサンプリングし、GPCにて分子量を測定する。コロナ放電の前後で分子量が減少していれば、その樹脂は放射線崩壊型である。分子量が増加している場合は、その樹脂は放射線架橋型の樹脂である。
GPC測定では、対象樹脂を溶媒に入れて溶液にする。この溶媒としては、当該樹脂を1質量%以上溶解できる溶媒を選択すればよい。選択した溶媒にサンプリングした樹脂を浸し、一定の時間経過したのちに、ろ過を行って取り出した溶液部分に対してGPC測定を実施すればよい。
具体的には、溶媒は、トルエン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン(THF)、トリフルオロ酢酸、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP)、ギ酸など、対象樹脂によって、最も溶解しやすい溶媒の選択が可能である。
(その他の添加剤)
表面層(1a)に、本発明の効果が損なわれない程度に、必要に応じてその他添加剤を加えてもよい。表面層の高抵抗化や、滑り性付与の観点からシリコーン添加剤を含むことが好ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、表面層には、変性、官能基や分子鎖の導入、離型剤等による表面処理等が施されていてもよい。
(表面層の形成方法)
ここで表面層(1a)の形成方法について説明する。弾性層(1b)の形成方法については後述する。表面層(1a)は、静電スプレー塗布、ディッピング塗布、リング塗布等の塗布法により形成することができる。また、型内で所定の形状に材料を硬化、成形する方法も用いることができる。この中でも、塗布法によって表面層の材料を含む塗工液を弾性層の表面上に塗工し、乾燥し、加熱や紫外線照射などで硬化することで表面層を形成することが好ましい。これは、導電性弾性層(1b)の表面に、特定の膜厚の範囲内で一様に表面層を形成するためである。
また、表面層を表面処理することにより、動摩擦、表面自由エネルギーなどの物性を調整することができる。具体的には、表面層に活性エネルギー線を照射する方法が挙げられる。活性エネルギー線としては、紫外線、赤外線、電子線などが挙げられる。
<帯電ローラの表面形状>
以下に、帯電ローラの表面形状の形態について、詳述する。
図2に示すように、ボウル形状の樹脂粒子(201)には、開口(2b)と、エッジ(2h)と、空隙(2a)が存在する。樹脂粒子(201)の外壁面は、弾性層(1b)で覆われている。弾性層(1b)は、ボウル形状の樹脂粒子(201)の内壁面には存在せず、エッジ(2h)にも存在しない。弾性層(1b)の外周面は、ボウル形状の樹脂粒子(201)の内壁面及びエッジ(2h)は、表面層(1a)で覆われている。帯電ローラの表面には、空隙(2a)に由来する凹部(2c)と、エッジ(2h)に由来する凸部(2d)とが存在する。
凸部(2d)の中で、外側すなわち基体(1c)とは反対側に最も突出した点(2e)を、「凸頂点」という。また、図2に示すように、凸頂点(2e)を含み、帯電ローラの長手方向(回転軸方向)に直交する断面において、帯電ローラの回転軸が存在する点(2g)を、基体(1c)の「回転中心」、あるいは、単に「回転中心」という。図2に示す断面において凸部が二つ存在する場合、最も外側に突出した点を有するほうの凸部を、そのボウル形状の樹脂粒子(201)のエッジに由来する凸部とする。
図2に示す断面において、凸頂点(2e)と回転中心(2g)を結んだ線分(2f)が、凹部(2c)の空間(2i)を通る。
凸部(2d)から放電が発生する際、電界は凸頂点(2e)に集中する。凸頂点(2e)に集中した強電界を抑制するには、凸部からの放電方向、つまり凸頂点(2e)と回転中心(2g)とを結んだ方向において、凸部より回転中心側に、凸部からの放電を弱めるための部位が存在することが有効である。
上記形状のボウル形状樹脂粒子が70%以上あることが好ましく、90%以上とすることがより好ましい。
凹部(2c)に形成される電界は、感光体との距離が凸部(2d)や、非凸凹部より遠くなるため弱くなり、凹部(2c)よりも感光体側に存在する凸部の電界を減衰させる効果が強い。そのため、上述のように凸部(2d)の電界を弱めるためには、凸頂点よりも基体(1c)側に、凹部が存在することが有効である。すなわち、線分(2f)が、凹部(2c)の空間(2i)を通過するような構成とすることが有効である。
好ましい形状について、図3を参照して説明する。図3には、図2と同様に、凸頂点(2e)を含む、帯電ローラの長手方向に直交する断面を示す。まず、凸頂点(2e)と、帯電ローラ表面の高さ平均面(3a)との距離を、凸頂点高さ(3b)(以下、便宜上、凸頂点高さを「Ho」とも称す)とする。次に、凸頂点(2e)と回転中心(2g)とを結んだ線分(2f)が、ボウル形状の樹脂粒子の凹部(2c)の表面と交差する点を、交点(3c)とする。凸頂点(2e)と交点(3c)との間の距離を、凸頂点-凹表面距離(3d)(以下、便宜上、「PL」とも称す)とする。このとき、凸頂点高さと凸頂点-凹表面距離の比率、つまりPL/Hoの値が2以上、10以下であることが好ましい。つまり、距離PLが凸頂点高さHoの2倍以上、10倍以下であることが好ましい。これは、凸部の電界は凸頂点の高さに依存して強くなるのに対し、凹部表面が凸頂点から離れるほど、凹部表面の電界強度が低下し、凸部の電界を弱める効果が強くなるためである。PL/Hoが2以上であると、凸部の電界を減衰させる効果が強くなり、10以下であれば安定した放電が容易である。
また、凸頂点(2e)における電界の集中をさらに低減するために、凸頂点高さHoを3μm以上、10μm以下にすることが好ましい。3μm以上とすることで安定した放電が容易となり、10μm以下とすることで凸部の電界集中を適正化して電界減衰を効果的に行うことが容易である。
(帯電ローラの表面形状の確認方法)
表面形状は、次のようにして確認することができる。
まず、帯電ローラの表面に対し、コンフォーカル顕微鏡等を使用し表面の高度プロファイルを作成し、帯電ローラ表面の高さ平均面からの、凸部(2d)の中で最も高度の高い点、つまり凸頂点(2e)を探索する。集束イオンビーム法を使用して、ボウル形状の樹脂粒子(201)の凸頂点(2e)から、帯電ローラの周方向と平行な向きに断面(長手方向と直交する断面)を切り出す。このとき、導電性基体(1c)の少なくとも中心までイオンビームで切り出し、回転中心(2g)がわかる状態のサンプルシートを作成する。当該サンプルシートに対して、走査電子顕微鏡(SEM)や共焦点顕微鏡を使用し、表面形状の断面画像を撮影し、図2のような形状になっていることを確認すればよい。
また、得られた高度プロファイルと断面画像において、前述の凸頂点-凹表面距離PL(3d)、凸頂点高さHo(3b)、を計測することができる。この計測を、例えば、帯電ローラを長手方向におおよそ11等分、周方向に6等分したときの合計66領域の中央部に対して実施し、各々の測定値の平均値を凸頂点-凹表面距離PL(3d)、凸頂点高さHo(3b)、とすればよい。
(帯電ローラの表面形状の形成方法)
まず、中空形状の樹脂粒子(以下、「中空粒子」ということがある)を分散させた導電性樹脂組成物を作製し、導電性基体(1c)上に、弾性層(1b)を成形する。導電性基体上に導電性樹脂組成物を成形する方法の例としては、静電スプレー塗布、ディッピング塗布、ロール塗布のような塗布と、それに続く乾燥、加熱、架橋工程等によってこの塗膜を硬化させる方法が挙げられる。また、導電性樹脂組成物を所定の膜厚に成膜し硬化させたシート形状又はチューブ形状の層を、導電性基体に接着する方法も挙げられる。また、このシート形状又はチューブ形状の層で、導電性基体を被覆する方法が挙げられる。更に、導電性基体を配置した型の中に導電性樹脂組成物を入れて硬化させて成形する方法が挙げられる。また、特に、バインダーがゴムの場合には、クロスヘッドを備えた押出機を用いて、導電性基体(1c)と未加硫ゴム組成物を一体的に押出し、乾燥、加熱、架橋工程を経て、導電性基体上に導電性樹脂組成物を成形することもできる。クロスヘッドとは、電線や針金等の棒状物に被覆層を形成するために用いられる、押出機のシリンダ先端に設置して使用する押出金型である。
導電性基体(1c)上に形成された導電性弾性層(1b)の表面(外周面)を研磨することによって、上に説明した図2に示すような特定の弾性層の表面形状を形成することができる。表面を研磨する手法としては円筒研磨法やテープ研磨法を使用することができる。また、円筒研磨法を用いて1次表面処理をした後、酸素ガス含有雰囲気下で加熱処理を行うことで、ボウル形状の樹脂粒子(特にはその凸部)の硬化をさらに進め、その後にテープ研磨法によって2次表面処理して、表面形状を形成する手法もある。
これにより、中空形状の樹脂粒子のシェルの一部を削除して、開口を有するボウル形状とし、得られたボウル形状の樹脂粒子(201)の開口(2b)と、この樹脂粒子(201)の内壁とで規定される空隙(2a)を形成することができる。また、この開口(2b)は弾性層(1b)の基体に対向する側とは反対側に向いている。
このようにして得られた弾性層(1b)の外周面を、前述のようにして表面層(1a)で覆うことによって、空隙(2a)に由来する凹部(2c)と、ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジ(2h)に由来する凸部(2d)を有する表面形状を得ることができる。
PL/Hoの値を2以上、10以下とするために、テープ研磨法における研磨を、円筒研磨で行った研磨と同じ向きで行うことが好ましい。また、テープ研磨法で使用する研磨テープの平均砥粒は0.1μm以上、50μm以下が好ましく、より好ましくは、1μm以上、30μmである。
Hoの値を3μm以上、10μm以下とするためには、テープ研磨法におけるローラの回転数を500rpm以上、6000rpm以下にすることが好ましく、1000rpm以上、3000rpm以下にすることがより好ましい。
<中空粒子およびボウル形状の樹脂粒子を構成する樹脂>
中空粒子およびボウル形状の樹脂粒子の樹脂としては、中空の形状を維持するために気体透過性が低いという観点から、極性基を有する樹脂が好ましく、下記式(1)に示すユニットを有する樹脂が好ましい。
Figure 0007030537000001
式(1)中、Aは下記式(2)、(3)及び(4)から選択される少なくとも1種である。R1は、水素原子、もしくは炭素数1から4のアルキル基である。
Figure 0007030537000002
具体的には、アクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メタクリル酸樹脂、スチレン樹脂、ブタジエン樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂、メタクリロニトリル樹脂、アクリル酸樹脂、アクリル酸エステル樹脂及びメタクリル酸エステル樹脂からなる群から選ばれる一種以上の樹脂を使用することができる。
その中でも、長期の使用を鑑みた場合には、放射線崩壊型樹脂が好ましい。ボウル形状の樹脂粒子のエッジに由来する凸部(2e)は、電界が集中するので、ラジカルを発生しやすく、長期間の使用によって凸部の表面層が脆化することがある。凸部の表面層が脆化すると、感光体との当接により表面層が失われ、ボウル形状の樹脂粒子(201)が露出し、そこから強い放電を発生してしまうことがある。
一方、放射線崩壊型樹脂は、放射線の照射により不安定ラジカルを生じ、ラジカル発生部位の近傍で、分子鎖の切断が起こりやすいと考えられる。
したがって、ボウル形状の樹脂粒子(201)を放射線崩壊型樹脂で形成することで、電界の集中によって発生するラジカルが不安定ラジカルとなる。不安定ラジカルは表面層の破壊に至る前に、その不安定さのために、ボウル形状の樹脂粒子内の樹脂等と反応して消失する。そのため、長期間の使用による表面層の脆化が発生しない、と本発明者らは推定している。
ボウル形状の樹脂粒子に好ましい放射線崩壊型の樹脂は、アクリロニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メタクリロニトリル樹脂から選ばれる少なくとも1種からなる熱可塑性樹脂である。
一方、放射線の照射に対し、分子架橋など新たな結合が形成され、分子構造が大きくなる傾向が強い樹脂として、放射線架橋型の樹脂が挙げられる。放射線架橋型樹脂は安定ラジカルを生成するため、放射線崩壊型樹脂と比較して、周囲の物質との反応が増え、酸化や副生成物の形成が進む。よって、放射線崩壊型樹脂と比較して、長期間の使用による表面層の脆化が発生しやすいと考えられる。
(ボウル形状の樹脂粒子についての放射線崩壊型の確認)
ボウル形状の樹脂粒子の樹脂が放射線崩壊型であるかの確認は、前述の表面層の樹脂について放射線崩壊型樹脂を確認した方法と同様にすればよい。具体的には帯電ローラの前記表面形状を形成するボウル形状の樹脂粒子をサンプリングし、樹脂粒子の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定することで可能である。次いで、帯電ローラについて、コロナ放電処理を施した後、帯電ローラ前記表面形状を形成するボウル形状の樹脂粒子をサンプリングし、GPCにて分子量を測定する。そして、コロナ放電の前の分子量よりも、後の分子量が減少していれば、樹脂粒子中の樹脂は放射線崩壊型である。一方で分子量が増加している場合はその樹脂は放射線架橋型の樹脂である。
このGPC測定は、表面層の樹脂が放射線崩壊型であるか否かの確認のためにGPC測定と同様にして行うことができる。
(中空粒子)
導電性弾性層のバインダーに分散させる中空粒子としては、例えば、その分散の際にすでに中空である樹脂粒子を用いることができる。あるいは、粒子の内部に内包物質を含み、熱を加えることにより内包物質が膨張し、中空形状の樹脂粒子となる、熱膨張性マイクロカプセルを使用する方法を例示することもできる。
この方法では、熱膨張性マイクロカプセルが導電性弾性層のバインダー中に分散した導電性樹脂組成物を作製し、この組成物で導電性基体を被覆し、乾燥、硬化、または架橋等を行うことができる。この方法の場合、導電性弾性層バインダーの乾燥、硬化、または架橋時の熱で内包物質を膨張させ、中空形状の樹脂粒子を形成することができる。その際、温度条件を制御することにより、その粒径を制御可能である。
(熱膨張性マイクロカプセルの製法)
熱膨張性マイクロカプセルに内包させる物質としては、例えばボウル形状の樹脂粒子を構成する熱可塑性樹脂の軟化点以下の温度でガスになって膨張するものが好ましく、具体例として以下のものが挙げられる。プロパン、プロピレン、ブテン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタンの如き低沸点液体、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、イソオクタン、ノルマルデカン、イソデカンなどの如き高沸点液体。
上記の熱膨張性マイクロカプセルは、懸濁重合法、界面重合法、界面沈降法、液中乾燥法といった公知の製法によって製造することができる。例えば、懸濁重合法においては、重合性単量体、上記熱膨張性マイクロカプセルに内包させる物質及び重合開始剤を混合する。そして、この混合物を、界面活性剤や分散安定剤を含有する水性媒体中に分散させた後、懸濁重合させることができる。尚、重合性単量体の官能基と反応する反応性基を有する化合物や、有機フィラーを添加することもできる。
重合性単量体としては、下記のものを例示することができる。アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロルアクリロニトリル、α-エトキシアクリロニトリル、フマロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、塩化ビニリデン、酢酸ビニル;アクリル酸エステル(メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート);メタクリル酸エステル(メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート);スチレン系モノマー、アクリルアミド、置換アクリルアミド、メタクリルアミド、置換メタクリルアミド、ブタジエン、ε-カプロラクタム、ポリエーテル、イソシアネート。これらの重合性単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、重合性単量体に可溶の開始剤が好ましく、公知のパーオキサイド開始剤及びアゾ開始剤を使用できる。これらのうち、アゾ開始剤が好ましい。アゾ開始剤の例を以下に挙げる。2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビスシクロヘキサン1-カルボニトリル、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル。中でも、2,2’-アゾビスイソブチロニトリルが好ましい。また、ジクミルパーオキシドも好ましい。重合開始剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して、0.01~5質量部が好ましい。
界面活性剤としてはアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子型分散剤を使用できる。界面活性剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して、0.01~10質量部が好ましい。分散安定剤としては以下のものが挙げられる。有機微粒子(ポリスチレン微粒子、ポリメタクリル酸メチル微粒子、ポリアクリル酸微粒子及びポリエポキシド微粒子)、シリカ(コロイダルシリカ)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸バリウム、及び、水酸化マグネシウム等。分散安定剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して、0.01~20質量部が好ましい。
懸濁重合は、耐圧容器を用い、密閉下で行うことが好ましい。重合性原料を分散機等で懸濁してから、耐圧容器内に移して懸濁重合してもよいし、あるいは、分散機等で懸濁する替わりに耐圧容器内で懸濁してもよい。重合温度は50℃~120℃が好ましい。重合は、大気圧で行ってもよいが、上記熱膨張マイクロカプセルに内包させる物質を気化させないようにするため、加圧下(大気圧に0.1~1MPaを加えた圧力下)で行うことが好ましい。重合終了後は、遠心分離や濾過によって、固液分離及び洗浄を行ってもよい。固液分離や洗浄をする場合、この後、熱膨張マイクロカプセルを構成する樹脂の軟化温度以下にて乾燥や粉砕を行ってもよい。乾燥及び粉砕は、公知の方法により行うことができ、気流乾燥機、順風乾燥機及びナウターミキサーなどを使用できる。また、乾燥及び粉砕は、粉砕乾燥機によって同時に行うこともできる。界面活性剤及び分散安定剤は、製造後に洗浄濾過を繰り返すことにより除去できる。
<電子写真装置>
本発明の一態様に係る電子写真画像形成装置は、電子写真用の帯電部材を有する。本発明の一態様に係る帯電部材は、電子写真画像形成装置に用い得る。
電子写真画像形成装置の一例の概略構成を図7に示す。この電子写真装置は、次の構成要素等から構成されている。電子写真感光体、電子写真感光体を帯電する帯電装置、露光を行う潜像形成装置、潜像をトナー像に現像する現像装置、トナー像を転写材に転写する転写装置、電子写真感光体上の転写残トナーを回収するクリーニング装置、トナー像を定着する定着装置。本発明に係るローラ形状の帯電部材は、この電子写真画像形成装置の帯電装置が備える帯電ローラとして使用することができる。
電子写真感光体(7b)は、導電性基体上に感光層を有する回転ドラム型である。電子写真感光体は矢印の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。
帯電装置は、電子写真感光体(7b)に所定の押圧力で当接されることにより接触配置されてなるローラ形状を有する接触帯電部材(以降、「帯電ローラ」ともいう)(5a)を具備する。すなわち、帯電ローラ(5a)は、電子写真感光体(7b)に帯電可能に配置されており、感光体の回転に伴って従動回転する。そして、電源(7a)から直流電圧を印加することにより、電子写真感光体(7b)を帯電する。電子写真感光体(7b)に静電潜像を形成する潜像形成装置(不図示)には、例えばレーザービームスキャナーなどの如き露光装置が用いられる。一様に帯電された電子写真感光体(7b)に画像情報に対応した露光光(7g)を照射することにより、静電潜像が形成される。
現像装置は、電子写真感光体(7b)に近接又は接触して配設される現像スリーブ又は現像ローラ(7c)を有する。現像装置は、電子写真感光体の帯電極性と同極性に静電的処理されたトナーの静電潜像を、反転現像により現像してトナー像を形成する。転写装置は、接触式の転写ローラ(7d)を有する。これにより、電子写真感光体から、トナー像を普通紙などの如き転写材に転写する。転写材は、搬送部材を有する給紙システム(不図示)により搬送される。
クリーニング装置は、ブレード型のクリーニング部材(7f)、回収容器(7h)を有し、現像されたトナー像が転写材に転写された後に、電子写真感光体(7b)上に残留する転写残トナーを機械的に掻き落とし回収する。ここで、現像装置にて転写残トナーを回収する現像同時クリーニング方式を採用することにより、クリーニング装置を省くことも可能である。転写材に転写されたトナー像は、不図示の加熱装置によって加熱された定着ベルト(7e)と、定着ベルトに対向して配置されたローラ(7i)との間を通過することで、転写材に定着される。
<プロセスカートリッジ>
本発明に係るプロセスカートリッジは、電子写真用の帯電部材を有し、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されている。
本発明に係るプロセスカートリッジの一例の概略構成を図8に示す。このプロセスカートリッジは、電子写真感光体(7b)、帯電ローラ(5a)、現像ローラ(7c)、クリーニング部材(7f)、回収容器(7h)等が一体化され、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されている。本発明に係る帯電部材は、このプロセスカートリッジが備える帯電ローラとして使用することができる。
<製造例1:樹脂粒子A1の製造>
イオン交換水4000質量部と、分散安定剤としてコロイダルシリカ9質量部およびポリビニルピロリドン0.15質量部からなる水性混合液を調製した。次いで、次の成分からなる油性混合液を調製した。重合性単量体としてアクリロニトリル50質量部、メタクリロニトリル45質量部、及び、メチルアクリレート5質量部と、内包物質としてノルマルヘキサン12.5質量部と、重合開始剤としてジクミルパーオキシド0.75質量部。この油性混合液を、前記水性混合液に添加し、更に水酸化ナトリウム0.4質量部を添加することにより、分散液を調製した。
得られた分散液を、ホモジナイザーを用いて3分間攪拌混合し、窒素置換した重合反応容器内へ仕込み、400rpmの攪拌下、60℃で20時間重合反応させることにより、粗生成物としての、内包物質を有する樹脂粒子を調製した。得られた粗生成物について、濾過と水洗を繰り返した後、80℃で5時間乾燥することで樹脂粒子を精製した。この樹脂粒子を音波式分級機により解砕して分級することによって、樹脂粒子A1を得た。樹脂粒子A1~A8の材料の処方、重合時の撹拌条件、および、体積平均粒径を表1に示す。
<製造例2:樹脂粒子A2の製造>
製造例1において、分級条件を変更した以外は同様の方法で樹脂粒子A2を得た。
<製造例3~8:樹脂粒子A3~A8の製造>
コロイダルシリカの使用量、重合性単量体の種類と使用量、重合時の攪拌回転数のうちの一つ以上を表1に示すように変更した以外は製造例1と同様の方法により、樹脂粒子を作製し、分級することによって、樹脂粒子A3~A8を得た。
<樹脂粒子の体積平均粒径の測定>
樹脂粒子A1~A8の体積平均粒径測定を、レーザ回折型粒度分布計(商品名:コールターLS-230型粒度分布計、コールター社製)により行った。測定には、水系モジュールを用い、測定溶媒として純水を使用した。純水にて粒度分布計の測定系内を約5分間洗浄し、消泡剤として測定系内に亜硫酸ナトリウムを10~25mg加えて、バックグラウンドファンクションを実行した。次に純水50ml中に界面活性剤3滴~4滴を加え、更に測定試料(樹脂粒子)を1mg~25mg加えた。試料を懸濁した水溶液につき超音波分散器で1分間~3分間分散処理を行い、被験試料液を調製した。前記測定装置の測定系内に被験試料液を徐々に加えて、装置の画面上の偏光散乱強度差(PIDS)が45%以上、55%以下になるように測定系内の被験試料濃度を調整して測定を行った。得られた体積分布から体積平均粒径Dvを算出した。
Figure 0007030537000003
<製造例9:表面層塗布液B1の製造>
ポリオール(商品名:EPOL、出光興産社製)100質量部に対し、ポリメリックMDI(商品名:ミリオネートMR-200、東ソー社製)12.9質量部を加えて撹拌混合した。この混合物に、固形分が5質量%となるようにメチルイソブチルケトンを加え、表面層塗布液B1を得た。以下、表面層塗布液B1~B12の製造に用いた樹脂、溶媒及び液濃度を表2にまとめた。
<製造例10:表面層塗布液B2の製造>
固形分が10質量%となるようにした以外は製造例9と同様にして、表面層塗布液B2を得た。
<製造例11:表面層塗布液B3の製造>
固形分が15質量%となるようにした以外は製造例9と同様にして、表面層塗布液B3を得た。
<製造例12:表面層塗布液B4の製造>
水酸基末端液状ポリブタジエン(商品名:Poly bd、出光興産社製)100質量部に対し、ポリメリックMDI(商品名:ミリオネートMR-200、東ソー社製)12.3質量部を加えて撹拌混合した。この混合物に固形分が15質量%となるようにメチルイソブチルケトンを加え、表面層塗布液B4を得た。
<製造例13:表面層塗布液B5の製造>
紫外線硬化性ポリイソプレン(商品名:UC-203M、クラレ社製)100質量部に対し重合開始剤である1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン(商品名:IRGACURE184、豊通ケミプラス社製)5質量部を加えて撹拌混合した。この混合物に、固形分が15質量%となるようにメチルエチルケトンを加え、表面層塗布液B5を得た。
<製造例14:表面層塗布液B6の製造>
ポリメタクリル酸メチル(商品名:Poly(methyl methacrylate)analytical standard,for GPC,2,480,000、アルドリッチ社製)を用意した。これに固形分が15質量%となるようにメチルエチルケトンを加え、表面層塗布液B6を得た。
<製造例15:表面層塗布液B7の製造>
下記ポリイソブチレンに、固形分が15質量%となるようにトルエンを加え、表面層塗布液B7を得た。
商品名:Polyisobutylene average Mw~4,200,000,average Mn~3,100,000 by GPC/MALLS,average Mv~4,700,000、アルドリッチ社製。
<製造例16:表面層塗布液B8の製造>
ポリプロピレン(商品名:エルモーデュS901、出光興産社製)に、固形分が8質量%となるようにトルエンを加え、表面層塗布液B8を得た。
<製造例17:表面層塗布液B9の製造>
固形分が15質量%となるようにした以外は製造例16と同様にして、表面層塗布液B9を得た。
<製造例18:表面層塗布液B10の製造>
固形分が1質量%となるようにした以外は製造例9と同様にして、表面層塗布液B10を得た。
<製造例19:表面層塗布液B11の製造>
ポリオキシメチレン-ホモポリマー(商品名:Polyoxymethylene-Homopolymer、アルドリッチ社製)に、HFIP(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール)を、固形分が15質量%となるように加えた。これにより表面層塗布液を得た。
<製造例20:表面層塗布液B12の製造>
ポリブチレンテレフタレート(商品名:Polybutylene Terephthalate、アルドリッチ社製)に、固形分が15質量%となるように2-クロロフェノールを加え、表面層塗布液B12を得た。
Figure 0007030537000004
<製造例21:導電性ゴム組成物C1の製造>
アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)(商品名:N230SV,JSR社製)100質量部に対し、表3の成分(1)の欄に示す、NBR以外の材料を加えて、50℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。これに、表3の成分(2)の欄に示す材料を添加した。次いで、温度25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、導電性ゴム組成物C1を得た。以下、導電性ゴム組成物C1~C9にそれぞれ使用した樹脂粒子を表4にまとめた。
Figure 0007030537000005
<製造例22~28:導電性ゴム組成物C2~C8の製造>
樹脂粒子をA2~A8にそれぞれ変更した以外は製造例21と同様にして導電性ゴム組成物C2~C8を得た。
<製造例29:導電性ゴム組成物C9の製造>
樹脂粒子A1に替えて、中実高分子量ポリエチレン粒子(商品名:ミペロンXM-221U、三井化学製、平均粒子径25μm)を用いた以外は製造例21と同様にして導電性ゴム組成物C9を得た。
Figure 0007030537000006
<実施例1>
(導電性基体)
直径6mm、長さ252.5mmのステンレス鋼製の基体に、導電性加硫接着剤(商品名:メタロックU-20、東洋化学研究所製)を塗布し、温度80℃で30分間乾燥したものを導電性基体として使用した。
(導電性弾性層)
クロスヘッドを具備する押出成形装置を用いて、導電性基体を中心軸として、その周面を円筒状に導電性ゴム組成物C1で被覆した。導電性ゴム組成物の厚みは、1.75mmに調整した。
押出後のローラを、熱風炉にて160℃で1時間加硫した後、ゴム層の端部を除去してその長さを224.2mmとした。
・1次表面処理(円筒研磨)
得られたローラの外周面を、プランジカット式の円筒研磨機を用いて研磨した。研磨砥石としてビトリファイド砥石を用い、砥粒は緑色炭化珪素(GC)で粒度は100メッシュとした。この研磨の際のローラの回転数を350rpmとし、研磨砥石の回転数を2050rpmとした。切り込み速度を20mm/minとし、スパークアウト時間(切り込み0mmでの時間)を0秒と設定して研磨を行い、導電性弾性層を有する導電性ローラを作製した。導電性弾性層の厚みは、1.5mmに調整した。尚、このローラのクラウン量(中央部の外径と中央部から両端部方向へ各90mm離れた位置の外径の差の平均値)は120μmであった。
・加熱処理
円筒研磨後のローラを、熱風炉を用いて、大気雰囲気下にて180℃で1時間、加熱処理を行い、樹脂粒子をさらに硬化させた。
・2次表面処理(表面仕上げ研削)(テープ研磨)
図9に示す表面仕上げ研削装置を用い、得られたローラ(9b)を、1000rpmで回転させつつ、ラッピングフィルム(9a)で表面仕上げ研削して、導電性弾性ローラを得た。用いたラッピングフィルムは、研磨砥粒が9μmである「ラッピングフィルムWA砥粒#2000(商品名、三共理化学株式会社製)」であった。この際、円筒研磨機による研磨と表面仕上げ研削の研磨目は同じ方向にした。以後、円筒研磨機での研磨と表面仕上げ研削の向きが同じものを「順研磨」と称し、異なるものを「逆研磨」と称す。得られた導電性弾性ローラは、その表面に、ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部と、ボウル形状の樹脂粒子の開口とその樹脂粒子の内壁とで規定される空隙を有する導電性弾性層を有していた。
(表面層)
得られた導電性弾性ローラに対して、表面層塗布液B1を1回ディッピング塗布した。なおディッピング塗布の条件としては、浸漬時間を5秒とし、また、表面層塗布液からの引き上げ速度は初期速度を20mm/s、最終速度を2mm/sとした。初期速度から最終速度に至る速度変化は時間に対し直線的に行った。
表面層塗布液から引き上げた導電性弾性ローラを常温で30分風乾した後、熱風循環乾燥機にて温度80℃で1時間、更に温度160℃で1時間乾燥して帯電ローラを得た。こうして得た帯電ローラについて下記の評価を行った。
<形状・物性評価>
(ボウル形状)
以下ボウル形状の説明において図2および図3を用いる。
まず、帯電ローラの表面に、複数の凸部(2d)と、複数の凹部(2c)が存在することを確認する。
以下の方法にて測定を行う。帯電ローラの測定箇所の長手方向の位置は、中央と、中央から両端方向へ各20mm離れた位置、各40mm離れた位置、各60mm離れた位置、各80mm離れた位置、及び各100mm離れた位置の、合計11箇所である。この長手方向の11箇所のそれぞれについて、帯電ローラの周方向の6箇所(位相0°、60°、120°、180°、240°、及び300°)の合計66箇所を測定箇所とする。これらの測定箇所のそれぞれをコンフォーカル顕微鏡(商品名:オプティクスハイブリッド、レーザーテック株式会社製)にて観察する。
(凸頂点高さ)
上記測定箇所においてコンフォーカル顕微鏡で帯電ローラの表面の高さ像を測定した。観察条件は、対物レンズ50倍、画素数1024ピクセル、高さ分解能0.1μmとし、表面形状から取得した画像を2次曲面にて平面補正した。平面補正した画像に対し法線方向を高さ方向とした。平面補正した画像から高さプロファイルを抜き出し、平均化することで、測定箇所における帯電ローラ表面の高さ平均面(3a)とした。高さ平均面より高さプロファイルが高い部分と低い部分が隣接した箇所において、これら高い部分と低い部分をそれぞれ凸部(2d)と凹部(2c)とした(これら高い部分と低い部分の高さの値は、これらの間の境界において不連続である)。合計66箇所の測定箇所のそれぞれにおいて、凸部と凹部がそれぞれ1つ以上存在することを確認した。各測定箇所の像から、任意のボウル形状の樹脂粒子(201)を1つ選択し、そのボウル形状の樹脂粒子のエッジ(2h)由来の凸部(2d)の周辺の断面プロファイルを抜き出し、高さの平均面(3a)から最も遠くなる点を凸頂点(2e)とした。また、凸頂点(2e)から高さ平均面(3a)までの距離を凸頂点高さHo(3b)とした。凸頂点高さHoの値(平均値)は5.1μmであった。ただし、この値は、66個の測定箇所についてそれぞれ1つずつ凸頂点高さHoを求め、求めた合計66個のHoを平均した値である。
(空隙の存在)
凸頂点高さの測定において選択したボウル形状の樹脂粒子の凸頂点(2e)を通り、帯電ローラの回転軸に直交する断面を、集束イオンビーム加工観察装置(商品名:FB-2000C、日立製作所社製)を用いて、切り出した。このとき、導電性基体の回転中心(2g)が露出する深さまで切り出した。次いで、走査型電子顕微鏡(SEM)(商品名:S-4800、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、1000倍で、その断面画像を撮影した。なお、66個の凸頂点について1枚ずつ、合計66枚の断面画像を得た。
合計66枚の断面画像の各々において、当該凸頂点を有するボウル形状粒子が、1つの開口2bと、当該開口のエッジ(2h)と、当該開口に連なる空隙(2a)とを有するか否かを観察した。
(線分(2f)及び交点(3c)の規定)
前記断面画像において、前記凸頂点(2e)と帯電ローラの基体(1c)の回転中心(2g)を結んだ線分(2f)が、前記ボウル形状の樹脂粒子に塗布された表面層(1a)の表面と交差する点の中で、最も回転中心(2g)に近い点を交点(3c)とする。
(線分(2f)が凹部(2c)の空間(2i)を通過することの規定)
前記合計66個の断面画像の各々において、空間(2i)を、線分(2f)が通過しているか否かを観察した。なお、線分(2f)が、ボウル形状の樹脂粒子に塗布された表面層(1a)の表面と交差しない場合、交点(3c)は存在せず、線分(2f)は当該空間を通過しない。
表5及び6に、空隙(2a)が存在しておりかつ線分(2f)が空間(2i)を通過していることが確認された断面画像の、全断面画像数(66個)に対する割合を%で示した。表中、当該割合は、「空隙の存在および線分2fの空間通過割合」の欄に示す。なお、空隙(2a)が存在していた場合、その空隙に対応して、一つの開口(2b)と、エッジ(2h)が存在していた。
(凸頂点-凹表面距離PLと凸高さHoの比)
前記断面画像において、凸頂点(2e)と交点(3c)との間の距離PL(3d)を求めた。ただし、線分(2f)が、ボウル形状の樹脂粒子に塗布された表面層(1a)の表面と交差しない場合、これらの交点(3c)は存在しないので、PLは求まらない。求めることのできた距離PLの平均値は26.5μmであった。
Hoの平均値は5.1μmであったのでPL/Hoは5.2である。ここで「PL/Ho」は、Hoの平均値に対する、PLの平均値の比である。
(表面層の膜厚)
表面層の断面を、鋭利なカミソリを使用して切り出し、デジタルマイクロスコープ(キーエンス製、商品名:VHX-5000)を使用し、1000倍で観察した。表面層の長手方向を均等に3分割した3箇所のそれぞれにおいて、円周方向を均等に3分割した3箇所の、計9箇所を測定箇所とした。360μm×240μmを1視野とし、1視野内の膜厚の最大値と最小値を測定した。1つの測定箇所の断面のそれぞれについて5視野測定し、合計45個の測定値を得た。45個の測定値のうち、最大値Tmaxは1.2μmであり、最小値Tminは1.0μmであり、膜厚が1μm以上5μm以下であることを確認した。45個の測定値の平均値は1.1μmであった。
(表面層の体積抵抗率)
表面層の体積抵抗率は、原子間力顕微鏡(AFM)(商品名:Q-scope250、Quesant社)を用いて、導電性モードによって測定した。先ず、帯電ローラの表面層を、マニュピレーターを用いて幅2mm、長さ2mmのシートに切り出し、このシートの片面に白金蒸着を施した。次に白金蒸着を施した面に直流電源(商品名:6614C、Agilent社)を接続して電圧10Vを印加し、このシートのもう一方の面にはカンチレバーの自由端を接触させ、AFM本体を通して電流像を得た。
この測定を、表面層の全体において無作為に選ばれた100箇所の表面において行った。得られた電流値の、低い方から10個の電流値の平均と、前記のように測定された表面層の膜厚の平均値(最大値Tmaxと最小値Tminとの平均値)とから「体積抵抗率」を算出した。体積抵抗率は、1.60×1016Ω・cmであった。なお、表5及び6の「表面層抵抗」の欄に体積抵抗率を示すが、これらの表においては、例えば「1.60×1016」を「1.60E+16」と表示する。
AFMを用いた測定の条件を以下に示す。
・測定モード:contact
・カンチレバー:CSC17
・測定範囲:10nm×10nm
・スキャンレイト:4Hz
・印加電圧:10V。
測定環境は温度23℃、相対湿度50%とした。
(チャージアップ量)
この評価は、製造した帯電ローラが前述したようなチャージアップ性能を有しているか否かを確認するものである。
コロナ放電による帯電ローラの表面電位は、帯電量測定装置(商品名:DRA-2000L、(株)QEA製)を用いて測定した。具体的には、帯電量測定装置のコロナ放電器を、そのグリッド部と、帯電ローラの表面との間隙が1mmとなるように配置する。次いで、コロナ放電器に8kVの電圧を印加して放電を発生させて、帯電ローラの表面を帯電させ、放電終了後、10秒経過後の導電性部材の表面電位を測定する。コロナ放電処理の詳細については、後述する。
測定環境は温度23℃、相対湿度50%とした。
さらに、長期使用後の表面層のチャージアップ特性の確認のために、後述する耐久評価後にも上記測定を行った。
(放射線崩壊型樹脂であるか否かの確認)
この評価は、表面層およびボウル形状の樹脂粒子が、放射線崩壊型の樹脂で形成されているか否かを判定するものである。放射線崩壊型の樹脂であることの確認は次のようにする。まず、コロナ放電に曝されていない、製造直後の帯電ローラから、表面層およびボウル形状の樹脂粒子をサンプリングし、それぞれの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定する。次いで、後述する方法で、帯電ローラについて、コロナ放電処理を施した後、帯電ローラの表面層およびボウル形状の樹脂粒子を再びサンプリングし、GPCにて分子量を測定する。そして、コロナ放電照射の前後における分子量の差異から、表面層およびボウル形状の樹脂粒子が、放射線崩壊型であるか否かを判定する。以下、詳細に述べる。
まず、製造直後の、コロナ放電に一度も曝されていない、帯電ローラの表面層およびボウル形状の樹脂粒子から、それぞれ5mgの試料を採取した。この試料を、トルエン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン(THF)、トリフルオロ酢酸、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP)のうち、溶解しやすい溶媒を選択して、濃度が1質量%の試料溶液を調製した。なお、帯電ローラの表面層から採取した試料については、溶媒にクロロベンゼンを用いた。
調製した試料溶液を用いて以下の条件にて重量平均分子量Mwを測定した。温度40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度におけるカラムに溶離液として、試料の溶解に用いた溶媒を毎分1mLの流速で流した。この試料溶液の100μLをカラムに注入した。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、検量線の対数値とリテンションタイムとの関係から算出した。検量線は、数種の単分散ポリスチレン標準試料(商品名:TSKgel標準ポリスチレン「0005202」~「0005211」、東ソー社製)により作成した。また、GPC装置には、GPCゲル浸透クロマトグラフ装置(商品名:HLC-8120、東ソー社製)、検出器には、示差屈折率検出器(商品名:RI-8020、東ソー社製)を用いた。カラムには、市販のポリスチレンゲルカラム(商品名:TSK-GEL SUPER HM-M、東ソー社製)を3本組み合わせて用いた。
続いて、後述のようにして帯電ローラをコロナ放電処理した。その後、帯電ローラから表面層およびボウル形状の樹脂粒子をはぎ取って質量を測定した後、コロナ放電前と同じ溶媒を用いて溶液とした。次いで、コロナ放電処理前と同様にしてGPC測定を行い、質量平均分子量Mwを測定した。
コロナ放電処理前とコロナ放電処理後のMwが、増加した場合は、放射線架橋型であり、減少した場合は、放射線崩壊型とした。評価結果の表には、放射線崩壊型の場合は「〇」、放射線架橋型の場合は「×」と示した。
(コロナ放電処理)
コロナ放電処理は、春日電機(株)製のコロナ放電表面処理装置を用いて行った。実施環境はH/H環境(温度30℃、相対湿度80%の環境)であった。
コロナ放電の詳細な方法を、図5を用いて説明する。帯電ローラ(5a)の両端部(5b)を支持部(5c)で固定した。次いで、アルミニウム製のコロナ電極(5d)の長手方向が、帯電ローラ(5a)の長手方向と平行になるよう、そしてコロナ電極(5d)の表面が帯電ローラ(5a)の表面に向くよう位置を調整した。コロナ電極(5d)の表面と帯電ローラ(5a)の表面との最近接部分の距離は1mmとした。支持部(5c)を毎分30回転の速度で回転させることで帯電ローラ(5a)を回転させ、電極(5d)側に電源(5e)から8KVを印加した状態を2時間継続した。
<画像評価>
(放電光観察)
帯電ローラの表面層のチャージアップと、ボウル形状の樹脂粒子由来の表面形状によって、帯電ローラ表面の凸部からの強い放電が抑制されることを下記のようにして確認した。具体的には、まず、感光体を模したガラス板に帯電ローラ(5a)を接触させた状態で、接触していない方向(ガラスの裏面)から、放電光動画を取得した。次いで、放電光を観察した箇所と同じ個所の表面を撮影した動画を取得し、当該放電光動画と重ね合わせることで、凸部からの強い放電の挙動を観測した。具体的な手順を下記に示す。
まず、電子写真感光体を模した観察用ガラスを次のようにして作成した。ガラス板(縦300mm、横240mm、厚み4.5mm)の一方の表面上に厚さ5μmの酸化インジウム・スズ(ITO)膜を形成した。更に、ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ400、三菱ガス化学(株)製)100質量部を、クロロベンゼン650質量部/ジメトキシメタン150質量部の混合溶剤に溶解させ、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を上記ITO膜が形成されたガラス板に浸漬塗布して塗膜を形成し、塗膜を30分間110℃で乾燥させることによって電荷輸送層を厚さ17μmに成膜したガラス板を作製した。
次いで、図6に示すように、上記成膜後のガラス板(6a)の前記ITO膜を形成した表面の側から、帯電ローラ(5a)を、一端で4.9N、両端で合計9.8Nのバネによる押し圧力で当接できるような工具を作成した。更に、ガラス板(6a)を、画像形成装置(Laserjet CP4525dn、HP社製)と同様のスピードで移動可能にした。
上記ガラス板(6a)を電子写真感光体であると見做して、暗室において当接部下側(ガラス板(6a)の前記表面と反対側)から高速度ゲートを介して、高速度カメラを使用し、1mm四方の視野内で帯電ローラ(5a)の放電光を確認した。このとき、10倍の対物レンズを使用した。また、使用した高速度ゲートは「I.I.ユニットC9527-2(商品名、浜松ホトニクス(株)製)」であり、使用した高速度カメラは「FASTCAM-SA1.1(製品名、浜松ホトニクス(株)製)」であった。帯電ローラには、画像形成装置(商品名:Laserjet CP4525dn、HP社製)と同条件で電圧を印加した。
撮影の条件は、帯電ローラ(5a)に当接したガラス板を200mm/秒で動かしながら、-1200Vの電圧を印加し、高速度カメラのゲインは750、撮影速度は3000fpsとした。この条件で、約0.3秒間撮影を行い、放電光観察動画を出力した。撮影に際しては、適宜感度を調整し、撮影画像の明るさを調整した。
次に、強い放電の発生する箇所を特定するために、上記放電光観察動画と重ね合わせるための表面観察動画を以下のようにして撮影した。最初に上記放電光観察動画の撮影開始位置まで、帯電ローラ(5a)と当接させた状態で観察用ガラスを移動させた。次に、上記放電光観察動画と同じ走査速度、走査距離で、観察用ガラスを動かしながら、表面観察動画の撮影を行った。撮影の条件は、高速度ゲートI.I.ユニットのゲインを500にし、治具の外部から照明を照射して明るさを補強した以外は、上記放電光の動画と同様である。このようにして、上記放電光観察動画と同じ位置の表面形状観察動画を得た。
こうして得られた表面形状観察動画と、放電光観察動画を詳細に照らし合わせ、帯電ローラの表面において、凸部(2d)以外の箇所よりも強い放電が生じている凸部(2d)の個数を数えた。
(白抜け画像の評価)
低濃度の印刷時においても、白抜け画像が発生しないことを下記のようにして確認した。
電子写真装置として、電子写真方式のレーザープリンタ(商品名:Laserjet CP4525dn、HP社製)を用意した。当該レーザープリンタ専用のトナーカートリッジに、製造した帯電ローラを装着し、温度23℃、相対湿度50%の環境下にて評価を行った。
評価画像として、600dpiの1ドット1スペース画像(感光ドラムの回転方向に直交する方向に幅1ドット、間隔1ドットの点を描く画像)を出力した。出力画像の、カラー反射濃度計(商品名:X-Rite500シリーズ:X-Rite社製)を用いて測定した画像濃度が0.20である場所を、デジタルマイクロスコープ(キーエンス製、商品名:VHX-5000)で観察した。2mm四方の領域を観察したときに、得られる観察画像内で、円状のドットが一部でも欠けている箇所を「欠け」、ドットがあるはずの場所にドットを形成できていない箇所を「消失」とし、その個数を数えた。2mm四方内に理論上576個のドットが描かれる。
上記の評価を、帯電ローラを長手方向に5分割したときの5つの領域にて行い、これら欠けと消失の個数の各算術平均値を白抜け画像の評価値とした。
(耐久)
次に耐久試験を行い、帯電ローラの表面層のチャージアップ量の変化量を測定した。この試験では、放射線崩壊型樹脂が、放電に曝露されることによる変質によって、また付着物によって、低抵抗化が進まないことを確認する。耐久試験は上記白抜け画像の評価に用いたものと同様のプロセスカートリッジおよび電子写真装置を使用して、表面層の変質に対してより過酷であるH/H環境(温度30℃、相対湿度80%の環境)下で実施した。耐久試験は、2枚の画像を出力した後、感光ドラムの回転を完全に約3秒間停止させ、2枚の画像出力を再開するという間欠的な画像形成動作を繰り返して40000枚の電子写真画像を出力するものである。この際の出力画像は、サイズが4ポイントのアルファベットの「E」の文字が、A4サイズの紙の面積に対し被覆率が4%となるように印字されるような画像とした。
耐久前のチャージアップ量の測定と同様の測定を、耐久後の帯電ローラに対して行い、耐久後のチャージアップ量を求め、耐久前のチャージアップ量との差分を測定した。
<実施例2~26>
帯電ローラの製造条件を表5に示すように変更した。また、実施例4~5、16~17及び20~21、ならびに実施例15及び19については、下に述べる変更も行った。それ以外は、それぞれ実施例1と同様にして帯電ローラを作製し、評価した。この際、すべての実施例において凸部(2d)と凹部(2c)が隣接した箇所が、合計66箇所の測定箇所の各点において1つ以上存在することを確認した。
実施例4~5、16~17及び20~21:
表面層塗布液の塗布後の乾燥手法を、常温で30分風乾した後、熱風循環乾燥機にて温度160℃で1時間行うという手法に変更した。
実施例15および19:
表面層塗布液の塗布後に、常温風乾及び熱風循環乾燥に替えて、紫外線照射を行った。紫外線照射の条件は、波長254nmの紫外線を積算光量が9000mJ/cmになるように照射した。紫外線照射装置としては低圧水銀ランプ(東芝ライテック株式会社製)を用いた。
Figure 0007030537000007
<比較例1>
帯電ローラの製造条件を表6に示すように変更した。本例では、円筒研磨後の加熱処理及び表面仕上げ研削を行わなかった。それ以外は実施例1と同様にして帯電ローラを作製し、評価した。この帯電ローラの表面には中実のポリエチレン粒子由来の凸が存在し、凸頂点の下に空隙は存在しておらず、凸形状由来の強放電が発生し、白抜けが多かった。
<比較例2>
表面層塗布液を塗布せず、その後の乾燥工程も行わなかったこと以外は実施例1と同様にして帯電ローラを作製し、評価した。この帯電ローラには表面層にチャージアップ可能な層が存在してないので、強放電が発生し、白抜けが多かった。
<比較例3>
帯電ローラの製造条件を表6に示すように変更した。また、円筒研磨後の加熱処理手法を、180℃30分行う手法に変更した。それ以外は実施例1と同様にして帯電ローラを作製し、評価した。66枚の断面画像のうちの大半において、図10に示すように凸部(2d)が反った形状になっており、前述の線分(2f)は、空間(2i)を通過していなかった。強放電が発生し、白抜けが多かった。なお、本例については、PL/Hoの比を求めなかった。
<比較例4>
帯電ローラの製造条件を表6に示すように変更した。また、表面層塗布液の塗布後の表面層の乾燥手法を、常温で30分風乾した後、熱風循環乾燥機にて温度120℃で1時間行うという手法に変更した。それ以外は実施例1と同様にして帯電ローラを作製し、評価した。この帯電ローラの表面層の体積抵抗率は1.12×1015Ω・cmで低く、表面層がチャージアップせず凸部から強放電が発生し、白抜けが多かった。
<比較例5>
帯電ローラの製造条件を表6に示すように変更した。また、表面層塗布液のディッピング塗布に際して浸漬時間を1秒とした。それ以外は実施例1と同様にして帯電ローラを作製し、評価した。この帯電ローラの表面層膜厚は0.1μmであり、表面層がチャージアップせず凸部から強放電が発生し、白抜けが多かった。
<比較例6>
帯電ローラの製造条件を表6に示すように変更した。また、表面層塗布液のディッピング塗布に際して浸漬時間を24秒とした。それ以外は実施例1と同様にして帯電ローラを作製し、評価した。この帯電ローラの表面層膜厚は6.1μmと厚く、表面層がチャージアップ過剰となった。その結果放電光は観測されず、感光体の帯電不良を引き起こし、画像評価において評価用の画が出ず、ベタ黒の画が出てしまい評価できなかった。
<比較例7>
帯電ローラの製造条件を表6に示すように変更した。また、表面層塗布液の塗布後の表面層の乾燥手法を、常温で30分風乾した後、熱風循環乾燥機にて温度180℃で1時間行うという手法に変更した。それ以外は実施例1と同様にして帯電ローラを作製し、評価した。この帯電ローラの体積抵抗率は1.31×1018Ω・cmで、体積抵抗率が高すぎるため表面層がチャージアップ過剰となった。その結果放電光は観測されず、感光体の帯電不良を引き起こし、画像評価において評価用の画が出ず、ベタ黒の画が出てしまい評価できなかった。
Figure 0007030537000008
1a:表面層
1b:弾性層
1c:基体
201:ボウル形状の樹脂粒子
2a: 空隙
2b:ボウル形状の樹脂粒子の開口
2c:凹部
2d:凸部
2e:凸部の頂点
2f:凸部の頂点と基体の回転中心を結ぶ直線
2g:基体の回転中心
2h:ボウル形状の樹脂粒子のエッジ
2i:凹部の空間
3a:帯電ローラ表面の高さ平均面
3b:凸頂点高さ
3c:線分(2f)が、凹部(2c)と交差する交点

Claims (9)

  1. 導電性の基体と、導電性の弾性層と、絶縁性の表面層をこの順で有する電子写真用の帯電部材であって、
    該弾性層は、バインダーを含み、複数個のボウル形状の樹脂粒子を、該弾性層の該基体に対向する側とは反対側の面に保持してなり、
    該ボウル形状の樹脂粒子は、開口と、該開口の周囲のエッジと、該開口に連なる空隙とを有し、該ボウル形状の樹脂粒子の各々は、該開口と該エッジとが、該弾性層の、該基体に対向する側とは反対側の面から露出するように該弾性層に保持されており、
    該表面層の、該基体に対向する側とは反対側の表面は、該帯電部材の表面を構成し、
    該帯電部材の表面は、該空隙に由来する複数個の凹部と、該エッジに由来する複数個の凸部とを有し、
    該帯電部材の長手方向に直交し、かつ、該凸部の頂点を含む断面において、該頂点と該基体の回転中心とを結ぶ線分は、該凹部の空間を通り、
    該表面層の体積抵抗率が、1.0×1016Ω・cm以上、1.0×1018Ω・cm以下であり、かつ、
    該表面層の膜厚が、1μm以上、5μm以下である、ことを特徴とする電子写真用の帯電部材。
  2. 前記凸部の頂点と前記基体の回転中心を結ぶ線分の、前記凹部の表面との交点から該凸部の頂点までの長さが、前記凸部の高さの2倍以上、10倍以下である、請求項1に記載の電子写真用の帯電部材。
  3. 前記凸部の高さが3μm以上、10μm以下である、請求項1または2に記載の電子写真用の帯電部材。
  4. 前記表面層が、ポリオレフィン骨格を有する樹脂を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の電子写真用の帯電部材。
  5. 前記ポリオレフィン骨格がポリイソプレン骨格である、請求項1~4のいずれか一項に記載の電子写真用の帯電部材。
  6. 前記表面層が、放射線崩壊型の樹脂を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の電子写真用の帯電部材。
  7. 前記ボウル形状の樹脂粒子が、放射線崩壊型の樹脂を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の電子写真用の帯電部材。
  8. 電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、
    請求項1~7のいずれか一項に記載の電子写真用の帯電部材を有することを特徴とする、プロセスカートリッジ。
  9. 電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電可能に配置された帯電部材と、を有する電子写真画像形成装置であって、
    該帯電部材が、該請求項1~7のいずれか一項に記載の電子写真用の帯電部材であることを特徴とする電子写真画像形成装置。
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