JP2004245944A - 導電性部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】高画質化に適し、より高機能な電子写真装置にも好適に用いることができ、高速/低速のように2種以上のプロセススピードを有する、更には、熱効率定着温度の低いトナーを使用したり、接触現像方式を採用した電子写真装置においても、帯電部材表面の付着物の影響の少ない良好な画像を長期にわたって得られる導電性部材を提供すること。
【解決手段】23℃/60%RHの環境下で、硬度(Asker−C)が30°以上90°以下であり、かつ静摩擦係数が1.0以下、動摩擦係数が0.5以下である導電性部材において、該導電性部材の電気抵抗値R(Ω)が、15℃/10%RHの環境下で、直流電圧10Vを印加した時に5×10Ω以下で、直流電圧500Vを印加した時に1×10Ω以上であり、かつ該導電性部材表面の算術平均粗さをRa(μm)、十点平均粗さをRz(μm)とした時に、Ra≧0.05μmかつRz≦10μmである導電性部材。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンター及びファックス等の電子写真装置に用いられる導電性部材に関するものであり、特には、電子写真装置の電子写真感光体を帯電する用途に好適に用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から電子写真装置としては多数の種類が知られているが、このような電子写真装置においては、種々の導電性部材がさまざまな目的で使用されており、例えば帯電工程においては、感光体を所定の極性及び電位にする帯電部材として、ローラー、ブレード、ブラシ、ベルト、フィルム、シート又はチップ等の形状の導電性部材を感光体表面に対向(接触又は近接)させて、直流電圧や、直流電圧と交流電圧の重畳電圧を印加して使用されている。
【0003】
上述の通り、帯電部材は感光体を所定の極性及び電位を付与するものであるので、長期にわたり安定的な機能を有することが求められる。帯電部材は、感光体と対向又は接触して使用されるので感光体上に現像材やその成分が付着している場合には、物理的あるいは静電的な吸着力により、それらが帯電部材表面に引き寄せられ付着する。この現象が顕著になると、感光体への安定した帯電付与能力が損なわれ画像不良が発生することがある。
【0004】
このような現象を解決するために、導電性部材の表面の摩擦係数や表面エネルギーを低減するための技術開発や導電性部材の表面材料とトナーとの荷電性を制御したりする技術開発が多数行われている。例えば、特許文献1には、帯電部材表面に高離形成材料を設けるため高離形成材料とその下の層との密着性向上が目的として活性化表面を形成する技術が記載されている。あるいは、導電性部材表面に付着した異物を取り除くための装置、手段等の検討もなされている。
【0005】
ところで、最近のコンピューター及びその周辺機器の普及に伴い、情報の出力手段としてのプリンター、複写機及びファックス等の電子写真装置には、さまざまな観点から新たな機能が強く求められるようになっている。
【0006】
その1つは、カラー化やグラフィック画像、写真画像増大の流れであり、従来より一層高画質が求められるようになる。そのためには、画像の忠実な再現性が重要となるのであり、それに対応する手段の一つとして高解像度化の流れがある。すなわち原画像をいかに細かく認識し、再現するかということであり、600dpiから1200dpi、あるいはそれ以上への技術開発や適当な画像処理手段がその例として挙げられる。
【0007】
また、カラー化の流れはトナー画像を転写するマテリアルの多様化をもたらしている。すなわち、従来はいわゆる上質紙を用いることがほとんどであったが、厚紙、コート紙、はがき、透過性フィルム等が数多く使用されるようになった。一般に厚紙や透過性フィルムは上質紙に比べて熱伝導率が低いため、トナーの定着性を充分確保するために定着部を通過する時間を長くする等の工夫が必要になる。すなわち、プロセススピードは一般の紙を使用する場合に比べ遅くなるということで、1つの機械で数種のプロセススピードに応じた画像の均一性が求められるということである。
【0008】
2つ目には、市場形態あるいは意識の変化によるプリント環境の変化によるものである。現在のように通信システムが整備された環境においては、必要な人が、必要な場所で、必要な時に、プリントすることが望まれる。これに対応するには、プリントしようとしてから実際に使用できるようになるまでの時間が短いほど好ましい。これに対応するために、電子写真装置は熱の有効利用が必要であり、特にトナーにはできるだけ低温度で定着するような特性が求められる。
【0009】
3つ目には、絶対的なプリント枚数の増大による処理量の増加である。これに対応するには、電子写真装置の高速化/高耐久化が必要であり、当然各部材においても同様のことが求められる。
【0010】
このような新たな機能が強く求められる電子写真装置に、前述したような従来の導電性部材を用いた場合、以下のような問題が発生することがあった。
【0011】
印加する電圧や画像を出力する環境、あるいは出力する画像パターンや使用する電子写真装置等、特定の条件下あるいは条件の組み合わせによっては白や黒の微小なスジやポチが発生したり、導電性部材表面への異物付着や部分的な異物付着ムラによる濃度ムラが生じたりすることがあった。高解像度(概ね600dpi以上で、特には1200dpi以上)の電子写真装置を用いて、細かな白黒の繰り返しパターンで形成される画像、グラフィック画像、写真画像やカラー画像を出力する場合に特に発生し易い。
【0012】
また、プロセススピードが高速(概ねプロセススピードが90mm/sec.以上で、特には120mm/sec.以上)である場合には、帯電付与能力が不足することによる画像先端部のかぶり等の画像不良が、プロセススピードが低速(概ねプロセススピードが90mm/sec.以下で、特には60mm/sec.以下)である場合には、白や黒の微小なスジやポチ等の画像不良が発生し易い。
【0013】
これらの現象は、従来の電子写真装置ではほとんど問題にならないレベルであるが、電子写真装置のハード面での高性能化によって、潜像の微小なムラをも忠実に現像することによって画像上に微小に現れてくることによる。つまり、前述のように高画質化に対応するための電子写真装置のハード面での高性能化に伴い新たに顕在化した問題であり、画像の高画質化の傾向が強まるほど発生し易くなる現象である。
【0014】
このような現象を解決するために、例えば特許文献2に示されるような微小表面形状制御についての検討がなされている。この方法は、確かに効果はあるものの製造面で複雑になり易くその結果高価になり易いため、簡便な方法で生産しうる方法の確立が急務である。また、表面粗さに関しては従来からRzあるいはRaに着目した検討が多数なされているが、単にRzを所定の範囲にしただけでは効果は不十分である。加えて、単にRaを所定の範囲にしただけでも効果は不十分である。
【0015】
このように、特に高画質で高耐久性を求められ、かつ数種のプロセススピードを有する電子写真装置において、種々の条件の下においても、白や黒(あるいは明色)の微小なスジやポチ、あるいは導電性部材表面への異物付着や部分的な異物付着ムラによる濃度ムラ等の発生しない、良好な特性を有する安価な導電性部材及びこれを用いた装置に関する技術開発が必要であった。
【0016】
更には、熱効率定着温度の低いトナーを使用したり、トナー飛散に良好なトナーにストレスのかかり易い接触現像方式を採用した電子写真装置において、特にこの傾向が大きい。
【0017】
特に、高耐久化を図る上では初期の特性を向上させることはもちろん重要であるが、加えて、使用に伴う変化を小さくすることができる技術開発が必要であった。
【0018】
【特許文献1】
特開平11−249381号公報
【特許文献2】
特開2000−19814号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述のような問題に鑑みなされたものであり、高画質化に適し、より高機能な電子写真装置にも好適に用いることができる導電性部材を提供することである。
【0020】
また、本発明の別の目的は、高解像度(概ね600dpi以上で、特には1200dpi以上)の電子写真装置や、高速(概ねプロセススピードが90mm/sec.以上で、特には120mm/sec.以上)/低速(概ねプロセススピードが90mm/sec.以下で、特には60mm/sec.以下)のように2種以上のプロセススピードを有する電子写真装置においても良好な画像を長期にわたって得ることができる導電性部材を提供することである。
【0021】
本発明の更に別の目的は、熱効率定着温度の低いトナーを使用したり、接触現像方式を採用した電子写真装置においても、帯電部材表面の付着物の影響の少ない良好な画像を長期にわたって得ることができる導電性部材を提供することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明に従って、23℃/60%RHの環境下で、硬度(Asker−C)が30°以上90°以下であり、かつ静摩擦係数が1.0以下、動摩擦係数が0.5以下である導電性部材において、該導電性部材の電気抵抗値R(Ω)が、15℃/10%RHの環境下で、直流電圧10Vを印加した時に5×10Ω以下で、直流電圧500Vを印加した時に1×10Ω以上であり、かつ該導電性部材表面の中心線平均粗さをRa(μm)、十点平均粗さをRz(μm)とした時に、Ra≧0.05μm、Rz≦10μmであることを特徴とする導電性部材が提供される。
【0023】
第2の本発明によれば、少なくとも、支持体と、支持体の上方又は外側に設けられた高分子化合物を主体としてなる弾性を有する層(弾性層)と、弾性層の上方又は外側に形成された高分子化合物を主体としてなる1つ以上の層(被覆層)とを有し、該導電性部材の電気抵抗値R(Ω)と被覆層のうち最も上方又は外側の層(表面層)のみを有さない状態における電気抵抗値R(Ω)とが、直流電圧500Vを印加した時に温度15〜30℃かつ相対湿度10〜80%の範囲において、0.01≦(R/R)≦1000の関係にある。
【0024】
第3の本発明によれば、表面層が、フッ素系高分子化合物、シリコーン系高分子化合物、アクリル系高分子化合物、ウレタン系高分子化合物、オレフィン系化合物及びエチレンオキサイド含有高分子化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種を含有する。
【0025】
第4の本発明によれば、表面層が、反応部位を有する高分子化合物によって形状を付与された後、活性エネルギー線を照射することによって反応させて形成される。
【0026】
第5の本発明によれば、前記導電性部材の表面が、化学的あるいは物理的な表面処理を施される。
【0027】
第6の本発明によれば、前記弾性層が発泡体である。
【0028】
第7の本発明によれば、前記発泡体の表面に非発泡部を有する。
【0029】
第8の本発明によれば、少なくとも、電圧を印加した帯電装置によって感光体を帯電する帯電手段と、露光によって静電潜像を形成する手段と、該静電潜像をトナーにて可視化する現像手段とを有する電子写真装置において、少なくとも上記導電性部材が、感光体を所定の極性及び電位に帯電する帯電部材であることを特徴とする電子写真装置である。
【0030】
第9の本発明によれば、帯電部材が感光体と接触する電子写真装置である。
【0031】
第10の本発明によれば、感光体の最外層の膜厚が0.005μm以上25μm以下である電子写真装置である。
【0032】
第11の本発明によれば、現像剤中のトナーが略球状である電子写真装置である。
【0033】
第12の本発明によれば、接触現像方式を有する電子写真装置である。
【0034】
第13の本発明によれば、帯電装置と、電子写真感光体、現像装置の群より選ばれた少なくとも1つとを共に一体に支持し、少なくとも帯電装置に用いられる導電性部材として上記導電性部材を使用したことを特徴とする電子写真装置に着脱自在あることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0035】
第14の本発明によれば、上記導電性部材を再利用したプロセスカートリッジである。
【0036】
第15の本発明によれば、弾性層は外径規制部材の存在した状態で発泡することによって形成し、被覆層は塗料を塗工後連続的にエネルギーを付与することで形成することを特徴とする導電性部材の製造方法である。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0038】
高画質で高耐久性を求められ、かつ数種のプロセススピードを有する電子写真装置に使用される導電性部材には、優れた帯電能力を、長期にわたって使用しても維持しうることが必要である。使用に伴う帯電能力の低下の原因には2種類あり、長期の通電による材料の電気特性の低下に起因する帯電能力の低下と導電性部材表面への現像材やその成分、感光体成分、紙粉等の付着物の堆積による物理的な阻害に起因する帯電能力の低下である。
【0039】
本発明者は、使用に伴う導電性部材表面への現像材やその成分、感光体成分、紙粉等の付着物の堆積をいかに防ぐかという観点から、付着物と表面性(表面粗さや摩擦係数)の検討から始めた。表面粗さに関しては、従来からRzあるいはRaに着目した検討がなされているが、両者の関係について検討されてはいない。RzとRaは、同一の測定器で測定できるので得られた数字そのものに違いはあるが傾向は一致するものと、すなわち、Rzの順列は、そのままRaの順列であると考えられている。しかしながら本発明者は、RzとRaを導く式は当然違うことや片方の指標だけでは現象を充分説明できないこと等に着目して検討を進めた結果、本発明に至ったものである。
【0040】
本発明の意図するところは、マクロ的に見れば滑らか(すなわちRzは小)だが、ミクロ的に見れば適度に粗れている(すなわちRaは大)ということであり、表面の微小凹凸形状に関わるものである。本発明の導電性部材表面は、マクロ的には滑らかなので異物付着のきっかけが少なくなることで付着物低減に効果を発揮し、一方でミクロ的には粗れているので導電性部材表面と付着物との間に存在する空気層や導電性部材の表面積増大効果等により付着力を低減できるものと推察される。従って、付着量を低減できるだけでなく付着力低減(適度な摺擦により脱離し易いので自己清掃の効果あり)とが相乗的に作用しあって異物付着に対しより大きな効果を得ることができる。従って、導電性部材表面への現像材やその成分、感光体成分、紙粉等の付着物の堆積による物理的な阻害に起因する帯電能力の低下を長期にわたって抑制することが可能であり高耐久性に大きく寄与する。このような効果を得るためには、導電性部材表面が、Ra≧0.05μmかつRz≦10μmであることが必要である。Raが0.05μmより小さい場合には異物は付着しにくいが、一旦付着し始めると自己清掃効果が弱いため短時間で付着量が増大し、一方、Rzが10μmよりも大きいと異物付着が比較的早いうちから発生してしまうので、いずれも好ましくない。
【0041】
一方、上述の表面粗さを有する導電性部材は帯電能力にも優れるという別の効果をも得ることができる。この理由はやはり、マクロ的に見れば滑らか(すなわちRzは小)だが、ミクロ的に見れば適度に粗れている(すなわちRaは大)ということに起因すると思われ、実質的な表面積が増大するために放電面積が広がるためと推測される。従って、AC電圧とDC電圧との重畳電圧を印加する帯電方法においては、AC成分の周波数やピーク間電圧を軽減できるという効果が得られた。さらには、帯電条件としては厳しいDC電圧だけを印加する帯電方法においても特に有効であることが判明した。このような帯電能力の向上は、前述の表面積増大効果の他にも、帯電部材表面形状の微小凹凸形状によって帯電部材表面の電位が擬似的に微小凹凸形状を示すため、ACのような働きをすることによるものと推定される。また、微小な形状であるために導電性部材の表面のどの場所においても比較的均一に凹凸が存在するので、比較的均一な放電が発生する。すなわち、導電性部材のどの部分にも比較的均一に電圧がかかった状態であるので、部分的な過負荷部が発生せず、長期の通電による材料の電気特性の低下を極力防止することができるものと考えられる。このように帯電能力的な観点からは、Ra<5μmかつRz>1μmをも満たせば一層好ましい。
【0042】
加えて、このような表面粗さとすることによって、電気抵抗値や摩擦係数(静摩擦係数、動摩擦係数)を本発明の範囲に容易に制御することができるという効果も有することがわかった。電気抵抗値R(Ω)が本発明の範囲を外れると、DCのみを印加する帯電方式では微小な横スジが発生するので好ましくない。また摩擦係数が本発明の範囲を外れると、感光体の回転に従って従動回転する導電性部材を使用する帯電装置では、微小な回転ムラに起因するピッチ状の濃度ムラが発生することがあるので好ましくない。
【0043】
本発明の導電性部材の構成、構造、形状に特に制限はないが、通常安定した形状を得易いので、導電性支持体上に弾性層を有するローラー形状のものが使用される。
【0044】
更に、必要に応じて弾性層上に1層以上の層を設けてもよく、この場合には前記導電性部材の電気抵抗値R(Ω)と被覆層のうち最も上方又は外側の層(表面層)のみを有さない状態における電気抵抗値R(Ω)とが、温度15〜30℃かつ相対湿度10〜80%の範囲において、0.01≦(R/R)≦1000の関係にあることが、帯電部材としては種々の帯電方式(DC電圧のみを印加する場合やAC電圧とDC電圧を重畳した電圧を印加する場合)においても安定した帯電特性を得ることができるので好ましい。
【0045】
表面層としては、特に制限はなく従来公知の材料やそれらの組み合わせで使用することができるが、中でも特にフッ素系高分子化合物、シリコーン系高分子化合物、アクリル系高分子化合物、ウレタン系高分子化合物、オレフィン系化合物及びエチレンオキサイド含有高分子化合物から選ばれた1種以上からなる高分子化合物を主体としてなれば、摩擦係数及び表面粗さの安定化とあいまってより一層の付着物低減を達成することができるので好ましい。代表的な例としては、例えばアクリル系高分子化合物であれば、表面層は、未反応性の樹脂溶液や反応性を有する1種以上の樹脂溶液に導電性付与材や滑性付与材、架橋材等を分散あるいは溶解した塗料を用いて、ディッピング、スプレー、ロールコート、リングコート及び静電塗工等の従来公知の方法によって形成した後、加熱して乾燥あるいは架橋して形成したり、予めチューブ状に形成した後に適当な手段にて被覆したりするのが一般的であるが、更なる生産性向上のため活性エネルギー線を照射して薄膜を形成することが好ましい。
【0046】
具体的には、活性エネルギー線を照射することで反応性を付与しうる反応部位を有する高分子化合物をバインダーとして選んだり、あるいは活性エネルギー線を照射することで反応性を付与しうる反応部位を有する化合物をバインダー中に添加したり、活性エネルギー線を照射することで重合を開始する反応部位を有する重合成モノマーを使用する。このような反応部位としては、例えばC=C、C≡C、C=O、C=N及びC≡N等の不飽和基を挙げることができ主にはC=Cであるが、これらに限定されるものではない。このような方法では基本的に無溶剤とすることができるが、粘度調整が必要な場合には当然溶剤や水を添加すればよい。この時、必要に応じて導電性付与剤等の種々の添加剤を加えることができる。その後、例えば塗工の様な手段によって塗工層を形成(弾性層の基層に応じて形状を付与)した後、電子線、紫外線、可視光、(遠)赤外線、γ線、マイクロ波及びX線等のエネルギー波を照射することによって反応させて形成することが好ましいが、もちろん熱でもよい。
【0047】
中でも電子線を用いた場合には、重合開始剤を必要としないという利点があり、これにより非常に高純度な三次元表面層の作製が可能となり、良好な帯電特性が確保されるので特に好ましい。また、短時間でかつ効率的な重合反応であるがゆえに生産性も高く、更には透過性の良さから、厚膜時や添加剤等の遮蔽物質が膜中に存在する際の硬化阻害の影響が非常に小さいこと等が挙げられる。但し、連鎖重合性官能基の種類や中心骨格の種類によっては重合反応が進行しにくい場合があり、その際には影響のない範囲内での重合開始剤の添加は可能である。
【0048】
電子線照射をする場合、加速器としては、スキャニング型、エレクトロカーテン型、ブロードビーム型、パルス型及びラミナー型等いずれの形式も使用することができる。電子線を照射する場合に、本発明の導電性部材においては帯電性能及び耐久性能を発現させる上で照射条件が非常に重要である。本発明において、加速電圧は250KV以下が好ましく、最適には150KV以下である。また、線量は好ましくは1Mrad〜100Mradの範囲、より好ましくは3Mrad〜50Mradの範囲である。加速電圧が250KVを超えると帯電性能へのダメージが増加する傾向にある。また、線量が1Mradよりも少ない場合には硬化が不十分となり易く、線量が100Mradを超える場合には劣化が起こり易いので注意が必要である。
【0049】
光で硬化する場合には、光源に特に制限はなく、蛍光灯、白熱光、水銀ランプ、キセノンランプ又は種々のレーザー等が好適に使用できるが、増感剤を添加する(バインダー樹脂100質量部に対して0.1〜15質量部が好ましい)ことが好ましく、公知の増感剤を全て使用できる。
【0050】
また、電子線を使用する場合には特に制限はないが、加速電圧は5〜120kVの低加速電圧であることが好ましく、この時には増感剤は加えなくともよい。いずれの場合においても、触媒を添加することが好ましい。また、必要に応じてこの後若干の加熱処理を行うこともある。
【0051】
このようにして得られた膜は、高架橋密度を有しながら柔軟性や耐熱性に優れるので導電性部材の表面に使用すれば、卓越した強度、耐キズ/磨耗性、耐水性、基材との優れた密着性等が達成でき、導電性部材の高耐久化に対して大きな効果がある。代表的な材料としては、例えば、カルボキシル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、多価アルコールのアルキレンオキサイド、ラクトン構造及びエチレン性不飽和基等を分子内に有する(メタ)アクリル系化合物を挙げることができる。
【0052】
また、本発明の導電性部材は、その表面に化学的あるいは物理的な表面処理を施すことが好ましい。基材表面に薄膜を形成する方法では、薄膜形成の過程で基材表面の粗さや形状が変化してしまうことが多い。これは、薄膜がウェットな状態の時にレベリング作用が働くために、基材の表面性を平滑化する方向に作用するためと思われる。従って、特に形状を制御することは難しい。これに対し、表面処理方法では、ごく薄膜(概ね1μm以内)形成が可能であったり、特に含浸タイプでは表面近傍(表面から概ね5μm以内、場合によっては1μm以内)のみの変性が可能であるので、基材の表面の粗さや形状をほぼそのまま維持することができるという効果が得られるからである。
【0053】
表面処理方法としては特に制限はないが、例えば、イソシアネートのような活性基を有する化合物を含有する溶液に導電性部材を浸漬するなどして表面に含浸させた後に熱等で反応させる方法、あるいは表面にエネルギー線を照射して表面近傍の分子構造を変化させる方法やカップリング剤で表面処理する方法、ハロゲン化処理等がある。中でも好ましいのは、前述の活性エネルギー線を照射して薄膜を形成する手法のところで述べた方法である。すなわち、活性エネルギー線を照射することで反応性を付与しうる反応部位を有する化合物やモノマーを含有する溶液に導電性部材を浸漬するなどして表面に含浸させた後にエネルギーを付与することで反応させ、導電性部材の表面近傍を変性する方法であり、エネルギー源としては熱や上述のようなエネルギー線があるが、特に電子線を使用すれば、増感剤等が不要でかつごく短時間で反応させることができるので一層好ましい。
【0054】
このように導電性部材表面を表面処理することによって、感光体と当接する場合においては導電性部材表面の表面粗さや形状に影響をほとんど及ぼさないで摩擦係数を低減できるという効果がある。ところで、AC電圧とDC電圧とを重畳した電圧を印加する場合には弾性層が発泡体であることは、AC電圧印加に起因する帯電音発生を防止できるため好ましい。発泡体は、セル径が20〜500μm、空孔率(単位断面積当たりに占める発泡部総断面積の割合)が10%以上であれば特に制限はないが、特性やセル径のばらつきが少ないほど、また連続気泡を有するほうが帯電音の絶対値だけでなく周期的な強弱(うねり音)が良化するので好ましい。更には、表面粗さを小さくするためには、発泡体の表面に非発泡部を有することがより好ましい。そのためには、外径規制部材を用いて発泡することが好ましく、例えば金型を用いてその内部に材料を注入して加硫発泡させる方法(型内発泡)や高硬度チューブと共にゴムを押出しチューブを金型の代わりに利用しながらその内部で発泡させる方法(チューブ内発泡)等がある。非発泡部が薄い(目安として200μm以下)ほど低硬度化には有利であるが、強度的に低下し使用に伴い非発泡部が磨耗、剥離、脱離したりする可能性があるので、高強度(概ね100%モジュラスが50kgf/cm以上、好ましくは70kgf/cm以上)の被覆層を設けることが好ましい。この場合には、あまり被覆層の膜厚を厚くすると導電性部材としての硬度が上昇するので、他物性に影響がない範囲で被覆層は薄い(目安として200μm以下)方が好ましい。あるいは、意識的に非発泡部を厚めにし、その代わり被覆層を設けずに表面処理を施すことも有効な手段である。
【0055】
弾性層の材料としては、特に制限がなく従来公知の材料を全て使用することができるが、導電性/発泡制御のし易さ、分子構造制御の自由度が大きい、あるいは型内発泡への適性や液状であれば取り扱いが容易である等の理由からウレタンであることが好ましく、更には末端にOH基を有するものと末端にNCO基(あるいは反応性を押さえるためにオキシム等でブロックしたもの)を有するものとを反応させることが好ましく、これらのものは、固形状、半固形状、液状のいずれであってもよいが、生産性を考慮すると低粘度である液状(あるいは半固形状)であることが好ましい。抵抗を制御する必要がある場合、組成を適当に制御することによって低抵抗化することができるが、より低抵抗が求められる時にはイオン導電系導電付与剤や電子導電系導電性付与剤等を単独あるいは併用して分散あるいは溶解させて使用し、更にはイオン導電系導電付与剤や電子導電系導電性付与剤の構造を有する化合物をウレタン等の樹脂構造中に導入してもよい。当然、特性面、加工面、コスト面等の目的で、必要な添加剤(発泡剤、触媒、その他)を添加した上で使用することができる。
【0056】
ところで、本発明の導電性部材は、少なくとも、電圧を印加した帯電装置によって感光体を帯電する帯電手段と露光光によって静電潜像を形成する手段と、この静電潜像をトナーにて可視化する現像手段とを有する電子写真装置に使用することができ、特に帯電部材として最適であり感光体に対して1つあるいは場合により2つ以上配置される。これらの場合、帯電部材が所定の極性及び電位に帯電し、感光体と接触して適当な圧力を負荷した状態で帯電使用される場合に好適である。使用される電子写真装置に特に制限はなく、種々の潜像形成手段、現像手段(ジャンピング方式、接触現像方式、二成分磁気ブラシ方式、その他公知の方式)、転写手段、クリーニング手段、定着手段等に対応することができるが、特には、帯電部材表面に付着物が付着する機会の多いクリーナレスシステムを用いた装置や低融点トナーを用いた装置、あるいはトナーへのストレスを与え易い接触現像方式を採用した装置等に特に好適である。
【0057】
しかしながら、非常に長期にわたって使用することが求められる場合には、帯電部材表面に付着した異物(以下付着物)を除去する装置を有したり、付着物による帯電付与能力を若干カバーするために、予め感光体の電位を均平化処理する手段を有することが好ましい。付着物を除去する装置としては特に制限はないが、例えば、導電性部材に当接させて摺動時の物理的な力によって擦り取るものや、導電性あるいは半導電性の物質(金属、導電ゴム、導電樹脂、導電ブラシ等)を当接又は近接してバイアスを印加し(導電性部材に印加されるバイアスと同極性が好ましい)、静電気力により吸着して付着物を取り除くもの等を挙げることができる。
【0058】
具体例として、導電性ファーブラシ製のローラーを導電性部材の表面に接触させ異物除去ローラーとすることができる。導電性ファーブラシは、例えば、フッ素樹脂にカーボンブラックを添加し混練後繊維状に成形したものをファーブラシ状に形成したものである。フッ素樹脂は、特に吸湿性や吸水性が小さいので、本ファーブラシは環境変動に対して抵抗の変化が非常に小さいという特徴を持つ。なお、本例において異物除去ローラーは、ファーブラシ製を使用したが例えば金属のような他の材質でも構わない。更に、異物除去ローラーの回転駆動装置をつけ、異物除去ローラーの回転方向は導電性部材の回転方向に対し従動方向で、導電性部材の回転速度の1.2倍程度であることが好ましい。
【0059】
また、均平化処理する手段としては、帯電前の感光体電位をなるべく均一にすることができれば特に手段やシステム等に何ら制約を受けるものではないが、例えば前露光装置や除電装置等を挙げることができる。
【0060】
電子写真装置に用いられる感光体には特に制限はなく、有機感光体、無機感光体のいずれをも何ら制約されることなく用いることができるが、導電性部材との関連で好ましい形態が存在する。この時、感光体の最外層の膜厚は0.005μm以上25μm以下であることが好ましく、更には感光体の表面粗さ(Ra、Rz)は、いずれも導電性部材の(Ra、Rz)よりもそれぞれ小さいことがより好ましい。
【0061】
また、電子写真装置に用いられるトナーには特に限定はなく、粉砕法又は重合法によって製造されたトナー粒子のどちらも用いることができるし、磁性トナー又は非磁性トナーのいずれであっても用いることができるが、導電性部材との関連において好ましい形態や性状がある。特に、略球状であることが好ましく、下記式で表わされる形状係数SF−1が100〜160、形状係数SF−2が100〜140であることが好ましい。この様に、本発明の付着性が改善された導電性部材とトナーとの適切な組み合わせにおいては、従来よりもTgが10℃以上低いトナーも使用することができ、概ねTgが35℃以上70℃以下であれば好適に使用できる。
【0062】
ここで、SF−1、SF−2については、次のように計測される。すなわち、例えば日立製作所製FE−SEM(S−800)を用い1000倍に拡大した2μm以上のトナー像を100個無作為にサンプリングし、その画像情報はインターフェエースを介して例えばニコレ社製画像解析装置(Luzex III)に導入し、解析を行い下式より得られた値を、定義する。
【0063】
SF−1={(MXLNG)×π/(AREA)×4}×100
SF−2={(PERIME)/(AREA)×4π}×100
式中、MXLNGは粒子の絶対最大長、PERIMEは粒子の周囲長、AREAは粒子の投影面を示す。
【0064】
形状係数SF−1が160を超える場合には、トナー粒子は球形から外れ、又はSF−2が140を超える場合には、トナー粒子の表面の凹凸が顕著となる。非球形又は表面に凹凸を有しているようなトナー粒子は、攪拌によるキャリアあるいはトナー粒子同士の接触による摩擦によって表面が削り取られ、次第に球形に近づくため、形状の変化が大きくなり形状変化が大きいため、かさ密度変化も大きく、トナー濃度検知センサーが不適切な出力をするようになり易い。
【0065】
最近では、トナーの形状を簡便かつ再現性良く測定する方法として、ノニオン型界面活性剤を溶解している水にトナーを分散して分散液を調製し、超音波を分散液に照射した場合のフロー式粒子像分析装置(Flow Particle Image Analyzer)を使用した測定方法(以下FPIA法)が提案されており、このFPIA法における粒径0.6〜2.0μmの粒子の測定値C1が3〜50個数%であることが好ましい。
【0066】
本発明に好ましく用いられる略球状形状のトナーの製造方法には特に限定はなく、粉砕法によって製造された不定形のトナーに機械的力や熱等のエネルギーを加えながら攪拌して略球状にしたトナー又は重合法によって製造されたトナー粒子のどちらも用いることができるが、形状の安定性や高機能化付与等の必要がある場合には重合法が好ましい。
【0067】
本発明の導電性部材の感光体と接触する層に含有される導電性付与剤には特に制限はないが、トナー又は感光体との間に好ましい関係がある。導電性部材の感光体と接触する層に含有される導電性付与剤の二次粒径が、現像剤中のトナーの一次粒径よりも小さいことが好ましく、また感光体最外層に含有される導電性付与剤の二次粒径よりも小さいことが好ましい。
【0068】
本発明の導電性部材は、帯電装置と、電子写真感光体及び現像装置の群より選ばれる少なくとも1つとを共に一体に支持してなる電子写真装置に着脱自在なプロセスカートリッジに好適に使用される。更には、本発明の導電性部材は優れたリサイクル性を有するので再使用するのにも非常に適する。
【0069】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、当然のことながらこれらに限定されるものではない。
【0070】
まず本発明に使用される部材及び評価機械の構成、材質、製造方法等を説明する。
【0071】
(電子写真装置1)
図6は電子写真プロセスを利用したフルカラー電子写真装置(複写機あるいはレーザービームプリンター)であり、そこに用いられるタンデム式に配列された画像形成部の主要構成を図7に示す。
【0072】
図7においてフルカラー画像形成装置は、装置本体内に例えばイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの可視画像を形成することができる第1〜第4の画像形成部I、II、III及びIVがタンデムに配列された構成を有し、各画像形成部I〜IVはそれぞれ専用の光導電層を有する像担持体101a、102a、103a及び104aを備えている。各像担持体101a〜104aは、その周囲にそれぞれ専用の画像形成手段である、例えば一次帯電器101b、102b、103b及び104b、転写器101c、102c、103c及び104c、現像器101d、102d、103d及び104d、露光器101e、102e、103e及び104e、クリーナ101f、102f、103f及び104f等が配設されている。
【0073】
また、各画像形成部I〜IVの像担持体101a〜104aの下部には、転写ベルト駆動プーリ109及び転写ベルト従動プーリ110に張架され駆動される転写ベルト108が設けられている。更に、第1画像形成部Iの右方には不図示の給紙部が配置され、第4画像形成部IVの左方には不図示の定着器が配置される。
【0074】
カラー画像形成を行うには、まず第1画像形成部Iにおいて、光導電層を有する回転する像担持体101aに対して帯電器101bによって均一に電荷が付与され、矢印で示される露光器101eによって露光が行われ、像担持体101a上の光導電層上に潜像が形成される。次いで、潜像が例えばイエロートナー用現像器101dによって潜像が現像されて顕像が形成される。
【0075】
一方、給紙部から、転写ベルト駆動プーリ109と転写ベルト従動プーリ110によって駆動される転写ベルト108によって、不図示の被転写材が第1画像形成部Iに搬送される。また、回転する像担持体101aはその光導電層上に残存するトナーが、クリーナ101fによって除去され、新たな潜像形成に備える。
【0076】
第2の画像形成部IIにおいても同様な工程が行われ、別色の例えばシアントナーが被転写材に転写される。そしてその後もこのような工程を連続的に、第3及び第4画像形成部III、IVにおいても行うことにより多色のトナーの転写を転写材に対して行い、所望のカラー画像を形成することができる。
【0077】
このデジタル複写機を以下のように改造して電子写真装置1とした。まず、解像度を1200dpi、プロセススピードを120mm/s(平均的な上質紙対応)と30mm/s(PETフィルム対応)の2種に設定、感光体の帯電手段を接触式の導電性ローラー(帯電ローラー)とし、帯電ローラーには帯電バイアスとして直流電圧と交流電圧の重畳電圧(直流電圧は−700V、交流電圧は2kVpp、周波数1kHz、正弦波)を印加するようにした。なお、帯電前の前露光装置は取り外してある。
【0078】
また、現像部を導電性弾性ローラー(現像ローラー)を用いた接触現像方式に変更し、現像バイアスとして直流電圧−500Vを印加するようにした。更に、転写部をコロナ帯電器を用いた転写手段から導電性弾性ローラーを用いたローラー転写方式に変更した。
【0079】
(電子写真装置2)
電子写真装置1を、帯電バイアスとして直流電圧−1300Vを印加するように改造して、電子写真装置2とした。
【0080】
なお、本発明の導電性部材を用いた電子写真装置の他の様々な例を示す概略図を図8〜17に示す。
【0081】
(感光体製造例1)
φ30mmのアルミニウムシリンダー上に下引き層、正電荷注入防止層、電荷発生層、電荷輸送層の順に機能層を設け、感光体1を作製し、本実施例ではこれを用いた。
【0082】
下引き層は、アルミニウムドラムの欠陥等を均したり、露光の反射によるモアレの発生を防止するために設けられている厚さ約20μmの導電層である。
【0083】
正電荷注入防止層は、アルミニウム支持体から注入された正電荷が感光体表面に帯電された負電荷を打ち消すのを防止するために設けられ、厚さ約1μmのポリアミド樹脂によって10Ω・cm程度に抵抗調整されている。
【0084】
電荷発生層は、レーザー露光を受けることによって正負の電荷対を発生するために設けられた層であり、チタニルフタロシアニン系の顔料を樹脂に分散した厚さ約0.3μmの層である。
【0085】
電荷輸送層は、ポリカーボネート樹脂にヒドラゾンを分散した厚さ17μmの層であり、P型半導体である。従って、感光体表面に帯電された負電荷はこの層を移動することはできず、電荷発生層で発生した正電荷のみを感光体表面に輸送することができる。
【0086】
感光体1の特性を測定したところ、感光体の表面である電荷輸送層の厚さは12μm、電荷輸送層単体(表面)の体積抵抗値が5×1015Ω・cm、感光体表面のRz=1.1μm、Ra=0.6μm、静電容量C(感光体の表面積1cm当たり)は100pF/cmであった。なお、静電容量は以下のように測定した。すなわち、アルミニウムシリンダー上にアルミニウムシートを巻き付け、アルミニウムシリンダー上に感光層を塗布する場合と同条件にてアルミニウムシート上に感光層を塗布して静電容量測定用試料を作製した。静電容量の測定は、インピーダンス測定器(YHP 4192A)で行い、感光体1cm当たりの静電容量を求めた。
【0087】
(トナー製造例1)
イオン交換水に、NaPO水溶液とCaCl水溶液を所定量添加、攪拌し、燐酸カルシウム塩を含む水系媒体を得た。
【0088】
次に、下記材料を加温し、造粒機を用いて均一に溶解、分散した。
【0089】
スチレン(重合性単量体) 100質量部
n−ブチルアクリレート(重合性単量体) 13.5質量部
マゼンタ着色剤 4.5質量部
サリチル酸の金属化合物(荷電制御剤) 1質量部
飽和ポリエステル樹脂 8.5質量部
エステル系ワックス(離型剤) 20質量部
ここに、アゾ系重合開始剤4質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0090】
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、窒素雰囲気下において、加温、攪拌し重合性単量体組成物を造粒した後、重合させた。その後、残存モノマーを留去し、冷却後、塩酸を加え燐酸カルシウム塩を溶解させた後、ろ過、水洗、乾燥して、マゼンタトナー粒子(A)を得た。得られたマゼンタトナー粒子(A)のFPIA法による測定値C1は53個数%であった。
【0091】
次に、マゼンタトナー粒子(A)を風力分級して樹脂微粒子及び樹脂超微粒子の量を調製した。マゼンタトナー粒子(A)を分級した後のマゼンタトナー粒子(B)のFPIA法による測定値C1は25個数%であり、またSF−1、SF−2を測定したところ、SF−1=130、SF−2=115で、略球状形状であることが分かった。また、コールターカウンター法によるマゼンタトナー粒子(B)の重量平均粒径は7.1μmであった。
【0092】
マゼンタトナー粒子(B)100質量部と、BET比表面積200m/gの疎水性シリカ微粉体(一次平均粒径0.01μm)1.4質量部とを混合してトナー1を調製した。トナー1のFPIA法による測定値C1は25個数%、SF−1=130、SF−2=115であり、コールターカウンター法による重量平均粒径は7.1μmであった。更に、トナー1のガラス転移点(Tg)を測定したところ60℃であった。
【0093】
(現像剤製造例1)
平均径60μmのニッケル亜鉛フェライトに、アクリル変性シリコーン樹脂をコートしたもの100質量部に対し、トナー1を6質量部を混合し、現像剤1と本実施例ではこれを用いた。
【0094】
ここで、本発明の実施例、比較例で使用する導電性部材について以下に詳述する。
【0095】
(導電性部材製造例1)
<1−1弾性層の作製>
ポリプロピレングリコール(PPG:分子量5000)とジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とを反応させてなるウレタンプレポリマー(両末端OH)100質量部に対し導電性付与のためカーボンブラック10質量部を分散させる。次に、予め導電性接着剤を塗布した、長さ450mm、直径9mmのステンレス製芯金を導電性支持体として内面が滑らかな円筒状金型の中心にセットした。更に、カーボンブラック分散プレポリマーとイソホロンジイソシアネート(IPDI)の3量体(イソシアヌレート体)とが、[NCO]/[OH]=1.1になるように連続的に混合しながら注型機にて円筒状の金型内に供給する。この時予め発泡剤として水を必要量添加しておく。金型を170℃の加熱炉中を1時間かけて連続的に移動するようにして加熱炉から出てきた後室温まで冷却する。その後金型から取り出して、導電性支持体であるステンレス製芯金の周囲に弾性を有する層として表面を研磨することなくパーティングラインのない導電性スポンジゴムローラーを得た。この導電性スポンジゴムローラーは、表面近傍に薄い非発泡部(スキン層)を有している。外径は中央部が16.5mm、両端部が15.9mmでクラウン形状を有しており、ゴム長は380mmである。これをゴムローラー1とした。
【0096】
<1−2 最外層用塗料の作製>
アクリルアミド、アクリロニトリル、メチルメタクリレートを45:12:43(質量比)で共重合したアクリル樹脂80質量部とグリシジルメタクリレート1.5質量部とを反応させ、更にエチレン性不飽和基を導入した。この樹脂100質量部に対してエポキシ変性アクリレート100質量部と2−クロロチオキサントン5質量部とからなる組成物を作製した。この組成物をメチルエチルケトン(MEK)で固形分(樹脂分)が20質量%になるように調整した後、100質量部に対してフッ素系カップリング剤で表面を処理した酸化スズ表面を酸化アンチモンでドーピングした透明導電性粉末(一次粒径0.02μm)50質量部をメディアを用いてペイントシェーカーで12時間分散した。その後、メディアを分離し、更にメチルイソブチルケトン(MIBK)で固形分(樹脂分)を5質量%に調整し、最外層用塗料1を得た。
【0097】
<1−3 導電性部材の作製>
ゴムローラー1の表面を2−ブタノンにて洗浄後、最外層用塗料1を用いて引き上げ速度100mm/sec.で浸漬塗工を行った。塗工後、20℃/70%RHの雰囲気中で30分間風乾してから、窒素雰囲気下で電子線を照射し(加速電圧100KV、線量20Mrad)、最外層の硬化反応を生じさせ導電性部材1を作製した。
【0098】
<1−4 物性測定>
導電性部材1及びゴムローラー1について以下の項目の測定を行った。
【0099】
(1)硬度(Asker−C硬度)
導電性部材1(あるいはゴムローラー1)のAsker−C硬度は、23℃/60%RHの環境において、図18に示す装置を用い荷重1kgで測定した。測定箇所は両端部及び中央部の合計3箇所であり、これらの単純(算術)平均をもって導電性部材1(あるいはゴムローラー1)のAsker−C硬度とした。
【0100】
ゴムローラー1のAsker−C硬度は、左端部が40°、中央部が36°、右端部が38°であり、これらの単純平均38°をゴムローラー1のAsker−C硬度とした。
【0101】
また、導電性部材1のAsker−C硬度は、左端部が58°、中央部が53°、右端部が54°であり、これらの単純平均55°を導電性部材1のAsker−C硬度とした。
【0102】
(2)摩擦係数
導電性部材1の静摩擦係数及び動摩擦係数の測定は、図3に示す手段を用いて測定した。本測定方法は、測定物がローラー形状の場合に好適な方法で、オイラーのベルト式に準拠した方法である。これによれば、測定物である導電性部材と所定の角度θで接触したベルト(厚さ20μm、幅30mm、長さ180mm、材質ステンレス)は片方の端部が測定部(荷重計)と、他端部が重りWと結ばれている。この状態で導電性部材を所定の方向、速度で回転させた時、測定部で測定された力をF(gf)、重りの重さをW(g)とした時の摩擦係数(μ)は以下の式で求められる;
μ=(1/θ)ln(F/W)
【0103】
この測定方法で得られるチャートの一例を図4に示す。ここにおいて、導電性部材を回転させた直後の値(チャート上はt=0)が回転を開始するのに必要な力(F0)であり、それ以降が回転を継続するのに必要な力(Ft)であることがわかる。従って本発明においては、t=0の時の力(F0)とt=30(秒)の時の力F30を用い、
μS=(1/θ)ln(F0/W)
μD=(1/θ)ln(F30/W)
を求め、それぞれ、μSを静摩擦係数、μDを動摩擦係数、と定義する。ここで、θ:導電性部材とベルトのなす角度(rad)、W:重りの重さ(g)である。
【0104】
F0、F30をチャートから読み取り上記の式に従って求めたところ、μS=0.72、μD=0.30であった。
【0105】
なお、本発明の導電性部材の摩擦係数測定器の別の一例を図5に示す。
【0106】
(3)電気抵抗値(図2の装置を用いて回転数30rpmで測定)
(i)導電性部材;導電性部材1の15℃/10%RHの環境における電気抵抗値Rを測定したところ、直流電圧10Vを印加した時に6×10Ωで、直流電圧500Vを印加した時に5×10Ωであった。
【0107】
(ii)ゴムローラー1;最外層を有さないゴムローラー1の電気抵抗値Rを直流電圧500Vで印加して、温度15〜30℃かつ相対湿度10〜80%の範囲で測定したところ、1×10Ω〜7×10Ωであったので、R/Rは7〜50の範囲にあることがわかった。
【0108】
(4)表面粗さ
導電性部材1のRz、Raの測定はJIS規格(JISB0601−1994)に準拠し、(株)小坂研究所製surfcorder SE−3400を用い、送り速度0.5mm/s、カットオフ0.8mm、測定長2.5mmの条件で測定した。測定は導電性部材1の任意の3箇所について母線(長手)方向に行い、3つの値の単純平均を導電性部材1のRz、Raとした。
【0109】
導電性部材1について、右端部、中央部、左端部の3箇所測定したところ、Rzはそれぞれ2.0μm、2.2μm、1.8μmであり、Raはそれぞれ1.0μm、0.9μm、0.8μmであったので、これらの単純平均を求め、Rz=2.0μm、Ra=0.9μmとした。
【0110】
(5)塗膜中の分散状態における粒径(二次粒径)
導電性部材1の表層断面を100倍の電子顕微鏡で観察し、任意の場所5箇所の単純平均から表層における分散状態での粒径(二次粒径)を求めた。二次粒径は、0.6μm、0.8μm、1.0μm、1.5μm及び2.6μmであったので導電性部材1の導電性付与材の分散粒径(二次粒径)は1.3μmであることがわかった。なお、二次粒径は必ずしも球(断面は円)状ではないので、最も長いところと最も短いところの平均としている。
【0111】
(導電性部材製造例2)
<2−1 弾性層の作製>
PPG(Mw:1000)1mol.にTDI2mol.を反応させ、プレポリマー3−1とする。PTMG(Mw:1000)1mol.にHDI2mol.を反応させ、プレポリマー3−2とする。PEG(Mw:1000)1mol.にTDI2mol.を反応させ、プレポリマー3−3とする。
【0112】
過塩素酸トリヘキシルヒドロキシブチルアンモニウム5質量%相当量及びプレポリマー3−1,2及び3各1mol.を合わせ、これに鎖延長剤として1,4−ブタンジオール3mol.を加え、有機スズ触媒及び発泡剤を添加した後、注入成形機により円筒状の金型に注入し、導電性部材製造例1と同様にして、4級アンモニウム塩構造を分子中に有するウレタン発泡体からなるゴムローラー2を得た。
【0113】
<2−2 表面処理材の作製>
ヘキサメチレンジイソシアネート3量体(イソシアヌレート体)のイソシアネート部をオキシムでブロックしたものを、酢酸エチルで希釈して5質量%溶液を作製、表面処理材2とした。
【0114】
<2−3 導電性部材の作製>
ゴムローラー2の表面を2−ブタノンにて洗浄後、表面処理材2に30分間浸漬した。ゴムローラーを取り出し、20℃/70%RHの雰囲気中で30分間風乾してから、表面を再度2−ブタノンで軽く洗浄した。その後、150℃の加熱炉中を1時間かけて連続的に移動するようにして加熱炉から出てきた後室温まで冷却し、導電性部材2を得た。
【0115】
<2−4 物性測定>
導電性部材1及びゴムローラー1と同様に測定を行った。
【0116】
(導電性部材製造例3)
<3−1 弾性層の作製>
エピクロルヒドリンゴム(エピクロマーCG、ダイソー社製)100質量部、ステアリン酸1質量部、炭酸カルシウム5.5質量部、水酸化カルシウム4.4質量部、含水けい酸(ニプシールVN3、日本シリカ社製)9質量部、ジエチレングリコール0.9質量部、ナフテン系プロセスオイル(分子量5000)15質量部、ジメチルドデシルオキシヘキシル過塩素酸アンモニウム塩(導電剤)2質量部を充分冷却したニーダで混練しヒドリンゴムバッチを得た。これを20℃以下に保った冷暗所で一晩熟成後、ペンタリット1質量部、ポリチオール系加硫剤2.3質量部を添加、オープンロールにて混練し、ゴムコンパウンド3を得た。
【0117】
次に、予め導電性接着剤を塗布した、長さ450mm、直径8mmのステンレス製芯金を導電性支持体として内面が滑らかな円筒状金型の中心にセットし、その周囲に導電性ゴムコンパウンド3をインジェクションによって流し込んだ後、170℃の雰囲気中に20分間加熱処理することによって加硫成形を行い、冷却後に型から取り出した。更に、ギアオーブン中で150℃で30分間熱処理して、導電性支持体である芯金(鉄の表面にニッケルメッキを施した後加熱処理し表面を不活性化したもの)の周囲に弾性を有する層として表面を研磨することなくパーティングラインのないソリッドのゴムローラー3を得た。
【0118】
<3−2 表面処理材の作製>
分子内に不飽和結合を有する3官能のアクリル化合物をMEKで希釈し、固形分を3質量%に調整し表面処理剤3とした。
【0119】
<3−3 導電性部材の作製>
ゴムローラー3の表面を2−ブタノンにて洗浄後、表面処理材3中に10分間浸漬後100mm/sec.の速度で引き上げた。20℃/70%RHの雰囲気中で2分間風乾してから、窒素雰囲気下で電子線を照射し(電子線加速度加速電圧120KV、線量30Mrad)、最外層の硬化反応を生じさせ導電性部材3を作製した。
【0120】
<3−4 物性測定>
導電性部材1及びゴムローラー1と同様に測定を行った。
【0121】
(導電性部材製造例4)
<4−1弾性層の作製>
クロロスルホン化ポリエチレンゴム(以下CSM;ハイパロン40、Du Pont社製)100質量部、カーボンブラック10質量部、含水けい酸(ニプシールVN3、日本シリカ社製)3質量部、ジエチレングリコール1質量部、ナフテン系プロセスオイル(ダイアナプロセスオイルNM−280、出光興産社製)5質量部、DOP5質量部、サブ(飴サブ、天満サブ化工社製)1質量部、ステアリン酸1質量部、酸化マグネシウム6質量部、ペンタエリスリトール3質量部、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(ソクシノールTRA、住友化学社製)2質量部を添加、充分冷却したオープンロールで混練し、ゴムコンパウンド4−1を作製した。
【0122】
次に、エピクロルヒドリンゴム(エピクロマーCG、ダイソー社製)100質量部、ステアリン酸1質量部、クレー3質量部、Ca(OH) 4.4質量部、CaO 3質量部、含水けい酸(ニプシールVN3、日本シリカ社製)9質量部、ジエチレングリコール0.9質量部、ナフテン系プロセスオイル(分子量5000)15質量部、カーボンブラック15質量部を充分冷却したニーダで混練し、更に20℃以下に保った冷暗所で一晩熟成後、ペンタリット1.2質量部、ポリチオール系加硫剤2.3質量部、有機発泡剤8質量部を添加、オープンロールにて混練し、ゴムコンパウンド4−2を得た。
【0123】
ゴムコンパウンド4−1及び4−2を押出し機で同時押出しながら、予め導電性接着剤を塗布した、長さ450mm、直径8.05mmのステンレス製芯金を供給し同時押出しによって、導電性支持体の周囲にゴムコンパウンド4−2が、更にその周囲にゴムコンパウンド4−1を有する未加硫ローラーを得た。
【0124】
未加硫ゴムローラーをゴムローラー1で使用した円筒状金型に挿入した後、170℃に保った加熱炉内を1時間かけて移動するようにコンピューター制御した。加熱炉から出た後冷却し金型から取り出して導電性支持体であるステンレス製芯金の周囲にヒドリンスポンジと更にその周囲にCSMソリッドを有する2層スポンジローラーを得て、これをゴムローラー4とした。
【0125】
<4−2 最外層用塗料の作製>
最外層用塗料1を使用した。
【0126】
<4−3 導電性部材の作製>
ゴムローラー4の表面を2−ブタノンにて洗浄後、最外層用塗料1を用いて引き上げ速度100mm/sec.で浸漬塗工を行った。塗工後、20℃/70%RHの雰囲気中で30分間風乾してから、窒素雰囲気下で電子線を照射し(電子線加速度70kV、12分間)、最外層の硬化反応を生じさせ導電性部材4を作製した。
【0127】
<4−4 物性測定>
導電性部材1及びゴムローラー1と同様に測定を行った。
【0128】
(導電性部材製造例5)
<5−1 弾性層の作製>
ゴムローラー1を用いた。
【0129】
<5−2 最外層用塗料の作製>
N−メトキシメチル化ポリアミドをメタノールに溶解して30質量%溶液を作製した。溶液中のメトキシメチル化ポリアミド100質量部に対して塩基性カーボンブラック10質量をメディアを用いてペイントシェーカーで12時間分散した。その後、メディアを分離し、最外層用塗料5を得た。
【0130】
<5−3 導電性部材の作製>
ゴムローラー1の表面を2−ブタノンにて洗浄後、最外層用塗料5を用いて引き上げ速度100mm/sec.で浸漬塗工を行った。塗工後、20℃/70%RHの雰囲気中で30分間風乾してから、150℃のオーブンで30分間加熱し導電性部材5を作製した。
【0131】
<5−4 物性測定>
導電性部材1及びゴムローラー1と同様に測定を行った。
【0132】
(導電性部材製造例6)
<6−1 弾性層の作製>
ゴムローラー3を用いた。
【0133】
<6−2 最外層用塗料の作製>
最外層用塗料1の固形分100質量部に対し、メタクリル樹脂粒子(平均粒径5μm)100質量部を添加し、充分混合して最外層用塗料6を得た。
【0134】
<6−3 導電性部材の作製>
ゴムローラー1の代わりにゴムローラー3を、最外層用塗料1の代わりに最外層用塗料6を用いたこと以外は導電性部材製造例1と同様にして導電性部材6を作製した。
【0135】
<6−4 物性測定>
導電性部材1及びゴムローラー1と同様に測定を行った。
【0136】
(導電性部材製造例7)
<7−1 弾性層の作製>
ゴムローラー3を用いた。
【0137】
<7−2 最外層用塗料の作製>
平均粒径5μmのメタクリル樹脂粒子の代わりに平均粒径12μmのシリコーンエラストマ―粒子を用いたこと以外は6−2と同様にして最外層用塗料7を得た。
【0138】
<7−3 導電性部材の作製>
最外層用塗料1の代わりに最外層用塗料7を用いたこと以外は導電性部材製造例6と同様にして導電性部材7を作製した。
【0139】
<7−4 物性測定>
導電性部材1及びゴムローラー1と同様に測定を行った。
【0140】
(導電性部材製造例8)
ゴムローラー1の代わりにゴムローラー3を用いたこと以外は導電性部材製造例1と同様にして表面塗工ローラーを得た。得られた表面塗工ローラーの表面を3000番のラッピングテープで磨き導電性部材8を作製し、同様に物性を測定した。
【0141】
導電性部材の構成を表1、ゴムローラーの物性を表2、導電性部材の物性を表3に示す。
【0142】
【表1】
Figure 2004245944
【0143】
【表2】
Figure 2004245944
【0144】
【表3】
Figure 2004245944
【0145】
これらの導電性部材、電子写真装置を用いて行った実施例について以下に述べる。
【0146】
(実施例1)
表4に示す組み合わせで実施した。導電性部材は感光体の一次帯電用途に用い、条件としては以下の2通りで評価を行った。
【0147】
(1)120mm/secのプロセススピードで上質紙を用いて10000枚まで耐久を行い、初期から2000枚毎に画像評価を行った。画像評価は、ハーフトーン画像(1dot2spaces)における帯電均一性とそれ以外の画像性を目視にて行った。耐久の条件は、23℃/65%RHの環境で、評価モードは3%文字原稿、A4横送り、連続通紙である。
【0148】
(2)30mm/secのプロセススピードでPETフィルムにおけるハーフトーン画像(1dot2spaces)での帯電均一性を目視で評価した。10000枚後の評価は(1)の耐久後にPETフィルムにて画像性を評価したものである。
【0149】
この結果、本発明の導電性部材は、初期から耐久を通じて程度の違いはあるものの比較的良好な画像が得られまたPETフィルムに対しても好適であることがわかり、本導電性部材は良好な特性であることが分かった。
【0150】
また、実施例1−6では、リサイクル性について評価した。実施例1−1で使用した導電性部材の表面を乾いたウェスで軽く拭くことで表面の付着物はほとんど捕れ、容易に清掃することができた。この導電性部材を再度実施例1と同様の条件で評価したところ、新品時よりは若干レベルは低下するが比較的良好であり、高耐久性とリサイクル性とに優れることがわかった。
【0151】
このように、本発明の導電性部材は付着した汚れを簡単に除去することができるので一般的に行われるような水や溶剤での洗浄や表層ごと除去して表層を再形成、といった複雑な工程を必要とせず、乾拭きやエアブロー程度の簡便な手段で清掃を行うことができる。清掃した帯電ローラーは、当初の機能をほぼ回復しており、画像的にも良好なものが得られる。但し、1回目の使用よりは若干レベルが劣るようである。本実施例では清掃を行うことによって3回の使用まで確認したが、更なる使用の可能性もある。
【0152】
一方、比較例においてはポチが非常に多発し不適であることが判明した。結果を表4に示す。
【0153】
(実施例2)
表5に示す組み合わせで実施例1と同様に実施した。結果を表5に示す。
【0154】
本実施例においては、AC電圧とDC電圧の重畳電圧による帯電方式と、DC電圧のみを印加する帯電方式との比較を行った。後者の方式の方が帯電条件としては厳しいが、本発明の導電性部材はその方式においても有用である。
【0155】
【表4】
Figure 2004245944
【0156】
【表5】
Figure 2004245944
【0157】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、非常に優れた導電特性を長期にわたって安定的に有する導電性部材を得ることが可能となったので、高画質化に適し、より高機能な電子写真装置を提供することができる。
【0158】
また、本発明は特に高画質(600dpi以上の解像度、特に1200dpi以上)を有する電子写真装置や高速(概ねプロセススピードが90mm/sec.以上で、特には120mm/sec.以上)/低速(概ねプロセススピードが90mm/sec.以下で、特には60mm/sec.以下)のように2種以上のプロセススピードを有する電子写真装置や高耐久性(10000枚)の電子写真装置等、種々の高機能化が要求される電子写真装置においても特に好適に用いることができる。特に、AC電圧とDC電圧とを重畳した電圧を印加する電子写真装置においては帯電音の絶対値を小さくできるだけでなく、うなりも軽減することができるという優れた効果が得られる。また、特に帯電条件としては厳しいDC電圧のみを印加する電子写真装置にも適する。
【0159】
更には、導電性部材表面への異物付着が発生し易い接触現像方式を採用した電子写真装置やクリーナレスシステムを有する電子写真装置にも良好に使用することができるだけでなく、従来では使用することが難しかった低Tgのトナーでも使用することができるようになる等、単に導電性部材としての特性が優れるだけでなく、その周辺で使用されるトナーの使用可能な特性範囲を広げることができる等、電子写真装置やカートリッジとしてのメリットが大きく、その結果、電子写真装置の省エネルギー化に大きく貢献することができるといった優れた利点がある。
【0160】
加えて、本発明の導電性部材は非常にリサイクル性が優れているので、簡便な清掃方法で、繰り返し使用可能な導電性部材を供給することができるという優れた利点を有する。
【0161】
更に加えて、本発明においては、良好な特性を有する導電性部材を簡潔に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電性部材の一例を示す断面図である。
(a)〜(f)及び(i)〜(l)はローラー形状
(g)はベルト形状、(h)はプレート/ブレード形状
【図2】本発明の導電性部材の抵抗値測定器の概略図である。
【図3】本発明の導電性部材の摩擦係数測定器の一例である。
【図4】図3の摩擦係数測定器を用いて測定した時のチャートの一例である。
【図5】本発明の導電性部材の摩擦係数測定器の別の一例である。
【図6】本発明の導電性部材を用いたタンデム方式のフルカラー電子写真装置の例を示す概略図である。
【図7】図6のタンデム方式のフルカラー電子写真装置の画像形成部の拡大図である。
【図8】本発明の導電性部材を用いた電子写真装置の別の一例を示す概略図である。
【図9】本発明の導電性部材を用いたベルト状の中間転写方式のフルカラー電子写真装置の一例を示す概略図である。
【図10】本発明の導電性部材を用いたドラム状の中間転写方式のカラー電子写真装置の一例を示す概略図である。
【図11】本発明の導電性部材を用いた電子写真装置の他の一例を示す概略図である。
【図12】
本発明の導電性部材を用いた電子写真装置の他の一例を示す概略図である。
【図13】
本発明の導電性部材を用いた電子写真装置の他の一例を示す概略図である。
【図14】
本発明の導電性部材を用いた電子写真装置の他の一例を示す概略図である。
【図15】
本発明の導電性部材を用いた電子写真装置の他の一例を示す概略図である。
【図16】
本発明の導電性部材を用いた電子写真装置の他の一例{導電性部材は感光体と
離れており、導電性部材は静止、回転(感光体回転方向に対し正又は逆)のいず
れでもよい例}を示す概略図である。
【図17】
本発明の導電性部材を用いた電子写真装置の他の一例を示す概略図である。
【図18】
本発明の導電性部材の硬度(Asker−C)測定器の一例である。
【符号の説明】
1 感光体
2 帯電部材
2a 導電性支持体
2b−1 導電性弾性層(スポンジ)
2b−2 導電性弾性層(ソリッド)
2b−3 導電性ブラシ
2c 被覆層(中間層)
2d 被覆層(表面層)
2y、2z 表面処理層(2y=2z、2y≠2zのいずれもでも可)
3 露光光
4 現像器
5 転写材
6 転写装置
7 定着装置
8 クリーニング装置
9 導電性部材異物除去部材
10 転写材ガイド
11 給紙ローラー
13 感光ドラムのクリーニング装置
15 定着器
20、60 ベルト状転写部材
26、27、28、29 バイアス電源
37、38 ローラー帯電器
39 クリーニングローラー
41 イエロー色現像装置
42 マゼンタ色現像装置
43 シアン色現像装置
44 ブラック色現像装置
61 テンションローラー
62 転写対向ローラー
63 二次転写ローラー
64 二次転写対向ローラー
600 金属ドラム
601 電源
602 電流計
W 荷重
N 有効長さ

Claims (1)

  1. 23℃/60%RHの環境下で、硬度(Asker−C)が30°以上90°以下であり、かつ静摩擦係数が1.0以下、動摩擦係数が0.5以下である導電性部材において、
    該導電性部材の電気抵抗値R(Ω)が、15℃/10%RHの環境下で、
    直流電圧10Vを印加した時に5×10Ω以下で、
    直流電圧500Vを印加した時に1×10Ω以上であり、
    かつ該導電性部材表面の算術平均粗さをRa(μm)、十点平均粗さをRz(μm)とした時に、Ra≧0.05μmかつRz≦10μm
    であることを特徴とする導電性部材。
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