JPWO2014050631A1 - 組成物およびそれよりなる成形体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ポリアミド樹脂を含む組成物と磁性粉末を溶融混練しても、混練性の悪化をおこしにくい、具体的には、混練機のトルクの増大をおこしにくい、ポリアミド樹脂を含む組成物、およびポリアミド樹脂と磁性粉末とを含む組成物を提供することを目的とする。本発明は、ポリアミド樹脂を含む組成物であって、前記ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度が10〜40μeq/gであり、前記ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度が10〜40μeq/gであり、JIS K−6920に準じ、温度25℃で96質量%硫酸中の前記ポリアミド樹脂の濃度が1質量%の条件で測定した前記ポリアミド樹脂の相対粘度が1.30以上1.80以下である組成物である。

Description

本発明は、ポリアミド樹脂を含む組成物、磁性粉末を含む組成物、およびそれよりなる成形体に関する。
磁性を有するポリアミド樹脂を含む組成物及びそれより成形された成形品は、磁性を十分に有させるため、磁性粉末を大量に充填させる必要がある。具体的には、磁性粉末を組成物全体の50質量%以上充填させる必要があり、そうすると、ポリアミド樹脂の量が50質量%未満となり、成形時の流動性が低くなる。その為、一般的に、ポリアミド樹脂の分子量を小さくし、流動性を向上させることを行う。
特許第3103149号 特許第3147248号
ポリアミド樹脂を含む組成物に大量の磁性粉末を充填させるためには、一般的に、溶融したポリアミド樹脂を含む組成物の中に大量の磁性粉末を混合させる。その際、ポリアミド樹脂を含む組成物と磁性粉末との溶融混練中に、混練機のトルクが大きくなり、その混練自体が困難になる場合がある。特許文献1、2に記載の技術により、混練機のトルクの増大を抑えられるが、十分とはいえない。
そこで、本発明は、ポリアミド樹脂を含む組成物と磁性粉末を溶融混練しても、混練性の悪化をよりおこしにくい、具体的には、混練機のトルクの増大をよりおこしにくい、ポリアミド樹脂を含む組成物、およびポリアミド樹脂と磁性粉末とを含む組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、特定の末端アミノ基濃度、特定の末端カルボキシル基濃度、特定の相対粘度を有するポリアミド樹脂を含む組成物が上記課題を解決しうることを見出した。
即ち、本発明は、ポリアミド樹脂を含む組成物であって、
前記ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度が、10μeq/g以上40μeq/g以下であり、
前記ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度が、10μeq/g以上40μeq/g以下であり、
JIS K−6920に準じ、温度25℃で96質量%硫酸中の前記ポリアミド樹脂の濃度が1質量%の条件で測定した前記ポリアミド樹脂の相対粘度が1.30以上1.80以下である組成物である。
本発明により、ポリアミド樹脂を含む組成物と磁性粉末とを溶融混練する際、混練性の悪化をよりおこしにくいポリアミド樹脂を含む組成物を提供することができる。
本発明は、特定の末端アミノ基濃度、特定の末端カルボキシル基濃度、特定の相対粘度を有するポリアミド樹脂を含む組成物である。
[ポリアミド樹脂]
本発明に用いるポリアミド樹脂は、主鎖中にアミド結合(−CONH−)を有するものであり、ラクタム、アミノカルボン酸、又はジアミンとジカルボン酸とからなるポリアミド塩またはジアミンとシュウ酸ジブチルを原料として、溶融重合、溶液重合や固相重合等の公知の方法で重合、又は共重合することにより得られる。
ラクタムとしては、ε−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−ラウロラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、ε−カプロラクタム及び/又はω−ラウロラクタムが好ましい。
アミノカルボン酸としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンドデカン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンドデカン酸及び/又は12−アミノドデカン酸が好ましい。
ジアミンとしては、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ペンタデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、ヘプタデカンジアミン、オクタデカンジアミン、ノナデカンジアミン、エイコサンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、2,2,4/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,3−/1,4−シクロヘキシルジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、1,3−/1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、ノルボルナンジメチレンアミン等の脂環式ジアミン;m−/p−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、脂肪族ジアミンが好ましく、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン及び/又は2−メチル−1,8−オクタンジアミンがより好ましい。
ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカンジオン酸、トリデカンジオン酸、テトラデカンジオン酸、ペンタデカンジオン酸、ヘキサデカンジオン酸、オクタデカンジオン酸、エイコサンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3−/1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキサンメタン−4,4’−ジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−/1,8−/2,6−/2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、脂肪族ジカルボン酸が好ましく、シュウ酸及び/又はアジピン酸がより好ましい。
これらのラクタム、アミノカルボン酸、又はジアミンとジカルボン酸、又はジアミンとシュウ酸ジブチルとからなるポリアミド樹脂の単一重合体、又はこれらの共重合体を各々単独又は混合物の形で用いる事ができる。
ポリアミド樹脂の単一重合体としては、例えば、ポリカプロラクタム(ポリアミド6)、ポリウンデカン酸ラクタム(ポリアミド11)、ポリラウリルラクタム(ポリアミド12)、ポリエチレンアジパミド(ポリアミド26)、ポリテトラメチレンスクシナミド(ポリアミド44)、ポリテトラメチレングルタミド(ポリアミド45)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリテトラメチレンアゼラミド(ポリアミド49)、ポリテトラメチレンセバカミド(ポリアミド410)、ポリテトラメチレンドデカミド(ポリアミド412)、ポリペンタメチレンスクシナミド(ポリアミド54)、ポリペンタメチレングルタミド(ポリアミド55)、ポリペンタメチレンアジパミド(ポリアミド56)、ポリペンタメチレンアゼラミド(ポリアミド59)、ポリペンタメチレンセバカミド(ポリアミド510)、ポリペンタメチレンドデカミド(ポリアミド512)、ポリヘキサメチレンスクシナミド(ポリアミド64)、ポリヘキサメチレングルタミド(ポリアミド65)、ポリヘキサメチレンジアミノアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリノナメチレンアジパミド(ポリアミド96)、ポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99)、ポリノナメチレンセバカミド(ポリアミド910)、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912)、ポリデカメチレンアジパミド(ポリアミド106)、ポリデカメチレンアゼラミド(ポリアミド109)、ポリデカメチレンデカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリドデカメチレンアジパミド(ポリアミド126)、ポリドデカメチレンアゼラミド(ポリアミド129)、ポリドデカメチレンセバカミド(ポリアミド1210)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)、ポリアミド92、ポリアミド102、ポリアミド122、ポリアミド62等の単独重合体が挙げられる。
上記のラクタム、アミノカルボン酸、ジアミン、ジカルボン酸及び/又はシュウ酸ジブチルを用いたポリアミド樹脂の共重合体としては、例えば、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸共重合体(ポリアミド6/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアゼライン酸共重合体(ポリアミド6/69)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノセバシン酸共重合体(ポリアミド6/610)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノウンデカン酸共重合体(ポリアミド6/611)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノドデカン酸共重合体(ポリアミド6/612)、カプロラクタム/アミノウンデカン酸共重合体(ポリアミド6/11)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ポリアミド6/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ラウリルラクタム(ポリアミド6/66/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノセバシン酸(ポリアミド6/66/610)、及びカプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノドデカンジカルボン酸(ポリアミド6/66/612)、ポリアミド92/62、ポリアミド102/62、ポリアミド122/62等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド92、ポリアミド102、ポリアミド122、ポリアミド62及びこれらの共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種類のポリアミドが好ましく、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド92、ポリアミド102、ポリアミド122、ポリアミド62及びこれらの共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種類のポリアミドがより好ましく、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド92、ポリアミド102、ポリアミド122、ポリアミド62及びこれらの共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種類のポリアミドがさらに好ましく、ポリアミド11、ポリアミド12及びポリアミド6/12からなる群より選ばれる少なくとも1種類のポリアミドがさらに好ましく、ポリアミド11及び/又はポリアミド12がさらに好ましい。
JIS K−6920に準じ、温度25℃で96質量%硫酸中のポリアミド樹脂の濃度が1質量%の条件で測定した本発明のポリアミド樹脂の相対粘度は、1.30以上1.80以下である。当該相対粘度が1.30未満だと、磁性粉末を添加した時の組成物の機械的強度が著しく低下する場合がある。組成物の流動性、組成物中の磁性粉末の分散及び組成物の機械的強度の観点から、前記相対粘度は1.40以上1.80以下であることが好ましく、1.45以上1.75以下であることがより好ましく、1.50以上1.70以下であることがさらに好ましく、1.50以上1.65以下であることがさらに好ましい。
本発明のポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度は、10μeq/g以上40μeq/g以下である。組成物の溶融時の流動安定性の観点から、15μeq/g以上40μeq/g以下であることが好ましく、20μeq/g以上40μeq/g以下であることがより好ましく、25μeq/g以上40μeq/g以下であることがさらに好ましく、27μeq/g以上40μeq/g以下であることがさらに好ましく、30μeq/g以上40μeq/g以下であることがさらに好ましい。
本発明のポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度は、10μeq/g以上40μeq/g以下であり、組成物の溶融時の流動安定性の観点から、10μeq/g以上35μeq/g以下であることが好ましく、10μeq/g以上30μeq/g以下であることがより好ましく、10μeq/g以上25μeq/g以下であることがさらに好ましく、10μeq/g以上20μeq/g以下であることがさらに好ましく、15μeq/g以上20μeq/g以下であることがさらに好ましい。
なお、末端アミノ基濃度(μeq/g)は、ポリアミド樹脂をフェノール/メタノール混合溶液に溶解し、0.05N(規定)の塩酸で滴定して測定することができる。末端カルボキシル基濃度(μeq/g)は、ポリアミド樹脂をベンジルアルコールに溶解し、0.05N(規定)の水酸化ナトリウム溶液で滴定して測定することができる。
本発明のポリアミド樹脂は、アミン化合物やカルボン酸化合物のようなポリアミド樹脂の末端調整剤を用いて、特定の末端アミノ基濃度および特定の末端カルボキシル基濃度を有するように末端調整することができる。ポリアミド樹脂は、慣用の方法、例えば、アミン化合物やカルボン酸化合物のようなポリアミド樹脂の末端調整剤の存在下で、溶融重合、溶液重合や固相重合等の公知の方法で、重合又は共重合する事により末端調整される。あるいは、重合後、アミン化合物やカルボン酸化合物のようなポリアミド樹脂の末端調整剤の存在下に、溶融混練することにより末端調整される。このように、アミン化合物やカルボン酸化合物のようなポリアミド樹脂の末端調整剤は、重合時の任意の段階、あるいは、重合後、溶融混練時の任意の段階において、添加できるが、組成物の流動性、成形性を考慮した場合、重合時の段階で添加することが好ましい。ポリアミド樹脂の末端調整剤の添加量は、ポリアミド樹脂が特定の末端アミノ基濃度および特定の末端カルボキシル基濃度を有するように、当業者は状況に応じて適宜調整して決定することができる。
ポリアミド樹脂の末端調整に際しては、モノアミン化合物およびジアミン化合物等のアミン化合物、ならびにモノカルボン酸化合物およびジカルボン酸化合物等の酸化合物のうちの1種あるいは2種以上を適宜組合せて添加することができる。組成物の溶融時の流動安定性の観点から、モノアミン化合物及び/又はモノカルボン酸化合物を用いて末端調整することが好ましい。
モノアミン化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミンとその誘導体が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、沸点の観点から、脂肪族モノアミンが好ましく、オクチルアミン、デシルアミン及びステアリルアミンからなる群より選ばれる1種以上がより好ましく、ステアリルアミンがさらに好ましい。
本発明のポリアミド樹脂の数平均分子量は、組成物の流動性、組成物中の磁性粉末の分散及び組成物の機械的強度の観点から、4100以上17600以下であることが好ましく、6800以上17600以下であることがより好ましく、8200以上16300以下であることがさらに好ましく、9500以上14900以下であることがさらに好ましく、9500以上13500以下であることがさらに好ましい。ポリアミド樹脂の数平均分子量が4100以上だと、磁性粉末を添加した時の機械的強度が著しく低下することもないので、好ましい。
ジアミン化合物としては、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン等の脂環式ジアミン;m−/p−フェニレンジアミン、m−/p−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミンとその誘導体が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
モノカルボン酸化合物としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソブチル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α−/β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸とその誘導体が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、入手のし易さまたはハンドリングのし易さの観点から、脂肪族モノカルボン酸が好ましく、酢酸、ラウリン酸及びステアリン酸からなる群より選ばれる1種以上がより好ましく、酢酸及び/又はステアリン酸がより好ましく、ステアリン酸がさらに好ましい。
ジカルボン酸化合物としては、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−/1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−/2,6−/2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボンとその誘導体が挙げられる。入手のし易さまたはハンドリングの観点から、セバシン酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましく、アジピン酸がさらに好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
[組成物]
本発明の組成物は、末端アミノ基濃度が、10μeq/g以上40μeq/g以下であり、末端カルボキシル基濃度が、10μeq/g以上40μeq/g以下であり、JIS K−6920に準じ、温度25℃で96質量%硫酸中のポリアミド樹脂の濃度が1質量%の条件で測定した相対粘度が1.30以上1.80以下であるポリアミド樹脂を含めばよい。磁性粉末との溶融混合中に組成物の粘度の向上を低減させる観点から、磁性粉末の有無にかかわらず、磁性体を含まない組成物全量に対し、前記ポリアミド樹脂の含有量が20質量%以上100質量%以下であることが好ましく、40質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、60質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましく、80質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましい。組成物が磁性体を含む場合、磁性体を含む組成物総量に対し、成形物の強度の観点から、前記ポリアミド樹脂の含有量が、3質量%以上50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上45質量%以下であることがより好ましく、7質量%以上30質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明の組成物は、磁性粉末との混練性の観点から、(株)東洋精機製作所製のR−40型ローターを装着したブラベンダー型2軸混練機で、磁性粉末と220℃で溶融混練したときのトルクが、15N・m以上60N・m以下が好ましく、20N・m以上50N・m以下がより好ましく、25N・m以上40N・m以下がさらに好ましく、30N・m以上35N・m以下がさらに好ましい。
また、本発明の組成物は、磁性粉末との混練性の観点から、(株)東洋精機製作所製のR−40型ローターを装着したブラベンダー型2軸混練機で、磁性粉末と220℃で20分間溶融混練したときのトルクの変化率が、0%以上30%以下が好ましく、0%以上25%以下がより好ましく、0%以上20%以下がさらに好ましく、0%以上15%以下がさらに好ましく、0%以上12%以下がさらに好ましい。トルクの変化率は、以下の式で求められる。
トルクの変化率(%)=|(混練開始20分後のトルク)−(混練開始5分後のトルク)|/(混練開始5分後のトルク)×100
尚、本発明の組成物と磁性粉末の投入開始2分後を混練開始0分とする。
本発明の組成物には、本発明のポリアミド樹脂組成物の特性を損なわない範囲内で、通常配合される各種の添加剤、改質剤、安定剤、強化材、例えば、滑剤、熱安定剤、光安定剤、加工安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候剤、金属不活性剤、フィラー、可塑剤、発泡剤、ブロッキング防止剤、粘着性付与剤、シール性改良剤、防雲剤、離型剤、架橋剤、発泡剤、難燃剤、着色剤(顔料、染料等)、カップリング剤等の安定剤、ガラス繊維やタルク等の無機強化材等を含有することができる。組成物の流動性、成形性及び/又は磁気特性を改良する観点から、滑剤や安定剤を含有することが好ましい。
滑剤の例としては、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルナウバワックス、マイクロクリスタリンワックス等のワックス類;ステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸等の脂肪酸;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸カルシウム、リノール酸亜鉛、リシノール酸カルシウム、2−エチルヘキソイン酸亜鉛等の脂肪酸塩(金属石鹸類);ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ジオレイルアジピン酸アミド等の脂肪酸アミド;ステアリン酸ブチル等の脂肪酸エステル;エチレングリコール、ステアリルアルコール等のアルコール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、及びこれら変性物からなるポリエーテル類;ジメチルポリシロキサン、シリコーングリ−ス等のポリシロキサン類;フッ素系オイル、フッ素系グリース、含フッ素樹脂粉末等のフッ素化合物;窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化マグネシウム、シリカ、アルミナ、二硫化モリブデン等の無機化合物粉末が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
安定剤の例としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラキオサスピロ[5,5]ウンデカン等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;ジドデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジオクタデシル−3,3’−チオジプロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等の硫黄系酸化防止剤;トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等のリン系の加工安定剤;ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物等のヒンダードアミン系光安定剤;2,4−ジ−t−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−t−ペンチルフェノール等の紫外線吸収剤;N,N’−ビス[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン等の金属不活性剤;メラミンシアヌレート等の難燃剤等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の組成物は、磁性粉末を含むことが好ましい。磁性粉末は、磁性を有し、プラスチック磁石に使用することができるものであれば、特に制限はなく、フェライト系磁性粉末、アルニコ系磁性粉末及び/又は希土類磁性粉末が好ましく、フェライト系磁性粉末がより好ましい。
フェライト系磁性粉末の例としては、酸化鉄、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム等のフェライト粉末が挙げられる。
アルニコ系磁性粉末の例としては、ニッケル、アルミニウム、コバルト、銅から成るアルニコの磁性粉末、ニッケル、アルミニウム、コバルト、銅、チタンから成るアルニコの磁性粉末等が挙げられる。
希土類磁性粉の例としては、サマリウムコバルトの磁性粉末、サマリウムコバルトのコバルト成分を銅、鉄、チタン、ジルコニウム、ナフニウム、ニオブ、タンタル等で置換した磁性粉末、ネオジウム−鉄−ホウ素磁性粉末等が挙げられる。
これらの磁性粉末は1種又は2種以上を用いることができる。
磁性粉末の平均粒径は、本発明の組成物の流動性や機械的強度の観点から、0.1μm以上300μm以下であることが好ましく、0.1μm以上200μm以下であることがより好ましく、0.5μm以上100μm以下であることがさらに好ましい。磁性金属粉末の平均粒径が、前記の値の範囲にあると、組成物の流動性や、機械的強度が向上するので好ましい。
組成物中の磁性粉末の含有量は、組成物の全量に対し、50質量%以上98質量%以下であることが好ましく、65質量%以上97質量%以下であることがより好ましく、70質量%以上95質量%以下であることがさらに好ましい。組成物中の磁性粉末の含有量が前記の下限値以上であると、残留磁束密度が高く、永久磁石用途としての実用性が大きく、組成物の流動特性に対する効果が大きくなるので好ましい。一方、組成物中の磁性粉末の含有量が前記の上限値以下であると、磁場配向性に優れ、樹脂成分の減少に伴う残留磁束密度の向上が見られ、適切な樹脂量のため流動性に優れるので好ましい。これにより、混練及び成形工程にて充填不良等のトラブルを回避し、実用性に富む。
磁性粉末は、組成物内での分散性及び/又はポリアミド樹脂との密着性の改良の観点から、磁性金属粉末をカップリング剤や表面改質剤等であらかじめ処理してもよい。
カップリング剤又は表面改質剤としては、シラン系化合物、チタネート系化合物、アルミニウム系化合物、クロム系化合物、メタクリレート系化合物、亜リン酸エステル等の有機リン系化合物等のカップリング剤又は表面改質剤を使用することができる。これらの中でも、ポリアミド樹脂との相溶性を高める観点から、アミノ基を含有したシラン系化合物及び/又はチタネート系化合物であることが好ましい。これらは、用いるポリアミド樹脂の種類により適宜最適なものを選択することができる。
アミノ基を含有したシラン系化合物の例としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノジチオプロピルトリヒドロキシシラン、γ−(ポリエチレンアミノ)プロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノプロピル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)−エチレンジアミン、γ−ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
チタネート系化合物の例としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の組成物の製造方法について説明するが、特に以下に記載した製造方法に限定されるものではない。本発明の組成物は、混合工程からなる製造方法で製造できるが、組成物が磁性粉末を含む場合、組成物中の磁性粉末等の分散の観点から、混合工程および混練工程を含む製造方法にて製造されることが好ましい。
混合工程は、ポリアミド樹脂と、必要に応じ、磁性粉末と各種添加剤とを、公知の方法で混合する工程である。公知の方法で用いる混合機は、特に限定されるものではなく、例えば、リボンミキサー、V型ミキサー、ロータリーミキサー、ヘンシェルミキサー、フラッシュミキサー、ナウタミキサー、タンブラー等が挙げられ、また、粉砕混合もできる有用な、回転ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ウエットミル、ジェツトミル、ハンマーミル、カッターミル等が挙げられる。また、混合時に溶媒を使用する事は、カップリング剤及び/又は滑剤を混合する際、均一に混合する意味で有効な手段となるが、必ずしも必要ではない。混合工程の際、用いるポリアミド樹脂の形状は、ペレット、ビーズ、パウダー、ペースト状等、いずれでも良く、組成物の均質性を高める観点から、平均粒径1mm以下のパウダーが好ましい。尚、混合工程は、混練工程の前に行うことが好ましい。
混練工程は、ポリアミド樹脂と、必要に応じ、磁性粉末、各種添加剤との混合物をブラベンダー等のバッチ式ニーダー、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、ヘリカルローター、ロール、一軸押出機、二軸押出機等を用いて、120℃以上400℃以下の温度領域で混練する工程である。混練温度は、一般にポリアミド樹脂が溶融し、分解しない温度領域から選ばれる。混練された組成物は、ストランドやシート状に押し出され、ホットカット、アンダーウオーターカット等のカッティングされたものを粉砕機にかける、もしくは冷却固化したブロック状になった物を粉砕機にかけるといった方法で、成形体に成形しやすいようペレット化や粉粒(パウダー)化することが好ましい。
本発明において、ポリアミド樹脂を含む組成物と磁性粉末とを溶融混練する際、混練する温度は、190℃以上320℃以下であることが好ましい。190℃以上であればポリアミド樹脂が溶融し、磁性粉末との分散が十分となる。320℃以下であればポリアミド樹脂の熱による劣化が生じず、組成物の機械的強度が著しく低下することもない。組成物と磁性粉末との分散性及び組成物の機械的強度の観点から、混練する温度は、200℃以上320℃以下であることがより好ましく、210℃以上320℃以下であることがより好ましく、220℃以上320℃以下であることがさらに好ましく、220℃以上310℃以下であることがさらに好ましく、220℃以上300℃以下であることがさらに好ましい。
[成形体]
本発明の組成物から成形体を得る方法としては、一段成形法および二段成形法がある。一段成形法とは、本発明の組成物を成形加工機中で、混合、溶融混練しながら、所望の形状に成形する方法である。二段成形法は、本発明の組成物の混合、溶融工程を行い、その後に、混合、溶融工程で用いた機器と異なる成形機を用いて成形する二段成形法がある。成形方法としては、射出成形、押出成形、圧縮成形等の方法が挙げられる。
磁性粉末を含む組成物を成形する場合、高い磁気特性をもつ成形体を成形する観点から、本発明の成形体の成形方法は、本発明のポリアミド樹脂組成物を加熱溶融し、必要に応じ磁場をかけながら、射出成形、押出成形、圧縮成形する方法が挙げられる。押出成形の場合には、混練工程と共に行うこともできる。これらの成形方法のなかでも、表面平滑性及び磁気特性に優れた成形体を得る観点から、射出成形が好ましい。成形温度は、前記混練温度と同様である。
得られた成形体は、通常さらに着磁が行われ、永久磁石としての性能が高められる。着磁は通常行われる方法、例えば静磁場を発生する電磁石、パルス磁場を発生するコンデンサー着磁機等によって行われる。このときの磁場強度は、15kOe(1.2MA/m)以上であることが好ましく、30kOe(2.4MA/m)以上であることがより好ましい。
以下において実施例及び比較例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の要旨を越えない限り以下の例に限定されるものではない。以下に、各種評価方法、使用した材料を示す。
(1)末端アミノ基濃度
得られたポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度(μeq/g)は、得られたポリアミド樹脂をフェノール/メタノール(体積比:9/1)混合溶液に溶解させ、指示薬にチモールブルーを用いて、0.05N(規定)の塩酸で滴定して測定した。
(2)末端カルボキシル基濃度
得られたポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度(μeq/g)は、得られたポリアミド樹脂をベンジルアルコールに溶解させ、指示薬にフェノールフタレインを用いて、0.05N(規定)の水酸化ナトリウム溶液で滴定して測定した。
(3)相対粘度
得られたポリアミド樹脂の相対粘度は、96質量%の硫酸に、得られたポリアミド樹脂を1質量%溶解させ、その溶液を、JIS K−6920に準じ、25℃で測定した。
(4)数平均分子量
実施例に記載のポリアミド樹脂は末端アミノ基と末端カルボキシル基の両末端を調整しているため、末端基濃度から数平均分子量(Mn)を求めることが出来ない。そこで、比較例1、比較例2及び比較例3のカルボシキル末端基濃度の逆数で得られる数平均分子量(Mn)と相対粘度(ηr)との相関よりMn−ηrの換算式を導出し、この換算式(下記式(1))を用いてポリアミド樹脂の数平均分子量(Mn)を計算により求めた。
Mn=ηr×27000−31000 式(1)
(5)組成物の混練性の評価
ポリアミド樹脂および磁性粉末を含む組成物の混練性を評価した。磁性粉末として、フェライト粉末を使用した。この磁性粉末は、表面処理をせずそのまま使用した。
このフェライト粉末90質量%と得られたポリアミド樹脂10質量%からなる組成物に、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]をポリアミド樹脂100重量部に対して1重量部を加え、混合した。それを予め220℃に加熱してある(株)東洋精機製作所製のR−40型ローターを装着したブラベンダー型2軸混練機の混練チャンバーに、60rpmの回転数でローターを回しながら少量ずつ投入した。材料の投入開始2分後を混練開始0分とし、組成物のトルク値の経時変化(混練開始5分後、10分後、15分後、20分後)を測定した。その結果を表1に示す。トルクの変化率が大きいほど、混練性が悪いことを示す。トルクの変化率は、以下の式で求められた。
トルクの変化率(%)=|(混練開始20分後のトルク)−(混練開始5分後のトルク)|/(混練開始5分後のトルク)×100
[実施例1]
オートクレーブに、12−アミノドデカン酸1.0kgとステアリン酸10.5gとステアリルアミン18gを投入し、オートクレーブ内を窒素置換した後、窒素ガスを通気させながらオートクレーブ内温度を240℃まで昇温させ、4時間攪拌した。得られたポリアミド樹脂をオートクレーブの下部ノズルからストランドとして抜き出し、カッティングしてポリアミド樹脂のペレットを得た。このペレットを80℃で、8時間以上、減圧乾燥した。得られたポリアミド樹脂の相対粘度、末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度を表1に示す。また、上記の溶融混合中の組成物のトルクの評価行い、その結果を表1に示す。
[実施例2]
ステアリルアミンを13.2gにした以外は、実施例1と同様に行った。得られたポリアミド樹脂の相対粘度、末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度を表1に示す。また、上記の溶融混合中の組成物のトルクの評価行い、その結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1で得られたペレット100重量部に滑剤としてステアリン酸カルシウムを100〜1000ppm加え、タンブラーで10分混合させた後、上記の溶融混合中の組成物のトルクの評価行った。それ以外は実施例1と同様である。その結果を表1に示す。
[比較例1]
ステアリン酸を19gにし、ステアリルアミンを投入しなかった以外は、実施例1と同様に行った。得られたポリアミド樹脂の相対粘度、末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度を表1に示す。また、上記の溶融混合中の組成物のトルクの評価行い、その結果を表1に示す。
[比較例2]
ステアリン酸を12gにし、ステアリルアミンを投入しなかった以外は、実施例1と同様に行った。得られたポリアミド樹脂の相対粘度、末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度を表1に示す。また、上記の溶融混合中の組成物のトルクの評価行い、その結果を表1に示す。
[比較例3]
ステアリン酸を10gにした以外は、比較例1と同様に行った。得られたポリアミド樹脂の相対粘度、末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度を表1に示す。また、上記の溶融混合中の組成物のトルクの評価行い、その結果を表1に示す。
[比較例4]
ステアリン酸を投入せず、ステアリルアミン11.4gを投入した以外は、比較例1と同様に行った。得られたポリアミド樹脂の相対粘度、末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度を表1に示す。また、上記の溶融混合中の組成物のトルクの評価行い、その結果を表1に示す。
[比較例5]
ステアリン酸を投入せず、ノナメチレンジアミン10gを投入した以外は、比較例1と同様に行った。得られたポリアミド樹脂の相対粘度、末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度を表1に示す。また、上記の溶融混合中の組成物のトルクの評価行い、その結果を表1に示す。
[比較例6]
ステアリン酸を投入せず、メタキシリレンジアミン9gを投入した以外は、比較例1と同様に行った。得られたポリアミド樹脂の相対粘度、末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度を表1に示す。また、上記の溶融混合中の組成物のトルクの評価行い、その結果を表1に示す。
Figure 2014050631

Claims (6)

  1. ポリアミド樹脂を含む組成物であって、
    前記ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度が、10μeq/g以上40μeq/g以下であり、
    前記ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度が、10μeq/g以上40μeq/g以下であり、
    JIS K−6920に準じ、温度25℃で96質量%硫酸中の前記ポリアミド樹脂の濃度が1質量%の条件で測定した前記ポリアミド樹脂の相対粘度が1.30以上1.80以下である組成物。
  2. 前記ポリアミド樹脂が、モノアミン化合物及び/又はモノカルボン酸化合物により末端調整された請求項1に記載の組成物。
  3. 前記ポリアミド樹脂がポリアミド11及び/又はポリアミド12を含む請求項1又は2に記載の組成物。
  4. さらに、磁性粉末を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 混練機で磁性粉末と220℃で溶融混練したときの以下の式で求められるトルクの変化率が、0%以上30%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
    トルクの変化率(%)=|(混練開始20分後のトルク)−(混練開始5分後のトルク)|/(混練開始5分後のトルク)×100
    (ここで、該組成物と該磁性粉末の混練機への投入開始2分後を混練開始0分とする。)
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物からなる成形体。
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