本発明は、電子写真感光体を帯電するための帯電部材として用いられる、支持体および該支持体上に形成された1層以上の被覆層を有する導電性部材、ならびに、該導電性部材を帯電手段として有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
電子写真方式を採用した画像形成装置、すなわち電子写真装置には、導電性部材が様々な用途、例えば、帯電部材、現像部材、転写部材などの部材として使用されている。
このような用途に用いられる導電性部材は、電子写真感光体に接触配置または近接配置されて、交流電圧を重畳した直流電圧が印加されたり、直流電圧のみが印加されたりして使用されている。
印加電圧として交流電圧を重畳した直流電圧を採用すると、高圧の交流電源が必要となり、電子写真装置のコストアップを招くとともに、交流電流を多量に使用することにより、導電性部材や電子写真感光体の耐久性が低下するため、電子写真装置コスト削減や高耐久性を考慮すると、印加電圧は直流電圧のみであることが好ましい。
また、電子写真感光体に接触配置または近接配置される導電性部材の形状としては、ローラー形状、ブレード形状、ブラシ形状、ベルト形状、フィルム形状、シート形状、チップ形状などが挙げられるが、ローラー形状のもの(すなわち、帯電ローラー、現像ローラー、転写ローラーなど)が多く用いられている。
近年、コンピューターやその周辺機器の普及と高性能化に伴い、それらの出力装置としての電子写真装置にも年々高機能化が求められている。例えば、カラー化やグラフィック画像の増大の流れがあるが、この場合、より一層の高画質が求められるようになり、画像の忠実な再現性が重要となる。それに対応する手段の1つとして高解像度化の流れがある。すなわち、原画像をいかに細かく認識し、再現するかということであり、600dpiから1200dpi、あるいはそれ以上への技術開発がその一例としてあげられる。
このような、より一層の高画質(高解像度)が求められる電子写真装置に、従来の導電性部材を用いた場合、印加する電圧や画像を出力する環境、あるいは、出力する画像パターンや使用する電子写真装置など、特定の条件の下あるいは条件の組み合わせによっては白や黒の微小なスジやポチが発生したり、導電性部材表面への異物付着や部分的な異物付着ムラによる濃度ムラが生じたりすることがあった。
また、出力画像の全体的な増加に伴い、電子写真装置には従来以上の高耐久化も求められるようになってきている。この場合、上述の異物付着や部分的な異物付着ムラによる濃度ムラの発生を長期にわたってある程度以下に抑える必要があるのは当然のことながら、導電性部材自体にも高耐久性が求められ、同時に導電性部材起因の電子写真感光体への悪影響を防ぐことが重要である。
これらの問題を解決するために、例えば、導電性部材の表面形状、摩擦係数あるいは表面濡れ性を制御する技術や、あらかじめ表面に微粒子を付着した構成の導電性部材など、異物の付着や付着ムラを防止軽減するための検討が多数なされており一定の効果をあげている。
また、特許文献1および特許文献2には、単層(高分子に導電性微粒子を分散させた層)構造であって、被接触体との接触部近傍での導電性微粒子の分布密度を他の部分に比べて小さくすることで導電性部材の抵抗をコントロールするとともに、摩耗による導電性微粒子欠落によって、導電性微粒子が電子写真感光体の表面を傷つけることを防止し、または、剥がれを防止できる導電性部材が開示されている。この導電性部材によれば、リーク防止の効果も得ることができるので、この導電性部材の表面は高抵抗であることが示唆される。
特開2000−39755号公報
特開2001−209235号公報
現在、電子写真装置に対しては、高画質化/高耐久化を前提として、さらなる付加価値として、メディア対応が求められている。
メディア対応とは、各種転写材に対して良好な画質を提供することである。現在、オフィスはもちろんのこと個人レベルでもコンピューターからカラー画像やグラフィック画像を出力する機会が増大している。
例えば、オフィスでは従来の白黒あるいはモノカラープリントからフルカラープリントへの流れが急激に進みつつある。特に、プレゼンテーションなどを行う場合には、視覚的にも印象的にもカラー画像が好ましい。この場合、転写材として透過性PETフィルム(OHT)上に画像を形成することが多い。
また、画像入力装置の進化も急激で、例えば、デジタルカメラで撮影した電子映像をコンピューターに取り込み、必要に応じて画像処理や編集を行ってプリンターで出力したり、写真を直接複写機でコピーしたりする機会も増えつつある。写真画像を出力する場合には、転写材としては特殊紙(例えば、表面処理した紙や高グロス紙など)を使用することが多い。OHTや特殊紙は普通紙に比べて厚く、材質的にも普通紙と異なることがあり、これらの転写材上に良好な画像を形成するためには、普通紙を用いる場合に比べて、プロセススピードを小さくして対応することがある。
また、例えば、個人レベルでも、特殊紙を使用することがあるだけでなく、葉書きのように厚くて小さいものを使用する頻度が高い。
このように、材質・厚さ・大きさの面で多種多様なメディア(転写材)に対応するには、それに応じて適正となるように、1台の電子写真装置が複数のプロセススピードで画像出力できることが好ましい。例えば、標準速と、標準速の1/2速、1/3速、1/4速など複数のプロセススピードを設定できる構成にし、例えば、普通紙の場合は94mm/s(標準速)で、OHTの場合は31mm/s(1/3速)に切り替えて使用するということである。
ところが、この程度のプロセススピードの違いが、画像均一性に及ぼす影響が大きいことが、検討により明らかになった。
1台で複数のプロセススピードを設定することが可能な電子写真装置に、従来の導電性部材を、特に帯電部材として用いた場合、以下のような問題が発生する。
帯電部材としての導電性部材に直流電圧のみを印加する方式を採用した電子写真装置の場合、例えば、94mm/s(標準速)では良好な帯電均一性が得られる帯電部材であっても、例えば31mm/s(1/3速)では微小で短い白や黒の横スジが発生することがある。この現象は特に低湿環境で発生しやすい。この白や黒の横スジは、電子写真感光体の構成により大きく変化することもわかっている。
また、導電性部材に直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加する電子写真装置の場合、プロセススピードに応じた交流電圧の周波数を適宜選択することによって帯電均一性は対応することができるが、特に低速側でリークが発生しやすくなる。この現象は特に高湿環境で発生しやすい。
また、特許文献1および特許文献2に開示された、単層(高分子に導電性微粒子を分散させた層)構造であって、被接触体との接触部近傍での導電性微粒子の分布密度を他の部分に比べ小、または、実質的にゼロとすることで抵抗をコントロールした導電性部材を用いると、以下のような問題が発生する。
導電性微粒子は抵抗を下げる効果があるのと同時に補強性を有する。接触部近傍ほど導電性微粒子の分布密度が小さいということは、表面近傍ほど導電性微粒子の量が少ないということを意味し、その結果として、表面に近いほど補強性に劣る(低強度)または低硬度となる。導電性微粒子の量が実質的にゼロであればなおさらである。
すなわち、この構成においては、表面近傍が低硬度/低強度であるために、本質的に表面近傍は摩耗しやすい状態にある。
これに対応するためには、下限として20μm程度の厚さが実質的に必要となるが、これは、摩耗のしやすさを改善せずに、厚さを制御することで対応するということであって、本質的な改善とは言いがたい。
特に、1台で複数のプロセススピードを設定することが可能な電子写真装置の場合には、電子写真感光体と導電性部材の静的/動的な接触状態、トルク、摺擦状態、電圧の印加状態などが不定期に変化するだけでなく、それらのかかり具合などの程度も異なるので、単一プロセススピードの電子写真装置の場合に比べ、種々のストレスがかかりやすい。
その結果、上記外部起因の導電性への影響が複雑になるとともに、導電性部材表面がより摩耗しやすくなる傾向がある。ゴムにおいては非常に顕著である。
したがって、導電性部材表面の摩耗による導電性微粒子欠落は低減されるが、表面そのものの摩耗が早くなるので初期の特性を短時間で失うことになり、その点で、導電性部材自体の高耐久化に不向きであり、不十分である。
さらには、表面近傍が摩耗して失われると、内面から導電性微粒子が剥き出しになるため、導電性微粒子の脱落による問題点が発生してくる。また、導電性微粒子の量が実質的にゼロである部分が厚くなるほど、電子写真感光体を均一に帯電する帯電均一性は不利になり画像不良になりやすい。この傾向は帯電部材に直流電圧のみを印加して電子写真感光体を帯電する電子写真装置において顕著である。
このような事情に鑑み、本発明の目的は、多種多様なメディア(転写材)に対応するために、1台で複数のプロセススピードを設定することを可能とした電子写真装置においても、良好な画像を長期にわたって得ることができ、さらには、直流電圧のみが印加される帯電部材としても用いることができる導電性部材を提供することである。
また、本発明の目的は、帯電部材として上記導電性部材を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、上記問題は、導電性部材の表面層が含有する微粒子の平均粒径を制御することにより解決可能であることが明らかとなった。
すなわち、本発明は、支持体および該支持体上に形成された1層以上の被覆層を有し、該1層以上の被覆層のうち表面層に相当する層が、少なくとも導電性微粒子を含む微粒子を含有してなり、該表面層の最下面から該表面層の全体層厚の30%以内の範囲に相当する表面層下部における微粒子の平均粒径が、該表面層の最上面から該表面層の全体層厚の30%以内の範囲に相当する表面層上部における微粒子の平均粒径よりも大きい導電性部材を製造する方法であって、粒度分布を有する微粒子を分散させた同一の塗布液を2段階以上にわけて同一箇所に塗布し、その際に、各段階において塗布される塗布液の平均粒径を変化させるために塗布液を静置して、各段階で、静置する時間を制御した塗布液を塗布し、その後に、未乾燥の各塗布膜を同時に乾燥することによって、前記表面層を形成することを特徴とする導電性部材の製造方法である。
本発明によれば、多種多様なメディア(転写材)に対応するために、1台で複数のプロセススピードを設定することを可能とした電子写真装置においても、良好な画像を長期にわたって得ることができ、さらには、直流電圧のみが印加される帯電部材としても用いることができる導電性部材を提供することができ、また、帯電部材として該導電性部材を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
以下、本発明についてより詳細に説明する。以下、ローラー形状の帯電部材を特に「帯電ローラー」という場合もある。
導電性部材の表面層が含有する微粒子は、1種であっても2種以上であってもよいが、少なくとも1種は導電性微粒子であり、2種以上の微粒子を用いる場合は、絶縁性微粒子を用いてもよい。本発明においては、導電性微粒子と、導電性部材の抵抗を制御するための絶縁性微粒子とを併用することが好ましい。
本発明において、導電性微粒子とは、1×1010Ω・cm未満の体積抵抗率を有する微粒子のことであり、絶縁性微粒子とは、1×1010Ω・cm以上の体積抵抗率を有する微粒子のことである。
上述のとおり、本発明の導電性部材は、その表面層下部における微粒子の平均粒径が、表面層上部における微粒子の平均粒径よりも大きいものである。
表面層下部における微粒子の平均粒径は0.068〜0.075μmの範囲にある。表面層上部における微粒子の平均粒径は0.018〜0.045μmの範囲にある。
表面層下部が含有する微粒子の平均粒径および表面層上部が含有する微粒子の平均粒径が上記範囲から逸脱すると、たとえ表面層下部における微粒子の平均粒径を表面層上部における微粒子の平均粒径よりも大きくしたとしても、本発明の効果が十分に得られなくなる場合がある。
また、表面層下部の微粒子含有率は、上記表面層上部の微粒子含有率よりも大きいことが好ましい。帯電均一性およびピンホールリーク性の向上に関して、より顕著な効果を得ることができるからである。
微粒子の平均粒径(好ましくは微粒子含有率も)を上述のように制御することにより、導電性部材の表面層の上部は下部よりも抵抗が大きくなると考えられる。この抵抗差により、導電性部材の表面近傍には電荷が保持され、過剰な電荷の供給を抑えたり、逆に、不足している電荷の供給を補ったりして、適切な電荷の供給を行うことが可能になる。
さらに、低速プロセススピードにおけるピンホールリークレベルの悪化も抑えることができる。これは、導電性部材の表面近傍の電荷保持能力がピンホールリーク防止にも有効に働いているものと考えられる。
またさらに、導電性部材の耐久性も向上する。導電性部材の表面層上部には下部に比べて平均粒径の小さい微粒子が存在しているため、表面層の補強性は微粒子が全く存在しない場合やほとんど存在しない場合に比べて、飛躍的に耐久性が向上していると考えられる。また、導電性部材の表面近傍の微粒子の平均粒径が小さいため、微粒子の脱落防止に対しても非常に有効である。
また、導電性部材の表面層が含有する微粒子の粒径は0.001〜2μmの範囲にあることが好ましい。0.001μmよりも小さいと、微粒子が導電性の付与(導電性微粒子)や導電性の制御(絶縁性微粒子)に寄与しなくなる場合がある。一方、粒径が2μmよりも大きい導電性微粒子は、そこの抵抗が低くなりすぎて、そこに集中的に電荷が流れやすくなり、ピンホールリークレベルが悪化してしまう場合がある。また、粒径が2μmよりも大きい絶縁性微粒子は、導電性の制御に寄与しなくなる場合がある。
次に、本発明の導電性部材の表面層を得るための方法について説明する。
表面層の形成方法としては、結着材料を溶解して微粒子を分散させた塗布液を作製し、これをディッピング法などの塗布法で形成する方法が好ましい。
また、上述のように、本発明の導電性部材は、支持体上に1層以上の被覆層を有する導電性部材であり、その被覆層のうち導電性部材の表面層に相当する層が微粒子を含有しており、表面層下部における微粒子の平均粒径が表面層上部における微粒子の平均粒径よりも大きいことを特徴としている。
このように、導電性部材の表面層中の微粒子の平均粒径を制御するためには、平均粒径が異なる2種以上の微粒子を併用することが好ましい。この平均粒径が異なる2種以上の微粒子は、同じ材料で平均粒径が異なる微粒子であってもよく、異なる材料で平均粒径が異なる微粒子であってもよい。
また、導電性部材の表面層の下部と上部において微粒子の平均粒径に差をつけるより確実な方法としては、例えばディッピング法などの塗布法により表面層を形成する場合、平均粒径が異なる微粒子をそれぞれ分散させた複数(2以上)の塗布液を用意し、それら微粒子の平均粒径が異なる塗布液を数段階(2段階以上)に分けて塗布して、その後、各塗布膜(未乾燥)を同時に乾燥して表面層を形成する方法が挙げられる。
また、同一の塗布液を用いる場合でも、塗布段階を数段階(2段階以上)にわけ、各段階で塗布液を静置して、その時間を制御する方法が挙げられる。この方法は、静置時間が長くなると平均粒径の大きな粒子、分散性の悪い粒子または比重の大きな粒子が沈降し、表面層を形成する塗布液部分の平均粒径が変化することを利用して平均粒径を制御する方法である。
また、ディッピング法の場合、長手方向における層厚を均一にするため、引き上げ時の速度は適宜変化させることが好ましい(降下時の速度は特に層厚制御には関係ない)。
また、表面層を数段階の塗布により形成する場合は、各塗布液に溶解させる結着材料は同一種のものであることが好ましい。
各塗布液に同一種の結着材料を用いれば、このようにして形成される表面層は単一の層になる。換言すれば、各塗布液に異種の結着材料を用いると、塗布膜間に界面が発生して表面層が単一の層にならなくなる場合がある。
また、導電性部材の表面層の下部と上部において微粒子の含有率に差をつける場合も、上記方法と同様にして、つまり、微粒子含有率が異なる塗布液を数段階に分けて塗布して、その後、各塗布膜(未乾燥)を同時に乾燥するという方法で、より確実に達成することができる。
また、上記のように、同一塗布液を用いて静置時間を制御する方法を用いても、同様に含有率を制御することができる。
導電性部材の表面層における微粒子の平均粒径を制御するには、上述した方法以外にも、塗布液の分散条件や、分散機の分散能力を変えて平均粒径を変化させることも効果的である。
微粒子の分散性を向上させるためには、微粒子の表面に表面処理を施すのが好ましい。
平均粒径を制御するために、表面処理を施した微粒子を分散させた塗布液と、表面処理を施さない微粒子を分散させた塗布液を塗り分けることも効果的な方法である。
表面処理としては、カップリング処理および脂肪酸処理が挙げられる。カップリング処理としては、シランカップリング剤およびチタネートカップリング剤などを用いる処理、脂肪酸処理としては、ステアリン酸などの酸を用いた処理などが挙げられる。
また、本発明における微粒子は、上記のように、導電性微粒子と絶縁性微粒子とに分けられる。
導電性微粒子としては、金属酸化物系導電性微粒子、金属系導電性微粒子、カーボンブラック、カーボン系導電性微粒子などを挙げることができ、一種類又は、二種以上組み合わせて用いることができる。
金属酸化物系導電性微粒子としては、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン(二酸化チタン、一酸化チタンなど)、酸化鉄などが挙げられる。金属酸化物系微粒子は、それのみで十分な導電性を示すものもあるが、そうでないものも存在する。微粒子の導電性を十分なものとするため、すなわち、微粒子の体積抵抗率を1×1010Ω・cm未満にするため、これらの微粒子に、ドーパントを添加してもよい。一般的に金属酸化物微粒子は、格子欠陥の存在により余剰電子が生成し、導電性を示すと考えられ、ドーパント添加によって格子欠陥の形成が促進され、十分な導電性を得ることができるのである。例えば、酸化亜鉛のドーパントとしてはアルミニウム、酸化スズのドーパントとしてはアンチモン、酸化インジウムのドーパントとしてはスズなどが使用される。また、酸化チタンに導電性を付与したものとして、酸化チタンに導電性酸化スズを被覆したものなども挙げることができる。
金属系導電性微粒子としては、銀、銅、ニッケル、亜鉛等の微粒子が挙げられる。
カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
カーボン系導電性微粒子としては、グラファイト、カーボンファイバー、活性炭、木炭等を挙げることができる。
導電性微粒子としては、この中でも、特に、金属酸化物系導電性微粒子またはカーボンブラックを用いることが好ましい。これらの微粒子は、樹脂などの結着材料に対する分散性が良く、分散による平均粒径の制御がしやすいといった特長があるからである。
絶縁性微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン(二酸化チタン、一酸化チタンなど)、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、三酸化アンチモンなどの金属酸化物系絶縁性微粒子、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、二硫化モリブデン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、タルク、カオリンクレー、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ゼオライト、ウオラストナイト、けいそう土、ガラスビーズ、ベントナイト、モンモリナイト、アスベスト、中空ガラス球、黒鉛、もみ殻、有機金属化合物、有機金属塩などの微粒子を挙げることができる。また、公知の樹脂、例えば、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、および、これらの共重合体、変性物、誘導体などの微粒子も使用することができる。
この中でも、特に、樹脂などの結着材料に対する分散性の観点から、金属酸化物系絶縁性微粒子または樹脂微粒子を用いることが好ましい。
また、例えば、導電性微粒子と絶縁性微粒子を併用する場合には、微粒子を金属酸化物系微粒子で統一する、または、添加する絶縁性微粒子を結着樹脂と類似した化学結合部分をもつ樹脂微粒子にするなど、材料的に類似したものを添加することが分散性制御を行う上でより好ましい。
また、導電性の制御に関して、導電性部材の表面層に使用する結着材料が、その構造中に窒素原子または炭素原子を有すれば、さらに帯電均一性およびピンホールリーク性の向上が図られる。窒素原子および炭素原子は、原子中に非共有電子対を有している。この非共有電子対の存在が電荷の保持能力を高めていると考えられる。また、炭素原子の中でも、特にカルボキシル基のような分極した構造を有する結着材料を使用すると、さらに効果的である。この観点から、導電性部材の表面層に用いる結着材料には、ウレタン結合やアミド結合を有する材料を使用することが好ましい。
また、表面層の硬度を高くすれば、導電性部材の耐久性を向上させることができる。本発明の導電性部材は、表面層に微粒子を含有しているため、含有していない場合に比べて高硬度であるが、さらに、結着材料にも高硬度の材料を採用することが好ましい。
また、導電性部材は、これと接触する他の部材、例えば、電子写真感光体に対する帯電能力や均一密着性を確保するためには、適当な導電性と弾性とを有することが好ましく、その観点から、導電性部材は、支持体と表面層との間に導電性および弾性を有する弾性層を別途有することが好ましい。弾性層の硬度は表面層の硬度よりも低いことが好ましい。
すなわち、導電性部材は、電子写真感光体に対する帯電能力や均一密着性を確保するための弾性層と、導電性部材の耐久性を確保するための表面層とに機能分離した構成が好ましい。
また、導電性部材の表面は離型性が高いことが好ましく、具体的には、導電性部材の表面層は離型性物質を含有することが好ましく、また、導電性部材の表面層の結着材料は樹脂であることが好ましい。
表面層の離型性が高いということは、すなわち、表面層の摩擦係数が小さいということであり、導電性部材の表面の汚れ付着を低減でき、また、耐久性が向上するとともに、導電性部材と電子写真感光体などの他の部材との間での相対移動が滑らかになるので、スティックスリップのような不規則な移動状態の出現を減らせ、その結果、異音の発生や導電性部材表面の不規則な摩耗などの回転ムラに起因するであろうと思われる種々の現象を改善することができる。
また、表面層の離型性が高いということは、導電性部材が、それと接触する電子写真感光体などの他の部材を汚染しにくいということでもある。
離型性物質が液体の場合には、導電性部材の表面層を形成するときに平滑剤(レベリング剤)としても作用するため、導電性部材の表面層を平滑に形成することが可能になる。
離型性物質には種々のものがあり、分類の仕方もいろいろあるが、機能面から考えると、低表面エネルギーを利用するものと、摺動性を利用するものが多い。また、その性状も液体であったり、固体であったりする。
固体で摺動性を有するものは、一般に固体潤滑剤として知られ、例えば、固体潤滑ハンドブック(発行所;(株)幸書房、昭和57年3月15日発行の第二版)などに挙げられているものが使用できる。
また、ケイ素原子やフッ素原子を分子内に含む化合物がオイル状であるいは固体(離型性樹脂あるいは粉末、ポリマーの一部に離型性を有する部位を導入したもの)状で使用される。また、ワックスや高級脂肪酸(その塩やエステル、その他誘導体を含む)も挙げることができる。
次に、導電性部材の層構成例を図1から図8に示す。
図1にはローラー形状の導電性部材を示し、導電性を有する支持体(導電性支持体)2aと、その外周に形成された被覆層(弾性層)2bと、さらに、その外周に形成された被覆層(表面層)2dから構成されている。
その他の構成を図2から図4に示す。
図2に示すように、導電性部材は弾性層2bと表面層2dとの間に、別の被覆層(抵抗層)2cを設けた3層構造であってもよいし、図3に示すように、抵抗層2cと表面層2dの間に、別の被覆層(第2の抵抗層)2eを設けた4層構造であってもよいし、さらに別の被覆層(抵抗層)を設けて、支持体2aの上に4層以上の被覆層を形成した構造であってもよい。また、図4に示すように、表面層に相当する被覆層1層のみを支持体2a上に設けた1層構造であってもよい。
さらには、本発明の導電性部材は、図1〜4に示したローラー形状に限られることはなく、図5〜図8に示すように、シート形状、ベルト形状、フィルム形状、板形状などの様々な形状をとることが可能であり、それぞれの形状のものに関して、上述した層構成をとることが可能である。
本発明の導電性部材の表面層に用いる結着材料としては、樹脂、エラストマーが好ましく、上述のように樹脂がより好ましい。
樹脂としては、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂、スチレン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体(SEBC)、オレフィン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体(CEBC)などが挙げられる。
エラストマーとしては、合成ゴムおよび熱可塑性エラストマーが挙げられる。
合成ゴムとしては、天然ゴム(加硫処理など)、EPDM、SBR、シリコーンゴム、ウレタンゴム、IR、BR、NBR、CRなどが挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマーおよび塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
これらの結着材料は、単独または2種以上を混合してもよく、共重合体であってもよい。
表面層2dには、導電性微粒子を添加して導電性を付与する。さらに、導電性の制御、表面性の制御および補強性の向上を目的として、絶縁性微粒子や異種の導電性微粒子を含有させてもよい。これらの導電性微粒子および絶縁性微粒子は、上記微粒子を用いることができる。
また、これらの粒子は、各種の表面処理、変性、官能基や分子鎖の導入、コートなどを施したものでもよい。
弾性層2bは、電子写真感光体に対する帯電や、電子写真感光体などの他の部材に対する良好な均一密着性を確保するために、適当な導電性と弾性とを有するものである。
また、導電性部材がローラー形状の場合は、導電性部材と電子写真感光体などの他の部材に対する良好な均一密着性を確保するに、弾性層2bの中央部を一番太く、両端部にいくほど細くなる形状、いわゆるクラウン形状に形成することが好ましい。例えば、弾性層2bの研磨によってクラウン形状にすることができる。
帯電ローラーなどのローラー形状の導電性部材は、一般に、支持体2aの両端部に所定の押圧力が与えられて電子写真感光体などの他の部材と接触(当接)するので、中央部の押圧力が小さく、両端部ほど大きくなっているために、ローラー形状の導電性部材の真直度が十分であれば問題ないが、十分でない場合には、中央部と両端部との間に帯電ムラが生じてしまう場合があり、そのムラに対応して、出力画像に濃度ムラが生じてしまう場合がある。クラウン形状にすることで、これを防止することができる。
弾性層2bの材料(弾性材料)としては、合成ゴムおよび熱可塑性エラストマーのようなエラストマーならばどのようなものを用いてもよい。エラストマーについては、上記したものと同様のエラストマーを用いることができる。また、発泡成形した発泡体を弾性材料として用いてもよい。好ましくは、導電性部材と電子写真感光体などの他の部材とのニップを確保する必要がある場合(例えば、帯電ローラーと電子写真感光体との間)は、弾性材料には、合成ゴム材料を採用することが好ましい。
弾性層2bには、上記弾性材料中に、上記導電性微粒子や絶縁性微粒子を添加して、または、アルカリ金属塩やアンモニウム塩などの導電性化合物を添加して、または、これらを併用することにより、導電性が付与され、電気抵抗を108Ω・cm未満に調整することが好ましい。弾性層2bの電気抵抗が108Ω・cm以上であると、導電性部材の帯電能力が低くなり、電子写真感光体に対する帯電均一性を満足することができなくなる場合がある。
また、弾性層2bの弾性や硬度は、軟化油、可塑剤などの添加や、弾性材料の発泡などにより調整することができる。
支持体2aは、導電性を有していればよく、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム、ニッケルなどの金属材料を用いることができる。さらに、これらの金属表面に耐傷性付与を目的として、導電性を損なわない程度にメッキ処理を施してもよい。
表面層2dの電気抵抗は、弾性層2bの電気抵抗より大きく、かつ、1016Ω・cm以下に調整されることが好ましい。表面層2dの電気抵抗が弾性層よりも小さいと、電子写真感光体表面のピンホールおよび傷などによるリークを防止することができなくなる場合があり、1016Ω・cmよりも大きいと、導電性部材(帯電部材)の帯電能力が低くなり、帯電均一性を満足することができなくなる場合がある。
導電性部材には、弾性層中に含有される軟化油や可塑剤などの導電性部材表面へのブリードアウトを防止する目的で、弾性層2bに接した位置に抵抗層2cを設けることができる。
上記抵抗層2cを構成する材料は、弾性層2bに用いられる材料と同様の材料を用いることができる。また、上記抵抗層2cは、導電性または半導電性を有していることが好ましい。導電性を付与する材料としては、上記各種導電性微粒子を用いることができる。この場合、所望の電気抵抗を得るためには、上記各種導電性微粒子を2種以上併用してもよい。
抵抗層2cの電気抵抗は、表面層2dの電気抵抗以下、弾性層2bの電気抵抗以上に調整されることが好ましい。この範囲を逸脱すると、帯電均一性を満足することができなくなる場合がある。
なお、弾性層2b、表面層2d、抵抗層2cには、上記各種材料の以外にも、他の機能を有する材料を適宜用いることができる。そのような他の材料としては、例えば、弾性層2bでは、2−メルカプトベンズイミダゾールなどの老化防止剤、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛などの滑剤などが挙げられる。
また、弾性層2b、表面層2d、抵抗層2cには、表面処理を施してもよい。表面処理としては、紫外線や電子線などを用いた表面加工処理、化合物などを表面に付着、含浸させる表面改質処理などが挙げられる。
また、弾性層2b、表面層2d、抵抗層2cの電気抵抗(体積抵抗率、単位:Ω・cm)の測定は、例えば抵抗測定装置(三菱化学(株)製絶縁抵抗計Hiresta−UP)を用いて行った。
弾性層2bに関しては、弾性層材料自体を2mm厚に膜成形し、23℃、55%の環境で250Vの電圧を30秒間印加して体積抵抗率の測定を行った。
表面層2d、抵抗層2cに関しては、それぞれ層形成時に使用した同一の結着材料を塗布液化し、そのクリア塗布液をアルミシート上にコーティングし、弾性層2bと同様の条件でそれぞれの層の体積抵抗率を測定した。
また、弾性層2b、表面層2d、抵抗層2cの形成は、各層を好適な層厚に形成するのに適当な方法であれば、特に限定はされない(表面層に関しては好適な形成方法を上述した)。樹脂などの高分子材料を用いた層形成に関する公知の方法を採用することができる。
これらの層の形成は、例えば、あらかじめ、所定厚に形成されたシート状またはチューブ状の層を接着または被覆することによって行ってもよいし、静電スプレーやディッピング法など、従来知られている方法によって、または、それに準じて行ってもよい。
また、押し出し成形によって大まかに層形成した後に研磨などによって形状を整える方法であってもよいし、型内で所定の形状に材料を硬化、成形する方法であってもよい。
また、弾性層2bの層厚は、0.5mm以上であることが好ましい。弾性層の層厚が0.5mm以下になると、弾性層に適度な弾性を保持させることができず、電子写真感光体との当接が適正でなくなり、帯電均一性を満足することができなくなる場合がある。
また、表面層2dの層厚は、1μm〜1000μmであることが好ましい。表面層の層厚が1μmよりも小さいと層厚のムラが発生しやすくり、弾性層の凹凸がそのまま導電性部材の表面に現れてしまい、帯電均一性を満足することができなくなるとともに、導電性部材の表面があれている(凹凸が大きい)ために、トナー粒子および外添剤が導電性部材表面に付着しやすくなる場合がある。また、1000μmよりも厚いと、弾性層に保持させた適度な弾性が失われ、電子写真感光体との当接が適正でなくなるため、帯電均一性を満足させることができなくなる場合がある。
また、抵抗層2cの層厚は、1μm〜1000μmであることが好ましい。
弾性層2b、表面層2d、抵抗層2cの層厚は、層断面を光学顕微鏡により観察し、その層厚を実測することにより求める。具体的には、導電性部材をカッターナイフなどにより切断し、その切断部分を光学あるいは電子顕微鏡により観察し、それぞれの層厚を測定する。
なお、本発明において、微粒子の粒径・平均粒径は、TEM(Transmission Electron Microscope:透過型電子顕微鏡)写真による観察から、任意の100個の粒子を抽出し、微粒子を差し挟む2本の水平線の間隔をもってその粒子の粒径とし、その個数基準の平均を平均粒径とした。
また、本発明において、表面層(表面層下部・表面層上部)に含有される微粒子の含有率は、上記透過型電子顕微鏡写真による観察から、微粒子の存在する面積を算出し、全体の面積に占める微粒子の存在する面積の割合をもって含有率とした。
さらに、本発明において、微粒子の体積抵抗率は、Loresta−GPまたはHiresta−UPにMCP−PD41(すべて三菱化学(株)製)を接続して測定した値をもって微粒子の体積抵抗率とした。サンプル量は、微粒子の密度などによって適時調節するのが好ましい。本発明においては、酸化スズに関しては1.5g、カーボンブラックに関しては0.5gとし、印加圧力は一定の10.1MPa(102kgf/cm2)とした。印加電圧は、Loresta−GPにより測定する際には10Vに固定し、Hiresta−UPにより測定する際には、印加電圧により測定する抵抗領域が異なるため、測定する抵抗値に合わせて適時印加電圧を変化させた。
また、さらに、弾性層や表面層などの硬度は、マイクロ硬度計MD−1型(高分子計器(株)製)により測定したマイクロ硬度の値をもって硬度とした。マイクロ硬度とは、根元の直径0.16mm、長さ0.5mmの針(逆円錐状)を試料に押し当て、そのときの針の食い込み量(変位)を硬度値として表示するもので、導電性部材表面近傍の硬度を測定することが可能である。したがって、それぞれの層に使用される材料の硬度をより忠実に測定することが可能である。また、測定は23℃/55%環境においてピークホールドモードで測定した。より詳しくは、弾性層においては、弾性層の電気抵抗を測定するシートサンプルと同様にサンプルを成形し、これに正確に測定端子を押し当て5秒後の値を読み取った。これを数回繰り返し、平均値をもって本発明の弾性層硬度とした。表面層においては、2mm厚にシートを成形するのは困難であるので、0.5mm厚のシートを4枚作製し、これを重ね合わせて2mm厚のシートサンプルとし、弾性層と同様に測定した値をもって、本発明の表面層硬度とした。
続いて、本発明のプロセスカートリッジおよび電子写真装置の概略構成について説明する。
図12は、本発明の電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
図12に示す電子写真装置は、転写式電子写真利用の反転現像方式の装置であり、帯電部材として本発明の導電性部材を採用した装置である。
1は回転ドラム型の電子写真感光体である。この電子写真感光体1は、図中の矢印が示す時計回りに所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動する。プロセススピードは可変である。電子写真感光体1には、例えば、導電性を有する円筒状の支持体と該支持体上に無機感光材料または有機感光材料を含有する感光層とを有する公知の電子写真感光体などを採用すればよい。
また、電子写真感光体1は、電子写真感光体表面を所定の極性、電位に帯電させるための電荷注入層をさらに有していてもよい。
2は帯電部材としての帯電ローラーである。帯電ローラー2と帯電ローラー2に帯電バイアスを印加する帯電バイアス印加電源S1とによって帯電手段が構成されている。帯電ローラー2は、電子写真感光体1に所定の押圧力で接触させてあり、本装置では電子写真感光体1の回転に対して順方向に回転駆動する。この帯電ローラー2に対して帯電バイアス印加電源S1から、所定の直流電圧(本例では−1200V)のみが印加されることで、電子写真感光体1の表面が所定の極性電位(本例では暗部電位−600V)に一様に帯電処理される。
3は露光手段である。この露光手段3には公知の手段を利用することができ、例えば、レーザービームスキャナーなどが挙げられる。電子写真感光体1の帯電処理面に該露光手段3により目的の画像情報に対応した像露光がなされることにより、電子写真感光体帯電面の露光明部の電位(本例では明部電位−350V)が選択的に低下(減衰)して電子写真感光体1に静電潜像が形成される。
4は現像手段である。現像手段4としては公知の手段を利用することができ、例えば、本例の現像手段4は、トナーを収容する現像容器の開口部に配設されてトナーを担持搬送するトナー担持体4aと、収容されているトナーを撹拌する撹拌部材4bと、トナー担持体4aのトナーの担持量(トナー層厚)を規制するトナー規制部材4cとを有する構成とされている。現像手段4は、電子写真感光体1表面の静電潜像の露光明部に、電子写真感光体1の帯電極性と同極性に帯電(本例では現像バイアス−350V)しているトナー(ネガトナー)を選択的に付着させて静電潜像をトナー像として可視化する。現像方式としては、特に制限はなく、既存の方法を用いることができる。既存の方法としては、例えば、ジャンピング現像方式、接触現像方式、磁気ブラシ方式などが挙げられるが、特にフルカラー画像を出力するフルカラー電子写真装置には、トナーの飛散性改善などの目的より、接触現像方式が好ましい。接触現像方式に用いられるトナー担持体4aとしては、接触安定性の確保という面から、ゴムなどの弾性を有する化合物を用いることが好ましい。例えば、金属などの支持体上に導電性を付与した弾性層を設ける現像ローラーなどが挙げられる。この弾性層は、弾性材料を発泡成形した発泡体を弾性材料として用いてもよい。また、さらにこの上に層を設けたり、表面処理を施したりしてもよい。表面処理としては、紫外線や電子線を用いた表面加工処理、化合物などを表面に付着および含浸させる表面改質処理などが挙げられる。
5は転写手段としての転写ローラーである。転写ローラー5は公知の手段を利用することができ、例えば、金属などの支持体上に中抵抗に調製された弾性樹脂層を被覆してなる転写ローラーなどを例示することができる。転写ローラー5は、電子写真感光体1に所定の押圧力で接触させて転写ニップ部を形成させてあり、電子写真感光体1の回転と順方向に電子写真感光体1の回転周速度とほぼ同じ周速度で回転する。また、転写バイアス印加電源S2からトナーの帯電特性とは逆極性の転写電圧が印加される。転写ニップ部に対して不図示の給紙機構部から転写材Pが所定のタイミングで給紙され、その転写材Pの裏面が転写電圧を印加した転写ローラー5により、トナーの帯電極性とは逆極性に帯電されることにより、転写ニップ部において電子写真感光体1面側のトナー画像が転写材Pの表面側に静電転写される。
転写ニップ部でトナー画像の転写を受けた転写材Pは電子写真感光体面から分離して、不図示のトナー画像定着手段へ導入されて、トナー画像の定着を受けて画像形成物として出力される。両面画像形成モードや多重画像形成モードの場合は、この画像形成物が不図示の再循環搬送機機構に導入されて転写ニップ部へ再導入される。
転写残余トナーなどの電子写真感光体1上の残留物は、ブレード型などのクリーニング手段(不図示)により、電子写真感光体上より回収される。その後、再び帯電ローラー2による帯電を受け、繰り返し画像形成を行うのである。
なお、本例の電子写真装置は、電子写真感光体1と帯電ローラー2を、樹脂成形体などの支持部材によって一体的に支持し、この一体的な構成のまま電子写真装置本体に着脱自在に構成されたプロセスカートリッジ(不図示)を有する装置であってもよい。電子写真感光体1や帯電ローラー2だけでなく、さらに、現像手段4や転写手段の転写ローラー5なども併せて一体的に支持したプロセスカートリッジとしてもよい。
以下、実施例により本発明をより一層詳細に説明する。
<参考例1>(以下、実施例1とも呼ぶ)
次のようにして帯電ローラーを作製した。
エピクロルヒドリンゴム三元共重合体(エピクロルヒドリン:エチレンオキサイド:アリルグリシジルエーテル=40mol%:56mol%:4mol%)100質量部
軽質炭酸カルシウム 30質量部
脂肪族ポリエステル系可塑剤 10質量部
ステアリン酸 1質量部
老化防止剤MB(2−メルカプトベンズイミダゾール) 0.5質量部
酸化亜鉛5質量部
四級アンモニウム塩(下記式で示される構造) 2質量部
以上の材料を50℃に調節した密閉型ミキサーにて10分間混練して、原料コンパウンドを調製した。このコンパウンドに原料のゴムのエピクロルヒドリンゴム100質量部に対し、加硫剤としての硫黄1質量部、加硫促進剤としてのDM(ジベンゾチアジルスルフィド)1質量部およびTS(テトラメチルチウラムモノスルフィド)0.5質量部を加え、20℃に冷却した2本ロール機にて10分間混練した。得られたコンパウンドを、直径6mmステンレス製の芯金に外径15mmのローラー状になるように押し出し成型機にて成型し、加熱蒸気加硫した後、外径が12mmになるように研磨加工を行い、弾性層を得た。ローラー長は232mmとした。
上記弾性層の上に表面層2dを被覆形成した。表面層2dは以下に示す表面層用塗布液をディッピング法にてコート成形した。ディッピング回数は2回とした。
まず、1回目ディッピング用塗布液として、
カプロラクトン変性アクリルポリオール溶液 100質量部
メチルイソブチルケトン 250質量部
導電性酸化スズ(トリフルオロプロピルトリメトキシシラン処理品、平均粒径:0.05μm、体積抵抗率:103Ω・cm) 130質量部
疎水性シリカ(ヘキサメチルジシラザン処理品、平均粒径:0.012μm、体積抵抗率:1016Ω・cm) 3質量部
変性ジメチルシリコーンオイル 0.08質量部
を用い、ガラス瓶を容器として混合溶液を作製した。これに、分散メディアとして、ガラスビーズ(平均粒径:0.8mm)を充填率80%になるように充填し、ペイントシェーカー分散機を用いて8時間分散した。分散溶液にヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とイソホロンジイソシアネート(IPDI)の各ブタノンオキシムブロック体1:1の混合物を、NCO/OH=1.0 となるように添加し、1回目ディッピング用塗布液を調製した。
続いて、2回目ディッピング用塗布液としては、
導電性酸化スズ(トリフルオロプロピルトリメトキシシラン処理品、平均粒径:0.02μm、体積抵抗率:103Ω・cm) 100質量部
疎水性シリカ(ヘキサメチルジシラザン処理品、平均粒径:0.012μm、体積抵抗率:1016Ω・cm) 10質量部
とし、ペイントシェーカー分散時間を16時間に変更した以外は、1回目ディッピング用塗布液と同様にして2回目ディッピング用塗布液を作製した。
上記弾性層の表面上に上記表面層用塗布液をディッピング法にて2回コートした。引き上げ速度については、初期の速度を16mm/sとし、その後、1秒間に1.125mm/sずつ速度を直線的に減速させた。まず、1回目ディッピング用塗布液を塗工した後、10〜30分間常温で風乾し、ローラーを反転させて2回目ディッピング用塗布液を1回目ディッピング用塗布液と同様にして塗工した。その後、30分間以上常温で風乾し、続いて、熱風循環乾燥機中で温度160℃にて1時間乾燥した。乾燥後の表面層の層厚は15μmであった。
作製した帯電ローラーについて、以下の項目について測定を行った。
・表面層における微粒子の平均粒径および含有率
帯電部材の切片(表面層を含む)をアクリル樹脂で硬化し、これを、ミクロトームで切削することにより透過型電子顕微鏡写真用の薄片を作製した。本試料の透過型電子顕微鏡写真を観察し、上述したように平均粒径を求めた。
本参考例の帯電ローラーの表面層下部および表面層上部における微粒子の平均粒径および含有率を表1に示す。
また、平均粒径および含有率をもとめた透過型電子顕微鏡写真の1部を図9〜図11に示す。図9は表面層全体の様子、図10は表面層下部、図11は表面層上部の様子を示している。
・弾性層および表面層硬度の測定
上述した方法により、弾性層および表面層の硬度を測定した。
弾性層の硬度は50°であった。
表面層に関しては、1回目ディッピング用塗布液で作製したシートサンプルの硬度が90°、2回目ディッピング用塗布液で作製したシートサンプルの硬度が95°であり、ともに弾性層の硬度50°よりも高かったため、表面層全体の硬度は弾性層の硬度よりも高いとみなせる。
・帯電ローラーに直流電圧のみを印加した際の帯電均一性評価
図12に示す構成の電子写真装置に、上記帯電ローラーを取り付け、環境1(温度23℃、湿度55%)、環境2(温度32.5℃、湿度80%)、環境3(温度15℃、湿度10%)の各環境下において、ハーフトーン画像を出力した。本参考例において使用する電子写真装置は、94mm/sおよび30mm/sのプロセススピードを有する。また、このとき、電子写真感光体1の表面電位VDは、−600Vとなるように各環境において印加電圧を調節して画像を出力した。
結果を表1に示す。
表中の画像レベルは、ランク1が非常に良い、ランク2は良い、ランク3はハーフトーン画像上微かにスジおよびポチ状の画像欠陥がある、ランク4はスジおよびポチ状の画像欠陥が目立つ、というレベルである。
・帯電ローラーのピンホールリーク性評価
電子写真感光体上に直径0.1mmおよび直径0.2mmのピンホールを形成し、この電子写真感光体と上記帯電ローラーを図12に示す構成の電子写真装置に取り付け、帯電均一性評価と同様に、各環境でハーフトーン画像を出力した。帯電ローラーには直流電圧に交流電圧を重畳させた電圧を印加した(直流:−600V、交流:周波数/1000Hz、Vpp/1800V)。
結果を表1に示す。
表中の画像レベルは、ランク1がハーフトーン画像上にリークなし、ランク2は直径0.1mmのピンホール両側に3mm以内のリーク画像あり、ランク3は直径0.1mmのピンホールでリークあり、ランク4は直径0.2mmのピンホールでリークあり、というレベルである。
・帯電ローラーに直流電圧のみを印加した際の耐久性評価
上記帯電均一性とピンホールリーク性を評価した後に、各環境で、連続10,000枚の画像出し耐久試験を行った。得られた画像を目視にて観察することによって、帯電ローラーの耐久性を評価した。本評価においては、帯電ローラーの摩耗性および初期機能の保持能力を画像によって評価することができる。
結果を表2に示す。
表中の画像レベルは、ランク1が初期画像と変わりなし、ランク2はハーフトーン画像でかすかにガサツキあり(かすかな摩耗による)、ランク3はハーフトーン画像でかすかにガサツキおよびポチが発生(摩耗によるわずかな微粒子の脱落あり)、ランク4はハーフトーン画像でガサツキおよびポチが発生、というレベルである。
<参考例2>
本参考例の帯電ローラーについては、実施例1と同様にして弾性層を得た。
上記弾性層の上に表面層2dを被覆形成した。表面層2dは以下に示す表面層用塗布液をディッピング法にてコート成形した。ディッピング回数は3回とした。
まず、1回目および2回目ディッピング用塗布液として、表面層2dの材料として、
カプロラクトン変性アクリルポリオール溶液 100質量部
メチルイソブチルケトン 350質量部
導電性酸化スズ(ヘキシルトリメトキシシラン処理品、平均粒径:0.10μm、体積抵抗率:35Ω・cm) 220質量部
変性ジメチルシリコーンオイル 0.02質量部
を用い、ガラス瓶を容器として混合溶液を作製した。これに、分散メディアとして、ガラスビーズ(平均粒径:1.0mm)を充填率70%になるように充填し、ペイントシェーカー分散機を用いて7時間分散した。分散溶液にヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とイソホロンジイソシアネート(IPDI)の各ブタノンオキシムブロック体3:1の混合物を、NCO/OH=1.1となるように添加し、1回目および2回目ディッピング用の表面層用塗布液を調製した。
続いて、3回目ディッピング用塗布液としては、
導電性酸化スズ(ヘキシルトリメトキシシラン処理品、平均粒径:0.02μm、体積抵抗率:20Ω・cm) 100質量部
を用い、分散メディアのガラスビーズを平均粒径0.8mmに、そして、ペイントシェーカー分散時間を25時間に変更した以外は、1回目および2回目ディッピング用塗布液と同様にして3回目ディッピング用塗布液を作製した。
上記弾性層の表面上に上記表面層用塗布液をディッピング法にて3回コートした。1回目および2回目は引き上げ速度を7mm/sに固定した。まず、1回目ディッピング用塗布液を塗工した後、10〜30分間常温で風乾し、ローラーを反転させて1回目ディッピング用塗布液と同じ塗布液を同様に塗工した。その後、10〜30分間常温で風乾し、3回目ディッピング用塗布液を塗工した。3コート目は、上記塗布液を、実施例1と同様に引き上げスピードを変化させて塗工を行った。塗工後、30分間以上常温で風乾し、続いて、熱風循環乾燥機中で温度160℃にて1時間乾燥した。乾燥後の表面層の層厚は25μmであった。
作製した帯電ローラーについて、実施例1と同様に表面層における平均粒径および含有率を求めた。結果を表1に示す。
1回目および2回目ディッピング用塗布液で作製したシートサンプルの硬度は89°、3回目ディッピング用塗布液で作製したシートサンプルの硬度は86°であり、すべて弾性層の硬度50°よりも高かったため、表面層全体の硬度は弾性層の硬度よりも高いとみなせる。
また、本参考例の帯電ローラーについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1および表2に示す。
<実施例3>
本実施例の帯電ローラーについては、実施例1と同様にして弾性層を得た。
上記弾性層の上に表面層2dをディッピング法にて2回コートを行った。表面層2dは実施例1の1回目ディッピング用塗布液と同様のものを2度使用した。引き上げ速度は7mm/sに固定した。
まず、1回目ディッピング用塗布液を塗工した後、10〜30分間常温で風乾した。このとき、塗布液も同じ時間静置した。その後、ローラーを反転させて1回目ディッピング用塗布液と同様の塗工液を塗工した。塗工後、30分間以上常温で風乾し、続いて、熱風循環乾燥機中で温度160℃にて1時間乾燥した。乾燥後の表面層の層厚は20μmであった。
作製した帯電ローラーについて、実施例1と同様に表面層における平均粒径および含有率を求めた。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして、表面層の硬度を求めた。ディッピング用塗布液で作製したシートサンプルの硬度は89°であり、弾性層の硬度50°よりも高かったため、表面層全体の硬度は弾性層の硬度よりも高いとみなせる。
また、本実施例の帯電ローラーについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1および表2に示す。
<参考例4>
本参考例の帯電ローラーについては、実施例1と同様にして弾性層を得た。
上記弾性層の上に表面層2dをディッピング法にて1回コートを行った。表面層2dは実施例1の1回目ディッピング用塗布液と同様のものを使用した。引き上げ速度は初期の速度を25mm/sにした以外は実施例1と同じであった。
塗工後、30分間以上常温で風乾し、続いて、熱風循環乾燥機中で温度160℃にて1時間乾燥した。乾燥後の表面層の層厚は18μmであった。
作製した帯電ローラーについて、実施例1と同様に表面層における平均粒径および含有率を求めた。結果を表1に示す。
ディッピング用塗布液で作製したシートサンプルの硬度(=表面層の硬度)は88°であった。
また、本参考例の帯電ローラーについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1および表2に示す。
<参考例5>
本参考例の帯電ローラーについては、参考例2で用いた1回目および2回目ディッピング用塗布液において、導電性酸化スズを表面未処理品(平均粒径:0.10μm、体積抵抗率:10Ω・cm)に変更した以外は、参考例2と同様にして帯電ローラーを作製した。乾燥後の表面層の層厚は40μmであった。
作製した帯電ローラーについて、実施例1と同様に表面層における平均粒径および含有率を求めた。結果を表1に示す。
1回目および2回目ディッピング用塗布液で作製したシートサンプルの硬度は90°、3回目ディッピング用塗布液で作製したシートサンプルの硬度は86°であり、すべて弾性層の硬度50°よりも高かったため、表面層全体の硬度は弾性層の硬度よりも高いとみなせる。
また、本参考例の帯電ローラーについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1および表2に示す。
<参考例6>
次のようにして帯電ローラーを作製した。
NBR 100質量部
四級アンモニウム塩(実施例1と同様) 4質量部
炭酸カルシウム 30質量部
酸化亜鉛 5質量部
脂肪酸 2質量部
以上の材料を50℃に調節した密閉型ミキサーにて10分間混練し、20℃に冷却した密閉型ミキサーでさらに20分間混練し、原料コンパウンドを調製した。このコンパウンドに原料ゴムのNBR100質量部に対して加硫剤としての硫黄1質量部、加硫促進剤としてのノクセラーTS3質量部を加え、20℃に冷却した2本ロール機にて10分間混練した。得られたコンパウンドを、直径6mmステンレス製芯金の周囲にローラー状になるように押出成型機にて成型し、加熱加硫成型した後、外径12mmになるように研磨処理して弾性層を得た。ローラー長は232mmとした。
上記弾性層の上に表面層2dを被覆形成した。表面層2dは以下に示す表面層用塗布液をディッピング法にてコート成形した。ディッピング回数は2回とした。
まず、1回目ディッピング用塗布液として、
カプロラクトン変性アクリルポリオール溶液 100質量部
メチルエチルケトン 200質量部
カーボンブラック(ヘキシルトリメトキシシラン処理品、平均粒径:0.2μm、体積抵抗率:0.1Ω・cm) 25質量部
を混合して混合溶液を作製した。ガラスビーズ(平均粒径:0.8mm)を分散メディアとして、上記分散メディアを80%充填したビーズミル分散機を用い、この分散機中に上記混合溶液を5回循環させて分散を行った。分散溶液にヘキサメチレンジイソシアネートブタノンオキシムブロック体をNCO/OH=1.0の割合となるように加え、表面層用塗布液を調製し、1回目ディッピング用塗布液を調製した。
続いて、2回目ディッピング用塗布液としては、カーボンブラックを
カーボンブラック(ヘキシルトリメトキシシラン処理品、平均粒径:0.06μm、体積抵抗率:10Ω・cm) 5質量部
に変更し、ビーズミル分散を100回循環に変更した以外は1回目ディッピング用塗布液と同様にして2回目ディッピング用塗布液を作製した。
続いて、実施例1と同様にして、表面層を塗工した。表面層の層厚は21μmであった。
作製した帯電ローラーについて、実施例1と同様に表面層における平均粒径および含有率を求めた。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして、弾性層および表面層の硬度を求めた。
弾性層の硬度は45°であった。
1回目ディッピング用塗布液で作製したシートサンプルの硬度は80°、2回目ディッピング用塗布液で作製したシートサンプルの硬度は76°であり、すべて弾性層の硬度45°よりも高かったため、表面層全体の硬度は弾性層の硬度よりも高いとみなせる。
また、本参考例の帯電ローラーについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1および表2に示す。
<参考例7>
本参考例の帯電ローラーについては、参考例4と同様にして弾性層を得た。
上記弾性層の上に表面層2dを被覆形成した。表面層2dは以下に示す表面層用塗布液をディッピング法にてコート成形した。ディッピング回数は2回とした。
まず、1回目ディッピング用塗布液として、
ポリウレタン樹脂 100質量部
メチルエチルケトン 200質量部
カーボンブラック(イソプロピルトリイソステアロイルチタネート処理品、平均粒径:0.1μm、体積抵抗率:1Ω・cm) 30質量部
を混合して混合溶液を作製した。ガラスビーズ(平均粒径:0.8mm)を分散メディアとして、上記分散メディアを80%充填したビーズミル分散機を用い、この分散機中に上記混合溶液を10回循環させて分散を行い、1回目ディッピング用の表面層用塗布液を調製した。
続いて、2回目ディッピング用塗布液としては、
ポリウレタン樹脂 100質量部
メチルエチルケトン 200質量部
導電性酸化スズ(ヘキシルトリメトキシシラン処理品、平均粒径:0.02μm、体積抵抗率:20Ω・cm) 50質量部
を用い、ガラス瓶を容器として混合溶液を作製した。これに、分散メディアとして、ガラスビーズ(平均粒径:0.8mm)を充填率80%になるように充填し、ペイントシェーカー分散機を用いて6時間分散した。
続いて、実施例1と同様にして、表面層を塗工した。表面層の層厚は25μmであった。
作製した帯電ローラーについて、実施例1と同様に表面層における平均粒径および含有率を求めた。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして、弾性層および表面層の硬度を求めた。
1回目ディッピング用塗布液で作製したシートサンプルの硬度は58°、2回目ディッピング用塗布液で作製したシートサンプルの硬度は65°であり、すべて弾性層の硬度50°よりも高かったため、表面層全体の硬度は弾性層の硬度よりも高いとみなせる。
また、本参考例の帯電ローラーについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1および表2に示す。
<参考例8>
本参考例の帯電ローラーについては、参考例4と同様にして弾性層を得た。
上記弾性層の上に表面層2dを被覆形成した。表面層2dは以下に示す表面層用塗布液をディッピング法にてコート成形した。ディッピング回数は2回とした。
まず、1回目ディッピング用塗布液として、
ポリビニルブチラール樹脂 100質量部
エタノール 200質量部
カーボンブラック(イソプロピルトリイソステアロイルチタネート処理品、平均粒径:0.1μm、体積抵抗率:2Ω・cm) 50質量部
を用い、ガラス瓶を容器として混合溶液を作製した。これに、分散メディアとして、ガラスビーズ(平均粒径:0.8mm)を充填率50%になるように充填し、ペイントシェーカー分散機を用いて0.5時間分散し、1回目ディッピング用塗布液を調製した。
続いて、2回目ディッピング用塗布液としては、
ポリビニルブチラール樹脂 100質量部
エタノール 200質量部
カーボンブラック(ヘキシルトリメトキシシラン処理品、平均粒径:0.1μm、体積抵抗率:10Ω・cm) 50質量部
を用い、ガラス瓶を容器として混合溶液を作製した。これに、分散メディアとして、ガラスビーズ(平均粒径:0.8mm)を充填率70%になるように充填し、ペイントシェーカー分散機を用いて3時間分散した。
続いて、実施例1と同様にして、表面層を塗工した。表面層の層厚は25μmであった。
作製した帯電ローラーについて、実施例1と同様に表面層における平均粒径および含有率を求めた。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして、表面層の硬度を求めた。
1回目ディッピング用塗布液で作製したシートサンプルの硬度は60°、2回目ディッピング用塗布液で作製したシートサンプルの硬度は61°であり、すべて弾性層の硬度50°よりも高かったため、表面層全体の硬度は弾性層の硬度よりも高いとみなせる。
また、本参考例の帯電ローラーについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1および表2に示す。
<参考例9>
本参考例では、参考例4において、1回目ディッピング用塗布液および2回目ディッピング用塗布液双方に、
アルミナ(表面未処理品、平均粒径:0.03μm、体積抵抗率:1011Ω・cm)10質量部
を添加した以外は、参考例4と同様にして帯電ローラーを作製した。表面層の層厚は30μmであった。
作製した帯電ローラーについて、実施例1と同様に表面層における平均粒径および含有率を求めた。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして、表面層の硬度を求めた。
1回目ディッピング用塗布液で作製したシートサンプルの硬度は81°、2回目ディッピング用塗布液で作製したシートサンプルの硬度は78°であり、すべて弾性層の硬度50°よりも高かったため、表面層全体の硬度は弾性層の硬度よりも高いとみなせる。
また、本参考例の帯電ローラーについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1および表2に示す。
<参考例10>
本参考例では、参考例4において、1回目ディッピング用塗布液および2回目ディッピング用塗布液双方に、
酸化チタン(ヘキシルトリメトキシシラン処理品、平均粒径:0.03μm、体積低効率:100Ω・cm) 10質量部
を添加した以外は、参考例4と同様にして帯電ローラーを作製した。表面層の層厚は35μmであった。
作製した帯電ローラーについて、実施例1と同様に表面層における平均粒径および含有率を求めた。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして、表面層の硬度を求めた。
1回目ディッピング用塗布液で作製したシートサンプルの硬度は76°、2回目ディッピング用塗布液で作製したシートサンプルの硬度は72°であり、すべて弾性層の硬度50°よりも高かったため、表面層全体の硬度は弾性層の硬度よりも高いとみなせる。
また、本参考例の帯電ローラーについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1および表2に示す。
<参考例11>
本参考例では、参考例5において、94mm/sおよび47mm/sのプロセススピードを有する電子写真装置を用いた以外は、参考例5と同様の評価を行った。結果を表1および表2に示す。
<参考例12>
本参考例では、参考例5において、評価機として94mm/sおよび16mm/sのプロセススピードを有する電子写真装置を用いた以外は、参考例5と同様の評価を行った。結果を表1および表2に示す。
<比較例1>
比較例1において下記の方法で帯電ローラーを作製した。
EPDM 100質量部
導電性カーボンブラック(表面未処理品) 20質量部
酸化亜鉛 100質量部
脂肪酸 2質量部
以上の材料を60℃に調節した密閉型ミキサーにて10分間混練した後、EPDM100質量部に対してパラフィンオイル15質量部を加え、20℃に冷却した密閉型ミキサーでさらに20分間混練し、原料コンパウンドを調製した。このコンパウンドに原料のゴムのEPDM100質量部に対し加硫剤としての硫黄0.5質量部、加硫促進剤としてのMBT(2−メルカプトベンゾチアゾール)1質量部、TMTD(テトラメチルチウラムジスルフィド)1質量部、ZnMDC(ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛)1.5質量部を加え、20℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練した。得られたコンパウンドを、直径6mmステンレス製の芯金の周囲に外径12mmのローラー状になるようにプレス成型機にて加熱加硫成型することにより弾性層を得た。ローラー長は232mmであった。
表面層2dは以下に示す表面層用塗布液をディッピング法にてコート成形した。ディッピング回数は1回とした。
まず、ディッピング用塗布液として、
ポリビニルブチラール樹脂 100質量部
エタノール 200質量部
カーボンブラック(表面未処理品、平均粒径:0.1μm、体積抵抗率:0.8Ω・cm) 25質量部
を用い、ガラス瓶を容器として混合溶液を作製した。これに、分散メディアとして、ガラスビーズ(平均粒径:0.8mm)を充填率80%になるように充填し、ペイントシェーカー分散機を用いて24時間分散し、表面層用塗布液を調製した。
上記塗布液を用い、実施例1と同様にして、表面層を塗工した。表面層の層厚は16μmであった。
作製した帯電ローラーについて、実施例1と同様に表面層における平均粒径および含有率を求めた。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして、弾性層および表面層の硬度を求めた。
弾性層の硬度は55°、表面層の硬度は54°であった。
また、本比較例の帯電ローラーについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1および表2に示す。
<比較例2>
本比較例の帯電ローラーについては、比較例1と同様にして弾性層を得た。本比較例の表面層2dはディッピング法にて2回コートすることにより成形した。1回目のディッピング用塗布液として比較例1のディッピング用塗布液と同様の塗布液を用いて、比較例1と同様の方法で塗布した。
2回目ディッピング用塗布液としては、
ポリビニルブチラール樹脂 100質量部
エタノール 200質量部
カーボンブラック(比較例1と同様) 50質量部
を用い、ペイントシェーカーで6時間分散にした以外は、1回目ディッピング用塗布液と同様にして作製した。
続いて、実施例1と同様にして、表面層を塗工した。表面層の層厚は40μmであった。
作製した帯電ローラーについて、実施例1と同様に表面層における平均粒径および含有率を求めた。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして、表面層の硬度を求めた。
1回目ディッピング用塗布液で作製したシートサンプルの硬度は54°、2回目ディッピング用塗布液で作製したシートサンプルの硬度は52°であり、すべて弾性層の硬度55°よりも低かったため、表面層全体の硬度は弾性層の硬度よりも低いとみなせる。
また、本比較例の帯電ローラーについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1および表2に示す。
<比較例3>
本比較例の帯電ローラーについては、比較例2の2回目ディッピング用塗布液において、カーボンブラックを0部とした以外は比較例2と同様にして作製した。
作製した帯電ローラーについて、実施例1と同様に表面層における平均粒径および含有率を求めた。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして、表面層の硬度を求めた。
1回目ディッピング用塗布液で作製したシートサンプルの硬度は54°、2回目ディッピング用塗布液で作製したシートサンプルの硬度は50°であり、すべて弾性層の硬度55°よりも低かったため、表面層全体の硬度は弾性層の硬度よりも低いとみなせる。
また、本比較例の帯電ローラーについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1および表2に示す。
<比較例4>
本比較例の帯電ローラーについては、比較例1と同様にして弾性層を得た。
本比較例の表面層2dはディッピング法にて2回コートすることにより成形した。
まず、1回目ディッピング用塗布液として、
SEBS(スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン) 100質量部
メタノール 100質量部
トルエン 100質量部
カーボンブラック(表面未処理品、平均粒径:0.2μm、体積抵抗率:2Ω・cm) 50質量部
を用い、ガラス瓶を容器として混合溶液を作製した。これに、分散メディアとして、ガラスビーズ(平均粒径:0.8mm)を充填率50%になるように充填し、ペイントシェーカー分散機を用いて0.5時間分散し、1回目ディッピング用塗布液を調製した。
2回目ディッピング用塗布液としては、
SEBS(スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン) 100質量部
メタノール 100質量部
トルエン 100質量部
カーボンブラック(表面未処理品、平均粒径:0.15μm、体積抵抗率:2Ω・cm)70質量部
を用い、ペイントシェーカーで2時間分散にした以外は、1回目ディッピング用塗布液と同様にして作製した。
続いて、実施例1と同様にして、表面層を塗工した。表面層の層厚は32μmであった。
作製した帯電ローラーについて、実施例1と同様に表面層における平均粒径および含有率を求めた。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして、表面層の硬度を求めた。
1回目ディッピング用塗布液で作製したシートサンプルの硬度は53°、2回目ディッピング用塗布液で作製したシートサンプルの硬度は54°であり、すべて弾性層の硬度55°よりも低かったため、表面層全体の硬度は弾性層の硬度よりも低いとみなせる。
また、本比較例の帯電ローラーについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1および表2に示す。
<比較例5>
本比較例の帯電ローラーについては、比較例1と同様にして弾性層を得た。
本比較例の表面層2dはディッピング法にて2回コートすることにより成形した。
まず、ディッピング用塗布液として、
SEBS(スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン) 100質量部
メタノール 100質量部
トルエン 100質量部
カーボンブラック(イソプロピルトリイソステアロイルチタネート処理品、平均粒径:0.02μm、体積抵抗率:0.8Ω・cm) 10質量部
を混合して混合溶液を作製した。ガラスビーズ(平均粒径:0.3mm)を分散メディアとして、上記分散メディアを85%充填したビーズミル分散機を用い、この分散機中に上記混合溶液を72時間循環させて分散を行い、表面層用塗布液を調製した。
2回目ディッピング用塗布液としては、
SEBS(スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン) 100質量部
メタノール 100質量部
トルエン 100質量部
カーボンブラック(表面未処理品、平均粒径:0.15μm、体積抵抗率:2Ω・cm) 5質量部
を用い、分散時間を100時間にした以外は、1回目ディッピング用塗布液と同様にして作製した。
続いて、実施例1と同様にして、表面層を塗工した。表面層の層厚は26μmであった。
作製した帯電ローラーについて、実施例1と同様に表面層における平均粒径および含有率を求めた。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして、表面層の硬度を求めた。
1回目ディッピング用塗布液で作製したシートサンプルの硬度は50°、2回目ディッピング用塗布液で作製したシートサンプルの硬度は51°であり、すべて弾性層の硬度55°よりも低かったため、表面層全体の硬度は弾性層の硬度よりも低いとみなせる。
また、本比較例の帯電ローラーについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1および表2に示す。
本発明の導電性部材の一例を示す概略図である。
本発明の導電性部材の他の例を示す概略図である。
本発明の導電性部材の他の例を示す概略図である。
本発明の導電性部材の他の例を示す概略図である。
本発明の導電性部材の他の例を示す概略図である。
本発明の導電性部材の他の例を示す概略図である。
本発明の導電性部材の他の例を示す概略図である。
本発明の導電性部材の他の例を示す概略図である。
本発明の導電性部材において表面層全体における電子顕微鏡写真を示す図である。
本発明の導電性部材において内側部の電子顕微鏡写真を示す図である。
本発明の導電性部材において外側部の電子顕微鏡写真を示す図である。
本発明の電子写真装置の一例を示す概略構成図である。
符号の説明
1 電子写真感光体
2 帯電部材(帯電ローラー)
2a 支持体(導電性支持体)
2b 弾性層
2c 抵抗層
2d 表面層
2e 第2の抵抗層
3 像露光手段
4 現像手段
4a トナー担持体
4b 撹拌部材
4c トナー磁性部材
5 転写手段
6 クリーニング手段
L レーザー光
S1,S2,S3 バイアス印加電源
P 転写材