JP6288086B2 - 有機発光素子 - Google Patents

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Description

本発明は、有機発光素子に関し、特に可撓性透明基材と内部光取出し層を有する可撓性有機発光素子に関する。
現在、薄型の発光材料として有機発光素子が注目されている。
有機材料のエレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)を利用した有機発光素子(以下、有機EL素子ともいう。)は、数V〜数十V程度の低電圧で発光が可能な薄膜型の完全固体素子であり、高輝度、高発光効率、薄型、軽量といった多くの優れた特徴を有している。このため、各種ディスプレイのバックライト、看板や非常灯等の表示板、照明光源等の面発光体として近年注目されている。
このような有機発光素子は、2枚の電極間に有機材料からなる発光層が配置された構成であり、発光層で生じた発光光は電極を透過して外部に取り出される。このため、2枚の電極のうちの少なくとも一方は透明電極として構成され、透明電極側から発光光は取り出される。
また、有機発光素子は従来の発光体と異なる薄膜面発光が特徴であり、その特徴を活かすため可撓性の透明基材上での素子形成が要望されている。このような要望に対し、広く市場で用いられているポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのような、汎用の樹脂基材を用いた有機発光素子への要望は大きい。
しかしながら、単にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのような可撓性透明基材を用いて有機発光素子を形成すると、素子を繰り返し折り曲げたりすることによって、例えば酸化インジウム・スズ(SnO−In:Indium Tin Oxide:ITO)等を用いた電極が、割れたり、発光層から浮きや剥がれが生じる等の問題があることが判明した。特に、後述する内部光取出し層を透明基材と電極の間に設けた場合に生じやすいことが判明した。
有機発光素子は、低電力で高い輝度を得ることができ、視認性、応答速度、寿命、消費電力の点で優れているが、有機発光素子の光の利用効率は20%程度であり、素子内での損失が大きいという問題も有しており、内部光取出し層を形成することが発光効率を高める上で好ましい。
図1は、従来の有機発光素子の構成と光伝播の様子を概略的に示す断面図である。
有機発光素子100は、図中の下層から順に、金属電極101、屈折率が約1.8の有機発光層102、屈折率が約1.8の透明電極103、屈折率が約1.6の透明基材104が積層されて構成されている。図中の符号110a〜110eの矢印は有機発光層102から発生した光のうち特徴的なものを示している。
光110aは、発光面である有機発光層102に対して垂直方向の光であり、透明基材104を透過して光取り出し側(空気側)に取り出される。
光110bは、透明基材104と空気との界面に臨界角以下の浅い角度で入射した光であり、透明基材104と空気との界面で屈折して光取り出し側に取り出される。 光110cは、透明基材104と空気との界面に臨界角より深い角度で入射した光であり、透明基材104と空気との界面で全反射して光取り出し側に取り出せない光である。これによる損失を「基材損失」と呼び、通常20%程度の損失がある。
光110dは、透明電極103と透明基材104との界面に臨界角より深い角度で入射した光のうち共振条件を満たした光であり、透明電極103と透明基材104との界面で全反射して導波モードが発生し、有機発光層102及び透明電極103内に閉じ込められる光である。これによる損失を「導波損失」と呼び、通常20〜25%程度の損失がある。
光110eは、金属電極101へ入射して金属電極101内の自由電子と作用し、導波モードの一種であるプラズモンモードが発生して金属電極101の表面近傍に閉じ込められる光である。これによる損失を「プラズモン損失」と呼び、通常30〜40%程度の損失がある。
このように、従来の有機発光素子100においては、発光光の基材損失、導波損失及びプラズモン損失があり、それらの損失をできるだけ低減し、より多くの光を取り出すことが課題となっている。
かかる課題に対して、特許文献1には、光取り出し面側にレンズシートからなる光散乱部を設けた有機EL装置が開示されている。
また、特許文献2には、少なくとも一方の基材表面に、屈折率が1.6以上で表面の平均粗さが10nm以上である高屈折率凹凸層と、1層以上の屈折率が1.55以上の基材層からなる発光装置用基材及び発光装置が開示されている。
しかしながら、これらの技術は光取出しの観点では好ましい態様であるが、あくまで可撓性を有しないガラス基材用の光取出し技術であり、可撓性を有する基材上では実現できていない。
さらに、特許文献3には、有機発光素子に用いられる単層膜又は2層以上の積層膜からなる光取出し膜であって、当該光取出し膜を構成する層のうち少なくとも1層は光散乱機能を有する層であり、当該光取出し膜のナノインデンテーション法による表面硬度が0.05〜20GPaであることを特徴とする光取出し膜が開示されている。
特許文献3では、当該光取出し膜のナノインデンテーション法による表面硬度を規定することによって、有機発光素子の積層プロセスにおける各膜内や膜界面で生じる歪みをなくし、透明電極の微細な亀裂や剥離を少なくし、ダークスポット耐性及び素子寿命を改善することを課題とするものであり、可撓性透明基材を用いて有機発光素子を形成したときの、折り曲げによる電極の割れや、剥がれ等の問題については言及していない。
したがって、汎用の可撓性透明基材上に内部光取出し層を有し、光取出しによって発光効率が高く、かつ有機発光素子を繰り返し折り曲げたりしたときに、電極が割れたり、浮きや剥がれが生じたりすることのない有機発光素子の出現が待たれている。
特許第2931211号公報 特開2004−20746号公報 特開2007−35313号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、可撓性の透明基材上に内部光取出し層を有し、光取出しによって発光効率が高く、かつ有機発光素子を繰り返し折り曲げたりしたときに、電極が割れたり、浮きや剥がれが生じたりすることのない有機発光素子を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、可撓性透明基材上に、内部光取出し層、透明電極、及び有機発光層をこの順に有する有機発光素子であって、当該内部光取出し層の表面の弾性率と、当該透明基材の有機発光層側の表面の弾性率との比が特定の範囲内である有機発光素子によって、可撓性の透明基材上に内部光取出し層を有し、光取出しによって発光効率が高く、かつ有機発光素子を繰り返し折り曲げたりしたときに、電極が割れたり、浮きや剥がれが生じたりすることのない有機発光素子を提供できることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.可撓性透明基材上に、内部光取出し層、透明電極、及び有機発光層をこの順に有する有機発光素子であって、当該内部光取出し層の表面の弾性率(EM)と、当該透明基材の透明電極側の表面の弾性率(EM)との下記式1で表される比の値Dが、100±30%の範囲内であることを特徴とする有機発光素子。
式1 D(%)=(EM/EM)×100(%)
2.前記可撓性透明基材がフィルム基材と少なくとも1層のガスバリアー層とをこの順に有し、前記内部光取出し層が光散乱層と平滑層とを有することを特徴とする第1項に記載の有機発光素子。
3.前記光散乱層が光散乱粒子を含有し、当該光散乱粒子の平均粒径が0.2〜1μmの範囲内であり、当該光散乱層の光波長550nm測定での屈折率が1.7〜3.0の範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の有機発光素子。
4.前記内部光取出し層の、光波長550nm測定での屈折率が、1.7〜2.5の範囲内であり、光波長450nm〜700nmの平均光透過率が50%以上であり、かつヘイズが30%以上であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の有機発光素子。
本発明の上記手段により、可撓性透明基材上に内部光取出し層を有し、光取出しによって発光効率が高く、かつ有機発光素子を繰り返し折り曲げたりしたときに、電極が割れたり、浮きや剥がれが生じたりすることのないフレキシブルな有機発光素子を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明は、可撓性透明基材の表面の弾性率と、内部光取出し層の表面の弾性率を、特定の範囲の関係に調整して組み合わせることによって、可撓性透明基材と内部光取出し層を有する有機発光素子を、繰り返し屈曲させた際の電極の割れや浮き、剥がれ等への耐性を飛躍的に改善するものであり、本技術により、市場が期待する高効率でフレキシブルな有機発光素子を実現する技術を提供するものである。
一般的に可撓性基材を曲面状になるように力を掛けた場合、基材の中心部分はほとんど応力が掛からず、中心から厚さ方向に遠ざかるに従い応力が大きくなる。凸方向の表面では引き伸ばされる力が、凹方向の表面では押しつぶされる力が掛かる。可撓性基材の表面に内部光取出し層を有する本発明においては、基材表面に内部応力が掛かると同時に略同じ力が内部光取り出し層に加わることになる。
この際に各層は素材が異なることもあり、各層の物性は異なるものである。基材表面の物性と内部光取出し層の物性が異なったとしても、直ちに浮きや割れを生じるものではないが、本願の好ましい実施態様である光散乱層と平滑層とを有する内部光取出し層においては、基材表面と内部光取出し層の弾性率が近いことが好ましく、加えて両層の接着強度が高いことが好ましい。
また、有機発光素子は酸素・水分等に非常に敏感であり、単に一般的な可撓性基材表面に内部光取出し構造を有する有機発光素子を形成しても実用に耐えられるものではない。その為、各社様々なガスバリアー技術を開発しており、可撓性基材上に形成されるガスバリアー技術も実用段階に到達しつつある。
このようなガスバリアー技術は、その遮断対象となるガスの分子が小さい為、非常に緻密な膜が必要であり、一般的に金属酸化物、具体的にはガラスに近い高弾性体であることが多い。このような高弾性体であるガスバリアー層に対し、当該ガスバリアー層上に形成される内部光取出し層も高弾性体に形成することが重要であり、このような高弾性体を実現する為に、(1)光散乱層及び平滑層共に高弾性率にすることも好適であるが、(2)特に平滑層を高弾性率に形成することで内部光取出し層全体を高弾性体にすることが非常に有効であり、(3)光散乱層は平滑層の弾性率の1/2未満の弾性体にすることが、発生する応力を緩和する上で好ましいことが、鋭意検討する中で明らかになった。
一方、フレキシブルな有機発光素子を繰り返し屈曲させた際に、電極に応力がかかることによって割れたり、浮きや剥がれが生じたりするものと推定されるが、特にフレキシブルな内部光取出し層を有する有機発光素子の場合に顕著に発生することが分かった。本発明者はかかる現象を詳細に検討した結果、当該内部光取出し層の表面の弾性率が、ガスバリアー層を有する可撓性透明基材の表面の弾性率より低い場合、又は逆に高い場合に、当該弾性率の乖離によってその両者の層界面で歪みが生じ、そこで発生する応力が、内部光取出し層上に形成される薄膜の電極に作用して、電極の割れや浮き、剥がれが生じることを見出した。
したがって、ガスバリアー層を有する可撓性透明基材の表面の弾性率と、内部光取出し層の表面の弾性率を、特定の範囲の関係に調整することによって、当該歪みに起因する応力の発生を低減することができ、有機発光素子を繰り返し屈曲させた際の電極の割れや浮き、剥がれ等への耐性を飛躍的に改善できたものと推察される。
従来の有機発光素子の構成と光伝播の様子を概略的に示す断面図 典型的なナノインデンテーション法に従って得られる荷重−変位曲線の一例を示す図 ナノインデンテーション法による測定におけるダイヤモンド圧子と試料の接触状態の一例を示す図 有機発光素子の概略構成を示す断面図 光散乱層と平滑層との積層体の断面の顕微鏡写真であって、光散乱層の層厚Tと光散乱粒子の平均粒径DとのT/Dの値が2であるときの一例 光散乱層を平面視・透視した状態を示す顕微鏡写真であって、光散乱粒子の光散乱層における面内占有率が70%であるときの一例 AFMにて測定された散乱層と平滑層との積層体の平均粗さの測定結果の一例を示す図 内部光取出し層の製造装置の概略構成を示す図 波長制御赤外線ヒーターの概略構成を示す断面図 波長制御赤外線ヒーターの変形例を示す断面図 石英ガラスフィルターの赤外線透過率を示すグラフ 波長制御赤外線ヒーターの輻射スペクトルを概略的に示すグラフであって、点線部はフィルター無しのスペクトルを、実線部はフィルター有りのスペクトルをそれぞれ示すグラフ
本発明の有機発光素子は、可撓性透明基材上に、内部光取出し層、透明電極、及び有機発光層をこの順に有する有機発光素子であって、当該内部光取出し層の表面の弾性率(EM)と、当該透明基材の透明電極側の表面の弾性率(EM)との前記式1で表される比の値Dが、100±30%の範囲内であることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項4までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記可撓性透明基材がフィルム基材と少なくとも1層のガスバリアー層とをこの順に有し、前記内部光取出し層が光散乱層と平滑層とを有することが、前記弾性率をさらに好適に制御することができ、好ましい。特に、内部光取出し層が上記2層構成であると、平滑層で弾性を高め、光散乱層で応力を緩和することができることから、歪みに起因する応力の発生を低減することができ、有機発光素子を繰り返し屈曲させた際の電極の割れや浮き、剥がれ等への耐性を改善できることから、好ましい実施態様である。
また、前記光散乱層が光散乱粒子を含有し、当該光散乱粒子の平均粒径が0.2〜1μmの範囲内であり、当該光散乱層の光波長550nm測定での屈折率が1.7〜3.0の範囲内であることが光取り出し効率が高く、有機発光素子の発光効率を高めることができ、好ましい。
また、前記内部光取出し層の、光波長550nm測定での屈折率が1.7〜2.5の範囲内であり、光波長450nm〜700nmの平均光透過率が50%以上であり、かつヘイズが30%以上であることが、光取り出し効率が高く、有機発光素子の発光効率を高めることができ、好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
≪本発明の有機発光素子の概要≫
本発明の有機発光素子は、可撓性透明基材上に、内部光取出し層、透明電極、及び有機発光層をこの順に有する有機発光素子であって、当該内部光取出し層の表面の弾性率(EM)と、当該透明基材の透明電極側の表面の弾性率(EM)との下記式1で表される比の値Dが、100±30%の範囲内であることを特徴とする。
式1 D(%)=(EM/EM)×100(%)
本発明における可撓性透明基材及び内部光取り出し層の表面の弾性率は、ナノインデンテーション法により測定することができる。
ナノインデンテーション法とは、試料に対して超微小な荷重で圧子を連続的に負荷、除荷し、得られた荷重−変位曲線から弾性率(Reduced Modulus)や硬さ(Hardness)を同時に測定する方法である。
〈ナノインデンテーション法の測定原理〉
ナノインデンテーション法とは、原子間力顕微鏡(AFM)に、押し込み硬度測定用モジュール(トランスデューサーと押し込みチップにて構成)を付加することにより、ナノレベルでの押し込み硬度測定を行うことができる測定方法である。最大荷重20μN以下の荷重を加えながら、測定対象物である試料に対し、先端半径が0.1〜1μm程度のダイヤモンド圧子を押し込み、ナノメートルの精度で押し込み深さを測定する。この測定から荷重−変位曲線図が得られ、材料の弾塑性変形に関する特性を定量的に評価することができる。薄膜の場合、基材の影響を受けずに測定するには、膜厚の1/10〜1/3の深さまで押し込むことが必要である。このナノインデンテーション法では、超低荷重、例えば、最大荷重20μN、荷重分解能1nNのヘッドアセンブリを用いて、変位分解能として0.01nmの高精度で測定することができる。
図2に、典型的なナノインデンテーション法に従って得られる荷重−変位曲線の一例を示す。ここで図2中、傾きSとは、除荷曲線の勾配を指し(=dP/dh)、具体的には、単純弾性回復といえる除荷の初期に注目し最大荷重Pmaxにおける除荷曲線の勾配を使って求める。
図3は、ナノインデンテーション法による硬度及び弾性率測定におけるダイヤモンド圧子と試料の接触状態の一例を示す図である。図3において、N1は圧子が接触していない時の試料の初期表面であり、N2は圧子を介して荷重をかけている時の試料表面のプロファイルであり、N3は圧子を取り除いた後の試料表面のプロファイルである。
例えば、硬度Hは、通常、H=W/A(Wは荷重、Aは接触面積)の式より求められる。しかしながら、ナノインデンテーション法では、荷重が非常に小さいため、圧痕等から直接Aを求めることはできない。本発明では、具体的には下記方法による。
図3に示すように、hcはhc=ht−ε・W/S(εは圧子固有の定数、Sは図2に記載の傾き)の式が成り立ち、ここでεは圧子の幾何形状により決定される圧子固有の定数で、円錐及びバーコビッチ圧子、キューブコーナー圧子などの三角錐圧子ではε=0.726、球状圧子ではε=0.75、円柱圧子ではε=1を用いる。
三角錐圧子の場合、三角錐の中心軸と側面のなす角をαとすると、幾何学形状からAは次式で表される。
式 A=Chc、C=3×31/2tanα
バーコビッチ圧子ではα=65.27°であるため、Cは24.56となり、A=24.56hcとなる。また、キューブコーナー圧子では、α=45°であり、Cは5.196となり、A=5.196hcとなる。したがって、ht、W、Sが分かれば、Hを求めることができる。
また、弾性率Erは、Er=S・π1/2/2/A1/2より算出できる。Erが大きければ塑性変形しやすく、小さければ弾性変形しやすいと推定される。
本発明では、弾性率及び硬度は、MTSシステム社製のナノインデンター(Nano Indenter TMXP/DCM)を用いて測定する。使用圧子はcube corner tip(90°)である。
試料サイズは、最大20mmφ×10mmであるが、試料台に接着剤その他で固定する。本装置の荷重範囲は〜10mNと非常に低荷重のため、膜厚数10nm〜1μm程度の薄膜の弾性率及び硬度測定に適している。
〔ナノインデンテーション測定の具体的な方法〕
機器、方法、環境条件は以下のとおりである。
具体的な測定方法としては、以下の機器を用い以下の手法で測定した。
測定機器:HYSITRON社製TriboScope
使用圧子:Cube Corner Tip
最大荷重:20μN 若しくは30μN
(1)サンプル試料膜厚測定
基材上にまずサンプル試料を均一に塗布、乾燥、(硬化)して作製し、その一部をスパーテルで除去し、基材表面を露出する。
Dektak XT(Bruker社製)の触針式粗さ測定機を用い、塗布面と露出させた基材面との差から塗布膜厚を求める。測定はN=3で行い、その平均値を求める。
(2)最大荷重設定
Dektakで求めた膜厚の10%まで押し込む最大荷重(20〜30μN)を選択する。
(3)試料調整
ナノインデンテーション測定用の試料を23℃・50%RHの環境の測定室に2時間以上調湿した後に、測定を行う。
(4)測定
上記のHysitron社製 TriboScopeを用いて、ナノインデンテーションでの測定を実施する。
測定はN=5で行い、最大/最小値を除去し、N=3データの平均値を求める。
(5)データ処理
上記の測定により得られる各試料の荷重−変位曲線から、データ処理を行い、硬度(GPa)と弾性率(GPa)を求める。圧子は先端角度90°のcube corner tipを用いて、あらかじめ溶融石英標準試料を用いてキャリブレーションを行った。各試料については最大荷重20μNまでゼロから、5秒間押込んだのち、5秒間でゼロまで除荷した。得られた荷重−変位曲線より硬度(H)は(1)式、弾性率(Er)は(2)式を用いて求めることができる。
Figure 0006288086

〔ガスバリアー層を形成した透明基材及び内部光取出し層の表面の弾性率/硬度〕
上記のような測定法で、可撓性透明基材表面(内部光取出し層形成面側)の測定と内部光取出し層の乾燥/硬化後の表面弾性率/硬度の測定とをそれぞれ実施する。
透明基材表面と内部光取出し層は、基本的に隣接する層であるが、間に接着層/光学係数(屈折率)調整層/吸収低減層等を目的に応じて設けることができる。
本発明の実施態様として、前記可撓性透明基材がフィルム基材と少なくとも1層のガスバリアー層とをこの順に有し、前記内部光取出し層が光散乱層と平滑層とを有する積層構成であることが好ましい。
したがって、本発明に係る可撓性透明基材及び内部光取り出し層の表面の弾性率の測定は、前記フィルム基材上にガスバリアー層が形成されている場合は、ガスバリアー層の表面側について行う。また、前記内部光取出し層が光散乱層と平滑層で構成されている場合は、平滑層の表面側について測定する。
本発明に係る可撓性透明基材は、有機発光素子に使用可能な酸素や水分遮断能の高い、フィルム基材と少なくとも1層のガスバリアー層とをこの順に有するガスバリアーフィルムであることが好ましい。
本願でいうガスバリアー層又はガスバリアーフィルムとは、JIS K 7129:1992に準拠した方法で測定された温度25±0.5℃、相対湿度90±2%における水蒸気透過度が、1×10−3g/m・24h以下のガスバリアー層又はガスバリアーフィルムであることをいい、さらには、JIS K 7126:1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3ml/m・24h・atm(1atmは、1.01325×10Paである)以下であって、温度25±0.5℃、相対湿度90±2%における水蒸気透過度が、1×10−5g/m・24h以下であるガスバリアー層又はガスバリアーフィルムであることをいう。
また、可撓性とは、当該ガスバリアーフィルム単体として、φ(直径)50mmロールに巻き付け、一定の張力で巻き取る前後で割れ等が生じることのない基材をいい、より好ましくはφ30mmロール、特に好ましくはφ10mmロールに巻き付け可能な基材をいう。
このようなガスバリアーフィルムは、その表面の弾性率が20GPa以上、より好ましくは25GPa以上、特に好ましくは30GPa以上であることが好ましい。
一方、内部光取出し層は光散乱層と平滑層を有していることが好ましいが、内部光取出し層の表面の弾性率は、15GPa以上、より好ましくは20GPa以上、更に好ましくは25GPa以上、特に好ましくは30GPa以上であることが好ましい。
前記内部光取出し層の表面の弾性率(EM)と、当該透明基材の有機発光層側の表面の弾性率(EM)との前記式1で表される比の値Dは、本発明の効果を発現する上で、100±30%の範囲内であることが必要であり、好ましくは100±25%の範囲内である。両者の弾性率が、このような範囲にあることにより、本発明に係るガスバリアー層を形成した透明基材上に内部光取出し層を形成した後の屈曲性試験において、両層の屈曲時の挙動が揃い、電極の割れや浮き、剥がれ等を抑制し、さらに各構成層の欠落・剥離・ひび・しわの発生が大幅に改善できる。
また、上記平滑層単独の表面の弾性率としては20GPa以上、より好ましくは25GPa以上、特に好ましくは30GPa以上であることが好ましいが、光散乱層は平滑層に比べて弾性率が低い方が好ましく、光散乱層の弾性率は0.5〜25GPa、より好ましくは1〜20GPa、更に好ましくは1.5〜15GPa、特に好ましくは1.5〜10GPaである。このようにすることで光散乱層が応力緩和層として作用し、電極の割れや浮き、剥がれの抑制のみならず、各構成層の欠落・剥離・ひび・しわの発生の観点で有利である。
また、当該透明基材及び内部光取出し層の表面硬度は本発明の要件ではなく、特に数値は問わないため、本発明では有機発光素子を構成する層の、弾性率の設計及び制御が重要である。
上記の物性であれば、各層の素材は特に制限されないが、透明基板及び内部光取出し層を構成する、平滑層は上記の物性を得る観点で、50nm未満のナノ粒子と無機ポリマー含有バインダー、特にシロキサン構造を有する樹脂を含有することが好ましく、同様にガスバリアー層も同様な無機ポリマー含有バインダーを用いることが好ましい。このようにガスバリアー層と内部光取出し層の構成素材が類似していることは、両層の接着性の観点で好ましく、上記の物性と共に両層間の接着強度が高いことは、当然好ましい。
以下、本発明の有機発光素子の各構成要素について詳細に説明する。
≪有機発光素子≫
図4に示すとおり、本発明に係る有機発光素子10は、可撓性透明基材13上に設けられており、透明基材13側から順に、内部光取出し層2、透明金属電極1、有機材料等を用いて構成された有機発光層3、及び対向電極5aをこの順に積層して構成されている。透明金属電極1(電極層1b)の端部には、取り出し電極16が設けられている。透明金属電極1と外部電源(図示略)とは、取り出し電極16を介して、電気的に接続される。有機発光素子10は、発生させた光(発光光h)を、少なくとも透明基材13側から取り出すように構成されている。
また、有機発光素子10の層構造は限定されることはなく、一般的な層構造であってよい。ここでは、透明金属電極1がアノード(すなわち陽極)として機能し、対向電極5aがカソード(すなわち陰極)として機能することとする。この場合、例えば、有機発光層3は、アノードである透明金属電極1側から順に正孔注入層3a/正孔輸送層3b/発光層3c/電子輸送層3d/電子注入層3eを積層した構成が例示されるが、このうち、少なくとも有機材料を用いて構成された発光層3cを有することが必須である。正孔注入層3a及び正孔輸送層3bは、正孔輸送注入層として設けられてもよい。電子輸送層3d及び電子注入層3eは、電子輸送注入層として設けられてもよい。また、これらの有機発光層3のうち、例えば、電子注入層3eは無機材料で構成されている場合もある。
また、有機発光層3は、これらの層の他にも正孔阻止層や電子阻止層等が必要に応じて必要箇所に積層されていてもよい。さらに、発光層3cは、各波長領域の発光光を発生させる各色発光層を有し、これらの各色発光層を、非発光性の中間層を介して積層させた構造としてもよい。中間層は、正孔阻止層、電子阻止層として機能してもよい。さらに、カソードである対向電極5aも、必要に応じた積層構造であってもよい。このような構成において、透明金属電極1と対向電極5aとで有機発光層3が挟持された部分のみが、有機発光素子10における発光領域となる。
また、以上のような層構成においては、透明金属電極1の低抵抗化を図ることを目的とし、透明金属電極1の電極層1bに接して補助電極15が設けられていてもよい。
以上のような構成の有機発光素子10は、有機材料等を用いて構成された有機発光層3の劣化を防止することを目的として、透明基材13上において後述する封止材17で封止されている。この封止材17は、接着剤19を介して透明基材13側に固定されている。ただし、透明金属電極1(取り出し電極16)及び対向電極5aの端子部分は、透明基材13上において有機発光層3によって互いに絶縁性を保った状態で封止材17から露出させた状態で設けられていることとする。
以下、上述した有機発光素子10を構成するための主要各層の詳細とその製造方法について説明する。
(1)透明基材
本発明に係る透明基材の表面の弾性率は、20GPa以上、より好ましくは25GPa以上、特に好ましくは30GPa以上であることが、強度や柔軟性などの基材としての好ましい物性を発現する上で好ましく、20〜50GPaの範囲であることが好ましい。
本発明に係る透明基材は、可撓性を有する従来公知のガラス基材/フィルム基材を特に制限なく使用でき、本発明の光散乱層/平滑層の構造は当然基材にかかわらず作用するものである。本発明で好ましく用いられる透明基材は、有機発光素子に必要な耐湿性/耐気体透過性等のガスバリアー性能を有することが好ましく、フィルム基材においては、バリアー性能向上のためのガスバリアー層を設けることが好ましい。
その場合、上記表面の弾性率は、ガスバリアー層を形成したガスバリアーフィルム表面の弾性率である。
本発明に係る透明基材の弾性率を上記範囲内に制御するには、透明樹脂基材の種類の選択及びガスバリアー層を形成する材料の選択によって行うことができる。
本発明の「透明基材」とは、透過率70%以上の基材をいい、その透過率が好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。ここでいう「透過率」は全光線透過率であり、JIS K 7375:2008「プラスチック−全光線透過率及び全光線反射率の求め方」に従って測定することができる。
本発明の「透明基材」は可撓性を有する。前述のようなロールに巻き付け可能な可撓性透明基材は、従来公知の基材として、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン(Ny)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等の各樹脂フィルム、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルム(製品名Sila−DEC、チッソ株式会社製)、更には前記樹脂を2層以上積層して成る樹脂フィルム等を挙げることができる。
コストや入手の容易性の点では、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等が好ましく用いられ、また光学的透明性、耐熱性、無機層、ガスバリアー性層との密着性の点においては、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルムが好ましく用いることができる。
中でも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムがより好ましい。
更に熱膨張時の収縮を最大限抑えるため、熱アニール等の処理を行った低熱収処理品が最も好ましい。
透明基材の厚さは10〜500μmの範囲内が好ましく、より好ましくは20〜250μmの範囲内であり、さらに好ましくは30〜150μmの範囲内である。透明基材の厚さが10〜500μmの範囲にあることで、安定したガスバリアー性を得られ、また、ロール・トゥ・ロール方式の搬送に適したものになる。
(2)ガスバリアー層
(2.1)特性及び形成方法
本発明の透明基材がフィルム基材である場合には、本発明の好ましい弾性率を達成する為、1層以上のガスバリアー層を設けることが好ましい。このようなガスバリアー層としては、公知の素材を特に制限なく使用できるが、例えば以下のような素材を好ましく使用できる。
本発明に係るガスバリアー層は、前述の酸素透過度及び水蒸気透過度を有することが重要であり、無機前駆体化合物を含有する層であって、透明基材上に少なくとも1層の無機前駆体化合物を含有する塗布液を塗布した後改質処理することにより形成されることが好ましい。
塗布方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。
具体例としては、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。
塗布厚さは、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、塗布厚さは、乾燥後の厚さが好ましくは1nm〜10μm程度、さらに好ましくは10nm〜10μm程度、最も好ましくは30nm〜1μm程度となるように設定され得る。
(2.2)無機前駆体化合物
本発明に用いられる無機前駆体化合物とは、特定の雰囲気下で真空紫外線照射によって金属酸化物や金属窒化物や金属酸化窒化物を形成しうる化合物であれば特に限定されないが、本発明の製造方法に適する化合物としては、特開平8−112879号公報に記載されているように比較的低温で改質処理され得る化合物が好ましい。
具体的には、Si−O−Si結合を有するポリシロキサン(ポリシルセスキオキサンを含む)、Si−N−Si結合を有するポリシラザン、Si−O−Si結合とSi−N−Si結合の両方を含むポリシロキサザン等を上げることができる。これらは2種以上を混合して使用することができる。また、異なる化合物を逐次積層したり、同時積層したりしても使用可能である。
(2.2.1)ポリシロキサン
本発明で用いられるポリシロキサンとしては、一般構造単位としての〔RSiO1/2〕、〔RSiO〕、〔RSiO3/2〕、及び〔SiO〕を含むことができる。ここでRは、水素原子、1〜20の炭素原子を含むアルキル基の例えばメチル、エチル及びプロピルなど、アリール基の例えばフェニル、不飽和アルキル基の例えばビニルからなる群より独立して選択される。特定のポリシロキサン基の例には、〔PhSiO3/2〕、〔MeSiO3/2〕、〔HSiO3/2〕、〔MePhSiO〕、〔PhSiO〕、〔PhViSiO〕、〔ViSiO3/2〕、〔MeHSiO〕、〔MeViSiO〕、〔MeSiO〕及び〔MeSiO1/2〕などが挙げられる。また、ポリシロキサンの混合物やコポリマーも使用可能である。
(2.2.2)ポリシルセスキオキサン
本発明においては、上述のポリシロキサンの中でもポリシルセスキオキサンを用いることが好ましい。ポリシルセスキオキサンはシルセスキオキサンを構造単位に含む化合物である。「シルセスキオキサン」とは、[RSiO3/2]で表される化合物であり、通常、RSiX(Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラアルキル基等であり、Xは、ハロゲン及びアルコキシ基等である)型化合物が加水分解−重縮合して合成されるポリシロキサンである。シスセスオキサンの分子配列の形状としては、代表的には無定形構造、ラダー状構造、籠型構造又はその部分開裂構造体(籠型構造からケイ素原子が一原子欠けた構造や籠状構造の一部ケイ素−酸素結合が切断された構造)等が知られている。
これらのポリシルセスキオキサンの中でも、いわゆる水素シルセスキオキサンポリマーを用いることが好ましい。水素シルセスキオキサンポリマーには、式:HSi(OH)(OR)z/2のヒドリドシロキサンポリマーが挙げられ、各々のRは有機基又は置換された有機基であり、酸素原子によってケイ素に結合した場合、加水分解性置換基を形成し、x=0〜2、y=0〜2、z=1〜3、x+y+z=3である。Rの例には、アルキル基の例えばメチル、エチル、プロピル及びブチルなど、アリール基の例えばフェニル、アルケニル基の例えばアリル及びビニルが挙げられる。そのようなものとして、これらの樹脂は、完全に縮合され(HSiO3/2、あるいは部分的にのみ加水分解され(即ち、一部のSi−ORを含む)及び/又は部分的に縮合される(即ち、一部のSi−OHを含む)ことができる。
籠型シルセスキオキサンの例としては、[RSiO3/2の化学式で表される下記一般式(1)のシルセスキオキサン、[RSiO3/210の化学式で表される下記一般式(2)のシルセスキオキサン、[RSiO3/212の化学式で表される下記一般式(3)のシルセスキオキサン、[RSiO3/214の化学式で表される下記一般式(4)のシルセスキオキサン及び[RSiO3/216の化学式で表される下記一般式(5)のシルセスキオキサンが挙げられる。
Figure 0006288086
[RSiO3/2で表される籠型シルセスキオキサンにおけるnの値としては、6から20の整数であり、好ましくは8、10又は12であり、特に好ましくは8又は8、10及び12の混合物である。また、籠型シルセスキオキサンの一部のケイ素−酸素結合が部分的に開裂した[RSiO3/2n−m(O1/2H)2+m(nは6〜20の整数であり、mは0又は1である。)で表される籠型シルセスキオキサンの好ましい例としては、一般式(1)の一部が開裂したトリシラノール体、[RSiO3/2(O1/2H)で表される下記一般式(6)のシルセスキオキサン、[RSiO3/2(O1/2H)の化学式で表される下記一般式(7)のシルセスキオキサン及び[RSiO3/2(O1/2H)の化学式で表される下記一般式(8)のシルセスキオキサンが挙げられる。
Figure 0006288086
上記一般式(1)〜(8)におけるRとしては、水素原子、炭素数1〜20の飽和炭化水素基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数7〜20のアラアルキル基及び炭素数6〜20のアリール基が挙げられる。中でもRは重合反応が可能な重合性官能基であることが好ましい。
炭素数1〜20の飽和炭化水素基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、ブチル基(n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、sec−ブチル基等)、ペンチル基(n−ペンチル基、i−ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基等)、ヘキシル基(n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、シクロヘキシル基等)、ヘプチル基(n−ヘプチル基、i−ヘプチル基等)、オクチル基(n−オクチル基、i−オクチル基、t−オクチル基等)、ノニル基(n−ノニル基、i−ノニル基等)、デシル基(n−デシル基、i−デシル基等)、ウンデシル基(n−ウンデシル基、i−ウンデシル基等)及びドデシル基(n−ドデシル基、i−ドデシル基等)などが挙げられる。成形時の溶融流動性、難燃性及び操作性のバランスを考慮すると、好ましくは炭素数1〜16の飽和炭化水素であり、特に好ましくは炭素数1〜12の飽和炭化水素である。
炭素数2〜20のアルケニル基としては、非環式アルケニル基及び環式アルケニル基が挙げられる。その例としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキセニルエチル基、ノルボルネニルエチル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基及びドデセニル基などが挙げられる。成形時の溶融流動性、難燃性及び操作性のバランスを考慮すると、好ましくは炭素数2〜16のアルケニル基であり、特に好ましくは炭素数2〜12のアルケニル基である。
炭素数7〜20のアラアルキル基の例としては、ベンジル基及びフェネチル基又は炭素数1〜13、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基のうち1置換又は複数置換されたベンジル基及びフェネチル基等が挙げられる。
炭素数6〜20のアリール基の例としては、フェニル基及びトリル基又は炭素数1〜14、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基で置換されたフェニル基、トリル基及びキシリル基等が挙げられる。
上記の籠型シルセスキオキサン類は、Aldrich社、Hybrid Plastic社、チッソ株式会社、アヅマックス社等から市販されている化合物をそのまま用いてもよく、また、Journal of American Chemical Society誌、第111巻、1741頁(1989年)等に基づいて合成された化合物を用いてもよい。
ポリシルセスキオキサンの籠型構造の部分開裂構造体とは、[RSiO3/2の化学式で表される一つの籠型ユニットからSi−O−Si結合が開裂して生成したSi−OHが3個以下の化合物、又は[RSiO3/2の化学式で表される閉じた籠型構造の中からSi原子の欠損が一つ以下の化合物を示す。
籠型シルセスキオキサンにおいても、[HSiO3/2等の水素シルセスキオキサンを好ましく用いることができる。
(2.2.3)ポリシラザン
本発明で用いられるポリシラザンとは、ケイ素−窒素結合を持つポリマーで、Si−N、Si−H、N−H等からなるSiO、Si及び両方の中間固溶体SiO(x:0.1〜1.9、y:0.1〜1.3)等の無機前駆体ポリマーである。
本発明に好ましく用いられるポリシラザンとしては、下記一般式(A)で表される。
一般式(A)
−[Si(R)(R)−N(R)]−
式中、R、R、Rは、各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表す。
本発明では、得られるガスバリアー層としての緻密性の観点からは、R、R及びRの全てが水素原子であるパーヒドロポリシラザンが特に好ましい。
一方、そのSiと結合する水素部分が一部アルキル基等で置換されたオルガノポリシラザンは、メチル基等のアルキル基を有することにより下地基材との接着性が改善され、かつ硬くてもろいポリシラザンによるセラミック層に靭性を持たせることができるため、より層厚を厚くした場合でもクラックの発生が抑えられる利点がある。用途に応じて適宜、これらパーヒドロポリシラザンとオルガノポリシラザンを選択してよく、混合して使用することもできる。
パーヒドロポリシラザンは直鎖構造と6及び8員環を中心とする環構造が存在した構造と推定されている。その分子量は数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ポリスチレン換算)であり、液体又は固体の物質であり、分子量により異なる。これらは有機溶媒に溶解した溶液状態で市販されており、市販品をそのままポリシラザン含有塗布液として使用することができる。
低温でセラミック化するポリシラザンの別の例としては、上記ポリシラザンにケイ素アルコキシドを反応させて得られるケイ素アルコキシド付加ポリシラザン(特開平5−238827号公報)、グリシドールを反応させて得られるグリシドール付加ポリシラザン(特開平6−122852号公報)、アルコールを反応させて得られるアルコール付加ポリシラザン(特開平6−240208号公報)、金属カルボン酸塩を反応させて得られる金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(特開平6−299118号公報)、金属を含むアセチルアセトナート錯体を反応させて得られるアセチルアセトナート錯体付加ポリシラザン(特開平6−306329号公報)及び金属微粒子を添加して得られる金属微粒子添加ポリシラザン(特開平7−196986号公報)等が挙げられる。
ポリシラザンを含有する液体を調製する有機溶媒としては、ポリシラザンと容易に反応してしまうようなアルコール系や水分を含有するものを用いることは好ましくない。具体的には、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素及び芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、脂肪族エーテル及び脂環式エーテル等のエーテル類が使用できる。具体的には、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ及びターベン等の炭化水素、塩化メチレン及びトリコロロエタン等のハロゲン炭化水素、ジブチルエーテル、ジオキサン及びテトラヒドロフラン等のエーテル類等がある。これらの溶剤は、ポリシラザンの溶解度や溶剤の蒸発速度、等目的にあわせて選択し、複数の溶剤を混合しても良い。
ポリシラザン含有塗布液中のポリシラザン濃度は目的とするシリカ層厚や塗布液のポットライフによっても異なるが、0.2〜35質量%程度である。
有機ポリシラザンは、そのSiと結合する水素部分が一部アルキル基等で置換された誘導体であってもよい。アルキル基、特に最も分子量の少ないメチル基を有することにより下地基材との接着性が改善され、かつ硬くてもろいシリカ層に靭性を持たせることができ、より層厚を厚くした場合でもクラックの発生が抑えられる。
酸化ケイ素化合物への改質処理を促進するために、アミンや金属の触媒を添加することもできる。具体的には、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製 アクアミカ NAX120−20、NN110、NN310、NN320、NL110A、NL120A、NL150A、NP110、NP140、SP140などが挙げられる。
(2.2.4)ポリシロキサザン
本発明に用いられるポリシロキサザンは、主たる繰り返し単位が−[(SiH(NH)]−と−[(SiHO]−(式中n、m、rは1、2又は3)で示される化合物である。
(2.2.5)触媒
本発明に用いられる無機前駆体を含有する溶液(塗布液ともいう)中には、必要に応じて、触媒を添加することができる。
具体的に示すと、1−メチルピペラジン、1−メチルピペリジン、4,4′−トリメチレンジピペリジン、4,4′−トリメチレンビス(1−メチルピペリジン)、ジアザビシクロ−[2,2,2]オクタン、シス−2,6−ジメチルピペラジン、4−(4−メチルピペリジン)ピリジン、ピリジン、ジピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ピペリジン、ルチジン、ピリミジン、ピリダジン、4,4′−トリメチレンジピリジン、2−(メチルアミノ)ピリジン、ピラジン、キノリン、キノクサリン、トリアジン、ピロール、3−ピロリン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール及び1−メチルピロリジンなどのN−ヘテロ環状化合物;メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、トリペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、ヘプチルアミン、ジヘプチルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、フェニルアミン、ジフェニルアミン及びトリフェニルアミンなどのアミン類;更にDBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]7−ウンデセン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]5−ノネン)、1,5,9−トリアザシクロドデカン及び1,4,7−トリアザシクロノナンなどが挙げられる。
また、有機酸、無機酸、金属カルボン酸塩、アセチルアセトナ錯体及び金属微粒子も好ましい触媒として挙げられる。有機酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、マレイン酸及びステアリン酸などが、また無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、過酸化水素、塩素酸及び次亜塩素酸などが挙げられる。金属カルボン酸塩としては、式:(RCOO)M〔式中、Rは脂肪族基、又は脂環族基で、炭素数1〜22のものを表し、MはNi、Ti、Pt、Rh、Co、Fe、Ru、Os、Pd、Ir及びAlからなる群より選択された少なくとも1種の金属を表し、nはMの原子価である。〕で表される化合物である。金属カルボン酸塩は無水物でも水和物でもよい。アセチルアセトナ錯体としては、アセチルアセトン(2,4−ペンタジオン)から酸解離により生じた陰イオンacacが金属原子に配位した錯体であり、一般的には、式(CHCOCHCOCHM〔式中、Mはイオン価nの金属を表す。〕好適な金属Mとしては、例えば、ニッケル、白金、パラジウム、アルミニウム及びロジウムなどが挙げられる。金属微粒子としては、Au、Ag、Pd及びNiが好ましく、特にAgが好ましい。金属微粒子の粒径は、0.5μmより小さいことが好ましく、0.1μm以下がより好ましく、0.05μmより小さいことがさらに好ましい。これら以外にも、過酸化物、メタルクロライド、フェロセン、ジルコノセンなどの有機金属化合物なども用いることができる。また、シリコーンポリマーの硬化剤として用いられる白金ビニルシロキサンも用いることができる。
これら触媒は、無機前駆体化合物に対して0.01〜10質量%の範囲内で配合することが好ましく、0.05〜2質量%の範囲内で配合することがより好ましい。
(2.3)改質処理
本発明に用いられる無機前駆体化合物の改質処理は、紫外線を用いる場合は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用でき、好ましくは後述するエキシマーランプによる真空紫外線(VUV)が使用されることが好ましい。真空紫外線(VUV)照射に関する詳細は、特開2014−083691号公報段落〔0150〕〜〔0167〕の記載を参照することができる。
例えば、無機前駆体としてポリシラザンを用いる場合は、ポリシラザン層塗膜が受ける塗膜面での真空紫外線の照度は30〜200mW/cmの範囲内であることが好ましく、50〜160mW/cmの範囲内であることがより好ましい。30mW/cm以上であれば、改質効率の低下の懸念がなく、200mW/cm以下であれば、塗膜にアブレーションを生じることがなく、基材にダメージを与えないため好ましい。
ポリシラザン層塗膜面における真空紫外線の照射エネルギー量は、200〜10000mJ/cmの範囲内であることが好ましく、500〜5000mJ/cmの範囲内であることがより好ましい。200mJ/cm以上であれば、改質を十分に行うことができ、10000mJ/cm以下であれば、過剰改質にならずクラック発生や、樹脂基材の熱変形を防止することができる。
(3)内部光取出し層
(3.1)構成及び特性
内部光取出し層2は、透明基材13と透明金属電極1との間に配設されており、透明基材13側から順に、光散乱層2aと平滑層2bとが積層され、構成されていることが好ましい。平滑層は、ガスバリアー層又は光散乱層の上に透明電極及び有機発光層を設けた場合、当該ガスバリアー層又は光散乱層の表面の凹凸に起因する高温・高湿雰囲気下での保存性の劣化や電気的短絡(ショート)等の弊害を防止することを主目的とするものである。
したがって、内部光取出し層は光散乱層と平滑層を有していることが好ましいが、内部光取出し層の表面の弾性率は、15GPa以上、より好ましくは20GPa以上、更に好ましくは25GPa以上、特に好ましくは30GPa以上であり、20〜50GPaの範囲内であることが好ましい。
また、当該平滑層単独の表面の弾性率としては20GPa以上、より好ましくは25GPa以上、特に好ましくは30GPa以上であることが好ましい。光散乱層は平滑層に比べて弾性率が低い方が好ましく、光散乱層の弾性率は0.5〜25GPa、より好ましくは1〜20GPa、更に好ましくは1.5〜15GPa、特に好ましくは1.5〜10GPaである。
内部光取出し層、光散乱層及び平滑層の表面の弾性率を上記範囲内に制御するには、用いるバインダーの種類や光散乱粒子の種類及び充填率など形成する材料の種類、使用量の選択によって適宜行うことができる
また、内部光取出し層2の光波長550nmにおける屈折率は、1.7〜2.5の範囲内であることが好ましい。
有機発光素子の発光層内に閉じ込められる導波モード光や陰極から反射されるプラズモンモード光は特異な光学モードの光であり、これらの光を取り出すためには少なくとも1.7以上の屈折率が必要である。一方、最も高次側のモードであっても屈折率2.5を超える領域の光はほぼ存在せず、これ以上の屈折率としても取り出せる光の量が増えることはない。
実際には、光散乱層2a及び平滑層2bの屈折率が、それぞれ1.7〜2.5の範囲内であることが好ましいが、各層の屈折率を個別に測定することは困難である場合が多いことから、内部光取出し層2全体として、屈折率が上記範囲を満たしていればよい。
なお、屈折率の測定は、25℃の雰囲気下で発光ユニットからの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長の光線を照射し、アッベ屈折率計(ATAGA社製、DR−M2)を用いて行う(光散乱層及び平滑層の屈折率の測定も同様である。)。
また、内部光取出し層2のヘイズ値(全光線透過率に対する散乱透過率の割合)は30%以上であることが好ましい。ヘイズ値が30%以上であれば、発光効率を向上させることができる。
なお、ヘイズ値とは、(i)層中の組成物の屈折率差による影響と、(ii)表面形状による影響とを受けて算出される物性値である。本発明においては、光散乱層2a上に平滑層2bを積層した内部光取出し層2としてのヘイズ値を測定する。すなわち、表面粗さを一定程度未満に抑えてヘイズ値を測定することにより、上記(ii)による影響を排除したヘイズ値が測定されることとなる。
ヘイズ値は、JIS K 7136に準拠して、例えば、ヘイズメーターNDH−2000(日本電色工業社製)にて測定することができる。ヘイズメーターの光源は、5V9Wのハロゲン球とし、受光部は、シリコンフォトセル(比視感度フィルター付き)とし得る。ヘイズの測定は、23℃・55%RHの条件下にて行うことができる。
また、本発明の内部光取出し層2は、光波長450nm〜700nmの平均透過率が50%以上であることが好ましく、55%以上であることがより好ましく、60%以上であることが特に好ましい。ここでいう平均透過率とは、全光線透過率をいい、JIS K 7375:2008に準拠して測定することができる。
内部光取出し層2の透過率は高い方が好ましいが、実際上は80%未満の数値にとどまると想定される。内部光取出し層2の透過率は、より好ましくは85%未満であり、特に好ましくは90%未満である。
(3.2)光散乱層
(3.2.1)屈折率
光散乱層2aは、光波長550nm測定で屈折率が1.7〜3.0の範囲内である高屈折率層であることが好ましい。この場合、光散乱層2aは、屈折率1.7〜3.0の範囲を有する単独の素材で層を形成してもよいし、2種類以上の化合物と混合して屈折率1.7〜3.0の範囲の層を形成してもよい。このような混合系の場合、光散乱層2aの屈折率は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率でも代用可能である。また、この場合、各々の素材の屈折率は、1.7未満若しくは3.0を超えてもよく、混合した層の屈折率として1.7〜3.0の範囲を満たしていればよい。
また、本発明の光散乱層2aは、層媒体と光散乱粒子との混合物による屈折率差を利用した混合光散乱層(散乱膜)である。
光散乱層2aは、光取り出し効率を向上させる層であり、透明基材13の透明金属電極1側の最表面に形成される。
光散乱層2aは、層媒体と該層媒体に含有される光散乱粒子とから構成されている。
層媒体である後述の樹脂材料(モノマー又はバインダー)と含有される光散乱粒子との屈折率差は、0.03以上であり、好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.2以上であり、特に好ましくは0.3以上である。層媒体と光散乱粒子との屈折率差が0.03以上であれば、層媒体と光散乱粒子との界面で散乱効果が発生する。屈折率差が大きいほど、界面での屈折が大きくなり、散乱効果が向上するため好ましい。
(3.2.2)光散乱粒子の平均粒径
光散乱層2aは、上記のように、層媒体と光散乱粒子との屈折率の違いにより光を散乱させる層である。そのため、含有される光散乱粒子としては、可視光域のMie散乱を生じさせる領域以上の粒径を有する透明な粒子であることが好ましく、その平均粒径は0.2μm以上である。
一方、平均粒径の上限としては、粒径がより大きい場合、光散乱粒子を含有した光散乱層2aの粗さを平坦化する平滑層2bの層厚も厚くする必要があり、工程の負荷、層の吸収の観点で不利な点があることから、1μm未満である。
ここで、高屈折率粒子(光散乱粒子)の平均粒径の測定方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)により光散乱粒子の粒子観察を行い、そこから粒子径分布の数平均粒子径として求める方法や、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて平均粒径を求める方法、動的光散乱法による粒径測定装置、例えば、Malvern社製、「ZETASIZERNano Series Nano−ZS」を用いて測定することができる。本発明においては、透過型電子顕微鏡写真(TEM断面)の画像処理により粒径を投影面積として円換算して、その直径を平均粒径として測定する方法を用いることが好ましい。
(3.2.3)光散乱粒子の種類など
光散乱粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、有機微粒子であっても、無機微粒子であってもよいが、中でも高屈折率を有する無機微粒子であることが好ましい。
高屈折率を有する有機微粒子としては、例えば、ポリメチルメタクリレートビーズ、アクリル−スチレン共重合体ビーズ、メラミンビーズ、ポリカーボネートビーズ、スチレンビーズ、架橋ポリスチレンビーズ、ポリ塩化ビニルビーズ及びベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒドビーズ等が挙げられる。
高屈折率を有する無機微粒子としては、例えば、ジルコニウム、チタン、インジウム、亜鉛、アンチモン、セリウム、ニオブ及びタングステン等の中から選ばれる少なくとも一つの酸化物からなる無機酸化物粒子が挙げられる。無機酸化物粒子としては、具体的には、ZrO、TiO、BaTiO、In、ZnO、Sb、ITO、CeO、Nb及びWO等が挙げられ、中でも、TiO、BaTiO、ZrO、CeO及びNbが好ましく、TiOが最も好ましい。また、TiOの中でも、アナターゼ型よりルチル型の方が、触媒活性が低いため高屈折率層や隣接した層の耐候性が高くなり、さらに屈折率が高いことから好ましい。
また、これらの粒子は、高屈折率の光散乱層2aに含有させるために、後述の分散液とした場合の分散性や安定性向上の観点から、触媒活性等の抑制の観点で表面処理を施したものを用いるか、あるいは表面処理を施さないものを用いるかを選択することができる。
表面処理を行う場合、表面処理の具体的な材料としては、酸化ケイ素や酸化ジルコニウム等の異種無機酸化物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、オルガノシロキサン、ステアリン酸等の有機酸等が挙げられる。これら表面処理材は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。中でも、分散液の安定性の観点から、表面処理材としては、異種無機酸化物及び/又は金属水酸化物が好ましく、金属水酸化物がより好ましい。特に、TiO粒子を用いる場合においては、表面処理を行うことが好ましく、表面処理によりTiOの触媒活性を完全に抑制することが好ましい。
無機酸化物粒子が、表面処理材で表面被覆処理されている場合、その被覆量(一般的に、この被覆量は、粒子の質量に対する当該粒子の表面に用いた表面処理材の質量割合で示される。)は、0.01〜99質量%であることが好ましい。表面処理材の被覆量が0.01質量%以上であると、表面処理による分散性や安定性の向上効果を十分に得ることができ、また、99質量%以内であると高屈折率の光散乱層2aの屈折率が低下するのを抑制することができる。
その他、高屈折率材料として、国際公開第2009/014707号や米国特許第6608439号明細書等に記載の量子ドットも好適に用いることができる。
上記高屈折率粒子は、その屈折率が1.7以上であり、1.85以上が好ましく、2.0以上が特に好ましい。屈折率が1.7以上であると、バインダーとの屈折率差が大きくなるため散乱量が増大し、光取り出し効率の向上効果が得られる。
一方で、高屈折率粒子の屈折率の上限は3.0以下である。バインダーとの屈折率差が大きければ十分な散乱量を得ることができ、光取り出し効率の向上効果が得られる。
上記高屈折率粒子の配置は、光散乱粒子が光散乱層2aと平滑層2bとの界面に接触又は近接するように平均粒径の厚さ程度で配置されるのが好ましい。これにより、平滑層2b内で全反射が起きたときに光散乱層2aに染み出してくるエバネッセント光を粒子で散乱させることができ、光取り出し効率が向上する。
高屈折率粒子の光散乱層2aにおける含有量は、体積充填率で、1〜70%の範囲内であることが好ましく、5〜50%の範囲内であることがより好ましい。これにより、光散乱層2aと平滑層2bとの界面に屈折率分布の粗密を作ることができ、光散乱量を増加させて光取り出し効率を向上させることができる。
(3.2.4)層厚と光散乱粒子の平均粒径との関係
光散乱層の層厚をTと、光散乱層に含有される光散乱粒子の平均粒径をDとしたとき、T/Dの値が0.75〜3.0の範囲であることが好ましく、より好ましくは1.0〜2.5の範囲であり、さらに好ましくは1.25〜2.0の範囲である。
図5は光散乱層(大粒子部)と平滑層との積層体の断面の顕微鏡写真であって、光散乱層(大粒子部)の層厚と光散乱粒子の平均粒径との関係の一例を示すものである。
T/Dの値が上記範囲内であると、光散乱粒子に光が衝突する確率が高くなり好ましく、また、光散乱粒子による吸収が適度であり、光の吸収損が小さく好ましい。図5では、T/Dの値が2.0であり好ましい例である。
(3.2.5)光散乱層における光散乱粒子の面内占有率
光散乱層に含有される光散乱粒子の当該光散乱層における面内占有率は30%以上であり、より好ましくは50%以上であり、特に好ましくは70%以上である。
「光散乱粒子の光散乱層における面内占有率」とは、光散乱層を平面視してこれを透視したときに、その面内における光散乱粒子の面積占有率をいう。
図6は、倍率10000倍で光散乱層を平面視・透視した状態を示す顕微鏡写真であって、面内占有率を変動させたときの状態を示すものである。
面内占有率が30%未満であると、光散乱粒子間の空隙が多く、面内占有率が30%以上、好ましくは70%以上であると粒子の密度が高く、光散乱層における光の散乱が最適なものとなる。
(3.3)平滑層
本発明に係る平滑層2bは、光波長550nm測定で屈折率が1.7〜2.5の範囲の高屈折率層であることが好ましい。屈折率が1.7〜2.5の範囲であれば、単独の素材で形成されていてもよいし、混合物で形成されていてもよい。混合物で形成する際の屈折率の考え方は、上記光散乱層2aの場合と同様である。
平滑層2bは、前述のとおり、この上に透明金属電極1を良好に形成させる平坦性を有することが重要であり、その表面性は算術平均粗さRa(平均面粗さRaともいう。)が100nm未満、好ましくは30nm未満、特に好ましくは10nm未満、最も好ましくは5nm未満である。図7に、本発明に係る平滑層2bの算術平均粗さRaの測定結果の一例を示す。
なお、ここでいう「算術平均粗さRa」とは、JIS B0601−2001に準拠して測定した表面粗さを表している。
かかる算術平均粗さRaは、原子間力顕微鏡法(Atomic Force Microscopy;AFM)を用い、極小の先端半径の触針をもつ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が10μmの区間内を3回測定し、微細な凹凸の振幅に関する平均の粗さから求める。
平滑層2bに用いられる樹脂(バインダー)としては、光散乱層2aと同様の後述の樹脂材料が挙げられる。
平滑層2b含有される高屈折材料としては、微粒子ゾルが好ましく、特に金属酸化物微粒子ゾルが好ましい。
高屈折率の平滑層2bに含まれる金属酸化物微粒子の屈折率の下限としては、バルクの状態で1.7以上であることが好ましく、1.85以上であることがより好ましく、2.0以上であることがさらに好ましく、2.5以上であることが特に好ましい。また、金属酸化物微粒子の屈折率の上限としては、3.0以下であることが好ましい。金属酸化物微粒子の屈折率が1.7以上であると本願の目的効果が向上し好ましい。金属酸化物微粒子の屈折率が3.0以下であると平滑層中での多重散乱が減少し、透明性が向上するため好ましい。
高屈折率の平滑層2bに含まれる金属酸化物微粒子(無機粒子)の粒径の下限としては、通常5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、15nm以上であることがさらに好ましい。また、金属酸化物微粒子の粒径の上限としては、70nm以下であることが好ましく、60nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。金属酸化物微粒子の粒径が5nm以上であると、金属酸化物微粒子の凝集を抑えられ、透明性が向上するため好ましい。また、粒径が大きいと表面積が小さくなり、触媒活性が低下し、平滑層2bや隣接した層の劣化が遅延する可能性があり好ましい。金属酸化物微粒子の粒径が70nm以下であると平滑層2bの透明性が向上し好ましい。本発明の効果を損なわない限り、粒径の分布は制限されず、広くても狭くても複数の分布を持っていてもよい。
平滑層2bにおける金属酸化物微粒子の含有量の下限としては、全体質量に対して、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、85質量%以上であることがさらに好ましい。また、金属酸化物微粒子の含有量の上限としては、97質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましい。平滑層2bの金属酸化物微粒子の含有量が70質量%以上であると平滑層2bの屈折率を1.80以上とすることが実質的に容易になる。平滑層2bの金属酸化物微粒子の含有量が95質量%以下であると平滑層2bの塗布が容易となり、乾燥後の層の脆性も小さくなって、耐屈曲性が向上し好ましい。
本発明の平滑層2bに含有される金属酸化物微粒子としては、安定性の観点から、TiO(二酸化チタンゾル)であることがより好ましい。また、TiOの中でも、特にアナターゼ型よりルチル型の方が触媒活性が低いため、平滑層2bや隣接した層の耐候性が高くなり、さらに屈折率が高いことから好ましい。
本発明で用いることのできる二酸化チタンゾルの調製方法としては、例えば、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等を参照することができる。
二酸化チタン微粒子の特に好ましい一次粒子径は、5〜15nmの範囲内であり、最もより好ましくは6〜10nmの範囲内である。
(3.4)光散乱層/平滑層
上記の光散乱層と平滑層とを積層した内部光取出し層は、光波長550nm測定で屈折率が1.7〜2.5の範囲内であることが好ましい。
内部光取出し層は光波長450nm〜700nmの範囲内の光に対する吸収率が15%未満であることが好ましく、より好ましくは12%未満、更に好ましくは10%未満、特に好ましくは8%未満である。吸収率が15%未満であると、発光効率の観点で好ましい。吸収率は少ない側に制約は無く、工業上使用可能な範囲で透明性の高い素材を適時使用することが好ましい。
また光波長450nm〜700nmの範囲内の光に対する吸収率は、各波長の吸収最大値(max値)と吸収最小値(min値)の変動が小さい方が好ましく、min値/max値の比が0.5以上であることが好ましく、0.6以上であることがより好ましく、0.7以上であることが更に好ましく、0.8以上で特に好ましい。min値/max値の比が0.5以上であると、内部光取出し層が着色し、有機発光素子本来の発光スペクトルと異なる発色となり、極端には白色の光を取り出すことができなくなる、といった現象を回避することができる。min値/max値の比は1であることが理想であり、1に近い程好ましいが、工業上使用可能な範囲で可視光透明性の素材を適時使用することが好ましい。
上記のようにして形成される光散乱層/平滑層の積層体としての内部光取出し層において、ヘイズ値が30〜90%の範囲であることが好ましい。かかるヘイズ値はより好ましくは35〜85%の範囲、更に好ましくは40〜80%の範囲、特に好ましくは45〜上75%の範囲である。上記のヘイズ値は、表面形状に拠っても変動するものであり、ここでいう「ヘイズ値」は、AFM(原子間力顕微鏡)で測定される1μmのRaが5nm未満の内部光取出し層に対して測定した値である。
(3.5)内部光取出し層の製造装置と製造方法
(3.5.1)製造装置
図8に示すとおり、製造装置200は、いわゆるロール・トゥ・ロール方式により、ロール状に巻かれた透明基材を、元巻きロール202から巻取りロール204で巻き取り、その巻取り搬送の途中で、透明基材上に内部光取出し層を形成する装置である。
製造装置200は主に搬送部210、インクジェット(以下、IJと略す。)塗布部220、IR乾燥部230、光硬化部240、IJ塗布部250、IR乾燥部260、光硬化部270、搬送部280から構成されている。
搬送部210には複数の搬送ローラー212が設置されている。搬送部210では、搬送ローラー212により元巻きローラー202から透明基材が引き出されながら、透明基材の張力調整などが行われる。
搬送部210にはアキュムレーターを設置することが可能である。搬送部210にアキュムレーターを設置した場合には、連続搬送、間欠搬送の選択が可能となり、搬送部210にアキュムレーターを設置することは好ましい態様である。
IJ塗布部220には搬送ローラー222、プラテン224、IJヘッド226が設置されている。IJ塗布部220では、搬送ローラー222により透明基材が搬送され、その途中で透明基材がプラテン224により支持されながら透明基材に対しIJヘッド226から塗布液が塗布・パターニングされる。
IR乾燥部230には搬送ローラー232、波長制御赤外線ヒーター20が設置されている。IR乾燥部230では、搬送ローラー232により透明基材が搬送され、その途中で塗布・パターニング後の塗布液に対し波長制御赤外線ヒーター20により赤外線が照射され、塗布液が乾燥させられる。
波長制御赤外線ヒーター20は波長3.5μm以上の赤外線の吸収機構を有するもので、外観が円柱状を有しており、図9に示すとおり、主にフィラメント22、保護管24及びフィルター26、28がこの順に同心円状に配置された構成を有している。
波長制御赤外線ヒーター20は、波長3.5μm以上の赤外線を吸収する機能を有している。「波長3.5μm以上の赤外線を吸収する」とは、波長3.5μm以上の遠赤外線領域において、赤外線透過率が50%以下であることをいい、好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下であることをいう。
詳しくは、フィルター26、28自体は、フィラメント22により加熱され高温となるため、自身が赤外線の放射体となり、フィラメント22が発する赤外線より、長波長の赤外線を放射する。しかし、波長制御赤外線ヒーター20では、フィルター26、28の間の中空部30で冷媒(例えば冷却空気)が流通するようになっており、その冷却機能によりフィルター26、28の表面温度を低下させ、例えば石英ガラスで形成されるフィルター26、28が発する2次放射を抑制することができるようになっている。その結果、主に透明基材に吸収領域のある波長3.5μm以上の遠赤外線を減じることができる。そして、被乾燥物には、溶媒の吸収領域である波長3.5μm以下の近赤外線を選択的に照射することで、透明基材を変形させることなく塗布液を乾燥させることができる。
フィルター26、28の材質としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラスなどがあり、耐熱性、耐熱衝撃性の点から石英ガラスが好ましい。
フィルター26、28の厚さ及び枚数は、必要な赤外線スペクトルにより、適宜選択・変更することができる。
冷却機能としては、上記のとおり、波長制御用のフィルターを中空で二重又は多重積層し、間の中空部分に空気を流すことで冷却できる。
フィルター26、28の形状は、上記のとおり、円柱状のフィラメント22全体を同心円状に覆ってもよいし、図14に示すとおり、フィラメント22(及び保護管24)の3方向を反射板32で被覆し、赤外線の放射面側にフィルター26、28を平行板状に配置してもよい。
石英フィルター26、28に加えさらに別のフィルターを配置する多重構造とする場合、冷却用の空気を、フィルター間の中空部同士で互いに逆方向に流すことが冷却効率の点から好ましい。また、排出側の冷却用空気は、系外に排出してもよいし、乾燥工程で使用する熱風の一部として利用してもよい。
ウィーンの変位則によれば、フィラメント温度を昇温させると、放射される赤外線スペクトルの主波長が溶媒の吸収に相当する3.5μm以下となるため、波長制御赤外線ヒーター20のフィラメント22の温度は600℃以上が好ましく、フィラメント22の耐熱性の点から3000℃以下とすることが好ましい。フィラメント温度に応じて、これら溶媒の吸収に相当する波長域の輻射エネルギーを増加させることができ、フィラメント温度は所望の塗布、乾燥条件によって、適宜選択・変更することができる。
被乾燥物側に配置される最外側のフィルター28の表面温度は、自身の赤外線吸収による2次放射を抑制する観点から、200℃以下とすることが好ましく、150℃以下とすることがさらに好ましく、これは二重又は多重に積層されたフィルター間に空気を流すことで調整できる。
また、IR乾燥部230では、その乾燥ゾーンを赤外線反射性の高い材料で構成(被覆)することにより、被乾燥物に吸収されなかった赤外線を高効率で利用できる。
なお、図9及び図10に示すとおり、波長制御赤外線ヒーター20には中空部30で冷媒を流通(循環)させるための冷却機構40が接続され、さらに冷却機構40とフィラメント22とには制御装置50が接続されている。かかる制御回路において、制御装置50により、冷却機構40による中空部30への冷媒の流通量やフィラメント22の発熱温度などが制御される。
図8に示すとおり、光硬化部240には搬送ローラー242、紫外線照射装置244が設置されている。光硬化部240では、搬送ローラー242により透明基材が搬送され、その途中で赤外線照射後の塗布液に対し紫外線照射装置244により紫外線が照射され、塗布液が硬化させられる。
光硬化部240では、紫外線照射装置244に代えて、電子線照射装置も好ましく使用できる。
本発明でいう「紫外線」には、波長150〜230nmの範囲の紫外線(UV光)が特に好ましく用いられる。
紫外線の照射は、照射される塗布物を担持している基材がダメージを受けない範囲で照射強度及び/又は照射時間を設定する。基材としてプラスチックフィルムを用いた場合を例にとると、基材表面の強度が10〜300mW/cmの範囲内になるように基材−ランプ間距離を設定し、0.1秒〜10分間の範囲内、好ましくは0.5秒〜3分の範囲内の照射を行うことが好ましい。
紫外線照射装置は、市販のランプ(例えば、ウシオ電機製)を使用することが可能である。
紫外線は、ほとんどの物質の原子間結合力より大きいため、原子の結合を光量子プロセスと呼ばれる光子のみによる作用により、直接切断することが可能であるため好ましく用いることができる。この作用を用いることにより、加水分解を必要とせず低温でかつ効率的に改質処理が可能となる。
これに必要な紫外線照射装置244の紫外線光源としては、具体的には、100〜230nmの範囲内の紫外線を発する希ガスエキシマーランプが挙げられる。
Xe、Kr、Ar、Ne等の希ガスの原子は、化学的に結合して分子を作らないため、不活性ガスと呼ばれる。しかし、放電などによりエネルギーを得た希ガスの原子(励起原子)は、他の原子と結合して分子を作ることができる。
本発明で特に好適な現在実用可能なエキシマーランプとしては、172nmのXeランプ、222nmKrClランプ等を上げることができるが、これらに限定されるものではない。
例えば、希ガスがXe(キセノン)の場合には、下記反応式で示されるように、励起されたエキシマー分子であるXe が基底状態に遷移するときに、172nmのエキシマー光を発光する。
e+Xe→Xe
Xe+2Xe→Xe +Xe
Xe →Xe+Xe+hν(172nm)
エキシマーランプの特徴としては、放射が一つの波長に集中し、必要な光以外がほとんど放射されないので効率が高いことが挙げられる。また、余分な光が放射されないので、対象物の温度を比較的低く保つことができる。さらには、始動・再始動に時間を要さないので、瞬時の点灯点滅が可能である。
エキシマー光を効率よく照射する光源としては、誘電体バリアー放電ランプが挙げられる。
誘電体バリアー放電ランプの構成としては、電極間に誘電体を介して放電を起こすものであり、一般的には、誘電体からなる放電容器とその外部とに少なくとも一方の電極が配置されていればよい。誘電体バリアー放電ランプとして、例えば、石英ガラスで構成された太い管と細い管とからなる二重円筒状の放電容器中にキセノン等の希ガスが封入され、該放電容器の外部に網状の第1の電極を設け、内管の内側に他の電極を設けたものがある。誘電体バリアー放電ランプは、電極間に高周波電圧等を加えることによって放電容器内部に誘電体バリアー放電を発生させ、該放電により生成されたキセノン等のエキシマー分子が解離する際にエキシマー光を発生させる。
エキシマーランプは、光の発生効率が高いため、低い電力の投入で点灯させることが可能である。また、温度上昇の要因となる波長の長い光は発せず、紫外線領域の単一波長でエネルギーを照射するため、照射光自体による照射対象物の温度上昇を抑えられる特徴を持っている。
エキシマー発光を得るには誘電体バリアー放電を用いる方法が知られている。誘電体バリアー放電とは両電極間に誘電体(エキシマーランプの場合は透明石英)を介してガス空間を配し、電極に数10kHzの高周波高電圧を印加することによりガス空間に生じる、雷に似た非常に細いマイクロディスチャージ(micro discharge)と呼ばれる放電で、マイクロディスチャージ(micro discharge)のストリーマが管壁(誘電体)に達すると誘電体表面に電荷が溜まるため、マイクロディスチャージ(micro discharge)は消滅する。
このマイクロディスチャージ(micro discharge)が管壁全体に広がり、生成・消滅を繰り返している放電である。このため肉眼でも分かる光のチラツキを生じる。また、非常に温度の高いストリーマが局所的に直接管壁に達するため、管壁の劣化を早める可能性もある。
効率よくエキシマー発光を得る方法としては、誘電体バリアー放電以外に無電極電界放電でも可能である。容量性結合による無電極電界放電で、別名RF放電とも呼ばれる。ランプと電極及びその配置は基本的には誘電体バリアー放電と同じで良いが、両極間に印加される高周波は数MHzで点灯される。無電極電界放電はこのように空間的にまた時間的に一様な放電が得られるため、チラツキがない長寿命のランプが得られる。
誘電体バリアー放電の場合はマイクロディスチャージ(micro discharge)が電極間のみで生じるため、放電空間全体で放電を行わせるには外側の電極は外表面全体を覆い、かつ外部に光を取り出すために光を透過するものでなければならない。
このため細い金属線を網状にした電極が用いられる。この電極は光を遮らないようにできるだけ細い線が用いられるため、酸素雰囲気中では紫外線により発生するオゾンなどにより損傷しやすい。
これを防ぐためにはランプの周囲、すなわち照射装置内を窒素などの不活性ガスの雰囲気にし、合成石英の窓を設けて照射光を取り出す必要が生じる。合成石英の窓は高価な消耗品であるばかりでなく、光の損失も生じる。
二重円筒型ランプは外径が25mm程度であるため、ランプ軸の直下とランプ側面では照射面までの距離の差が無視できず、照度に大きな差を生じる。したがって仮にランプを密着して並べても、一様な照度分布が得られない。合成石英の窓を設けた照射装置にすれば酸素雰囲気中の距離を一様にでき、一様な照度分布が得られる。
無電極電界放電を用いた場合には外部電極を網状にする必要はない。ランプ外面の一部に外部電極を設けるだけでグロー放電は放電空間全体に広がる。外部電極には通常アルミのブロックで作られた光の反射板を兼ねた電極がランプ背面に使用される。しかし、ランプの外径は誘電体バリアー放電の場合と同様に大きいため一様な照度分布にするためには合成石英が必要となる。
細管エキシマーランプの最大の特徴は構造がシンプルなことである。石英管の両端を閉じ、内部にエキシマー発光を行うためのガスを封入しているだけである。
細管ランプの管の外径は6〜12mm程度で、余り太いと始動に高い電圧が必要になる。
放電の形態は誘電体バリアー放電でも無電極電界放電のいずれでも使用できる。電極の形状はランプに接する面が平面であっても良いが、ランプの曲面に合わせた形状にすればランプをしっかり固定できるとともに、電極がランプに密着することにより放電がより安定する。また、アルミで曲面を鏡面にすれば光の反射板にもなる。
Xeエキシマーランプは波長の短い172nmの紫外線を単一波長で放射することから発光効率に優れている。この光は、酸素の吸収係数が大きいため、微量な酸素でラジカルな酸素原子種やオゾンを高濃度で発生することができる。
また、有機物の結合を解離させる波長の短い172nmの光のエネルギーは能力が高いことが知られている。
この活性酸素やオゾンと紫外線放射が持つ高いエネルギーによって、短時間での反応を実現できる。
したがって、波長185nm、254nmの光を発する低圧水銀ランプやプラズマと比べて高スループットに伴うプロセス時間の短縮や設備面積の縮小、熱によるダメージを受けやすい有機材料やプラスチック基材などへの照射を可能としている。
エキシマーランプは光の発生効率が高いため低い電力の投入で点灯させることが可能である。また、光による温度上昇の要因となる波長の長い光は発せず、紫外線領域で単一波長でエネルギーを照射するため、解射対象物の表面温度の上昇が抑えられる特徴を持っている。このため、熱の影響を受けやすいとされるPETなどのフレシキブルフィルム材料に適している。
照射強度が高ければ、光子と塗布液内の化学結合が衝突する確率が増え、改質反応を短時間化することができる。また、内部まで侵入する光子の数も増加するため改質層厚も増加及び/又は層質の良化(高密度化)が可能である。
ただし、照射時間を長くしすぎると平面性の劣化や他の材料にダメージを与える場合がある。一般的には、照射強度と照射時間の積で表される積算光量で反応進行具合を考えるが、酸化シリコンのように組成は同一でも、様々な構造形態をとる材料においては、照射強度の絶対値が重要になる場合もある。
〈紫外線の照射強度〉
したがって、光硬化部240では、基材のダメージ、ランプやランプユニットの部材のダメージを抑制する観点から、少なくとも1回は100〜200mW/cmの最大照射強度を与える改質処理を行うことが好ましい。
〈紫外線の照射時間〉
紫外線の照射時間は、任意に設定可能であるが、基材ダメージや層欠陥生成の観点から高照度工程での照射時間は0.1秒〜3分間が好ましく、更に好ましくは、0.5秒〜1分である。
〈紫外線照射時の酸素濃度〉
紫外線として真空紫外線(VUV)を使用するとき、真空紫外線照射時の酸素濃度は500〜10000ppm(1%)とすることが好ましく、更に好ましくは、1000〜5000ppmである。
前記の酸素濃度の範囲に調整することにより、大気との置換時間が不必要に長くなるのを防ぎ、同時に、ロール・トゥ・ロールのような連続生産を行う場合にウエッブ搬送によって真空紫外線(VUV)照射庫内に巻き込む空気量(酸素を含む。)の増大を防ぎ、酸素濃度の調整不能になることを防ぐことができる。
また、本発明者らの検討によると、塗布液中には、塗布時に酸素及び微量の水分が混入し、更には塗布液以外の透明基材にも吸着酸素や吸着水があり、照射庫内に敢えて酸素を導入しなくとも改質反応に要する酸素を供給する酸素源は十分にあることが分かった。
むしろ、酸素ガスが多く(数%レベル)含まれる雰囲気でVUV光を照射した場合、塗布液が酸素過多の構造となる。
また、前述したように172nmの真空紫外線(VUV)が、酸素により吸収され塗布液の表面に到達する172nmの光量が減少してしまい、光による処理の効率を低下しやすい。
すなわち、真空紫外線(VUV)照射時には、できるだけ酸素濃度の低い状態で、VUV光が効率よく塗布物まで到達する状態で処理することが好ましい。
この点はCVD等の原子堆積法のように、あらかじめ制御された組成比の層を堆積して作製する方法と、塗布による前駆体層作製及び改質処理という方法との大きく異なる点であり、大気圧下の塗布法に独特な点である。
真空紫外線(VUV)照射時にこれら酸素以外のガスとしては乾燥不活性ガスとすることが好ましく、特にコストの観点から乾燥窒素ガスにすることが好ましい。酸素濃度の調整は照射庫内へ導入する酸素ガス、不活性ガスの流量を計測し、流量比を変えることで調整可能である。
図8に示すとおり、IJ塗布部250も、IJ塗布部220と同様の構成・作用を有しており、搬送ローラー252により透明基材が搬送され、その途中で透明基材がプラテン254により支持されながら透明基材に対しIJヘッド256から塗布液が塗布・パターニングされる。
IR乾燥部260も、IR乾燥部230と同様の構成・作用を有しており、搬送ローラー262により透明基材が搬送され、その途中で塗布・パターニング後の塗布液に対し波長制御赤外線ヒーター264により赤外線が照射され、塗布液が乾燥させられる。波長制御赤外線ヒーター264は波長制御赤外線ヒーター20と同様のものである。
光硬化部270も、光硬化部240と同様の構成・作用を有しており、搬送ローラー272により透明基材が搬送され、その途中で赤外線照射後の塗布液に対し紫外線照射装置274により紫外線が照射され、塗布液が硬化させられる。紫外線照射装置274は紫外線照射装置244と同様のものである。
搬送部280も、搬送部210と同様の構成・作用を有しており、搬送ローラー282により透明基材が搬送されながら透明基材の張力調整などが行われ、透明基材が元巻きロール204に巻き取られる。
(3.5.2)製造方法
まず、透明基材13上に光散乱層2aを形成し、その後に光散乱層2a上に平滑層2bを形成する。
(3.5.2.1)光散乱層
光散乱層2aを形成する工程では、主に下記(i)〜(iii)の工程を経て、光散乱層
2aを形成する。
(i)一定の塗布液を透明基材13上に塗布・パターニングする
(ii)塗布・パターニング後の塗布液を乾燥させる
(iii)乾燥後の塗布液を硬化させる
(i)の塗布・パターニング工程では、平均粒径が0.2〜1μmの範囲でかつ波長550nm測定での屈折率が1.7〜3.0の範囲の光散乱粒子を、ヒドロキシ基含有溶媒に分散させた樹脂材料溶液を調製し、これを塗布液として透明基材13上に塗布する。
かかる場合に、IJ塗布部220において、一定のパターン形状を形成しながら塗布液をIJ塗布しパターニングする。
〈塗布液〉
媒体となる樹脂材料(ポリマー)溶液(溶媒としては、光散乱粒子の溶解しないものを用いる。)に上記光散乱粒子を分散させ、これを塗布液とする。
光散乱粒子は、実際には、多分散粒子であることや規則的に配置することが難しいことから、局部的には回折効果を有するものの、多くは散乱により光の方向を変化させ光取り出し効率を向上させる。
本発明のバインダーとしては、公知の樹脂(バインダー)が特に制限なく使用可能であり、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン(Ny)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド及びポリエーテルイミド等の樹脂フィルム、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルム(製品名Sila−DEC、チッソ株式会社製)、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン)の他、含フッ素モノマーと架橋性基付与のためのモノマーを構成単位とする含フッ素共重合体等が挙げられる。これら樹脂は、2種以上混合して使用することができる。これらの中でも、有機無機ハイブリッド構造を有するものが好ましい。
また、以下の親水性樹脂を使うことも可能である。親水性樹脂としては水溶性の樹脂、水分散性の樹脂、コロイド分散樹脂又はそれらの混合物が挙げられる。親水性樹脂としては、アクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系及びフッ素系等の樹脂が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、カゼイン、デンプン、寒天、カラギーナン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、セルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、プルラン及び水溶性ポリビニルブチラール等のポリマーを挙げることができるが、本発明で好ましく使用できる樹脂としては、ガスバリアー層に劣らぬ高弾性体であることが好ましく、ガスバリアー層のバインダーや有機無機ハイブリッド構造を有するものや後述する硬化性樹脂類が特に好ましい。
バインダー樹脂として用いられるポリマーは、1種類を単独で用いてもよいし、必要に応じて2種類以上を混合して使用してもよい。
また、同様に、従来公知の樹脂粒子(エマルジョン)等も好適に使用可能である。
また、バインダーとしては、主として紫外線・電子線によって硬化する樹脂、すなわち、電離放射線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂も好適に使用できる。
このようなバインダー樹脂としては、飽和炭化水素又はポリエーテルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることがより好ましい。
また、バインダーは架橋していることが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋しているバインダーを得るためには、二つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。
また、本発明では、特定の雰囲気下で紫外線照射によって、金属酸化物、金属窒化物又は金属酸化窒化物を形成しうる化合物が特に好適に使用される。本発明に適する化合物としては、特開平8−112879号公報に記載されている比較的低温で改質処理され得る化合物が好ましい。
具体的には、Si−O−Si結合を有するポリシロキサン(ポリシルセスキオキサンを含む)、Si−N−Si結合を有するポリシラザン及びSi−O−Si結合とSi−N−Si結合の両方を含むポリシロキサザン等を挙げることができる。これらは、2種以上を混合して使用することができる。また、異なる化合物を逐次積層したり、同時積層したりしても使用可能である。
これらポリシロキサン(ポリシルセスキオキサンを含む)、ポリシラザン及びポリシロキサザンは、前述の透明基材のガスバリアー層において説明したものと同様である。
塗布液に使用される溶媒はヒドロキシ基(−OH基)を含有することが重要である。
−OH基を含有する溶媒により光散乱粒子(高屈折率粒子)の分散性が非常に良好となり、上述の透明基材との密着性、塗れ性も良好となり、理由は明確ではないが、光取り出し効率が向上する。また本発明では、可撓性の透明基材の吸収が低い赤外波長域を効率よく吸収する溶媒により、可撓性の透明基材上での高速乾燥をも実現できる。
本発明では、−OH基含有溶媒を含有してなることを一つの特徴とし、−OH基含有溶媒を少なくとも10%以上含有することが好ましいが、−OH基含有の溶媒を50%以上含有することがより好ましく、更に好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上含有する。
また本発明では沸点120〜250℃の溶媒を少なくとも1種以上含有することが好ましく、より好ましくは、沸点150〜200℃の溶媒を少なくとも1種以上含有することが好ましい。中でも特に沸点150〜200℃の溶媒が−OH基を含有することが非常に好ましい。沸点150℃以上において−OH基を有しない溶媒は含有しない方が好ましく、このような溶媒は30%未満、より好ましくは20%未満、特に好ましくは10%未満に抑えることが重要である。
−OH基を含有する溶媒としては、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、n−アミルアルコールsec−アミルアルコール):CHCHCHCH(OH)CH、3−ペンタノール:CHCHCH(OH)CHCH、2−メチル−1−ブタノール:CHCHCH(CH)CHOH、3−メチル−1−ブタノール(イソアミルアルコール):CHCH(CH)CHCHOH、2−メチル−2−ブタノール(tert−アミルアルコール):CHCHC(CHOH、3−メチル−2−ブタノール:CHCH(CH)CH(OH)CH及び2,2−ジメチル−1−プロパノールなどが挙げられ、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチセロ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチセロ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチセロ)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールモノブチルエーテルなどの多価アルコール誘導体などを挙げることができる。
また溶媒として、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメトキシメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコール、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、グリセリン、モノアセチン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン及び2−フェノキシエタノールを用いることができる。
さらに溶媒として、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−ペンタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、n−ノニルアルコール、トリデシルアルコール、n−ウンデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベンジルアルコール、4−ヒドロキシ−2−ブタノン、ジアセトンアルコール、モノエタノールアミン、2−アミノエタノール、N−メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、2−ジブチルアミノエタノール、2−ジイソプロピルアミノエタノール、N−メチル−ジエタノールアミン、ジエタノールアミン、2,2′−(n−エチル)イミノジエタノール、2,2′−(n−ブチル)イミノジエタノール、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール及び3−アミノ−1−プロパノールを用いることもできる。
なお、(i)の塗布・パターニング工程では、パターニング方法として、公知の印刷方法を広く用いることができる。例えばグラビア、フレキソ、スクリーン、マイクロコンタクト、インクジェット等各種方式が好適に使用できるが、版を用いないインクジェットが最も好ましい方法である。
(ii)の乾燥工程では、IR乾燥部230において、波長3.5μmを超える赤外線を吸収する波長制御赤外線ヒーター20を用いて、塗布・パターニング後の塗布液に対し、赤外線を照射して塗布液を乾燥させる。
赤外線として、中心波長が1〜3.5μmの領域に存在しかつ全出力の積算値の70%以上がその領域に存在する赤外線を照射する。
赤外線の「中心波長が1〜3.5μmの領域に存在する」とは、フィラメント温度が450℃以上2600℃以内の範囲にあることをいい、かかる温度範囲はウィーンの変位則によって導き出される。
乾燥処理の条件として特に制限はないが、赤外線フィラメント及び波長制御フィルターの表面温度により、照射時間を調節することができる。例えば、フィラメント温度が450〜2600℃(好ましくは600〜1200℃)で、波長制御フィルター表面温度が200℃未満(好ましくは150℃未満)で、照射時間が10秒〜30分の乾燥処理をすることができる。これにより、層厚分布の高い均一性、高いパターニング精度を有する光散乱層2aを得ることができる。
(iii)の硬化工程では、光硬化部240において、乾燥後の塗布膜に対し、光を照射して塗布液を硬化させる。
塗布膜中のバインダーとしての電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化方法としては、電離放射線硬化型樹脂組成物の通常の硬化方法、すなわち、電子線又は紫外線の照射によって硬化することができる。
電子線硬化の場合には、コックロフワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される10〜1000keV、好ましくは30〜300keVのエネルギーを有する電子線等が使用される。これらの中でも特に電子線強度の弱い物が好ましく、浜松ホトニクス社製の電子線光源『EBエンジン』等が特に好ましく適用できる。
紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用でき、好ましくは上記のとおりエキシマーランプによる紫外線が使用される。
(3.5.2.2)平滑層
平滑層2bを形成する工程でも、光散乱層2aを形成する場合と同様に、下記(iv)〜(vi)の工程を経て、平滑層2bを形成する。
(iv)IJ塗布部250において、一定の塗布液を透明基材13上に塗布・パターニングする
(v)IR乾燥部260において、塗布・パターニング後の塗布液を乾燥させる
(vi)光硬化部270において、乾燥後の塗布液を硬化させる
なお、(iv)の塗布・パターニング工程では、塗布液として、(i)の塗布・パターニング工程で説明したものと同様のものを使用することができ、(i)と(iv)との各工程で同じ組成の塗布液を使用してもよいし、異なる組成の塗布液を使用してもよい。
本発明での好ましい態様は、平滑層の弾性率が光散乱層よりも高く、ガスバリアー層に近い弾性率を有することである。この観点で平滑層は有機無機ハイブリッド材料であることが好ましく、無機元素比率が50%以上、好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上であり、用いられるバインダーも無機バインダーも若しくは有機無機ハイブリッドバインダーであることが好ましく、特に好ましくはポリシロキサン(ポリシルセスキオキサンを含む)、Si−N−Si結合を有するポリシラザン、Si−O−Si結合とSi−N−Si結合の両方を含むポリシロキサザン構造を有するものである。更にこれらの構造が50%以上好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上であることが特に好ましい。
また、内部光取出し層の製造方法においては、(iii)の硬化工程と(vi)の硬化工程とは必ずしも必須ではなく、(iii)と(vi)との工程のうち、いずれか一方の工程が省略されてもよいし、双方の工程が省略されてもよい。
(4)透明金属電極
有機発光素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。
図4に示す透明金属電極1は、透明基材13側から、下地層1aと、この上部に成膜された電極層1bとを順に積層した2層構造である。このうち、電極層1bは、銀又は銀を主成分とする合金を用いて構成された層であり、下地層1aは、例えば、窒素原子を含んだ化合物を用いて構成された層である。
なお、透明金属電極1の透明とは、光波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいう。
(4.1)下地層
下地層1aは、電極層1bの透明基材13側に設けられる層である。下地層1aを構成する材料としては、特に限定されるものではなく、銀又は銀を主成分とする合金からなる電極層1bの成膜に際し、銀の凝集を抑制できるものであればよく、例えば、窒素原子を含んだ化合物等が挙げられる。
下地層1aが、低屈折率材料(屈折率1.7未満)からなる場合、その膜厚の上限としては、50nm未満である必要があり、30nm未満であることが好ましく、10nm未満であることがさらに好ましく、5nm未満であることが特に好ましい。膜厚を50nm未満とすることにより、光学的ロスを最小限に抑えられる。一方、膜厚の下限としては、0.05nm以上が必要であり、0.1nm以上であることが好ましくは、0.3nm以上であることが特に好ましい。膜厚を0.05nm以上とすることにより、下地層1aの成膜を均一とし、その効果(銀の凝集抑制)を均一とすることができる。
下地層1aが、高屈折率材料(屈折率1.7以上)からなる場合、その膜厚の上限としては特に制限はなく、膜厚の下限としては上記低屈折率材料からなる場合と同様である。
ただし、単なる下地層1aの機能としては、均一な成膜が得られる必要膜厚で形成されれば十分である。
また、下地層1aが平滑層1bを兼ねる構成も好ましい態様であり、この場合、平滑層1bとして必要な表面平滑性を確保できるように設計すること、電極材の下地層1aとして機能を発揮できることの両立が必要である。
この場合の内部光取出し層2及び透明金属電極1の構成としては、透明基材13側から順に、平滑層2bを有しない、光散乱層2a、下地層1a、電極層1bとする構成や、光散乱層2a、平滑層2b、電極層1b、下地層1aとする構成とすることもできる(図示略)。
下地層1aが単層で平滑層1bとして機能する場合は、平滑層1bに準じた膜厚であることが好ましい。
下地層1aの成膜方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法等のドライプロセスを用いる方法等が挙げられる。中でも、蒸着法が好ましく適用される。
下地層1aを構成する窒素原子を含んだ化合物としては、分子内に窒素原子を含んでいる化合物であれば特に限定されないが、窒素原子をヘテロ原子とした複素環を有する化合物であることが好ましい。窒素原子をヘテロ原子とした複素環としては、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、アゾリジン、アゾール、アジナン、ピリジン、アゼパン、アゼピン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾリン、ピラジン、モルホリン、チアジン、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、カルバゾール、ベンゾ−C−シンノリン、ポルフィリン、クロリン、コリン等が挙げられる。
(4.2)電極層
(4.2.1)電極層の構成
電極層1bは、通常有機発光素子に使用可能な全ての電極を使用することができる。具体的には、アルミニウム、銀、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/同混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属、酸化インジウム・スズ(SnO−In:Indium Tin Oxide:ITO)、ZnO、TiO、SnO等の酸化物半導体等が挙げられる。
中でも、銀又は銀を主成分とした合金を用いて構成された層であることが好ましく、下地層1a上に成膜された層である。銀又は銀を主成分とする合金を用いた電極であると、薄層化、フレキシブル化ができ、割れ等への耐性が向上するため好ましい。
このような電極層1bの成膜方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法等のウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法等のドライプロセスを用いる方法等が挙げられる。中でも、蒸着法が好ましく適用される。
また、電極層1bは、下地層1a上に成膜されることにより、電極層1b成膜後の高温アニール処理等がなくても十分に導電性を有することを特徴とするが、必要に応じて、成膜後に高温アニール処理等を行ったものであってもよい。
電極層1bを構成する銀(Ag)を主成分とする合金としては、例えば、銀マグネシウム(AgMg)、銀銅(AgCu)、銀パラジウム(AgPd)、銀パラジウム銅(AgPdCu)、銀インジウム(AgIn)等が挙げられる。
以上のような電極層1bは、銀又は銀を主成分とした合金の層が、必要に応じて複数の層に分けて積層された構成であってもよい。
さらに、この電極層1bは、膜厚が4〜9nmの範囲内にあることが好ましい。膜厚が9nmより薄い場合には、層の吸収成分又は反射成分が少なく、透明金属電極の透過率が大きくなる。また、膜厚が4nmより厚い場合には、層の導電性を十分に確保することができる。
なお、以上のような下地層1aとこの上部に成膜された電極層1bとからなる積層構造の透明金属電極1は、電極層1bの上部が保護膜で覆われていたり、別の電極層が積層されていてもよい。この場合、透明金属電極1の光透過性を損なうことのないように、保護膜及び別の電極層が光透過性を有することが好ましい。
(4.2.2)透明金属電極の効果
以上のような構成の透明金属電極1は、例えば、窒素原子を含んだ化合物を用いて構成された下地層1a上に、銀又は銀を主成分とする合金からなる電極層1bを設けた構成である。これにより、下地層1aの上部に電極層1bを成膜する際には、電極層1bを構成する銀原子が下地層1aを構成する窒素原子を含んだ化合物と相互作用し、銀原子の下地層1a表面においての拡散距離が減少し、銀の凝集が抑えられる。
ここで、一般的に銀を主成分とした電極層1bの成膜においては、核成長型(Volumer−Weber:VW型)で薄膜成長するため、銀粒子が島状に孤立しやすく、膜厚が薄いときは導電性を得ることが困難であり、シート抵抗値が高くなる。したがって、導電性を確保するには膜厚を厚くする必要があるが、膜厚を厚くすると光透過率が下がるため、透明金属電極としては不適であった。
しかしながら、透明金属電極1によれば、上述したように下地層1a上において銀の凝集が抑えられるため、銀又は銀を主成分とする合金からなる電極層1bの成膜においては、単層成長型(Frank−van der Merwe:FM型)で薄膜成長するようになる。
また、ここで、透明金属電極1の透明とは、光波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいうが、下地層1aとして用いられる上述した各材料は、銀又は銀を主成分とする合金からなる電極層1bと比較して十分に光透過性の良好な膜である。一方、透明金属電極1の導電性は、主に、電極層1bによって確保される。したがって、上述のように、銀又は銀を主成分とする合金からなる電極層1bが、より薄い膜厚で導電性が確保されたものとなることにより、透明金属電極1の導電性の向上と光透過性の向上との両立を図ることが可能になるのである。
(5)有機発光層
(5.1)発光層
有機発光層103には少なくとも発光層103cが含まれる。
本発明に用いられる発光層103cには、発光材料としてリン光発光化合物が含有されていることが好ましい。なお、発光材料として、蛍光材料が使用されても良いし、リン光発光化合物と蛍光材料とを併用しても良い。
この発光層103cは、電極又は電子輸送層103dから注入された電子と、正孔輸送層103bから注入された正孔とが再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層103cの層内であっても発光層103cと隣接する層との界面であっても良い。
このような発光層103cとしては、含まれる発光材料が発光要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。また、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あっても良い。この場合、各発光層103c間には、非発光性の中間層(図示略)を有していることが好ましい。
発光層103cの層厚の総和は1〜100nmの範囲内にあることが好ましく、より低い駆動電圧を得ることができることから1〜30nmの範囲内であることがより好ましい。
なお、発光層103cの層厚の総和とは、発光層103c間に非発光性の中間層が存在する場合には、当該中間層も含む層厚である。
複数層を積層した構成の発光層103cの場合、個々の発光層の層厚としては、1〜50nmの範囲内に調整することが好ましく、更に、1〜20nmの範囲内に調整することがより好ましい。積層された複数の発光層が、青、緑、赤のそれぞれの発光色に対応する場合、青、緑、赤の各発光層の層厚の関係については、特に制限はない。
以上のような発光層103cは、公知の発光材料やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜形成方法により成膜して形成することができる。
発光層に含まれる発光ドーパント(発光ドーパント化合物ともいう)、ホスト化合物について説明する。
(5.1.1)ホスト化合物(発光ホスト等ともいう。)
本発明に用いられるホスト化合物とは、発光層に含有される化合物の内でその層中での質量比が20%以上であり、かつ室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物と定義される。好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での質量比が20%以上であることが好ましい。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、又は複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機発光素子を高効率化することができる。また、後述する発光ドーパントを複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
また、本発明に用いられる発光ホストとしては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でも良い。
併用してもよい公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等。
本発明に用いられる発光ドーパントについて説明する。
より発光効率の高い有機発光素子を得る観点から、本発明の有機発光素子の発光層としては、上記のホスト化合物を含有すると同時に、リン光ドーパントを含有することが好ましい。
(5.1.2)リン光ドーパント
本発明に用いられるリン光ドーパントは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に用いられるリン光ドーパントは、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
リン光ドーパントの発光は原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光ドーパントに移動させることでリン光ドーパントからの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つはリン光ドーパントがキャリアトラップとなり、リン光ドーパント上でキャリアの再結合が起こりリン光ドーパントからの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、リン光ドーパントの励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
リン光ドーパントは、有機発光素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。
本発明に用いられるリン光ドーパントとしては、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、又は白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
以下に、リン光ドーパントとして用いられる化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
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上記のリン光発光性化合物(リン光発光性金属錯体等ともいう)は、例えば、Organic Letter誌,vol3,No.16,2579〜2581頁(2001)、Inorganic Chemistry,第30巻,第8号,1685〜1687頁(1991年)、J.Am.Chem.Soc.,123巻,4304頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第40巻,第7号,1704〜1711頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第41巻,第12号,3055〜3066頁(2002年)、New Journal of Chemistry.,第26巻,1171頁(2002年)、European Journal of Organic Chemistry,第4巻,695〜709頁(2004年)、さらにこれらの文献中に記載の参考文献等の方法を適用することにより合成できる。
(5.1.3)蛍光性化合物
蛍光性化合物としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
(5.2)注入層(正孔注入層、電子注入層)
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と発光層103cの間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層103aと電子注入層103eとがある。
注入層は、必要に応じて設けることができる。正孔注入層103aであれば、アノードと発光層103c又は正孔輸送層103bの間、電子注入層103eであればカソードと発光層103c又は電子輸送層103dとの間に存在させても良い。
正孔注入層103aは、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン層、酸化バナジウムに代表される酸化物層、アモルファスカーボン層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子層等が挙げられる。
電子注入層103eは、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属層、フッ化カリウムに代表されるアルカリ金属ハライド層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物層、酸化モリブデンに代表される酸化物層等が挙げられる。本発明の電子注入層103eはごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその層厚は1nm〜10μmの範囲が好ましい。
(5.3)正孔輸送層
正孔輸送層103bは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層103a、電子阻止層も正孔輸送層103bに含まれる。正孔輸送層103bは単層又は複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであっても良い。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、さらには米国特許第5061569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが三つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.,Applied Physics Letters,80(2002),p.139に記載されているようないわゆる、p型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層103bは、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層103bの層厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmの範囲である。この正孔輸送層103bは、上記材料の1種又は2種以上からなる1層構造であっても良い。
また、正孔輸送層103bの材料に不純物をドープしてp性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
このように、正孔輸送層103bのp性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
(5.4)電子輸送層
電子輸送層103dは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層103e、正孔阻止層(図示略)も電子輸送層103dに含まれる。電子輸送層103dは単層構造又は複数層の積層構造として設けることができる。
単層構造の電子輸送層103d、及び、積層構造の電子輸送層103dにおいて、発光層103cに隣接する層部分を構成する電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、カソードより注入された電子を発光層103cに伝達する機能を有していれば良い。このような材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン、アントロン誘導体及びオキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送層103dの材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送層103dの材料として用いることができる。
その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送層103dの材料として好ましく用いることができる。また、発光層103cの材料としても例示されるジスチリルピラジン誘導体も電子輸送層103dの材料として用いることができるし、正孔注入層103a、正孔輸送層103bと同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送層103dの材料として用いることができる。
電子輸送層103dは、上記材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層103dの層厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmの範囲である。電子輸送層103dは上記材料の1種又は2種以上からなる1層構造であっても良い。
また、電子輸送層103dに不純物をドープし、n性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。さらに電子輸送層103dには、カリウムやカリウム化合物などを含有させることが好ましい。カリウム化合物としては、例えば、フッ化カリウム等を用いることができる。このように電子輸送層103dのn性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができる。
また電子輸送層103dの材料(電子輸送性化合物)として、上述した下地層101aを構成する材料と同様のものを用いても良い。これは、電子注入層103eを兼ねた電子輸送層103dであっても同様であり、上述した下地層101aを構成する材料と同様のものを用いても良い。
(5.5)阻止層(正孔阻止層、電子阻止層)
阻止層は、有機発光層103として、上記各機能層の他に、更に設けられていても良い。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは、広い意味では、電子輸送層103dの機能を有する。正孔阻止層は、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層103dの構成を必要に応じて、本発明に用いられる正孔阻止層として用いることができる。正孔阻止層は、発光層103cに隣接して設けられていることが好ましい。
一方、電子阻止層とは、広い意味では、正孔輸送層103bの機能を有する。電子阻止層は、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、正孔輸送層103bの構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に用いられる正孔阻止層の層厚としては、好ましくは3〜100nmの範囲であり、さらに好ましくは5〜30nmの範囲である。
以上挙げた正孔注入層103a、正孔輸送層103b、発光層103c、電子輸送層103d、電子注入層103eの各層の製膜は、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、印刷法等があるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法又はスピンコート法が特に好ましい。さらに、層ごとに異なる成膜法を適用してもよい。これらの各層の成膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃の範囲、真空度1×10−6〜1×10−2Paの範囲、蒸着速度0.01〜50nm/秒の範囲、基材温度−50〜300℃の範囲、層厚0.1〜5μmの範囲で、各条件を適宜選択することが望ましい。
(6)対向電極
対向電極5aは、有機発光層3に電子を供給するカソードとして機能する電極膜であり、金属、合金、有機又は無機の導電性化合物、及びこれらの混合物が用いられる。具体的には、アルミニウム、銀、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属、ITO、ZnO、TiO、SnO等の酸化物半導体等が挙げられる。
対向電極5aは、これらの導電性材料を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより作製することができる。また、対向電極5aとしてのシート抵抗は、数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常5nm〜5μmの範囲内、好ましくは5〜200nmの範囲内で選ばれる。
なお、この有機発光素子10が、対向電極5a側からも発光光hを取り出すものである場合であれば、上述した導電性材料のうち光透過性の良好な導電性材料を選択して対向電極5aを構成すればよい。
(7)取り出し電極
取り出し電極16は、透明金属電極1と外部電源とを電気的に接続するものであって、その材料としては特に限定されるものではなく公知の素材を好適に使用できるが、例えば、3層構造からなるMAM電極(Mo/Al・Nd合金/Mo)等の金属膜を用いることができる。
(8)補助電極
補助電極15は、透明金属電極1の抵抗を下げる目的で設けるものであって、透明金属電極1の電極層1bに接して設けられる。補助電極15を形成する材料は、金、白金、銀、銅、アルミニウム等の抵抗が低い金属が好ましい。これらの金属は光透過性が低いため、光取り出し面13aからの発光光hの取り出しの影響のない範囲でパターン形成される。
このような補助電極15の形成方法としては、蒸着法、スパッタリング法、印刷法、インクジェット法、エアロゾルジェット法等が挙げられる。補助電極15の線幅は、光を取り出す開口率の観点から50μm以下であることが好ましく、補助電極15の厚さは、導電性の観点から1μ以上であることが好ましい。
(9)封止材
封止材17は、有機発光素子10を覆うものであって、板状(フィルム状)の封止部材で接着剤19によって透明基材13側に固定されるものであってもよく、また、封止膜であってもよい。このような封止材17は、有機発光素子10における透明金属電極1及び対向電極5aの端子部分を露出させ、少なくとも有機発光層3を覆う状態で設けられている。また、封止材17に電極を設け、有機発光素子10の透明金属電極1及び対向電極5aの端子部分と、この電極とを導通させるように構成されていてもよい。
板状(フィルム状)の封止材17としては透明基板13と同様に可撓性を有することが好ましく、具体的には、可撓性ガラス基材、ポリマー基材、金属基材等が挙げられ、これらの基材材料をさらに薄型のフィルム状にして用いてもよい。ガラス基材としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー基材としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属基材としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブデン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる1種以上の金属又は合金からなるものが挙げられる。
なかでも、素子を薄膜化できるということから、封止材としてポリマー基材や金属基材を薄型のフィルム状にしたものを好ましく使用することができる。
さらには、フィルム状としたポリマー基材は、JIS K 7126:1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24h・atm)以下、JIS K 7129:1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%)が、1×10−3g/(m・24h)以下のものであることが好ましい。
また、以上のような基材材料は、凹板状に加工して封止材17として用いてもよい。この場合、上述した基材部材に対して、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等の加工が施され、凹状が形成される。
また、このような板状の封止材17を透明基材13側に固定するための接着剤19は、封止材17と透明基材13との間に挟持された有機発光素子10を封止するためのシール剤として用いられる。このような接着剤19は、具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。
また、このような接着剤19としては、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
なお、有機発光素子10を構成する有機材料は、熱処理により劣化する場合がある。このため、接着剤19は、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、接着剤19中に乾燥剤を分散させておいてもよい。
封止材17と透明基材13との接着部分への接着剤19の塗布は、市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また、板状の封止材17と透明基材13と接着剤19との間に隙間が形成される場合、この間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、ヨウ化バリウム、ヨウ化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
一方、封止材17として封止膜を用いる場合、有機発光素子10における有機発光層3を完全に覆い、かつ有機発光素子10における透明金属電極1及び対向電極5aの端子部分を露出させる状態で、透明基材13上に封止膜が設けられる。
このような封止膜は、無機材料や有機材料を用いて構成される。特に、水分や酸素等、有機発光素子10における有機発光層3の劣化をもたらす物質の浸入を抑制する機能を有する材料で構成されることとする。このような材料として、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等の無機材料が用いられる。さらに、封止膜の脆弱性を改良するために、これら無機材料からなる膜とともに、有機材料からなる膜を用いて積層構造としてもよい。
これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
(10)保護膜、保護板
なお、ここでの図示は省略したが、透明基材13との間に有機発光素子10及び封止材17を挟んで保護膜若しくは保護板を設けてもよい。この保護膜若しくは保護板は、有機発光素子10を機械的に保護するためのものであり、特に封止材17が封止膜である場合には、有機発光素子10に対する機械的な保護が十分ではないため、このような保護膜若しくは保護板を設けることが好ましい。
以上のような保護膜若しくは保護板は、ガラス板、ポリマー板、これよりも薄型のポリマーフィルム、金属板、これよりも薄型の金属フィルム、又はポリマー材料膜や金属材料膜が適用される。このうち、特に、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
≪有機発光素子の製造方法≫
ここでは、一例として、図4に示す有機発光素子10の製造方法を説明する。
まず、内部光取出し層2を形成した透明基材13を準備し、内部光取出し層2(平滑層2b)上に、例えば、窒素原子を含んだ化合物からなる下地層1aを、1μm以下、好ましくは10〜100nmの範囲内の層厚になるように蒸着法等の適宜の方法により形成する。
次に、銀(又は銀を主成分とする合金)からなる電極層1bを、12nm以下、好ましくは4〜9nmの層厚になるように、蒸着法等の適宜の方法により下地層1a上に形成し、アノードとなる透明金属電極1を作製する。同時に、透明金属電極1端部に、外部電源と接続される取り出し電極16を蒸着法等の適宜の方法に形成する。
次に、この上に、正孔注入層3a、正孔輸送層3b、発光層3c、電子輸送層3d、電子注入層3eの順に積層し、有機発光層3を形成する。
これらの各層の形成は、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、印刷法等があるが、均質な層が得られやすく、かつ、ピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法又はスピンコート法が特に好ましい。さらに層ごとに異なる形成法を適用してもよい。これらの各層の形成に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度1×10−6〜1×10−2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基材温度−50〜300℃、層厚0.1〜5μmの範囲内で、各条件を適宜選択することが望ましい。
好ましくは、有機発光層3の形成では、その形成領域を、断面視した場合に、内部光取出し層2が形成された位置(領域)とほぼ完全に重ならせ、有機発光層3で生じた発光光hが内部光取出し層2で有効に取り出されるようにするのがよい。
以上のようにして有機発光層3を形成した後、この上部にカソードとなる対向電極5aを、蒸着法やスパッタ法などの適宜の形成法によって形成する。この際、対向電極5aは、有機発光層3によって透明金属電極1に対して絶縁状態を保ちつつ、有機発光層3の上方から透明基材13の周縁に端子部分を引き出した形状にパターン形成する。これにより、有機発光素子10が得られる。また、その後には、有機発光素子10における透明金属電極1(取り出し電極16)及び対向電極5aの端子部分を露出させた状態で、少なくとも有機発光層3を覆う封止材17を設ける。
以上により、透明基材13上に所望の有機発光素子10が得られる。このような有機発光素子10の作製においては、1回の真空引きで一貫して有機発光層3から対向電極5aまで作製するのが好ましいが、途中で真空雰囲気から透明基材13を取り出して異なる形成法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
このようにして得られた有機発光素子10に直流電圧を印加する場合には、アノードである透明金属電極1を+の極性とし、カソードである対向電極5aを−の極性として、電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また、交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
〈有機発光素子の効果〉
以上説明した本発明の有機発光素子10は、導電性と光透過性とを兼ね備えた透明金属電極1と透明基材13との間に、内部光取出し層2を設けた構成である。これにより、透明金属電極1と透明基材13との間の全反射ロスを低減し、発光効率を向上させることができる。
また、有機発光素子10は、透明金属電極1をアノードとして用い、この上部に有機発光層3とカソードとなる対向電極5aとを設けた構成である。このため、透明金属電極1と対向電極5aとの間に十分な電圧を印加して有機発光素子10での高輝度発光を実現しつつ、透明金属電極1側からの発光光hの取り出し効率が向上することによる高輝度化を図ることが可能である。さらに、所定輝度を得るための駆動電圧の低減による発光寿命の向上を図ることも可能になる。
≪有機発光素子の用途≫
本発明の有機発光素子は、面発光体であるため各種の発光光源として用いることができる。例えば、家庭用照明や車内照明等の照明装置、時計や液晶用のバックライト、看板広告用照明、信号機の光源、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等で、面発光体である特徴を活かした使用方法が挙げられる。
特に、本発明の有機発光素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。この場合、近年の照明装置及びディスプレイの大型化にともない、有機発光素子を設けた発光パネル同士を平面的に接合する、いわゆるタイリングによって発光面を大面積化してもよい。
動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。また、異なる発光色を有する本発明の有機発光素子を2種以上使用することにより、カラー又はフルカラー表示装置を作製することが可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
<有機発光素子No.1(比較例)の作製>
(1)透明基材の準備
可撓性透明基材として、市販のポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)基材(厚さ125μm)を選択し、当該基材上に、特開2012−116101号公報の実施例1を参照にして、ガスバリアー層を形成した。
具体的には、両面に易接着加工された幅500mm、厚さ125μmのポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、極低熱収PET Q83)の片面に、JSR株式会社製 UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材OPSTAR Z7535を、塗布・乾燥後の層厚が4μmになるように塗布した後、硬化条件;1.0J/cm、空気雰囲気下、高圧水銀ランプ使用、乾燥条件;80℃、3分で硬化を行い、ブリードアウト防止層を形成した。
続けて、上記樹脂基材の反対面に、JSR株式会社製 UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材OPSTAR Z7501を、塗布・乾燥後の層厚が4μmになるように塗布した後、乾燥条件;80℃、3分で乾燥後、空気雰囲気下、高圧水銀ランプ使用、硬化条件;1.0J/cmで硬化を行い、平坦層を形成した。
得られた平坦層の最大断面高さRt(p)は、JIS B 0601で規定される表面粗さで、16nmであった。
なお、表面粗さは、SII社製のAFM(原子間力顕微鏡)SPI3800N DFMを用いて測定した。1回の測定範囲は10μm×10μmとし、測定箇所を変えて3回の測定を行い、それぞれの測定で得られたRtの値を平均したものを測定値とした。
上記のように作製した樹脂基材の厚さは、133μmであった。
次いで、樹脂基材の平坦層表面に、無機前駆体化合物を含有する塗布液を、減圧押し出し方式のコーターを用いて、乾燥層厚が150nmとなるように、1層目のガスバリアー層を塗布した。
無機前駆体化合物を含有する塗布液は、無触媒のパーヒドロポリシラザン20質量%ジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製アクアミカ NN120−20)とアミン触媒を固形分の5質量%含有するパーヒドロポリシラザン20質量%ジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製アクアミカ NAX120−20)とを混合して用い、アミン触媒を固形分の1質量%に調整した後、さらに、ジブチルエーテルで希釈することにより5質量%ジブチルエーテル溶液として作製した。
塗布後、乾燥温度80℃、乾燥時間300秒、乾燥雰囲気の露点5℃の条件下で乾燥させた。
乾燥後、樹脂基材を25℃まで徐冷し、真空紫外線照射装置内で、塗布面に真空紫外線照射による改質処理を行った。真空紫外線照射装置の光源としては、172nmの真空紫外線を照射する二重管構造を有するXeエキシマーランプを用いた。
〈改質処理装置〉
株式会社エム・ディ・コム製エキシマー照射装置MODEL:MECL−M−1−200、波長172nm、ランプ封入ガス Xe
〈改質処理条件〉
エキシマー光強度 3J/cm(172nm)
ステージ加熱温度 100℃
照射装置内の酸素濃度 1000ppm
改質処理後、ガスバリアー層を形成した基材を、上記と同様にして乾燥させ、さらに、同条件にて2回目の改質処理を行い、乾燥層厚150nmのガスバリアー層を形成した。
次いで、1層目のガスバリアー層と同様にして、1層目のガスバリアー層上に2層目のガスバリアー層を形成し、ガスバリアー層を有するPETフィルムを作製した。
上記のガスバリアー層付PETフィルムを60×80mmに断裁し、テフロン(登録商標)枠に固定(張力100N/m相当)し、以下の操作を行った。
(2)内部光取出し層の作製
有機発光素子No.1は内部光取り出し層は形成せず、下記透明電極及び有機発光層を直接前記PET基材上に形成した。
(3)透明電極の作製
上記PET基材を、市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、下記化合物10をタンタル製抵抗加熱ボートに入れ、これらの基材ホルダーと加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、第2真空槽内に取り付けた。
この状態で、まず、第1真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、下記化合物10の入った加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲内で基材上に層厚25nmの下記化合物10からなる下地層を設けた。
次いで、下地層まで形成した基材を真空のまま第2真空槽に移し、第2真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銀の入った加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲内で、基材(下地層)上に層厚8nmの銀からなる電極層を形成し、下地層と電極層との積層構造からなる透明金属電極を作製した。
Figure 0006288086
(4)有機発光層の形成
透明金属電極が形成された透明基材を、中央部に幅30mm×30mmの開口部があるマスクと重ねて市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定した。また真空蒸着装置内の加熱ボートの各々に、有機発光層を構成する各材料を、それぞれの層の形成に最適な量で充填した。
なお、加熱ボートはタングステン製抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
次いで、真空蒸着装置の蒸着室内を真空度4×10−4Paまで減圧し、各材料が入った加熱ボートを順次通電して加熱することにより、以下のように各層を形成した。
まず、正孔輸送注入材料として下記構造式に示すα−NPDが入った加熱ボートに通電して加熱し、α−NPDよりなる正孔注入層と正孔輸送層とを兼ねた正孔輸送注入層を、透明金属電極を構成する電極層上に形成した。この際、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒、層厚140nmとした。
Figure 0006288086
次に、下記構造式に示すホスト材料H4の入った加熱ボートと、下記構造式に示すリン光発光性化合物Ir−4の入った加熱ボートとを、それぞれ独立に通電し、ホスト材料H4とリン光発光性化合物Ir−4とよりなる発光層を、正孔輸送注入層上に形成した。この際、蒸着速度がホスト材料H4:リン光発光性化合物Ir−4=100:6となるように、加熱ボートの通電を調節した。また層厚30nmとした。
次いで、正孔阻止材料として下記構造式に示すBAlqが入った加熱ボートに通電して加熱し、BAlqよりなる正孔阻止層を、発光層上に形成した。この際、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒、層厚10nmとした。
Figure 0006288086
その後、電子輸送材料としてトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)の入った加熱ボートと、フッ化カリウムの入った加熱ボートとを、それぞれ独立に通電し、Alqとフッ化カリウムとよりなる電子輸送層を、正孔阻止層上に形成した。この際、蒸着速度がAlq:フッ化カリウム=75:25になるように、加熱ボートの通電を調節した。また層厚30nmとした。
次に、電子注入材料としてフッ化カリウムの入った加熱ボートに通電して加熱し、フッ化カリウムよりなる電子注入層を、電子輸送層上に形成した。この際、蒸着速度0.01〜0.02nm/秒、層厚1nmとした。
(5)対向電極の作製及び封止
(5.1)対向電極
その後、電子注入層まで形成した透明基材を、アルミニウム(Al)を入れたタングステン製の抵抗加熱ボートが取り付けられた第2真空槽へ真空状態を保持したまま移送した。アノードと直行するように配置された幅20mm×50mmの開口部があるマスクと重ねて固定した。次いで、処理室内において、成膜速度0.3〜0.5nm/秒で、膜厚100nmのAlからなる反射性の対向電極をカソードとして成膜した。
<粘着剤組成物の調製>
ポリイソブチレン系樹脂(A)として「オパノールB50(BASF製、Mw:34万)」100質量部、ポリブテン樹脂(B)として「日石ポリブテン グレードHV−1900(新日本石油社製、Mw:1900)」30質量部、ヒンダードアミン系光安定剤(C)として「TINUVIN765(BASF・ジャパン製、3級のヒンダードアミン基を有する)」0.5質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)として「IRGANOX1010(BASF・ジャパン製、ヒンダードフェノール基のβ位が二つともターシャリーブチル基を有する)」0.5質量部、及び環状オレフィン系重合体(E)として「Eastotac H−100L Resin(イーストマンケミカル.Co.製)」50質量部を、トルエンに溶解し、固形分濃度約25質量%の粘着剤組成物を調製した。
(5.2)封止
<封止用粘着シートの作製>
封止材として、アルミニウム(Al)が蒸着されたポリエチレンテレフタレートフィルム「アルペット12/34(アジアアルミ(株)製)」を封止フィルムとして用い、調製した上記粘着剤組成物の溶液を乾燥後に形成される粘着剤層の厚さが20μmとなるようにアルミニウム側(ガスバリアー層側)に塗工し、120℃で2分間乾燥させて粘着剤層を形成した。次に、形成した粘着剤層面に対して、剥離シートとして、厚さ38μmの剥離処理をしたポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離処理面を貼付して、封止用粘着シートを作製した。
上述の方法で作製した封止用粘着シートを、45×60mmのサイズで準備し、窒素雰囲気下において、剥離シートを除去し、120℃に加熱したホットプレート上で10分間乾燥した後、室温まで低下するのを確認してから、有機発光素子の陰極を完全に覆う形でラミネートし、90℃で10分加熱し、有機発光素子を作製した。
また、アノードである透明金属電極とカソードである対向電極に関し、正孔輸送注入層〜電子輸送層までの有機発光層によって絶縁された状態で、透明基材の周縁に端子部分を引き出した。
以上の操作によって、有機発光素子No.1(比較例)を作製した。
<有機発光素子No.2(比較例)の作製>
有機発光素子No.1で用いたガスバリー層を形成したPET基材上に、下記(2)内部光取出し層を形成し、形成した内部光取出し層上に、有機発光素子No.1と同様にして、透明電極、有機発光層、対向電極を形成し、封止して有機発光素子No.2(比較例)を作製した。
(2)内部光取出し層(光散乱層及び平滑層)の形成
(2.1)光散乱層の形成
光散乱層調液として、屈折率2.4、平均粒径0.25μmのTiO粒子(テイカ(株)製 JR600A)と樹脂溶液としてPGM溶液(MMA/MAA=8/2 Mw=20000)の共重合体との固形分比率が70体積%/30体積%、n−プロピルアセテートとシクロヘキサノンとの溶媒比が10質量%/90質量%、固形分濃度が15質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
(上記MMAは、メチルメタクリレート、MAAはメチルアクリレートを表す。)
具体的には、上記TiO粒子と溶媒とを混合し、常温で冷却しながら、超音波分散機(エスエムテー社製 UH−50)に、マイクロチップステップ(エスエムテー社製 MS−3 3mmφ)の標準条件で10分間分散を加え、TiOの分散液を作製した。
次いで、TiO分散液を100rpmで撹拌しながら、樹脂を少量ずつ混合添加し、添加完了後、500rpmまで撹拌速度を上げ、10分間混合し、光散乱層塗布液を得た。
その後、疎水性PVDF 0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の光散乱層塗布液を得た。
上記塗布液をスピン塗布(500rpm、30秒)にて基材上に回転塗布した後、簡易乾燥(80℃、2分)し、さらに下記波長制御IR(赤外線)で基材温度80℃未満の出力条件で5分間乾燥処理を実行し、層厚0.3μmの光散乱層を得た。当該光散乱層の弾性率は0.5GPaだった。
〈波長制御IR:波長制御赤外線ヒーターによる輻射伝熱乾燥〉
IR照射装置(アルティメットヒーター/カーボン、明々工業株式会社製)に、波長3.5μm以上の赤外線を吸収する石英ガラス板2枚を取り付け、ガラス板間に冷却空気を流したものを使用した(図10参照)。
冷却風は、200L/minとし、管面石英ガラス温度は120℃未満に抑えた。
石英ガラスフィルターの赤外線透過率を図11に示す。
石英ガラスフィルターの有無による赤外線スペクトルを図12に示す。
図12中、点線部はフィルター無しのスペクトルを、実線部はフィルター有りのスペクトルをそれぞれ示しており、波長1μmからほぼ3μmまでの各スペクトルは重複している。
(2.2)平滑層の形成
上記形成した光散乱層上に平滑層を形成した。
平滑層調液として、屈折率2.4、平均粒径0.02μmのナノTiO分散液(テイカ(株)製 HDT−760T)と樹脂溶液としてPGM溶液(MMA/MAA=8/2、Mw=20000の共重合体))との固形分比率が45体積%/55体積%、n−プロピルアセテートとシクロヘキサノンとトルエンとの溶媒比が20質量%/30質量%/50質量%、固形分濃度が15質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
具体的には、上記ナノTiO分散液と溶媒を混合し、100rpmで撹拌しながら、樹脂を少量ずつ混合添加し、添加完了後、500rpmまで撹拌速度を上げ、10分間混合し、平滑層塗布液を得た。
その後、疎水性PVDF 0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の平滑層塗布液を得た。
上記塗布液をスピン塗布(500rpm、30秒)にて光散乱層上に回転塗布した後、簡易乾燥(80℃、2分)し、さらに、前記波長制御IRで基材温度80℃未満の出力条件で5分間乾燥処理を実行し、層厚0.7μmの平滑層を形成し、内部光取出し層を作製した。
なお、平滑層単層での屈折率は1.85であった。
上記のようにして作製した内部光取出し層の透過率Tは67%、ヘイズ値Hzは50%であった。ヘイズ値は、JIS K 7136に準拠して、ヘイズメーターNDH−2000(日本電色工業社製)にて、23℃・55%RHの条件下で測定した。
また、D542に基づきソプラ社のエリプソメーターを用いて、内部光取出し層全体の光波長550nmにおける屈折率を測定したところ、1.85であった。
<有機発光素子No.3(比較例)の作製>
有機発光素子No.1で用いたガスバリー層を形成したPET基材上に、下記(2)内部光取出し層を形成し、形成した内部光取出し層上に、有機発光素子No.1と同様にして、透明電極、有機発光層、対向電極を形成し、封止して有機発光素子No.3(比較例)を作製した。
(2)内部光取出し層(光散乱層及び平滑層)の形成
(2.1)光散乱層の形成
有機発光素子No.2と同様にして光散乱層を形成した。
(2.2)平滑層の形成
上記形成した光散乱層上に、層厚600nmの下記平滑層を形成した。
形成した光散乱層表面に、下記無機前駆体化合物を含有する塗布液を、減圧押し出し方式のコーターを用いて、乾燥層厚が150nmとなるように、平滑層の1層目を塗布した。
無機前駆体化合物を含有する塗布液は、無触媒のパーヒドロポリシラザン20質量%ジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製アクアミカ NN120−20)とアミン触媒を固形分の5質量%含有するパーヒドロポリシラザン20質量%ジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製アクアミカ NAX120−20)とを混合して用い、アミン触媒を固形分の1質量%に調整した後、さらに、ジブチルエーテルで希釈することにより5質量%ジブチルエーテル溶液として作製した。
塗布後、記波長制御IRで基材温度80℃、乾燥時間5分、乾燥雰囲気の露点5℃の条件下で乾燥させた。
乾燥後、樹脂基材を25℃まで徐冷し、真空紫外線照射装置内で、塗布面に真空紫外線照射による改質処理を行った。真空紫外線照射装置の光源としては、172nmの真空紫外線を照射する二重管構造を有するXeエキシマーランプを用いた。
〈改質処理装置〉
株式会社エム・ディ・コム製エキシマー照射装置MODEL:MECL−M−1−200、波長172nm、ランプ封入ガス Xe
〈改質処理条件〉
エキシマー光強度 3J/cm(172nm)
ステージ加熱温度 100℃
照射装置内の酸素濃度 1000ppm
改質処理後、更に同様にして、2層目、3層目、4層目まで積層し、更に80℃Dry環境で1か月放置し、ポリシラザンの反応を進めて、平滑層を形成した。
<有機発光素子No.4(実施例)の作製>
有機発光素子No.1で用いたガスバリー層を形成したPET基材上に、下記(2)内部光取出し層を形成し、形成した内部光取出し層上に、有機発光素子No.1と同様にして、透明電極、有機発光層、対向電極を形成し、封止して有機発光素子No.4(実施例)を作製した。
(2)内部光取出し層(光散乱層及び平滑層)の形成
(2.1)光散乱層の形成
光散乱層調液として、屈折率2.4、平均粒径0.25μmのTiO粒子(テイカ(株)製 JR600A)と樹脂溶液(APM社製 ED230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))との固形分比率が70体積%/30体積%、プロピレングリコールモノメチルエーテル、固形分濃度が15質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
具体的には、上記TiO粒子と溶媒とを混合し、常温で冷却しながら、超音波分散機(エスエムテー社製 UH−50)に、マイクロチップステップ(エスエムテー社製 MS−3 3mmφ)の標準条件で10分間分散を加え、TiOの分散液を作製した。
次いで、TiO分散液を100rpmで撹拌しながら、樹脂を少量ずつ混合添加し、添加完了後、500rpmまで撹拌速度を上げ、10分間混合し、光散乱層塗布液を得た。
その後、疎水性PVDF 0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の光散乱層塗布液を得た。
上記塗布液をスピン塗布(500rpm、30秒)にて基材上に回転塗布した後、簡易乾燥(80℃、2分)し、さらに前記波長制御IRで基材温度80℃未満の出力条件で5分間乾燥処理を実行した。
次いで、乾燥後、樹脂基材を25℃まで徐冷し、真空紫外線照射装置内で、塗布面に真空紫外線照射による改質処理を行った。真空紫外線照射装置の光源としては、222nmの真空紫外線を照射する二重管構造を有するXeエキシマーランプを用いた。
〈改質処理装置〉
株式会社エム・ディ・コム製エキシマー照射装置MODEL:MEIRH−M−1−200−222−H−KM−G、波長222nm、ランプ封入ガス KrCl
〈改質処理条件〉
エキシマー光強度 2J/cm(222nm)
ステージ加熱温度 60℃
照射装置内の酸素濃度 大気
上記処理条件にて硬化反応を促進し、層厚0.3μmの光散乱層を得た。当該光散乱層の弾性率は7.5GPaであった。
(2.2)平滑層の形成
次いで、平滑層調液として、屈折率2.4、平均粒径0.02μmのナノTiO分散液(テイカ(株)製 HDT−760T)と樹脂溶液(APM社製 ED230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))との固形分比率が45体積%/55体積%、プロピレングリコールモノメチルエーテルとトルエンとの溶媒比が50質量%/50質量%、固形分濃度が15質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
具体的には、上記ナノTiO分散液と溶媒を混合し、100rpmで撹拌しながら、樹脂を少量ずつ混合添加し、添加完了後、500rpmまで撹拌速度を上げ、10分間混合し、平滑層塗布液を得た。
その後、疎水性PVDF 0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の平滑層塗布液を得た。
上記塗布液をスピン塗布(500rpm、30秒)にて光散乱層上に回転塗布した後、簡易乾燥(80℃、2分)し、さらに、前記波長制御IRで基材温度80℃未満の出力条件で5分間乾燥処理を実行した。
乾燥後、樹脂基材を25℃まで徐冷し、真空紫外線照射装置内で、塗布面に真空紫外線照射による改質処理を行った。真空紫外線照射装置の光源としては、222nmの真空紫外線を照射する二重管構造を有するXeエキシマーランプを用いた。
〈改質処理装置〉
株式会社エム・ディ・コム製エキシマー照射装置MODEL:MEIRH−M−1−200−222−H−KM−G、波長222nm、ランプ封入ガス KrCl
〈改質処理条件〉
エキシマー光強度 2J/cm(222nm)
ステージ加熱温度 60℃
照射装置内の酸素濃度 大気
上記処理条件にて硬化反応を促進し、層厚0.7μmの平滑層を形成し、内部光取出し層を作製した。
なお、平滑層単層での屈折率は1.85であった。
上記のようにして作製した内部光取出し層の透過率Tは67%、ヘイズ値Hzは50%であった。
また、D542に基づきソプラ社のエリプソメーターを用いて、内部光取出し層全体の光波長550nmにおける屈折率を測定したところ、1.85であった。
<有機発光素子No.5(実施例)の作製>
有機発光素子No.1で用いたガスバリー層を形成したPET基材上に、下記(2)内部光取出し層を形成し、形成した内部光取出し層上に、有機発光素子No.1と同様にして、透明電極、有機発光層、対向電極を形成し、封止して有機発光素子No.5(実施例)を作製した。
(2)内部光取出し層(光散乱層及び平滑層)の形成
(2.1)光散乱層の形成
有機発光素子No.4と同様にして光散乱層を形成した。
(2.2)平滑層の形成
平滑層として以下の塗布液を塗布した4層積層体に変更し、600nmの膜を形成した光散乱層上に、下記無機前駆体化合物を含有する塗布液を、減圧押し出し方式のコーターを用いて、乾燥層厚が150nmとなるように、平滑層の1層目を塗布した。
無機前駆体化合物を含有する塗布液は、無触媒のパーヒドロポリシラザン20質量%ジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製アクアミカ NN120−20)とアミン触媒を固形分の5質量%含有するパーヒドロポリシラザン20質量%ジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製アクアミカ NAX120−20)とを混合して用い、アミン触媒を固形分の1質量%に調整した後、平均粒径0.02μmのナノTiO分散50%トルエン液(テイカ(株)製 HDT−760T)とポリシラザンを2:1の体積比で混合し、トルエン/ジブチルエーテル混合液で希釈することにより5質量%塗布液として作製した。
塗布後、前記波長制御IRで基材温度80℃未満の出力条件で5分間、乾燥雰囲気の露点5℃の条件下で乾燥処理を実行した。
乾燥後、樹脂基材を25℃まで徐冷し、真空紫外線照射装置内で、塗布面に真空紫外線照射による改質処理を行った。真空紫外線照射装置の光源としては、172nmの真空紫外線を照射する二重管構造を有するXeエキシマーランプを用いた。
〈改質処理装置〉
株式会社エム・ディ・コム製エキシマー照射装置MODEL:MECL−M−1−200、波長172nm、ランプ封入ガス Xe
〈改質処理条件〉
エキシマー光強度 3J/cm(172nm)
ステージ加熱温度 100℃
照射装置内の酸素濃度 1000ppm
改質処理後、更に2層目、3層目、4層目まで積層し、更に80℃Dry環境で1か月放置し、ポリシラザンの反応を進めた。
<有機発光素子No.6(実施例)の作製>
有機発光素子No.5の素子の改質処理後、更に80℃Dry環境で1日放置した。
<有機発光素子No.7(比較例)の作製>
有機発光素子No.5の素子の改質処理後、更に80℃Dry環境で1か月放置し、ポリシラザンの反応を進めた。
<有機発光素子No.8(比較例)の作製>
有機発光素子No.2で、電極を以下のITO電極に変更し、かつ、光散乱層のみを設け、平滑層を設けなかった以外は有機発光素子No.2と同様に作製した。
(3)透明電極の作製(ITO電極)
前記形成した内部光散乱層上に、厚さ150nmのITO(酸化インジウム・スズ(Indiumu Tin Oxide:ITO))を市販のスパッタリング装置を用いて、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、DC−500Wで130秒間蒸着し成膜した。
<有機発光素子No.9(実施例)の作製>
有機発光素子No.4で、電極を上記ITO電極に変更した以外は有機発光素子No.4と同様に作製した。
<有機発光素子No.10(実施例)の作製>
有機発光素子No.4で、支持体のPET基材をポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、テオネックス 極低熱収PEN Q83)に変更した以外は有機発光素子No.4と同様に作製した。
<有機発光素子No.11(実施例)の作製>
有機発光素子No.5で、支持体のPET基材をポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、テオネックス 極低熱収PEN Q83)に変更した以外は有機発光素子No.5と同様に作製した。
<有機発光素子No.12(比較例)の作製>
有機発光素子No.4で、支持体をガスバリアー層を形成していないPETフィルム基材に変更した以外は有機発光素子No.4と同様に作製した。
<有機発光素子No.13(実施例)の作製>
有機発光素子No.4で、光散乱層を以下の光散乱層に変更した以外は有機発光素子No.4と同様に作製した。
(2)内部光取出し層(光散乱層)の形成
(2.1)光散乱層の形成
下記無機前駆体化合物を含有する塗布液を、減圧押し出し方式のコーターを用いて、乾燥層厚が150nmとなるように、光散乱層の1層目を塗布した。
無機前駆体化合物を含有する塗布液は、無触媒のパーヒドロポリシラザン20質量%ジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製アクアミカ NN120−20)とアミン触媒を固形分の5質量%含有するパーヒドロポリシラザン20質量%ジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製アクアミカ NAX120−20)とを混合して用い、アミン触媒を固形分の1質量%に調整した後、屈折率2.4、平均粒径0.25μmのTiO粒子(テイカ(株)製 JR600A)との固形分比率が50体積%/50体積%、トルエン/ジブチルエーテル混合液で希釈することにより5質量%塗布液となるように、10ml量の比率で処方設計した。
具体的には、上記TiO粒子と溶媒とを混合し、常温で冷却しながら、超音波分散機(エスエムテー社製 UH−50)に、マイクロチップステップ(エスエムテー社製 MS−3 3mmφ)の標準条件で10分間分散を加え、TiOの分散液を作製した。
次いで、TiO分散液を100rpmで撹拌しながら、樹脂を少量ずつ混合添加し、添加完了後、500rpmまで撹拌速度を上げ、10分間混合し、光散乱層塗布液を得た。
その後、疎水性PVDF 0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の光散乱層塗布液を得た。
上記塗布液を減圧押し出し方式のコーターを用いて、乾燥層厚が150nmとなるように、光散乱層層の1層目を塗布した後、簡易乾燥(80℃、2分)し、さらに前記波長制御IRで基材温度80℃未満の出力条件で5分間乾燥処理を実行した。
次いで、乾燥後、樹脂基材を25℃まで徐冷し、真空紫外線照射装置内で、塗布面に真空紫外線照射による改質処理を行った。真空紫外線照射装置の光源としては、以下の真空紫外線を照射する二重管構造を有するXeエキシマーランプを用いた。
〈改質処理装置〉
株式会社エム・ディ・コム製エキシマー照射装置MODEL:MECL−M−1−200、波長172nm、ランプ封入ガス Xe
〈改質処理条件〉
エキシマー光強度 3J/cm(172nm)
ステージ加熱温度 100℃
照射装置内の酸素濃度 1000ppm
改質処理後、更に2層目まで光散乱層を積層した。当該光散乱層の弾性率は20GPaであった。
≪透明基材及び内部光取出し層の表面の弾性率測定≫
前記作製したガスバリアー層を形成した透明基材及び内部光取出し層について、前述のHYSITRON社製TriboScopeを測定機器として用い、ナノインデンテーション法による測定条件にて、それぞれ表面の弾性率を測定した。
「表面」とは、ガスバリアー層を形成した透明基材の場合はガスバリアー層側をいい、内部光取出し層の場合は光散乱層側、及び平滑層側をいう。
≪有機発光素子サンプルの評価≫
(1)発光効率の測定
各サンプルに対し、室温(約23〜25℃の範囲内)で、2.5mA/cmの定電流密度条件下による点灯を行い、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタ社製)を用いて、各サンプルの発光輝度を測定し、当該電流値における発光効率(光取出し効率)を求めた。
なお、発光効率は、有機発光素子のサンプル1(基準:内部光取出し層の無い有機発光素子)の発光効率を100とする相対値で表した。
(2)フレキシブル性
各作製サンプルをアルミニウム蒸着PET封止面を上にして、15mmφのロールに巻きつける操作、及び平らに戻す操作を100回繰り返し実施する。
100回繰り返しした後の有機発光素子を目視で確認し、異常が無いものに関しては、発光効率測定時と同条件で発光効率を確認し以下の基準で判断した
○ :目視、発光効率共に劣化無く、±10%以内
△ :目視劣化は無いが、発光効率は劣化しており、10%以上変動
× :目視で有機発光素子の一部にダメージが確認され、顕著に発光効率が変化しており、50%以上非発光部分が生じる
××:目視で有機発光素子に明らかなダメージが確認される
以上の評価結果を表1に示した。
Figure 0006288086
表1の結果から、可撓性透明基材と内部光取り出し層の表面の弾性率の比Dが、100±30%の範囲にある、本発明の有機発光素子No.4、No.5、No.9〜No.11及びNo.13は、発光効率が高くかつ、透明電極の割れや浮き、剥がれがない、フレキシブルな有機発光素子であることが分かる。また、透明電極として銀(Ag)を用いたNo.4、No.5は、ITOを用いたNo.9に比較し、フレキシブル性により優れていることが分かる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、可撓性透明基材上に内部光取出し層を有し、光取出しによって発光効率が高く、かつ有機発光素子を繰り返し折り曲げたりしたときに、電極が割れたり、浮きや剥がれが生じたりすることのない有機発光素子であり、可撓性を有する表示装置や照明装置に好適に用いられる。
N1 圧子が接触していない時の試料の初期表面
N2 圧子を介して荷重をかけている時の試料表面のプロファイル
N3 圧子を取り除いた後の試料表面のプロファイル
W 荷重
1 透明金属電極
1a 下地層
1b 電極層
2 内部光取出し層
2a 光散乱層
2b 平滑層
3 有機発光層
3a 正孔注入層
3b 正孔輸送層
3c 発光層
3d 電子輸送層
3e 電子注入層
5a 対向電極
10 有機発光素子
13 透明基材
13a 光取り出し面
15 補助電極
16 取り出し電極
17 封止材
19 接着剤
20 波長制御赤外線ヒーター
22 フィラメント
24 保護管
26、28 石英フィルター
30 中空部
32 反射板
40 冷却機構
50 制御装置
h 発光光
100 有機発光素子
101 金属電極
102 有機発光層
103 透明電極
104 透明基材
110a〜110e 光
200 製造装置
202 元巻きロール
204 巻取りロール
210 搬送部
212 搬送ローラー
220 IJ塗布部
222 搬送ローラー
224 プラテン
226 IJヘッド
230 IR乾燥部
232 搬送ローラー
240 光硬化部
242 搬送ローラー
244 紫外線照射装置
250 IJ塗布部
252 搬送ローラー
254 プラテン
256 IJヘッド
260 IR乾燥部
262 搬送ローラー
264 波長制御赤外線ヒーター
270 光硬化部
272 搬送ローラー
274 紫外線照射装置
280 搬送部
282 搬送ローラー

Claims (4)

  1. 可撓性透明基材上に、内部光取出し層、透明電極、及び有機発光層をこの順に有する有機発光素子であって、当該内部光取出し層の表面の弾性率(EM)と、当該透明基材の透明電極側の表面の弾性率(EM)との下記式1で表される比の値Dが、100±30%の範囲内であることを特徴とする有機発光素子。
    式1 D(%)=(EM/EM)×100(%)
  2. 前記可撓性透明基材がフィルム基材と少なくとも1層のガスバリアー層とをこの順に有し、前記内部光取出し層が光散乱層と平滑層とを有することを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
  3. 前記光散乱層が光散乱粒子を含有し、当該光散乱粒子の平均粒径が0.2〜1μmの範囲内であり、当該光散乱層の光波長550nm測定での屈折率が1.7〜3.0の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機発光素子。
  4. 前記光取り出し層の、光波長550nm測定での屈折率が、1.7〜2.5の範囲内であり、光波長450nm〜700nmの平均光透過率が50%以上であり、かつヘイズが30%以上であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の有機発光素子。
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