JP2010014792A - 電子写真感光体、像保持体装置及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、像保持体装置及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】感光体を長寿命化させるとともに、画像の良好な画質を長期にわたって安定的に得る。
【解決手段】感光体の表面層に架橋フッ素樹脂粒子を含有させる。架橋フッ素樹脂粒子は、架橋構造をなしていないフッ素樹脂粒子と比べて、自己潤滑性や耐磨耗性等に優れている。これにより、架橋フッ素樹脂粒子の含有量がさほど多くなくても、従来のようにフッ素樹脂粒子を用いる場合よりも表面層の強度は大きくなり、表面層の磨耗量や損傷の発生を大幅に抑制することができる。また、架橋フッ素樹脂粒子の含有量はさほど多くないから、感光層において粒子どうしが凝集してしまうことによる画像欠陥の発生も抑制できる。加えて、架橋フッ素樹脂粒子は光透過性にも優れており、感光体のさらなる長寿命化のために、電荷輸送層の膜厚を大きくしても、画像濃度の低下等の画像欠陥を発生させることもない。
【選択図】図3

Description

本発明は、電子写真感光体の物性に関する。
電子写真方式の画像形成装置では、感光体の感光層に対して帯電、露光、現像、転写、清掃というプロセスを実行して記録用紙等に画像を形成する。このような画像形成プロセスを繰り返していくと、感光層においては磨耗や損傷が生じて、感光体としての性能は次第に低下していき、やがて画像濃度の低下や帯電電位の低下、かぶりの発生等の原因となってしまう。特許文献1には、感光層の表面層にフッ素樹脂粒子を含有させることが開示されており、これにより、感光層の磨耗や損傷の発生を抑制して、感光体の長寿命化を図ることができる。
特開昭63−221355号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている技術において、フッ素樹脂粒子の含有量を多くすると、粒子どうしが凝集してしまい、露光光の光学散乱や不均一性によって静電潜像の広がりやムラが生じて、画像欠陥の原因となってしまう。また、感光層の膜厚を大きくすると、露光光の透過性が損なわれ、画像濃度の低下という欠陥が発生してしまうから、感光層の膜厚を大きくすることにもある程度の限度があった。このようなことから、従来は、感光体を長寿命化させるとともに、良好な画質を長期にわたって安定的に得ることは難しかった。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、感光体を長寿命化させるとともに、画像の良好な画質を長期にわたって安定的に得ることである。
上述した課題を解決するため、本発明は、導電性を有する基材と、前記基材上に設けられた感光層であって、少なくとも架橋フッ素樹脂粒子を分散させた層状の結着樹脂を表面に有し、その表面に静電潜像を保持する感光層とを備えることを特徴とする電子写真感光体を提供する。本発明の電子写真感光体において、前記架橋フッ素樹脂粒子は、架橋テトラフルオロエチレン樹脂粒子であることが好ましい。また、前記架橋フッ素樹脂粒子の重量の総和は、前記層状の結着樹脂の重量に対して0.1%以上、かつ40%以下の割合を占めることが好ましい。
また、本発明は、上記構成の電子写真感光体と、前記電子写真感光体の感光層を帯電させる帯電手段、前記感光層の表面に保持されている静電潜像を現像剤で現像する現像手段、及び前記感光層の表面を清掃する清掃手段のうちの少なくともいずれかとを備えることを特徴とする像保持体装置を提供する。
また、本発明は、上記構成の電子写真感光体と、前記電子写真感光体の感光層を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段によって帯電された前記感光層の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像形成手段によって形成され、前記感光層の表面に保持されている静電潜像を現像剤で現像する現像手段と、前記現像手段によって現像された像を記録媒体に転写する転写手段と、前記転写手段によって前記像が転写された後に、前記感光層の表面を清掃する清掃手段とを備えることを特徴とする画像形成装置を提供する。
本発明によれば、感光体を長寿命化させるとともに、画像の良好な画質を長期にわたって安定的に得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(A)構成
図1は、画像形成装置1において画像形成を行う要部の構造を示す図である。この画像形成装置1は、電子写真方式で画像を形成する装置であり、画像形成ユニット10と、中間転写体200とを備える。中間転写体200は、図示せぬ駆動機構によって図中の矢印Aの方向に周回する無端のベルト部材である。
ここで、画像形成ユニット10の構成について説明する。
画像形成ユニット10は、感光体ドラム20と、感光体ドラム20の周囲に配置された帯電装置30と、露光装置40と、現像装置50と、転写装置60と、感光体クリーナ70とを備えている。
感光体ドラム20は、積層型(機能分離型)のOPC(Organic Photoconductor)感光体であり、複数層の光導電層が積層されてなる感光層を有する電子写真感光体である。感光体ドラム20は、自身の表面に形成されたトナー像を中間転写体200に転写させる位置でこれに接触するように配置され、図示せぬ駆動機構によって、その中心軸を中心として図に示す矢印Bの方向(半時計周り方向)へ回転させられる。帯電装置30は、帯電ロールであり、感光体ドラム20の感光層を所定の帯電電位に帯電させる帯電手段の一例である。露光装置40は、帯電させられた感光体ドラム20の表面に向けて露光光(レーザ或いはLED)を照射して、帯電された感光体ドラム20の感光層の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段の一例である。現像装置50は、感光体ドラム20の表面に形成された静電潜像がその感光体ドラム20の回転に伴って自身に対向する位置に到達すると、感光層の表面に保持された静電潜像を現像剤で現像する現像手段の一例である。現像装置50に収容される現像剤にあっては、ここでは、乳化重合によって得られた球形トナーが含有されている。転写装置60は、感光体ドラム20の表面に形成されたトナー像がその感光体ドラム20の回転に伴って自身と感光体ドラム20との間の位置に到達すると、静電力などによってそのトナー像を中間転写体200に転写させる。中間転写体200に転写されたトナー像は、図示せぬ2次転写装置によって用紙等の記録媒体に転写される。これら転写装置60及び2次転写装置は、現像装置50によって現像された像を記録媒体に転写する転写手段の一例である。画像が転写された記録媒体は、図示せぬ定着装置へ搬送され、トナー像が定着させられた後に機外へ排出される。感光体クリーナ70は、板状のクリーニングブレード71と、クリーニングブレード71を支持する金属部材72とを備える。感光体クリーナ70にあっては、記録媒体に像が転写された後に、感光体ドラム20の回転に従ってクリーニングブレード71によってその表面のトナーを掻き取ることにより、その表面を清掃する清掃手段の一例である。これら画像形成装置1の各部の動作は、図示せぬ制御装置により制御される。
ここで、感光体ドラム20の積層構造について、図2を参照しつつ説明する。
同図に示すように、感光体ドラム20は、導電性基板210に近い側から、下引層220、電荷発生層230、電荷輸送層240という順に光導電層が積層されてなる。
導電性基板210は、例えばアルミニウムやニッケル等の金属部材であり、感光体ドラム20の電極として機能し、電気的に接地されている。導電性基板210上には、下引層220、電荷発生層230及び電荷輸送層240からなる感光層が基材上に設けられている。この導電性基板210は導電性基板210の構成材料としては、上記の他に、クロム、ステンレス鋼等の金属類や、チタニウム、クロム、ステンレス鋼、金、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、ITO(Indium-Tin-Oxide)等の薄膜を設けたプラスチックフィルム等、或いは導電性付与剤を塗布し又は含浸させた紙又はプラスチックフィルム等を用いることができる。また、導電性基板210の表面にあっては、画質に影響のない範囲で各種の表面処理が行われていてもよい。この表面処理としては、例えば、陽極酸化処理、薬品処理、着色処理、あるいは砂目立て、液体ホーニング等の乱反射処理がある。
下引層220は、例えばアセタール樹脂やポリビニルアルコール樹脂等の高分子樹脂化合物からなる層状の樹脂からなり、導電性基板210側から電荷が注入されないようにするために、導電性基板210の表面に設けられている。また、下引層220は、感光体ドラム20の電気的特性の改善や、現像像の画質の向上及び経時変化の抑制、電荷発生層230と導電性基板210との接着性の向上、耐リーク性の向上等において好適である。なお、感光体ドラム20において下引層220を省略した構成としてもよい。
電荷発生層230は、下引層220に重ねられており、電荷発生材料を分散して含有されている層状の結着樹脂からなる。電荷発生層230が帯電されている状態で露光装置40によって露光光が照射されると、電荷発生材料により正及び負の電荷のキャリアが生成させられる。なお、電荷発生層230の電荷発生材料には、例えばフタロシアニン顔料やキノン顔料等の顔料が用いられる。電荷発生層230の結着樹脂には、例えばポリカーボネート樹脂やポリエステル樹脂等の各種樹脂が用いられうる。なお、電荷発生層230の膜厚は、およそ5μm以下とされる。
電荷輸送層240は、電荷発生層230に重ねられており、感光層のうちの表面に設けられた表面層で、架橋フッ素樹脂粒子及び電荷輸送材料を分散させた層状の結着樹脂からなる感光層である。この電荷輸送層240の表面は、感光体ドラム20の回転に従って移動することになる。このような構成の電荷輸送層240は、自身が帯電している状態で露光装置40により露光光が照射されると、電荷輸送材料によって電荷発生層230により発生されたキャリアを自身の表面へ輸送し、自身の表面に静電潜像を保持する。なお、電荷輸送層240の膜厚は、およそ3〜50μmとされる。
電荷輸送層240の結着樹脂としては、例えばポリカーボネート樹脂やポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体等絶縁性樹脂や有機光導電性ポリマー等を用いることができる。また、電荷輸送層240の電荷輸送材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体、芳香族第3級アミノ化合物等の種々の電子輸送物質を用いることができる。また、電荷輸送材料にあっては、電子輸送物質1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。電荷輸送材料と上記結着樹脂との含有量の比(重量比)は10:1〜1:5が好ましい。
電荷輸送層240に用いられる架橋フッ素樹脂粒子としては、例えば、テトラフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン・テトラフルオロエチレン系共重合体等が用いられうる。また、普及の観点から架橋フッ素樹脂粒子として代表的なものとして、テトラフルオロエチレン重合体がある。このような架橋フッ素樹脂粒子は、架橋構造をなしていないフッ素樹脂粒子と比べて、耐熱性、耐薬品性、非粘着性等に優れており、表面層たる電荷輸送層240に含有させるという点では、極めて高い耐磨耗性や、自己潤滑性、耐クリープ性を有している点で好ましい。
続いて、感光体ドラム20の表面層である電荷輸送層240に、架橋フッ素樹脂粒子を含有させる利点についてより具体的に説明する。
まず、架橋フッ素樹脂粒子の分子間の結合力は、架橋構造をなしていないフッ素樹脂粒子と比べてかなり大きく、電荷輸送層240の強度が大きくなる。この作用により、電荷輸送層240の磨耗量や、損傷の発生を抑制することができる。例えば、帯電装置30による帯電処理による、いわゆる放電ストレスによって、電荷輸送層240の強度は低下してしまうし、クリーニングブレード71においては、感光体ドラム20の回転によって生じる摩擦力により電荷輸送層240の表面に残留するトナーを掻き取るから、電荷輸送層240の磨耗や損傷は避けることができない。これに対し、電荷輸送層240に架橋フッ素樹脂粒子を分散させることにより、その磨耗量や損傷の発生は大きく低減され、感光体ドラム20の長寿命化を図ることができるのである。
また、架橋フッ素樹脂粒子は、自己潤滑性においても架橋構造をなしていないフッ素樹脂粒子と比べて優れているから、電荷輸送層240の表面とそこに付着するトナー(トナー粒子)との間の動摩擦係数を低減させることができる。これによっても、電荷輸送層240の磨耗量や損傷の発生は抑制されるし、クリーニングブレード71の磨耗や損傷も抑制される。一方で、クリーニングブレード71と、電荷輸送層240の表面に付着したトナー粒子との間の動摩擦係数は架橋フッ素樹脂粒子を用いた場合であっても維持されるから、良好な清掃性能も確保することができる。特に、現像装置50のように球形トナーが含有される現像剤を用いる場合、トナー表面の平滑性に起因して、電荷輸送層240に付着したトナーを掻き取りにくいことがあるが、このような場合であっても、良好な清掃性能も確保することができる。
以上のような利点は、電荷輸送層240に対する架橋フッ素樹脂粒子の含有量が、従来のようにフッ素樹脂粒子を用いる場合の含有量よりも少なくても、同等の効果を得ることができる。よって、架橋フッ素樹脂粒子の利用にあっては含有量をさほど大きくする必要がない。したがって、電荷輸送層240において架橋フッ素樹脂粒子どうしは凝集しにくく、これらの凝集を原因とした、露光光の光学散乱や不均一性によって静電潜像の広がりやムラ等の画像欠陥の発生も抑制される。
ところで、架橋フッ素樹脂粒子どうしの凝集の抑制の観点からは、その平均球形度を0.95以上とするとさらに好適である。架橋フッ素樹脂粒子の平均球形度が0.95以上であれば、架橋フッ素樹脂粒子どうしの接触面積が十分に小さくなり、さらに凝集が発生しにくくなって、その分散均一性が良好に傾向になるからである。なお、ここでいう「平均球形度」は、粒子の投影像により粒子形状を分析し、投影面積と粒子の投影周囲長と同じ円周を持つ円の面積との比を用いて、以下の手順によって測定することができる。
まず、走査型電子顕微鏡と画像解析装置を用い、電子顕微鏡で得られたSEM写真の画像解析を行い、粒子の投影面積(A)と周囲長(PM)を測定する。ここでは、測定粒子数を100個以上とする。周囲長(PM)に対応する真円の面積を(B)とすると、その粒子の真円度はA/Bとなる。そこで、試料粒子の周囲長(PM)と同一の周囲長を持つ真円を想定すると、PM=2πr、B=πr2であるから、B=π×(PM/2π)2となり、個々の粒子の真円度は、A/B=A×4π/(PM)2として算出する。このようにして得られた100個以上の粒子の真円度を求めその平均値を「平均球形度」とする。
また、架橋構造をなしていないフッ素樹脂粒子に代えて架橋フッ素樹脂粒子を用いることは、画像の良好な画質を得るという点でも好適である。
架橋フッ素樹脂粒子の光透過特性は、架橋構造をなしていないフッ素樹脂粒子と比べて、優れているからである。例えば、「草野広男、浅井孝康、瀬戸川晃、西甫、山本康彰 “架橋ふっ素樹脂材料および応用製品” 日立電線No.20(2001−1) p153−p158」には、0.5mmの厚さの架橋フッ素樹脂シート、及び同寸法のフッ素樹脂シートに波長600nmの光を照射した場合に、架橋フッ素樹脂シートの光透過率が21%であるのに対し、フッ素樹脂シートの光透過率はわずか2%であることが記載されている。このことに鑑みれば、従来のように架橋構造をなしていないフッ素樹脂粒子を用いる場合と比べて電荷輸送層240の膜厚を或る程度大きくしても、画像濃度の低下等の画像欠陥は発生しないと考えられる。
ここで、図3は、電荷輸送層240の体積に対して7%の体積の架橋フッ素樹脂粒子を含有させた場合と、電荷輸送層の体積に対して7%の体積のフッ素樹脂粒子を含有させた場合とにおいて、所定の露光光で細線画像(ラインスクリーンを用いた中間調の画像)を再現し、その画像の濃度を測定したときの測定結果を示している。同図に示すように、およそ25μm〜37μmの膜厚のときには、架橋フッ素樹脂粒子を用いた場合の方が、画像濃度が高くなっていることが分かる。また、両者の画像濃度の差異は膜厚が大きい場合ほど顕著になっており、膜厚が大きくなっても架橋フッ素樹脂粒子を用いた場合の画像濃度の低下の度合いは小さい。よって、電荷輸送層240の膜厚を大きくして、感光体ドラム20のさらなる長寿命化を図ろうとしても、画像濃度の低下を防いで、画像の良好な画質を得ることができる。
また、電荷輸送層240の架橋フッ素樹脂粒子にあっては、露光装置40によって照射される露光光(例えば、780nm)への干渉を防ぐために、平均1次粒子径が0.3μm以下であることが好ましい。この場合、架橋フッ素樹脂粒子が架橋構造をなす前のフッ素樹脂粒子のときにも、同様な粒径のものを用いる必要がある。ここで架橋フッ素樹脂粒子を製造する前のフッ素樹脂粒子にあっては、乳化重合により好適に作製することができる。例えば、テトラフルオロエチレン樹脂を用いる場合、耐圧オートクレーブに水、開始剤、乳化剤、フッ素系界面活性剤等を仕込み、脱気した後、原料であるテトラフルオロエチレンを連続的に投入しながら、0〜120℃、1〜50気圧の加圧下で攪拌しながら反応を行う。反応終了後、得られたラテックスを凝析し、洗浄、乾燥することにより目的のフッ素樹脂粒子が得られる。このようなテトラフルオロエチレン樹脂微粒子としては、例えば、ダイキン工業製のルブロンL−2、L−5、旭硝子株式会社製のフルオンPTFEルブリカントシリーズが挙げられる。
電荷輸送層240の架橋フッ素樹脂粒子として、架橋テトラフルオロエチレン樹脂を用いる場合、テトラフルオロエチレン粉体を、300℃以上で、不活性雰囲気下において、およそ1kGy〜10MGyの電離性放射線照射することにより生成される。ここで、不活性雰囲気とは、希ガスや窒素ガスを主とする雰囲気をいう。さらに、必要な平均1次粒子径となるようにジェットミル等で粉砕して作製する工程を加えてもよい。
また、電荷輸送層240における架橋フッ素樹脂粒子の含有量は、電荷輸送層240の固形分全量を基準として、0.1〜40重量%(つまり、電荷輸送層240の結着樹脂の重量に対して、0.1%以上、かつ40%以下の割合を占める)が好ましく、より好ましくは1〜30重量%である。架橋フッ素樹脂粒子の含有量が0.1重量%未満の場合には、フッ素樹脂粒子の分散による改質効果が不十分となることがあり、40重量%を超えると電荷輸送層240の光透過性の低下及び膜強度の低下が起こりやすくなるためである。なお、電荷輸送層240にあっては、架橋フッ素樹脂粒子とフッ素樹脂粒子とを混在させてもいい。
なお、上述したような電荷輸送層240は、上記の構成材料を所定の溶剤に加えた塗布液を用いて形成することができる。電荷輸送層形成用塗布液の溶媒としては、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル系溶剤、あるいはこれらの混合溶剤などを用いることができる。電荷輸送層形成用塗布液を調製するに際し、架橋フッ素樹脂粒子あるいはさらに無機粒子を分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、高圧ホモジナイザー、超音波分散機、コロイドミル等の方法が挙げられる。電荷輸送層形成用塗布液の調製方法としては、溶媒に溶解した結着樹脂、電荷輸送材料などの溶液中に架橋フッ素樹脂粒子や無機粒子を分散する方法が挙げられるが、以下の手順で調製することが好ましい。
まず、架橋フッ素樹脂粒子を溶剤に加え、架橋フッ素樹脂粒子懸濁液を調製する。一方、結着樹脂と電荷輸送材料とを溶剤に溶解し、樹脂溶液を調製する。次に、樹脂溶液と架橋フッ素樹脂粒子懸濁液とを混合し、その混合物を高圧ホモジナイザーにより処理する。このようにして塗布液を調製することで、塗布液の分散安定性を向上させることができ、また、塗膜の形成時に架橋フッ素樹脂粒子の凝集をより確実に防止することができる。ここで、樹脂溶液と架橋フッ素樹脂粒子懸濁液とを混合する際には、撹拌した状態の樹脂溶液中に架橋フッ素樹脂粒子懸濁液を徐々に投入することが好ましい。また、高圧ホモジナイザーとしては、高圧状態でフッ素樹脂粒子懸濁液を液衝突、若しくは液壁衝突させて分散する衝突方式のもの、又は高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式のものが好ましい。
高圧ホモジナイザーの圧力条件としては、例えば貫通方式の場合、300kgf/cm2以上700kgf/cm2未満が好ましい。圧力が300kg/cm2未満の場合は、架橋フッ素樹脂粒子の凝集物が残留しやすくなる傾向にある。一方、この圧力を700kg/cm2以上とする場合も、架橋フッ素樹脂粒子の凝集物が生成しやすくなる傾向にある。その結果、感光体のトナーに対する低摩擦性の維持が困難になるために、繰り返し使用後においてトナーの転写率の低下やクリーニング不良を引き起こす場合がある。なお、圧力を700kg/cm2以上に設定した場合に架橋フッ素樹脂粒子が凝集しやすくなる要因は必ずしも明確ではないが、温度上昇による粘度変化が考えられる。なお、高圧ホモジナイザーによる処理の回数は特に制限されないが、2回以上処理することが好ましく、4〜8回処理することがより好ましい。1回のみの処理では架橋フッ素樹脂粒子の分散性が不十分となるおそれがあり、一方、8回を超える回数だけ処理しても、処理回数の増加に見合う効果が得られず、時間、労力及びコストを過剰に消費することになる。また、得られた塗布液を電荷発生層230上に塗布するに際し、その塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、スプレー塗布法、ロールコータ塗布法、グラビアコータ塗布法などが挙げられる。
(B)実施例
発明者らは、実施形態で説明したような電子写真感光体を作成し、この感光体を用いて形成した画像の画質や、電荷輸送層やクリーニングブレードの磨耗量等を測定する実験を行った。
(実施例1)
酸化亜鉛(SMZ−017N、テイカ社製)100重量部をトルエン500重量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(A1100、日本ユニカー社製)2重量部を添加し、5時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で2時間焼き付けを行った。得られた表面処理酸化亜鉛を蛍光X線により分析した結果、Si元素強度の亜鉛元素強度に対する比は1.8×10-4であった。
次に、表面処理を施した酸化亜鉛35重量部と硬化剤としてのブロック化イソシアネート(スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)15重量部と、ブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)6重量部と、2−ブタノン44重量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散処理を行った。そして、得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005重量部及びシリコーン粒子(トスパール130、GE東芝シリコーン社製)17重量部を添加し、下引層形成用塗布用液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて84mmφのアルミニウム基材上に塗布し、160℃、100分の乾燥硬化を行い、厚さ20μmの下引層を得た。
次に、電荷発生材料としての塩化ガリウムフタロシアニン15重量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニオンカーバイト社製)10重量部、及びn−ブチルアルコール300重量部からなる混合物をサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液を、上記下引き層上に浸漬塗布し、乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
次に、電子線照射用容器にテトラフルオロエチレン樹脂微粒子(ダイキン工業製のルブロンL−2)を入れ、ヘリウムガス雰囲気下で330℃に加熱した系内において、激しく攪拌することで、系内で強制対流させた。その状態において、300keVの低エネルギー電子加速器からの電子線を照射(照射線量:1KGy〜1MGy)することで、架橋テトラフルオロエチレン樹脂微粒子を作製した。このようにして得られた架橋テトラフルオロエチレン樹脂粒子を10重量部、フッ素系グラフトポリマー0.20重量部、テトロヒドロフラン49重量部及びトルエン21重量部に十分に攪拌混合して、テトラフルオロエチレン樹脂粒子懸濁液を調製した。一方、N,N'−ビス(3−メチルフェニル)−N,N'−ジフェニルベンジジン20重量部と、N,N'−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン20重量部と、ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量40,000)60重量部とを、テトロヒドロフラン231重量部及びトルエン99重量部に十分に溶解して樹脂溶液を得た。この樹脂溶液に、上記のテトラフルオロエチレン樹脂粒子懸濁液を加えて、攪拌混合した後、微細な流路をもつ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(ナノマイザー株式会社製、商品名LA−33S)を用いて、500kgf/cm2まで昇圧しての分散処理を6回繰り返すことで、電荷輸送層形成用塗布液を得た。得られた塗布液を上記電荷発生層上に浸漬塗布し、乾燥することにより、膜厚26μmの電荷輸送層を形成して、感光体を得た。このようにして得られた感光体を用いて、電子写真装置(画像形成装置)を作製した。なお、感光体以外の構成は富士ゼロックス製DocuCentreII C4300と同様とした。
次に、上記のようにして得られた電子写真装置を用いて、15℃、10%RHの低温低湿環境下にて、A4サイズ、モノクロで50,000枚のプリント試験を行った。プリント試験の初期と、50,000枚のプリント後の感光体とについて、感光層の平均膜厚を測定し、プリント数で割り磨耗率を算出した。その結果を図4の第1行に示す。図4において、磨耗率が小さいほど感光体が長寿命であることを示し、安定した電子写真特性であると判断できる。また、その初期及び50,000枚プリント後の画像について、ソリッド部及び背景部の画質を目視で評価した。得られた結果を図4の第1行に示す。
(実施例2)
架橋テトラフルオロエチレン樹脂粒子5重量部、フッ素系グラフトポリマー0.20重量部、テトロヒドロフラン49重量部及びトルエン21重量部を十分に攪拌混合して、テトラフルオロエチレン樹脂粒子懸濁液を調製した。一方、N,N'−ビス(3−メチルフェニル)−N,N'−ジフェニルベンジジン20重量部とN,N'−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン20重量部とビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量40,000)60重量部とをテトロヒドロフラン231重量部及びトルエン99重量部に十分に溶解して、樹脂溶液を得た。この樹脂溶液に、上記のテトラフルオロエチレン樹脂粒子懸濁液を加えて、攪拌混合した後、微細な流路をもつ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(ナノマイザー株式会社製、商品名LA−33S)を用いて、500kgf/cm2まで昇圧しての分散処理を6回繰り返すことで、電荷輸送層形成用塗布液を得た。得られた塗布液を上記電荷発生層上に浸漬塗布し、乾燥することにより、膜厚26μmの電荷輸送層を形成し、目的の感光体を得た。次に、上記で得られた電荷輸送層形成用塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、感光体を作製した。更に、得られた感光体を用いたことは実施例1と同様にして、電子写真装置の作製及びプリント試験を行った。得られた結果を図4の第2行に示す。
(実施例3)
架橋テトラフルオロエチレン樹脂粒子を15重量部、フッ素系グラフトポリマー0.20重量部、テトロヒドロフラン49重量部及びトルエン21重量部に十分に攪拌混合して、テトラフルオロエチレン樹脂粒子懸濁液を調製した。一方、N,N'−ビス(3−メチルフェニル)−N,N'−ジフェニルベンジジン20重量部と、N,N'−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン20重量部と、ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量40,000)60重量部とをテトロヒドロフラン231重量部及びトルエン99重量部に十分に溶解して樹脂溶液を得た。この樹脂溶液に、上記のテトラフルオロエチレン樹脂粒子懸濁液を加えて、攪拌混合した後、微細な流路をもつ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(ナノマイザー株式会社製、商品名LA−33S)を用いて、500kgf/cm2まで昇圧しての分散処理を6回繰り返すことで、電荷輸送層形成用塗布液を得た。得られた塗布液を上記電荷発生層上に浸漬塗布し、乾燥することにより、膜厚26μmの電荷輸送層を形成し、目的の感光体を得た。次に、上記で得られた電荷輸送層形成用塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、感光体を作製した。更に、得られた感光体を用いたことは実施例1と同様にして、電子写真装置の作製及びプリント試験を行った。得られた結果を図4の第3行に示す。
(比較例1)
テトラフルオロエチレン樹脂粒子を10重量部、フッ素系グラフトポリマー0.20重量部、テトロヒドロフラン49重量部及びトルエン21重量部に十分に攪拌混合して、テトラフルオロエチレン樹脂粒子懸濁液を調製した。一方、N,N'−ビス(3−メチルフェニル)−N,N'−ジフェニルベンジジン20重量部と、N,N'−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン20重量部と、ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量40,000)60重量部とを、テトロヒドロフラン231重量部、及びトルエン99重量部に十分に溶解して樹脂溶液を得た。この樹脂溶液に、上記のテトラフルオロエチレン樹脂粒子懸濁液を加えて、攪拌混合した後、微細な流路をもつ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(ナノマイザー株式会社製、商品名LA−33S)を用いて、500kgf/cm2まで昇圧しての分散処理を6回繰り返すことで、電荷輸送層形成用塗布液を得た。得られた塗布液を上記電荷発生層上に浸漬塗布し、乾燥することにより、膜厚26μmの電荷輸送層を形成し、目的の感光体を得た。
次に、上記で得られた電荷輸送層形成用塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、感光体を作製した。更に、得られた感光体を用いたことは実施例1と同様にして、電子写真装置の作製及びプリント試験を行った。得られた結果を図4の第4行に示す。
(比較例2)
テトラフルオロエチレン樹脂粒子を0重量部、フッ素系グラフトポリマー0.20重量部、テトロヒドロフラン49重量部及びトルエン21重量部に十分に攪拌混合して、懸濁液を調製した。一方、N,N'−ビス(3−メチルフェニル)−N,N'−ジフェニルベンジジン20重量部と、N,N'−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン20重量部と、ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量40,000)60重量部とを、テトロヒドロフラン231重量部及びトルエン99重量部に十分に溶解して樹脂溶液を得た。この樹脂溶液に、上記のテトラフルオロエチレン樹脂粒子懸濁液を加えて、攪拌混合した後、微細な流路をもつ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(ナノマイザー株式会社製、商品名LA−33S)を用いて、500kgf/cm2まで昇圧しての分散処理を6回繰り返すことで、電荷輸送層形成用塗布液を得た。得られた塗布液を上記電荷発生層上に浸漬塗布し、乾燥することにより、膜厚26μmの電荷輸送層を形成し、目的の感光体を得た。
次に、上記で得られた電荷輸送層形成用塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、感光体を作製した。更に、得られた感光体を用いたことは実施例1と同様にして、電子写真装置の作製及びプリント試験を行った。得られた結果を図4の第5行に示す。
(比較例3)
テトラフルオロエチレン樹脂粒子を20重量部、フッ素系グラフトポリマー0.20重量部、テトロヒドロフラン49重量部及びトルエン21重量部に十分に攪拌混合して、懸濁液を調製した。一方、N,N'−ビス(3−メチルフェニル)−N,N'−ジフェニルベンジジン20重量部と、N,N'−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン20重量部と、ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量40,000)60重量部とを、テトロヒドロフラン231重量部及びトルエン99重量部に十分に溶解して樹脂溶液を得た。この樹脂溶液に、上記のテトラフルオロエチレン樹脂粒子懸濁液を加えて、攪拌混合した後、微細な流路をもつ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(ナノマイザー株式会社製、商品名LA−33S)を用いて、500kgf/cm2まで昇圧しての分散処理を6回繰り返すことで、電荷輸送層形成用塗布液を得た。得られた塗布液を上記電荷発生層上に浸漬塗布し、乾燥することにより、膜厚26μmの電荷輸送層を形成し、目的の感光体を得た。
次に、上記で得られた電荷輸送層形成用塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、感光体を作製した。更に、得られた感光体を用いたことは実施例1と同様にして、電子写真装置の作製及びプリント試験を行った。得られた結果を図4の第6行に示す。
図4に示した通り、実施例1〜3においてはいずれも、電荷輸送層における架橋フッ素樹脂粒子の添加と、得られた感光体における磨耗率とが高水準で両立されており、良好な画質を長期にわたって安定的に得ることができ、長寿命化を達成できた。また、樹脂溶液にテトラフルオロエチレン樹脂及びフッ素系グラフトポリマーを加えて電荷輸送層形成用塗布液とした比較例1では、45,000枚後にブレードの磨耗が顕著となり、50,000枚後に背景部にカブリが発生した。さらに比較例2においては、20,000枚後にブレード磨耗が顕著、30,000枚後にソリッド部における筋状濃度ムラ及び背景部におけるかぶりが発生した。比較例3においては、画像部のエッジにボケが発生した。
以上説明したように、感光体ドラム20において、感光層の表面層である電荷輸送層240に架橋フッ素樹脂粒子を含有させている。架橋フッ素樹脂粒子は、架橋構造をなしていないフッ素樹脂粒子と比べて、自己潤滑性や耐磨耗性、耐クリープ性、耐熱性、耐薬品性、非粘着性等に優れている。これにより、従来のようなフッ素樹脂粒子を用いる場合と比べて、電荷輸送層240に対する架橋フッ素樹脂粒子の含有量が多くなくても、電荷輸送層240の強度は大きくなり、電荷輸送層240の磨耗量や損傷の発生を大幅に抑制することができる。さらに、架橋フッ素樹脂粒子の含有量は少なくてよいから、感光層においてこれらが凝集することを原因とした、露光光の光学散乱や不均一性によって静電潜像の広がりやムラが生じて画像欠陥が発生することもない。また、架橋フッ素樹脂粒子は、光透過性にも優れており、感光体ドラム20のさらなる長寿命化のために、電荷輸送層240の膜厚を大きくしても、画像濃度の低下などの悪影響を与えることがない。
以上のことから、感光体ドラム20のように、感光層の表面層に架橋フッ素樹脂粒子を含有させることで、感光体を長寿命化させるとともに、良好な画質を長期にわたって安定的に得ることができる。また、架橋フッ素樹脂粒子の自己潤滑性により、電荷輸送層240の表面とそこに付着するトナーとの間の動摩擦係数は小さくなり、高い清掃性能が確保されるし、クリーニングブレード71の磨耗や損傷も抑制されるので、画像形成装置1自体の寿命や、部品交換の頻度を小さくすることもできる。
(C)変形例
上記実施形態を次のように変形してもよい。これらの変形は、各々を適宜に組み合わせることも可能である。
上述した実施形態の電荷輸送層240に、無機粒子を分散させて含有させるようにしてもよい。上述したように、架橋フッ素樹脂粒子の作用により自己潤滑性に優れており、クリーニングブレード71との間の動摩擦係数も小さくなっている。よって、クリーニングブレード71によって掻き取られたトナーが電荷輸送層240に再付着してしまう、いわゆるフィルミングが発生してしまうことがある。電荷輸送層240に無機粒子を含有させることにより、クリーニングブレード71により、電荷輸送層240の表面のトナー等の付着物をより効率よく掻き取られるから、フィルミングの発生を抑制することができる。
なお、無機粒子としては、例えば、アルミナ、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸銅、炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸ニッケル、アンチモン、二酸化マンガン、酸化クロム、酸化錫、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウムが挙げられ、中でもシリカが好ましい。これらの無機粒子は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、無機粒子の凝集の抑制や、クリーニングブレード71の磨耗及び損傷によるクリーニング特性の悪化、及びそれによる画像ボケの発生を抑制するために、無機粒子の平均一次粒子径は、0.005〜2.0μmとすることが好ましく、より好ましくは0.01〜1.0μmである。
上述した実施形態では、感光体ドラム20の表面層は電荷輸送層240であったが、電荷輸送層240に重ねて、さらに保護層を設けるようにしてもよい。保護層は、電荷輸送層240を保護し、感光体ドラム20の耐久性を高めるために設けられる。この場合、保護層は、例えばエポキシ樹脂やシアナート樹脂等の熱硬化性樹脂を層状にした結着樹脂に、架橋フッ素樹脂粒子が分散されてなる。また、保護層の膜厚は1〜20μmであることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましい。保護層を含む感光層が帯電された状態で露光装置40により露光光が照射されると、感光体ドラム20は保護層の表面に静電潜像を保持することになる。なお、この場合、電荷輸送層240は、架橋フッ素樹脂粒子を含有していなくてもよい。要するに、感光体ドラム20の感光層においては、架橋フッ素樹脂粒子が少なくても分散されて含まれている層状の結着樹脂が表面層であればよい。
なお、保護層の結着樹脂としては、他にも、ポリアミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等を用いることができる。また、これらは必要に応じて互いに架橋させて使用することもできる。また、保護層に導電性材料を更に含有させてもよい。
上述した実施形態では、電荷発生層230と電荷輸送層240とに機能を分離した積層型感光体を示したが、これに代えて、電荷発生材料と電荷輸送材料との双方を含む単層型の感光層としてもよい。なお、電荷発生材料及び電荷輸送材料を含む感光層が、感光体ドラム20の表面層として設けられる場合、この表面層には、架橋フッ素樹脂粒子と結着樹脂とを更に含有させる。また、電荷発生材料及び電荷輸送材料を含む層上に保護層を設ける場合には、上記の保護層と同様に、保護層が架橋フッ素樹脂粒子と結着樹脂とを含有していればよい。
また、感光体ドラム20の導電性基板210、下引層220、電荷発生層230に用いられる材料は、実施形態で述べたもの以外にも、周知の種々のものが用いられうる。また、電荷輸送層240において、結着樹脂及び電荷輸送材料は周知の種々のものが用いられ得る。また、架橋フッ素樹脂粒子にあっては、実施形態で述べた以外のフッ素樹脂粒子に対する架橋反応を利用して架橋構造をなす架橋フッ素樹脂粒子を作成し、これを架橋フッ素樹脂粒子として感光体ドラム20の表面層(電荷輸送層240)に含有させてもよい。このような場合であっても、実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、感光体ドラム20は、ユーザもしくはメンテナンス技術者が容易に交換可能なようにユニット化されていてもよい。また、感光体ドラム20と、帯電装置30、現像装置50及び感光体クリーナ70のうちの少なくともいずれかとを備える像保持体装置(いわゆる、プロセスカートリッジ)として提供されてもよい。
本発明の実施形態に係る画像形成装置において画像形成を行う要部の構造を示す図である。 同実施形態に係る感光体ドラムの積層構造を説明する図である。 電荷輸送層に架橋フッ素樹脂粒子を含有させた場合と、フッ素樹脂粒子を含有させた場合とにおいて、画像の濃度を測定した測定結果を示した図である。 本発明の実施例に係る実験結果を示した図である。
符号の説明
1…画像形成装置、10…画像形成ユニット、20…感光体ドラム、200…中間転写体、210…導電性基板、220…下引層、230…電荷発生層、240…電荷輸送層、30…帯電装置、40…露光装置、50…現像装置、60…転写装置、70…感光体クリーナ、71…クリーニングブレード、72…金属部材。

Claims (5)

  1. 導電性を有する基材と、
    前記基材上に設けられた感光層であって、少なくとも架橋フッ素樹脂粒子を分散させた層状の結着樹脂を表面に有し、その表面に静電潜像を保持する感光層と
    を備えることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記架橋フッ素樹脂粒子は、架橋テトラフルオロエチレン樹脂粒子であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記架橋フッ素樹脂粒子の重量の総和は、前記層状の結着樹脂の重量に対して0.1%以上、かつ40%以下の割合を占めることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の感光層を帯電させる帯電手段、前記感光層の表面に保持されている静電潜像を現像剤で現像する現像手段、及び前記感光層の表面を清掃する清掃手段のうちの少なくともいずれかと
    を備えることを特徴とする像保持体装置。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の感光層を帯電させる帯電手段と、
    前記帯電手段によって帯電された前記感光層の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
    前記潜像形成手段によって形成され、前記感光層の表面に保持されている静電潜像を現像剤で現像する現像手段と、
    前記現像手段によって現像された像を記録媒体に転写する転写手段と、
    前記転写手段によって前記像が転写された後に、前記感光層の表面を清掃する清掃手段と
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
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