JP7030537B2 - 電子写真用の帯電部材、プロセスカートリッジおよび電子写真画像形成装置 - Google Patents
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Description
導電性の基体と、導電性の弾性層と、絶縁性の表面層をこの順で有する電子写真用の帯電部材であって、
該弾性層は、バインダーを含み、複数個のボウル形状の樹脂粒子を、該弾性層の該基体に対向する側とは反対側の面に保持してなり、
該ボウル形状の樹脂粒子は、開口と、該開口の周囲のエッジと、該開口に連なる空隙とを有し、該ボウル形状の樹脂粒子の各々は、該開口と該エッジとが、該弾性層の、該基体に対向する側とは反対側の面から露出するように該弾性層に保持されており、
該表面層の、該基体に対向する側とは反対側の表面は、該帯電部材の表面を構成し、
該帯電部材の表面は、該空隙に由来する複数個の凹部と、該エッジに由来する複数個の凸部とを有し、
該帯電部材の長手方向に直交し、かつ、該凸部の頂点を含む断面において、該頂点と該基体の回転中心とを結ぶ線分は、該凹部の空間を通り、
該表面層の体積抵抗率が、1.0×1016Ω・cm以上、1.0×1018Ω・cm以下であり、かつ、
該表面層の膜厚が、1μm以上、5μm以下である、電子写真用の帯電部材が提供される。
前記電子写真用の帯電部材を有するプロセスカートリッジが提供される。
図1に示す帯電ローラは導電性の基体(1c)と、その導電性基体上に設けられた導電性の弾性層(1b)と、導電性の弾性層上に設けられた絶縁性の表面層(1a)とを、この順で有する。
導電性基体としては導電性の材料からなる基体を用いることができ、例えば鉄、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金又はニッケルで形成されている金属(合金を含む)製の支持体(例えば、円柱状の金属)を用いることができる。
導電性の弾性層(1b)は、バインダーと、複数個のボウル形状の樹脂粒子(201)を含む。この弾性層は、その導電性を発現するために導電性微粒子を含むことができる。ボウル形状の樹脂粒子(201)のそれぞれは、1つの開口(2b)と、その開口のエッジ(2h)と、その開口に連なる空隙(2a)とを有する。このボウル形状の樹脂粒子は、中空の樹脂粒子が開口した形状を有する。この開口(2b)とそのエッジ(2h)とは、この弾性層(1b)の外周面(すなわち基体に対向する側とは反対側の面)から露出している。なお、空隙(2a)は、樹脂粒子(201)の内壁面と、開口(2b)とによって画定される。
導電性弾性層に含有されるバインダーとしては、公知のゴムまたは樹脂を使用することができる。ゴムとしては、例えば、天然ゴムやこれを加硫処理したもの、合成ゴムを挙げることができる。合成ゴムとしては以下のものが挙げられる。エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム及びフッ素ゴム。樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の如き樹脂が使用できる。中でも、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂がより好ましい。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらバインダーの原料である単量体を共重合させ、共重合体としてもよい。導電性弾性層は、プレポリマー化したバインダーの原料に架橋剤等を添加し、硬化または架橋することによって形成してもよい。
導電性弾性層は、導電性を発現するために公知の導電性微粒子を含有することができる。導電性微粒子の具体例としては、金属酸化物、金属微粒子、カーボンブラック等が挙げられる。また、これらの導電性微粒子を、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。導電性弾性層中における導電性微粒子の含有量の目安としては、バインダー100質量部に対して2~200質量部、特には5~100質量部である。
導電性弾性層中には上記の他に、絶縁性粒子や、硬度を調整するための、軟化油及び可塑剤の如き添加剤を含有させてもよい。可塑剤としては高分子タイプのものを用いることが好ましく、その重量平均分子量は好ましくは2000以上、より好ましくは4000以上である。さらに、種々な機能を付与する材料として、老化防止剤、充填剤、加工助剤、粘着付与剤、粘着防止剤、分散剤、粗し粒子以外の樹脂粒子を含有させてもよい。樹脂粒子としては、以下のものが挙げられる。ポリメタクリル酸メチル粒子、ポリエチレン粒子、シリコーンゴム粒子、ポリウレタン粒子、ポリスチレン粒子、アミノ樹脂粒子、またはフェノール樹脂粒子。
表面層(1a)の外周面(基体に対向する側とは反対側の表面)は、帯電ローラの表面を構成する。したがって、弾性層(1b)の外周面は、ボウル形状の樹脂粒子(201)の弾性層外周面から露出している部分も含めて、表面層(1a)で覆われている。その結果、帯電ローラの表面は、複数の樹脂粒子(201)の空隙(2a)に由来する複数個の凹部(2c)と、複数の樹脂粒子(201)のエッジ(2h)に由来する複数個の凸部(2d)とを有する。
絶縁性の表面層(1a)の膜厚は1μm以上、5μm以下である。膜厚が1μm以上とすることで、チャージアップした表面層上の正電荷を導電性基体に抜けさせずに表面層内に保持することができる。また、膜厚が5μm以下とすることで、放電を十分に発生させることができ、放電の安定化が達成でき、帯電不良を起こさずに均一な帯電を行うことができる。なお、表面層の膜厚は、帯電ローラの断面を鋭利な刃物で切り出して、得られたサンプルを光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察することにより測定できる。
表面層(1a)の体積抵抗率は1.0×1016Ω・cm以上、1.0×1018Ω・cm以下である。表面層の体積抵抗率を1.0×1016Ω・cm以上にすることで、チャージアップした表面層上の正電荷を導電性基体に抜けさせずに表面層上に保持することができ、凸部に集中した電界を緩和することできる。また、表面層の体積抵抗率が1.0×1018Ω・cm以下にすることで、表面層に蓄積される正電荷の量を適正にでき、放電の安定化が達成でき、感光体の帯電不良を起こさずに均一な帯電を行うことができる。
表面層の体積抵抗率の測定は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、導電性モードによって測定した測定値を採用することができる。先ず、帯電ローラの表面層(1a)を、マニュピレーターを用いてシート片に切り出し、その片面に金属蒸着を施す。金属蒸着を施した面に直流電源を接続し、電圧を印加し、表面層のもう一方の面にはカンチレバーの自由端を接触させ、AFM本体を通して電流像を得る。
この電流像から、無作為に選んだ100箇所の表面における電流値を求め、測定された電流値の、低い方から10個の電流値の平均と、シート片の膜厚とカンチレバーの接触面積から、体積抵抗率を算出できる。
測定環境は温度23℃、相対湿度50%とすることができる。
チャージアップは、帯電ローラ表面にコロナ放電などによって電荷を与え、次いで、表面電位測定を行うことで、確認できる。
測定環境は温度23℃、相対湿度50%とすることができる。
表面層(1a)を形成するための樹脂としては、表面層の体積抵抗率を1×1016Ω・cm以上、1×1018Ω・cm以下とすることのできる樹脂を用いる。このような樹脂の例としては、上記の体積抵抗率を示すようなフッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂、ポリオレフィン樹脂(例えばポリエチレン樹脂)を挙げることができる。また、これらの樹脂の原料となる単量体の2種以上から、あるいはこれらの樹脂をプレポリマーとして他の樹脂の原料となる単量体と反応させて、製造される共重合体を使用することもできる。
次のような方法によって、表面層を形成する樹脂が放射線崩壊型であるか否かを確認することができる。まず、当該表面層を形成する樹脂をサンプリングし、その樹脂の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定する。次いで、帯電ローラ対して、コロナ放電処理を施した後、帯電ローラの表面層を構成する樹脂をサンプリングし、GPCにて分子量を測定する。コロナ放電の前後で分子量が減少していれば、その樹脂は放射線崩壊型である。分子量が増加している場合は、その樹脂は放射線架橋型の樹脂である。
表面層(1a)に、本発明の効果が損なわれない程度に、必要に応じてその他添加剤を加えてもよい。表面層の高抵抗化や、滑り性付与の観点からシリコーン添加剤を含むことが好ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、表面層には、変性、官能基や分子鎖の導入、離型剤等による表面処理等が施されていてもよい。
ここで表面層(1a)の形成方法について説明する。弾性層(1b)の形成方法については後述する。表面層(1a)は、静電スプレー塗布、ディッピング塗布、リング塗布等の塗布法により形成することができる。また、型内で所定の形状に材料を硬化、成形する方法も用いることができる。この中でも、塗布法によって表面層の材料を含む塗工液を弾性層の表面上に塗工し、乾燥し、加熱や紫外線照射などで硬化することで表面層を形成することが好ましい。これは、導電性弾性層(1b)の表面に、特定の膜厚の範囲内で一様に表面層を形成するためである。
以下に、帯電ローラの表面形状の形態について、詳述する。
表面形状は、次のようにして確認することができる。
まず、帯電ローラの表面に対し、コンフォーカル顕微鏡等を使用し表面の高度プロファイルを作成し、帯電ローラ表面の高さ平均面からの、凸部(2d)の中で最も高度の高い点、つまり凸頂点(2e)を探索する。集束イオンビーム法を使用して、ボウル形状の樹脂粒子(201)の凸頂点(2e)から、帯電ローラの周方向と平行な向きに断面(長手方向と直交する断面)を切り出す。このとき、導電性基体(1c)の少なくとも中心までイオンビームで切り出し、回転中心(2g)がわかる状態のサンプルシートを作成する。当該サンプルシートに対して、走査電子顕微鏡(SEM)や共焦点顕微鏡を使用し、表面形状の断面画像を撮影し、図2のような形状になっていることを確認すればよい。
まず、中空形状の樹脂粒子(以下、「中空粒子」ということがある)を分散させた導電性樹脂組成物を作製し、導電性基体(1c)上に、弾性層(1b)を成形する。導電性基体上に導電性樹脂組成物を成形する方法の例としては、静電スプレー塗布、ディッピング塗布、ロール塗布のような塗布と、それに続く乾燥、加熱、架橋工程等によってこの塗膜を硬化させる方法が挙げられる。また、導電性樹脂組成物を所定の膜厚に成膜し硬化させたシート形状又はチューブ形状の層を、導電性基体に接着する方法も挙げられる。また、このシート形状又はチューブ形状の層で、導電性基体を被覆する方法が挙げられる。更に、導電性基体を配置した型の中に導電性樹脂組成物を入れて硬化させて成形する方法が挙げられる。また、特に、バインダーがゴムの場合には、クロスヘッドを備えた押出機を用いて、導電性基体(1c)と未加硫ゴム組成物を一体的に押出し、乾燥、加熱、架橋工程を経て、導電性基体上に導電性樹脂組成物を成形することもできる。クロスヘッドとは、電線や針金等の棒状物に被覆層を形成するために用いられる、押出機のシリンダ先端に設置して使用する押出金型である。
中空粒子およびボウル形状の樹脂粒子の樹脂としては、中空の形状を維持するために気体透過性が低いという観点から、極性基を有する樹脂が好ましく、下記式(1)に示すユニットを有する樹脂が好ましい。
ボウル形状の樹脂粒子の樹脂が放射線崩壊型であるかの確認は、前述の表面層の樹脂について放射線崩壊型樹脂を確認した方法と同様にすればよい。具体的には帯電ローラの前記表面形状を形成するボウル形状の樹脂粒子をサンプリングし、樹脂粒子の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定することで可能である。次いで、帯電ローラについて、コロナ放電処理を施した後、帯電ローラ前記表面形状を形成するボウル形状の樹脂粒子をサンプリングし、GPCにて分子量を測定する。そして、コロナ放電の前の分子量よりも、後の分子量が減少していれば、樹脂粒子中の樹脂は放射線崩壊型である。一方で分子量が増加している場合はその樹脂は放射線架橋型の樹脂である。
導電性弾性層のバインダーに分散させる中空粒子としては、例えば、その分散の際にすでに中空である樹脂粒子を用いることができる。あるいは、粒子の内部に内包物質を含み、熱を加えることにより内包物質が膨張し、中空形状の樹脂粒子となる、熱膨張性マイクロカプセルを使用する方法を例示することもできる。
熱膨張性マイクロカプセルに内包させる物質としては、例えばボウル形状の樹脂粒子を構成する熱可塑性樹脂の軟化点以下の温度でガスになって膨張するものが好ましく、具体例として以下のものが挙げられる。プロパン、プロピレン、ブテン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタンの如き低沸点液体、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、イソオクタン、ノルマルデカン、イソデカンなどの如き高沸点液体。
本発明の一態様に係る電子写真画像形成装置は、電子写真用の帯電部材を有する。本発明の一態様に係る帯電部材は、電子写真画像形成装置に用い得る。
本発明に係るプロセスカートリッジは、電子写真用の帯電部材を有し、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されている。
イオン交換水4000質量部と、分散安定剤としてコロイダルシリカ9質量部およびポリビニルピロリドン0.15質量部からなる水性混合液を調製した。次いで、次の成分からなる油性混合液を調製した。重合性単量体としてアクリロニトリル50質量部、メタクリロニトリル45質量部、及び、メチルアクリレート5質量部と、内包物質としてノルマルヘキサン12.5質量部と、重合開始剤としてジクミルパーオキシド0.75質量部。この油性混合液を、前記水性混合液に添加し、更に水酸化ナトリウム0.4質量部を添加することにより、分散液を調製した。
製造例1において、分級条件を変更した以外は同様の方法で樹脂粒子A2を得た。
コロイダルシリカの使用量、重合性単量体の種類と使用量、重合時の攪拌回転数のうちの一つ以上を表1に示すように変更した以外は製造例1と同様の方法により、樹脂粒子を作製し、分級することによって、樹脂粒子A3~A8を得た。
樹脂粒子A1~A8の体積平均粒径測定を、レーザ回折型粒度分布計(商品名:コールターLS-230型粒度分布計、コールター社製)により行った。測定には、水系モジュールを用い、測定溶媒として純水を使用した。純水にて粒度分布計の測定系内を約5分間洗浄し、消泡剤として測定系内に亜硫酸ナトリウムを10~25mg加えて、バックグラウンドファンクションを実行した。次に純水50ml中に界面活性剤3滴~4滴を加え、更に測定試料(樹脂粒子)を1mg~25mg加えた。試料を懸濁した水溶液につき超音波分散器で1分間~3分間分散処理を行い、被験試料液を調製した。前記測定装置の測定系内に被験試料液を徐々に加えて、装置の画面上の偏光散乱強度差(PIDS)が45%以上、55%以下になるように測定系内の被験試料濃度を調整して測定を行った。得られた体積分布から体積平均粒径Dvを算出した。
ポリオール(商品名:EPOL、出光興産社製)100質量部に対し、ポリメリックMDI(商品名:ミリオネートMR-200、東ソー社製)12.9質量部を加えて撹拌混合した。この混合物に、固形分が5質量%となるようにメチルイソブチルケトンを加え、表面層塗布液B1を得た。以下、表面層塗布液B1~B12の製造に用いた樹脂、溶媒及び液濃度を表2にまとめた。
固形分が10質量%となるようにした以外は製造例9と同様にして、表面層塗布液B2を得た。
固形分が15質量%となるようにした以外は製造例9と同様にして、表面層塗布液B3を得た。
水酸基末端液状ポリブタジエン(商品名:Poly bd、出光興産社製)100質量部に対し、ポリメリックMDI(商品名:ミリオネートMR-200、東ソー社製)12.3質量部を加えて撹拌混合した。この混合物に固形分が15質量%となるようにメチルイソブチルケトンを加え、表面層塗布液B4を得た。
紫外線硬化性ポリイソプレン(商品名:UC-203M、クラレ社製)100質量部に対し重合開始剤である1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン(商品名:IRGACURE184、豊通ケミプラス社製)5質量部を加えて撹拌混合した。この混合物に、固形分が15質量%となるようにメチルエチルケトンを加え、表面層塗布液B5を得た。
ポリメタクリル酸メチル(商品名:Poly(methyl methacrylate)analytical standard,for GPC,2,480,000、アルドリッチ社製)を用意した。これに固形分が15質量%となるようにメチルエチルケトンを加え、表面層塗布液B6を得た。
下記ポリイソブチレンに、固形分が15質量%となるようにトルエンを加え、表面層塗布液B7を得た。
商品名:Polyisobutylene average Mw~4,200,000,average Mn~3,100,000 by GPC/MALLS,average Mv~4,700,000、アルドリッチ社製。
ポリプロピレン(商品名:エルモーデュS901、出光興産社製)に、固形分が8質量%となるようにトルエンを加え、表面層塗布液B8を得た。
固形分が15質量%となるようにした以外は製造例16と同様にして、表面層塗布液B9を得た。
固形分が1質量%となるようにした以外は製造例9と同様にして、表面層塗布液B10を得た。
ポリオキシメチレン-ホモポリマー(商品名:Polyoxymethylene-Homopolymer、アルドリッチ社製)に、HFIP(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール)を、固形分が15質量%となるように加えた。これにより表面層塗布液を得た。
ポリブチレンテレフタレート(商品名:Polybutylene Terephthalate、アルドリッチ社製)に、固形分が15質量%となるように2-クロロフェノールを加え、表面層塗布液B12を得た。
アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)(商品名:N230SV,JSR社製)100質量部に対し、表3の成分(1)の欄に示す、NBR以外の材料を加えて、50℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。これに、表3の成分(2)の欄に示す材料を添加した。次いで、温度25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、導電性ゴム組成物C1を得た。以下、導電性ゴム組成物C1~C9にそれぞれ使用した樹脂粒子を表4にまとめた。
樹脂粒子をA2~A8にそれぞれ変更した以外は製造例21と同様にして導電性ゴム組成物C2~C8を得た。
樹脂粒子A1に替えて、中実高分子量ポリエチレン粒子(商品名:ミペロンXM-221U、三井化学製、平均粒子径25μm)を用いた以外は製造例21と同様にして導電性ゴム組成物C9を得た。
(導電性基体)
直径6mm、長さ252.5mmのステンレス鋼製の基体に、導電性加硫接着剤(商品名:メタロックU-20、東洋化学研究所製)を塗布し、温度80℃で30分間乾燥したものを導電性基体として使用した。
クロスヘッドを具備する押出成形装置を用いて、導電性基体を中心軸として、その周面を円筒状に導電性ゴム組成物C1で被覆した。導電性ゴム組成物の厚みは、1.75mmに調整した。
得られたローラの外周面を、プランジカット式の円筒研磨機を用いて研磨した。研磨砥石としてビトリファイド砥石を用い、砥粒は緑色炭化珪素(GC)で粒度は100メッシュとした。この研磨の際のローラの回転数を350rpmとし、研磨砥石の回転数を2050rpmとした。切り込み速度を20mm/minとし、スパークアウト時間(切り込み0mmでの時間)を0秒と設定して研磨を行い、導電性弾性層を有する導電性ローラを作製した。導電性弾性層の厚みは、1.5mmに調整した。尚、このローラのクラウン量(中央部の外径と中央部から両端部方向へ各90mm離れた位置の外径の差の平均値)は120μmであった。
円筒研磨後のローラを、熱風炉を用いて、大気雰囲気下にて180℃で1時間、加熱処理を行い、樹脂粒子をさらに硬化させた。
図9に示す表面仕上げ研削装置を用い、得られたローラ(9b)を、1000rpmで回転させつつ、ラッピングフィルム(9a)で表面仕上げ研削して、導電性弾性ローラを得た。用いたラッピングフィルムは、研磨砥粒が9μmである「ラッピングフィルムWA砥粒#2000(商品名、三共理化学株式会社製)」であった。この際、円筒研磨機による研磨と表面仕上げ研削の研磨目は同じ方向にした。以後、円筒研磨機での研磨と表面仕上げ研削の向きが同じものを「順研磨」と称し、異なるものを「逆研磨」と称す。得られた導電性弾性ローラは、その表面に、ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部と、ボウル形状の樹脂粒子の開口とその樹脂粒子の内壁とで規定される空隙を有する導電性弾性層を有していた。
得られた導電性弾性ローラに対して、表面層塗布液B1を1回ディッピング塗布した。なおディッピング塗布の条件としては、浸漬時間を5秒とし、また、表面層塗布液からの引き上げ速度は初期速度を20mm/s、最終速度を2mm/sとした。初期速度から最終速度に至る速度変化は時間に対し直線的に行った。
(ボウル形状)
以下ボウル形状の説明において図2および図3を用いる。
上記測定箇所においてコンフォーカル顕微鏡で帯電ローラの表面の高さ像を測定した。観察条件は、対物レンズ50倍、画素数1024ピクセル、高さ分解能0.1μmとし、表面形状から取得した画像を2次曲面にて平面補正した。平面補正した画像に対し法線方向を高さ方向とした。平面補正した画像から高さプロファイルを抜き出し、平均化することで、測定箇所における帯電ローラ表面の高さ平均面(3a)とした。高さ平均面より高さプロファイルが高い部分と低い部分が隣接した箇所において、これら高い部分と低い部分をそれぞれ凸部(2d)と凹部(2c)とした(これら高い部分と低い部分の高さの値は、これらの間の境界において不連続である)。合計66箇所の測定箇所のそれぞれにおいて、凸部と凹部がそれぞれ1つ以上存在することを確認した。各測定箇所の像から、任意のボウル形状の樹脂粒子(201)を1つ選択し、そのボウル形状の樹脂粒子のエッジ(2h)由来の凸部(2d)の周辺の断面プロファイルを抜き出し、高さの平均面(3a)から最も遠くなる点を凸頂点(2e)とした。また、凸頂点(2e)から高さ平均面(3a)までの距離を凸頂点高さHo(3b)とした。凸頂点高さHoの値(平均値)は5.1μmであった。ただし、この値は、66個の測定箇所についてそれぞれ1つずつ凸頂点高さHoを求め、求めた合計66個のHoを平均した値である。
凸頂点高さの測定において選択したボウル形状の樹脂粒子の凸頂点(2e)を通り、帯電ローラの回転軸に直交する断面を、集束イオンビーム加工観察装置(商品名:FB-2000C、日立製作所社製)を用いて、切り出した。このとき、導電性基体の回転中心(2g)が露出する深さまで切り出した。次いで、走査型電子顕微鏡(SEM)(商品名:S-4800、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、1000倍で、その断面画像を撮影した。なお、66個の凸頂点について1枚ずつ、合計66枚の断面画像を得た。
前記断面画像において、前記凸頂点(2e)と帯電ローラの基体(1c)の回転中心(2g)を結んだ線分(2f)が、前記ボウル形状の樹脂粒子に塗布された表面層(1a)の表面と交差する点の中で、最も回転中心(2g)に近い点を交点(3c)とする。
前記合計66個の断面画像の各々において、空間(2i)を、線分(2f)が通過しているか否かを観察した。なお、線分(2f)が、ボウル形状の樹脂粒子に塗布された表面層(1a)の表面と交差しない場合、交点(3c)は存在せず、線分(2f)は当該空間を通過しない。
前記断面画像において、凸頂点(2e)と交点(3c)との間の距離PL(3d)を求めた。ただし、線分(2f)が、ボウル形状の樹脂粒子に塗布された表面層(1a)の表面と交差しない場合、これらの交点(3c)は存在しないので、PLは求まらない。求めることのできた距離PLの平均値は26.5μmであった。
表面層の断面を、鋭利なカミソリを使用して切り出し、デジタルマイクロスコープ(キーエンス製、商品名:VHX-5000)を使用し、1000倍で観察した。表面層の長手方向を均等に3分割した3箇所のそれぞれにおいて、円周方向を均等に3分割した3箇所の、計9箇所を測定箇所とした。360μm×240μmを1視野とし、1視野内の膜厚の最大値と最小値を測定した。1つの測定箇所の断面のそれぞれについて5視野測定し、合計45個の測定値を得た。45個の測定値のうち、最大値Tmaxは1.2μmであり、最小値Tminは1.0μmであり、膜厚が1μm以上5μm以下であることを確認した。45個の測定値の平均値は1.1μmであった。
表面層の体積抵抗率は、原子間力顕微鏡(AFM)(商品名:Q-scope250、Quesant社)を用いて、導電性モードによって測定した。先ず、帯電ローラの表面層を、マニュピレーターを用いて幅2mm、長さ2mmのシートに切り出し、このシートの片面に白金蒸着を施した。次に白金蒸着を施した面に直流電源(商品名:6614C、Agilent社)を接続して電圧10Vを印加し、このシートのもう一方の面にはカンチレバーの自由端を接触させ、AFM本体を通して電流像を得た。
・測定モード:contact
・カンチレバー:CSC17
・測定範囲:10nm×10nm
・スキャンレイト:4Hz
・印加電圧:10V。
測定環境は温度23℃、相対湿度50%とした。
この評価は、製造した帯電ローラが前述したようなチャージアップ性能を有しているか否かを確認するものである。
測定環境は温度23℃、相対湿度50%とした。
この評価は、表面層およびボウル形状の樹脂粒子が、放射線崩壊型の樹脂で形成されているか否かを判定するものである。放射線崩壊型の樹脂であることの確認は次のようにする。まず、コロナ放電に曝されていない、製造直後の帯電ローラから、表面層およびボウル形状の樹脂粒子をサンプリングし、それぞれの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定する。次いで、後述する方法で、帯電ローラについて、コロナ放電処理を施した後、帯電ローラの表面層およびボウル形状の樹脂粒子を再びサンプリングし、GPCにて分子量を測定する。そして、コロナ放電照射の前後における分子量の差異から、表面層およびボウル形状の樹脂粒子が、放射線崩壊型であるか否かを判定する。以下、詳細に述べる。
コロナ放電処理は、春日電機(株)製のコロナ放電表面処理装置を用いて行った。実施環境はH/H環境(温度30℃、相対湿度80%の環境)であった。
(放電光観察)
帯電ローラの表面層のチャージアップと、ボウル形状の樹脂粒子由来の表面形状によって、帯電ローラ表面の凸部からの強い放電が抑制されることを下記のようにして確認した。具体的には、まず、感光体を模したガラス板に帯電ローラ(5a)を接触させた状態で、接触していない方向(ガラスの裏面)から、放電光動画を取得した。次いで、放電光を観察した箇所と同じ個所の表面を撮影した動画を取得し、当該放電光動画と重ね合わせることで、凸部からの強い放電の挙動を観測した。具体的な手順を下記に示す。
低濃度の印刷時においても、白抜け画像が発生しないことを下記のようにして確認した。
次に耐久試験を行い、帯電ローラの表面層のチャージアップ量の変化量を測定した。この試験では、放射線崩壊型樹脂が、放電に曝露されることによる変質によって、また付着物によって、低抵抗化が進まないことを確認する。耐久試験は上記白抜け画像の評価に用いたものと同様のプロセスカートリッジおよび電子写真装置を使用して、表面層の変質に対してより過酷であるH/H環境(温度30℃、相対湿度80%の環境)下で実施した。耐久試験は、2枚の画像を出力した後、感光ドラムの回転を完全に約3秒間停止させ、2枚の画像出力を再開するという間欠的な画像形成動作を繰り返して40000枚の電子写真画像を出力するものである。この際の出力画像は、サイズが4ポイントのアルファベットの「E」の文字が、A4サイズの紙の面積に対し被覆率が4%となるように印字されるような画像とした。
帯電ローラの製造条件を表5に示すように変更した。また、実施例4~5、16~17及び20~21、ならびに実施例15及び19については、下に述べる変更も行った。それ以外は、それぞれ実施例1と同様にして帯電ローラを作製し、評価した。この際、すべての実施例において凸部(2d)と凹部(2c)が隣接した箇所が、合計66箇所の測定箇所の各点において1つ以上存在することを確認した。
表面層塗布液の塗布後の乾燥手法を、常温で30分風乾した後、熱風循環乾燥機にて温度160℃で1時間行うという手法に変更した。
表面層塗布液の塗布後に、常温風乾及び熱風循環乾燥に替えて、紫外線照射を行った。紫外線照射の条件は、波長254nmの紫外線を積算光量が9000mJ/cm2になるように照射した。紫外線照射装置としては低圧水銀ランプ(東芝ライテック株式会社製)を用いた。
帯電ローラの製造条件を表6に示すように変更した。本例では、円筒研磨後の加熱処理及び表面仕上げ研削を行わなかった。それ以外は実施例1と同様にして帯電ローラを作製し、評価した。この帯電ローラの表面には中実のポリエチレン粒子由来の凸が存在し、凸頂点の下に空隙は存在しておらず、凸形状由来の強放電が発生し、白抜けが多かった。
表面層塗布液を塗布せず、その後の乾燥工程も行わなかったこと以外は実施例1と同様にして帯電ローラを作製し、評価した。この帯電ローラには表面層にチャージアップ可能な層が存在してないので、強放電が発生し、白抜けが多かった。
帯電ローラの製造条件を表6に示すように変更した。また、円筒研磨後の加熱処理手法を、180℃30分行う手法に変更した。それ以外は実施例1と同様にして帯電ローラを作製し、評価した。66枚の断面画像のうちの大半において、図10に示すように凸部(2d)が反った形状になっており、前述の線分(2f)は、空間(2i)を通過していなかった。強放電が発生し、白抜けが多かった。なお、本例については、PL/Hoの比を求めなかった。
帯電ローラの製造条件を表6に示すように変更した。また、表面層塗布液の塗布後の表面層の乾燥手法を、常温で30分風乾した後、熱風循環乾燥機にて温度120℃で1時間行うという手法に変更した。それ以外は実施例1と同様にして帯電ローラを作製し、評価した。この帯電ローラの表面層の体積抵抗率は1.12×1015Ω・cmで低く、表面層がチャージアップせず凸部から強放電が発生し、白抜けが多かった。
帯電ローラの製造条件を表6に示すように変更した。また、表面層塗布液のディッピング塗布に際して浸漬時間を1秒とした。それ以外は実施例1と同様にして帯電ローラを作製し、評価した。この帯電ローラの表面層膜厚は0.1μmであり、表面層がチャージアップせず凸部から強放電が発生し、白抜けが多かった。
帯電ローラの製造条件を表6に示すように変更した。また、表面層塗布液のディッピング塗布に際して浸漬時間を24秒とした。それ以外は実施例1と同様にして帯電ローラを作製し、評価した。この帯電ローラの表面層膜厚は6.1μmと厚く、表面層がチャージアップ過剰となった。その結果放電光は観測されず、感光体の帯電不良を引き起こし、画像評価において評価用の画が出ず、ベタ黒の画が出てしまい評価できなかった。
帯電ローラの製造条件を表6に示すように変更した。また、表面層塗布液の塗布後の表面層の乾燥手法を、常温で30分風乾した後、熱風循環乾燥機にて温度180℃で1時間行うという手法に変更した。それ以外は実施例1と同様にして帯電ローラを作製し、評価した。この帯電ローラの体積抵抗率は1.31×1018Ω・cmで、体積抵抗率が高すぎるため表面層がチャージアップ過剰となった。その結果放電光は観測されず、感光体の帯電不良を引き起こし、画像評価において評価用の画が出ず、ベタ黒の画が出てしまい評価できなかった。
1b:弾性層
1c:基体
201:ボウル形状の樹脂粒子
2a: 空隙
2b:ボウル形状の樹脂粒子の開口
2c:凹部
2d:凸部
2e:凸部の頂点
2f:凸部の頂点と基体の回転中心を結ぶ直線
2g:基体の回転中心
2h:ボウル形状の樹脂粒子のエッジ
2i:凹部の空間
3a:帯電ローラ表面の高さ平均面
3b:凸頂点高さ
3c:線分(2f)が、凹部(2c)と交差する交点
Claims (9)
- 導電性の基体と、導電性の弾性層と、絶縁性の表面層をこの順で有する電子写真用の帯電部材であって、
該弾性層は、バインダーを含み、複数個のボウル形状の樹脂粒子を、該弾性層の該基体に対向する側とは反対側の面に保持してなり、
該ボウル形状の樹脂粒子は、開口と、該開口の周囲のエッジと、該開口に連なる空隙とを有し、該ボウル形状の樹脂粒子の各々は、該開口と該エッジとが、該弾性層の、該基体に対向する側とは反対側の面から露出するように該弾性層に保持されており、
該表面層の、該基体に対向する側とは反対側の表面は、該帯電部材の表面を構成し、
該帯電部材の表面は、該空隙に由来する複数個の凹部と、該エッジに由来する複数個の凸部とを有し、
該帯電部材の長手方向に直交し、かつ、該凸部の頂点を含む断面において、該頂点と該基体の回転中心とを結ぶ線分は、該凹部の空間を通り、
該表面層の体積抵抗率が、1.0×1016Ω・cm以上、1.0×1018Ω・cm以下であり、かつ、
該表面層の膜厚が、1μm以上、5μm以下である、ことを特徴とする電子写真用の帯電部材。 - 前記凸部の頂点と前記基体の回転中心を結ぶ線分の、前記凹部の表面との交点から該凸部の頂点までの長さが、前記凸部の高さの2倍以上、10倍以下である、請求項1に記載の電子写真用の帯電部材。
- 前記凸部の高さが3μm以上、10μm以下である、請求項1または2に記載の電子写真用の帯電部材。
- 前記表面層が、ポリオレフィン骨格を有する樹脂を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の電子写真用の帯電部材。
- 前記ポリオレフィン骨格がポリイソプレン骨格である、請求項1~4のいずれか一項に記載の電子写真用の帯電部材。
- 前記表面層が、放射線崩壊型の樹脂を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の電子写真用の帯電部材。
- 前記ボウル形状の樹脂粒子が、放射線崩壊型の樹脂を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の電子写真用の帯電部材。
- 電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、
請求項1~7のいずれか一項に記載の電子写真用の帯電部材を有することを特徴とする、プロセスカートリッジ。 - 電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電可能に配置された帯電部材と、を有する電子写真画像形成装置であって、
該帯電部材が、該請求項1~7のいずれか一項に記載の電子写真用の帯電部材であることを特徴とする電子写真画像形成装置。
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