JP7222708B2 - 電子写真用ローラ、プロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置 - Google Patents

電子写真用ローラ、プロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、電圧を印加して被帯電体である電子写真感光体の表面を所定の電位に帯電するための帯電部材等として使用可能な電子写真用ローラ、それを用いたプロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置(以下、「電子写真装置」とも称す)に関する。
電子写真方式を採用した電子写真装置は、主に、電子写真感光体(以下、単に「感光体」とも称す)、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置及び定着装置を含む。帯電装置としては、感光体の表面に接触又は近接配置された帯電部材に、直流電圧、又は、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加することによって感光体の表面を帯電する接触帯電装置が多く採用されている。
特許文献1には、感光体と接触させて帯電させるローラ部材(以下、「帯電ローラ」とも称す)として、導電性樹脂層中に開口を有したボウル形状の樹脂粒子を含有し、表面にボウル形状の樹脂粒子の開口部及びエッジ部に由来した凹凸形状を有するローラ部材が開示されている。特許文献1に係るローラ部材によれば、ボウル形状の樹脂粒子のエッジ部が感光体と当接した際に弾性変形することで、当接圧力が緩和され、長期に亘る使用においても感光体の不均一な摩耗を抑制できることが記載されている。
特開2011-237470号公報
一方で、近年、電子写真装置のプロセススピードの高速化に伴って、電子写真画像の形成の際に感光体に振動が生じ易くなってきている。特許文献1に記載のローラ部材を使用して振動している感光体を帯電させようとした場合、当該ローラ部材が感光体の回転に追従できず、ローラ部材が感光体の表面を滑る現象(以下、「スティックスリップ」とも称す)が発生する場合があることを確認した。スティックスリップの発生は、感光体に帯電ムラを生じさせ、電子写真画像に横スジ状の濃度ムラを生じさせる原因となる。なお、以下、電子写真画像に生じた横スジ状の濃度ムラを「バンディング」と称することがある。また、横スジ状の濃度ムラが生じた電子写真画像を「バンディング画像」と称することがある。
本発明の一態様は、長期に亘る使用によっても感光体の不均一な摩耗、及び、バンディング画像の発生を十分に抑制し得る電子写真用ローラの提供に向けたものである。また、本発明の他の態様は、高品位な電子写真画像の形成に資するプロセスカートリッジの提供に向けたものである。さらに、本発明の他の態様は、高品位な電子写真画像を形成することができる電子写真装置の提供に向けたものである。
本発明の一態様によれば、
導電性基体と、該導電性基体上の導電性の弾性層とを有する電子写真用ローラであって、該弾性層は、バインダーを含み、電子写真用ローラの表面の一部は、該弾性層によって構成されている。
該電子写真用ローラの表面は、複数個の凸部を有し、
該電子写真用ローラの表面の一部は、該弾性層によって構成されており、
該凸部の各々のヤング率が、0.01~5000MPaであり、
該電子写真用ローラをガラス板に対して、該電子写真用ローラと該ガラス板とで形成されるニップの単位面積当たりの荷重が、6.5g/mmとなるように押圧したときにおける該電子写真用ローラの該凸部と該ガラス板との第1接触部の各々の面積の平均値S1aveが10μm以上であり、
該第1接触部の各々を該導電性基体の表面に正投影させて得られる該接触部の正投影像について、該電子写真用ローラの軸に沿う方向に直交する方向の最大長さをL1-1とし、該電子写真用ローラの軸に沿う方向の最大長さをL1-2としたとき、L1-1及びL1-2が下記式(1)の関係を満たし、かつ
該電子写真用ローラをガラス板に対して、該電子写真用ローラと該ガラス板とで形成されるニップの単位面積当たりの荷重が、14.3g/mmとなるように押圧したときにおける該電子写真用ローラの該凸部と該ガラス板との第2接触部の各々の面積の平均値S2aveが200μm以下であり、
該第2接触部の各々を該導電性基体の表面に正投影させて得られる該接触部の正投影像について、該電子写真用ローラの軸に沿う方向に直交する方向の最大長さをL2-1とし、該電子写真用ローラの軸に沿う方向の最大長さをL2-2としたとき、L2-1及びL2-2が下記式(2)の関係を満たす電子写真用ローラが提供される。
Figure 0007222708000001
また、本発明の他の態様によれば、中空形状の樹脂粒子をバインダー中に分散させた組成物の被覆層を導電性基体の外周上に形成して導電性ローラを作製する工程、
該被覆層の表面を研磨することにより、中空形状の樹脂粒子のシェルの一部を削除して開口を有するボウル形状とし、該被覆層の表面に、該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジ部と樹脂粒子の内壁とで規定される凹部と、該開口のエッジ部に由来する凸部と、を形成する工程、
該導電性ローラを酸素含有雰囲気下にて加熱処理する工程、該被覆層の表面に粒子を塗布する工程、テープ研磨方式により該研磨工程と対向する方向に回転する該被覆層の表面仕上げ研削を行う工程、
を有する前記電子写真用ローラの製造方法が提供される。
また、本発明の他の態様によれば、中心軸に沿う方向に長い凹み形状を有する円筒金型に、導電性基体を組み込み、射出成型により材料を注入する工程を有する前記電子写真用ローラの製造方法が提供される。
また、本発明の他の態様によれば、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電する帯電ローラと、を具備し、該帯電ローラが、上記の電子写真用ローラであるプロセスカートリッジが提供される。
また更に、本発明の他の様態によれば、電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電する帯電ローラと、を具備し、該帯電ローラが、上記の電子写真用ローラである電子写真画像形成装置が提供される。
本発明の一態様によれば、高速化された電子写真画像形成装置においても、感光体の不均一な摩耗が抑制され、且つ、バンディング画像が抑制された高品位な電子写真画像を与え得る電子写真用ローラが提供される。また本発明の他の態様によれば、高品位な電子写真画像の安定した形成に資するプロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置が提供される。
本発明の一態様に係る電子写真用ローラのガラス板に押圧した接触部の概略図である。 従来の電子写真用ローラの周速度と接触部の関係を表した概略図である。 本発明の一態様に係る電子写真用ローラの周速度と接触部の関係を表した概略図である。 本発明の一態様に係る電子写真用ローラの一例を示す概略断面図である 本発明を実施するための円筒金型の一例を表す説明図である。 本発明を実施するための粒子塗布手法の一例を表す説明図である。 本発明を実施するための表面仕上げ研削の一例を示す説明図である。 本発明の一態様に係る電子写真画像形成装置の一例を表す概略断面図である。 本発明の一態様に係るプロセスカートリッジの一例を表す概略断面図である。 ガラス板と電子写真用ローラ表面を当接させる冶具の概略図である。
本発明の一態様に係る電子写真用ローラは、導電性基体と、導電性基体上の表面層としての導電性の弾性層を有する。弾性層は、バインダーを含む。また、電子写真用ローラの外表面は、複数個の凸部を有する。
該電子写真用ローラは、以下の試験条件において、該電子写真用ローラの該凸部とガラス板との接触部が下記式(1)及び下記式(2)を満たす。
Figure 0007222708000002
L1-1及びL1-2は、それぞれ6.5g/mmとなるように押圧したときの接触部の電子写真用ローラの軸に沿う方向に直交する方向と軸に沿う方向の最大長さを示す。また、L2-1及びL2-2は、それぞれ14.3g/mmとなるように押圧したときの接触部の電子写真用ローラの軸に沿う方向に直交する方向と軸に沿う方向の最大長を示す。なお、式(1)及び式(2)の左辺をそれぞれ下記式(1A)及び(2A)の通り、D1及びD2と定義する。
式(1A)
D1=arctan(L1-1/L1-2)
式(2A)
D2=arctan(L2-1/L2-2)
(試験条件)
電子写真用ローラの長手方向、すなわち電子写真用ローラの軸(回転中心軸方向)の全幅にわたってガラス板を配置する。この配置状態を維持し、ガラス板を透過して、ガラス板非当接時観察画像を得る。この状態において、電子写真用ローラと該ガラス板とで形成されるニップの単位面積当たりの荷重が、6.5g/mm、14.3g/mmとなるように押圧し、ガラス板を電子写真用ローラに当接させ、ガラス板当接時観察画像を得る。また、「ニップ」とは、電子写真用ローラとガラス板との間の接触部であり、より詳しくは、電子写真用ローラの軸に沿う方向(長手方向)に直交する方向(周方向)における、電子写真用ローラとガラス板との接触点の周方向の両端の2箇所について、各々の接触点を通る電子写真用ローラの長手方向に平行な2本の直線で挟まれる領域である。さらにガラス板非当接時観察画像内で最も高い凸部を視野の中心とし、接触部の詳細形状を得るため、高い倍率に切り替え、ガラス板当接時詳細観察画像を得る。
尚、ニップの単位面積当たりの荷重については、一般的な電子写真装置における電子写真用ローラの感光体に対する当接荷重と、前記当接荷重により押圧した際のニップ面積より、上記範囲を採用した。
なお、ガラス板は、電子写真用ローラが当接される感光体等の部材をモデル化したものであり、ガラス板を用いることによって、後述する観察手法により電子写真用ローラと感光体等の部材との当接状態を模擬的に可視化することが可能となる。
電子写真用ローラを感光体と接触して従動回転する部材として用いる場合について、電子写真用ローラの弾性層の表面構造と上記の式(1)及び式(2)との関係を以下に説明する。
図1(a)は、弾性層表面に保持された開口を有するボウル形状の樹脂粒子により形成された凹凸構造をガラス板の接触用平面に押圧した状態の一例を示す図である。図1(a)に示すように、かかる凹凸構造をガラス板に押圧すると、バインダー中に分散されたボウル形状の樹脂粒子11の開口に由来するエッジ部がガラス板13の一方の面に接触する。
次に、エッジ部とガラス板との接触部からのD1、D2の算出について説明する。
図1(a)のAがエッジ部とガラス板13との接触部であり、その接触部Aを矢印Bの方向、すなわちガラス板のエッジ部との接触面に対して反対側の面から顕微鏡にて観察すると、図1(b)に示すような接触部Aが確認される。エッジ部とガラス板との接触部において、荷重6.5g/mm負荷時の接触部を第1接触部とする。次に、第1接触部の各々を該導電性基体の表面に正投影させ該接触部の正投影像を得る。得られた該接触部の正投影像について、該電子写真用ローラの軸に沿う方向(長手方向)Cに直交する方向の最大長さをL1-1とする。また、該電子写真用ローラの長手方向Cの最大長さをL1-2とする。荷重14.3g/mm負荷時の接触部を第2接触部とする。次に、第2接触部の各々を該導電性基体の表面に正投影させて得られる該接触部の正投影像を得る。得られた該接触部の正投影像について、該電子写真用ローラの長手方向Cに直交する方向の最大長さをL2-1とする。また、該電子写真用ローラの長手方向Cの最大長さをL2-2とする。それぞれの荷重において高倍率による観察で得られたガラス板当接時詳細観察画像から、L1-1、L1-2、L2-1、L2-2を計測する。計測したL1-1、L1-2、L2-1、L2-2を上記式(1)及び式(2)に代入し、D1、D2を算出する。
本発明者らが鋭意検討した結果、第1接触部及び第2接触部が上記式(1)及び式(2)をそれぞれ満たすことで、電子写真用ローラと感光体との従動回転の安定性が向上し、回転ムラが抑制され、バンディング画像が抑制されることを見出した。そのメカニズムを以下のように推測している。
図2は、特許文献1に係る電子写真用ローラ32の長手方向に渡る周速度と、特定の位置における接触部の関係を表す概略図である。電子写真用ローラ32は、バネ等の所定の押し圧力(非図示)により感光体31に接触され、従動回転する。本発明者らは、電子写真用ローラや感光体の形状ムラ、粗さムラにより図2のZ1、Z2の地点おけるような周速度の差(以下、周速の乱れと称す)が生じ、バンディング画像が発生することを確認した。
一方、図3は、本発明の一実施態様に係る電子写真用ローラ33の長手方向に渡る周速度と、特定の位置における接触部の関係を表す概略図である。電子写真用ローラ33は、図2と同様に、従動回転する。図2,3のD,D’の位置において、感光体との接触をガラス板に当接させ、模擬的に可視化した。本発明者らは、本発明の一実施態様に係る電子写真用ローラが周速度の乱れを低減できることを確認した。電子写真用ローラの接触部が長手方向Cに長く、長手方向Cに直交する方向に短いほど、周速度の乱れをより低減できていることから、本発明者らは、本発明の周速度の乱れを低減するメカニズムを以下のように推察している。
電子写真用ローラの接触部を長手方向Cに長く、長手方向Cに直交する方向に短い、すなわち回転方向に対するねじり剛性の小さい形状にすることで、回転方向に対して、図3(b)に示すような接触部AからA’のねじり変形を引き起こし、周速の乱れを低減することで、バンディング画像を抑制することを見出した。周速の乱れを低減するには、電子写真用ローラの長手方向Cに直交する方向の接触部における最大長さL1-1、L2-1、長手方向Cの最大長さL1-2、L2-2が式(1)、式(2)を満足することが必要であることを見出した。
ここで、電子写真用ローラの接触部の形状を、該接触部の最大長さLa、最大長さと直交する方向の長さLbからなる矩形形状(La>Lb)としたとき、凸部のねじり剛性GJは、式(3)で一般的に表される。
GJ=Gk2La(Lb) ・・・式(3)
ここでGはせん断弾性係数、Jはねじり定数であり、k2はLa/Lbによって変化する係数で一般的に表1のような値をとる。
Figure 0007222708000003
式(3)からLa、Lbを小さくし、特にLbを小さくすることで、ねじり剛性を小さくできることが分かる。つまり、微小な大きさの凸部において、最大長さに直交する方向の長さが小さく、アスペクト比が大きい形状がねじれ変形を起こしやすくなる。また、電子写真用ローラを感光体で従動回転させる場合において、電子写真用ローラや感光体の長手方向にわたる形状ムラ、粗さムラにより、長手方向において周速の乱れを生じやすい。この課題に対し、アスペクト比が大きい凸部を、最大長さが回転軸方向に沿って配向することで、凸部のねじれ変形により周速の乱れを低減することができる。ねじれ変形を引き起こす凸部形状、ねじれ変形による周速乱れを低減する凸部の配向方向の関係を基に、本発明者らは検討を行い、式(1)、式(2)を満たすときに、周速乱れの抑制が可能であることが分かった。
本態様に係る電子写真用ローラは、その表面に凸部が、少なくとも一つ存在する。バンディング画像の発生をより抑制するためには、電子写真用ローラの長手方向を5等分割した5領域内に各1箇所、及び各箇所における周方向の各6箇所(位相0°、60°、120°、180°、240°、及び300°)の合計30箇所のそれぞれにおいて、長手方向0.5mm、周方向0.5mmの領域の表層を「測定範囲」とした場合に、前記式(1)、式(2)を満たす凸部が存在する「測定範囲」が15箇所(50%)以上存在することが必要であり、より好ましくは18箇所(60%)以上存在することが好ましい。
また前記30箇所の「測定範囲」にて算出されるD1、D2の平均値D1(ave)、D2(ave)がそれぞれ1/√3以下であることがより好ましい。また、前記30箇所の測定範囲にて算出されるD1、D2が、それぞれが1/√3以下であることがより好ましく、2/5以下であることがより好ましい。
加えて、一般的な電子写真装置における電子写真用ローラの感光体に対する当接荷重において、本態様に係る電子写真用部材由来の接触部により従動回転させるために、前記30箇所の「測定範囲」における接触部の各々の面積の平均値(Save)が特定の値を有する。荷重6.5g/mm負荷時には第1接触部の各々の面積の平均値S1aveが10μm以上であり、荷重14.3g/mm負荷時には第2接触部の各々の面積の平均値S2aveが200μm以下である。
本態様に係る電子写真用ローラのガラス板との接触部が、式(1)、式(2)を満たした上で、さらにL1-1、L1-2、L2-1、L2-2が下記の範囲であることが好ましい。
L1-1、L2-1は、本発明の電子写真用ローラをガラス板に当接した際(L1-1:荷重6.5g/mm負荷時、L2-1:荷重14.3g/mm負荷時)の接触部の回転軸に直交する方向の最大長さを表している。L1-1、L2-1は、小さいほどねじり変形を起こしやすく、周速乱れの低減効果が大きい。すなわち、L1-1、L2-1は1μm以上10μm以下であることが好ましく、特には2μm以上9μm以下がより好ましい。
L1-2、L2-2は、本態様に係る電子写真用ローラをガラス板に当接した際(L1-2:荷重6.5g/mm負荷時、L2-2:荷重14.3g/mm負荷時)の接触部の回転軸に沿う方向の最大長さを表している。L1-2、L2-2は、小さいほどねじり変形を起こしやすい。かつ、L1-2、L2-2は、L1-1、L2-1に比べ、大きいほど周速乱れの低減効果が大きくなる。すなわち、L1-2、L2-2は2μm以上200μm以下であることが好ましく、特には10μm以上150μm以下がより好ましい。
<ガラス板>
凸部の評価に用いるガラス板としては、例えば、材質:BK7、面精度:両面光学研磨面、平行度:1分以内、厚み:2mmのガラス板が用いられる。先に、図1(a)において説明したように、ガラス板の一方の平面として形成された面を、電子写真用ローラを押圧する接触用の面として利用し、その反対側の面を接触部の観察用の面として利用することができる。図10(b)に示すように、ガラス板の幅(W2)は、電子写真用ローラの軸(回転軸)方向(すなわち、長手方向)の幅(W1)と同等以上(W1≦W2)とされる。また、ガラス板の幅(W2)と直交する方向の長さ(L)は、上述したSaveの算出に必要な情報を得るためのニップ部が形成可能なであるように設定すればよい。例えば、長さ(L)は電子写真用ローラの軸に直交する方向の長さ、すなわち外径(d)以上とすることが好ましい。
該電子写真用ローラは、前記式(1)及び式(2)を満たす凸部をその表面に有することにより、「周速の乱れ」を抑制し得る。そして、前記式(1)及び式(2)を満たすためには、下記に示す凸部形成方法が好ましい。凸部形成方法として、下記の2つの方法が例示できる。
方法1:電子写真用ローラの回転軸に沿う方向に長い凹み形状を有する円筒金型に、材料を注入し、金型の凹み形状に対応する凸部を転写する方法。
方法2:被覆層の表面を酸素含有雰囲気下(大気雰囲気下等)にて加熱処理した後、粉塗布を行い、表面仕上げ研削を行う方法。
以下に方法1、方法2それぞれに係る電子写真用ローラの製造例に関して説明する。
本態様に係る電子写真用ローラの一例を示す概略断面図を図4に示す。図4(a)の電子写真用ローラは、導電性基体1と導電性弾性層2を有している。導電性弾性層は図4(b)に示すように、導電性弾性層21及び22の2層構成であってもよい。尚、導電性弾性層は、バインダーを含有している。さらに方法2では、導電性弾性層にボウル形状の樹脂粒子を含有し、後述のエッジ部に由来する凸部により式(1)、式(2)を満たす凸部を形成する。
導電性基体1及び導電性弾性層2、あるいは、導電性基体1上に順次積層する層(例えば、図4(4b)に示す導電性弾性層21及び22は、接着剤を介して接着してもよい。この場合、接着剤は導電性であることが好ましい。導電性の接着剤には公知のものを用いることができる。接着剤の基材樹脂としては、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が挙げられるが、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系、ポリエーテル系、エポキシ系の如き公知の樹脂を用いることができる。接着剤に導電性を付与するための導電剤としては、後に詳述する導電性微粒子から適宜選択し、1種類を単独で、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
〔導電性基体〕
導電性基体は、導電性を有し、その上に設けられる導電性弾性層を支持する機能を有するものである。材質としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケルの如き金属やその合金(ステンレス鋼等)を挙げることができる。
[バインダー]
導電性弾性層に含有されるバインダーとしては、公知のゴム又は樹脂を用いることができる。ゴムとしては、例えば、天然ゴムやこれを加硫処理したもの、合成ゴムを挙げることができる。合成ゴムとしては以下のものが挙げられる。エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプロピレンゴム(IR)、ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム及びフッ素ゴム。
樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の如き樹脂が使用できる。中でも、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂がより好ましい。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらバインダーの原料である単量体を共重合させ、共重合体としてもよい。ただし、方法1では後述する円筒金型の中心軸に沿う方向に長い凹み形状を、精度良く転写するため、流動性の高いバインダーを選定することが好ましい。具体的には、分子量の小さいシリコーンゴム、NBRが例示できる。ただし、電子写真ローラにしたときのヤング率が、0.01~5000MPa程度であり、ねじれ変形に耐えうる材料を選択する必要がある。
尚、方法1では後述する理由により、分子中に2重結合を有し、且つ、耐熱性の高いスチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR)を使用することが、より好ましい。
また、導電性弾性層中のバインダーの導電率とボウル形状の樹脂粒子由来の凹部の導電率を制御するため、導電性弾性層中にシリコーンオイルを含有させることが好ましい。シリコーンオイルの構造としては、直鎖型のジメチルポリシロキサンが好ましい。また、シリコーンオイルの含有量としては、バインダー100質量部に対して、0.2質量部以上2.0質量部以下、特には、0.4質量部以上、1.0質量部以下が好ましい。これによって、電子写真用ローラの導電率をより良く制御することができる。また、シリコーンオイルの粘度としては、後述するが、20mm/s以上、200mm/s以下が好ましく、より好ましくは、30mm/s以上、100mm/s以下である。
[導電性微粒子]
導電性弾性層の体積抵抗率の目安としては、温度23℃、相対湿度50%の環境下において、1×10Ωcm以上、1×1016Ωcm以下とすることが好ましい。本範囲内とすることで、放電により感光体を適切に帯電することが、より容易になる。そのために、導電性弾性層中に、公知の導電性微粒子を含有してもよい。導電性微粒子としては金属酸化物、金属、カーボンブラック、グラファイトの微粒子が挙げられる。また、これらの導電性微粒子を、1種類単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。導電性弾性層中における導電性微粒子の含有量の目安としては、バインダー100質量部に対して2~200質量部、特には5~100質量部である。
[方法1に係る導電性弾性層の形成方法]
方法1に係る導電性弾性層を形成する方法の一例を図5に示す。図5(a)における領域Eの拡大図を図5(b)に、図5(b)における領域Fの拡大図を図5(c)に示す。
53は弾性層の形成に使用する金型51の内壁を示しており、円筒金型の中心軸に沿う方向に長い凹み形状54を有している。この凹み形状54において、中心軸に沿う方向の長さをK1、中心軸に沿う方向に直交する方向の長さをK2としたとき、K1は2μm以上200μm以下が好ましく、K2は1μm以上10μm以下が好ましい。該凹み形状を有する円筒金型に同心に軸状の芯金を保持する2つの円筒駒を組み、円筒金型の軸方向に平行に分割される加熱用熱盤で挟み込み加熱することにより、軸状の芯金の周囲に、上記弾性層を円筒状に上記芯金と一体的に成形し、該凹み形状から転写することで、式(1)、式(2)を満たす凸形状を弾性層表面に形成する。
[方法2に係る導電性弾性層の形成方法]
方法2に係る導電性弾性層を形成する方法を以下に例示する。まず、導電性基体上に、バインダー中に中空形状の樹脂粒子を分散させた組成物の被覆層を形成する。その後、被覆層の表面を研磨することにより、中空形状の樹脂粒子のシェルの一部を削除して開口を有するボウル形状とし、該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジ部と該樹脂粒子の内壁とで規定される凹部と、該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジ部に由来する凸部を形成する(以下、これらの凹凸を含む形状を「ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状」と称す)。次いで、該凹部への導電性微粒子の塗布、又は、酸素含有雰囲気下での被覆層の加熱処理等によって、被覆層の表面に存在する材料の導電率を調整する。
以下、方法2における導電性弾性層の形成方法の各工程を詳細に説明する。尚、前記被覆層のうち研磨工程前の被覆層を「予備被覆層」と称す。また、電子写真用ローラの原料における「中空形状の樹脂粒子のシェル」は、研磨処理によって、開口を有するボウル形状の樹脂粒子が形成された電子写真用ローラにおいては、「ボウル形状の樹脂粒子のボウル」と称す。
[予備被覆層中への樹脂粒子の分散]
まず、予備被覆層中に中空形状の樹脂粒子を分散させる方法について説明する。一つの方法としては、内部に気体を含有している中空形状の樹脂粒子を、バインダー中に分散させた導電性樹脂組成物の塗膜を導電性基体上に形成し、塗膜を乾燥、硬化、又は架橋等を行う方法を例示することができる。尚、導電性樹脂組成物中には導電性粒子を含有させることができる。中空形状の樹脂粒子に使用する材料としては、気体透過性が低く、高反発弾性を有するという観点から、極性基を有する樹脂が好ましく、下記化学式(I)に示すユニットを有する樹脂が、より好ましい。特に研磨性を制御しやすいという観点から、化学式(I)に示すユニットと、化学式(II)に示すユニットを両方有することが、更に好ましい。
Figure 0007222708000004
化学式(I)中、Aはシアノ基、フェニル基、アミノカルボニル基から選択され、複数のユニットにおいて同一でも異なっていてもよい。R1は、水素原子、もしくは炭素数1から4のアルキル基である。
Figure 0007222708000005
化学式(II)中、R2は、水素原子、もしくは、炭素数1から4のアルキル基であり、R3は、水素原子、もしくは、炭素数1から10のアルキル基である。
別の方法としては、粒子の内部に内包物質を含み、熱を加えることにより内包物質が膨張し、中空形状の樹脂粒子となる、熱膨張性マイクロカプセルを使用する方法を例示することができる。熱膨張性マイクロカプセルを、バインダー中に分散させた導電性樹脂組成物を作製し、この組成物を、導電性基体上に被覆し、乾燥、硬化、又は架橋等を行う方法である。この方法の場合、予備被覆層に使用するバインダーの乾燥、硬化、又は架橋時の熱で内包物質を膨張させ、中空形状の樹脂粒子を形成することができる。その際、温度条件を制御することにより、粒径を制御可能である。
熱膨張性マイクロカプセルを用いる場合、バインダーとして熱可塑性樹脂を用いる必要がある。熱可塑性樹脂としては以下のものが挙げられる。アクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メタクリル酸樹脂、スチレン樹脂、ブタジエン樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂、メタクリロニトリル樹脂、アクリル酸樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂。この中でも特に、高い反発弾性を示すアクリロニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メタクリロニトリル樹脂から選ばれる少なくとも1種からなる熱可塑性樹脂を用いることが、図1に記載のボウル形状を形成する上で、より好ましい。これら熱可塑性樹脂は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。更に、これら熱可塑性樹脂の原料となる単量体を共重合させ、共重合体としてもよい。
熱膨張性マイクロカプセルに内包させる物質としては、前記熱可塑性樹脂の軟化点以下の温度でガスになって膨張するものが好ましく、例えば以下のものが挙げられる。プロパン、プロピレン、ブテン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタンの如き低沸点液体、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、イソオクタン、ノルマルデカン、イソデカンなどの如き高沸点液体。
上記の熱膨張性マイクロカプセルは、懸濁重合法、界面重合法、界面沈降法、液中乾燥法といった公知の製法によって製造することができる。例えば、懸濁重合法においては、重合性単量体、上記熱膨張性マイクロカプセルに内包させる物質及び重合開始剤を混合し、この混合物を、界面活性剤や分散安定剤を含有する水性媒体中に分散させた後、懸濁重合させる方法を例示することができる。尚、重合性単量体の官能基と反応する反応性基を有する化合物、有機フィラーを添加することもできる。
重合性単量体としては、下記のものを例示することができる。アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロルアクリロニトリル、α-エトキシアクリロニトリル、フマロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、塩化ビニリデン、酢酸ビニル;アクリル酸エステル(メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート);、メタクリル酸エステル(メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート);スチレン系モノマー、アクリルアミド、置換アクリルアミド、メタクリルアミド、置換メタクリルアミド、ブタジエン、ε-カプロラクタム、ポリエーテル、イソシアネート。これらの重合性単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、重合性単量体に可溶の開始剤が好ましく、公知のパーオキサイド開始剤及びアゾ開始剤を使用できる。これらのうち、アゾ開始剤が好ましい。アゾ開始剤の例を以下に挙げる。2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビスシクロヘキサン1-カルボニトリル、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル。中でも、2,2’-アゾビスイソブチロニトリルが好ましい。重合開始剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して、0.01~5質量部が好ましい。
界面活性剤としてはアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子型分散剤を使用できる。界面活性剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して、0.01~10質量部が好ましい。分散安定剤としては以下のものが挙げられる。有機微粒子(ポリスチレン微粒子、ポリメタクリル酸メチル微粒子、ポリアクリル酸微粒子及びポリエポキシド微粒子)、シリカ(コロイダルシリカ)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸バリウム、及び、水酸化マグネシウム等。分散安定剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して、0.01~20質量部が好ましい。
懸濁重合は、耐圧容器を用い、密閉下で行うことが好ましい。また、重合性原料を分散機等で懸濁してから、耐圧容器内に移して懸濁重合してもよく、耐圧容器内で懸濁してもよい。重合温度は50℃~120℃が好ましい。重合は、大気圧で行ってもよいが、上記熱膨張マイクロカプセルに内包させる物質を気化させないようにするため、加圧下(大気圧に0.1~1MPaを加えた圧力下)で行うことが好ましい。重合終了後は、遠心分離や濾過によって、固液分離及び洗浄を行ってもよい。固液分離や洗浄する場合、この後、熱膨張マイクロカプセルを構成する樹脂の軟化温度以下にて乾燥や粉砕を行ってもよい。乾燥及び粉砕は、既知の方法により行うことができ、気流乾燥機、順風乾燥機及びナウターミキサーを使用できる。また、乾燥及び粉砕は、粉砕乾燥機によって同時に行うこともできる。界面活性剤及び分散安定剤は、製造後に洗浄濾過を繰り返すことにより除去できる。
[導電性弾性層を構成するその他の成分]
導電性弾性層中には上記の他に、絶縁性粒子や、硬度を調整するために、軟化油及び可塑剤の如き添加剤を含有させても良い。可塑剤としては高分子タイプのものを用いることが好ましく、その重量平均分子量は好ましくは2000以上、より好ましくは4000以上である。さらに、種々な機能を付与する材料として、老化防止剤、充填剤、加工助剤、粘着付与剤、粘着防止剤、分散剤、粗し粒子以外の樹脂粒子を含有させてもよい。樹脂粒子としては、以下のものが挙げられる。ポリメタクリル酸メチル粒子、ポリエチレン粒子、シリコーンゴム粒子、ポリウレタン粒子、ポリスチレン粒子、アミノ樹脂粒子、又はフェノール樹脂粒子。
[予備被覆層の形成方法]
続いて、予備被覆層の形成方法について説明する。予備被覆層の形成方法としては、静電スプレー塗布、ディッピング塗布、ロール塗布のような塗布法により導電性基体上に導電性樹脂組成物の層を形成し、乾燥、加熱、架橋等によってこの層を硬化させる方法が挙げられる。また、導電性樹脂組成物を所定の膜厚に成膜し硬化させたシート形状又はチューブ形状の層を、導電性基体に対して接着又は被覆する方法が挙げられる。更に、導電性基体を配置した型の中に導電性樹脂組成物を入れて硬化させて予備被覆層を形成する方法が挙げられる。また、特に、バインダーがゴムの場合には、クロスヘッドを備えた押出機を用いて、導電性基体と未加硫ゴム組成物を一体的に押出して作製することもできる。クロスヘッドとは、電線や針金の被覆層を構成するために用いられる、押出機のシリンダ先端に設置して使用する押出金型である。この後、乾燥、硬化又は架橋等を経た後、予備被覆層の表面を研磨して、中空形状の樹脂粒子のシェルの一部を削除してボウル形状とする。研磨方法としては、円筒研磨方法やテープ研磨法を使用できる。円筒研磨機としては、トラバース方式のNC円筒研磨機、プランジカット方式のNC円筒研磨機が例示できる。
(a)予備被覆層の厚みが中空形状の樹脂粒子の平均粒径の5倍以下の場合
予備被覆層の厚みが中空形状の樹脂粒子の平均粒径の5倍以下の場合、予備被覆層の表面には、中空形状の樹脂粒子由来の凸部が、形成されている場合が多い。この場合には、中空形状の樹脂粒子由来の凸部の一部を樹脂粒子の中空内壁が露出するまで研磨してボウル形状とし、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を形成することができる。この場合、研磨時に予備被覆層にかかる圧力が比較的小さい、テープ研磨方式を使用することがより好ましい。一例として、テープ研磨方式を使用する際の、予備被覆層の研磨条件として好ましい範囲を下記に示す。
研磨テープは、研磨砥粒を樹脂に分散させ、それを、シート状基材に塗布して得られるものである。研磨砥粒としては、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化鉄、ダイヤモンド、酸化セリウム、コランダム、窒化珪素、炭化ケイ素、炭化モリブデン、炭化タングステン、炭化チタン及び酸化珪素が例示できる。研磨砥粒の平均粒径は、0.01μm以上、50μm以下が好ましく、より好ましくは、1μm以上、30μm以下である。尚、上記研磨砥粒の平均粒径は、遠心沈降法により測定されたメジアン径D50である。上記好ましい範囲の研磨砥粒を有する研磨テープの番手の好ましい範囲は、500以上、20000以下であり、より好ましくは、1000以上、10000以下である。
研磨テープの具体例を以下に挙げる。「MAXIMA LAP、MAXIMA Tタイプ」(商品名、レフライト株式会社)、「ラピカ」(商品名、KOVAX社製)、「マイクロフィニッシングフィルム」、「ラッピングフィルム」(商品名、住友3M株式会社(新社名:スリーエム ジャパン社))、「ミラーフィルム」、「ラッピングフィルム」(商品名、三共理化学株式会社製)、「Mipox」(商品名、Mipox(旧社名:日本ミクロコーティング株式会社)製)。
研削方向は、凸形状による接触部が式(1)及び式(2)を満たすように、後述の表面仕上げ工程と対向する一方向とすることが好ましい。
研磨テープの送り速度は、10mm/min以上、500mm/min以下が好ましく、50mm/min以上、300mm/min以下がより好ましい。研磨テープの予備被覆層への押し当て圧は、0.01MPa以上、0.4MPa以下が好ましく、0.1MPa以上、0.3MPa以下がより好ましい。押し当て圧を制御するため、予備被覆層には、研磨テープを介してバックアップローラを当接させてもよい。また、所望の形状を得るために、複数回に亘り、研磨処理を行ってもよい。回転数を、10rpm以上、1000rpm以下に設定することが好ましく、50rpm以上、800rpm以下に設定することがより好ましい。上記の条件とすることで、予備被覆層の表面に、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を、より容易に形成することができる。尚、予備被覆層の厚みが、上記範囲外であっても、下記に記載する(b)の方法により、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を形成可能である。
(b)予備被覆層の厚みが中空形状の樹脂粒子の平均粒径の5倍超の場合
予備被覆層の厚みが中空形状の樹脂粒子の平均粒径の5倍を超える場合、予備被覆層の表面には、中空形状の樹脂粒子由来の凸部が形成されていない場合が発生する。この様な場合は、中空形状の樹脂粒子と予備被覆層の材料との研磨性の差を利用して、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を形成可能である。中空形状の樹脂粒子は、内部に気体を内包しているため、高反発弾性を有する。これに対し、予備被覆層のバインダーとしては、比較的反発弾性が低く、且つ、伸びの小さなゴム又は樹脂を選択する。これにより予備被覆層は研磨されやすく、中空形状の樹脂粒子は研磨されにくい状態を達成できる。上記状態の予備被覆層を研磨すると、中空形状の樹脂粒子は、予備被覆層と同じ状態で研磨されることなく、中空形状の樹脂粒子のシェルの一部が削除されたボウル形状とすることができる。これにより、被覆層の表面に、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を形成することができる。この方法は、中空形状の樹脂粒子と予備被覆層の材料との研磨性の差を利用して、凹凸形状を形成する方法であるため、予備被覆層に使用する材料(バインダー)としては、ゴムが好ましい。この中でも、低反発弾性、且つ、伸びが小さいという観点から、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴムを使用することが特に好ましい。
研磨方法としては、円筒研磨法やテープ研磨法を使用することができるが、材料の研磨性の差を顕著に引き出す必要があるため、より速く研磨する条件が好ましい。この観点から、円筒研磨法を使用することがより好ましい。円筒研磨法の中でも、予備被覆層の長手方向を同時に研磨でき、研磨時間が短縮できるという観点から、プランジカット方式を使用することが、更に好ましい。研削方向は、凸形状による接触部が式(1)及び式(2)を満たすために、後述の表面仕上げ工程と対向する一方向とすることが好ましい。また、突き出た第1の凸部領域を形成するためには、研磨面を均一にするという観点から従来行われていたスパークアウト工程(侵入速度0mm/minでの研磨工程)を、できるだけ短時間とするか、又は行わないことが好ましい。一例として、プランジカット方式の円筒研磨砥石の回転数は、1000~4000rpm、特には、2000~4000rpmが好ましい。予備被覆層への侵入速度は、5~30mm/min、特には、10~30mm/minがより好ましい。侵入工程の最後には、研磨表面に慣らし工程を有してもよく、0.1以上0.2mm/min以下の侵入速度で2秒間以内とすることが好ましい。スパークアウト工程(侵入速度0mm/minでの研磨工程)は、3秒間以下が好ましい。回転数を50rpm以上500rpm以下に設定することが好ましく、更には、200rpm以上に設定することがより好ましい。上記条件とすることで、予備被覆層の表面に、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形成を、より容易に形成することができる。尚、以下の説明において、研磨処理された予備被覆層を、単に「被覆層」と称す。
[表面硬化処理方法]
続いて、加熱処理手法について、以下に詳述する。酸素含有雰囲気下での加熱処理では、酸化架橋が進行することにより、ボウル形状の樹脂粒子の樹脂の架橋度が増大する。酸化架橋が進行する程、樹脂は硬化する。前記式(1)及び式(2)を満たすためには、適度に樹脂を硬化することが好ましく、酸化架橋の度合いは、加熱処理温度、架橋部の酸素濃度により調整できる。加熱温度については、高温である程、架橋度が高くなる。酸素濃度については、架橋部の酸素濃度が高い程、酸化架橋を進行させることができる。従って、上記の加熱温度と樹脂中の酸素濃度を制御することにより、樹脂の硬度を制御することが可能である。この際、樹脂中の酸素濃度を制御する手法として、ボウル形状の樹脂粒子のボウル(中空形状の樹脂粒子のシェル)の酸素ガス透過度を調整することが有用である。
従って、ボウル形状の樹脂粒子のボウルを形成する材料としては、酸素ガス透過度が低い、アクリロニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メタクリロニトリル樹脂、メチルメタクリレート樹脂、及びこれらの樹脂の共重合体を使用することが好ましく、特には、アクリロニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂を使用することがより好ましい。これにより、上述した樹脂の硬度を、より容易に行うことが可能になる。
一方、加熱処理の温度を変更することにより酸化架橋度を制御することができ、この方法は樹脂の硬度を制御する有用な手法である。しかしながら、上記加熱による酸化架橋の進行は、高温であるほど促進されるが、同時に、樹脂の脆化が進行する。樹脂の脆化が発生した場合、表面仕上げ研削時にエッジ部が過剰に取り除かれてしまい、前記式(1)及び式(2)を満たさなくなる場合がある。従って、前記加熱温度は180~210℃に制御することが好ましく、更には190~200℃がより好ましい。また加熱処理時間は10~200分間が好ましい。
尚、加熱処理の手法については、熱風連続炉、オーブン、近赤外加熱法、遠赤外加熱法など公知の手段を使用することができるが、酸素含有雰囲気下(酸素存在下)にて被覆層の表面を加熱処理可能な手法であれば、特にこれらの手法に限定されない。
バインダーとしての樹脂は、酸素含有雰囲気下で加熱した際の酸化架橋の効果が促進される樹脂を使用することが好ましい。具体的には、分子中に2重結合を有し、且つ、耐熱性の高いスチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR)からなる群から選択される少なくとも1種のゴムの架橋物(架橋ゴム)を使用すること好ましい。導電性弾性層は、バインダーとして架橋ゴムを含み、導電性微粒子を含む導電性の熱架橋性ゴム組成物の層を酸素存在下で熱架橋せしめることによって形成されたものが好ましい。ただし、電子写真ローラにしたときのヤング率が、0.01~5000MPa程度であり、ねじれ変形に耐えうる材料を選択する必要がある。
[粒子塗布]
続いて粒子塗布手法について、以下に詳述する。粒子塗布手法の一例として図6に粒子と塗布して表面層を形成する塗布装置の概略図を示す。当該粒子塗布装置は粒子60、粒子貯蓄部61、粒子塗布ローラ62、及び粒子被塗布部材63からなり、粒子被塗布部材63として電子写真用ローラを設置することで、表面層を形成できる。
粒子塗布ローラ62は、導電性芯金の外周に発泡層が形成された弾性スポンジローラであり、粒子被塗布部材63との対向部において所定の接触領域(ニップ部)を形成して配設され、図示矢印方向(時計まわり)に回転する。このとき、粒子塗布ローラ62は粒子被塗布部材63に対し、所定の侵入量、すなわち、粒子塗布ローラ62が粒子被塗布部材63により凹状とされる、凹みを持って接触している。粒子を塗布する際には、接触領域において互いに逆方向に移動するよう回転しており、この動作により、粒子塗布ローラ62による粒子被塗布部材63への粒子塗布、及び粒子被塗布部材63上の粒子の剥ぎ取りを行っている。
表面層を形成する粒子60としては、材質は特に限定されないが、材質としては、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アミノ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。ただし、表面仕上げ工程で電子写真ローラの凸部による接触部が前記式(1)及び式(2)を満たすため、凸部を選択的に加工できるスペースを設ける必要がある。従って、粒子の平均粒径は1μm以上10μm以下が好ましく、更には2μm以上8μm以下がより好ましい。
尚、粒子塗布の手法については、粒子を分散した分散液等を塗布する、静電スプレー塗布、ディッピング塗布、ロール塗布など公知の手段を使用することができるが、上記式(1)及び式(2)を満たす表面形状を形成可能な手法であれば、特にこれらの手法に限定されない。
[表面仕上げ研削]
続いて表面仕上げ研削手法について、以下に詳述する。表面仕上げ研削の一例として図7に示すテープ研磨方式を使用する際の、被覆層の研磨条件として好ましい範囲を以下に示す。
研磨テープ72は、研磨砥粒を樹脂中に分散させ、それを、シート状基材に塗布して得られるものである。研磨砥粒としては、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化鉄、ダイヤモンド、酸化セリウム、コランダム、窒化珪素、炭化ケイ素、炭化モリブデン、炭化タングステン、炭化チタン及び酸化珪素が例示できる。研磨砥粒の平均粒径は、0.01μm以上、50μm以下が好ましく、より好ましくは、1μm以上、30μm以下である。尚、上記研磨砥粒の平均粒径は、遠心沈降法により測定されたメジアン径D50である。上記好ましい範囲の研磨砥粒を有する研磨テープの番手の好ましい範囲は、500以上、20000以下であり、より好ましくは、1000以上、10000以下である。
研磨テープの具体例を以下に挙げる。「MAXIMA LAP、MAXIMA Tタイプ」(商品名、レフライト株式会社)、「ラピカ」(商品名、KOVAX社製)、「マイクロフィニッシングフィルム」、「ラッピングフィルム」(商品名、住友3M株式会社(新社名:スリーエム ジャパン社))、ミラーフィルム、ラッピングフィルム(商品名、三共理化学株式会社製)、Mipox(商品名、Mipox(旧社名:日本ミクロコーティング株式会社)製)。
研磨テープ72の被覆層を形成したローラ部材71への押し当て圧は、0.01MPa以上、0.4MPa以下が好ましく、0.1MPa以上、0.3MPa以下がより好ましい。押し当て圧を制御するため、被覆層には、研磨テープ72を介してバックアップローラ73を当接させてもよく、研磨テープ72の緩みを防止するためにテープガイド74を使用してもよい。
予備被覆層の形成工程における研削方向に対して凹部の上流に高い凸形状が形成されやすい。このため、予備被覆層の形成工程における研削方向と同一方向で表面仕上げ研削を行うと、凸形状が凹部に逃げ、研削が十分に行われない場合が存在する。以上のことから研削方向は、凸形状による接触部が前記式(1)及び式(2)を満たすために、前述の予備被覆層の形成方法における研削方向と逆方向の一方向とすることが好ましい。また、所望の形状を得るために、複数回に亘り、研磨処理を行ってもよい。ローラ部材71の回転数を、500rpm以上、6000rpm以下に設定することが好ましく、1000rpm以上、4000rpm以下に設定することがより好ましい。
上記の条件とすることで、上記加熱処理により硬化したエッジ部を切削し、前記式(1)及び式(2)を満たす接触部となる凸形状を形成できる。エッジ部の切削程度の目安として、JIS B 0601:2001に基づく、粗さ曲線のスキューネスRskを使用することができる。Rskが負であれば、エッジ部の切削が十分に行われたものと判断することができる。
尚、表面仕上げ研削の手法については、バフ研磨法、円筒研削法など公知の手段を使用することができるが、前記式(1)及び式(2)を満たす表面形状を形成可能な手法であれば、特にこれらの手法に限定されない。
以上、導電性弾性層の形成方法について説明してきたが、本発明の一態様に係る電子写真用ローラの製造方法の例は、以下の〔1〕~〔3〕等である。
〔1〕電子写真用ローラの中心軸に沿う方向に長い凹み形状を内壁に有する円筒金型に、材料を注入し、電子写真用ローラの表面に金型の凹み形状に対応する凸部を転写する工程を有する電子写真用ローラの製造方法。
〔2〕中空形状の樹脂粒子をバインダー中に分散させた組成物の被覆層を導電性基体上に形成して導電性ローラを作製する工程1、
該被覆層の表面を導電性ローラの周方向の一方向に研磨することにより、中空形状の樹脂粒子のシェルの一部を削除して開口を有するボウル形状とし、該被覆層の表面に該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジ部と樹脂粒子の内壁とで規定される凹部と、該開口のエッジ部に由来する凸部を形成する工程2、
該導電性ローラを酸素含有雰囲気下にて加熱処理する工程3、
該導電性ローラの表面層に粒子を塗布する工程4、及び、
テープ研磨方式により該被覆層の表面仕上げ研削を工程2と対向した一方向に行う工程5、
を有する電子写真用ローラの製造方法。
〔3〕中空形状の樹脂粒子をバインダー中に分散させた組成物の被覆層を導電性基体上に形成して導電性ローラを作製する工程1、
該被覆層の表面を導電性ローラの周方向の一方向に研磨することにより、中空形状の樹脂粒子のシェルの一部を削除して開口を有するボウル形状とし、該被覆層の表面に該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジ部と樹脂粒子の内壁とで規定される凹部と、該開口のエッジ部に由来する凸部を形成する工程2、
該導電性ローラを酸素含有雰囲気下にて加熱処理する工程3、及び、
エッジ部に由来する凸部のみを切削するように、該導電性ローラと研磨テープとの距離を制御した状態で、テープ研磨方式により該被覆層の表面仕上げ研削を工程2と対向した一方向に行う工程4、
を有する電子写真用ローラの製造方法。
<電子写真画像形成装置>
本発明の一態様に係る電子写真画像形成装置は電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電する帯電ローラとを具備する。
本発明の一態様に係る電子写真画像形成装置の一例の概略構成を図8に示す。この電子写真装置は、電子写真感光体、電子写真感光体を帯電する帯電装置、露光を行う潜像形成装置、トナー像に現像する現像装置、転写材に転写する転写装置、電子写真感光体上の転写残トナーを回収するクリーニング装置、トナー像を定着する定着装置等から構成されている。本発明の一態様に係る電子写真用ローラは、この電子写真画像形成装置の帯電装置が備える帯電ローラとして使用することができる。
電子写真感光体82は、導電性基体上に感光層を有する回転ドラム型である。電子写真感光体は矢印の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。
帯電装置は、電子写真感光体82に所定の押圧力で当接されることにより接触配置される接触式の帯電ローラ81を有する。帯電ローラ81は、電子写真感光体82の回転に従い回転する従動回転であり、帯電用電源89から所定の直流電圧を印加することにより、電子写真感光体82を所定の電位に帯電する。電子写真感光体82に静電潜像を形成する潜像形成装置(不図示)は、例えばレーザービームスキャナーなどの如き露光装置が用いられる。一様に帯電された電子写真感光体82に画像情報に対応した露光光87を照射することにより、静電潜像が形成される。
現像装置は、電子写真感光体82に近接又は接触して配設される現像スリーブ又は現像ローラ83を有する。現像装置は、電子写真感光体の帯電極性と同極性に静電的処理されたトナーを反転現像により、静電潜像を現像してトナー像を形成する。転写装置は、接触式の転写ローラ84を有する。電子写真感光体からトナー像を普通紙などの如き転写材Pに転写する。転写材Pは、図示しない搬送部材を有する給紙システムにより搬送される。
クリーニング装置は、ブレード型のクリーニング部材86、回収容器88を有し、現像されたトナー像が転写材に転写された後に、電子写真感光体82上に残留する転写残トナーを機械的に掻き落とし回収する。ここで、現像装置にて転写残トナーを回収する現像同時クリーニング方式を採用することにより、クリーニング装置を省くことも可能である。転写材に転写されたトナー像は、不図示の加熱装置によって加熱された定着ベルト85と、該定着ベルトに対向して配置されたローラとの間を通過することで、転写材に定着される。
<プロセスカートリッジ>
本発明の一態様に係るプロセスカートリッジは、電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電する帯電ローラと、を具備し、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されている。
該プロセスカートリッジの概略構成を図9に示す。このプロセスカートリッジは、電子写真感光体92、帯電ローラ91、現像ローラ93、クリーニング部材96等を一体化し、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されている。本発明の一態様に係る電子写真用ローラは、このプロセスカートリッジが備える帯電ローラ91として使用することができる。
以下に、具体的な製造例及び実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。実施例に先立ち、製造例A1~A10(樹脂粒子No.1~No.10の製造)、樹脂粒子の体積平均粒径の測定方法、製造例B1~B16(導電性ゴム組成物No.1~No.16の製造)について説明する。なお、以下の実施例及び比較例の部数及び%は、特に明記しない限り、すべて質量基準である。
<製造例A1:樹脂粒子No.1の製造>
イオン交換水4000質量部と、分散安定剤としてコロイダルシリカ9質量部及びポリビニルピロリドン0.15質量部からなる水性混合液を調製した。次いで、重合性単量体としてアクリロニトリル50質量部、メタクリロニトリル45質量部、及び、メチルアクリレート5質量部と、内包物質としてノルマルヘキサン12.5質量部と、重合開始剤としてジクミルパーオキシド0.75質量部からなる油性混合液を調製した。この油性混合液を、前記水性混合液に添加し、更に水酸化ナトリウム0.4質量部を添加することにより、分散液を調製した。
得られた分散液を、ホモジナイザーを用いて3分間攪拌混合し、窒素置換した重合反応容器内へ仕込み、400rpmの攪拌下、60℃で20時間反応させることにより、反応生成物を調製した。得られた反応生成物について、濾過と水洗を繰り返した後、80℃で5時間乾燥することで樹脂粒子を作製した。この樹脂粒子を音波式分級機により解砕して分級することによって、樹脂粒子No.1を得た。
<製造例A2:樹脂粒子No.2の製造>
製造例A1において、分級条件を変更した以外は同様の方法で樹脂粒子No.2を得た。
<製造例A3及びA5~A8:樹脂粒子No.3及びNo.5~No.8の製造>
コロイダルシリカの使用量、重合性単量体の種類と使用量、重合時の攪拌回転数の一つ以上を表2に示すように変更した以外は、製造例A1と同様の方法により樹脂粒子を作製し、分級することによって、樹脂粒子No.3及びNo.5~No.8を得た。
<製造例A4:樹脂粒子No.4の製造>
製造例A3において、分級条件を変更した以外は同様の方法で樹脂粒子No.4を得た。
<製造例A9:樹脂粒子No.9の製造>
製造例A7において、分級条件を変更した以外は同様の方法で樹脂粒子No.9を得た。
<製造例A10:樹脂粒子No.10の製造>
製造例A8において、分級条件を変更した以外は同様の方法で樹脂粒子No.10を得た。
<樹脂粒子の体積平均粒径の測定>
樹脂粒子No.1~No.10の体積平均粒径測定を、レーザ回折型粒度分布計(商品名:コールターLS-230型粒度分布計、コールター社製)により行った。測定には、水系モジュールを用い、測定溶媒として純水を使用した。純水にて粒度分布計の測定系内を約5分間洗浄し、消泡剤として測定系内に亜硫酸ナトリウムを10~25mg加えて、バックグラウンドファンクションを実行した。次に純水50ml中に界面活性剤3滴~4滴を加え、更に測定試料(樹脂粒子)を1mg~25mg加えた。試料を懸濁した水溶液を超音波分散器で1分間~3分間分散処理を行い、被験試料液を調製した。前記測定装置の測定系内に被験試料液を徐々に加えて、装置の画面上の偏光散乱強度差(PIDS)が45%以上55%以下になるように測定系内の被験試料濃度を調整して測定を行った。得られた体積分布から体積平均粒子径Dvを算出した。樹脂粒子No.1~No.10の材料の処方、重合時の撹拌条件、及び、得られた樹脂粒子の体積平均粒径を表2に示す。
Figure 0007222708000006
<製造例B1:導電性ゴム組成物No.1の製造>
アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)(商品名:N230SV,JSR社製)100質量部に対し、表3の成分(1)の欄に示す他の材料を加えて、50℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。これに、表3の成分(2)の欄に示す材料を添加した。次いで、温度25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、導電性ゴム組成物No.1を得た。
Figure 0007222708000007
<製造例B2:導電性ゴム組成物No.2の製造方法>
アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)(商品名:N230SV,JSR社製)100質量部に対し、表4の成分(1)の欄に示す他の材料を加えて、50℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。これに、表4の成分(2)の欄に示す材料を添加した。次いで、温度25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、導電性ゴム組成物No.2を得た。
Figure 0007222708000008
<製造例B3~B8:導電性ゴム組成物No.3~No.8の製造方法>
樹脂粒子(樹脂粒子No.3~No.8)を表6に示す条件とした以外は、製造例B2と同様にして導電性ゴム組成物No.3~No.8を得た。
<製造例B9:導電性ゴム組成物No.9の製造方法>
アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)(商品名:N230SV,JSR社製)100質量部に対し、表5の成分(1)の欄に示す他の材料を加えて、50℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。これに、表5の成分(2)の欄に示す材料を添加した。次いで、温度25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、導電性ゴム組成物No.9を得た。
Figure 0007222708000009
<製造例B10~B12:導電性ゴム組成物No.10~No.12の製造>
製造例B9において、成分(2)記載の樹脂粒子、カーボンブラックを表6に示す条件に変更した以外は、製造例B9と同様にして導電性ゴム組成物No.10~No.12を得た。
<製造例B13~B16:導電性ゴム組成物No.13~No.16の製造>
製造例B1において、アクリロニトリルブタジエンゴムをブタジエンゴム(BR)(商品名:JSR BR01、JSR社製)に変更し、樹脂粒子、カーボンブラックを表6に示す条件とした以外は、製造例B1と同様にして導電性ゴム組成物No.13~No.16を得た。
上記導電性ゴム組成物No.1~No.16の処方を表6に示す。
Figure 0007222708000010
<実施例1>
1.導電性基体
直径6mm、長さ252.5mmのステンレス鋼製の基体に、カーボンブラックを10質量%含有させた熱硬化性樹脂を塗布し、乾燥したものを導電性基体として使用した。
2.導電性弾性層の形成
クロスヘッドを具備する押出成形装置を用いて、導電性基体を中心軸として、その周面上に円筒状に製造例B1で作製した導電性ゴム組成物No.1を被覆した。導電性ゴム組成物の厚みは、1.75mmに調整した。
押出後のローラを、熱風炉にて160℃で1時間加硫した後、ゴム層の端部を除去して、長さを224.2mmとし、予備被覆層を有するローラを作製した。得られたローラの外周面を、プランジカット式の円筒研磨機を用いて研磨した。研磨砥粒としてビトリファイド砥石を用い、砥粒は緑色炭化珪素(GC)で粒度は100メッシュとした。ローラの回転数を350rpmとし、研磨砥石の回転数を2050rpmとした。切り込み速度を20mm/minとし、スパークアウト時間(切り込み0mmでの時間)を0秒と設定して研磨を行い、導電性弾性層(被覆層)を有する導電性ローラを作製した。導電性弾性層の厚みは、1.5mmに調整した。尚、このローラのクラウン量(中央部の外径と中央部から両端部方向へ各90mm離れた位置の外径の差の平均値)は120μmであった。
研磨後、熱風炉を用いて、大気雰囲気下にて180℃で1時間、後加熱処理を行い、エッジを硬化した。図6に示す粒子塗布手法により、粒径が2μmの粒子(以下スペーサ粒子と称す)をローラ表面に塗布した。図7に示す表面仕上げ研削装置を用い、3000rpmで回転する導電性ローラをラッピングフィルムWA砥粒#2000(商品名、三共理化学株式会社製)により表面仕上げ研削を行い、表面の洗浄を行うことで電子写真用ローラNo.1を得た。この電子写真用ローラはその表面に、ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジ部に由来する凸部と、ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジ部と該樹脂粒子の内壁とで規定される凹部を有する導電性弾性層を有していた。
以下の方法で行った電子写真用ローラの物性測定及び画像の結果を表8に示す。
3.電子写真用ローラの評価
3-1.電子写真用ローラをガラス板へ押圧した際の接触部の面積及び形状計測
ガラス板(幅(W2):300mm×長さ(L):50mm、厚み:2mm、材質:BK7、面精度:両面光学研磨、平行度:1分以内)を電子写真用ローラNo.1に接触させるガラス板として用いた。図10に示す冶具102を用い、ガラス板101の接触面としての第一の面を電子写真用ローラ103の長手方向の全幅(W1)にわたってガラス板101の幅(W2)が覆い、ガラス板101の第一の面が電子写真用ローラ103の回転軸と平行となるように配置した。この配置状態を維持し、ガラス板を透過してビデオマイクロスコープ(商品名:DIGITAL MICROSCOPE VHX-500、株式会社キーエンス社製)により観察し、ガラス板非当接時観察画像を得た。観察倍率は200倍で行った。同一視野を維持しながら、電子写真用ローラ103の両端にある導電性基体部からバネにより荷重Hをかけて、電子写真用ローラ103をガラス板101の第一の面へと押圧させた。その状態を維持して、電子写真用ローラ103とガラス板101の第一の面との接触面を、ガラス板101の第一の面に対して反対側の第2の面側(矢印G方向側)からガラス板を透過してビデオマイクロスコープ(商品名:DIGITAL MICROSCOPE VHX-500、株式会社キーエンス社製)により観察倍率は200倍で観察し、ガラス板当接時観察画像を得た。さらにガラス板非当接時観察画像内で最も高い凸部を視野の中心とし、観察倍率は1000倍で観察し、ガラス板当接時詳細観察画像を得た。
荷重Hは下記式(4)から計算される面圧Mが6.5g/mmとなるよう設定した。
(式4)
M=2H/N
Nは荷重Hにより電子写真用ローラNo.1をガラス板101に押圧させた際に形成されるニップの面積である。
以下、ニップ面積N、ガラス板非当接時観察画像内で最も高い凸部とガラス板の接触部における電子写真用ローラの軸に沿う方向に直交する方向の最大長さL1-1、L2-1、電子写真用ローラの軸に沿う方向の最大長さL1-2、L2-2、各々の面積の平均値Save、及び下記式(1A)式(2A)におけるD1、D2を算出した。
(式1A)
D1=arctan(L1-1/L1-2)(式2A)
D2=arctan(L2-1/L2-2)
観察した画像を、画像解析ソフトウェア(ImageProPlus(登録商標):Media Cybernetics社製)を用いて電子写真用ローラNo.1とガラス板との間に形成される接触部のみを抽出し、2値化処理を行った。その後、ノイズ除去のために、2値化処理画像に対してオープニング処理を1回した後、クロージング処理を1回行った。尚、オープニング処理とは、同じ回数収縮して膨張を行う画像処理作業であり、ノイズと思われる非常に小さい抽出領域を排除することができる。クロージング処理は同じ回数膨張して収縮を行う画像処理作業であり、接触部として本来連結しているはずであるが抽出時に分断されてしまった抽出領域を連結することができる。オープニング処理とクロージング処理により、接触部を適切に抽出することが可能となる。
まず、ニップ面積Nの算出方法について説明する。観察領域内の電子写真用ローラNo.1とガラス板との接触点の周方向の両端の2箇所について、各々の接触点を通る電子写真用ローラNo.1の長手方向に平行な2本の直線で挟まれる領域をニップ領域と定義し、ニップ領域を、前記ソフトウェアを用いて切り出した。この切り出したニップ領域の周方向長さを、電子写真用ローラNo.1の長手方向の中央部、中央部から両端部方向へ各45mm離れた位置、及び中央部から両端部方向へ各90mm離れた位置の、長手方向の各5箇所について計測し、その平均値と、電子写真用ローラNo.1とガラス板とが接触しているニップの長手方向長さを乗じることで、ニップ面積Nを算出した。
続いて、Saveの算出方法について説明する。ガラス板非当接時観察画像内で最も高い凸部に関して、ガラス板当接時詳細観察画像で得られた接触部の形状を前記ソフトウェアにより抽出した。抽出した接触部の形状から電子写真用ローラの軸に沿う方向に直交する方向の最大長さL1-1、L2-1、電子写真用ローラの軸に沿う方向の最大長さL1-2、L2-2を測定した。また、接触部の形状抽出とともに、接触面積Sも算出した。上記の操作を、電子写真用ローラの長手方向の中央部、中央部から両端部方向へ各30mm離れた位置、及び中央部から両端部方向へ各75mm離れた位置の、長手方向の各5箇所について、電子写真用ローラの周方向の各6箇所(位相0°、60°、120°、180°、240°、及び300°)の合計30箇所で行う。それら30箇所それぞれにおいて、面圧が6.5g/mmで最も高い凸部とガラス板の接触部における電子写真用ローラの軸に沿う方向に直交する方向の最大長さをL1-1、電子写真用ローラの軸に沿う方向の最大長さをL1-2とし、面圧が14.3g/mmで最も高い凸部とガラス板の接触部における電子写真用ローラの軸に沿う方向に直交する方向の最大長さをL2-1、電子写真用ローラの軸に沿う方向の最大長さをL2-2とした。また、30箇所における面圧6.5g/mm負荷時の第1接触部の面積S1の平均をS1ave、面圧14.3g/mm負荷時の第2接触部の面積S2の平均をS2aveとした。
次に、得られたL1-1、L1-2、L2-1、L2-2から前記式(1)及び式(2)により各接触部におけるD1、D2を算出した。電子写真用ローラNo.1について算出したD1、D2、S1、S2及び各値の平均値を表7に示す。
Figure 0007222708000011
3-2.画像評価
図9に示す構成を有するプロセスカートリッジを着脱可能な電子写真装置であるキヤノン(株)製モノクロレーザープリンタ(「LBP6700」(商品名))を250mm/sec、370mm/secのプロセススピードを可変できるように改造した。このプリンタ用のプロセスカートリッジから付属の帯電ローラを取り外し、その代わりに電子写真用ローラNo.1を帯電ローラとしてセットした。帯電ローラは、電子写真感光体に対し、一端で4.9N、両端で合計9.8Nのバネによる押し圧力で当接させた。更に、外部より、帯電ローラに電圧を印加した。印加電圧は、交流電圧として、ピーク-ピーク電圧(Vpp)を1800V、周波数(f)を1350Hz、直流電圧(Vdc)を-600Vとした。画像の解像度は600dpiとした。
このプロセスカートリッジを温度15℃、相対湿度10%の低温低湿環境に24時間馴染ませた後、画像評価を行った。具体的には、ハーフトーン画像(電子写真感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドット、間隔2ドットの横線を描く画像)を出力し、得られた画像を目視にて観察し、ポチ状の画像欠陥の有無、及び、250mm/sec、370mm/secのプロセススピードでのバンディングによる横スジ状の画像欠陥の有無を下記基準により判定した。
[ポチ状画像の評価]
ランク1:ポチ状の画像欠陥が認められない。
ランク2:ポチ状の画像欠陥がわずかに認められる。
ランク3:ポチ状の画像欠陥が一部の領域に、帯電ローラの回転ピッチに対応して発生していることが認められる。
ランク4:ポチ状の画像欠陥が広範囲に認められ、目立つ。
[横スジ状画像(バンディング)の評価]
ランク1:横スジ状の画像欠陥が認められない。
ランク2:横スジ状の画像欠陥がわずかに認められる。
ランク3:横スジ状の画像欠陥が一部の領域に、帯電ローラの回転ピッチに対応して発生していることが認められる。
ランク4:横スジ状の画像欠陥が広範囲に認められ、目立つ。
3-3.ヤング率の測定方法
ISO14577に基づき、ピコデンターHM500(商品名、株式会社フィッシャー・インストルメント社製)を用いて測定した。圧子としては、基部が正方形の角錐型ダイヤモンド圧子で、頂点を挟む対面角度が136°である圧子(ビッカース角錐)を用いた。測定は、電子写真用ローラの長手方向の中央部及び両端部(中央部から両端方向へ各90mmの位置)において行った。測定は上記圧子を所定の速度により所定の荷重が負荷されるまで押し込む工程(以下、「押し込み工程」と称する)と、所定の押し込み位置から所定の速度により荷重を除荷する工程(以下、「除荷工程」と称する)からなる。こうして得られる荷重変位曲線から、ヤング率を算出した。測定は、下記の条件にて行い、観察画像内で最も高い凸部を選択した。
<条件>
(押し込み工程)
・最大荷重=10mN
・押し込み時間=100秒
(除荷工程)
・最小荷重=0.005mN
・除荷時間=100秒
尚、除荷は圧子の最小荷重に到達するまで行った。ヤング率は、上記の条件で得られる荷重変位曲線の接線の傾きから算出した。電子写真用ローラ内で、観察位置を変更しながら、無作為に6箇所選び、そのヤング率の平均値を表8、表9に示す。
3-4.Rskの測定方法
JIS B0601-2001による表面粗さの規格に準じて、表面粗さ測定器「SE-3500」(商品名、株式会社小坂研究所製)を用いて測定を行う。電子写真用ローラの測定箇所を無作為に6箇所選び、各測定箇所において下記式(5)を用いることで、Rskを求める。
Figure 0007222708000012
尚、式(5)において、Rqは粗さ曲線の二乗平均平方根、lrは基準長さ(評価長さの1/5)である。6つの測定箇所から得られたRskの平均値(Rsk(ave))を表8-2に示す。
<実施例2~18、20~33>
実施例1において、導電性組成物の種類、ラッピングフィルムの砥粒粒径、スペーサ粒子の粒径を表8-1、表8-3に示したように変更した。それら以外は、実施例1と同様にして電子写真ローラNo.2~No.18、No.20~No.33を作製し、評価した。
各電子写真用ローラのL1-1、L1-2、L2-1、及びL2-2の各々の平均値(ave)、D1及びD2の平均値(ave)、30箇所の凸部のうち、D1が1/√3以下である凸部の数とその割合、D2が1/√3以下である凸部の個数とその割合、S1及びS2の平均値(ave)、ヤング率、並びにRskの平均値を表8-1、及び表8-3に示す。また、各電子写真用ローラについて測定したL1-1及びL2-1の全60データについて、1~10μmの範囲内にあるデータ個数とその割合、並びにL2-1及びL2-2の全60データについて、2~200μmの範囲内にあるデータ個数とその割合を表8-2、及び表8-4に示す。さらに、画像評価の結果を表8-2、及び表8-4に示す。
<実施例19>
実施例1と同様の導電性基体を使用し、図5に示すK1:18μm、K2:5μmの凹み形状を有する円筒金型と該円筒金型に基体を保持する2つの円筒駒を組み、円筒金型の長手方向に平行に分割される加熱用熱盤で円筒金型を挟み込み150℃に加熱し、射出成型により導電性シリコーンゴム材料(商品名:「DY35-11」、東レダウコーニング社製)を円筒形金型内に注入後、15分間加熱して硬化反応させ、型から取り外した。その後、更に電気炉にて200℃、4時間加熱して硬化反応を完結させ、基体の外周面上にゴム層が形成された加硫ローラを得た。射出成形時の圧力は0.5MPaであった。室温で30分程度風乾し、更に熱風循環乾燥機中、温度140℃で4時間乾燥し、材料を硬化させて電子写真用ローラNo.19を得た。尚、研磨処理は行わなかった。
<比較例1~8>
導電性ゴム組成物を表9に示す材料に変更し、研磨条件を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、研磨した導電性ローラを作製した。各導電性ローラの表面に対して、特許文献1に記載の条件と同様の以下に示す条件で、電子線照射により処理を行って、電子写真用ローラNo.C1~No.C8を得た。
電子線の照射には、最大加速電圧150kV、最大電子電流40mAの電子線照射装置(岩崎電気株式会社製)を用い、照射時には窒素ガスパージを行った。処理条件は加速電圧:125kV、電子電流:35mA、処理速度:1.27m/min、酸素濃度:100ppmであった。
電子写真用ローラNo.C1~No.C8の物性測定及び画像評価の結果を表9-1~表9-2に示す。
Figure 0007222708000013
Figure 0007222708000014
Figure 0007222708000015
Figure 0007222708000016
Figure 0007222708000017
Figure 0007222708000018
実施例1~33は、電子写真用ローラの表面形状が式(1)、式(2)を満たしているため、ポチ状画像、バンディングによる横スジ状画像についてともに良好な結果が得られた。
一方、比較例1~8は、電子写真用ローラの表面形状が式(1)、式(2)を満たしていないため、バンディングによる横スジ状画像が発生した。
1:導電性基体
2:導電性弾性層
11:ボウル形状の樹脂粒子
13、101:ガラス板
21:導電性弾性層
22:導電性弾性層
31:電子写真感光体
32:特許文献1に記載の電子写真用部材
33:本発明の一様態における電子写真用ローラ
51:円筒金型
52:電子写真用ローラ
53:金型内壁
54:凹み形状
60:粒子
61:粒子貯蓄部
62:粒子塗布ローラ
63:粒子被塗布部材(電子写真用ローラ)
71:電子写真用ローラ
72:研磨テープ
81,91:帯電ローラ
82,92:電子写真感光体

Claims (12)

  1. 導電性基体と、該導電性基体上の表面層としての導電性の弾性層とを有する電子写真用ローラであって、
    該弾性層は、バインダーを含み、
    該電子写真用ローラの表面は、複数個の凸部を有し、
    該電子写真用ローラの表面の一部は、該弾性層によって構成されており、
    該凸部の各々のヤング率が、0.01~5000MPaであり、
    該電子写真用ローラをガラス板に対して、該電子写真用ローラと該ガラス板とで形成されるニップの単位面積当たりの荷重が、6.5g/mmとなるように押圧したときにおける該電子写真用ローラの該凸部と該ガラス板との第1接触部の各々の面積の平均値S1aveが10μm以上であり、
    該第1接触部の各々を該導電性基体の表面に正投影させて得られる該接触部の正投影像について、該電子写真用ローラの軸に沿う方向に直交する方向の最大長さをL1-1とし、該電子写真用ローラの軸に沿う方向の最大長さをL1-2としたとき、L1-1及びL1-2が下記式(1)の関係を満たし、かつ
    該電子写真用ローラをガラス板に対して、該電子写真用ローラと該ガラス板とで形成されるニップの単位面積当たりの荷重が、14.3g/mmとなるように押圧したときにおける該電子写真用ローラの該凸部と該ガラス板との第2接触部の各々の面積の平均値S2aveが200μm以下であり、
    該第2接触部の各々を該導電性基体の表面に正投影させて得られる該接触部の正投影像について、該電子写真用ローラの軸に沿う方向に直交する方向の最大長さをL2-1とし、該電子写真用ローラの軸に沿う方向の最大長さをL2-2としたとき、L2-1及びL2-2が下記式(2)の関係を満たすことを特徴とする電子写真用ローラ:
    Figure 0007222708000019
  2. 前記arctan(L1-1/L1-2)及び前記arctan(L2-1/L2-2)が、2/5以下である請求項1に記載の電子写真用ローラ。
  3. 前記L1-1及び前記L2-1の各々が、1μm以上10μm以下である請求項1又は2に記載の電子写真用ローラ。
  4. 前記L1-1及び前記L2-1の各々が、2μm以上9μm以下である請求項1~3のいずれか一項に記載の電子写真用ローラ。
  5. 前記L1-2及び前記L2-2の各々が、2μm以上200μm以下である請求項1~4のいずれか一項に記載の電子写真用ローラ。
  6. 前記L1-2及び前記L2-2の各々が、10μm以上150μm以下である請求項1~5のいずれか一項に記載の電子写真用ローラ。
  7. 記弾性層は、開口を有するボウル形状の樹脂粒子を、該開口が前記電子写真用ローラの表面に露出する状態で保持してなり、
    前記電子写真用ローラの表面は、該ボウル形状の樹脂粒子の該開口の由来する凹部を有し、かつ、
    前記凸部は、該ボウル形状の樹脂粒子の該開口の周囲のエッジに由来する、請求項1~6のいずれか一項に記載の電子写真用ローラ。
  8. 前記ボウル形状の樹脂粒子のシェルが、アクリロニトリル樹脂、メタクリロニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メチルメタクリレート樹脂、及びこれらの樹脂から選ばれる少なくとも2種の共重合体からなる群から選択される少なくとも1つの樹脂を含む請求項7に記載の電子写真用ローラ。
  9. 前記弾性層が、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、及び、ブタジエンゴムからなる群から選択される少なくとも1種のゴムの架橋物を含む請求項1~8のいずれか一項に記載の電子写真用ローラ。
  10. 前記電子写真用ローラの表面の、JIS B 0601:2001に基づく、粗さ曲線のスキューネスRskが、負である請求項1~9のいずれか一項に記載の電子写真用ローラ。
  11. 電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電する帯電ローラと、を具備し、
    該帯電ローラが、請求項1~10のいずれか一項に記載の電子写真用ローラであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  12. 電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電する帯電ローラと、を具備し、
    該帯電ローラが、請求項1~10のいずれか一項に記載の電子写真用ローラであることを特徴とする電子写真画像形成装置。
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