JP2011219635A - 磁性材樹脂複合体成形用ポリアミド樹脂組成物、及びそれよりなる磁性材樹脂複合材料 - Google Patents

磁性材樹脂複合体成形用ポリアミド樹脂組成物、及びそれよりなる磁性材樹脂複合材料 Download PDF

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Koji Nakamura
孝治 中村
Mitsuru Tokumoto
満 徳本
Ryosuke Sasaki
亮輔 佐々木
Yoshifumi Akagawa
佳史 赤川
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Abstract

【課題】溶融時の流動性、成形時の磁性金属粉末の分散性、配向性に優れているとともに、得られた成形体が高い耐熱性、機械的特性を有しているとともに、磁気特性に優れており、その成形品の表面に添加剤のブリードアウトがなく、外観の優れた成形品が得られること。
【解決手段】特定の相対粘度、末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度を有するポリアミド樹脂に対し、特定の質量平均分子量を有する(メタ)アクリレート単量体及び芳香族ビニル単量体から形成される単位を主たる構成単位とする流動性改良剤を配合してなる磁性材樹脂複合体成形用ポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、特定の相対粘度、末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度を有するポリアミド樹脂に対し、特定の質量平均分子量を有する(メタ)アクリレート単量体及び芳香族ビニル単量体から形成される単位を主たる構成単位とする流動性改良剤を配合してなる磁性材樹脂複合体成形用ポリアミド樹脂組成物に関するものである。
従来より、磁性材樹脂複合体は磁性金属粉末と該磁性金属粉末をなす粒子同士を結合するバインダー樹脂よりなり、バインダー樹脂としてポリアミドが広く使用されている。このような磁性材樹脂複合体において磁気特性を向上させるために磁性金属粉末を高濃度に充填する必要がある。しかし、磁性金属粉末の配合量を多くしようとすると、磁性金属粉末の分散性が悪くなったり、射出成形等の方法で成形する時に溶融時の樹脂の流動性が極めて低下したり、溶融時における組成物中の磁性金属粉末の配向性が低下していた。さらに、たとえ磁性材樹脂複合体の成形が可能であったとしても、得られた成形品の磁気特性が極めて低下したり、成形品の外観(表面性)が極めて不良であったり、さらに成形品が機械的に脆くなるという問題点があった。
この問題に対して、特許文献1には、ポリアミド樹脂にステアリン酸金属塩やビスアミド化合物を添加する方法が提案されているが、そのような方法では使用時の雰囲気によっては上記添加剤が成形時に成形品の表面にブリードし、成形品の表面の外観を著しく低下させるという不都合が生じている。また、特許文献2には、脂肪族二価アルコールを、ポリアミド樹脂及び磁性金属粉末に使用する組成物が提案されているが、流動性改良という点からは未だ改善の余地があった。
特昭開53−270701号公報 特平開08−217970号公報
本発明が解決しようとする課題は、溶融時の流動性、成形時の磁性金属粉末の分散性、配向性に優れており、得られた成形体が高い耐熱性、機械的特性を有しているとともに、磁気特性に優れており、その成形品の表面に添加剤のブリードアウトがなく、外観の優れた成形品が得られること磁性材樹脂複合体成形用ポリアミド樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、JIS K−6920に準拠して測定された相対粘度(96%硫酸中、ポリマー濃度10g/dm、25℃)が1.40〜1.80であって、末端カルボキシル基濃度が90μeq/g以下、末端アミノ基濃度が30μeq/g以下であるポリアミド樹脂80〜99.5質量%、質量平均分子量Mwが1,000〜15,000であり、(メタ)アクリレート単量体及び芳香族ビニル単量体から形成される単位を主たる構成単位とする流動性改良剤0.5〜20質量%を配合してなることを特徴とする磁性材樹脂複合体成形用ポリアミド樹脂組成物を完成させた。
本発明の磁性材樹脂複合体成形用ポリアミド樹脂組成物の好ましい態様を以下に示す。好ましい態様は複数組み合わせることができる。
[1]磁性粉体50〜98質量%と前記ポリアミド樹脂組成物2〜50質量%よりなる磁性材樹脂複合材料。
[2]磁性材樹脂複合材料よりなる磁性材樹脂複合体。
前述の磁性材樹脂複合体成形用ポリアミド樹脂組成物が有していた問題点を解決し、溶融時の流動性や成形時の磁性金属粉末の配向性に優れており、磁性材樹脂複合体成形用ポリアミド樹脂組成物から得られた成形体が高い耐熱性、機械的特性を有しているとともに磁気特性に優れており、その成形品の表面に添加剤のブリードアウトがなく、外観の優れた成形品が得られる。
本願発明の磁性材樹脂複合体成形用ポリアミド樹脂組成物は、特定の末端基濃度、相対粘度を有するポリアミドに対して、質量平均分子量Mwが1,000〜15,000であり、(メタ)アクリレート単量体及び芳香族ビニル単量体から形成される単位を主たる構成単位とする流動性改良剤を添加することにより、流動性を改良し、且つ機械的特性を維持し、磁性材樹脂複合体成形用として有益なものである。
(1)ポリアミド樹脂について
ポリアミド樹脂は、主鎖中にアミド結合(−CONH−)を有するものであり、ラクタム、アミノカルボン酸、又はジアミンとジカルボン酸とからなるナイロン塩を原料として、溶融重合、溶液重合や固相重合等の公知の方法で重合、又は共重合することにより得られる。
ラクタムとしては、ε−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−ラウロラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドン等を、アミノカルボン酸としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンドデカン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
ジアミンとジカルボン酸から誘導されるポリアミドの原料となるジアミンとしては、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ペンタデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、ヘプタデカンジアミン、オクタデカンジアミン、ノナデカンジアミン、エイコサンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、2,2,4/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3−/1,4−シクロヘキシルジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、1,3−/1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、ノルボルナンジメチレンアミン等の脂環式ジアミン、m−/p−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
ジアミンとジカルボン酸から誘導されるポリアミドの原料となるジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカンジオン酸、トリデカンジオン酸、テトラデカンジオン酸、ペンタデカンジオン酸、ヘキサデカンジオン酸、オクタデカンジオン酸、エイコサンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,3−/1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキサンメタン−4,4’−ジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−/1,8−/2,6−/2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
ポリアミド樹脂において、これらラクタム、アミノカルボン酸、又はジアミンとジカルボン酸とからなるナイロン塩から誘導される単一重合体又は共重合体を各々単独又は混合物の形で用いる事ができる。また、ポリアミド樹脂としては脂肪族ポリアミドが好ましい。
脂肪族ポリアミドとしては、例えば、ポリカプロラクタム(ポリアミド6)、ポリウンデカン酸ラクタム(ポリアミド11)、ポリラウリルラクタム(ポリアミド12)、ポリエチレンアジパミド(ポリアミド26)、ポリテトラメチレンスクシナミド(ポリアミド44)、ポリテトラメチレングルタミド(ポリアミド45)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリテトラメチレンアゼラミド(ポリアミド49)、ポリテトラメチレンセバカミド(ポリアミド410)、ポリテトラメチレンドデカミド(ポリアミド412)、ポリペンタメチレンスクシナミド(ポリアミド54)、ポリペンタメチレングルタミド(ポリアミド55)、ポリペンタメチレンアジパミド(ポリアミド56)、ポリペンタメチレンアゼラミド(ポリアミド59)、ポリペンタメチレンセバカミド(ポリアミド510)、ポリペンタメチレンドデカミド(ポリアミド512)、ポリヘキサメチレンスクシナミド(ポリアミド64)、ポリヘキサメチレングルタミド(ポリアミド65)、ポリヘキサメチレンジアミノアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリノナメチレンアジパミド(ポリアミド96)、ポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99)、ポリノナメチレンセバカミド(ポリアミド910)、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912)、ポリデカメチレンアジパミド(ポリアミド106)、ポリデカメチレンアゼラミド(ポリアミド109)、ポリデカメチレンデカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリドデカメチレンアジパミド(ポリアミド126)、ポリドデカメチレンアゼラミド(ポリアミド129)、ポリドデカメチレンセバカミド(ポリアミド1210)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)等の単独重合体、これらの原料モノマーを用いたポリアミド共重合体、例えば、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸共重合体(ポリアミド6/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアゼライン酸共重合体(ポリアミド6/69)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノセバシン酸共重合体(ポリアミド6/610)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノウンデカン酸共重合体(ポリアミド6/611)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノドデカン酸共重合体(ポリアミド6/612)、カプロラクタム/アミノウンデカン酸共重合体(ポリアミド6/11)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ポリアミド6/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ラウリルラクタム(ポリアミド6/66/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノセバシン酸(ポリアミド6/66/610)、及びカプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノドデカンジカルボン酸(ポリアミド6/66/612)等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド11、ポリアミド12及びこれらの共重合体から選ばれる少なくとも1種類のポリアミドが好ましく、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12及びこれらの共重合体から選ばれる少なくとも1種類のポリアミドがより好ましく、ポリアミド6、ポリアミド12及びこれらの共重合体から選ばれる少なくとも1種類のポリアミドがさらに好ましい。
ポリアミド樹脂のJIS K−6920に準拠して測定された相対粘度(96%硫酸中、ポリマー濃度10g/dm、25℃)は、1.40〜1.80であって、1.45〜1.75であることが好ましく、1.50〜1.70であることがより好ましい。相対粘度が前記の値未満であると、樹脂のみが流動して金属粉体が流動しにくくなり、分散性が低下する。そのため、磁性材樹脂複合体を作成する場合には、磁石としての性能が低下しやすい。また、金属粉体複合成形品の機械的強度も低下しやすい。一方、前記の値を超えると、金属粉体複合成形品成形時に、押出圧力やトルクが高くなりすぎて、製造が困難となる。ポリアミド樹脂の相対粘度が前記の範囲内であることにより、金属粉体の分散性を高いレベルに維持できる。
本発明のポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度は、90μeq/g以下であって、10〜80μeq/gの範囲内であることが好ましく、15〜70μeq/gの範囲内であることがより好ましい。ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度が前記の値を超えると、金属粉体との相互作用が強固になりすぎるためか、成形時に溶融混合物の粘度が上昇しやすい。
ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度は、30μeq/g以下であって、5〜25μeq/gの範囲内であることが好ましく、5〜20μeq/gの範囲内であることがより好ましい。ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度が前記の値を超えると、加熱時に架橋反応が進行するためか溶融混合物の粘度が増大しやすくなるため、成形性が低下し、安定した成形ができない。また、磁性材樹脂複合体成形用に用いる場合には、溶融混練物を着磁する際、磁性体の配向性が低下し、磁気特性が悪化して、均質で強い磁力を有する磁性材樹脂複合体を得ることが困難となることもある。
なお、末端アミノ基濃度(μeq/ポリマー1g)は、該ポリアミドをフェノール/メタノール混合溶液に溶解し、0.05Nの塩酸で滴定して測定することができる。末端カルボキシル基濃度(μeq/ポリマー1g)は、該ポリアミドをベンジルアルコールに溶解し、0.05Nの水酸化ナトリウム溶液で滴定して測定することができる。
ポリアミド樹脂の末端調整は、慣用の方法、例えば、末端調整剤の存在下で、溶融重合、溶液重合や固相重合等の公知の方法で重合、又は共重合する事により製造される。あるいは、重合後、末端調整剤の存在下に、溶融混練することにより製造される。あるいは、重合後、末端調整剤の存在下に、溶融混練することにより製造される。このように、末端調整剤は、重合時の任意の段階、あるいは、重合後、溶融混練時の任意の段階において添加できるが、金属粉体複合成形品成形時のポリアミド樹脂の流動性、成形性を考慮した場合、重合時の段階で添加することが好ましい。
ポリアミド樹脂の末端調整に際しては、モノアミン、ジアミン、モノカルボン酸、ジカルボン酸のうちの1種あるいは2種以上を適宜組合せて添加することができる。例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン、アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン等の脂環式ジアミン、m−/p−フェニレンジアミン、m−/p−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミン、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソブチル酸等の脂肪族モノカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、α−/β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−/1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−/2,6−/2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これら末端調節剤の使用量は末端調節剤の反応性や重合条件により異なるが、最終的に得ようとするポリアミド樹脂の相対粘度と末端カルボキシル基濃度、末端アミノ基濃度が前記の範囲になるように適宜決められる。
(2)流動性改質剤について
本発明において使用される流動性改質剤は、(メタ)アクリレート単量体及び芳香族ビニル単量体から形成される単位を主たる構成単位とする低分子量重合体である。
流動性改質剤は、ゲルパーミッシヨンクロマトグラフィー(GPC)によって測定したポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)が1,000〜15,000であり、1,200〜10,000であることが好ましく、1,500〜9,000であることがより好ましく、2,000〜8,000であることがさらに好ましい。流動性改質剤の質量平均分子量が前記を超えると、流動改質剤自体の溶融粘度も高くなり、充分な流動性改質効果が得られない。一方、前記の値を超えると、相対的に低分子量物が多くなるため、耐熱性や剛性等の種々の機能を低下させ、成形時の発煙、ミスト、機械汚れ、およびフィッシュアイ等の外観不良といった問題が発生する可能性が高くなる恐れがある。
また、流動性改質剤の質量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)であらわされる分子量分布は、1.2〜3.2であることが好ましく、1.3〜3.0であることがより好ましい。
流動性改質剤において、(メタ)アクリレート単量体単位と芳香族ビニル単量体単位の合計含有量は、全重合単位100質量%に対して、80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。(メタ)アクリレート単量体単位と芳香族ビニル単量体単位の含有比率は、(メタ)アクリレート単量体単位と芳香族ビニル単量体単位の合計量100質量%に基づいて、1/99〜80/20(質量比)であることが好ましく、3/97〜70/30(質量比)であることがより好ましく、5/95〜60/40(質量比)であることがさらに好ましい。(メタ)アクリレート単量体単位と芳香族ビニル単量体単位の含有比率が前記の値未満であると、ポリアミドとの相溶性が悪く、機械物性の向上と流動性向上効果との両立が得られにくい場合がある。一方、前記の値を超えると流動改質効果が得られにくくなり、機械的特性が低下する場合がある。
(メタ)アクリレート単量体には、官能基含有及び官能基非含有単量体が含まれ、官能基非含有(メタ)アクリレート単量体としては、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸s−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸i−アミル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸メチルシクロヘキシル、アクリル酸シクロペンチル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸i−アミル、メタクリル酸s−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチルシクロヘキシル、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シンナミル、メタクリル酸クロチル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
官能基含有(メタ)アクリレート単量体としては、具体的には、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート単量体、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート単量体、アクリル酸ヒドロキシエチル(HEA)、メタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシブチル等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート単量体、アクリル酸ジメチルアミノエチル(DMAEA)、メタクリル酸ジメチルアミノエチル(DMAEMA)、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノプロピル、アクリル酸ジブチルアミノエチル、メタクリル酸ジブチルアミノエチル等のアミノ基含有(メタ)アクリレート単量体、アクリル酸−2−スルホン酸エチル、メタクリル酸−2−スルホン酸エチル、アクリル酸−(3−スルホプロピル)エステル、メタクリル酸(3−スルホプロピル)エステル等のスルホキシル基含有(メタ)アクリレート単量体、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N’−ジメチルアクリルアミド、N,N’−ジエチルアクリルアミド、N,N’−ジメチルメタクリルアミド、N,N’−ジエチルメタクリルアミド、N,N’−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のカルボン酸アミド含有(メタ)アクリレート単量体が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−/m−/p−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、1,5−/2,4−/3,4−ジメチルスチレン、o−/m−/p−エチルスチレン、o−/m−/p−プロピルスチレン、o−/m−/p−イソプロピルスチレン、o−/m−/p−−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、o−/m−/p−メトキシスチレン、o−/m−/p−クロロスチレン、p−クロロ−α−メチルスチレン、2,4−ジクロロスチレン、o−/m−/p−ブロモスチレン、ビニルピリジン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でもスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
本発明の目的が阻害されない範囲であれば、(メタ)アクリレート単量体と芳香族ビニル単量体と共重合可能なその他の単量体を共重合することも可能である。その他の単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、酢酸イソプロペニル、酢酸1−ブテニル、ピバル酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等のα−オレフィン類、クロトン酸、フタル酸、メチルマレイン酸、メチルフマル酸、メサコン酸、(無水)グルタコン酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、(無水)シトラコン酸、(無水)エンドビシクロ−[2,2,1][2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸、(無水)アコニット酸等の不飽和酸類あるいはその塩、又は炭素数1〜18のモノ又はジアルキルエステル類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン等のN−ビニルアミン類、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド類、アクリルニトリル、メタクリルニトリル、フマロニトリル、マレオニトリル、α−クロロアクリロニトリル等のシアン化ビニル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ビニルベンジルエーテル等の炭素数1〜18のアルキル、アリールビニルエーテル類、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、アリルフェニルーテル等のアリル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル類、マレイン酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル等のグリシジル類、ビニルエチレンカーボネート、ビニルスルホン酸、ビニルイミダゾール等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。本発明の流動性改質剤は、安全性、健康面の観点からシアン化ビニル類単量体は含まないことが好ましい。その他の単量体単位の含有量は、全重合単位に対して、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
流動性改質剤の製造方法は特に制限はなく、一般に用いられているラジカル重合開始剤を用いる公知の重合方法が用いられる。重合方法としては、塊状重合、炭化水素等の有機溶媒を使用する溶液重合、水性媒体及び必要に応じて適当な有機溶剤を使用する懸濁重合、水性媒体及び乳化剤を使用する乳化重合等、公知の方法を採用できる。
本発明の流動性改質剤は、高温連続溶液重合法により製造されることが好ましい(以下、高温連続溶液重合法という。)。この方法によれば、高温重合のために高分子鎖からの水素引き抜き反応に始まるラジカル分岐反応が起こりにくく、切断反応が優先するために分岐成分の少ない、直鎖成分の多い高分子を得ることができる。また、切断反応が優先することにより多量の開始剤や連鎖移動剤等の不純物を含まない低分子量ポリマーが容易に製造できる。さらに、反応器に攪拌槽型反応器を用いれば組成分布や分子量分布の狭い(共)重合体を得ることができるためより好ましい。
ラジカル重合開始剤は、半減期が10時間である分解温度が0℃〜100℃であることが好ましく、20〜90℃であることがより好ましい。ラジカル重合開始剤としては、特に限定はされないが、具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス(2−メチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ化合物、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、2−(4−メチルシクロヘキシル)−プロパンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)p−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)p−イソプロピルヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン等のジアルキルパーオキサイド類、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノイルパーオキサイド、サクシニックアシッドパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキシド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレエート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン等のパーオキシケタール類、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、t−アミルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジアセチルパーオキシカーボネート、ジ−アリルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシジエチルアセテート、t−ブチルパーオキシラウレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチル−パーオシキイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルシクロヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−アミルパーオキシネオデカンノエート、t−アミルパーオキシピバレート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシノルマルオクトエート、t−アミルパーオキシアセテート、t−アミルパーオキシイソノナノエート、t−アミルパーオキシベンゾエート、クミルパーオキシネオヘキサノエート、クミルパーオキシオクトエート、クミルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシネオヘキサノエート等のパーオキシエステル類、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
ラジカル重合開始剤の配合量は、原料全単量体成分100質量部に対し、0.001〜3質量部であることが好ましい。ラジカル重合開始剤の原料単量体への配合は、同時に行なっても、別々に異なる方法で行なってもどちらでも構わない。
重合反応の溶媒としては、特に限定はされないが、例えば、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の脂環式飽和炭化水素類、シクロヘキセン等の脂環式不飽和炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−/3−ヘキサノン、2−/3−/4−ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、ヘキサクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
重合反応を行う際、溶媒の使用量は、原料全単量体成分100質量部に対し、1〜40質量%であることが好ましく、2〜15質量%であることがより好ましい。
高温連続溶液重合法の詳細は、特表昭57−50217号公報、特開昭59−6207号公報、特開昭60−215007号公報等に開示されており、本発明の高温連続溶液重合法もかかる公知の方法に従って行うことができる。例えば、加圧可能な反応器を加圧下で所定温度に設定した後、原料単量体、及び必要に応じて重合溶媒とからなる原料単量体混合物を一定の供給速度で反応機へ供給し、原料単量体混合物の供給量に見合う量の重合液を抜き出す方法が挙げられる。また、原料単量体混合物には、必要に応じてラジカル重合開始剤を配合することもできる。圧力は、反応温度と使用する原料単量体混合物及び溶媒の沸点に依存するもので、反応に影響を及ぼさないが、前記反応温度を維持できる圧力であればよい。
上記単量体を重合させる反応温度は180〜300℃であることが好ましく、190〜280℃であることがより好ましく、200℃〜275℃であることがさらに好ましい。反応温度が前記の値を超えると、着色や熱劣化の問題が生じる場合があり、一方、前記の値未満であると、分岐反応が起こり分子量分布を広くし、分子量を下げるのに多量のラジカル重合開始剤や連鎖移動剤を必要とするため耐候性、耐熱性、耐久性に悪影響を与える。また除熱が難しい等の生産上の問題が発生する場合もある。また、重合反応における単量体混合物の滞留時間は、1〜60分であることが好ましく、5〜30分であることがより好ましい。滞留時間が前記の値未満であると、単量体が十分に反応しない恐れがあり、一方、前記の値を超えると、生産性が悪く、着色や熱劣化が起こってしまうことがある。また、管状型反応器よりも連続攪拌槽型反応器を用いるプロセスが組成分布、分子量分布を狭くすることが可能なためより好ましい。このように製造された流動性改質剤は、高温加工時に流動性改質剤自身の劣化やこれら熱劣化によるガスの発生が少なく、高い熱安定性を有する。したがって、磁性材樹脂複合体成形用ポリアミド樹脂組成物を高温にて加工することが可能である。
流動性改質剤の配合量は、ポリアミド樹脂組成物全体に対し、0.5〜20質量%であり、0.75〜15質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。配合量が前記の値未満であると流動性改良効果が不十分である。一方、前記の値を超えると機械特性、耐熱性が損なわれる。
本発明の磁性材樹脂複合体成形用ポリアミド樹脂組成物は、要求される特性に応じて他の添加剤、例えば耐熱剤、紫外線吸収剤を含む耐候剤、難燃剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、核剤、発泡剤、着色剤、安定剤、カップリング剤等を含有することができる。
ポリアミド樹脂と流動性改質剤の配合方法としては、ポリアミド樹脂と流動性改質剤に、必要に応じて各種添加剤を配合し、公知の方法で混合することによって製造される。例えば、タンブラーやミキサーを用いて、成形時に原料を直接添加するドライブレンド法、成形時に使用する濃度で予め原料を一軸又は二軸の押出機を用いて溶融混練する練り込み法、あるいは予め高濃度で原料を一軸又は二軸の押出機を用いて練り込み、これを成形時に希釈して使用するマスターバッチ法等が挙げられる。
(3)磁性材樹脂複合材料について
磁性材樹脂複合材料は、JIS K−6920に準拠して測定された相対粘度(96%硫酸中、ポリマー濃度10g/dm、25℃)が1.40〜1.80であって、末端カルボキシル基濃度が90μeq/g以下、末端アミノ基濃度が30μeq/g以下であるポリアミド樹脂80〜99.5質量%、質量平均分子量Mwが1,000〜15,000であり、少なくとも1種の(メタ)アクリレート単量体から形成される単位を有する流動性改良剤0.5〜20質量%を配合してなるポリアミド樹脂組成物と磁性金属粉末よりなる。
磁性金属粉末は、磁性を付与する機能を有し、プラスチック磁石に使用することができる公知の磁性金属粉末であれば、特に制限はなく、例えば、フェライト系磁性粉、アルニコ系磁性粉、希土類磁性等が挙げられる。フェライト系磁性粉としては、酸化鉄、炭酸バリウム等のバリウムフェライト系磁性粉、酸化鉄、炭酸ストロンチウム等のストロンチウムフェライト系磁性粉等が挙げられる。アルニコ系磁性粉としては、ニッケル、アルミニウム、コバルト、銅から成るアルニコ、ニッケル、アルミニウム、コバルト、銅、チタンから成るアルニコ等が挙げられる。希土類磁性粉としては、サマリウムコバルト、サマリウムコバルトのコバルト成分を銅、鉄、チタン、ジルコニウム、ナフニウム、ニオブ、タンタル等で置換した希土類コバルト磁石、ネオジウム−鉄−ホウ素磁石等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
磁性金属粉末の平均粒径は、0.1〜300μmであることが好ましく、0.1〜200μmであることがより好ましく、0.5〜100μmであることがさらに好ましい。磁性金属粉末の平均粒径が、前記の値を超えると、磁性材樹脂複合体の流動性や、機械的強度が低下する場合がある。
磁性金属粉末の配合量は、磁性材樹脂複合材料全体に対して、50〜98質量%であり、65〜97質量%であることが好ましく、70〜95質量%であることがより好ましい。配合量が前記の値未満であると、残留磁束密度が低く、永久磁石用途としての実用性は小さいうえに、樹脂の流動特性に対する効果が小さくなる場合がある。一方、前記の値を超えると磁場配向性に劣り、樹脂成分の減少に伴う残留磁束密度の向上が見られない上に樹脂量が少ないため、流動性に劣り、これが混練及び成形工程にて充填不良等のトラブルを惹起させ、実用性に欠ける場合がある。
磁性金属粉末は、本発明の磁性材樹脂複合体成形用ポリアミド樹脂組成物に配合した際の分散性又は密着性を改良するために、磁性金属粉末をカップリング剤や表面改質剤であらかじめ処理してもよい。カップリング剤又は表面改質剤として、シラン系、チタネート系、アルミニウム系、亜リン酸エステルその他の有機リン化合物系、クロム系、メタクリレート系等の慣用のカップリング剤又は表面改質剤を使用できる。これらの種類は、バインダーとして用いる樹脂の種類により適宜最適なものを選択される。これらの中でも、ポリアミド樹脂との相溶性を高めるため、アミノ基含有シラン系化合物、チタネート系化合物であることがより好ましい。
アミノ基含有シラン系化合物としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノジチオプロピルトリヒドロキシシラン、γ−(ポリエチレンアミノ)プロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノプロピル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)−エチレンジアミン、γ−ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
チタネート系化合物としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
これらに加えて、添加剤として滑剤や安定剤等を使用し、磁性材樹脂複合材料の流動性、成形性や磁気特性を改良することも可能である。
滑剤としては、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルナウバワックス、マイクロクリスタリンワックス等のワックス類、ステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸等の脂肪酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸カルシウム、リノール酸亜鉛、リシノール酸カルシウム、2−エチルヘキソイン酸亜鉛等の脂肪酸塩(金属石鹸類)、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ジオレイルアジピン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸ブチル等の脂肪酸エステル、エチレングリコール、ステアリルアルコール等のアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、及びこれら変性物からなるポリエーテル類、ジメチルポリシロキサン、シリコーングリ−ス等のポリシロキサン類、フッ素系オイル、フッ素系グリース、含フッ素樹脂粉末等のフッ素化合物、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化マグネシウム、シリカ、アルミナ、二硫化モリブデン等の無機化合物粉体が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
安定剤としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラキオサスピロ[5,5]ウンデカン等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、ジドデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジオクタデシル−3,3’−チオジプロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等の硫黄系酸化防止剤、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等のリン系の加工安定剤、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物等のヒンダードアミン系光安定剤、2,4−ジ−t−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−t−ペンチルフェノール等の紫外線吸収剤、N,N’−ビス[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン等の金属不活性剤、メラミンシアヌレート等の難燃剤等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
(4)磁性材樹脂複合材料、磁性材樹脂複合体の製造方法について
磁性材樹脂複合材料、磁性材樹脂複合体の製造方法について説明するが、特に以下に記載した製造方法に限定されるものではない。磁性材樹脂複合材料、磁性材樹脂複合体は、混合工程、混練工程、成形工程を経て製造される。混合工程にて、磁性金属粉末、本発明の磁性材樹脂複合体成形用ポリアミド樹脂組成物と必要に応じて各種添加剤を配合し、公知の方法で混合する。混合工程は、後記混練工程の前に行うことが好ましい。また、混合時に溶媒を使用する事は、カップリング剤及び滑剤を使用する際、均一に添加する意味で有効な手段となるが、必ずしも必要ではない。混合機は特に限定されるものではなく、リボンミキサー、V型ミキサー、ロータリーミキサー、ヘンシェルミキサー、フラッシュミキサー、ナウタミキサー、タンブラー等が挙げられる。また、回転ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ウエットミル、ジェツトミル、ハンマーミル、カッターミル等を用いて、添加、粉砕混合をする方法も有効である。
その際、磁性材樹脂複合体成形用ポリアミド樹脂組成物の形状は、ペレット、ビーズ、パウダー、ペースト状等、いずれでも良いが、混合物の均質性を高める意味で、粒度の細かい形態が望ましい。
磁性材樹脂複合体は、混合物を溶融混練しながらそのまま所望の形状に成形する一段成形法や造粒により粉粒化したり、棒状又はシート状に押し出し、適当な大きさに切断又は粉砕してペレット化又は粉粒化した後(混練工程)、磁場をかけながら、射出成形、押出成形、圧縮成形等の慣用の方法により成形(成形工程)する二段成形法のどちらでも製造可能である。
混練工程は、混合した磁性金属粉末、本発明の磁性材樹脂複合体成形用ポリアミド樹脂組成物と各種添加剤をブラベンダー等のバッチ式ニーダー、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、ヘリカルローター、ロール、一軸押出機、二軸押出機等を用いて50〜400℃の温度領域で混練する工程である。混練温度は、一般にポリアミド樹脂が溶融し、分解しない温度領域から選ばれる。混練物は、ストランドやシート状に押し出した後カッティング或いは、ホットカット、アンダーウオーターカット、もしくは冷却固化したブロック状の物を粉砕機にかける、といった方法でペレット状態やパウダー状態にして成形に供される。こうして磁性材樹脂複合材料を得ることができる。
混練工程で得られた磁性材樹脂複合材料から、磁性材樹脂複合体を得るためには、更に成形加工処理を施す(成形工程)。中でも高い磁気特性をもつ磁性材樹脂複合体を製造する方法として、ペレット或いはパウダー状の磁性材樹脂複合材料を加熱溶融し、必要に応じ磁場をかけながら、射出成形、押出成形、圧縮成形する方法が挙げられる。押出成形の場合には、混練と共に行うこともできる。これらの成形法のなかで、特に射出成形法は、表面平滑性及び磁気特性に優れた磁性材樹脂複合体が得られることから有用性が大きい。成形温度は、前記混練温度と同様である。
成形体は、通常さらに着磁を行って、永久磁石としての性能を高める。着磁は通常行われる方法、例えば静磁場を発生する電磁石、パルス磁場を発生するコンデンサー着磁機等によって行われる。このときの磁場強度は、15kOe以上であることが好ましく、30kOe以上であることがより好ましい。
本発明の磁性材樹脂複合体成形用ポリアミド樹脂組成物は、特定の相対粘度、末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度を有するポリアミド樹脂に対し、特定の質量平均分子量を有する(メタ)アクリレート単量体及び芳香族ビニル単量体から形成される単位を主たる構成単位とする流動性改良剤を配合しているため、溶融時の流動性、磁性材樹脂複合体成形時の磁性金属粉末の分散性、配向性に優れているとともに、複雑な形状を有する成形品への適用が可能となる。さらに、磁性材樹脂複合体成形用ポリアミド樹脂組成物と磁性金属粉末から得られた磁性材樹脂複合体が高い耐熱性、機械的特性を有しているとともに磁気特性に優れており、その成形品の表面に添加剤のブリードアウトがなく、外観の優れた成形品が得られることができる。
以下において実施例及び比較例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の要旨を越えない限り以下の例に限定されるものではない。以下に、各種評価方法、使用した材料を示す。
[物性測定、成形、評価方法]
(1)相対粘度
JIS K−6920に準じて、96%硫酸溶液、ポリマー濃度10g/dmにてオストワルド型粘度計を用いて25℃で測定した。
(2)末端カルボキシル基濃度
三つ口ナシ型フラスコに所定量のポリアミド試料を入れ、ベンジルアルコール40mLを加えた後、窒素気流下、180℃に設定したオイルバスに浸漬する。上部に取り付けた攪拌モーターにより攪拌溶解し、指示薬にフェノールフタレインを用いて0.05Nの水酸化ナトリウム溶液で滴定を行い、末端カルボキシル基濃度を求めた。
(3)末端アミノ基濃度
活栓付三角フラスコに所定量のポリアミド試料を入れ、あらかじめ調整しておいた溶媒フェノール/メタノール(体積比9/1)の40mLを加えた後、マグネットスターラーで攪拌溶解し、指示薬にチモールブルーを用いて0.05Nの塩酸で滴定を行い、末端アミノ基濃度を求めた。
(4)機械的物性
以下に示す〔1〕〜〔2〕の測定は、下記の試験片をシリンダ温度290℃、金型温度80℃にて射出成形により作成した。
〔1〕曲げ試験(曲げ強さ及び曲げ弾性率):試験片寸法127mm×12.7mm×6.5mmの試験片を用いてASTM D−790に準拠し、23℃で測定した。
〔2〕衝撃強度(アイゾットノッチ付):試験片寸法62mm×12.7mm×12.7mmの試験片を用いてASTM D−256に準拠し、23℃で測定した。
(5)流動性
シリンダ温度290℃、金型温度80℃にて、馬蹄形流動長さ測定用金型を使用し、射出成形圧力80MPaにおける流動長を測定した。流動長の値が大きいほど、流動性が良好であると判断した。
[使用した原材料]
(A)ポリアミド
(A−1)ポリアミド12の製造
70リットルのオートクレーブに、ラウロラクタム20kg、水0.5kgとステアリン酸240g(1/120eq/molラウロラクタム)を仕込み、重合槽内を窒素置換した後、100℃まで加熱し、この温度で反応系内が均一な状態になるように攪拌した。次いで重合槽内温度を260℃まで昇温させ、槽内圧力を3.5MPaに調圧しながら、2時間攪拌下に重合した。その後、約2時間かけて常圧に放圧し、次いで、53kPaまで減圧し、減圧下において1時間重合を行なった。次いで、窒素をオートクレーブ内に導入し、常圧に復圧後、反応容器の下部ノズルからストランドとして抜き出し、カッティングしてペレットを得た。このペレットを減圧乾燥した。当該ポリマーの相対粘度は1.67、末端カルボキシル基濃度67μeq/g、末端アミノ基濃度23μeq/gであった(以下、このポリアミド12を(A−1)という。)。
(A−2)ポリアミド12の製造
(A−1)ポリアミド12の製造の製造において、ステアリン酸240g(1/110eq/molラウロラクタム)を390g(1/74eq/molラウロラクタム)に変えた以外は、(A−1)ポリアミド12の製造と同様の方法にて、相対粘度1.56、末端カルボキシル基濃度84μeq/g、末端アミノ基濃度14μeq/gのポリアミド12を得た(以下、このポリアミド12を(A−2)という。)。
(A−3)ポリアミド12の製造
(A−1)ポリアミド12の製造の製造において、ステアリン酸240g(1/110eq/molラウロラクタム)を66g(1/438eq/molラウロラクタム)に変え、減圧下において2時間重合を行なった以外は、(A−1)ポリアミド12の製造と同様の方法にて、相対粘度1.87、末端カルボキシル基濃度49μeq/g、末端アミノ基濃度36μeq/gのポリアミド12を得た(以下、このポリアミド12を(A−3)という。)。
(A−4)ポリアミド12/6共重合体の製造
(A−1)ポリアミド12の製造の製造において、ラウロラクタム20kgをラウロラクタム15kg、カプロラクタム5kgに変えた以外は、(A−1)ポリアミド12の製造と同様の方法にて、当該ポリマーの相対粘度1.70、末端カルボキシル基濃度64μeq/g、末端アミノ基濃度20μeq/gのポリアミド12/6共重合体を得た(以下、このポリアミド12/6共重合体を(A−4)という。)。
(B)流動性改良剤
(B−1)スチレン/アクリル酸共重合体(BASF社製、JONCRYL ADD−3310、質量平均分子量3,000)
(B−2)スチレン/メタクリル酸エチル共重合体(BASF社製、JONCRYL ADF−1350、質量平均分子量4,000)
(B−3)スチレン/フェニルメタクリレート共重合体(三菱レイヨン(株)製、メタブレンKP4493、質量平均分子量54,500)
(B−4)スチレン重合体(BASF社製、JONCRYL ADF−1300、質量平均分子量3,000)
実施例1
(A)ポリアミド(A−1)19.4質量%、(B)流動性改良剤(B−1)0.6質量%、β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランにて表面処理されたストロンチウムフェライト(平均粒径:1.3μm、BET比表面積:1.6m/g、表面処理量:1.0質量部)80質量%の合計100質量部、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.5質量部、ステアリン酸マグネシウム0.1質量部を小型のヘンシェルミキサーにて撹拌混合し、二軸押出機で混練し押出してペレット(磁性材樹脂複合材料)を製造した。該磁性材樹脂複合材料を使用して上記評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例2〜3
実施例1において、(A)ポリアミド(A−1)と(B)流動性改良剤(B−1)の配合割合を表1に示す割合に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて磁性材樹脂複合材料を得た。該磁性材樹脂複合材料を使用して上記評価を行った結果を表1に示す。
実施例4
実施例1において、(B)流動性改良剤(B−1)を(B−2)に変え、(A)ポリアミド(A−1)と(B)流動性改良剤(B−2)の配合割合を表1に示す割合に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて磁性材樹脂複合材料を得た。該磁性材樹脂複合材料を使用して上記評価を行った結果を表1に示す。
実施例5
実施例1において、(A)ポリアミド(A−1)を(A−2)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて磁性材樹脂複合材料を得た。該磁性材樹脂複合材料を使用して上記評価を行った結果を表1に示す。
実施例6
実施例1において、(A)ポリアミド(A−1)を(A−1)と(A−4)の混合物とし、その混合比率を表1に示す割合に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて磁性材樹脂複合材料を得た。該磁性材樹脂複合材料を使用して上記評価を行った結果を表1に示す。
比較例1
実施例1において、(B)流動性改良剤(B−1)を使用せず、表1に示す配合割合に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて磁性材樹脂複合材料を得た。該磁性材樹脂複合材料を使用して上記評価を行った結果を表1に示す。
比較例2〜3
実施例1において、(A)ポリアミド(A−1)と(B)流動性改良剤(B−1)の配合割合を表1に示す割合に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて磁性材樹脂複合材料を得た。該磁性材樹脂複合材料を使用して上記評価を行った結果を表1に示す。
比較例4
実施例1において、(B)流動性改良剤(B−1)を(B−3)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて磁性材樹脂複合材料を得た。該磁性材樹脂複合材料を使用して上記評価を行った結果を表1に示す。
比較例5
実施例1において、(B)流動性改良剤(B−1)を(B−4)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて磁性材樹脂複合材料を得た。該磁性材樹脂複合材料を使用して上記評価を行った結果を表1に示す。
比較例6
実施例1において、(A)ポリアミド(A−1)を(A−3)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて磁性材樹脂複合材料を得ようとしたがトルクオーバーのため成形体が得られず、機械的物性の測定はできなかった。
Figure 2011219635
表1から明らかなように、流動性改良剤を使用しない比較例1は流動性に劣り、流動性改良剤の配合量が本発明の規定範囲未満である比較例2は流動性に劣っていた。また、流動性改良剤の配合量が本発明の規定範囲を超える比較例3は、機械的物性に劣っていた。本発明に規定以外の質量平均分子量有する流動性改良剤を使用している比較例4は流動性に劣っていた。さらに、本発明の規定以外の流動性改良剤を使用している比較例5は流動性に劣っていた。本発明の規定以外の相対粘度、末端アミノ基濃度を有するポリアミドを使用した比較例6は、成形性に劣っていた。
一方、本発明に規定されているポリアミド樹脂組成物より得られる実施例1から6の磁性材樹脂複合材料は、溶融時の流動性に優れ、得られた磁性材樹脂複合体が高い機械的特性を有しており、外観の優れた成形品が得られることは明らかである。

Claims (3)

  1. JIS K−6920に準拠して測定された相対粘度(96%硫酸中、ポリマー濃度10g/dm、25℃)が1.40〜1.80であって、末端カルボキシル基濃度が90μeq/g以下、末端アミノ基濃度が30μeq/g以下であるポリアミド樹脂80〜99.5質量%、
    質量平均分子量Mwが1,000〜15,000であり、(メタ)アクリレート単量体及び芳香族ビニル単量体から形成される単位を主たる構成単位とする流動性改良剤0.5〜20質量%
    を配合してなることを特徴とする磁性材樹脂複合体成形用ポリアミド樹脂組成物。
  2. 磁性粉体50〜98質量%と前記ポリアミド樹脂組成物2〜50質量%よりなる請求項1に記載の磁性材樹脂複合材料。
  3. 請求項2に記載の磁性材樹脂複合材料よりなる磁性材樹脂複合体。
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