JP3897726B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体及び帯電部材を用いた画像形成装置に関し、より詳しくは、高画質電子写真感光体及び接触または近接帯電手段を用いた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像形成装置としては、従来、感光体と、この感光体に接触または近接して配置される帯電部材を有し、この帯電部材に電圧を印加することによって感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した感光体を露光して感光体に静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像が形成された感光体にトナーを供給して静電潜像に応じたトナー像を感光体上に形成する現像手段と、感光体上のトナー像を転写材に転写する転写手段とを有する画像形成装置が知られている。
【0003】
また、前記感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段等の中より選ばれた少なくとも1つを一体に支持し、前記画像形成装置に着脱自在に設計されているプロセスカートリッジ方式は、画像形成装置のイージーメンテナンス化を達成し、現在有効に利用されている方式である。このプロセスカートリッジ方式は、各手段のみを着脱自在に構成して使用したもの、感光体と帯電手段を組み合わせたもの、または、感光体、帯電手段及び現像手段を組み合わせたもの、更には,感光体、帯電手段及び転写手段を組み合わせたもの等、用途に合わせて様々な組み合わせにより使用されている。この中でも、特にメンテナンスフリーとして好ましいのは、感光体、帯電手段、現像手段を一体に支持したプロセスカートリッジであるといえる。
【0004】
ところで、上記感光体としては、導電性支持体と、この導電性支持体上に形成されフタロシアニン化合物を含有する感光層とを有する回転自在な感光体が知られている。上記フタロシアニン化合物は、特に赤外領域に好感度を有し、この化合物を感光体の感光層に含有させることにより高画質化を達成することができる、優れた電荷発生材料である。また、前記感光層の上に電荷輸送層を設け、感光体の高寿命化等を達成している(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0005】
また、前記帯電部材としては、ローラ、ブレード、ブラシ、ベルト、フィルム、シート、チップ等の形状の帯電部材を挙げることができ、これらの帯電部材を感光体表面に対向(接触または近接)させ、直流電圧と交流電圧の重畳電圧を印加したり、あるいは、直流電圧のみを印加したりして使用されている。しかしながら、直流電圧と交流電圧を重畳させると、高圧の交流電源が必要となり、装置自体のコストアップを招くとともに、交流電流を多量に消費することにより、帯電部材及び感光体の耐久性が低下する。従って、装置コスト削減及び高耐久性を考慮すると直流電圧のみを印加する方式が好ましいと言える(例えば特許文献1及び2参照)。
【0006】
一方、最近のコンピューター及びその周辺機器の普及と高性能化に伴い、それらの出力装置としての画像形成装置にも年々高機能化が求められている。例えば、カラー化やグラフィック画像の増大の流れがあるが、この場合、より一層の高画質が求められるようになり、画像の忠実な再現性が重要となる。それに対応する手段の一つとして高解像度化の流れがある。すなわち原画像をいかに細かく認識し、再現するかということであり、600dpiから1200dpi、あるいはそれ以上への技術開発がその一例として挙げられる。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−312082号公報
【特許文献2】
特開2002−174920号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
画像形成装置の高機能化は様々な方向性を指向している。すなわち、現在の画像形成装置において、高画質/高耐久は必要条件であるが、すでに十分条件ではなく、高画質/高耐久を前提として更なる付加価値が求められているのが実情である。更なる付加価値の例として、環境対応及びメディア対応ということを特に挙げることができる。
【0009】
環境対応とは、第一に、必要なときに、必要なだけ、必要なところで、出力画像を得ることができる、ということである。このためには、出力装置はネットワークで結ばれていることが必要であり、さらには瞬時に画像出力が可能になることが重要である。そのためには、狭いスペースでも設置可能であることが望まれる。その要望に対応するには、コンパクトで小型の電子写真装置であることが好ましく、小型であれば電力消費の低減にも好ましい効果を及ぼす。これらを考えると、帯電部材に、直流電圧及び交流電圧を重畳させて使用するより、直流電圧のみを印加して帯電する方式が好ましいのは周知の事実である。
【0010】
そして、第二には、環境汚染がないということである。特に交流電圧を重畳させた場合には、多量のオゾンが発生し、感光体や帯電部材等の劣化を導くために非常に不都合である。
【0011】
続いて、メディア対応について説明する。メディア対応とは各種被転写材に対して良好な画質を提供することである。現在、オフィスはもちろんのこと個人レベルでもコンピューターからカラー画像やグラフィック画像を出力する機会が飛躍的に増大している。
【0012】
例えばオフィスでは従来の白黒あるいはモノカラープリントからフルカラープリントへの流れが急激に進みつつある。特にプレゼンテーションなどを行う場合には、視覚的にも印象的にもカラー画像が好ましい。この場合、被転写材として透過性PETフィルム(OHT)上に画像を形成することが多い。また、画像の入力装置の進化も急激で、例えばデジタルカメラで撮影した電子映像をコンピューターに取り込み、必要に応じて画像処理や編集を行ってプリンターで出力したり、写真を直接複写機でコピーしたりする機会も増えつつある。写真画像を出力する場合には被転写材としては特殊紙(例えば、表面処理した紙や高グロス紙等)を使用することが多い。OHTや特殊紙は普通の紙に比べ厚さが厚く材質的にも異なることがあり、これらの被転写材上に良好な画像を得るためには、通常の紙を用いる場合に比べプロセススピードを小さくして対応することがある。
【0013】
また、例えば個人レベルでも特殊紙を使用することがあるだけでなく、はがきのように厚くて小さいものを使用する頻度が高い。
【0014】
このように材質的にも厚さ、大きさの面でも、種々のメディア(被転写材)に対応するには、それに応じて適正となるように、1台の画像形成装置が数種のプロセススピードを有することが好ましい。この場合一般には通常速を標準として、その1/2速、1/3速、1/4速など複数のプロセススピードを有する。例えば、普通紙の場合は94mm/sec(標準速)で、OHTの場合は31mm/sec(1/3速)に切り替えて使用する、ということであるが、このくらい程度のプロセススピードの違いが画像均一性に及ぼす影響は大きいことが検討により明らかになった。
【0015】
このように、種々のメディア(被転写材)に対応するために、1台で数種のプロセススピードを有する画像形成装置に従来の帯電部材を用いた場合、以下のような問題が発生する。
【0016】
前述したように、装置コスト削減及び環境対応を考慮し、帯電部材に直流電圧のみを印加する画像形成装置を使用した場合、例えば94mm/sec(標準速)では良好な帯電均一性が得られる帯電部材であっても、例えば31mm/sec(1/3速)では微小で短い白や黒の横スジが発生することがある。この現象は特に低湿環境で発生しやすい。この白や黒の横スジは、感光体の構成により大きく変化することも分かっている。
【0017】
また、複数のプロセススピードを有する画像形成装置を用いた場合には感光体と帯電部材の静的/動的な接触状態、トルク、摺擦状態、電圧の印加状態等が不定期に変化するだけでなくそれらのかかり具合などの程度も異なるので、一定のプロセススピードのみを有する画像形成装置に比べ、種々のストレスがかかりやすい。その結果、帯電性へ及ぼす前記外部起因の影響が複雑になるとともに感光体及び帯電部材表面がより磨耗しやすくなる傾向がある。従って、感光体及び帯電部材の劣化は促進され、画像特性を維持することがより困難になってくる。特に、磨耗による感光体の電荷輸送層の削れは、帯電の均一性を損なわせることが分かっている。更には、出力画像の全体的な増加に伴ない、帯電部材への異物付着や部分的な異物付着ムラを抑制することが困難になってくる。この様な、耐久性に関する画像への影響は、特に、直流電圧のみを印加して感光体を帯電する画像形成装置において、更には、低温低湿環境において顕著である。
【0018】
また、高感度なフタロシアニン化合物を電荷発生層に用いた場合には、特許文献1及び2に示されるゴースト現象が現れやすくなる。この現象は、例えば反転現像方式の場合、文字や黒い図形などの潜像を形成した直後に、連続してハーフトーン画像を出力する場合に、このハーフトーン画像上に前記の文字や黒い図形などが微かに残像してしまう現象となって現れやすく、そのレベルは、プロセススピードや画像出力環境条件によりに大きく左右し、更には、耐久試験によってもそのレベルは変化することがわかっている。また、直流電圧のみを印加する画像形成装置において顕著に現れるのである。
【0019】
このような事情に鑑み、本発明の目的は、種々のメディア(被転写材)に対応するために、1台で数種のプロセススピードを有する画像形成装置においても、優れた電子写真特性としての高感度を維持しつつ、スジ、ポチ、ゴースト等の画像欠陥のない良好な画像を長期にわたって得ることのできるプロセスカートリッジ、画像形成装置及び帯電部材を提供することであり、更には、帯電部材に直流電圧のみを印加して感光体を帯電する画像形成装置にも好適に使用できるプロセスカートリッジ及び帯電部材を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、下記の様な構成を特徴とする。
【0025】
) 少なくとも、感光体と帯電部材とを有し、前記帯電部材に印加する電圧が直流電圧のみである画像形成装置であって
前記感光体が、導電性支持体と、この導電性支持体上に形成されフタロシアニン化合物を含有する電荷発生層と、前記電荷発生層上に形成され膜厚が20μm以下である電荷輸送層とを有し、
前記帯電部材が、導電性基体と、この導電性基体上に形成され少なくとも導電性を有する被覆層とにより構成される帯電部材であり、この帯電部材の算術平均粗さをRa(μm)、十点平均表面粗さをRzjis(μm)、表面凹凸平均間隔をRSm(μm)とすると、
0.3≦Ra≦5
2≦Rzjis≦50
20≦RSm≦200
である画像形成装置である。
【0027】
) 50mm/sec以下および60mm/sec以上の2種以上のプロセススピードを有する(1)に記載の画像形成装置である。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、帯電部材に直流電圧のみを印加する画像形成装置において本発明に用いる感光体及び帯電部材を使用した場合について詳細に説明する。プロセススピードと帯電の均一性とは密接な関係がある。すなわち、均一な感光体の帯電状態を得るには、感光体上の単位面積あたりの放電電荷量は一定である必要がある。このとき、プロセススピードが速ければ、単位時間あたりに感光体表面に供給する放電電荷量が多く、プロセススピードが遅ければ放電電荷量は少なくてよい。したがって、プロセススピードが決定されればそれに合わせて帯電部材等の設計をすればよいのであるが、プロセススピードが複数ある場合、あるプロセススピードに合わせて適正に設計した帯電部材等が、他のプロセススピードにおいては問題が発生することがある。例えば、90mm/secに適するように設計した帯電部材は、30mm/secでは電荷の供給が過剰になり感光体上に部分的な過帯電状態が生じ、白や黒の微小なスジなどの画像不良が発生することが多い。逆に、低速に適するように設計した帯電部材は高速では電荷の供給が不足気味になり感光体上に部分的な帯電不足状態が生じ、黒のポチ状の画像不良及び黒いスジ状の画像不良となることが多い。
【0034】
複数のプロセススピードが概ね10%[(高速−低速)/(低速)]の範囲であれば、1つの帯電部材で対応することは可能であるが、その範囲を越えると帯電条件や環境など特定の組み合わせにおいて問題が発生することが我々の検討で明らかになった。
【0035】
我々が鋭意検討を重ねた結果、上記の問題においては、まず、帯電部材の表面状態を制御することにより解決可能であることが明らかとなった。即ち、帯電部材の表面をある程度粗すことが必要だということである。
【0036】
帯電部材が平滑なローラ形状である場合、周方向においては、感光体と帯電部材とのギャップ距離は異なるので、放電電荷量が同程度である範囲は狭くなるが、長手方向においては、長手にわたって広い範囲で放電電荷量が同程度になる。放電不良部分が存在した場合、放電不良部分から過剰な電荷が流出したり、足りない電荷を補おうとして電荷が流入したりしてしまうといった放電不良部分の拡大が起こってしまう。この電荷の流入または流出は、放電電荷量が同程度の範囲で起こると考えられる。そのため、放電不良部分の拡大は、周方向ではあまり起こらず、長手方向において広範囲にわたって起こることとなり、長手方向にスジ状の画像不良が現れると考察できる。
【0037】
帯電部材表面を粗して凹凸を形成した場合には、放電電荷量が同程度となる範囲を凹凸によって規制することができる。そのため、もし、放電不良部分が存在しても、放電不良部分から過剰な電荷が流出したり、足りない電荷を補おうとして電荷が流入したりしてしまうといった現象を狭い範囲にすることができる。この様に、表面凹凸形成を制御することにより、放電不良部分の拡大を可視像として認識できない程度の範囲に抑えることができ、前記画像不良を抑制することが可能なのである。
【0038】
一方、帯電部材表面を粗すほど良いのかというとそうではない。表面の高低差が大きすぎると、放電電荷量の差が大きくなってしまい、この場合には、帯電部材表面形状に起因したポチ状等の画像不良が発生してしまうのである。また、帯電部材表面にトナーや紙粉等の異物が付着しやすくなり、画像不良の原因となるのである。
【0039】
帯電部材の表面形状の適正範囲は、前記構成(1)に示している。なお、帯電部材表面形状の測定法については、後に詳述する。
【0040】
本発明において、Raが0.3μm未満では、複数のプロセススピードに対応した帯電均一性を満足することが難しく、Raが5μmより大きいと、帯電部材表面に起因したポチ状の画像不良が発生し、更には、異物の付着による画像不良が発生しやすくなるため初期の帯電均一性を長期にわたって保持することが難しくなる。また、Rzjisが2μm未満では、複数のプロセススピードに対応した帯電均一性を満足することが難しく、Rzjisが50μmより大きいと、帯電部材表面に起因したポチ状の画像不良が発生し、更には、異物の付着による画像不良が発生しやすくなるため初期の帯電均一性を長期にわたって保持することが難しくなる。更に、RSmが200μmより大きいと、複数のプロセススピードに対応した帯電均一性を満足することが難しく、RSmが20μm未満においては、帯電部材表面に起因したポチ状の画像不良が発生し、更には、異物の付着による画像不良が発生しやすくなるため初期の帯電均一性を長期にわたって保持することが難しくなる。
【0041】
ところで、前述した様に、高画質を達成するために高感度なフタロシアニン化合物を電荷発生層に用いた場合には、高感度ゆえにゴースト現象が現れやすくなる。本現象は特にプロセススピードが速い場合に顕著に現れる。プロセススピードが速いと、帯電部材の帯電能力が追いつかず、帯電不足となり、ゴースト現象が現れやすいと考察できる。本ゴースト現象も、帯電部材の表面を前記構成(1)に示すように制御することにより、そのレベルを向上させることができる。これは、帯電部材表面に凸部を形成して優先的に放電を行う部分ができ、帯電能力が向上したためであると考えられる。
【0042】
また、我々が鋭意検討を重ねた結果、本ゴースト現象は、感光体の電荷輸送層の膜厚により影響を受けることも明らかとなった。帯電部材にある一定のバイアスを印加した場合、電荷輸送層の膜厚が厚い場合には、膜厚が薄い場合に比べ、帯電部材と感光体表面とのギャップにかかる電圧が相対的に小さくなる。これにより、感光体表面の表面電位も小さくなるのであるが、ギャップにかかる電圧が小さくなる分、帯電不足になりやすく、ゴースト現象が発生しやすくなるといえる。
【0043】
更には、前述した帯電均一性も、電荷輸送層膜厚が厚いほどレベルが悪くなる。前述したように、電荷輸送層膜厚が厚いと、帯電部材と感光体表面とのギャップにかかる電圧が小さくなり、放電不良部分が発生しやすいためである。
【0044】
本発明において、電荷輸送層膜厚は20μm以下である。より、好ましくは、9〜18μmである。電荷輸送層膜厚が20μmより大きいと、前述したように、帯電均一性及びゴースト現象を満足することができなくなってしまう。また、9μm未満であると、耐久試験により、電荷輸送層の削れよる表面電位変動が大きくなり、例えば同じ削れ量で考えた場合、電荷輸送層の薄い感光体は、電荷輸送層が9〜20μmの感光体に比べ、容量の変化が大きく、その分表面電位変動が大きくなってしまう。そのため、画像の濃度ムラが目立ちやすくなる等、初期画像を保持することが難しくなってしまうことがある。
【0045】
ところで、本発明におけるフタロシアニン化合物は、例えば、銅フタロシアニン、オキシチタニウムフタロシアニン、シリコンフタロシアニン及びガリウムフタロシアニン等に代表されるフタロシアニン化合物が挙げられる。より好ましくは、オキシチタニウムフタロシアニン、ガリウムフタロシアニン及びシリコンフタロシアニンのいずれかより選ばれる化合物であることが好ましい。これらの化合物により、前述した高画質を達成することができるためである。
【0046】
また、本発明における電荷輸送層は、例えば、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、及び不飽和樹脂等から選ばれる樹脂が好ましい樹脂として挙げられる。より好ましい樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリカーボネート樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアリレート樹脂などが挙げられる。この中でも、ポリアリレート及びポリカーボネートのいずれかより選ばれる化合物であることが特に好ましい。上記の物質を使用することにより、電荷輸送層の強度が向上し、耐久試験による電荷輸送層の削れを小さくすることができる。これにより、電荷輸送層の膜厚を20μm以下、更には9〜18μmという薄膜にすることができるのである。
【0047】
本発明における帯電部材の構成としては、従来既知の構成を使用することができ、例えば、金属等の導電性基体上にエラストマー、樹脂等を一層以上被覆する構成を汎用的に使用する。
【0048】
本発明における帯電部材被覆層は、感光体等の他の部材と接触する可能性があるため、他の部材を汚染してしまう材料では好ましくなく、表面離型性のよいものが好ましいといえる。従って、被覆層材料としては、高分子化合物を、特には、樹脂を用いるのが好ましいといえる。被覆層材料の詳細については、後に詳述する。
【0049】
続いて、本発明の帯電部材の表面性を達成するための手段について、詳細に説明する。帯電部材表面の制御方法としては、例えば、適切な微粒子を被覆層に含有させる方法を挙げることができるし、その他、天然繊維や化学繊維及びガラス繊維等を被覆層中に含有させる方法も挙げることができる。特に、本発明の様な、微細な表面制御をする場合には、繊維等ではなく、微粒子を使用することが好ましいといえる。
【0050】
微粒子としては、導電性を有する導電性微粒子であってもよいし、他の絶縁性の微粒子であってもよいが、前述したように、被覆層には樹脂を使用するのが好ましいため、表面制御のために添加する微粉体としては、高分子化合物が好ましく、特には、樹脂材料からなる微粉体を含有することが好ましい。被覆層の微粒子の存在状態により表面制御を行うため、被覆層と同じ様な構造をもつ樹脂を用いることが特に好ましいといえる。これにより、微粒子の存在制御、即ち、樹脂に対する微粒子の分散性等の制御が容易になるのである。
【0051】
ところで、本発明で使用する微粒子については、1×1010Ω・cm未満以下の体積抵抗率を有する微粒子を導電性微粒子、1×1010Ω・cmより大きい以上の体積抵抗率を有する微粒子を絶縁性微粒子と定義することにする。
【0052】
導電性微粒子としては、金属酸化物系導電性微粒子、金属系導電性微粒子、カーボンブラック、カーボン系導電性微粒子等を挙げることができ、一種類又は、二種以上組み合わせて用いることができる。
【0053】
金属酸化物系導電性微粒子としては、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、酸化チタン(二酸化チタン、一酸化チタン等)、酸化鉄等、が挙げられる。前記金属酸化物系微粒子はそれのみで十分な導電性を示すものもあるがそうでないものも存在する。微粒子の導電性を十分なものとするため、即ち、微粒子の体積抵抗率を1×1010Ω・cm未満にするため、これらの微粒子に、ドーパントを添加しても良い。一般的に金属酸化物微粒子は格子欠陥の存在により余剰電子が生成し、導電性を示すと考えられ、ドーパント添加によって格子欠陥の形成が促進され、十分な導電性を得ることができるのである。例えば、酸化亜鉛のドーパントとしてはアルミニウム、酸化錫のドーパントとしてはアンチモン、酸化インジウムのドーパントとしては錫などが使用される。また、酸化チタンの導電性を得る場合は、酸化チタンに導電性酸化錫を被覆したものなども挙げることができる。
【0054】
金属系導電性微粒子としては、銀、銅、ニッケル、亜鉛等の微粒子が挙げられる。
【0055】
カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
【0056】
カーボン系導電性微粒子としては、グラファイト、カーボンファイバー、活性炭、木炭等を挙げることができる。
【0057】
導電性微粒子としては、この中でも、特に、金属酸化物系導電性微粒子またはカーボンブラックを用いることが好ましい。これらの微粒子は、樹脂などの結着材料に対する分散性が良く、分散による平均粒径の制御がしやすいといった特長があるからである。
【0058】
絶縁性微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン(二酸化チタン、一酸化チタン等)、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、三酸化アンチモン等の金属酸化物系絶縁性微粒子、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、二硫化モリブデン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、タルク、カオリンクレー、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ゼオライト、ウオラストナイト、けいそう土、ガラスビーズ、ベントナイト、モンモリナイト、アスベスト、中空ガラス球、黒鉛、もみ殻、有機金属化合物、有機金属塩等の微粒子を挙げることができる。また、公知の樹脂、例えば、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、および、これらの共重合体、変性物、誘導体などの微粒子も使用することができる。
【0059】
これらの微粒子は1種でも2種以上併用してもよく、各種の表面処理、変性、官能基や分子鎖の導入、コート等を施したものでもよい。表面処理としては、カップリング処理及び脂肪酸処理が挙げられる。カップリング処理としては、シランカップリング剤及びチタネート系カップリング剤等を用いたもの、脂肪酸処理としては、ステアリン酸等の酸を用いたものが代表的である。
【0060】
また、表面制御の別の方法として、表面を機械的に研磨する方法も挙げることができる。粗面化方法としては、研磨粒子や、研磨粒子をテープ及び紙等に接着させそれを押し当てて研磨する等の公知の研磨方法を使用することができる。また、研磨粒子を表面にぶつけるサンドブラスト法なども用いることができる。
【0061】
更には、上記の方法を組み合わせ、被覆層に微粒子や繊維等を含有させた後、前記方法で研磨することが可能であり、緻密な表面制御が可能となるのである。
【0062】
本発明の帯電部材は、被覆層が少なくとも2つの層で構成されていることが好ましい。特に、導電性及び弾性を有する被覆層に相当する弾性層上に前述した被覆層をもうけることが好ましい。これは、被帯電体としての感光体に対する給電や、帯電部材の感光体に対する良好な均一密着性を確保するためである。また、本発明では、最表面の被覆層を特に表面層と記載することにする。
【0063】
(1)画像形成装置及びプロセスカートリッジ
まず、本発明の一実施の形態にかかる画像形成装置及びプロセスカートリッジの概略構成について説明する。
【0064】
図1は、本実施の形態の画像形成装置の一実施の形態を示す概略構成図である。
【0065】
本実施の形態の画像形成装置は、転写式電子写真利用の反転現像方式の装置である。
【0066】
1は像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体(感光体)である。この感光体1は、図中の矢印が示す時計回りに所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動する。プロセススピードは可変である。
【0067】
感光体1には、例えばロール状の導電性支持体と該支持体上に電荷発生層及び電荷輸送層を有するような、前述した感光体を採用することができる。また、感光体1は、感光体表面を所定の極性、電位に帯電させるための電荷注入層を更に有していてもよい。感光体については、後に詳述する。
【0068】
2は帯電部材である(ローラ形状のものを特に「帯電ローラ」という)。帯電ローラ2と帯電ローラ2に帯電バイアスを印加する帯電バイアス印加電源S1とによって帯電手段が構成されている。帯電ローラ2は、感光体1に所定の押圧力で接触させてあり、本例では感光体1の回転に対して順方向に回転駆動する。この帯電ローラ2に対して帯電バイアス印加電源S1から、所定の直流電圧(例えば−1000V)が印加されることで、感光体1の表面が所定の極性電位(例えば暗部電位−400V)に一様に接触帯電方式のうちのDC帯電方式で帯電処理される。帯電部材については、後に詳述する。
【0069】
3は露光手段(像露光手段)である。この露光手段3には公知の手段を利用することができ、例えばレーザービームスキャナー等を好適に例示することができる。感光体1の帯電処理面に該露光手段3により目的の画像情報に対応した像露光がなされることにより、感光体帯電面の露光明部の電位(本例では明部電位−150Vとする)が選択的に低下(減衰)して感光体1に静電潜像が形成される。
【0070】
4は現像手段である。現像手段4としては公知の手段を利用することができ、例えば本例における現像手段4は、トナーを収容する現像容器の開口部に配設されてトナーを担持搬送するトナー担持体4aと、収容されているトナーを撹拌する撹拌部材4bと、トナー担持体4aのトナーの担持量(トナー層厚)を規制するトナー規制部材4cとを有する構成とされている。現像手段4は、感光体1表面の静電潜像の露光明部に、感光体1の帯電極性と同極性に帯電(本例では現像バイアス−350Vとする)しているトナー(ネガトナー)を選択的に付着させて静電潜像をトナー像として可視化する。現像方式としては特に制限はなく、既存の方法のすべてを用いることができる。既存の方法としては、例えば、ジャンピング現像方式、接触現像方式及び磁気ブラシ方式等が存在するが、特にカラー画像を出力する画像形成装置には、トナーの飛散性改善等の目的より、接触現像方式が好ましいといえる。接触現像方式に用いられるトナー担持体4aとしては、接触安定性の確保という面から、ゴム等の弾性を有する化合物を用いることが望ましい。例えば、金属等の導電性支持体上に導電性を付与した弾性層を設ける現像ローラを例示することができる。上記の弾性層は、弾性材料を発泡成形した発泡体を弾性材料として用いてもよい。また、更にこの上に層を設けたり、表面処理を施したりしてもよい。表面処理としては、UV及び電子線を用いる表面加工処理、化合物等を表面に付着及び含浸させる表面改質処理等の方法を挙げることができる。
【0071】
5は転写手段としての転写ローラである。転写ローラ5は公知の手段を利用することができ、例えば金属等の導電性支持体上に中抵抗に調製された弾性樹脂層を被覆してなる転写ローラ等を例示することができる。転写ローラ5は、転写ニップ部が形成されるように、感光体1に所定の押圧力で接触されており、感光体1の回転と順方向に感光体1の回転周速度とほぼ同じ周速度で回転する。また、転写バイアス印加電源S2からトナーの帯電特性とは逆極性の転写電圧が印加される。転写ニップ部に対して不図示の給紙機構部から転写材Pが所定のタイミングで給紙され、その転写材Pの裏面が転写電圧を印加した転写ローラ5により、トナーの帯電極性とは逆極性に帯電されることにより、転写ニップ部において感光体1面側のトナー画像が転写材Pの表面側に静電転写される。
【0072】
転写ニップ部でトナー画像の転写を受けた転写材Pは感光体面から分離して、不図示のトナー画像定着手段へ導入されて、トナー画像の定着を受けて画像形成物として出力される。両面画像形成モードや多重画像形成モードの場合は、この画像形成物が不図示の再循環搬送機機構に導入されて転写ニップ部へ再導入される。
【0073】
転写残余トナー等の感光体1上の残留物は、ブレード型等のクリーニング手段(不図示)により、感光体上より回収される。この後、再び帯電ローラ2による帯電を受け、繰り返し画像形成を行うのである。
【0074】
なお、本例の画像形成装置は、一以上の手段等を、例えば樹脂成形体等の支持部材によって支持し、この構成のまま画像形成装置本体に着脱自在に構成されたプロセスカートリッジを有する装置であることが好ましい。プロセスカートリッジとしては、それぞれの部材のみを着脱自在に構成してもよいし、例えば感光体1と帯電部材2、感光体1と帯電部材2と現像手段4、感光体1と帯電部材2と転写手段5等、様々な組み合わせが考えられるが、前述した手段等や組み合わせに限定されず、手段や部材の寿命、またはトナーの消費の程度などを考慮して選択することが好ましい。この中でも、特にメンテナンスフリーとして好ましいのは、感光体1、帯電部材2、現像手段4を一体に支持したプロセスカートリッジであるといえる。
【0075】
(2)帯電部材
続いて、本発明に用いる帯電部材について、更に、詳細に説明する
本実施の形態の帯電部材に関しての例を図2から図9に示す。
【0076】
例えば帯電部材は図2示すようにローラ形状であり、導電性基体2aと、その外周一帯に形成された弾性層2bと、更にその外周に形成された表面層2dから構成されている。
【0077】
本実施の形態における帯電部材の他の構成を図3から図5に示す。図3に示すように、帯電部材は弾性層2bと表面層2dとの間に抵抗層2cを設けた三層構造であってもよいし、図4に示すように抵抗層2cと表面層2dの間に第2の抵抗層2eを設けた四層構造であってもよいし、更に抵抗層を設けて、導電性基体2aの上に四層以上を形成した構造であってもよい。また、図5に示すように表面層2dのみを導電性基体2a上に設けた一層構造であってもよい。
【0078】
更には、本発明の帯電部材はローラ形状に限られることはなく、図6から図9に代表される様に、シート、ベルト、フィルム及び板状等の様々な形状をとることが可能であり、それぞれに対して、前述した層構成をとることが可能である。
【0079】
本実施の形態において用いられる表面層2dを構成する材料としては、樹脂及びエラストマーならばどのようなものを用いてもよい。樹脂としては、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂、スチレン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体(SEBC)、オレフィン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体(CEBC)等が挙げられる。また、エラストマーとしては、合成ゴム及び熱可塑性エラストマーが挙げられ、例えば、合成ゴムとしては、天然ゴム(加硫処理等)、EPDM、SBR、シリコーンゴム、ウレタンゴム、IR、BR、NBR、CR等が挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー及び塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。これらの材料は、単独または二種類以上を混合してもよく、共重合体であってもよい。
【0080】
表面層2dは、帯電部材の最表面を構成し、被帯電体である感光体と接触するため、感光体を汚染してしまう材料では好ましくない。また、表面離型性のよいものが好ましいといえる。従って、表面層材料としては、樹脂を用いるのが好ましいといえる。
【0081】
表面層2dには、各種導電性微粒子を添加し、体積抵抗率を所望の値に調整することが好ましい。導電性微粒子としては、前述した導電性微粒子を挙げることできる。これらの導電性微粒子は表面(疎水化)処理を施してもよく、また、所望の体積抵抗率を得るためにはこれらの各種導電剤を二種以上併用してもよい。表面処理については、前述した通りである。
【0082】
また、表面層2dには、導電性あるいは表面性の制御及び補強性の向上を目的として、各種微粒子が含有されてもよい。微粒子としては特に制限はなく、前述した微粒子を用いることができる。これらの微粒子は1種でも2種以上併用してもよく、各種の表面処理、変性、官能基や分子鎖の導入、コート等を施したものでもよい。
【0083】
更に、表面層は離型性物質を含有してもよい。離型性物質を含有すれば表面層の摩擦係数を小さくすることが可能になるので、帯電部材表面の汚れ付着を低減でき耐久性が向上するとともに、感光体と帯電部材間での相対移動が滑らかになるのでスティックスリップのような不規則な移動状態の出現をへらし、その結果変音の発生や帯電部材表面の不規則な磨耗等の回転ムラに起因するであろうと思われる種々の現象を改善することができる。さらには離型性物質が液体の場合には帯電部材表面層を形成するときに平滑剤(レベリング剤)としても作用するため、表面層をなめらか形成することが可能になる。離型性物質には種々のものがあり分類の仕方もいろいろあるが、機能面から考えると、低表面エネルギーを利用するものと摺動性を利用するものが多い。また、その性状も液体であったり、固体であったりする。例えば固体で摺動性をもつものは一般に固体潤滑剤として知られており、非特許文献5に記載の物質を使用することができる。
【0084】
【非特許文献5】
固体潤滑ハンドブック(発行所;株式会社幸書房、昭和57年3月15日発行の二版)
また、珪素やフッ素を分子内に含む化合物がオイル状、あるいは固体状(離型性樹脂あるいは粉末、ポリマーの一部に離形成を有する部位を導入したもの)で使用される。さらには、ワックスや高級脂肪酸(その塩やエステル、その他誘導体を含む)も挙げることができる。
【0085】
本実施の形態において用いられる弾性層2bは、被帯電体としての感光体1に対する給電や、帯電部材の感光体に対する良好な均一密着性を確保するために、適当な導電性と弾性とを有するものである。
【0086】
また、ローラ形状である帯電ローラ2は、帯電ローラ2と感光体1の均一密着性を確保するために、弾性層2bの研磨によって中央部を一番太く、両端部にいくほど細くなる形状、いわゆるクラウン形状に形成することが好ましい。一般に使用されている帯電ローラは、導電性支持体2aの両端部に所定の押圧力が与えられて感光体1と当接するので、中央部の押圧力が小さく、両端部ほど大きくなっているために、帯電ローラの真直度が十分であれば問題ないが、十分でない場合には中央部と両端部に対応する画像に濃度ムラが生じてしまう場合がある。上記クラウン形状はこれを防止するために形成される。
【0087】
本実施の形態において用いられる弾性層2bの材料としては、合成ゴム及び熱可塑性エラストマーのようなエラストマーならばどのようなものを用いてもよい。エラストマーについては、表面層に記載したものと同様のエラストマーを用いることができる。
【0088】
また、これらの弾性材料を発泡成形した発泡体を弾性材料として用いてもよい。好ましくは、帯電部材と感光体とのニップを確保するため、弾性層材料には、合成ゴム材料を用いるのがよいといえる。
【0089】
弾性層2bの導電性は、上記の弾性材料中にカーボンブラック、導電性金属酸化物、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩等の導電剤を適宜添加することにより、108Ω・cm未満に調整されることが好ましい。弾性層2bの導電性が108Ω・cm以上であると、帯電部材の帯電能力が低くなり、被帯電体を均一に帯電する、帯電均一性を満足することができなくなってしまう。この場合には、帯電部材周期長手ムラとなって画像不良が発生してしまうことが多い。また、弾性層2bの弾性や硬度は、軟化油、可塑剤等の添加及び上記弾性材料を発砲させることにより調整される。
【0090】
弾性層表面状態の制御方法としては、前述した機械的研磨を用いることが好ましい。より好ましくは、砥石により研磨する方法が好ましいといえる。一般的に、ローラ形状の弾性体を研磨する方法は、トラバース方式という研磨方法がとられている。この方式は短い砥石をローラに準じて移動させることにより、ローラを研磨するものである。それに対して、幅広研磨方式という研磨方法も存在する。この方式は、文字通り幅の広い砥石、即ち、ローラ長さと同程度の幅の砥石を用い、それを一度押し当てることにより、僅かな時間でローラ研磨ができるという方式である。
【0091】
一度に研磨可能であるので、砥石の形状を制御すれば、容易に、所望の表面粗さの弾性層を作成することができる。作業の効率化等を考慮すると、幅広研磨方式がより好ましいといえる。
【0092】
本実施の形態の帯電部材には、弾性層中に含有される軟化油や可塑剤等の帯電部材表面へのブリードアウトを防止する目的で、弾性層2bに接した位置に抵抗層2cを設けることができる。上記抵抗層2cを構成する材料は、弾性層2bに用いられる材料と同様のものを用いることができる。また、上記抵抗層2cは、導電性または半導電性を有していることが好ましい。導電性材料は表面層2d用に挙げられた各種導電剤を用いることができる。この場合、所望の体積抵抗率を得るためには、前記各種導電剤を二種以上併用してもよい。
【0093】
本実施の形態において用いられる導電性基体2aは、鉄、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケルなどの金属材料を用いることができる。更に、これらの金属表面に耐傷性付与を目的としてメッキ処理を施しても構わないが、導電性を損なわないことが必要である。
【0094】
表面層2dの体積抵抗率は、弾性層の体積抵抗率より大きく、1016Ω・cm以下に調整されることが好ましい。表面層2dの体積抵抗率が弾性層のものよりも小さいと被帯電体表面のピンホール及び傷等によるリークを防止することができなくなり、1016Ω・cmよりも大きいと帯電ローラの帯電能力が低くなり、帯電均一性を満足することができなくなってしまう。
【0095】
抵抗層2cの体積抵抗率は、表面層2dの体積抵抗率以下、弾性層2bの体積抵抗率以上に調整されることが好ましい。本範囲を外れると、帯電均一性を満足することができなくなってしまうことがある。
【0096】
なお、前記弾性層2b、表面層2d及び抵抗層2cには、前述した各種材料の他にも他の機能を有する材料を適宜用いることができる。このような他の材料としては、例えば弾性層2bでは、2−メルカプトベンズイミダゾール等の老化防止剤、ステアリン酸及びステアリン酸亜鉛に代表される滑剤等を例示することができる。
【0097】
また、前記弾性層、表面層及び抵抗層には、表面処理を施してもよい。表面処理としては、UV及び電子線を用いた表面加工処理、化合物等を表面に付着及び含浸させる表面改質処理等の方法を挙げることができる。
【0098】
また、前記弾性層2b、表面層2d及び抵抗層2cの導電性(体積抵抗率)の測定は、例えば抵抗測定装置(三菱化学(株)製絶縁抵抗計Hiresta−UP)を用いて行う。より詳しくは、前記弾性層2bにおいては、弾性層材料自体を2mm厚に膜成形し、温度23℃、湿度50%の環境で250Vの電圧を30秒間印加して導電性の測定を行う。表面層2d及び抵抗層2cにおいては、各々の層を形成したものと同一の結着樹脂を塗料化し、そのクリア塗料をアルミシート上にコーティングし、上記の条件でそれぞれの層の導電性を測定する。
【0099】
また、前記弾性層2b、表面層2d及び抵抗層2cの作製は、各層を好適な層厚に形成するのに適当な方法であれば特に限定されず、樹脂化合物の層形成において公知の方法を用いて作製することができる。これらの層の作製は、例えば、予め所定厚に形成されたシート状またはチューブ状の層を接着または被覆することによって行ってもよいし、静電スプレーやディッピング塗工等、従来知られている工法によって、またはそれに準じて行ってもよい。また、押出し成形によって大まかに層形成した後に研磨等によって形状を整える方法であってもよいし、型内で所定の形状に材料を硬化、成形する方法であってもよい。
【0100】
静電スプレーやディッピング塗工法を用いる場合には、各種溶剤を使用することが多い。用いる溶剤としては、特に制限はないが、用いる高分子化合物が溶解しやすい溶剤を用いることが必要である。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、クロロホルム、塩化エチレン、ジクロルエチレン、四塩化炭素、トリクロロエチレン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素あるいはベンゼン、トルエン、キシレン、リグロイン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族化合物が用いられる。
【0101】
また、前記弾性層2b、表面層2d及び抵抗層2cの層厚は、それぞれの層の機能の発現を損なわない範囲であれば特に限定されないが、弾性層であれば0.3mm以上であることが好ましい。弾性層の層厚が0.3mmより小さくなると、弾性層に適度な弾性を保持させることができず、被帯電体との当接が適正でなくなるため、帯電均一性を満足することができなくなってしまう。
【0102】
また、表面層及び抵抗層であればその層厚は1μm〜1000μmであることが好ましい。表面層の層厚が上記範囲よりも小さすぎると層厚のムラが発生しやすくなるとともに弾性層の凹凸がそのまま帯電部材表面にあらわれてしまう。これにより帯電均一性を満足することができなくなるとともに、帯電部材表面が荒れているために、トナー粒子及び外添剤がローラ表面に付着しやすくなるという不都合が生じる。また、上記範囲よりも厚すぎると弾性層に保持させた適度な弾性が失われ、被帯電体との当接が適正でなくなるため、帯電均一性を満足させることができなくなってしまうという不都合が生じる。
【0103】
なお、本発明のにおける算術平均粗さRa、十点平均表面粗さRzjis、表面凹凸平均間隔RSmは、JISB0601(2001)に基づき、サーフコーダーSE−3400(小坂研究所製)にて、カットオフを0.8mm、測定長さを8mmとして測定を行う。より詳しくは、本測定器により、本帯電部材の任意の6点を測定し、その6点の平均値をもって、各測定値とした。
【0104】
また、前記弾性層2b、表面層2d及び抵抗層2cの層厚は、層断面を光学顕微鏡または電子顕微鏡により観察し、その層厚を実測することにより求める。具体的には、ローラをカッターナイフ等により切断し、その切断部分を光学あるいは電子顕微鏡により観察し、それぞれの層厚を測定する。
【0105】
本発明に用いる微粒子の粒子径の測定は、島津製作所製レーザ回折式粒度分布測定装置SALD−7000を用いて行う。まず、蒸留水に少量の界面活性剤0.2wt%を添加した溶液を用意する。界面活性剤は特に限定するものでなく、市販のものならどのようなものでも用いることができる。この溶液を硝子瓶に入れて、少量の微粒子を投入し、5分程度超音波をかけて分散させる。この溶液を測定セルに投入し、測定を行う。これにより、微粒子の粒度分布を測定することができる。測定可能な粒子径の範囲は0.015〜500μmである。また、本発明における微粒子の平均粒子径は、前記装置によって測定した体積平均粒子径をもって、本発明の平均粒子径とする。
【0106】
更に、本発明にもちいる微粒子の体積抵抗率は、Loresta−GPまたはHiresta−UP にMCP−PD41(すべて三菱化学(株)社製)を接続して測定した値をもって微粒子の体積抵抗率とした。サンプル量は微粒子の密度等によって適宜調節するのが好ましい。例えば、酸化錫においては1.5g、カーボンブラックにおいては0.5gとし、印加圧力は一定の10.1MPa(102kgf/cm2)とした。印加電圧は、Loresta−GPにより測定する際には10vに固定し、Hiresta−UPにより測定する際には、印加電圧により測定する抵抗領域が異なるため、測定する抵抗値にあわせて適時印加電圧を変化させた。
【0107】
(3)感光体
本発明に用いられる感光体の具体的構成としては、図10に示されるように、導電性支持体1aと、この導電性支持体1a上に形成される感光層1bとを有する。感光層1bには、図示するように電荷発生層11bと電荷輸送層12bとを積層した構成を好ましくは用いることができる。
【0108】
また上記感光体は、上記以外の層を有していてもよく、図11に示されるように導電性支持体1aと、この導電性支持体1a上に形成される下引き層1cと、この下引き層1c上に形成される感光層1bとを有する構成を用いることができる。
【0109】
導電性支持体1aとしては、回転自在に設けられる円筒状の導電体が一般的に用いられる。このような導電性支持体1aとしては、例えば、アルミニウム、ステンレススチールなどの金属、紙、プラスチックなどの円筒状シリンダー、シート又はフィルムなどが挙げられる。また、これらの円筒状シリンダー、シート又はフィルム等の導電性支持体1aには、必要に応じて導電性ポリマー層あるいは酸化スズ、酸化チタン、銀粒子などの導電性粒子を含有する樹脂層を有していてもよい。また、前記導電性支持体は、ホーニング加工、センターレス研削もしくは切削などの粗面化処理を施してもよい。上記粗面化処理のうちいずれを用いてもよく、2種以上の粗面化処理を組み合わせることも可能であるが、生産性などからホーニング処理が有利である。
【0110】
ホーニング処理としては、乾式および湿式での処理方法があるが、いずれを用いてもよい。湿式ホーニング処理は、水などの液体に粉末状の研磨材を懸濁させ、高速度で支持体表面に吹き付けて粗面化する方法であり、表面粗さは吹き付け圧力、速度、研磨材の量、種類、形状、大きさ、硬度、比重および懸濁温度などにより制御することができる。同様に、乾式ホーニング処理は、研磨材をエアーにより、高速度で支持体表面に吹き付けて粗面化する方法であり、湿式ホーニング処理と同じように表面粗さを制御することができる。これら湿式または乾式ホーニング処理に用いる研磨材としては、炭化ケイ素、アルミナ、鉄およびガラスビーズなどの微粒子が挙げられる。
【0111】
センターレス研削とは、支持体の表面を砥石で研削する機械を用いた粗面化方法である。このセンターレス研削盤は、表面を研削する砥石とこの砥石と略平行に離間して設けられて該支持体を前進させる調整車とを備えており、これらに挟まれた該支持体は調整車のわずかな傾きによって前へ進力を与えられ、供給側から排出側へ進行しつつ砥石により研削されるようになっている。砥石は、該支持体の進行方向に対してわずかな角度だけ排出側が狭くなるように傾いており、これによって該支持体の表面が研削される。
【0112】
切削とは、切削液を供給しながら、支持体表面をダイヤモンドなどからなるバイトにより切削加工する方法である。切削に用いられる旋盤は被切削材である支持体に回転を与えるための主軸台と、これに相対して支持体の他端を支えるための心押台があり、さらに、バイトを取付けて送りを与えるための往復台(刃物台)が載っている。こうした旋盤でバイトを使用し、支持体を切削する時のバイト各部の角度、切削速度、送りなどの作業条件は、切りくず生成機構、切削抵抗、切削温度、バイト寿命、切削仕上面粗さなどに影響を及ぼす。
【0113】
下引き層1cは、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体上の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護などを目的として形成してもよい。下引き層は、後述する感光層等と同様に形成することができ、公知の材料を用いることができる。下引き層の膜厚は0.2〜2μm程度が好ましい。
【0114】
電荷発生層1bは光導電性を有する層であり、前述したように、電荷発生材料としては、フタロシアニン化合物を使用することが好ましい。より、好ましくは、オキシチタニウムフタロシアニン、ガリウムフタロシアニン及びシリコンフタロシアニンのいずれかより選ばれる化合物であることが好ましい。
【0115】
感光層を形成するに当たっては、溶液又は分散液状態の層形成材料を導電性支持体や下引き層等の上に塗布し、塗布膜を乾燥等によって硬化させる方法が好ましくは用いられる。感光層の塗布方法としてはディッピング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法等の公知の方法が挙げられる。
【0116】
電荷発生層11bは、感光して電荷を発生する層であり、一般に電荷発生材料を結着樹脂に分散させた構成の層が用いられる。
【0117】
また電荷発生層11bで用いられる上記結着樹脂としては、電荷発生層11bの層形成方法や、結着樹脂の有する物性等によって異なるが、層形成に通常用いられるディッピング方法の公知の結着樹脂を好ましく用いることができる。このような結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール、ポリアリレート(ビスフェノールと芳香族ジカルボン酸の重縮合体)、ポリカーボネート、ポリエステル、フェノキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等を挙げることができる。
【0118】
電荷発生層11bは一般に、前記の電荷発生物質を0.2〜4倍量の結着樹脂、及び溶剤と共に、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、高圧衝突分散機などの方法でよく分散し、塗布、乾燥されて形成される。その厚みは5μm以下、特には0.01〜1μmの範囲が好ましい。電荷発生層の膜厚が薄すぎると十分な感度を得ることが不可能になる傾向にあり、電荷発生層の膜厚があつすぎるとゴースト画像レベルが悪化する傾向にある。
【0119】
上記電荷発生層を形成する際に用いられる溶剤は、樹脂の種類によって異なり、また、電荷輸送層や下引き層を溶解しない種類のものから選択することが望ましい。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、クロロホルム、塩化エチレン、ジクロルエチレン、四塩化炭素、トリクロロエチレン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素あるいはベンゼン、トルエン、キシレン、リグロイン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族化合物が用いられる。
【0120】
電荷輸送層12bは、電荷発生層11bで発生した電荷を輸送する層であり、一般に電荷輸送材料を結着樹脂に分散させた構成の層が用いられる。電荷輸送層12bには通常知られている種々の電荷輸送材料を用いることができ、このような電荷輸送材料としては、例えば、ヒドラゾン系化合物、ピラゾリン系化合物、スチリル系化合物、オキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、トリアリールメタン系化合物、ポリアリールアルカン系化合物などが挙げられる。
【0121】
また電荷輸送層12bで用いられる上記結着樹脂としては、電荷発生層11bと同様に層形成方法や結着樹脂の物性等によって異なるが、前述した樹脂を用いることができる。 この中でも、ポリアリレート及びポリカーボネートのいずれかより選ばれる化合物であることが、特に好ましい。
【0122】
電荷輸送層12bは一般的には前記の電荷輸送材料と結着樹脂を溶剤に溶解し、塗布して形成する。電荷輸送材料と結着樹脂との混合割合は一般に2:1〜1:2程度である。溶剤としては、前記電荷発生層11bと同様の溶剤を用いることができる。アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、トルエン、キシレンなどの芳香属炭化水素類、クロルベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素などの塩素系炭化水素類などが用いられる。
【0123】
本発明に用いられる感光体には、前記感光層の機能を妨げない範囲で、前述した各層の他にも、例えば感光層上に形成され感光層を保護するための保護層等、さらに機能の異なる層を形成してもよい。また、電荷発生層や電荷輸送層等の各層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、潤滑剤など種々の添加剤を含有させることができる。
【0124】
また本発明に用いられる感光体は、露光手段の像露光、例えばレーザー光の干渉により発生する干渉縞を防止することを目的として、表面を粗面化してもよい。感光体の表面を粗面にする方法としては、研磨微粒子や、研磨微粒子をテープ及び紙等に接着させそれを押し当てることに研磨する等の公知の研磨方法を使用することができる。また、研磨微粒子を表面にぶつけるサンドブラスト法なども用いることができ、更には、感光体の表面層中に金属酸化物や樹脂粉体などの電気的に不活性な微粒子を分散する方法などを用いることができる。前記微粒子は、前述した帯電部材に記載の微粒子と同様のものを使用することができる。
【0125】
【実施例】
本発明について、実施例により、更に具体的に説明するが、本発明の要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0126】
<製造例1:帯電部材>
下記の要領で本実施の形態の導電性部材に用いる弾性層を作製した。
エピクロルヒドリンゴム三元共重合体 100質量部
(エピクロルヒドリン:エチレンオキサイド:アリルグリシジルエーテル=40mol%:56mol%:4mol%)
軽質炭酸カルシウム 30質量部
脂肪族ポリエステル系可塑剤 5質量部
ステアリン酸亜鉛 1質量部
老化防止剤MB(2−メルカプトベンズイミダゾール) 0.5質量部
酸化亜鉛 5質量部
四級アンモニウム塩(構造式1) 2質量部
カーボンブラック(表面未処理品)
(平均粒径:0.2μm、体積抵抗率:0.1Ω・cm) 5質量部
【0127】
【化1】
Figure 0003897726
以上の材料を50℃に調節した密閉型ミキサーにて10分間混練し、原料コンパウンドを調製した。このコンパウンドに原料のゴムとしてのエピクロルヒドリンゴム100質量部に対し、加硫剤としての硫黄1質量部、加硫促進剤としてのDM(ジベンゾチアジルスルフィド)1質量部及びTS(テトラメチルチウラムモノスルフィド)0.5質量部を加え、20℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練した。得られたコンパウンドを、φ6mmステンレススチール製の芯金に外径φ12mmのローラ状になるように押出し成型機にて成型し、加熱蒸気加硫した後、外径がφ8mmになるように研磨加工を行い、弾性層を得た。この際、研磨加工においては、幅広研磨方式を採用した。ローラ長は232mmとした。
【0128】
前記弾性層の上に表面層2dを被覆形成した。表面層2dは下記に示す表面層塗料をディッピング法にてコート成形した。ディッピング回数は2回とした。
【0129】
まず、表面層の塗料として、
カプロラクトン変性アクリルポリオール溶液 100質量部
メチルイソブチルケトン 250質量部
導電性酸化錫(トリフルオロプロピルトリメトキシシラン処理品)
(平均粒径:0.05μm、体積抵抗率:103Ω・cm) 150質量部
変性ジメチルシリコーンオイル 0.05質量部
架橋PMMA粒子
(平均粒子径:8.2μm、体積抵抗率:1016Ω・cm) 75質量部
を用い、ガラス瓶を容器として混合溶液を作製した。これに、分散メディアとして、ガラスビーズ(平均粒径φ0.8mm)を充填率80%になるように充填し、ペイントシェーカー分散機を用いて24時間分散した。分散溶液にヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とイソホロンジイソシアネート(IPDI)の各ブタノンオキシムブロック体1:1の混合物を、
NCO/OH=1.0
となるように添加し、ディッピング用の表面層用塗料を調製した。
【0130】
前記弾性層の表面上に表面層用塗料をディッピング法にて2回コートした。引き上げ速度は、6mm/secとした。まず、1コート目を塗工した後10〜30分間常温で風乾し、ローラを反転させて2コート目を1コート目と同様に塗工した。この後、30分間以上常温で風乾し、続いて、熱風循環乾燥機中で温度80℃にて1時間、さらに熱風循環乾燥機中で温度160℃にて1時間乾燥した。
【0131】
作製した帯電部材について、算術平均粗さをRa(μm)、十点平均表面粗さをRzjis(μm)、表面凹凸平均間隔をRSm(μm)前述した方法により測定した。測定結果を表1に示す。
【0132】
<製造例2:帯電部材>
製造例1において、架橋PMMA粒子の平均粒子径を20.1μmに変更した以外は、同様にして作製した。
【0133】
<製造例3:帯電部材>
製造例1において、架橋PMMA粒子の平均粒子径を15.3μmに変更した以外は、同様にして作製した。
【0134】
<製造例4:帯電部材>
製造例1において、架橋PMMA粒子の平均粒子径を5.0μmに変更した以外は、同様にして作製した。
【0135】
<製造例5:帯電部材>
製造例1において、架橋PMMA粒子の平均粒子径を2.4μmに変更した以外は、同様にして作製した。
【0136】
<製造例6:帯電部材>
製造例1において、架橋PMMA粒子の平均粒子径を52.3μmに変更した以外は、同様にして作製した。
【0137】
<製造例7:帯電部材>
製造例1において、架橋PMMA粒子を添加しない以外は、同様にして作製した。
【0138】
<製造例8:帯電部材>
製造例1において、架橋PMMA粒子の平均粒子径を62.3μmに変更した以外は、同様にして作製した。
【0139】
<製造例9:帯電部材>
製造例1において、架橋PMMA粒子の平均粒子径を1.12μmに変更した以外は、同様にして作製した。
【0140】
<製造例10:感光体>
直径30mm、長さ260.5mmのアルミニウムシリンダーを支持体とし、これに、以下の材料より構成される塗料を支持体上に浸漬塗布し、140℃、30分間熱硬化して、膜厚15μmの導電層を形成した。
導電性顔料:SnO2 コート処理硫酸バリウム 10質量部
抵抗調節用顔料:酸化チタン 2質量部
バインダー樹脂:フェノール樹脂 6質量部
レベリング材:シリコーンオイル 0.001質量部
溶剤:メタノール/メトキシプロパノール=0.2/0.8 20(質量部)
次にこの導電層上に、N−メトキシメチル化ナイロン3質量部および共重合ナイロン3質量部をメタノール65質量部、n−ブタノール30質量部の混合溶媒に溶解した溶液を浸漬法で塗布し、膜厚0.5μmの中間層を形成した。
【0141】
続いて、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2゜の7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.6゜、25.1゜、28.3゜に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン(HOGaPc)結晶3.5質量部とポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM2、積水化学製)2質量部およびシクロヘキサノン60質量部をφ1mmガラスビーズ入りサンドミル装置で3時間分散したあと、シクロヘキサノン50質量部と酢酸エチル130質量部を加えて希釈し、電荷発生層用塗料を調製した。下引き層上にこの電荷発生層用塗料を浸漬塗布し、100℃で10分間乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0142】
次に、電荷輸送層を形成するために、電荷輸送層用の塗料を調製した。結着樹脂としてポリアリレート樹脂(下記構造式[化2]の重合体。重合平均分子量96000)10質量部、下記構造式[化3]のアミン化合物9質量部、下記構造式[化4]のアミン化合物1質量部、モノクロロベンゼン50質量部及びジクロロメタン50質量部の混合溶媒に溶解した。この塗料をディッピング法で塗布し、120℃、2時間乾燥して15μmの電荷輸送層を形成した。
【0143】
【化2】
Figure 0003897726
【0144】
【化3】
Figure 0003897726
【0145】
【化4】
Figure 0003897726
<製造例11:感光体>
製造例10において、電荷輸送層の膜厚を9μmとした以外は同様に作製した。
【0146】
<製造例12:感光体>
製造例10において、電荷輸送層の膜厚を18μmとした以外は同様に作製した。
【0147】
<製造例13:感光体>
製造例10において、電荷輸送層の膜厚を20μmとした以外は同様に作製した
<製造例14:感光体>
製造例10において、電荷輸送層の膜厚を5μmとした以外は同様に作製した。
【0148】
<製造例15:感光体>
製造例10において、電荷輸送層の膜厚を25μmとした以外は同様に作製した。
【0149】
<製造例16:感光体>
製造例14において、電荷輸送層用の結着樹脂を下記構造式[化5]のビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量22000)12質量部に変更した以外は同様に作製した。
【0150】
【化5】
Figure 0003897726
<製造例17:感光体>
製造例16において、電荷輸送層の膜厚を9μmとした以外は同様に作製した。
【0151】
<製造例18:感光体>
製造例16において、電荷輸送層の膜厚を20μmとした以外は同様に作製した。
【0152】
<製造例19:感光体>
製造例16において、電荷輸送層の膜厚を25μmとした以外は同様に作製した。
【0153】
<製造例20:感光体>
製造例1において、電荷発生層を以下のように代えた以外は同様に作製した。
【0154】
次にCuKαのX線回折における回折角2θ±0.2゜の9.0゜、14.2゜、23.9゜、27.1゜に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン(TiOPc)4質量部とポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM2、積水化学製)2質量部およびシクロヘキサノン60質量部をφ1mmガラスビーズ入りサンドミル装置で4時間分散したあと、エチルアセテート100質量部を加えて電荷発生層用分散液を調製した。これを浸漬法で塗布し、膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0155】
<製造例21:感光体>
製造例20において、電荷輸送層の膜厚を22μmとした以外は同様に作製した。
【0156】
<製造例22>
製造例1において、電荷発生層を以下のように代えた以外は同様に作製した。
【0157】
CuKαの特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.1°、9.3°、12.8°、15.8°、17.2°、25.6°および26.9°に強いピークを有するジヒドロキシシリコンフタロシアニン顔料4.4質量部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:BX−1 積水化学工業製)2質量部およびシクロヘキサノン100質量部からなる溶液を直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散した後、エチルアセテート100質量部を加えて電荷発生層用の分散液を調製した。この分散液を下引き層上に浸漬塗布し、80℃で10分間加熱乾燥することにより、膜厚が0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0158】
<製造例23:感光体>
製造例22において、電荷輸送層の膜厚を22μmとした以外は同様に作製した。
【0159】
<製造例24:感光体>
製造例1において、アルミシリンダー支持体上に導電層を形成せず、ホーニング処理を行った以外は、同様に作製した。
【0160】
液体(湿式)ホーニング装置(不二精機製造所製)を用いて、下記条件にて液体ホーニング処理を行った。
【0161】
液体ホーニング条件
研磨材砥粒=球状アルミナビーズ
(商品名:CB−A30S 昭和電工株式会社製)
懸濁媒体=水
研磨材/懸濁媒体=1/9(体積比)
アルミニウム管の回転数=1.67s-1
エアー吹き付け圧力=0.165MPa
ガン移動速度=13.3mm/s
ガンノズルとアルミニウム管の距離=180mm
ホーニング砥粒吐出角度=45°
研磨液投射回数=1回
<実施例1〜6及び比較例1〜3>
製造例10に示した感光体と製造例1〜9に示す帯電部材を用いて、帯電均一性、ゴースト及び耐久性の評価を行った。
【0162】
帯電部材に直流電圧のみを印加した際のゴースト及び帯電均一性評価
図1に示す電子写真方式の画像形成装置において、作製した感光体と帯電部材を取り付け、環境1(温度30℃、湿度80%)、環境2(温度23℃、湿度50%)、環境3(温度15℃、湿度10%)の各環境下において、前述した画像形成動作によって画像評価を行った。画像の書き出しから感光体1回転目の部分に25mm角の正方形のベタ黒部分を並べ、感光体2回転目以降に1ドットをケイマパターンで印字したハーフトーン画像を用いてゴーストを評価した。また、ハーフトーン部において、ポチ及びスジ状の帯電均一性を評価した。使用する画像形成装置は基本的に、94mm/secと30mm/secの2種のプロセススピードに設定した。
【0163】
また、この時、感光体ドラム1の表面電位VDは、−400vとなるように各環境において印加電圧を調節して画像を出力した。
【0164】
画像評価結果を表1に示す。表中の画像レベルは、ランク1が非常に良い、ランク2は良い、ランク3はハーフトーン画像上微かにスジまたはポチ状の画像欠陥がある、ランク4はスジまたはポチ状の画像欠陥が目立つ、というレベルである。2種のプロセススピード双方において評価を行い、悪い方の評価のランクをもって本実施例及び比較例の評価ランクとする。
【0165】
帯電部材に直流電圧のみを印加した際の耐久性評価
上記帯電均一性及びゴーストを評価した後に、各環境で、連続10,000枚の画像出し耐久試験を行った。耐久試験中はプロセススピードを94mm/secに設定し、耐久を行った後、5,000枚及び10,000枚において帯電均一性及びゴーストの画像チェックを行った。画像チェックの際には、それぞれの実施例及び比較例の初期評価を行ったプロセススピードと同様のプロセススピードにて前記と同様のゴースト及び帯電均一性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0166】
表中の画像レベルについてであるが、ゴーストレベルは前記ゴースト評価と同様のレベルで記載している。一方、耐久変化による帯電均一性及び帯電部材汚れのレベルであるが、ランク1が初期画像と変わりなし、ランク2はほとんど変化なし(かすかな濃度ムラあり)、ランク3はハーフトーン画像で帯電部材汚れムラによるかすかな濃度ムラ及びポチ画像が発生、ランク4はハーフトーン画像で帯電部材汚れむらによる濃度ムラ及びポチが発生、というレベルである。
【0167】
<実施例7〜17及び比較例4〜7>
製造例1に示した帯電部材と製造例10〜24に示した感光体を用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0168】
<実施例18>
本実施例においては、画像評価のプロセススピードを94mm/secと47mm/secの2種類に変更した。帯電部材及び感光体は実施例10と同様のものを用い、評価方法も実施例10と同様にして行った。結果を、表2及び表3に示す。
【0169】
<実施例19>
本実施例においては、画像評価のプロセススピードを94mm/secと15mm/secの2種類に変更した。帯電部材は実施例10と同様のものを用い、評価方法も実施例10と同様にして行った。結果を、表2及び表3に示す。
【0170】
【表1】
Figure 0003897726
【0171】
【表2】
Figure 0003897726
【0172】
【表3】
Figure 0003897726
【0173】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、種々のメディア(被転写材)に対応するために、1台で数種のプロセススピードを有する画像形成装置であれ、更には、帯電部材に直流電圧のみを印加して感光体を帯電する画像形成装置であれ、優れた電子写真特性としての高感度を維持しつつ、スジ、ポチ、ゴースト等の画像欠陥のない良好な画像を長期にわたって得ることのできる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置における一実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明の帯電部材の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の帯電部材の他の例を示す概略図である。
【図4】本発明の帯電部材の他の例を示す概略図である。
【図5】本発明の帯電部材の他の例を示す概略図である。
【図6】本発明の帯電部材の他の例を示す概略図である。
【図7】本発明の帯電部材の他の例を示す概略図である。
【図8】本発明の帯電部材の他の例を示す概略図である。
【図9】本発明の帯電部材の他の例を示す概略図である。
【図10】本発明の感光体の一例を示す概略図である。
【図11】本発明の感光体の他の例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 像担持体(感光体)
1a 導電性支持体
1b 感光層
1c 下引き層
2 帯電部材(帯電ローラ)
2a 導電性支持体
2b 弾性層
2c 抵抗層
2d 表面層
2e 第2の抵抗層
3 像露光手段
4 現像手段
4a トナー担持体
4b 撹拌部材
4c トナー磁性部材
5 転写手段
6 クリーニング手段
11b 電荷発生層
12b 電荷輸送層
L レーザー光
S1,S2,S3 バイアス印加電源
P 転写材

Claims (2)

  1. 少なくとも、感光体と帯電部材とを有し、前記帯電部材に印加する電圧が直流電圧のみである画像形成装置であって
    前記感光体が、導電性支持体と、この導電性支持体上に形成されフタロシアニン化合物を含有する電荷発生層と、前記電荷発生層上に形成され膜厚が20μm以下である電荷輸送層とを有し、
    前記帯電部材が、導電性基体と、この導電性基体上に形成され少なくとも導電性を有する被覆層とにより構成される帯電部材であり、この帯電部材の算術平均粗さをRa(μm)、十点平均表面粗さをRzjis(μm)、表面凹凸平均間隔をRSm(μm)とすると、
    0.3≦Ra≦5
    2≦Rzjis≦50
    20≦RSm≦200
    である画像形成装置。
  2. 50mm/sec以下および60mm/sec以上の2種以上のプロセススピードを有する請求項に記載の画像形成装置。
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