JPWO2013172249A1 - フィルムロール - Google Patents

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Abstract

多孔性フィルムロールとして巻き取られた状態でフィルムにシワが発生せず、ロールからフィルムを巻き出した際にもタルミが発生しない、平面性に優れる蓄電デバイス用セパレータフィルムのフィルムロールを提供する。本発明は、少なくとも一軸に延伸して得た多孔性ポリオレフィンフィルムをスリットして巻き取ったフィルムロールであって、前記多孔性ポリオレフィンフィルムは蓄電デバイスのセパレータフィルムとして使用され、前記フィルムロールの幅方向における巻径分布を測定した際、巻径分布曲線の隣接する極大径と極小径の差であるΔRが、0.1〜250μmである。

Description

本発明は、蓄電デバイス用セパレータフィルムを軸に巻き取ったフィルムロールに関する。詳しくは、軸に巻き取った後でタルミやシワの発生がないことから、耐熱層などの塗工や電池組立工程における搬送張力に制約を受けない、平面性に優れる蓄電デバイス用セパレータフィルムのフィルムロールに関する。
容量密度、出力密度に優れた蓄電デバイスとして、リチウムイオン二次電池が注目され、電池を構成する各部材の検討が精力的になされている。たとえば、正極部材の場合、従来の携帯電話などの小型移動機器の電源用途では、電池の小型化が志向されることから、容量密度を重視した正極部材が採用されていた。最近では電気自動車用途などで、容量よりも出力密度が志向されるに際して、高出力に適した正極部材の探究や、熱安定性に優れ、安全に用いることができる正極部材の検討が積極的に行われている。
リチウムイオン二次電池の部材の中でも電池性能、および安全性の双方に寄与する部材として、種々のセパレータが開発されている。従来のセパレータは、主にポリオレフィン製の多孔性フィルムが用いられており、種々の方法により製造された多孔性フィルムが多数提案されている(たとえば、特許文献1〜3参照)。
セパレータとして使用される多孔性フィルムは、製造の際、軸に巻き取ったフィルムロールとされ、中間製品、およびスリット後の最終製品としてもフィルムロールとして取扱われ、ユーザーで二次加工される。ユーザーでの二次加工の際、フィルムロールとされた多孔性フィルムにシワやタルミが発生すると種々の問題が生じる場合がある。
シワやタルミが少ないフィルムを提供する技術として、フィルムロールとして巻き取られた状態での形状を巻硬度により制御することが提案されている(たとえば、特許文献4参照)。特許文献4によれば、巻き取る際にフィルム間に巻き込む空気の量を制御することによりフィルムロールの形状を制御して、凹凸が少ないフィルムを提供することができる。しかしながら、この提案は多孔性ではない、貫通孔を有しないフィルムに関するものであり、蓄電デバイスに用いる多孔性フィルムでは貫通孔を通じて空気がフィルム中を通過してしまうために、フィルム間に巻き込ませた空気は、時間とともにロール外に抜けてしまい、ロール形状を巻き込み空気で制御することができない。
一方、空気が通過してしまう多孔性フィルムをロール状に捲回した捲回物の提案がなされている(たとえば、特許文献5参照)。しかしながら、この提案では、捲回物の最大径と最小径、ならびに捲回長とを所定の関係とすることにより次工程での捲回性に優れる捲回物が得られるものの、捲回物の最大径と最小径にのみ着目するものであるため、フィルム幅方向の形状分布が影響するフィルムの平面性の管理という観点では不十分であった。
また、セパレータフィルムの湾曲と弛みを特定の範囲内に規定した提案がなされている(たとえば、特許文献6参照)。この提案では、弛み、湾曲を低減させるために、最終製品幅にスリットする前の中間製品を低張力で巻き取り、2〜5日間ほどアニール処理を行なうことで湾曲の発生を抑えている。しかしながら、フィルム中央部の厚み斑に起因する平面性の悪化は本提案では必ずしも改善されず、場合によってはアニール処理が長すぎるために、平面性の悪化をより進行させてしまう場合があった。
さらに、フィルムを巻き取ったフィルムロールのロール硬度の幅方向分布を制御することで、経時での平面性悪化を抑制する提案もなされている(たとえば、特許文献7参照)。しかしながら、この提案は特許文献4と同様、貫通孔を有しないフィルムに関するものであり、貫通孔が存在し透気性を有する多孔性フィルムでは、経時とともにフィルム間の空気が抜けてしまい、ロール硬度が変化してしまうため、ロール硬度の幅方向分布で平面性の悪化を防止することは困難であった。
特開昭55−131028号公報 特公昭55−32531号公報 特開昭63−199742号公報 特開2003−266525号公報 特開2004−99799号公報 特開2011−140633号公報 特開2003−146496号公報
本発明の課題は、上記した問題点を解決することにある。すなわち、多孔性フィルムロールとして巻き取られた状態でフィルムにシワが発生せず、ロールからフィルムを巻き出した際にもタルミが発生しない、平面性に優れる蓄電デバイス用セパレータフィルムのフィルムロールを提供することである。
上記した課題を解決するための本発明は、以下の特徴を有する。
(1)少なくとも一軸に延伸して得た多孔性ポリオレフィンフィルムをスリットして巻き取ったフィルムロールであって、前記多孔性ポリオレフィンフィルムは蓄電デバイスのセパレータフィルムとして使用され、前記フィルムロールの幅方向における巻径分布を測定した際、巻径分布曲線の隣接する極大径と極小径の差であるΔR(μm)が、0.1〜250μmであるフィルムロール。
(2)前記巻径分布曲線において、隣接する極大径と極小径を結ぶ直線の傾きの絶対値が0.01〜10μm/mmである、(1)に記載のフィルムロール。
(3)前記フィルムロールの最大巻径と最小巻径の差が0.1〜500μmである、(1)または(2)に記載のフィルムロール。
(4)前記フィルムロールの幅Wが200〜4,000mmである、(1)〜(3)のいずれかに記載のフィルムロール。
(5)前記多孔性ポリオレフィンフィルムを構成するポリオレフィンがポリプロピレンである、(1)〜(4)のいずれかに記載のフィルムロール。
(6)前記多孔性ポリオレフィンフィルムは、フィルム長手方向(MD)の5%伸長時応力(F5値)とフィルム幅方向(TD)の5%伸長時応力(F5値)の比(TD/MD)が1.3〜2.0である、(1)〜(5)のいずれかに記載のフィルムロール。
本発明によれば、フィルムロールからフィルムを巻き出したときに、シワ、タルミなどにより、平面性が悪化することなく取り扱うことができる蓄電デバイス用セパレータフィルムを提供することができる。
本発明のフィルムロールは、多孔性ポリオレフィンフィルムを、紙やABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂などのプラスチック、炭素繊維強化プラスチック、金属などを円筒状に成型したコアと呼ぶ巻き取り軸に、連続的に巻き取ったフィルム連続体とコアとの一体物のことをいう。また、このフィルムロールは、多孔性ポリオレフィンフィルムを製造後にワインダーで巻き取り中間製品(中間ロール)とした後に、さらにスリッターにて適宜幅を整えて(小幅にして)巻き取ったもの(製品ロール)を意味する。
本発明において、多孔性ポリオレフィンフィルムを構成する樹脂組成物の主成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1やポリ4−メチルペンテン−1などのホモポリマーや、これらの共重合体などを挙げることができる。ここで、本発明における樹脂組成物の主成分とは、樹脂組成物中の質量割合が最も高い成分のことである。中でも加工性、取扱性、耐熱性のトータルバランスの点でポリプロピレンが好ましい。中でも好ましいポリプロピレンとしては、メルトフローレート(MFR、条件230℃、2.16kg)が2〜30g/10分の範囲のアイソタクチックポリプロピレン樹脂である。MFRが2〜30g/10分であれば、蓄電デバイスとしての出力性能と生産する際の安定性(フィルム加工適性)の両立が可能となる。この観点から、MFRのより好ましい範囲は5〜20g/10分である。ここで、MFRはJIS K 7210(1999)で規定されている樹脂の溶融粘度を示す指標であり、ポリオレフィンの特徴を示す物性値として広く用いられているものである。ポリプロピレンの場合はJIS K 7210の条件M、すなわち温度230℃、荷重2.16kgで測定を行う。なお、樹脂組成物のMFRが上記好ましい範囲となるように、MFRの異なる複数のポリプロピレンを混合し、調整した混合樹脂を用いてもよい。
また、アイソタクチックポリプロピレン樹脂のアイソタクチックインデックスが90〜99.9%であれば、結晶性が高いためにフィルム中に空隙を効率よく形成することができるので好ましい。アイソタクチックインデックスが90%未満であると高透気性の多孔性ポリオレフィンフィルムを得ることが困難な場合がある。
多孔性ポリオレフィンフィルムを構成する樹脂組成物は、アイソタクチックポリプロピレン樹脂100質量%から構成されてもよいが、高い透気性、空孔率を実現する観点からアイソタクチックポリプロピレン樹脂を90〜99.9質量%含んでいれば、アイソタクチックポリプロピレン樹脂以外のポリオレフィンを含んでいてもよい。耐熱性の観点から、樹脂組成物の92〜99質量%がアイソタクチックポリプロピレンであればより好ましい。ここで、ポリプロピレンとは、プロピレンの単独重合体であるホモポリプロピレンはもちろんのこと、コモノマー残基を含むポリプロピレン共重合体であってもよい。コモノマーとしては、不飽和炭化水素が好ましく、たとえばエチレンやα−オレフィンである1−ブテンや1−ペンテン、4−メチルペンテン−1、1−オクテンを挙げることができる。ポリプロピレンへのこれらコモノマーの共重合率は好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
本発明における多孔性ポリオレフィンフィルムは、ポリプロピレン樹脂を用いてβ晶法を採用して、逐次二軸延伸により空隙を形成し、フィルムに貫通孔を形成することが好ましい。その際、ポリプロピレン樹脂のβ晶形成能が50〜100%であることが好ましい。β晶形成能が50%未満ではフィルム製造時に形成されるβ晶量が少なくなるために、α晶への転移を利用して形成するフィルム中の空隙数が少なくなり、その結果、透過性に優れるフィルムが得られない場合がある。透過性能の観点からβ晶形成能は60〜100%がより好ましい。
ここで、β晶法とは、ポリプロピレンの結晶多形であるα型結晶(α晶)とβ型結晶(β晶)の結晶密度の差と結晶転移を利用してフィルム中に空隙を形成させる方法である。特に、β晶核剤と呼ばれる、ポリプロピレン樹脂中に添加することでポリプロピレンのβ晶を選択的に形成させる結晶化核剤を使用することが好ましい。β晶核剤としては、核剤自体が針状結晶を形成する化合物が好ましく使用される。β晶核剤は、ポリプロピレン樹脂を溶融押出時のTダイからの吐出でのせん断により配向され、未延伸フィルム生成時に、配向したβ晶核剤の表面を結晶核として、選択的にポリプロピレンの分子鎖が配向を制御されながらβ晶を形成する。このようにして、配向したポリプロピレンのβ晶を多量に有する未延伸フィルムを延伸することにより、ポリプロピレンのβ晶の崩壊とα晶への転移と同時に、ポリプロピレン分子の配向を大きく方向転換させることにより、効率よく空隙を形成することができる。
β晶形成能を50〜100%に制御するためには、アイソタクチックインデックスの高いポリプロピレン樹脂を使用し、β晶核剤を添加剤として用いることが好ましい。β晶核剤としては種々の顔料系化合物やアミド系化合物を好ましく用いることができる。β晶核剤の含有量としては、樹脂組成物全体を基準とした場合に、0.01〜0.5質量%であることが好ましく、0.05〜0.4質量%であればより好ましい。
本発明において使用するβ晶核剤としては、上記したように核剤自体が針状結晶と呼ぶ、外観が棒状で、その長径と短径の比が10以上の値を有するような外観に異方性を有する化合物であることが好ましく、たとえば、芳香族ジカルボン酸残基を有するアミド系化合物やテトラオキサスピロ化合物であれば好ましい。具体例としては、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミドや3,9−ビス[4−(N−シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンを好ましいβ晶核剤として挙げることができる。
本発明において、多孔性ポリオレフィンフィルムは少なくとも一軸に延伸されていることが望ましい。ポリオレフィンフィルムを多孔化する手法としては、上記したβ晶法以外の手法として、可塑剤などを樹脂に混合してシート化し、抽出液中で可塑剤を抽出して樹脂中にボイドを形成する湿式法(あるいは抽出法)と呼ばれる手法と、延伸により、結晶ラメラ自体を崩してボイド形成する方法や低温低速延伸により結晶粒界面を開裂させることでボイド形成する方法、粒子を添加し、樹脂との界面でボイド形成するなどの乾式法と呼ばれる手法が知られているが、湿式法、乾式法のいずれでも貫通孔を形成し、透過性能に優れる多孔性フィルムを得るためには、少なくとも一軸に延伸することが望ましく、さらには二軸延伸フィルムとすることが寸法安定性などの点でより好ましい。
多孔性ポリオレフィンフィルムをコアに巻き取った本発明のフィルムロールは、中間製品(中間ロール)からフィルムを巻き出し、スリットして巻き取ったフィルムロールの幅方向における巻径分布曲線において、隣接する極大径と極小径の差ΔR(μm)が0.1〜250μmである。ΔRが250μmを超えている部分は、フィルムにタルミもしくはシワが発生する場合がある。また、ΔRは小さいことが望ましいが、0.1μm未満とすることは現実的には困難である。
フィルムロールの巻径分布曲線とは、フィルムロールの外径(巻径)を幅方向に連続的に測定することで、ロールの幅方向の巻径変化を示すものである。理想的には、真円からなるコアに厚み斑のないフィルムを均一に巻き取れば、巻径が均一なフィルムロールとなる。実際には、フィルムの幅方向ならびに長手方向に存在する厚みのバラツキなどが影響することで、フィルムロールの巻径は分布を持つこととなる。
巻径分布曲線の極大径および極小径とは、巻径変化が増加から減少または減少から増加に変じる点(ピークまたはバレイ)における巻径であり、前者が極大径、後者が極小径である。本発明者らは、通常フィルムロールに存在する複数の極大径と極小径のうち、隣り合う極大径と極小径の差ΔRがフィルムの平面性に強く影響しており、隣り合う極大径と極小径の差ΔRを0.1〜250μmとすることで、シワやタルミがなく、平面性に優れるフィルムが得られることを見出したものである。ΔRは0.1〜200μmであればより好ましく、0.1〜180μmであればさらに好ましい。また、ΔRの下限値は小さければ小さいほど好ましいが、10μm未満に制御することは困難であるので、ΔRは現実的には10〜150μmであれば特に好ましい。
さらに、本発明のフィルムロールの巻径分布曲線において、隣接する極大径と極小径を結ぶ直線の傾きの絶対値が0.01〜10μm/mmであることが好ましい。隣接する極大径と極小径を結ぶ直線の傾きとは、隣接する極大径と極小径を示す点を結んだ直線の傾きのことをいい、ΔRを極大径と極小径の幅方向の距離(mm)で割ることにより算出する。この数値が小さいということは、ΔRが小さいか、または、隣接する極大径と極小径の距離が長いことを示している。隣接する極大径と極小径を結ぶ直線の傾きの絶対値が10μm/mmを超える場合には、フィルムを巻き出す際の張力を弱めるとタルミが生じる場合がある。隣接する極大径と極小径を結ぶ直線の傾きの絶対値は、より好ましくは0.01〜7μm/mmである。隣接する極大径と極小径を結ぶ直線の傾きの絶対値は小さければ小さいほど好ましいが、現実的には0.1未満に制御することは困難であるので、0.1〜7μm/mmであれば特に好ましい。
本発明のフィルムロールにおいて、最大巻径と最小巻径の差は0.1〜500μmであることが好ましい。最大巻径とは極大径の中で最も大きな巻径であり、最小巻径とは極小径の中で最も小さな巻径のことである。最大巻径と最小巻径の差が500μmを超えるとフィルムが湾曲したり、巻き出して搬送する際に蛇行したりする場合がある。最大巻径と最小巻径の差はより好ましくは0.1〜300μmである。最大巻径と最小巻径の差は小さければ小さいほど好ましいが、0.1μm未満とすることは現実的には困難である。現実的には、ΔR同様10μm未満に制御することは困難であるので、最大巻径と最小巻径の差は10〜300μmであれば、特に好ましい。
本発明において、多孔性ポリオレフィンフィルムを巻き取ったフィルムロールの巻径分布曲線を上記した好ましい範囲内に制御する方法としては、まず一義的には、多孔性ポリオレフィンフィルムそのものの長手方向、幅方向の厚みバラツキを小さくすることが重要である。厚みバラツキを完全に無くすことはできないので、厚みの変化率を緩やかにして、急峻な凹凸を減らすことが大切である。また、特定の部位に固定の厚みの厚い部位や薄い部位を有さないようにすることも大切である。具体的には、長手方向に特定の周期で厚み変動を発生させないために、設備駆動に特定周期の出力変動が発生しないように管理することなどが重要となり、長手方向への延伸に際しては、延伸区間周期に相当する厚み変動を防止するために、延伸ムラが発生しにくい延伸温度、倍率を採用することが望ましい。幅方向については、樹脂を溶融押出する際に、幅方向に凹凸が発生すると、それが最終製品の厚みバラツキに直結してしまうことから、特にTダイ内部およびTダイ先端にキズや異物が付着しないように管理をすることが大切である。さらには、固定位置に厚みの厚い部位や薄い部位が発生していても、その影響を極力排除するために、幅方向に巻き取り位置を移動させながらフィルムを巻き取る、所謂オシレーションを掛けながら巻き取りを行う方法を採用することが好ましい。また、使用するコアの外径管理、巻き取る際の速度変動、張力変動を抑制することも重要である。使用するコアの径としては、3インチコア(内径が76.2mmのコア)よりも径の大きい6インチコア(内径が152.4mm)や8インチコア(内径が203.2mm)以上の大径コアを用いることが好ましい。また、内径は3インチであっても、外径が8インチ(203.2mm)や10インチ(254mm)あるような内径−外径差のある大径コアを用いても良い。
本発明のフィルムロールは、製品幅Wが200〜4,000mmであることが好ましい。電気自動車やハイブリッド電気自動車用の蓄電装置に用いるリチウムイオン二次電池は、その大きさが100mm四方以上の大きさとなるものが多いため、セパレータフィルムはそれ以上の大きさで供給することが期待される。さらに、安全性向上の目的でセパレータフィルム上に耐熱樹脂層や、無機粒子を含有する耐熱層をコーティングして被覆する場合には、広幅フィルムにコーティングを行い、狭幅フィルムにスリットすることが生産性の観点で好ましいため、フィルムロール(製品ロール)の製品幅Wは、上記範囲とすることが好ましい。
本発明のフィルムロールにおいて、コアに巻き取る多孔性ポリオレフィンフィルムは、フィルム長手方向(MD)の5%伸長時応力(F5値)とフィルム幅方向(TD)の5%伸長時応力(F5値)の比(TD/MD)が、1.3〜2.0であることが好ましい。中間ロールとして製膜したフィルムをワインダーで巻き取った後、フィルムの物性を安定化させるために通常エージングを行う。エージングの際、中間ロールに巻き取られたフィルムに残存するひずみ、応力により、フィルムの平面性の経時変化が起こることがある。F5値のTD/MDの値が上記好ましい範囲内にあると、経時によるタルミやシワ、スジの発生による平面性の悪化を低減することができる。TD/MDが1.3未満であるとMD方向の残留応力が高く、中間ロール(フィルムロール)で巻き締まりが進行し易く、微少な厚み斑をきっかけにタルミが多数発生する場合がある。また、TD/MDが2.0を超えるとMD方向への配向が不十分のため、蓄電デバイスの組立工程の搬送張力で変形する場合がある。より好ましくはF5値のTD/MDの値は1.4〜1.8であれば、平面性の悪化が起こりにくい。
本発明において、多孔性ポリオレフィンフィルムのMD方向およびTD方向のF5値の比を上記した好ましい範囲とするためには、多孔性ポリオレフィンフィルムの製造工程での延伸温度と倍率を下記の好ましい範囲内とすることが望ましい。
本発明において、多孔性ポリオレフィンフィルムは、セパレータとして優れた電池性能を発揮させる観点から、透気抵抗が50〜500秒であることが好ましい。さらに好ましくは80〜350秒である。透気抵抗は延伸時の温度、倍率条件、延伸後の熱固定条件により制御することが可能である。
本発明において、多孔性ポリオレフィンフィルムのフィルム厚みは、5〜40μmであることが好ましい。厚みが5μm未満では蓄電デバイス内での自己放電が大きくなり、充電した状態で長期保存できない場合がある。また、厚みが40μmを超えると、蓄電デバイス内に占める多孔性ポリオレフィンフィルムの体積割合が高くなりすぎてしまい、高いエネルギー密度を得ることができなくなる。フィルム厚みは、8〜30μmであればより好ましく、10〜20μmであればなお好ましい。
多孔性ポリオレフィンフィルムには、本発明の効果を損なわない範囲において、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤や無機あるいは有機粒子からなる滑剤、さらにはブロッキング防止剤や充填剤、非相溶性ポリマーなどの各種添加剤を含有させてもよい。特に、多孔性ポリオレフィンフィルムを構成する樹脂組成物の熱履歴による酸化劣化を抑制する目的で、樹脂組成物100質量部に対して、酸化防止剤を0.01〜0.5質量部添加することは好ましいことである。
以下に本発明のフィルムロールの製造方法を具体的に説明する。なお、本発明のフィルムロールの製造方法はこれに限定されるものではない。
まず、ポリプロピレン樹脂として、MFR7g/10分のアイソタクチックポリプロピレン樹脂99.7質量部にβ晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミド0.3質量部を混合し、二軸押出機を使用して予め所定の割合で混合した原料を準備する。この際、溶融温度は290〜305℃とし、25℃の冷却水で急冷後、チップカッターでチップ状に加工し、原料樹脂とすることが好ましい。
次に、上述の原料樹脂を単軸の溶融押出機に供給し、200〜230℃にて溶融押出を行う。そして、ポリマー管の途中に設置したフィルターにて異物などを除去した後、Tダイよりキャストドラム上に吐出し、未延伸シートを得る。このときのキャストドラムは表面温度が110〜130℃であることが、未延伸シート中のβ晶分率を高く制御する観点から好ましい。この際、特にシートの端部の成形が後の延伸性に影響するため、端部にスポットエアーを吹き付けてドラムに密着させることが好ましい。また、シート全体のドラムへの密着状態を均一にするために、必要に応じてシート全幅にエアナイフを用いて空気を吹き付けてもよい。さらには、静電印加によるキャストを行ってもよい。
次に得られた未延伸シートを二軸延伸してフィルム中に空孔(貫通孔)を形成する。二軸延伸の方法としては、フィルム長手(縦)方向に延伸後幅(横)方向に延伸、または幅(横)方向に延伸後長手(縦)方向に延伸する逐次二軸延伸法、あるいはフィルムの長手(縦)方向と幅(横)方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸法などを用いることができる。高い透気性が得やすいという点で逐次二軸延伸法を採用することが好ましく、特に長手(縦)方向に延伸後、幅(横)方向に延伸することが望ましい。
具体的な延伸条件として、縦方向に延伸後、横方向に延伸する逐次二軸延伸法を例として説明する。まず、未延伸シートを縦方向に延伸可能な温度に制御する。温度制御の方法は、加熱した回転ロールを用いる方法、熱風オーブンを使用する方法などを採用することができる。縦方向の延伸温度としては、フィルム特性とその均一性の観点から、110〜140℃、さらに好ましくは115〜130℃の温度を採用することが好ましい。延伸倍率としては、4.5倍以上とすることが好ましい。より好ましくは4.8倍以上、さらに好ましくは5倍以上である。縦倍率の上限は限定されるものではないが、6倍以下とすることが好ましい。縦倍率が6倍を超える倍率を採用すると、次の横延伸工程においてフィルム破れが頻発する場合がある。
次に、上記の一軸延伸ポリプロピレンフィルムを、ステンター式延伸機にフィルム端部を把持させて導入する。そして、好ましくは140〜160℃に加熱して横方向に8倍以上延伸することが透気度バラツキのみならず、厚み均一性の観点からも好ましい。横方向の延伸倍率は、より好ましくは8.5倍以上である。横方向の延伸倍率の上限は、限定されるものではないが、延伸時のフィルム破れを避ける観点から12倍以下とすることが好ましい。横方向の延伸倍率は、9〜11倍を選択することが特に好ましい。横方向の延伸温度としては145〜155℃で延伸することがより好ましい。
ついで、そのままステンター内で熱固定を行う。熱固定の温度は、横方向の延伸温度以上165℃以下が好ましく、熱固定時間は5〜30秒間であることが好ましい。さらに、熱固定時にはフィルムの縦方向および/もしくは横方向に弛緩させながら行ってもよい。横方向の弛緩率を好ましくは5〜20%、より好ましくは8〜18%とすることが、熱寸法安定性と物性バラツキの両立の観点から好ましい。熱固定温度が165℃を超えると、透気性が低下する場合がある。熱固定温度としては158〜164℃であることがより好ましい。
また、延伸、熱固定後のフィルムを搬送しながら、赤外線や可視光、β線などを用いた非接触の連続厚み計を幅方向に走査させながらフィルムの厚みを測定し、その結果をTダイにフィードバックして、Tダイ先端の樹脂が吐出されるスリット部分の間隙を幅方向で制御し、幅方向の厚みバラツキが均一になるように制御することが好ましい。
以上のようにして得られたフィルムについて、ステンターで把持していたフィルム端部をカットし、中心の平坦部分のみをワインダーでコアに巻き取り、中間製品(中間ロール)を得ることができる。このとき、中間ロールのフィルム長さは、生産効率と多孔性フィルムの巻潰れを勘案して設定することが重要であり、好ましくは、1,000〜10,000mである。より好ましくは、1,500〜8,000mである。また、中間製品を巻き取る段階で、オシレーションを実施することは、後工程のスリットまでの間に平面性が悪化することを防止する観点で好ましいことである。オシレーションの移動幅としては、全幅で20〜500mmであれば好ましく、30〜300mmであればより好ましい。中間製品をオシレーションせずに巻き取り、長期間エージングを行なうと、そのエージング中に平面性が悪化してしまう場合があるので、フィルム製造の際の最初の巻き取り工程でオシレーションを採用することが好ましい。
上記のようにして得られた多孔性ポリオレフィンフィルムの中間製品は、二次加工や顧客要求に応じてスリットにより所定の製品幅に切り揃えられてコアに巻き取られ、フィルムロール(製品ロール)とされる。このフィルム巻き取りの際に、巻き取り張力が高すぎると、巻締まりが強く、フィルム外観が凸凹した平面性の劣るフィルムロールとなってしまい、逆に巻き取り張力が低すぎると、フィルムが弛んでしまい、シワが発生したり、フィルム破れが発生したりする場合がある。中間製品を巻き取る際にオシレーションを行わなかった場合には、スリットを行う際にオシレーションを行うことが好ましい。オシレーションの移動幅としては、スリット後の製品幅に対して、1〜30%の割合でオシレーションを行うことが平面性に優れたフィルムを得る観点で好ましいことである。オシレーションの割合は、より好ましくは5〜25%である。オシレーションが好ましい範囲を超えるとフィルムが湾曲する場合や、蛇行する場合がある。
中間製品の巻き取りやスリットの際に行なうオシレーションは、フィルム長さ50〜500mで1周期となるように幅方向の移動速度を設定することが好ましい。50m/周期未満であると、移動速度が速すぎて、搬送シワが発生してしまう場合がある。一方、500m/周期を越えると、移動速度が遅すぎて、オシレーションを採用する効果が得難くなる場合がある。より好ましくは100〜400m/周期であり、100〜300m/周期なら特に好ましい。
通常、ポリオレフィンフィルムは、中間製品を巻き取ってからスリットを実施するまでに、0.5日〜5日程度室温でエージングが行なわれる。本発明の多孔性ポリオレフィンフィルムもエージングを行なってからスリットを行なうことが好ましい。一方で、中間製品を巻き取る際にオシレーションを行わなかった場合、エージング時間が長すぎると平面性が悪化してしまう場合があるので、エージングは3日以内とすることが好ましい。より好ましいエージング期間は0.5日〜2日間である。
本発明における蓄電デバイスとは、リチウムイオン二次電池に代表される非水電解液二次電池や、リチウムイオンキャパシタなどの電気二重層キャパシタなどを挙げることができる。このような蓄電デバイスは充放電することで繰り返し使用することができるので、産業装置や生活機器、電気自動車やハイブリッド電気自動車などの電源装置として使用することができる。本発明の多孔性ポリオレフィンフィルムは、中でもリチウムイオン二次電池用に好適に用いることができ、特に、産業機器や自動車用などの高出力が求められるリチウムイオン二次電池用のセパレータとして好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、特性は以下の方法により測定、評価を行った。
(1)β晶形成能
樹脂またはフィルム5mgを試料としてアルミニウム製のパンに採取し、示差走査熱量計(セイコー電子工業製RDC220)を用いて測定した。まず、窒素雰囲気下で室温から280℃まで20℃/分で昇温(ファーストラン)し、15分間保持した後、20℃まで20℃/分で冷却する。10分保持後、20℃/分で昇温(セカンドラン)した際に観測される融解ピーク(小数点以下は四捨五入)について、145〜157℃の温度領域にピークが存在する融解をβ晶の融解ピーク、158℃以上にピークが観察される融解をα晶の融解ピークとして、高温側の平坦部を基準に引いたベースラインとピークに囲まれる領域の面積から、それぞれの融解熱量を求め、α晶の融解熱量をΔHα、β晶の融解熱量をΔHβとしたとき、以下の式で計算される値をβ晶形成能とする。なお、融解熱量の校正はインジウムを用いて行った。
β晶形成能(%) = 〔ΔHβ / (ΔHα + ΔHβ)〕 × 100
なお、ファーストランで観察される融解ピークから同様にβ晶の存在比率を算出することで、その試料の状態でのβ晶分率を算出することができる。
(2)透気抵抗
多孔性ポリオレフィンフィルムから100mm×100mmの大きさの正方形を切取り試料とした。JIS P 8117(2009)の王研式試験機法を用いて、23℃、相対湿度65%にて、透気抵抗度指示値の測定を行った。測定は場所を替えて10回行い、その平均値を多孔性ポリプロピレンフィルムの透気抵抗とした。
(3)厚み
接触式の膜厚計ミツトヨ社製ライトマチックVL−50A(10.5mmφ超硬球面測定子、測定荷重0.06N)にて測定した。測定は場所を替えて10回行い、その平均値を多孔性ポリプロピレンフィルムの厚みとした。
(4)F5値
スリット直前の多孔性ポリオレフィンフィルムから、長手方向および幅方向の長さが150mm×10mm、および10mm×150mmの矩形をそれぞれ切り出しサンプルとした。引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いて、初期引張チャック間距離50mm、引張速度を300mm/分としてフィルムの長手方向と幅方向についてそれぞれ引張試験を行った。サンプルが5%伸長したとき(チャック間距離が52.5mmとなったとき)のフィルムにかかる荷重を読み取り、試験前の試料の断面積(フィルム厚み×10mm)で除した値をF5値とした。なお、測定は各方向それぞれ5つのサンプルについて行い、その平均値で評価を行った。
(5)フィルムロールの幅方向における巻径分布曲線
スリット後のフィルムロールについて、キタノ企画(株)製バルク形状測定装置を用いて、ロール全幅にわたってフィルムロールの外径(巻径)測定を行った。具体的には、該測定装置の検出器であるリニアゲージをロール表面に接触させて専用のレール上を速度12.5mm/秒で走行させて測定を行った。リニアゲージからのデータを0.01秒間隔でデジタルレコーダーを用いてデジタルデータとして採取した。
採取したデジタルデータを表計算ソフト上で、隣接平均法により、前後20点の合計41点の平均値を採用してスムージングする事により巻径分布曲線としてグラフ化し、巻径分布曲線のデータ(上記のスムージング処理後のデジタルデータ)から外径の極大点、極小点を読み取り、隣り合った極大点の外径(極大径)と極小点の外径(極小径)の差ΔRを算出した。また、隣接する極大点と極小点の幅方向の距離をスムージング後のデジタルデータから読み取り、ΔRを当該距離で除すことで、隣接する極大径と極小径を結ぶ直線の傾きの絶対値を算出した。
さらに、極大径の中で最も大きな巻径を最大巻径、極小径の中で最も小さな巻径を最小巻径として、その差を算出した。
なお、巻径分布曲線の極大径および極小径とは、巻径変化が増加から減少または減少から増加に変じる点であり、前者に対応する径が極大径、後者に対応する径が極小径である。
(6)平面性の評価
JIS C 2151(2008)の7項 巻取り性の評価を応用して以下のように評価を実施する。JIS C 2151の図2のようにフィルムを2本のロール間に渡し、荷重を掛ける。荷重をフィルム幅300mm当たり200gずつ段階的に増加させ、タルミが見えなくなる荷重をもって以下の基準で平面性を評価した。
A級:400g/300mm幅以下の荷重でタルミが見えなくなった。
B級:401g/300mm幅〜800g/300mm幅以下の荷重でタルミが見えなくなった。
C級:タルミが見えなくなるのに、801g/300mm幅以上の荷重が必要だった。
(7)湾曲
多孔性ポリオレフィンフィルムロールから多孔性ポリプロピレンフィルムを長手方向に5m巻き出して水平な台上に設置したガラス板上に密着させる。フィルム幅方向片側端の5m離れた2点間をタコ糸で直線に結び、この直線(タコ糸)に対する長手方向中間点(両端から2.5mの位置)でのフィルム辺とタコ糸との距離(mm)をノギスを用いて測定した。
(実施例1)
多孔性ポリオレフィンフィルムの原料樹脂として、住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4(MFR:8g/10分、以下、高MFR−PP)を99.2質量部と、β晶核剤としてN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミド(新日本理化(株)製、Nu−100、以下、単にβ晶核剤と表記)を0.3質量部、さらに酸化防止剤であるBASFジャパン製IRGANOX1010とIRGAFOS168を各々0.1、0.2質量部を、この比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、300℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、20℃に温度制御した水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてチップ原料とした。
チップ原料を220℃に温度制御した単軸押出機に供給し、溶融押出を行った。そして、溶融ポリマーを、ポリマー管を通して20μmカットの焼結フィルターに導き、異物などを除去した後、Tダイから吐出し、125℃に温度調整したキャストドラム上にキャストして未延伸シートを得た。この際、エアナイフを用いることで溶融ポリマーをドラム上に密着させ、ドラム上で12秒間温度保持した。
次に、125℃に加熱したハードクロムロールを用いて未延伸シートの加熱を行い、同じく125℃に加熱したロールと45℃に温度制御したロールの周速差を利用して、フィルムの長手方向に5倍延伸を行い、一旦冷却した。
さらに、テンター式延伸機に長手方向に延伸したフィルムの端部をクリップで把持させて導入し、148℃で幅方向に9.5倍延伸した。そして、二軸延伸後のフィルムを、幅方向に10%のリラックスを掛けながら162℃で15秒間の熱処理を行い、その後、クリップで把持していたフィルムの両端部をカットして、フィルムの中央部分のみを外径172mmのコアに連続して巻き取り中間ロールとした。中間ロールとして巻き取った多孔性フィルムは、長さ5,000m、厚み20μmであった。
中間ロールを室温で24時間放置後、スリッターに設置して、製品幅500mm、長さ1,200mとなるようにスリットを行った。その際、オシレーションを全幅で140mm(基準位置から±70mm)、フィルム長さ300m/周期で掛けながら、ABS樹脂製の外径162mmのコアにフィルムを巻き取り、フィルムロールを得た。
(実施例2)
実施例1において、スリットの際のオシレーションを80mm(基準位置から±40mm)とする以外は同条件でフィルムロールを得た。
(実施例3)
実施例1において、幅方向の延伸倍率を9.3倍、リラックスを17%とする他は同様にして、厚み20μmの多孔性ポリオレフィンフィルムを得た。
中間ロールを室温で24時間放置後、スリッターに設置して、製品幅800mm、長さ2,400mとなるようにスリットを行った。その際、オシレーションを全幅で200mm(基準位置から±100mm)、フィルム長さ300m/周期で掛けながら、炭素繊維強化プラスチック製の外径166mmのコアにフィルムを巻き取り、フィルムロールを得た。
(実施例4)
実施例1において、幅方向の延伸倍率を8.5倍、リラックスを15%とする他は同様にして、厚み25μmの多孔性フィルムを得た。
中間ロールを室温で24時間放置後、スリッターに設置して、製品幅600mm、長さ500mとなるようにスリットを行った。その際、オシレーションを全幅で150mm(基準位置から±75mm)、フィルム長さ300m/周期で掛けながら、外径172mmの紙製コアにフィルムを巻き取り、フィルムロールを得た。
(比較例1)
実施例1において、スリットの際のオシレーションを実施せずにスリットを行った。
(比較例2)
実施例2において、中間ロールの巻き取り長さを10,500mとし、スリット後の製品長さを5,000mとし、巻き取り軸を外径170mmの紙製コアにする以外は同条件でフィルムロールを得た。
(比較例3)
実施例3において、リラックス率を25%とした以外は同様にして、厚み20μmの多孔性フィルムを得た。次いで、スリットの際に、オシレーションを全幅で50mm(基準位置から±25mm)、フィルム長さ300m/周期として紙製の外径96mmのコアにフィルムを巻き取り、フィルムロールを得た。
(比較例4)
実施例2において、中間ロールを巻き取ってから、スリットを実施するまでの時間を5日間とする以外は同様にしてフィルムロールを得た。
(実施例5)
高MFR−PPを79.3質量部と、(株)プライムポリマー製ポリプロピレン樹脂プライムポリプロF133A(MFR=3g/10分)を20質量部、β晶核剤を0.2質量部、さらに酸化防止剤であるBASFジャパン製IRGANOX1010とIRGAFOS168を各々0.15質量部ずつの比率で混合されるように、計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、295℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃に温度制御した水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてチップ原料とした。
チップ原料を220℃に温度制御した単軸押出機に供給し、溶融押出を行った。そして、溶融ポリマーをポリマー管を通して20μmカットの焼結フィルターを通過させた後、Tダイから吐出し、表面温度を125℃に調整した鏡面金属キャストドラム上にキャストして未延伸シートを得た。この際、エアナイフを用いることで溶融ポリマーを金属ドラムに密着させ、ドラム上で12秒間温度保持した。
次に、125℃に加熱したハードクロムロールを用いて未延伸シートの加熱を行い、同じく125℃に加熱したロールと45℃に温度制御したロールの周速差を利用して、フィルムの長手方向に5倍延伸を行い、一旦冷却した。
さらに、テンター式延伸機に長手方向に延伸したフィルムの端部をクリップで把持させて導入し、148℃で幅方向に9倍延伸した。そして、二軸延伸後のフィルムを、幅方向に12%のリラックスを掛けながら160℃で15秒間の熱処理を行い、その後、クリップで把持していた両端部をカットしてフィルムの中央部分のみを、オシレーションを全幅で80mm(基準位置から±40mm)、フィルム長さ500m/周期で掛けながら、外径172mmのコアに連続して巻き取り中間ロールとした。中間ロールとして巻き取った多孔性フィルムは、長さ5,000m、厚み20μmであった。
中間ロールを室温で24時間放置後、スリッターにて、製品幅500mm、長さ1,100mとなるようにスリットを行った。その際、ABS樹脂製の外径162mmのコアにフィルムを巻き取り、フィルムロールを得た。
(実施例6)
実施例5において、熱処理後のフィルムについて、製膜装置内に設置した幅方向に走査しながら厚み測定を連続的に行うことができる、β線厚さ計を用いて厚み測定を行い、その結果をTダイにフィードバックすることで幅方向の厚みが均一になるように、Tダイのスリット間隙を制御しながら製膜を実施した。β線厚さ計による幅方向の厚み斑が5%未満になるまで待ってから、オシレーションを120mm(基準位置から±60mm)、フィルム長さ200m/周期で掛けながら、フィルム両端部をカットしたフィルムの中央部分を、外径172mmのコアに連続して巻き取り中間ロールとした。中間ロールとして巻き取った多孔性フィルムは、長さ3,000m、厚み20μmであった。
中間ロールを室温で24時間放置後、スリッターにて、製品幅600mm、長さ550mとなるようにスリットをおこなった。その際、ABS樹脂製の外径162mmのコアにフィルムを巻き取って、フィルムロールを得た。
(比較例5)
実施例2において、スリットする際のオシレーションの移動速度をフィルム長さ600m/周期となるようにしてフィルムロールを得た。
(比較例6)
実施例5において、オシレーションの移動速度をフィルム長さ40m/周期としたところ、搬送ロール上でシワが発生し、シワが入ったまま中間ロールに巻き取られてしまった。スリットする際、シワ部分でカット不良でノッチができてしまい、そこを起点にフィルム破れが発生してしまった。
Figure 2013172249
Figure 2013172249
Figure 2013172249

Claims (6)

  1. 少なくとも一軸に延伸して得た多孔性ポリオレフィンフィルムをスリットして巻き取ったフィルムロールであって、
    前記多孔性ポリオレフィンフィルムは蓄電デバイスのセパレータフィルムとして使用され、
    前記フィルムロールの幅方向における巻径分布を測定した際、巻径分布曲線の隣接する極大径と極小径の差であるΔR(μm)が、0.1〜250μmであるフィルムロール。
  2. 前記巻径分布曲線において、隣接する極大径と極小径を結ぶ直線の傾きの絶対値が0.01〜10μm/mmである、請求項1に記載のフィルムロール。
  3. 前記フィルムロールの最大巻径と最小巻径の差が0.1〜500μmである、請求項1または2に記載のフィルムロール。
  4. 前記フィルムロールの幅Wが200〜4,000mmである、請求項1〜3のいずれかに記載のフィルムロール。
  5. 前記多孔性ポリオレフィンフィルムを構成するポリオレフィンがポリプロピレンである、請求項1〜4のいずれかに記載のフィルムロール。
  6. 前記多孔性ポリオレフィンフィルムは、フィルム長手方向(MD)の5%伸長時応力(F5値)とフィルム幅方向(TD)の5%伸長時応力(F5値)の比(TD/MD)が1.3〜2.0である、請求項1〜5のいずれかに記載のフィルムロール。
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