JP2009222889A - 電子写真機器用帯電ロール - Google Patents

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Abstract

【課題】直流帯電方式の電子写真機器で使用した場合に、帯電ロールとの当接跡に画像スジが発生するのを防止すると共に、高温高湿環境下で使用された場合にトナー消費量が増大しない帯電ロールを提供する。
【解決手段】軸体2の外周に沿って、導電性弾性層3、軟化剤移行防止層4、抵抗調整層5、及び保護層6から構成されている電子写真機器用帯電ロール1であって、上記保護層6がマトリックス樹脂中にマトリックス樹脂と同じ種類の樹脂からなる樹脂粒子を分散せしめて構成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真方式を利用して画像を形成する複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真機器に用いられ、感光ドラム等の像担持体を帯電させるために用いられる帯電ロールに関するものである。
従来、電子写真機器において、像坦持体面となる感光ドラムに直接接触して帯電させるために、半導電性のゴムローラ型の帯電ロールが用いられている。この接触帯電に用いられる帯電ロールは、金属製芯金等からなる軸体の外周面上に導電性弾性層からなる抵抗調整層が設けられて構成されている。
近年、フルカラーLBP(レーザービームプリンター)やフルカラーMFP(マルチファンクションプリンター)等の高画質化に伴い、電子写真機器では付着性の高い重合トナーが用いられるようになってきている。そこで本出願人は、トナーの付着防止性能や耐久性を向上させた帯電ロールとして、保護層が、N−メトキシメチル化ポリアミド100質量部に対しメラミン系樹脂を20〜80質量部添加した樹脂組成物により形成されている帯電ロールを先に提案している(特許文献1参照)。
また、電子写真機器では、小型化や低コスト化の為に、感光ドラムを帯電させる際に、交流を重畳させずに直流電圧のみを印加して、帯電ロールを感光ドラムに接触帯電させる装置が要望されている。しかし、直流電圧のみを印加して感光ドラムを接触帯電させる場合、交流電圧を重畳しないので感光ドラムを均一に帯電させるのが困難であり、帯電ムラが生じ易く、画像不良が発生し易いという問題があった。そこで、このような直流電圧のみの印加でも均一な帯電を可能とする帯電ロールが公知である(例えば、特許文献2〜3参照)。
特許文献2に記載の帯電ロールは、表面層が平均粒子径が1μm以上の粉体を含有する樹脂組成物から形成したものである。また特許文献3に記載の帯電ロールは、粗面形成用粒子を含有する保護層が形成され、保護層の表面が粗面形成用粒子に起因する凸部が高さ2.0〜9.5μmに形成されているものである。上記特許文献2〜3に記載された帯電ロールは、表面を適当な粗面にすることで帯電ムラが防止できるので、直流帯電方式のプリンターに組み込んだ場合に、圧接跡に白スジの画像異常(画像スジ)が発生することを防止できる。
特開2006−163059号公報 特開2003−202730号公報 特開2007−178559号公報
上記特許文献1に記載の帯電ロールは、直流帯電方式のプリンター等で用いた場合、感光ドラムと帯電ロールとの当接跡がヘタリとなり、印刷した画像の上記ヘタリ部分に白スジとなる画像異常が発生するという問題があった。
そこで、上記特許文献2〜3に記載の帯電ロールの様に、特許文献1の帯電ロールの保護層に粗面形成用粒子を含有させることを試みた。この保護層に粗面形成用粒子を添加した帯電ロールは、粗面形成用粒子により、圧接跡に白スジの画像異常が発生するのを防止できた。しかしながら、その帯電ロールを高温高湿環境下で使用した際に、帯電ロールが過剰に帯電し、過放電により現像バイアスとのバランスがとれなくなり、印刷の際にトナー消費量が増加してしまうという問題があることが判った。このようにトナー消費量が増加することは、トナーカートリッジの使用可能期間を短くしてしまうことから、電子写真機器にとってきわめて重大な問題である。
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点を解決することにあり、直流帯電方式の電子写真機器で使用した場合に、帯電ロールとの当接跡に画像スジが発生するのを防止すると共に、高温高湿環境下で使用された場合にトナー消費量が増大しない帯電ロールを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る電子写真機器用帯電ロールは、軸体の外周に設けられた抵抗調整層と、マトリックス樹脂中に樹脂粒子が分散している保護層とを少なくとも備える帯電ロールであって、上記保護層のマトリックス樹脂及び樹脂粒子の樹脂が同じ種類の樹脂であることを要旨とするものである。
上記保護層のマトリックス樹脂及び樹脂粒子の樹脂がポリアミドであることや、上記保護層の樹脂粒子の平均粒径が10〜20μmであることや、上記保護層の樹脂粒子の含有量が上記マトリックス樹脂100質量部に対し10〜40質量部であることや、上記保護層の厚みが5〜40μmであることや、上記保護層のマトリックス樹脂がN−メトキシメチル化ポリアミドであることが好ましい。
本発明に係る電子写真機器用帯電ロールは、上記保護層のマトリックス樹脂と樹脂粒子の樹脂が同じ種類の樹脂であることにより、直流帯電方式の電子写真機器で使用した場合に、保護層に粗面形成用粒子が帯電ロールとの当接跡に画像スジが発生せず、しかも帯電ロール表面に高温高湿環境下で使用された場合にトナー消費量が増大しないので、トナーカートリッジのライフが短くなることがない。すなわち、本発明によれば、従来は不可能であった、印刷した画像に画像異常が発生しない良好な印刷特性を維持しつつ、トナーの消費量を増大させずにカートリッジのライフが短くならない帯電ロールが得られる。
以下、図面を用いて本実施形態に係る帯電ロールについて詳細に説明する。図1(a)は、本発明の電子写真機器用帯電ロールの一例を示す外観斜視図であり、同図(b)は、(a)のB−B線断面を示す、帯電ロールの周方向断面図である。本発明の電子写真機器用帯電ロール1(以下、単に帯電ロールという)は、図1(a)、(b)に示すように、導電性を有する軸体2の外周に設けられた抵抗調整層5と、マトリックス樹脂中に粗さ形成用の樹脂粒子が分散している保護層6とを少なくとも備えており、上記保護層6のマトリックス樹脂と樹脂粒子の樹脂は、同じ種類の樹脂から形成されている。
図1に示す態様の帯電ロールは、軸体2の外周に沿って導電性弾性層3が形成され、該導電性弾性層3の外周に沿って軟化剤移行防止層4が形成され、該軟化剤移行防止層4の外周に沿って抵抗調整層5が形成され、更に該抵抗調整層5の外周に沿って、帯電ロール1の最表面となる位置に保護層6が形成されている。
なお保護層6のマトリックス樹脂と樹脂粒子の樹脂は、同じ種類の樹脂であればよく、必ずしも同一の樹脂である必要はない。保護層6のマトリックス樹脂と樹脂粒子の樹脂で特に好ましいのは、それぞれの樹脂を接触帯電させた場合に、発生する帯電電位が近くなるような樹脂を用いることである。以下、この理由を説明する。
本発明は保護層6のマトリックス樹脂と樹脂粒子の樹脂に同種の樹脂を用いることで、高温高湿下であっても帯電ロールが過剰に帯電し過放電することを防止できるが、マトリックス樹脂と樹脂粒子の樹脂が異なる種類の場合、帯電ロールにおける過剰な帯電を抑制することができない。これは、以下の様なメカニズムによるものと考えられる。一般に、物質間でその帯電列が異なる程、摩擦帯電による電位差が大きくなる。帯電ロール1が回転して感光ドラムを帯電する際、保護層6において摩擦帯電が発生する場合、マトリックス樹脂と樹脂粒子の樹脂の種類が異なると、帯電列が異なることから、マトリックス樹脂と樹脂粒子の間の電位差が大きくなり、過放電が発生し易くなるものと推測される。これに対し、本発明では、保護層6のマトリックス樹脂と樹脂粒子の樹脂が同じ種類の樹脂を用いたことから、摩擦帯電の際にマトリックス樹脂と樹脂粒子の間の電位差が大きくなることはない。その結果、本発明帯電ロールは、感光ドラム等を帯電させる際に、過放電が発生しないのでトナー消費量を抑制することができる。
このように保護層6のマトリックス樹脂と樹脂粒子の樹脂は、その種類が同じであれば、帯電電位の差が小さいので、マトリックス樹脂と樹脂粒子が同一の樹脂でなくても、過放電を防止できる。また保護層6のマトリックス樹脂と樹脂粒子の樹脂として、同じ種類の樹脂であっても帯電電位の差が小さい樹脂を選択すれば、更に良好に過放電を防止できる。
保護層6に含有する樹脂粒子は、平均粒径が5〜40μmであるのが好ましく、更に好ましくは、10〜20μmである。この樹脂粒子の平均粒径は、レーザー回折法により測定されたものである。また保護層6の樹脂粒子の配合量は、保護層6のマトリックス樹脂成分100質量部に対し、10〜40質量部であるのが好ましい。
保護層6は、表面粗さは(Rz)が、5〜30μmであるのが好ましい。表面粗さが、5μm未満であると粒子添加による画像白スジ発生防止効果が得られない虞がある。また表面粗さが、30μmを超えると放電ムラが発生し、画像ムラが発生する虞がある。上記表面粗さは、JIS B 0601の表面粗さで定義される十点平均粗さに準拠して測定される値である。
保護層6の厚みは、帯電ロール1の導電性及び耐摩耗性等に応じて、適宜選択することができる。保護層6の厚みは、5〜40μmが好ましく、更に好ましくは6〜20μmである。保護層6の厚みが5μm未満であると、厚みが薄すぎることから、亀甲模様状のしわ(収縮しわ)が発生しやすく、そのしわにトナーの外添剤が入り込んでトナー付着を引き起こしやすくなる虞がある。また保護層6の厚みが40μmを超えると、コーティング性等の加工性が低下する虞がある。
保護層6の電気抵抗は、1×105 〜1×1011Ω・cmが好ましく、更に好ましくは1×108 〜1×1010Ω・cmである。
また保護層6は、伸び(EB)が100〜200%の範囲であると、ロール表面への微小クラックの発生も、より抑えることができるので好ましい。上記伸びは、例えば、保護層形成材料を用いて樹脂シートを作製し、JIS K6301−1995に準じて、測定することができる。
上記保護層6のマトリックス樹脂と樹脂粒子の樹脂として用いられる同じ種類の樹脂は、ポリアミド、ポリウレタン、アクリル樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等を用いることができる。
保護層6のマトリックス樹脂と樹脂粒子の樹脂に用いられる樹脂は、ポリアミドを用いることが好ましい。更に保護層6のマトリックス樹脂は、ポリアミドの中でも、N−メトキシメチル化ポリアミドが好ましい。
保護層6には、架橋剤を添加することが好ましい。例えば、保護層のマトリックス樹脂にN−メトキシメチル化ポリアミドを用いた場合、架橋剤としてはメラミン系樹脂を用いるのが好ましい。メラミン系樹脂がN−メトキシメチル化ポリアミドの分子間を架橋することで、硬度が高くなり、吸湿が制限され、温度や湿度の変化に対して導電性の変動が小さくなる。この場合、N−メトキシメチル化ポリアミド100質量部に対し、メラミン系樹脂が20〜80部の割合で配合するのが好ましい。上記メラミン系樹脂の配合量は、更に好ましくはN−メトキシメチル化ポリアミド100質量部に対し30〜60質量部の範囲である。メラミン系樹脂の配合量が20質量部未満であると、耐トナー付着性が低下し、配合量が80質量部を超えると、ロールの耐久性(耐割れ性)や低硬度化等が低下する。
保護層6のマトリックス樹脂として、N−メトキシメチル化ポリアミドを用い、架橋剤にメラミン系樹脂を用い、上記の特定の配合割合であると、重合トナーに対する耐トナー付着性と耐久性(ロール表面の耐割れ性)が良好な帯電ロール1が得られる。この場合、特にフルカラーLBPやフルカラーMFPの用途に最適であり、この用途の電子写真機器に使用した場合、長期にわたり良好な複写画像を得ることができる。
N−メトキシメチル化ポリアミドは、下記の式(1)に示す繰り返し単位を有するポリアミドであり、アミド結合の水素が部分的にメトキシメチル基で置換されている。下記の式(1)におけるmが5である「8−ナイロン」が、好ましく用いられる。メトキシメチル化ポリアミドの電気抵抗は1×106 〜1×1010Ω・cmの範囲が好ましい。
Figure 2009222889
上記N−メトキシメチル化ポリアミドは、そのメトキシメチル化度(以下、M・M化度と略記する)が20〜40%の範囲が好ましく、更に好ましくは30%付近である。N−メトキシメチル化ポリアミドのM・M化度が20%未満であると、保護層6の硬度が高すぎて、感光体を摩耗させたり傷付ける虞があり、M・M化度が40%を超えると、保護層6の硬度が低すぎて、保護層6自体が摩耗する虞がある。
上記の架橋剤として用いられるメラミン系樹脂としては、特に限定されず、メラミン、尿素、チオ尿素、グアニジン、グアナミン等の多官能のアミノ基を有する材料と、ホルムアルデヒドとを反応させることにより得られる、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、ジメチロール尿素、ジメチロールグアニジンや、また、一価アルコールでエーテル化したりメトキシメチル化をしたメラミン樹脂等が挙げられる。これらは1種又は2種以上混合されていても良い。メラミン系樹脂の分子量は、通常、100〜4000であり、好ましくは100〜500である。
また保護層には、上記の架橋剤以外に、導電剤(カーボンブラック等の電子系導電剤、及び/又は、第4級アンモニウム塩等のイオン系導電剤)、離型剤、安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、染料、顔料、難燃剤等の添加剤が1種又は2種以上含まれていても良い。
保護層6は、有機溶剤等の溶剤中に上記保護層組成物を溶解・分散させてなる保護層コーティング液を塗工し、乾燥或いは加熱・硬化させることで形成することができる。保護層コーティング液に用いられる上記有機溶媒は、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、メタノール、トルエン、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。こららは混合して使用しても良い。上記コーティング方法としては、例えば、ロールコーティング法、ディッピング法、スプレーコート法等が挙げられる。
保護層6の形成材料として、N−メトキシメチル化ポリアミド、メラミン系樹脂、ポリアミドからなる樹脂粒子を用いる場合は、溶剤としてメタノール/水混合溶液を用いることが好ましい。上記のコーティング液は、塗工性等の点から、粘度が0.005〜6Pa・sであるのが好ましい。
帯電ロール1に用いられる軸体2は、特に限定されるものではなく、例えば、図示したような、金属製の中実体よりなる芯金以外に、内部を中空にくり抜いた金属製の円筒体、又はこれらにめっきが施された導電性シャフト等を用いることができる。軸体2の形成材料としては、例えば、アルミニウム、ステンレス等の金属が挙げられる。また必要に応じ、軸体2の表面に接着剤、プライマー等を塗布しても良い。上記接着剤、プライマー等には、必要に応じて導電化を行っても良い。
導電性弾性層3は、導電性及び弾性を有するものであればよく、非発泡体(ソリッド状)又は発泡体(スポンジ状)のいずれでも良い。また導電性弾性層3は複数層から構成しても良い。導電性弾性層3の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.1〜10mm、より好ましくは1〜6mmの範囲に形成することができる。
導電性弾性層3は、例えば主成分として、ポリノルボルネンゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、天然ゴム(NR)等のゴム成分が用いられる。これらは1種又は2種以上混合されていても良い。
導電性弾性層3には、導電性付与のため、カーボンブラック、グラファイト、チタン酸カリウム、酸化鉄、c−TiO、c−ZnO、c−SnO、イオン導電剤(四級アンモニウム塩、ホウ酸塩、界面活性剤等)等の公知の導電剤を、上記材料中に適宜添加することができる。さらに、必要に応じて、発泡剤、架橋剤、架橋促進剤、オイル等を適宜添加しても良い。
軟化剤移行防止層4の形成材料としては、例えば、N−メトキシメチル化ポリアミド等のポリアミドやポリエステル等に、カーボンブラック等の導電剤を配合したものを用いることができる。軟化剤移行防止層4の厚みは、3〜30μmが好ましく、特に好ましくは5〜10μmである。軟化剤移行防止層4の形成材料(コーティング液)は、各成分を、ボールミルやロール等で混練し、この混合物に溶剤を加えて混合攪拌することにより調製することができる。
抵抗調整層5は、イオン導電性ポリマーを主成分とする抵抗調整層組成物を用いて、ソリッド体(非発泡体)として形成されている。抵抗調整層組成物には、上記成分以外に、導電剤(電子導電剤及び/又はイオン導電剤)、増量剤、補強剤、加工助剤、硬化剤、加硫促進剤、架橋剤、架橋助剤、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、オイル、滑剤、助剤、界面活性剤等の各種添加剤を1種又は2種以上含有していても良い。
抵抗調整層5のイオン導電性ポリマーとしては、例えばアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、又はエピクロルヒドリンゴムを用いることができる。上記エピクロルヒドリンゴムは、エピクロルヒドリンの単独重合体(CO)、エピクロルヒドリンとエチレンオキシドとの共重合体(ECO)、エピクロルヒドリンとアリルグリシジルエーテルとの共重合体(GCO)、エピクロルヒドリンとエチレンオキシドとアリルグリシジルエーテルとの共重合体(GECO)等が挙げられる。これらのイオン導電性ゴムは1種又は2種以上含有していても良い。抵抗調整層5は、主成分として上記のイオン導電性ゴムを用いることにより、低へたり性、導電性、柔軟性等の優れた特性が得られる。
抵抗調整層5の厚みは、10〜800μmに形成するのが好ましく、更に好ましくは、100〜300μmである。
抵抗調整層5は、例えば上記の各成分をニーダー等の混練機で混練りし、抵抗調整層組成物を準備し、該組成物を導電性弾性層3、軟化剤移行防止層4等を形成したロールの外周に押出した後、加熱して架橋・硬化させて形成することができる。また抵抗調整層5は、上記抵抗調整層組成物を有機溶剤等の溶剤中に溶解・分散してなる抵抗調整層コーティング液を調製し、塗工し、乾燥、硬化させることで形成することもできる。また、抵抗調整層5の加熱硬化は、内層側の導電性弾性層3の加熱硬化と一緒に行っても良い。
上記抵抗調整層コーティング液に用いる有機溶剤としては、メチルエチルケトン(MEK)、メタノール、トルエン、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。こららは混合して使用しても良い。抵抗調整層コーティング液のコーティング方法としては、例えば、ロールコーティング法、ディッピング法、スプレーコート法等が挙げられる。
なお本発明の帯電ロール1は、図1に示す態様の帯電ロールの層構造に限定されず、少なくとも軸体2、抵抗調整層5及び保護層6を備えるものであれば良い。また抵抗調整層5や導電性弾性層6は、複数層構造であってもよい。
以下、上記帯電ロールの製造方法について説明する。導電性弾性層2、軟化剤移行防止層3及び抵抗調整層4の各層形成材料を公知の方法を用いて調製する。導電性弾性層2の形成材料(コンパウンド状)は、各成分をニーダー等の混練機により混練して調製する。また、軟化剤移行防止層3及び抵抗調整層5の形成材料(コーティング液)は、各成分を、ボールミルやロール等で混練し、この混合物に溶剤を加えて混合攪拌することにより調製する。このように調製された導電性弾性層3、軟化剤移行防止層4及び抵抗調整層5の形成材料を、常法(金型成形法、ディッピング法、スプレー法、ロールコート法等)に従って、軸体2の外周に導電性弾性層3、軟化剤移行防止層4及び抵抗調整層5の順序で形成し、ロール基体を作製する。
軸体2の外周表面に導電性弾性層3を形成するには、押出成形、金型成形等を用いることができる。具体的には、上記導電性弾性層3の各成分をニーダー等の混練機で混練りし、導電性弾性層組成物を準備し、軸体2の表面に導電性弾性層組成物を押出成形する。また、軸体2をロール成形用円筒状金型の中空部に同軸的に設置し、上記円筒状金型と軸体2との間の空隙部に導電性弾性層組成物を注入した後、加熱・硬化させてゴム成分を架橋させ、その後、上記金型から脱型する。導電性弾性層3を複数層形成する場合には、上記方法に準じた操作を繰り返し行う。
保護層6のコーティング液を調製し、上記ロール基体の抵抗調整層5の外周面に、上記コーティング液を、ディッピング法、スプレー法、ロールコート法等の方法を用いて塗工する。そして、塗工後、乾燥および加熱処理(条件:60〜170℃)を行うことにより、コーティング液中の溶剤を蒸発除去させ、さらに架橋反応させる。このようにして、図1に示す帯電ロール1が得られる。
以下、実施例、比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1〜6、比較例1〜4
まず、軸体となる芯金〔直径6mm、ステンレス(SUS304)製〕と、導電性弾性層形成材料としてSBR(JIS−A硬度20°)100質量部(以下単に部と記載する)にカーボンブラック10部を添加したものとを準備した。そして、これらを用い、金型成形により、上記芯金外周面に導電性弾性層が形成されたベースロールを作製した。次に、N−メトキシメチル化ナイロン(帝国化学社製、トレジンEF30T)100部と、導電剤(ケッチェンブラックEC、ケッチェンブラック・インターナショナル社製)20部とを、MEK400部と混合することにより、軟化剤移行防止層用材料を調製した。一方、NBR(日本ゼオン社製、ニポールDN401)100部と、四級アンモニウム塩(和光純薬社製、TBAHS)1部と、アセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラックHS−100)30部と、ステアリン酸(花王社製、ルナックS30)0.5部と、亜鉛華(堺化学工業社製)5部と、加硫助剤(三新化学社製、サンセラーCZ−G)1.07部と、加硫助剤(大内新興化学社製、ノクセラーBZ−P)0.49部と、硫黄(鶴見化学工業社製、サルファックスPTC)1部とを混合・攪拌し、抵抗調整層用材料を調製した。そして、これらを用い、前述の方法に準じて、上記ベースロールの外周面に、軟化剤移行防止層および抵抗調整層を順次、形成することにより、軸体の外周に導電性弾性層、軟化剤移行防止層および抵抗調整層が形成されてなるロール基体を作製した。なお、このロール基体の導電性弾性層の厚みは3mmであり、軟化剤移行防止層の厚みは5μmであり、抵抗調整層の厚みは150μmであった。
つぎに、表1の保護層の構成の欄に示す各成分を同表に示す割合で配合し、これを、メタノール−トルエン混合溶液(メタノール:トルエン=7:3)500部に溶解して保護層形成材料(コーティング液)を調製した。なお、表1において、N−メトキシメチル化ポリアミドは帝国化学社製のトレジンEF30Tを用い、メラミン樹脂は住友化学社製のスミテックスレジンM3を用いた。また表1において樹脂粒子は、樹脂粒子の樹脂がポリアミド(実施例1〜6)はアルケマ社製オルガゾールシリーズを用い、アクリル樹脂(比較例1〜2)は綜研化学社製MXシリーズを用い、ポリウレタン(比較例3〜4)は根上工業社製アートパールシリーズを用いた。
続いて、上記調製の各保護層形成材料(コーティング液)を、上記作製のロール基体の外周面に対し、ロールコート法により塗工した。そして、その後、コーティング液を乾燥および加熱架橋させることにより、目的とする帯電ロールを作製した。なお、各帯電ロールにおける保護層の厚み(膜厚)は、全て9μmに形成した。
比較例5
実施例1の保護層に、樹脂粒子を添加しなかった。それ以外は、実施例1と同様の材料を用いて同様の手順で帯電ロールを作製した。
このようにして得られた各帯電ロールについて、下記の試験方法を用いて画像スジ試験、帯電量測定、廃トナー量測定等の試験を行った。これらの試験結果を表1に併せて示す。


Figure 2009222889
※1[画像スジ試験方法]
帯電ロールを片側荷重2Nのばねで感光ドラム径がφ12mmのカートリッジに圧接し、温度40℃×湿度95%の高温高湿環境下に4日間放置した。その後、温度23℃、湿度53%にて、Sagem社製MF5401プリンターに帯電ロールを組み込んで、2dotピッチハーフトーン画像(600dpi)を出力し、当接跡の画像スジの有無を目視で調べた。画像スジが全く認められないものを◎、画像スジがほとんど認められないものを○、薄い画像白スジがあったものを△、明確な画像白スジがあったものを×として評価した。
※2[帯電量試験方法]
Sagem社製MF5401プリンター用カートリッジを用い、温度32.5℃×湿度85%の環境下で24時間以上養生後、感光ドラムの回転数が60rpmで1200Vの電圧を印加後、ドラムが2周目の帯電量平均を測定した。
※3[トナー消費量試験方法]
Sagem社製MF5401プリンターを用い、温度32.5℃×湿度85%の環境下で24時間以上養生後、5%文字文書の実機間欠耐久印刷を1500枚実際に印刷した。耐久印刷前と後の廃トナー容器の重さを測定して、耐久印刷の際の廃トナー量(絶対量)を求めた。廃トナー量は、印字に利用されなかった感光ドラム転写トナーの量であり、廃トナー量が多い程、トナー消費量が多いと云える。また比較例5は保護層6に樹脂粒子を含有していないので、トナー消費量が最も少ない。そこで表1に保護層6に樹脂粒子を添加しなかった比較例5の廃トナー量との差を廃トナー量の[粒子無しとの差]として示した。
表1に示すように、実施例1〜6の帯電ロールは、比較例1〜4の帯電ロールと比較して、いずれも画像スジの発生がほとんどなく、帯電量も小さいものであった。また実施例1〜6の帯電ロールは、比較例1〜4と比較して高温高湿下における廃トナー量が少ないものであった。
(a)は本発明の電子写真機器用帯電ロールの一例を示す外観斜視図であり、(b)は(a)のB−B断面図である。
符号の説明
1 電子写真機器用帯電ロール
2 軸体
5 抵抗調整層
6 保護層

Claims (6)

  1. 軸体の外周に設けられた抵抗調整層と、マトリックス樹脂中に樹脂粒子が分散している保護層とを少なくとも備える帯電ロールであって、上記保護層のマトリックス樹脂及び樹脂粒子の樹脂が同じ種類の樹脂であることを特徴とする電子写真機器用帯電ロール。
  2. 上記保護層のマトリックス樹脂及び樹脂粒子の樹脂が、ポリアミドであることを特徴とする請求項1記載の電子写真機器用帯電ロール。
  3. 上記保護層の樹脂粒子の平均粒径が、10〜20μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真機器用帯電ロール。
  4. 上記保護層の樹脂粒子の含有量が、上記マトリックス樹脂100質量部に対し、10〜40質量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の電子写真機器用帯電ロール。
  5. 上記保護層の厚みが5〜40μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の電子写真機器用帯電ロール。
  6. 上記保護層のマトリックス樹脂が、N−メトキシメチル化ポリアミドであることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1に記載の電子写真機器用帯電ロール。
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