JP2009097890A - 構造用集成材の非破壊検査方法及び装置 - Google Patents

構造用集成材の非破壊検査方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】構造用集成材の破壊を伴うことなくその内部の接着不良の検査を正確にかつ効率よく行うことができる構造用集成材の非破壊検査方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、構造用集成材11の接着状態の非破壊検査方法であって、構造用集成材11に対する振動付与、振動検出、波形解析、接着不良判定の各ステップを含む。振動検出ステップでは、構造用集成材11の振動を検出して電気信号に変換する。波形解析ステップでは、電気信号に基づいて解析処理を行い、振動周波数スペクトルを算出する。接着不良判定ステップでは、算出した振動周波数スペクトルのピークと基準振動周波数スペクトルのピークとを比較する。算出した振動周波数スペクトルの低周波数側へのピークシフトが起きていない場合、接着不良なしと判定される。ピークシフトが起きている場合、接着不良ありと判定される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、構造用集成材を非破壊で検査する方法及びそのための装置に関するものである。
ひき板や角材を積層接着し一体化させて得られる大断面材や長い通直材、あるいは湾曲材などの木質材は、集成材と呼ばれている。一般的に大断面の木材や長い通直木材等を得たい場合、樹齢の大きい木を必要とするばかりでなく、乾燥等に長い年月を必要とすることから、大量生産は殆ど見込めない状況にある。これに対して集成材によれば、大断面材や長い通直材、あるいは湾曲材などを大量にかつ経済的に生産することが可能である。しかも、集成材は単位重量当りの強度(比強度)がコンクリートの3倍もあることに加え、耐火性や寸法安定性などに優れるといった利点を有している。そのため、構造用集成材は木造の大空間建築物の建設に積極的に利用されつつある。
ここで、一般的な構造用集成材の製造方法について簡単に説明する(例えば、特許文献1参照)。まず、丸太を割って原板(ラミナ)に加工する。次に、乾燥を行ってラミナの水分(含水率)を人工的に平均含水率(15%以下)にする。次に、ムラ取り等を行った後、木材の強度を測定して仕分けを行うグレーディングを行い、さらにラミナの表面を平滑化する。次に、ラミナを貼り合わせるためにJASで決められた高性能の接着剤を基準量塗り、ラミナを複数枚積層配置してそれらをプレス機でプレスして一体化する。この後、表面の仕上げを施し、外観検査を行った後、製品として出荷するようになっている。
ところで、この種の構造用集成材が高い強度を発揮するためには、ラミナ同士が強固に接着している必要があるが、接着後の時点では接着剤層の様子を目視確認して接着不良を発見することは不可能である。そこで、接着不良の有無を検査するために、一部の構造用集成材をサンプリングして接着力試験を行う、という手法を採ることも考えられる。しかし、構造用集成材の破壊を伴うこの手法では、全数検査を行うことができず、結局はサンプリング検査に止まることから、出荷する製品の全てが良品であるという保障が得られない。
そこで、近年においては、構造用集成材等のような木製の材料を破壊することなく内部の接着不良の有無を検査するために、様々な手法が研究されてきた。その一例としては、材料に超音波を当てて接着不良等の欠陥を検査する超音波深傷法や、材料中における接着不良等の欠陥箇所において発生するアコースティックエミッションを検知して接着不良等の欠陥を検知するアコースティックエミッション法等が従来知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開平9−184238号公報 特開平8−334500号公報
しかしながら、上記従来の非破壊試験方法は、ある程度薄い板材について有効な手法となりうる反面、ある程度厚さのある構造用集成材については、音や超音波が減衰して深部に十分に到達しなくなる場合があり、必ずしも有効な手法であるとは言えない。従って、この方法を適用したとしても、構造用集成材の内部の接着不良を正確に検知することができない。
また、上記従来の非破壊試験方法を行う場合には、例えば音や超音波を発生するプローブを構造用集成材等の材料の全体についてスキャンさせて、材料内部からの反射波を受信する必要がある。従って、その分だけ検査時間が掛かってしまうため効率が悪く、これが原因となって生産性を著しく低下させてしまうおそれがある。
以上述べたように、従来においては構造用集成材の接着不良の有無を検査する有効な方法及び装置が存在せず、それゆえ接着工程後の外観検査で特に問題がなければ、良品とみなして製品を出荷せざるを得なかった。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、構造用集成材の破壊を伴うことなくその内部の接着不良の検査を正確にかつ効率よく行うことができる構造用集成材の非破壊検査方法、及び、その方法を行うのに適した装置を提供することにある。
そこで上記課題を解決するために、本願発明者らが鋭意研究を行ったところ、構造用集成材に振動を付与したときの振動波形に若干相違が生じることに着目し、とりわけ振動周波数スペクトルの高次ピークの値が、接着剤層に何らかの欠陥がある場合には低周波数側にシフトするという現象を新規に知見した。そこで、本願発明者らはこの新規な知見を接着不良の良否判定に利用することを思い付き、さらに鋭意研究を続けた結果、以下の発明を完成させるに至ったのである。
即ち、上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数枚のラミナを積層して接着剤で接着してなる構造用集成材の接着状態を非破壊で検査する方法であって、前記構造用集成材に振動を付与する振動付与ステップと、前記構造用集成材の振動を検出して電気信号に変換する振動検出ステップと、前記電気信号に基づいて解析処理を行い、振動周波数スペクトルを算出する波形解析ステップと、算出した振動周波数スペクトルのピークと、正常接着品を基準にしたときの基準振動周波数スペクトルのピークとを比較し、当該算出した振動周波数スペクトルのピークが低周波数側へシフトしていない場合には接着不良なしと判定し、シフトしている場合には接着不良ありと判定する接着不良判定ステップとを含むことを特徴とする構造用集成材の非破壊検査方法をその要旨とする。
従って、請求項1に記載の発明によると、振動周波数スペクトルの低周波数側へのピークシフトという現象に着目し、その現象の有無により接着不良の有無を判定している。このため、構造用集成材の破壊を伴うことなくその内部の接着不良の検査を行うことができ、従来不可能であった全数検査も実施可能となる。しかも、本発明の方法によれば、音や超音波の内部照射を行いその反射波を受信する従来の非破壊検査方法とは異なり、ある程度厚さのある構造用集成材であったとしても、その内部の接着不良を正確に検知することができる。また、本発明の方法によれば、構造用集成材に対する振動の付与及び検出というシンプルな作業で足りるため、音や超音波を発生するプローブを構造用集成材の全体についてスキャンさせる必要のある従来方法とは異なり、比較的短時間で検査を行うことができる。よって、非破壊による構造用集成材の接着不良検査を効率よく行うことができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記接着不良判定ステップでは、前記波形解析ステップにおいて算出した前記振動周波数スペクトルに含まれる複数のピークのうち、相対的に高周波数側に位置する高次ピークを抽出し、当該高次ピークを前記基準振動周波数スペクトルにおける高次ピークと比較することをその要旨とする。
従って、請求項2に記載の発明によると、特にピークシフトが顕著に現れやすい三次ピークあるいは四次ピークといった高次ピークを選択し、同様に基準振動周波数スペクトルにおける三次ピークあるいは四次ピークといった高次ピークと比較することにより、構造用集成材の接着不良検査をより正確に行うことができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記振動付与ステップでは、離間した2箇所に配置された一対の支持部材上に前記構造用集成材を横置きで支持させ、この状態で2つの支持点間の略中間位置を、前記ラミナの積層方向に沿って打撃して振動を付与することをその要旨とする。
従って、請求項3に記載の発明によると、構造用集成材が一対の支持部材上に安定的に支持される。また、このような安定支持状態で、2つの支持点間の略中間位置、即ち最も振動しやすい位置を好適な方向から打撃することにより、低周波数側へのピークシフトをもたらす振動を比較的小さい力で簡単に付与することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記振動検出ステップでは、前記構造用集成材における前記2つの支持点間の略中間位置の振動を、非接触式の振動検出センサを用いて非接触で検出することをその要旨とする。
例えば接触式の振動検出センサを用いた場合には、前記構造用集成材に対して当該センサの接離動作が必要となり、その分だけ作業が煩雑になるおそれがあるが、非接触式の振動検出センサを用いる請求項4に記載の発明によると、このような作業の煩雑化といった不利益が解消される。よって、検査を短時間で効率よく行うことが可能となり、ひいては生産性の向上を達成しやすくなる。
請求項5に記載の発明は、複数枚のラミナを積層して接着剤で接着してなる構造用集成材の接着状態を非破壊で検査するための装置であって、前記構造用集成材を少なくとも1点で支持する集成材支持部材と、前記集成材支持部材により支持された状態の前記構造用集成材に振動を付与する振動付与手段と、前記構造用集成材の振動を検出して電気信号に変換する振動検出センサと、前記電気信号に基づいて解析処理を行い、振動周波数スペクトルを算出する波形解析手段と、正常接着品を基準にしたときの基準振動周波数スペクトルのデータを記憶する記憶手段と、算出した振動周波数スペクトルのピークと基準振動周波数スペクトルのピークとを比較し、当該算出した振動周波数スペクトルのピークが低周波数側へシフトしていない場合には接着不良なしと判定し、シフトしている場合には接着不良ありと判定する接着不良判定手段とを備えることを特徴とする構造用集成材の非破壊検査装置をその要旨とする。
従って、請求項5に記載の発明によると、集成材支持部材により支持された状態の構造用集成材に対し、振動付与手段によって好適な振動が確実に付与される。そして、振動検出センサがその振動を検出して電気信号に変換し、その電気信号を入力した波形解析手段が演算による解析処理を行い、振動周波数スペクトルのピークを複数含む振動周波数スペクトルを算出する。すると、記憶手段から基準振動周波数スペクトルのデータが読み出され、接着不良判定手段が、当該基準振動周波数スペクトルのピークと、波形解析手段が算出した振動周波数スペクトルのピークとを比較する。そしてこの比較結果から、低周波数側へのピークシフト現象の発生の有無が判定され、もって接着不良の有無が判定される。従って、本発明の装置によれば、上記請求項1等に記載の非破壊検査方法を確実に行うことが可能となり、非破壊による構造用集成材の接着不良検査を正確にかつ効率よく行うことができる。
以上詳述したように、請求項1〜5に記載の発明によると、構造用集成材の破壊を伴うことなくその内部の接着不良の検査を正確にかつ効率よく行うことができる。
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施形態において構造用集成材11の接着不良検査を行うための非破壊検査装置21を示す概略図である。図2(a)は正常接着品である構造用集成材11についての振動周波数スペクトルを示すグラフであり、図2(b)は接着不良品である構造用集成材11についての振動周波数スペクトルを示すグラフである。
図1に示されるように、本実施形態の非破壊検査装置21による検査対象である構造用集成材11は、複数枚のラミナ12を積層して接着剤13で接着してなる構造物である。接着剤としては、接着性、耐久性、耐火性に優れたレゾルシノール樹脂接着剤や水性高分子イソシアネート系樹脂接着剤などが使用される。ラミナとしては、カラマツ、ベイマツ、スギ、ヒノキなどの木材を割って平板状に加工したものが使用される。
このような構造用集成材11は、集成材支持部材としての一対のアングル22上に横置きで支持される。本実施形態において非破壊検査装置21を構成するアングル22は、断面略V字状を呈する部材であって、それらは互いに離間して配置されている。アングル22の材質は特に限定されず、金属製、プラスチック製、ゴム製のいずれであってもよいが、木からなる構造用集成材11を傷付けにくいという点で、木よりも軟質なゴム製のものを使用することが好ましい。また、アングル22の断面形状は略C字状あるいは略半円形状であってもよい。
本実施形態において非破壊検査装置21を構成する振動付与手段は、ハンマー23であって、一対のアングル22により支持された状態の構造用集成材11の所定箇所を打撃して振動を付与するために使用される。ハンマー23の材質は限定されず、金属製、プラスチック製、ゴム製のいずれであってもよいが、ここでは構造用集成材11の傷付きを未然に防ぐためにプラスチック製ハンマーヘッドを備えるハンマー23を敢えて使用している。本実施形態ではハンマー23がハンマー駆動装置24により動作するように構成されているが、これを省略して手動でハンマー23を操作するようにしても勿論よい。ただし、ハンマー駆動装置24を用いて自動的に打撃して振動を付与する方法であると、打撃力及び打撃方向を均一に設定しやすいので、検査精度の向上に関してプラスに作用する。また、ハンマー23によって構造用集成材11を打撃する位置は特に限定されず任意であるが、本実施形態では一対のアングル22による2つの支持点P1,P1間の略中間位置M1を打撃点として設定している。また、ラミナ12の積層方向に沿った方向となるように、言い換えるとラミナ12の主面に対して直交する方向となるように、打撃方向を設定している。
本実施形態において非破壊検査装置21を構成する振動検出センサは2種類であって、接触式振動検出センサ31と非接触式振動検出センサ32とがそれぞれ使用されている。より具体的にいうと、ここでは接触式振動検出センサ31として従来公知の接触式加速度センサが使用され、当該センサはハンマー23による打撃位置の近傍にて構造用集成材11表面に接触するようにして配置されている。また、非接触式振動検出センサ32としてレーザードップラー振動計が使用され、当該振動計はハンマー23による打撃位置の近傍を照準として構造用集成材11の振動を検出できる位置に配置されている。そして、本実施形態の接触式振動検出センサ31及び非接触式振動検出センサ32は、いずれも構造用集成材11の振動を検出してアナログの電気信号に変換し、これを出力信号として外部機器に出力するように構成されている。なお、これら2種類の振動検出センサ31,32は、いずれか一方のみを使用して振動を検出してもよいし、両方同時に使用して振動を検出してもよい。
接触式振動検出センサ31及び非接触式振動検出センサ32は、増幅回路41及びA/D変換回路42を介して、汎用のパーソナルコンピュータ51の入出力ポート52に電気的に接続されている。従って、これらセンサ31,32から出力されたアナログの電気信号(即ち振動波形信号)は、それぞれ増幅された後にデジタル信号に変換され、コンピュータ51内に取り込まれるようになっている。
当該コンピュータ51は、CPU53、ROM54、RAM55等を内部に備えるとともに、入力手段であるキーボード56や表示手段であるディスプレイ57等を備えている。CPU53は、ROM54内に格納されている所定の非破壊検査用プログラムに従って各種の演算を実行するようになっている。RAM55には、基準振動周波数スペクトルのデータが記憶されるとともに、CPU53が算出した振動周波数スペクトルのデータが一時的に記憶されるようになっている。波形解析手段でもあるCPU53は、取り込んだ前記電気信号に基づいて所定の解析処理(例えば高速フーリエ変換処理など)を行い、振動周波数スペクトルを算出するようになっている。また、接着不良判定手段でもあるCPU53は、算出した振動周波数スペクトルのピークと前記基準振動周波数スペクトルのピークとを比較し、当該算出した振動周波数スペクトルが低周波数側へピークシフトしているか否かを判定するようになっている。
具体例を挙げて説明すると、CPU53は、所定のピークの周波数の値をRAM55から読み出し、この値から、当該算出した振動周波数スペクトルにおける対応したピークの周波数の値を減算する。そしてCPU53は、このときの減算値Mが0以下の場合にはピークシフト現象が起きておらず「接着不良なし」と判定し、減算値Mが0よりも大きい場合にはピークシフト現象が起きており「接着不良あり」と判定するようになっている。
また、CPU53は、算出した振動周波数スペクトルまたは前記判定結果をRAM55に記憶するとともに、所定の表示用画像信号を作成してこれをディスプレイ57に出力するようになっている。そして、この画像信号を受け取ったディスプレイ57は、作業者がわかりやすい態様(例えば振動周波数スペクトルをグラフ化し、ピークシフトが起きている箇所を丸で囲むような態様など)で上記の判定結果を表示するようになっている。
以下、上記実施形態の非破壊検査装置21を用いて行った接着不良検査について、より具体化な実施例を説明する。
[実施例]
まず、供試体である構造用集成材11の作製について説明する。本実施例では、寸法が厚さ180mm×幅105mm×長さ4000mmである6プライの構造用集成材11を用いた。なお、構造用集成材11を構成する各ラミナ12は、厚さ30mmであって、JASに規定するL100に相当する曲げヤング係数を有するものとした。ここでは、厚さ方向から3層目に意図的に接着不良を発生させた接着不良品(接着剤層1層の面積に対するはく離した面積の比で定義される「はく離率」が4.0%)を作製した。また、比較用として正常接着品(健全品)も作製した。
次に、非破壊検査装置21による試験方法について説明する。本試験では、一対のゴム製のアングル22を角部を上向きにして2000mm間隔で離間配置し、それらの上に構造用集成材11を横置きで水平に載置した。このとき、構造用集成材11の重心を、2つの支持点P1,P1間の略中間位置M1、つまり2つの支持点P1,P1からそれぞれ約1000mmとなる位置に配置するようにした。次に、プラスチック製のハンマー23で略中間位置M1の近傍を上方向から打撃し、このとき発生する振動を接触式振動検出センサ31(接触式加速度センサ、TEAC社製)及び非接触式振動検出センサ32(レーザードップラー振動計、電子技研工業株式会社製V100)で同時に検出した。そして、得られた電気信号をコンピュータ51内に取り込み、高速フーリエ変換処理を行って振動周波数スペクトルを算出した。なお、供試体ごとに算出した振動周波数スペクトルは、横軸を周波数(Hz)とし縦軸を振動スペクトル強度とするグラフに表して可視化し、ディスプレイ57上に表示させるようにした(図2参照)。
以上のようにして正常接着品の振動スペクトル強度を可視化してみると、61Hz,281Hz,598Hz,927Hz付近に、それぞれ一次ピーク、二次ピーク、三次ピーク、四次ピークが生じていた。なお、これらは供試体の固有周波数に対応して出現した。一方、接着不良品の振動スペクトル強度を可視化してみると、61Hz,281Hz,573Hz,891Hz付近に、それぞれ一次ピーク、二次ピーク、三次ピーク、四次ピークが生じていた。
従って、両者を比較すると、最も低周波数側に出現する一次ピーク、及び、一次ピークの高周波数側にて顕著な高さで出現する二次ピークに関して、ピーク周波数に差異がなく、低周波数側へのピークシフト現象は全く見られなかった。これに対して、二次ピークよりも高周波数側にて顕著な高さで出現する三次ピーク、及び、三次ピークの高周波数側にて顕著な高さで出現する四次ピークに関して、明らかに低周波数側へのピークシフト現象が見られた。
そこで、この予備的な試験の結果を踏まえて、図1の非破壊検査装置21のRAM55に正常接着品の一次、二次、三次、四次ピークの周波数の値を記憶させておき、これらを「基準振動周波数スペクトルのピーク」のデータとして定義した。ただし、接着不良有無の判定には一次ピーク及び二次ピークのデータは利用せず、三次ピーク及び四次ピークのデータのみを利用するようにプログラムを設定した。
このような基準データ設定作業をあらかじめ行った後、続いて同様の接着不良モードを有する接着不良品の構造用集成材11を用い、上記と同様の手順にて図1の非破壊検査装置21による非破壊検査を行った。その結果、非破壊検査装置21のCPU53は、三次ピーク同士の比較及び四次ピーク同士の比較において、両者とも低周波数側へのピークシフト現象が起きていると正確に判定した。よって、非破壊検査装置21はこの構造用集成材11を「接着不良品」であると自動的に判定することが可能であった。
そこで、はく離率、はく離の起きている位置などを変更して何種類かの異なる接着不良品を作製し、それらについて上記と同様の非破壊検査を行ったところ、高次ピークにおける低周波数側へのピークシフト現象が各々について認められた。それゆえ、非破壊検査装置21はこれらの構造用集成材11についても「接着不良品」であると自動的に判定することが可能であった。
従って、本実施例の方法及び装置によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施例では、振動周波数スペクトルの低周波数側へのピークシフトという現象に着目し、その現象の有無により接着不良の有無を判定している。このため、構造用集成材11の破壊を伴うことなくその内部の接着不良の検査を行うことができ、従来不可能であった全数検査も実施可能となる。
(2)しかも、本実施例の方法によれば、音や超音波の内部照射を行いその反射波を受信する従来の非破壊検査方法とは異なり、ある程度厚さのある構造用集成材11を対象とした場合であったとしても、その内部の接着不良を正確に検知することができる。
(3)また、本実施例の方法によれば、構造用集成材11に対する振動の付与及び検出というシンプルな作業で足りるため、音や超音波を発生するプローブを構造用集成材11の全体についてスキャンさせる必要のある従来方法とは異なり、比較的短時間で検査を行うことができる。よって、非破壊による構造用集成材11の接着不良検査を効率よく行うことができ、構造用集成材11の生産性を向上させることができる。
(4)図1に示した本実施例の非破壊検査装置21によれば、上記のような優れた検査方法を確実に行うことが可能となる。よって、非破壊による構造用集成材の接着不良検査を正確にかつ効率よく、しかも省力的に行うことができる。しかも、音や超音波を発生するプローブ及びそれをスキャンさせるための手段などが不要なため、装置を簡略化、小型化、低コスト化することが可能となる。
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、低周波数側へのピークシフト現象に着目し、かかる現象が起きているか否かをもって接着不良の有無を判定していたが、これとは異なる方法を採用することもできる。例えば、算出した振動周波数スペクトルのピークと基準振動周波数スペクトルのピークとを比較し、両者に形状的な差異がない場合には接着不良なしと判定し、差異がある場合には接着不良ありと判定するように変更してもよい。
・上記実施形態では、検査対象として用いた構造用集成材11がいわゆる長い通直材であったが、これに限定されず、湾曲材である構造用集成材11について同様の方法及び装置により非破壊検査を行ってもよい。
・上記実施形態では、ハンマー23を振動付与手段として用いたが、これ以外の器具を用いて振動を与えるようにしても勿論構わない。また、打撃という方法以外の手法を採用することも可能である。
・上記実施形態では、一対のアングル22に載置することで構造用集成材11をその下面側から2点支持する方法を採用したが、これに限定されない。例えば、構造用集成材11の一端または両端をクランプ装置でそれぞれ把持するという方法などを採用することも可能である。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)複数枚のラミナを積層して接着剤で接着してなる構造用集成材の接着状態を非破壊で検査する方法であって、前記構造用集成材に振動を付与する振動付与ステップと、前記構造用集成材の振動を検出して電気信号に変換する振動検出ステップと、前記電気信号に基づいて解析処理を行い、振動周波数スペクトルを算出する波形解析ステップと、算出した振動周波数スペクトルのピークと、正常接着品を基準にしたときの基準振動周波数スペクトルのピークとを比較し、当該算出した振動周波数スペクトルの低周波数側へのピークシフト量が基準値を超えない場合には接着不良なしと判定し、前記基準値を超える場合には接着不良ありと判定する接着不良判定ステップとを含むことを特徴とする構造用集成材の非破壊検査方法。
(2)複数枚のラミナを積層して接着剤で接着してなる構造用集成材の接着状態を非破壊で検査する方法であって、前記構造用集成材に振動を付与する振動付与ステップと、前記構造用集成材の振動を検出して電気信号に変換する振動検出ステップと、前記電気信号に基づいて解析処理を行い、振動周波数スペクトルを算出する波形解析ステップと、算出した振動周波数スペクトルのピークと、正常接着品を基準にしたときの基準振動周波数スペクトルのピークとを比較し、両者に形状的な差異がない場合には接着不良なしと判定し、差異がある場合には接着不良ありと判定する接着不良判定ステップとを含むことを特徴とする構造用集成材の非破壊検査方法。
本実施形態において構造用集成材の接着不良検査を行うための非破壊検査装置を示す概略図。 (a)は正常接着品である構造用集成材についての振動周波数スペクトルを示すグラフ、図2(b)は接着不良品である構造用集成材についての振動周波数スペクトルを示すグラフ。
符号の説明
11…構造用集成材
12…ラミナ
13…接着剤
21…非破壊検査装置
22…集成材支持部材としてのアングル
23…振動付与手段としてのハンマー
31…振動検出センサとしての接触式振動検出センサ
32…振動検出センサとしての非接触式振動検出センサ
53…波形解析手段、接着不良判定手段としてのCPU
55…記憶手段としてのRAM
P1…支持点
M1…略中間位置

Claims (5)

  1. 複数枚のラミナを積層して接着剤で接着してなる構造用集成材の接着状態を非破壊で検査する方法であって、
    前記構造用集成材に振動を付与する振動付与ステップと、
    前記構造用集成材の振動を検出して電気信号に変換する振動検出ステップと、
    前記電気信号に基づいて解析処理を行い、振動周波数スペクトルを算出する波形解析ステップと、
    算出した振動周波数スペクトルのピークと、正常接着品を基準にしたときの基準振動周波数スペクトルのピークとを比較し、当該算出した振動周波数スペクトルのピークが低周波数側へシフトしていない場合には接着不良なしと判定し、シフトしている場合には接着不良ありと判定する接着不良判定ステップと
    を含むことを特徴とする構造用集成材の非破壊検査方法。
  2. 前記接着不良判定ステップでは、前記波形解析ステップにおいて算出した前記振動周波数スペクトルに含まれる複数のピークのうち、相対的に高周波数側に位置する高次ピークを抽出し、当該高次ピークを前記基準振動周波数スペクトルにおける高次ピークと比較することを特徴とする請求項1に記載の構造用集成材の非破壊検査方法。
  3. 前記振動付与ステップでは、離間した2箇所に配置された一対の支持部材上に前記構造用集成材を横置きで支持させ、この状態で2つの支持点間の略中間位置を、前記ラミナの積層方向に沿って打撃して振動を付与することを特徴とする請求項1または2に記載の構造用集成材の非破壊検査方法。
  4. 前記振動検出ステップでは、前記構造用集成材における前記2つの支持点間の略中間位置の振動を、非接触式の振動検出センサを用いて非接触で検出することを特徴とする請求項3に記載の構造用集成材の非破壊検査方法。
  5. 複数枚のラミナを積層して接着剤で接着してなる構造用集成材の接着状態を非破壊で検査するための装置であって、
    前記構造用集成材を少なくとも1点で支持する集成材支持部材と、
    前記集成材支持部材により支持された状態の前記構造用集成材に振動を付与する振動付与手段と、
    前記構造用集成材の振動を検出して電気信号に変換する振動検出センサと、
    前記電気信号に基づいて解析処理を行い、振動周波数スペクトルを算出する波形解析手段と、
    正常接着品を基準にしたときの基準振動周波数スペクトルのデータを記憶する記憶手段と、
    算出した振動周波数スペクトルのピークと前記基準振動周波数スペクトルのピークとを比較し、当該算出した振動周波数スペクトルのピークが低周波数側へシフトしていない場合には接着不良なしと判定し、シフトしている場合には接着不良ありと判定する接着不良判定手段と
    を備えることを特徴とする構造用集成材の非破壊検査装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101513142B1 (ko) 2012-04-24 2015-04-17 히하카이켄사 가부시키가이샤 적층체의 박리검사방법 및 박리검사장치
JP2021081352A (ja) * 2019-11-21 2021-05-27 ジオ・サーチ株式会社 鉄筋腐食度評価装置、鉄筋腐食度評価方法、及びコンピュータプログラム

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