JPWO2014126037A1 - 有機エレクトロルミネッセンス素子及び照明装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子及び照明装置 Download PDF

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Abstract

本発明の課題は、発光ユニットに接するガスバリアー層あるいは光散乱層等の表面の凹凸状態に起因する高温・高湿雰囲気下での保存性の劣化やショートの発生を抑制し、発光効率を向上させた有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することである。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子100、400は、フィルム基板4上に、少なくとも、ガスバリアー層5、平滑層1及び一対の電極2、6に挟持された有機機能層を有する発光ユニット3が、この順に、積層された有機エレクトロルミネッセンス素子100、400であって、ガスバリアー層5が、構成元素の組成又は分布状態が相違する少なくとも2種のガスバリアー層5で構成されていることを特徴とする。

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。また、当該有機エレクトロルミネッセンス素子が具備された照明装置に関する。より詳しくは、光取り出し効率が改善された有機エレクトロルミネッセンス素子及び照明装置に関する。
近年、電子デバイス分野では、軽量化及び大型化という要求に加え、長期信頼性や形状の自由度が高いこと、曲面表示が可能であること等の要求が加わり、重くて割れやすく大面積化が困難なガラス基板に代わって透明プラスチック等のフィルム基板が採用され始めている。
しかしながら、透明プラスチック等のフィルム基板は、ガラス基板に対しガスバリアー性が劣るという問題がある。
ガスバリアー性が劣る基板を用いると、水蒸気や酸素が浸透してしまい、例えば、電子デバイス内の機能を劣化させてしまうという問題があることが分かっている。
そこで、フィルム基板にガスバリアー性を有する膜を形成して、ガスバリアーフィルムとして使用することが一般的に知られている。例えば、ガスバリアー性を必要とする物の包装材や液晶表示素子に使用されるガスバリアーフィルムとしてはフィルム基板上に酸化ケイ素を蒸着したものや、酸化アルミニウムを蒸着したものが知られている。
また、有機エレクトロルミネッセンス素子を具備した照明装置や表示装置においては、発光効率を向上させるために光散乱層を設ける光取り出し構造が有効であることも知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、ガスバリアー層や光散乱層をフィルム基板上に形成させることにより、表面に凹凸ができてしまい、その上層に有機機能層を有する発光ユニットを形成させることで高温・高湿雰囲気下での保存性の劣化やショート(電気的短絡)が生じやすくなることが問題となっている。
特開2004−296437号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、発光ユニットに接するガスバリアー層あるいは光散乱層等の表面の凹凸状態に起因する高温・高湿雰囲気下での保存性の劣化やショートの発生を抑制し、発光効率を向上させた有機エレクトロルミネッセンス素子及びそれが具備された照明装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討したところ、フィルム基板上に、少なくとも、ガスバリアー層、平滑層及び一対の電極に挟持された有機機能層を有する発光ユニットが、この順に、積層され、前記ガスバリアー層が、構成元素の組成又は分布状態が相違する少なくとも2種のガスバリアー層で構成されている場合に本発明の課題を解決できることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.フィルム基板上に、少なくとも、ガスバリアー層、平滑層及び一対の電極に挟持された有機機能層を有する発光ユニットが、この順に、積層された有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記ガスバリアー層が、構成元素の組成又は分布状態が相違する少なくとも2種のガスバリアー層で構成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
2.前記平滑層の前記発光ユニット側の表面の算術平均粗さRaが、0.5〜50nmの範囲内であることを特徴とする第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
3.前記ガスバリアー層と前記平滑層の間に光散乱層を有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
4.前記平滑層の平均屈折率が、前記発光ユニットからの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長において、1.65以上であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
5.前記平滑層が、二酸化チタンを含有していることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
6.前記光散乱層の平均屈折率が、前記発光ユニットからの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長において、1.6以上であることを特徴とする第3項から第5項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
7.前記光散乱層が、前記発光ユニットからの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長において、1.6以下の屈折率を有するバインダーと、1.8以上の屈折率を有する無機粒子を含有していることを特徴とする第3項から第6項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
8.前記少なくとも2種のガスバリアー層のうち、1種のガスバリアー層が、無機ケイ素化合物の反応生成物である二酸化ケイ素を含有していることを特徴とする第1項から第7項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
9.前記少なくとも2種のガスバリアー層のうち、いずれかのガスバリアー層が、有機ケイ素化合物の反応生成物を含有していることを特徴とする第1項から第8項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
10.第1項から第9項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子が具備されていることを特徴とする照明装置。
本発明の上記手段により、発光ユニットに接するガスバリアー層あるいは光散乱層等の表面の凹凸状態に起因する高温・高湿雰囲気下での保存性の劣化やショートの発生を抑制し、発光効率を向上させた有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確になっていないが、以下のように推察している。
すなわち、フィルム基板を用いる有機エレクトロルミネッセンス素子において、水蒸気や酸素に対する高いガスバリアー性を有するガスバリアー層が必須であるが、ガスバリアー層を設けることで形成される表面の凹凸がショート等の不良につながるため、表面粗さを制御した平滑層を設けることがショート等の不良を抑制し、発光効率を向上させるのに有効であることを見出した。
有機エレクトロルミネッセンス素子の概略構成を示す断面図 ガスバリアーフィルムの製造装置の一例を示す概略図 ガス供給口の位置設定の模式図 本発明に係るガスバリアー層のXPSを用いた深さ方向の組成分析による層の厚さ方向の各元素プロファイルを示すグラフ 本発明に係るガスバリアー層のXPSを用いた深さ方向の組成分析による層の厚さ方向の各元素プロファイルを示すグラフ 比較のガスバリアー層のXPSを用いた深さ方向の組成分析による層の厚さ方向の各元素プロファイルを示すグラフ 実施例で作製した発光パネルの概略構成を示す断面図
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、フィルム基板上に、少なくとも、ガスバリアー層、平滑層及び一対の電極に挟持された有機機能層を有する発光ユニットが、この順に、積層された有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記ガスバリアー層が、構成元素の組成又は分布状態が相違する少なくとも2種のガスバリアー層で構成されていることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項10に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果をより発現できる点で、前記平滑層の前記発光ユニット側の表面の算術平均粗さRaが、0.5〜50nmの範囲内であることが好ましい。これにより、平滑層の上部に形成する発光ユニットに対して凹凸による電界集中が生じ、リーク電流の増加やショート不良が発生することを防ぐことができる。また、発光ユニットの各膜を平坦にすることによって、電極の凹凸を減ずることができ、それによって生ずる表面プラズモン吸収による効率低下を防ぐことが可能である。
また、本発明においては、前記ガスバリアー層と前記平滑層の間に光散乱層を有することが好ましい。これにより、発光ユニットにおいて発光した発光光を効率的に取り出すことができる。
また、本発明においては、前記平滑層の平均屈折率が、前記発光ユニットからの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長において、1.65以上であることが好ましい。これにより、隣接する発光ユニットの屈折率に近づけることができ、発光ユニットから生じた発光が界面で全反射して閉じ込められる現象をなくす又は減少させることができると考えられる。
また、本発明においては、前記平滑層が、二酸化チタンを含有していることが好ましい。屈折率が高い二酸化チタンを用いることにより、平滑層全体の平均屈折率を高くすることが可能である。また、二酸化チタンの含有量を調整することにより、所望の屈折率に調整することが容易である。
また、本発明においては、前記光散乱層の平均屈折率が、前記発光ユニットからの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長において、1.6以上であることが好ましい。これにより、平滑層の平均屈折率と光散乱層の平均屈折率を同程度に大きくすることができ、発光ユニットから平滑層を経由してきた発光を最小限のロスで平滑層内へ導くことが可能である。
また、本発明においては、前記光散乱層が、前記発光ユニットからの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長において、1.6以下の屈折率を有するバインダーと、1.8以上の屈折率を有する無機粒子を含有していることが好ましい。これにより、上記屈折率差と平均屈折率の条件を満たすことが容易となる。
また、本発明においては、前記少なくとも2種のガスバリアー層のうち、1種のガスバリアー層が、無機ケイ素化合物の反応生成物である二酸化ケイ素を含有していることが好ましい。これにより、水分の侵入を効果的に防ぐことが可能となり、発光デバイスの長寿命化に繋がる。
また、本発明においては、前記少なくとも2種のガスバリアー層のうち、いずれかのガスバリアー層が、有機ケイ素化合物の反応生成物を含有していることが好ましい。これにより、水分の侵入を効果的に防ぐことが可能となり、発光デバイスの長寿命化に繋がる。また、前記無機系のガスバリアー層の欠陥部を埋める効果があり、組み合わせてより効果的な寿命改善に繋がる。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
<有機EL素子の構成>
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう。)は、フィルム基板上に、少なくとも、ガスバリアー層、平滑層及び一対の電極に挟持された有機機能層を有する発光ユニットが、この順に、積層された有機EL素子であって、ガスバリアー層が、構成元素の組成又は分布状態が相違する少なくとも2種のガスバリアー層で構成されている。
本願において、「発光ユニット」とは、少なくとも、後述する各種有機化合物を含有する、発光層、正孔輸送層、電子輸送層等の有機機能層を主体として構成される発光体(単位)をいう。当該発光体は、陽極と陰極からなる一対の電極の間に挟持されており、当該陽極から供給される正孔(ホール)と陰極から供給される電子が当該発光体内で再結合することにより発光する。
なお、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、所望の発光色に応じて、当該発光ユニットを複数備えていてもよい。
具体的には、図1に示すとおり、本発明にかかる有機EL素子100は、フィルム基板4上に設けられており、フィルム基板4側から順に、ガスバリアー層5、光散乱層7、平滑層1、陽極(透明電極)2、有機材料等を用いて構成された発光ユニット3及び陰極(対向電極)6を有していることが好ましく、この順に積層していることが好ましい態様である。光散乱層7は、本発明の有機EL素子に備えられることが好ましいが、必須の構成要素ではない。透明電極2(電極層2b)の端部には、取り出し電極16が設けられている。透明電極2と外部電源(図示略)とは、取り出し電極16を介して、電気的に接続される。有機EL素子100は、発生させた光(発光光h)を、少なくともフィルム基板4側から取り出すように構成されている。
また、有機EL素子100の層構造が限定されることはなく、一般的な層構造であってよい。ここでは、透明電極2がアノード(すなわち陽極)として機能し、対向電極6がカソード(すなわち陰極)として機能することとする。この場合、例えば、発光ユニット3は、アノードである透明電極2側から順に正孔注入層3a/正孔輸送層3b/発光層3c/電子輸送層3d/電子注入層3eを積層した構成が例示されるが、このうち、少なくとも有機材料を用いて構成された発光層3cを有することが必須である。正孔注入層3a及び正孔輸送層3bは、正孔輸送注入層として設けられてもよい。電子輸送層3d及び電子注入層3eは、電子輸送注入層として設けられてもよい。また、これらの発光ユニット3のうち、例えば、電子注入層3eは無機材料で構成されていてもよい。
また、発光ユニット3は、これらの層の他にも正孔阻止層や電子阻止層等が必要に応じて必要箇所に積層されていてもよい。さらに、発光層3cは、各波長領域の発光光を発生させる各色発光層を有し、これらの各色発光層を、非発光性の中間層を介して積層させた構造としてもよい。中間層は、正孔阻止層、電子阻止層として機能してもよい。さらに、カソードである対向電極6も、必要に応じた積層構造であってもよい。このような構成において、透明電極2と対向電極6とで発光ユニット3が挟持された部分のみが、有機EL素子100における発光領域となる。
また、以上のような層構成においては、透明電極2の低抵抗化を図ることを目的とし、透明電極2の電極層2bに接して補助電極15が設けられていてもよい。
以上のような構成の有機EL素子100は、有機材料等を用いて構成された発光ユニット3の劣化を防止することを目的として、フィルム基板4上において後述する封止材17で封止されている。この封止材17は、接着剤19を介してフィルム基板4側に固定されている。ただし、透明電極2(取り出し電極16)及び対向電極6の端子部分は、フィルム基板4上において発光ユニット3によって互いに絶縁性を保った状態で封止材17から露出させた状態で設けられていることとする。
以下、上述した有機EL素子100を構成するための主要な要素を平滑層、光散乱層、ガスバリアー層、フィルム基板、電極、発光ユニットの順に説明し、その製造方法についても説明する。
<平滑層>
本発明に係る平滑層1は、ガスバリアー層5又は光散乱層7の上に発光ユニット3を設けた場合、当該ガスバリアー層5又は光散乱層7の表面の凹凸に起因する高温・高湿雰囲気下での保存性の劣化や電気的短絡(ショート)等の弊害を防止することを主目的とするものである。
本発明に係る平滑層1は、この上に透明電極2を良好に形成させる平坦性を有することが重要であり、その表面性は、算術平均粗さRaが0.5〜50nmの範囲内であることが好ましい。更に好ましくは30nm以下、特に好ましくは10nm以下、最も好ましくは5nm以下である。算術平均粗さRaを0.5〜50nmの範囲内とすることで、積層する有機EL素子のショート等の不良を抑制することができる。なお、算術平均粗さRaについては、0nmが好ましいが実用レベルの限界値として0.5nmを下限値とする。
また、本願において、表面の算術平均粗さRaとは、JIS B0601−2001に準拠した算術平均粗さを表している。
なお、表面粗さ(算術平均粗さRa)は、AFM(原子間力顕微鏡 Atomic Force Microscope:Digital Instruments社製)を用い、極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が30μmの区間内を3回測定し、微細な凹凸の振幅に関する平均の粗さから求めた。
平滑層1は、発光ユニット3からの発光光が入射する。そのため、平滑層1の平均屈折率nfは、発光ユニット3に含まれる有機機能層の屈折率と近い値であることが好ましい。具体的には、発光ユニット3には一般的に高屈折率の有機材料が用いられるため、平滑層1は、発光ユニットからの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長において、平均屈折率nfが1.5以上、特に1.65より大きく2.5未満の高屈折率層であることが好ましい。平均屈折率nfが1.65より大きく2.5未満であれば、単独の素材で形成されていてもよいし、混合物で形成されていてもよい。このような混合系の場合、平滑層1の平均屈折率nfは、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率を用いる。また、この場合、各々の素材の屈折率は、1.65以下若しくは2.5以上であってもよく、混合した膜の平均屈折率nfとして1.65より大きく2.5未満を満たしていればよい。
ここで、「平均屈折率nf」とは、単独の素材で形成されている場合は、単独の素材の屈折率であり、混合系の場合は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率である。
なお、屈折率の測定は、25℃の雰囲気下で、発光ユニットからの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長の光線を照射し、アッベ屈折率計(ATAGO社製、DR−M2)を用いて行った。
平滑層1に用いられるバインダーとしては、公知の樹脂が特に制限なく使用可能であり、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン(Ny)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等の樹脂フィルム、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルム(製品名Sila−DEC、チッソ株式会社製)、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン)の他、含フッ素モノマーと架橋性基付与のためのモノマーを構成単位とする含フッ素共重合体等が挙げられる。これら樹脂は、2種以上混合して使用することができる。これらの中でも、有機無機ハイブリッド構造を有するものが好ましい。
また、以下の親水性樹脂を使うことも可能である。親水性樹脂としては水溶性の樹脂、水分散性の樹脂、コロイド分散樹脂又はそれらの混合物が挙げられる。親水性樹脂としては、アクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、フッ素系等の樹脂が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、カゼイン、澱粉、寒天、カラギーナン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、セルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール等のポリマーを挙げることができるが、これらの中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。
バインダー樹脂として用いられるポリマーは、1種類を単独で用いてもよいし、必要に応じて2種類以上を混合して使用してもよい。
また、同様に、従来公知の樹脂粒子(エマルジョン)等も好適にバインダーとして使用可能である。
また、バインダーとしては、主として紫外線・電子線によって硬化する樹脂、すなわち、電離放射線硬化型樹脂に熱可塑性樹脂と溶剤とを混合したものや熱硬化型樹脂も好適に使用できる。
このようなバインダー樹脂としては、飽和炭化水素又はポリエーテルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることがより好ましい。
また、バインダーは架橋していることが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋しているバインダーを得るためには、二つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。
平滑層1に含有されるバインダーに含まれる微粒子ゾルも好適に使用可能である。
また、高屈折率の平滑層1に含まれるバインダーに分散される粒子径の下限としては、通常5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、15nm以上であることがさらに好ましい。また、バインダーに分散される粒子径の上限としては、70nm以下であることが好ましく、60nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。バインダーに分散される粒子径が5〜60nmの範囲内であることにより、高い透明性が得られる点で好ましい。本発明の効果を損なわない限り、粒子径の分布は制限されず、広くても狭くても複数の分布を持っていてもよい。
本発明に係る平滑層1に含有される粒子としては、安定性の観点から、TiO2(二酸化チタンゾル)であることがより好ましい。また、TiO2の中でも、特にアナターゼ型よりルチル型の方が、触媒活性が低いため、平滑層1や隣接した層の耐候性が高くなり、さらに屈折率が高いことから好ましい。
本発明で用いることのできる二酸化チタンゾルの調製方法としては、例えば、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等を参照することができる。
平滑層1の厚さは、光散乱層の表面粗さを緩和するためにある程度厚い必要があるが、一方吸収によるエネルギーロスを生じない程度に薄い必要がある。具体的には0.1〜5μmの範囲内が好ましく、0.5〜2μmの範囲内が更に好ましい。
<光散乱層>
本発明の有機EL素子100では、光散乱層7を備えることが好ましい。光散乱層の平均屈折率nsは、発光ユニット3の有機機能層における発光光が平滑層1を通って入射するため、屈折率が有機機能層及び平滑層1とできるだけ近い方がよい。光散乱層7は、発光ユニット3からの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長において、平均屈折率nsが1.5以上、特に1.6以上、2.5未満の範囲内である高屈折率層であることが好ましい。この場合、光散乱層7は、平均屈折率ns1.6以上2.5未満を有する単独の素材で膜を形成してもよいし、2種類以上の化合物と混合して平均屈折率ns1.6以上2.5未満の膜を形成してもよい。このような混合系の場合、光散乱層7の平均屈折率nsは、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率を用いる。また、この場合、各々の素材の屈折率は、1.6未満若しくは2.5以上であってもよく、混合した膜の平均屈折率nsとして1.6以上2.5未満を満たしていればよい。
ここで、「平均屈折率ns」とは、単独の素材で形成されている場合は、単独の素材の屈折率であり、混合系の場合は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率である。
また、光散乱層7は、層媒体である低屈折率を有するバインダーと層媒体に含有される高屈折率を有する粒子との混合物による屈折率差を利用した光散乱膜とすることが好ましい。
光散乱層7は、光取り出し効率を向上させる層であり、フィルム基板4上のガスバリアー層5の透明電極2側の最表面に形成されることが好ましい。
低屈折率を有するバインダーは、その屈折率nbが1.9未満であり、1.6未満が特に好ましい。
ここで、「バインダーの屈折率nb」とは、単独の素材で形成されている場合は、単独の素材の屈折率であり、混合系の場合は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率である。
また、高屈折率を有する粒子は、その屈折率npが1.5以上であり、1.8以上が好ましく、2.0以上が特に好ましい。
ここで、「粒子の屈折率np」とは、単独の素材で形成されている場合は、単独の素材の屈折率であり、混合系の場合は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率である。
また、光散乱層7の高屈折率を有する粒子の役割として、導波光の散乱機能が挙げられるが、そのためには散乱性を向上させる必要がある。散乱性を向上させるためには、高屈折率を有する粒子とバインダーの屈折率差を大きくすること、層厚を厚くすること、粒子密度を大きくすることが考えられる。この中で最も他の性能とのトレードオフが小さいものが、無機粒子とバインダーの屈折率差を大きくすることである。
層媒体である樹脂材料(バインダー)と含有される高屈折率を有する粒子との屈折率差|nb−np|は、好ましくは0.2以上であり、特に好ましくは0.3以上である。層媒体と粒子との屈折率差|nb−np|が0.03以上であれば、層媒体と粒子との界面で散乱効果が発生する。屈折率差|nb−np|が大きいほど、界面での屈折が大きくなり、散乱効果が向上するため好ましい。
具体的には、光散乱層7の平均屈折率nsが、1.6以上、2.5未満の範囲内である高屈折率層であることが好ましいため、例えば、バインダーの屈折率nbが1.6より小さく、高屈折率を有する粒子の屈折率npが1.8より大きいことが好ましい。
なお、屈折率の測定は、平滑層と同様に、25℃の雰囲気下で、発光ユニットからの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長の光線を照射し、アッベ屈折率計(ATAGO社製、DR−M2)を用いて行った。
光散乱層7は、上記のように、層媒体と粒子との屈折率の違いにより光を拡散させる層である。そのため、含有される粒子としては、他の層への悪影響を及ぼさないで発光ユニット3からの発光光を散乱することが求められる。
ここで、散乱とは、光散乱層単膜でヘイズ値(全光線透過率に対する散乱透過率の割合)が、20%以上、より好ましくは25%以上、特に好ましくは30%以上を示す状態を表す。ヘイズ値が20%以上であれば、発光効率を向上させることができる。
ヘイズ値とは、(a)膜中の組成物の屈折率差による影響と、(b)表面形状による影響とを受けて算出される物性値である。すなわち、表面粗さを一定程度未満に抑えてヘイズ値を測定することにより、上記(b)による影響を排除したヘイズ値が測定されることとなる。具体的には、ヘーズメーター(日本電色工業(株)製、NDH−5000)等を用いて測定することができる。
例えば、粒子径を調整することにより、散乱性を向上させることができ、ショート等の不良を抑制することができる。具体的には、可視光域のMie散乱を生じさせる領域以上の粒子径を有する透明な粒子であることが好ましい。また、その平均粒子径は0.2μm以上であることが好ましい。
一方、平均粒子径の上限としては、粒子径がより大きい場合、粒子を含有した光散乱層7の粗さを平坦化する平滑層1の層厚も厚くする必要があり、工程の負荷、膜の吸収の観点で不利な点があることから、好ましくは10μm未満、より好ましくは5μm未満、特に好ましくは3μm未満、最も好ましくは1μm未満である。
また、光散乱層7に複数の種類の粒子を用いる場合、平均粒子径は、100nm〜3μmの範囲内のものを少なくとも1種含み、かつ3μm以上のものを含まないことが好ましく、特に、200nm〜1μmの範囲内のものを少なくとも1種含み、かつ1μm以上のものを含まないことが好ましい。
ここで、高屈折率粒子の平均粒子径は、例えば、日機装社製ナノトラックUPA−EX150といった動的光散乱法を利用した装置や、電子顕微鏡写真の画像処理により測定することができる。
このような粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、有機微粒子であっても、無機微粒子であってもよいが、中でも高屈折率を有する無機微粒子であることが好ましい。
高屈折率を有する有機微粒子としては、例えば、ポリメチルメタクリレートビーズ、アクリル−スチレン共重合体ビーズ、メラミンビーズ、ポリカーボネートビーズ、スチレンビーズ、架橋ポリスチレンビーズ、ポリ塩化ビニルビーズ、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒドビーズ等が挙げられる。
高屈折率を有する無機微粒子としては、例えば、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、スズ、アンチモン等の中から選ばれる少なくとも一つの酸化物からなる無機酸化物粒子が挙げられる。無機酸化物粒子としては、具体的には、ZrO2、TiO2、BaTiO3、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITO、SiO2、ZrSiO4、ゼオライト等が挙げられ、中でも、TiO2、BaTiO3、ZrO2、ZnO、SnO2が好ましく、TiO2が最も好ましい。また、TiO2の中でも、アナターゼ型よりルチル型の方が、触媒活性が低いため高屈折率層や隣接した層の耐候性が高くなり、さらに屈折率が高いことから好ましい。
また、これらの粒子は、高屈折率の光散乱層7に含有させるために、後述の分散液とした場合の分散性や安定性向上の観点から、表面処理を施したものを用いるか、あるいは表面処理を施さないものを用いるかを選択することができる。
表面処理を行う場合、表面処理の具体的な材料としては、酸化ケイ素や酸化ジルコニウム等の異種無機酸化物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、オルガノシロキサン、ステアリン酸等の有機酸等が挙げられる。これら表面処理材は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。中でも、分散液の安定性の観点から、表面処理材としては、異種無機酸化物及び/又は金属水酸化物が好ましく、金属水酸化物がより好ましい。
無機酸化物粒子が、表面処理材で表面被覆処理されている場合、その被覆量(一般的に、この被覆量は、粒子の質量に対する当該粒子の表面に用いた表面処理材の質量割合で示される。)は、0.01〜99質量%であることが好ましい。当該範囲内とすることで、表面処理による分散性や安定性の向上効果を十分に得ることができ、また、光散乱層7の高屈折率により光取り出し効率を向上させることができる。
その他、高屈折率を有する材料として、国際公開第2009/014707号や米国特許第6608439号明細書等に記載の量子ドットも好適に用いることができる。
上記高屈折率を有する粒子の配置は、粒子が光散乱層7と平滑層1との界面に接触又は近接するように粒子1層の厚さで配置されるのが好ましい。これにより、平滑層1内で全反射が起きたときに光散乱層7に染み出してくるエバネッセント光を粒子で散乱させることができ、光取り出し効率が向上する。
高屈折率粒子の光散乱層7における含有量は、体積充填率で、1.0〜70%の範囲内であることが好ましく、5〜50%の範囲内であることがより好ましい。これにより、光散乱層7と平滑層1との界面に屈折率分布の疎密を作ることができ、光散乱量を増加させて光取り出し効率を向上させることができる。
光散乱層7の形成方法としては、例えば、層媒体が樹脂材料の場合、媒体となる樹脂材料(ポリマー)溶液(溶媒としては、粒子の溶解しないものを用いる。)に上記粒子を分散し、フィルム基板上に塗布することで形成する。
これらの粒子は、実際には、多分散粒子であることや規則的に配置することが難しいことから、局部的には回折効果を有するものの、多くは拡散により光の方向を変化させ光取り出し効率を向上させる。
また、光散乱層7で用いることができるバインダーは、平滑層1と同様の樹脂が挙げられる。
また、光散乱層7では、特定の雰囲気下で紫外線照射によって、金属酸化物、金属窒化物又は金属酸化窒化物を形成しうる化合物が特に好適に使用される。本発明に適する化合物としては、特開平8−112879号公報に記載されている比較的低温で改質処理され得る化合物が好ましい。
具体的には、Si−O−Si結合を有するポリシロキサン(ポリシルセスキオキサンを含む)、Si−N−Si結合を有するポリシラザン、Si−O−Si結合とSi−N−Si結合の両方を含むポリシロキサザン等を挙げることができる。これらは、2種以上を混合して使用することができる。また、異なる化合物を逐次積層したり、同時積層したりしても使用可能である。
光散乱層7の厚さは、散乱を生じるための光路長を確保するためにある程度厚い必要があるが、一方吸収によるエネルギーロスを生じない程度に薄い必要がある。具体的には0.1〜5μmの範囲内が好ましく、0.2〜2μmの範囲内が更に好ましい。
(ポリシロキサン)
光散乱層7で用いられるポリシロキサンとしては、一般構造単位としての〔R3SiO1/2〕、〔R2SiO〕、〔RSiO3/2〕及び〔SiO2〕を含むことができる。ここで、Rは、水素原子、1〜20の炭素原子を含むアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル等)、アリール基(例えば、フェニル等)、不飽和アルキル基(例えば、ビニル等)からなる群より独立して選択される。特定のポリシロキサン基の例としては、〔PhSiO3/2〕、〔MeSiO3/2〕、〔HSiO3/2〕、〔MePhSiO〕、〔Ph2SiO〕、〔PhViSiO〕、〔ViSiO3/2〕(Viはビニル基を表す。)、〔MeHSiO〕、〔MeViSiO〕、〔Me2SiO〕、〔Me3SiO1/2〕等が挙げられる。また、ポリシロキサンの混合物やコポリマーも使用可能である。
(ポリシルセスキオキサン)
光散乱層7においては、上述のポリシロキサンの中でもポリシルセスキオキサンを用いることが好ましい。ポリシルセスキオキサンは、シルセスキオキサンを構造単位に含む化合物である。「シルセスキオキサン」とは、〔RSiO3/2〕で表される化合物であり、通常、RSiX3(Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラアルキル基(アラルキル基ともいう)等であり、Xは、ハロゲン、アルコキシ基等である。)型化合物が加水分解−重縮合して合成されるポリシロキサンである。ポリシルセスキオキサンの分子配列の形状としては、代表的には無定形構造、ラダー状構造、籠型構造、その部分開裂構造体(籠型構造からケイ素原子が一原子欠けた構造や籠型構造のケイ素−酸素結合が一部切断された構造)等が知られている。
これらのポリシルセスキオキサンの中でも、いわゆる水素シルセスキオキサンポリマーを用いることが好ましい。水素シルセスキオキサンポリマーとしては、HSi(OH)x(OR)yz/2で表されるヒドリドシロキサンポリマーが挙げられる。各々のRは、有機基又は置換された有機基であり、酸素原子によってケイ素に結合した場合、加水分解性置換基を形成する。x=0〜2、y=0〜2、z=1〜3、x+y+z=3である。Rとしては、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、アリール基(例えば、フェニル等)、アルケニル基(例えば、アリル、ビニル等)が挙げられる。これらの樹脂は、完全に縮合され(HSiO3/2n、あるいは部分的にのみ加水分解され(すなわち、一部のSi−ORを含む)及び/又は部分的に縮合される(すなわち、一部のSi−OHを含む)ことができる。
(ポリシラザン)
光散乱層7で用いられるポリシラザンとは、ケイ素−窒素結合を持つポリマーで、Si−N、Si−H、N−H等からなるSiO2、Si34及び両方の中間固溶体SiOxy(x:0.1〜1.9、y:0.1〜1.3)等の無機前駆体ポリマーである。
光散乱層7に好ましく用いられるポリシラザンとしては、下記一般式(A)で表される。
本発明に係る「ポリシラザン」とは、構造内にケイ素−窒素結合を持つポリマーで、酸窒化ケイ素の前駆体となるポリマーであり、下記の一般式(A)構造を有するものが好ましく用いられる。
Figure 2014126037
式中、R1、R2及びR3は、各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表す。
本発明では、得られる光散乱層の膜としての緻密性の観点からは、R1、R2及びR3の全てが水素原子であるパーヒドロポリシラザンが特に好ましい。
パーヒドロポリシラザンは、直鎖構造と6員環及び8員環を中心とする環構造が存在した構造と推定されており、その分子量は、数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算)であり、液体又は固体の物質である。
ポリシラザンは、有機溶媒に溶解した溶液の状態で市販されており、市販品をそのままポリシラザン含有塗布液として使用することができる。ポリシラザン溶液の市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製のNN120−20、NAX120−20、NL120−20などが挙げられる。
バインダーとして、電離放射線硬化型樹脂組成物用いることができるが、電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化方法としては、電離放射線硬化型樹脂組成物の通常の硬化方法、すなわち、電子線又は紫外線の照射によって硬化することができる。
例えば、電子線硬化の場合には、コックロフワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される10〜1000keV、好ましくは30〜300keVのエネルギーを有する電子線等が使用され、紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。
(エキシマランプを有する真空紫外線照射装置)
本発明にかかる好ましい紫外線照射装置としては、具体的には、100〜230nmの範囲内で真空紫外線を発する希ガスエキシマランプが挙げられる。
Xe、Kr、Ar、Ne等の希ガスの原子は、化学的に結合して分子を作らないため、不活性ガスと呼ばれる。しかし、放電などによりエネルギーを得た希ガスの原子(励起原子)は、他の原子と結合して分子を作ることができる。
例えば、希ガスがXe(キセノン)の場合には、下記反応式で示されるように、励起されたエキシマ分子であるXe2 *が基底状態に遷移するときに、172nmのエキシマ光を発光する。
e+Xe→Xe*
Xe*+2Xe→Xe2 *+Xe
Xe2 *→Xe+Xe+hν(172nm)
エキシマランプの特徴としては、放射が一つの波長に集中し、必要な光以外がほとんど放射されないので効率が高いことが挙げられる。また、余分な光が放射されないので、対象物の温度を比較的低く保つことができる。さらには、始動・再始動に時間を要さないので、瞬時の点灯点滅が可能である。
エキシマ光を効率よく照射する光源としては、誘電体バリアー放電ランプが挙げられる。
誘電体バリアー放電ランプの構成としては、電極間に誘電体を介して放電を起こすものであり、一般的には、誘電体からなる放電容器とその外部とに少なくとも一方の電極が配置されていればよい。誘電体バリアー放電ランプとして、例えば、石英ガラスで構成された太い管と細い管とからなる二重円筒状の放電容器中にキセノン等の希ガスが封入され、該放電容器の外部に網状の第1の電極を設け、内管の内側に他の電極を設けたものがある。誘電体バリアー放電ランプは、電極間に高周波電圧等を加えることによって放電容器内部に誘電体バリアー放電を発生させ、該放電により生成されたキセノン等のエキシマ分子が解離する際にエキシマ光を発生させる。
エキシマランプは、光の発生効率が高いため、低い電力の投入で点灯させることが可能である。また、温度上昇の要因となる波長の長い光は発せず、紫外線領域の単一波長でエネルギーを照射するため、照射光自体による照射対象物の温度上昇を抑えられる特徴を持っている。
なお、平滑層1に取り込まれた光を更に光散乱層7へ取り込むためには、光散乱層7のバインダーと平滑層1の屈折率差が小さいことが好ましい。具体的には、光散乱層7のバインダーと平滑層1の屈折率差が、0.1以下であることが好ましい。また、平滑層1に含有されるバインダーと光散乱層7に含有されるバインダーは、同じ材料を用いることが好ましい。
また、平滑層1に光散乱層7を加えた層厚を調整することにより、水分の浸入やパターニングした場合のエッジの段差による配線不良を抑制し、散乱性を向上させることができる。具体的には、平滑層1に光散乱層7を加えた層厚としては、100nm〜5μmの範囲内が好ましく、特に、300nm〜2μmの範囲内であることが好ましい。
<ガスバリアー層>
本発明に係るガスバリアー層は、構成元素の組成又は分布状態が相違する少なくとも2種のガスバリアー層で構成されていることを特徴とする。このような構成にすることにより、酸素や水蒸気の透過を効率良く防止することができる。
ガスバリアー層は、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%RH)が、0.01g/m2・24h以下のバリアー性フィルム(バリア膜等ともいう)であることが好ましい。また、さらには、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10-3ml/m2・24h・atm以下、水蒸気透過度が、1×10-5g/m2・24h以下の高バリアー性フィルムであることが好ましい。
本発明の実施態様としては、前記少なくとも2種のガスバリアー層のうち、1種のガスバリアー層が、無機ケイ素化合物の反応生成物である二酸化ケイ素を含有していることが好ましい。
また、前記少なくとも2種のガスバリアー層のうち、いずれかのガスバリアー層が、有機ケイ素化合物の反応生成物を含有していることが好ましい。すなわち、少なくとも1種のガスバリアー層には、構成元素として、有機ケイ素化合物に由来する元素、例えば、酸素、ケイ素、炭素などを含有することが好ましい。
なお、ガスバリアー層を構成する元素の当該ガスバリアー層内における組成又は分布状態は、均一であっても、厚さ方向で異なっていてもよい。構成元素の組成又は分布状態が相違するようにする方法としては、後述するように、ガスバリアー層の形成方法や形成材料を相違させることが好ましい。
以下においては、本発明に係るガスバリアー層の例について説明するが、当該ガスバリアー層を構成する少なくとも2種のガスバリアー層のうち、1種を第1ガスバリアー層、他種を第2ガスバリアー層と称することにする。
《第1ガスバリアー層》
本発明に係る第1ガスバリアー層の構成元素としては、少なくとも、酸素や水蒸気の透過を防止する化合物を構成する元素を含み、後述する第2ガスバリアー層の構成元素と相違していればよい。
例えば、第1ガスバリアー層5aは、フィルム基板の一方の面にケイ素、酸素及び炭素を構成元素として含有する層として設けることができる。この場合、当該第1ガスバリアー層5aについてのX線光電子分光法による深さ方向の元素分布測定に基づく各構成元素の分布曲線において、下記要件(i)〜(iv)を全て満たす態様とすることが、ガスバリアー性を向上させる観点から好ましい。
(i)ケイ素原子比率、酸素原子比率及び炭素原子比率が、前記第1ガスバリアー層5aの表面から層厚方向の90%以上の距離領域において、下記序列の大小関係を有する。
(炭素原子比率)<(ケイ素原子比率)<(酸素原子比率)
(ii)炭素分布曲線が少なくとも二つの極値を有する。
(iii)炭素分布曲線における炭素原子比率の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上である。
(iv)酸素分布曲線において、フィルム基板側の第1ガスバリアー層5a表面に最も近い酸素分布曲線の極大値が、当該ガスバリアー層5内の酸素分布曲線の極大値の中で最大値をとる。
本発明に係る第1ガスバリアー層5aは、帯状の可撓性を有するフィルム基板を用いて、当該フィルム基板を一対の成膜ローラー間に接触しながら搬送し、当該一対の成膜ローラー間に成膜ガスを供給しながらプラズマ放電を行うプラズマ化学気相成長法によって、前記フィルム基板上に形成する薄膜層であることが好ましい。
なお、本発明において前記極値とは、第1ガスバリアー層5aの層厚方向における当該第1ガスバリアー層5aの表面からの距離に対する各元素の原子比率の極大値又は極小値のことをいう。
〈極大値及び極小値の定義〉
本発明において極大値とは、第1ガスバリアー層5aの表面からの距離を変化させた場合に元素の原子比率の値が増加から減少に変わる点であって、かつその点の元素の原子比率の値よりも、当該点から第1ガスバリアー層5aの層厚方向における第1ガスバリアー層5aの表面からの距離を更に20nm変化させた位置の元素の原子比率の値が3at%以上減少する点のことをいう。
さらに、本発明において極小値とは、第1ガスバリアー層5aの表面からの距離を変化させた場合に元素の原子比の値が減少から増加に変わる点であり、かつその点の元素の原子比率の値よりも、当該点から第1ガスバリアー層5aの層厚方向における第1ガスバリアー層5aの表面からの距離を更に20nm変化させた位置の元素の原子比の値が3at%以上増加する点のことをいう。
〈炭素原子比率の平均値及び最大値と最小値の関係〉
本発明に係る第1ガスバリアー層5a内の炭素原子比率は、層全体の平均値として8〜20at%の範囲内であることが、屈曲性の観点から好ましい。より好ましくは10〜20at%の範囲内である。当該範囲内にすることにより、ガスバリアー性と屈曲性を十分に満たす第1ガスバリアー層5aを形成することができる。
また、このような第1ガスバリアー層5aは、更に、前記炭素分布曲線における炭素原子比率の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上であることが好ましい。また、このような第1ガスバリアー層5aにおいては、炭素原子比率の最大値及び最小値の差の絶対値が6at%以上であることがより好ましく、7at%以上であることが特に好ましい。前記絶対値が5at%以上であれば、得られる第1ガスバリアー層5aを屈曲させた場合におけるガスバリアー性が十分となる。
〈酸素原子比率の極値の位置及び最大値と最小値の関係〉
本発明においては、前記したようにフィルム基板側からの水分子の侵入を防止する観点から、第1ガスバリアー層5aの酸素分布曲線において、フィルム基板側の第1ガスバリアー層5a表面に最も近い酸素分布曲線の極大値が、第1ガスバリアー層5a内の酸素分布曲線の極大値の中で最大値をとることが好ましい。
図4は、本発明に係る第1ガスバリアー層5aの、XPSデプスプロファイル(深さ方向の分布)による層の厚さ方向の各元素プロファイルを示すグラフである。
図4では酸素分布曲線をA、ケイ素分布曲線をB、及び炭素分布曲線をCとして示す。
第1ガスバリアー層5aの表面(距離0nm)から、フィルム基板4表面(距離約300nm)の間で各元素の原子比率が連続的に変化しているが、酸素分布曲線Aの第1ガスバリアー層5aの表面に最も近い酸素原子比率の極大値をX、フィルム基板4表面に最も近い酸素原子比率の極大値をYとしたときに、酸素原子比率の値がY>Xであることがフィルム基板4側からの水分子の侵入を防止する観点から好ましい。
本発明に係る酸素原子比率としては、前記フィルム基板4側の第1ガスバリアー層5a表面に最も近い酸素分布曲線の極大値となる酸素原子比率Yが、フィルム基板4とはガスバリアー層を挟み反対側のガスバリアー層表面に最も近い当該酸素分布曲線の極大値となる酸素原子比率Xの1.05倍以上であることが好ましい。すなわち、1.05≦Y/Xであることが好ましい。
上限は特に限定されるものではないが、1.05≦Y/X≦1.30の範囲内であることが好ましく、1.05≦Y/X≦1.20の範囲内であることがより好ましい。この範囲であれば、水分子の侵入を防止することができ、高温高湿下におけるガスバリアー性の劣化もみられず、また生産性、コストの観点からも好ましい。
また、前記第1ガスバリアー層5aの酸素分布曲線において、酸素原子比率の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上であることが好ましく、6at%以上であることがより好ましく、7at%以上であることが特に好ましい。
〈ケイ素原子比率の最大値と最小値の関係〉
本発明においては、前記第1ガスバリアー層5aのケイ素分布曲線における、ケイ素原子比率の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%未満であることが好ましく、4at%未満であることがより好ましく、3at%未満であることが特に好ましい。前記絶対値が前記範囲内であれば、得られる第1ガスバリアー層5aのガスバリアー性及びガスバリアー層の機械的強度が十分となる。
〈XPSによるガスバリアー層の深さ方向の組成分析について〉
ガスバリアー層5の層厚(深さ)方向における炭素分布曲線、酸素分布曲線及びケイ素分布曲線は、X線光電子分光法(XPS:Xray Photoelectron Spectroscopy)の測定とアルゴン等の希ガスイオンスパッタとを併用することにより、試料内部を露出させつつ順次表面組成分析を行う、いわゆるXPSデプスプロファイル(深さ方向の分布)測定により作成することができる。このようなXPSデプスプロファイル測定により得られる分布曲線は、例えば、縦軸を各元素の原子比率(単位:at%)とし、横軸をエッチング時間(スパッタ時間)として作成することができる。
なお、このように横軸をエッチング時間とする元素の分布曲線においては、エッチング時間は層厚方向における前記ガスバリアー層5の層厚方向における前記ガスバリアー層5の表面からの距離におおむね相関することから、「ガスバリアー層の層厚方向におけるガスバリアー層の表面からの距離」として、XPSデプスプロファイル測定の際に採用したエッチング速度とエッチング時間との関係から算出されるガスバリアー層5の表面からの距離を採用することができる。
また、このようなXPSデプスプロファイル測定に際して採用するスパッタ法としては、エッチングイオン種としてアルゴン(Ar+)を用いた希ガスイオンスパッタ法を採用し、そのエッチング速度(エッチングレート)を0.05nm/sec(SiO2熱酸化膜換算値)とすることが好ましい。
また、本発明においては、第1ガスバリアー層5aの表面全体において均一で、かつ優れたガスバリアー性を有するガスバリアー層5を形成するという観点から、前記第1ガスバリアー層5aの表面方向(ガスバリアー層5の表面に平行な方向)において実質的に一様であることが好ましい。
本明細書において、ガスバリアー層5が表面方向において実質的に一様とは、XPSデプスプロファイル測定によりガスバリアー層5の表面の任意の2箇所の測定箇所について前記酸素分布曲線、前記炭素分布曲線を作成した場合に、その任意の2箇所の測定箇所において得られる炭素分布曲線が持つ極値の数が同じであり、それぞれの炭素分布曲線における炭素の原子比率の最大値及び最小値の差の絶対値が、互いに同じであるか若しくは5at%以内の差であることをいう。
本発明に係るガスバリアーフィルムは、上記条件(i)〜(iv)を全て満たすガスバリアー層5を少なくとも1層備えることが好ましいが、そのような条件を満たす層を2層以上備えていてもよい。
さらに、このようなガスバリアー層5を2層以上備える場合には、複数のガスバリアー層5の材質は、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、このようなガスバリアー層5を2層以上備える場合には、このようなガスバリアー層5は前記フィルム基板4の一方の表面上に形成されていてもよく、前記フィルム基板4の両方の表面上に形成されていてもよい。
また、前記ケイ素分布曲線、前記酸素分布曲線及び前記炭素分布曲線において、ケイ素原子比率、酸素原子比率及び炭素原子比率が、当該第1ガスバリアー層5aの層厚の90%以上の領域において前記式(1)で表される条件を満たす場合には、前記ガスバリアー層5中におけるケイ素原子比率は、25〜45at%の範囲であることが好ましく、30〜40at%の範囲であることがより好ましい。
また、前記第1ガスバリアー層5a中における酸素原子比率は、33〜67at%の範囲であることが好ましく、45〜67at%の範囲であることがより好ましい。
さらに、前記第1ガスバリアー層5a中における炭素原子比率は、3〜33at%の範囲であることが好ましく、3〜25at%の範囲であることがより好ましい。
〈第1ガスバリアー層の厚さ〉
前記第1ガスバリアー層5aの厚さは、5〜3000nmの範囲であることが好ましく、10〜2000nmの範囲であることより好ましく、100〜1000nmの範囲であることが更に好ましく、300〜1000nmの範囲が特に好ましい。第1ガスバリアー層5aの厚さが前記範囲内であれば、酸素ガスバリアー性、水蒸気バリアー性等のガスバリアー性に優れ、屈曲によるガスバリアー性の低下がみられない。
〈第1ガスバリアー層の形成方法〉
本発明に係る第1ガスバリアー層5aは、プラズマ化学気相成長法により形成される層であることが好ましい。より詳しくはこのようなプラズマ化学気相成長法により形成される第1ガスバリアー層として、前記フィルム基板4を前記一対の成膜ローラーに接触しながら搬送し、前記一対の成膜ローラー間に成膜ガスを供給しながらプラズマ放電してプラズマ化学気相成長法により形成される層であることが好ましい。
また、このようにして一対の成膜ローラー間に放電する際には、前記一対の成膜ローラーの極性を交互に反転させることが好ましい。更に、このようなプラズマ化学気相成長法に用いる前記成膜ガスとしては有機ケイ素化合物と酸素とを含むものが好ましく、供給する成膜ガス中の酸素の含有量は、前記成膜ガス中の前記有機ケイ素化合物の全量を完全酸化するのに必要な理論酸素量以下であることが好ましい。また、本発明においては、前記第1ガスバリアー層5aがフィルム基板4上に連続的な成膜プロセスにより形成された層であることが好ましい。
本発明に係る第1ガスバリアー層は、ガスバリアー性の観点から、プラズマ化学気相成長法(プラズマCVD法)を採用することが好ましく、前記プラズマ化学気相成長法はペニング放電プラズマ方式のプラズマ化学気相成長法であっても良い。
本発明に係る第1ガスバリアー層のように、前記炭素原子比率が濃度勾配を有し、かつ層内で連続的に変化する層を形成するには、前記プラズマ化学気相成長法においてプラズマを発生させる際に、複数の成膜ローラーの間の空間にプラズマ放電を発生させることが好ましく、本発明では一対の成膜ローラーを用い、その一対の成膜ローラーのそれぞれに前記フィルム基板4を接触しながら搬送し、当該一対の成膜ローラー間に放電してプラズマを発生させることが好ましい。
このようにして、一対の成膜ローラーを用い、その一対の成膜ローラー上にフィルム基板4を接触しながら搬送し、かかる一対の成膜ローラー間にプラズマ放電することにより、フィルム基板4と成膜ローラー間のプラズマ放電位置との距離が変化することによって、前記炭素原子比率が濃度勾配を有し、かつ層内で連続的に変化するようなガスバリアー層5を形成することが可能となる。
また、成膜時に一方の成膜ローラー上に存在するフィルム基板4の表面部分を成膜しつつ、もう一方の成膜ローラー上に存在するフィルム基板4の表面部分も同時に成膜することが可能となって効率よく薄膜を製造できるばかりか、成膜レートを倍にでき、なおかつ、同じ構造の膜を成膜できるので前記炭素分布曲線における極値を少なくとも倍増させることが可能となり、効率よく本発明に係る前記条件(i)〜(iv)を全てを満たす層を形成することが可能となる。
また、本発明に係るガスバリアーフィルムは、生産性の観点から、ロールtoロール方式で前記フィルム基板4の表面上に前記ガスバリアー層5を形成させることが好ましい。
また、このようなプラズマ化学気相成長法によりガスバリアーフィルムを製造する際に用いることが可能な装置としては、特に制限されないが、少なくとも一対の成膜ローラーと、プラズマ電源とを備え、かつ前記一対の成膜ローラー間において放電することが可能な構成となっている装置であることが好ましく、例えば、図2に示す製造装置を用いた場合には、プラズマ化学気相成長法を利用しながらロールtoロール方式で製造することも可能となる。
以下、図2を参照しながら、本発明に係る第1ガスバリアー層を形成する方法についてより詳細に説明する。なお、図2は、本発明に係る第1ガスバリアー層をフィルム基板上に形成するのに好適に利用することが可能な製造装置の一例を示す模式図である。
図2に示す製造装置は、送り出しローラー11と、搬送ローラー21、22、23及び24と、成膜ローラー31及び32と、ガス供給口41と、プラズマ発生用電源51と、成膜ローラー31及び32の内部に設置された磁場発生装置61及び62と、巻取りローラー71とを備えている。
また、このような製造装置においては、少なくとも成膜ローラー31、32と、ガス供給口41と、プラズマ発生用電源51と、永久磁石からなる磁場発生装置61及び62とが図示を省略した真空チャンバー内に配置されている。更に、このような製造装置において前記真空チャンバーは図示を省略した真空ポンプに接続されており、かかる真空ポンプにより真空チャンバー内の圧力を適宜調整することが可能となっている。
このような製造装置においては、一対の成膜ローラー(成膜ローラー31と成膜ローラー32)を一対の対向電極として機能させることが可能となるように、各成膜ローラーがそれぞれプラズマ発生用電源51に接続されている。そのため、このような製造装置においては、プラズマ発生用電源51により電力を供給することにより、成膜ローラー31と成膜ローラー32との間の空間に放電することが可能であり、これにより成膜ローラー31と成膜ローラー32との間の空間にプラズマを発生させることができる。
なお、このように、成膜ローラー31と成膜ローラー32を電極としても利用する場合には、電極としても利用可能なようにその材質や設計を適宜変更すればよい。また、このような製造装置においては、一対の成膜ローラー(成膜ローラー31及び32)は、その中心軸が同一平面上においてほぼ平行となるようにして配置することが好ましい。このようにして、一対の成膜ローラー(成膜ローラー31及び32)を配置することにより、成膜レートを倍にでき、なおかつ、同じ構造の膜を成膜できるので前記炭素分布曲線における極値を少なくとも倍増させることが可能となる。
また、成膜ローラー31及び成膜ローラー32の内部には、成膜ローラーが回転しても回転しないようにして固定された磁場発生装置61及び62がそれぞれ設けられている。
さらに、成膜ローラー31及び成膜ローラー32としては適宜公知のローラーを用いることができる。このような成膜ローラー31及び32としては、より効率よく薄膜を形成せしめるという観点から、直径が同一のものを使うことが好ましい。また、このような成膜ローラー31及び32の直径としては、放電条件、チャンバーのスペース等の観点から、直径が300〜1000mmφの範囲、特に300〜700mmφの範囲が好ましい。300mmφ以上であると、プラズマ放電空間が小さくなることがないため生産性の劣化もなく、短時間でプラズマ放電の全熱量がフィルムにかかることを回避できることから、フィルム基板4へのダメージを軽減でき好ましい。一方、1000mmφ以下であると、プラズマ放電空間の均一性等も含めて装置設計上、実用性を保持することができるため好ましい。
また、このような製造装置に用いる送り出しローラー11及び搬送ローラー21、22、23、24としては適宜公知のローラーを用いることができる。また、巻取りローラー71としても、ガスバリアー層5を形成したフィルム基板4を巻き取ることが可能なものであればよく、特に制限されず、適宜公知のローラーを用いることができる。
ガス供給口41としては原料ガス等を所定の速度で供給又は排出することが可能なものを適宜用いることができる。さらに、プラズマ発生用電源51としては、適宜公知のプラズマ発生装置の電源を用いることができる。このようなプラズマ発生用電源51は、これに接続された成膜ローラー31と成膜ローラー32に電力を供給して、これらを放電のための対向電極として利用することを可能とする。
このようなプラズマ発生用電源51としては、より効率よくプラズマCVD法を実施することが可能となることから、前記一対の成膜ローラーの極性を交互に反転させることが可能なもの(交流電源など)を利用することが好ましい。
また、このようなプラズマ発生用電源51としては、より効率よくプラズマCVD法を実施することが可能となることから、印加電力を100W〜10kWの範囲とすることができ、かつ交流の周波数を50Hz〜500kHzの範囲とすることが可能なものであることがより好ましい。また、磁場発生装置61及び62としては適宜公知の磁場発生装置を用いることができる。
このような図2に示す製造装置を用いて、例えば、原料ガスの種類、プラズマ発生装置の電極ドラムの電力、真空チャンバー内の圧力、成膜ローラーの直径、並びに、フィルム基板4の搬送速度を適宜調整することにより、本発明に係るガスバリアーフィルムを製造することができる。
すなわち、図2に示す製造装置を用いて、成膜ガス(原料ガス等)を真空チャンバー内に供給しつつ、一対の成膜ローラー(成膜ローラー31及び32)間にプラズマ放電を発生させることにより、前記成膜ガス(原料ガス等)がプラズマによって分解され、成膜ローラー31上のフィルム基板4の表面上並びに成膜ローラー32上のフィルム基板4の表面上に、前記ガスバリアー層5がプラズマCVD法により形成される。なお、このような成膜に際しては、フィルム基板4が送り出しローラー11や成膜ローラー31等により、それぞれ搬送されることにより、ロールtoロール方式の連続的な成膜プロセスによりフィルム基板4の表面上に前記第1ガスバリアー層5aが形成される。
本発明に係る第1ガスバリアー層5aは、酸素分布曲線において、フィルム基板4側のガスバリアー層5表面に最も近い酸素分布曲線の極大値が、当該第1ガスバリアー層5a内の酸素分布曲線の極大値の中で最大値をとることが好ましい。
また、本発明に係る酸素原子比率としては、前記フィルム基板4側の第1ガスバリアー層5a表面に最も近い酸素分布曲線の極大値となる酸素原子比率が、フィルム基板4とはガスバリアー層5を挟み反対側のガスバリアー層5表面に最も近い当該酸素分布曲線の極大値となる酸素原子比率の1.05倍以上となることが好ましい。
このように前記酸素原子比率を第1ガスバリアー層5a内で所望の分布になるように形成する方法には、特に限定されるものではなく、成膜ガス濃度を成膜中に変える方法、ガス供給口の位置を変える方法、ガス供給を複数箇所で行う方法、ガス供給口のそばに邪魔板を設置してガスの流れを制御する方法及び成膜ガス濃度を変えて複数回のプラズマCVDを行う方法などにより形成可能であるが、ガス供給口41の位置を成膜ローラー31又は32間でどちらかに近づけながらプラズマCVDを行う方法が、簡易であり再現性もよく好ましい。
図3は、CVD装置のガス供給口の位置の移動を説明した模式図である。
ガス供給口と成膜ローラー31又は32までの距離を100%としたときに、ガス供給口41を成膜ローラー31及び32を結ぶ線分の垂直二等分線m上から、成膜ローラー31又は32側に5〜20%の範囲内で近づけることで、酸素分布曲線の極値条件を満たすように制御することができる。
すなわち、成膜ローラー31及び32を結ぶ線分の垂直二等分線m上の点pから、t1又はt2の方向に、(t1−p)間の距離、又は(t2−p)間の距離を100%としたときに、点pの位置から5〜20%の範囲内で成膜ローラー側に平行移動的に近づけることを意味する。
この場合、ガス供給口41を移動する距離によって、酸素分布曲線の極値の大きさを制御することもできる。例えば、フィルム基板4側に最も近いガスバリアー層5表面の酸素分布曲線の極値を大きくするには、ガス供給口41を成膜ローラー31又は32に20%に近い移動距離でより近づけることで形成が可能である。
ガス供給口の移動の範囲は前記5〜20%の範囲内で近づけることが好ましいが、より好ましくは5〜15%の範囲内であり、前記範囲内であれば面内の酸素分布曲線及び他の限度分布曲線にばらつきなども生じ難く、所望の分布を均一に再現よく形成することが可能である。
本発明に係る第1ガスバリアー層5aを、ガス供給口41を成膜ローラー31方向に5%近づけて成膜したXPSデプスプロファイルによる層の厚さ方向の各元素プロファイルの例を図4に示す。
また、ガス供給口41を成膜ローラー32方向に10%近づけて成膜したXPSデプスプロファイルによる層の厚さ方向の各元素プロファイルの例を図5に示す。
共に、酸素分布曲線Aのガスバリアー層5表面に最も近い酸素原子比率の極大値をX、フィルム基板4表面に最も近い酸素原子比率の極大値をYとしたときに、酸素原子比率の値Y>Xであることが分かる。
一方、図6は比較としてのガスバリアー層のXPSデプスプロファイルによる層の厚さ方向の各元素プロファイルの一例である。当該ガスバリアー層は、ガス供給口41を成膜ローラー31及び32を結ぶ線分の垂直二等分線m上に設置してガスバリアー層を形成したものであり、フィルム基板側のガスバリアー層表面に最も近い酸素分布曲線の極大値Xとなる酸素原子比率が、フィルム基板とはガスバリアー層を挟み反対側のガスバリアー層表面に最も近い当該酸素分布曲線の極大値Yとなる酸素原子比率とほぼ同等となり、フィルム基板側に最も近いガスバリアー層表面の酸素分布曲線の極値が層内で最大値とならないことが分かる。
〈原料ガス〉
本発明に係る第1ガスバリアー層5aの形成に用いる前記成膜ガス中の原料ガスとしては、形成するガスバリアー層5の材質に応じて適宜選択して使用することができる。このような原料ガスとしては、例えばケイ素を含有する有機ケイ素化合物を用いることが好ましい。
このような有機ケイ素化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。
これらの有機ケイ素化合物の中でも、成膜での取扱い及び得られるガスバリアー層5のガスバリアー性等の特性の観点から、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンが好ましい。また、これらの有機ケイ素化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、前記成膜ガスとしては、前記原料ガスの他に反応ガスを用いてもよい。このような反応ガスとしては、前記原料ガスと反応して酸化物、窒化物等の無機化合物となるガスを適宜選択して使用することができる。
酸化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、酸素、オゾンを用いることができる。また、窒化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、窒素、アンモニアを用いることができる。
これらの反応ガスは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、例えば酸窒化物を形成する場合には、酸化物を形成するための反応ガスと窒化物を形成するための反応ガスとを組み合わせて使用することができる。
前記成膜ガスとしては、前記原料ガスを真空チャンバー内に供給するために、必要に応じて、キャリアガスを用いてもよい。さらに、前記成膜ガスとしては、プラズマ放電を発生させるために、必要に応じて、放電用ガスを用いてもよい。このようなキャリアガス及び放電用ガスとしては、適宜公知のものを使用することができ、例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン等の希ガス元素を用いることができる。
このような成膜ガスが原料ガスと反応ガスを含有する場合、原料ガスと反応ガスの比率としては、原料ガスと反応ガスとを完全に反応させるために理論上必要となる反応ガスの量の比率よりも、反応ガスの比率を過剰にし過ぎないことが好ましい。反応ガスの比率を過剰にし過ぎてしまうと、本発明に係るガスバリアー層5が得られにくい。よって、所望したバリアーフィルムとしての性能を得るためには、前記成膜ガスが前記有機ケイ素化合物と酸素とを含有するものである場合、前記成膜ガス中の前記有機ケイ素化合物の全量を完全酸化するのに必要な理論酸素量以下とすることが好ましい。
以下代表例として、原料ガスとしてのヘキサメチルジシロキサン(有機ケイ素化合物:HMDSO、(CH36Si2O)と反応ガスとしての酸素(O2)を取上げ説明する。
原料ガスとしてのヘキサメチルジシロキサン(HMDSO、(CH36Si2O)と、反応ガスとしての酸素(O2)とを含有する成膜ガスをプラズマCVD法により反応させてケイ素−酸素系の薄膜を作製する場合、その成膜ガスにより下記反応式(1)で示される反応が起こり、二酸化ケイ素が製造される。
(CH36Si2O+12O2→6CO2+9H2O+2SiO2 (1)
このような反応においては、ヘキサメチルジシロキサン1モルを完全酸化するのに必要な酸素量は12モルである。そのため、成膜ガス中に、ヘキサメチルジシロキサン1モルに対して酸素を12モル以上含有させて完全に反応させた場合には、均一な二酸化ケイ素膜が形成されてしまうため、原料のガス流量比を理論比である完全反応の原料比以下の流量に制御して、非完全反応を遂行させる。つまりヘキサメチルジシロキサン1モルに対して酸素量を化学量論比の12モルより少なくする必要がある。
なお、実際のプラズマCVDチャンバー内の反応では、原料のヘキサメチルジシロキサンと反応ガスの酸素は、ガス供給口から成膜領域へ供給されて成膜されるので、反応ガスの酸素のモル量(流量)が原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の12倍のモル量(流量)であったとしても、現実には完全に反応を進行させることはできず、酸素の含有量を化学量論比に比して大過剰に供給して初めて反応が完結すると考えられる(例えば、CVD法により完全酸化させて酸化ケイ素を得るために、酸素のモル量(流量)を原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の20倍以上程度とする場合もある。)。そのため、原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)は、化学量論比である12倍量以下(より好ましくは、10倍以下)の量であることが好ましい。
このような比でヘキサメチルジシロキサン及び酸素を含有させることにより、完全に酸化されなかったヘキサメチルジシロキサン中の炭素原子や水素原子がガスバリアー層5中に取り込まれ、所望したガスバリアー層5を形成することが可能となって、得られるガスバリアーフィルムに優れたバリアー性及び耐屈曲性を発揮させることが可能となる。
また、成膜ガス中のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)の下限は、ヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の0.1倍より多い量とすることが好ましく、0.5倍より多い量とすることがより好ましい。
〈真空度〉
真空チャンバー内の圧力(真空度)は、原料ガスの種類等に応じて適宜調整することができるが、0.5〜100Paの範囲とすることが好ましい。
〈ローラー成膜〉
このようなプラズマCVD法において、成膜ローラー31及び32間に放電するために、プラズマ発生用電源51に接続された電極ドラム(本実施形態においては成膜ローラー31及び32に設置されている。)に印加する電力は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができるものであり一概に言えるものでないが、0.1〜10kWの範囲とすることが好ましい。
このような範囲の印加電力であれば、パーティクルの発生も見られず、成膜時に発生する熱量も制御内であるため、成膜時のフィルム基板4表面の温度上昇による、フィルム基板4の熱負けや成膜時の皺の発生もない。また、熱でフィルム基板4が溶けて、裸の成膜ローラー間に大電流の放電が発生して成膜ローラー自体を傷めてしまう可能性も小さい。
フィルム基板4の搬送速度(ライン速度)は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができるが、0.25〜100m/minの範囲とすることが好ましく、0.5〜20m/minの範囲とすることがより好ましい。ライン速度が前記範囲内であれば、フィルム基板4の熱に起因する皺の発生もし難く、形成されるガスバリアー層5の厚さも十分に制御可能である。
<第2のガスバリアー層>
本発明に係るガスバリアー層は、構成元素の組成又は分布状態が相違する少なくとも2種のガスバリアー層で構成されていることを特徴とする。
本発明において、本発明に係る第1のガスバリアー層の上に、塗布方式のポリシラザン含有液の塗膜を設け、波長200nm以下の真空紫外光(VUV光)を照射して改質処理することにより形成された第2のガスバリアー層を設けることが好ましい。上記第2のガスバリアー層をCVD法で設けたガスバリアー層の上に設けることにより、ガスバリアー層に残存する微小な欠陥を、上部からポリシラザンのガスバリアー成分で埋めることができ、更なるガスバリアー性と屈曲性を向上できるので、好ましい。
第2のガスバリアー層の厚さは、1〜500nmの範囲が好ましい、より好ましくは10〜300nmの範囲である。厚さが1nmより厚いとガスバリアー性能が発揮でき、500nm以内であれば、緻密な酸化ケイ素膜にクラックが入りにくい。
〈ポリシラザン〉
本発明に係る第2ガスバリアー層では、前記一般式(A)で表されるポリシラザンを用いることができる。得られるガスバリアー層の膜としての緻密性の観点からは、一般式(A)中のR1、R2及びR3の全てが水素原子であるパーヒドロポリシラザンが特に好ましい。
第2のガスバリアー層は、CVD法でのガスバリアー層上にポリシラザンを含む塗布液を塗布し乾燥した後、真空紫外線を照射することにより形成することができる。
ポリシラザンを含有する塗布液を調製する有機溶媒としては、ポリシラザンと容易に反応してしまうようなアルコール系や水分を含有するものを用いることは避けることが好ましい。例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類が使用でき、具体的には、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン等の炭化水素、塩化メチレン、トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等がある。これらの有機溶媒は、ポリシラザンの溶解度や溶媒の蒸発速度等の目的にあわせて選択し、複数の有機溶媒を混合しても良い。
ポリシラザンを含有する塗布液中のポリシラザンの濃度は、ガスバリアー層の層厚や塗布液のポットライフによっても異なるが、好ましくは0.2〜35質量%程度である。
酸窒化ケイ素への変性を促進するために、該塗布液にアミン触媒や、Ptアセチルアセトナート等のPt化合物、プロピオン酸Pd等のPd化合物、Rhアセチルアセトナート等のRh化合物等の金属触媒を添加することもできる。本発明においては、アミン触媒を用いることが特に好ましい。具体的なアミン触媒としては、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、3−モルホリノプロピルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン等が挙げられる。
ポリシラザンに対するこれら触媒の添加量は、塗布液全体に対して0.1〜10質量%の範囲であることが好ましく、0.2〜5質量%の範囲であることがより好ましく、0.5〜2質量%の範囲であることがさらに好ましい。触媒添加量をこの範囲とすることで、反応の急激な進行による過剰なシラノール形成及び膜密度の低下、膜欠陥の増大のなどを避けることができる。
ポリシラザンを含有する塗布液を塗布する方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体例としては、例えば、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。
塗膜の厚さは、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、塗膜の厚さは、乾燥後の厚さとして50nm〜2μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは70nm〜1.5μmの範囲にあることがより好ましく、100nm〜1μmの範囲にあることがさらに好ましい。
〈エキシマ処理〉
本発明に係る第2のガスバリアー層は、ポリシラザンを含む層に真空紫外線を照射する工程で、ポリシラザンの少なくとも一部が酸窒化ケイ素へと改質される。
ここで、真空紫外線照射工程でポリシラザンを含む塗膜が改質され、SiOxNyの特定組成となる推定メカニズムを、パーヒドロポリシラザンを例にとって説明する。
パーヒドロポリシラザンは「−(SiH2−NH)n−」の組成で示すことができる。SiOxNyで示す場合、x=0、y=1である。x>0となるためには外部の酸素源が必要であるが、これは、(I)ポリシラザン塗布液に含まれる酸素や水分、(II)塗布乾燥過程の雰囲気中から塗膜に取り込まれる酸素や水分、(III)真空紫外線照射工程での雰囲気中から塗膜に取り込まれる酸素や水分、オゾン、一重項酸素、(IV)真空紫外線照射工程で印加される熱等により基材側からアウトガスとして塗膜中に移動してくる酸素や水分、(V)真空紫外線照射工程が非酸化性雰囲気で行われる場合には、その非酸化性雰囲気から酸化性雰囲気へと移動した際に、その雰囲気から塗膜に取り込まれる酸素や水分、などが酸素源となる。
一方、yについては、Siの酸化よりも窒化が進行する条件は非常に特殊であると考えられるため、基本的には1が上限である。
また、Si、O、Nの結合手の関係から、基本的にはx、yは2x+3y≦4の範囲にある。酸化が完全に進んだy=0の状態においては、塗膜中にシラノール基を含有するようになり、2<x<2.5の範囲となる場合もある。
真空紫外線照射工程でパーヒドロポリシラザンから酸窒化ケイ素、さらには酸化ケイ素が生じると推定される反応機構について、以下に説明する。
(1)脱水素、それに伴うSi−N結合の形成
パーヒドロポリシラザン中のSi−H結合やN−H結合は真空紫外線照射による励起等で比較的容易に切断され、不活性雰囲気下ではSi−Nとして再結合すると考えられる(Siの未結合手が形成される場合もある)。すなわち、酸化することなくSiNy組成として硬化する。この場合はポリマー主鎖の切断は生じない。Si−H結合やN−H結合の切断は触媒の存在や、加熱によって促進される。切断されたHはH2として膜外に放出される。
(2)加水分解・脱水縮合によるSi−O−Si結合の形成
パーヒドロポリシラザン中のSi−N結合は水により加水分解され、ポリマー主鎖が切断されてSi−OHを形成する。二つのSi−OHが脱水縮合してSi−O−Si結合を形成して硬化する。これは大気中でも生じる反応であるが、不活性雰囲気下での真空紫外線照射中では、照射の熱によって基材からアウトガスとして生じる水蒸気が主な水分源となると考えられる。水分が過剰となると脱水縮合しきれないSi−OHが残存し、SiO2.12.3の組成で示されるガスバリアー性の低い硬化膜となる。
(3)一重項酸素による直接酸化、Si−O−Si結合の形成
真空紫外線照射中、雰囲気下に適当量の酸素が存在すると、酸化力の非常に強い一重項酸素が形成される。パーヒドロポリシラザン中のHやNはOと置き換わってSi−O−Si結合を形成して硬化する。ポリマー主鎖の切断により結合の組み換えを生じる場合もあると考えられる。
(4)真空紫外線照射・励起によるSi−N結合切断を伴う酸化
真空紫外線のエネルギーはパーヒドロポリシラザン中のSi−Nの結合エネルギーよりも高いため、Si−N結合は切断され、周囲に酸素、オゾン、水等の酸素源が存在すると酸化されてSi−O−Si結合やSi−O−N結合が生じると考えられる。ポリマー主鎖の切断により結合の組み換えを生じる場合もあると考えられる。
ポリシラザンを含有する層に真空紫外線照射を施した層の酸窒化ケイ素の組成の調整は、上述の(1)〜(4)の酸化機構を適宜組み合わせて酸化状態を制御することで行うことができる。
本発明における真空紫外線照射工程において、ポリシラザン層塗膜が受ける塗膜面での該真空紫外線の照度は30〜200mW/cm2の範囲であることが好ましく、50〜160mW/cm2の範囲であることがより好ましい。30mW/cm2以上では、改質効率が低下する懸念がなく、200mW/cm2以下では、塗膜にアブレーションを生じず、基材にダメージを与えないため好ましい。
ポリシラザン層塗膜面における真空紫外線の照射エネルギー量は、200〜10000mJ/cm2の範囲であることが好ましく、500〜5000mJ/cm2の範囲であることがより好ましい。200mJ/cm2以上では、改質が十分行え、10000mJ/cm2以下では過剰改質にならずクラック発生や、基材の熱変形がない。
真空紫外光源としては、希ガスエキシマランプが好ましく用いられる。Xe、Kr、Ar及びNeなどの希ガスの原子は、化学的に結合して分子を作らないため、不活性ガスと呼ばれる。
しかし、放電などによりエネルギーを得た希ガスの励起原子は他の原子と結合して分子を作ることができる。希ガスがキセノンの場合には、
e+Xe→Xe*
Xe*+2Xe→Xe2*+Xe
Xe2*→Xe+Xe+hν(172nm)
となり、励起されたエキシマ分子であるXe2*が基底状態に遷移するときに172nmのエキシマ光を発光する。
エキシマランプの特徴としては、放射が一つの波長に集中し、必要な光以外がほとんど放射されないので効率が高いことが挙げられる。また、余分な光が放射されないので、対象物の温度を低く保つことができる。さらには始動及び再始動に時間を要さないので、瞬時の点灯点滅が可能である。
エキシマ発光を得るには、誘電体バリアー放電を用いる方法が知られている。誘電体バリアー放電とは、両電極間に透明石英などの誘電体を介してガス空間を配し、電極に数10kHzの高周波高電圧を印加することによりガス空間に生じ、雷に似た非常に細いmicro dischargeと呼ばれる放電であり、micro dischargeのストリーマが管壁(誘導体)に達すると誘電体表面に電荷が溜まるため、micro dischargeは消滅する。
このmicro dischargeが管壁全体に広がり、生成・消滅を繰り返している放電である。このため、肉眼でも確認できる光のチラツキを生じる。また、非常に温度の高いストリーマが局所的に直接管壁に達するため、管壁の劣化を早める可能性もある。
効率よくエキシマ発光を得る方法としては、誘電体バリアー放電以外に、無電極電界放電でも可能である。容量性結合による無電極電界放電で、別名RF放電とも呼ばれる。ランプと電極及びその配置は基本的には誘電体バリアー放電と同じで良いが、両極間に印加される高周波は数MHzで点灯される。無電極電界放電はこのように空間的にまた時間的に一様な放電が得られるため、チラツキが無い長寿命のランプが得られる。
誘電体バリアー放電の場合は、micro dischargeが電極間のみで生じるため、放電空間全体で放電を行わせるには外側の電極は外表面全体を覆い、かつ外部に光を取り出すために光を透過するものでなければならない。
このため、細い金属線を網状にした電極が用いられる。この電極は、光を遮らないようにできるだけ細い線が用いられるため、酸素雰囲気中では真空紫外光により発生するオゾンなどにより損傷しやすい。これを防ぐためには、ランプの周囲、すなわち照射装置内を窒素などの不活性ガスの雰囲気にし、合成石英の窓を設けて照射光を取り出す必要が生じる。合成石英の窓は高価な消耗品であるばかりでなく、光の損失も生じる。
二重円筒型ランプは外径が25mm程度であるため、ランプ軸の直下とランプ側面では照射面までの距離の差が無視できず、照度に大きな差を生じる。したがって、仮にランプを密着して並べても、一様な照度分布が得られない。合成石英の窓を設けた照射装置にすれば、酸素雰囲気中の距離を一様にでき、一様な照度分布が得られる。
無電極電界放電を用いた場合には、外部電極を網状にする必要は無い。ランプ外面の一部に外部電極を設けるだけでグロー放電は放電空間全体に広がる。外部電極には通常アルミのブロックで作られた光の反射板を兼ねた電極がランプ背面に使用される。しかし、ランプの外径は誘電体バリアー放電の場合と同様に大きいため一様な照度分布にするためには合成石英が必要となる。
細管エキシマランプの最大の特徴は、構造がシンプルなことである。石英管の両端を閉じ、内部にエキシマ発光を行うためのガスを封入しているだけである。
細管ランプの管の外径は6nm〜12mm程度で、余り太いと始動に高い電圧が必要になる。
放電の形態は、誘電体バリアー放電及び無電極電界放電のいずれも使用できる。電極の形状はランプに接する面が平面であっても良いが、ランプの曲面に合わせた形状にすればランプをしっかり固定できるとともに、電極がランプに密着することにより放電がより安定する。また、アルミで曲面を鏡面にすれば光の反射板にもなる。
Xeエキシマランプは、波長の短い172nmの紫外線を単一波長で放射することから、発光効率に優れている。この光は、酸素の吸収係数が大きいため、微量な酸素でラジカルな酸素原子種やオゾンを高濃度で発生することができる。
また、波長の短い172nmの光のエネルギーは、有機物の結合を解離させる能力が高いことが知られている。この活性酸素やオゾンと紫外線放射が持つ高いエネルギーによって、短時間でポリシラザン層の改質を実現できる。
したがって、波長185nm、254nmの発する低圧水銀ランプやプラズマ洗浄と比べて高スループットに伴うプロセス時間の短縮や設備面積の縮小、熱によるダメージを受けやすい有機材料やプラスチック基板などへの照射を可能としている。
エキシマランプは光の発生効率が高いため、低い電力の投入で点灯させることが可能である。また、光による温度上昇の要因となる波長の長い光は発せず、紫外線領域で、すなわち短い波長でエネルギーを照射するため、解射対象物の表面温度の上昇が抑えられる特徴を持っている。このため、熱の影響を受けやすいとされるPETなどのフレシキブルフィルム材料に適している。
紫外線照射時の反応には、酸素が必要であるが、真空紫外線は、酸素による吸収があるため紫外線照射工程での効率が低下しやすいことから、真空紫外線の照射は、可能な限り酸素濃度の低い状態で行うことが好ましい。すなわち、真空紫外線照射時の酸素濃度は、10〜10000ppmの範囲とすることが好ましく、より好ましくは50〜5000ppmの範囲、更に好ましく1000〜4500ppmの範囲である。
真空紫外線照射時に用いられる、照射雰囲気を満たすガスとしては乾燥不活性ガスとすることが好ましく、特にコストの観点から乾燥窒素ガスにすることが好ましい。酸素濃度の調整は照射庫内へ導入する酸素ガス、不活性ガスの流量を計測し、流量比を変えることで調整可能である。
<フィルム基板>
透明電極2が形成されるフィルム基板4としては、例えば、下記樹脂フィルム等を挙げることができるが、これらに限定されない。好ましく用いられるフィルム基板4としては、透明樹脂フィルムを挙げることができる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。
[有機エレクトロルミネッセンス素子のその他の構成要素]
<電極>
本発明の有機エレクトロルミネッセンス(有機EL素子)は、下記の陽極と陰極からなる一対の電極に挟持された有機機能層を有する発光ユニットを有する。以下において、当該電極について、詳細な説明をする。
《陽極(透明電極)》
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au、Ag等の金属、CuI、酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide:ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。
また、IDIXO(In23−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度を余り必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
本発明の有機EL素子においては、陽極として、図1に示すような態様の透明電極2を用いることが好ましい。
図1に示すとおり、透明電極2は、フィルム基板4側から、下地層2aと、この上部に成膜された電極層2bとを順に積層した2層構造である。このうち、電極層2bは、銀又は銀を主成分とする合金を用いて構成された層であり、下地層2aは、例えば、窒素原子を含んだ化合物を用いて構成された層である。
なお、透明電極2の透明とは、波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいう。
(1)下地層
下地層2aは、電極層2bのフィルム基板4側に設けられる層である。下地層2aを構成する材料としては、特に限定されるものではなく、銀又は銀を主成分とする合金からなる電極層2bの成膜に際し、銀の凝集を抑制できるものであればよく、例えば、窒素原子や硫黄原子を含んだ化合物等が挙げられる。
下地層2aが、低屈折率材料(屈折率1.7未満)からなる場合、その層厚の上限としては、50nm未満である必要があり、30nm未満であることが好ましく、10nm未満であることがさらに好ましく、5nm未満であることが特に好ましい。層厚を50nm未満とすることにより、光学的ロスを最小限に抑えられる。一方、層厚の下限としては、0.05nm以上が必要であり、0.1nm以上であることが好ましくは、0.3nm以上であることが特に好ましい。層厚を0.05nm以上とすることにより、下地層2aの成膜を均一とし、その効果(銀の凝集抑制)を均一とすることができる。
下地層2aが、高屈折率材料(屈折率1.7以上)からなる場合、その層厚の上限としては特に制限はなく、層厚の下限としては上記低屈折率材料からなる場合と同様である。
ただし、単なる下地層2aの機能としては、均一な成膜が得られる必要層厚で形成されれば十分である。
下地層2aの成膜方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法等のドライプロセスを用いる方法等が挙げられる。中でも、蒸着法が好ましく適用される。
下地層2aを構成する窒素原子を含んだ化合物としては、分子内に窒素原子を含んでいる化合物であれば特に限定されないが、窒素原子をヘテロ原子とした複素環を有する化合物であることが好ましい。窒素原子をヘテロ原子とした複素環としては、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、アゾリジン、アゾール、アジナン、ピリジン、アゼパン、アゼピン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾリン、ピラジン、モルホリン、チアジン、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、カルバゾール、ベンゾ−C−シンノリン、ポルフィリン、クロリン、コリン等が挙げられる。
(2)電極層
電極層2bは、銀又は銀を主成分とした合金を用いて構成された層であって、下地層2a上に成膜された層である。
このような電極層2bの成膜方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法等のウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法等のドライプロセスを用いる方法等が挙げられる。中でも、蒸着法が好ましく適用される。
また、電極層2bは、下地層2a上に成膜されることにより、電極層2b成膜後の高温アニール処理等がなくても十分に導電性を有することを特徴とするが、必要に応じて、成膜後に高温アニール処理等を行ったものであってもよい。
電極層2bを構成する銀(Ag)を主成分とする合金としては、例えば、銀マグネシウム(AgMg)、銀銅(AgCu)、銀パラジウム(AgPd)、銀パラジウム銅(AgPdCu)、銀インジウム(AgIn)等が挙げられる。
以上のような電極層2bは、銀又は銀を主成分とした合金の層が、必要に応じて複数の層に分けて積層された構成であってもよい。
さらに、この電極層2bは、層厚が4〜9nmの範囲内にあることが好ましい。層厚が9nmより薄い場合には、層の吸収成分又は反射成分が少なく、透明電極の透過率が大きくなる。また、層厚が4nmより厚い場合には、層の導電性を十分に確保することができる。
なお、以上のような下地層2aとこの上部に成膜された電極層2bとからなる積層構造の透明電極2は、電極層2bの上部が保護膜で覆われていたり、別の電極層が積層されていてもよい。この場合、透明電極2の光透過性を損なうことのないように、保護膜及び別の電極層が光透過性を有することが好ましい。
また、以上のような構成の透明電極2は、例えば、窒素原子を含んだ化合物を用いて構成された下地層2a上に、銀又は銀を主成分とする合金からなる電極層2bを設けた構成である。これにより、下地層2aの上部に電極層2bを成膜する際には、電極層2bを構成する銀原子が下地層2aを構成する窒素原子を含んだ化合物と相互作用し、銀原子の下地層2a表面においての拡散距離が減少し、銀の凝集が抑えられる。
ここで、一般的に銀を主成分とした電極層2bの成膜においては、核成長型(Volumer−Weber:VW型)で薄膜成長するため、銀粒子が島状に孤立しやすく、層厚が薄いときは導電性を得ることが困難であり、シート抵抗値が高くなる。したがって、導電性を確保するには層厚を厚くする必要があるが、層厚を厚くすると光透過率が下がるため、透明電極としては不適であった。
しかしながら、透明電極2によれば、上述したように下地層2a上において銀の凝集が抑えられるため、銀又は銀を主成分とする合金からなる電極層2bの成膜においては、単層成長型(Frank−van der Merwe:FM型)で薄膜成長するようになる。
また、ここで、透明電極2の透明とは、波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいうが、下地層2aとして用いられる上述した各材料は、銀又は銀を主成分とする合金からなる電極層2bと比較して十分に光透過性の良好な膜である。一方、透明電極2の導電性は、主に、電極層2bによって確保される。したがって、上述のように、銀又は銀を主成分とする合金からなる電極層2bが、より薄い層厚で導電性が確保されたものとなることにより、透明電極2の導電性の向上と光透過性の向上との両立を図ることが可能になる。
《陰極》
陰極(対向電極)6は、発光ユニット3に電子を供給する陰極(カソード)として機能する電極膜である。陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。
このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方が透明又は半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
なお、この有機EL素子100が、陰極(対向電極)6側からも発光光hを取り出すものである場合であれば、上述した導電性材料のうち光透過性の良好な導電性材料を選択して対向電極6を構成すればよい。
<補助電極>
補助電極15は、透明電極2の抵抗を下げる目的で設けるものであって、透明電極2の電極層2bに接して設けられることが好ましい。補助電極15を形成する材料は、金、白金、銀、銅、アルミニウム等の抵抗が低い金属が好ましい。これらの金属は光透過性が低いため、光取り出し面13aからの発光光hの取り出しの影響のない範囲でパターン形成される。
このような補助電極15の形成方法としては、蒸着法、スパッタリング法、印刷法、インクジェット法、エアロゾルジェット法等が挙げられる。補助電極15の線幅は、光を取り出す開口率の観点から50μm以下であることが好ましく、補助電極15の厚さは、導電性の観点から1μ以上であることが好ましい。
<取り出し電極>
取り出し電極16は、透明電極2と外部電源とを電気的に接続するものであって、その材料としては特に限定されるものではなく公知の素材を好適に使用できるが、例えば、3層構造からなるMAM電極(Mo/Al・Nd合金/Mo)等の金属膜を用いることができる。
<発光ユニット>
本発明に係る発光ユニットとは、少なくとも、後述する各種有機化合物を含有する、発光層、正孔輸送層、電子輸送層等の有機機能層を主体として構成される発光体(単位)をいう。当該発光体は、陽極と陰極からなる一対の電極の間に挟持されており、当該陽極から供給される正孔(ホール)と陰極から供給される電子が当該発光体内で再結合することにより発光する。
本発明で用いられる発光ユニット3は、例えば、陽極(アノード)である透明電極2側から順に正孔注入層3a/正孔輸送層3b/発光層3c/電子輸送層3d/電子注入層3eを積層した構成が例示される。以下において、各層について、詳細に説明する。
<発光層>
本発明に用いられる発光層3cには、発光材料としてリン光発光化合物が含有されている。
この発光層3cは、電極又は電子輸送層3dから注入された電子と、正孔輸送層3bから注入された正孔とが再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層3cの層内であっても発光層3cと隣接する層との界面であってもよい。
このような発光層3cとしては、含まれる発光材料が発光要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。また、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。この場合、各発光層3c間には、非発光性の中間層(図示略)を有していることが好ましい。
発光層3cの層厚の総和は1〜100nmの範囲内にあることが好ましく、より低い駆動電圧を得ることができることから1〜30nmの範囲内であることがより好ましい。
なお、発光層3cの層厚の総和とは、発光層3c間に非発光性の中間層が存在する場合には、当該中間層も含む層厚である。
複数層を積層した構成の発光層3cの場合、個々の発光層の層厚としては、1〜50nmの範囲内に調整することが好ましく、さらに好ましくは1〜20nmの範囲内に調整することがより好ましい。積層された複数の発光層が、青、緑、赤のそれぞれの発光色に対応する場合、青、緑、赤の各発光層の層厚の関係については、特に制限はない。
以上のような発光層3cは、後述する発光材料やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜形成方法により成膜して形成することができる。
また、発光層3cは、複数の発光材料を混合してもよく、またリン光発光材料と蛍光発光材料(蛍光ドーパント、蛍光性化合物ともいう)とを同一発光層3c中に混合して用いてもよい。
発光層3cの構成として、ホスト化合物(発光ホスト等ともいう)、発光材料(発光ドーパントともいう)を含有し、発光材料より発光させることが好ましい。
(1)ホスト化合物
発光層3cに含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)におけるリン光発光のリン光量子収率が0.1未満の化合物が好ましい。さらに好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。また、発光層3cに含有される化合物の中で、その層中での体積比が50%以上であることが好ましい。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、又は複数種用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子100を高効率化することができる。また、後述する発光材料を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
用いられるホスト化合物としては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもよい。
公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、発光の長波長化を防ぎ、かつ高Tg(ガラス転移温度)の化合物であることが好ましい。
ここでいうガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS K 7121に準拠した方法により求められる値である。
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物を用いることができる。例えば、特開2010−251675号公報、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等が挙げられる。
(2)発光材料
本発明で用いることのできる発光材料としては、リン光発光性化合物(リン光性化合物、リン光発光材料ともいう。)とケイ光発光性化合物(ケイ光性化合物、ケイ光発光材料ともいう。)が挙げられる。
《リン光発光性化合物》
リン光発光性化合物とは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明においてリン光発光性化合物を用いる場合、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
リン光発光性化合物の発光の原理としては、2種挙げられる。一つは、キャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光発光性化合物に移動させることでリン光発光性化合物からの発光を得るというエネルギー移動型であり、もう一つは、リン光発光性化合物がキャリアトラップとなり、リン光発光性化合物上でキャリアの再結合が起こりリン光発光性化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型である。いずれの場合においても、リン光発光性化合物の励起状態のエネルギーは、ホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件となる。
リン光発光性化合物は、一般的な有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、さらに好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物若しくは白金化合物(白金錯体系化合物)又は希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
本発明においては、少なくとも一つの発光層3cに2種以上のリン光発光性化合物を含有していてもよく、発光層3cにおけるリン光発光性化合物の濃度比が発光層3cの厚さ方向で変化していてもよい。
リン光発光性化合物は、好ましくは発光層3cの総量に対し、0.1体積%以上30体積%未満である。
また、リン光発光性化合物は、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。
本発明に係るリン光発光性化合物の具体例としては、特開2010−251675号公報に記載の化合物を用いることができるが、本発明はこれらに限定されない。
《ケイ光発光性化合物》
ケイ光発光性化合物としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
<注入層:正孔注入層、電子注入層>
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と発光層3cとの間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層3aと電子注入層3eとがある。
注入層は、必要に応じて設けることができる。正孔注入層3aであれば、アノードと発光層3c又は正孔輸送層3bとの間、電子注入層3eであればカソードと発光層3c又は電子輸送層3dとの間に存在させてもよい。
正孔注入層3aは、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン層、酸化バナジウムに代表される酸化物層、アモルファスカーボン層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子層等が挙げられる。
電子注入層3eは、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属層、フッ化カリウムに代表されるアルカリ金属ハライド層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物層、酸化モリブデンに代表される酸化物層等が挙げられる。本発明に係る電子注入層3eはごく薄い膜からなる層であることが望ましく、素材にもよるがその層厚は1nm〜10μmの範囲内であることが好ましい。
<正孔輸送層>
正孔輸送層3bは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層3a、電子阻止層も正孔輸送層3bに含まれる。正孔輸送層3bは単層又は複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD)、2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン、4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン、N−フェニルカルバゾール、さらには、米国特許第5061569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが三つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
さらに、これらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.,Applied Physics Letters,80(2002),p.139に記載されているような、いわゆるp型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層3bは、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することで形成することができる。正孔輸送層3bの層厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmの範囲内である。この正孔輸送層3bは、上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、正孔輸送層3bの材料に不純物をドープしてp性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
このように、正孔輸送層3bのp性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
<電子輸送層>
電子輸送層3dは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層3e、正孔阻止層(図示略)も電子輸送層3dに含まれる。電子輸送層3dは単層構造又は複数層の積層構造として設けることができる。
単層構造の電子輸送層3d及び積層構造の電子輸送層3dにおいて、発光層3cに隣接する層部分を構成する電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、カソードより注入された電子を発光層3cに伝達する機能を有していればよい。このような材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン、アントロン誘導体及びオキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送層3dの材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送層3dの材料として用いることができる。
その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送層3dの材料として好ましく用いることができる。また、発光層3cの材料としても用いられるジスチリルピラジン誘導体も電子輸送層3dの材料として用いることができるし、正孔注入層3a、正孔輸送層3bと同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送層3dの材料として用いることができる。
電子輸送層3dは、上記材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層3dの層厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmの範囲内である。電子輸送層3dは上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、電子輸送層3dに不純物をドープし、n性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。さらに、電子輸送層3dには、カリウムやカリウム化合物などを含有させることが好ましい。カリウム化合物としては、例えば、フッ化カリウム等を用いることができる。このように電子輸送層3dのn性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができる。
また、電子輸送層3dの材料(電子輸送性化合物)として、上述した下地層2aを構成する材料と同様のものを用いてもよい。これは、電子注入層3eを兼ねた電子輸送層3dであっても同様であり、上述した下地層2aを構成する材料と同様のものを用いてもよい。
<阻止層:正孔阻止層、電子阻止層>
阻止層は、上記のように、有機化合物薄膜の基本構成層の他に、必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは、広い意味では、電子輸送層3dの機能を有する。正孔阻止層は、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、電子輸送層3dの構成を必要に応じて、正孔阻止層として用いることができる。正孔阻止層は、発光層3cに隣接して設けられていることが好ましい。
一方、電子阻止層とは、広い意味では、正孔輸送層3bの機能を有する。電子阻止層は、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、正孔輸送層3bの構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。正孔阻止層の層厚としては、好ましくは3〜100nmの範囲内であり、さらに好ましくは5〜30nmの範囲内である。
<封止材>
封止材17は、有機EL素子100を覆うものであって、板状(フィルム状)の封止部材で接着剤19によってフィルム基板4側に固定されるものであってもよく、また、封止膜であってもよい。このような封止材17は、有機EL素子100における透明電極2及び対向電極6の端子部分を露出させ、少なくとも発光ユニット3を覆う状態で設けられている。また、封止材17に電極を設け、有機EL素子100の透明電極2及び対向電極6の端子部分と、この電極とを導通させるように構成されていてもよい。
板状(フィルム状)の封止材17としては、具体的には、ガラス基板、ポリマー基板、金属基板等が挙げられ、これらの基板材料をさらに薄型のフィルム状にして用いてもよい。ガラス基板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー基板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属基板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブデン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる1種以上の金属又は合金からなるものが挙げられる。
中でも、素子を薄膜化できるということから、封止材としてポリマー基板や金属基板を薄型のフィルム状にしたものを好ましく使用することができる。
さらには、フィルム状としたポリマー基板は、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10-3ml/m2・24h・atm以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10-3g/m2・24h以下のものであることが好ましい。
また、以上のような基板材料は、凹板状に加工して封止材17として用いてもよい。この場合、上述した基板部材に対して、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等の加工が施され、凹状が形成される。
また、このような板状の封止材17をフィルム基板4側に固定するための接着剤19は、封止材17とフィルム基板4との間に挟持された有機EL素子100を封止するためのシール剤として用いられる。このような接着剤19は、具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。
また、このような接着剤19としては、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
なお、有機EL素子100を構成する有機材料は、熱処理により劣化する場合がある。このため、接着剤19は、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、接着剤19中に乾燥剤を分散させておいてもよい。
封止材17とフィルム基板4との接着部分への接着剤19の塗布は、市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また、板状の封止材17とフィルム基板4と接着剤19との間に隙間が形成される場合、この間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、ヨウ化バリウム、ヨウ化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
一方、封止材17として封止膜を用いる場合、有機EL素子100における発光ユニット3を完全に覆い、かつ有機EL素子100における透明電極2及び対向電極6の端子部分を露出させる状態で、フィルム基板4上に封止膜が設けられる。
このような封止膜は、無機材料や有機材料を用いて構成される。特に、水分や酸素等、有機EL素子100における発光ユニット3の劣化をもたらす物質の浸入を抑制する機能を有する材料で構成されることとする。このような材料として、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等の無機材料が用いられる。さらに、封止膜の脆弱性を改良するために、これら無機材料からなる膜とともに、有機材料からなる膜を用いて積層構造としてもよい。
これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
<保護膜、保護板>
なお、ここでの図示は省略したが、フィルム基板4との間に有機EL素子100及び封止材17を挟んで保護膜若しくは保護板を設けてもよい。この保護膜若しくは保護板は、有機EL素子100を機械的に保護するためのものであり、特に封止材17が封止膜である場合には、有機EL素子100に対する機械的な保護が十分ではないため、このような保護膜若しくは保護板を設けることが好ましい。
以上のような保護膜若しくは保護板は、ガラス板、ポリマー板、これよりも薄型のポリマーフィルム、金属板、これよりも薄型の金属フィルム、又はポリマー材料膜や金属材料膜が適用される。このうち、特に、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
<有機EL素子の製造方法>
ここでは、一例として、図1に示す有機EL素子100の製造方法を説明する。
まず、フィルム基板4上に、平均粒子径0.2μm以上の粒子が分散された樹脂材料溶液を塗布し、光散乱層7を形成する。次に、光散乱層7上に、平均粒子径5〜70nmの範囲内の粒子が分散された樹脂材料溶液を塗布し、平滑層1を作製する。
次に、平滑層1上に、例えば、窒素原子を含んだ化合物からなる下地層2aを、1μm以下、好ましくは10〜100nmの範囲内の層厚になるように蒸着法等の適宜の方法により形成する。
次に、銀(又は銀を主成分とする合金)からなる電極層2bを、12nm以下、好ましくは4〜9nmの層厚になるように、蒸着法等の適宜の方法により下地層2a上に形成し、アノードとなる透明電極2を作製する。同時に、透明電極2端部に、外部電源と接続される取り出し電極16を蒸着法等の適宜の方法に形成する。
次に、この上に、正孔注入層3a、正孔輸送層3b、発光層3c、電子輸送層3d、電子注入層3eの順に成膜し、発光ユニット3を形成する。これらの各層の成膜は、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、印刷法等があるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法又はスピンコート法が特に好ましい。さらに層ごとに異なる成膜法を適用してもよい。これらの各層の成膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度1×10-6〜1×10-2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、層厚0.1〜5μmの範囲内で、各条件を適宜選択することが望ましい。
以上のようにして発光ユニット3を形成した後、この上部に陰極(カソード)となる対向電極6を、蒸着法やスパッタ法などの適宜の成膜法によって形成する。この際、対向電極6は、発光ユニット3によって透明電極2に対して絶縁状態を保ちつつ、発光ユニット3の上方からフィルム基板4の周縁に端子部分を引き出した形状にパターン形成する。これにより、有機EL素子100が得られる。また、その後には、有機EL素子100における透明電極2(取り出し電極16)及び対向電極6の端子部分を露出させた状態で、少なくとも発光ユニット3を覆う封止材17を設ける。
以上により、フィルム基板4上に所望の有機EL素子100が得られる。このような有機EL素子100の作製においては、一回の真空引きで一貫して発光ユニット3から対向電極6まで作製するのが好ましいが、途中で真空雰囲気からフィルム基板4を取り出して異なる成膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
このようにして得られた有機EL素子100に直流電圧を印加する場合には、アノードである透明電極2を+の極性とし、カソードである対向電極6を−の極性として、電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また、交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
<有機EL素子の効果>
以上説明した本発明の有機EL素子100の好ましい態様は、導電性と光透過性とを兼ね備えた透明電極2とフィルム基板4との間に、ガスバリアー層5、光散乱層7及び平滑層1を設けた構成である。これにより、透明電極2とフィルム基板4との間の全反射ロスを低減し、発光効率を向上させることができる。
また、有機EL素子100は、透明電極2を陽極(アノード)として用い、この上部に発光ユニット3と陰極(カソード)となる対向電極6とを設けた構成である。このため、透明電極2と対向電極6との間に十分な電圧を印加して有機EL素子100での高輝度発光を実現しつつ、透明電極2側からの発光光hの取り出し効率が向上することによる高輝度化を図ることが可能である。さらに、所定輝度を得るための駆動電圧の低減による発光寿命の向上を図ることも可能になる。
<有機EL素子の用途>
上述した各構成の有機EL素子100は、上述したように面発光体であるため各種の発光光源として用いることができる。例えば、家庭用照明や車内照明などの照明装置、時計や液晶用のバックライト、看板広告用照明、信号機の光源、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定するものではなく、特にカラーフィルターと組み合わせた液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
また、本発明の有機EL素子100は、照明用や露光光源のような1種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。この場合、近年の照明装置及びディスプレイの大型化にともない、有機EL素子100を設けた発光パネル同士を平面的に接合する、いわゆるタイリングによって発光面を大面積化してもよい。
動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。また、異なる発光色を有する本発明の有機EL素子100を2種以上使用することにより、カラー又はフルカラー表示装置を作製することが可能である。
以下では、用途の一例として照明装置について説明し、次にタイリングによって発光面を大面積化した照明装置について説明する。
<照明装置>
本発明の有機EL素子100は、照明装置に応用することができる。
本発明の有機EL素子100を用いる照明装置は、上述した構成の各有機EL素子に共振器構造を持たせた設計としてもよい。共振器構造として構成された有機EL素子100の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより、上記用途に使用してもよい。
なお、本発明の有機EL素子100に用いられる材料は、実質的に白色の発光を生じる有機EL素子(白色有機EL素子ともいう)に適用できる。例えば、複数の発光材料により複数の発光色を同時に発光させて混色により白色発光を得ることもできる。複数の発光色の組み合わせとしては、赤色、緑色、青色の3原色の三つの発光極大波長を含有させたものでもよいし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した二つの発光極大波長を含有したものでもよい。
また、複数の発光色を得るための発光材料の組み合わせは、複数のリン光又は蛍光で発光する材料を複数組み合わせたもの、蛍光又はリン光で発光する発光材料と、発光材料からの光を励起光として発光する色素材料との組み合わせたもののいずれでもよいが、白色有機EL素子においては、発光ドーパントを複数組み合わせて混合したものでもよい。
このような白色有機EL素子は、各色発光の有機EL素子をアレー状に個別に並列配置して白色発光を得る構成と異なり、有機EL素子自体が白色を発光する。このため、素子を構成するほとんどの層の成膜にマスクを必要とせず、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で成膜することができ、生産性も向上する。
また、このような白色有機EL素子の発光層に用いる発光材料としては、特に制限はなく、例えば、液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルター)特性に対応した波長範囲に適合するように、上記した金属錯体や公知の発光材料の中から任意のものを選択して組み合わせて白色化すればよい。
以上に説明した白色有機EL素子を用いれば、実質的に白色の発光を生じる照明装置を作製することが可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
また、平滑層1の平均屈折率は、単独の素材で形成されている場合は、単独の素材の屈折率であり、混合系の場合は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率である。光散乱層7のバインダー屈折率は、単独の素材で形成されている場合は、単独の素材の屈折率であり、混合系の場合は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率である。光散乱層7の粒子屈折率についても同様に、単独の素材で形成されている場合は、単独の素材の屈折率であり、混合系の場合は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率である。光散乱層7の平均屈折率は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率である。
また、表中の「総厚」は、平滑層1と光散乱層7の合計の厚さを表している。また、表中の「光散乱層」の「粒子径」は、光散乱層で用いた粒子の平均粒子径を表し、複数用いて作製した場合は、平均粒子径が大きい方の粒子の平均粒子径を示している。
[実施例1]
[発光パネルNo.1:比較例]
《試料の作製》
(1)フィルム基板及びガスバリアー層の作製
(1−1)フィルム基板
フィルム基板として、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(PENフィルム、厚さ:100μm、幅:350mm、帝人デュポンフィルム(株)製、商品名「テオネックスQ65FA」)を用いた。
(1−2)下地層の作製
フィルム基板の易接着面に、JSR株式会社製 UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR Z7501を塗布、乾燥後の層厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、乾燥条件;80℃、3分で乾燥後、空気雰囲気下、高圧水銀ランプ使用、硬化条件;1.0J/cm2で硬化を行い、下地層(「プライマー層」ともいう。)を形成した。
このときの表面粗さを表す最大断面高さRa(p)は5nmであった。
なお、表面粗さ(算術平均粗さRa)は、AFM(原子間力顕微鏡 Atomic Force Microscope:Digital Instruments社製)を用い、極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が30μmの区間内を3回測定し、微細な凹凸の振幅に関する平均の粗さから求めた。
(1−3)第1ガスバリアー層の作製
フィルム基板をCVD装置に装着して、下記の製膜条件(プラズマCVD条件)にてフィルム基板4上に、図5に示す各元素プロファイルとなるように第1ガスバリアー層を300nmの厚さで作製した。
当該第1ガスバリアー層は以下の性質を満たしていた。
(i)ケイ素原子比率、酸素原子比率及び炭素原子比率が、前記第1ガスバリアー層の表面から層厚方向の90%以上の距離領域において、下記序列の大小関係を有する。
(炭素原子比率)<(ケイ素原子比率)<(酸素原子比率)
(ii)炭素分布曲線が少なくとも二つの極値を有する。
(iii)炭素分布曲線における炭素原子比率の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上である。
(iv)酸素分布曲線において、フィルム基板側の第1ガスバリアー層表面に最も近い酸素分布曲線の極大値が、当該ガスバリアー層内の酸素分布曲線の極大値の中で最大値をとる。
〈製膜条件〉
原料ガス(ヘキサメチルジシシロザン(HMDSO、(CH36SiO))の供給量:50sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O2)の供給量:500sccm
真空チャンバー内の真空度:3Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:80kHz
フィルムの搬送速度:0.5〜1.66m/min
(1−4)第2ガスバリアー層の作製
パーヒドロポリシラザン(アクアミカ NN120−10、無触媒タイプ、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製)の10質量%ジブチルエーテル溶液を塗布液とした。
上記塗布液を、ワイヤーバーにて、乾燥後の(平均)層厚が300nmとなるように塗布し、温度85℃、湿度55%RHの雰囲気下で1分間処理して乾燥させ、更に温度25℃、湿度10%RH(露点温度−8℃)の雰囲気下に10分間保持し、除湿処理を行って、第2ガスバリアー層を形成した。
次いで、上記形成したポリシラザン層に対し、下記紫外線装置を用いて、大気圧下でシリカ転化処理を実施した。
〈紫外線照射装置〉
装置:株式会社 エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200
照射波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
〈改質処理条件〉
稼動ステージ上に固定したポリシラザン層を形成した基材に対し、以下の条件で改質処理を行って、ガスバリアー層を形成した。
エキシマランプ光強度:130mW/cm2(172nm)
試料と光源の距離:1mm
ステージ加熱温度:70℃
照射装置内の酸素濃度:1.0%
エキシマランプ照射時間:5秒
これら第1のガスバリアー層と第2のガスバリアー層のそれぞれの構成元素の組成又は分布状態は相違していた。
(2)光散乱層及び平滑層の作製
(2−1)光散乱層の作製
基板として、(1)で得られたフィルム基板を50×50mmに切り出し、超純水洗浄、クリーンドライヤーで乾燥したものを用いた。
次いで、光散乱層調液として、屈折率(np)2.4、平均粒子径0.25μmのTiO2粒子(テイカ(株)製 JR600A)と樹脂溶液(APM社製 ED230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))との固形分比率が30vol%/70vol%、n−プロピルアセテートとシクロヘキサノンとの溶媒比が10質量%/90質量%、固形分濃度が15質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
具体的には、上記TiO2粒子と溶剤とを混合し、常温で冷却しながら、超音波分散機(エスエムテー社製 UH−50)に、マイクロチップステップ(エスエムテー社製 MS−3 3mmφ)の標準条件で10分間分散し、TiO2の分散液を調製した。
次いで、TiO2分散液を100rpmで撹拌しながら、前記樹脂溶液を少量ずつ混合添加し、添加完了後、500rpmまで撹拌速度を上げ、10分間混合し、光散乱層塗布液を得た。
その後、疎水性PVDF 0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の分散液を得た。
上記分散液をスピン塗布(500rpm、30秒)にてフィルム基板上に回転塗布した後、簡易乾燥(80℃、2分)し、さらに、加熱(120℃、60分)して、層厚0.5μmの光散乱層を形成した。光散乱層のバインダー(樹脂)の屈折率nbは、1.5、粒子屈折率npは2.4、平均屈折率nsは、1.77であった。
なお、発光パネル1においては、平滑層1の作製は行わなかった。
(3)陽極(透明電極)の作製
上記(2)の工程で得られたフィルム基板を、幅20mm×50mmの開口部があるマスクと重ねて市販のスパッタ装置の基板ホルダーに固定し、真空槽を4×10-4Paまで減圧した。次に基板を第一真空層へ移動し、Arガスを導入し、RF−100Wで30秒間表面処理を行った。
次に、処理した基板を真空のままインジウムスズ酸化物(ITO)ターゲットが設置されている第2真空槽に移し、第2真空槽を4×10-4Paまで減圧した後、DC−500Wで130秒間蒸着し、ITOを成膜した。このようにして、20×50mmのパターンのITOからなる透明電極を作製した。
(4)発光パネルの作製
以下、図7を参照して、作製手順を説明する。上記(3)で作製した透明電極を陽極(アノード)として用い、かつ当該陽極上に発光ユニットを設けて、有機EL素子400を作製した。そして、当該有機EL素子400に封止材17を接着させて発光パネル700を作製した。なお、図7に示す有機EL素子400においては、図1に示す有機EL素子100と略同様であり、異なる点を以下に説明する。
(4−1)発光パネルの作製
まず、(3)で作製した透明電極等が設けられたフィルム基板4を、中央部に幅30mm×30mmの開口部があるマスクと重ねて市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。また真空蒸着装置内の加熱ボートの各々に、発光ユニット3を構成する各材料を、それぞれの層の成膜に最適な量で充填した。なお、加熱ボートはタングステン製抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
次いで、真空蒸着装置の蒸着室内を真空度4×10-4Paまで減圧し、各材料が入った加熱ボートを順次通電して加熱することにより、以下のように各層を成膜した。
まず、正孔輸送注入材料として下記構造式に示すα−NPDが入った加熱ボートに通電して加熱し、α−NPDよりなる正孔注入層と正孔輸送層とを兼ねた正孔輸送注入層を、透明電極2上に成膜した。この際、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒、層厚20nmとした。
Figure 2014126037
次に、上記構造式に示すホスト材料H−1の入った加熱ボートと、上記構造式に示すリン光発光性化合物Ir−1の入った加熱ボートとを、それぞれ独立に通電し、ホスト材料H−1とリン光発光性化合物Ir−1とよりなる発光層3cを、正孔輸送注入層3f上に成膜した。この際、蒸着速度がホスト材料H−1:リン光発光性化合物Ir−1=100:6となるように、加熱ボートの通電を調節した。また層厚30nmとした。
次いで、正孔阻止材料として下記構造式に示すBAlqが入った加熱ボートに通電して加熱し、BAlqよりなる正孔阻止層3gを、発光層3c上に成膜した。この際、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒、層厚10nmとした。
その後、電子輸送材料として上記構造式に示すD−1の入った加熱ボートと、フッ化カリウムの入った加熱ボートとを、それぞれ独立に通電し、D−1とフッ化カリウムとよりなる電子輸送層3dを、正孔阻止層3g上に成膜した。この際、蒸着速度がD−1:フッ化カリウム=75:25になるように、加熱ボートの通電を調節した。また層厚30nmとした。
次に、電子注入材料としてフッ化カリウムの入った加熱ボートに通電して加熱し、フッ化カリウムよりなる電子注入層3eを、電子輸送層3d上に成膜した。この際、蒸着速度0.01〜0.02nm/秒、層厚1nmとした。
その後、電子注入層3eまで成膜したフィルム基板4を、アルミニウム(Al)を入れたタングステン製の抵抗加熱ボートが取り付けられた第2真空槽へ真空状態を保持したまま移送した。アノードと直交するように配置された幅20mm×50mmの開口部があるマスクと重ねて固定した。次いで、処理室内において、成膜速度0.3〜0.5nm/秒で、層厚100nmのAlからなる反射性の対向電極6をカソードとして成膜した。
その後、有機EL素子400を、大きさ40×40mm、厚さ700μm、中央部34×34mmを深さ350μmのガラス基板からなる封止材17で覆い、有機EL素子400を囲む状態で、封止材17とフィルム基板4との間に接着剤19(シール材)を充填した。接着剤19としては、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を用いた。封止材17とフィルム基板4との間に充填した接着剤19に対して、ガラス基板(封止材17)側からUV光を照射し、接着剤19を硬化させて有機EL素子400を封止した。
なお、有機EL素子400の形成においては、各層の形成に蒸着マスクを使用し、5cm×5cmのフィルム基板4における中央の2.0cm×2.0cmを発光領域Aとし、発光領域Aの全周に幅1.5cmの非発光領域Bを設けた。また、陽極(アノード)である透明電極2と陰極(カソード)である対向電極6とは、正孔注入層3a〜電子注入層3eまでの発光ユニット3によって絶縁された状態で、フィルム基板4の周縁に端子部分を引き出された形状で形成した。
以上のようにして、図7において、フィルム基板4上に有機EL素子400を設け、これを封止材17と接着剤19とで封止した発光パネル700(発光パネルNo.1)を作製した。
[発光パネルNo.2:比較例]
(1)フィルム基板及びガスバリアー層の作製
発光パネルNo.2については、発光パネルNo.1と同様のフィルム基板を用いて、上記(1−1)〜(1−3)までの作製工程を同様に行った。
(1−4)第2ガスバリアー層の作製
パーヒドロポリシラザン(アクアミカ NN120−10、無触媒タイプ、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製)の10質量%ジブチルエーテル溶液を、塗布液として、ワイヤーバーにて、乾燥後の(平均)層厚が300nmとなるように塗布し、温度85℃、湿度55%RHの雰囲気下で1分間処理して乾燥させ、更に温度25℃、湿度10%RH(露点温度−8℃)の雰囲気下に10分間保持し、除湿処理を行って、ポリシラザン層を形成した。
次いで、上記形成したポリシラザン層に対し、下記紫外線装置を真空チャンバー内に設置して、装置内の圧力を表1に示している値に調整して、シリカ転化処理を実施した。
〈紫外線照射装置〉
装置:株式会社 エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200
照射波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
〈改質処理条件〉
可動ステージ上に固定したポリシラザン層を形成したフィルム基板に対し、以下の条件で改質処理を行って、第2ガスバリアー層を形成した。
エキシマランプ光強度:130mW/cm2(172nm)
試料と光源の距離:1mm
ステージ加熱温度:70℃
照射装置内の酸素濃度:1.0%
エキシマランプ照射時間:5秒
これら第1のガスバリアー層と第2のガスバリアー層のそれぞれの構成元素の組成又は分布状態は相違していた。
発光パネルNo.2については、発光パネルNo.1の上記(2)の光散乱層を作製する工程は行わず、前記(3)〜(5)の工程については発光パネルNo.1と同様に行って、発光パネルを作製した。
[発光パネルNo.3:実施例]
(1)フィルム基板及びガスバリアー層の作製
発光パネルNo.3については、発光パネルNo.2と同様のフィルム基板を用いて、発光パネルNo.2の(1−1)〜(1−4)の処理を同様に行った。
(2)光散乱層及び平滑層の作製
(2−1)光散乱層の作製
発光パネルNo.3については、発光パネルNo.2と同様に(2−1)の処理は行わず、光散乱層を作製しなかった。
(2−2)平滑層の作製
次いで、平滑層調液として、樹脂溶液(APM社製 ED230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))を、溶媒比が20質量%/30質量%/50質量%のn−プロピルアセテートとシクロヘキサノンとトルエンに固形分濃度20質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
具体的には、溶媒を100rpmで撹拌しながら、樹脂を少量ずつ混合添加し、添加完了後、500rpmまで撹拌速度を上げ、10分間混合し、平滑層塗布液を得た。
その後、疎水性PVDF 0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の分散液を得た。
上記分散液をスピン塗布(500rpm、30秒)にて光散乱層上に回転塗布した後、簡易乾燥(80℃、2分)し、さらに、加熱(120℃、30分)して、層厚0.7μmの平滑層を形成した。
なお、平滑層の平均屈折率nfは、25℃の雰囲気下で、発光ユニットからの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長の光線を照射し、アッベ屈折率計(ATAGO社製、DR−M2)を用いて測定し、1.5であった。
また、表面粗さ(算術平均粗さRa)を測定したところ、Ra=5nmであった。
なお、表面粗さ(算術平均粗さRa)は、前記下地層と同様に、AFM(原子間力顕微鏡 Atomic Force Microscope:Digital Instruments社製)を用い、極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が30μmの区間内を3回測定し、微細な凹凸の振幅に関する平均の粗さから求めた。以下の発光パネルにおいては全て同様に表面粗さ(算術平均粗さRa)を求めた。
発光パネルNo.3については、発光パネルNo.1の上記(3)〜(5)の処理と同様に行って、発光パネルを作製した。
[発光パネルNo.4:実施例]
(1)フィルム基板及びガスバリアー層の作製
発光パネルNo.4については、発光パネルNo.2と同様のフィルム基板を用いて、発光パネルNo.2の(1−1)〜(1−4)の作製工程を同様に行った。
(2)光散乱層及び平滑層の作製
(2−1)光散乱層の作製
基板として、(1)で得られたフィルム基板を50mm×50mmに切り出し、超純水洗浄、クリーンドライヤーで乾燥したものを用いた。
次いで、光散乱層調液として、屈折率(np)2.4、平均粒子径0.5μmのTiO2粒子(テイカ(株)製 JR600A)と樹脂溶液(APM社製 ED230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))との固形分比率が30vol%/70vol%、n−プロピルアセテートとシクロヘキサノンとの溶媒比が10質量%/90質量%、固形分濃度が9質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
具体的には、上記TiO2粒子と溶剤とを混合し、常温で冷却しながら、超音波分散機(エスエムテー社製 UH−50)に、マイクロチップステップ(エスエムテー社製 MS−3 3mmφ)の標準条件で10分間分散を加え、TiO2の分散液を作製した。
次いで、TiO2分散液を100rpmで撹拌しながら、樹脂を少量ずつ混合添加し、添加完了後、500rpmまで撹拌速度を上げ、10分間混合し、光散乱層塗布液を得た。
その後、疎水性PVDF 0.75μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の分散液を得た。
上記分散液をスピン塗布(500rpm、30秒)にてフィルム基板上に回転塗布した後、簡易乾燥(80℃、2分)し、さらに、加熱(120℃、60分)して、層厚0.3μmの光散乱層を形成した。光散乱層のバインダー(樹脂)の屈折率nbは、1.5、粒子屈折率npは2.4、平均屈折率nsは、1.77であった。
(2−2)平滑層の作製
次いで、平滑層調液として、樹脂溶液(APM社製 ED230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))を、溶媒比が20質量%/30質量%/50質量%のn−プロピルアセテートとシクロヘキサノンとトルエンに固形分濃度9質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
具体的には、溶媒を100rpmで撹拌しながら、樹脂を少量ずつ混合添加し、添加完了後、500rpmまで撹拌速度を上げ、10分間混合し、平滑層塗布液を得た。
その後、疎水性PVDF 0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の分散液を得た。
上記分散液をスピン塗布(500rpm、30秒)にて光散乱層上に回転塗布した後、簡易乾燥(80℃、2分)し、さらに、加熱(120℃、30分)して、層厚0.3μmの平滑層を形成した。
なお、平滑層の平均屈折率nfは、25℃の雰囲気下で、発光ユニットからの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長の光線を照射し、アッベ屈折率計(ATAGO社製、DR−M2)を用いて測定し、1.5であった。
また、表面粗さ(算術平均粗さRa)を測定したところ、Ra=100nmであった。
発光パネルNo.4については、発光パネルNo.1の上記(3)〜(5)の作製工程と同様に行って、発光パネルを作製した。
[発光パネルNo.5:実施例]
(1)フィルム基板及びガスバリアー層の作製
発光パネルNo.5については、発光パネルNo.2と同様のフィルム基板を用いて、発光パネルNo.2の(1−1)〜(1−4)の作製工程を同様に行った。
(2)光散乱層及び平滑層の作製
(2−1)光散乱層の作製
発光パネルNo.5については、発光パネルNo.1と同様に(2−1)の処理を行って、層厚0.5μmの光散乱層を形成した。光散乱層のバインダー(樹脂)の屈折率nbは、1.5、粒子屈折率npは2.4、平均屈折率nsは、1.77であった。
(2−2)平滑層の作製
発光パネルNo.5については、発光パネルNo.3と同様に(2−2)の処理を行って、層厚0.7μmの平滑層を形成した。
なお、平滑層の平均屈折率nfは、25℃の雰囲気下で、発光ユニットからの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長の光線を照射し、アッベ屈折率計(ATAGO社製、DR−M2)を用いて測定し、1.5であった。
また、表面粗さ(算術平均粗さRa)を測定したところ、Ra=5nmであった。
発光パネルNo.5については、発光パネルNo.1の上記(3)〜(5)の作製工程と同様に行って、発光パネルを作製した。
[発光パネルNo.6:実施例]
(1)フィルム基板及びガスバリアー層の作製
発光パネルNo.6については、発光パネルNo.2と同様のフィルム基板を用いて、発光パネルNo.2の(1−1)〜(1−4)の作製工程を同様に行った。
(2)光散乱層及び平滑層の作製
(2−1)光散乱層の作製
基板として、(1)で得られたフィルム基板を50mm×50mmに切り出し、超純水洗浄、クリーンドライヤーで乾燥したものを用いた。
次いで、光散乱層調液として、平均粒子径0.02μmのナノTiO2分散液(テイカ(株)製 HDT−760T)と樹脂溶液(APM社製 ED230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))との固形分比率が34vol%/66vol%で調整した溶液と、屈折率1.5、平均粒子径0.1μmのSiO2粒子(堺化学工業社製 Sciqas)と樹脂溶液(APM社製 ED230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))とを加え、固形分比率が10vol%/90vol%、n−プロピルアセテートとシクロヘキサノンとの溶媒比が10質量%/90質量%、固形分濃度が15質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
具体的には、上記TiO2粒子と溶剤とを混合し、常温で冷却しながら、超音波分散機(エスエムテー社製 UH−50)に、マイクロチップステップ(エスエムテー社製 MS−3 3mmφ)の標準条件で10分間分散し、TiO2の分散液を調製した。
次いで、TiO2分散液を100rpmで撹拌しながら、前記樹脂溶液を少量ずつ混合添加し、添加完了後、500rpmまで撹拌速度を上げ、10分間混合し、光散乱層塗布液を得た。
その後、疎水性PVDF 0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の分散液を得た。
上記分散液をスピン塗布(500rpm、30秒)にてフィルム基板上に回転塗布した後、簡易乾燥(80℃、2分)し、さらに加熱(120℃、60分)して、層厚0.5μmの光散乱層を形成した。光散乱層のバインダー(樹脂)の屈折率nbは、1.8、粒子屈折率npは1.5、平均屈折率nsは、1.77であった。
(2−2)平滑層の作製
次いで、平滑層調液として、平均粒子径0.02μmのナノTiO2分散液(テイカ(株)製 HDT−760T)と樹脂溶液(APM社製 ED230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))との固形分比率が39vol%/61vol%、n−プロピルアセテートとシクロヘキサノンとトルエンとの溶媒比が20質量%/30質量%/50質量%、固形分濃度が20質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
具体的には、上記ナノTiO2分散液と溶剤を混合し、100rpmで撹拌しながら、樹脂を少量ずつ混合添加し、添加完了後、500rpmまで撹拌速度を上げ、10分間混合し、平滑層塗布液を得た。
その後、疎水性PVDF 0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の分散液を得た。
上記分散液をスピン塗布(500rpm、30秒)にて光散乱層上に回転塗布した後、簡易乾燥(80℃、2分)し、さらに、加熱(120℃、30分)して、層厚0.7μmの平滑層を形成した。
なお、平滑層の屈折率nfは、25℃の雰囲気下で、発光ユニットからの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長の光線を照射し、アッベ屈折率計(ATAGO社製、DR−M2)を用いて測定し、1.85であった。
また、表面粗さ(算術平均粗さRa)を測定したところ、Ra=5nmであった。
発光パネルNo.6については、発光パネルNo.1の上記(3)〜(5)の工程と同様に行って、発光パネルを作製した。
[発光パネルNo.7:実施例]
(1)フィルム基板及びガスバリアー層の作製
発光パネルNo.7については、発光パネルNo.2と同様のフィルム基板を用いて、発光パネルNo.2の(1−1)〜(1−4)の処理を同様に行った。
(2)光散乱層及び平滑層の作製
(2−1)光散乱層の作製
基板として、(1)で得られたフィルム基板を50mm×50mmに切り出し、超純水洗浄、クリーンドライヤーで乾燥したものを用いた。
次いで、光散乱層調液として、平均粒子径0.02μmのナノTiO2分散液(テイカ(株)製 HDT−760T)と樹脂溶液(APM社製 ED230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))との固形分比率が22vol%/78vol%で調整した溶液と、屈折率(np)2.4、平均粒子径0.25μmのTiO2粒子(テイカ(株)製 JR600A)と樹脂溶液(APM社製 ED230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))とを加え、固形分比率が10vol%/90vol%、n−プロピルアセテートとシクロヘキサノンとの溶媒比が10質量%/90質量%、固形分濃度が15質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
具体的には、上記TiO2粒子と溶剤とを混合し、常温で冷却しながら、超音波分散機(エスエムテー社製 UH−50)に、マイクロチップステップ(エスエムテー社製 MS−3 3mmφ)の標準条件で10分間分散し、TiO2の分散液を調製した。
次いで、TiO2分散液を100rpmで撹拌しながら、樹脂を少量ずつ混合添加し、添加完了後、500rpmまで撹拌速度を上げ、10分間混合し、光散乱層塗布液を得た。
その後、疎水性PVDF 0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の分散液を得た。
上記分散液をスピン塗布(500rpm、30秒)にてフィルム基板上に回転塗布した後、簡易乾燥(80℃、2分)し、さらに、加熱(120℃、60分)して、層厚0.5μmの光散乱層を形成した。光散乱層のバインダー(樹脂)の屈折率nbは、1.7、粒子屈折率npは2.4、平均屈折率nsは、1.77であった。
(2−2)平滑層の作製
発光パネルNo.7については、発光パネルNo.6の上記(2−2)の工程と同様に行って、層厚0.7μmの平滑層を形成した。
なお、平滑層の屈折率nfは、25℃の雰囲気下で、発光ユニットからの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長の光線を照射し、アッベ屈折率計(ATAGO社製、DR−M2)を用いて測定し、1.85であった。
また、表面粗さ(算術平均粗さRa)を測定したところ、Ra=5nmであった。
発光パネルNo.7については、発光パネルNo.1の上記(3)〜(5)の工程と同様に行って、発光パネルを作製した。
[発光パネルNo.8:実施例]
(1)フィルム基板及びガスバリアー層の作製
発光パネルNo.8については、発光パネルNo.2と同様のフィルム基板を用いて、発光パネルNo.2の(1−1)〜(1−4)の作製工程を同様に行った。
(2)光散乱層及び平滑層の作製
(2−1)光散乱層の作製
発光パネルNo.8については、発光パネルNo.1と同様に(2−1)の作製工程を行って、層厚0.5μmの光散乱層を形成した。光散乱層のバインダー(樹脂)の屈折率nbは、1.5、粒子屈折率npは2.4、平均屈折率nsは、1.77であった。
(2−2)平滑層の作製
発光パネルNo.8については、発光パネルNo.6の上記(2−2)の作製工程と同様に行って、層厚0.7μmの平滑層を形成した。
なお、平滑層の屈折率nfは、25℃の雰囲気下で、発光ユニットからの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長の光線を照射し、アッベ屈折率計(ATAGO社製、DR−M2)を用いて測定し、1.85であった。
また、表面粗さ(算術平均粗さRa)を測定したところ、Ra=5nmであった。
発光パネルNo.8については、発光パネルNo.1の上記(3)〜(5)の工程と同様に行って、発光パネルを作製した。
[発光パネルNo.9:実施例]
(1)フィルム基板及びガスバリアー層の作製
発光パネルNo.9については、発光パネルNo.2と同様のフィルム基板を用いて、発光パネルNo.2の(1−1)〜(1−4)の作製工程を同様に行った。
(2)光散乱層及び平滑層の作製
(2−1)光散乱層の作製
発光パネルNo.9については、発光パネルNo.1と同様に(2−1)の作製工程を行って、層厚0.5μmの光散乱層を形成した。光散乱層のバインダー(樹脂)の屈折率nbは、1.5、粒子屈折率npは2.4、平均屈折率nsは、1.77であった。
(2−2)平滑層の作製
発光パネルNo.9については、発光パネルNo.6の上記(2−2)の作製工程と同様に行って、層厚0.7μmの平滑層を形成した。
なお、平滑層の屈折率nfは、25℃の雰囲気下で、発光ユニットからの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長の光線を照射し、アッベ屈折率計(ATAGO社製、DR−M2)を用いて測定し、1.85であった。
また、表面粗さ(算術平均粗さRa)を測定したところ、Ra=5nmであった。
発光パネルNo.9については、発光パネルNo.1の上記(3)〜(5)の工程と同様に行って、発光パネルを作製した。
[発光パネルNo.10:実施例]
(1)フィルム基板及びガスバリアー層の作製
発光パネルNo.10については、発光パネルNo.2と同様のフィルム基板を用いて、発光パネルNo.2の(1−1)〜(1−4)の作製工程を同様に行った。
(2)光散乱層及び平滑層の作製
(2−1)光散乱層の作製
基板として、(1)で得られたフィルム基板を50mm×50mmに切り出し、超純水洗浄、クリーンドライヤーで乾燥したものを用いた。
次いで、光散乱層調液として、屈折率(np)2.4、平均粒子径0.5μmのTiO2粒子(テイカ(株)製 JR600A)と樹脂溶液(APM社製 ED230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))との固形分比率が30vol%/70vol%、n−プロピルアセテートとシクロヘキサノンとの溶媒比が10質量%/90質量%、固形分濃度が15質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
具体的には、上記TiO2粒子と溶剤とを混合し、常温で冷却しながら、超音波分散機(エスエムテー社製 UH−50)に、マイクロチップステップ(エスエムテー社製 MS−3 3mmφ)の標準条件で10分間分散を加え、TiO2の分散液を作製した。
次いで、TiO2分散液を100rpmで撹拌しながら、樹脂を少量ずつ混合添加し、添加完了後、500rpmまで撹拌速度を上げ、10分間混合し、光散乱層塗布液を得た。
その後、疎水性PVDF 0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の分散液を得た。
上記分散液をスピン塗布(1500rpm、30秒)にてフィルム基板上に回転塗布した後、簡易乾燥(80℃、2分)し、さらに、加熱(120℃、60分)して、層厚0.3μmの光散乱層を形成した。光散乱層のバインダー(樹脂)の屈折率nbは、1.5、粒子屈折率npは2.4、平均屈折率nsは、1.77であった。
(2−2)平滑層の作製
発光パネルNo.10については、発光パネルNo.3の(2−2)と同様の処理を行って、表1に示す層厚0.7μm、表面粗さ(算術平均粗さRa)がRa=50nmとなるように平滑層を形成した。
なお、平滑層の平均屈折率nfは、25℃の雰囲気下で、発光ユニットからの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長の光線を照射し、アッベ屈折率計(ATAGO社製、DR−M2)を用いて測定し、1.5であった。
発光パネルNo.10については、発光パネルNo.1の上記(3)〜(5)の作製工程と同様に行って、発光パネルを作製した。
[発光パネルNo.11]
(1)フィルム基板及びガスバリアー層の作製
発光パネルNo.11については、発光パネルNo.2と同様のフィルム基板を用いて、発光パネルNo.2の(1−1)〜(1−4)の作製工程を同様に行った。
(2)光散乱層及び平滑層の作製
(2−1)光散乱層の作製
発光パネルNo.11については、発光パネルNo.1と同様に(2−1)の処理を行って、層厚0.5μmの光散乱層を形成した。光散乱層のバインダー(樹脂)の屈折率nbは、1.5、粒子屈折率npは2.4、平均屈折率nsは、1.77であった。
(2−2)平滑層の作製
次いで、平滑層調液として、平均粒子径0.02μmのジルコニアゾル(日産化学工業社製 OZ−S30M)と樹脂溶液(APM社製 ED230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))との固形分比率が30vol%/70vol%、n−プロピルアセテートとシクロヘキサノンとトルエンとの溶媒比が20質量%/30質量%/50質量%、固形分濃度が20質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
具体的には、上記ナノTiO2分散液と溶剤を混合し、100rpmで撹拌しながら、樹脂を少量ずつ混合添加し、添加完了後、500rpmまで撹拌速度を上げ、10分間混合し、平滑層塗布液を得た。
その後、疎水性PVDF 0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の分散液を得た。
上記分散液をスピン塗布(500rpm、30秒)にて光散乱層上に回転塗布した後、簡易乾燥(80℃、2分)し、さらに、加熱(120℃、30分)して、層厚0.7μmの平滑層を形成した。
なお、平滑層の平均屈折率nfは、25℃の雰囲気下で、発光ユニットからの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長の光線を照射し、アッベ屈折率計(ATAGO社製、DR−M2)を用いて測定し、1.65であった。
また、表面粗さ(算術平均粗さRa)を測定したところ、Ra=5nmであった。
発光パネルNo.11については、発光パネルNo.1の上記(3)〜(5)の作製工程と同様に行って、発光パネルを作製した。
[発光パネルNo.12]
(1)フィルム基板及びガスバリアー層の作製
発光パネルNo.12については、発光パネルNo.2と同様のフィルム基板を用いて、発光パネルNo.2の(1−1)〜(1−4)の処理を同様に行った。
(2)光散乱層及び平滑層の作製
(2−1)光散乱層の作製
基板として、(1)で得られたフィルム基板を50mm×50mmに切り出し、超純水洗浄、クリーンドライヤーで乾燥したものを用いた。
次いで、光散乱層調液として、屈折率(np)1.7、平均粒子径0.1μmの酸化マグネシウム粒子(堺化学工業(株)製 SMOシリーズ)と樹脂溶液(APM社製 ED230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))との固形分比率が30vol%/70vol%で調整した溶液と、n−プロピルアセテートとシクロヘキサノンとの溶媒比が10質量%/90質量%、固形分濃度が15質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
具体的には、上記TiO2粒子と溶剤とを混合し、常温で冷却しながら、超音波分散機(エスエムテー社製 UH−50)に、マイクロチップステップ(エスエムテー社製 MS−3 3mmφ)の標準条件で10分間分散し、TiO2の分散液を調製した。
次いで、TiO2分散液を100rpmで撹拌しながら、樹脂を少量ずつ混合添加し、添加完了後、500rpmまで撹拌速度を上げ、10分間混合し、光散乱層塗布液を得た。
その後、疎水性PVDF 0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の分散液を得た。
上記分散液をスピン塗布(500rpm、30秒)にてフィルム基板上に回転塗布した後、簡易乾燥(80℃、2分)し、さらに、加熱(120℃、60分)して、層厚0.5μmの光散乱層を形成した。光散乱層のバインダー(樹脂)の屈折率nbは、1.5、粒子屈折率npは1.7、平均屈折率nsは、1.56であった。
(2−2)平滑層の作製
発光パネルNo.12については、発光パネルNo.6の上記(2−2)の工程と同様に行って、層厚0.7μmの平滑層を形成した。
なお、平滑層の屈折率nfは、25℃の雰囲気下で、発光ユニットからの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長の光線を照射し、アッベ屈折率計(ATAGO社製、DR−M2)を用いて測定し、1.85であった。
また、表面粗さ(算術平均粗さRa)を測定したところ、Ra=5nmであった。
発光パネルNo.12については、発光パネルNo.1の上記(3)〜(5)の工程と同様に行って、発光パネルを作製した。
[発光パネルNo.13]
(1)フィルム基板及びガスバリアー層の作製
発光パネルNo.13については、発光パネルNo.2と同様のフィルム基板を用いて、発光パネルNo.2の(1−1)〜(1−4)の処理を同様に行った。
(2)光散乱層及び平滑層の作製
(2−1)光散乱層の作製
基板として、(1)で得られたフィルム基板を50mm×50mmに切り出し、超純水洗浄、クリーンドライヤーで乾燥したものを用いた。
次いで、光散乱層調液として、屈折率(np)1.7、平均粒子径0.1μmの酸化マグネシウム粒子(堺化学工業(株)製 SMOシリーズ)と樹脂溶液(APM社製 ED230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))との固形分比率が50vol%/50vol%で調整した溶液と、n−プロピルアセテートとシクロヘキサノンとの溶媒比が10質量%/90質量%、固形分濃度が15質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
具体的には、上記TiO2粒子と溶剤とを混合し、常温で冷却しながら、超音波分散機(エスエムテー社製 UH−50)に、マイクロチップステップ(エスエムテー社製 MS−3 3mmφ)の標準条件で10分間分散し、TiO2の分散液を調製した。
次いで、TiO2分散液を100rpmで撹拌しながら、樹脂を少量ずつ混合添加し、添加完了後、500rpmまで撹拌速度を上げ、10分間混合し、光散乱層塗布液を得た。
その後、疎水性PVDF 0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の分散液を得た。
上記分散液をスピン塗布(500rpm、30秒)にてフィルム基板上に回転塗布した後、簡易乾燥(80℃、2分)し、さらに、加熱(120℃、60分)して、層厚0.5μmの光散乱層を形成した。光散乱層のバインダー(樹脂)の屈折率nbは、1.5、粒子屈折率npは1.7、平均屈折率nsは、1.6であった。
(2−2)平滑層の作製
発光パネルNo.13については、発光パネルNo.6の上記(2−2)の工程と同様に行って、層厚0.7μmの平滑層を形成した。
なお、平滑層の屈折率nfは、25℃の雰囲気下で、発光ユニットからの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長の光線を照射し、アッベ屈折率計(ATAGO社製、DR−M2)を用いて測定し、1.85であった。
また、表面粗さ(算術平均粗さRa)を測定したところ、Ra=5nmであった。
発光パネルNo.13については、発光パネルNo.1の上記(3)〜(5)の工程と同様に行って、発光パネルを作製した。
Figure 2014126037
[実施例2]
(6)評価
得られた発光パネル(照明装置)No.1〜13を用いて下記の評価を行った。
(6−1)全光束
積分球を用いて一定電流における光束を測定した。具体的には、20A/m2の定電流密度で全光束を測定し、発光パネルNo.2に対しての相対値を表2に示した。
(6−2)高温・高湿雰囲気下での保存性試験
得られた発光パネルNo.1〜13を温度60℃/相対湿度90%RH雰囲気において保存し、発光状態を観察した。具体的には、試験開始前に比較して、500時間経過後、発光面積の減少(シュリンク)の進行を観察し、結果を表2に示した。なお、発光面積の端部が100μm以上収縮した場合をシュリンク有として、それ未満の場合をシュリンク無とした。
(6−3)通電試験
得られた発光パネルNo.1〜13について各発光パネルを五つ用いて、一定電流(100A/m2)で駆動し、連続通電試験を行った。初期輝度が半減する前にショートした発光パネルの数を表2に示した。
Figure 2014126037
表2から分かるように、本発明の実施例である発光パネルNo.3は、比較例の発光パネルNo.1及び2に比べてショートした割合が低いことが分かった。また、本発明の実施例である発光パネルNo.4〜13を含む各発光パネルは、全光束及び通電試験の全てにおいて比較例よりも優れていることが分かった。また、発光パネルNo.1〜13は、高温・高湿雰囲気下での保存性試験において全てシュリンクが見られなかった。したがって、実施例の発光パネルは、発光パネルとして使用するのに好適であることが分かった。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子により、発光ユニットに接するガスバリアー層あるいは光散乱層等の表面の凹凸状態に起因する高温・高湿雰囲気下での保存性の劣化やショートの発生を抑制し、発光効率を向上させた有機EL素子を得ることができ、当該有機EL素子は、表示デバイス、ディスプレイや、家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源、さらには表示装置を必要とする一般の家庭用電気器具等の広い発光光源として好適に利用できる。
100、400 有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)
1 平滑層
2 陽極(透明電極)
2a 下地層
2b 電極層
3 発光ユニット
4 フィルム基板
5 ガスバリアー層
6 陰極(対向電極)
7 光散乱層
700 照明装置(発光パネル)

Claims (10)

  1. フィルム基板上に、少なくとも、ガスバリアー層、平滑層及び一対の電極に挟持された有機機能層を有する発光ユニットが、この順に、積層された有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記ガスバリアー層が、構成元素の組成又は分布状態が相違する少なくとも2種のガスバリアー層で構成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記平滑層の前記発光ユニット側の表面の算術平均粗さRaが、0.5〜50nmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記ガスバリアー層と前記平滑層の間に光散乱層を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記平滑層の平均屈折率が、前記発光ユニットからの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長において、1.65以上であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記平滑層が、二酸化チタンを含有していることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記光散乱層の平均屈折率が、前記発光ユニットからの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長において、1.6以上であることを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 前記光散乱層が、前記発光ユニットからの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長において、1.6以下の屈折率を有するバインダーと、1.8以上の屈折率を有する無機粒子を含有していることを特徴とする請求項3から請求項6までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 前記少なくとも2種のガスバリアー層のうち、1種のガスバリアー層が、無機ケイ素化合物の反応生成物である二酸化ケイ素を含有していることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  9. 前記少なくとも2種のガスバリアー層のうち、いずれかのガスバリアー層が、有機ケイ素化合物の反応生成物を含有していることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  10. 請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子が具備されていることを特徴とする照明装置。
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