JP2015170443A - 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法 - Google Patents

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慶一 古川
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Abstract

【課題】本発明の課題は、低温プロセスで製造された場合であっても、光取り出し効率及びガスバリアー性が高い有機EL素子を提供することである。
【解決手段】フィルム基板4上に、少なくとも、ガスバリアー層5と、一対の電極2、6に挟持され、少なくとも一つの発光層を含んだ有機機能層を有する発光ユニット3とが、この順に積層された有機EL素子100であって、ガスバリアー層5が、塗布法により形成され、かつ、2層以上で構成され、一対の電極2、6の少なくとも一方が特定の金属又はそれらを含む合金からなり、ガスバリアー層5と発光ユニット3との間に光散乱層7を更に有していることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法に関する。より詳しくは、低温プロセスで製造された場合であっても、光取り出し効率及びガスバリアー性が高い有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法に関する。
有機エレクトロルミネッセンス(以下、「有機EL」ともいう。)素子では、従来、発光効率の向上が要求されているが、それ以外にも、軽量化、大型化及び形状の自由度の改善等が要求されている。このため、重くて割れやすく大面積化が困難なガラス基板に代わって、透明プラスチック等のフィルム基板が、有機EL素子に採用され始めている。
しかしながら、フィルム基板を採用した有機EL素子には、依然として発光効率の向上が要求されている。また、フィルム基板を採用した有機EL素子は、ガラス基板を採用したものに比べ、水蒸気透過性及びガスバリアー性に対する信頼性が低いという問題がある。
また、有機EL素子は、2枚の電極間に有機材料からなる発光層が配置された構成であり、発光層で生じた発光光は電極を透過して外部に取り出される。このため、2枚の電極のうちの少なくとも一方は透明電極として構成される。
透明電極としては、酸化インジウムスズ(SnO−In:Indium Tin Oxide:ITO)等の酸化物半導体系の材料が一般的に用いられているが、ITOと銀とを積層して低抵抗化を狙った検討もなされている(例えば、特許文献1及び2参照。)。しかし、このITO電極は、レアメタルのインジウムを使用しているため、材料コストが高いという問題がある。
さらに、ITO電極は、抵抗値を下げるために300℃程度でアニール処理する必要がある。しかしながら、フィルム基板は耐熱性が低いため、ITO電極を十分にアニール処理することができず、結果として適切な抵抗値が得られない等の問題がある。
これに対し、銀からなる電極は、フィルム基板に対しても非常に高い導電性を維持した状態で形成することが可能であり、このような電極として、例えば、銀にアルミニウムを混ぜることにより銀単独よりも薄い厚さで導電性を確保する構成等も提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、薄膜の銀からなる電極は、その特異的な光学特性の影響による配光特性に問題があり、単に基板外側(基板と大気との界面)に光取り出しフィルム等を設けるだけでは、発光効率を向上させるのに限界があった。
特開2002−15623号公報 特開2006−164961号公報 特開2009−151963号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、低温プロセスで製造された場合であっても、光取り出し効率及びガスバリアー性が高い有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法を提供することである。
本発明に係る上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、ガスバリアー層が、塗布法により形成され、かつ、2層以上で構成されることで、透過率の高いガスバリアー層を形成することができ、これにより、光取り出し効率及びガスバリアー性が向上することを見いだした。
また、ガスバリアー層と発光ユニットとの間に光散乱層を設けることで、発光ユニット等に光が吸収されることを抑制でき、ひいては、光取り出し効率が更に向上することを見いだした。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.フィルム基板上に、少なくとも、ガスバリアー層と、一対の電極に挟持され、少なくとも一つの発光層を含んだ有機機能層を有する発光ユニットとが、この順に積層された有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記ガスバリアー層が、塗布法により形成され、かつ、2層以上で構成され、
前記一対の電極の少なくとも一方が銀(Ag)若しくは銅(Cu)から選ばれる金属又はそれらを含む合金からなり、
前記ガスバリアー層と前記発光ユニットとの間に光散乱層を更に有していることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
2.前記光散乱層と前記発光ユニットとの間に平滑層を更に有し、
当該平滑層が、前記光散乱層に隣接して積層されていることを特徴とする第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
3.前記発光ユニットの光取出し側とは反対側に光反射性金属層を更に有し、
当該光反射性金属層の光取り出し側の表面と、前記発光層の光取り出し側とは反対側の表面と、の光学距離が、200nm以上であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
4.前記光反射性金属層が、前記一対の電極のうち、前記発光ユニットの光取出し側とは反対側の電極を兼ね、
前記有機機能層が、その一つとして前記発光層と前記光反射性金属層との間に電荷輸送層を有し、
当該電荷輸送層の厚さが、光学距離で180nm以上であることを特徴とする第3項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
5.前記一対の電極が、透明電極であり、かつ、
前記発光ユニットと前記光反射性金属層との間には、前記一対の電極のうち光取り出し側とは反対側の前記電極が、少なくとも介在することを特徴とする第3項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
6.第1項から第5項までのいずれか一項に記載された有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
(a)前記2層以上で構成される前記ガスバリアー層を塗布法により形成する工程と、
(b)前記ガスバリアー層と前記発光ユニットとの間に前記光散乱層を形成する工程と、
を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
7.前記光散乱層に隣接して、かつ、前記光散乱層と前記発光ユニットとの間に平滑層を形成する工程を更に有することを特徴とする第6項に記載された有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
本発明の上記手段により、低温プロセスで製造された場合であっても、光取り出し効率及びガスバリアー性が高い有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明者は、透明電極とガスバリアー層との界面で発光光が全反射し、発光ユニット及び透明電極内に閉じ込められる光(導波モードの光)が発生することが、発光効率(光取り出し効率)を低下させる一因であることを発見した。
そこで、本発明者は、鋭意検討の結果、所定の構成からなる光散乱層を、ガスバリアー層と発光ユニットとの間に設けることで、導波モードの光を散乱させる(透明電極とガスバリアー層との界面で発光光が全反射しない)ことができ、この結果、高い光取り出し効率が得られることを見いだし本発明に至った。
また、本発明者は、銀(Ag)若しくは銅(Cu)から選ばれる金属又はそれらを含む合金からなる電極を使用すれば、アニール処理をする必要がなく、低温プロセスで有機EL素子を製造できることも見いだした。
有機エレクトロルミネッセンス素子の概略構成を示す断面図 実施例で作製した発光パネルの一例の概略構成を示す断面図 実施例で作製した発光パネルの他の例の概略構成を示す断面図
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、フィルム基板上に、少なくとも、ガスバリアー層と、一対の電極に挟持され、少なくとも一つの発光層を含んだ有機機能層を有する発光ユニットとが、この順に積層された有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記ガスバリアー層が、塗布法により形成され、かつ、2層以上で構成され、前記一対の電極の少なくとも一方が銀(Ag)若しくは銅(Cu)から選ばれる金属又はそれらを含む合金からなり、前記ガスバリアー層と発光ユニットとの間に光散乱層を更に有していることを特徴とする。
この特徴は、請求項1から請求項7までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
これにより、本発明は、低温プロセスで製造された場合であっても、光取り出し効率及びガスバリアー性が高い有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法を提供することができる。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記光散乱層と前記発光ユニットとの間に平滑層を更に有し、当該平滑層が、前記光散乱層に隣接して積層されていることが好ましい。これにより、ガスバリアー層又は光散乱層の表面の凹凸に起因する高温・高湿雰囲気下での保存性の劣化や電気的短絡(ショート)等の弊害を防止できるという効果が得られる。
さらに、本発明に係る有機EL素子においては、発光ユニットの光取出し側とは反対側に光反射性金属層を更に有し、当該光反射性金属層の光取り出し側の表面と、前記発光層の光取り出し側とは反対側の表面と、の光学距離が、200nm以上であることが好ましい。これにより、本発明に係る有機EL素子は、光取り出し効率が更に向上する。ここで、光学距離とは、各層の実膜(層)厚に該当する膜(層)を形成する媒体の屈折率を乗じた値である。
また、本発明に係る有機EL素子においては、光反射性金属層が、一対の電極のうち、発光ユニットの光取出し側とは反対側の電極を兼ね、有機機能層が、その一つとして発光層と光反射性金属層との間に電荷輸送層を有し、当該電荷輸送層の厚さが、光学距離で180nm以上であることが好ましい。これにより、本発明に係る有機EL素子は、光取り出し効率が更に向上する。
また、本発明に係る有機EL素子においては、一対の電極が、透明電極であり、かつ、発光ユニットと光反射性金属層との間には、一対の電極のうち光取り出し側とは反対側の電極が、少なくとも介在することが好ましい。これにより、本発明に係る有機EL素子は、光取り出し効率が更に向上する。
本発明の有機EL素子を製造する方法としては、(a)前記2層以上で構成される前記ガスバリアー層を塗布法により形成する工程と、(b)前記ガスバリアー層と前記発光ユニットとの間に前記光散乱層を形成する工程と、を有することを特徴とする製造方法であることが好ましい。これにより、低温プロセスで製造された場合であっても、光取り出し効率及びガスバリアー性が高い有機EL素子の製造方法を提供することができる。
また、前記有機EL素子の製造方法においては、前記光散乱層に隣接して、かつ、前記光散乱層と前記発光ユニットとの間に平滑層を形成する工程を更に有することが好ましい。これにより、光取り出し効率が更に向上した有機EL素子の製造方法を提供することができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
<有機EL素子の構成>
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう。)は、フィルム基板上に、少なくとも、ガスバリアー層と、一対の電極に挟持され、少なくとも一つの発光層を含んだ有機機能層を有する発光ユニットとが、この順に積層された有機EL素子であって、ガスバリアー層が、塗布法により形成され、かつ、2層以上で構成され、一対の電極の少なくとも一方がAg若しくはCuから選ばれる金属又はそれらを含む合金からなり、ガスバリアー層と発光ユニットとの間に光散乱層を更に有している。
本発明実施形態において、「発光ユニット」とは、陽極と陰極からなる一対の電極に挟持され、少なくとも一つの発光層を含んだ有機機能層を主体として構成される発光体(単位)をいう。
この有機機能層は、特に限定されないが、後述する各種有機化合物を含有するものであることが好ましい。発光ユニットを構成する有機機能層としては、発光層の他に、具体的には、例えば、正孔輸送層、電子輸送層等が挙げられる。
発光ユニットは、上述のように、陽極と陰極からなる一対の電極の間に挟持されており、当該陽極から供給される正孔(ホール)と陰極から供給される電子が当該発光体内で再結合することにより発光する。
なお、本発明の有機EL素子は、所望の発光色に応じて、当該発光ユニットを複数備えていてもよい。
具体的には、図1に示すとおり、本発明の有機EL素子100は、フィルム基板4側、ガスバリアー層5、光散乱層7、平滑層1、第1電極2、有機材料等を用いて構成された発光ユニット3及び第2電極6が、この順に積層されたものであることが好ましい態様である。
平滑層1は、本発明の有機EL素子に備えられることが好ましいが、必須の構成要素ではない。第1電極2(電極層2b)の端部には、取り出し電極16が設けられている。第1電極2と外部電源(図示略)とは、取り出し電極16を介して、電気的に接続される。本発明において、発生させた光(発光光h)を取り出す方向(光取り出し方向)は、特に限定されないが、以下、有機EL素子100においては、発光光hを、少なくともフィルム基板4側(光取り出し側)から取り出すように構成されているものとして説明する。
また、有機EL素子100の層構造が限定されることはなく、一般的な層構造であってよい。ここでは、第1電極2がアノード(すなわち陽極)として機能する透明な電極(以下、「透明電極2」ともいう。)、第2電極6がカソード(すなわち陰極)として機能することとする。この場合、例えば、発光ユニット3は、アノードである透明電極2側から順に正孔注入層3a/正孔輸送層3b/発光層3c/電子輸送層3d/電子注入層3eを積層した構成が例示されるが、このうち、少なくとも有機材料を用いて構成された発光層3cを有することが通常である。正孔注入層3a及び正孔輸送層3bは、正孔輸送注入層として設けられてもよい。電子輸送層3d及び電子注入層3eは、電子輸送注入層として設けられてもよい。また、これらの発光ユニット3のうち、例えば、電子注入層3eは無機材料で構成されていてもよい。
また、発光ユニット3は、これらの層の他にも正孔阻止層や電子阻止層等が必要に応じて必要か所に積層されていてもよい。さらに、発光層3cは、各波長領域の発光光を発生させる各色発光層を有し、これらの各色発光層を、非発光性の中間層を介して積層させた構造としてもよい。中間層は、正孔阻止層、電子阻止層として機能してもよい。さらに、カソードである第2電極6も、必要に応じた積層構造であってもよい。このような構成において、透明電極2と第2電極6とで発光ユニット3が挟持された部分のみが、有機EL素子100における発光領域となる。
また、以上のような層構成においては、透明電極2の低抵抗化を図ることを目的とし、透明電極2の電極層2bに接して補助電極15が設けられていてもよい。
以上のような構成の有機EL素子100は、有機材料等を用いて構成された発光ユニット3の劣化を防止することを目的として、フィルム基板4上において後述する封止材17で封止されている。この封止材17は、接着剤19を介してフィルム基板4側に固定されている。ただし、透明電極2(取り出し電極16)及び第2電極6の端子部分は、フィルム基板4上において発光ユニット3によって互いに絶縁性を保った状態で封止材17から露出させた状態で設けられていることとする。
以下、上述した有機EL素子100を構成するための主要な要素を平滑層、光散乱層、ガスバリアー層、フィルム基板、電極、発光ユニットの順に説明し、その製造方法についても説明する。
<平滑層>
本発明に係る有機EL素子100は、光散乱層と発光ユニットとの間に平滑層1を更に有することが好ましい。当該平滑層1は、光散乱層7に隣接して積層されていることが好ましい。
このような平滑層1は、ガスバリアー層5又は光散乱層7の上に発光ユニット3を設けた場合、当該ガスバリアー層5又は光散乱層7の表面の凹凸に起因する高温・高湿雰囲気下での保存性の劣化や電気的短絡(ショート)等の弊害を防止することを主目的とするものである。
本発明に係る平滑層1は、この上に透明電極2を良好に形成させる平坦性を有することが重要であり、その表面性は、算術平均粗さRaが0.5〜50nmの範囲内であることが好ましい。更に好ましくは30nm以下、特に好ましくは10nm以下、最も好ましくは5nm以下である。算術平均粗さRaを0.5〜50nmの範囲内とすることで、積層する有機EL素子のショート等の不良を抑制することができる。なお、算術平均粗さRaについては0.0nmが好ましいが、実用レベルの下限値としては0.5nmが好ましい。
また、本願において、表面の算術平均粗さRaとは、JIS B0601−2001に準拠した算術平均粗さを表している。
なお、表面粗さ(算術平均粗さRa)は、AFM(原子間力顕微鏡 Atomic Force Microscope:Digital Instruments社製)を用い、極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出でき、極小の先端半径の触針により測定方向が30μmの区間内を3回測定し、微細な凹凸の振幅に関する平均の粗さから求めることができる。
平滑層1は、発光ユニット3からの発光光が入射する。そのため、平滑層1の平均屈折率nfは、発光ユニット3に含まれる有機機能層の屈折率と近い値であることが好ましい。具体的には、発光ユニット3には一般的に高屈折率の有機材料が用いられるため、平滑層1は、発光ユニットからの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長において、平均屈折率nfが1.5以上、特に1.65〜2.5の範囲内の高屈折率層であることが好ましい。平均屈折率nfが1.65〜2.5の範囲内であれば、単独の素材で形成されていてもよいし、混合物で形成されていてもよい。このような混合系の場合、平滑層1の平均屈折率nfは、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率を用いる。また、この場合、各々の素材の屈折率は、1.65未満若しくは2.5より大きい値であってもよく、混合した膜の平均屈折率nfとして1.65〜2.5の範囲内を満たしていれば好ましい。
ここで、「平均屈折率nf」とは、単独の素材で形成されている場合は、単独の素材の屈折率であり、混合系の場合は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率である。
なお、屈折率の測定は、25℃の雰囲気下で、発光ユニットからの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長の光線を照射し、アッベ屈折率計(ATAGO社製、DR−M2)を用いて行うことができる。
平滑層1に用いられるバインダーとしては、公知の樹脂が特に制限なく使用可能であり、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン(Ny)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等の樹脂フィルム、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルム(製品名Sila−DEC、チッソ株式会社製)、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン)の他、含フッ素モノマーと架橋性基付与のためのモノマーを構成単位とする含フッ素共重合体等が挙げられる。これら樹脂は、二種以上混合して使用することができる。これらの中でも、有機無機ハイブリッド構造を有するものが好ましい。
また、以下の親水性樹脂を使うことも可能である。親水性樹脂としては水溶性の樹脂、水分散性の樹脂、コロイド分散樹脂又はそれらの混合物が挙げられる。親水性樹脂としては、アクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、フッ素系等の樹脂が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、カゼイン、デンプン、寒天、カラギーナン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、セルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール等のポリマーを挙げることができるが、これらの中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。
バインダーとして用いられるポリマーは、一種類を単独で用いてもよいし、必要に応じて二種類以上を混合して使用してもよい。
また、同様に、従来公知の樹脂粒子(エマルジョン)等も好適にバインダーとして使用可能である。
また、バインダーとしては、主として紫外線・電子線によって硬化する樹脂、すなわち、電離放射線硬化型樹脂に熱可塑性樹脂と溶剤とを混合したものや熱硬化型樹脂も好適に使用できる。
このような樹脂としては、飽和炭化水素又はポリエーテルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることがより好ましい。
また、バインダーは架橋していることが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋しているバインダーを得るためには、二つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。
平滑層1に含有されるバインダーに含まれる微粒子ゾルも好適に使用可能である。
また、高屈折率の平滑層1に含まれるバインダーに分散される粒子径の下限としては、通常5nmであることが好ましく、10nmであることがより好ましく、15nmであることが更に好ましい。また、バインダーに分散される粒子径の上限としては、70nmであることが好ましく、60nmであることがより好ましく、50nmであることが更に好ましい。バインダーに分散される粒子径が5〜60nmの範囲内であることにより、高い透明性が得られる点で好ましい。本発明の効果を損なわない限り、粒子径の分布は制限されず、広くても狭くても複数の分布を持っていてもよい。
本発明の平滑層1に含有される粒子としては、安定性の観点から、TiO(二酸化チタンゾル)であることがより好ましい。また、TiOの中でも、特にアナターゼ型よりルチル型の方が、触媒活性が低いため、平滑層1や隣接した層の耐候性が高くなり、更に屈折率が高いことから好ましい。
本発明で用いることのできる二酸化チタンゾルの調製方法としては、例えば、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等を参照することができる。
平滑層1の厚さは、光散乱層の表面粗さを緩和するためにある程度厚い必要があるが、一方では、吸収によるエネルギーロスを生じない程度に薄い必要がある。具体的には0.1〜5μmの範囲内が好ましく、0.5〜2μmの範囲内が更に好ましい。
<光散乱層>
本発明の有機EL素子100は、ガスバリアー層5と発光ユニット3との間に光散乱層7を有する。光散乱層の平均屈折率nsは、発光ユニット3の有機機能層における発光光が平滑層1を通って入射するため、屈折率が有機機能層及び平滑層1とできるだけ近い方がよい。光散乱層7は、発光ユニット3からの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長において、平均屈折率nsが1.5以上、特に1.6〜2.5の範囲内である高屈折率層であることが好ましい。この場合、光散乱層7は、平均屈折率ns1.6〜2.5を有する単独の素材で膜を形成してもよいし、二種類以上の化合物と混合して平均屈折率ns1.6〜2.5の膜を形成してもよい。このような混合系の場合、光散乱層7の平均屈折率nsは、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率を用いる。また、この場合、各々の素材の屈折率は、1.6未満若しくは2.5よりも大きな値であってもよく、混合した膜の平均屈折率nsとして1.6〜2.5の範囲内を満たしていればよい。
ここで、「平均屈折率ns」とは、単独の素材で形成されている場合は、単独の素材の屈折率であり、混合系の場合は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率である。
また、光散乱層7は、層媒体である低屈折率を有するバインダーと層媒体に含有される高屈折率を有する粒子との混合物による屈折率差を利用した光散乱膜とすることが好ましい。
光散乱層7は、光取り出し効率を向上させる層であり、フィルム基板4上のガスバリアー層5の透明電極2側の最表面に形成されることが好ましい。
低屈折率を有するバインダーは、その屈折率nbが1.9以下であり、1.6以下が特に好ましい。
ここで、「バインダーの屈折率nb」とは、単独の素材で形成されている場合は、単独の素材の屈折率であり、混合系の場合は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率である。
また、高屈折率を有する粒子は、その屈折率npが1.5以上であり、1.8以上が好ましく、2.0以上が特に好ましい。
ここで、「粒子の屈折率np」とは、単独の素材で形成されている場合は、単独の素材の屈折率であり、混合系の場合は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率である。
また、光散乱層7の高屈折率を有する粒子の役割として、導波モードの光(いわゆる導波光。)を散乱させる機能が挙げられるが、そのためには光散乱性を向上させる必要がある。光散乱性を向上させるためには、高屈折率を有する粒子とバインダーの屈折率差を大きくすること、層厚を厚くすること、粒子密度を大きくすることが考えられる。この中で最も他の性能とのトレードオフが小さいものが、無機粒子とバインダーの屈折率差を大きくすることである。
層媒体である樹脂材料(バインダー)と含有される高屈折率を有する粒子との屈折率差|nb−np|は、好ましくは0.2以上であり、特に好ましくは0.3以上である。層媒体と粒子との屈折率差|nb−np|が0.03以上であれば、層媒体と粒子との界面で光散乱効果が発生する。屈折率差|nb−np|が大きいほど、界面での屈折が大きくなり、光散乱効果が向上するため好ましい。
具体的には、光散乱層7の平均屈折率nsが、1.6〜2.5の範囲内である高屈折率層であることが好ましいため、例えば、バインダーの屈折率nbが1.6より小さく、高屈折率を有する粒子の屈折率npが1.8より大きいことが好ましい。
なお、屈折率の測定は、平滑層と同様に、25℃の雰囲気下で、発光ユニットからの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長の光線を照射し、アッベ屈折率計(ATAGO社製、DR−M2)を用いて行った。
光散乱層7は、上述のように、層媒体と粒子との屈折率の違いにより光を拡散させる層である。そのため、含有される粒子としては、他の層への悪影響を及ぼさないで発光ユニット3からの発光光を散乱することが求められる。
ここで、散乱とは、光散乱層単膜でヘイズ値(全光線透過率に対する散乱透過率の割合)が、20%以上、より好ましくは25%以上、特に好ましくは30%以上を示す状態を表す。ヘイズ値が20%以上であれば、発光効率を向上させることができる。
ヘイズ値とは、(i)膜中の組成物の屈折率差による影響と、(ii)表面形状による影響とを受けて算出される物性値である。すなわち、表面粗さを一定程度以下に抑えてヘイズ値を測定することにより、上記(ii)による影響を排除したヘイズ値が測定されることとなる。具体的には、ヘーズメーター(日本電色工業(株)製、NDH−5000等を用いて測定することができる。
例えば、粒子径を調整することにより、光散乱性を向上させることができ、ショート等の不良を抑制することができる。具体的には、可視光域のMie散乱を生じさせる領域以上の粒子径を有する透明な粒子であることが好ましい。また、その平均粒子径は0.2μm以上であることが好ましい。
一方、粒子径がより大きい場合、粒子を含有した光散乱層7の粗さを平坦化する平滑層1を厚くする必要があり、工程の負荷、層の吸収の観点で不利な点がある。このことから、平均粒子径は、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、特に好ましくは3μm以下、最も好ましくは1μm以下である。
また、光散乱層7に複数の種類の粒子を用いる場合、平均粒子径は、100nm〜3μmの範囲内のものを少なくとも一種含み、かつ3μm以上のものを含まないことが好ましく、特に、200nm〜1μmの範囲内のものを少なくとも一種含み、かつ1μm以上のものを含まないことが好ましい。
ここで、高屈折率粒子の平均粒子径は、例えば、日機装社製ナノトラックUPA−EX150といった動的光散乱法を利用した装置や、電子顕微鏡写真の画像処理により測定することができる。
このような粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、有機微粒子であっても、無機微粒子であってもよいが、中でも高屈折率を有する無機微粒子であることが好ましい。
高屈折率を有する有機微粒子としては、例えば、ポリメチルメタクリレートビーズ、アクリル−スチレン共重合体ビーズ、メラミンビーズ、ポリカーボネートビーズ、スチレンビーズ、架橋ポリスチレンビーズ、ポリ塩化ビニルビーズ、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒドビーズ等が挙げられる。
高屈折率を有する無機微粒子としては、例えば、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、スズ、アンチモン等の中から選ばれる少なくとも一つの酸化物からなる無機酸化物粒子が挙げられる。無機酸化物粒子としては、具体的には、ZrO、TiO、BaTiO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITO、SiO、ZrSiO、ゼオライト等が挙げられ、中でも、TiO、BaTiO、ZrO、ZnO、SnOが好ましく、TiOが最も好ましい。また、TiOの中でも、アナターゼ型よりルチル型の方が、触媒活性が低いため高屈折率層や隣接した層の耐候性が高くなり、更に屈折率が高いことから好ましい。
また、これらの粒子は、高屈折率の光散乱層7に含有させるために、後述の分散液とした場合の分散性や安定性を向上させる観点から、表面処理を施したものを用いるか、あるいは表面処理を施さないものを用いるかを選択することができる。
表面処理を行う場合、表面処理の具体的な材料としては、酸化ケイ素や酸化ジルコニウム等の異種無機酸化物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、オルガノシロキサン、ステアリン酸等の有機酸等が挙げられる。これら表面処理材は、一種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。中でも、分散液の安定性の観点から、表面処理材としては、異種無機酸化物及び/又は金属水酸化物が好ましく、金属水酸化物がより好ましい。
無機酸化物粒子が、表面処理材で表面被覆処理されている場合、その被覆量(一般的に、この被覆量は、粒子の質量に対する当該粒子の表面に用いた表面処理材の質量割合で示される。)は、0.01〜99質量%であることが好ましい。当該範囲内とすることで、表面処理による分散性や安定性を向上させる効果を十分に得ることができ、また、光散乱層7の高屈折率により光取り出し効率を向上させることができる。
その他、高屈折率を有する材料として、国際公開第2009/014707号や米国特許第6608439号明細書等に記載の量子ドットも好適に用いることができる。
高屈折率を有する粒子の配置は、粒子が光散乱層7と平滑層1との界面に接触又は近接するように配置されるのが好ましい。これにより、平滑層1内で全反射が起きたときに光散乱層7に染み出してくるエバネッセント光を粒子で散乱させることができ、光取り出し効率が向上する。
高屈折率粒子の光散乱層7における含有量は、体積充填率で、1.0〜70%の範囲内であることが好ましく、5〜50%の範囲内であることがより好ましい。これにより、光散乱層7と平滑層1との界面に屈折率分布の疎密を作ることができ、光散乱量を増加させて光取り出し効率を向上させることができる。
光散乱層7の形成方法としては、例えば、層媒体が樹脂材料の場合、媒体となる樹脂材料(ポリマー)溶液(溶媒としては、粒子の溶解しないものを用いる。)に上述の粒子を分散し、フィルム基板上に塗布することで形成する。
これらの粒子は、実際には、多分散粒子であることや規則的に配置することが難しいことから、局部的には回折効果を有するものの、多くは拡散により光の方向を変化させ光取り出し効率を向上させる。
また、光散乱層7で用いることができるバインダーは、平滑層1と同様の樹脂が挙げられる。
また、光散乱層7のバインダーでは、特定の雰囲気下で紫外線照射によって、金属酸化物、金属窒化物又は金属酸化窒化物を形成しうる化合物が特に好適に使用される。光散乱層7のバインダーに適する化合物としては、特開平8−112879号公報に記載されている比較的低温で改質処理され得る化合物が好ましい。
具体的には、Si−O−Si結合を有するポリシロキサン(ポリシルセスキオキサンを含む)、Si−N−Si結合を有するポリシラザン、Si−O−Si結合とSi−N−Si結合の両方を含むポリシロキサザン等を挙げることができる。これらは、二種以上を混合して使用することができる。また、異なる化合物を逐次積層したり、同時積層したりしても使用可能である。
光散乱層7の厚さは、散乱を生じるための光路長を確保するためにある程度厚い必要があるが、一方吸収によるエネルギーロスを生じない程度に薄い必要がある。具体的には0.1〜5μmの範囲内が好ましく、0.2〜2μmの範囲内が更に好ましい。
(ポリシロキサン)
光散乱層7で用いられるポリシロキサンとしては、一般構造単位としての〔RSiO1/2〕、〔RSiO〕、〔RSiO3/2〕及び〔SiO〕を含むことができる。ここで、Rは、水素原子、1〜20の炭素原子を含むアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル等)、アリール基(例えば、フェニル等)、不飽和アルキル基(例えば、ビニル等)からなる群より独立して選択される。特定のポリシロキサン基の例としては、〔PhSiO3/2〕、〔MeSiO3/2〕、〔HSiO3/2〕、〔MePhSiO〕、〔PhSiO〕、〔PhViSiO〕、〔ViSiO3/2〕(Viはビニル基を表す。)、〔MeHSiO〕、〔MeViSiO〕、〔MeSiO〕、〔MeSiO1/2〕等が挙げられる。また、ポリシロキサンの混合物やコポリマーも使用可能である。
(ポリシルセスキオキサン)
光散乱層7においては、上述のポリシロキサンの中でもポリシルセスキオキサンを用いることが好ましい。ポリシルセスキオキサンは、シルセスキオキサンを構造単位に含む化合物である。「シルセスキオキサン」とは、〔RSiO3/2〕で表される化合物であり、通常、RSiX(Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラアルキル基(アラルキル基ともいう)等であり、Xは、ハロゲン、アルコキシ基等である。)型化合物が加水分解−重縮合して合成されるポリシロキサンである。ポリシルセスキオキサンの分子配列の形状としては、代表的には無定形構造、ラダー状構造、籠型構造、その部分開裂構造体(籠型構造からケイ素原子が一原子欠けた構造や籠型構造のケイ素−酸素結合が一部切断された構造)等が知られている。
これらのポリシルセスキオキサンの中でも、いわゆる水素シルセスキオキサンポリマーを用いることが好ましい。水素シルセスキオキサンポリマーとしては、HSi(OH)(OR)z/2で表されるヒドリドシロキサンポリマーが挙げられる。各々のRは、有機基又は置換された有機基であり、酸素原子によってケイ素に結合した場合、加水分解性置換基を形成する。x=0〜2、y=0〜2、z=1〜3、x+y+z=3である。Rとしては、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、アリール基(例えば、フェニル等)、アルケニル基(例えば、アリル、ビニル等)が挙げられる。これらの樹脂は、完全に縮合され(HSiO3/2)n、あるいは部分的にのみ加水分解され(すなわち、一部のSi−ORを含む)及び/又は部分的に縮合される(すなわち、一部のSi−OHを含む)ことができる。
(ポリシラザン)
光散乱層7で用いられるポリシラザンとは、ケイ素−窒素結合を持つポリマーで、Si−N、Si−H、N−H等からなるSiO、Si及び両方の中間固溶体SiOxNy(x:0.1〜1.9、y:0.1〜1.3)等の無機前駆体ポリマーである。
光散乱層7に好ましく用いられるポリシラザンとしては、下記の一般式(A)で表される。
本発明に係る「ポリシラザン」とは、構造内にケイ素−窒素結合を持つポリマーで、酸窒化ケイ素の前駆体となるポリマーであり、下記の一般式(A)構造を有するものが好ましく用いられる。
Figure 2015170443
式中、R、R及びRは、各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表す。
本発明では、得られる光散乱層の膜としての緻密性の観点からは、R、R及びRの全てが水素原子であるパーヒドロポリシラザンが特に好ましい。
パーヒドロポリシラザンは、直鎖構造と6員環及び8員環を中心とする環構造が存在した構造と推定されており、その分子量は、数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算)であり、液体又は固体の物質である。
ポリシラザンは、有機溶媒に溶解した溶液の状態で市販されており、市販品をそのままポリシラザン含有塗布液として使用することができる。ポリシラザン溶液の市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製のNN120−20、NAX120−20、NL120−20などが挙げられる。
バインダーとして、電離放射線硬化型樹脂組成物用いることができるが、電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化方法としては、電離放射線硬化型樹脂組成物の通常の硬化方法、すなわち、電子線又は紫外線の照射によって硬化することができる。
例えば、電子線硬化の場合には、コックロフワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される10〜1000keV、好ましくは30〜300keVのエネルギーを有する電子線等が使用され、紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ及び後述の希ガスエキシマランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。
なお、平滑層1に取り込まれた光を更に光散乱層7へ取り込むためには、光散乱層7のバインダーと平滑層1の屈折率差が小さいことが好ましい。具体的には、光散乱層7のバインダーと平滑層1の屈折率差が、0.1以下であることが好ましい。また、平滑層1に含有されるバインダーと光散乱層7に含有されるバインダーは、同じ材料を用いることが好ましい。
また、平滑層1に光散乱層7を加えた厚さを調整することにより、水分の浸入やパターニングした場合のエッジの段差による配線不良を抑制し、光散乱性を向上させることができる。具体的には、平滑層1に光散乱層7を加えた厚さとしては、100nm〜5μmの範囲内が好ましく、特に、300nm〜2μmの範囲内であることが好ましい。
なお、これら平滑層1及び光散乱層7とを合わせて、内部光取り出し層ともいう。
<ガスバリアー層>
本発明に係るガスバリアー層5は、塗布法により形成され、かつ、2層以上で構成される。このような構成にすることにより、より光取り出し効率及びガスバリアー性が高い有機EL素子を提供することができる。
ガスバリアー層5を形成する材料としては、ガスバリアー性を保持することができる材料であれば、特に限定されるものではないが、一般式(A)で表されるポリシラザンを用いることが好ましい。得られるガスバリアー層5の膜としての緻密性の観点からは、一般式(A)中のR、R及びRの全てが水素原子であるパーヒドロポリシラザンが特に好ましい。
ガスバリアー層5は、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%RH)が、0.01g/m・24h以下のガスバリアー性フィルムであることが好ましい。また、さらには、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3ml/m・24h・atm以下、水蒸気透過度が、1×10−5g/m・24h以下の高ガスバリアー性フィルムであることが好ましい。
以下においては、本発明に係るガスバリアー層5が、二つの層で構成される場合の一つの例について説明する。なお、当該例においては、このガスバリアー層5を構成する二つの層のうち、一つを第1ガスバリアー層5a、もう一つを第2ガスバリアー層5bと称することにする。
<第1ガスバリアー層>
本発明実施形態に係る第1ガスバリアー層5aは、フィルム基板の一方の面上に塗布法により形成される。具体的には、例えば、第1ガスバリアー層5aは、フィルム基板の一方の面上にポリシラザンを含む塗布液を塗布し乾燥した後、真空紫外線を照射することにより形成することができる。
<塗布法>
本発明に係るガスバリアー層を形成するための塗布法とは、ガスバリアー層を形成する材料を後述の好ましい溶媒に溶解した塗布液を調製し、この塗布液をフィルム基材上に塗布した後、例えばエキシマ処理などのように紫外線を照射するなどして、塗布された膜を硬化することで、ガスバリアー層を形成する方法である。
(塗布液)
ポリシラザンを含有する塗布液を調製する溶媒としては、ポリシラザンと容易に反応してしまうようなアルコール系や水分を含有するものを用いることは避けることが好ましい。例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類が使用でき、具体的には、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン等の炭化水素、塩化メチレン、トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等がある。これらの溶媒は、ポリシラザンの溶解度や溶媒の蒸発速度等の目的にあわせて選択し、複数の溶媒を混合しても良い。
ポリシラザンを含有する塗布液中のポリシラザンの濃度は、ガスバリアー層の厚さや塗布液のポットライフによっても異なるが、好ましくは0.2〜35質量%程度である。
酸窒化ケイ素への変性を促進するために、該塗布液にアミン触媒や、Ptアセチルアセトナート等のPt化合物、プロピオン酸Pd等のPd化合物、Rhアセチルアセトナート等のRh化合物等の金属触媒を添加することもできる。本発明においては、アミン触媒を用いることが特に好ましい。具体的なアミン触媒としては、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、3−モルホリノプロピルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン等が挙げられる。
ポリシラザンに対するこれら触媒の添加量は、塗布液全体に対して0.1〜10質量%の範囲であることが好ましく、0.2〜5質量%の範囲であることがより好ましく、0.5〜2質量%の範囲であることが更に好ましい。触媒添加量をこの範囲とすることで、反応の急激な進行による過剰なシラノール形成及び膜密度の低下、膜欠陥の増大のなどを避けることができる。
ポリシラザンを含有する塗布液を塗布する方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体例としては、例えば、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。
塗膜の厚さは、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、塗膜の厚さは、乾燥後の厚さとして50nm〜2μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは70nm〜1.5μmの範囲にあることがより好ましく、100nm〜1μmの範囲にあることが更に好ましい。
(エキシマ処理)
本発明に係るガスバリアー層は、ポリシラザンを含む層に真空紫外線を照射する工程で、ポリシラザンの少なくとも一部が酸窒化ケイ素へと改質される。
ここで、真空紫外線照射工程でポリシラザンを含む塗膜が改質され、SiOxNyの特定組成となる推定メカニズムを、パーヒドロポリシラザンを例にとって説明する。
パーヒドロポリシラザンは「−(SiH−NH)n−」の組成で示すことができる。SiOxNyで示す場合、x=0、y=1である。x>0となるためには外部の酸素源が必要であるが、これは、(i)ポリシラザン塗布液に含まれる酸素や水分、(ii)塗布乾燥過程の雰囲気中から塗膜に取り込まれる酸素や水分、(iii)真空紫外線照射工程での雰囲気中から塗膜に取り込まれる酸素や水分、オゾン、一重項酸素、(iv)真空紫外線照射工程で印加される熱等により基材側からアウトガスとして塗膜中に移動してくる酸素や水分、(v)真空紫外線照射工程が非酸化性雰囲気で行われる場合には、その非酸化性雰囲気から酸化性雰囲気へと移動した際に、その雰囲気から塗膜に取り込まれる酸素や水分、などが酸素源となる。
一方、yについては、Siの酸化よりも窒化が進行する条件は非常に特殊であると考えられるため、基本的には1が上限である。
また、Si、O、Nの結合手の関係から、基本的にはx、yは2x+3y≦4の範囲にある。酸化が完全に進んだy=0の状態においては、塗膜中にシラノール基を含有するようになり、2<x<2.5の範囲となる場合もある。
真空紫外線照射工程でパーヒドロポリシラザンから酸窒化ケイ素、さらには酸化ケイ素が生じると推定される反応機構について、以下に説明する。
(1)脱水素、それに伴うSi−N結合の形成
パーヒドロポリシラザン中のSi−H結合やN−H結合は真空紫外線照射による励起等で比較的容易に切断され、不活性雰囲気下ではSi−Nとして再結合すると考えられる(Siの未結合手が形成される場合もある)。すなわち、酸化することなくSiNy組成として硬化する。この場合はポリマー主鎖の切断は生じない。Si−H結合やN−H結合の切断は触媒の存在や、加熱によって促進される。切断されたHはHとして膜外に放出される。
(2)加水分解・脱水縮合によるSi−O−Si結合の形成
パーヒドロポリシラザン中のSi−N結合は水により加水分解され、ポリマー主鎖が切断されてSi−OHを形成する。二つのSi−OHが脱水縮合してSi−O−Si結合を形成して硬化する。これは大気中でも生じる反応であるが、不活性雰囲気下での真空紫外線照射中では、照射の熱によって基材からアウトガスとして生じる水蒸気が主な水分源となると考えられる。水分が過剰となると脱水縮合しきれないSi−OHが残存し、SiO2.1〜2.3の組成で示されるガスバリアー性の低い硬化膜となる。
(3)一重項酸素による直接酸化、Si−O−Si結合の形成
真空紫外線照射中、雰囲気下に適当量の酸素が存在すると、酸化力の非常に強い一重項酸素が形成される。パーヒドロポリシラザン中のHやNはOと置き換わってSi−O−Si結合を形成して硬化する。ポリマー主鎖の切断により結合の組み換えを生じる場合もあると考えられる。
(4)真空紫外線照射・励起によるSi−N結合切断を伴う酸化
真空紫外線のエネルギーはパーヒドロポリシラザン中のSi−Nの結合エネルギーよりも高いため、Si−N結合は切断され、周囲に酸素、オゾン、水等の酸素源が存在すると酸化されてSi−O−Si結合やSi−O−N結合が生じると考えられる。ポリマー主鎖の切断により結合の組み換えを生じる場合もあると考えられる。
ポリシラザンを含有する層に真空紫外線照射を施した層の酸窒化ケイ素の組成の調整は、上述の(1)〜(4)の酸化機構を適宜組み合わせて酸化状態を制御することで行うことができる。
本発明における真空紫外線照射工程において、ポリシラザン層塗膜が受ける塗膜面での該真空紫外線の照度は30〜200mW/cmの範囲であることが好ましく、50〜160mW/cmの範囲であることがより好ましい。30mW/cm以上では、改質効率が低下する懸念がなく、200mW/cm以下では、塗膜にアブレーションを生じず、基材にダメージを与えないため好ましい。
ポリシラザン層塗膜面における真空紫外線の照射エネルギー量は、200〜10000mJ/cmの範囲であることが好ましく、500〜5000mJ/cmの範囲であることがより好ましい。200mJ/cm以上では、改質が十分行え、10000mJ/cm以下では過剰改質にならずクラック発生や、基材の熱変形がない。
真空紫外光源としては、100〜230nmの範囲内で真空紫外線を発する希ガスエキシマランプが好ましく用いられる。Xe、Kr、Ar及びNeなどの希ガスの原子は、化学的に結合して分子を作らないため、不活性ガスと呼ばれる。
しかし、放電などによりエネルギーを得た希ガスの励起原子は他の原子と結合して分子を作ることができる。希ガスがキセノンの場合には、
e+Xe→Xe
Xe+2Xe→Xe +Xe
Xe →Xe+Xe+hν(172nm)
となり、励起されたエキシマ分子であるXe が基底状態に遷移するときに172nmのエキシマ光を発光する。
エキシマランプの特徴としては、放射が一つの波長に集中し、必要な光以外がほとんど放射されないので効率が高いことが挙げられる。また、余分な光が放射されないので、対象物の温度を低く保つことができる。さらには始動及び再始動に時間を要さないので、瞬時の点灯点滅が可能である。
エキシマ発光を得るには、誘電体バリアー放電を用いる方法が知られている。誘電体バリアー放電とは、両電極間に透明石英などの誘電体を介してガス空間を配し、電極に数10kHzの高周波高電圧を印加することによりガス空間に生じ、雷に似た非常に細いmicro dischargeと呼ばれる放電であり、micro dischargeのストリーマが管壁(誘導体)に達すると誘電体表面に電荷が溜まるため、micro dischargeは消滅する。
このmicro dischargeが管壁全体に広がり、生成・消滅を繰り返している放電である。このため、肉眼でも確認できる光のチラツキを生じる。また、非常に温度の高いストリーマが局所的に直接管壁に達するため、管壁の劣化を早める可能性もある。
効率よくエキシマ発光を得る方法としては、誘電体バリアー放電以外に、無電極電界放電でも可能である。容量性結合による無電極電界放電で、別名RF放電とも呼ばれる。ランプと電極及びその配置は基本的には誘電体バリアー放電と同じで良いが、両極間に印加される高周波は数MHzで点灯される。無電極電界放電はこのように空間的にまた時間的に一様な放電が得られるため、チラツキがない長寿命のランプが得られる。
誘電体バリアー放電の場合は、micro dischargeが電極間のみで生じるため、放電空間全体で放電を行わせるには外側の電極は外表面全体を覆い、かつ外部に光を取り出すために光を透過するものでなければならない。
このため、細い金属線を網状にした電極が用いられる。この電極は、光を遮らないようにできるだけ細い線が用いられるため、酸素雰囲気中では真空紫外光により発生するオゾンなどにより損傷しやすい。これを防ぐためには、ランプの周囲、すなわち照射装置内を窒素などの不活性ガスの雰囲気にし、合成石英の窓を設けて照射光を取り出す必要が生じる。合成石英の窓は高価な消耗品であるばかりでなく、光の損失も生じる。
二重円筒型ランプは外径が25mm程度であるため、ランプ軸の直下とランプ側面では照射面までの距離の差が無視できず、照度に大きな差を生じる。したがって、仮にランプを密着して並べても、一様な照度分布が得られない。合成石英の窓を設けた照射装置にすれば、酸素雰囲気中の距離を一様にでき、一様な照度分布が得られる。
無電極電界放電を用いた場合には、外部電極を網状にする必要はない。ランプ外面の一部に外部電極を設けるだけでグロー放電は放電空間全体に広がる。外部電極には通常アルミのブロックで作られた光の反射板を兼ねた電極がランプ背面に使用される。しかし、ランプの外径は誘電体バリアー放電の場合と同様に大きいため一様な照度分布にするためには合成石英が必要となる。
細管エキシマランプの最大の特徴は、構造がシンプルなことである。石英管の両端を閉じ、内部にエキシマ発光を行うためのガスを封入しているだけである。
細管ランプの管の外径は6nm〜12mm程度で、余り太いと始動に高い電圧が必要になる。
放電の形態は、誘電体バリアー放電及び無電極電界放電のいずれも使用できる。電極の形状はランプに接する面が平面であっても良いが、ランプの曲面に合わせた形状にすればランプをしっかり固定できるとともに、電極がランプに密着することにより放電がより安定する。また、アルミで曲面を鏡面にすれば光の反射板にもなる。
Xeエキシマランプは、波長の短い172nmの紫外線を単一波長で放射することから、発光効率に優れている。この光は、酸素の吸収係数が大きいため、微量な酸素でラジカルな酸素原子種やオゾンを高濃度で発生することができる。
また、波長の短い172nmの光のエネルギーは、有機物の結合を解離させる能力が高いことが知られている。この活性酸素やオゾンと紫外線放射が持つ高いエネルギーによって、短時間でポリシラザン層の改質を実現できる。
したがって、波長185nm、254nmの発する低圧水銀ランプやプラズマ洗浄と比べて高スループットに伴うプロセス時間の短縮や設備面積の縮小、熱によるダメージを受けやすい有機材料やプラスチック基板などへの照射を可能としている。
エキシマランプは光の発生効率が高いため、低い電力の投入で点灯させることが可能である。また、光による温度上昇の要因となる波長の長い光は発せず、紫外線領域で、すなわち短い波長でエネルギーを照射するため、解射対象物の表面温度の上昇が抑えられる特徴を持っている。このため、熱の影響を受けやすいとされるPETなどのフレシキブルフィルム材料に適している。
紫外線照射時の反応には、酸素が必要であるが、真空紫外線は、酸素による吸収があるため紫外線照射工程での効率が低下しやすいことから、真空紫外線の照射は、可能な限り酸素濃度の低い状態で行うことが好ましい。すなわち、真空紫外線照射時の酸素濃度は、10〜10000ppmの範囲とすることが好ましく、より好ましくは50〜5000ppmの範囲、更に好ましく1000〜4500ppmの範囲である。
真空紫外線照射時に用いられる、照射雰囲気を満たすガスとしては乾燥不活性ガスとすることが好ましく、特にコストの観点から乾燥窒素ガスにすることが好ましい。酸素濃度の調整は照射庫内へ導入する酸素ガス、不活性ガスの流量を計測し、流量比を変えることで調整可能である。
<第2ガスバリアー層>
本発明実施形態において、第2ガスバリアー層5bは、上述の第1ガスバリアー層5aの上に塗布法により形成される。具体的には、例えば、第2ガスバリアー層5bは、第1ガスバリアー層5a上にポリシラザンを含む塗布液を塗布し乾燥した後、真空紫外線を照射することにより形成することができる。第2ガスバリアー層5bを第1ガスバリアー層5aの上に設けることにより、ガスバリアー層を厚くすることができ、更なるガスバリアー性を向上させるとともに、第1ガスバリアー層のピンホールなどの欠陥を埋めることができ、ひいては、有機EL素子の不良を減らすことができるため、好ましい。
第2ガスバリアー層5bの厚さは、1〜500nmの範囲が好ましい、より好ましくは10〜300nmの範囲である。厚さが1nmより厚いとガスバリアー性が発揮でき、500nm以内であれば、緻密な酸化ケイ素膜にクラックが入りにくい。
なお、本発明実施形態に係る第2ガスバリアー層5bでは、第1ガスバリアー層5aと同じポリシラザンを使用でき、第1ガスバリアー層5aと同様の方法により形成することができる。
<フィルム基板>
本発明に係るフィルム基板4としては、例えば、下記の樹脂フィルム等を挙げることができるが、これらに限定されない。好ましく用いられるフィルム基板4としては、透明樹脂フィルムを挙げることができる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。
なお、ガスバリアー層が形成されるフィルム基板の表面には、積層されるガスバリアー層との接着性を向上させるため、例えばエキシマ処理、コロナ放電処理、火炎処理、酸化処理、プラズマ処理等の表面処理が施されていてもよい。
また、フィルム基板は、フィルム基板の表面を平坦化し、ガスバリアー層との接着性を向上させるため、プライマー層が設けられていてもよい。
プライマー層は、活性エネルギー線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の硬化性樹脂を含有することが好ましい。
<有機エレクトロルミネッセンス素子のその他の構成要素>
<電極>
本発明の有機エレクトロルミネッセンス(有機EL素子)は、陽極と陰極からなる一対の電極に挟持され、少なくとも一つの発光層を含んだ有機機能層を有する発光ユニットを有する。
なお、一対の電極の少なくとも一方は、銀(Ag)若しくは銅(Cu)から選ばれる金属又はそれらを含む合金からなる。
以下において、当該電極について、詳細な説明をする。
(陽極)
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au、Ag、Cu等の金属、CuI、酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide:ITO)、SnO、ZnO等の導電性材料が挙げられる。
また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度を余り必要としない場合には(100μm以上程度)、電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
また、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗値は数百Ω/□以下が好ましい。更に厚さは材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
本発明実施形態の有機EL素子においては、陽極として、図1に示すような態様の透明電極2を用いることが好ましい。
透明電極2は、電極層のみからなる1層構造であってもよいが、図1に示すような、フィルム基板4側から、下地層2aと、この上部に成膜された電極層2bとを順に積層した2層構造であることが好ましい。このうち、電極層2bは、銀若しくは銅又はそれらを含む合金を用いて構成された層であり、下地層2aは、例えば、窒素原子を含んだ化合物を用いて構成された層である。
なお、透明電極2の透明とは、波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいう。
(1)下地層
下地層2aは、電極層2bのフィルム基板4側に設けられる層である。下地層2aを構成する材料としては、特に限定されるものではなく、銀若しくは銅又はそれらを含む合金からなる電極層2bの形成に際し、銀の凝集を抑制できるものであればよく、例えば、窒素原子や硫黄原子を含んだ化合物等が挙げられる。
下地層2aが、低屈折率材料(屈折率1.7未満)からなる場合、その層厚の上限としては、50nm以下である必要があり、30nm以下であることが好ましく、10nm以下であることが更に好ましく、5nm以下であることが特に好ましい。層厚を50nm以下とすることにより、光学的ロスを最小限に抑えられる。一方、層厚の下限としては、0.05nm以上が必要であり、0.1nm以上であることが好ましくは、0.3nm以上であることが特に好ましい。層厚を0.05nm以上とすることにより、均一な厚さの下地層2aを形成することが可能となり、その結果、銀若しくは銅又はそれらを含む合金の凝集抑制効果を均一にすることができる。
下地層2aが、高屈折率材料(屈折率1.7以上)からなる場合、その層厚の上限としては特に制限はなく、層厚の下限としては低屈折率材料からなる場合と同様である。
ただし、単なる下地層2aの機能としては、銀若しくは銅又はそれらを含む合金の凝集抑制効果を均一にする効果が得られる必要層厚で形成されれば十分である。
下地層2aの形成方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法等のドライプロセスを用いる方法等が挙げられる。中でも、蒸着法が好ましく適用される。
下地層2aを構成する窒素原子を含んだ化合物としては、分子内に窒素原子を含んでいる化合物であれば特に限定されないが、窒素原子をヘテロ原子とした複素環を有する化合物であることが好ましい。窒素原子をヘテロ原子とした複素環としては、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、アゾリジン、アゾール、アジナン、ピリジン、アゼパン、アゼピン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾリン、ピラジン、モルホリン、チアジン、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、カルバゾール、ベンゾ−C−シンノリン、ポルフィリン、クロリン、コリン等が挙げられる。
(2)電極層
電極層2bは、銀若しくは銅又はそれらを含む合金を用いて構成された層であって、下地層2a上に形成された層であることが好ましい。
このような電極層2bの形成方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法等のウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法等のドライプロセスを用いる方法等が挙げられる。中でも、蒸着法が好ましく適用される。
また、電極層2bは、下地層2a上に形成されることにより、電極層2b形成後の高温アニール処理等がなくても十分に導電性を有することを特徴とするが、必要に応じて、形成後に高温アニール処理等を行ったものであってもよい。
電極層2bを構成する銀(Ag)を含む合金としては、例えば、銀マグネシウム(AgMg)、銀銅(AgCu)、銀パラジウム(AgPd)、銀パラジウム銅(AgPdCu)、銀インジウム(AgIn)等が挙げられる。
以上のような電極層2bは、銀若しくは銅又はそれらを含む合金の層が、必要に応じて複数の層に分けて積層された構成であってもよい。
さらに、この電極層2bは、厚さが4〜9nmの範囲内にあることが好ましい。厚さが9nmより薄い場合には、層の吸収成分又は反射成分が少なく、透明電極の透過率が大きくなる。また、厚さが4nmより厚い場合には、層の導電性を十分に確保することができる。
なお、以上のような下地層2aとこの上部に形成された電極層2bとからなる積層構造の透明電極2は、電極層2bの上部が保護膜で覆われていたり、別の電極層が積層されていてもよい。この場合、透明電極2の光透過性を損なうことのないように、保護膜及び別の電極層が光透過性を有することが好ましい。
また、以上のような構成の透明電極2は、例えば、窒素原子を含んだ化合物を用いて構成された下地層2a上に、銀若しくは銅又はそれらを含む合金からなる電極層2bを設けた構成である。これにより、下地層2aの上部に電極層2bを形成する際には、電極層2bを構成する銀原子が下地層2aを構成する窒素原子を含んだ化合物と相互作用し、銀原子の下地層2a表面においての拡散距離が減少し、銀の凝集が抑えられる。
ここで、一般的に銀若しくは銅又はそれらを含む合金からなる電極層2bの形成においては、核成長型(Volumer−Weber:VW型)で薄膜成長するため、銀粒子が島状に孤立しやすく、層厚が薄いときは導電性を得ることが困難であり、シート抵抗値が高くなる。したがって、導電性を確保するには層厚を厚くする必要があるが、層厚を厚くすると光透過率が下がるため、透明電極としては不適であった。
しかしながら、透明電極2によれば、上述したように下地層2a上において銀の凝集が抑えられるため、銀若しくは銅又はそれらを含む合金からなる電極層2bの形成においては、単層成長型(Frank−van der Merwe:FM型)で薄膜成長するようになる。
また、ここで、透明電極2の透明とは、波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいうが、下地層2aとして用いられる上述した各材料は、銀若しくは銅又はそれらを含む合金からなる電極層2bと比較して十分に光透過性の良好な膜である。一方、透明電極2の導電性は、主に、電極層2bによって確保される。したがって、上述のように、銀若しくは銅又はそれらを含む合金からなる電極層2bが、より薄い層厚で導電性が確保されたものとなることにより、透明電極2の導電性の向上と光透過性の向上との両立を図ることが可能になる。
(陰極)
第2電極6は、発光ユニット3に電子を供給する陰極(カソード)として機能する電極膜である。陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。
このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
また、この有機EL素子100に示される例において、陰極は、一対の電極のうち、発光ユニットの光取り出し側とは反対側の第2電極6である。この陰極により発光光hを反射させて陽極側から光を取り出す場合、当該陰極が光反射性金属層(光反射性電極)となる。このような光反射性電極を形成するための電極物質としては、反射率が高い方が、光取り出し側とは反対側へ出射された光が光取り出し側へ効率よく取り出されるため好ましく、例えば、銀や銀化合物、アルミニウムなどが好ましい。
なお、陰極が光反射性金属層を兼ねている場合、この陰極の光取り出し側の表面は、発光層の光取り出し側とは反対側の表面から、200nm以上の光学距離がある構成であることが好ましい。このような構成であると、発光光hが陰極にプラズモン吸収されることを回避でき、ひいては、有機EL素子100の光取り出し効率を向上できる。
陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗値は数百Ω/□以下が好ましく、厚さは通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲内で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方が透明又は半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上述の金属を1〜20nmの厚さで作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
なお、この有機EL素子100が、第2電極6側からも発光光hを取り出すものである場合であれば、上述した導電性材料のうち光透過性の良好な導電性材料を選択して第2電極6を構成すればよい。
<光反射性金属層>
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、発光ユニット3の光取出し側とは反対側に光反射性金属層21を更に有するものであってもよい。
また、一対の電極がともに透明電極である場合、発光ユニット3と光反射性金属層21との間には、これら一対の電極のうち光取り出し側とは反対側の電極が、少なくとも介在することが好ましい(図3参照)。
なお、光反射性金属層21を設ける場合、当該光反射性金属層21の光取り出し側の表面と、発光層の光取り出し側とは反対側の表面と、の光学距離は、200nm以上であることが好ましい。このような光学距離であると、光反射性金属層21に発光光hが吸収(プラズモン吸収)されることを抑制でき、この結果、光取り出し効率が向上するため好ましい。
なお、上述のような光学的距離を設けるために、例えば、光反射性金属層21と第2電極6との間に、光学調整層20として、例えば後述のα−NPDからなる膜を設けてもよい。なお、光学調整層20の素材としては、α−NPDに限定されず、正孔輸送層、電子輸送層などの有機機能層の形成に用いられる材料や、その他の絶縁性材料を適宜採用できる。
また、上述のように、光反射性金属層は、一対の電極のうち、発光ユニットの光取出し側とは反対側の電極を兼ねていてもよい。この場合、有機機能層が、その一つとして発光層と光反射性金属層との間に電荷輸送層を有し、電荷輸送層の厚さが、光学距離で180nm以上であることが好ましい。これにより、本発明に係る有機EL素子の光取り出し効率は、更に向上する。なお、本発明に係る電荷物輸送層とは、例えば、後述の正孔輸送層又は電子輸送層等が挙げられる。また、電荷物輸送層のうち、いずれか一つの層の厚さが180nm以上であってもよいし、複数の層の合計が180nm以上であってもよい。
光反射性金属層の材料としては、特に限定されず、金属や合金など発光光hを反射できるものであればよく、例えば、アルミニウム、銀、クロム、ニッケル、チタン、マグネシウム、ロジウム、プラチナ、パラジウム、スズ、ガリウム、インジウム、ビスマス、金等の金属やそれらを含む合金が挙げられる。中でも、高い反射率及び耐食性を得る観点から、アルミニウム又は銀が好ましい。
光反射性金属層の形成方法としては、蒸着法、スパッタリング法、印刷法、インクジェット法、エアロゾルジェット法等が挙げられる。なお、光反射性金属層の厚さは、30〜500nmの範囲内であることが好ましい。
<補助電極>
補助電極15は、透明電極2の抵抗値を下げる目的で設けるものであって、透明電極2の電極層2bに接して設けられることが好ましい。補助電極15を形成する材料は、金、白金、銀、銅、アルミニウム等の抵抗値が低い金属が好ましい。これらの金属は光透過性が低いため、光取り出し面13aからの発光光hの取り出しの影響のない範囲でパターン形成される。
このような補助電極15の形成方法としては、蒸着法、スパッタリング法、印刷法、インクジェット法、エアロゾルジェット法等が挙げられる。補助電極15の線幅は、光を取り出す開口率の観点から50μm以下であることが好ましく、補助電極15の厚さは、導電性の観点から1μm以上であることが好ましい。
<取り出し電極>
取り出し電極16は、透明電極2と外部電源とを電気的に接続するものであって、その材料としては特に限定されるものではなく公知の素材を好適に使用できるが、例えば、3層構造からなるMAM電極(Mo/Al・Nd合金/Mo)等の金属膜を用いることができる。
<発光ユニット>
本発明に係る発光ユニットとは、少なくとも、後述する各種有機化合物を含有する、発光層、正孔輸送層、電子輸送層等の有機機能層を主体として構成される発光体(単位)をいう。当該発光体は、陽極と陰極からなる一対の電極の間に挟持されており、当該陽極から供給される正孔(ホール)と陰極から供給される電子が当該発光体内で再結合することにより発光する。
本発明で用いられる発光ユニット3は、例えば、陽極(アノード)である透明電極2側から順に正孔注入層3a/正孔輸送層3b/発光層3c/電子輸送層3d/電子注入層3eを積層した構成が例示される。以下において、各層について、詳細に説明する。
<発光層>
本発明に係る有機機能層は、少なくとも一つの発光層を含む。
本発明に係る発光層3cには、発光材料としてリン光発光化合物が含有されている。
この発光層3cは、電極又は電子輸送層3dから注入された電子と、正孔輸送層3bから注入された正孔とが再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層3cの層内であっても発光層3cと隣接する層との界面であってもよい。
このような発光層3cとしては、含まれる発光材料が発光要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。また、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。この場合、各発光層3c間には、非発光性の中間層(図示略)を有していることが好ましい。
発光層3cの厚さの総和は1〜100nmの範囲内にあることが好ましく、より低い駆動電圧を得ることができることから1〜30nmの範囲内であることがより好ましい。
なお、発光層3cの厚さの総和とは、発光層3c間に非発光性の中間層が存在する場合には、当該中間層も含む厚さである。
複数層を積層した構成の発光層3cの場合、個々の発光層の厚さとしては、1〜50nmの範囲内に調整することが好ましく、更に好ましくは1〜20nmの範囲内に調整することがより好ましい。積層された複数の発光層が、青、緑、赤のそれぞれの発光色に対応する場合、青、緑、赤の各発光層の厚さの関係については、特に制限はない。
以上のような発光層3cは、後述する発光材料やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜形成方法により形成することができる。
また、発光層3cは、複数の発光材料を混合してもよく、またリン光発光性化合物と蛍光発光材料(蛍光ドーパント、蛍光性化合物ともいう)とを同一発光層3c中に混合して用いてもよい。
発光層3cの構成として、ホスト化合物(発光ホスト等ともいう)、発光材料(発光ドーパントともいう)を含有し、発光材料より発光させることが好ましい。
(1)ホスト化合物
発光層3cに含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)におけるリン光発光のリン光量子収率が0.1以下の化合物が好ましい。更に好ましくはリン光量子収率が0.01以下である。また、発光層3cに含有される化合物の中で、その層中での体積比が50%以上であることが好ましい。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく又は複数種用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子100を高効率化することができる。また、後述する発光材料を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
用いられるホスト化合物としては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもよい。
公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、発光の長波長化を防ぎ、かつ高Tg(ガラス転移温度)の化合物であることが好ましい。
ここでいうガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS K 7121に準拠した方法により求められる値である。
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物を用いることができる。例えば、特開2010−251675号公報、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等が挙げられる。
(2)発光材料
本発明で用いることのできる発光材料としては、リン光発光性化合物とケイ光発光性化合物(ケイ光性化合物、ケイ光発光材料ともいう。)が挙げられる。
(リン光発光性化合物)
リン光発光性化合物とは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明においてリン光発光性化合物を用いる場合、任意の溶媒のいずれかにおいてリン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
リン光発光性化合物の発光の原理としては、二種挙げられる。一つは、キャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光発光性化合物に移動させることでリン光発光性化合物からの発光を得るというエネルギー移動型であり、もう一つは、リン光発光性化合物がキャリアトラップとなり、リン光発光性化合物上でキャリアの再結合が起こりリン光発光性化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型である。いずれの場合においても、リン光発光性化合物の励起状態のエネルギーは、ホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件となる。
リン光発光性化合物は、一般的な有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物若しくは白金化合物(白金錯体系化合物)又は希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
本発明においては、少なくとも一つの発光層3cに二種以上のリン光発光性化合物を含有していてもよく、発光層3cにおけるリン光発光性化合物の濃度比が発光層3cの厚さ方向で変化していてもよい。
リン光発光性化合物は、好ましくは発光層3cの総量に対し、0.1〜30体積%の範囲内である。
また、リン光発光性化合物は、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。
本発明に係るリン光発光性化合物の具体例としては、特開2010−251675号公報に記載の化合物を用いることができるが、本発明はこれらに限定されない。
(ケイ光発光性化合物)
ケイ光発光性化合物としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
<注入層:正孔注入層、電子注入層>
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度を向上させるために電極と発光層3cとの間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層3aと電子注入層3eとがある。
注入層は、必要に応じて設けることができる。正孔注入層3aであれば、アノードと発光層3c又は正孔輸送層3bとの間、電子注入層3eであればカソードと発光層3c又は電子輸送層3dとの間に存在させてもよい。
正孔注入層3aは、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン層、酸化バナジウムに代表される酸化物層、アモルファスカーボン層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子層等が挙げられる。
電子注入層3eは、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属層、フッ化カリウムに代表されるアルカリ金属ハライド層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物層、酸化モリブデンに代表される酸化物層等が挙げられる。本発明の電子注入層3eはごく薄い膜からなる層であることが望ましく、素材にもよるがその層厚は1nm〜10μmの範囲内であることが好ましい。
<正孔輸送層>
本発明に係る有機機能層は、その一つとして正孔輸送層(電荷輸送層)を有することが好ましい。
正孔輸送層3bは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層3a、電子阻止層も正孔輸送層3bに含まれる。正孔輸送層3bは単層又は複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD)、2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン、4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン、N−フェニルカルバゾール、さらには、米国特許第5061569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが三つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
さらに、これらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.,Applied Physics Letters,80(2002),p.139に記載されているような、いわゆるp型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層3bは、正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することで形成することができる。正孔輸送層3bの厚さについては特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmの範囲内である。この正孔輸送層3bは、材料の一種又は二種以上からなる1層構造であってもよい。なお、上述したように、光反射性金属層が、発光ユニットの光取出し側とは反対側の電極を兼ねている場合、正孔輸送層の厚さは、光学距離で180nm以上であれば、光反射性金属層の光取り出し側の表面と、発光層の光取り出し側とは反対側の表面と、の光学距離を200nm以上としやすいため、好ましい。
また、正孔輸送層3bの材料に不純物をドープしてp性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
このように、正孔輸送層3bのp性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
<電子輸送層>
本発明に係る有機機能層は、その一つとして電子輸送層(電荷輸送層)を有することが好ましい。
本発明に係る電子輸送層3dは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層3e、正孔阻止層(図示略)も電子輸送層3dに含まれる。電子輸送層3dは単層構造又は複数層の積層構造として設けることができる。
単層構造の電子輸送層3d及び積層構造の電子輸送層3dにおいて、発光層3cに隣接する層部分を構成する電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、カソードより注入された電子を発光層3cに伝達する機能を有していればよい。このような材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン、アントロン誘導体及びオキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送層3dの材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送層3dの材料として用いることができる。
その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送層3dの材料として好ましく用いることができる。また、発光層3cの材料としても用いられるジスチリルピラジン誘導体も電子輸送層3dの材料として用いることができるし、正孔注入層3a、正孔輸送層3bと同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送層3dの材料として用いることができる。
電子輸送層3dは、上記材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層3dの厚さについては特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmの範囲内である。なお、上述のように、一対の電極のうち、発光ユニットの光取り出し側とは反対側の電極が、光反射性金属層である場合、電子輸送層の厚さは、光学距離で180nm以上であれば、光反射性金属層の光取り出し側の表面と、発光層の光取り出し側とは反対側の表面と、の光学距離を200nm以上としやすいため、好ましい。
なお、電子輸送層3dは上記材料の一種又は二種以上からなる1層構造であってもよい。
また、電子輸送層3dに不純物をドープし、n性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。さらに、電子輸送層3dには、カリウムやカリウム化合物などを含有させることが好ましい。カリウム化合物としては、例えば、フッ化カリウム等を用いることができる。このように電子輸送層3dのn性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができる。
また、電子輸送層3dの材料(電子輸送性化合物)として、上述した下地層2aを構成する材料と同様のものを用いてもよい。これは、電子注入層3eを兼ねた電子輸送層3dであっても同様であり、上述した下地層2aを構成する材料と同様のものを用いてもよい。
<阻止層:正孔阻止層、電子阻止層>
阻止層は、上述のように、有機化合物薄膜の基本構成層の他に、必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは、広い意味では、電子輸送層3dの機能を有する。正孔阻止層は、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、電子輸送層3dの構成を必要に応じて、正孔阻止層として用いることができる。正孔阻止層は、発光層3cに隣接して設けられていることが好ましい。
一方、電子阻止層とは、広い意味では、正孔輸送層3bの機能を有する。電子阻止層は、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、正孔輸送層3bの構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。正孔阻止層の厚さとしては、好ましくは3〜100nmの範囲内であり、更に好ましくは5〜30nmの範囲内である。
<封止材>
封止材17は、有機EL素子100を覆うものであって、板状(フィルム状)の封止部材で接着剤19によってフィルム基板4側に固定されるものであってもよく、また、封止膜であってもよい。このような封止材17は、有機EL素子100における透明電極2及び第2電極6の端子部分を露出させ、少なくとも発光ユニット3を覆う状態で設けられている。また、封止材17に電極を設け、有機EL素子100の透明電極2及び第2電極6の端子部分と、この電極とを導通させるように構成されていてもよい。
板状(フィルム状)の封止材17としては、具体的には、ガラス基板、ポリマー基板、金属基板等が挙げられ、これらの基板材料を更に薄型のフィルム状にして用いてもよい。ガラス基板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー基板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属基板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブデン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属又は合金からなるものが挙げられる。
中でも、素子を薄膜化できるということから、封止材としてポリマー基板や金属基板を薄型のフィルム状にしたものを好ましく使用することができる。
さらには、フィルム状としたポリマー基板は、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/m・24h・atm以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/m・24h以下のものであることが好ましい。
また、以上のような基板材料は、凹板状に加工して封止材17として用いてもよい。この場合、上述した基板部材に対して、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等の加工が施され、凹状が形成される。
また、このような板状の封止材17をフィルム基板4側に固定するための接着剤19は、封止材17とフィルム基板4との間に挟持された有機EL素子100を封止するためのシール剤として用いられる。このような接着剤19は、具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。
また、このような接着剤19としては、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
なお、有機EL素子100を構成する有機材料は、熱処理により劣化する場合がある。このため、接着剤19は、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、接着剤19中に乾燥剤を分散させておいてもよい。
封止材17とフィルム基板4との接着部分への接着剤19の塗布は、市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また、板状の封止材17とフィルム基板4と接着剤19との間に隙間が形成される場合、この間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、ヨウ化バリウム、ヨウ化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
一方、封止材17として封止膜を用いる場合、有機EL素子100における発光ユニット3を完全に覆い、かつ有機EL素子100における透明電極2及び第2電極6の端子部分を露出させる状態で、フィルム基板4上に封止膜が設けられる。
このような封止膜は、無機材料や有機材料を用いて構成される。特に、水分や酸素等、有機EL素子100における発光ユニット3の劣化をもたらす物質の浸入を抑制する機能を有する材料で構成されることとする。このような材料として、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等の無機材料が用いられる。さらに、封止膜の脆弱性を改良するために、これら無機材料からなる膜とともに、有機材料からなる膜を用いて積層構造としてもよい。
これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
<保護膜、保護板>
なお、ここでの図示は省略したが、フィルム基板4との間に有機EL素子100及び封止材17を挟んで保護膜若しくは保護板を設けてもよい。この保護膜若しくは保護板は、有機EL素子100を機械的に保護するためのものであり、特に封止材17が封止膜である場合には、有機EL素子100に対する機械的な保護が十分ではないため、このような保護膜若しくは保護板を設けることが好ましい。
以上のような保護膜若しくは保護板は、ガラス板、ポリマー板、これよりも薄型のポリマーフィルム、金属板、これよりも薄型の金属フィルム又はポリマー材料膜や金属材料膜が適用される。このうち、特に、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
<有機EL素子の製造方法>
ここでは、一例として、図1に示す有機EL素子100の製造方法を説明する。
なお、図1に示す有機EL素子100の製造方法は、少なくとも
平滑層を形成する工程と、陽極(透明電極)を形成する工程と、
(a)2層以上で構成されるガスバリアー層を塗布法により形成する工程と、
(b)ガスバリアー層と発光ユニットとの間に光散乱層を形成する工程と、
を有することが好ましい。
(ガスバリアー層を塗布法により形成する工程(a))
当該工程では、2層以上で構成されるガスバリアー層を塗布法により形成する。
具体的には、例えば、まず、パーヒドロポリシラザン(アクアミカ NN120−10、無触媒タイプ、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製)のジブチルエーテル溶液を、ポリシラザン層塗布液として調製する。次いで、当該ポリシラザン層塗布液を、ワイヤーバー等によりフィルム基板に塗布後、乾燥させ、さらに、除湿処理を行って、ポリシラザン層を形成する。次いで、当該ポリシラザン層に対し、株式会社 エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200などの紫外線装置を、真空チャンバー内に設置して、シリカ転化処理(改質処理)を行うことで、第1ガスバリアー層5aを形成する。
次に、上述のポリシラザン層塗布液を、ワイヤーバー等により第1ガスバリアー層5a上に塗布後、乾燥させ、更に除湿処理を行って、ポリシラザン層を形成する。次いで、ポリシラザン層に対し、シリカ転化処理(改質処理)を行うことで第2ガスバリアー層5bを形成することで2層からなる、ガスバリアー層を塗布法により形成することができる。
なお、3層以上からなるガスバリアー層を形成する場合、第2ガスバリアー層5bの上にポリシラザン層塗布液を塗布し、その後の処理は、第1ガスバリアー層5a及び第2ガスバリアー層5bの形成方法と同様にすればよい。
(光散乱層を形成する工程(b))
当該工程では、ガスバリアー層と発光ユニットとの間に光散乱層を形成する。
具体的には、例えば、まず、TiO粒子(テイカ(株)製 JR600A)と樹脂溶液(APM社製 ED230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))とn−プロピルアセテートとシクロヘキサノンとを混合し、超音波分散機(エスエムテー社製 UH−50)に、マイクロチップステップ(エスエムテー社製 MS−3 3mmφ)の標準条件でTiOの分散液を作製する。次いで、この分散液をガスバリアー層上に塗布した後、簡易乾燥し、さらに、ベークすることで、光散乱層を形成する。
(平滑層を形成する工程)
当該工程では、光散乱層に隣接して、かつ、光散乱層と発光ユニットとの間に平滑層1を形成する。
具体的には、光散乱層7上に、平均粒子径5〜70nmの範囲内の粒子が分散された樹脂材料溶液を塗布し、平滑層1を作製する。
具体的には、例えば、まず、ナノTiO分散液(テイカ(株)製 HDT−760T)と樹脂溶液(APM社製 ED230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))とn−プロピルアセテートとシクロヘキサノンとトルエンとを混合、撹拌して調製した分散液を光散乱層7上に塗布した後、簡易乾燥し、さらに、ベークすることで、平滑層を形成する。
(陽極(透明電極)を形成する工程)
次に、平滑層1上に、例えば、窒素原子を含んだ化合物からなる下地層2aを、1μm以下、好ましくは10〜100nmの範囲内の厚さになるように蒸着法等の適宜の方法により形成する。
次に、銀若しくは銅(又は銀若しくは銅を含む合金)からなる電極層2bを、12nm以下、好ましくは4〜9nmの層厚になるように、蒸着法等の適宜の方法により下地層2a上に形成し、陽極(アノード)となる透明電極2を作製する。同時に、透明電極2端部に、外部電源と接続される取り出し電極16を蒸着法等の適宜の方法に形成する。
(発光ユニットを形成する工程)
次に、この上に、正孔注入層3a、正孔輸送層3b、発光層3c、電子輸送層3d、電子注入層3eの順に積層し、発光ユニット3を形成する。これらの各層の形成は、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、印刷法等があるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法又はスピンコート法が特に好ましい。さらに層ごとに異なる形成法を適用してもよい。これらの各層の形成に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度1×10−6〜1×10−2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、層厚0.1〜5μmの範囲内で、各条件を適宜選択することが望ましい。
(陰極(第2電極6)を形成する工程)
以上のようにして発光ユニット3を形成した後、この上部に陰極(カソード)となる第2電極6を、蒸着法やスパッタ法などの適宜の形成法によって形成する。この際、第2電極6は、発光ユニット3によって透明電極2に対して絶縁状態を保ちつつ、発光ユニット3の上方からフィルム基板4の周縁に端子部分を引き出した形状にパターン形成する。これにより、有機EL素子100が得られる。また、その後には、有機EL素子100における透明電極2(取り出し電極16)及び第2電極6の端子部分を露出させた状態で、少なくとも発光ユニット3を覆う封止材17を設ける。
以上により、フィルム基板4上に所望の有機EL素子100が得られる。このような有機EL素子100の作製においては、1回の真空引きで一貫して発光ユニット3から第2電極6まで作製するのが好ましいが、途中で真空雰囲気からフィルム基板4を取り出して異なる形成法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
このようにして得られた有機EL素子100に直流電圧を印加する場合には、アノードである透明電極2を+の極性とし、カソードである第2電極6を−の極性として、電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また、交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
<有機EL素子の効果>
以上説明した本発明の有機EL素子100の好ましい態様は、導電性と光透過性とを兼ね備えた透明電極2とフィルム基板4との間に、ガスバリアー層5、光散乱層7及び平滑層1を設けた構成である。これにより、透明電極2とフィルム基板4との間の全反射ロスを低減し、発光効率を向上させることができる。
また、有機EL素子100は、透明電極2を陽極(アノード)として用い、この上部に発光ユニット3と陰極(カソード)となる第2電極6とを設けた構成である。このため、透明電極2と第2電極6との間に十分な電圧を印加して有機EL素子100での高輝度発光を実現しつつ、透明電極2側からの発光光hの取り出し効率が向上することによる高輝度化を図ることが可能である。さらに、所定輝度を得るための駆動電圧の低減による発光寿命の向上を図ることも可能になる。
<有機EL素子の用途>
上述した各構成の有機EL素子100は、上述したように面発光体であるため各種の発光光源として用いることができる。例えば、家庭用照明や車内照明などの照明装置、時計や液晶用のバックライト、看板広告用照明、信号機の光源、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定するものではなく、特にカラーフィルターと組み合わせた液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
また、本発明の有機EL素子100は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。この場合、近年の照明装置及びディスプレイの大型化にともない、有機EL素子100を設けた発光パネル同士を平面的に接合する、いわゆるタイリングによって発光面を大面積化してもよい。
動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。また、異なる発光色を有する本発明の有機EL素子100を二種以上使用することにより、カラー又はフルカラー表示装置を作製することが可能である。
以下では、用途の一例として照明装置について説明し、次にタイリングによって発光面を大面積化した照明装置について説明する。
<照明装置>
本発明の有機EL素子100は、照明装置に応用することができる。
本発明の有機EL素子100を用いる照明装置は、上述した構成の各有機EL素子に共振器構造を持たせた設計としてもよい。共振器構造として構成された有機EL素子100の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより、上記用途に使用してもよい。
なお、本発明の有機EL素子100に用いられる材料は、実質的に白色の発光を生じる有機EL素子(白色有機EL素子ともいう)に適用できる。例えば、複数の発光材料により複数の発光色を同時に発光させて混色により白色発光を得ることもできる。複数の発光色の組み合わせとしては、赤色、緑色、青色の3原色の三つの発光極大波長を含有させたものでもよいし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した二つの発光極大波長を含有したものでもよい。
また、複数の発光色を得るための発光材料の組み合わせは、複数のリン光又は蛍光で発光する材料を複数組み合わせたもの、蛍光又はリン光で発光する発光材料と、発光材料からの光を励起光として発光する色素材料との組み合わせたもののいずれでもよいが、白色有機EL素子においては、発光ドーパントを複数組み合わせて混合したものでもよい。
このような白色有機EL素子は、各色発光の有機EL素子をアレー状に個別に並列配置して白色発光を得る構成と異なり、有機EL素子自体が白色を発光する。このため、素子を構成するほとんどの層の形成にマスクを必要とせず、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で形成することができ、生産性も向上する。
また、このような白色有機EL素子の発光層に用いる発光材料としては、特に制限はなく、例えば、液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルター)特性に対応した波長範囲に適合するように、上述の金属錯体や公知の発光材料の中から任意のものを選択して組み合わせて白色化すればよい。
以上に説明した白色有機EL素子を用いれば、実質的に白色の発光を生じる照明装置を作製することが可能である。
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
また、平滑層1の平均屈折率は、単独の素材で形成されている場合は、単独の素材の屈折率であり、混合系の場合は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率である。光散乱層7のバインダー屈折率は、単独の素材で形成されている場合は、単独の素材の屈折率であり、混合系の場合は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率である。光散乱層7の粒子屈折率についても同様に、単独の素材で形成されている場合は、単独の素材の屈折率であり、混合系の場合は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率である。光散乱層7の平均屈折率は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率である。
なお、本実施例中における屈折率は、全て温度25℃における値である。
[ガスバリアー層の形成]
フィルム基板として、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(PENフィルム、厚さ:100μm、幅:350mm、帝人デュポンフィルム(株)製、商品名「テオネックスQ65FA」)を用いた。
(プライマー層の作製)
上記フィルム基板の易接着面に、UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材(JSR株式会社製 OPSTAR Z7501)を乾燥後の厚さが4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、乾燥条件;80℃、3分で乾燥後、空気雰囲気下、高圧水銀ランプ使用、硬化条件;1.0J/cm硬化を行い、プライマー層を形成した。
このときの表面粗さを表す最大断面高さRa(p)は5nmであった。
なお、表面粗さは、AFM(原子間力顕微鏡 AFM:Digital Instruments社製)を用い、極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が30μmの区間内を3回測定し、微細な凹凸の振幅に関する平均の粗さから求めた。
(第1ガスバリアー層の形成)
第1ガスバリアー層の形成は、ポリシラザンより酸化ケイ素の膜を形成することで行った。具体的には、パーヒドロポリシラザン(アクアミカ NN120−10、無触媒タイプ、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製)の10質量%ジブチルエーテル溶液を、ポリシラザン層塗布液とし、当該ポリシラザン層塗布液を、ワイヤーバーにて、乾燥後の(平均)厚さが300nmとなるように塗布し、温度85℃、湿度55%RHの雰囲気下で1分間処理して乾燥させ、更に温度25℃、湿度10%RH(露点温度−8℃)の雰囲気下に10分間保持し、除湿処理を行って、ポリシラザン層を形成した。
次いで、ポリシラザン層に対し、下記のような紫外線照射装置を用いて、大気圧化でシリカ転化処理(改質処理)を実施した。
〈紫外線照射装置〉
装置:株式会社 エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200
照射波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
〈改質処理条件〉
稼動ステージ上に固定したポリシラザン層を形成した基材に対し、以下の条件で改質処理を行って、ガスバリアー層を形成した。
エキシマランプ光強度:130mW/cm(172nm)
試料と光源の距離:1mm
ステージ加熱温度:70℃
照射装置内の酸素濃度:1.0%
エキシマランプ照射時間:5秒
(第2ガスバリアー層の形成)
第2ガスバリアー層の形成も、第1ガスバリアー層の形成と同様に、ポリシラザンより酸化ケイ素の膜を形成することで行った。
具体的には、第1ガスバリアー層と同様に、パーヒドロポリシラザンの10質量%ジブチルエーテル溶液を、ポリシラザン層塗布液とし、当該ポリシラザン層塗布液を、ワイヤーバーにて、乾燥後の(平均)厚さが150nmとなるように塗布し、温度85℃、湿度55%RHの雰囲気下で1分間処理して乾燥させ、更に温度25℃、湿度10%RH(露点温度−8℃)の雰囲気下に10分間保持し、除湿処理を行って、ポリシラザン層を形成した。
次いで、第1ガスバリアー層と同様の方法で、ポリシラザン層に対し、シリカ転化処理(改質処理)を実施した。
このようにして、2層からなる、厚さの合計が450nmのガスバリアー層(ポリシラザン塗布膜)を形成した。
なお、得られたガスバリアー層付きフィルム基板の透過率を分光光度計(日立製 U−3300)で測定したところ、95%であった。
[発光パネル[1](比較例)の作製]
(陽極(透明電極)の作製)
上述のようにして得られたガスバリアー層付きフィルム基板を、50×50mmに切り出し、超純水で洗浄した後、クリーンドライヤーで乾燥した。
次に、幅20mm×50mmの開口部があるマスクと重ねて市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、例示化合物D−1をタンタル製抵抗加熱ボートに入れ、これらの基板ホルダーと加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、第2真空槽内に取り付けた。
この状態で、まず、第1真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、例示化合物D−1の入った加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲内でガスバリアー層上に厚さ25nmの例示化合物10からなる下地層を設けた。
次いで、下地層まで形成した基材を真空のまま第2真空槽に移し、第2真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銀の入った加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲内で、下地層上に厚さ8nmの銀からなる電極層を形成し、下地層と電極層との積層構造からなる透明電極を作製した。
(発光パネルの作製)
以下、図2を参照して、作製手順を説明する。上述のようにして作製した透明電極を陽極(アノード)として用い、かつ当該陽極上に発光ユニットを設けて、有機EL素子400を作製した。そして、当該有機EL素子400に封止材17を接着させて発光パネル700を作製した。なお、図2に示す有機EL素子400においては、図1に示す有機EL素子100と略同様であり、異なる点を以下に説明する。
まず、上述のようにして作製した透明電極等が設けられたフィルム基板4を、中央部に幅30mm×30mmの開口部があるマスクと重ねて市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。また真空蒸着装置内の加熱ボートの各々に、発光ユニット3を構成する各材料を、それぞれの層の形成に最適な量で充填した。なお、加熱ボートはタングステン製抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
次いで、真空蒸着装置の蒸着室内を真空度4×10−4Paまで減圧し、各材料が入った加熱ボートを順次通電して加熱することにより、以下のように各層を形成した。
まず、正孔輸送注入材料として下記の構造式に示すα−NPDが入った加熱ボートに通電して加熱し、α−NPDよりなる正孔注入層と正孔輸送層とを兼ねた正孔輸送注入層を、透明電極2上に形成した。この際、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒、層厚20nmとした。
Figure 2015170443
次に、ホスト材料H−1の入った加熱ボートと、リン光発光性化合物Ir−1の入った加熱ボートとを、それぞれ独立に通電し、ホスト材料H−1とリン光発光性化合物Ir−1とよりなる発光層3cを、正孔輸送注入層3f上に形成した。この際、蒸着速度がホスト材料H−1:リン光発光性化合物Ir−1=100:6となるように、加熱ボートの通電を調節した。また層厚30nmとした。
次いで、正孔阻止材料としてBAlqが入った加熱ボートに通電して加熱し、BAlqよりなる正孔阻止層3gを、発光層3c上に形成した。この際、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒、層厚10nmとした。
その後、電子輸送材料としてD−1の入った加熱ボートと、フッ化カリウムの入った加熱ボートとを、それぞれ独立に通電し、D−1とフッ化カリウムとよりなる電子輸送層3dを、正孔阻止層3g上に形成した。この際、蒸着速度がD−1:フッ化カリウム=75:25になるように、加熱ボートの通電を調節した。また層厚30nmとした。
次に、電子注入材料としてフッ化カリウムの入った加熱ボートに通電して加熱し、フッ化カリウムよりなる電子注入層3eを、電子輸送層3d上に形成した。この際、蒸着速度0.01〜0.02nm/秒、層厚1nmとした。
その後、電子注入層3eまで積層したフィルム基板4を、アルミニウム(Al)を入れたタングステン製の抵抗加熱ボートが取り付けられた第2真空槽へ真空状態を保持したまま移送した。アノードと直交するように配置された幅20mm×50mmの開口部があるマスクと重ねて固定した。次いで、処理室内において、成膜速度0.3〜0.5nm/秒で、厚さ100nmのAlからなる膜を、光反射性の第2電極6をカソードとして形成した。
その後、有機EL素子400を、大きさ40×40mm、厚さ700μm、中央部34×34mmを深さ350μmのガラス基板からなる封止材17で覆い、有機EL素子400を囲む状態で、封止材17とフィルム基板4との間に接着剤19(シール材)を充填した。接着剤19としては、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を用いた。封止材17とフィルム基板4との間に充填した接着剤19に対して、ガラス基板(封止材17)側からUV光を照射し、接着剤19を硬化させて有機EL素子400を封止した。
なお、有機EL素子400の形成においては、各層の形成に蒸着マスクを使用し、5cm×5cmのフィルム基板4における中央の2.0cm×2.0cmを発光領域とし、発光領域の全周に幅1.5cmの非発光領域を設けた。また、陽極(アノード)である透明電極2と陰極(カソード)である第2電極6とは、正孔注入層3aから電子注入層3eまでの発光ユニット3によって絶縁された状態で、フィルム基板4の周縁に端子部分を引き出された形状で形成した。
以上のようにして、図2において、フィルム基板4上に有機EL素子400を設け、これを封止材17と接着剤19とで封止した発光パネル700(発光パネル[1])を作製した。
なお、別途正孔阻止層、電子輸送層及び電子注入層の屈折率を測定したところ、発光ピーク波長においてそれぞれ1.80、1.69及び1.36であった。したがって正孔阻止層、電子輸送層及び電子注入層の光学厚さは18.0nm、50.7nm及び1.4nmであり、第2電極6(光反射性金属層)の光取り出し側の表面と、発光層の光取り出し側とは反対側の表面と、の光学距離(以下、単に「発光層から光反射性金属層までの光学距離」ともいう。)は70.1nmであった。
[発光パネル[2]の作製]
発光パネル[1]の作製において、フィルム基板と陽極との間に、下記のようにして光散乱層を形成し、当該光散乱層の上に上述の方法で陽極を形成したほかは、発光パネル[1]の作製と同様にして発光パネル[2]を作製した。
(光散乱層の作製)
まず、上述のようにして得られたガスバリアー層付きフィルム基板を、50×50mmに切り出し、超純水洗浄、クリーンドライヤーで乾燥した。
次いで、光散乱層調液として、屈折率2.4、平均粒径0.25μmのTiO粒子(テイカ(株)製 JR600A)と樹脂溶液(APM社製 ED230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))との固形分比率が70vol%/30vol%、n−プロピルアセテートとシクロヘキサノンとの溶媒比が10質量%/90質量%、固形分濃度が15質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
具体的には、上記TiO粒子と溶剤とを混合し、常温で冷却しながら、超音波分散機(エスエムテー社製 UH−50)に、マイクロチップステップ(エスエムテー社製 MS−3 3mmφ)の標準条件で10分間分散を加え、TiOの分散液を作製した。
次いで、TiO分散液を100rpmで撹拌しながら、樹脂を少量ずつ混合添加し、添加完了後、500rpmまで撹拌速度を上げ、10分間混合した。
その後、疎水性PVDF 0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の塗布用の分散液を得た。
当該塗布用の分散液をスピン塗布(500rpm、30秒)にてフィルム基板上に回転塗布した後、簡易乾燥(80℃、2分)し、さらに、ベーク(120℃、60分)して、厚さ0.5μmの光散乱層を形成した。
[発光パネル[3]の作製]
発光パネル[2]の作製において、光散乱層と陽極との間に、下記のようにして平滑層を形成し、当該平滑層の上に上述の方法で陽極を形成したほかは、発光パネル[2]の作製と同様にして発光パネル[3]を作製した。
(平滑層の作製)
平滑層調液として、平均粒径0.02μmのナノTiO分散液(テイカ(株)製 HDT−760T)と樹脂溶液(APM社製 ED230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))との固形分比率が45vol%/55vol%、n−プロピルアセテートとシクロヘキサノンとトルエンとの溶媒比が20質量%/30質量%/50質量%、固形分濃度が20質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
具体的には、上記ナノTiO分散液と溶剤を混合し、100rpmで撹拌しながら、樹脂を少量ずつ混合添加し、添加完了後、500rpmまで撹拌速度を上げ、10分間混合した。
その後、疎水性PVDF 0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、塗布用の分散液を得た。
当該塗布用の分散液をスピン塗布(500rpm、30秒)にて光散乱層上に回転塗布した後、簡易乾燥(80℃、2分)し、さらに、ベーク(120℃、30分)して、厚さ0.7μmの平滑層を形成し、内部光取り出し層を作製した。
なお、平滑層単膜での屈折率は1.85であった。
上記のようにして作製した内部光取り出し層の透過率Tは67%、ヘイズ値Hzは50%であった。
また、D542に基づきソプラ社のエリプソメーターを用いて、内部光取り出し層全体の波長550nmにおける屈折率を測定したところ、1.85であった。
また、表面粗さを測定したところ、Ra=5nmであった。
なお、表面粗さ(算術平均粗さRa)は、下地層と同様に、AFM(原子間力顕微鏡 Atomic Force Microscope:Digital Instruments社製)を用い、極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が30μmの区間内を3回測定し、微細な凹凸の振幅に関する平均の粗さから求めた。以下の発光パネルにおいては全て同様に表面粗さ(算術平均粗さRa)を求めた。
[発光パネル[4]の作製]
発光パネル[3]の作製において、電子輸送層の製造方法を変えたほかは、発光パネル[3]の作製と同様にして発光パネル[4]を作製した。
(発光パネル[4]における電子輸送材料の作製)
発光パネル[3]の作製と同様にして正孔阻止層まで作製し、その後、電子輸送材料として先に構造式を示したD−1の入った加熱ボートと、フッ化カリウムの入った加熱ボートとを、それぞれ独立に通電し、D−1とフッ化カリウムとよりなる電子輸送層3dを、正孔阻止層上に形成した。この際、蒸着速度がD−1:フッ化カリウム=75:25になるように、加熱ボートの通電を調節した。また層厚は110nmとした。
その後、発光パネル[3]の作製と同様に電子注入層、陰極の形成、封止を行い、発光パネル[4]を作製した。
なお、発光パネル[4]において、別途正孔阻止層、電子輸送層及び電子注入層の屈折率を測定したところ、発光ピーク波長においてそれぞれ1.80、1.69及び1.36であった。したがって正孔阻止層、電子輸送層及び電子注入層の光学厚さは18.0nm、185.9nm及び1.4nmであり、発光層から陰極(光反射性金属層)までの光学距離は205.3nmであった。
[発光パネル[5]の作製]
以下、図3を参照して、作製手順を説明する。
図3は、発光パネル[5]の概略構成を示す断面図である。図3に示す有機EL素子500においては、図2に示す有機EL素子400と略同様であり、異なる点を以下に説明する。
発光パネル[3]の作製と同様に、電子注入層まで作製した。
その後、電子注入層3eまで形成したフィルム基板を、銀(Ag)を入れたタングステン製の抵抗加熱ボートが取り付けられた第2真空槽へ真空状態を保持したまま移送した。アノード(陽極)と直交するように配置された幅20mm×50mmの開口部があるマスクと重ねて固定した。次いで、処理室内において、成膜速度0.3〜0.5nm/秒で、厚さ11.5nmのAgからなる半透過性の膜を形成し、第2電極6(陰極、カソード)を透明電極として形成した。
その後、光学調整層として、再びα−NPDからなる膜を75nmの厚さで形成した。
次に、光学調整層20まで形成した透明基板4を、アルミニウム(Al)を入れたタングステン製の抵抗加熱ボートが取り付けられた第2真空槽へ真空状態を保持したまま移送した。幅25mm×25mmの開口部があるマスクを、開口部がアノードとカソードが直交するエリアをカバーするように重ねて固定した。次いで、処理室内において、成膜速度0.3〜0.5nm/秒で、厚さ100nmのAlの膜からなる光反射性金属層21を形成した。
その後、発光パネル[3]の作製と同様に封止を行い、発光パネル[5](発光パネル800)を作製した。
なお、別途正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層及び光学調整層の屈折率を測定したところ、発光ピーク波長においてそれぞれ1.80、1.69、1.36及び1.82であった。したがって正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層及び光学調整層の光学厚さは18.0、50.7、1.4及び136.5nmであった。また、Ag(カソード)の屈折率は、一般的に0.17であることが知られており、カソードの光学厚さは2.0nmであった。よって、発光層から光反射性金属層までの光学距離は208.5nmであった。
[評価]
得られた発光パネル[1]〜発光パネル[5]を用いて下記の評価を行った。各評価の結果は表1に示す。
(光取り出し効率)
全光束:φ250mmの積分球を用いて一定電流における光束を測定した。25A/mの定電流密度で測定した。各発光パネルのサイドエミッションは目隠しし、正面からの光束のみを測定した。
評価基準は下記のとおりである。
◎:2.4lm以上
○:1.9lm以上2.4lm未満
×:1.9lm未満
(リーク発生頻度)
発光パネル[1]〜発光パネル[5]について各発光パネルを五つ用いて、一定電流(100A/m)で駆動し、連続通電試験を行った。初期輝度が半減する前にショートしたデバイスの数を観察し、リーク発生頻度を評価した。
評価基準は下記のとおりである。
○:0個
△:1個以上3個以下
×:4個以上
Figure 2015170443
表1より、発光パネル[2]〜発光パネル[5]は、発光パネル[1]に比べ光取り出し効率が良好なことが示された。
100、400、500 有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)
1 平滑層
2 第1電極(透明電極)
2a 下地層
2b 電極層
3 発光ユニット
4 フィルム基板
5 ガスバリアー層
5a 第1ガスバリアー層
5b 第2ガスバリアー層
6 第2電極
7 光散乱層
700、800 照明装置(発光パネル)

Claims (7)

  1. フィルム基板上に、少なくとも、ガスバリアー層と、一対の電極に挟持され、少なくとも一つの発光層を含んだ有機機能層を有する発光ユニットとが、この順に積層された有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
    前記ガスバリアー層が、塗布法により形成され、かつ、2層以上で構成され、
    前記一対の電極の少なくとも一方が銀(Ag)若しくは銅(Cu)から選ばれる金属又はそれらを含む合金からなり、
    前記ガスバリアー層と前記発光ユニットとの間に光散乱層を更に有していることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記光散乱層と前記発光ユニットとの間に平滑層を更に有し、
    当該平滑層が、前記光散乱層に隣接して積層されていることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記発光ユニットの光取出し側とは反対側に光反射性金属層を更に有し、
    当該光反射性金属層の光取り出し側の表面と、前記発光層の光取り出し側とは反対側の表面と、の光学距離が、200nm以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記光反射性金属層が、前記一対の電極のうち、前記発光ユニットの光取出し側とは反対側の電極を兼ね、
    前記有機機能層が、その一つとして前記発光層と前記光反射性金属層との間に電荷輸送層を有し、
    当該電荷輸送層の厚さが、光学距離で180nm以上であることを特徴とする請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記一対の電極が、透明電極であり、かつ、
    前記発光ユニットと前記光反射性金属層との間には、前記一対の電極のうち光取り出し側とは反対側の前記電極が、少なくとも介在することを特徴とする請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載された有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
    (a)前記2層以上で構成される前記ガスバリアー層を塗布法により形成する工程と、
    (b)前記ガスバリアー層と前記発光ユニットとの間に前記光散乱層を形成する工程と、
    を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  7. 前記光散乱層に隣接して、かつ、前記光散乱層と前記発光ユニットとの間に平滑層を形成する工程を更に有することを特徴とする請求項6に記載された有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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