JP5771109B2 - 帯電ローラ - Google Patents
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Description
そこで、本発明の目的は、使用初期から製品寿命に至るまでの長期にわたって帯電ローラ表面への異物の付着を低減し、異物付着に起因する画像濃度ムラを抑制することができる帯電ローラを提供することである。
凸部の径の平均値、および隣接する凸部間の距離の平均値は、次の様にして求められる。帯電ローラの表面層を長手方向に均等に6分割し、更に周方向に6分割すると合計30個の交点ができる。この30個の交点で、SEM、またはSPMを使って表面の画像を撮影する。撮影範囲は、画像の中に凸部が少なくとも100個以上入る範囲とする。任意の隣接する50個の凸部を抽出し、画像処理して凸部の径、および隣接する凸部間の距離を測定する。各交点で得られた測定値の相加平均値をそれぞれ凸部の径の平均値、および隣接する凸部間の距離の平均値とする。
炭素密度=全原子数/(炭素原子数−酸素原子数)
上記の式は大西パラメータとも呼ばれており、分子中における炭素の密度を表すもので、一般にレジストのエッチング耐性を評価する基準として用いられる。炭素密度が大きいほどエッチング耐性が低くなり、エッチングによるエッチング速度が大きくなる。逆に、炭素密度が小さいほどエッチング耐性が高くなり、エッチング速度は小さくなる。つまり、エッチング速度の異なる2つのポリマーが結合したブロック共重合体でミクロ相分離構造を形成した後、エッチングすれば、凹凸を設けることができる。ブロック共重合体を構成している2つのポリマーのエッチング速度の差が大きいほど凹凸を形成しやすくなることから、2つのポリマーのモノマーユニットの炭素密度の差は3.0以上あることが好ましい。
本発明の帯電ローラは、軸芯体と、軸芯体の外周上に同芯円状に形成された表面層を有する構造になっている。また、本発明では図2(a)に示すように、軸芯体1と表面層4の間に弾性層2を設けたり、さらに図2(b)に示すように弾性層と表面層の間に中間層3を設けたりしても良い。帯電ローラの表面が本発明の表面層である限り、弾性層や中間層は何層あっても良い。図2(a)には表面層の表面形状を示すための、表面層4の一部の拡大図を含む。
導電性の軸芯体は、軸芯体を介して帯電ローラの表面に給電するために導電性を有する。
帯電ローラに設ける弾性層としては、帯電ローラと感光ドラムとの間で十分なニップを確保できれば特に制限はないが、以下のものが挙げられる。エピクロルヒドリンゴム、NBR(ニトリルゴム)、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、あるいはSBS(スチレン・ブタジエン・スチレン−ブロックコポリマー)、SEBS(スチレン・エチレンブチレン・スチレン−ブロックコポリマー)。これらを単独または2種類以上組み合わせて用いることができる。
本発明では、このようにして形成された弾性層の外周上に必要に応じ、中間層を設けることもできる。中間層を形成する材料としては、樹脂、天然ゴムや合成ゴムを挙げることができ、樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の樹脂が使用できる。特に塗料の粘度の制御が容易な点で、樹脂としてはフッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂が好ましい。これらは、単独または2種以上を組み合わせて混合して用いてもよく、また共重合体であっても良い。
次に、本発明の帯電ローラを有する電子写真画像形成装置の一例を、図3を用いて説明する。
直径6.0mm、長さ252.5mmのステンレス製の軸芯体を使用し、熱硬化性接着剤(商品名:メタロックU−20、株式会社東洋化学研究所製)を塗工し、乾燥させた。
エピクロルヒドリンゴム(EO−EP−AGC三元共重合体、EO/EP/AGE=73mol%/23mol%/4mol%)100質量部に対して、下記成分を加えて50℃に調節した密閉型ミキサーにて10分間混練し、原料コンパウンドを調製した。
炭酸カルシウム(商品名:ナノックス#30、丸尾カルシウム株式会社製)
60質量部
ポリエステル系可塑剤(商品名:PN−350、旭電化工業株式会社製)
10質量部
ステアリン酸亜鉛(商品名:ジンクステアレートN、淡南化学工業株式会社製)
1質量部
2−メルカプトベンズイミダゾール(商品名:ノクラックMB、大内新興化学工業株式会社製)
0.5質量部
酸化亜鉛(商品名:酸化亜鉛 2種、ハクスイテック株式会社製)
2質量部
ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド(商品名:LV−70、旭電化工業株式会社製)
2質量部
カーボンブラック(商品名:トーカブラック シーストSO、東海カーボン株式会社製)
5質量部
これに、加硫剤として硫黄0.8質量部、加硫促進剤としてジベンゾチアジルスルフィド(商品名:ノクセラーDM−P、大内新興化学工業株式会社製)1質量部、およびテトラメチルチウラムモノスルフィド(商品名:ノクセラーTS、大内新興化学工業株式会社製)0.5質量部を添加した。次いで、20℃に冷却した二本ロール機で10分間混練して弾性層用コンパウンドを得た。
上記の軸芯体と共に弾性層用コンパウンドをクロスヘッド付き押出成型機にて押し出し、外径が約9mmのローラ形状になるように成形した。続いて、160℃に加熱した電気オーブンに入れ、1時間加熱して加硫、および接着剤の硬化を行った。ゴムの両端部を突っ切ってゴムの長さを228.0mmとした後、外径が8.5mmのローラ形状になるように表面の研磨加工を行い、軸芯体上に弾性層を形成した。このローラのクラウン量(中央と該中央から両端に向けて90mm離れた位置の外径の差)は120μmにした。
ε−カプロラクトン変性アクリルポリオール溶液(商品名:プラクセルDC2016、ダイセル化学工業社製)を用意した。ε−カプロラクトン変性アクリルポリオール溶液は、ε−カプロラクトン変性アクリルポリオール70%、キシレン30%の溶液であり、数平均分子量が4500、重量平均分子量が9000、水酸基価(KOH・mg/g)が80である。
この溶液にメチルイソブチルケトンを加え、固形分が19質量%となるように希釈した。この希釈溶液526.3質量部(アクリルポリオール固形分100質量部)に対して下記各成分を加え、混合溶液を調製した。
カーボンブラック(商品名:MA100、三菱化学株式会社製) 45質量部
変性ジメチルシリコーンオイル(*1) 0.08質量部
ブロックイソシアネート混合物(*2) 80.14質量部
上記(*1)は、変性ジメチルシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製)である。また、(*2)は、ヘキサメチレンジイソシアネート(商品名:デュラネートTPA−B80E、旭化成工業株式会社製)とイソホロンジイソシアネート(商品名:ベスタナートB1370、デグサ・ヒュルス社製)の各ブタノンオキシムブロック体の7:3混合物である。このとき、ブロックイソシアネート混合物は、イソシアネート量としてはNCO/OH=1.0となる量である。
上記混合溶液200gを、分散メディアとして平均粒径0.8mmのガラスビーズ200gと共に容積450mLのガラス瓶に入れ、ペイントシェーカー分散機を用いて100時間分散した。分散後、ガラスビーズを除去して中間層用塗工液を得た。
弾性層が形成されたローラに、上記中間層用塗工液をディッピング法で塗工した。常温で30分間以上風乾した後、熱風循環乾燥機にて80℃で1時間、更に160℃で1時間加熱して弾性層上に中間層を形成した。ディッピング法での塗工に関しては、浸漬時間は9秒、ローラの引き上げ速度は初期速度20mm/s、最終速度2mm/s、その間は時間に対して直線的に速度を変化させた。
[表面層用塗工液の調整]
ポリスチレン‐b‐ポリメタクリル酸メチル(商品名:P8309E−SMMA、ポリマーソース社製)(Mn:63×103‐b‐142×103、Mw/Mn:1.08)とポリメタクリル酸メチル(商品名:P8530−MMA、ポリマーソース社製)(Mn:6×103、Mw/Mn:1.10)を、ポリスチレンとポリメタクリル酸メチルの重量比が20:80になるように混合した。混合した試料を溶媒のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート250mLに溶解させ、2質量%の表面層用塗工液を得た。
予め軸芯体上に弾性層および中間層を形成したローラに、上記表面層用塗工液をディッピング法で塗工した。常温で30分間以上風乾した後、熱風循環乾燥機にて180℃で3時間加熱し、ミクロ相分離構造を形成させた。ディッピング法での塗工に関しては、浸漬時間は9秒、ローラの引き上げ速度は初期速度20mm/s、最終速度2mm/s、その間は時間に対して直線的に速度を変化させた。
次に、ローラ用に製造したドライエッチング装置を使って、ミクロ相分離構造をエッチングした。反応ガスとしてO2を用い、反応ガス流量30sccm、バイアスパワー10Wで、ミクロ相分離構造を表面に形成したローラを20rpmで回転させながら360秒間エッチングした。
エッチングした後の表面層の表面と断面をSEMとSPMで観察したところ、円柱状構造の凸部が複数形成されており、凸部の径の平均値は100nm、隣接する凸部間の距離の平均値は300nmであった。
帯電ローラ表面への異物の付着を評価するために、異物付着によって引き起こされる濃度ムラで評価を行った。カラーレーザープリンター(商品名:LBP5400、キャノン株式会社製)とそのマゼンタの電子写真プロセスカートリッジを用意し、電子写真プロセスカートリッジに帯電ローラを組み込んだ。カラーレーザープリンターと電子写真プロセスカートリッジを温度23℃、湿度50%RHに24時間放置後、その環境にて耐久評価を行った。具体的には、最初にハーフトーン画像を出力した後、印字率1%のE文字画像を連続で12000枚の画像を出力し、最後に再びハーフトーン画像を出力した。得られた2枚のハーフトーン画像を目視にて観察し、異物の付着が原因で発生するスジ状画像やポチ状画像を濃度ムラとして評価した。濃度ムラは、以下のように評価した。
A:スジ状画像やポチ状画像がない
B:スジ状画像やポチ状画像が幅2cmにわたって確認できる
C:スジ状画像やポチ状画像が幅5cmにわたって確認できる
D:スジ状画像やポチ状画像が全面に確認できる
評価結果を表1に示す。
ブロック共重合体(ポリマーソース社製)と溶媒を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして表面層を作製した。なお、表中のポリマーのPSはポリスチレン、PMMAはポリメタクリル酸メチル、PBはポリブタジエン、PEOはポリエチレンオキサイド、VPはポリ−2−ビニルピリジン、PIはポリイソプレンを表している。また、溶媒のPGMEAはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、DMFはN、N−ジメチルホルムアミド、PGMEA/DMF−4/6はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートおよびN、N−ジメチルホルムアミドを体積比で40:60となるように混合した混合溶媒を表す。評価結果を表1に示す。
[ 表面層用塗工液の調整]
粒径200nmのコロイダルシリカ(商品名:MP−2040、日産化学工業株式会社製)を純水中に分散させ、5質量%の塗工液を得た。
中間層を形成したローラに、上記塗工液をディッピング法で塗工した。常温で30分間以上風乾した後、熱風循環乾燥機にて120℃で1時間加熱した。加熱後の中間層表面をSPMで観察したところ、シリカが2次元に最密充填されていた。ディッピング法での塗工に関しては、浸漬時間は9秒、ローラの引き上げ速度は初期速度20mm/s、最終速度2mm/s、その間は時間に対して直線的に速度を変化させた。
次に、紫外線硬化型のアクリル樹脂(商品名:NT01−UV、日東電工株式会社製)を、シリンジを用いて中間層とシリカによって形成された空隙に注入し、常温で30分放置した。その後、紫外線照射装置を用いて紫外線を照射し、アクリル樹脂を硬化させた。
アクリル樹脂を硬化させた後の表面層の表面と断面をSEMとSPMで観察したところ、球状のシリカが凸部を形成しており、隣接する凸部間の距離の平均値は210nmであった。評価結果を表1に示す。
コロイダルシリカを粒径450nmのコロイダルシリカ(商品名:MP−4540M、日産化学工業株式会社製)にした以外は、比較例1と同様にして帯電ローラを得た。結果を表1に示す。
〔比較例3〕
アクリル樹脂を硬化させた後、15質量%のフッ酸に30分間浸漬し、シリカを完全に除去した以外は、比較例1と同様にして帯電ローラを得た。シリカ除去後のアクリル樹脂表面と断面をSEMとSPMで観察したところ、多角錐状構造のアクリル樹脂が凸部を形成しており、隣接する凸部間の距離の平均値は205nmであった。評価結果を表1に示す。
2‥‥弾性層
3‥‥中間層
4‥‥表面層
Claims (3)
- 表面に柱状構造の凸部を複数備えたナノ構造体層を表面層として有し、該凸部の径の平均値が5nm以上200nm以下であり、かつ隣接する凸部間の距離の平均値が20nm以上700nm以下であることを特徴とする帯電ローラ。
- 該凸部が、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンオキサイドおよびポリブタジエンからなる群から選ばれる少なくとも1つのポリマーを含む請求項1に記載の帯電ローラ。
- 表面に柱状構造の凸部を複数備えたナノ構造体層を表面層として有し、該凸部は、モノマーユニットの炭素密度が異なる2つのポリマーのブロック共重合体により形成されたミクロ相分離構造をエッチングすることにより形成されていることを特徴とする帯電ローラ。
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