JP2012047959A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】感光体の最表面層を、特定構造のスチリル系の電荷輸送材料と、特定の構造単位含んで構成されるポリカーボネート2元共重合樹脂と、特定構造のフェノール系化合物と、特定構造のジアミン系化合物と、を含んで構成させる。
【選択図】なし
Description
請求項1に係る発明は、
導電性基体と、前記導電性基体上に配された感光層と、を少なくとも有し、
最表面層が、少なくとも、下記一般式(1)で表される電荷輸送材料と、下記一般式(2)で表される構造単位及び下記一般式(3)で表される構造単位を含んで構成されるポリカーボネート樹脂と、下記一般式(4)で表される化合物と、下記一般式(5)で表される化合物と、を含む電子写真感光体。
(一般式(3)中、R9及びR10は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を表す。Xは、−CR11R12−(但し、R11及びR12は、各々独立に水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1以上6以下のアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基のいずれかを表す。)、炭素数5以上11以下の1,1−シクロアルキレン基、炭素数2以上10以下のα,ω−アルキレン基、−O−、−S−、−SO−、又は−SO2−を表す。)
(一般式(5)中、R31及びR32は、各々独立に、炭素数1以上20以下のアルキル基を表す。R33は、水素原子、又は、炭素数1以上20以下のアルキル基を表す。R34は、水素原子、炭素数1以上20以下のアルキル基、又は、芳香族基を表す。R35は、水素原子、又は、炭素数1以上20以下のアルキル基を表す。R36及びR37は、各々独立に、炭素数1以上20以下のアルキル基を表す。)
前記最表面層の厚みが、25μm以上である請求項1に記載の電子写真感光体。
請求項1又は2に記載の電子写真感光体と、
直流電圧の印加により、前記電子写真感光体を帯電させる接触型の帯電手段と、
を少なくとも備え、
画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジ。
トナー像の被転写体への転写後かつ電子写真感光体の帯電前に、前記電子写真感光体における電荷を除電するための除電手段を有さない、請求項3に記載のプロセスカートリッジ。
請求項1又は2に記載の電子写真感光体と、
直流電圧の印加により、前記電子写真感光体を帯電させる接触型の帯電手段と、
帯電された前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記電子写真感光体に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、
前記被転写体に転写されたトナー像を定着する定着手段と、
を備えた画像形成装置。
前記トナー像の前記被転写体への転写後かつ前記電子写真感光体の帯電前に、前記電子写真感光体における電荷を除電するための除電手段を有さない、請求項5に記載の画像形成装置。
請求項2に係る発明によれば、中間階調画像において、電子写真感光体軸方向の筋状の画像欠陥が発生し易い、上記範囲の厚みを持つ最表面層を適用しても、上記特定の化合物を含んで構成させた最表面層を有さない場合に比べ、当該筋状の画像欠陥の発生が抑制される。
請求項3、5に係る発明によれば、上記特定の化合物を含んで構成させた電荷輸送層を有さない電子写真感光体を提供した場合に比べ、中間階調画像において、電子写真感光体軸方向の筋状の画像欠陥の発生が抑制される。
請求項4、6に係る発明によれば、中間階調画像において、電子写真感光体軸方向の筋状の画像欠陥が発生し易い、除電手段を有さない構成であっても、上記特定の化合物を含んで構成させた電荷輸送層を有さない電子写真感光体を提供した場合に比べ、中間階調画像において、電子写真感光体軸方向の筋状の画像欠陥の発生が抑制される。
本実施形態に係る電子写真感光体は、導電性基体と、導電性基体上に設けられた感光層と、を有する。そして、当該感光体の最表面層は、少なくとも、下記一般式(1)で表される電荷輸送材料と、下記一般式(2)で表される構造単位及び下記一般式(3)で表される構造単位を含んで構成されるポリカーボネート樹脂と、下記一般式(4)で表される化合物と、下記一般式(5)で表される化合物と、を含んで構成される。
なお、最表面層とは、導電性基体から最も遠い側に配置される層を意味し、感光層が電荷発生層及び電荷輸送層をこの順で有する機能分離型感光層の場合、当該電荷発生層が最表面層に相当し、感光層が単層型感光層の場合、当該単層型感光層が最表面層に相当する。
特に、この現象は、電子写真感光体の最表面層が厚い場合や、除電手段を採用しない場合に、顕著に生じることもわかってきた。
一方、帯電不良が電子写真感光体の表面や最表面層中の酸化状態にあるラジカルが帯電均一性を妨害するため生じるものと推測されるが、一般式(4)及び(5)で表される化合物とを併用すると、当該化合物は、それらラジカルを消去させる機能を有していると考えられる。加えて、当該化合物は、電子写真感光体の最表面層中の電荷の偏り(電荷トラップ)を形成するため比較的残留電位を高めるが、異常放電が生じても、それらの電荷の偏り(電荷トラップ)が表面の異常帯電部で放電(リーク)し帯電の均一化させる方向に働く機能を有するものと考えられる。
しかしながら、本実施形態では、理由は定かではないが、このような各機能を有する上記各材料を組み合わせて、最表面層を構成すると、中間階調画像(所謂、ハーフトーン画像)において、電子写真感光体軸方向の筋状の画像欠陥の発生が抑制される。
加えて、特に、当該筋状の画像欠陥が発生し易い除電手段(トナー像の前記被転写体への転写後かつ前記電子写真感光体の帯電前に、前記電子写真感光体における電荷を除電するための除電手段)を有さないプロセスカートリッジ、画像形成装置であっても、本実施形態係る電子写真感光体を搭載することで、上記筋状の画像欠陥の発生が抑制される。
図1は、本実施形態に係る電子写真用感光体を示す概略断面図である。図2は、他の本実施形態に係る電子写真用感光体を示す概略断面図である。
そして、図1に示す電子写真感光体10Aにおいては、電荷輸送層3が導電性基体4から最も遠い側に配置される最表面層となっている。
具体的には、図2に示す電子写真感光体10Bにおいては、導電性基体4上に下引き層1が設けられ、その上に単層型感光層6が形成された構造を有するものである。
そして、図2に示す電子写真感光体10Bにおいては、単層型感光層6が導電性基体4から最も遠い側に配置される最表面層となっている。
導電性基体としては、従来から使用されているものであれば、如何なるものを使用してもよい。例えば、薄膜(例えばアルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類、及びアルミニウム、チタニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼、金、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)等の膜)を設けたプラスチックフィルム等、導電性付与剤を塗布又は含浸させた紙、導電性付与剤を塗布又は含浸させたプラスチックフィルム等が挙げられる。導電性基体の形状は円筒状に限られず、シート状、プレート状としてもよい。
下引き層は、導電性基体表面における光反射の防止、導電性基体から感光層への不要なキャリアの流入の防止などの目的で、必要に応じて設けられる。
下引き層に含まれる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などの公知の高分子樹脂化合物、また電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂などが挙げられる。これらの中でも、上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が望ましく用いられ、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが望ましく用いられる。
金属化合物と結着樹脂との比率は、特に制限されず、所望する電子写真感光体特性を得られる範囲で設定されることがよい。
導電性粒子としては、例えば、金属粒子(アルミニウム、銅、ニッケル、銀などの粒子)、導電性金属酸化物粒子(酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛などの粒子)、導電性物質粒子(カーボンファイバ、カーボンブラック、グラファイト粉末の粒子)等が挙げられる。これらの中でも、導電性金属酸化物粒子が好適である。導電性粒子は、2種以上混合して用いてもよい。
また、導電性粒子は、疎水化処理剤(例えばカップリング剤)等により表面処理を施して、抵抗調整して用いてもよい。
導電性粒子の含有量は、例えば、結着樹脂に対して、10質量%以上80質量%以下であることが望ましく、より望ましくは40質量%以上80質量%以下である。
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料と結着樹脂中とを含んで構成される。かかる電荷発生材料としては、無金属フタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、チタニルフタロシアニン等のフタロシアニン顔料が挙げられ、特に、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.7゜、9.3゜、16.9゜、17.5゜、22.4゜及び28.8゜に強い回折ピークを有する無金属フタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.6゜、25.1゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも9.6゜、24.1゜及び27.2゜に強い回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶が挙げられる。その他、電荷発生材料としては、キノン顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、ビスベンゾイミダゾール顔料、アントロン顔料、キナクリドン顔料等が挙げられる。また、これらの電荷発生材料は、単独又は2種以上を混合して用いてもよい。
電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、10:1乃至1:10の範囲が望ましい。
電荷発生層形成用塗布液中に粒子(例えば電荷発生材料)を分散させる方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。高圧ホモジナイザーとしては、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
電荷輸送層は、例えば、下記一般式(1)で表される電荷輸送材料と、下記一般式(2)で表される構造単位及び下記一般式(3)で表される構造単位を含んで構成されるポリカーボネート樹脂と、下記一般式(4)で表される化合物と、下記一般式(5)で表される化合物と、を含んで構成される。
電荷輸送材料は、下記一般式(1)で表される電荷輸送材料である。
n及びmはそれぞれ独立して0、1又は2を表す。
他の電荷輸送材料としては、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、N,N′−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、トリ(p−メチルフェニル)アミニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4′−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4′−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体などの正孔輸送物質、クロラニル、ブロアントラキノン等のキノン系化合物、テトラアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物等の電子輸送物質、及び上記した化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体などが挙げられる。これらの他の電荷輸送材料は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ここで、電荷輸送材料とポリカーボネート樹脂に対する相溶性向上の観点から、一般式(1)で表される電荷輸送材料と他の結着樹脂とを併用することがよい。その場合、一般式(1)で表される電荷輸送材料と他の結着樹脂との配合比(質量比)は、例えば、1:5乃至5:1がよい。
ポリカーボネート樹脂は、下記一般式(2)で表される構造単位(繰り返し単位)及び下記一般式(3)で表される構造単位(繰り返し単位)を含んで構成されるポリカーボネート樹脂(以下、特定のポリカーボネート樹脂と称する)である。
Xは、−CR11R12−(但し、R11及びR12は、各々独立に水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1以上6以下のアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基のいずれかを表す。)、炭素数5以上11以下の1,1−シクロアルキレン基、炭素数2以上10以下のα,ω−アルキレン基、−O−、−S−、−SO−、又は−SO2−を表す。
また、一般式(2)において、Xは、−CR11R12−、炭素数5以上11以下の1,1−シクロアルキレン基が好ましく、−CR11R12−がより望ましい。また前記−CR11R12−中のR11及びR12は、各々独立に、炭素数1以上6以下のアルキル基又は炭素数6以上12以下のアリール基が好ましく、その中でもメチル基又はフェニル基がより好ましい。
なお、粘度平均分子量の測定方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。具体的には、例えば、樹脂1gをメチレンクロライド100cm3に均一溶解し、25℃の測定環境下でウベローデ粘度計で、その比粘度ηspを測定し、ηsp/c=〔η〕+0.45〔η〕2cの関係式(ただしcは濃度(g/cm3)より極限粘度〔η〕(cm3/g)をもとめ、H.Schnellによって与えられている式、〔η〕=1.23×10−4Mv0.83の関係式より粘度平均分子量Mvをもとめる一点測定法が用いられる。
この一般式(2)で表される構造単位のモル比が0.05未満であると、長期保管及び使用により、接触型の帯電手段との接触に起因して電子感光体にヒビ割れや機能障害が生じ易く、画像不良を発生してしまうことがある。一方、このモル比が0.9を超えると、ポリカーボネート樹脂の一部に結晶化が起こり易くなることがある。
また。電荷輸送材料と上記結着樹脂(特定のポリカーボネート樹脂+他の結着樹脂)との配合比(質量比)は10:1乃至1:5が望ましい。
一般式(4)において、R23が表すアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、オクタデシル基などの直鎖のものや、イソプロピル基、t−ブチル基などの分岐鎖のアルキル基が挙げられ、メチル基やエチル基等が望ましい。
R23が表すアルキル基としては、例えば、メチル基が特に望ましい。
R33は、水素原子、又は炭素数1以上20以下のアルキル基を表し、具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、オクタデシル基などの直鎖のものや、イソプロピル基、t−ブチル基などの分岐鎖のアルキル基を表す。
R34は、水素原子、炭素数1以上20以下のアルキル基、又は芳香族基を表し、具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、オクタデシル基などの直鎖のものや、イソプロピル基、t−ブチル基などの分岐鎖のアルキル基、又は、フェニル基、ナフチル基等の芳香族基を表す。
R35は、水素原子、又は炭素数1以上20以下のアルキル基を表し、具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、オクタデシル基などの直鎖のものや、イソプロピル基、t−ブチル基などの分岐鎖のアルキル基を表す。
R36及びR37は、各々独立に、炭素数1以上20以下のアルキル基を表し、具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、オクタデシル基などの直鎖のものや、イソプロピル基、t−ブチル基などの分岐鎖のアルキル基を表す。
一般式(5)において、R34が表すアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基が好適に挙げられ、メチル基が望ましい。
一方、一般式(5)で表される化合物は、最表面層(電荷輸送層)の固形分全量に対して例えば0.1質量%以上10質量%以下であることよく、望ましくは0.5質量%以上5質量%以下であり、望ましくは1質量%以上3質量%以下である。
電荷輸送層には、フッ素樹脂粒子を含んでいてもよい。
フッ素樹脂粒子としては、例えば、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂及びそれらの共重合体の粒子の中から1種又は2種以上を選択するのが望ましい。これらの中も、フッ素樹脂粒子としては、特に、4フッ化エチレン樹脂粒子、フッ化ビニリデン樹脂粒子が望ましい。
なお、この一次粒子は、電子写真感光体の最表面層から試料片を得て、これをSEM(走査型電子顕微鏡)により例えば倍率5000倍以上で観察し、一次粒子状態のフッ素樹脂粒子の最大径を測定し、これを50個の粒子について行った平均値とする。なお、SEMとして日本電子製JSM-6700Fを使用し、加速電圧5kVの二次電子画像を観察する。
フッ素変性シリコーンオイルの含有量は、例えば、0.1ppm以上1000ppm以下の範囲がよく、望ましくは0.5ppm以上500ppm以下の範囲である。
なお、電荷輸送層形成用塗布液中に例えばフッ素樹脂粒子を分散させる場合、つまり電荷輸送層にフッ素樹脂粒子を含ませる場合、フッ素樹脂粒子の分散安定剤として、フッ素系界面活性剤やフッ素系グラフトポリマーを併用することがよい。フッ素系グラフトポリマーとしては、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、スチレン化合物等からなるマクロモノマー及びパーフルオロアルキルエチルメタクリレートよりグラフト重合された樹脂が挙げられる。
フッ素系界面活性剤やフッ素系グラフトポリマーの含有量は、例えば、フッ素樹脂粒子に対して1質量%以上5質量%以下であることがよい。
単層型感光層は、例えば、電荷発生材料と、一般式(1)で表される電荷輸送材料と、一般式(2)で表される構造単位及び下記一般式(3)で表される構造単位を含んで構成されるポリカーボネート樹脂と、一般式(4)で表される化合物と、一般式(5)で表される化合物と、を含んで構成される。
単層型感光層の膜厚は、上述のように25μm以上であることがよいが、例えば5μm以上25μm未満であってもよい。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置101は、図3に示すように、例えば、矢印aで示すように、時計回り方向に回転する電子写真感光体10と、電子写真感光体10の上方に、電子写真感光体10に相対して設けられ、電子写真感光体10の表面を帯電させる帯電装置20(帯電手段の一例)と、帯電装置20により帯電した電子写真感光体10の表面に露光して、静電潜像を形成する露光装置30(静電潜像形成手段の一例)と、露光装置30により形成された静電潜像に現像剤に含まれるトナーを付着させて電子写真感光体10の表面にトナー像を形成する現像装置40(現像手段の一例)と、電子写真感光体10に接触しつつ矢印bで示す方向に走行するとともに、電子写真感光体10の表面に形成されたトナー像を転写するベルト状の中間転写体50と、電子写真感光体10の表面をクリーニングするクリーニング装置70(クリーニング手段の一例)とを備える。
帯電装置20は、電子写真感光体10と接触させ、直流電圧の印加により、電子写真感光体10の表面を帯電する接触型の帯電装置である。
帯電装置20は、例えば、ローラ状、ブラシ状、フィルム状等の種々の公知の形態の帯電部材で構成されるが、特にローラ状の帯電部材がよい。ローラ状の帯電部材については電子写真感光体10に対し、例えば、250mgf以上600mgf以下の圧力で接触配置させることがよい。
帯電装置20は、要求される電子感光体10の帯電電位に応じて、例えば、正または負の50V以上2000V以下(望ましくは100V以上1500V以下)の直流電圧を印加し、電子写真感光体10を帯電することがよい。印加する電圧は、交流電圧を重畳してもよいが、電子写真感光体10の表面の磨耗量(削れ量)を抑制する観点から、直流電圧のみがよい。
これら弾性層は、例えば、主材料(例えば、ウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム)、エピクロルヒドリンゴム等の合成ゴムやポリオレフィン、ポリスチレン、塩化ビニル等からなるエラストマー)に、導電性付与剤(例えば導電性カーボン、金属酸化物、イオン導電剤等)配合して構成される。
弾性層は、樹脂(ナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、シリコーン等)を塗料化し、そこに導電付与剤(例えば導電性カーボン、金属酸化物、イオン導電剤等)を適量配合し、得られた塗料をデイッピング、スプレー、ロールコート等の任意の手法により層状に形成したもので構成してもよい。
露光装置30としては、例えば、電子写真感光体10表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体10の分光感度領域にあるものがよい。半導体レーザーの波長としては、例えば、780nm前後に発振波長を有する近赤外がよい。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザーや青色レーザーとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザーも利用してもよい。また、露光装置30としては、例えばカラー画像形成のためにはマルチビーム出力するタイプの面発光型のレーザー光源も有効である。
現像装置40は、例えば、現像領域で電子写真感光体10に対向して配置されており、例えば、トナー及びキャリアからなる2成分現像剤を収容する現像容器41(現像装置本体)と、補給用現像剤収納容器(トナーカートリッジ)47と、を有している。現像容器41は、現像容器本体41Aとその上端を塞ぐ現像容器カバー41Bとを有している。
現像剤は、トナーとキャリアを含む二成分系現像剤が採用される。
トナーは、例えば、結着樹脂、着色剤、及び必要に応じて離型剤等の他の添加剤を含むトナー粒子と、必要に応じて外添剤と、を含んで構成される。
一次転写装置51、及び二次転写装置52としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
なお、一次転写装置51は、トナー像に対して、トナーとは逆極性の電圧を印加して、トナー像を中間転写体50に転写してもよい。
クリーニング装置70は、例えば、筐体71と、筐体71から突出するように配設されるクリーニングブレード72と、クリーニングブレード72の電子写真感光体10回転方向下流側に配置される潤滑剤供給装置60と、を含んで構成されている。
潤滑剤供給装置60は、例えば、クリーニング装置70の内部であって、クリーニングブレード72よりも電子写真感光体10の回転方向上流側に設けられている。
潤滑剤供給装置60としては、例えば、電子写真感光体10と接触して配置される回転ブラシ61と、回転ブラシ61に接触して配置される固形状の潤滑剤62と、で構成されている。潤滑剤供給装置60では、固形状の潤滑剤62と接触した状態で回転ブラシ61を回転させることで、回転ブラシ61に潤滑剤62が付着すると共に、その付着した潤滑剤62が電子写真感光体10の表面に供給され、当該潤滑剤62の皮膜が形成される。
なお、潤滑剤供給装置60は、上記形態に限られず、例えば、回転ブラシ61に代わりにゴムローラを採用した形態であってもよい。
また、潤滑剤62としては、例えば、金属石鹸及びワックスなどが挙げられる。
プロセスカートリッジ101Aの構成は、これに限られず、例えば、少なくとも、電子写真感光体10と帯電装置20を備えてえればよく、その他、例えば、露光装置30、現像装置40、一次転写装置51、及びクリーニング装置70から選択される少なくとも一つを備えていてもよい。
酸化亜鉛(平均粒子径:70nm、テイカ社製、比表面積値:15m2/g)100質量部をメタノール500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤として、KBM603(信越化学社製)1.25質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、メタノールを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛粒子を得た。
この塗布液を、浸漬塗布法にて直径30mmのアルミニウム基材上に塗布し、180℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ25μmの下引層を得た。
この電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層上に塗布して135℃で30分間乾燥し、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を得た。
電荷輸送層の組成であって、一般式(1)で表される電荷輸送材料、他の電荷輸送材料、一般式(2)及び(3)で表される構造単位を有するポリカーボネート樹脂、一般式(4)で表される化合物、一般式(5)で表される化合物の種類及び配合量、電荷輸送層の膜厚、を表1〜表3に従って、変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を得た。
電荷輸送層の組成であって、一般式(1)で表される電荷輸送材料、他の電荷輸送材料、一般式(2)及び(3)で表される構造単位を有するポリカーボネート樹脂、一般式(4)で表される化合物、一般式(5)で表される化合物の種類及び配合量、電荷輸送層の膜厚、を表1〜表3に従って、変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を得た。
各例で得られた電子写真感光体を28℃、85%RHで一晩保管した後、28℃、85%RHの環境下において、DocuPrint C1100(富士ゼロックス社製:除電装置有:感光体帯電方式=帯電ロールを800gf(7.85N)で感光体に接触させ、−400Vの直流電圧印加により帯電する方式)に組み込み、ハーフトーン画像(中間階調画像:画像濃度20%)を印刷し、感光体軸方向の筋状の画像欠陥について下記評価基準で判定した。
その後、28℃、85%RHの環境下において。除電装置を取り外したDocuPrint C1100改造機に組み込み、同様にしてハーフトーン画像(中間階調画像:画像濃度20%)を印刷し、感光体軸方向の筋状の画像欠陥について下記評価基準で判定した。
−評価基準−
A:まったく発生していないレベル
B:Cよりもうすく発生(ほとんど気づかないが、よく見ると発生しているレベル)
C:Dよりもうすく発生
D:はっきり発生しているが、全面には発生せず一部で発生
E:はっきり、全面に発生
また、本実施例では、比較例に比べ、除電装置を有さない装置に搭載しても、感光体軸方向の筋状の画像欠陥が抑制されることがわかる。
Claims (6)
- 導電性基体と、前記導電性基体上に配された感光層と、を少なくとも有し、
最表面層が、少なくとも、下記一般式(1)で表される電荷輸送材料と、下記一般式(2)で表される構造単位及び下記一般式(3)で表される構造単位を含んで構成されるポリカーボネート樹脂と、下記一般式(4)で表される化合物と、下記一般式(5)で表される化合物と、を含む電子写真感光体。
(一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数1以上20以下のアルコキシ基、又は、置換もしくは未置換の炭素数6以上30以下のアリール基を表し、隣接する2つの置換基同士が結合して炭化水素環構造を形成してもよい。n及びmはそれぞれ独立して0、1又は2を表す。)
(一般式(3)中、R9及びR10は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を表す。Xは、−CR11R12−(但し、R11及びR12は、各々独立に水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1以上6以下のアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基のいずれかを表す。)、炭素数5以上11以下の1,1−シクロアルキレン基、炭素数2以上10以下のα,ω−アルキレン基、−O−、−S−、−SO−、又は−SO2−を表す。)
(一般式(5)中、R31及びR32は、各々独立に、炭素数1以上20以下のアルキル基を表す。R33は、水素原子、又は、炭素数1以上20以下のアルキル基を表す。R34は、水素原子、炭素数1以上20以下のアルキル基、又は、芳香族基を表す。R35は、水素原子、又は、炭素数1以上20以下のアルキル基を表す。R36及びR37は、各々独立に、炭素数1以上20以下のアルキル基を表す。) - 前記最表面層の厚みが、25μm以上である請求項1に記載の電子写真感光体。
- 請求項1又は2に記載の電子写真感光体と、
直流電圧の印加により、前記電子写真感光体を帯電させる接触型の帯電手段と、
を少なくとも備え、
画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジ。 - トナー像の被転写体への転写後かつ電子写真感光体の帯電前に、前記電子写真感光体における電荷を除電するための除電手段を有さない、請求項3に記載のプロセスカートリッジ。
- 請求項1又は2に記載の電子写真感光体と、
直流電圧の印加により、前記電子写真感光体を帯電させる接触型の帯電手段と、
帯電された前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記電子写真感光体に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、
前記被転写体に転写されたトナー像を定着する定着手段と、
を備えた画像形成装置。 - 前記トナー像の前記被転写体への転写後かつ前記電子写真感光体の帯電前に、前記電子写真感光体における電荷を除電するための除電手段を有さない、請求項5に記載の画像形成装置。
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