JP6857708B2 - ポリアミド樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Description
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、耐候性に優れるとともに、外観や低ソリ性に優れた成形体が得られるポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
(A)ポリアミド樹脂と、
(B)無機充填材と、
(C)カーボンブラックと、
を含むポリアミド樹脂組成物であって、
(A)ポリアミド樹脂の少なくとも一部が(a1)芳香族ポリアミドであり、
(C)カーボンブラックは、平均一次粒子径が20nm以上、かつ比表面積とDBP吸油量の比である比表面積/DBP吸油量が1.0以下であることを特徴とする。
ここで、構成単位とは、1つの−CO−NH−(アミド)結合を構成する単位を意味しており、ポリアミド樹脂の原料がラクタムやω−アミノカルボン酸の場合は、単独で構成単位となり、ジアミンとジカルボン酸の場合は、1対のジアミンとジカルボン酸で1つの構成単位である。
(C)カーボンブラックの比表面積は、100m2/g以下であることが好ましい。
(C)カーボンブラックのDBP吸油量は、100cm3/100g以上であることが好ましい。
ポリアミド樹脂組成物はさらに(E)アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属のハロゲン化物を含有することが好ましい。
(F)結晶化遅延剤は、アジン系染料またはフタロシアニン系染料が好ましい。
成形体としては自動車外装部品により好適である。
〔ポリアミド樹脂組成物〕
本発明のポリアミド樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂と、(B)無機充填材と、(C)カーボンブラックとを含み、(A)ポリアミド樹脂の少なくとも一部が(a1)芳香族ポリアミドであって、(C)カーボンブラックは、平均一次粒子径が20nm以上、かつ比表面積とDBP吸油量の比である[比表面積/DBP吸油量]が1.0以下であることを特徴とする。
(A)ポリアミド樹脂
(A)ポリアミド樹脂(以下、単にポリアミド樹脂あるいは(A)成分と記載する場合もある)とは、主鎖に−CO−NH−(アミド)結合を有する高分子化合物を意味する。
本発明において(A)ポリアミド樹脂は、低ソリ性、外観を向上させた樹脂組成物とするため、少なくとも一部に(a1)芳香族ポリアミドを含有する。
(a1)芳香族ポリアミド(以下、単に(a1)成分と記載する場合もある)は、分子中に芳香環を含んでいるポリアミドを意味し、ポリアミド樹脂を構成する原料として、分子中に芳香環を含むモノマーが含まれていればよい。具体的には、芳香族ジアミン、芳香環を有するジアミン、芳香族ジカルボン酸、及び/又は芳香環を有するジカルボン酸を含んでいればよい。ポリアミドを構成する全原料モノマーを100モル%としたとき、重合の際に分子中に芳香環を含むモノマーを5モル%以上用いることが、低ソリ性、外観を向上させる観点から好ましい。なお、ここでいう全原料モノマーを計算する場合、ジアミンやジカルボン酸は、例えばジアミンが1モル、ジカルボン酸が1モルの場合、全モノマーは2モルとして計算する。
芳香族ポリアミドをジアミンとジカルボン酸の縮合によって得る場合は、ジアミンとジカルボン酸の少なくともいずれか一方が、芳香環を有するジアミン、芳香族ジアミンまたは芳香族ジカルボン酸であればよい。
ラクタムとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ピロリドン、カプロラクタム、ウンデカラクタム、及びドデカラクタムが挙げられる。
また、ω−アミノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、上記ラクタムの水による開環化合物であるω−アミノ脂肪酸が挙げられる。上記ラクタム又はω−アミノカルボン酸は、それぞれ2種以上の単量体を併用して縮合させたものでもよい。
本発明の(A)ポリアミド樹脂は、(a2)脂肪族ポリアミド(以下、単に(a2)成分と記載する場合もある)を含んでもよい。本発明における(a2)脂肪族ポリアミドは、分子中に芳香環を含まないポリアミドを意味し、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とを重合させたポリアミド、脂肪族ジアミンと脂環族ジカルボン酸とを重合させたポリアミド、脂環族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とを重合させたポリアミド、脂環族ジアミンと脂環族ジカルボン酸とを重合させたポリアミド、脂肪族ラクタム及び/または脂肪族アミノカルボン酸を重合させたポリアミド、及びこれらの共重合体である。上述したようなポリアミド樹脂の原料である、ラクタム、ω−アミノカルボン酸、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸を問題なく用いることができる。
上述した(a2)脂肪族ポリアミドは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)ポリアミド樹脂中の芳香族含有単量体比率の算出方法は、特に制限されないが、核磁気共鳴法(NMR)などにより求めることができる。
ポリアミド樹脂における末端基の比は、アミノ基濃度/カルボキシル基濃度として、好ましくは9/1〜1/9であり、より好ましくは6/4〜1/9であり、さらに好ましくは5/5〜1/9である。末端基の比が上記範囲内である場合、本発明のポリアミド樹脂組成物の機械的強度を一層向上させることができる。
ここで、ポリアミド樹脂のアミノ基末端及びカルボキシル基末端の濃度は、1H−NMRにより測定され、各末端基に対応した特性シグナルの積分値によって求めることができる。
具体的には、ポリアミド樹脂の重合時に所定の末端濃度となるように、モノアミン化合物、ジアミン化合物、モノカルボン酸化合物、及びジカルボン酸化合物よりなる群から選択される1種以上を添加することにより調整することができる。
これらの成分の重合溶媒への添加時期については、末端調整剤として本来の機能を果たす限り特に限定されるものではなく、例えば、上述したポリアミド樹脂の原料を重合溶媒に添加する際に添加する方法が挙げられる。
これらのモノアミン化合物は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのジアミン化合物は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのモノカルボン酸化合物は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのジカルボン酸化合物は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)無機充填材(以下、無機充填材あるいは(B)成分と記載する場合もある)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ケイ酸カルシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、フレーク状ガラス、タルク、カオリン、マイカ、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸一水素カルシウム、ウォラストナイト、シリカ、ゼオライト、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、黄銅、銅、銀、アルミニウム、ニッケル、鉄、フッ化カルシウム、雲母、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母及びアパタイトが挙げられる。
これらは、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリアミド樹脂組成物を電気炉に入れて、含まれる有機物を焼却処理し、残渣分から、例えば100本以上の無機充填材を任意に選択し、SEM(Scanning Electron Microscope、走査型電子顕微鏡)で観察して、これらの無機充填材の繊維径及び粒子径を測定することにより数平均繊維径及び数平均粒子径を測定される。併せて、倍率1000倍でのSEM写真を用いて繊維長を計測することにより重量平均繊維長が求められる。
特に、上記の列挙成分から選択される1種以上であることが好ましく、アミノシラン類がより好ましい。
繊維ストランドはロービングとしてそのまま使用してもよく、さらに切断工程を行いチョップドガラスストランドとして使用してもよい。また、ストランドの乾燥は切断工程後に行ってもよく、又はストランドの乾燥後に切断工程を行ってもよい。
(C)カーボンブラック(以下、単にカーボンブラックあるいは(C)成分と記載する場合もある)としては、その製造方法によりファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック等に分類され、その原料の違いにより、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、オイルブラック、ガスブラック等に分類されるが、本発明においては特に限定されずに使用することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、上述した(A)成分〜(C)成分に加え、(D)銅化合物(以下、単に銅化合物あるいは(D)成分と記載する場合もある)として、ハロゲン化銅化合物、チオシアン酸銅、硝酸銅、酢酸銅、ナフテン銅、カプリン酸銅、ラウリン酸銅、ステアリン酸銅、アセチルアセトン銅、酸化銅(I)及び酸化銅(II)から選ばれる少なくとも1種の銅化合物を含有させてもよい。
これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリアミド樹脂組成物中の銅化合物の含有量が上記範囲内である場合、低ソリ性、耐候性並びに耐候光沢保持率を一層向上させるとともに、銅の析出や金属腐食を効果的に抑制することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、耐候性の向上及び金属腐食の抑制の観点から(E)アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属のハロゲン化物(以下、単にハロゲン化物または(E)成分と記載する場合もある)をさらに含んでいてもよい。(E)ハロゲン化物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化リチウム、臭化リチウム、塩化リチウム、ヨウ化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化マグネシウム及び臭化マグネシウム、並びにこれらの混合物が挙げられる。
ここで、ハロゲン元素は、例えば(D)成分がハロゲン化銅の場合、ハロゲン化銅に由来するハロゲン元素と、(E)成分に由来するハロゲン元素の合計を意味する。
一方、モル比(ハロゲン元素/銅元素)が50/1以下である場合、靭性などの機械的な物性を殆ど損なうことなく、成形機のスクリュー等の腐食を防止できるため好適である。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、成形品外観及び機械的強度をより一層向上させる観点から、(F)結晶化遅延剤(以下、単に結晶化遅延剤あるいは(F)成分と記載する場合もある)をさらに含有させてもよい。
結晶化遅延剤は、ポリアミド樹脂に配合することにより、ポリアミド樹脂の結晶化温度を降下させる作用効果を有する物質である。結晶化温度はJIS K7121に準拠した示差走査熱量測定法(DSC法)によって求めることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、成形品外観をより一層向上させる観点から、(G)滑剤(以下、単に滑剤あるいは(G)成分と記載する場合もある)をさらに含有させてもよい。
滑剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩、ポリオレフィンワックスが挙げられる。
滑剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
高級脂肪酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状の、脂肪族モノカルボン酸が挙げられ、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、ラウリン酸、モンタン酸等が挙げられる。
アルコールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,3−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラウリルアルコール等が挙げられる。
高級脂肪酸エステルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸−1,3−ブタンジオールエステル、モンタン酸−トリメチロールプロパンエステル、トリメチロールプロパントリラウレート、ブチルステアレート等が挙げられる。
高級脂肪酸アミドとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスオレイルアミド、N−ステアリルステアリルアミド、N−ステアリルエルカアミド等が挙げられる。特に、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、及びN−ステアリルエルカアミドが好ましく、エチレンビスステアリルアミド及びN−ステアリルエルカアミドがより好ましい。
高級脂肪酸と塩を形成する金属元素としては、元素周期律表の第1族元素(アルカリ金属)、第2族元素(アルカリ土類金属)、第3族元素、亜鉛、アルミニウム等が挙げられる。金属元素としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;アルミニウム;が好ましい。
これら高級脂肪酸金属塩は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリプロピレンワックスは、一般に、相応して低い分子量を有する、ワックス様の特性を有するポリプロピレンである。本発明に用いるワックスは、2000〜60000、特に5000〜50000、殊に10000〜45000の平均分子量(質量平均)Mw(GPC(Gel Permeation Chromatography:ゲル浸透クロマトグラフィー)及び標準ポリスチレンを用いて)であることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物に用いられるワックスの軟化点は、DIN EN 1427(環球法)により算出され、少なくとも140℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましい。
熱分解PEワックスの性質は、高圧法による製品の性質と類似している。また、方法の実施を変えることにより、低密度の分枝鎖状タイプ(LDPE)が得られる。
空気または酸素での酸化により、高極性の酸化されたPEワックス(ポリエチレンワックス酸化生成物)が得られる。
その他の成分としては、以下に限定されるものではないが、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光劣化防止剤、可塑剤、離型剤、核剤、難燃剤、着色剤、染色剤や顔料などを添加してもよいし、他の熱可塑性樹脂を混合してもよい。
ここで、その他の成分は、それぞれ性質が大きく異なるため、各成分についての、本発明の効果をほとんど損なわない好適な含有率は様々である。そして、当業者であれば、上記した他の成分ごとの好適な含有率は容易に設定可能である。
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法としては、以下に制限されないが、例えば、単軸又は多軸の押出機によって(A)成分を溶融させた状態で、(B)成分、(C)成分を混練する方法を用いることができる。中でも上流側供給口と下流側供給口とを備えた二軸押出機を使用し、上流側供給口から(A)成分、(C)成分を供給して溶融させた後、下流側供給口から(B)成分を供給して溶融混練する方法を用いることが好ましい。また、ガラス繊維及び炭素繊維などのロービングを用いる場合も、公知の方法で複合化することができる。
本発明の成形体は、上述した本発明のポリアミド樹脂組成物を成形してなり、例えば、ポリアミド樹脂組成物を射出成形することにより得られる。
本発明の成形体は、例えば、自動車用、機械工業用、電気・電子用、住設用、産業資材用、工業材料用、日用・家庭品用等の種々の成形体や部品として好適に使用できる。特に屋外に曝露される自動車用、住設用等の部品に好適であり、自動車外装部品により好適に使用できる。
以下、実施例及び比較例で行った評価の方法について説明する。
<低ソリ性>
実施例及び比較例で得られたポリアミド樹脂組成物のペレットを、射出成形機(PS−40E:日精樹脂株式会社製)を用いて、100×100×2mm厚(鏡面加工)の平板状成形品に製造した。その際、充填時間を1秒、保圧時間を9秒、冷却時間15秒、金型温度90℃、溶融樹脂温度290℃に設定した。得られた平板成形品を23℃、50%相対湿度下で24時間静置した後、定盤の上で成形品の4角のうち、1角を定盤に押し付けたときに持ち上がった角それぞれに対して、下面と定盤との距離をノギスで0.1mmの精度で測定した。持ち上がった角のうち最も定盤との距離が大きいものを反りとした。反り値の小さいものが優れる。
実施例及び比較例で得られたポリアミド樹脂組成物のペレットを、射出成形機(PS−40E:日精樹脂株式会社製)を用いて、80×80×3mm厚の鏡面平板試験片に製造した。その際、充填時間を1秒、保圧時間9秒、冷却時間15秒、溶融樹脂温度290℃に設定した。また、金型温度は実施例に応じて以下のように設定した。実施例1〜9、比較例1〜9:90℃、実施例10〜11、比較例10:130℃。得られた平板試験片の表面光沢を、光沢計(VG7000:日本電色工業株式会社製)を用いてJIS Z8741に準拠して、入射角60度で測定した。
上記により表面光沢を測定した平板成形片を、キセノンアーク式促進耐候試験機(Ci4000:アトラス社製)を用いてISO 4894−2に準拠し、ブラックパネル温度63℃、水噴霧時間18分、水噴霧停止時間102分のサイクルで促進耐候試験を実施した。試験時間1,000時間後の平板試験片の表面光沢を測定し、光沢保持率を算出した。
実施例及び比較例で得られたポリアミド樹脂組成物のペレットを、射出成形機(PS−40E:日精樹脂株式会社製)を用いて、80×80×3mm厚(片面シボ加工:棚澤八光製TH113)の平板試験片に製造した。その際、充填時間を1秒、保圧時間9秒、冷却時間15秒、溶融樹脂温度290℃に設定した。また、金型温度は実施例に応じて以下のように設定した。実施例1〜9及び比較例1〜9:90℃、実施例10〜11及び比較例10:130℃。得られた平板試験片のシボ面を試験面とし、キセノンアーク式促進耐候試験機(Ci4000:アトラス社製)を用いてISO 4894−2に準拠し、ブラックパネル温度63℃、水噴霧時間18分、水噴霧停止時間102分のサイクルで促進耐候試験を実施した。試験前、試験時間1,000時間後及び1,500時間後の平板試験片を、色差計(SE6000:日本電色工業株式会社製)を用いて、JIS Z8722に準拠して色調を測定し、試験前から試験後の色調変化ΔEを求めた。
JIS−K6920−2の付属書JAに準じて測定した。実施例及び比較例に用いたポリアミド樹脂について、90%蟻酸を用いて、ポリマー溶解液((ポリアミド5.5g)/(90%蟻酸50mL)の割合)を作製し、25℃の温度条件下で測定した。
(A)ポリアミド樹脂(PA)
(A−1)ポリアミド66/6I、下記製造例1のポリアミド
25℃の蟻酸溶液粘度:27
ポリアミド樹脂100質量%中の芳香族構造を有する構成単位:20質量%
(A−2)ポリアミド6I/6T、EMS(株)製ポリアミド「グリボリーG21」
ポリアミド樹脂100質量%中の芳香族構造を有する構成単位:100質量%
(A−3)ポリアミドMXD6、下記製造例2のポリアミド
ポリアミド樹脂100質量%中の芳香族構造を有する構成単位:48質量%
(A−4)ポリアミド66、旭化成ケミカルズ(株)製ポリアミド「1300」
ポリアミド樹脂100質量%中の芳香族構造を有する構成単位:0質量%
(A−5)ポリアミド6、DSM(株)製ポリアミド「K122」
ポリアミド樹脂100質量%中の芳香族構造を有する構成単位:0質量%
(C−1)以下の特性を示すカーボンブラック
平均一次粒子径:85nm、
比表面積/DBP吸油量:0.18
窒素吸着比表面積:20m2/g、DBP吸油量:110cm3/100g
(C−2)以下の特性を示すカーボンブラック
平均一次粒子径:55nm、
比表面積/DBP吸油量:0.25
窒素吸着比表面積:32m2/g、DBP吸油量:130cm3/100g
(C−3)以下の特性を示すカーボンブラック
平均一次粒子径:29nm、
比表面積/DBP吸油量:0.25
窒素吸着比表面積:110m2/g、DBP吸油量:440cm3/100g
(C−4)以下の特性を示すカーボンブラック
平均一次粒子径:30nm、
比表面積/DBP吸油量:0.65
窒素吸着比表面積:74m2/g、DBP吸油量:113cm3/100g
平均一次粒子径:24nm、
比表面積/DBP吸油量:1.8
窒素吸着比表面積:115m2/g、DBP吸油量:65cm3/100g
(C−6)以下の特性を示すカーボンブラック
平均一次粒子径:14nm、
比表面積/DBP吸油量:0.74
窒素吸着比表面積:460m2/g、DBP吸油量:620cm3/100g
(C−7)以下の特性を示すカーボンブラック
平均一次粒子径:19nm、
比表面積/DBP吸油量:1.2
窒素吸着比表面積:140m2/g、DBP吸油量:114cm3/100g
(E)ヨウ化カリウム(以下、KIと略記)和光純薬工業社製の試薬
(F)結晶化遅延剤
銅フタロシアニン系染料:C.I.ソルベントブルー67
アジン系染料:ニグロシン、オリヱント化学工業株式会社製NUBIAN(登録商標)BLACK TH−807
(G)滑剤 モンタン酸金属塩:クラリアント社製リコモントNaV101
ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の等モル塩、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸の等モル塩をそれぞれ80:20の質量比で投入し、投入した全原料と同量の純水を加え、重合缶内を充分窒素置換した後、撹拌しながら加温を開始した。缶内圧力は最大2.0MPa(G)に調整しながら最終到達温度は270℃とし、水浴中に吐出したポリマーをストランドカッターでペレタイズした。得られたポリアミド樹脂100質量%中の芳香族構造を有する構成単位の割合は20質量%で、25℃の蟻酸溶液粘度:27であった。
攪拌機、分縮機、温度計、滴下ロート及び窒素ガス導入管を備えた内容積2Lのセパラブルフラスコに、精秤したアジピン酸600gを入れ、充分に窒素置換した後、さらに少量の窒素気流下で190℃まで加熱し、均一に溶融した後、20分そのまま撹拌し、メタキシリレンジアミン562gを撹拌下に120分をかけて滴下した。この間、反応温度は連続的に250℃まで昇温させた。ジアミンの滴下により生じる縮合水は分縮器及び全縮器を通して系外に除いた。ジアミン滴下終了後、内温258℃で60分反応を継続した。得られたポリアミド樹脂100質量%中の芳香族構造を有する構成単位の割合は48質量%であった。
押出機の上流側から1番目のバレルに上流側供給口を有し、かつ9番目のバレルに下流側供給口を有する、L/D(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=48(バレル数:12)の二軸押出機[ZSK−26MC:コペリオン社製(ドイツ)]を用いた。二軸押出機において、上流側供給口からダイまでを300℃、スクリュー回転数250rpm、及び吐出量25kg/時間に設定した。
Claims (13)
- (A)ポリアミド樹脂と、
(B)無機充填材と、
(C)カーボンブラックと、
(F)結晶化遅延剤としてのアジン系染料と、
を含むポリアミド樹脂組成物であって、
前記(A)ポリアミド樹脂の少なくとも一部が(a1)芳香族ポリアミドであり、
前記(C)カーボンブラックは、平均一次粒子径が50nm以上、かつ比表面積とDBP吸油量の比である比表面積/DBP吸油量が1.0以下である
ポリアミド樹脂組成物。 - 前記(A)ポリアミド樹脂を構成する全構成単位100質量%に対する芳香族構造を有する構成単位の割合が5〜100質量%である請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記(A)ポリアミド樹脂が(a2)脂肪族ポリアミドを任意成分として含み、前記(A)ポリアミド樹脂100質量%に対する前記(a1)芳香族ポリアミドの割合が10質量%以上100質量%以下であり、前記(a2)脂肪族ポリアミドの割合が0質量%以上90質量%以下である請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記(a1)芳香族ポリアミドが、ポリアミド4T、ポリアミド4I、ポリアミド6T、ポリアミド6I、ポリアミドMXD6、ポリアミドMXD10、ポリアミドMXD12、ポリアミドPXD6、ポリアミドPXD10及びポリアミドPXD12から選ばれる少なくとも1種を構成成分として含む請求項1、2または3に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記(a2)脂肪族ポリアミドが、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド410、ポリアミド412、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、ポリアミド1012、並びにこれらの少なくとも1種を構成成分として含む共重合ポリアミドから選ばれる少なくとも1種である請求項3に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記(C)カーボンブラックの比表面積が100m2/g以下である請求項1〜5いずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記(C)カーボンブラックのDBP吸油量が100cm3/100g以上である請求項1〜6いずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
- さらに(D)銅化合物を含有し、該(D)銅化合物が、ハロゲン化銅化合物、チオシアン酸銅、硝酸銅、酢酸銅、ナフテン銅、カプリン酸銅、ラウリン酸銅、ステアリン酸銅、アセチルアセトン銅、酸化銅(I)及び酸化銅(II)から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜7いずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
- さらに(E)アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属のハロゲン化物を含有する請求項1〜8いずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
- さらに(G)滑剤を含有し、該(G)滑剤が高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩及びポリオレフィンワックスから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜9いずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
- ポリアミド樹脂組成物100質量%に対する前記(B)無機充填材の割合が30質量%以上70質量%以下である請求項1〜10いずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
- 自動車外装部品である請求項12に記載の成形体。
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