JP4672441B2 - 超音波探傷方法及び探傷装置 - Google Patents

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Description

本発明は、超音波探傷方法及び探傷装置に関し、特に、超音波探触子の種類に関わらず被探傷材からのエコーの位相を精度良く検出することにより、欠陥の状態を精度良く認識可能とした超音波探傷方法及び探傷装置に関する。
従来より、鋼材等の被探傷材に存在する接合部の剥離やアルミナ介在物等の各種欠陥を検出するため、超音波探傷法が広く用いられている。超音波探傷法は、超音波を被探傷材に入射させ、被探傷材に存在する欠陥等からのエコーを検出することにより、欠陥の存在有無や寸法を検知する探傷方法である。
ここで、超音波は音響インピーダンス(密度×音速)の異なる界面で反射し、そのエコーの大きさは界面を構成する媒質の音響インピーダンスによって左右される。より具体的に説明すれば、図1に示すように、音響インピーダンスZの媒質1から音響インピーダンスZの媒質2へ超音波が垂直に入射した場合の音圧反射率r12は、下記の式(4)で定義され、音響インピーダンスZ、Zの値に応じて音圧反射率r12、ひいてはエコーの大きさが異なることになる。
12=(Z−Z)/(Z+Z) ・・・ (4)
上記式(4)において、Z>Zのとき、r12は正の値となるが、これは媒質2に入射した超音波の位相と媒質2で反射した超音波(エコー)の位相とが同じであることを意味する。一方、上記式(4)において、Z<Zのとき、r12は負の値となるが、これは媒質2で反射したエコーの位相が、媒質2に入射した超音波の位相に対して反転する(位相が180°だけずれる)ことを意味する。例えば、固体から水や空気のようにインピーダンスの小さい媒質に入射するときには、エコーの位相は反転することになる。従って、被探傷材内部に接合部の剥離(空気層)等の音響インピーダンスの小さい欠陥が生じていれば、当該欠陥からのエコーの位相は反転するため、音響インピーダンスが大きいためにエコーの位相が入射した超音波と同位相(正転)である他の欠陥との識別が可能であるといえる。
上記のようなエコーの位相反転の性質を利用して欠陥の種類を識別することを目的とし、従来の超音波探傷装置におけるCスコープ表示において、被探傷材の各探傷部位のエコーにおける正のピークの最大値と負のピークの絶対値の最大値との大小関係に基づいて、エコーの位相が反転しているか同位相であるかを判断する方法(負のピークの絶対値の最大値の方が大きければ位相が反転していると判断し、正のピークの最大値の方が大きければ位相は同位相であると判断する方法)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、欠陥や境界面からのエコーは、入射した縦波超音波の全反射領域では複素関数で表示され、その位相は0°から360°の範囲で連続的に変化し得る。すなわち、欠陥や境界面に対して超音波が斜めから入射する場合には、超音波の入射角と媒質1、2の音響インピーダンスによっては、欠陥や境界面からのエコーの位相は必ずしも0°又は180°とは限らず、それらの中間の位相になる場合がある。
また、実際の探傷においては、各種欠陥の状態に応じて位相の反転が明確に検知できない場合がある。すなわち、例えば剥離部位と密着部位とが混在したような欠陥の場合には、当該欠陥からのエコーが明確な位相の反転を示さない場合がある。
従って、特許文献1に記載のように、エコーの位相が反転しているか同位相であるかの何れか一方であると判断する方法では、剥離部位と密着部位とが混在したような完全密着状態から完全剥離状態に至るまでの中間段階の状態にある欠陥を検知することができず、各種欠陥の状態を精度良く認識することが困難であるという問題がある。
上記のような問題を解決することを目的として、特許文献2には、被探傷材の各探傷部位のエコーにおける正のピークの最大値と負のピークの絶対値の最大値の和と、この和の値と上記正のピークの最大値或いは負のピークの絶対値の最大値の何れかとの比とを算出し、これら和の値と比の値とを各々独立したパラーメータとする2種のデータの関係をCスコープ表示する方法が提案されている。より具体的には、一軸が上記和の値を示し且つこの軸と交叉する他の軸が上記比の値を示すと共に各領域が連続階調で異なる色彩或いは色相或いは明度を持つ平面座標を用いて、上記和の値と比の値とによって特定される上記座標位置の色彩或いは色相或いは明度を対応するCスコープ平面上にプロットしてCスコープ表示する方法が提案されている。
特開昭62−174653号公報 特許第2896385号公報
特許文献2に記載の方法によれば、上記和の値の大小に応じてCスコープ表示された色彩等を視認することにより、エコーの生じた部位に欠陥が存在しているか否かを識別可能であると共に、上記比の値の大小に応じてCスコープ表示された色彩等を視認することにより、エコーの位相が反転しているか又は同位相であるか或いはその中間の位相であるかを識別可能である。
しかしながら、本発明の発明者らが鋭意検討したところ、超音波探触子の種類に応じて(場合によっては同一仕様の超音波探触子であっても)発信される超音波の特性が異なる結果、たとえ同一の反射源からのエコーであっても、使用する超音波探触子の種類によってエコーの波形(エコーにおける正のピークの最大値と負のピークの絶対値の最大値との比率)が異なることが分かった。
表1は、本発明の発明者らが、各種の超音波探触子について、同一の反射源(所定の基準片表面)からのエコーの波形(エコーにおける正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとの比率P/N)を調査した結果の一例を示す。また、図2は、表1に示す超音波探触子No.1について得られたエコーの波形例を示す。なお、図2の横軸は時間を、縦軸は電圧(0.5Vを120%とした場合の割合)を意味する。






ここで、表1に示すように、超音波探触子としては、それぞれ仕様の異なるNo.1〜No.4の4種類の超音波探触子を用いた。特に、No.2の超音波探触子については、同じ仕様であるが別の超音波探触子を3つ(No.2(1)〜No.2(3))用い、No.3の超音波探触子については同じ仕様であるが別の超音波探触子を2つ(No.3(1)、No.3(2))用いてエコーの波形(P/N)を調査した。
表1に示すように、超音波探触子の種類に応じて(同一仕様の超音波探触子であっても)、同一の基準片からのエコーであっても、エコーの波形(P/N)が異なることが分かる。従って、特許文献2に記載の方法において、一軸が上記和の値を示し且つこの軸と交叉する他の軸が上記比の値を示すと共に各領域が連続階調で異なる色彩等を持つ平面座標を用いる際、使用する超音波探触子の種類によって、たとえ同一の欠陥であっても上記和の値と比の値とによって特定される座標位置が異なることになってしまう。換言すれば、何れの超音波探触子を使用する場合であっても同一の上記平面座標を用いたのでは、同一の欠陥であっても上記和の値と比の値とによって特定される座標位置が異なることになってしまう結果、異なる色彩等でCスコープ表示されることになり、各種欠陥の状態を精度良く認識することができなくなってしまうという問題がある。このような問題を解決するには、使用する超音波探触子毎に上記の平面座標を用意する必要があり、初期設定やメンテナンスに手間が掛かる他、装置の製造コストが増大するという新たな問題が生じることになる。
本発明は、斯かる従来技術の問題を解決するべくなされたものであり、超音波探触子の種類に関わらず被探傷材からのエコーの位相を精度良く検出することにより、欠陥の状態を精度良く認識可能とした超音波探傷方法及び探傷装置を提供することを課題とする。
斯かる課題を解決するべく、本発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載の如く、以下の第1〜第8ステップを含むことを特徴とする超音波探傷方法を提供するものである。すなわち、本発明の第1〜第3ステップでは、所定の基準片を用いてエコーを解析することにより、使用する超音波探触子の特性を解析する。
具体的には、第1ステップにおいて、超音波探触子から基準片に向けて超音波を発信し、前記超音波探触子で前記基準片表面からのエコーEを受信する。
第2ステップでは、前記エコーEについて、正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとを検出する。
そして、第3ステップにおいて、下記の式(1)で定義されるエコーEの振幅比Bを演算する。
B=Log(P/N) ・・・ (1)
次に、本発明の第4〜第6ステップでは、実際の被探傷材からのエコーを解析する。
具体的には、第4ステップにおいて、前記超音波探触子から被探傷材の各探傷部位に向けて超音波を発信し、前記超音波探触子で前記被探傷材内部からのエコーEを受信する。
第5ステップでは、前記エコーEについて、正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとを検出する。
そして、第6ステップにおいて、下記の式(2)で定義されるエコーEの振幅比Tを演算する。
T=Log(P/N) ・・・ (2)
さらに、本発明の第7〜第8ステップでは、超音波探触子の種類に依存しない被探傷材のエコーの特性を抽出し、表示する。
具体的には、第7ステップでは、前記被探傷材の各探傷部位について、前記振幅比Bに対する前記振幅比Tの比率T/Bを演算する。
そして、第8ステップにおいて、前記比率T/Bの値と、前記最大値P及び前記最大値Nのうち大きな方の値とに応じて、前記被探傷材の各探傷部位に対応する表示を異ならせたBスコープ表示又はCスコープ表示を行う。
斯かる発明によれば、第1〜第3ステップにおいて、基準片表面からのエコーEについて上記の式(1)で定義される振幅比Bを演算することにより、使用する超音波探触子の特性が抽出されることになる。例えば、ある超音波探触子について、接触媒質(水等)よりも音響インピーダンスの大きい材料からなる基準片を用いた場合(この場合、接触媒質から基準片に入射した超音波の位相と、基準片表面で反射したエコーEの位相とは、理論上同位相となるはずである)に、検出したエコーEの正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとの比が1:2であったとする。この場合、この超音波探触子については、振幅比B=Log(1/2)の得られたエコーが、入射した超音波と同位相のエコーであるという特性を有することが分かることになる。同様にして、別の超音波探触子について、検出したエコーEの正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとの比が2:3であったとすれば、この超音波探触子については、振幅比B=Log(2/3)の得られたエコーが、入射した超音波と同位相のエコーであるという特性を有することが分かることになる。
次に、第4〜第6ステップにおいて、被探傷材内部からのエコーEについて上記の式(2)で定義される振幅比Tを演算することにより、被探傷材の各探傷部位におけるエコーの特性が解析され、第7ステップにおいて、振幅比Bに対する振幅比Tの比率T/Bを演算することにより、超音波探触子の種類に依存しない被探傷材の各探傷部位におけるエコーの特性が抽出されることになる。例えば、前述した振幅比B=Log(1/2)の超音波探触子を用いると共に、被探傷材内部に存在する欠陥D1の音響インピーダンスが被探傷材の音響インピーダンスよりも小さいと仮定すれば、当該欠陥D1からのエコーEの位相は理論上反転することになるため、検出したエコーEの正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとの比は理論上2:1となる。従って、振幅比T=Log(2/1)となり、比率T/B=Log(2/1)/Log(1/2)=−1が得られることになる。同様にして、被探傷材内部に存在する欠陥D2の音響インピーダンスが被探傷材の音響インピーダンスよりも大きいと仮定すれば、当該欠陥D2からのエコーEの位相は理論上入射した超音波と同位相になるため、検出したエコーEの正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとの比は理論上1:2となる。従って、振幅比T=Log(1/2)となり、比率T/B=Log(1/2)/Log(1/2)=1が得られることになる。このように、比率T/Bを演算することにより、被探傷材の各探傷部位におけるエコーの特性が抽出されることになる。
ここで、上記の欠陥D1に対して、振幅比B=Log(2/3)の超音波探触子を用いた場合にも、当該欠陥D1からのエコーEの位相は理論上反転することになるため、検出したエコーEの正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとの比は理論上3:2となる。従って、振幅比T=Log(3/2)となり、この超音波探触子を用いた場合にも、先の超音波探触子(振幅比B=Log(1/2)の超音波探触子)と同じ値の比率T/B=Log(3/2)/Log(2/3)=−1が得られることになる。すなわち、振幅比Bに対する振幅比Tの比率T/Bを演算することにより、超音波探触子の種類に依存しない(振幅比Bに依存しない)エコーの特性が抽出されることになる。
そして、第8ステップにおいて、前記比率T/Bの値と、前記最大値P及び前記最大値Nのうち大きな方の値とに応じて、前記被探傷材の各探傷部位に対応する表示を異ならせた(例えば表示する色を異ならせた)Bスコープ表示又はCスコープ表示が行われる。これにより、最大値P及び最大値Nのうち大きな方の値の大小に応じて異なる表示を視認することにより、エコーEの生じた部位に欠陥が存在しているか否かを識別可能であると共に、比率T/Bの値の大小に応じて異なる表示を視認することにより、エコーの位相が反転しているか(T/B=−1)又は同位相であるか(T/B=1)或いはその中間の位相であるかを識別可能である。
以上に説明したように、請求項1に係る超音波探傷方法によれば、超音波探触子の種類に関わらず被探傷材からのエコーの位相を精度良く検出することができ、欠陥の状態を精度良く認識することが可能である。なお、本発明における「基準片」としては、例えば、接触媒質が水である場合にガラス板を用いるなど、接触媒質よりも音響インピーダンスの大きい材料から形成されたものを好適に用いることができる。また、「基準片表面からのエコーE」としては、超音波探触子から基準片表面までの距離を種々変更した場合において、その高さが最大となる場合のエコーを用いる。
なお、特許請求の範囲の請求項2に記載の如く、前記第8ステップにおいて、極座標系のθ座標が前記比率T/Bの値に対応し、r座標が前記最大値P及び前記最大値Nのうち大きな方の値に対応するように設定されると共に、θ座標及びr座標の値に応じて区画された各領域に異なる色が色付けされたカラーチャートを用意し、前記被探傷材の各探傷部位に対応する表示を行う際に、当該各探傷部位について演算した前記比率T/Bの値と、前記検出した最大値P及び前記最大値Nのうち大きな方の値とによって特定される前記カラーチャートの領域に色付けされた色を用いることが好ましい。
斯かる好ましい構成によれば、Bスコープ表示又はCスコープ表示された被探傷材の各探傷部位に対応する部分の色を視認し、当該表示色がカラーチャート上の何れの領域に色付けされた色に相当するかを確認する(Bスコープ表示又はCスコープ表示における表示色に対応するカラーチャート上のr座標及びθ座標を確認する)ことにより、前記各探傷部位に欠陥が存在しているか否かを、また各探傷部位のエコーの位相を容易に認識可能である。なお、「異なる色」とは、色相、彩度及び明度のうち、いずれか少なくとも一つが異なることを意味し、例えば、カラーチャートの各領域に、θ座標方向については互いに色相の異なる色を色付けする一方、r座標方向については色相は同一であるが互いに明度の異なる色を色付けするような構成を例示することができる。
また、特許請求の範囲の請求項3に記載の如く、好ましくは、前記θ座標は、前記比率T/Bの値と下記の式(3)で示す関係を有するように設定される。
θ(°)=−90×(T/B)+90 ・・・ (3)
斯かる好ましい構成によれば、エコーEの位相が入射した超音波と同位相である場合(すなわち、T/B=1である場合)にはθ=0°に設定され、エコーEの位相が反転した場合(すなわち、T/B=−1である場合)にはθ=180°に設定されるため、カラーチャートを視認することにより、各探傷部位のエコーEの位相、すなわちエコーEの位相が入射した超音波の位相に対してどれだけずれているかを極めて容易に認識することができる。
なお、前記課題を解決するべく、本発明は、特許請求の範囲の請求項4に記載の如く、超音波を反射源に向けて発信すると共に、前記反射源からのエコーを受信する超音波探触子と、前記超音波探触子で受信した前記反射源からのエコーをA/D変換するA/D変換器と、前記A/D変換器によってA/D変換されたエコーを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されたエコーに基づいて所定の演算を行う演算手段と、前記演算手段による演算結果に基づいてBスコープ表示又はCスコープ表示を行う表示手段とを備え、前記演算手段は、前記超音波探触子から前記反射源としての基準片に向けて超音波を発信し、前記超音波探触子で受信して前記記憶手段に記憶された前記基準片表面からのエコーEについて、正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとを検出し、前述した式(1)で定義されるエコーEの振幅比Bを演算するステップと、前記超音波探触子から前記反射源としての被探傷材の各探傷部位に向けて超音波を発信し、前記超音波探触子で受信して前記記憶手段に記憶された前記被探傷材内部からのエコーEについて、正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとを検出し、前述した式(2)で定義されるエコーEの振幅比Tを演算するステップと、前記被探傷材の各探傷部位について、前記振幅比Bに対する前記振幅比Tの比率T/Bを演算するステップとを実行し、前記表示手段は、前記比率T/Bの値と、前記最大値P及び前記最大値Nのうち大きな方の値とに応じて、前記被探傷材の各探傷部位に対応する表示を異ならせたBスコープ表示又はCスコープ表示を行うことを特徴とする超音波探傷装置としても提供される。
ここで、請求項4に係る超音波探傷装置の記憶手段に記憶された被探傷材内部からのエコーEが複数の波形からなる場合(例えば、同一の探傷部位に複数の欠陥が存在する場合など)、複数の波形全体について、正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとをそれぞれ独立別個に検出する構成が考えられる。斯かる構成を採用する場合には、正のピークの最大値Pを検出した波形と、負のピークの絶対値の最大値Nを検出した波形とが異なる(正のピークの最大値Pを検出した欠陥と、負のピークの絶対値の最大値Nを検出した欠陥とが異なる)ケースが生じる可能性がある。例えば、同一の探傷部位に広範囲に亘る欠陥が存在しており、複数の波形のそれぞれが実質的に同一の欠陥からのエコーであるとみなされる場合には、上記の構成でも特に問題は生じない。しかしながら、それぞれ性質の異なる欠陥が複数存在し、各欠陥に対応する複数の波形がエコーEとして検出されている場合には、各波形或いは代表的な波形(振幅の大きな波形)の位相を精度良く検出することにより、各欠陥或いは代表的な欠陥の状態を精度良く認識可能とすることが好ましい。
従って、好ましくは、特許請求の範囲の請求項5に記載の如く、前記演算手段は、前記記憶手段に記憶された前記被探傷材内部からのエコーEについて、正のピークの最大値Pを検出した位置を基準とした所定の幅を有する半波検出ゲートの範囲内において負のピークの絶対値の最大値Nを検出するように構成される。
斯かる好ましい構成によれば、正のピークの最大値Pを検出した位置を基準とした所定の幅を有する半波検出ゲートの範囲内において負のピークの絶対値の最大値Nを検出するため、エコーEが複数の波形からなる場合であっても、正のピークの最大値Pを検出した波形と同一の波形について負のピークの絶対値の最大値Nを検出できることが期待でき、これにより当該波形の位相を精度良く検出可能である。なお、「正のピークの最大値Pを検出した位置を基準とした所定の幅を有する半波検出ゲート」とは、正のピークの最大値Pを検出した波形の時間軸の位置を基準とし、当該基準位置(基準時)の前後に亘る幅(時間幅)であって、記憶手段に記憶されたエコーE全体の幅よりも小さい幅を有するゲートである限りにおいて特に限定されるものではないが、超音波探触子の仕様に応じて幅を適宜調整可能に構成することが好ましい。
或いは、好ましい構成として、特許請求の範囲の請求項6に記載の如く、前記演算手段は、前記記憶手段に記憶された前記被探傷材内部からのエコーEについて、負のピークの絶対値の最大値Nを検出した位置を基準とした所定の幅を有する半波検出ゲートの範囲内において正のピークの最大値Pを検出するように構成することも可能である。
斯かる好ましい構成によれば、負のピークの絶対値の最大値Nを検出した位置を基準とした所定の幅を有する半波検出ゲートの範囲内において正のピークの最大値Pを検出するため、エコーEが複数の波形からなる場合であっても、負のピークの絶対値の最大値Nを検出した波形と同一の波形について正のピークの最大値Pを検出できることが期待でき、これにより当該波形の位相を精度良く検出可能である。なお、「負のピークの絶対値の最大値Nを検出した位置を基準とした所定の幅を有する半波検出ゲート」とは、負のピークの絶対値の最大値Nを検出した波形の時間軸の位置を基準とし、当該基準位置(基準時)の前後に亘る幅(時間幅)であって、記憶手段に記憶されたエコーE全体の幅よりも小さい幅を有するゲートである限りにおいて特に限定されるものではないが、超音波探触子の仕様に応じて幅を適宜調整可能に構成することが好ましい。
また、好ましい構成として、特許請求の範囲の請求項7に記載の如く、前記演算手段は、前記記憶手段に記憶された前記被探傷材内部からのエコーEについて、所定の位置及び幅を有する複数の半波検出ゲートのそれぞれの範囲内において正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとを検出するように構成することも可能である。
斯かる好ましい構成によれば、所定の位置及び幅を有する複数の半波検出ゲートのそれぞれの範囲内において正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとを検出するため、エコーEが複数の波形からなる場合であっても、同一の波形に対して正のピークの最大値Pを検出すると共に負のピークの絶対値の最大値Nを検出できることが期待でき、これにより複数の波形のそれぞれについて位相を精度良く検出可能である。なお、「所定の位置及び幅を有する複数の半波検出ゲート」とは、記憶手段に記憶されたエコーEを構成する波形の何れかの時間軸の位置をそれぞれ基準とし、当該基準位置(基準時)の前後に亘る幅(時間幅)であって、記憶手段に記憶されたエコーE全体の幅よりも小さい幅を有するゲートである限りにおいて特に限定されるものではないが、超音波探触子の仕様に応じて幅を適宜調整可能に構成することが好ましい。
なお、特許請求の範囲の請求項8に記載の如く、前記表示手段は、極座標系のθ座標が前記比率T/Bの値に対応し、r座標が前記最大値P及び前記最大値Nのうち大きな方の値に対応するように設定されると共に、θ座標及びr座標によって区画される各領域に異なる色を色付け可能に構成されたカラーチャートを具備し、前記被探傷材の各探傷部位に対応する表示を行う際に、当該各探傷部位について前記演算手段が演算した前記比率T/Bの値と、前記検出した最大値P及び前記最大値Nのうち大きな方の値とによって特定される前記カラーチャートの所定領域に色付けされた色を用いるように構成することが好ましい。
さらに好ましくは、特許請求の範囲の請求項9に記載の如く、前記θ座標は、前記比率T/Bの値と前述した式(3)で示す関係を有するように設定される。
本発明に係る超音波探傷方法及び探傷装置によれば、超音波探触子の種類に関わらず被探傷材からのエコーの位相を精度良く検出することができ、欠陥の状態を精度良く認識することが可能である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る超音波探傷装置について説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る超音波探傷装置の電気的な概略構成を示すブロック図である。図3に示すように、本実施形態に係る超音波探傷装置100は、超音波を反射源に向けて発信すると共に、前記反射源からのエコーを受信する超音波探触子10と、超音波探触子10で受信した前記反射源からのエコーをA/D変換するA/D変換器20と、A/D変換器20によってA/D変換されたエコーを記憶する記憶手段30と、記憶手段30に記憶されたエコーに基づいて所定の演算を行う演算手段40と、演算手段40による演算結果に基づいてBスコープ表示又はCスコープ表示を行う表示手段50とを備えている。
また、本実施形態に係る超音波探傷装置100は、超音波探触子10から超音波を発振させるためのパルス信号を供給する発振器60と、超音波探触子10で受信した反射源からのエコーを増幅してA/D変換器20に出力する受信アンプ70と、超音波探触子10を走査するための走査機構80とを備えている。さらに、本実施形態に係る超音波探傷装置100は、走査機構80から出力された超音波探触子10の走査位置情報に基づき、所定のタイミングで同期信号を発振器60及びA/D変換器20の双方に出力する同期回路90を備えている。発振器60は、前記同期信号に応じたタイミングで超音波探触子10にパルス信号を出力する一方、A/D変換器20は、前記同期信号を基準とした所定の位置及び幅を有する範囲(探傷ゲート内)のエコーをA/D変換して記憶手段30に出力するように構成されている。
なお、本実施形態に係る記憶手段30、演算手段40及び表示手段50は、それぞれ汎用のパーソナルコンピュータのハードディスク、CPU及びモニタによって構成することが可能である。
以下、図4を適宜参照しつつ、上述した構成を有する超音波探傷装置100の動作(超音波探傷方法)について説明する。
図4は、本実施形態に係る超音波探傷装置100を用いた超音波探傷方法の手順を概略的に示すフロー図である。図4に示すように、本実施形態に係る超音波探傷方法においては、まず最初に、所定の基準片を用いてエコーを解析することにより、超音波探触子10の特性を解析する。具体的には、水槽内に配設した超音波探触子10から、同じく水槽内に配設した基準片に向けて超音波を発信し、超音波探触子10で前記基準片表面からのエコーEを受信する(図4のS1)。なお、前記基準片としては、ガラス板など接触媒質としての水よりも音響インピーダンスの大きい材料から形成されたものを好適に用いることができる。また、基準片表面からのエコーEとしては、超音波探触子10から基準片表面までの距離を種々変更した場合において、その高さが最大となる場合のエコーを用いる。
超音波探触子10で受信されたエコーEは、受信アンプ70で増幅された後、A/D変換器20でA/D変換され、記憶手段30内の所定領域に記憶される。そして、演算手段40は、記憶手段30に記憶された基準片表面からのエコーEについて、正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとを検出し(図4のS2)、下記の式(1)で定義されるエコーEの振幅比Bを演算する(図4のS3)。演算された振幅比Bは、後述する比率T/Bの演算に供するため、記憶手段30内の他の領域に記憶される。
B=Log(P/N) ・・・ (1)
以上のように、基準片表面からのエコーEについて上記の式(1)で定義される振幅比Bを演算することにより、使用する超音波探触子10の特性が抽出されることになる。例えば、ある超音波探触子10について、検出したエコーEの正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとの比が1:2であったとする。この場合、この超音波探触子10については、振幅比B=Log(1/2)の得られたエコーが、入射した超音波と同位相のエコーであるという特性を有することが分かることになる。同様にして、別の超音波探触子10について、検出したエコーEの正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとの比が2:3であったとすれば、この超音波探触子10については、振幅比B=Log(2/3)の得られたエコーが、入射した超音波と同位相のエコーであるという特性を有することが分かることになる。
次に、本実施形態に係る超音波探傷方法においては、実際の被探傷材からのエコーを解析する。具体的には、水槽内に配設した超音波探触子10から、同じく水槽内に配設した被探傷材の各探傷部位に向けて超音波を発信し、超音波探触子10で前記被探傷材内部からのエコーEを受信する(図4のS4)。
超音波探触子10で受信されたエコーEは、受信アンプ70で増幅された後、A/D変換器20でA/D変換され、記憶手段30内の所定領域に記憶される。そして、演算手段40は、記憶手段30に記憶された被探傷材内部からのエコーEについて、正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとを検出する(図4のS5)。
ここで、エコーEについて、正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとを検出する方法としては、種々の態様のものを採用することが可能である。図5は、正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとの各種検出方法を説明するための説明図である。まず、図5(a)に示すように、同一の探傷部位に複数の欠陥が存在すること等によって、探傷ゲート内に複数の波形が存在する(A/D変換器20でA/D変換され記憶手段30に記憶された複数の波形が存在する)場合、複数の波形全体について、正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとをそれぞれ独立別個に検出する構成が考えられる。図5(a)に示す例では、探傷ゲート内に3つの波形W1、W2及びW3が存在し、波形W1の正のピークP1=30%(所定の振幅を100%とした場合の割合を意味する。以下同様)で負のピークの絶対値N1=60%、波形W2の正のピークP2=40%で負のピークの絶対値N2=40%、波形W3の正のピークP3=50%で負のピークの絶対値N3=30%となっているが、波形W3の正のピークP3が正のピークの最大値Pとして検出され、波形W1の負のピークの絶対値N1が負のピークの絶対値の最大値Nとして検出されることになる。
例えば、同一の探傷部位に広範囲に亘る欠陥が存在しており、複数の波形のそれぞれが実質的に同一の欠陥からのエコーであるとみなされる場合には、図5(a)を参照して説明した検出方法を採用しても特に問題は生じない。しかしながら、それぞれ性質の異なる欠陥が複数存在し、各欠陥に対応する複数の波形がエコーEとして検出されている場合には、各波形或いは代表的な波形(振幅の大きな波形)の位相を精度良く検出することにより、各欠陥或いは代表的な欠陥の状態を精度良く認識可能とすることが好ましい。従って、図5(b)に示すように、正のピークの最大値Pを検出した位置(図5(b)に示す例では、波形W3の正のピークP3の位置)を基準とした所定の幅を有する半波検出ゲートの範囲内において負のピークの絶対値の最大値Nを検出する方法を採用することが好ましい。この検出方法によれば、正のピークの最大値Pを検出した波形と同じ波形(図5(b)に示す例では、波形W3)についての負のピークの絶対値(図5(b)に示す例では、負のピークの絶対値N3)が負のピークの絶対値の最大値Nとして検出されることになる。
或いは、図5(c)に示すように、負のピークの絶対値の最大値Nを検出した位置(図5(c)に示す例では、波形W1の負のピークの絶対値N1の位置)を基準とした所定の幅を有する半波検出ゲートの範囲内において正のピークの最大値Pを検出する方法を採用してもよい。この検出方法によれば、負のピークの絶対値の最大値Nを検出した波形と同じ波形(図5(c)に示す例では、波形W1)についての正のピーク(図5(c)に示す例では、正のピークP1)が正のピークの最大値Pとして検出されることになる。
さらには、図5(d)に示すように、所定の位置及び幅を有する複数の半波検出ゲート1〜3のそれぞれの範囲内において正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとを検出する方法を採用することも可能である。この検出方法によれば、各波形W1〜W3毎に、正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとが検出されることになる。なお、図5(d)に示す検出方法を採用する場合、後述するように表示手段50によってBスコープ表示又はCスコープ表示を行う際には、各波形W1〜W3の何れかを選択可能(半波検出ゲート1〜3の何れかを選択可能)とし、当該選択した波形について検出した最大値P及び最大値Nに基づいて演算した比率T/Bと、前記選択した波形について検出した最大値P及び最大値Nのうち大きな方の値とによって特定されるカラーチャートの所定領域に色付けされた色を用いて各探傷部位に対応する表示を行えるように構成すればよい。或いは、同じ探傷部位について、全ての波形W1〜W3に対応する表示をマルチ画面等で同時に表示する構成を採用することも可能である。
なお、図5(a)〜(d)を参照して説明した正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとを検出する方法は、そのいずれか一つの検出方法を採用し、当該採用した検出方法を演算手段40が実行するようにプログラミングしておくことが可能である。或いは、図5(a)〜(d)を参照して説明した複数の検出方法の何れをも実行可能に構成しておき、実際に探傷する際に何れかを適宜選択可能にすることも可能である。
演算手段40は、以上のようにして検出した正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとに基づいて、下記の式(2)で定義されるエコーEの振幅比Tを演算する(図4のS6)。
T=Log(P/N) ・・・ (2)
以上のように、被探傷材内部からのエコーEについて上記の式(2)で定義される振幅比Tを演算することにより、被探傷材の各探傷部位におけるエコーの特性が解析されることになる。例えば、前述した振幅比B=Log(1/2)の超音波探触子10を用いると共に、被探傷材内部に存在する欠陥D1の音響インピーダンスが被探傷材の音響インピーダンスよりも小さいと仮定すれば、当該欠陥D1からのエコーEの位相は理論上反転することになるため、検出したエコーEの正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとの比は理論上2:1となる。従って、振幅比T=Log(2/1)となり、比率T/B=Log(2/1)/Log(1/2)=−1が得られることになる。同様にして、被探傷材内部に存在する欠陥D2の音響インピーダンスが被探傷材の音響インピーダンスよりも大きいと仮定すれば、当該欠陥D2からのエコーEの位相は理論上入射した超音波と同位相になるため、検出したエコーEの正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとの比は理論上1:2となる。従って、振幅比T=Log(1/2)となり、比率T/B=Log(1/2)/Log(1/2)=1が得られることになる。このように、比率T/Bを演算することにより、被探傷材の各探傷部位におけるエコーの特性が抽出されることになる。
次に、本実施形態に係る超音波探傷方法においては、超音波探触子10の種類に依存しない被探傷材のエコーの特性を抽出する。具体的には、演算手段40が、被探傷材の各探傷部位について、振幅比Bに対する振幅比Tの比率T/Bを演算し(図4のS7)、演算された各探傷部位毎の比率T/Bが記憶手段30内の所定領域に記憶される。以上の各探傷部位毎の比率T/Bの演算及び記憶は、走査機構80によって被探傷材の全ての探傷部位に対して超音波探触子10の走査が完了するまで繰り返される。なお、各探傷部位毎の比率T/Bの記憶と共に、各探傷部位毎に検出した正のピークの最大値P及び負のピークの絶対値の最大値Nも記憶される。
以上のように、振幅比Bに対する振幅比Tの比率T/Bを演算することにより、超音波探触子10の種類に依存しない被探傷材の各探傷部位におけるエコーの特性が抽出されることになる。例えば、上述した欠陥D1に対して、振幅比B=Log(2/3)の超音波探触子10を用いた場合にも、当該欠陥D1からのエコーEの位相は理論上反転することになるため、検出したエコーEの正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとの比は理論上3:2となる。従って、振幅比T=Log(3/2)となり、この超音波探触子10を用いた場合にも、振幅比B=Log(1/2)の超音波探触子を用いた場合と同じ値の比率T/B=Log(3/2)/Log(2/3)=−1が得られることになる。すなわち、振幅比Bに対する振幅比Tの比率T/Bを演算することにより、超音波探触子10の種類に依存しない(振幅比Bに依存しない)エコーの特性が抽出されることになる。
最後に、本実施形態に係る超音波探傷方法においては、前記抽出した超音波探触子10の種類に依存しない被探傷材のエコーの特性を表示する。具体的には、表示手段50が、記憶手段30内の所定領域に記憶された各探傷部位毎の比率T/Bの値と、最大値P及び最大値Nのうち大きな方の値とに応じて、被探傷材の各探傷部位に対応する表示を異ならせたBスコープ表示又はCスコープ表示を行う(図4のS8)。
表示手段50は、図6に示すように、極座標系のθ座標が比率T/Bの値に対応し、r座標が最大値P及び最大値Nのうち大きな方の値に対応するように設定されると共に、θ座標及びr座標によって区画される各領域(図6に示す例ではA1〜A19の各領域)に異なる色を色付け可能に構成されたカラーチャートを具備している。より具体的に説明すれば、カラーチャートのθ座標は、比率T/Bの値と下記の式(3)で示す関係を有するように設定されている。一方、カラーチャートのr座標は、所定の振幅を基準(100%)として、0〜120%の範囲内における適宜の上下限値が設定されている。
θ(°)=−90×(T/B)+90 ・・・ (3)
なお、「異なる色」とは、色相、彩度及び明度のうち、いずれか少なくとも一つが異なることを意味し、例えば、カラーチャートの各領域に、θ座標方向については互いに色相の異なる色を色付けする一方、r座標方向については色相は同一であるが互いに明度の異なる色を色付けするような構成を例示することができる。
そして、表示手段50に表示されたカラーチャートの各領域A1〜A19のそれぞれに所定の色を予め設定しておくことにより、表示手段50がBスコープ表示又はCスコープ表示を行う際に、各探傷部位について記憶された比率T/Bの値(θ座標に対応)と、最大値P及び最大値Nのうち大きな方の値(r座標に対応)とによって特定される前記カラーチャートの所定領域に色付けされた色を用いて各探傷部位に対応する表示が行われる。
以上のように、比率T/Bの値と、最大値P及び最大値Nのうち大きな方の値とに応じて、被探傷材の各探傷部位に対応する表示を異ならせたBコープ表示又はCスコープ表示が行われることにより、最大値P及び最大値Nのうち大きな方の値の大小に応じて異なる表示を視認することにより、エコーEの生じた部位に欠陥が存在しているか否かを識別可能であると共に、比率T/Bの値の大小に応じて異なる表示を視認することにより、エコーの位相が反転しているか(T/B=−1)又は同位相であるか(T/B=1)或いはその中間の位相であるかを識別可能である。
特に、本実施形態においては、Bスコープ表示又はCスコープ表示された被探傷材の各探傷部位に対応する部分の色を視認し、当該表示色がカラーチャート上の何れの領域に色付けされた色に相当するかを確認する(Bスコープ表示又はCスコープ表示における表示色に対応するカラーチャート上のr座標及びθ座標を確認する)ことにより、各探傷部位に欠陥が存在しているか否かを、また各探傷部位のエコーの位相を容易に認識可能である。また、本実施形態では、エコーEの位相が入射した超音波と同位相である場合(すなわち、T/B=1である場合)にはθ=0°に設定され、エコーEの位相が反転した場合(すなわち、T/B=−1である場合)にはθ=180°に設定されるため、カラーチャートを視認することにより、各探傷部位のエコーEの位相、すなわちエコーEの位相が入射した超音波の位相に対してどれだけずれているかを極めて容易に認識することができる。
以上に説明したように、本実施形態に係る超音波探傷装置100及びこれを用いた超音波探傷方法によれば、従来とは異なり、超音波探触子10の種類に関わらず被探傷材からのエコーの位相を精度良く検出することができ、これにより欠陥の状態を精度良く認識することが可能である。
図1は、超音波の音圧反射率を説明するための説明図である。 図2は、一の超音波探触子について得られたエコーの波形例を示す。 図3は、本発明の一実施形態に係る超音波探傷装置の電気的な概略構成を示すブロック図である。 図4は、図3に示す超音波探傷装置を用いた超音波探傷方法の手順を概略的に示すフロー図である。 図5は、図3に示す演算手段における正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとの各種検出方法を説明するための説明図である。 図6は、図3に示す表示手段が具備するカラーチャートの一例を示す図である。
符号の説明
10・・・超音波探触子
20・・・A/D変換器
30・・・記憶手段
40・・・演算手段
50・・・表示手段
100・・・超音波探傷装置

Claims (9)

  1. 超音波探触子から基準片に向けて超音波を発信し、前記超音波探触子で前記基準片表面からのエコーEを受信する第1ステップと、
    前記エコーEについて、正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとを検出する第2ステップと、
    下記の式(1)で定義されるエコーEの振幅比Bを演算する第3ステップと、
    前記超音波探触子から被探傷材の各探傷部位に向けて超音波を発信し、前記超音波探触子で前記被探傷材内部からのエコーEを受信する第4ステップと、
    前記エコーEについて、正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとを検出する第5ステップと、
    下記の式(2)で定義されるエコーEの振幅比Tを演算する第6ステップと、
    前記被探傷材の各探傷部位について、前記振幅比Bに対する前記振幅比Tの比率T/Bを演算する第7ステップと、
    前記比率T/Bの値と、前記最大値P及び前記最大値Nのうち大きな方の値とに応じて、前記被探傷材の各探傷部位に対応する表示を異ならせたBスコープ表示又はCスコープ表示を行う第8ステップと、
    を含むことを特徴とする超音波探傷方法。
    B=Log(P/N) ・・・ (1)
    T=Log(P/N) ・・・ (2)
  2. 前記第8ステップにおいて、
    極座標系のθ座標が前記比率T/Bの値に対応し、r座標が前記最大値P及び前記最大値Nのうち大きな方の値に対応するように設定されると共に、θ座標及びr座標の値に応じて区画された各領域に異なる色が色付けされたカラーチャートを用意し、
    前記被探傷材の各探傷部位に対応する表示を行う際に、当該各探傷部位について演算した前記比率T/Bの値と、前記検出した最大値P及び前記最大値Nのうち大きな方の値とによって特定される前記カラーチャートの領域に色付けされた色を用いることを特徴とする請求項1に記載の超音波探傷方法。
  3. 前記θ座標は、前記比率T/Bの値と下記の式(3)で示す関係を有するように設定されることを特徴とする請求項2に記載の超音波探傷方法。
    θ(°)=−90×(T/B)+90 ・・・ (3)
  4. 超音波を反射源に向けて発信すると共に、前記反射源からのエコーを受信する超音波探触子と、
    前記超音波探触子で受信した前記反射源からのエコーをA/D変換するA/D変換器と、
    前記A/D変換器によってA/D変換されたエコーを記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段に記憶されたエコーに基づいて所定の演算を行う演算手段と、
    前記演算手段による演算結果に基づいてBスコープ表示又はCスコープ表示を行う表示手段とを備え、
    前記演算手段は、
    前記超音波探触子から前記反射源としての基準片に向けて超音波を発信し、前記超音波探触子で受信して前記記憶手段に記憶された前記基準片表面からのエコーEについて、正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとを検出し、下記の式(1)で定義されるエコーEの振幅比Bを演算するステップと、
    前記超音波探触子から前記反射源としての被探傷材の各探傷部位に向けて超音波を発信し、前記超音波探触子で受信して前記記憶手段に記憶された前記被探傷材内部からのエコーEについて、正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとを検出し、下記の式(2)で定義されるエコーEの振幅比Tを演算するステップと、
    前記被探傷材の各探傷部位について、前記振幅比Bに対する前記振幅比Tの比率T/Bを演算するステップとを実行し、
    前記表示手段は、前記比率T/Bの値と、前記最大値P及び前記最大値Nのうち大きな方の値とに応じて、前記被探傷材の各探傷部位に対応する表示を異ならせたBスコープ表示又はCスコープ表示を行うことを特徴とする超音波探傷装置。
    B=Log(P/N) ・・・ (1)
    T=Log(P/N) ・・・ (2)
  5. 前記演算手段は、前記記憶手段に記憶された前記被探傷材内部からのエコーEについて、正のピークの最大値Pを検出した位置を基準とした所定の幅を有する半波検出ゲートの範囲内において負のピークの絶対値の最大値Nを検出するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の超音波探傷装置。
  6. 前記演算手段は、前記記憶手段に記憶された前記被探傷材内部からのエコーEについて、負のピークの絶対値の最大値Nを検出した位置を基準とした所定の幅を有する半波検出ゲートの範囲内において正のピークの最大値Pを検出するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の超音波探傷装置。
  7. 前記演算手段は、前記記憶手段に記憶された前記被探傷材内部からのエコーEについて、所定の位置及び幅を有する複数の半波検出ゲートのそれぞれの範囲内において正のピークの最大値Pと負のピークの絶対値の最大値Nとを検出するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の超音波探傷装置。
  8. 前記表示手段は、
    極座標系のθ座標が前記比率T/Bの値に対応し、r座標が前記最大値P及び前記最大値Nのうち大きな方の値に対応するように設定されると共に、θ座標及びr座標によって区画される各領域に異なる色を色付け可能に構成されたカラーチャートを具備し、
    前記被探傷材の各探傷部位に対応する表示を行う際に、当該各探傷部位について前記演算手段が演算した前記比率T/Bの値と、前記検出した最大値P及び前記最大値Nのうち大きな方の値とによって特定される前記カラーチャートの所定領域に色付けされた色を用いることを特徴とする請求項4から7の何れかに記載の超音波探傷装置。
  9. 前記θ座標は、前記比率T/Bの値と下記の式(3)で示す関係を有するように設定されることを特徴とする請求項8に記載の超音波探傷装置。
    θ(°)=−90×(T/B)+90 ・・・ (3)
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