JP2016219254A - ガスバリアフィルム、透明導電部材、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】光り取り出し効率と信頼性の向上が可能なガスバリアフィルムを提供する。【解決手段】樹脂基材11と、樹脂基材11上に設けられた少なくとも光散乱層12を有する光取り出し層と、光取り出し層上に設けられたガスバリア層20とを備え、ガスバリア層20が酸窒化ケイ素化合物を含む第1ガスバリア層21と、ニオブ(Nb)含む第2ガスバリア層22とを有するガスバリアフィルム10を構成する。【選択図】図1
Description
本発明は、光取り出し層とガスバリア層とを有するガスバリアフィルム、このガスバリアフィルムを用いた透明導電部材、及び、この透明導電部材を備える有機エレクトロルミネッセンス素子に係わる。
近年、電子デバイス分野では、軽量化及び大型化という要求に加え、長期信頼性や形状の自由度が高いこと、曲面表示が可能であること等の要求が加わり、重くて割れやすく大面積化が困難なガラス基板に代わって透明プラスチック等の樹脂基材が採用され始めている。
しかしながら、透明プラスチック等の樹脂基材は、ガラス基板に対しガスバリア性が劣るという問題がある。ガスバリア性が劣る基板を用いると、水蒸気や酸素が浸透してしまい、例えば、電子デバイス内の機能を劣化させてしまうことが分かっている。
そこで、樹脂基材にガスバリア性を有する膜(ガスバリア層)を形成して、ガスバリアフィルムとして使用することが一般的に知られている。例えば、樹脂基材上に無機層と無機層の間に配置された有機層とを含むガスバリア層を形成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、電子デバイスの一つである有機エレクトロルミネッセンス(electroluminescence:EL)素子においては、発光効率を向上させるために、光散乱層からなる光取り出し層を設ける構成が有効であることも知られている。
しかし、ガスバリア層や光取り出し層を樹脂基材上に形成すると、表面に凹凸ができてしまい、その結果、その上層に有機機能層を有する発光ユニットを形成した際、高温・高湿雰囲気下での保存性の劣化やショート(電気的短絡)が生じやすく、信頼性の低下が問題となっている。
また、樹脂基材上に光り取り出し層を形成した場合には、この光り取り出し層やガスバリア層に残存する不純物が、有機機能層に対して悪影響を与える。そもそも有機EL素子は、微量の水分、酸素、その他有機物(残留溶剤等)に対して非常にセンシティブであることが知られており、有機機能層の直下にガスバリア層を有する構成も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、樹脂基材上に光り取り出し層を形成した場合には、この光り取り出し層やガスバリア層に残存する不純物が、有機機能層に対して悪影響を与える。そもそも有機EL素子は、微量の水分、酸素、その他有機物(残留溶剤等)に対して非常にセンシティブであることが知られており、有機機能層の直下にガスバリア層を有する構成も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
上述のように有機EL素子等の電子機器においては、光り取り出し効率と信頼性とを両立することが求められている。本発明は、光り取り出し効率と保存性の向上が可能なガスバリアフィルム、透明導電部材、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子を提供するものである。
本発明のガスバリアフィルムは、樹脂基材と、樹脂基材上に設けられた少なくとも光散乱層を有する光取り出し層と、光取り出し層上に設けられたガスバリア層とを備え、ガスバリア層が酸窒化ケイ素化合物を含む第1ガスバリア層と、ニオブ(Nb)含む第2ガスバリア層とを有して構成されている。
また、本発明の透明導電部材は、上記ガスバリアフィルムと、このガスバリアフィルム上に設けられた導電層とを備える。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子、上記ガスバリアフィルムと、このガスバリアフィルム上に設けられた第1電極と、第1電極上に設けられた発光ユニットと、発光ユニット上に設けられた第2電極とを備える。
また、本発明の透明導電部材は、上記ガスバリアフィルムと、このガスバリアフィルム上に設けられた導電層とを備える。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子、上記ガスバリアフィルムと、このガスバリアフィルム上に設けられた第1電極と、第1電極上に設けられた発光ユニットと、発光ユニット上に設けられた第2電極とを備える。
本発明によれば、光り取り出し効率と信頼性の向上が可能なガスバリアフィルム、透明導電部材、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.ガスバリアフィルム
2.透明導電部材
3.有機エレクトロルミネッセンス素子
なお、説明は以下の順序で行う。
1.ガスバリアフィルム
2.透明導電部材
3.有機エレクトロルミネッセンス素子
〈1.ガスバリアフィルム〉
以下、ガスバリアフィルムの実施の形態について説明する。
ガスバリアフィルムは、少なくとも、樹脂基材と、この樹脂基材上に設けられた少なくとも光散乱層を含む光取り出し層と、ガスバリア層とを備える。また、ガスバリアフィルムにおいて、ガスバリア層は、酸窒化ケイ素化合物を含む第1ガスバリア層と、ニオブ(Nb)含む第2ガスバリア層とを有して構成されている。なお、ガスバリアフィルムは、樹脂基材側から順に、光取り出し層、ガスバリア層が構成されていればよく、これらの構成の間に他の層が設けられていてもよい。
以下、ガスバリアフィルムの実施の形態について説明する。
ガスバリアフィルムは、少なくとも、樹脂基材と、この樹脂基材上に設けられた少なくとも光散乱層を含む光取り出し層と、ガスバリア層とを備える。また、ガスバリアフィルムにおいて、ガスバリア層は、酸窒化ケイ素化合物を含む第1ガスバリア層と、ニオブ(Nb)含む第2ガスバリア層とを有して構成されている。なお、ガスバリアフィルムは、樹脂基材側から順に、光取り出し層、ガスバリア層が構成されていればよく、これらの構成の間に他の層が設けられていてもよい。
また、ガスバリア層は、酸窒化ケイ素化合物を含む第1ガスバリア層と、ニオブ(Nb)含む第2ガスバリア層とを有していればよく、積層構造や積層順は特に問わない。また、ガスバリア層は、酸窒化ケイ素化合物を含む第1ガスバリア層や、ニオブ(Nb)含む第2ガスバリア層を複数備えた、3層以上の積層構造であってもよい。
酸窒化ケイ素化合物を含む第1ガスバリア層は、パーヒドロポリシラザン(PHPS)の反応生成物を含んで形成されていることが好ましい。さらに、PHPSの反応生成物としては、PHPSが真空紫外線により改質された生成物であることが好ましい。
ニオブ(Nb)含む第2ガスバリア層は、酸化ニオブ(NbO)を主成分とすることが好ましい。さらに、この酸化ニオブ(NbO)を主成分とする第2ガスバリア層は、屈折率が1.8以上の酸化ニオブを主成分とすることが好ましい。
樹脂基材と光取り出し層との間には、ガスバリア性を有する層が設けられていないことが好ましい。つまり、樹脂基材や、樹脂基材の表面に形成される各種の層は、ガスバリア性を有していないことが好ましい。
さらに、ガスバリア層よりも樹脂基材側に形成される各層がガスバリア性を有していないことが好ましい。
さらに、ガスバリア層よりも樹脂基材側に形成される各層がガスバリア性を有していないことが好ましい。
このような構成とすることにより、光取り出し層を構成する光取り出し層で発生するアウトガスを、樹脂基材を通して排出できる構成とすることが好ましい。さらに、ガスバリア層で発生するアウトガスも、樹脂基材側から排出できる構成であることが好ましい。なお、ここでのガスバリア性とは、60℃、90%RHの高温高湿下で保存し、特開2005−283561号公報に記載の方法に基づき、金属カルシウムの腐蝕量からセル内に透過した水分量を計算した値(60±0.5℃、相対湿度90±2%RH)が、0.01g/(m2・24h)以下であることを言う。
また、光取り出し層、及び、ガスバリア層は、樹脂基材に近い層ほど表面粗さRaが大きく、電極に近い層ほど表面粗さRaが小さいことが好ましい。
樹脂基材、光取り出し層、及び、ガスバリア層の積層体のヘイズ値(全光線透過率に対する散乱透過率の割合)は、30%以上75%以下であることが好ましい。
樹脂基材、光取り出し層、及び、ガスバリア層の積層体のヘイズ値(全光線透過率に対する散乱透過率の割合)は、30%以上75%以下であることが好ましい。
以下、ガスバリアフィルムの各構成について、図1に示す構成のガスバリアフィルムを例に、説明する。
なお、「透明」とは、JIS K 7361−1:1997(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率が、70%以上であることをいう。
屈折率は、例えば、ジェー・エー・ウーラム・ジャパン(株)社製の分光エリプソメータalpha−SEを用いて測定することができる。
ヘイズ値とは、(i)膜中の組成物の屈折率差による影響と、(ii)表面形状による影響とを受けて算出される物性値である。すなわち、表面粗さを一定程度未満に抑えてヘイズ値を測定することにより、上記(ii)による影響を排除したヘイズ値を測定できる。具体的には、ヘイズメーター(日本電色工業(株)製、NDH−5000等)を用いて測定することができる。
表面の算術平均粗さRaとは、JIS B 0601−2001に準拠した算術平均粗さを表している。なお、表面粗さ(算術平均粗さRa)は、Digital Instruments社製の原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)を用い、極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が10μmの区間内を3回測定し、微細な凹凸の振幅に関する平均の粗さから求めた。
主成分とは、その構成の中で占める割合が最も高い成分をいう。
なお、「透明」とは、JIS K 7361−1:1997(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率が、70%以上であることをいう。
屈折率は、例えば、ジェー・エー・ウーラム・ジャパン(株)社製の分光エリプソメータalpha−SEを用いて測定することができる。
ヘイズ値とは、(i)膜中の組成物の屈折率差による影響と、(ii)表面形状による影響とを受けて算出される物性値である。すなわち、表面粗さを一定程度未満に抑えてヘイズ値を測定することにより、上記(ii)による影響を排除したヘイズ値を測定できる。具体的には、ヘイズメーター(日本電色工業(株)製、NDH−5000等)を用いて測定することができる。
表面の算術平均粗さRaとは、JIS B 0601−2001に準拠した算術平均粗さを表している。なお、表面粗さ(算術平均粗さRa)は、Digital Instruments社製の原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)を用い、極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が10μmの区間内を3回測定し、微細な凹凸の振幅に関する平均の粗さから求めた。
主成分とは、その構成の中で占める割合が最も高い成分をいう。
[ガスバリアフィルムの構成]
図1に、本実施形態のガスバリアフィルム10の概略構成を示す。図1に示すガスバリアフィルム10は、樹脂基材11と、樹脂基材11上に設けられた光散乱層12及び平滑化層15からなる光取り出し層と、光取り出し層上に形成されたガスバリア層20とが、この順に積層された構成を有する。また、図1に示すガスバリアフィルム10は、ガスバリア層20が、樹脂基材11側から順に、酸窒化ケイ素化合物を含む第1ガスバリア層21と、ニオブ(Nb)含む第2ガスバリア層22とが形成されている構成である。
図1に、本実施形態のガスバリアフィルム10の概略構成を示す。図1に示すガスバリアフィルム10は、樹脂基材11と、樹脂基材11上に設けられた光散乱層12及び平滑化層15からなる光取り出し層と、光取り出し層上に形成されたガスバリア層20とが、この順に積層された構成を有する。また、図1に示すガスバリアフィルム10は、ガスバリア層20が、樹脂基材11側から順に、酸窒化ケイ素化合物を含む第1ガスバリア層21と、ニオブ(Nb)含む第2ガスバリア層22とが形成されている構成である。
[樹脂基材]
ガスバリアフィルム10に用いられる樹脂基材11としては、例えば、樹脂フィルム等を挙げることができるが、これらに限定されない。好ましく用いられる樹脂基材11としては、透明樹脂フィルムを挙げることができる。
ガスバリアフィルム10に用いられる樹脂基材11としては、例えば、樹脂フィルム等を挙げることができるが、これらに限定されない。好ましく用いられる樹脂基材11としては、透明樹脂フィルムを挙げることができる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。
[光取り出し層]
光取り出し層は、少なくとも光散乱層12を有する。光散乱層12は、従来公知のナノ凹凸構造でも、屈折率の異なる素材を混合した構成であってもよい。凹凸構造は、特開2006−269163号公報に記載の構造等を好ましく適応できる。
一方、光散乱層12が屈折率の異なる素材を混合した構成の場合は、層媒体であるバインダ14と、層媒体に含有される光散乱粒子13とを有する。そして、バインダ14と、バインダ14よりも高い屈折率を有する光散乱粒子13との屈折率差を利用して、混合物による光散乱を発生させる層である。
また、光取り出し層は、光散乱層12上に平滑化層15を有することが好ましい。平滑化層15は、光散乱層12の表面の凹凸を平坦化するために設けられる層である。
光取り出し層は、少なくとも光散乱層12を有する。光散乱層12は、従来公知のナノ凹凸構造でも、屈折率の異なる素材を混合した構成であってもよい。凹凸構造は、特開2006−269163号公報に記載の構造等を好ましく適応できる。
一方、光散乱層12が屈折率の異なる素材を混合した構成の場合は、層媒体であるバインダ14と、層媒体に含有される光散乱粒子13とを有する。そして、バインダ14と、バインダ14よりも高い屈折率を有する光散乱粒子13との屈折率差を利用して、混合物による光散乱を発生させる層である。
また、光取り出し層は、光散乱層12上に平滑化層15を有することが好ましい。平滑化層15は、光散乱層12の表面の凹凸を平坦化するために設けられる層である。
[光散乱層]
光散乱層12は、ガスバリアフィルム10を透過する光の極大波長のうち最も短い極大波長において、平均屈折率nsは好ましくは1.5以上2.5未満、より好ましくは1.6以上2.3未満の範囲内であることが好ましい。この場合、光散乱層12は、平均屈折率ns1.5以上2.5未満を有する単独の素材で膜を形成してもよいし、2種類以上の化合物と混合して平均屈折率ns1.5以上2.5未満の膜を形成してもよい。このような混合系の場合、光散乱層12の平均屈折率nsは、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率を用いる。また、この場合、各々の素材の屈折率は、1.5未満又は2.5以上であってもよく、混合した膜の平均屈折率nsとして1.5以上2.5未満を満たしていればよい。
ここで、「平均屈折率ns」とは、単独の素材で形成されている場合は、単独の素材の屈折率であり、混合系の場合は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率である。
ここで、「平均屈折率ns」とは、単独の素材で形成されている場合は、単独の素材の屈折率であり、混合系の場合は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率である。
バインダ14は、屈折率nbが1.9未満であり、1.6未満であることが特に好ましい。バインダ14の屈折率nbとは、単独の素材で形成されている場合は、単独の素材の屈折率であり、混合系の場合は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率である。
また、光散乱粒子13は、その屈折率npが1.5以上3.0以下であり、1.8以上3.0以下であることが好ましく、2.0以上3.0以下であることが特に好ましい。光散乱粒子13の屈折率npとは、単独の素材で形成されている場合は、単独の素材の屈折率であり、混合系の場合は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率である。
また、光散乱層12の高屈折率を有する光散乱粒子13の役割として、導波光の散乱機能が挙げられる。導波光の散乱機能の向上には、光散乱粒子13による散乱性を向上させる必要がある。散乱性を向上させるためには、光散乱粒子13とバインダ14との屈折率差を大きくする、層厚を厚くする、及び、粒子密度を大きくする等の方法が考えられる。この中で最も他の性能への悪影響が小さい方法が、無機粒子とバインダ14との屈折率差を大きくすることである。
層媒体であるバインダ14の屈折率nbと、含有される高屈折率を有する光散乱粒子13の屈折率npとの屈折率差|nb−np|は、好ましくは0.2以上であり、特に好ましくは0.3以上である。層媒体と光散乱粒子13との屈折率差|nb−np|が0.03以上であれば、層媒体と光散乱粒子13との界面で散乱効果が発生する。屈折率差|nb−np|が大きいほど、界面での屈折が大きくなり、散乱効果が向上するため好ましい。
具体的には、光散乱層12として、平均屈折率nsが1.6以上、2.5未満の範囲内である高屈折材料を用いることが好ましいため、例えば、バインダ14の屈折率nbを1.6より小さくすることが好ましい。さらに、光散乱粒子13の屈折率npを1.8より大きくすることが好ましい。
なお、屈折率の測定は、平滑化層15と同様に、25℃の雰囲気下で、堀場JYOBIN−YVON社製 UVSEL/FUV−FGMS 分光エリプソメータを用い、フィッティングしてnkを求める。また、ガスバリアフィルムを透過する光の極大波長のうち最も短い極大波長の光線を照射し、アッベ屈折率計(ATAGO社製、DR−M2)を用いて行うこともできる。
光散乱層12は、上記のように、層媒体であるバインダ14と光散乱粒子13との屈折率の差により光を拡散させる作用を有する。このため、光散乱粒子13は、他の層への悪影響が少なく、光を散乱する特性が高いことが求められる。
ここで、散乱とは、光散乱層12の単層でのヘイズ値(全光線透過率に対する散乱透過率の割合)が、50%以上、より好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上を示す状態を表す。ヘイズ値が50%以上であれば、散乱性を向上させることができる。
ここで、散乱とは、光散乱層12の単層でのヘイズ値(全光線透過率に対する散乱透過率の割合)が、50%以上、より好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上を示す状態を表す。ヘイズ値が50%以上であれば、散乱性を向上させることができる。
ここで、散乱とは、光散乱層13の単層でのヘイズ値(全光線透過率に対する散乱透過率の割合)が20%以上を示す状態を表す。光散乱層13の単層でのヘイズ値は、より好ましくは25%以上、特に好ましくは30%以上である。ヘイズ値が20%以上であれば、有機EL素子10の発光効率を向上させることができる。
ヘイズ値とは、(i)膜中の組成物の屈折率差による影響、及び、(ii)表面形状による影響、を受けて算出される物性値である。すなわち、表面粗さを一定程度未満に抑えてヘイズ値を測定することにより、上記(ii)による影響を排除したヘイズ値を測定することができる。具体的には、ヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH−5000等)を用いて測定することができる。
ヘイズ値とは、(i)膜中の組成物の屈折率差による影響、及び、(ii)表面形状による影響、を受けて算出される物性値である。すなわち、表面粗さを一定程度未満に抑えてヘイズ値を測定することにより、上記(ii)による影響を排除したヘイズ値を測定することができる。具体的には、ヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH−5000等)を用いて測定することができる。
(光散乱粒子)
光散乱粒子13は、平均粒子径が0.2μm以上であることが好ましく、1μm未満であることが好ましい。光散乱層12においては、例えば、光散乱粒子13の粒子径を調整することにより、散乱性を向上させることができる。具体的には、可視光域のMie散乱を生じさせる領域以上の粒子径を有する透明な粒子を用いることが好ましい。光散乱粒子13の平均粒子径が0.2μm以上であることにより、散乱性を向上させることができる。
一方、平均粒子径の上限としては、粒子径がより大きい場合、光散乱粒子13を含有した光散乱層12の粗さを平坦化するために、平滑化層15等の光散乱層12上に設けられる層を厚くする必要があり、工程の負荷、平滑化層15による光の吸収の観点で不利となる。光散乱粒子13の平均粒子径が1μm未満であることにより、平滑化層15の厚さを抑制することができる。
光散乱粒子13は、平均粒子径が0.2μm以上であることが好ましく、1μm未満であることが好ましい。光散乱層12においては、例えば、光散乱粒子13の粒子径を調整することにより、散乱性を向上させることができる。具体的には、可視光域のMie散乱を生じさせる領域以上の粒子径を有する透明な粒子を用いることが好ましい。光散乱粒子13の平均粒子径が0.2μm以上であることにより、散乱性を向上させることができる。
一方、平均粒子径の上限としては、粒子径がより大きい場合、光散乱粒子13を含有した光散乱層12の粗さを平坦化するために、平滑化層15等の光散乱層12上に設けられる層を厚くする必要があり、工程の負荷、平滑化層15による光の吸収の観点で不利となる。光散乱粒子13の平均粒子径が1μm未満であることにより、平滑化層15の厚さを抑制することができる。
また、光散乱層12に複数の種類の粒子が用いられる場合、上記の光散乱粒子13を除くその他の粒子としては、平均粒子径が100nm〜3μmの範囲内の粒子を少なくとも1種含み、かつ3μm以上の粒子を含まないことが好ましい。特に、200nm〜1μmの範囲内の粒子を少なくとも1種含み、且つ、1μm以上の粒子を含まないことが好ましい。
高屈折率粒子の平均粒子径は、例えば、日機装社製ナノトラックUPA−EX150といった動的光散乱法を利用した装置や、電子顕微鏡写真の画像処理により測定することができる。
高屈折率粒子の平均粒子径は、例えば、日機装社製ナノトラックUPA−EX150といった動的光散乱法を利用した装置や、電子顕微鏡写真の画像処理により測定することができる。
このような光散乱粒子13としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、有機微粒子であっても、無機微粒子であってもよい。また、高屈折率を有する材料として、国際公開第2009/014707号や米国特許第6608439号明細書等に記載の量子ドットも好適に用いることができる。中でも高屈折率を有する無機微粒子であることが好ましい。光散乱粒子13の屈折率は前述の通り、その屈折率npが1.5以上3.0以下であり、1.8以上3.0以下であることが好ましく、2.0以上3.0以下であることが特に好ましい。
高屈折率を有する有機微粒子としては、例えば、ポリメチルメタクリレートビーズ、アクリル−スチレン共重合体ビーズ、メラミンビーズ、ポリカーボネートビーズ、スチレンビーズ、架橋ポリスチレンビーズ、ポリ塩化ビニルビーズ、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒドビーズ等が挙げられる。
高屈折率を有する無機微粒子としては、例えば、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、スズ、アンチモン等の中から選ばれる少なくとも一つの酸化物からなる無機酸化物粒子が挙げられる。無機酸化物粒子としては、具体的には、ZrO2、TiO2、BaTiO3、Al2O3、In2O3、ZnO、SnO2、Sb2O3、ITO、SiO2、ZrSiO4、ゼオライト等が挙げられ、中でも、TiO2、BaTiO3、ZrO2、ZnO、SnO2が好ましく、TiO2が最も好ましい。また、TiO2の中でも、アナターゼ型よりルチル型の方が、触媒活性が低いため光散乱層12や隣接した層の耐候性が高くなり、更に屈折率が高いことから好ましい。
また、これらの光散乱粒子13は、高屈折率の光散乱層12に含有させるために、後述の分散液とした場合の分散性や安定性向上の観点から、表面処理を施して用いるか、あるいは表面処理を施さずに用いるかを選択することができる。
表面処理を行う場合、表面処理の具体的な材料としては、酸化ケイ素や酸化ジルコニウム等の異種無機酸化物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、オルガノシロキサン、ステアリン酸等の有機酸等が挙げられる。これら表面処理材は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。中でも、分散液の安定性の観点から、表面処理材としては、異種無機酸化物及び/又は金属水酸化物が好ましく、金属水酸化物がより好ましい。
無機酸化物粒子が、表面処理材で表面被覆処理されている場合、その被覆量(一般的に、この被覆量は、粒子の質量に対する当該粒子の表面に用いた表面処理材の質量割合で示される。)は、0.01〜99質量%であることが好ましい。当該範囲内とすることで、表面処理による分散性や安定性の向上効果を十分に得ることができ、また、光散乱層12の高屈折率により光取り出し効率を向上させることができる。
上記高屈折率を有する光散乱粒子13は、光散乱層12と隣接する層との界面、例えば、平滑化層15との界面に接触又は近接するように配置されるのが好ましい。これにより、隣接する層内で全反射が起きたときに光散乱層12に染み出してくるエバネッセント光を粒子で散乱させることができ、光取り出し効率が向上する。
高屈折率粒子の光散乱層12における含有量は、体積充填率で、1.0〜70%の範囲内であることが好ましく、5.0〜50%の範囲内であることがより好ましい。これにより、光散乱層12と隣接する層との界面において、屈折率の密度に分布を作ることができ、光散乱量を増加させて光取り出し効率を向上させることができる。
光散乱層12の形成方法としては、例えば、層媒体(バインダ)が樹脂材料の場合、媒体となる樹脂材料(ポリマー)溶液(溶媒としては、粒子の溶解しないものを用いる)に上記光散乱粒子13を分散し、樹脂基材11上に塗布することで形成する。
これらの光散乱粒子13は、実際には、多分散粒子であることや規則的に配置することが難しいことから、局部的には回折効果を有するものの、多くは拡散により光の方向を変化させて光取り出し効率を向上させる。
これらの光散乱粒子13は、実際には、多分散粒子であることや規則的に配置することが難しいことから、局部的には回折効果を有するものの、多くは拡散により光の方向を変化させて光取り出し効率を向上させる。
(バインダ)
光散乱層12のバインダ14としては、後述する平滑化層15と同様の樹脂が挙げられる。
光散乱層12のバインダ14としては、後述する平滑化層15と同様の樹脂が挙げられる。
また、光散乱層12では、特定の雰囲気下で紫外線照射によって、無機材料又は金属の酸化物、窒化物又は酸化窒化物を形成し得る化合物が特に好適に使用される。このような化合物としては、特開平8−112879号公報に記載されている比較的低温で改質処理され得る化合物が好ましい。
具体的には、Si−O−Si結合を有するポリシロキサン(ポリシルセスキオキサンを含む)、Si−N−Si結合を有するポリシラザン、Si−O−Si結合とSi−N−Si結合の両方を含むポリシロキサザン等を挙げることができる。これらは、2種以上を混合して使用することができる。また、異なる化合物を逐次積層したり、同時積層したりしても使用可能である。
光散乱層12の層厚は、散乱を生じるための光路長を確保するためにある程度厚い必要があるが、一方で吸収によるエネルギーロスを生じない程度に薄い必要がある。具体的には、0.1〜2μmの範囲内が好ましく、0.2〜1μmの範囲内がより好ましい。
具体的には、Si−O−Si結合を有するポリシロキサン(ポリシルセスキオキサンを含む)、Si−N−Si結合を有するポリシラザン、Si−O−Si結合とSi−N−Si結合の両方を含むポリシロキサザン等を挙げることができる。これらは、2種以上を混合して使用することができる。また、異なる化合物を逐次積層したり、同時積層したりしても使用可能である。
光散乱層12の層厚は、散乱を生じるための光路長を確保するためにある程度厚い必要があるが、一方で吸収によるエネルギーロスを生じない程度に薄い必要がある。具体的には、0.1〜2μmの範囲内が好ましく、0.2〜1μmの範囲内がより好ましい。
(ポリシロキサン)
光散乱層12で用いられるポリシロキサンとしては、一般構造単位としてのR3SiO1/2、R2SiO、RSiO3/2及びSiO2を含むことができる。ここで、Rは、水素原子、1〜20の炭素原子を含むアルキル基例えば、メチル、エチル、プロピル等、アリール基例えば、フェニル等、及び不飽和アルキル基例えば、ビニル等からなる群より独立して選択される。特定のポリシロキサン基の例としては、PhSiO3/2、MeSiO3/2、HSiO3/2、MePhSiO、Ph2SiO、PhViSiO、ViSiO3/2、MeHSiO、MeViSiO、Me2SiO、Me3SiO1/2等が挙げられる。また、ポリシロキサンの混合物やコポリマーも使用可能である。なお、Viはビニル基を表す。
光散乱層12で用いられるポリシロキサンとしては、一般構造単位としてのR3SiO1/2、R2SiO、RSiO3/2及びSiO2を含むことができる。ここで、Rは、水素原子、1〜20の炭素原子を含むアルキル基例えば、メチル、エチル、プロピル等、アリール基例えば、フェニル等、及び不飽和アルキル基例えば、ビニル等からなる群より独立して選択される。特定のポリシロキサン基の例としては、PhSiO3/2、MeSiO3/2、HSiO3/2、MePhSiO、Ph2SiO、PhViSiO、ViSiO3/2、MeHSiO、MeViSiO、Me2SiO、Me3SiO1/2等が挙げられる。また、ポリシロキサンの混合物やコポリマーも使用可能である。なお、Viはビニル基を表す。
(ポリシルセスキオキサン)
光散乱層12においては、上述のポリシロキサンの中でもポリシルセスキオキサンを用いることが好ましい。ポリシルセスキオキサンは、シルセスキオキサンを構造単位に含む化合物である。「シルセスキオキサン」とは、RSiO3/2で表される化合物であり、通常、RSiX3(Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラアルキル基(アラルキル基ともいう)等であり、Xは、ハロゲン、アルコキシ基等である)。
ポリシルセスキオキサンの分子配列の形状としては、代表的には無定形構造、ラダー状構造、籠型構造、その部分開裂構造体(籠型構造からケイ素原子が一原子欠けた構造や籠型構造のケイ素−酸素結合が一部切断された構造)等が知られている。
光散乱層12においては、上述のポリシロキサンの中でもポリシルセスキオキサンを用いることが好ましい。ポリシルセスキオキサンは、シルセスキオキサンを構造単位に含む化合物である。「シルセスキオキサン」とは、RSiO3/2で表される化合物であり、通常、RSiX3(Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラアルキル基(アラルキル基ともいう)等であり、Xは、ハロゲン、アルコキシ基等である)。
ポリシルセスキオキサンの分子配列の形状としては、代表的には無定形構造、ラダー状構造、籠型構造、その部分開裂構造体(籠型構造からケイ素原子が一原子欠けた構造や籠型構造のケイ素−酸素結合が一部切断された構造)等が知られている。
これらのポリシルセスキオキサンの中でも、いわゆる水素シルセスキオキサンポリマーを用いることが好ましい。水素シルセスキオキサンポリマーとしては、HSi(OH)x(OR)yOz/2で表されるヒドリドシロキサンポリマーが挙げられる。各々のRは、有機基又は置換された有機基であり、酸素原子によってケイ素に結合した場合、加水分解性置換基を形成する。x=0〜2、y=0〜2、z=1〜3、x+y+z=3である。Rとしては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、アリール基(例えば、フェニル基等)、アルケニル基(例えば、アリル基、ビニル基等)が挙げられる。これらの樹脂は、完全に縮合され(HSiO3/2)n、あるいは部分的にのみ加水分解され(すなわち、一部のSi−ORを含む)及び/又は部分的に縮合される(すなわち、一部のSi−OHを含む)ことができる。
(ポリシラザン)
光散乱層12で用いられるポリシラザンとは、ケイ素−窒素結合を持つポリマーで、Si−N、Si−H、N−H等からなるSiO2、Si3N4及び両方の中間固溶体SiOxNy(x=0.1〜1.9、y=0.1〜1.3)等の無機前駆体ポリマーである。
光散乱層12で用いられるポリシラザンとは、ケイ素−窒素結合を持つポリマーで、Si−N、Si−H、N−H等からなるSiO2、Si3N4及び両方の中間固溶体SiOxNy(x=0.1〜1.9、y=0.1〜1.3)等の無機前駆体ポリマーである。
光散乱層12に好ましく用いられるポリシラザンとしては、下記一般式(1)で表されるポリシラザンを用いることができる。
式中、R1、R2及びR3は、各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表す。
得られる光散乱層12の膜としての緻密性の観点からは、一般式(1)のR1、R2及びR3の全てが水素原子であるパーヒドロポリシラザン(PHPS)が特に好ましい。パーヒドロポリシラザンは、直鎖構造と6員環及び8員環を中心とする環構造が存在した構造と推定されており、その分子量は、数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算)であり、液体又は固体の物質である。
ポリシラザンは、有機溶媒に溶解した溶液の状態で市販されており、市販品をそのままポリシラザン含有塗布液として使用することができる。ポリシラザン溶液の市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製のNN120−20、NAX120−20、NL120−20等が挙げられる。
バインダ14として、電離放射線硬化型樹脂組成物用いることができるが、電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化方法としては、電離放射線硬化型樹脂組成物の通常の硬化方法、すなわち、電子線又は紫外線の照射によって硬化することができる。
例えば、電子線硬化の場合には、コックロフワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される10〜1000keV、好ましくは30〜300keVのエネルギーを有する電子線等が使用され、紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。
例えば、電子線硬化の場合には、コックロフワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される10〜1000keV、好ましくは30〜300keVのエネルギーを有する電子線等が使用され、紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。
(エキシマランプを有する真空紫外線照射装置)
紫外線照射装置としては、例えば、100〜230nmの範囲内で真空紫外線を発する希ガスエキシマランプが挙げられる。
キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)等の希ガスの原子は、化学的に結合して分子を作らないため、不活性ガスと呼ばれる。しかし、放電などによりエネルギーを得た希ガスの原子(励起原子)は、他の原子と結合して分子を作ることができる。
例えば、希ガスがXe(キセノン)の場合には、下記反応式で示されるように、励起されたエキシマ分子であるXe2 *が基底状態に遷移するときに、172nmのエキシマ光を発光する。
紫外線照射装置としては、例えば、100〜230nmの範囲内で真空紫外線を発する希ガスエキシマランプが挙げられる。
キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)等の希ガスの原子は、化学的に結合して分子を作らないため、不活性ガスと呼ばれる。しかし、放電などによりエネルギーを得た希ガスの原子(励起原子)は、他の原子と結合して分子を作ることができる。
例えば、希ガスがXe(キセノン)の場合には、下記反応式で示されるように、励起されたエキシマ分子であるXe2 *が基底状態に遷移するときに、172nmのエキシマ光を発光する。
e+Xe→Xe*
Xe*+2Xe→Xe2 *+Xe
Xe2 *→Xe+Xe+hν(172nm)
Xe*+2Xe→Xe2 *+Xe
Xe2 *→Xe+Xe+hν(172nm)
エキシマランプの特徴としては、放射が一つの波長に集中し、必要な光以外がほとんど放射されないので効率が高いことが挙げられる。また、余分な光が放射されないので、対象物の温度を比較的低く保つことができる。さらには、始動・再始動に時間を要さないので、瞬時の点灯点滅が可能である。
エキシマ光を効率よく照射する光源としては、誘電体バリア放電ランプが挙げられる。
誘電体バリア放電ランプの構成としては、電極間に誘電体を介して放電を起こすものであり、一般的には、誘電体からなる放電容器とその外部とに少なくとも一方の電極が配置されていればよい。誘電体バリア放電ランプとして、例えば、石英ガラスで構成された太い管と細い管とからなる二重円筒状の放電容器中にキセノン等の希ガスが封入され、該放電容器の外部に網状の第1の電極を設け、内管の内側に他の電極を設けたものがある。誘電体バリア放電ランプは、電極間に高周波電圧等を加えることによって放電容器内部に誘電体バリア放電を発生させ、該放電により生成されたキセノン等のエキシマ分子が解離する際にエキシマ光を発生させる。
誘電体バリア放電ランプの構成としては、電極間に誘電体を介して放電を起こすものであり、一般的には、誘電体からなる放電容器とその外部とに少なくとも一方の電極が配置されていればよい。誘電体バリア放電ランプとして、例えば、石英ガラスで構成された太い管と細い管とからなる二重円筒状の放電容器中にキセノン等の希ガスが封入され、該放電容器の外部に網状の第1の電極を設け、内管の内側に他の電極を設けたものがある。誘電体バリア放電ランプは、電極間に高周波電圧等を加えることによって放電容器内部に誘電体バリア放電を発生させ、該放電により生成されたキセノン等のエキシマ分子が解離する際にエキシマ光を発生させる。
エキシマランプは、光の発生効率が高いため、低い電力の投入で点灯させることが可能である。また、温度上昇の要因となる波長の長い光は発せず、紫外線領域の単一波長でエネルギーを照射するため、照射光自体による照射対象物の温度上昇を抑えられる特徴を持っている。
なお、光散乱層12に隣接する層へ取り込まれた光を、更に光散乱層12へ取り込むためには、光散乱層12のバインダ14と隣接する層との屈折率差が小さいことが好ましい。具体的には、光散乱層12のバインダ14と隣接する層との屈折率差が、0.1以下であることが好ましい。また、隣接する層を構成する材料と光散乱層12に含有されるバインダ14とが、同じ材料であることが好ましい。
[平滑化層]
平滑化層15は、光散乱層12の表面の凹凸に起因する、高温・高湿雰囲気下での保存性の劣化や電気的短絡(ショート)等の弊害を防止することを主目的して設けられるものであり、光散乱層12とガスバリア層20との間に設けられる層である。
平滑化層15は、光散乱層12の表面の凹凸に起因する、高温・高湿雰囲気下での保存性の劣化や電気的短絡(ショート)等の弊害を防止することを主目的して設けられるものであり、光散乱層12とガスバリア層20との間に設けられる層である。
平滑化層15は、この上にガスバリア層20を良好に形成できる平坦性を有することが重要であり、その表面性は、算術平均粗さRaが0.3〜50nmの範囲内であることが好ましく、更に好ましくは30nm以下、特に好ましくは10nm以下、最も好ましくは5nm以下である。算術平均粗さRaを0.3〜50nmの範囲内とすることで、積層する有機EL素子のショート等の不良を抑制することができる。なお、算術平均粗さRaについては、0nmが好ましいが実用レベルの限界値として0.3nmを下限値とする。
平滑化層15には、ガスバリア層20を透過した光が入射する。このため、平滑化層15の平均屈折率nfは、ガスバリア層20の屈折率よりも低い値であることが好ましい。具体的に、ガスバリア層20の平均屈折率ncが後述するように1.7以上3.0以下である場合には、平滑化層15は、ガスバリアフィルム10を透過する光の極大波長のうち最も短い発光極大波長において、平均屈折率nfが1.5以上、特に1.65より大きく2.5未満の高屈折率層であることが好ましい。平均屈折率nfが1.65より大きく2.5未満であれば、単独の素材で形成されていてもよいし、混合物で形成されていてもよい。このような混合系の場合、平滑化層15の平均屈折率nfは、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率を用いる。また、この場合、各々の素材の屈折率は、1.65以下若しくは2.5以上であってもよく、混合した膜の平均屈折率nfとして1.65より大きく2.5未満を満たしていればよい。
平滑化層15としては、ウェットプロセスにより形成された樹脂、層媒体となる樹脂(バインダ)に高屈折率ナノ粒子が含まれた高屈折率平滑層、ドライプロセスにより形成された無機膜等を用いることができる。
ドライプロセスにより形成された無機膜としては、例えば、ケイ素や金属の窒化物、酸化物、酸窒化物等を用いることができる。なかでも、ガスバリア性や生産性、有機ケイ素化合物の反応生成物や酸窒化ケイ素化合物との組み合わせを考慮すると、窒化ケイ素(SiN)を用いることが好ましい。
平滑化層15に用いられる樹脂、及び、層媒体となる樹脂(バインダ)としては、公知の樹脂が特に制限なく使用可能であり、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン(Ny)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、有機無機ハイブリッド構造を有する、シルセスキオキサン、ポリシロキサン、ポリシラザン、ポリシロキサザン、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン)の他、含フッ素モノマーと架橋性基付与のためのモノマーを構成単位とする含フッ素共重合体等が挙げられる。これら樹脂は、2種以上混合して使用することができる。これらの中でも、有機無機ハイブリッド構造を有するものが好ましい。
また、平滑層15としては、下記一般式(I)で表されるテトラアルコキシ化合物、及び、下記一般式(II)で表されるオルガノアルコキシ化合物を加水分解及び重縮合して得られるものを用いることができる。好ましくは、一般式(I)のユニットが50vol%以上であり、60vol%以上であることがより好ましく、さらに75vol%以上であることが好ましい。
M1(OR4)(OR5)(OR6)(OR7) ・・・(I)
一般式(I)において、M1は、Ti及びZrからなる群より選ばれた元素を示し、R4〜R7は、それぞれ独立に炭素数1〜18個の炭化水素基である。
また、上記一般式(I)において、R4〜R7は、それぞれ独立に炭素数1〜8個の炭化水素基であることがより好ましく、それぞれ独立に炭素数1〜5個の炭化水素基であることが特に好ましい。
また、上記一般式(I)において、R4〜R7は、それぞれ独立に炭素数1〜8個の炭化水素基であることがより好ましく、それぞれ独立に炭素数1〜5個の炭化水素基であることが特に好ましい。
M2(OR8)aR9 4−a ・・・(II)
一般式(II)において、M2は、Ti及びZrからなる群より選ばれた元素を示し、R8及びR9はそれぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を示し、aは2又は3の整数を示す。
上記一般式(I)におけるR4の炭化水素基としては、好ましくはアルキル基又はアリール基が挙げられる。アルキル基を示す場合の炭素数は好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8であり、さらにより好ましくは1〜4である。また、アリール基を示す場合は、フェニル基が好ましい。
また、アルキル基又はアリール基は置換基を有していてもいなくてもよい。導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、メルカプト基などが挙げられる。上記一般式(I)で表される化合物は低分子化合物であり、分子量1000以下であることが好ましい。
また、アルキル基又はアリール基は置換基を有していてもいなくてもよい。導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、メルカプト基などが挙げられる。上記一般式(I)で表される化合物は低分子化合物であり、分子量1000以下であることが好ましい。
一般式(II)におけるR5及びR6の各炭化水素基としては、好ましくはアルキル基又はアリール基が挙げられる。アルキル基を示す場合の炭素数は好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8であり、さらにより好ましくは1〜4である。また、アリール基を示す場合は、フェニル基が好ましい。
また、アルキル基又はアリール基は置換基を有していてもいなくてもよい。導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、アシルオキシ基、アルケニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、エポキシ基等が挙げられる。
一般式(II)におけるR5及びR6は、それぞれ炭化水素基であることが好ましい。
また、アルキル基又はアリール基は置換基を有していてもいなくてもよい。導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、アシルオキシ基、アルケニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、エポキシ基等が挙げられる。
一般式(II)におけるR5及びR6は、それぞれ炭化水素基であることが好ましい。
また、以下の親水性樹脂を使うことも可能である。親水性樹脂としては水溶性の樹脂、水分散性の樹脂、コロイド分散樹脂又はそれらの混合物が挙げられる。親水性樹脂としては、アクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、フッ素系等の樹脂が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、カゼイン、デンプン、寒天、カラギーナン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、セルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール等のポリマーを挙げることができるが、これらの中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。
平滑化層15に用いられる樹脂としては、1種類を単独で用いてもよいし、必要に応じて2種類以上を混合して使用してもよい。
平滑化層15に用いられる樹脂としては、1種類を単独で用いてもよいし、必要に応じて2種類以上を混合して使用してもよい。
また、同様に、従来公知の樹脂粒子(エマルジョン)等も好適に使用可能である。
また、平滑化層15に用いられる樹脂としては、主として紫外線・電子線によって硬化する樹脂、すなわち、電離放射線硬化型樹脂に熱可塑性樹脂と溶剤とを混合したものや熱硬化型樹脂も好適に使用できる。
このようなバインダ樹脂としては、飽和炭化水素又はポリエーテルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることがより好ましい。
また、これらの樹脂は架橋していることが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋し他樹脂を得るためには、二つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。
このようなバインダ樹脂としては、飽和炭化水素又はポリエーテルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることがより好ましい。
また、これらの樹脂は架橋していることが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋し他樹脂を得るためには、二つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。
平滑化層15に用いられる高屈折率ナノ粒子としては、下記のナノ粒子が挙げられる。
高屈折率を有するナノ粒子としては、例えば、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、スズ、アンチモン等の中から選ばれる少なくとも一つの酸化物からなる無機酸化物粒子が挙げられる。無機酸化物粒子としては、具体的には、ZrO2、TiO2、BaTiO3、Al2O3、In2O3、ZnO、SnO2、Sb2O3、ITO、SiO2、ZrSiO4、ゼオライト等が挙げられ、中でも、TiO2、BaTiO3、ZrO2、ZnO、SnO2が好ましく、TiO2が最も好ましい。また、TiO2の中でも、アナターゼ型よりルチル型の方が、触媒活性が低いため平滑化層15や隣接した層の耐候性が高くなり、更に屈折率が高いことから好ましい。
ナノ粒子は屈折率が1.7以上3.0以下の範囲内で、媒体としてのバインダ中に含有させて成膜することが好ましい。ナノ粒子の屈折率が1.7以上であれば、目的効果を十分に発揮することができる。ナノ粒子の屈折率が3.0以下であれば、層中での多重散乱を抑制し、透明性を低下させることがない。
なお、ナノ粒子とは、分散媒中に分散される粒径がナノ・メートル・オーダーの微粒子(コロイド状粒子)と定義される。粒子には、1つ1つばらばらの状態の粒子(1次粒子)と、凝集した状態の粒子(2次粒子)とが存在するが、2次粒子まで含めてナノ粒子と定義する。
なお、ナノ粒子とは、分散媒中に分散される粒径がナノ・メートル・オーダーの微粒子(コロイド状粒子)と定義される。粒子には、1つ1つばらばらの状態の粒子(1次粒子)と、凝集した状態の粒子(2次粒子)とが存在するが、2次粒子まで含めてナノ粒子と定義する。
ナノ粒子の粒子径の下限としては、通常5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、15nm以上であることがさらに好ましい。また、ナノ粒子の粒子径の上限としては、70nm以下であることが好ましく、60nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。ナノ粒子の粒子径が5〜60nmの範囲内であることにより、高い透明性が得られる点で好ましい。効果を損なわない限り、粒子径の分布は制限されず、広くても狭くても複数の分布を持っていてもよい。
平滑化層15におけるナノ粒子の含有量は、体積充填率で1.0〜90%の範囲内であることが好ましく、5.0〜70%の範囲内であることがより好ましい。これにより、平滑化層15と隣接する光散乱層12との界面において、屈折率の密度に分布を作ることができ、光散乱量を増加させて光取り出し効率を向上させることができる。
平滑化層15におけるナノ粒子の含有量は、体積充填率で1.0〜90%の範囲内であることが好ましく、5.0〜70%の範囲内であることがより好ましい。これにより、平滑化層15と隣接する光散乱層12との界面において、屈折率の密度に分布を作ることができ、光散乱量を増加させて光取り出し効率を向上させることができる。
二酸化チタンゾルの調製方法としては、例えば、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等を参照することができる。
平滑化層15の層厚としては、光散乱層12の表面粗さを緩和するためにある程度厚い必要があるが、一方で吸収によるエネルギーロスを生じない程度に薄い必要がある。平滑層15の膜厚は、10〜1000nmが好ましく、20〜700nmがより好ましく、30〜400nmが特に好ましい。
平滑化層15の形成方法としては、例えば、光散乱層12を形成した後、ナノTiO2粒子が分散する分散液と樹脂溶液を混合し、フィルターで濾過して平滑化層作製溶液を得た後、当該平滑化層作製溶液を光散乱層12上に塗布して、乾燥した後、紫外線を照射することにより、平滑化層15を作製することができる。
[ガスバリア層]
ガスバリア層20は、酸窒化ケイ素化合物を含む第1ガスバリア層21と、ニオブ(Nb)含む第2ガスバリア層22とから構成されている。第1ガスバリア層21と第2ガスバリア層22とは、ガスバリア層20内で接するように形成されている。これにより、光取り出し層から放出されるガスや、樹脂基材11側からの大気中の水分等の透過を効率よく防止することができる。
ガスバリア層20は、酸窒化ケイ素化合物を含む第1ガスバリア層21と、ニオブ(Nb)含む第2ガスバリア層22とから構成されている。第1ガスバリア層21と第2ガスバリア層22とは、ガスバリア層20内で接するように形成されている。これにより、光取り出し層から放出されるガスや、樹脂基材11側からの大気中の水分等の透過を効率よく防止することができる。
ガスバリア層20は、水蒸気透過度が0.1g/(m2・24h)未満である。ガスバリア層20の水蒸気透過度とは、60℃、90%RHの高温高湿下で保存し、特開2005−283561号公報に記載の方法に基づき、金属カルシウムの腐蝕量からセル内に透過した水分量を計算した値である。ガスバリア層20は、水蒸気透過度(60±0.5℃、相対湿度90±2%RH)が0.1g/(m2・24h)未満であり、0.01g/(m2・24h)以下であることが好ましく、0.001g/(m2・24h)以下であることがより好ましい。
ガスバリア層20の屈折率は、1.7〜3.0の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは1.8〜2.5の範囲内、特に好ましくは1.8〜2.2の範囲内である。屈折率は、エリプソメータで25℃において測定される波長633nmでの値を、代表値として扱う。
ガスバリア層20において、酸窒化ケイ素化合物を含む第1ガスバリア層21等の低屈折率材料(屈折率1.7未満)は、屈折率、ガスバリア性の観点から、厚さは5nm以上200nm未満が好ましく、10nm以上200nm未満がより好ましく、30nm以上100nm未満が特に好ましい。
一方、ガスバリア層20において、ニオブ含む第2ガスバリア層22等の高屈折率材料(屈折率1.7以上)は、その層厚の上限としては、ガスバリア性を考慮すると厚い方がよく、下限としては上記低屈折率材料からなる場合と同様である。そのため、厚さは1〜200nmであることが好ましく、2〜100nmであることがより好ましく、3〜50nmであることがさらに好ましい。ただし、ガスバリア層20の膜に可視光吸収がある場合は、層厚が薄い程好ましく、必要なガスバリア性と取り出し効率の観点で最適な層厚に設定することができる。
さらに、ガスバリア層20は、このガスバリア層20の下層となる光取り出し層を構成する各層よりも、屈折率が大きいことが好ましい。ガスバリアフィルム10を透過する光は、ガスバリア層20、光取り出し層、及び、樹脂基材11を透過する。一般的に、樹脂基材11は、ガスバリア層20に比べて低屈折率の材料が用いられる。このため、相対的にガスバリア層20側に設けられる層の屈折率よりも、樹脂基材11側に設けられる層の屈折率が小さいほうが、各層の界面での光の反射が抑制され、光の取り出し効率が向上する。
具体的には、ガスバリア層20の平均屈折率ncは、このガスバリア層20上に設けられる構成、例えば、導電層、及び、有機EL素子等の発光ユニットを構成する有機機能層等の屈折率と、近い値であることが好ましい。ガスバリア層20は、ガスバリアフィルム10を透過する光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長において、平均屈折率ncが1.5以上、特に1.8以上2.5以下の高屈折率層であることが好ましい。平均屈折率ncが1.8以上2.5以下であれば、単独の素材で形成されていてもよいし、混合物で形成されていてもよい。このような混合系の場合、ガスバリア層20の平均屈折率ncは、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率を用いる。また、この場合、各々の素材の屈折率は、1.8以下若しくは2.5以上であってもよく、混合した膜の平均屈折率ncとして1.8以上2.5以下を満たしていればよい。
ここで、「平均屈折率nc」とは、単独の素材で形成されている場合は、単独の素材の屈折率であり、混合系の場合は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率である。なお、屈折率の測定は、25℃の雰囲気下で、ガスバリアフィルムを透過する光の極大波長のうち最も短い極大波長の光線を照射し、アッベ屈折率計(ATAGO社製、DR−M2)を用いて行うことができる。
なお、屈折率の測定は、平滑化層15と同様に、25℃の雰囲気下で、堀場JYOBIN−YVON社製 UVSEL/FUV−FGMS 分光エリプソメータを用い、フィッティングしてnkを求める。また、ガスバリアフィルムを透過する光の極大波長のうち最も短い極大波長の光線を照射し、アッベ屈折率計(ATAGO社製、DR−M2)を用いて行うこともできる。
なお、屈折率の測定は、平滑化層15と同様に、25℃の雰囲気下で、堀場JYOBIN−YVON社製 UVSEL/FUV−FGMS 分光エリプソメータを用い、フィッティングしてnkを求める。また、ガスバリアフィルムを透過する光の極大波長のうち最も短い極大波長の光線を照射し、アッベ屈折率計(ATAGO社製、DR−M2)を用いて行うこともできる。
さらに、厚さ100nmの層の全可視光域での吸収(積分球付きの分光波長測定におけるT%R%の合算値を除した値)が小さいことが好ましく、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満、更に好ましくは3%未満、最も好ましくは1%未満である。
また、ガスバリア層20は、この上に電極等を良好に形成させる平坦性を有することが重要であり、その表面性は、算術平均粗さRaが0〜50nmの範囲内であることが好ましく、更に好ましくは30nm以下、特に好ましくは10nm以下、最も好ましくは3nm以下である。さらに、ガスバリア層20は、このガスバリア層20の下層となる平滑化層15よりも、算術平均粗さRaが小さいことが好ましい。
算術平均粗さRaを小さくすることで、積層する有機EL素子のショート等の不良を抑制することができる。特に、ガスバリア層20を形成することで、平滑化層15よりも算術平均粗さRaを小さくすることができ、電極等が形成される面の平坦性がより向上するため、有機EL素子の不良発生を抑制することができる。なお、算術平均粗さRaについては、0nmが好ましいが実用レベルの限界値としては、例えば0.1nmである。
ここで、表面の算術平均粗さRaとは、JIS B 0601−2001に準拠した算術平均粗さを表している。なお、表面粗さ(算術平均粗さRa)は、Digital Instruments社製の原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)を用い、極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が10μmの区間内を3回測定し、微細な凹凸の振幅に関する平均の粗さから求める。
[第1ガスバリア層]
第1ガスバリア層21は、酸窒化ケイ素化合物を含んで構成されている。第1ガスバリア層21に含まれる酸窒化ケイ素化合物は、例えば、ポリシラザンを酸窒化ケイ素へ変性させることで得られる。ポリシラザンとしては、上述の光散乱層12を構成するバインダ14において説明した、一般式(1)で表されるポリシラザンを用いることができる。
第1ガスバリア層21は、酸窒化ケイ素化合物を含んで構成されている。第1ガスバリア層21に含まれる酸窒化ケイ素化合物は、例えば、ポリシラザンを酸窒化ケイ素へ変性させることで得られる。ポリシラザンとしては、上述の光散乱層12を構成するバインダ14において説明した、一般式(1)で表されるポリシラザンを用いることができる。
特に、第1ガスバリア層21の緻密性、及び、ガスバリア性の観点からは、一般式(1)のR1、R2及びR3の全てが水素原子であるパーヒドロポリシラザン(PHPS)が特に好ましい。パーヒドロポリシラザンは、直鎖構造と6員環及び8員環を中心とする環構造が存在した構造と推定されており、その分子量は、数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算)であり、液体又は固体の物質である。さらに、PHPSの反応生成物としては、PHPSが真空紫外線により改質された生成物であることが好ましい。PHPSの改質に用いられる紫外線照射装置としては、例えば、100〜230nmの範囲内で真空紫外線を発する希ガスエキシマランプが挙げられる。
ポリシラザンの酸窒化ケイ素への変性を促進するために、塗布液にアミン触媒や、Ptアセチルアセトナート等のPt化合物、プロピオン酸Pd等のPd化合物、Rhアセチルアセトナート等のRh化合物等の金属触媒を添加することもできる。特に、アミン触媒を用いることが特に好ましい。具体的なアミン触媒としては、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、3−モルホリノプロピルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン等が挙げられる。
ポリシラザンに対するこれら触媒の添加量は、塗布液全体に対して0.1〜10質量%の範囲内であることが好ましく、0.2〜5質量%の範囲内であることがより好ましく、0.5〜2質量%の範囲内であることが更に好ましい。触媒添加量をこの範囲内とすることで、反応の急激な進行による過剰なシラノール形成及び膜密度の低下、膜欠陥の増大のなどを避けることができる。
第1ガスバリア層21は、上述の各材料を用いて、従来公知の方法により形成することができる。ガスバリア層20の形成方法としては、例えば、以下のウェットプロセス、及び、ドライプロセスを適用することが好ましい。
(第1ガスバリア層の形成;ウェットプロセス)
ウェットプロセスによる第1ガスバリア層21の形成方法の一例として、ポリシラザンを用いた酸窒化ケイ素化合物の形成方法を説明する。なお、ウェットプロセスによるガスバリア層20の形成は、ポリシラザン以外の材料を用いる場合にも、任意に適用することができる。
ウェットプロセスによる第1ガスバリア層21の形成方法の一例として、ポリシラザンを用いた酸窒化ケイ素化合物の形成方法を説明する。なお、ウェットプロセスによるガスバリア層20の形成は、ポリシラザン以外の材料を用いる場合にも、任意に適用することができる。
第1ガスバリア層21は、ポリシラザンを含む塗布液を塗布して乾燥した後、真空紫外線を照射することにより形成することができる。
ポリシラザンを含有する塗布液を調製する有機溶媒としては、ポリシラザンと容易に反応してしまうような低級アルコール系や水分を含有するものを用いることは避けることが好ましい。例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類が使用でき、具体的には、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン等の炭化水素、塩化メチレン、トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等がある。これらの有機溶媒は、ポリシラザンの溶解度や溶媒の蒸発速度等の目的にあわせて選択し、複数の有機溶媒を混合して用いてもよい。
ポリシラザンを含有する塗布液を調製する有機溶媒としては、ポリシラザンと容易に反応してしまうような低級アルコール系や水分を含有するものを用いることは避けることが好ましい。例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類が使用でき、具体的には、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン等の炭化水素、塩化メチレン、トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等がある。これらの有機溶媒は、ポリシラザンの溶解度や溶媒の蒸発速度等の目的にあわせて選択し、複数の有機溶媒を混合して用いてもよい。
ポリシラザンを含有する塗布液中のポリシラザンの濃度は、ガスバリア層の層厚や塗布液のポットライフによっても異なるが、好ましくは0.2〜35質量%程度である。
塗布液を塗布する方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体例としては、例えば、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。
塗膜の厚さは、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、塗膜の厚さは、50nm〜2μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは70nm〜1.5μmの範囲にあることがより好ましく、100nm〜1μmの範囲にあることがさらに好ましい。
塗布液を塗布する方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体例としては、例えば、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。
塗膜の厚さは、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、塗膜の厚さは、50nm〜2μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは70nm〜1.5μmの範囲にあることがより好ましく、100nm〜1μmの範囲にあることがさらに好ましい。
塗布液を塗布した後は、塗膜を乾燥させる。塗膜を乾燥することによって、塗膜中に含有される有機溶媒を除去する。この際、塗膜に含有される有機溶媒は、すべてを乾燥させてもよいが、一部残存させていてもよい。一部の有機溶媒を残存させる場合であっても、好適な第1ガスバリア層21が得られる。なお、残存する溶媒は後に除去される。
塗膜の乾燥温度は、適用する基材によっても異なるが、50〜200℃であることが好ましい。例えば、ガラス転移温度(Tg)が70℃のポリエチレンテレフタレートフィルムを樹脂基材11として用いる場合には、乾燥温度は、熱による樹脂基材11の変形等を考慮して150℃以下に設定することが好ましい。上記温度は、ホットプレート、オーブン、ファーネスなどを使用することによって設定される。乾燥時間は短時間に設定することが好ましく、例えば、乾燥温度が150℃である場合には30分以内に設定することが好ましい。また、乾燥雰囲気は、大気雰囲気下、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下、真空雰囲気下、酸素濃度をコントロールした減圧雰囲気下等のいずれの条件であってもよい。
塗布液を塗布して得られた塗膜は、真空紫外線の照射前又は真空紫外線の照射中に水分を除去する工程を含んでいてもよい。水分を除去する方法としては、低湿度環境に、塗膜を保持して除湿する形態が好ましい。低湿度環境における湿度は温度により変化するため、温度と湿度の関係は露点温度の規定により好ましい形態が示される。好ましい露点温度は4℃以下(温度25℃/湿度25%)で、より好ましい露点温度は−5℃以下(温度25℃/湿度10%)である。塗膜を保持維持する時間は適宜設定することが好ましい。具体的には、露点温度は−5℃以下で、維持される時間は1分以上であることが好ましい。なお、露点温度の下限は特に制限されないが、通常、−50℃以上であり、−40℃以上であることが好ましい。改質処理前、又は、改質処理中に水分を除去することによって、シラノールに転化する脱水反応を促進する観点から好ましい形態である。
(第1ガスバリア層の形成;エキシマ処理)
上記のようにして形成されたケイ素化合物を含む塗膜は、そのままの状態で第1ガスバリア層21とすることができるが、得られた塗膜に対して真空紫外線を照射し、酸窒化ケイ素等への転化反応を行うことにより第1ガスバリア層21を形成することが好ましい。第1ガスバリア層21と第2ガスバリア層22とを有する構成のガスバリア層20では、真空紫外線照射を行うことにより、ガスバリア性が向上するため、真空紫外線照射を行うことが好ましい。
第1ガスバリア層21は、ポリシラザンを含む層に真空紫外線を照射する工程で、ポリシラザンの少なくとも一部が酸窒化ケイ素へと改質される。エキシマ処理は、上述の光散乱層12と同様の装置や方法を適用することができる。
上記のようにして形成されたケイ素化合物を含む塗膜は、そのままの状態で第1ガスバリア層21とすることができるが、得られた塗膜に対して真空紫外線を照射し、酸窒化ケイ素等への転化反応を行うことにより第1ガスバリア層21を形成することが好ましい。第1ガスバリア層21と第2ガスバリア層22とを有する構成のガスバリア層20では、真空紫外線照射を行うことにより、ガスバリア性が向上するため、真空紫外線照射を行うことが好ましい。
第1ガスバリア層21は、ポリシラザンを含む層に真空紫外線を照射する工程で、ポリシラザンの少なくとも一部が酸窒化ケイ素へと改質される。エキシマ処理は、上述の光散乱層12と同様の装置や方法を適用することができる。
真空紫外線照射工程において、ポリシラザン層塗膜が受ける塗膜面での該真空紫外線の照度は30〜200mW/cm2の範囲内であることが好ましく、50〜160mW/cm2の範囲内であることがより好ましい。30mW/cm2以上であれば、改質効率が低下する懸念がなく、200mW/cm2以下であれば、塗膜にアブレーションを生じず、基材にダメージを与えないため好ましい。
真空紫外線照射は、バッチ処理にも連続処理にも適合可能であり、使用する樹脂基材11の形状によって適宜選定することができる。例えば、バッチ処理の場合には、紫外線発生源を具備した紫外線焼成炉で処理することができる。紫外線焼成炉自体は一般に知られており、例えば、アイグラフィクス株式会社製の紫外線焼成炉を使用することができる。また、対象が長尺フィルム状である場合には、これを搬送させながら紫外線発生源を具備した乾燥ゾーンで連続的に紫外線を照射することができる。紫外線照射に要する時間は、使用する基材や第1ガスバリア層21の組成、濃度にもよるが、一般に0.1秒〜10分であり、好ましくは0.5秒〜3分である。
ポリシラザン層塗膜面における真空紫外線の照射エネルギー量は、200〜10000mJ/cm2の範囲内であることが好ましく、500〜5000mJ/cm2の範囲内であることがより好ましい。200mJ/cm2以上では、改質が十分行え、10000mJ/cm2以下では過剰改質にならず、クラック発生や基材の熱変形がない。
真空紫外線源は、100〜230nmの波長の光を発生させる希ガスエキシマランプが好ましく用いられる。好適には、約172nmに最大放射を有するエキシマラジエータ(例えば、Xeエキシマランプ)、約185nmに輝線を有する低圧水銀蒸気ランプ、230nm以下の波長成分を有する中圧及び高圧水銀蒸気ランプ、及び、約222nmに最大放射を有するエキシマランプである。
紫外線照射時の反応には酸素が必要であるが、真空紫外線は酸素による吸収があるため紫外線照射工程での効率が低下しやすいことから、真空紫外線の照射は可能な限り酸素濃度の低い状態で行うことが好ましい。すなわち、真空紫外線照射時の酸素濃度は、10〜10000ppmの範囲内とすることが好ましく、より好ましくは50〜5000ppmの範囲内、更に好ましく1000〜4500ppmの範囲内である。
真空紫外線照射時に用いられる、照射雰囲気を満たすガスとしては、乾燥不活性ガスとすることが好ましく、特にコストの観点から乾燥窒素ガスにすることが好ましい。酸素濃度の調整は、照射庫内へ導入する酸素ガス、不活性ガスの流量を計測し、流量比を変えることで調整可能である。
[第2ガスバリア層]
第2ガスバリア層22は、上述の第1ガスバリア層21上に接して形成されている。第2ガスバリア層22は、ニオブ(Nb)を含んで構成されている。第2ガスバリア層22に含まれるニオブとしては、酸化ニオブ(NbO)を主成分として構成されていることが好ましい。さらに、この酸化ニオブ(NbO)を主成分とする第2ガスバリア層は、屈折率が1.8以上の酸化ニオブを主成分とすることが好ましい。
第2ガスバリア層22は、上述の第1ガスバリア層21上に接して形成されている。第2ガスバリア層22は、ニオブ(Nb)を含んで構成されている。第2ガスバリア層22に含まれるニオブとしては、酸化ニオブ(NbO)を主成分として構成されていることが好ましい。さらに、この酸化ニオブ(NbO)を主成分とする第2ガスバリア層は、屈折率が1.8以上の酸化ニオブを主成分とすることが好ましい。
第2ガスバリア層22中における酸化ニオブの含有量は、第2ガスバリア層22の全質量に対して50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、98質量%以上であることが特に好ましく、100質量%である(すなわち、第2ガスバリア層22が酸化ニオブである)ことが最も好ましい。
また、第2ガスバリア層22には、酸化ニオブと共に、ニオブの窒化物、炭化物、酸窒化物、又は、酸炭化物等が含まれていてもよい。さらに、第2ガスバリア層22には、例えば、ニオブ以外の金属の酸化物、窒化物、炭化物、酸窒化物、又は、酸炭化物が含まれていてもよい。
(第2ガスバリア層の形成;ドライプロセス)
第2ガスバリア層22の形成には、金属元素と酸素との組成比の調整しやすさの観点から、気相成膜法を用いることが好ましい。気相成膜法としては、特に制限されず、例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法(PVD)法、プラズマCVD(chemical vapor deposition)法、ALD(Atomic Layer Deposition)等の化学気相成長法が挙げられる。中でも、下層へのダメージを与えることなく成膜が可能となり、高い生産性を有することから、スパッタ法を用いることが好ましい。
第2ガスバリア層22の形成には、金属元素と酸素との組成比の調整しやすさの観点から、気相成膜法を用いることが好ましい。気相成膜法としては、特に制限されず、例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法(PVD)法、プラズマCVD(chemical vapor deposition)法、ALD(Atomic Layer Deposition)等の化学気相成長法が挙げられる。中でも、下層へのダメージを与えることなく成膜が可能となり、高い生産性を有することから、スパッタ法を用いることが好ましい。
スパッタ法による成膜は、2極スパッタリング、マグネトロンスパッタリング、中間的な周波数領域を用いたデュアルマグネトロン(DMS)スパッタリング、イオンビームスパッタリング、ECRスパッタリング等を、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。また、ターゲットの印加方式はターゲット種に応じて適宜選択され、DC(直流)スパッタリング、及びRF(高周波)スパッタリングのいずれを用いてもよい。金属モードと、酸化物モードの中間である遷移モードを利用した反応性スパッタ法も用いることもできる。反応性スパッタ法は、遷移領域となるようにスパッタ現象を制御することにより、高い成膜スピードで金属酸化物を成膜することが可能となるため好ましい。DCスパッタリングやDMSスパッタリングを行なう際には、そのターゲットに金属を用い、さらに、プロセスガス中に酸素を導入することで、金属酸化物の薄膜を形成することができる。また、RF(高周波)スパッタリングで成膜する場合は、金属の酸化物のターゲットを用いることができる。プロセスガスに用いられる不活性ガスとしては、He、Ne、Ar、Kr、Xe等を用いることができ、Arを用いることが好ましい。さらに、プロセスガス中に酸素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素を導入することで、金属の酸化物、窒化物、窒酸化物、炭酸化物等のニオブの薄膜を作製することができる。スパッタ法における成膜条件としては、印加電力、放電電流、放電電圧、時間等が挙げられるが、これらは、スパッタ装置や、膜の材料、膜厚等に応じて適宜選択することができる。好ましくは、特に、成膜レートがより高く、より高い生産性を有することから、金属の酸化物をターゲットとするスパッタ法を用いる。
第2ガスバリア層22は、単層でもよいし2層以上の積層構造であってもよい。第2ガスバリア層22が2層以上の積層構造である場合、第2ガスバリア層22に含まれる酸化ニオブの組成は同じものであってもよいし異なるものであってもよい。
第2ガスバリア層22は、第1ガスバリア層21の酸化を抑制しガスバリア性を維持する機能を有する層であると考えられるため、必ずしもガスバリア性は必要ではない。したがって、第2ガスバリア層22は比較的薄い層でも効果を発揮し得る。具体的には、第1ガスバリア層21と第2ガスバリア層22との層構成において、第2ガスバリア層22の厚さ(2層以上の積層構造である場合はその総厚)は、バリア性の面内均一性の観点から、1〜200nmであることが好ましく、2〜100nmであることがより好ましく、3〜50nmであることがさらに好ましい。特に50nm以下であれば、第2ガスバリア層22の成膜の生産性がより向上する。
〈2.透明導電部材〉
次に、上述のガスバリアフィルムを用いた透明導電部材に付いて説明する。本実施形態の透明導電部材は、上述のガスバリアフィルムに、透明導電層が設けられた構成である。透明導電部材のガスバリアフィルムは、上述の実施形態のガスバリアフィルムと同様の構成を適用できる。このため、以下の透明導電部材の説明では、上述のガスバリアフィルムと同じ構成については、詳細な説明を省略する。なお、以下の説明では、透明導電部材に、上述の図1に示す変形例のガスバリアフィルムを適用した場合について説明する。
次に、上述のガスバリアフィルムを用いた透明導電部材に付いて説明する。本実施形態の透明導電部材は、上述のガスバリアフィルムに、透明導電層が設けられた構成である。透明導電部材のガスバリアフィルムは、上述の実施形態のガスバリアフィルムと同様の構成を適用できる。このため、以下の透明導電部材の説明では、上述のガスバリアフィルムと同じ構成については、詳細な説明を省略する。なお、以下の説明では、透明導電部材に、上述の図1に示す変形例のガスバリアフィルムを適用した場合について説明する。
次に、上述のガスバリアフィルムを用いた透明導電部材に付いて説明する。本実施形態の透明導電部材は、上述のガスバリアフィルムに、透明導電層が設けられた構成である。透明導電部材のガスバリアフィルムは、上述の実施形態のガスバリアフィルムと同様の構成を適用できる。このため、以下の透明導電部材の説明では、上述のガスバリアフィルムと同じ構成については、詳細な説明を省略する。なお、以下の説明では、透明導電部材に、上述の図1に示すガスバリアフィルムを適用した場合について説明する。
[透明導電部材の構成]
本実施形態の透明導電部材の構成を図2に示す。図2に示すように、透明導電部材30は、上述のガスバリアフィルム10上に導電層31が設けられた構成である。樹脂基材11からガスバリア層20までは、上述のガスバリアフィルム10と同様の構成である。そして、ガスバリアフィルム10において、樹脂基材11から見てガスバリア層20が形成されている側の表面に導電層31が形成されている。
本実施形態の透明導電部材の構成を図2に示す。図2に示すように、透明導電部材30は、上述のガスバリアフィルム10上に導電層31が設けられた構成である。樹脂基材11からガスバリア層20までは、上述のガスバリアフィルム10と同様の構成である。そして、ガスバリアフィルム10において、樹脂基材11から見てガスバリア層20が形成されている側の表面に導電層31が形成されている。
透明導電部材30を電子機器等に適用した場合には、導電層31上に電子機器の各構成が形成される。このため、導電層31を、樹脂基材11からガスバリア層20よりも上層に形成することにより、ガスバリアフィルム10により、樹脂基材11側から透過する大気中の水分等による悪影響を効率よく防止することができる。さらに、光散乱層12及び平滑化層15で発生するアウトガスを、ガスバリア層20で遮断することができる。
従って、樹脂基材11からガスバリア層20よりも上層に導電層31が配置されることにより、透明導電部材30の導電層31、及び、透明導電部材30が適用された電子機器への水分やアウトガスによる悪影響を抑制することができる。これにより、透明導電部材、電子機器の保存性が向上する。
従って、樹脂基材11からガスバリア層20よりも上層に導電層31が配置されることにより、透明導電部材30の導電層31、及び、透明導電部材30が適用された電子機器への水分やアウトガスによる悪影響を抑制することができる。これにより、透明導電部材、電子機器の保存性が向上する。
[導電層]
導電層31は、透明導電部材30において電気を導通させるための導電性材料を含む層である。導電層31としては、例えば、Au、Ag、Pt、Cu、Rh、Pd、Al、Cr等の金属や、In2O3、CdO、CdIn2O4、Cd2SnO4、TiO2、SnO2、ZnO、ITO(インジウム・錫酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、IGO(インジウム・ガリウム酸化物)、IWZO(インジウム・タングステン・亜鉛酸化物)、TiN、ZrN、HfN、TiOx、VOx、CuI、InN、GaN、CuAlO2、CuGaO2、SrCu2O2、LaB6、RuO2、Al等の導電性無機化合物層が挙げられる。また、IDIXO(In2O3−ZnO)等の非晶質で透明導電部材30を作製可能な材料を用いてもよい。また、導電性ポリマーを使用してもよく、例えばポリアセチレン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレンスルフィド)等が挙げられる。導電層31には、これらの導電性材料が1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。
導電層31は、透明導電部材30において電気を導通させるための導電性材料を含む層である。導電層31としては、例えば、Au、Ag、Pt、Cu、Rh、Pd、Al、Cr等の金属や、In2O3、CdO、CdIn2O4、Cd2SnO4、TiO2、SnO2、ZnO、ITO(インジウム・錫酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、IGO(インジウム・ガリウム酸化物)、IWZO(インジウム・タングステン・亜鉛酸化物)、TiN、ZrN、HfN、TiOx、VOx、CuI、InN、GaN、CuAlO2、CuGaO2、SrCu2O2、LaB6、RuO2、Al等の導電性無機化合物層が挙げられる。また、IDIXO(In2O3−ZnO)等の非晶質で透明導電部材30を作製可能な材料を用いてもよい。また、導電性ポリマーを使用してもよく、例えばポリアセチレン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレンスルフィド)等が挙げられる。導電層31には、これらの導電性材料が1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。
また、導電層31として、上述の金属が一定の細線パターン状に形成されたグリッド電極を用いることができる。特に、導電層31として、グリッド電極と、このグリッド電極上を覆う導電性ポリマーとから形成される構成とすることができる。グリッド電極は、基板上に開口部を有するパターンに形成される。開口部は、基板上でグリッド電極が形成されていない部分であり、透光性窓部となる。グリッド電極の細線パターンの形状には特に制限はない。例えば、導電部がストライプ状のパターンや、導電部が格子状のパターン、又は、ランダムな網目状等とすることができる。
導電層31としては、屈折率の高い材料を用いることが好ましい。第1ガスバリア層21を構成する酸窒化ケイ素の屈折率が1.5〜1.7程度であり、第2ガスバリア層22を構成するニオブ化合物の屈折率が2程度である。このため、このガスバリア層20の第2ガスバリア層22上に形成する導電層31の屈折率を、第2ガスバリア層22を構成するニオブ化合物と同程度とすることにより、透明導電部材30の光の取出し効率を向上させることができる。このため、導電層31として、第2ガスバリア層22以上の屈折率を有する導電性材料を用いることが好ましい。このような屈折率を有する導電性材料としては、上記の導電性材料中から屈折率2以上の金属酸化物を含むことが好ましく、例えば、IZO等を含むことが好ましい。
また、導電層31は、導電性が高いという観点から、銀、又は、銀を主成分とする合金を用いることが好ましい。銀を主成分とする合金としては、銀の含有比率が60at%(原子%)以上であることをいう。銀の含有比率は、導電性の観点から、好ましくは90at%以上であることが好ましく、より好ましくは95at%以上である。さらに、導電層31は、銀単体で構成されていることが好ましい。
銀と組み合わされる金属としては、亜鉛、金、銅、パラジウム、アルミニウム、マンガン、ビスマス、ネオジム、及び、モリブデン等が挙げられる。例えば、銀と亜鉛とが組み合わされると、導電層31の耐硫化性が高まるため好ましい。また、銀と金とが組み合わされると、耐塩(NaCl)性が高まるため好ましい。さらに、銀と銅とが組み合わされると、耐酸化性が高まるため好ましい。
導電層31のプラズモン吸収率は、波長400〜800nmにわたって(全範囲で)10%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。波長400〜800nmの一部にプラズモン吸収率が大きい領域があると、透明導電部材30の透過光が着色しやすくなる。
導電層31の波長400〜800nmにおけるプラズモン吸収率は、以下(i)〜(iii)の手順で測定される。
導電層31の波長400〜800nmにおけるプラズモン吸収率は、以下(i)〜(iii)の手順で測定される。
(i)ガラス基材上に、白金パラジウムをシンクロン社製のBMC−800T蒸着装置にて0.1nmの厚さで形成する。白金パラジウムの平均厚さは、蒸着装置のメーカー公称値の形成速度等から算出する。その後、白金パラジウムが付着した基材上に、真空蒸着法にて導電層を20nmの厚さで形成する。
(ii)得られた導電層の表面の法線に対して、5°傾けた角度から測定光を入射させ、導電層の透過率及び反射率を測定する。そして各波長における透過率及び反射率から、[吸収率=100−(透過率+反射率)]を算出し、これをリファレンスデータとする。透過率及び反射率は、分光光度計で測定する。
(iii)続いて、測定対象の導電層を同様のガラス基材上に形成する。そして、当該導電層について、同様に透過率及び反射率を測定する。得られた吸収率から上記リファレンスデータを差し引き、算出された値を、導電層のプラズモン吸収率とする。
導電層31に、IZO、IGO、IWZO等の導電性無機化合物を用いる場合には、材料にもよるが、通常10〜1000nmの範囲内、好ましくは10〜200nmの範囲内で選ばれる。
また、導電層31に、銀、又は、銀を主成分とする合金等の金属を用いる場合には、導電層31の厚さは10nm以下であることが好ましく、より好ましくは3〜9nmの範囲内であり、さらに好ましくは5〜8nmの範囲内である。透明導電部材30では、導電層31の厚さを10nm以下とすることにより、導電層31の反射が生じ難くなる。さらに、導電層31の厚さが10nm以下であると、透明導電部材30の光学アドミッタンスが調整しやすく、光の反射の抑制が容易となる。導電層31の厚さは、エリプソメータを用いた測定で求めることができる。
また、導電層31に、銀、又は、銀を主成分とする合金等の金属を用いる場合には、導電層31の厚さは10nm以下であることが好ましく、より好ましくは3〜9nmの範囲内であり、さらに好ましくは5〜8nmの範囲内である。透明導電部材30では、導電層31の厚さを10nm以下とすることにより、導電層31の反射が生じ難くなる。さらに、導電層31の厚さが10nm以下であると、透明導電部材30の光学アドミッタンスが調整しやすく、光の反射の抑制が容易となる。導電層31の厚さは、エリプソメータを用いた測定で求めることができる。
(導電層の形成方法)
導電層31は、いずれの方法で形成された層でもよいが、真空蒸着法又はスパッタ法で形成された層であることが好ましい。真空蒸着法又はスパッタ法であれば、高温環境に樹脂基材11をさらすことがなく、平面性の高い導電層31を、極めて早く形成することができる。
導電層31は、いずれの方法で形成された層でもよいが、真空蒸着法又はスパッタ法で形成された層であることが好ましい。真空蒸着法又はスパッタ法であれば、高温環境に樹脂基材11をさらすことがなく、平面性の高い導電層31を、極めて早く形成することができる。
適用可能な蒸着法としては、抵抗加熱蒸着法、電子線蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法等が含まれる。蒸着装置としては、例えば、シンクロン社製のBMC−800T蒸着機等を用いることができる。
スパッタ法には、2極スパッタ法、マグネトロンスパッタ法、DCスパッタ法、DCパルススパッタ法、RF(高周波)スパッタ法、デュアルマグネトロンスパッタ法、反応性スパッタ法、イオンビームスパッタ法、バイアススパッタ法、及び対向ターゲットスパッタ法などの、公知のスパッタ法を適宜用いることができる。具体的な市販のスパッタ装置としては、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置、ウルバック社の各種スパッタ装置(例えば、マルチチャンバ型スパッタリング装置ENTRONTM−EX W300)やアネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置等を用いることができる。
真空蒸着法又はスパッタ法であれば、平面性の高い導電層31を極めて速い形成速度で形成することができる。また、ガスバリア層20上に導電層31を成膜する際、銀を主成分として含有する導電層31の形成速度は0.3nm/秒以上であることが好ましい。導電層31の形成速度は、0.5〜30nm/秒の範囲内であることがより好ましく、特に好ましくは1.0〜15nm/秒の範囲内である。また、成膜時の温度は、−25〜25℃の範囲内であることが好ましい。成膜開始前の到達真空度は、3×10−3Pa以下が好ましく、7×10−4Pa以下がより好ましい。
一方、導電層31が後述する下地層上に形成された層である場合、導電層31の形成時に下地層が成長核となるため、導電層31が平滑な膜になりやすい。その結果、導電層31が薄くとも、プラズモン吸収が生じ難くなる。
(下地層)
ガスバリアフィルム10と導電層31との間には、これらとは異なる組成の層があってもよい。例えば、導電層を形成するための下地層を有していてもよい。
透明導電部材30の導電層31に、上述の金属、例えば、銀、又は、銀を主成分とする合金を用いる場合には、必要に応じて、導電層31の形成時に成長核となる下地層や、後述する電子輸送材料に適用される窒素原子を含む有機化合物からなる下地層を形成することが好ましい。下地層は、導電層31よりもガスバリアフィルム10側で、かつ導電層31に隣接して形成された層であり、この下地層上に直接導電層31が形成されることが好ましい。
ガスバリアフィルム10と導電層31との間には、これらとは異なる組成の層があってもよい。例えば、導電層を形成するための下地層を有していてもよい。
透明導電部材30の導電層31に、上述の金属、例えば、銀、又は、銀を主成分とする合金を用いる場合には、必要に応じて、導電層31の形成時に成長核となる下地層や、後述する電子輸送材料に適用される窒素原子を含む有機化合物からなる下地層を形成することが好ましい。下地層は、導電層31よりもガスバリアフィルム10側で、かつ導電層31に隣接して形成された層であり、この下地層上に直接導電層31が形成されることが好ましい。
透明導電部材30が下地層を有すると、導電層31の厚さが薄い場合にも、導電層31の表面の平滑性が高まる。一般的な真空蒸着法で導電層31の材料を、例えば、ガスバリア層20上に蒸着すると、形成初期には、蒸着により付着した原子がマイグレート(移動)し、原子が寄り集まった塊(海島状構造)を形成する。そして、この塊にまとわりつきながら膜が成長する。そのため、形成初期の膜では、塊同士の間に隙間があり、導通しない。この状態からさらに塊が成長すると、塊同士の一部が繋がり、かろうじて導通する。しかし、塊同士の間に未だ隙間があるため、プラズモン吸収が生じる。そして、さらに形成が進むと、塊同士が完全に繋がって、プラズモン吸収が少なくなる。しかしその一方で、金属本来の反射が生じ、膜の光透過性が低下する。
これに対し、マイグレートし難い金属からなる下地層上に導電層31の材料を蒸着すると、下地層を成長核として導電層31が成長する。つまり、導電層31の材料がマイグレートし難くなり、上述の海島状構造を形成せずに膜が成長する。その結果、厚さが薄くとも平滑な導電層31が得られやすくなる。
下地層には、窒素原子を含む有機化合物、又は、パラジウム、モリブデン、亜鉛、ゲルマニウム、ニオブ若しくはインジウム、若しくは、これらの金属と他の金属との合金、これらの金属の酸化物や硫化物(例えば、ZnS)が含まれることが好ましい。下地層には、これらが1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。特に、下地層にはパラジウム又はモリブデンが含まれることが好ましい。
下地層を構成する窒素原子を含む有機化合物としては、分子内に窒素原子を含んでいる化合物であれば特に限定されないが、窒素原子をヘテロ原子とした複素環を有する化合物であることが好ましい。窒素原子をヘテロ原子とした複素環としては、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、アゾリジン、アゾール、アジナン、ピリジン、アゼパン、アゼピン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾリン、ピラジン、モルホリン、チアジン、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、カルバゾール、ベンゾ−C−シンノリン、ポルフィリン、クロリン、コリン等が挙げられる。
下地層に含まれる上記金属の量は、20質量%以上であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上であり、さらに好ましくは60質量%以上である。下地層に窒素原子を含む有機化合物、又は、上記金属が20質量%以上含まれると、下地層と導電層31との親和性が高まり、下地層と導電層31との密着性が高まりやすい。また、パラジウム、モリブデン、亜鉛、ゲルマニウム、ニオブ又はインジウムと合金を形成する金属は特に制限されないが、例えばパラジウム以外の白金族、金、コバルト、ニッケル、チタン、アルミニウム、クロム等を用いることができる。
下地層が上記金属を含む場合には、下地層の厚さは3nm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5nm以下であり、特に好ましくは単原子膜である。下地層は、金属原子が互いに離間して被形成面に付着している状態とすることもできる。下地層の付着量が3nm以下であれば、下地層が透明導電部材30の光透過性や光学アドミッタンスに影響を及ぼし難い。下地層の有無はICP−MS法で確認される。
また、下地層が窒素原子を含む有機化合物を含む場合には、下地層の厚さは10〜100nmであることが好ましい。
下地層の厚さは、形成速度と形成時間との積から算出される。
また、下地層が窒素原子を含む有機化合物を含む場合には、下地層の厚さは10〜100nmであることが好ましい。
下地層の厚さは、形成速度と形成時間との積から算出される。
下地層は、蒸着法又はスパッタ法で形成された層であることが好ましい。蒸着法には、真空蒸着法、電子線蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法等が含まれる。蒸着時間は、所望の下地層の厚さ、及び形成速度に合わせて適宜選択される。蒸着速度は、好ましくは0.01〜1.5nm/秒であり、より好ましくは0.01〜0.7nm/秒である。
〈3.有機エレクトロルミネッセンス素子〉
次に、上述のガスバリアフィルムを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の実施形態について説明する。本実施形態の有機EL素子は、上述のガスバリアフィルムに、電極(陽極、陰極)及び発光ユニットが設けられた構成である。また、上述の透明導電部材を、有機EL素子のガスバリアフィルム、及び、電極として用いることにより、有機EL素子を構成することができる。このため、以下の有機EL素子の説明では、上述のガスバリアフィルム、透明導電部材と同じ構成については、詳細な説明を省略する。
次に、上述のガスバリアフィルムを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の実施形態について説明する。本実施形態の有機EL素子は、上述のガスバリアフィルムに、電極(陽極、陰極)及び発光ユニットが設けられた構成である。また、上述の透明導電部材を、有機EL素子のガスバリアフィルム、及び、電極として用いることにより、有機EL素子を構成することができる。このため、以下の有機EL素子の説明では、上述のガスバリアフィルム、透明導電部材と同じ構成については、詳細な説明を省略する。
[有機EL素子の構成]
本実施形態の有機EL素子の構成を図3に示す。図3に示す有機EL素子40は、ガスバリアフィルム10と、第1電極41と第2電極42とからなる1対の電極と、電極間に設けられた発光ユニット43とを備える。ガスバリアフィルム10は、上述の図1と同様の構成である。
本実施形態の有機EL素子の構成を図3に示す。図3に示す有機EL素子40は、ガスバリアフィルム10と、第1電極41と第2電極42とからなる1対の電極と、電極間に設けられた発光ユニット43とを備える。ガスバリアフィルム10は、上述の図1と同様の構成である。
ここで、「発光ユニット」とは、少なくとも、各種有機化合物を含有する、発光層43c、正孔輸送層43b、電子輸送層43d等の有機機能層を主体として構成される発光体(単位)をいう。発光体は、陽極と陰極とからなる一対の電極の間に挟持されており、当該陽極から供給される正孔(ホール)と陰極から供給される電子とが当該発光体内で再結合することにより発光する。なお、有機EL素子は、所望の発光色に応じて、当該発光ユニットを複数備えていてもよい
第1電極41と第2電極42とで発光ユニット43が挟持されている部分のみが、有機EL素子40における発光領域となる。そして、有機EL素子40は、発生させた光(以下、発光光hと記す)を、少なくとも樹脂基材11側から取り出すボトムエミッション型として構成されている。なお、透明(透光性)とは波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいう。主成分とは、構成全体の中で占める割合が最も高い成分である。
第1電極41と第2電極42とで発光ユニット43が挟持されている部分のみが、有機EL素子40における発光領域となる。そして、有機EL素子40は、発生させた光(以下、発光光hと記す)を、少なくとも樹脂基材11側から取り出すボトムエミッション型として構成されている。なお、透明(透光性)とは波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいう。主成分とは、構成全体の中で占める割合が最も高い成分である。
第1電極41端部には、取り出し電極44が設けられている。第1電極41と外部電源(図示略)とは、取り出し電極44を介して、電気的に接続される。また、第1電極41の低抵抗化を図ることを目的とし、第1電極41に接して補助電極45が設けられていてもよい。
有機EL素子40の層構造が限定されることはなく、一般的な層構造であってよい。例えば、第1電極41がアノード(すなわち陽極)として機能し、第2電極42がカソード(すなわち陰極)として機能する場合、発光ユニット43は、第1電極41側から順に正孔注入層43a/正孔輸送層43b/発光層43c/電子輸送層43d/電子注入層43eを積層した構成が例示されるが、このうち、少なくとも有機材料を用いて構成された発光層43cを有することが必須である。正孔注入層43a及び正孔輸送層43bは、正孔輸送注入層として設けられてもよい。電子輸送層43d及び電子注入層43eは、電子輸送注入層として設けられてもよい。また、これらの発光ユニット43のうち、例えば、電子注入層43eは無機材料で構成されていてもよい。
発光ユニット43は、これらの層の他にも正孔阻止層や電子阻止層等が必要に応じて必要箇所に積層されていてもよい。さらに、発光層43cは、各波長領域の発光光を発生させる各色発光層を有し、これらの各色発光層を、非発光性の補助層を介して積層させた構造としてもよい。補助層は、正孔阻止層、電子阻止層として機能してもよい。さらに、カソードである第2電極42も、必要に応じた積層構造であってもよい。このような構成において、第1電極41と第2電極42とで発光ユニット43が挟持された部分のみが、有機EL素子40における発光領域となる。
以上のような構成の有機EL素子40は、有機材料等を用いて構成された発光ユニット43の劣化を防止することを目的として、後述する封止部材46で封止されている。この封止部材46は、接着部47を介してガスバリアフィルム10側に固定されている。ただし、第1電極41(取り出し電極44)と第2電極42の端子部分は、互いに絶縁性を保った状態で封止部材46から露出している。
また、有機EL素子40は、少なくとも1層の発光層を含む発光ユニット43を複数積層した、いわゆるタンデム構造の素子であってもよい。タンデム構造の代表的な素子構成としては、例えば、以下の構成を挙げることができる。
陽極/第1発光ユニット/中間コネクタ層/第2発光ユニット/中間コネクタ層/第3発光ユニット/陰極
陽極/第1発光ユニット/中間コネクタ層/第2発光ユニット/中間コネクタ層/第3発光ユニット/陰極
ここで、上記第1発光ユニット、第2発光ユニット、及び、第3発光ユニットは全て同じであっても、異なっていてもよい。また、二つの発光ユニットが同じであり、残る一つが異なっていてもよい。
複数の発光ユニット43は直接積層されていても、中間コネクタ層を介して積層されていてもよい。
複数の発光ユニット43は直接積層されていても、中間コネクタ層を介して積層されていてもよい。
中間コネクタ層は、一般的に中間電極、中間導電層、電荷発生層、電子引抜層、接続層、中間絶縁層とも呼ばれ、陽極側の隣接層に電子を、陰極側の隣接層に正孔を供給する機能を持った層であれば、公知の材料構成を用いることができる。中間コネクタ層に用いられる材料としては、例えば、ITO(インジウム・錫酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、ZnO2、TiN、ZrN、HfN、TiOx、VOx、CuI、InN、GaN、CuAlO2、CuGaO2、SrCu2O2、LaB6、RuO2、Al等の導電性無機化合物層や、Au/Bi2O3等の2層膜や、SnO2/Ag/SnO2、ZnO/Ag/ZnO、Bi2O3/Au/Bi2O3、TiO2/TiN/TiO2、TiO2/ZrN/TiO2等の多層膜、またC60等のフラーレン類、オリゴチオフェン等の導電性有機物層、金属フタロシアニン類、無金属フタロシアニン類、金属ポルフィリン類、無金属ポルフィリン類等の導電性有機化合物層等が挙げられるが、これらに限定されない。
発光ユニット43内の好ましい構成としては、例えば、上記の代表的な素子構成で挙げた構成から、陽極と陰極とを除いたもの等が挙げられるが、これらに限定されない。
タンデム型有機EL素子の具体例としては、例えば、米国特許第6337492号明細書、米国特許第7420203号明細書、米国特許第7473923号明細書、米国特許第6872472号明細書、米国特許第6107734号明細書、米国特許第6337492号明細書、国際公開第2005/009087号、特開2006−228712号公報、特開2006−24791号公報、特開2006−49393号公報、特開2006−49394号公報、特開2006−49396号公報、特開2011−96679号公報、特開2005−340187号公報、特許第4711424号公報、特許第3496681号公報、特許第3884564号公報、特許第4213169号公報、特開2010−192719号公報、特開2009−076929号公報、特開2008−078414号公報、特開2007−059848号公報、特開2003−272860号公報、特開2003−045676号公報、国際公開第2005/094130号等に記載の素子構成や構成材料等が挙げられる。
タンデム型有機EL素子の具体例としては、例えば、米国特許第6337492号明細書、米国特許第7420203号明細書、米国特許第7473923号明細書、米国特許第6872472号明細書、米国特許第6107734号明細書、米国特許第6337492号明細書、国際公開第2005/009087号、特開2006−228712号公報、特開2006−24791号公報、特開2006−49393号公報、特開2006−49394号公報、特開2006−49396号公報、特開2011−96679号公報、特開2005−340187号公報、特許第4711424号公報、特許第3496681号公報、特許第3884564号公報、特許第4213169号公報、特開2010−192719号公報、特開2009−076929号公報、特開2008−078414号公報、特開2007−059848号公報、特開2003−272860号公報、特開2003−045676号公報、国際公開第2005/094130号等に記載の素子構成や構成材料等が挙げられる。
以下、有機EL素子について、主要な構成要素及びその製造方法について説明する。
[電極]
有機EL素子40は、第1電極41と第2電極42とからなる一対の電極に挟持された発光ユニット43を有する。第1電極41と第2電極42とは、いずれか一方が有機EL素子40の陽極となり、他方が陰極となる。
[電極]
有機EL素子40は、第1電極41と第2電極42とからなる一対の電極に挟持された発光ユニット43を有する。第1電極41と第2電極42とは、いずれか一方が有機EL素子40の陽極となり、他方が陰極となる。
また、図3に示す有機EL素子40では、第1電極41が透明導電材料により構成され、第2電極42が高反射材料により構成されている。なお、有機EL素子40が両面発光型の場合には、第1電極41及び第2電極42ともに透明導電材料により構成される。また、有機EL素子40がトップエミッション型の場合には、第2電極42が透明導電材料により構成され、第1電極41が高反射材料により構成される。第1電極41及び第2電極42にける透明導電材料としては、上述の透明導電部材の導電層の構成を適用することができる。また、この導電層に合わせて下地層を設ける構成とすることもできる。
[陽極・陰極]
有機EL素子40における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。陽極を構成可能な電極物質の具体例としては、Au、Ag等の金属、CuI、酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide:ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In2O3−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
有機EL素子40における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。陽極を構成可能な電極物質の具体例としては、Au、Ag等の金属、CuI、酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide:ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In2O3−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。陽極側から発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましい。また、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/sq.以下が好ましい。膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nmの範囲内、好ましくは10〜200nmの範囲内で選ばれる。
有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。陽極側から発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましい。また、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/sq.以下が好ましい。膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nmの範囲内、好ましくは10〜200nmの範囲内で選ばれる。
陰極は、発光ユニット43に電子を供給する陰極(カソード)として機能する電極膜である。陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。
このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物やアルミニウム等が好適である。
陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。
このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物やアルミニウム等が好適である。
陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。
陰極としてのシート抵抗は数百Ω/sq.以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μmの範囲内、好ましくは50〜200nmの範囲内で選ばれる。また、陰極として上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
[補助電極]
補助電極45は、第1電極41の抵抗を下げる目的で設けるものであって、第1電極41に接して設けられることが好ましい。
補助電極45を形成する材料としては、金、白金、銀、銅、アルミニウム等の抵抗が低い金属が好ましい。これらの金属は光透過性が低いため、光取り出し面からの発光光hの取り出しに影響のない範囲でパターン形成される。
補助電極45の線幅は、光を取り出す開口率の観点から50μm以下であることが好ましく、補助電極45の厚さは、導電性の観点から1μm以上であることが好ましい。
このような補助電極45の形成方法としては、蒸着法、スパッタリング法、印刷法、インクジェット法、エアロゾルジェット法等が挙げられる。
補助電極45は、第1電極41の抵抗を下げる目的で設けるものであって、第1電極41に接して設けられることが好ましい。
補助電極45を形成する材料としては、金、白金、銀、銅、アルミニウム等の抵抗が低い金属が好ましい。これらの金属は光透過性が低いため、光取り出し面からの発光光hの取り出しに影響のない範囲でパターン形成される。
補助電極45の線幅は、光を取り出す開口率の観点から50μm以下であることが好ましく、補助電極45の厚さは、導電性の観点から1μm以上であることが好ましい。
このような補助電極45の形成方法としては、蒸着法、スパッタリング法、印刷法、インクジェット法、エアロゾルジェット法等が挙げられる。
[取り出し電極]
取り出し電極44は、第1電極41と外部電源とを電気的に接続するものであって、その材料としては特に限定されるものではなく公知の素材を好適に使用できるが、例えば、3層構造からなるMAM電極(Mo/Al・Nd合金/Mo)等の金属膜を用いることができる。
取り出し電極44は、第1電極41と外部電源とを電気的に接続するものであって、その材料としては特に限定されるものではなく公知の素材を好適に使用できるが、例えば、3層構造からなるMAM電極(Mo/Al・Nd合金/Mo)等の金属膜を用いることができる。
[発光層]
発光層43cは、電極又は電子輸送層43dから注入された電子と、正孔輸送層43bから注入された正孔とが再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層43cの層内であっても発光層43cと隣接する層との界面であってもよい。
発光層43cは、電極又は電子輸送層43dから注入された電子と、正孔輸送層43bから注入された正孔とが再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層43cの層内であっても発光層43cと隣接する層との界面であってもよい。
このような発光層43cとしては、含まれる発光材料が発光要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。また、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。この場合、各発光層43c間には、非発光性の補助層(図示略)を有していることが好ましい。
発光層43cの層厚の総和は、1〜100nmの範囲内にあることが好ましく、より低い駆動電圧を得ることができることから1〜30nmの範囲内であることがより好ましい。発光層43cの層厚の総和とは、発光層43c間に非発光性の中間層が存在する場合には、当該中間層も含む層厚である。
複数層を積層した構成の発光層43cの場合、個々の発光層の層厚としては、1〜50nmの範囲内に調整することが好ましく、1〜20nmの範囲内に調整することがより好ましい。積層された複数の発光層が、青、緑、赤のそれぞれの発光色に対応する場合、青、緑、赤の各発光層の層厚の関係については、特に制限はない。
発光層43cの構成として、ホスト化合物(発光ホスト等)、発光材料(発光ドーパント)を含有し、発光材料より発光させることが好ましい。発光層43cは、複数の発光材料を混合してもよく、例えば、リン光発光性化合物(リン光性化合物、リン光発光材料)と蛍光発光材料(蛍光ドーパント、蛍光性化合物)とを同一発光層43c中に混合して用いてもよい。発光層43cは、発光材料としてリン光発光化合物が含有されていることが好ましい。発光層43cは、後述する発光材料やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜形成方法により成膜して形成することができる。
(1)ホスト化合物
発光層43cに含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)におけるリン光発光のリン光量子収率が0.1未満の化合物が好ましい。さらに好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。また、発光層43cに含有される化合物の中で、その層中での体積比が50%以上であることが好ましい。
発光層43cに含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)におけるリン光発光のリン光量子収率が0.1未満の化合物が好ましい。さらに好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。また、発光層43cに含有される化合物の中で、その層中での体積比が50%以上であることが好ましい。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、又は複数種用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、後述する発光材料を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
ホスト化合物としては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもよい。
公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、発光の長波長化を防ぎ、かつ高Tg(ガラス転移温度)の化合物であることが好ましい。
ここでいうガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Calorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS K 7121に準拠した方法により求められる値である。
ここでいうガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Calorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS K 7121に準拠した方法により求められる値である。
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物を用いることができる。例えば、特開2010−251675号公報、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等が挙げられる。
(2)発光材料
発光材料としては、リン光発光性化合物(リン光性化合物、リン光発光材料)と蛍光発光性化合物(蛍光性化合物、蛍光発光材料)が挙げられる。
発光材料としては、リン光発光性化合物(リン光性化合物、リン光発光材料)と蛍光発光性化合物(蛍光性化合物、蛍光発光材料)が挙げられる。
(リン光発光性化合物)
リン光発光性化合物とは、励起三重項からの発光が観測される化合物である。具体的には、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が25℃において0.01以上の化合物と定義される。好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
リン光発光性化合物とは、励起三重項からの発光が観測される化合物である。具体的には、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が25℃において0.01以上の化合物と定義される。好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、リン光発光性化合物を用いる場合、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
リン光発光性化合物の発光の原理としては、2種挙げられる。
一つは、キャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光発光性化合物に移動させることでリン光発光性化合物からの発光を得るというエネルギー移動型である。
もう一つは、リン光発光性化合物がキャリアトラップとなり、リン光発光性化合物上でキャリアの再結合が起こり、リン光発光性化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型である。
いずれの場合においても、リン光発光性化合物の励起状態のエネルギーは、ホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件となる。
一つは、キャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光発光性化合物に移動させることでリン光発光性化合物からの発光を得るというエネルギー移動型である。
もう一つは、リン光発光性化合物がキャリアトラップとなり、リン光発光性化合物上でキャリアの再結合が起こり、リン光発光性化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型である。
いずれの場合においても、リン光発光性化合物の励起状態のエネルギーは、ホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件となる。
リン光発光性化合物は、一般的な有機EL素子の発光層に使用される中から適宜選択して用いることができる。好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物又は白金化合物(白金錯体系化合物)又は希土類錯体である。特にイリジウム化合物が好ましい。
リン光発光性化合物の具体例としては、特開2010−251675号公報に記載の化合物を用いることができるが、これらに限定されない。
リン光発光性化合物の具体例としては、特開2010−251675号公報に記載の化合物を用いることができるが、これらに限定されない。
リン光発光性化合物は、好ましくは発光層43cの総量に対し、0.1体積%以上30体積%未満である。発光層43cは、2種以上のリン光発光性化合物を含有していてもよく、発光層43cにおけるリン光発光性化合物の濃度比が発光層43cの厚さ方向で変化していてもよい。
(蛍光発光性化合物)
蛍光発光性化合物としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
蛍光発光性化合物としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
[注入層:正孔注入層、電子注入層]
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために、電極と発光層43cとの間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層43aと電子注入層43eとがある。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために、電極と発光層43cとの間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層43aと電子注入層43eとがある。
注入層は、必要に応じて設けることができる。正孔注入層43aであれば、陽極と発光層43c又は正孔輸送層43bとの間、電子注入層43eであれば陰極と発光層43c又は電子輸送層43dとの間に存在させてもよい。
正孔注入層43aは、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン層、酸化バナジウムに代表される酸化物層、アモルファスカーボン層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子層等が挙げられる。
電子注入層43eは、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属層、フッ化カリウムに代表されるアルカリ金属ハライド層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物層、酸化モリブデンに代表される酸化物層等が挙げられる。電子注入層43eはごく薄い膜からなる層であることが望ましく、素材にもよるがその層厚は1nm〜10μmの範囲内であることが好ましい。
[正孔輸送層]
正孔輸送層43bは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層43a、電子阻止層も正孔輸送層43bに含まれる。
正孔輸送層43bは、単層又は複数層設けることができる。正孔輸送層43bは、下記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
正孔輸送層43bは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層43a、電子阻止層も正孔輸送層43bに含まれる。
正孔輸送層43bは、単層又は複数層設けることができる。正孔輸送層43bは、下記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
正孔輸送材料は、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有し、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。特に、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD)、2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン、4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン、N−フェニルカルバゾール、更には、米国特許第5061569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが三つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
さらに、これらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。さらに、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.,Applied Physics Letters,80(2002),p.139に記載されている、いわゆるp型正孔輸送材料を用いることもできる。より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
また、正孔輸送層43bの材料に不純物をドープしてp性を高くすることもできる。例えば、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載された材料が挙げられる。正孔輸送層43bのp性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができる。
正孔輸送層43bの層厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmの範囲内である。
正孔輸送層43bは、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することで形成することができる。
正孔輸送層43bは、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することで形成することができる。
[電子輸送層]
電子輸送層43dは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層43e、正孔阻止層(図示略)も電子輸送層43dに含まれる。
電子輸送層43dは、単層構造又は複数層の積層構造として設けることができる。電子輸送層43dは、下記材料の1種又は2種以上からなる1層構造であってもよい。
電子輸送層43dは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層43e、正孔阻止層(図示略)も電子輸送層43dに含まれる。
電子輸送層43dは、単層構造又は複数層の積層構造として設けることができる。電子輸送層43dは、下記材料の1種又は2種以上からなる1層構造であってもよい。
電子輸送層43dにおいて、発光層43cに隣接する層部分を構成する電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、カソードより注入された電子を発光層43cに伝達する機能を有していればよい。このような材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン、アントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送層43dの材料として用いることができる。さらに、これらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン、アントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送層43dの材料として用いることができる。さらに、これらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送層43dの材料として用いることができる。
その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又は、それらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されたものも、電子輸送層43dの材料として好ましく用いることができる。また、発光層43cの材料としても用いられるジスチリルピラジン誘導体や、正孔注入層43a、正孔輸送層43bと同様のn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送層43dの材料として用いることができる。
また、電子輸送層43dに不純物をドープし、n性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載された材料が挙げられる。さらに、電子輸送層43dには、カリウムやカリウム化合物などを含有させることが好ましい。カリウム化合物としては、例えば、フッ化カリウム等を用いることができる。このように電子輸送層43dのn性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができる。
電子輸送層43dの層厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmの範囲内である。
電子輸送層43dは、上記材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。
電子輸送層43dは、上記材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。
[阻止層:正孔阻止層、電子阻止層]
阻止層は、上記の有機化合物薄膜の基本構成層の他に、必要に応じて設けられる。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。阻止層の層厚としては、好ましくは3〜100nmの範囲内であり、更に好ましくは5〜30nmの範囲内である。
阻止層は、上記の有機化合物薄膜の基本構成層の他に、必要に応じて設けられる。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。阻止層の層厚としては、好ましくは3〜100nmの範囲内であり、更に好ましくは5〜30nmの範囲内である。
正孔阻止層とは、広い意味では、電子輸送層43dの機能を有する。正孔阻止層は、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、電子輸送層43dの構成を必要に応じて、正孔阻止層として用いることができる。正孔阻止層は、発光層43cに隣接して設けられていることが好ましい。
一方、電子阻止層とは、広い意味では、正孔輸送層43bの機能を有する。電子阻止層は、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔との再結合確率を向上させることができる。また、正孔輸送層43bの構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。
[封止部材]
封止部材46は、有機EL素子40の上面を覆う板状(フィルム状)の部材であって、接着部47によって樹脂基材11側に固定される。また、封止部材46は、封止膜であってもよい。このような封止部材46は、有機EL素子40の電極端子部分を露出させ、少なくとも発光ユニット43を覆う状態で設けられている。また、封止部材46に電極を設け、有機EL素子40の電極端子部分と、封止部材46の電極とを導通させる構成でもよい。
封止部材46は、有機EL素子40の上面を覆う板状(フィルム状)の部材であって、接着部47によって樹脂基材11側に固定される。また、封止部材46は、封止膜であってもよい。このような封止部材46は、有機EL素子40の電極端子部分を露出させ、少なくとも発光ユニット43を覆う状態で設けられている。また、封止部材46に電極を設け、有機EL素子40の電極端子部分と、封止部材46の電極とを導通させる構成でもよい。
板状(フィルム状)の封止部材46としては、具体的には、ガラス基板、ポリマー基板、金属基板等が挙げられ、これらの基板さらに薄型のフィルム状にして用いてもよい。ガラス基板としては、特に、ソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー基板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属基板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブデン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる1種以上の金属又は合金からなるものが挙げられる。
特に、素子を薄膜化できるということから、封止部材としてポリマー基板や金属基板を薄型のフィルム状にして使用することが好ましい。
また、基板材料は、凹板状に加工して封止部材46として用いてもよい。この場合、上述した基板部材に対して、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等の加工が施され、凹状が形成される。
特に、素子を薄膜化できるということから、封止部材としてポリマー基板や金属基板を薄型のフィルム状にして使用することが好ましい。
また、基板材料は、凹板状に加工して封止部材46として用いてもよい。この場合、上述した基板部材に対して、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等の加工が施され、凹状が形成される。
さらに、フィルム状としたポリマー基板は、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m2・24h・atm)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m2・24h)以下であることが好ましい。
また、封止部材46を樹脂基材11側に固定する接着部47は、封止部材46とガスバリアフィルム10とで有機EL素子40を封止するためのシール剤として用いられる。接着部47としては、具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。
また、接着部47としては、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
封止部材46とガスバリアフィルム10との接着部分への接着部47の塗布は、市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
なお、有機EL素子を構成する有機材料は、熱処理により劣化する場合がある。このため、接着部47は、室温(25℃)から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、接着部47中に乾燥剤を分散させておいてもよい。
なお、有機EL素子を構成する有機材料は、熱処理により劣化する場合がある。このため、接着部47は、室温(25℃)から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、接着部47中に乾燥剤を分散させておいてもよい。
また、板状の封止部材46とガスバリアフィルム10と間に隙間が形成される場合、この間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、ヨウ化バリウム、ヨウ化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
一方、封止部材46として封止膜を用いる場合、有機EL素子40における発光ユニット43を完全に覆い、かつ有機EL素子40の電極端子部分を露出させる状態で、ガスバリアフィルム10上に封止膜が設けられる。
このような封止膜は、無機材料や有機材料を用いて構成される。特に、水分や酸素等、有機EL素子40における発光ユニット43の劣化をもたらす物質の浸入を抑制する機能を有する材料で構成される。このような材料としては、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等の無機材料が用いられる。さらに、封止膜の脆弱性を改良するために、これら無機材料からなる膜とともに、有機材料からなる膜を用いて積層構造としてもよい。
これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
[保護部材]
なお、ここでの図示は省略したが、有機EL素子40を機械的に保護するための保護膜又は保護板等の保護部材を設けてもよい。保護部材は、有機EL素子40及び封止部材46を、ガスバリアフィルム10とで挟む位置に配置される。特に封止部材46が封止膜である場合には、有機EL素子40に対する機械的な保護が十分ではないため、このような保護部材を設けることが好ましい。
なお、ここでの図示は省略したが、有機EL素子40を機械的に保護するための保護膜又は保護板等の保護部材を設けてもよい。保護部材は、有機EL素子40及び封止部材46を、ガスバリアフィルム10とで挟む位置に配置される。特に封止部材46が封止膜である場合には、有機EL素子40に対する機械的な保護が十分ではないため、このような保護部材を設けることが好ましい。
以上のような保護部材は、ガラス板、ポリマー板、これよりも薄型のポリマーフィルム、金属板、これよりも薄型の金属フィルム、又はポリマー材料膜や金属材料膜が適用される。このうち、特に、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。保護部材が柔軟性を有することにより、全体として可撓性を有する、高効率の有機EL素子を実現することができる。
[有機EL素子の製造方法]
次に、図3に示す有機EL素子40の製造方法の一例を説明する。
まず、樹脂基材11上に、平均粒子径0.2μm以上の光散乱粒子13が分散された樹脂材料溶液を塗布し、光散乱層12からなる光取り出し層を形成する。また、必要に応じて、光散乱層12上に、ドライプロセス又はウェットプロセスにより、平滑化層15を形成して光取り出し層を形成する。
次に、図3に示す有機EL素子40の製造方法の一例を説明する。
まず、樹脂基材11上に、平均粒子径0.2μm以上の光散乱粒子13が分散された樹脂材料溶液を塗布し、光散乱層12からなる光取り出し層を形成する。また、必要に応じて、光散乱層12上に、ドライプロセス又はウェットプロセスにより、平滑化層15を形成して光取り出し層を形成する。
次に、光取り出し層上に、ガスバリア層20を形成する。まず、平滑化層15上に、ウェットプロセスにより、酸窒化ケイ素化合物を含む第1ガスバリア層21を形成する。そして、第1ガスバリア層21上に、ニオブ(Nb)含む第2ガスバリア層22をドライプロセスにより形成する。
次に、ガスバリア層20上に、例えば、窒素原子を含んだ有機化合物からなる下地層を、1μm以下、好ましくは10〜100nmの範囲内の層厚になるように蒸着法等の適宜の方法により形成する。
次に、銀又は銀を主成分とする合金からなる第1電極41を、12nm以下、好ましくは4〜9nmの層厚になるように、蒸着法等の適宜の方法により下地層上に形成し、アノードとなる第1電極41を作製する。同時に、第1電極41端部に、外部電源と接続される取り出し電極44を蒸着法等の適宜の方法に形成する。
次に、銀又は銀を主成分とする合金からなる第1電極41を、12nm以下、好ましくは4〜9nmの層厚になるように、蒸着法等の適宜の方法により下地層上に形成し、アノードとなる第1電極41を作製する。同時に、第1電極41端部に、外部電源と接続される取り出し電極44を蒸着法等の適宜の方法に形成する。
次に、この上に、正孔注入層43a、正孔輸送層43b、発光層43c、電子輸送層43d、電子注入層43eの順に成膜し、発光ユニット43を形成する。これらの各層の成膜方法としては、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、印刷法等があるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法又はスピンコート法が特に好ましい。さらに、層ごとに異なる成膜法を適用してもよい。これらの各層の成膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度1×10−6〜1×10−2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、層厚0.1〜5μmの範囲内で、各条件を適宜選択することが好ましい。
発光ユニット43を形成した後、この上部にカソードとなる第2電極42を、蒸着法やスパッタ法などの適宜の成膜法によって形成する。この際、第2電極42は、発光ユニット43によって第1電極41に対して絶縁状態を保ちつつ、発光ユニット43の上方から樹脂基材11の周縁に端子部分を引き出した形状にパターン形成する。これにより、有機EL素子40が得られる。また、その後には、有機EL素子40における取り出し電極44及び第2電極42の端子部分を露出させた状態で、少なくとも発光ユニット43を覆う封止部材46を設ける。
以上により、ガスバリアフィルム10上に所望の有機EL素子40が得られる。このような有機EL素子40の作製においては、1回の真空引きで一貫して発光ユニット43から第2電極42まで作製するのが好ましいが、途中で真空雰囲気から樹脂基材11を取り出して異なる成膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
このようにして得られた有機EL素子40に直流電圧を印加する場合には、アノードである第1電極41を+の極性とし、カソードである第2電極42を−の極性として、電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また、交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
[有機EL素子の効果]
上述の実施形態の有機EL素子は、ガスバリアフィルムに光取り出し層を有する。さらに、光散乱層と電極及び発光ユニットとの間に、酸窒化ケイ素化合物を含む第1ガスバリア層21と、ニオブ(Nb)含む第2ガスバリア層22とからなるガスバリア層を備える。このガスバリア層によって、基材側から不純物の侵入、及び、光取り出し層で発生するアウトガス等の不純物の侵入を阻止することができる。このため、有機EL素子の信頼性、保存性を向上させることができる。
また、基材として上述の光取り出し層、及び、ガスバリア層を備えるガスバリアフィルムを用いることにより、光取り出し効率の向上と、保存性の向上とを両立した発光装置を構成することができる。
上述の実施形態の有機EL素子は、ガスバリアフィルムに光取り出し層を有する。さらに、光散乱層と電極及び発光ユニットとの間に、酸窒化ケイ素化合物を含む第1ガスバリア層21と、ニオブ(Nb)含む第2ガスバリア層22とからなるガスバリア層を備える。このガスバリア層によって、基材側から不純物の侵入、及び、光取り出し層で発生するアウトガス等の不純物の侵入を阻止することができる。このため、有機EL素子の信頼性、保存性を向上させることができる。
また、基材として上述の光取り出し層、及び、ガスバリア層を備えるガスバリアフィルムを用いることにより、光取り出し効率の向上と、保存性の向上とを両立した発光装置を構成することができる。
[有機EL素子の用途]
上述した各構成の有機EL素子は、上述したように面発光体であるため、各種の発光光源として用いることができる。例えば、家庭用照明や車内照明などの照明装置、時計や液晶用のバックライト、看板広告用照明、信号機の光源、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定するものではなく、特に、カラーフィルターと組み合わせた液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
上述した各構成の有機EL素子は、上述したように面発光体であるため、各種の発光光源として用いることができる。例えば、家庭用照明や車内照明などの照明装置、時計や液晶用のバックライト、看板広告用照明、信号機の光源、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定するものではなく、特に、カラーフィルターと組み合わせた液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
また、有機EL素子は、照明用や露光光源のような1種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。この場合、近年の照明装置及びディスプレイの大型化に伴い、有機EL素子を設けた発光パネル同士を平面的に接合する、いわゆるタイリングによって発光面を大面積化してもよい。
動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。また、異なる発光色を有する有機EL素子を2種以上使用することにより、カラー又はフルカラー表示装置を作製することが可能である。
以下では、用途の一例として照明装置について説明し、次にタイリングによって発光面を大面積化した照明装置について説明する。
[照明装置]
有機EL素子は、照明装置に適用することができる。
有機EL素子は、照明装置に適用することができる。
有機EL素子を用いる照明装置は、上述した構成の各有機EL素子に共振器構造を持たせた設計としてもよい。共振器構造として構成された有機EL素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより、上記用途に使用してもよい。
なお、有機EL素子に用いられる材料は、実質的に白色の発光を生じる有機EL素子(白色有機EL素子ともいう。)に適用できる。例えば、複数の発光材料により複数の発光色を同時に発光させて混色により白色発光を得ることもできる。複数の発光色の組み合わせとしては、赤色、緑色、青色の三原色の三つの発光極大波長を含有させたものでもよいし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した二つの発光極大波長を含有したものでもよい。
また、複数の発光色を得るための発光材料の組み合わせは、複数のリン光又は蛍光で発光する材料を複数組み合わせたもの、蛍光又はリン光で発光する発光材料と、発光材料からの光を励起光として発光する色素材料との組み合わせたもののいずれでもよいが、白色有機EL素子においては、発光ドーパントを複数組み合わせて混合したものでもよい。
このような白色有機EL素子は、各色発光の有機EL素子をアレー状に個別に並列配置して白色発光を得る構成と異なり、有機EL素子自体が白色を発光する。このため、素子を構成するほとんどの層の成膜にマスクを必要とせず、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で成膜することができ、生産性も向上する。
また、このような白色有機EL素子の発光層に用いる発光材料としては、特に制限はなく、例えば、液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルター)特性に対応した波長範囲に適合するように、上記した金属錯体や公知の発光材料の中から任意のものを選択して組み合わせて白色化すればよい。
以上に説明した白色有機EL素子を用いれば、実質的に白色の発光を生じる照明装置を作製することが可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
〈試料101のフィルムの作製〉
[基材]
(基材準備)
樹脂基材として、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(PENフィルム、厚さ:100μm、幅:350mm、帝人デュポンフィルム(株)製、商品名「テオネックスQ65FA」)を準備した。
[基材]
(基材準備)
樹脂基材として、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(PENフィルム、厚さ:100μm、幅:350mm、帝人デュポンフィルム(株)製、商品名「テオネックスQ65FA」)を準備した。
(プライマー層の作製)
樹脂基材の易接着面に、JSR株式会社製 UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR Z7501を、塗布、乾燥後の層厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、乾燥条件:80℃、3分で乾燥後、空気雰囲気下、高圧水銀ランプを使用し、硬化条件:1.0J/cm2で硬化を行い、プライマー層を形成した。
樹脂基材の易接着面に、JSR株式会社製 UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR Z7501を、塗布、乾燥後の層厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、乾燥条件:80℃、3分で乾燥後、空気雰囲気下、高圧水銀ランプを使用し、硬化条件:1.0J/cm2で硬化を行い、プライマー層を形成した。
[第1電極の作製]
上記プライマー層を形成した樹脂基材(50mm×50mm)を、市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、例示化合物(1−6)をタンタル製抵抗加熱ボートに入れた。これら基板ホルダーと抵抗加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、第2真空槽内に取り付けた。
上記プライマー層を形成した樹脂基材(50mm×50mm)を、市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、例示化合物(1−6)をタンタル製抵抗加熱ボートに入れた。これら基板ホルダーと抵抗加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、第2真空槽内に取り付けた。
次に、第1真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、例示化合物(1−6)の入った抵抗加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度が0.1〜0.2nm/秒の範囲内で基板上に、例示化合物(1−6)からなる第1電極の下地層を形成した。下地層の層厚は50nmとした。
次に、下地層まで形成された基板を、真空状態下にて第2真空槽に移した。第2真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銀の入った抵抗加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲内で、下地層上に層厚8nmの銀からなる導電層を形成し、下地層と導電層との積層構造からなる第1電極(陽極)を形成した。
[発光ユニットの作製]
真空蒸着装置内の蒸着用るつぼに、発光ユニットの各層の構成材料をそれぞれ有機EL素子の作製に最適の量で充填した。蒸着用るつぼは、モリブデン、タングステン等の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
真空蒸着装置内の蒸着用るつぼに、発光ユニットの各層の構成材料をそれぞれ有機EL素子の作製に最適の量で充填した。蒸着用るつぼは、モリブデン、タングステン等の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
発光ユニットの各層の構成材料としては、下記化合物α−NPD、BD−1、GD−1、RD−1、H−1、H−2及びE−1を用いた。
最初に、真空度1×10−4Paまで減圧し、化合物α−NPDが充填された蒸着用るつぼを通電して加熱し、0.1nm/秒の蒸着速度で第1電極上に蒸着させ、層厚40nmの正孔注入輸送層を形成した。
同様にして、化合物BD−1及びH−1を、化合物BD−1の濃度が5%になるように0.1nm/秒の蒸着速度で共蒸着させ、層厚15nmの青色を呈する蛍光発光層を形成した。
次に、化合物GD−1、RD−1及びH−2を、化合物GD−1の濃度が17%、化合物RD−1の濃度が0.8%になるように、0.1nm/秒の蒸着速度で共蒸着させ、層厚15nmの黄色を呈するリン光発光層を形成した。
次に、化合物GD−1、RD−1及びH−2を、化合物GD−1の濃度が17%、化合物RD−1の濃度が0.8%になるように、0.1nm/秒の蒸着速度で共蒸着させ、層厚15nmの黄色を呈するリン光発光層を形成した。
その後、化合物E−1を0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着させ、層厚30nmの電子輸送層を形成した。
[第2電極の作製]
さらに、フッ化リチウム(LiF)を層厚1.5nmにて形成し、アルミニウム10nm、銀150nmを蒸着して第2電極(陰極)を形成した。第2電極は、正孔注入層から電子注入層までの有機機能層によって絶縁された状態で、基板の周縁に端子部分が引き出された形状で形成した。
さらに、フッ化リチウム(LiF)を層厚1.5nmにて形成し、アルミニウム10nm、銀150nmを蒸着して第2電極(陰極)を形成した。第2電極は、正孔注入層から電子注入層までの有機機能層によって絶縁された状態で、基板の周縁に端子部分が引き出された形状で形成した。
なお、各層の形成には蒸着マスクを使用し、5cm×5cmの基板のうち、中央に位置する4.5cm×4.5cmの領域を発光領域とし、発光領域の全周に幅0.25cmの非発光領域を設けた。
[封止]
(粘着剤組成物の調製)
ポリイソブチレン系樹脂としてオパノールB50(BASF製、Mw:34万)100質量部、ポリブテン樹脂として日石ポリブテン グレードHV−1900(新日本石油社製、Mw:1900)30質量部、ヒンダードアミン系光安定剤としてTINUVIN765(チバ・ジャパン製、3級のヒンダードアミン基を有する)0.5質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としてIRGANOX1010(チバ・ジャパン製、ヒンダードフェノール基のβ位が二つともターシャリーブチル基を有する)0.5質量部、及び環状オレフィン系重合体としてEastotac H−100L Resin(イーストマンケミカル.Co.製)50質量部をトルエンに溶解し、固形分濃度約25質量%の粘着剤組成物を調製した。
(粘着剤組成物の調製)
ポリイソブチレン系樹脂としてオパノールB50(BASF製、Mw:34万)100質量部、ポリブテン樹脂として日石ポリブテン グレードHV−1900(新日本石油社製、Mw:1900)30質量部、ヒンダードアミン系光安定剤としてTINUVIN765(チバ・ジャパン製、3級のヒンダードアミン基を有する)0.5質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としてIRGANOX1010(チバ・ジャパン製、ヒンダードフェノール基のβ位が二つともターシャリーブチル基を有する)0.5質量部、及び環状オレフィン系重合体としてEastotac H−100L Resin(イーストマンケミカル.Co.製)50質量部をトルエンに溶解し、固形分濃度約25質量%の粘着剤組成物を調製した。
(封止用粘着シートの作製)
ガスバリア層として、アルミニウム(Al)が蒸着されたポリエチレンテレフタレートフィルム アルペット12/34(アジアアルミ(株)社製)を用い、調製した上記粘着剤組成物の溶液を乾燥後に形成される粘着剤層の層厚が20μmとなるようにアルミニウム側(ガスバリア層側)に塗工し、120℃で2分間乾燥させて粘着剤層を形成した。次に、形成した粘着剤層面に対して、剥離シートとして、厚さ38μmの剥離処理をしたポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離処理面を貼付して、封止用粘着シートを作製した。
ガスバリア層として、アルミニウム(Al)が蒸着されたポリエチレンテレフタレートフィルム アルペット12/34(アジアアルミ(株)社製)を用い、調製した上記粘着剤組成物の溶液を乾燥後に形成される粘着剤層の層厚が20μmとなるようにアルミニウム側(ガスバリア層側)に塗工し、120℃で2分間乾燥させて粘着剤層を形成した。次に、形成した粘着剤層面に対して、剥離シートとして、厚さ38μmの剥離処理をしたポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離処理面を貼付して、封止用粘着シートを作製した。
(封止)
上述の方法で作製した封止用粘着シートを、窒素雰囲気下において、剥離シートを除去し、120℃に加熱したホットプレート上で10分間乾燥した後、室温(25℃)まで低下するのを確認してから、陰極を完全に覆う形でラミネートし、90℃で10分加熱した。このようにして試料101の有機EL素子を作製した。
上述の方法で作製した封止用粘着シートを、窒素雰囲気下において、剥離シートを除去し、120℃に加熱したホットプレート上で10分間乾燥した後、室温(25℃)まで低下するのを確認してから、陰極を完全に覆う形でラミネートし、90℃で10分加熱した。このようにして試料101の有機EL素子を作製した。
〈試料102のフィルムの作製〉
上述の試料101の作製において、バリア層を有する樹脂基材上に下記の方法で光散乱層と平滑化層とからなる光取り出し層を作製し、この光取り出し層上に第1電極を形成した以外は、上述の試料101と同様の方法で試料102の有機EL素子を作製した。
上述の試料101の作製において、バリア層を有する樹脂基材上に下記の方法で光散乱層と平滑化層とからなる光取り出し層を作製し、この光取り出し層上に第1電極を形成した以外は、上述の試料101と同様の方法で試料102の有機EL素子を作製した。
[光取り出し層の作製]
(光散乱層の作製)
屈折率2.4、平均粒径0.25μmのTiO2粒子(テイカ(株)製 JR600A)と樹脂溶液(ラサ工業社製 230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))との固形分比率を50体積%/50体積%とし、2-プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)と2−メチル−2,4−ペンタンジオール(PD)との溶媒比が、20質量%/40質量%/40質量%である有機溶媒中での固形分濃度が12質量%となるように調製した。
上記の固形分(有効質量成分)に対し、0.4質量%の添加剤(ビックケミージャパン株式会社製 Disperbyk−2096)を加え、10ml量の比率で処方設計した。
(光散乱層の作製)
屈折率2.4、平均粒径0.25μmのTiO2粒子(テイカ(株)製 JR600A)と樹脂溶液(ラサ工業社製 230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))との固形分比率を50体積%/50体積%とし、2-プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)と2−メチル−2,4−ペンタンジオール(PD)との溶媒比が、20質量%/40質量%/40質量%である有機溶媒中での固形分濃度が12質量%となるように調製した。
上記の固形分(有効質量成分)に対し、0.4質量%の添加剤(ビックケミージャパン株式会社製 Disperbyk−2096)を加え、10ml量の比率で処方設計した。
具体的には、上記TiO2粒子と溶媒及び添加剤を、TiO2粒子に対し10%の質量比で混合し、常温(25℃)で冷却しながら、超音波分散機(エスエムテー社製 UH−50)に、マイクロチップステップ(エスエムテー社製 MS−3 3mmφ)の標準条件で10分間分散を加え、TiO2の分散液を作製した。
次に、TiO2分散液を100rpmで撹拌しながら、樹脂溶液を少量ずつ混合添加し、添加完了後、500rpmまで撹拌速度を上げ、10分間混合した後、疎水性PVDF0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の光散乱層用塗布液を得た。
次に、TiO2分散液を100rpmで撹拌しながら、樹脂溶液を少量ずつ混合添加し、添加完了後、500rpmまで撹拌速度を上げ、10分間混合した後、疎水性PVDF0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の光散乱層用塗布液を得た。
上記塗布液をインクジェット塗布法にて、プラスチックフィルム基板上に塗布した後、簡易乾燥(70℃、2分)し、更に、後述する波長制御IRで基材温度80℃未満の出力条件で5分間乾燥処理を実行した。
次に、下記改質処理条件にて硬化反応を促進し、層厚0.3μmの光散乱層を得た。このようにして、屈折率nが1.8の光散乱層を作製した。
(改質処理装置)
装置:株式会社 エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL MECL−M−1−200
照射波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
(改質処理装置)
装置:株式会社 エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL MECL−M−1−200
照射波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
(改質処理条件)
エキシマランプ光強度:130mW/cm2(172nm)
試料と光源の距離:2mm
ステージ加熱温度:70℃
照射装置内の酸素濃度:20.0%
照射エネルギー:8J/cm2
エキシマランプ光強度:130mW/cm2(172nm)
試料と光源の距離:2mm
ステージ加熱温度:70℃
照射装置内の酸素濃度:20.0%
照射エネルギー:8J/cm2
(平滑化層の作製)
次に、平滑化層用塗布液として、高屈折率UV硬化型樹脂(東洋インキ(株)社製、リオデュラスTYT82−01、ナノゾル粒子:TiO2)を、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)と2−メチル−2,4−ペンタンジオール(PD)との溶媒比が40質量%/60質量%である有機溶媒中での固形分濃度が12質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
次に、平滑化層用塗布液として、高屈折率UV硬化型樹脂(東洋インキ(株)社製、リオデュラスTYT82−01、ナノゾル粒子:TiO2)を、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)と2−メチル−2,4−ペンタンジオール(PD)との溶媒比が40質量%/60質量%である有機溶媒中での固形分濃度が12質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
具体的には、上記高屈折率UV硬化型樹脂と溶媒を混合し、500rpmで1分間混合した後、疎水性PVDF 0.2μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の平滑化層用塗布液を得た。
上記塗布液をインクジェット塗布法にて、光散乱層上に塗布した後、簡易乾燥(70℃、2分)し、更に波長制御IRで基材温度80℃未満の出力条件で5分間乾燥処理を実行した。
上記塗布液をインクジェット塗布法にて、光散乱層上に塗布した後、簡易乾燥(70℃、2分)し、更に波長制御IRで基材温度80℃未満の出力条件で5分間乾燥処理を実行した。
乾燥処理は、波長制御赤外線ヒーターによる輻射伝熱乾燥(IR照射装置(アルティメットヒーター/カーボン、明々工業株式会社製)に、波長3.5μm以上の赤外線を吸収する石英ガラス板2枚を取り付け、ガラス板間に冷却空気を流す)により行った。
この際、冷却風は200L/minとし、管面石英ガラス温度は120℃未満に抑えた。基材温度は、K熱電対を、基板上下面及び基板上面から5mmの部分にそれぞれ配置し、NR2000(キーエンス社製)に接続して測定した。
この際、冷却風は200L/minとし、管面石英ガラス温度は120℃未満に抑えた。基材温度は、K熱電対を、基板上下面及び基板上面から5mmの部分にそれぞれ配置し、NR2000(キーエンス社製)に接続して測定した。
次に、下記改質処理条件にて硬化反応を促進し、層厚0.5μmの平滑化層を形成し、光散乱層及び平滑化層の2層構造からなる光散乱層(IES)を作製した。
(改質処理装置)
装置:株式会社 エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL MECL−M−1
−200
照射波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
(改質処理装置)
装置:株式会社 エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL MECL−M−1
−200
照射波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
(改質処理条件)
エキシマランプ光強度:130mW/cm2(172nm)
試料と光源の距離:2mm
ステージ加熱温度:70℃
照射装置内の酸素濃度:20.0%
照射エネルギー:0.25J/cm2
エキシマランプ光強度:130mW/cm2(172nm)
試料と光源の距離:2mm
ステージ加熱温度:70℃
照射装置内の酸素濃度:20.0%
照射エネルギー:0.25J/cm2
〈試料103のフィルムの作製〉
上述の試料102の作製において、平滑化層上に下記の方法で窒化ケイ素膜を作製した以外は、上述の試料102と同様の方法で試料103の有機EL素子を作製した。
上述の試料102の作製において、平滑化層上に下記の方法で窒化ケイ素膜を作製した以外は、上述の試料102と同様の方法で試料103の有機EL素子を作製した。
[窒化ケイ素]
マグネトロンスパッタリング装置(アネルバ製、SPF−730H)のチャンバー内に、基板を装着した。次に、マグネトロンスパッタリング装置のチャンバー内を、油回転ポンプ及びクライオポンプにより、到達真空度3.0×10−4Paまで減圧した。ターゲットとしてSiを使用し、アルゴンガス7sccm、及び、窒素ガス26sccmを導入し、周波数13.56MHzの高周波電力(投入電力1.2kW)を印加し、成膜圧力0.4Pa、膜厚300nmで基板上に窒化ケイ素膜の成膜を行った。これにより、屈折率nが1.9の窒化ケイ素からなる平滑化層を形成した。
マグネトロンスパッタリング装置(アネルバ製、SPF−730H)のチャンバー内に、基板を装着した。次に、マグネトロンスパッタリング装置のチャンバー内を、油回転ポンプ及びクライオポンプにより、到達真空度3.0×10−4Paまで減圧した。ターゲットとしてSiを使用し、アルゴンガス7sccm、及び、窒素ガス26sccmを導入し、周波数13.56MHzの高周波電力(投入電力1.2kW)を印加し、成膜圧力0.4Pa、膜厚300nmで基板上に窒化ケイ素膜の成膜を行った。これにより、屈折率nが1.9の窒化ケイ素からなる平滑化層を形成した。
〈試料104のフィルムの作製〉
上述の試料102の作製において、光散乱層を下記の方法で作製し、さらに、光散乱層上に下記の方法で、ZrOからなるガスバリア層と、ITOからなる第1電極を形成した以外は、上述の試料103と同様の方法で試料104の有機EL素子を作製した。
上述の試料102の作製において、光散乱層を下記の方法で作製し、さらに、光散乱層上に下記の方法で、ZrOからなるガスバリア層と、ITOからなる第1電極を形成した以外は、上述の試料103と同様の方法で試料104の有機EL素子を作製した。
[光散乱層]
三菱化学(株)製MS51(テトラメトキシシランのオリゴマー)30wt%、BtOH50wt%、脱塩水8wt%、メタノール12wt%に、酸触媒(アルミアセチルアセトナート)を少量加えると共に、屈折率2.4、平均粒径0.25μmのTiO2粒子(テイカ(株)製 JR600A)と、上記の固形分(有効質量成分)に対して0.4質量%の添加剤(ビックケミージャパン株式会社製 Disperbyk−2096)を加え、超音波分散機(エスエムテー社製 UH−50)を用いて、マイクロチップステップ(エスエムテー社製 MS−3 3mmφ)の標準条件で10分間分散を加え、TiO2の分散液を作製した。さらに、この分散液を一週間放置して熟成した。
三菱化学(株)製MS51(テトラメトキシシランのオリゴマー)30wt%、BtOH50wt%、脱塩水8wt%、メタノール12wt%に、酸触媒(アルミアセチルアセトナート)を少量加えると共に、屈折率2.4、平均粒径0.25μmのTiO2粒子(テイカ(株)製 JR600A)と、上記の固形分(有効質量成分)に対して0.4質量%の添加剤(ビックケミージャパン株式会社製 Disperbyk−2096)を加え、超音波分散機(エスエムテー社製 UH−50)を用いて、マイクロチップステップ(エスエムテー社製 MS−3 3mmφ)の標準条件で10分間分散を加え、TiO2の分散液を作製した。さらに、この分散液を一週間放置して熟成した。
次に、上述の分散液を樹脂基材上にスピンコーターで塗布し、15分乾燥した後、メタノール中に5分浸漬し、引き上げてから5分乾燥後、150℃オーブン中で15分加熱して膜厚300nmの光散乱層を得た。
[ガスバリア層(酸化ジルコニウム)]
光散乱層上に、酸化ジルコニウム(ZrO)を蒸着し、厚さ300nmのガスバリア層を形成した。
光散乱層上に、酸化ジルコニウム(ZrO)を蒸着し、厚さ300nmのガスバリア層を形成した。
[第1電極(ITO)の作製]
上述のガスバリア層までを形成した樹脂基材を、ITOターゲットを装着した市販の平行平板スパッタリング装置に移し、スパッタリング装置のチャンバー内を5×10−3Paまで減圧した後、窒素ガスと酸素ガスを流しながら、DC出力500Wで放電し、成膜速度10nm/秒で膜厚150nmのITOの第1電極(陽極)を形成した。
上述のガスバリア層までを形成した樹脂基材を、ITOターゲットを装着した市販の平行平板スパッタリング装置に移し、スパッタリング装置のチャンバー内を5×10−3Paまで減圧した後、窒素ガスと酸素ガスを流しながら、DC出力500Wで放電し、成膜速度10nm/秒で膜厚150nmのITOの第1電極(陽極)を形成した。
〈試料105のフィルムの作製〉
上述の試料101の作製において、樹脂基材上に上述の試料102と同様の方法で光散乱層を作製し、さらに、下記の方法で光散乱層上に酸窒化ケイ素からなるガスバリア層を作製し、このガスバリア層上に第1電極を形成した以外は、上述の試料101と同様の方法で試料105の有機EL素子を作製した。
上述の試料101の作製において、樹脂基材上に上述の試料102と同様の方法で光散乱層を作製し、さらに、下記の方法で光散乱層上に酸窒化ケイ素からなるガスバリア層を作製し、このガスバリア層上に第1電極を形成した以外は、上述の試料101と同様の方法で試料105の有機EL素子を作製した。
[ガスバリア層(酸窒化ケイ素)]
パーヒドロポリシラザン(PHPS)(アクアミカ NN120−10、無触媒タイプ、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製)の10質量%ジブチルエーテル溶液に、アミン触媒としてN,N−ジエチルエタノールアミンを添加して塗布液とした。添加量は塗布液に対して1.0質量%とした。
上記塗布液を、ワイヤーバーにて乾燥後の(平均)層厚が100nmとなるように、光散乱層上に塗布し、温度85℃、湿度55%RHの雰囲気下で1分間処理して乾燥させ、更に温度25℃、湿度10%RH(露点温度−8℃)の雰囲気下に10分間保持し、除湿処理を行って、ポリシラザン層を形成した。
次に、上記形成したポリシラザン層に対し、下記紫外線照射装置を用いて、大気圧下でシリカ転化処理を実施し、酸窒化ケイ素化合物膜を得た。
パーヒドロポリシラザン(PHPS)(アクアミカ NN120−10、無触媒タイプ、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製)の10質量%ジブチルエーテル溶液に、アミン触媒としてN,N−ジエチルエタノールアミンを添加して塗布液とした。添加量は塗布液に対して1.0質量%とした。
上記塗布液を、ワイヤーバーにて乾燥後の(平均)層厚が100nmとなるように、光散乱層上に塗布し、温度85℃、湿度55%RHの雰囲気下で1分間処理して乾燥させ、更に温度25℃、湿度10%RH(露点温度−8℃)の雰囲気下に10分間保持し、除湿処理を行って、ポリシラザン層を形成した。
次に、上記形成したポリシラザン層に対し、下記紫外線照射装置を用いて、大気圧下でシリカ転化処理を実施し、酸窒化ケイ素化合物膜を得た。
(紫外線照射装置)
装置:株式会社 エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL MECL−M−1−200
照射波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
装置:株式会社 エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL MECL−M−1−200
照射波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
(改質処理条件)
稼動ステージ上に固定したポリシラザン層を形成した基板に対し、以下の条件で改質処理を行って、酸窒化ケイ素からなるガスバリア層を形成した。
エキシマランプ光強度:130mW/cm2(172nm)
試料と光源の距離:2mm
ステージ加熱温度:100℃
照射装置内の酸素濃度:0.1%未満
照射エネルギー:6.5J/cm2
稼動ステージ上に固定したポリシラザン層を形成した基板に対し、以下の条件で改質処理を行って、酸窒化ケイ素からなるガスバリア層を形成した。
エキシマランプ光強度:130mW/cm2(172nm)
試料と光源の距離:2mm
ステージ加熱温度:100℃
照射装置内の酸素濃度:0.1%未満
照射エネルギー:6.5J/cm2
〈試料106のフィルムの作製〉
上述の試料101の作製において、樹脂基材上に上述の試料102と同様の方法で光散乱層を作製し、さらに、下記の方法で光散乱層上に酸化ニオブ(NbO)からなるガスバリア層を作製し、このガスバリア層上に第1電極を形成した以外は、上述の試料101と同様の方法で試料106の有機EL素子を作製した。
上述の試料101の作製において、樹脂基材上に上述の試料102と同様の方法で光散乱層を作製し、さらに、下記の方法で光散乱層上に酸化ニオブ(NbO)からなるガスバリア層を作製し、このガスバリア層上に第1電極を形成した以外は、上述の試料101と同様の方法で試料106の有機EL素子を作製した。
[ガスバリア層(酸化ニオブ)]
マグネトロンスパッタリング装置(アネルバ製、SPF−730H)のチャンバー内に、基板を装着した。次に、マグネトロンスパッタリング装置のチャンバー内を、油回転ポンプ及びクライオポンプにより、到達真空度3.0×10−4Paまで減圧した。ターゲットとしてニオブ酸化物(NbOx)を使用し、アルゴンガス20sccm、及び、酸素ガス3.3sccm、を導入し、周波数13.56MHzの高周波電力(投入電力1.2kW)を印加し、成膜圧力0.4Pa、膜厚30nmで基板上に酸化ニオブ膜の成膜を行った。これにより、屈折率nが2.34の酸化ニオブからなるガスバリア層を形成した。
マグネトロンスパッタリング装置(アネルバ製、SPF−730H)のチャンバー内に、基板を装着した。次に、マグネトロンスパッタリング装置のチャンバー内を、油回転ポンプ及びクライオポンプにより、到達真空度3.0×10−4Paまで減圧した。ターゲットとしてニオブ酸化物(NbOx)を使用し、アルゴンガス20sccm、及び、酸素ガス3.3sccm、を導入し、周波数13.56MHzの高周波電力(投入電力1.2kW)を印加し、成膜圧力0.4Pa、膜厚30nmで基板上に酸化ニオブ膜の成膜を行った。これにより、屈折率nが2.34の酸化ニオブからなるガスバリア層を形成した。
〈試料107のフィルムの作製〉
上述の試料105の作製において、酸窒化ケイ素からなるガスバリア層(第1ガスバリア層)上に、上述の試料106と同様の方法で酸化ニオブ(NbO)からなるガスバリア層(第2ガスバリア層)を作製し、このガスバリア層上に第1電極を形成した以外は、上述の試料105と同様の方法で試料107の有機EL素子を作製した。
上述の試料105の作製において、酸窒化ケイ素からなるガスバリア層(第1ガスバリア層)上に、上述の試料106と同様の方法で酸化ニオブ(NbO)からなるガスバリア層(第2ガスバリア層)を作製し、このガスバリア層上に第1電極を形成した以外は、上述の試料105と同様の方法で試料107の有機EL素子を作製した。
〈試料108のフィルムの作製〉
上述の試料107の作製において、上述の試料104と同様の方法でITOからなる第1電極を作製した以外は、上述の試料107と同様の方法で試料108の有機EL素子を作製した。
上述の試料107の作製において、上述の試料104と同様の方法でITOからなる第1電極を作製した以外は、上述の試料107と同様の方法で試料108の有機EL素子を作製した。
〈試料109のフィルムの作製〉
上述の試料108の作製において、下記の方法でIGOからなる第1電極を作製した以外は、上述の試料108と同様の方法で試料109の有機EL素子を作製した。
上述の試料108の作製において、下記の方法でIGOからなる第1電極を作製した以外は、上述の試料108と同様の方法で試料109の有機EL素子を作製した。
[第1電極(IGO)の作製]
上述のガスバリア層までを形成した樹脂基材を、IGOターゲットを装着した市販の平行平板スパッタリング装置に移し、スパッタリング装置のチャンバー内を5×10−3Paまで減圧した後、窒素ガスと酸素ガスを流しながら、DC出力500Wで放電し、成膜速度10nm/秒で膜厚150nmのIGOの第1電極(陽極)を形成した。
上述のガスバリア層までを形成した樹脂基材を、IGOターゲットを装着した市販の平行平板スパッタリング装置に移し、スパッタリング装置のチャンバー内を5×10−3Paまで減圧した後、窒素ガスと酸素ガスを流しながら、DC出力500Wで放電し、成膜速度10nm/秒で膜厚150nmのIGOの第1電極(陽極)を形成した。
〈試料110のフィルムの作製〉
上述の試料109の作製において、酸窒化ケイ素からなるガスバリア層(第1ガスバリア層)の厚さを50nm、酸化ニオブ(NbO)からなるガスバリア層(第2ガスバリア層)の厚さを30nmで作製した以外は、上述の試料109と同様の方法で試料110の有機EL素子を作製した。
上述の試料109の作製において、酸窒化ケイ素からなるガスバリア層(第1ガスバリア層)の厚さを50nm、酸化ニオブ(NbO)からなるガスバリア層(第2ガスバリア層)の厚さを30nmで作製した以外は、上述の試料109と同様の方法で試料110の有機EL素子を作製した。
〈試料111のフィルムの作製〉
上述の試料110の作製において、光取り出し層上に上述の試料102と同じ方法で平滑化層Aを作製し、この平滑化層上に酸窒化ケイ素からなるガスバリア層(第1ガスバリア層)を作製した以外は、上述の試料110と同様の方法で試料111の有機EL素子を作製した。
上述の試料110の作製において、光取り出し層上に上述の試料102と同じ方法で平滑化層Aを作製し、この平滑化層上に酸窒化ケイ素からなるガスバリア層(第1ガスバリア層)を作製した以外は、上述の試料110と同様の方法で試料111の有機EL素子を作製した。
〈試料112のフィルムの作製〉
上述の試料111の作製において、下記方法で平滑化層Bを作製した以外は、上述の試料111と同様の方法で試料112の有機EL素子を作製した。
上述の試料111の作製において、下記方法で平滑化層Bを作製した以外は、上述の試料111と同様の方法で試料112の有機EL素子を作製した。
[光取り出し層の作製]
(平滑化層Bの作製)
平滑化層用塗布液として、高屈折率UV硬化型樹脂(Pixelligent社製、PCPM−BPA、ナノゾル粒子:ZrO2)を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)で固形分濃度が12質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
(平滑化層Bの作製)
平滑化層用塗布液として、高屈折率UV硬化型樹脂(Pixelligent社製、PCPM−BPA、ナノゾル粒子:ZrO2)を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)で固形分濃度が12質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
上記高屈折率UV硬化型樹脂と溶媒とを混合し、500rpmで1分間混合した後、疎水性PVDF 0.2μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の平滑化層用塗布液を得た。
上記塗布液をスピンコート法にて光散乱層上に塗布した後、簡易乾燥(70℃、2分)し、本乾燥(150℃、2分)乾燥処理を実行した。
上記塗布液をスピンコート法にて光散乱層上に塗布した後、簡易乾燥(70℃、2分)し、本乾燥(150℃、2分)乾燥処理を実行した。
次に、下記改質処理条件にて硬化反応を促進し、層厚0.5μmの平滑化層を形成し、光散乱層及び平滑化層の2層構造からなる光散乱層(IES)を作製した。
(改質処理装置)
装置:株式会社 エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL -45MECL−M−1−200
照射波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
(改質処理装置)
装置:株式会社 エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL -45MECL−M−1−200
照射波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
(改質処理条件)
エキシマランプ光強度:130mW/cm2(172nm)
試料と光源の距離:2mm
ステージ加熱温度:70℃
照射装置内の酸素濃度:20.0%
照射エネルギー:1J/cm2
エキシマランプ光強度:130mW/cm2(172nm)
試料と光源の距離:2mm
ステージ加熱温度:70℃
照射装置内の酸素濃度:20.0%
照射エネルギー:1J/cm2
〈試料113のフィルムの作製〉
上述の試料111の作製において、下記方法で平滑化層Cを作製した以外は、上述の試料111と同様の方法で試料113の有機EL素子を作製した。
上述の試料111の作製において、下記方法で平滑化層Cを作製した以外は、上述の試料111と同様の方法で試料113の有機EL素子を作製した。
[光取り出し層の作製]
(平滑化層Cの作製)
平滑層を形成するための塗布液として、高屈折率熱硬化型オリゴマー(マツモトファインケミカル社製、酸化チタン膜形成剤PC−200)を用い、1−ブタノールで、固形分濃度が12質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
上記高屈折率熱硬化型樹脂と溶媒を混合し、500rpmで1分間混合した後、疎水性PVDF0.2μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の塗布液を得た。
上記塗布液をスピンコート法にて、光散乱層上に塗布した後、簡易乾燥(70℃、2分)し、本乾燥(150℃、2分)乾燥処理を実行した。
(平滑化層Cの作製)
平滑層を形成するための塗布液として、高屈折率熱硬化型オリゴマー(マツモトファインケミカル社製、酸化チタン膜形成剤PC−200)を用い、1−ブタノールで、固形分濃度が12質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
上記高屈折率熱硬化型樹脂と溶媒を混合し、500rpmで1分間混合した後、疎水性PVDF0.2μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の塗布液を得た。
上記塗布液をスピンコート法にて、光散乱層上に塗布した後、簡易乾燥(70℃、2分)し、本乾燥(150℃、2分)乾燥処理を実行した。
次に、下記改質処理条件にて硬化反応を促進し、層厚0.5μmの平滑化層を形成し、光散乱層及び平滑化層の2層構造からなる光散乱層(IES)を作製した。
(改質処理装置)
装置:株式会社 エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL MECL−M−1−200
照射波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
(改質処理装置)
装置:株式会社 エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL MECL−M−1−200
照射波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
(改質処理条件)
エキシマランプ光強度:130mW/cm2(172nm)
試料と光源の距離:2mm
ステージ加熱温度:70℃
照射装置内の酸素濃度:20.0%
照射エネルギー:8J/cm2
エキシマランプ光強度:130mW/cm2(172nm)
試料と光源の距離:2mm
ステージ加熱温度:70℃
照射装置内の酸素濃度:20.0%
照射エネルギー:8J/cm2
〈試料114のフィルムの作製〉
上述の試料111の作製において、上述の試料103と同様の方法でSiNからなる平滑化層を作製した以外は、上述の試料111と同様の方法で試料114の有機EL素子を作製した。
上述の試料111の作製において、上述の試料103と同様の方法でSiNからなる平滑化層を作製した以外は、上述の試料111と同様の方法で試料114の有機EL素子を作製した。
〈評価方法〉
作製した試料101〜114の有機EL素子について、下記のように素子特性の評価を行った。各試料の評価結果を表1に示す。
作製した試料101〜114の有機EL素子について、下記のように素子特性の評価を行った。各試料の評価結果を表1に示す。
[発光効率]
(全光束;光取り出し効率)
作製した各試料に対し、積分球を用いて一定電流における光束を測定した。具体的には、20A/m2の定電流密度で全光束を測定し、試料101に対しての相対値で表した。
(全光束;光取り出し効率)
作製した各試料に対し、積分球を用いて一定電流における光束を測定した。具体的には、20A/m2の定電流密度で全光束を測定し、試料101に対しての相対値で表した。
[長期保存性]
85℃(dry)の恒温槽に各試料を投入し、24時間ごとに上記発光効率評価と同様の定電流密度における保存前と保存後との電圧上昇率を評価した。評価開始時より電圧上昇が1.0Vを超えた素子、又は、0.5mm以上のダークスポットが発生した素子を不可とし、不可となる期間(日数)までを保存性と定義した。
85℃(dry)の恒温槽に各試料を投入し、24時間ごとに上記発光効率評価と同様の定電流密度における保存前と保存後との電圧上昇率を評価した。評価開始時より電圧上昇が1.0Vを超えた素子、又は、0.5mm以上のダークスポットが発生した素子を不可とし、不可となる期間(日数)までを保存性と定義した。
[寿命]
作製した各試料に対し、室温(25℃)で、15mA/cm2の定電流密度条件下による点灯を行い、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタ社製)を用いて各試料の有機EL素子の発光輝度を測定した。開始直後の正面輝度を100%とし、初期輝度から70%まで低下した時(LT70)を寿命とした。下記に示す計算式で寿命を算出した。試料101の有機EL素子の寿命を100とする相対値で表した。
(1000カンデラ相当の寿命換算式)
寿命(時間)=t×(x/1000)1.6
t:定電流で初期輝度を100%としたとき、70%に低下したときまでの時間
x:正面輝度(カンデラ)
作製した各試料に対し、室温(25℃)で、15mA/cm2の定電流密度条件下による点灯を行い、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタ社製)を用いて各試料の有機EL素子の発光輝度を測定した。開始直後の正面輝度を100%とし、初期輝度から70%まで低下した時(LT70)を寿命とした。下記に示す計算式で寿命を算出した。試料101の有機EL素子の寿命を100とする相対値で表した。
(1000カンデラ相当の寿命換算式)
寿命(時間)=t×(x/1000)1.6
t:定電流で初期輝度を100%としたとき、70%に低下したときまでの時間
x:正面輝度(カンデラ)
表1に、試料101の有機EL素子について、基材、光取り出し層、ガスバリア層、及び、高屈折材料層の層構成、並びに、発光効率、長期保存性、及び、寿命の評価結果を示す。なお、表1では、ガスバリア層の構成として、PHPSを用いて形成したガスバリア層を「PHPS」、酸化ニオブからなるガスバリア層を「NbO」として示している。また、PENフィルムからなる樹脂基材を「PEN」、光散乱層を「IES」と示している
表1に示すように、ガスバリア層として、酸窒化ケイ素からなる第1ガスバリア層と酸化ニオブからなる第2ガスバリア層とを備える試料107〜114は、ガスバリア層を備えない、又は、酸窒化ケイ素からなるガスバリア層、若しくは、酸化ニオブからなるガスバリア層のいずれか一方のみを備える試料101〜106よりも、長期保存性、及び、寿命の両方の特性が向上する結果となった。
また、光取り出し層を有していない試料101に対し、光取り出し層を有するものの、ガスバリア層を備えない、又は、酸窒化ケイ素からなるガスバリア層、若しくは、酸化ニオブからなるガスバリア層のいずれか一方のみを備える試料102〜106は、長期保存性、及び、寿命のいずれかの特性が低下している。これは、光取り出し層を形成することによる平滑性の低下やアウトガス等の有機EL素子への悪影響が発生したためと考えられる。
この結果から、ガスバリア層として、酸窒化ケイ素からなる第1ガスバリア層と酸化ニオブからなる第2ガスバリア層との両方を備えることにより、光取り出し層を有する有機EL素子の長期保存性、及び、寿命の両方が向上する。特に、酸窒化ケイ素からなるガスバリア層、又は、酸化ニオブからなるガスバリア層のいずれか一方のみを備える試料105、試料106に比べて、長期保存性、及び、寿命が向上していることから、酸窒化ケイ素と酸化ニオブとの相互作用によりガスバリア性を高めることができ、有機EL素子の信頼性を向上させることができると推測される。
また、試料107〜114の内、第1電極として銀を有する試料107よりも、ITO又はIZOを有する試料106〜114の方が、発光効率が向上している。なかでも、第1電極としてIZOを有し、且つ、ガスバリア層の厚さが小さい試料110〜114の発光効率が特に高い。
この結果から、ガスバリア層上に形成する第1電極として、銀薄膜を用いるよりも、屈折率の高い金属酸化物を用いることが光取り出し効率の点で好ましいことがわかる。特に、第1電極として屈折率の高いIZOを用い、ガスバリア層の厚さを調整することにより発光効率の最適化が可能となる。
上述のように、光散乱層取り出し層を備える有機EL素子において、ガスバリア層として、酸窒化ケイ素を含む第1ガスバリア層とニオブを含む第2ガスバリア層とを備えることにより、発光効率と、長期保存性、及び、寿命の信頼性とを両立した有機EL素子を構成することができる。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
10 ガスバリアフィルム、11 樹脂基材、12 光散乱層、13 光散乱粒子、14 バインダ、15 平滑化層、20 ガスバリア層、21 第1ガスバリア層、22 第2ガスバリア層、30 透明導電部材、31 導電層、40 有機EL素子、41 第1電極、42 第2電極、43 発光ユニット、43a 正孔注入層、43b 正孔輸送層、43c 発光層、43d 電子輸送層、43e 電子注入層、44 取り出し電極、45 補助電極、46 封止部材、47 接着部
Claims (9)
- 樹脂基材と、
前記樹脂基材上に設けられた少なくとも光散乱層を有する光取り出し層と、
前記光取り出し層上に設けられたガスバリア層と、を備え、
前記ガスバリア層が、酸窒化ケイ素化合物を含む第1ガスバリア層と、ニオブ(Nb)含む第2ガスバリア層とを有して構成されている
ガスバリアフィルム。 - 前記第1ガスバリア層が、パーヒドロポリシラザンの反応生成物を含む請求項1に記載のガスバリアフィルム。
- 前記第1ガスバリア層が、真空紫外線により改質されたパーヒドロポリシラザンの反応生成物を含む請求項2に記載のガスバリアフィルム。
- 前記第2ガスバリア層が、屈折率が1.8以上の酸化ニオブを主成分とする請求項1に記載のガスバリアフィルム。
- 前記光取り出し層が、前記光散乱層と、前記光散乱層上に形成された平滑化層とから構成されている請求項1に記載のガスバリアフィルム。
- 樹脂基材と、前記樹脂基材上に設けられた少なくとも光散乱層を有する光取り出し層と、前記光取り出し層上に設けられたガスバリア層とを有するガスバリアフィルムと、
ガスバリアフィルム上に設けられた導電層と、を備え、
前記ガスバリア層が、酸窒化ケイ素化合物を含む第1ガスバリア層と、ニオブ(Nb)含む第2ガスバリア層とを有して構成されている
透明導電部材。 - 前記導電層が、金属酸化物を含む請求項6に記載の透明導電部材。
- 前記導電層が、銀、又は、銀を主成分とする合金からなる請求項6に記載の透明導電部材。
- 樹脂基材と、前記樹脂基材上に設けられた少なくとも光散乱層を有する光取り出し層と、前記光取り出し層上に設けられたガスバリア層とを有するガスバリアフィルムと、
前記ガスバリアフィルム上に設けられた第1電極と、
前記第1電極上に設けられた発光ユニットと、
前記発光ユニット上に設けられた第2電極と、を備え、
前記ガスバリア層が、酸窒化ケイ素化合物を含む第1ガスバリア層と、ニオブ(Nb)含む第2ガスバリア層とを有して構成されている
有機エレクトロルミネッセンス素子。
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---|---|---|---|---|
JP2018198180A (ja) * | 2017-05-24 | 2018-12-13 | コニカミノルタ株式会社 | 有機エレクトロルミネッセンス素子 |
JP2020511735A (ja) * | 2017-02-20 | 2020-04-16 | カティーバ, インコーポレイテッド | インクジェット印刷システムおよび発光要素の光出力効率を高める技術 |
DE112018004832T5 (de) | 2017-08-29 | 2020-06-10 | Fujifilm Corporation | Laminierter film und verfahren zum produzieren von laminiertem film |
WO2023054175A1 (ja) * | 2021-09-30 | 2023-04-06 | 日東電工株式会社 | ガスバリアフィルム及びその製造方法、並びにガスバリア層付き偏光板及び画像表示装置 |
-
2015
- 2015-05-20 JP JP2015103170A patent/JP2016219254A/ja active Pending
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