JPWO2013161835A1 - 積層体の剥離検査方法及び剥離検査装置 - Google Patents

積層体の剥離検査方法及び剥離検査装置 Download PDF

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Abstract

簡便でありながら積層体の層間剥離を明瞭に検出することの可能な積層体の剥離検査方法及び剥離検査装置を提供すること。予め、積層体の健全部及び模擬剥離部において多重反射波をそれぞれ受信し、健全部における多重反射波のエコー高さと模擬剥離部における多重反射波のエコー高さとの差が所定値以上となる反射波の反射回数を求める。積層体10の検査部Eにおいて多重反射波を受信し、検査部Eにおける反射回数の反射波のエコー高さと健全部における反射回数の反射波のエコー高さを比較することにより層間剥離の有無を検査する。

Description

本発明は、積層体の剥離検査方法及び剥離検査装置に関する。さらに詳しくは、複数の部材が積層した積層体の一側から超音波を入射すると共に多重反射波を受信し、受信した多重反射波を評価することにより層間剥離の有無を検査する積層体の剥離検査方法及び剥離検査装置に関する。
従来、上述の如き積層体の剥離検査対象は、管、容器等が多く、検査時には管、容器等の内部に人間が入り、内部からの目視検査、打音検査、ピンホール検査等行うのが通常であった。そのため、検査時には、操業を停止しなければならず、検査に多大な時間を要していた。
一方、例えば積層体の一例として特許文献1に記載の如く、操業を停止せずにライニングの剥離を検査する方法が提唱されている。上記文献記載の発明は、配管外部から超音波パルスを入射させ、配管内部のライニング内周面と管本体との各反射エコーの減衰率を算出し、剥離の有無を調査している。同従来方法では、ライニング材と、接着層とからなる多層構造のライニングには言及していないが、接着層とライニング材とが共に板材から剥離する場合には、上記手法で剥離を推定することができるかもしれない。
ところが、ライニング材のみが剥離して、接着層が板材本体に残余することもある。しかし、上記従来方法では、接着層のみが残余する部分と健全部との差異は明らかでなく、ライニング材のみの剥離をも検出することが困難であった。
特開2000−329751号公報
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、簡便でありながら積層体の層間剥離を明瞭に検出することの可能な積層体の剥離検査方法及び剥離検査装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る積層体の剥離検査方法の特徴は、複数の部材が積層した積層体の一側に配置した探触子から超音波を入射すると共に多重反射波を受信し、受信した多重反射波を評価することにより層間剥離の有無を検査する方法において、予め、前記積層体の健全部及び模擬剥離部において多重反射波をそれぞれ受信し、前記健全部における多重反射波のエコー高さと前記模擬剥離部における多重反射波のエコー高さとの差が所定値以上となる反射波の反射回数を求め、前記積層体の検査部において多重反射波を受信し、前記検査部における前記反射回数の反射波のエコー高さと前記健全部における前記反射回数の反射波のエコー高さを比較することにより前記層間剥離の有無を検査することにある。
ところで、検査対象となる積層体の界面で反射した反射波のエコー高さ(信号強度)は、例えば、塗装膜の有無、その厚さ、探触子の探傷面に対する接触状態、探傷面や界面の面粗さ、剥離部内の物質等の要因によって変動する。そのため、多重反射波全体の減衰率や減衰曲線にのみ着目すると、上記要因による変動によって、健全部からの信号と剥離部からの信号とを明瞭に識別することが困難となる場合がある。
上記構成によれば、例えば図22に示すように、反射波のエコー高さは、上記各種要因による変動(バラツキ)を含む。予め、前記積層体の健全部及び模擬剥離部において多重反射波をそれぞれ受信し、前記健全部における多重反射波のエコー高さと前記模擬剥離部における多重反射波のエコー高さとの差が所定値以上となる反射波の反射回数を求める。その結果、エコー高さの差が所定値以上となる反射波の反射回数を求め、求めた反射回数の健全部の反射波のエコー高さと同回数の反射回数の検査部の反射波のエコー高さとを比較すれば、上記要因による変動を排除でき、精度よく剥離の有無を検出することが可能となる。
前記積層体は前記一側に塗装膜を備え、前記所定値は、前記エコー高さの差から前記塗装膜の膜厚による前記エコー高さの変動値を除いたものであるとよい。例えば図20に示すように、反射波のエコー高さは、塗装膜の膜厚による変動を含む。よって、予め求めた反射回数の健全部の反射波のエコー高さと同回数の反射回数の検査部の反射波のエコー高さとを比較すれば、塗装膜の膜厚によるエコー高さの変動を排除でき、膜厚にバラツキが生じていたとしても、精度よく剥離の有無を検出することができる。
前記所定値は、前記エコー高さの差から前記探触子の前記積層体に対する接触状態による前記エコー高さの変動値を除いたものであってもよい。例えば図21に示すように、反射波のエコー高さは、探触子の接触状態による変動を含む。よって、予め求めた反射回数の健全部の反射波のエコー高さと同回数の反射回数の検査部の反射波のエコー高さとを比較すれば、触子の接触状態によるエコー高さの変動を排除でき、接触状態にバラツキが生じていたとしても、精度よく剥離の有無を検出することができる。
予め、前記健全部における前記反射回数の反射波の伝搬時間を求め、前記検査部における前記反射回数の反射波の伝搬時間を求め、これら伝搬時間を比較することで前記層間剥離の有無を検査するとよい。例えば図6に示すように、第一の部材と第二の部材との界面に剥離が存在する場合、前記反射回数の反射を繰り返した反射波の伝搬時間にずれが生じる。従って、予め求めた反射回数の健全部の反射波の伝搬時間と同回数の反射回数の検査部の反射波の伝搬時間とを比較すれば、伝搬時間のずれによって積層体の層間剥離の検出が可能となる。なお、この伝搬時間のずれは、超音波の周波数に依存するものではなく、原理的に周波数は特に限定されるものではない。
前記複数の部材は、前記一側に位置する第一の部材と、この第一の部材に設けられる第二の部材とを少なくとも含み、前記第一の部材は、前記第二の部材の音響インピーダンスより小となる材料よりなり、予め、前記健全部における前記反射回数の反射波の位相を求め、前記検査部における前記反射回数の反射波の位相を求め、これら位相を比較することで前記層間剥離の有無を検査するようにしても構わない。
上記構成によれば、第一の部材は、第二の部材の音響インピーダンスより小となる材料より構成されている。係る場合、例えば図18(a)に例示する積層体の場合、第一の部材と第二の部材との界面に到達した超音波の一部は、音響インピーダンスの差により当該界面で反射する。他方、例えば同図(b)に示す如く、剥離部が存在すると、当該界面に到達した超音波はこの剥離部でほぼ反射し、第一の部材へ透過しない。ここで、第一の部材の音響インピーダンスは、第二の部材の音響インピーダンスより小さく、且つ剥離部を構成する空気の音響インピーダンスはさらに小さい。従って、剥離部の存在により位相反転が生じる。よって、健全部と検査部との位相反転に着目することで、当該界面における剥離の検出が可能となる。
前記複数の部材は、前記一側に位置する第一の部材と、この第一の部材に設けられる第二の部材と、これら部材を密着させる接着層とを少なくとも含み、前記第一の部材と前記接着層との界面における層間剥離を検査するようにしても構わない。第一の部材と接着層との界面に剥離が存在する場合、例えば図6に示すように、これら反射波のエコー高さが大きく相違する。従って、予め求めた反射回数の健全部の反射波のエコー高さと同回数の反射回数の検査部の反射波のエコー高さとを比較すれば、エコー高さの差異によって当該界面における剥離の検出が可能となる。
係る場合、予め、前記健全部における前記反射回数の反射波の伝搬時間を求め、前記検査部における前記反射回数の反射波の伝搬時間を求め、これら伝搬時間を比較することで前記接着層と前記第二の部材との界面における層間剥離の有無を検査するとよい。第二の部材と接着層との界面に剥離が存在する場合、例えば図6に示すように、これら反射波の伝搬時間にずれが生じることが判明した。従って、予め求めた反射回数の健全部の反射波の伝搬時間と同回数の反射回数の検査部の反射波の伝搬時間とを比較すれば、伝搬時間のずれによって当該界面における剥離の検出が可能となる。
前記第一の部材は鋼材であり、前記第二の部材はフッ素樹脂ライニング材で構成されていても構わない。また、前記接着層は、前記鋼材に前記フッ素樹脂ライニング材を接着させる接着剤とガラスクロスと構成されていてもよい。前記積層体は、例えば、液体用コンテナタンクである。
また、前記積層体は、曲面を有するものであってもよい。係る場合、超音波はその曲面で散乱反射するため、大きく減衰する。予め設定した反射回数の反射波のエコー高さに着目するので、曲面の曲率に応じた超音波の減衰は相殺される。よって、積層体が曲面であっても、平坦面での剥離検査と同等の結果を得ることができる。
前記探触子を前記一側に沿って走査すると共に、前記検査部における前記反射回数の反射波のエコー高さに基づいて走査画像を生成するとよい。上述したように、予め求めた反射回数の反射を繰り返した反射波に着目するので、走査画像を容易に生成でき、検査効率も向上する。
前記検査部における前記反射回数の反射波のエコー高さが、前記健全部における前記反射回数の反射波のエコー高さより小さい場合に、前記層間剥離の一部に腐食が存在すると判定するようにしてもよい。剥離部が腐食している場合、その腐食面で超音波は散乱反射するので、大きく減衰する。従って、予め求めた反射回数の健全部の反射波のエコー高さと同回数の反射回数の検査部の反射波のエコー高さとを比較すれば、エコー高さの差異によって剥離の有無に加えて当該部分の腐食の有無をも検出することが可能となる。
前記探触子は、分割型探触子であってもよい。焦点を適切な距離に合わせることにより、界面の粗さによる減衰を大きくすることができ、健全部からの信号と腐食部からの信号をより明瞭に区別できる。なお、この場合、焦点は界面に合わせなくてもよい。
上記目的を達成するため、本発明に係る積層体の剥離検査装置の特徴は、複数の部材が積層した積層体の一側から超音波を入射すると共に多重反射波を受信する探触子と、受信した多重反射波を評価する信号処理装置を備え、受信した多重反射波を評価することにより層間剥離の有無を検査する構成において、前記信号処理装置は、予め、前記積層体の健全部及び模擬剥離部において多重反射波をそれぞれ受信し、前記健全部における多重反射波のエコー高さと前記模擬剥離部における多重反射波のエコー高さとの差が所定値以上となる反射波の反射回数を求め前記積層体の検査部において多重反射波を受信し、前記検査部における前記反射回数の反射波のエコー高さと前記健全部における前記反射回数の反射波のエコー高さを比較することにより前記層間剥離の有無を検査することにある。
前記信号処理装置は、前記探触子を走査して受信した多重反射波により走査画像を生成するようにしても構わない。走査画像としては、例えば、Bスキャン画像やCスキャン画像が挙げられる。また、前記探触子には、一振動子型探触子を用いてもよく、二振動子型探触子を用いることも可能である。
上記本発明に係る積層体の剥離検査方法及び剥離検査装置の特徴によれば、簡便でありながら積層体の層間剥離を明瞭に検出することが可能となった。
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
本発明に係る剥離検査装置の概略図である。 積層体の各層に対する超音波の挙動を説明するための図であり、(a)は健全部、(b)は第一界面での剥離、(c)は第二界面での剥離を示す図である。 各試験体におけるバンドパスフィルターを介して得られたRF波形の一例を示すグラフであり、(a)はB1付近、(b)はB10付近、(c)はB20付近の結果を示す。 (a)〜(c)は、図3(a)〜(c)にそれぞれ対応する検波波形を示すグラフである。 減衰の差異を説明するグラフであり、(a)は各試験体における減衰の傾向を示すグラフ、(b)は健全試験体に対する第一、第二剥離試験体の感度差を示すグラフ、(c)は各試験体の減衰係数を示すグラフである。 反射波のピーク時間及びピーク値の比較を説明するグラフである。 健全試験体、第一剥離試験体及び第二剥離試験体をそれぞれ比較したグラフであり、(a)はピーク時間差、(b)はエコー高さを比較したグラフである。 他の積層体の一例を示す図である。 図8に示す積層体の各試験体における図3相当図である。 図8に示す積層体の各試験体における図4相当図である。 図8に示す積層体の各試験体における図5相当図である。 図8に示す積層体の各試験体における図7相当図である。 本発明の第二実施形態に係る図2相当図である。 本発明の第二実施形態に係る図3相当図である。 本発明の第二実施形態に係る図4相当図である。 本発明の第二実施形態に係る図5(a)相当図である。 本発明の第二実施形態に係る図6相当図である。 本発明の第三実施形態に係る図2相当図である。 塗装膜の膜厚とエコー高さとの関係を示す図である。 塗装膜の膜厚のバラツキによるエコー高さの変動を示す図である。 探触子の接触状態のバラツキによるエコー高さの変動を示す図である。 健全部、剥離部、腐食部におけるエコー高さの変動を模式的に示す図である。 多重反射波の音圧反射率の変化を示す図である。 本発明の改変例を示す図22相当図である。
次に、適宜添付図面を参照しながら、本発明の第一実施形態についてさらに詳しく説明する。
[検査装置構成]
図1に示すように、本発明の第一実施形態に係る剥離検査装置1は、大略、複数の部材としての第一の部材20、第二の部材30が薄層40を介して積層された積層体10の一側11(表面21)から超音波を入射すると共に多重反射波を受信する探触子2と、受信した多重反射波を処理し評価する信号処理装置3とを備える。この信号処理装置3は、例えば、パーソナルコンピューターにより構成される。また、探触子2には、走査位置を検出するエンコーダ等の位置検出器2aが取り付けると共に、信号処理装置3に接続されている。本実施形態において、積層体10の一側11(第一の部材20の表面21)には、塗装膜50が形成されている。
信号処理装置3は、パルサー4aを制御して探触子2から超音波パルスを発生させる。送信された超音波パルスは、第一、第二部材20,30内及び薄層40内を通過(若しくは透過)及び各界面F1,F2で反射し、探触子2にて受信される。受信した多重反射波は、レシーバー4b及びプリアンプ5により増幅され、フィルター6によりノイズが除去された状態でA/Dコンバーター7によりデジタル信号に変換される。そして、信号処理装置3にて信号処理がなされ、モニター8に表示される。モニター8には、例えば、図3,4,6に示す如く、横軸を伝播距離を代表する時間軸とし、縦軸に同反射波の強度とするグラフが表示される。
また、信号処理装置3は、位置検出器2aが検出した探触子2の走査位置データと共に受信信号を処理し、Bスキャン画像やCスキャン画像等の走査画像を生成して、モニタ8に表示させる。さらに、信号処理装置3は、剥離の存在を警告する警告手段3aをさらに備える。本実施形態において、警告手段3aは、検査部における伝搬時間が健全部における伝搬時間(基準伝搬時間)に対し所定時間以上の場合、又は、検査部におけるピーク値が健全部におけるピーク値(基準ピーク値)に対し所定値以上の場合に警告を行う。この警告は、例えば、警告音やモニター8への表示等により行われる。
[積層体構成]
ここで、本実施形態における検査対象となる積層体10は、例えば液体を保存する液体用コンテナタンクの壁部である。このタンクは、例えばISO規格に準ずるコンテナタンクである。図2に示すように、積層体10は、第一の部材20としての板材と、この板材20を内容物からの侵食を防ぐための第二の部材30としてのフッ素樹脂ライニング材とを有する。そして、このフッ素樹脂ライニング材30が薄層40としての接着剤よりなる接着層により板材20に接着されている。
本実施形態において、板材20は、例えば厚さ5mmのステンレス鋼板(SUS板)等より構成されている。また、フッ素樹脂ライニング材30としては、例えば厚さ3.5mmのフッ素樹脂ライニング(PTFE)が用いられる。
また、本実施形態における接着層40は、例えば、エポキシ樹脂系接着剤等のフッ素樹脂ライニング材30(以下、単に「ライニング材30」と称する。)を板材20に接着させる接着剤により構成される。その厚みは、例えば0.1mm以下であり、板材20やライニング材30に対し十分に薄い。ここで、仮に、接着層40の音速を1800m/s、超音波の周波数を5MHzとすると、波長は0.36mmとなり、接着層40の厚みよりも大きい。そのため、接着層40の上面41からの反射波と下面42からの反射波とは分離できず、従来の垂直法では各面41,42の信号を識別することはできない。本発明は、このような超音波の波長より短い(薄い)肉厚の接着層40の上下面41,42における剥離検出に有利である。
ところで、塗装膜50の膜厚は、施工状態や経年変化によって、例えば100〜500μm程度の誤差(バラツキ)が生じている場合がある。図19に塗装膜の膜厚に対するエコー高さの相対的な変動の例を示す。縦軸は相対エコー高さ(dB)、横軸は膜厚(μm)である。図19の例において、例えば膜厚が300μmに対し±100μm変動すると、エコー高さは、1回反射(B1)では±約0.9dB(90%〜111%、図中のM1)、10回反射(B10)では±約1.1dB(88%〜114%)、20回反射(B20)では±約1.5dB(84%〜119%、図中のM2)変動する。このように、膜厚が大きいほど、又、反射回数が多いほど、エコー高さは大きく変動する。そのため、剥離部と健全部の信号が重なり合い、両者の判別が困難となる場合が生じる。なお、同図はエポキシ樹脂の例であるが、塗装膜の材質に限られず、上記と同様にエコー高さは変動する。
また、図20に、健全部を模した健全試験体E0と剥離部を模した模擬剥離試験体E1において、塗装膜50の膜厚を150〜300μmで変化させた測定結果の例を示す。縦軸は相対エコー高さ(dB)、横軸は反射回数である。いずれの試験体においても、膜厚に応じて各反射回数でエコー高さに変動(バラツキ)が生じる。反射回数が8回以下では、健全部の変動範囲r0と剥離部の変動範囲r1が重複するため、健全部と剥離部の信号の区別が困難となる。反射回数が8回目以降では、変動範囲r0,r1の差は反射回数が増加するに従い広がる。
さらに、反射波のエコー高さに変動を与える要因は、塗装膜50の膜厚に限られるものではない。例えば、探触子2の積層体10に対する接触状態もエコー高さに変動を与える要因となる。図21に、複数の異なる対象物(A〜E)について、探触子2の接触状態を異ならせた測定結果の例を示す。縦軸は相対エコー高さ(dB)である。接触状態に対する変動の平均が±2.5dBとなった。なお、接触状態とは、探触子の対象物に対する傾きや押圧力、接触媒質の厚さ、種類等を含む概念である。また、他の変動要因として、積層体表面や界面の荒れや剥離部内の内容物等もある。このように、多重反射波は各種要因の影響を受けるため、多重反射波全体の減衰曲線や減衰率による剥離検査では、判定精度が低くなる。
図22に、各種試験体における上記変動要因を含むエコー高さの変動を模式的に示す。上述したように、反射波の信号には、上記各種要因による変動範囲R0〜R2が含まれる。健全試験体E0と模擬剥離試験体E1とでは、反射回数が多くなるに従い、健全部の変動範囲R0と剥離部の変動範囲R1の差が大きくなる。これは、剥離部に存在する空気の音圧反射率はほぼ1であまり変化しないが、健全部では界面における音圧反射率は1より小さいため、この音圧反射率の差が反射を繰り返すほど積算されて大きくなるからである。そして、この変動範囲の差には、上記要因による変動が除かれる。従って、所定値以上の差となる反射回数を求め、反射回数が多い反射波のエコー高さに着目することで、上記変動要因の影響を排除し、剥離部と健全部との信号を明瞭に区別でき、検出精度が向上する。
ところで、剥離部には、腐食が生じている場合も想定される。係る場合、腐食面で超音波は散乱するため、腐食が進行している(面粗さが大きい)ほど大きく減衰し、健全部に比べエコー高さは小さくなる。腐食部を模した模擬剥離試験体E2の信号にも同様に上記要因による変動が含まれる。図22の如く、模擬剥離試験体2においても、所定値以上の差となる反射回数を予め求め、反射回数が多い反射波のエコー高さに着目することで、上記変動要因の影響を排除し、剥離の有無に加え腐食の有無をも精度よく検出することができる。なお、発明者らの実験によれば、面粗さRa(250μm)≒Rz1000(μm)に相当する約1mmの凹凸腐食を検出することができた。
このように、予め、健全試験体と模擬剥離試験体において、反射波のエコー高さが所定値以上の差となる反射回数を求め、当該回数における反射波のエコー高さを比較することで、上記変動要因による影響を排除して、高精度に剥離の有無を検査することが可能となる。なお、反射回数及び所定値は、各種変動要因が排除されればよく、信号が明瞭に識別できる範囲において、これらは特に制限されるものではない。例えば、図22に示すように、剥離検出について反射回数を20回とし、腐食検出には20回の所定値Z’より大きいZ’’となる10回の反射回数としてもよい。
[多重反射波の挙動]
ここで、超音波の挙動と反射波形との関係について説明する。
図2(a)は、板材20、ライニング材30及び接着層40が互いに密着し剥離が存在しない健全部での反射の挙動を示す。探触子2から板材20内部へその上面(表面)21(容器外面11)から入射した超音波は、その一部が板材20の下面(裏面22)と接着層40の上面41との界面となる第二界面F2で符号P2に示す如く反射する。
一方、第二界面F2を透過した超音波は、接着層40内を伝播し、接着層40の下面42とライニング材30の上面31との界面となる第一界面F1に達する。ここで、ライニング材30と接着層40との音響インピーダンスが近似している(ライニング材30と接着層40との音響インピーダンスの差が小さい)場合、第一界面F1での反射はほとんど生じない。そのため、符号P1で示す反射波は殆ど受信されない。よって、健全部での多重反射による受信波形は、主に第二界面F2からの反射波P2によって形成される。
図2(b)は、第一界面F1にて剥離が生じている場合の反射の挙動を示す。剥離部D1は第二界面F2の反射に無関係であるので、健全部と同様に、第二界面F2で符号P2で示す如く反射する。一方、剥離部D1においては、接着層40と空気Aとの界面が形成される。そのため、健全部とは異なり、第二界面F2を透過した超音波は、その殆どが接着層40と空気Aとの界面で符号P1’に示す如く反射する。よって、剥離部D1が存在する場合の多重反射による受信波形は、剥離部D1からの反射波P1’及び第二界面F2からの反射波P2が足し合わされた波形となる。
図2(c)は、第二界面F2にて剥離が生じている場合の反射の挙動を示す。剥離部D2においては、板材20と空気Aとの界面が形成される。そのため、第二界面F2に到達した超音波は、その殆どが板材20と空気Aとの界面で符号P2’に示す如く反射し、第一界面F1での反射波は生じない。よって、剥離部D2が存在する場合の多重反射による受信波形は、ほぼ剥離部D2からの反射波P2’によって形成される。ここで、板材20と剥離部D2の空気Aの音圧反射率はほぼ1であり反射を繰り返してもあまり変化しない。他方、健全部の反射波P2は、第二界面F2を構成する板材20と接着層40との音圧反射率が1より小さいため、第二界面F2での反射によって減衰する。
なお、図23に、各種材質の音圧反射率の変動を示す。縦軸は相対エコー高さ(dB)、横軸は反射回数である。材質によって音圧反射率は異なるが、空気の音圧反射率1よりも小さく、反射回数が多くなるに従いその差は大きくなる。すなわち、空気の音圧反射率より小さい材料であれば、剥離の有無を検出可能である。なお、同図中のaは空気、bは水、cはフッ素樹脂、dは硬質ゴム、eはエポキシ樹脂を示すが、これらは一例に過ぎない。
[受信波形の相違]
ここで、健全部、剥離部D1及び剥離部D2における受信波形の相違について、図3〜5を参照しながら説明する。
図3に健全試験体TP0、第一、第二剥離試験体TP1,TP2にて受信した信号にバンドパスフィルター(中心周波数5MHz)を施して生成したRF波形の一例を示す。また、図4は、図3に対応する検波波形を示す。ここで、健全試験体TP0は、板材20、ライニング材30及び接着層40が互いに密着した健全部を模した。第一剥離試験体TP1は、板材20及び接着層40を接着させ第一界面F1の剥離部D1を模した。第二剥離試験体TP2は、板材20のみで構成し第二界面F2の剥離部D2を模した。図3,4の縦軸はエコー高さ(%)、横軸は伝搬時間(μ秒)を示す。
図3(a)及び図4(a)に示すように、反射が1回の場合、各受信波形がほぼ重なり合うため、波形の識別は困難である。一方、図3(b)(c)及び図4(b)(c)に示すように、反射回数が増加するに従い、各波形のエコー高さにずれが生じると共に波形の重なりも解消され、波形の識別が可能である。このことから、観測当初においては剥離検出が困難であるが、多重反射波を利用することで、剥離検出が可能となることが伺える。
さらに、発明者らは、上記各試験体において減衰の傾向を測定した。図5(a)(c)に示すように、減衰の傾向(減衰係数)は、第二剥離試験体TP2、第一剥離試験体TP1、健全試験体TP0の順に大きいことが分かった。また、同図(b)に示すように、健全試験体TP0の減衰傾向を基準とすると、第一剥離試験体TP1より第二剥離試験体TP2の方がより感度差が大きく、減衰傾向が大きいことが分かった。図5(a)の縦軸はエコー高さ(dB)、横軸は伝搬時間(μ秒)を示す。図5(b)の縦軸は感度差(dB)、横軸は反射回数を示す。図5(c)の縦軸は減衰係数(dB/mm)を示す。
上記現象のメカニズムは、以下のように推測される。
健全試験体TP0の反射波P2は、第二界面F2での反射及び接着層40への透過によって減衰する。一方、第二剥離試験体TP2の反射波P2’は、剥離部D2の空気Aでの反射のため、健全試験体TP0に比べ反射による減衰は小さい。また、第二剥離試験体TP2では接着層40への透過が生じないため、接着層40による減衰の影響を受けない。よって、第二剥離試験体TP2(剥離部D2)の減衰は、健全試験体TP0に比べ小さくなる。従って、複数回反射した反射波のピーク値(エコー高さ)を比較することで剥離部D2の検出が可能となる。
他方、第一剥離試験体TP1の波形は、剥離部D1からの反射波P1’及び第二界面F2からの反射波P2の双方が足し合わされる。第一剥離試験体TP1の反射波P1’は、剥離部D1の空気Aによる反射のため、反射による減衰の影響は少なく、図5に示す如く、第一剥離試験体TP1の減衰は健全試験体TP0より小さい。そのため、複数回の反射を繰り返すと、反射波P2がより大きく減衰し、反射波P1’が相対的に大きくなる。これにより、反射波P1’が波形の形成に影響を与え、健全試験体TP0の波形に対し、時間がずれたような波形となる。この時間のずれは、接着層40の厚みである。他方、健全試験体TP0の波形は、第二界面F2からの反射波P2で形成され、反射波P1’に対応する第一界面F1からの反射波P1は含まれない。従って、複数回反射した反射波の伝搬時間を比較することで剥離部D1の検出が可能となる。
このように、発明者らの鋭意研究の結果、所定値以上の差となる反射回数を予め求め、当該反射回数の反射波のエコー高さ及び伝搬時間に着目することで、上記要因による変動の影響を排除し、且つ、健全部に対する波形の識別性(視認性)を向上させ、各界面F1,F2における剥離を検出できることが判明した。
[ピーク時間及びエコー高さ]
次に、第一、第二界面F1,F2における剥離の検出について、図6を参照しながら説明する。なお、本実施形態において、伝搬時間として、反射波のピーク時間を例に以下説明する。
第一界面F1の剥離部D1の場合、その信号波形S1における所定回数の反射を繰り返した反射波のピーク時間T1は、健全部の信号波形S0における同回数の反射を繰り返した反射波のピーク時間T0よりも遅れて出現し、時間ずれΔTが生じる。これは、健全部の減衰が剥離部D1よりも大きいため、複数回の反射を繰り返すと、剥離部D1からの反射波が相対的に大きくなり、健全部の波形に対し時間がずれた波形となるためである。他方、第二界面F2の剥離部D2の場合、その信号波形S2におけるピーク時間T2は健全部のピーク時間T0とほぼ同時間となる。これは、いずれの反射波も第二界面F2での反射であるためである。
また、第一界面F1の剥離部D1の場合、その信号波形S1における所定回数の反射を繰り返した反射波のピーク値としてのエコー高さH1は、健全部の信号波形S0における同回数の反射を繰り返した反射波のエコー高さH0と比べ若干大きいものの、それほど大きい差はない。他方、第二界面F2の剥離部D2の場合、その信号波形S2におけるエコー高さH2は、健全部の信号波形S0のエコー高さH0と比較し、明らかに突出して大きい。これは、第二界面F2の剥離部D2の場合、健全部と比較してより反射率の大きい空気Aで殆ど反射し透過しないため、減衰が少ないためである。
[評価方法]
このように、以下の積層体の剥離検査方法により、第一、第二界面F1,F2における剥離の有無を検査することが可能となる。
予め、板材20、ライニング材30及び接着層40が密着した健全部及び模擬剥離部において板材20の表面21から超音波を入射すると共に多重反射波を受信し、図22に示す如く、健全部における多重反射波のエコー高さと模擬剥離部における多重反射波のエコー高さとの差が所定値以上となる反射波の反射回数を求める。そして、その反射回数の反射を繰り返した反射波のピーク時間及びエコー高さを基準伝搬時間としての基準ピーク時間T0及び基準エコー高さとしての基準ピーク値H0として求めておく。なお、模擬剥離部には、剥離の他、剥離部が腐食した腐食部も含まれる。
ここで、反射回数の決定では、例えば、積層体10において健全部に相当する箇所及び剥離部に相当する箇所をそれぞれ選定する。また、上述の如き、健全試験体TP0、第一剥離試験体TP1、第二剥離試験体TP2を用いたり、これら試験体に相当する他の装置や他の部材を用いることもできる。さらに、例えば剥離部を模して作製した模擬剥離試験体(対比試験片)と積層体において健全部に相当する箇所として選定した箇所との比較でもよい。このように、「健全部」及び「模擬剥離部」はいずれも「部」であるから、これらには「検査対象となる積層体10の任意の箇所」及び「積層体10とは別体の試験体(片)及びこれに相当する他の装置や部材」の双方が含まれる。なお、上記の方法に加えて、例えば曲率を有する積層体の場合、曲率に応じたエコー高さの補正値を求めておき、感度を補正するようにしてもよい。
次に、板材20の所定の検査部Eにおいて、板材20の表面21に沿って適宜間隔をおいて探触子2を走査すると共に超音波を入射させて多重反射波を受信し、その多重反射波において予め求めた反射回数と同回数の反射を繰り返した反射波の伝搬時間としてのピーク時間T及びエコー高さHを求める。そして、これらのピーク時間及びエコー高さを比較することにより、ライニング材30と接着層40との第一界面F1における剥離及び板材20と接着層40との第二界面F2における剥離の有無をそれぞれ評価する。
また、予め、信号処理装置3に基準ピーク時間に対し所定の閾値(時間)を設定しておき、ピーク時間が所定のゲートを超えた場合に警告手段3aにより警告するようにしてもよい。同様に、基準ピーク値に対し所定の閾値(振幅)を設定しておき、ピーク値が所定値を超えた場合に警告手段3aにより警告するようにしてもよい。さらに、位置検出器2aの探触子2の走査位置データと共に多重反射波を処理し、例えば図6に示す如きグラフと共に、又は、独立にBスキャン画像やCスキャン画像等の走査画像を生成してもよい。これら画像に剥離の有無を表示させてもよい。従来の多重反射波の減衰曲線に着目する方法では、多重信号が探触子の移動に伴い変化するため、健全部と剥離部の信号の区別が困難となる。また、走査後にデータを解析する方法では、解析処理が膨大で、しかも各種要因が信号に影響を与えているため、精度も低下する。一方、本発明は、所定値以上の差となる反射回数を予め求め、当該反射回数の反射波のエコー高さに着目するので、信号処理が簡便で容易に生成することができる。
ここで、ピーク時間T及びエコー高さHの比較に際し、上述の所定回数は、減衰係数を考慮し、健全部での波形に対しピーク時間T及びエコー高さHの比較が可能となる回数に設定する。図5に示すように、健全部における減衰の傾向と、剥離部Dが存在する場合における減衰の傾向は異なる。
よって、例えば、信号処理装置3において、図6に示す如くテストピース等の健全部における反射波のエコー高さが100%振幅表示の20%程度の強度で表示されるように回数とするとよい。これにより、検査部Eにおける第一、第二界面F1,F2の剥離部からの各反射エコーが健全部に対し識別可能となる。図3(a)及び図4(a)に示すように、反射回数が少ない場合、受信信号に明瞭な差異が表れず、信号の識別(健全か剥離かの識別)が困難である。一方、図3(b)(c)及び図4(b)(c)に示すように、反射回数が増加するに従い、健全か剥離かの識別が容易となる。反射回数が増加すると、多重反射波の伝搬時間(距離)の差が拡大して、時間のずれが大きくなり、第二界面F2の剥離部からの信号が明瞭となる。また、図5(a)に示す如く減衰の差が拡大してエコー高さの差も大きくなるので、第一界面F1の剥離部からの信号も明瞭となる。なお、本実施形態では、20回程度に設定している。もちろん、適宜感度調整してもよい。
発明者らは、本発明に係る剥離検査方法及び剥離検査装置の有用性を検証するために実験を行った。上述の各試験体を用い、中心周波数5MHzの一振動子探触子2により多重反射波を複数回受信した。図7にその結果を比較したグラフを示す。
図7(a)は、健全部におけるピーク時間が最も早いものを基準とした各試験体のピーク時間差を示すグラフである。縦軸が、ピーク時間差(μ秒)である。同図から明らかなように、健全試験体TP0と第二剥離試験体TP2とは、ピーク時間差にほとんど差異はない。他方、第一剥離試験体TP1では、ピーク時間差に明瞭な差異が表れた。このように、健全部のピーク時間と検査部のピーク時間とを比較することで、第一界面F1における剥離の有無を検出可能であることが分かった。
図7(b)は、各試験体のエコー高さ(%)を比較したグラフである。縦軸が、エコー高さ(%)である。同図から明らかなように、健全試験体TP0と第一剥離試験体TP1とは、エコー高さにあまり差はない。他方、第二剥離試験体TP2では、ピーク値に明瞭な差異が表れた。このように、健全部のピーク値と検査部のピーク値とを比較することで、第二界面F2における剥離の有無を検出可能であることが分かった。
さらに、発明者らは、図8に示す如く、ライニング材30’としてフッ素樹脂ライニング(PFA)を用い、接着層40’を接着剤33とガラスクロス34とにより構成した試験体についても、上記実施例1と同様に実験を行った。図12(a)(b)に示すように、上記実施例1と同様の結果となり、検出可能であることが判明した。なお、図9〜11にこの試験体におけるRF波形、検波波形の一例及び減衰係数を示す。このライニング材30’においても、上記と同様の結果が得られた。
次に、図13〜17を参照しながら、本発明の第二実施形態について説明する。なお、以下の実施形態において、同様の部材には同一の符号を付してある。
上記第一実施形態において、接着層40を介して板材20(第一の部材)にフッ素樹脂ライニング材30(第二の部材)を接着させた積層体10を例に説明した。しかし、検査対象としての積層体10は、接着層40を介して複数の部材20,30が積層されたものに限られるものではない。例えば、図13に示す第二実施形態の如く、第一の部材20’に第二の部材30’が直接設けられた積層体10’においても、層間剥離の検出が可能である。なお、この第一、第二の部材20’,30’は、上記第一実施形態の材料に限られるものではない。
図13に示すように、第二実施形態における積層体10’は、超音波の入射位置となる積層体10’の一側11’を構成する第一の部材20’と、この第一の部材20’の他側22’に直接設けられた第二の部材30’とからなる二層構造を呈する。
図13(a)は、第一の部材20’及び第二の部材30’が互いに密着し剥離が存在しない健全部での反射の挙動を示す。探触子2から第一の部材20’内部へその上面(表面)21’から入射した超音波は、その一部が第一の部材20’の下面(裏面22’)と第二の部材30’の上面31’との界面となる界面F3で符号P3に示す如く反射する。また、界面F3を透過した超音波は、第二の部材30’内を伝播し、第二の部材30’の下面32’に達し、符号P4に示す如く反射する。よって、健全部での多重反射による受信波形は、界面F3からの反射波P3及び第二の部材30’の下面32’からの反射波P4が足し合わされた波形となる。
他方、図13(b)は、界面F3にて剥離が生じている場合の反射の挙動を示す。剥離部D3においては、第一の部材20’と空気Aとの界面が形成される。そのため、界面F3に到達した超音波は、その殆どが第一の部材20’と空気Aとの界面で符号P3’に示す如く反射し、第二の部材30’の下面32’での反射波は生じない。よって、剥離部D3が存在する場合の多重反射による受信波形は、ほぼ剥離部D3からの反射波P3’によって形成される。
ここで、健全部及び剥離部D3における受信波形の相違について、図14〜17を参照しながら説明する。
図14に健全試験体TP0、第三剥離試験体TP3にて受信した信号にバンドパスフィルター(中心周波数5MHz)を施して生成したRF波形の一例を示す。また、図15は、図14に対応する検波波形を示す。ここで、健全試験体TP0は、第一の部材20’及び第二の部材30’が互いに密着した健全部を模した。第三剥離試験体TP3は、第一の部材20’のみで構成し界面F3の剥離部D3を模した。
図14,15に示すように、本実施形態においても、反射回数が増加するに従い、各波形のエコー高さにずれが生じると共に波形の重なりも解消され、波形の識別が可能である。このことから、観測当初においては剥離検出が困難であるが、多重反射波を利用することで、剥離検出が可能となることが伺える。さらに、上記第一実施形態と同様に、上記各試験体において減衰の傾向を測定すると、図16に示すように、減衰の傾向(減衰係数)は、健全試験体TP0の方が第三剥離試験体TP3より大きいことが分かった。
健全試験体TP0の反射波P3は、界面F3での反射及び第二の部材30’への透過によって減衰する。一方、第三剥離試験体TP3の反射波P3’は、剥離部D3の空気Aでの反射のため、健全試験体TP0に比べ反射による減衰は小さい。また、第三剥離試験体TP3では第二の部材30’への透過が生じないため、第二の部材30’による減衰の影響を受けない。よって、第三剥離試験体TP3(剥離部D3)の減衰は、健全試験体TP0に比べ小さくなる。従って、予め求めた反射回数反射した反射波のピーク値を比較することで剥離部D3の検出が可能となる。
また、健全試験体TP0の波形は、界面F3からの反射波P3及び第二の部材30’の下面32’からの反射波P4の双方が足し合わされる。一方、第三剥離試験体TP3の波形は、界面F3からの反射波P3’で形成され、第二の部材30’の下面32’からの反射波P4は含まれない。第三剥離試験体TP3の反射波P3’は、剥離部D3の空気Aによる反射のため、反射による減衰の影響は少なく、図16に示す如く、第三剥離試験体TP3の減衰は健全試験体TP0より小さい。そのため、複数回の反射を繰り返すと、反射波P3がより大きく減衰し、反射波P4が相対的に大きくなる。これにより、反射波P4が波形の形成に影響を与え、健全試験体TP0の波形に対し、第三剥離試験体TP3の波形は時間がずれた(早まる)ような波形となる。この時間のずれは、第二の部材30’の厚みである。従って、予め求めた反射回数反射した反射波の伝搬時間を比較することで剥離部D3の検出が可能となる。
次に、界面F3における剥離の検出について、図17を参照しながら説明する。
界面F3の剥離部D3の場合、その信号波形S3における所定回数の反射を繰り返した反射波のピーク時間T3は、健全部の信号波形S0’における同回数の反射を繰り返した反射波のピーク時間T0’よりも早く出現し、時間ずれΔT’が生じる。これは、健全部の減衰が剥離部D3よりも大きいため、複数回の反射を繰り返すと、剥離部D3からの反射波が相対的に大きくなり、健全部の波形に対し時間がずれた波形となるためである。
また、信号波形S3における所定回数の反射を繰り返した反射波のピーク値としてのエコー高さH3は、健全部の信号波形S0’における同回数の反射を繰り返した反射波のエコー高さH0’と比べ大きく表れる。これは、剥離部D3の場合、健全部と比較してより反射率の大きい空気Aで殆ど反射し透過しないため、減衰が少ないからである。
このように、2つの部材20’,30’よりなる積層体10’においても、上記第一実施形態と同様に、健全部及び剥離部の受信信号波形(反射波)に違いが生じる。よって、予め求めた反射回数反射した反射波のピーク時間T及び/又はエコー高さHを比較することで、第一の部材20’と第二の部材30’との界面における剥離部D3の検出が可能となる。
最後に、本発明のさらに他の実施形態の可能性について説明する。
上記第一、第二実施形態において、比較対象としてピーク時間Tを用いた。しかし、第三実施形態では、ピーク時間Tと共に、又は、ピーク時間Tに代えて反射波の位相を用いる。具体的には、予め、健全部において所定回数の反射を繰り返した反射波の位相を基準位相として求めておく。そして、検査部において同回数の反射を繰り返した反射波の位相を求め、これら位相を比較する。ここで、接着層40は、第二の部材30の音響インピーダンスより小となる材料よりなる。
図18(a)に示す健全部の場合、探触子2から第一の部材20の表面21(積層体10の一側11)から入射した超音波の一部は、先の実施形態と同様に第二界面F2で符号P2に示す如く反射する。また、第二界面F2を透過した超音波は、接着層40と第二の部材30との音響インピーダンスの差により、符号P1’’で示す如く第一界面F1でも反射する。
図18(b)に示す第一界面F1の剥離部D1においては、接着層40と空気Aとの界面が形成される。そのため、健全部とは異なり、第二境界面F2を透過した超音波は、その殆どが接着層40と空気Aとの界面で符号P1’に示す如く反射する。
ここで、空気の音響インピーダンスは極めて小さく、接着層40の音響インピーダンスよりも小さい。よって、接着層40の音響インピーダンスが第二の部材30の音響インピーダンスよりも小さい場合、健全部の信号に対し位相が反転することとなる。すなわち、剥離部D1の有無により位相が反転することから、位相反転の有無を検出することにより、第一界面F1の剥離検出が可能となる。このように、本実施形態は、第一界面F1において剥離の有無に関わらず反射エコーが検出される場合に有利である。なお、上記第二実施形態においても、第一の部材20’が、第二の部材30’の音響インピーダンスより小となる材料よりなる場合、位相反転により第一の部材20’と第二の部材30’との界面F3の剥離を検出することは可能である。なお、本実施形態においては、信号処理装置3に、検査部での位相が健全部に対し反転している場合に警告する警告手段3aを設けるとよい。
上記第一、第二実施形態において、所定回数の反射を繰り返した反射波のピーク時間T及びエコー高さHの双方を比較することで、各界面における剥離をそれぞれ検出可能とした。しかし、ピーク時間T及びエコー高さHの比較は、それぞれ単独で比較することも可能である。さらに、上記第三実施形態に示す位相の比較についても、単独で又は、ピーク時間T及び/又はエコー高さHと組み合わせて実施することも可能である。
また、上記第一、第二実施形態において、伝搬時間として反射波のピーク時間を用いた。しかし、伝搬時間はピーク時間に限らず、例えば、反射波の立ち上がり(下がり)時間や、所定の振幅を超える(下がる)時間を用いても構わない。すなわち、伝搬時間は、健全部及び検査部の各波形において時間のずれが比較(識別)可能となる時間であればよい。
上記各実施形態において、探触子2としては送受信を兼務する一振動子型探触子を用いた。しかし、送受信が別ユニットとなっている二振動子型探触子を用いても構わない。また、上記実施形態において探触子2として5MHzの探触子を用いたが、この周波数に限られるものではない。但し、周波数は大きいと減衰が大きく信号が小さくなり、周波数が小さいと波形が分離できないため、接着層40の材質や厚み等を考慮し設定するとよい。
一般に、超音波は次式で示す近距離音場限界距離Lを超えると、一定の指向角αで広がる。
近距離音場限界距離L=(振動子の直径)の2乗/(4×波長)・・・(1)
指向角α=(70×波長)/(振動子の直径)・・・(2)
本発明は、予め求めた反射回数反射した反射波に着目するため、超音波は広がりによる減衰が少ないものが好ましい。そのため、近距離音場限界距離Lが大きく、また指向角αの小さい周波数のものが好ましい。また、腐食部を検出する場合、腐食面の面粗さにより大きく減衰するため、面粗さの影響を受けやすい周波数が好ましい。上記の点から、振動子の直径が20mm、周波数5MHzの垂直探触子を用いるとよい。なお、腐食部を検出する場合、腐食面の面粗さによる減衰の影響を大きくするべく、分割型探触子を用いることもできる。
また、上記各実施形態において、探触子2を直接第一の部材20の表面21に押し当てて超音波を送受信したが、水浸法にも適用可能である。
上記第一実施形態において、検査対象の積層体10の一部を構成する第一の部材20として鋼材を用いた。しかし、第一の部材は鋼材に限らず、他の金属、ガラス、樹脂等、超音波の伝達物質であればよい。また、検査対象となる積層体10は、上記第一実施形態の如きコンテナタンクに限られず、他のタンク、コンテナ等の容器の他、管の構成部分であっても構わない。さらに、第二の部材30も第一部材と同様に、超音波の伝達物質であれば、その材質はフッ素樹脂に特に限定されるものではなく、例えば硬質ゴムやエポキシ樹脂等の各種ライニング材に適用可能である。もちろん、ライニング材に限定されるものでもない。また、第二、第三実施形態における第一、第二の部材20(20’),30(30’)についても、同様である。すなわち、複数の部材は、異種材料及び同種材料のいずれの組み合わせであってもよい。
また、上記第一、第三実施形態において、積層体10を第一、第二部材20,30を接着層40を介して積層した。しかし、積層させる部材の数は特に限定されるものではなく、3層以上であっても構わない。また、接着層40は、積層体10を構成する複数の部材間の少なくとも一部に介在していればよく、例えば、蝋付け用の蝋付け剤や、隣接する一方の部材の表層部の一部を変質させた変質部等であってもよい。その接着層40の上下面41,42における剥離の検出が可能である。接着層40の材料には、この接着層40に隣接し超音波の入射位置から離隔した側に位置する部材の音響インピーダンスに近似する材料を選択することができる。健全部において、当該部材と接着層40との界面F1からの反射波P1が検出困難な程度に近似していれば、健全部との伝搬時間の比較により剥離の有無を検出することが可能となるからである。他方、接着層40の材料に、前者と異なり音響インピーダンスが近似しない材料を選択することも可能である。係る場合、接着層40の界面における反射波の減衰に差が生じやすく、健全部とのエコー高さの比較により剥離の有無を検出できる。
上記各実施形態において、剥離部に空気が存在している場合を例に説明したが、剥離部(腐食部)に液体が存在している場合も検出可能である。すなわち、健全部と内部に液体を有する剥離部との音圧反射率に違いがあれば、反射回数が大きくなるに従い音圧反射率の差によって、反射波のエコー高さにも差が生じるので、健全部と剥離部との区別が可能となる。さらに、内部に空気を有する模擬剥離部のエコー高さと比較することで、液体の有無の判定も可能である。なお、剥離(腐食)を検出する対象界面を構成する部材及び液体の材質によっては、反射波の伝搬時間の差によっても検出可能である。
また、上記各実施形態においては、略平坦な探傷面を例に説明したが、曲面を有する積層体にも適用可能である。曲面の場合、積層体表面及び界面において超音波は散乱反射するため、反射回数が増加するに従い減衰が大きくなる。しかし、健全部及び検査部もいずれも同じ曲率を有する曲面であれば、曲率による影響は相殺されることとなる。従って、配管等の曲面を有する部材において、剥離の有無を検出することが可能である。
また、上記各実施形態では、予め求めた反射回数の1つの反射波の信号を比較した。しかし、比較する反射波は複数であってもよく、例えば予め求めた反射回数の前後の信号を比較するようにしてもよい。さらに、受信した多重反射波の波形を表示するようにしてもよい。係る場合、例えば図24に示すように、予め求めた反射回数における健全部のエコー高さと同等となるエコー高さとなる反射回数が、予め求めた反射回数に対し所定の回数Y1,Y2以上離れている場合に、剥離(Y1の場合)又は腐食(Y2の場合)と判定するとよい。この場合においても、予め健全部における多重反射波のエコー高さと模擬剥離部における多重反射波のエコー高さとの差が所定値以上となる反射波の反射回数を求めて、検査部と健全部とのエコー高さを比較するものであり、本発明に含まれる。なお、同図の例では、横軸は反射回数であるが、時間に置き換えることも可能である。また、波形の表示は、波形全体又は所定回数(時間)の範囲内の波形のいずれでもよい。
上記各実施形態において、塗装膜50を有する積層体10を例に説明した。しかし、上述したように、塗装膜50の膜厚のバラツキは、反射波のエコー高さの変動要因の一例に過ぎない。よって、検査対象となる積層体10は、塗装膜50を有するものに限られるものではなく、塗装膜50を有しない積層体10であっても同様に検査可能である。
本発明は、例えば、複数の部材を積層させた積層体としての貯蔵容器や配管等における部材間に介在する薄層の各界面における剥離を検査する積層体の剥離検査方法及び剥離検査装置として利用することができる。例えば、CFRP材とアルミニウムとの接着、アルミニウムと銅との接着等の異材積層体における層間剥離の検出に適用可能である。さらに、アルミニウムと鋼の蝋付け、タービン翼とステライト(耐熱合金)の蝋付けやアルミニウム同士の半田付け等にも適用可能である。
1:剥離検査装置、2:探触子、2a:位置検出器、3:信号処理装置、3a:警告手段、4a:パルサー、4b:レシーバー、5:プリアンプ、6:フィルター、7:A/Dコンバーター、8:モニター、10:積層体、11:一側、20:第一部材(板材)、21:上面、22:下面、30:第二部材(ライニング材)、31:上面、32:下面、40:薄層(接着層)、41:上面、42:下面、50:塗装膜、D1〜3:剥離部、E:検査部、F1:第一界面、F2:第二界面、F3:界面、H,H0〜3:エコー高さ(ピーク値)、P1〜P4,P1’〜P3’:超音波、S0〜2,S0’:信号波形、T,T0〜2,T0’:ピーク時間
【0002】
発明が解決しようとする課題
[0006]
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、簡便でありながら積層体の層間剥離を明瞭に検出することの可能な積層体の剥離検査方法及び剥離検査装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0007]
上記目的を達成するため、本発明に係る積層体の剥離検査方法の特徴は、複数の部材が積層した積層体の一側に配置した探触子から超音波を入射すると共に多重反射波を受信し、受信した多重反射波を評価することにより層間剥離の有無を検査する方法において、予め、前記積層体の健全部及び模擬剥離部において多重反射波をそれぞれ受信し、前記健全部におけるエコー高さに変動を与える変動要因による変動を含む多重反射波のエコー高さの変動範囲と前記模擬剥離部における前記変動要因による変動を含む多重反射波のエコー高さの変動範囲とを求めると共に、これら変動範囲が重複せず且つその差が所定値以上となる反射波の反射回数を求め、前記積層体の検査部において多重反射波を受信し、前記検査部における予め求めた前記反射回数の反射波のエコー高さと前記健全部における予め求めた前記反射回数の反射波のエコー高さを比較することにより前記層間剥離の有無を検査することにある。
[0008]
ところで、検査対象となる積層体の界面で反射した反射波のエコー高さ(信号強度)は、例えば、塗装膜の有無、その厚さ、探触子の探傷面に対する接触状態、探傷面や界面の面粗さ、剥離部内の物質等の要因によって変動する。そのため、多重反射波全体の減衰率や減衰曲線にのみ着目すると、上記要因による変動によって、健全部からの信号と剥離部からの信号とを明瞭に識別することが困難となる場合がある。
[0009]
上記構成によれば、例えば図22に示すように、反射波のエコー高さは、上記各種要因による変動(バラツキ)を含む。予め、前記積層体の健全部及び模擬剥離部において多重反射波をそれぞれ受信し、前記健全部におけるエコー高さに変動を与える変動要因による変動を含む多重反射波のエコー高さの変動範囲と前記模擬剥離部における前記変動要因による変動を含む多重反射波のエコー高さの変動範囲とを求めると共に、これら変動範囲が重複せず且つその差が所定値以上となる反射波の反射回数を求める。そして、予め求めた反射回数の健全部の反射波のエコー高さと同回数の反射回数の検査部の反射波のエコー高さと
【0003】
を比較すれば、上記要因による変動を排除でき、精度よく剥離の有無を検出することが可能となる。
[0010]
前記積層体は前記一側に塗装膜を備え、前記変動範囲は、前記塗装膜の膜厚による前記エコー高さの変動値を含むものであるとよい。例えば図20に示すように、反射波のエコー高さの変動範囲は、塗装膜の膜厚による変動を含む。よって、予め求めた反射回数の健全部の反射波のエコー高さと同回数の反射回数の検査部の反射波のエコー高さとを比較すれば、塗装膜の膜厚によるエコー高さの変動を排除でき、膜厚にバラツキが生じていたとしても、精度よく剥離の有無を検出することができる。
[0011]
前記変動範囲は、前記探触子の前記積層体に対する接触状態による前記エコー高さの変動値を含むものであってもよい。例えば図21に示すように、反射波のエコー高さの変動範囲は、探触子の接触状態による変動を含む。よって、予め求めた反射回数の健全部の反射波のエコー高さと同回数の反射回数の検査部の反射波のエコー高さとを比較すれば、触子の接触状態によるエコー高さの変動を排除でき、接触状態にバラツキが生じていたとしても、精度よく剥離の有無を検出することができる。
[0012]
予め、前記健全部における前記反射回数の反射波の伝搬時間を求め、前記検査部における前記反射回数の反射波の伝搬時間を求め、これら伝搬時間を比較することで前記層間剥離の有無を検査するとよい。例えば図6に示すように、第一の部材と第二の部材との界面に剥離が存在する場合、前記反射回数の反射を繰り返した反射波の伝搬時間にずれが生じる。従って、予め求めた反射回数の健全部の反射波の伝搬時間と同回数の反射回数の検査部の反射波の伝搬時間とを比較すれば、伝搬時間のずれによって積層体の層間剥離の検出が可能となる。なお、この伝搬時間のずれは、超音波の周波数に依存するものではなく、原理的に周波数は特に限定されるものではない。
[0013]
前記複数の部材は、前記一側に位置する第一の部材と、この第一の部材に設けられる第二の部材とを少なくとも含み、前記第一の部材は、前記第二の部材の音響インピーダンスより小となる材料よりなり、予め、前記健全部に
【0006】
受信した多重反射波を評価することにより層間剥離の有無を検査する構成において、前記信号処理装置は、予め、前記積層体の健全部及び模擬剥離部において多重反射波をそれぞれ受信し、前記健全部におけるエコー高さに変動を与える変動要因による変動を含む多重反射波のエコー高さの変動範囲と前記模擬剥離部における前記変動要因による変動を含む多重反射波のエコー高さの変動範囲とを求めると共に、これら変動範囲が重複せず且つその差が所定値以上となる反射波の反射回数を求め前記積層体の検査部において多重反射波を受信し、前記検査部における予め求めた前記反射回数の反射波のエコー高さと前記健全部における予め求めた前記反射回数の反射波のエコー高さを比較することにより前記層間剥離の有無を検査することにある。
[0023]
前記信号処理装置は、前記探触子を走査して受信した多重反射波により走査画像を生成するようにしても構わない。走査画像としては、例えば、Bスキャン画像やCスキャン画像が挙げられる。また、前記探触子には、一振動子型探触子を用いてもよく、二振動子型探触子を用いることも可能である。
発明の効果
[0024]
上記本発明に係る積層体の剥離検査方法及び剥離検査装置の特徴によれば、簡便でありながら積層体の層間剥離を明瞭に検出することが可能となった。
[0025]
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
図面の簡単な説明
[0026]
[図1]本発明に係る剥離検査装置の概略図である。
[図2]積層体の各層に対する超音波の挙動を説明するための図であり、(a)は健全部、(b)は第一界面での剥離、(c)は第二界面での剥離を示す図である。
[図3]各試験体におけるバンドパスフィルターを介して得られたRF波形の一例を示すグラフであり、(a)はB1付近、(b)はB10付近、(c)はB20付近の結果を示す。
[図4](a)〜(c)は、図3(a)〜(c)にそれぞれ対応する検波波形を示すグラフである。
上記目的を達成するため、本発明に係る積層体の剥離検査方法の特徴は、複数の部材が積層した積層体の一側に配置した探触子から超音波を入射すると共に多重反射波を受信し、受信した多重反射波を評価することにより層間剥離の有無を検査する方法において、予め、前記積層体の健全部及び模擬剥離部において多重反射波をそれぞれ受信し、前記健全部におけるエコー高さに変動を与える前記探触子の前記積層体に対する接触状態並びに前記積層体の表面及び界面の荒れによる変動を含む多重反射波のエコー高さの変動範囲と前記模擬剥離部におけるエコー高さに変動を与える前記探触子の前記積層体に対する接触状態並びに前記積層体の表面及び界面の荒れによる変動を含む多重反射波のエコー高さの変動範囲とを求めると共に、これら求めた変動範囲が重複せず且つこれら求めた変動範囲の差が所定値以上となる反射波の反射回数を求め、前記積層体の検査部において多重反射波を受信し、前記検査部における予め求めた前記反射回数の反射波のエコー高さと前記健全部における予め求めた前記反射回数の反射波のエコー高さを比較することにより前記層間剥離の有無を検査することにある。
上記構成によれば、例えば図22に示すように、反射波のエコー高さは、上記各種要因による変動(バラツキ)を含む。予め、前記積層体の健全部及び模擬剥離部において多重反射波をそれぞれ受信し、前記健全部におけるエコー高さに変動を与える前記探触子の前記積層体に対する接触状態並びに前記積層体の表面及び界面の荒れによる変動を含む多重反射波のエコー高さの変動範囲と前記模擬剥離部におけるエコー高さに変動を与える前記探触子の前記積層体に対する接触状態並びに前記積層体の表面及び界面の荒れによる変動を含む多重反射波のエコー高さの変動範囲とを求めると共に、これら求めた変動範囲が重複せず且つこれら求めた変動範囲の差が所定値以上となる反射波の反射回数を求める。そして、予め求めた反射回数の健全部の反射波のエコー高さと同回数の反射回数の検査部の反射波のエコー高さとを比較すれば、上記要因による変動を排除でき、精度よく剥離の有無を検出することが可能となる。
前記変動範囲は、前記探触子の前記積層体に対する接触状態並びに前記積層体の表面及び界面の荒れによる変動を含む。例えば図21に示すように、反射波のエコー高さの変動範囲は、探触子の接触状態による変動を含む。よって、予め求めた反射回数の健全部の反射波のエコー高さと同回数の反射回数の検査部の反射波のエコー高さとを比較すれば、探触子の接触状態によるエコー高さの変動を排除でき、接触状態にバラツキが生じていたとしても、精度よく剥離の有無を検出することができる。
前記積層体は前記一側に塗装膜を備え、前記変動範囲は、前記塗装膜の膜厚による変動をさらに含むものであるとよい。例えば図20に示すように、反射波のエコー高さの変動範囲は、塗装膜の膜厚による変動を含む。よって、予め求めた反射回数の健全部の反射波のエコー高さと同回数の反射回数の検査部の反射波のエコー高さとを比較すれば、塗装膜の膜厚によるエコー高さの変動を排除でき、膜厚にバラツキが生じていたとしても、精度よく剥離の有無を検出することができる。さらに、前記変動範囲は、剥離部内の内容物による変動をさらに含むものであるとよい。
上記目的を達成するため、本発明に係る積層体の剥離検査装置の特徴は、複数の部材が積層した積層体の一側から超音波を入射すると共に多重反射波を受信する探触子と、受信した多重反射波を評価する信号処理装置を備え、受信した多重反射波を評価することにより層間剥離の有無を検査する構成において、前記信号処理装置は、予め、前記積層体の健全部及び模擬剥離部において多重反射波をそれぞれ受信し、前記健全部におけるエコー高さに変動を与える前記探触子の前記積層体に対する接触状態並びに前記積層体の表面及び界面の荒れによる変動を含む多重反射波のエコー高さの変動範囲と前記模擬剥離部におけるエコー高さに変動を与える前記探触子の前記積層体に対する接触状態並びに前記積層体の表面及び界面の荒れによる変動を含む多重反射波のエコー高さの変動範囲とを求めると共に、これら求めた変動範囲が重複せず且つこれら求めた変動範囲の差が所定値以上となる反射波の反射回数を求め、前記積層体の検査部において多重反射波を受信し、前記検査部における予め求めた前記反射回数の反射波のエコー高さと前記健全部における予め求めた前記反射回数の反射波のエコー高さを比較することにより前記層間剥離の有無を検査することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る積層体の剥離検査方法の特徴は、複数の部材が積層した積層体の一側に配置した探触子から超音波を入射すると共に多重反射波を受信し、受信した多重反射波を評価することにより層間剥離の有無を検査する方法において、予め、前記積層体の健全部において多重反射波を受信し、前記健全部におけるエコー高さに変動を与える前記探触子の前記積層体に対する接触状態並びに前記積層体の表面及び界面の荒れによる変動を含む多重反射波の各反射回数毎のエコー高さの変動範囲を求め、前記積層体の模擬剥離部において多重反射波を受信し、前記模擬剥離部におけるエコー高さに変動を与える前記探触子の前記積層体に対する接触状態及び前記積層体の表面及び界面の荒れによる変動を含む多重反射波の各反射回数毎のエコー高さの変動範囲とを求め、求めた前記健全部における変動範囲と前記模擬剥離部における変動範囲とが重複しない領域を求め、求めた前記領域における最小の反射回数より大で且つ前記領域の高さが所定値以上となる反射波の反射回数を求め、前記積層体の検査部において多重反射波を受信し、前記検査部における予め求めた前記所定値以上となる反射波の反射回数の反射波のエコー高さと前記健全部における予め求めた前記所定値以上となる反射波の反射回数の反射波のエコー高さを比較することにより前記層間剥離の有無を検査することにある。
上記構成によれば、例えば図22に示すように、反射波のエコー高さは、上記各種要因による変動(バラツキ)を含む。予め、前記積層体の健全部において多重反射波を受信し、前記健全部におけるエコー高さに変動を与える前記探触子の前記積層体に対する接触状態並びに前記積層体の表面及び界面の荒れによる変動を含む多重反射波のエコー高さの変動範囲を求め、前記積層体の模擬剥離部において多重反射波を受信し、前記模擬剥離部におけるエコー高さに変動を与える前記探触子の前記積層体に対する接触状態並びに前記積層体の表面及び界面の荒れによる変動を含む多重反射波のエコー高さの変動範囲とを求め、求めた前記健全部における変動範囲と前記模擬剥離部における変動範囲とが重複しない領域を求め、求めた前記領域における最小の反射回数より大で且つ前記領域の高さが所定値以上となる反射波の反射回数を求める。そして、予め求めた前記所定値以上となる反射波の反射回数の健全部の反射波のエコー高さと同回数の反射回数の検査部の反射波のエコー高さとを比較すれば、上記要因による変動を排除でき、精度よく剥離の有無を検出することが可能となる。
予め前記健全部における前記所定値以上となる反射波の反射回数の反射波の伝搬時間を求めておき、前記検査部における前記所定値以上となる反射波の反射回数の反射波の伝搬時間を求め、これら伝搬時間を比較することで前記層間剥離の有無を検査するとよい。例えば図6に示すように、第一の部材と第二の部材との界面に剥離が存在する場合、前記所定値以上となる反射波の反射回数の反射を繰り返した反射波の伝搬時間にずれが生じる。従って、予め求めた反射回数の健全部の反射波の伝搬時間と同回数の反射回数の検査部の反射波の伝搬時間とを比較すれば、伝搬時間のずれによって積層体の層間剥離の検出が可能となる。なお、この伝搬時間のずれは、超音波の周波数に依存するものではなく、原理的に周波数は特に限定されるものではない。
前記複数の部材は、前記一側に位置する第一の部材と、この第一の部材に設けられる第二の部材とを少なくとも含み、前記第一の部材は、前記第二の部材の音響インピーダンスより小となる材料よりなり、予め前記健全部における前記所定値以上となる反射波の反射回数の反射波の位相を求めておき、前記検査部における前記所定値以上となる反射波の反射回数の反射波の位相を求め、これら位相を比較することで前記層間剥離の有無を検査するようにしても構わない。
係る場合、予め前記健全部における前記所定値以上となる反射波の反射回数の反射波の伝搬時間を求めておき、前記検査部における前記所定値以上となる反射波の反射回数の反射波の伝搬時間を求め、これら伝搬時間を比較することで前記接着層と前記第二の部材との界面における層間剥離の有無を検査するとよい。第二の部材と接着層との界面に剥離が存在する場合、例えば図6に示すように、これら反射波の伝搬時間にずれが生じることが判明した。従って、予め求めた反射回数の健全部の反射波の伝搬時間と同回数の反射回数の検査部の反射波の伝搬時間とを比較すれば、伝搬時間のずれによって当該界面における剥離の検出が可能となる。
前記探触子を前記一側に沿って走査すると共に、前記検査部における前記所定値以上となる反射波の反射回数の反射波のエコー高さに基づいて走査画像を生成するとよい。上述したように、予め求めた反射回数の反射を繰り返した反射波に着目するので、走査画像を容易に生成でき、検査効率も向上する。
前記検査部における前記所定値以上となる反射波の反射回数の反射波のエコー高さが、前記健全部における前記所定値以上となる反射波の反射回数の反射波のエコー高さより小さい場合に、前記層間剥離の一部に腐食が存在すると判定するようにしてもよい。剥離部が腐食している場合、その腐食面で超音波は散乱反射するので、大きく減衰する。従って、予め求めた反射回数の健全部の反射波のエコー高さと同回数の反射回数の検査部の反射波のエコー高さとを比較すれば、エコー高さの差異によって剥離の有無に加えて当該部分の腐食の有無をも検出することが可能となる。
上記目的を達成するため、本発明に係る積層体の剥離検査装置の特徴は、複数の部材が積層した積層体の一側から超音波を入射すると共に多重反射波を受信する探触子と、受信した多重反射波を評価する信号処理装置を備え、受信した多重反射波を評価することにより層間剥離の有無を検査する構成において、前記信号処理装置は、予め、前記積層体の健全部において多重反射波を受信し、前記健全部におけるエコー高さに変動を与える前記探触子の前記積層体に対する接触状態並びに前記積層体の表面及び界面の荒れによる変動を含む多重反射波の各反射回数毎のエコー高さの変動範囲を求め、前記積層体の模擬剥離部において多重反射波を受信し、前記模擬剥離部におけるエコー高さに変動を与える前記探触子の前記積層体に対する接触状態並びに前記積層体の表面及び界面の荒れによる変動を含む多重反射波の各反射回数毎のエコー高さの変動範囲とを求め、求めた前記健全部における変動範囲と前記模擬剥離部における変動範囲とが重複しない領域を求め、求めた前記領域における最小の反射回数より大で且つ前記領域の高さが所定値以上となる反射波の反射回数を求め、前記積層体の検査部において多重反射波を受信し、前記検査部における予め求めた前記所定値以上となる反射波の反射回数の反射波のエコー高さと前記健全部における予め求めた前記所定値以上となる反射波の反射回数の反射波のエコー高さを比較することにより前記層間剥離の有無を検査することにある。

Claims (16)

  1. 複数の部材が積層した積層体の一側に配置した探触子から超音波を入射すると共に多重反射波を受信し、受信した多重反射波を評価することにより層間剥離の有無を検査する積層体の剥離検査方法であって、
    予め、前記積層体の健全部及び模擬剥離部において多重反射波をそれぞれ受信し、前記健全部における多重反射波のエコー高さと前記模擬剥離部における多重反射波のエコー高さとの差が所定値以上となる反射波の反射回数を求め、前記積層体の検査部において多重反射波を受信し、前記検査部における前記反射回数の反射波のエコー高さと前記健全部における前記反射回数の反射波のエコー高さを比較することにより前記層間剥離の有無を検査する積層体の剥離検査方法。
  2. 前記積層体は前記一側に塗装膜を備え、前記所定値は、前記エコー高さの差から前記塗装膜の膜厚による前記エコー高さの変動値を除いたものである請求項1記載の積層体の剥離検査方法。
  3. 前記所定値は、前記エコー高さの差から前記探触子の前記積層体に対する接触状態による前記エコー高さの変動値を除いたものである請求項1又は2記載の積層体の剥離検査方法。
  4. 予め、前記健全部における前記反射回数の反射波の伝搬時間を求め、前記検査部における前記反射回数の反射波の伝搬時間を求め、これら伝搬時間を比較することで前記層間剥離の有無を検査する請求項1〜3のいずれかに記載の積層体の剥離検査方法。
  5. 前記複数の部材は、前記一側に位置する第一の部材と、この第一の部材に設けられる第二の部材とを少なくとも含み、前記第一の部材は、前記第二の部材の音響インピーダンスより小となる材料よりなり、予め、前記健全部における前記反射回数の反射波の位相を求め、前記検査部における前記反射回数の反射波の位相を求め、これら位相を比較することで前記層間剥離の有無を検査する請求項1〜4のいずれかに記載の積層体の剥離検査方法。
  6. 前記複数の部材は、前記一側に位置する第一の部材と、この第一の部材に設けられる第二の部材と、これら部材を密着させる接着層とを少なくとも含み、前記第一の部材と前記接着層との界面における層間剥離を検査する請求項1記載の積層体の剥離検査方法。
  7. 予め、前記健全部における前記反射回数の反射波の伝搬時間を求め、前記検査部における前記反射回数の反射波の伝搬時間を求め、これら伝搬時間を比較することで前記接着層と前記第二の部材との界面における層間剥離の有無を検査する請求項6記載の積層体の剥離検査方法。
  8. 前記第一の部材は鋼材であり、前記第二の部材はフッ素樹脂ライニング材である請求項6又は7記載の積層体の剥離検査方法。
  9. 前記接着層は、前記鋼材に前記フッ素樹脂ライニング材を接着させる接着剤とガラスクロスとよりなる請求項8記載の積層体の剥離検査方法。
  10. 前記積層体は、液体用コンテナタンクである請求項8又は9記載の積層体の剥離検査方法。
  11. 前記積層体は、曲面を有する請求項1〜6のいずれかに記載の積層体の剥離検査方法。
  12. 前記探触子を前記一側に沿って走査すると共に、前記検査部における前記反射回数の反射波のエコー高さに基づいて走査画像を生成する請求項1〜11のいずれかに記載の積層体の剥離検査方法。
  13. 前記検査部における前記反射回数の反射波のエコー高さが、前記健全部における前記反射回数の反射波のエコー高さより小さい場合に、前記層間剥離の一部に腐食が存在すると判定する請求項1〜12のいずれかに記載の積層体の剥離検査方法。
  14. 前記探触子は、分割型探触子である請求項13記載の積層体の剥離検査方法。
  15. 複数の部材が積層した積層体の一側から超音波を入射すると共に多重反射波を受信する探触子と、受信した多重反射波を評価する信号処理装置を備え、受信した多重反射波を評価することにより層間剥離の有無を検査する積層体の剥離検査装置であって、
    前記信号処理装置は、予め、前記積層体の健全部及び模擬剥離部において多重反射波をそれぞれ受信し、前記健全部における多重反射波のエコー高さと前記模擬剥離部における多重反射波のエコー高さとの差が所定値以上となる反射波の反射回数を求め、前記積層体の検査部において多重反射波を受信し、前記検査部における前記反射回数の反射波のエコー高さと前記健全部における前記反射回数の反射波のエコー高さを比較することにより前記層間剥離の有無を検査する積層体の剥離検査装置。
  16. 前記信号処理装置は、前記探触子を走査して受信した多重反射波により走査画像を生成する請求項15記載の積層体の剥離検査装置。
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