本発明は、抵抗変化型記憶素子を用いたクロスポイント型不揮発性半導体記憶装置に関するものであり、特にそのフォーミングに関する。
近年、デジタル技術の進展に伴い、携帯型情報機器及び情報家電などの電子機器が、よりいっそう高機能化している。そのため、不揮発性記憶装置の大容量化、書き込み電力の低減、書き込み/読み出し時間の高速化、及び長寿命化の要求が高まっている。
こうした要求に対して、既存のフローティングゲートを用いたフラッシュメモリの微細化が進められている。他方、フラッシュメモリに変わる素子として、いわゆる抵抗変化型記憶素子を用いて構成されたメモリ素子を有する不揮発性記憶装置の研究開発が進んでいる。抵抗変化型記憶素子とは、電気的信号に応じて抵抗値が変化しその抵抗値が電気的信号を切っても保たれる(不揮発に保持される)性質を有し、この抵抗値の変化によって情報を記憶することが可能な素子のことをいう。
抵抗変化型記憶素子の代表的なものとしては、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory:磁性メモリ)、PRAM(Phase Change Random Access Memory:相変化メモリ)、ReRAM(Resistance Random Access Memory:抵抗変化メモリ)など、がある。
これら抵抗変化型記憶素子を用いた不揮発性記憶装置の構成方法の一例として、クロスポイント構成が知られている。クロスポイント構成では、直交するビット線とワード線との交点に、ビット線とワード線とに挟まれて、各メモリセルが設置される。メモリセルは、抵抗変化型記憶素子単体もしくは抵抗変化型記憶素子とダイオードのような非線形特性を有するスイッチング素子との直列接続体として構成されるメモリ素子から構成され、メモリ素子の一方の電極はワード線に接続され、他方の電極はビット線に接続されている。クロスポイント構成は、抵抗変化型記憶素子がアクセストランジスタを介してビット線に接続されるいわゆる1T1R(1トランジスタ1抵抗)構成に比べ、大規模集積化に適しているという特徴を持つ。
クロスポイント構成において、複数のメモリセルはアレイ状に配置されてクロスポイントセルアレイを構成する。クロスポイント構成では、対象とするメモリセルに含まれるメモリ素子の抵抗値を検知する(読み出し)ために対応するビット線とワード線とに読み出し電圧が印加される。読み出し電圧が印加されると、検知対象(読み出し対象)とするメモリセルを流れる電流に加え、上下のビット線及びワード線によって並列に接続された他のメモリセル(検知対象とするメモリセル以外のメモリセル)を介した電流も流れる。この「他のメモリセルを介して流れる電流」を本明細書では回り込み電流と呼ぶ。
回り込み電流は、クロスポイントセルアレイに記憶されたデータの状態(検知対象とするメモリセルが所属するクロスポイントセルアレイ内の全てのメモリセルに含まれるメモリ素子の抵抗値及びその分布)で変化する。従って、読み出し時に検出される電流には、常に一定値でない回り込み電流が含まれている。この回り込み電流は、読み出し対象とするメモリセルに含まれるメモリ素子の抵抗値を正確に検知することを妨げる。回り込み電流による、メモリセルに含まれるメモリ素子の抵抗値の検知感度低下を抑制する構成を有する半導体記憶装置が、特許文献1に開示されている。
抵抗変化型記憶素子を可逆的に抵抗変化動作可能な状態にするためには、フォーミングと呼ばれる操作を行うことが必要であることが一般的に知られている。このフォーミングに関する技術が特許文献2に開示されている。
また、クロスポイント型の半導体記憶装置において正確なフォーミング動作を実行する手段として、フォーミング動作時に、ワード線WLに流れるリーク電流を検知する検知回路を備える構成が特許文献3で開示されている。この特許文献3では、フォーミング動作時に、ビット線BLに定電流を供給する電流供給が行われるとともに、検知回路で検知されたリーク電流に基づき、それと同じ電流値の補償電流が補償回路によりビット線BLに供給されることが開示されている。
特許第4625510号公報
国際公開第2011/121970号
特開2011−198445号公報
しかしながら、従来のフォーミング方法に対して、さらなる安定性の向上が求められているという課題がある。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、安定なフォーミングを実現することが可能なクロスポイント型不揮発性記憶装置とそのフォーミング方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るクロスポイント型不揮発性記憶装置の一形態は、第1の平面内において互いに平行に形成された複数のワード線と、前記第1の平面に平行な第2の平面内において互いに平行にかつ前記複数のワード線と立体交差するように形成された複数のビット線と、前記複数のワード線と前記複数のビット線との立体交差点に設けられ、第1の抵抗状態と前記第1の抵抗状態より抵抗値の低い第2の抵抗状態との2つの抵抗状態をとる抵抗変化素子を含んで構成されたメモリセルが行列状に配列されたクロスポイントメモリセルアレイと、前記ワード線の1本を選択するワード線選択器と、前記ビット線の1本を選択するビット線選択器と、前記ビット線選択器及び前記ワード線選択器により前記ビット線及び前記ワード線を選択することで選択された前記メモリセルに対し、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態を変化させる書き込み電流又は書き込み電圧を供給する書き込み回路と、前記選択されたメモリセルに対し、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態を読み出すためのロード電流を供給するセンスアンプ回路と、前記センスアンプ回路及び前記書き込み回路を制御する制御回路とを備え、前記制御回路は、前記書き込み電流又は前記書き込み電圧と前記ロード電流との少なくともいずれかの大きさを、前記クロスポイントメモリセルアレイにおける前記選択されたメモリセル以外のメモリセルで抵抗変化素子が前記第2の抵抗状態にあるものの数及び場所に応じて変更することを特徴とする。
なお、これらの全般的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
本発明のクロスポイント型不揮発性半導体記憶装置とその駆動方法によると、安定なフォーミングが実現できるという効果が得られる。
図1Aは、本発明の実施の形態に係るクロスポイント型不揮発性記憶装置の構成を示す回路図である。
図1Bは、本発明の実施の形態に係るクロスポイント型不揮発性記憶装置の可変電圧源の構成を示す回路図である。
図1Cは、本発明の実施の形態に係るクロスポイント型不揮発性記憶装置の可変電圧源の構成を示す回路図である。
図2Aは、本発明の実施の形態に係るメモリセルの構成を示す回路図である。
図2Bは、本発明の実施の形態に係るメモリセルの断面図である。
図2Cは、本発明の実施の形態に係るメモリセルの抵抗変化に係るIV特性を示す図である。
図3Aは、本発明の実施の形態に係る評価用素子の構成を示す回路図である。
図3Bは、本発明の実施の形態に係る評価用素子に対しフォーミングパルスを印加したときの、抵抗値の推移を3評価用素子分示す図である。
図4Aは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイの構成を詳細に示す図である。
図4Bは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイの等価回路図である。
図4Cは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイの等価回路図を縮退した等価回路図である。
図5Aは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程を説明する等価回路図である。
図5Bは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程を説明する等価回路図である。
図5Cは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程を説明する等価回路図である。
図5Dは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程を説明する等価回路図である。
図5Eは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程を説明する等価回路図である。
図5Fは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程を説明する等価回路図である。
図5Gは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程を説明する等価回路図である。
図5Hは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程を説明する等価回路図である。
図5Iは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程を説明する等価回路図である。
図5Jは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程を説明する等価回路図である。
図5Kは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程を説明する等価回路図である。
図5Lは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程を説明する等価回路図である。
図6は、本発明の実施の形態に係るメモリセルアレイの回り込み電流経路数を説明する図である。
図7は、本発明の実施の形態に係るメモリセルアレイの回り込み電流経路数を説明する図の等価回路図である。
図8は、本発明の実施の形態に係るメモリセルアレイの回り込み電流経路数と回り込み電流値の関係を説明する図である。
図9Aは、本発明の実施の形態に係る読み出し回路を説明する図である。
図9Bは、本発明の実施の形態に係る書き込み回路を説明する図である。
図10Aは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程の前半部を示す図である。
図10Bは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程の後半部を示す図である。
図11は、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程に対応する回り込み電流経路数の推移を説明する図である。
図12は、本発明の実施の形態に係るロード電流制御電圧LA(M)と回り込み電流経路数との関係を示す図である。
図13は、本発明の実施の形態に係るロード電流供給用トランジスタのゲート電圧とその出力電流との関係を説明する図である。
図14は、本発明の実施の形態に係るフォーミングの流れを示すフローチャートである。
図15は、本発明の実施の形態に係る電圧Vw(M)と回り込み電流経路数との関係を示す図である。
図16は、本発明の実施の形態に係る電圧Vw(M)と書き込み回路の出力電流(フォーミング電流)との関係を説明する図である。
図17は、本発明の実施の形態に係るフォーミングの流れを示すフローチャートである。
図18は、特許文献1に記載の半導体記憶装置の主要部分のブロック構成を示す図である。
図19Aは、特許文献1に記載の半導体記憶装置でリファレンスメモリアレイに設定されるデータの一例を示す図である。
図19Bは、特許文献1に記載の半導体記憶装置でリファレンスメモリアレイに設定されるデータの一例を示す図である。
本発明の実施の形態について説明する前に、本発明に至った経緯について説明する。
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した、クロスポイント型の半導体記憶装置におけるフォーミング動作に関し、以下の問題が生じることを見出した。
特許文献1に記載の半導体記憶装置の主要部分のブロック構成を図18に示す。
この半導体記憶装置は、クロスポイントタイプのメモリセルアレイ110と、各データ線を個別に駆動するデータ線ドライブ回路111と、各ビット線を個別に駆動するビット線ドライブ回路112と、複数のデータ線の中から読み出し対象の選択メモリセルに接続する選択データ線を選択する行デコーダ113と、複数のビット線の中から読み出し対象の選択メモリセルに接続する選択ビット線を選択する列デコーダ114と、を備えている。
この半導体記憶装置は、更に、メモリセルアレイ110と同じアレイサイズで同じメモリセルを使用したリファレンス電圧発生用の2つのリファレンスメモリセルアレイ120a、120bと、リファレンスメモリセルアレイ120a、120bの出力電圧からリファレンス電圧レベルVref0、Vref1を生成し、メモリセルアレイ110の選択データ線の電圧レベルから読み出し電圧レベルVmを生成し、読み出し電圧レベルとリファレンス電圧レベルとを比較して、選択メモリセルの記憶状態(抵抗状態)を判定するセンス回路115と、を備えている。
リファレンスメモリセルアレイ120aは、選択メモリセルが高抵抗状態にある高抵抗メモリセルの選択行選択線を流れる電流がメモリセルアレイの非選択メモリセルの抵抗状態の分布パターンに依存して最大状態となる電流状態が設定されている。一方、リファレンスメモリセルアレイ120bは、選択メモリセルが低抵抗状態にある低抵抗メモリセルの選択行選択線を流れる電流がメモリセルアレイの非選択メモリセルの抵抗状態の分布パターンに依存して最小状態となる電流状態が設定されている。センス回路115は、これら最大状態及び最小状態の中間状態の電流と比較して、選択メモリセルの抵抗状態を検知する。
図19A及び図19Bは、リファレンスメモリセルアレイ120a、120bに設定されるデータの一例を示す図である。図19Aはリファレンスメモリセルアレイ120aに設定されるパターンAを示し、図19Bはリファレンスメモリセルアレイ120bに設定されるパターンCを示している。
この場合、リファレンスメモリセルアレイ120aが、高抵抗状態の選択メモリセルの読み出し時において選択されたデータ線を流れる電流が他の非選択メモリセルの電気抵抗状態の分布パターンに依存して最大状態となる第1電流状態を実現し、第1リファレンス電流発生回路として機能する。また、リファレンスメモリセルアレイ120bが、低抵抗状態の選択メモリセルの読み出し時において選択されたデータ線を流れる電流が他の非選択メモリセルの電気抵抗状態の分布パターンに依存して最小状態となる第2電流状態を実現し、第2リファレンス電流発生回路として機能する。
クロスポイントタイプのメモリセルアレイでは書き込みデータに依存して回り込み電流の大きさが変わる。図19Aに示すパターンAのように、高抵抗よりなる行及び列がクロスした位置にある高抵抗メモリセルを読み出した場合に、最も回り込み電流が大きくなり、読み出し電流が最も大きくなる。また、低抵抗メモリセルが分布している行と列のクロスした位置にある低抵抗メモリセルを読み出した場合に、最も読み出し電流が小さくなる。従って、選択されたデータ線を流れる電流が最大電流となると考えられる高抵抗状態の書き込みパターン(パターンA)と最小状態となると考えられる低抵抗状態の書き込みパターン(パターンC)とを事前に用意しておき、それらの中間状態を基準として選択メモリセルの抵抗状態を検知することで安定な読み出し動作を実現することができる。
しかしながら図18の構成では、メモリセルアレイと同じ大きさのリファレンスセルアレイを複数個用意しておく必要があり、チップサイズの増大を招くという課題を有している。
また、別の観点として抵抗変化型記憶素子に関係して次のような課題が考えられる。
特許文献2に開示されているように、抵抗変化型記憶素子ではフォーミングと呼ばれるフィラメント形成操作を製造後少なくとも1回行うことが必要で、フォーミングをした結果、可逆的な抵抗変化動作が可能になる。フォーミング前の初期状態の抵抗変化型記憶素子の抵抗値は、通常の高抵抗状態よりさらに高抵抗状態(以下、超高抵抗状態と称す)にある。そして、対象メモリセルの抵抗値をモニターしながら、その抵抗状態に応じて適宜所定のフォーミングパルスが対象メモリセルに印加される。
ところで、クロスポイント型記憶装置においては、フォーミングを進めてフォーミング済みのメモリセル数が増加するにつれて、初期状態に比べ抵抗値が低い状態のメモリセルが増加し、その結果回り込み電流が徐々に増加する。メモリセルの抵抗値をモニターしながら、その抵抗状態に応じて適宜所定のフォーミングパルスを印加するフォーミングを実行するためには、逐次変化する回り込み電流量を、メモリセルがフォーミングされた時の電流と区別しフォーミング判定をする必要がある。しかしながら、このような電流の区別は難しく、安定なフォーミングを実現することは困難である。
このとき、特許文献1に記載の技術をフォーミングに応用して、この問題を解決することも考えられる。すなわち、リファレンスメモリセルアレイの一方で全てのメモリセルがフォーミングされていない状態を実現し、他方で1つのメモリセルのみがフォーミングされていない状態を実現し、それらの中間状態を基準としてフォーミング判定をすることも考えられる。しかしながら、既に述べたようにこの方法ではチップサイズの増大という問題が生じる。
また特許文献3では、クロスポイント型の半導体記憶装置においてフォーミング時のリーク電流を検出し、そのリーク電流に相当する補償電流を供給することで、正確なフォーミング動作を実行する手段が開示されている。しかしながら、ここでのリーク電流とは、フォーミングを実施する超高抵抗状態の選択メモリセルに流れる電流のことで、非選択メモリセルに流れる回り込み電流については特に示されていない。
本発明者は、このような事情に鑑み、回り込み電流の影響下においてより正確なフォーミングを行うことができるクロスポイント型不揮発性記憶装置およびその駆動方法を鋭意検討した結果、本発明に到達した。なお、以上の説明は、以下で説明する本発明の実施の形態を理解する上で一助とするものであり、本発明はこれに限定されない。
本発明の一態様に係るクロスポイント型不揮発性記憶装置は、第1の平面内において互いに平行に形成された複数のワード線と、前記第1の平面に平行な第2の平面内において互いに平行にかつ前記複数のワード線と立体交差するように形成された複数のビット線と、前記複数のワード線と前記複数のビット線との立体交差点に設けられ、第1の抵抗状態と前記第1の抵抗状態より抵抗値の低い第2の抵抗状態との2つの抵抗状態をとる抵抗変化素子を含んで構成されたメモリセルが行列状に配列されたクロスポイントメモリセルアレイと、前記ワード線の1本を選択するワード線選択器と、前記ビット線の1本を選択するビット線選択器と、前記ビット線選択器及び前記ワード線選択器により前記ビット線及び前記ワード線を選択することで選択された前記メモリセルに対し、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態を変化させる書き込み電流又は書き込み電圧を供給する書き込み回路と、前記選択されたメモリセルに対し、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態を読み出すためのロード電流を供給するセンスアンプ回路と、前記センスアンプ回路及び前記書き込み回路を制御する制御回路とを備え、前記制御回路は、前記書き込み電流又は前記書き込み電圧と前記ロード電流との少なくともいずれかの大きさを、前記クロスポイントメモリセルアレイにおける前記選択されたメモリセル以外のメモリセルで抵抗変化素子が前記第2の抵抗状態にあるものの数及び場所に応じて変更することを特徴とする。
ここで、前記クロスポイントメモリセルアレイにおいて、(A)前記選択されたビット線につながる前記メモリセルのうち前記選択されたメモリセル以外のメモリセルで抵抗変化素子が前記第2の抵抗状態にあるものを第1メモリセルとし、(B)前記選択されたワード線につながる前記メモリセルのうち前記選択されたメモリセル以外のメモリセルで抵抗変化素子が前記第2の抵抗状態にあるものを第2メモリセルとし、前記制御回路は、前記書き込み電流又は前記書き込み電圧と前記ロード電流との少なくともいずれかの大きさを、前記第1メモリセルに接続されたワード線と、前記第2メモリセルに接続されたビット線との交点にある前記メモリセルのうち前記第2の抵抗状態にあるもの個数に比例して変更してもよい。
また、前記抵抗変化素子は、形成後の初期状態において前記第1の抵抗状態にあり、フォーミングが行われると前記初期状態から低抵抗状態と前記低抵抗状態より抵抗値の高い高抵抗状態とへ可逆的に変化が可能な前記第2の抵抗状態になり、前記書き込み電流又は前記書き込み電圧は、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子に対し、前記フォーミングを行うフォーミングパルスであり、前記ロード電流は、前記フォーミングパルスの供給により、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子が前記第2の抵抗状態になったことを確認するための電流であってもよい。又は、前記抵抗変化素子は、前記第1の抵抗状態と前記第2の抵抗状態とを可逆的に変化し、前記書き込み電流又は前記書き込み電圧は、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子に対し、前記第1の抵抗状態と前記第2の抵抗状態とに可逆的に変化させる電気的信号であり、前記ロード電流は、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子が前記第1の抵抗状態及び前記第2の抵抗状態のいずれにあるのかを確認するための電流であってもよい。
また、前記メモリセルは、窒素不足型の窒化シリコンで構成されるダイオード素子と前記抵抗変化素子とが直列接続されて構成されてもよい。
本態様によれば、抵抗変化素子が低抵抗状態にあるメモリセルの数及び場所に対応して、つまり回り込み電流経路数に対応してフォーミング判定のロード電流(読み出し電流)を変更する。従って、ロード電流を、適切な回り込み電流量を補填して選択メモリセルに供給することができる。その結果、初期状態の選択メモリセルに対して実施するフォーミング工程において、回り込み電流の影響を排除して選択メモリセルのフォーミングの判定を行うことが可能となるため、安定なフォーミングを実現することができる。
また、回り込み電流経路数に対応して書き込み電流又は書き込み電圧(フォーミングパルス)を変更するので、フォーミングパルスを、適切な回り込み電流量を補填して選択メモリセルに供給することができる。その結果、フォーミング工程において、回り込み電流の影響を排除して選択メモリセルのフォーミングを行うことが可能となるため、安定なフォーミングを実現することができる。
また、回り込み電流経路数に対応して抵抗変化素子の抵抗状態を変化させる書き込み電流又は書き込み電圧(電気的信号)を変更するので、電気的信号を、適切な回り込み電流量を補填して選択メモリセルに供給することができる。その結果、回り込み電流の影響を排除して選択メモリセルの抵抗変化を行うことが可能となるため、安定な情報の書き込みを実現することができる。
また、回り込み電流経路数に対応して抵抗変化素子の抵抗状態を読み出すロード電流(読み出し電流)を変更するので、ロード信号を、適切な回り込み電流量を補填して選択メモリセルに供給することができる。その結果、回り込み電流の影響を排除して選択メモリセルの抵抗状態の判定を行うことが可能となるため、安定な情報の読み出しを実現することができる。
また、前記制御回路は、前記ロード電流について前記変更を行い、前記センスアンプ回路は、前記選択されたビット線に電流量の異なるロード電流を前記変更後のロード電流として選択的に切り替えて供給するロード電流源を有し、前記選択されたビット線に流れ込む電流量が基準の電流量より多い場合は第1の論理値を出力し、前記基準の電流量より少ない場合は第2の論理値を出力してもよい。
また、前記センスアンプ回路は、前記選択されたビット線の電圧と基準の電圧とを比較し、前記選択されたビット線の電圧が前記基準の電圧より高い場合は第2の論理値を出力し、前記基準の電圧より低い場合は第1の論理値を出力する差動アンプを有し、前記センスアンプ回路は、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子が前記第2の抵抗状態にあるときに、前記選択されたメモリセルに前記変更後のロード電流を供給すると第1の論理値を出力し、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子が前記第1の抵抗状態にあるときに、前記選択されたメモリセルに前記変更後のロード電流を供給すると第2の論理値を出力してもよい。
また、前記ロード電流源は、MOSトランジスタを有し、前記クロスポイント型不揮発性記憶装置は、さらに、前記MOSトランジスタのゲート端子に電気的に接続され、前記ゲート端子に電圧値の異なる電圧を選択的に切り替えて供給する可変電圧源を備え、前記ロード電流源は、少なくとも前記第1のロード電流と、前記第2のロード電流と、前記第1のロード電流と前記第2のロード電流との間の第3のロード電流とを選択的に切り替えて供給し、前記制御回路は、前記第2のロード電流を前記ロード電流源に供給させる場合は前記第3のロード電流を前記ロード電流源に供給させる場合に比べ前記MOSトランジスタの出力電流が大きくなり、かつ、前記第3のロード電流を前記ロード電流源に供給させる場合は前記第1のロード電流を前記ロード電流源に供給させる場合に比べ前記MOSトランジスタの出力電流が大きくなるように前記可変電圧源の電圧値を調整してもよい。又は、前記ロード電流源は、MOSトランジスタを有し、前記クロスポイント型不揮発性記憶装置は、さらに、前記MOSトランジスタのゲート端子に電気的に接続され、異なる電圧が選択的に切り替えて供給される外部電圧印加端子を備え、前記ロード電流源は、少なくとも前記第1のロード電流と、前記第2のロード電流と、前記第1のロード電流と前記第2のロード電流との間の第3のロード電流とを選択的に切り替えて供給し、前記制御回路は、前記第2のロード電流を前記ロード電流源に供給させる場合は前記第3のロード電流を前記ロード電流源に供給させる場合に比べ前記MOSトランジスタの出力電流が大きくなり、かつ、前記第3のロード電流を前記ロード電流源に供給させる場合は前記第1のロード電流を前記ロード電流源に供給させる場合に比べ前記MOSトランジスタの出力電流が大きくなるように前記外部電圧印加端子に供給する電圧値を調整してもよい。
本態様によれば、フォーミング前の状態で適切な回り込み電流量を補填できるまでロード電流源の電流駆動能力を上げおき、その電流駆動能力を使って選択メモリセルのフォーミング判定を行うことで、フォーミング判定を安定化し、安定なフォーミングを実現することができる。
また、抵抗変化前の状態で適切な回り込み電流量を補填できるまでロード電流源の電流駆動能力を上げおき、その電流駆動能力を使って選択メモリセルの抵抗変化の判定を行うことで、抵抗変化の判定を安定化し、安定な情報の読み出しを実現することができる。
また、本発明に係るクロスポイント型不揮発性記憶装置の駆動方法の一形態は、クロスポイント型不揮発性記憶装置の駆動方法であり、前記クロスポイント型不揮発性記憶装置は、第1の平面内において互いに平行に形成された複数のワード線と、前記第1の平面に平行な第2の平面内において互いに平行にかつ前記複数のワード線と立体交差するように形成された複数のビット線と、前記複数のワード線と前記複数のビット線との立体交差点に設けられ、第1の抵抗状態と前記第1の抵抗状態より抵抗値の低い第2の抵抗状態との2つの抵抗状態をとる抵抗変化素子を含んで構成されたメモリセルが行列状に配列されたクロスポイントメモリセルアレイと、前記ワード線の1本を選択するワード線選択器と、前記ビット線の1本を選択するビット線選択器と、前記ビット線選択器及び前記ワード線選択器により前記ビット線及び前記ワード線を選択することで選択された前記メモリセルに対し、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態を変化させる書き込み電流又は書き込み電圧を供給する書き込み回路と、前記選択されたメモリセルに対し、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態を読み出すためのロード電流を供給するセンスアンプ回路とを備え、前記クロスポイント型不揮発性記憶装置の駆動方法は、前記書き込み電流又は前記書き込み電圧と前記ロード電流との少なくともいずれかの大きさを、前記クロスポイントメモリセルアレイにおける前記選択されたメモリセル以外のメモリセルで抵抗変化素子が前記第2の抵抗状態にあるものの数及び場所に応じて変更する第1のステップを含むことを特徴とする。
ここで、前記クロスポイントメモリセルアレイにおいて、(A)前記選択されたビット線につながる前記メモリセルのうち前記選択されたメモリセル以外のメモリセルで抵抗変化素子が前記第2の抵抗状態にあるものを第1メモリセルとし、(B)前記選択されたワード線につながる前記メモリセルのうち前記選択されるメモリセル以外のメモリセルで抵抗変化素子が前記第2の抵抗状態にあるものを第2メモリセルとし、前記第1のステップでは、前記書き込み電流又は前記書き込み電圧と前記ロード電流との少なくともいずれかの値を、前記第1メモリセルに接続されたワード線と、前記第2メモリセルに接続されたビット線との交点にある前記メモリセルのうち前記第2の抵抗状態にあるものの個数に比例して変更してもよい。
また、前記センスアンプ回路は、前記選択されたビット線に電流量の異なるロード電流を選択的に切り替えて供給するロード電流源を有し、前記選択されたビット線に流れ込む電流量が基準の電流量より多い場合は第1の論理値を出力し、前記基準の電流量より少ない場合は第2の論理値を出力し、前記第1のステップでは、前記ロード電流について前記変更を行い、前記選択されたメモリセルに、前記変更後のロード電流を供給し、前記センスアンプ回路の出力が前記第2の論理値であることを確認する第2のステップと、前記第2のステップの後で、前記選択されたメモリセルに前記書き込み電流又は前記書き込み電圧を供給する第3のステップと、前記第3のステップの後で、前記選択されたメモリセルに前記変更後のロード電流を供給し、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態を読み出す第4のステップとを含み、前記第4のステップにおいて、前記センスアンプ回路の出力が前記第1の論理値の場合は、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態は変化したと判定し、前記書き込み電流又は前記書き込み電圧の供給を終了し、前記センスアンプ回路の出力が前記第2の論理値の場合は、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態は変化していないと判定し、前記第3のステップを再度実行してもよい。又は、前記センスアンプ回路は、ロード電流源を有し、前記選択されたビット線に流れ込む電流量が基準の電流量より多い場合は第1の論理値を出力し、前記基準の電流量より少ない場合は第2の論理値を出力し、前記第1のステップでは、前記書き込み電流又は前記書き込み電圧について前記変更を行い、前記選択されたメモリセルに、前記ロード電流を供給し、前記センスアンプ回路の出力が前記第2の論理値であることを確認する第2のステップと、前記第2のステップの後で、前記選択されたメモリセルに前記変更後の書き込み電流又は書き込み電圧を供給する第3のステップと、前記第3のステップの後で、前記選択されたメモリセルに前記ロード電流を供給し、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態を読み出す第4のステップとを含み、前記第4のステップにおいて、前記センスアンプ回路の出力が前記第1の論理値の場合は、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態は変化したと判定し、前記変更後の書き込み電流又は書き込み電圧の供給を終了し、前記センスアンプ回路の出力が前記第2の論理値の場合は、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態は変化していないと判定し、前記第3のステップを再度実行してもよい。
また、前記抵抗変化素子は、形成後の初期状態において前記第1の抵抗状態にあり、フォーミングが行われると前記初期状態から前記低抵抗状態と前記低抵抗状態より抵抗値の高い高抵抗状態との間で可逆的に変化が可能な前記第2の抵抗状態になり、前記書き込み電流又は前記書き込み電圧は、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子に対し、前記フォーミングを行うフォーミングパルスであり、前記ロード電流は、前記フォーミングパルスの供給により、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子が前記第2の抵抗状態になったことを確認するための電流であってもよい。又は、前記抵抗変化素子は、前記第1の抵抗状態と前記第2の抵抗状態との間で可逆的に変化し、前記書き込み電流又は前記書き込み電圧は、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子に対し、前記第1の抵抗状態と前記第2の抵抗状態とを可逆的に変化させる電気的信号であり、前記ロード電流は、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子が前記第1の抵抗状態及び前記第2の抵抗状態のいずれにあるのかを確認するための電流であってもよい。
また、前記メモリセルは、窒素不足型のシリコン窒化膜を有して構成されるダイオード素子と前記抵抗変化素子とが直列接続されて構成されてもよい。
本態様によれば、安定なフォーミングを実現することができる。また、安定な情報の書き込み及び読み出しを実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面において、実質的に同一の構成、動作、及び効果を表す要素については、同一の符号を付す。
なお、本明細書では、メモリセルアレイを構成するメモリセルの個数は原理的な理解を易しくするため図示しやすい模式的なもので示しているが、さらに多数個のメモリセルに拡張してもその効果は変わるものではない。
また、1層のクロスポイントセルアレイについてのみ図面を用いて説明しているが、本発明は1層のクロスポイントセルアレイにのみ限定されるものではなく、2層以上のクロスポイントセルアレイについても、1層ごとのクロスポイントセルアレイに対して本発明の構成を適用すれば、同様の効果が得られる。
[クロスポイント型不揮発性記憶装置の構成]
図1Aは、本発明の実施の形態に係るクロスポイント型不揮発性記憶装置100の構成を示す回路図である。
この不揮発性記憶装置100は、第1の平面内において互いに平行に形成された複数のワード線3と、第1の平面に平行な第2の平面内において互いに平行にかつ複数のワード線3と立体交差するように形成された複数のビット線4と、複数のワード線3と複数のビット線4との立体交差点に設けられている。第1の抵抗状態としての超高抵抗状態と、超高抵抗状態より抵抗値の低い第2の抵抗状態としての高抵抗状態又は低抵抗状態との2つの抵抗状態を有する抵抗変化素子を含んで構成されたメモリセル2が行列状に配列されたメモリセルアレイ(クロスポイントメモリセルアレイ)1を備える。さらに、ワード線3の1本を選択するワード線選択器である行選択回路5と、ビット線4の1本を選択するビット線選択器である列選択回路6とを備える。さらに、行選択回路5及び列選択回路6によりビット線4及びワード線3を選択することで選択されたメモリセル2に対し、選択されたメモリセル2の抵抗変化素子の抵抗状態を変化させる書き込み電流としてのフォーミングパルスを供給する書き込み回路15と、選択されたメモリセル2に対し、選択されたメモリセル2の抵抗変化素子の抵抗状態を読み出すための読み出し電流としてのロード電流を供給するセンスアンプ回路(SA)7と、センスアンプ回路7及び書き込み回路15を制御する制御回路18とを備える。制御回路18は、フォーミングパルスとロード電流との少なくともいずれかの大きさ(絶対値)を、メモリセルアレイ1における選択されたメモリセル2以外のメモリセル2で抵抗変化素子が上記第2の抵抗状態(高抵抗状態又は低抵抗状態)にあるものの数及び場所に応じて変更する。
メモリセルアレイ1において、(A)選択されたビット線4につながるメモリセル2のうち選択されたメモリセル2以外のメモリセル2で抵抗変化素子が第2の抵抗状態にあるものを第1メモリセルとし、(B)選択されたワード線3につながるメモリセル2のうち選択されたメモリセル2以外のメモリセル2で抵抗変化素子が第2の抵抗状態にあるものを第2メモリセルとする。このとき、制御回路18は、フォーミングパルスとロード電流との少なくともいずれかの大きさを、第1メモリセルに接続されたワード線3と、第2メモリセルに接続されたビット線4との交点にあるメモリセル2のうち第2の抵抗状態にある個数(回り込み電流経路数)に比例して変更し、回り込み電流経路数が大きいほど大きくする。
抵抗変化素子は、形成後の初期状態において超高抵抗状態にあり、フォーミングが行われると初期状態から、低抵抗状態と低抵抗状態より抵抗値の高い高抵抗状態との間で可逆的に変化が可能な第2の抵抗状態になる。フォーミングパルスは、選択されたメモリセル2の抵抗変化素子に対し、フォーミングを行うパルスであり、ロード電流は、フォーミングパルスの供給により、選択されたメモリセル2の抵抗変化素子が超高抵抗状態から高抵抗状態又は低抵抗状態になったことを確認するために、選択されたメモリセル2に読み出し電流として供給する電流である。
制御回路18は、ロード電流について前述の変更を行い、センスアンプ回路7は、選択されたビット線4に電流量の異なるロード電流を変更後のロード電流として選択的に切り替えて供給するロード電流源である回り込み電流補償用ロード電流供給部8を有している。この回り込み電流補償用ロード電流供給部8は、選択されたビット線4に流れ込む電流量が基準の電流量より多い場合は第1の論理値として‘L’レベルを出力し、基準の電流量より少ない場合は第2の論理値として‘H’レベルを出力する。
制御回路18は、メモリセル2が選択された状態で、選択されたメモリセル2にフォーミングパルスが印加される前に、センスアンプ回路7の出力が‘H’レベルとなる所定の電流量に回り込み電流補償用ロード電流供給部8のロード電流の電流量を設定した後、回り込み電流補償用ロード電流供給部8に所定の電流量のロード電流を供給させてセンスアンプ回路7の出力が‘L’レベルとなるまで、所定のメモリセル2に対しフォーミングパルスを印加させる。
センスアンプ回路7は、列選択回路6により選択されたビット線4の電圧と基準の電圧(比較電圧REF)とを比較し、列選択回路6により選択されたビット線4の電圧が基準の電圧より高い場合は‘H’レベルを出力し、基準の電圧より低い場合は‘L’レベルを出力する差動アンプ14を有する。センスアンプ回路7は、選択されたメモリセル2の抵抗変化素子が第2の抵抗状態にあるときに、選択されたメモリセル2に変更後の所定のロード電流を供給すると‘L’レベルを出力し、選択されたメモリセル2の抵抗変化素子が第1の超高抵抗状態にあるときに、選択されたメモリセル2に変更後の所定のロード電流を供給すると‘H’レベルを出力する。
回り込み電流補償用ロード電流供給部8は、第1のロード電流と、第1のロード電流より多い第2のロード電流を選択的に切り替えて選択されたビット線4に供給する。センスアンプ回路7は、メモリセルアレイ1の全てのメモリセル2がフォーミングされていない状態において、所定のメモリセル2が選択されたとき、所定のメモリセル2にフォーミングパルスが印加される前で、回り込み電流補償用ロード電流供給部8のロード電流が第1のロード電流及び第2のロード電流の何れの場合も‘H’レベルを出力する。さらに、センスアンプ回路7は、メモリセルアレイ1の1つの所定のメモリセル2以外の全てのメモリセル2がフォーミングされている状態において、所定のメモリセル2が選択されたとき、所定のメモリセル2にフォーミングパルスが印加される前に、回り込み電流補償用ロード電流供給部8のロード電流が第1のロード電流の場合に‘L’レベルを出力し、第2のロード電流の場合に‘H’レベルを出力する。
回り込み電流補償用ロード電流供給部8は、P型MOSトランジスタ8bを有する。不揮発性記憶装置100は、さらに、P型MOSトランジスタ8bのゲート端子に接続され、P型MOSトランジスタ8bのゲート端子に電圧値の異なる電圧を選択的に切り替えて供給する可変電圧源16を備える。回り込み電流補償用ロード電流供給部8は、少なくとも第1のロード電流と、第2のロード電流と、第1のロード電流と第2のロード電流との間の第3のロード電流とを選択的に切り替えて供給する。制御回路18は、第2のロード電流を回り込み電流補償用ロード電流供給部8に供給させる場合は、第3のロード電流を回り込み電流補償用ロード電流供給部8に供給させる場合に比べP型MOSトランジスタ8bの出力電流が大きくなり、かつ、第3のロード電流を回り込み電流補償用ロード電流供給部8に供給させる場合は、第1のロード電流を回り込み電流補償用ロード電流供給部8に供給させる場合に比べP型MOSトランジスタ8bの出力電流が大きくなるように可変電圧源16の電圧値を調整する。
以下、本実施の形態に係る不揮発性記憶装置100について詳細に説明する。この不揮発性記憶装置100は、メモリセルアレイ(クロスポイントメモリセルアレイ)1と、行選択回路5と、列選択回路6と、センスアンプ回路7と、書き込み回路15と、可変電圧源16及び17と、制御回路18と、記憶部(メモリ)30とから構成される。なお、記憶部30は、不揮発性記憶装置100とは別チップに設けられてもよいし、制御回路18内に設けられてもよい。
メモリセルアレイ1では、ワード線3とビット線4との交点のそれぞれに設けられたクロスポイント型のメモリセル2がマトリックス状に配列されている。
なお、図1Aではメモリセルアレイ1を4×4の配列に簡単化している。また、メモリセル2の各々の配置場所に対応して、M11からM44までの行列記号でその位置を表現している。また、以降の説明において、対応する図のメモリセルアレイ1に行列記号の表記が無い場合も、図1Aの行列記号に対応させて説明している。
行選択回路5は複数のワード線3のうち1本を選択制御し、列選択回路6は複数のビット線4のうち1本を選択制御する。
センスアンプ回路7は、列選択回路6で選択されるビット線に流れる電流量の大小に応じて、論理的な値であるデータ“1”及びデータ“0”のいずれかを判定信号SOとして出力する。センスアンプ回路7では、回り込み電流補償用ロード電流供給部8、リード電流検知用ロード電流供給部9、データ“0”ベリファイ用ロード電流供給部10、及びデータ“1”ベリファイ用ロード電流供給部11が並列に接続されている。この4つのロード電流供給部はクランプ用N型MOSトランジスタ(ビット線クランプトランジスタ)12を介して列選択回路6につながっており、また差動アンプ14の一方の入力端子とつながっている。
回り込み電流補償用ロード電流供給部8は、直列に接続されたP型MOSトランジスタ8a及びP型MOSトランジスタ8bで構成された電流出力量が可変な電流源であり、クランプ用N型MOSトランジスタ12のドレインに接続されている。P型MOSトランジスタ8aのゲートには、回り込み電流補償用ロード電流供給部8の選択、非選択を指示する選択信号NSが供給されている。一方、P型MOSトランジスタ8bのゲートには、その電圧値で回り込み電流補償用ロード電流供給部8の電流出力量を調整可能にすべくロード電流制御電圧LA(M)(Mは自然数)が供給されている。
リード電流検知用ロード電流供給部9は、直列に接続されたP型MOSトランジスタ9a及びP型MOSトランジスタ9bで構成された電流出力量が可変な電流源であり、クランプ用N型MOSトランジスタ12のドレインに接続されている。P型MOSトランジスタ9aのゲートには、リード電流検知用ロード電流供給部9の選択、非選択を指示する選択信号N01が供給されている。一方、P型MOSトランジスタ9bのゲートには、その電圧値でリード電流検知用ロード電流供給部9の電流出力量を調整可能にすべくロード電流制御電圧LB(N)(Nは自然数)が供給されている。
データ“0”ベリファイ用ロード電流供給部10は、直列に接続されたP型MOSトランジスタ10a及びP型MOSトランジスタ10bで構成された電流出力量が可変な電流源であり、クランプ用N型MOSトランジスタ12のドレインに接続されている。P型MOSトランジスタ10aのゲートには、データ“0”ベリファイ用ロード電流供給部10の選択、非選択を指示する選択信号N0が供給されている。一方、P型MOSトランジスタ10bのゲートには、その電圧値でデータ“0”ベリファイ用ロード電流供給部10の電流出力量を調整可能にすべくロード電流制御電圧LB(N)が供給されている。
データ“1”ベリファイ用ロード電流供給部11は、直列に接続されたP型MOSトランジスタ11a及びP型MOSトランジスタ11bで構成された電流出力量が可変な電流源であり、クランプ用N型MOSトランジスタ12のドレインに接続されている。P型MOSトランジスタ11aのゲートには、データ“1”ベリファイ用ロード電流供給部11の選択、非選択を指示する選択信号N1が供給されている。一方、P型MOSトランジスタ11bのゲートには、その電圧値でデータ“1”ベリファイ用ロード電流供給部11の電流出力量を調整可能にすべくロード電流制御電圧LB(N)が供給されている。
クランプ電圧制御回路13は、その出力がクランプ用N型MOSトランジスタ12のゲートに接続されており、読み出し動作において列選択回路6で選択されるビット線の電圧を所定電圧以下に抑える働きをする。
差動アンプ14は、2つの入力端子を備え、4つのロード電流供給部とクランプ用N型MOSトランジスタ12との接点SENを第1の入力とし、所定の電圧に設定された比較電圧REFを第2の入力とし、その出力をSOとしている。差動アンプ14の出力SOは、センスアンプ回路7の出力となる。
パルス用電圧源Vw(M)は、制御回路18で指示される所定のパルス電圧を書き込み回路15に供給する。このパルス用電圧源Vw(M)は、不揮発性記憶装置100の内部に電源回路を設け、それで生成される電圧を用いてパルス電圧を生成しても良いし、または不揮発性記憶装置100の外部より直接供給される電圧を用いてパルス電圧を生成してもよい。
書き込み回路15は、列選択回路6と行選択回路5との何れかまたは両方に接続され(図1Aでは行選択回路5への接続のケースは図示していない)、メモリセル2への情報の書き込み時に書き込みパルスを、メモリセル2のフォーミング時にフォーミングパルスを、列選択回路6と行選択回路5との何れかまたは両方に供給する。書き込み回路15は、パルス電圧源Vw(M)からのパルス電圧Vw(M)を調整することで、書き込みパルス(書き込み電圧や書き込み電流)を生成して列選択回路6と行選択回路5との何れかまたは両方に供給する。
書き込み回路15は、パルス用電圧源Vw(M)から供給される電圧がソースに印加され、ドレインがメモリセルアレイ1に接続されたトランジスタ等から構成され、パルス用電圧源Vw(M)からの電圧に応じて異なる書き込み電圧をメモリセルアレイ1に供給する。
可変電圧源16は、制御回路18で指示される所定のロード電流制御電圧LA(M)を出力する。
可変電圧源17は、制御回路18で指示される所定のロード電流制御電圧LB(N)を出力する。
制御回路18は、パルス用電圧源Vw(M)(書き込み回路15)、可変電圧源16及び17を制御し、出力電圧の選択指示を行う。
記憶部30には、メモリセルアレイ1のフォーミングにおいてフォーミング対象の各メモリセル2が選択されたときの回り込み電流経路数を示すテーブルが格納されている。制御回路18は、記憶部30のテーブルに基づいて最適なフォーミングパルス及びロード電流の少なくともいずれかが供給されるように、フォーミング対象のメモリセル2毎にフォーミングパルス及びロード電流を変更する。具体的には、制御回路18は、テーブルでフォーミング対象のメモリセル2に対応付けられた回り込み電流経路数に比例したフォーミングパルス及びロード電流をフォーミング対象のメモリセル2に供給する。
このとき、記憶部30のテーブルの回り込み電流経路数は、メモリセルアレイ1のフォーミングにおいてフォーミング対象のメモリセル2がどのような順番で選択されていくか、つまりフォーミング順に依存して変わる。従って、記憶部30には、フォーミング順に対応して複数のテーブルが格納されていてもよい。
図1B及び図1Cは可変電圧源16及び17の構成の一例を示す回路図である。
図1Bに示すように、可変電圧源16では、6個の固定抵抗素子19が電源部とグランド部との間で直列接続されている。可変電圧源16は、各接点LA(1)、LA(2)、LA(3)、LA(4)、LA(5)、LA(6)、LA(7)の一箇所をロード電流制御電圧選択スイッチ20で選択し、ロード電流制御電圧LA(M)として出力する。
また、図1Cに示すように、可変電圧源17は、6個の固定抵抗素子19が電源部とグランド部との間で直列接続されている。可変電圧源17は、各接点LB(1)、LB(2)、LB(3)、LB(4)、LB(5)、LB(6)、LB(7)の一箇所をロード電流制御電圧選択スイッチ20で選択し、ロード電流制御電圧LB(N)として出力する。
なお、可変電圧源16及び17は、固定抵抗素子19の直列体で構成され、等分割電圧を供給する構成が示されているが、電圧分割に重み付け分割をして供給する構成であってもよい。また固定抵抗素子19の代わりにトランジスタが用いられてもよい。また、一般的に知られているその他の可変電圧供給手段の構成であっても良いことは言うまでも無い。
図2Aは、メモリセル2の構成を示す回路図である。
メモリセル2では、抵抗変化素子2aとダイオード素子2bとが直列に接続されている。
図2Bはメモリセル2の断面構造の一例を示す断面図である。
メモリセル2は、抵抗変化素子2aとダイオード素子2bとの積層体から構成されている。
ダイオード素子2bは、半導体層23を第1電極22と第2電極24で挟んだMSM構造で形成され、抵抗変化素子2aはダイオード素子2bの第2電極24を下部電極として共有し、その上に第1の抵抗変化層25、第2の抵抗変化層26、及び上部電極としての第3電極27が形成された構造を有している。抵抗変化素子2a及びダイオード素子2bは、絶縁層29で覆われている。
第1電極22は、第1ビア21を介してワード線3に接続され、第3電極27は第2ビア28を介してビット線4に接続される。
半導体層23の材料には、窒素不足型シリコン窒化物(SiNx)が用いられる。ここで、窒素不足型シリコン窒化物とは、化学量論的組成のシリコン窒化物であるSi3N4よりも窒素含有率が小さいシリコン窒化物を指し、窒素不足型シリコン窒化物は半導体的な特性を示す。
第1電極22及び第2電極24の材料には、TaN(窒化タンタル)、TiN(窒化チタン)またはW(タングステン)を用いることができるが、ここでは膜厚50nmのTaNを用いている。
第3電極27の材料には、Pt(白金)、Ir(イリジウム)及びPd(パラジウム)などの貴金属もしくはこれらの合金を用いることができるが、ここでは膜厚50nmのIrを用いている。
抵抗変化素子2aは、第2電極24と、第3電極27と、第2電極24と第3電極27との間に配置される第1の抵抗変化層25、第2の抵抗変化層26にて構成される。第1の抵抗変化層25及び第2の抵抗変化層26は、抵抗変化層と総称される。
抵抗変化層は、第2電極24と第3電極27との間に与えられる電気的信号に基づいて可逆的に抵抗値が変化する層である。例えば、第2電極24と第3電極27との間に与えられる電圧の極性に応じて高抵抗状態と低抵抗状態とを可逆的に遷移する層である。抵抗変化層は、第2電極24に接続する第1の抵抗変化層25と、第3電極27に接続する第2の抵抗変化層26の少なくとも2層を積層して構成される。
第1の抵抗変化層25は、酸素不足型の第1の金属酸化物で構成され、第2の抵抗変化層26は、第1の金属酸化物よりも酸素不足度が小さい第2の金属酸化物で構成されている。抵抗変化素子2aの第2の抵抗変化層26中には、電気パルスの印加に応じて酸素不足度が可逆的に変化する微小な局所領域が形成されている。局所領域は、酸素欠陥サイトから構成されるフィラメントを含むと考えられる。
「酸素不足度」とは、金属酸化物において、その化学量論的組成(複数の化学量論的組成が存在する場合は、そのなかで最も抵抗値が高い化学量論的組成)の酸化物を構成する酸素の量に対し、不足している酸素の割合をいう。化学量論的組成の金属酸化物は、他の組成の金属酸化物と比べて、より安定でありかつより高い抵抗値を有している。
例えば、金属がタンタル(Ta)の場合、上述の定義による化学量論的組成の酸化物はTa2O5であるので、TaO2.5と表現できる。TaO2.5の酸素不足度は0%であり、TaO1.5の酸素不足度は、酸素不足度=(2.5−1.5)/2.5=40%となる。また、酸素過剰の金属酸化物は、酸素不足度が負の値となる。なお、本明細書中では、特に断りのない限り、酸素不足度は正の値、0、負の値も含むものとして説明する。
酸素不足度の小さい酸化物は化学量論的組成の酸化物により近いため抵抗値が高く、酸素不足度の大きい酸化物は酸化物を構成する金属により近いため抵抗値が低い。
「酸素含有率」とは、総原子数に占める酸素原子の比率である。例えば、Ta2O5の酸素含有率は、総原子数に占める酸素原子の比率(O/(Ta+O))であり、71.4atm%となる。したがって、酸素不足型のタンタル酸化物は、酸素含有率は0より大きく、71.4atm%より小さいことになる。例えば、第1の金属酸化物層を構成する金属と、第2の金属酸化物層を構成する金属とが同種である場合、酸素含有率は酸素不足度と対応関係にある。すなわち、第2の金属酸化物の酸素含有率が第1の金属酸化物の酸素含有率よりも大きいとき、第2の金属酸化物の酸素不足度は第1の金属酸化物の酸素不足度より小さい。
抵抗変化層を構成する金属にタンタルを用いる場合、第1の金属酸化物の組成をTaOxとした場合にxが0.8以上1.9以下であり、かつ、第2の金属酸化物の組成をTaOyとした場合にyが2.1以上である場合に、抵抗変化層の抵抗値を安定して高速に変化させることができる。この場合、第2の金属酸化物の膜厚は1nm以上8nm以下としてもよい。
抵抗変化層を構成する金属は、タンタル以外の金属を用いてもよい。抵抗変化層を構成する金属としては、遷移金属、またはアルミニウム(Al)を用いることができる。遷移金属としては、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)等を用いることができる。遷移金属は複数の酸化状態をとることができるため、異なる抵抗状態を酸化還元反応により実現することが可能である。
例えば、ハフニウム酸化物を用いる場合、第1の金属酸化物の組成をHfOxとした場合にxが0.9以上1.6以下であり、かつ、第2の金属酸化物の組成をHfOyとした場合にyがxの値よりも大である場合に、抵抗変化層の抵抗値を安定して高速に変化させることができる。この場合、第2の金属酸化物の膜厚は、3〜4nmとしてもよい。
また、ジルコニウム酸化物を用いる場合、第1の金属酸化物の組成をZrOxとした場合にxが0.9以上1.4以下であり、かつ、第2の金属酸化物の組成をZrOyとした場合にyがxの値よりも大である場合に、抵抗変化層の抵抗値を安定して高速に変化させることができる。この場合、第2の金属酸化物の膜厚は、1〜5nmとしてもよい。
第1の抵抗変化層25となる第1の金属酸化物を構成する第1の金属と、第2の抵抗変化層26となる第2の金属酸化物を構成する第2の金属とは、異なる金属を用いてもよい。この場合、第2の金属酸化物は、第1の金属酸化物よりも酸素不足度が小さい、つまり抵抗が高くてもよい。このような構成とすることにより、抵抗変化時に第2電極24と第3電極27との間に印加された電圧は、第2の金属酸化物に、より多くの電圧が分配され、第2の金属酸化物中で発生する酸化還元反応をより起こしやすくすることができる。
また、第1の金属酸化物を構成する第1の金属と、第2の金属酸化物を構成する第2の金属とを、互いに異なる材料を用いる場合、第2の金属の標準電極電位は、第1の金属の標準電極電位より低くてもよい。標準電極電位は、その値が高いほど酸化しにくい特性を表す。これにより、標準電極電位が相対的に低い第2の金属酸化物において、酸化還元反応が起こりやすくなる。なお、抵抗変化現象は、抵抗が高い第2の金属酸化物中に形成された微小な局所領域中で酸化還元反応が起こってフィラメント(導電パス)が変化することにより、その抵抗値(酸素不足度)が変化すると考えられる。
例えば、第1の金属酸化物に酸素不足型のタンタル酸化物(TaOx)を用い、第2の金属酸化物にチタン酸化物(TiO2)を用いることにより、安定した抵抗変化動作が得られる。チタン(標準電極電位=−1.63eV)はタンタル(標準電極電位=−0.6eV)より標準電極電位が低い材料である。このように、第2の金属酸化物に第1の金属酸化物より標準電極電位が低い金属の酸化物を用いることにより、第2の金属酸化物中でより酸化還元反応が発生しやすくなる。その他の組み合わせとして、高抵抗層となる第2の金属酸化物にアルミニウム酸化物(Al2O3)を用いることができる。例えば、第1の金属酸化物に酸素不足型のタンタル酸化物(TaOx)を用い、第2の金属酸化物にアルミニウム酸化物(Al2O3)を用いてもよい。
積層構造の抵抗変化層における抵抗変化現象は、いずれも抵抗が高い第2の金属酸化物中に形成された微小な局所領域中で酸化還元反応が起こって、局所領域中のフィラメント(導電パス)が変化することにより、その抵抗値が変化すると考えられる。
つまり、第2の金属酸化物に接続する第3電極27に、第2電極24を基準にして正の電圧を印加したとき、抵抗変化層中の酸素イオンが第2の金属酸化物側に引き寄せられる。これによって、第2の金属酸化物中に形成された微小な局所領域中で酸化反応が発生し、酸素不足度が減少する。その結果、局所領域中のフィラメントが繋がりにくくなり、抵抗値が増大すると考えられる。
逆に、第2の金属酸化物に接続する第3電極27に、第2電極24を基準にして負の電圧を印加したとき、第2の金属酸化物中の酸素イオンが第1の金属酸化物側に押しやられる。これによって、第2の金属酸化物中に形成された微小な局所領域中で還元反応が発生し、酸素不足度が増加する。その結果、局所領域中のフィラメントが繋がりやすくなり、抵抗値が減少すると考えられる。
酸素不足度がより小さい第2の金属酸化物に接続されている第3電極27は、例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)など、第2の金属酸化物を構成する金属及び第2電極24を構成する材料と比べて標準電極電位が、より高い材料で構成する。また、酸素不足度がより高い第1の金属酸化物に接続されている第2電極24は、例えば、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)など、第1の金属酸化物を構成する金属と比べて標準電極電位が、より低い材料で構成してもよい。標準電極電位は、その値が高いほど酸化しにくい特性を表す。
すなわち、第3電極27の標準電極電位V2、第2の金属酸化物を構成する金属の標準電極電位Vr2、第1の金属酸化物を構成する金属の標準電極電位Vr1、第2電極24の標準電極電位V1との間には、Vr2<V2、かつV1<V2なる関係を満足してもよい。さらには、V2>Vr2で、Vr1≧V1の関係を満足してもよい。
上記の構成とすることにより、第2電極と第2の金属酸化物の界面近傍の第2の金属酸化物中において、選択的に酸化還元反応が発生し、安定した抵抗変化現象が得られる。
なお、メモリセル2の構成は、図2Bの構成に限定されるものではなく、図2Aの等価回路を実現できる構成であれば他の構成でもよい。
図2Cは、メモリセル2の抵抗変化のVIカーブを示す図である。
図2Cでは、ビット線4を基準にしてワード線3が高電圧となる電圧方向が負電圧側で、ワード線3を基準にしてビット線4が高電圧となる電圧方向が正電圧側に対応している。そして、メモリセル2は、C点からA点の間の負電圧領域で高抵抗状態から低抵抗状態に遷移し、反対にD点からB点を超える正電圧領域で低抵抗状態から高抵抗状態に遷移する双方向の抵抗変化動作をする。言い換えると、低抵抗化(LR化)の負電圧印加で高抵抗状態から低抵抗状態に遷移し、高抵抗化(HR化)の正電圧印加で低抵抗状態から高抵抗状態に遷移する。なお、C点とD点の間で見える、電流がほぼ流れないオフ領域がダイオード素子2bの非線形特性によるものである。
[抵抗変化素子のフォーミング特性]
ところで、図2Cに示す可逆的な抵抗変化動作は、メモリセル2を形成後フォーミングとよぶ操作を行う事で開始できる。例えば特許文献2に記載されているフォーミング操作の一例を説明する。
図3Aは、測定に用いられた評価用素子の構成を示す回路図である。
図3Aの評価用素子では、図2Bと同じ構造の抵抗変化素子2aと1.5kΩの固定抵抗素子とが直列に接続されている。
図3Bは、図3Aの3つの評価用素子に対しフォーミングパルスを印加したときの、抵抗値の推移を3評価用素子分示す図である。図3Bでは、例えばフォーミング用の正電圧パルス(パルス幅=1μs)を印加してフォーミングを試みたときの、抵抗変化素子2aの抵抗値とフォーミングパルスの累積パルス印加時間との関係をプロットしている。
図3Bに示されるように、評価用素子によって累積パルス印加時間は異なるが、評価用素子は数十MΩの超高抵抗状態(第1の抵抗状態)から数十kΩ台の高抵抗状態(第2の抵抗状態)に突然低下している。この低下した抵抗状態がフォーミングのなされた状態に対応する。この評価結果からもわかるように、抵抗変化素子によってフォーミングが完了するパルス印加回数が異なる。しかし、その抵抗値が初期状態に比べ大きく低下した状態を捉えそこでフォーミングを終了すれば、無駄が無く、良好なフォーミングを行うことができる。
[クロスポイント型不揮発性記憶装置のフォーミングに関係する基本的な説明]
以下、本発明の詳細を説明する前に、本発明の基本となる新たな知見について説明する。
これはクロスポイント型不揮発性記憶装置の回り込み電流に関するものである。以下では、図4A乃至図8を参照しながら当該知見について説明するが、これは後述の本発明の構成を理解するための一助とするものである。したがって、本発明はこれらの図面及びその説明に限定されない。
図4Aは、図1Aに示すメモリセルアレイ1の構成を詳細に示す図である。
図4Aにおいて、ワード線3のそれぞれは、選択線の説明を分かり易くするためWL1〜WL4と記している。同様に、ビット線4のそれぞれは、BL1〜BL4と記している。また、WL3及びBL3が選択線つまり選択ワード線及び選択ビット線であることを示すため、WL3及びBL3を太線で図示している。WL3及びBL3の選択の具体的動作は、WL3とBL3の両者の間に所定電圧差を印加してWL3及びBL3が交差するメモリセル2に電流を流し、それ以外のワード線3及びビット線4はフローティング状態とするものである。また、メモリセル2について、白丸はフォーミング前の状態のメモリセル、黒丸はフォーミング後の状態のメモリセル、斜線付き丸は選択された状態のメモリセル(図4AではM33)を示すものとする。これは、以降の説明でも同様である。
図4Bは、図4Aのメモリセルアレイ1を等価回路図に展開したものである。
図4Bにおいて、ビット線4(BL3)とワード線3(WL3)との間に選択されたメモリセル2(M33)が接続されている。またそれと並列に、例えばビット線4(BL3)に一端が接続されるメモリセル2(M13)は、他端がワード線3(WL1)に繋がり、さらにメモリセル2(M11)を介してビット線4(BL1)に繋がり、メモリセル2(M31)を介してワード線3(WL3)に繋がる。従って、メモリセル2(M13)−メモリセル2(M11)−メモリセル2(M31)のように、ビット線4(BL3)及びワード線3(WL3)が3段直列な関係の非選択のメモリセル2を介して接続された電流経路、即ち回り込み電流経路が形成されている。また、同様に、メモリセル2(M13)−メモリセル2(M12)−メモリセル2(M32)、メモリセル2(M13)−メモリセル2(M14)−メモリセル2(M34)、メモリセル2(M23)−メモリセル2(M21)−メモリセル2(M31)、メモリセル2(M23)−メモリセル2(M22)−メモリセル2(M32)、メモリセル2(M23)−メモリセル2(M24)−メモリセル2(M34)、メモリセル2(M43)−メモリセル2(M41)−メモリセル2(M31)、メモリセル2(M43)−メモリセル2(M42)−メモリセル2(M32)、メモリセル2(M43)−メモリセル2(M44)−メモリセル2(M34)の回り込み電流経路も形成されている。
図4Cは、選択された状態のメモリセル2(M33)以外のメモリセル2の抵抗が同じ状態の時の図4Bで示す等価回路を縮退した等価回路を示すものである。
選択された状態のメモリセル2(M33)以外のメモリセル2の抵抗状態が同一である。従って、3段直列な関係の非選択のメモリセル2を介した回り込み電流経路は、図4Cに示されるように、上段部にメモリセル2が3個並列に接続され、中段部にメモリセル2が9個並列に(上段部個数と下段部個数の積)に接続され、下段部にメモリセル2が3個並列に接続された関係に単純化できる。
次にメモリセルアレイ1の等価回路図を用いて、いくつかのケース(選択されたメモリセル2以外のメモリセル2の抵抗状態が異なるケース)についてフォーミングにおける回り込み電流量を説明する。
図5Aは、図4Aで示したのと同様に、メモリセル2(M33)を選択し、フォーミングする場合を示している。但し、図5Aは、選択されたビット線4(BL3)に繋がるメモリセル2(M13)及びメモリセル2(M23)と、選択されたワード線3(WL3)に繋がるメモリセル2(M31)及びメモリセル2(M32)とは、黒丸で示すように、既にフォーミングされた状態を仮定している。一方、黒丸で示した以外の白丸のメモリセル2はフォーミングされていない状態を仮定している。
図5Bは、図5Aの等価回路図を示すものである。なお、図5Bの接続関係は既に図4Bで説明しているので省略する。
図5Bの等価回路図によると、3段直列な関係の非選択のメモリセル2を介した回り込み電流経路では、中段部に何れもフォーミング前の状態のメモリセル2が接続されている。フォーミング前のメモリセル2は超高抵抗状態にあり、従って回り込み電流はこの中段部で遮断され、図5Aの状態では回り込み電流は発生しない。このような状態を、回り込み電流経路数が0と定義する。
図5Cは、図4Aで示したのと同様に、メモリセル2(M33)を選択し、フォーミングする場合を示している。但し、図5Cは、図5Aの状態に対し、メモリセル2(M11)がフォーミングされた状態を仮定している。
図5Dは、図5Cの等価回路図を示すものである。
図5Dの等価回路図によると、3段直列な関係の非選択のメモリセル2を介した回り込み電流経路では、メモリセル2(M13)−メモリセル2(M11)−メモリセル2(M31)の1経路が何れもフォーミングされたメモリセル2で繋がっている。一方、それ以外の他の回り込み電流経路では、上段部、中段部または下段部にフォーミング前の超高抵抗状態のメモリセル2があるため、回り込み電流は遮断される。このような状態を、回り込み電流経路数が1と定義する。
図5Eは、図4Aで示したのと同様に、メモリセル2(M33)を選択し、フォーミングする場合を示している。但し、図5Eは、図5Cの状態に対し、メモリセル2(M11)の代わりにメモリセル2(M14)がフォーミングされた状態を仮定している。
図5Fは、図5Eの等価回路図を示すものである。
図5Fの等価回路図によると、3段直列な関係の非選択のメモリセル2を介した回り込み電流経路では、上段部、中段部または下段部にフォーミング前の超高抵抗状態のメモリセル2があるため、回り込み電流は遮断される。従って、回り込み電流経路数が0となる。即ち図5Fの場合と図5Cの場合とで、フォーミング後のメモリセル2の数は同じだが、フォーミング後のメモリセル2の配置場所が異なることに依って回り込み電流経路数が変わることがわかる。
図5Gは、図4Aで示したのと同様に、メモリセル2(M33)を選択し、フォーミングする場合を示している。但し、図5Gは、図5Cでの状態に対し、さらにメモリセル2(M12)がフォーミングされた状態を仮定している。
図5Hは、図5Gの等価回路図を示すものである。
図5Hの等価回路図によると、3段直列な関係の非選択のメモリセル2を介した回り込み電流経路では、メモリセル2(M13)−メモリセル2(M11)−メモリセル2(M31)、メモリセル2(M13)−メモリセル2(M12)−メモリセル2(M32)の2経路が何れもフォーミングされたメモリセル2で繋がっている。一方、それ以外の他の回り込み電流経路では、上段部、中段部または下段部にフォーミング前の超高抵抗状態のメモリセル2があるため、回り込み電流は遮断される。このような状態を、回り込み電流経路数が2と定義する。
図5Iは、図4Aで示したのと同様に、メモリセル2(M33)を選択し、フォーミングする場合を示している。但し、図5Iは、図5Gでの状態に対し、さらにメモリセル2(M21)がフォーミングされた状態を仮定している。
図5Jは、図5Iの等価回路図を示すものである。
図5Jの等価回路図によると、3段直列な関係の非選択のメモリセル2を介した回り込み電流経路では、メモリセル2(M13)−メモリセル2(M11)−メモリセル2(M31)、メモリセル2(M13)−メモリセル2(M12)−メモリセル2(M32)、メモリセル2(M23)−メモリセル2(M21)−メモリセル2(M31)の3経路が何れもフォーミングされたメモリセル2で繋がっている。一方、それ以外の他の回り込み電流経路では、上段部、中段部または下段部にフォーミング前の超高抵抗状態のメモリセル2があるため、回り込み電流は遮断される。このような状態を、回り込み電流経路数が3と定義する。
図5Kは、図4Aで示したのと同様に、メモリセル2(M33)を選択し、フォーミングする場合を示している。但し、図5Kは、図5Iでの状態に対し、さらにメモリセル2(M22)がフォーミングされた状態を仮定している。
図5Lは、図5Kの等価回路図を示すものである。
図5Lの等価回路図によると、3段直列な関係の非選択のメモリセル2を介した回り込み電流経路では、メモリセル2(M13)−メモリセル2(M11)−メモリセル2(M31)、メモリセル2(M13)−メモリセル2(M12)−メモリセル2(M32)、メモリセル2(M23)−メモリセル2(M21)−メモリセル2(M31)、メモリセル2(M23)−メモリセル2(M22)−メモリセル2(M32)の4経路が何れもフォーミングされたメモリセル2で繋がっている。一方、それ以外の他の回り込み電流経路では、上段部、中段部または下段部にフォーミング前の超高抵抗状態のメモリセル2があるため、回り込み電流は遮断される。このような状態を、回り込み電流経路数が4と定義する。
以上の説明で分かるように回り込み電流経路数は、選択ビット線に接続されたフォーミング済みのメモリセル2(M13、M23)が接続された非選択ワード線と、選択ワード線に接続されたフォーミング済みのメモリセル2(M31、M32)が接続された非選択ビット線との交点に位置するメモリセル2(図5A、図5C、図5E、図5G、図5I及び図5Kにおいて破線で囲うメモリセル2(M11、M12、M21、M22))の内、フォーミング済みのメモリセル2の個数に相当(一致)している。
次に回り込み電流経路数を一般化して説明する。
図6は4行4列のメモリセルアレイ1を、M行N列のメモリセルアレイ101に拡張し一般化したものである。メモリセルアレイ101の個別の構成要素はメモリセルアレイ1と同一なのでその詳細説明は省略する。
なお、図6では、ワード線は選択ワード線103のみを、ビット線は選択ビット線104のみを表示し、非選択ワード線及び非選択ビット線の表示は省略している。また選択ワード線103または選択ビット線104以外に接続されるメモリセルは、フォーミング済みのメモリセルのみを示し、それ以外は省略している。
また、図6では、選択ワード線103と選択ビット線104との交点の選択メモリセル102aをフォーミングする場合を示している。選択ワード線103にはフォーミング済みのメモリセルがnビット、選択ビット線104にはフォーミング済みのメモリセルがmビット存在しているとしている。そして、そのフォーミング済みのメモリセルの各々に接続される非選択ビット線(図示なし)及び非選択ワード線(図示なし)の交差する領域を交差領域105とし、この交差領域105にAビットのフォーミング済みメモリセル領域106aが含まれるとしている。
また、図6では、交差領域105内のフォーミング済みメモリセル領域106aをm0行n0列のまとまった単位で表現しているが、これは後ほどの説明を簡単にするためのもので、交差領域105内のフォーミング済みメモリセル領域106aは分散されたメモリセルの行及び列から構成されるものであってもよい。また、交差領域105に属さない領域にBビットのフォーミング済みメモリセル領域106bが存在してもよい。
図7は、図6に示すM行N列のメモリセルアレイ101の縮退した等価回路図を示すものである。
図7では、選択ビット線104と選択ワード線103とに両端が接続された選択メモリセル102aと並列に、回り込み電流経路としてAビット(=m0ビット×n0ビット)からなるフォーミング済みメモリセル領域106aを中間段とする3段直列の回り込み電流経路が形成されている。この3段直列の回り込み電流経路で、上段は選択ビット線104に接続されたフォーミング済みのmビットのメモリセルの内、交差領域105のメモリセルを介して選択ワード線103に接続されたフォーミング済みのm0ビットのメモリセルから構成される。そして、下段は選択ワード線103に接続されたフォーミング済みのnビットのメモリセルの内、交差領域105のメモリセルを介して選択ビット線104に接続されたフォーミング済みのn0ビットのメモリセルから構成される。
図6のような一般化した場合の回り込み電流経路数も、図5A〜図5Lの説明から類推でき、交差領域105に属するフォーミング済みメモリセルの数であるAに相当する。一方、交差領域105以外のフォーミング済みメモリセルを介した回り込み電流経路は、メモリセルアレイ101の等価回路図で示される3段直列の非選択のメモリセルの回り込み電流経路の上段部または下段部の何れかで遮断された状態に対応するため回り込み電流経路数に寄与しない。
図8は、回り込み電流経路数と回り込み電流値の関係を示している。
回り込み電流経路数は回り込み電流経路の並列個数に相当するため、回り込み電流経路数と回り込み電流値は概ね線形関係にある。また回り込み電流経路数は、フォーミング対象の最後のメモリセル1ビットを残し、その他の全てのメモリセルがフォーミング済みの状態であるときに最大値となる。即ちM行N列のメモリセルアレイにおいて、フォーミング済みメモリセル領域106aが(M−1)×(N−1)のメモリセルから構成されるときに最大となる。この時の回り込み電流値をISmaxとすると、それ以外の時の回り込み電流値は、回り込み電流値=ISmax×{回り込み電流経路数/(M−1)×(N−1)}として、回り込み電流経路数より比例配分で算出することが出来る。回り込み電流経路数は、その時点までにどのメモリセルをフォーミングしたかの情報を基に求めることができる。
なお、この回り込み電流値は、選択ビット線104と選択ワード線103との間の印加電圧に依存する。即ち選択メモリセル102aを読み出し動作する場合と、フォーミング動作する場合とでは、同じ回り込み電流経路数の状態であっても回り込み電流値は異なるので、各々の動作に対応した回り込み電流値を算出することは言うまでもない。
図9Aは、本発明をフォーミング時のメモリセルのフォーミング状態を判定するフォーミング動作(読み出し動作)に適用した場合の概念を説明するものである。
選択メモリセル102aの情報を読み出す場合、センスアンプ回路7のリード電流検知用ロード電流供給部9に対応するロード電流源208aで選択メモリセル102aのフォーミング判定に必要なロード電流IMrをメモリセルアレイ101に供給する。さらにセンスアンプ回路7の回り込み電流補償用ロード電流供給部8に対応するロード電流源208bで非選択メモリセル群102bに流れる回り込み電流ISrに相当する電流をメモリセルアレイ101に並列に供給する。これらのロード電流IMr及び回り込み電流ISrによりフォーミング対象のメモリセルに供給される最終的なフォーミング判定のロード電流が構成される。このとき、ロード電流IMrは、回り込み電流が無い状態において、フォーミング済みの選択メモリセル102aをセンスアンプ回路7でフォーミング判定できる電流であり、選択メモリセル102aのアドレスに依らず一定値である。一方、回り込み電流ISrは、フォーミング済みの非選択メモリセル群102bが含む回り込み電流経路数m0×n0に依存し、読み出し動作を阻害するノイズ的成分として働く。
しかし、回り込み電流経路数は、図5A乃至図5Lで説明したように、フォーミングを行う選択メモリセル102aのアドレス経路(フォーミング対象のメモリセルを選択する順番)を元に、フォーミング対象の選択メモリセル102aのアドレス毎に予め算出しておくことができる。従って、図8で示したように回り込み電流経路数と回り込み電流の関係より、その都度(選択メモリセル102a毎)の回り込み電流経路数に相当する回り込み電流ISrに対応する電流をロード電流源208bで補償電流として流すことにより、回り込み電流の影響を排除できる。その結果、フォーミング対象の選択メモリセル102aのフォーミング判定を安定に行うことができる。
なお、図9Aでは、ロード電流源208aとロード電流源208bとは2つの分離した2つのロード回路として説明したが、一つのロード回路で構成し、図9Aで示した趣旨に従って1つのロード回路のロード電流(駆動電流)を調整してメモリセルアレイ101に供給してもよい。
図9Bは本発明を、フォーミング時の印加パルス(フォーミングパルス)に適用した場合の概念を説明するものである。
選択メモリセル102aをフォーミングする場合、書き込み回路15内の書き込み回路215aにより選択メモリセル102aのフォーミングに必要なフォーミング電流IMwをメモリセルアレイ101に供給する。さらに書き込み回路215bで非選択メモリセル群102bに流れる回り込み電流ISwに相当する電流をメモリセルアレイ101に並列に供給する。これらのフォーミング電流IMw及び回り込み電流ISwによりフォーミング対象のメモリセルに供給される最終的なフォーミング電流が構成される。このとき、フォーミング電流IMwは、回り込み電流が無い状態において選択メモリセル102aをフォーミングできる電流であり、選択メモリセル102aのアドレスに依らず一定値である。一方、回り込み電流ISwは、フォーミング済みの非選択メモリセル群102bが含む回り込み電流経路数m0×n0に依存し、フォーミング対象の選択メモリセル102aに流すフォーミング電流を低下させフォーミング動作を阻害する。
しかし、回り込み電流経路数は、図5A乃至図5Lで説明したように、フォーミングを行う選択メモリセル102aのアドレス経路を元に、フォーミング対象の選択メモリセル102aのアドレス毎に予め算出しておくことができる。従って、図8で示したように回り込み電流経路数と回り込み電流との関係より、その都度(選択メモリセル102a毎)の回り込み電流経路数に相当する回り込み電流ISwに対応する電流を書き込み回路215bで補償電流として流すことで、回り込み電流の影響を排除できる。その結果、選択メモリセル102aの安定なフォーミングを実現できる。
なお、書き込み回路215aと書き込み回路215bは2つの分離した2つの書き込み回路として説明したが、一つの書き込み回路で構成し、図9Bで示した趣旨に従って1つの書き込み回路のフォーミング電流を調整してメモリセルアレイ101に供給してもよい。
以上の説明を基に、本発明の不揮発性記憶装置100のフォーミング方法を説明する。
[不揮発性記憶装置のフォーミング判定方法]
まず、不揮発性記憶装置100のフォーミングにおいて、フォーミング判定のロード電流を回り込み電流経路数に応じて設定する例(図9Aの例)を説明する。
図10A及び図10Bは、製造後のフォーミングを行う前のメモリセルアレイ1に配列される16ビットのメモリセル2について、フォーミングのアドレス順番(フォーミング順)と、それに対応する各々の時の回り込み電流経路数を示している。図10A及び図10Bにおいて、矢印がフォーミングの行われるメモリセル2が変更される流れを示している。また、回り込み電流経路数を符号Pと表記している。
なお、図10A及び図10Bでは、選択ワード線を切り替えることなくワード線方向(右方向)に選択ビット線を順次切り替えながらメモリセル2をスキャンし、最大アドレスに到達したら、ビット線方向(下方向)の隣に選択ワード線を切り替えて、再びワード線方向に選択ビット線を順次切り替えるワード線スキャン方式を示しているが、これは一例であって、これに限定されるものではない。
まず、ステップS1では、ワード線3(WL1)とビット線4(BL1)に所定の電圧を印加し、メモリセル2(M11)をフォーミングする。この時の回り込み電流経路数Pは0である。
次に、ステップS2では、ワード線3(WL1)とビット線4(BL2)に所定の電圧を印加し、メモリセル2(M12)をフォーミングする。この時メモリセル2(M11)はフォーミング済みであるが回り込み電流経路数Pは0のままである。
次に、ステップS3〜S5のメモリセル2(M13、M14及びM21)のフォーミングでは、ステップS1〜S2のフォーミングと同様のフォーミングが行われるため、その詳細な説明は省略するが、回り込み電流経路数Pは0のままである。
次に、ステップS6のメモリセル2(M22)のフォーミングにおいて、破線で示すフォーミング済みメモリセル領域(図10AのA)が回り込み電流経路となり、回り込み電流経路数Pが1となる。
次に、ステップS7のメモリセル2(M23)のフォーミングにおいて、フォーミング済みメモリセル領域(図10AのB)が回り込み電流経路となり、回り込み電流経路数Pが2となる。
次に、ステップS8のメモリセル2(M24)のフォーミングにおいて、フォーミング済みメモリセル領域(図10AのC)が回り込み電流経路となり、回り込み電流経路数Pが3に増加する。
次に、図10Bにおいて、ステップS9では、選択ワード線がワード線3(WL2)からワード線3(WL3)に切り替わり、メモリセル2(M31)のフォーミングに移る。メモリセル2(M31)のフォーミングでは、回り込み電流経路を形成するフォーミング済みメモリセル領域は存在しなくなり、回り込み電流経路数Pは0となる。
次に、ステップS10のメモリセル2(M32)のフォーミングにおいて、フォーミング済みメモリセル領域(図10BのD)が回り込み電流経路となり、回り込み電流経路数Pが2となる。
次に、ステップS11のメモリセル2(M33)のフォーミングにおいて、フォーミング済みメモリセル領域(図10BのE)が回り込み電流経路となり、回り込み電流経路数Pが4となる。
次に、ステップS12のメモリセル2(M34)のフォーミングにおいて、フォーミング済みメモリセル領域(図10BのF)が回り込み電流経路となり、回り込み電流経路数Pが6に増加する。
次に、ステップS13では、選択ワード線が再びワード線3(WL3)からワード線3(WL4)に切り替わり、メモリセル2(M41)のフォーミングに移る。メモリセル2(M41)のフォーミングでは、回り込み電流経路を形成するフォーミング済みメモリセル領域は存在しなくなり、回り込み電流経路数Pは0となる。
次に、ステップS14のメモリセル2(M42)のフォーミングにおいて、フォーミング済みメモリセル領域(図10BのG)が回り込み電流経路となり、回り込み電流経路数Pが3となる。
次に、ステップS15のメモリセル2(M43)のフォーミングにおいて、フォーミング済みメモリセル領域(図10BのH)が回り込み電流経路となり、回り込み電流経路数Pが6となる。
最後に、ステップS16のメモリセル2(M44)のフォーミングにおいて、フォーミング済みメモリセル領域(図10BのI)が回り込み電流経路となり、回り込み電流経路数Pが9の最大値になる。
図11は、図10A及び図10Bで説明の回り込み電流経路数Pの推移を示すグラフである。
フォーミング済みのメモリセル2の数はフォーミングの進行とともに単調増加するが、図11に示されるように、回り込み電流経路数は単調増加とはならず増減を繰り返す。回り込み電流経路数は、フォーミングされるメモリセル2の場所に応じて、0、1、2、3、4、6、9の離散的な値をとる。
図12は、回り込み電流補償用ロード電流供給部8のP型MOSトランジスタ8bのゲート端子へ設定するロード電流制御電圧LA(M)と回り込み電流経路数との関係を示している。
図12に示されるように、離散的な回り込み電流経路数0、1、2、3、4、6、9に対応してLA(1)からLA(7)を、可変電圧源16の出力であるロード電流制御電圧LA(M)に対応させている。これにより、メモリセル2をフォーミングするときの回り込み電流経路数に応じて、そのときに回り込み電流補償用ロード電流供給部8がフォーミング判定のために供給するロード電流を変化させることができる。
図13は、P型MOSトランジスタ8bに流れるロード電流と、そのゲート端子に印加するロード電流制御電圧LA(M)との関係を示す電圧−電流特性(V−I特性)である。図13では、回り込み電流経路数が1つのときに回り込み電流補償用ロード電流供給部8によりフォーミング判定のために供給する回り込み電流をISr1として、その整数倍の電流値とそれに対応するゲート電圧値を示している。
図13のV−I特性において、回り込み電流経路数が0の場合には回り込み電流が流れないため、ゲート電圧値LA(1)をロード電流0に対応させている。しかし、回り込み電流経路数に比例して回り込み電流は増加するため、回り込み電流経路数が1のときのゲート電圧値LA(2)をロード電流1×Is、回り込み電流経路数が2のときのゲート電圧値LA(3)にロード電流2×Is、回り込み電流経路数が3のときのゲート電圧値LA(4)にロード電流3×Is、回り込み電流経路数が4のときのゲート電圧値LA(5)にロード電流4×Is、回り込み電流経路数が6のときのゲート電圧値LA(6)にロード電流6×Is、回り込み電流経路数が9のときのゲート電圧値LA(7)にロード電流9×Isを各々対応させている。
ここで、フォーミング判定のロード電流を回り込み電流経路数に応じて設定する構成は、可変電圧源16を、図1Bの各電圧値が図13の関係を満足するように設計しておき、かつ、図11及び図12の関係を示すテーブルを記憶部30に格納しておくことにより実現される。具体的には、制御回路18が記憶部30に格納された図11及び図12の関係を示すテーブルに基づいて、可変電圧源16を制御することにより実現される。
なお、例えば可変電圧源16をさらに細分化された電圧設定も可能な構成にしておき、フォーミング段階で上記に示した必要なゲート電圧値をプログラム設定する構成でもよい。また、P型MOSトランジスタ8bのゲート端子の電圧を、可変電圧源16より供給するのではなく、不揮発性記憶装置100の外部より直接DC電圧を供給する構成でもよい。この場合、不揮発性記憶装置100は、P型MOSトランジスタ8bのゲート端子に電気的に接続され、異なる電圧が選択的に切り替えて供給される外部電圧印加端子を備え、制御回路18は、外部電圧印加端子に供給する電圧値を調整してP型MOSトランジスタ8bの出力電流を調整することで、回り込み電流補償用ロード電流供給部8に供給させるロード電流を調整する。
次に、図3Bのようなフォーミング特性を有する抵抗変化素子で構成された不揮発性記憶装置100についてのフォーミング方法(駆動方法)を説明する。
図14はフォーミングの流れを示すフローチャートである。
メモリセル2のフォーミング方法では、まず、フォーミング対象の領域の先頭アドレスがフォーミング対象のメモリセル2として指定(選択)される。
次に、回り込み電流補償用ロード電流供給部8及びリード電流検知用ロード電流供給部9つまりセンスアンプ回路7から供給されるロード電流の値を、メモリセルアレイ1におけるフォーミング対象のメモリセル2以外のメモリセル2で抵抗変化素子が第2の抵抗状態にあるものの数及び場所に応じて変更する。つまり、フォーミング対象のメモリセル2の回り込み電流経路数に対応して回り込み電流補償用ロード電流供給部8のゲート電圧を設定する第1のステップ(ステップS1)が行われる。その後、フォーミング対象のメモリセル2に、変更後のロード電流を供給し、センスアンプ回路7の出力が‘L’レベルか否かを判定する(‘H’レベルであることを確認する)第2のステップ(ステップS2)が行われる。
ここで、第1のステップでは、ロード電流の値を、前述した第1メモリセルに接続されたワード線3と、前述した第2メモリセルに接続されたビット線4との交点にあるメモリセル2のうち第2の抵抗状態にあるものの個数に比例して変更する。また第2のステップではフォーミング対象のメモリセル2にはこの時点ではまだ一度もフォーミングパルスは供給されていないため、センスアンプ回路7の出力は‘H’レベルであることが期待される。なおこの段階で‘L’レベルであった場合は、既にフォーミングされた状態と判断し、選択されたメモリセル2のフォーミングは終了する。
次に、第2のステップの後で、フォーミング対象のメモリセル2に書き込み電流としてのフォーミングパルスを供給する第3のステップ(ステップS2a)が行われる。
次に、第3のステップの後で、フォーミング対象のメモリセル2に第1のステップ(ステップS1)で設定した変更後のロード電流を供給し、フォーミング対象のメモリセル2の抵抗変化素子の抵抗状態を読み出す第4のステップ(ステップS2)が行われる。
次に、第4のステップにおいて、センスアンプ回路7の出力が‘L’レベルの場合(ステップS2でY)は、フォーミング対象のメモリセル2はフォーミングがなされた(抵抗変化素子の抵抗状態が変化した)と判定し、フォーミングパルスの供給を終了してフォーミング対象のメモリセル2のフォーミングを終了する。一方、センスアンプ回路7の出力が‘H’レベルの場合(ステップS2でN)は、フォーミング対象のメモリセル2はフォーミングがなされていない(抵抗変化素子の抵抗状態が変化していない)と判定し、第3のステップ(ステップS2a)を再度実行する。
次に、第5のステップ(ステップS3)において、フォーミングがフォーミング対象の領域の最終アドレスまで実行されていればフォーミングを終了し、最終アドレスではない場合は、1アドレス進めて(ステップS3a)再度第1のステップ(ステップS1)からのフォーミングを続ける。
以下では、図14で示したフォーミング方法について、図10A及び図10Bに示すフォーミング順番に従いフォーミングするとして詳細に説明する。
まず、フォーミング対象の領域が決められ、その領域の先頭アドレスであるメモリセル2(M11)がフォーミング対象のメモリセル2として指定される。
次に、メモリセル2(M11)の回り込み電流経路数に対応して回り込み電流補償用ロード電流供給部8のゲート電圧を設定する(ステップS1)。メモリセル2(M11)をフォーミングするときの回り込み電流経路数は0であるため、図12より可変電圧源16の出力であるロード電流制御電圧LA(M)としてゲート電圧LA(1)が設定される。
次に、メモリセル2(M11)の情報(抵抗状態)をセンスアンプ回路7で読み出す。そして、センスアンプ回路7の出力SOの結果に応じて分岐判断を行い、メモリセル2(M11)が可逆的な抵抗変化動作が可能な状態か判断する(ステップS2)。具体的には、ステップS1で設定された条件でメモリセルアレイ1に電流印加を行った状態で、センスアンプ回路7の出力SOが‘H’レベルから‘L’レベルに変更されたか判断する。
次に、センスアンプ回路7の出力SOが‘L’レベルの場合(ステップS2でY)、メモリセル2(M11)は可逆的な抵抗変化動作が可能な状態(第1の抵抗状態に対してより抵抗値が低い第2の抵抗状態)にあると判断し、次の処理に移る。一方、センスアンプ回路7の出力SOが‘H’レベルの場合(ステップS2でN)、メモリセル2(M11)は第2の抵抗状態より抵抗値が高い第1の抵抗状態にあると判断し、フォーミングパルスを印加する(ステップS2a)。そしてセンスアンプ回路7の出力が‘L’レベルとなるまで、または事前に指定の所定回数分のフォーミングパルスの印加が行われるまで同様の処理を繰り返す。
次に、メモリセル2(M11)を示すアドレスが、フォーミング領域の最終アドレスか否かを判定する(ステップS3)。最終アドレスで無い場合(ステップS3でN)は、1アドレス進め(ステップS3a)、再度ステップS1より同様の処理を実行する。最終アドレスはメモリセル2(M44)であり、メモリセル2(M11)は最終アドレスで無いため、メモリセル2(M11)の1アドレス先のメモリセル2(M12)について、再度ステップS1より同様の処理を実行する。
メモリセル2(M12)以降のアドレスのフォーミングについて、メモリセル2(M12)からメモリセル2(M21)までは回り込み電流経路数は0のため、ステップS1では可変電圧源16の出力であるロード電流制御電圧LA(M)としてゲート電圧LA(1)が設定される。従って、上述したステップS1、ステップS2、ステップS3及びステップS3aと同様の処理がメモリセル2(M12)からメモリセル2(M21)について繰り返される。
しかし、メモリセル2(M22)では、回り込み電流経路数は1に増加するため、メモリセル2(M22)のフォーミングのステップS1では可変電圧源16の出力であるロード電流制御電圧LA(M)としてゲート電圧LA(2)が設定される。そして、メモリセル2(M22)のフォーミングにおいて、上述したステップS2、ステップS3及びステップS3aを実行する。
メモリセル2(M23)以降のフォーミングにおいても同様に、図11及び図12に基づいてメモリセル2のアドレスに対応するゲート電圧(ゲート電圧設定値)を、可変電圧源16の出力であるロード電流制御電圧LA(M)として設定し、上述したステップS2、ステップS3及びステップS3aを実行する。そして、メモリセル2(M44)のフォーミングにおいて、ステップS3でYとなった場合に、フォーミングを終了する。
[クロスポイント型不揮発性記憶装置のフォーミング電圧設定方法]
次に、不揮発性記憶装置100のフォーミングにおいて、フォーミング電流を回り込み電流経路数に応じて設定する例(図9Bの例)を説明する。なお、以下では、図10A及び図10Bに示すフォーミング順番に従いフォーミングが行われるとして説明する。従って、その時々のフォーミングを行っているアドレスでの回り込み電流経路数の推移も同じなので、回り込み電流経路数についての説明は省略する。
図15は、書き込み回路15に供給するパルス電圧Vw(M)と回り込み電流経路数との関係を示している。
図15に示されるように、離散的な回り込み電流経路数0、1、2、3、4、6、9にパルス電圧Vw(1)からパルス電圧Vw(7)を対応させている。これにより、メモリセル2をフォーミングするときの回り込み電流経路数に応じて、そのときに書き込み回路15がフォーミングのために供給するフォーミング電流を変化させることができる。
図16は、書き込み回路15に供給するパルス電圧Vw(M)と、書き込み回路15の出力電流(フォーミング電流)との関係を示す電圧−電流特性(V−I特性)である。図16では、回り込み電流経路が無い場合に、選択メモリセルをフォーミングするのに必要なフォーミング電流をIMwとし、また回り込み電流経路数が1つのときに書き込み回路15によりフォーミングのために供給する回り込み電流をISw1として、その整数倍の電流値とそれに対応するパルス電圧Vw(M)を示している。
図16のV−I特性において、回り込み電流経路数0の場合には回り込み電流が流れないため、パルス電圧Vw(1)を、書き込み回路15の出力電流IMwを駆動可能な電圧として対応させている。しかし、回り込み電流経路数に比例して回り込み電流は増加するため、回り込み電流経路数1のときのパルス電圧Vw(2)を、出力電流IMw+ISw1を駆動可能な電圧として対応させ、回り込み電流経路数2のときのパルス電圧Vw(3)を、出力電流IMw+2×ISw1を駆動可能な電圧として対応させ、回り込み電流経路数3のときのパルス電圧Vw(4)を、出力電流IMw+3×ISw1を駆動可能な電圧として対応させ、回り込み電流経路数4のときのパルス電圧Vw(5)を、出力電流IMw+4×ISw1を駆動可能な電圧として対応させ、回り込み電流経路数6のときのパルス電圧Vw(6)を、出力電流IMw+6×ISw1を駆動可能な電圧として対応させ、回り込み電流経路数9のときのパルス電圧Vw(7)を、出力電流IMw+9×ISw1を駆動可能な電圧として対応させている。
ここで、フォーミング電流を回り込み電流経路数に応じて設定する構成は、図11及び図15の関係を示すテーブルを記憶部30に格納しておくことにより実現される。具体的には、制御回路18が、記憶部30に格納された図11及び図15の関係を示すテーブルに基づいて、パルス電圧源Vw(M)を制御することにより実現される。
次に図3Bのようなフォーミング特性を有する抵抗変化素子で構成された不揮発性記憶装置100についてのフォーミング方法(駆動方法)を説明する。
図17はフォーミングの流れを示すフローチャートである。
メモリセル2のフォーミング方法では、まず、フォーミング対象の領域の先頭アドレスがフォーミング対象のメモリセル2として指定(選択)される。
次に、書き込み回路15から供給される書き込み電流としてのフォーミングパルスの値を、メモリセルアレイ1における選択されたメモリセル2以外のメモリセル2で抵抗変化素子が第2の抵抗状態にあるものの数及び場所に応じて変更する第1のステップ(ステップS1)が行われる。つまり、フォーミング対象のメモリセル2の回り込み電流経路数に対応してフォーミング電流を設定する第1のステップ(ステップS1)が行われる。その後、選択されたメモリセル2に、所定のロード電流を供給し、センスアンプ回路7の出力が‘L’レベルか否かを判定する(‘H’レベルであることを確認する)第2のステップ(ステップS1)が行われる。
ここで、第1のステップでは、フォーミングパルスの値を、前述した第1メモリセルに接続されたワード線3と、前述した第2メモリセルに接続されたビット線4との交点にあるメモリセル2のうち第2の抵抗状態にあるものの個数に比例して変更する。また、第2のステップでは、フォーミング対象のメモリセル2にはこの時点ではまだ一度もフォーミングパルスは供給されていないため、センスアンプ回路7の出力は‘H’レベルであることが期待される。なお、この段階で‘L’レベルであった場合は、既にフォーミングされた状態と判断し、選択されたメモリセル2のフォーミングは終了する。
次に、第2のステップの後で、フォーミング対象のメモリセル2に第1のステップで変更した変更後のフォーミングパルスを供給する第3のステップ(ステップS2a)が行われる。
次に、第3のステップの後で、センスアンプ回路7でフォーミング対象のメモリセル2に所定のロード電流を供給し、フォーミング対象のメモリセル2の抵抗変化素子の抵抗状態を読み出す第4のステップ(ステップS2)が行われる。
次に、第4のステップにおいて、センスアンプ回路7の出力が‘L’レベルの場合(ステップS2でY)は、フォーミング対象のメモリセル2はフォーミングがなされた(抵抗変化素子の抵抗状態が変化した)と判定し、フォーミングパルスの供給を終了してフォーミング対象のメモリセル2のフォーミングを終了する。一方、センスアンプ回路7の出力が‘H’レベルの場合(ステップS2でN)は、フォーミング対象のメモリセル2はフォーミングがなされていない(抵抗変化素子の抵抗状態が変化していない)と判定し、第3のステップ(ステップS2a)を再度実行する。
次に、第5のステップ(ステップS3)において、フォーミングがフォーミング対象の領域の最終アドレスまで実行されていればフォーミングを終了し、最終アドレスではない場合は、1アドレス進めて(ステップS3a)再度第1のステップ(ステップS1)からのフォーミングを続ける。
図14で示したフォーミング方法がフォーミング対象のメモリセル2の回り込み電流経路数に対応させてフォーミング判定のロード電流値を変更するのに対し、図17で示したフォーミング方法は、フォーミング対象のメモリセル2の回り込み電流経路数に対応させてフォーミングのフォーミング電流値を変更する点でのみ異なる。従って、図17のフォーミング方法の詳細な説明は省略する。
なお、図17のフォーミング電流を回り込み電流経路数に応じて切り替える構成と、図14のロード電流値を回り込み電流経路数に応じて切り替える構成とが組み合わせられても良い。つまり、フォーミング対象のメモリセル2のアドレスに応じて、そのアドレスのメモリセル2のフォーミングを行うときのフォーミング電流及びロード電流値の双方が切り替えられてもよい。
以上のように本実施の形態のクロスポイント型不揮発性記憶装置によれば、フォーミング対象のメモリセル2のアドレスに応じて、メモリセル2のフォーミングを行うときのフォーミング電流及びロード電流値の少なくともいずれかがそのアドレスの回り込み電流経路数を考慮して切り替えられる。従って、フォーミングにおいて回り込み電流の影響を排除し、安定なフォーミングを実現できる。
以上、本発明のクロスポイント型不揮発性記憶装置及びその駆動方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
例えば、本実施の形態では、フォーミング電流値を適切な値に切り替えるとした。これは、フォーミング前のメモリセルは超高抵抗状態であるのに対し、フォーミング後のメモリセルはそれに比べて抵抗値が十分低く、回り込み電流経路のインピーダンスとしてはフォーミング後のメモリセルが支配的で、フォーミング前のメモリセルは無視して取り扱える点に基づく。従って、本発明はフォーミングに限られるものではなく、例えば高抵抗化及び低抵抗化の少なくとも2つの書き込み状態を持つメモリセルにおいて、高抵抗化の書き込み状態(高抵抗状態)のメモリセルの抵抗値が低抵抗化の書き込み状態(低抵抗状態)のメモリセルの抵抗値に比べ十分高い場合には、本発明をメモリセルの書き込み及び読み出し動作にも適用することができる。一般的に高抵抗状態の抵抗値は低抵抗状態の抵抗値に比べ10倍以上の抵抗値を有しており、従って高抵抗状態のメモリセルへ流れる電流を相対的に無視できる場合は、低抵抗状態のメモリセルだけで回り込み電流経路数が形成されるとして本発明を適用することができる。
この場合、抵抗変化素子は低抵抗状態と高抵抗状態とへ可逆的に変化し、書き込み電流又は書き込み電圧は、選択されたメモリセルの抵抗変化素子に対し、低抵抗状態と高抵抗状態とを可逆的に変化させる電気的信号であり、ロード電流は、選択されたメモリセルの抵抗変化素子が低抵抗状態及び高抵抗状態のいずれにあるのかを確認するための電流である。言い換えると、上記実施の形態において、フォーミング動作をメモリセルへの通常の書き込み動作とし、フォーミング判定の動作をメモリセルの情報の読み出し動作として、フォーミングパルスが低抵抗状態と高抵抗状態とを可逆的に変化させる電気的信号に置き換えられ、フォーミング判定のロード電流が低抵抗状態及び高抵抗状態のいずれにあるのかを確認するためのロード電流に置き換えられる。従って、第1の抵抗状態が高抵抗状態であり、第2の抵抗状態が低抵抗状態であるとして、書き込み対象のメモリセルのアドレスに応じて、そのアドレスの回り込み電流経路に対応した電流又は電圧となるように電気的信号が切り替えられる。また、読み出し対象のメモリセルのアドレスに応じて、そのアドレスの回り込み電流経路に対応した電流となるようにロード電流が切り替えられる。
また、回り込み電流補償用ロード電流供給部8からの回り込み電流と、データ“0”ベリファイ用ロード電流供給部10又はデータ“1”ベリファイ用ロード電流供給部11からのロード電流により情報の読み出し対象のメモリセルに供給される最終的な情報読み出しのロード電流が構成される。また、書き込み回路15からの書き込み電流により情報の書き込み対象のメモリセルに供給される最終的な電気的信号が構成される。
また、情報の書き込み及び読み出しが行われるメモリセル以外のいずれのメモリセルが低抵抗状態にあるのかを容易に把握できるように、いずれのメモリセルに情報の書き込み及び読み出しを行うかについて、規則性がある不揮発性記憶装置に適用されていてもよい。
また、本実施の形態では、フォーミングパルスは書き込み電流であり、選択メモリセルのフォーミングが電流印加により行われるとしたが、フォーミングパルスは書き込み電圧であり、選択メモリセルのフォーミングが電圧印加により行われてもよい。この場合、書き込み回路は、回り込み電流経路数に比例して変化する書き込み電圧を印加する。
また、本実施の形態では、1アドレス毎に回り込み電流経路数に応じた回り込み電流を供給する(回り込み電流の補正を行う)とした。しかし、大規模なメモリセルアレイの場合、1アドレス毎の回り込み電流の変化量は小さいため、2以上の所定のアドレス毎に図14及び図17のステップS1の工程を行い、フォーミングを簡略化してもよい。
本発明は、クロスポイント型不揮発性記憶装置とその駆動方法において、クロスポイント型不揮発性記憶装置固有の回り込み電流をキャンセルし、安定したフォーミングを実現できるので、デジタル家電、メモリカード、携帯型電話機及びパーソナルコンピュータなどの種々の電子機器に用いられる不揮発性半導体記憶装置として有用である。
1、101、110 メモリセルアレイ
2 メモリセル
2a 抵抗変化素子
2b ダイオード素子
3 ワード線
4 ビット線
5 行選択回路
6 列選択回路
7 センスアンプ回路
8 回り込み電流補償用ロード電流供給部
8a、8b、9a、9b、10a、10b、11a、11b P型MOSトランジスタ
9 リード電流検知用ロード電流供給部
10 データ“0”ベリファイ用ロード電流供給部
11 データ“1”ベリファイ用ロード電流供給部
12 クランプ用N型MOSトランジスタ
13 クランプ電圧制御回路
14 差動アンプ
15 書き込み回路
16、17 可変電圧源
18 制御回路
19 固定抵抗素子
20 ロード電流制御電圧選択スイッチ
21 第1ビア
22 第1電極
23 半導体層
24 第2電極
25 第1の抵抗変化層
26 第2の抵抗変化層
27 第3電極
28 第2ビア
29 絶縁層
30 記憶部
100 不揮発性記憶装置
102a 選択メモリセル
102b 非選択メモリセル群
103 選択ワード線
104 選択ビット線
105 交差領域
106a、106b フォーミング済みメモリセル領域
111 データ線ドライブ回路
112 ビット線ドライブ回路
113 行デコーダ
114 列デコーダ
115 センス回路
120a、120b リファレンスメモリセルアレイ
208a、208b ロード電流源
215a、215b 書き込み回路
本発明は、抵抗変化型記憶素子を用いたクロスポイント型不揮発性半導体記憶装置に関するものであり、特にそのフォーミングに関する。
近年、デジタル技術の進展に伴い、携帯型情報機器及び情報家電などの電子機器が、よりいっそう高機能化している。そのため、不揮発性記憶装置の大容量化、書き込み電力の低減、書き込み/読み出し時間の高速化、及び長寿命化の要求が高まっている。
こうした要求に対して、既存のフローティングゲートを用いたフラッシュメモリの微細化が進められている。他方、フラッシュメモリに変わる素子として、いわゆる抵抗変化型記憶素子を用いて構成されたメモリ素子を有する不揮発性記憶装置の研究開発が進んでいる。抵抗変化型記憶素子とは、電気的信号に応じて抵抗値が変化しその抵抗値が電気的信号を切っても保たれる(不揮発に保持される)性質を有し、この抵抗値の変化によって情報を記憶することが可能な素子のことをいう。
抵抗変化型記憶素子の代表的なものとしては、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory:磁性メモリ)、PRAM(Phase Change Random Access Memory:相変化メモリ)、ReRAM(Resistance Random Access Memory:抵抗変化メモリ)など、がある。
これら抵抗変化型記憶素子を用いた不揮発性記憶装置の構成方法の一例として、クロスポイント構成が知られている。クロスポイント構成では、直交するビット線とワード線との交点に、ビット線とワード線とに挟まれて、各メモリセルが設置される。メモリセルは、抵抗変化型記憶素子単体もしくは抵抗変化型記憶素子とダイオードのような非線形特性を有するスイッチング素子との直列接続体として構成されるメモリ素子から構成され、メモリ素子の一方の電極はワード線に接続され、他方の電極はビット線に接続されている。クロスポイント構成は、抵抗変化型記憶素子がアクセストランジスタを介してビット線に接続されるいわゆる1T1R(1トランジスタ1抵抗)構成に比べ、大規模集積化に適しているという特徴を持つ。
クロスポイント構成において、複数のメモリセルはアレイ状に配置されてクロスポイントセルアレイを構成する。クロスポイント構成では、対象とするメモリセルに含まれるメモリ素子の抵抗値を検知する(読み出し)ために対応するビット線とワード線とに読み出し電圧が印加される。読み出し電圧が印加されると、検知対象(読み出し対象)とするメモリセルを流れる電流に加え、上下のビット線及びワード線によって並列に接続された他のメモリセル(検知対象とするメモリセル以外のメモリセル)を介した電流も流れる。この「他のメモリセルを介して流れる電流」を本明細書では回り込み電流と呼ぶ。
回り込み電流は、クロスポイントセルアレイに記憶されたデータの状態(検知対象とするメモリセルが所属するクロスポイントセルアレイ内の全てのメモリセルに含まれるメモリ素子の抵抗値及びその分布)で変化する。従って、読み出し時に検出される電流には、常に一定値でない回り込み電流が含まれている。この回り込み電流は、読み出し対象とするメモリセルに含まれるメモリ素子の抵抗値を正確に検知することを妨げる。回り込み電流による、メモリセルに含まれるメモリ素子の抵抗値の検知感度低下を抑制する構成を有する半導体記憶装置が、特許文献1に開示されている。
抵抗変化型記憶素子を可逆的に抵抗変化動作可能な状態にするためには、フォーミングと呼ばれる操作を行うことが必要であることが一般的に知られている。このフォーミングに関する技術が特許文献2に開示されている。
また、クロスポイント型の半導体記憶装置において正確なフォーミング動作を実行する手段として、フォーミング動作時に、ワード線WLに流れるリーク電流を検知する検知回路を備える構成が特許文献3で開示されている。この特許文献3では、フォーミング動作時に、ビット線BLに定電流を供給する電流供給が行われるとともに、検知回路で検知されたリーク電流に基づき、それと同じ電流値の補償電流が補償回路によりビット線BLに供給されることが開示されている。
特許第4625510号公報
国際公開第2011/121970号
特開2011−198445号公報
しかしながら、従来のフォーミング方法に対して、さらなる安定性の向上が求められているという課題がある。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、安定なフォーミングを実現することが可能なクロスポイント型不揮発性記憶装置とそのフォーミング方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るクロスポイント型不揮発性記憶装置の一形態は、第1の平面内において互いに平行に形成された複数のワード線と、前記第1の平面に平行な第2の平面内において互いに平行にかつ前記複数のワード線と立体交差するように形成された複数のビット線と、前記複数のワード線と前記複数のビット線との立体交差点に設けられ、第1の抵抗状態と前記第1の抵抗状態より抵抗値の低い第2の抵抗状態との2つの抵抗状態をとる抵抗変化素子を含んで構成されたメモリセルが行列状に配列されたクロスポイントメモリセルアレイと、前記ワード線の1本を選択するワード線選択器と、前記ビット線の1本を選択するビット線選択器と、前記ビット線選択器及び前記ワード線選択器により前記ビット線及び前記ワード線を選択することで選択された前記メモリセルに対し、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態を変化させる書き込み電流又は書き込み電圧を供給する書き込み回路と、前記選択されたメモリセルに対し、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態を読み出すためのロード電流を供給するセンスアンプ回路と、前記センスアンプ回路及び前記書き込み回路を制御する制御回路とを備え、前記クロスポイントメモリセルアレイにおいて、(A)前記選択されたビット線につながる前記メモリセルのうち前記選択されたメモリセル以外のメモリセルで抵抗変化素子が前記第2の抵抗状態にあるものを第1メモリセルとし、(B)前記選択されたワード線につながる前記メモリセルのうち前記選択されたメモリセル以外のメモリセルで抵抗変化素子が前記第2の抵抗状態にあるものを第2メモリセルとし、前記制御回路は、前記書き込み電流又は前記書き込み電圧と前記ロード電流との少なくともいずれかの大きさを、前記第1メモリセルに接続されたワード線と、前記第2メモリセルに接続されたビット線との交点にある前記メモリセルのうち前記第2の抵抗状態にあるもの個数に比例して変更することを特徴とする。
なお、これらの全般的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
本発明のクロスポイント型不揮発性半導体記憶装置とその駆動方法によると、安定なフォーミングが実現できるという効果が得られる。
図1Aは、本発明の実施の形態に係るクロスポイント型不揮発性記憶装置の構成を示す回路図である。
図1Bは、本発明の実施の形態に係るクロスポイント型不揮発性記憶装置の可変電圧源の構成を示す回路図である。
図1Cは、本発明の実施の形態に係るクロスポイント型不揮発性記憶装置の可変電圧源の構成を示す回路図である。
図2Aは、本発明の実施の形態に係るメモリセルの構成を示す回路図である。
図2Bは、本発明の実施の形態に係るメモリセルの断面図である。
図2Cは、本発明の実施の形態に係るメモリセルの抵抗変化に係るIV特性を示す図である。
図3Aは、本発明の実施の形態に係る評価用素子の構成を示す回路図である。
図3Bは、本発明の実施の形態に係る評価用素子に対しフォーミングパルスを印加したときの、抵抗値の推移を3評価用素子分示す図である。
図4Aは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイの構成を詳細に示す図である。
図4Bは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイの等価回路図である。
図4Cは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイの等価回路図を縮退した等価回路図である。
図5Aは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程を説明する等価回路図である。
図5Bは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程を説明する等価回路図である。
図5Cは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程を説明する等価回路図である。
図5Dは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程を説明する等価回路図である。
図5Eは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程を説明する等価回路図である。
図5Fは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程を説明する等価回路図である。
図5Gは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程を説明する等価回路図である。
図5Hは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程を説明する等価回路図である。
図5Iは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程を説明する等価回路図である。
図5Jは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程を説明する等価回路図である。
図5Kは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程を説明する等価回路図である。
図5Lは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程を説明する等価回路図である。
図6は、本発明の実施の形態に係るメモリセルアレイの回り込み電流経路数を説明する図である。
図7は、本発明の実施の形態に係るメモリセルアレイの回り込み電流経路数を説明する図の等価回路図である。
図8は、本発明の実施の形態に係るメモリセルアレイの回り込み電流経路数と回り込み電流値の関係を説明する図である。
図9Aは、本発明の実施の形態に係る読み出し回路を説明する図である。
図9Bは、本発明の実施の形態に係る書き込み回路を説明する図である。
図10Aは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程の前半部を示す図である。
図10Bは、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程の後半部を示す図である。
図11は、本発明の実施の形態に係る4×4のメモリセルアレイのフォーミング過程に対応する回り込み電流経路数の推移を説明する図である。
図12は、本発明の実施の形態に係るロード電流制御電圧LA(M)と回り込み電流経路数との関係を示す図である。
図13は、本発明の実施の形態に係るロード電流供給用トランジスタのゲート電圧とその出力電流との関係を説明する図である。
図14は、本発明の実施の形態に係るフォーミングの流れを示すフローチャートである。
図15は、本発明の実施の形態に係る電圧Vw(M)と回り込み電流経路数との関係を示す図である。
図16は、本発明の実施の形態に係る電圧Vw(M)と書き込み回路の出力電流(フォーミング電流)との関係を説明する図である。
図17は、本発明の実施の形態に係るフォーミングの流れを示すフローチャートである。
図18は、特許文献1に記載の半導体記憶装置の主要部分のブロック構成を示す図である。
図19Aは、特許文献1に記載の半導体記憶装置でリファレンスメモリアレイに設定されるデータの一例を示す図である。
図19Bは、特許文献1に記載の半導体記憶装置でリファレンスメモリアレイに設定されるデータの一例を示す図である。
本発明の実施の形態について説明する前に、本発明に至った経緯について説明する。
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した、クロスポイント型の半導体記憶装置におけるフォーミング動作に関し、以下の問題が生じることを見出した。
特許文献1に記載の半導体記憶装置の主要部分のブロック構成を図18に示す。
この半導体記憶装置は、クロスポイントタイプのメモリセルアレイ110と、各データ線を個別に駆動するデータ線ドライブ回路111と、各ビット線を個別に駆動するビット線ドライブ回路112と、複数のデータ線の中から読み出し対象の選択メモリセルに接続する選択データ線を選択する行デコーダ113と、複数のビット線の中から読み出し対象の選択メモリセルに接続する選択ビット線を選択する列デコーダ114と、を備えている。
この半導体記憶装置は、更に、メモリセルアレイ110と同じアレイサイズで同じメモリセルを使用したリファレンス電圧発生用の2つのリファレンスメモリセルアレイ120a、120bと、リファレンスメモリセルアレイ120a、120bの出力電圧からリファレンス電圧レベルVref0、Vref1を生成し、メモリセルアレイ110の選択データ線の電圧レベルから読み出し電圧レベルVmを生成し、読み出し電圧レベルとリファレンス電圧レベルとを比較して、選択メモリセルの記憶状態(抵抗状態)を判定するセンス回路115と、を備えている。
リファレンスメモリセルアレイ120aは、選択メモリセルが高抵抗状態にある高抵抗メモリセルの選択行選択線を流れる電流がメモリセルアレイの非選択メモリセルの抵抗状態の分布パターンに依存して最大状態となる電流状態が設定されている。一方、リファレンスメモリセルアレイ120bは、選択メモリセルが低抵抗状態にある低抵抗メモリセルの選択行選択線を流れる電流がメモリセルアレイの非選択メモリセルの抵抗状態の分布パターンに依存して最小状態となる電流状態が設定されている。センス回路115は、これら最大状態及び最小状態の中間状態の電流と比較して、選択メモリセルの抵抗状態を検知する。
図19A及び図19Bは、リファレンスメモリセルアレイ120a、120bに設定されるデータの一例を示す図である。図19Aはリファレンスメモリセルアレイ120aに設定されるパターンAを示し、図19Bはリファレンスメモリセルアレイ120bに設定されるパターンCを示している。
この場合、リファレンスメモリセルアレイ120aが、高抵抗状態の選択メモリセルの読み出し時において選択されたデータ線を流れる電流が他の非選択メモリセルの電気抵抗状態の分布パターンに依存して最大状態となる第1電流状態を実現し、第1リファレンス電流発生回路として機能する。また、リファレンスメモリセルアレイ120bが、低抵抗状態の選択メモリセルの読み出し時において選択されたデータ線を流れる電流が他の非選択メモリセルの電気抵抗状態の分布パターンに依存して最小状態となる第2電流状態を実現し、第2リファレンス電流発生回路として機能する。
クロスポイントタイプのメモリセルアレイでは書き込みデータに依存して回り込み電流の大きさが変わる。図19Aに示すパターンAのように、高抵抗よりなる行及び列がクロスした位置にある高抵抗メモリセルを読み出した場合に、最も回り込み電流が大きくなり、読み出し電流が最も大きくなる。また、低抵抗メモリセルが分布している行と列のクロスした位置にある低抵抗メモリセルを読み出した場合に、最も読み出し電流が小さくなる。従って、選択されたデータ線を流れる電流が最大電流となると考えられる高抵抗状態の書き込みパターン(パターンA)と最小状態となると考えられる低抵抗状態の書き込みパターン(パターンC)とを事前に用意しておき、それらの中間状態を基準として選択メモリセルの抵抗状態を検知することで安定な読み出し動作を実現することができる。
しかしながら図18の構成では、メモリセルアレイと同じ大きさのリファレンスセルアレイを複数個用意しておく必要があり、チップサイズの増大を招くという課題を有している。
また、別の観点として抵抗変化型記憶素子に関係して次のような課題が考えられる。
特許文献2に開示されているように、抵抗変化型記憶素子ではフォーミングと呼ばれるフィラメント形成操作を製造後少なくとも1回行うことが必要で、フォーミングをした結果、可逆的な抵抗変化動作が可能になる。フォーミング前の初期状態の抵抗変化型記憶素子の抵抗値は、通常の高抵抗状態よりさらに高抵抗状態(以下、超高抵抗状態と称す)にある。そして、対象メモリセルの抵抗値をモニターしながら、その抵抗状態に応じて適宜所定のフォーミングパルスが対象メモリセルに印加される。
ところで、クロスポイント型記憶装置においては、フォーミングを進めてフォーミング済みのメモリセル数が増加するにつれて、初期状態に比べ抵抗値が低い状態のメモリセルが増加し、その結果回り込み電流が徐々に増加する。メモリセルの抵抗値をモニターしながら、その抵抗状態に応じて適宜所定のフォーミングパルスを印加するフォーミングを実行するためには、逐次変化する回り込み電流量を、メモリセルがフォーミングされた時の電流と区別しフォーミング判定をする必要がある。しかしながら、このような電流の区別は難しく、安定なフォーミングを実現することは困難である。
このとき、特許文献1に記載の技術をフォーミングに応用して、この問題を解決することも考えられる。すなわち、リファレンスメモリセルアレイの一方で全てのメモリセルがフォーミングされていない状態を実現し、他方で1つのメモリセルのみがフォーミングされていない状態を実現し、それらの中間状態を基準としてフォーミング判定をすることも考えられる。しかしながら、既に述べたようにこの方法ではチップサイズの増大という問題が生じる。
また特許文献3では、クロスポイント型の半導体記憶装置においてフォーミング時のリーク電流を検出し、そのリーク電流に相当する補償電流を供給することで、正確なフォーミング動作を実行する手段が開示されている。しかしながら、ここでのリーク電流とは、フォーミングを実施する超高抵抗状態の選択メモリセルに流れる電流のことで、非選択メモリセルに流れる回り込み電流については特に示されていない。
本発明者は、このような事情に鑑み、回り込み電流の影響下においてより正確なフォーミングを行うことができるクロスポイント型不揮発性記憶装置およびその駆動方法を鋭意検討した結果、本発明に到達した。なお、以上の説明は、以下で説明する本発明の実施の形態を理解する上で一助とするものであり、本発明はこれに限定されない。
本発明の一態様に係るクロスポイント型不揮発性記憶装置は、第1の平面内において互いに平行に形成された複数のワード線と、前記第1の平面に平行な第2の平面内において互いに平行にかつ前記複数のワード線と立体交差するように形成された複数のビット線と、前記複数のワード線と前記複数のビット線との立体交差点に設けられ、第1の抵抗状態と前記第1の抵抗状態より抵抗値の低い第2の抵抗状態との2つの抵抗状態をとる抵抗変化素子を含んで構成されたメモリセルが行列状に配列されたクロスポイントメモリセルアレイと、前記ワード線の1本を選択するワード線選択器と、前記ビット線の1本を選択するビット線選択器と、前記ビット線選択器及び前記ワード線選択器により前記ビット線及び前記ワード線を選択することで選択された前記メモリセルに対し、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態を変化させる書き込み電流又は書き込み電圧を供給する書き込み回路と、前記選択されたメモリセルに対し、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態を読み出すためのロード電流を供給するセンスアンプ回路と、前記センスアンプ回路及び前記書き込み回路を制御する制御回路とを備え、前記クロスポイントメモリセルアレイにおいて、(A)前記選択されたビット線につながる前記メモリセルのうち前記選択されたメモリセル以外のメモリセルで抵抗変化素子が前記第2の抵抗状態にあるものを第1メモリセルとし、(B)前記選択されたワード線につながる前記メモリセルのうち前記選択されたメモリセル以外のメモリセルで抵抗変化素子が前記第2の抵抗状態にあるものを第2メモリセルとし、前記制御回路は、前記書き込み電流又は前記書き込み電圧と前記ロード電流との少なくともいずれかの大きさを、前記第1メモリセルに接続されたワード線と、前記第2メモリセルに接続されたビット線との交点にある前記メモリセルのうち前記第2の抵抗状態にあるもの個数に比例して変更することを特徴とする。
また、前記抵抗変化素子は、形成後の初期状態において前記第1の抵抗状態にあり、フォーミングが行われると前記初期状態から低抵抗状態と前記低抵抗状態より抵抗値の高い高抵抗状態とへ可逆的に変化が可能な前記第2の抵抗状態になり、前記書き込み電流又は前記書き込み電圧は、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子に対し、前記フォーミングを行うフォーミングパルスであり、前記ロード電流は、前記フォーミングパルスの供給により、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子が前記第2の抵抗状態になったことを確認するための電流であってもよい。
また、前記メモリセルは、窒素不足型の窒化シリコンで構成されるダイオード素子と前記抵抗変化素子とが直列接続されて構成されてもよい。
本態様によれば、前記第1メモリセルに接続されたワード線と、前記第2メモリセルに接続されたビット線との交点にある前記メモリセルのうち前記第2の抵抗状態にあるもの個数、つまり回り込み電流経路数に対応してフォーミング判定のロード電流(読み出し電流)を変更する。従って、ロード電流を、適切な回り込み電流量を補填して選択メモリセルに供給することができる。その結果、初期状態の選択メモリセルに対して実施するフォーミング工程において、回り込み電流の影響を排除して選択メモリセルのフォーミングの判定を行うことが可能となるため、安定なフォーミングを実現することができる。
また、回り込み電流経路数に対応して書き込み電流又は書き込み電圧(フォーミングパルス)を変更するので、フォーミングパルスを、適切な回り込み電流量を補填して選択メモリセルに供給することができる。その結果、フォーミング工程において、回り込み電流の影響を排除して選択メモリセルのフォーミングを行うことが可能となるため、安定なフォーミングを実現することができる。
また、前記制御回路は、前記ロード電流について前記変更を行い、前記センスアンプ回路は、前記選択されたビット線に電流量の異なるロード電流を前記変更後のロード電流として選択的に切り替えて供給するロード電流源を有し、前記選択されたビット線に流れ込む電流量が基準の電流量より多い場合は第1の論理値を出力し、前記基準の電流量より少ない場合は第2の論理値を出力してもよい。
また、前記センスアンプ回路は、前記選択されたビット線の電圧と基準の電圧とを比較し、前記選択されたビット線の電圧が前記基準の電圧より高い場合は第2の論理値を出力し、前記基準の電圧より低い場合は第1の論理値を出力する差動アンプを有し、前記センスアンプ回路は、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子が前記第2の抵抗状態にあるときに、前記選択されたメモリセルに前記変更後のロード電流を供給すると第1の論理値を出力し、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子が前記第1の抵抗状態にあるときに、前記選択されたメモリセルに前記変更後のロード電流を供給すると第2の論理値を出力してもよい。
また、前記ロード電流源は、MOSトランジスタを有し、前記クロスポイント型不揮発性記憶装置は、さらに、前記MOSトランジスタのゲート端子に電気的に接続され、前記ゲート端子に電圧値の異なる電圧を選択的に切り替えて供給する可変電圧源を備え、前記ロード電流源は、少なくとも前記第1のロード電流と、前記第2のロード電流と、前記第1のロード電流と前記第2のロード電流との間の第3のロード電流とを選択的に切り替えて供給し、前記制御回路は、前記第2のロード電流を前記ロード電流源に供給させる場合は前記第3のロード電流を前記ロード電流源に供給させる場合に比べ前記MOSトランジスタの出力電流が大きくなり、かつ、前記第3のロード電流を前記ロード電流源に供給させる場合は前記第1のロード電流を前記ロード電流源に供給させる場合に比べ前記MOSトランジスタの出力電流が大きくなるように前記可変電圧源の電圧値を調整してもよい。又は、前記ロード電流源は、MOSトランジスタを有し、前記クロスポイント型不揮発性記憶装置は、さらに、前記MOSトランジスタのゲート端子に電気的に接続され、異なる電圧が選択的に切り替えて供給される外部電圧印加端子を備え、前記ロード電流源は、少なくとも前記第1のロード電流と、前記第2のロード電流と、前記第1のロード電流と前記第2のロード電流との間の第3のロード電流とを選択的に切り替えて供給し、前記制御回路は、前記第2のロード電流を前記ロード電流源に供給させる場合は前記第3のロード電流を前記ロード電流源に供給させる場合に比べ前記MOSトランジスタの出力電流が大きくなり、かつ、前記第3のロード電流を前記ロード電流源に供給させる場合は前記第1のロード電流を前記ロード電流源に供給させる場合に比べ前記MOSトランジスタの出力電流が大きくなるように前記外部電圧印加端子に供給する電圧値を調整してもよい。
本態様によれば、フォーミング前の状態で適切な回り込み電流量を補填できるまでロード電流源の電流駆動能力を上げおき、その電流駆動能力を使って選択メモリセルのフォーミング判定を行うことで、フォーミング判定を安定化し、安定なフォーミングを実現することができる。
また、抵抗変化前の状態で適切な回り込み電流量を補填できるまでロード電流源の電流駆動能力を上げおき、その電流駆動能力を使って選択メモリセルの抵抗変化の判定を行うことで、抵抗変化の判定を安定化し、安定な情報の読み出しを実現することができる。
また、本発明に係るクロスポイント型不揮発性記憶装置の駆動方法の一形態は、クロスポイント型不揮発性記憶装置の駆動方法であり、前記クロスポイント型不揮発性記憶装置は、第1の平面内において互いに平行に形成された複数のワード線と、前記第1の平面に平行な第2の平面内において互いに平行にかつ前記複数のワード線と立体交差するように形成された複数のビット線と、前記複数のワード線と前記複数のビット線との立体交差点に設けられ、第1の抵抗状態と前記第1の抵抗状態より抵抗値の低い第2の抵抗状態との2つの抵抗状態をとる抵抗変化素子を含んで構成されたメモリセルが行列状に配列されたクロスポイントメモリセルアレイと、前記ワード線の1本を選択するワード線選択器と、前記ビット線の1本を選択するビット線選択器と、前記ビット線選択器及び前記ワード線選択器により前記ビット線及び前記ワード線を選択することで選択された前記メモリセルに対し、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態を変化させる書き込み電流又は書き込み電圧を供給する書き込み回路と、前記選択されたメモリセルに対し、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態を読み出すためのロード電流を供給するセンスアンプ回路とを備え、前記クロスポイントメモリセルアレイにおいて、(A)前記選択されたビット線につながる前記メモリセルのうち前記選択されたメモリセル以外のメモリセルで抵抗変化素子が前記第2の抵抗状態にあるものを第1メモリセルとし、(B)前記選択されたワード線につながる前記メモリセルのうち前記選択されたメモリセル以外のメモリセルで抵抗変化素子が前記第2の抵抗状態にあるものを第2メモリセルとし、前記クロスポイント型不揮発性記憶装置の駆動方法は、前記書き込み電流又は前記書き込み電圧と前記ロード電流との少なくともいずれかの大きさを、前記第1メモリセルに接続されたワード線と、前記第2メモリセルに接続されたビット線との交点にある前記メモリセルのうち前記第2の抵抗状態にあるもの個数に比例して変更する第1のステップを含むことを特徴とする。
また、前記センスアンプ回路は、前記選択されたビット線に電流量の異なるロード電流を選択的に切り替えて供給するロード電流源を有し、前記選択されたビット線に流れ込む電流量が基準の電流量より多い場合は第1の論理値を出力し、前記基準の電流量より少ない場合は第2の論理値を出力し、前記第1のステップでは、前記ロード電流について前記変更を行い、前記選択されたメモリセルに、前記変更後のロード電流を供給し、前記センスアンプ回路の出力が前記第2の論理値であることを確認する第2のステップと、前記第2のステップの後で、前記選択されたメモリセルに前記書き込み電流又は前記書き込み電圧を供給する第3のステップと、前記第3のステップの後で、前記選択されたメモリセルに前記変更後のロード電流を供給し、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態を読み出す第4のステップとを含み、前記第4のステップにおいて、前記センスアンプ回路の出力が前記第1の論理値の場合は、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態は変化したと判定し、前記書き込み電流又は前記書き込み電圧の供給を終了し、前記センスアンプ回路の出力が前記第2の論理値の場合は、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態は変化していないと判定し、前記第3のステップを再度実行してもよい。又は、前記センスアンプ回路は、ロード電流源を有し、前記選択されたビット線に流れ込む電流量が基準の電流量より多い場合は第1の論理値を出力し、前記基準の電流量より少ない場合は第2の論理値を出力し、前記第1のステップでは、前記書き込み電流又は前記書き込み電圧について前記変更を行い、前記選択されたメモリセルに、前記ロード電流を供給し、前記センスアンプ回路の出力が前記第2の論理値であることを確認する第2のステップと、前記第2のステップの後で、前記選択されたメモリセルに前記変更後の書き込み電流又は書き込み電圧を供給する第3のステップと、前記第3のステップの後で、前記選択されたメモリセルに前記ロード電流を供給し、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態を読み出す第4のステップとを含み、前記第4のステップにおいて、前記センスアンプ回路の出力が前記第1の論理値の場合は、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態は変化したと判定し、前記変更後の書き込み電流又は書き込み電圧の供給を終了し、前記センスアンプ回路の出力が前記第2の論理値の場合は、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態は変化していないと判定し、前記第3のステップを再度実行してもよい。
また、前記抵抗変化素子は、形成後の初期状態において前記第1の抵抗状態にあり、フォーミングが行われると前記初期状態から前記低抵抗状態と前記低抵抗状態より抵抗値の高い高抵抗状態との間で可逆的に変化が可能な前記第2の抵抗状態になり、前記書き込み電流又は前記書き込み電圧は、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子に対し、前記フォーミングを行うフォーミングパルスであり、前記ロード電流は、前記フォーミングパルスの供給により、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子が前記第2の抵抗状態になったことを確認するための電流であってもよい。
また、前記メモリセルは、窒素不足型のシリコン窒化膜を有して構成されるダイオード素子と前記抵抗変化素子とが直列接続されて構成されてもよい。
本態様によれば、安定なフォーミングを実現することができる。また、安定な情報の書き込み及び読み出しを実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面において、実質的に同一の構成、動作、及び効果を表す要素については、同一の符号を付す。
なお、本明細書では、メモリセルアレイを構成するメモリセルの個数は原理的な理解を易しくするため図示しやすい模式的なもので示しているが、さらに多数個のメモリセルに拡張してもその効果は変わるものではない。
また、1層のクロスポイントセルアレイについてのみ図面を用いて説明しているが、本発明は1層のクロスポイントセルアレイにのみ限定されるものではなく、2層以上のクロスポイントセルアレイについても、1層ごとのクロスポイントセルアレイに対して本発明の構成を適用すれば、同様の効果が得られる。
[クロスポイント型不揮発性記憶装置の構成]
図1Aは、本発明の実施の形態に係るクロスポイント型不揮発性記憶装置100の構成を示す回路図である。
この不揮発性記憶装置100は、第1の平面内において互いに平行に形成された複数のワード線3と、第1の平面に平行な第2の平面内において互いに平行にかつ複数のワード線3と立体交差するように形成された複数のビット線4と、複数のワード線3と複数のビット線4との立体交差点に設けられている。第1の抵抗状態としての超高抵抗状態と、超高抵抗状態より抵抗値の低い第2の抵抗状態としての高抵抗状態又は低抵抗状態との2つの抵抗状態を有する抵抗変化素子を含んで構成されたメモリセル2が行列状に配列されたメモリセルアレイ(クロスポイントメモリセルアレイ)1を備える。さらに、ワード線3の1本を選択するワード線選択器である行選択回路5と、ビット線4の1本を選択するビット線選択器である列選択回路6とを備える。さらに、行選択回路5及び列選択回路6によりビット線4及びワード線3を選択することで選択されたメモリセル2に対し、選択されたメモリセル2の抵抗変化素子の抵抗状態を変化させる書き込み電流としてのフォーミングパルスを供給する書き込み回路15と、選択されたメモリセル2に対し、選択されたメモリセル2の抵抗変化素子の抵抗状態を読み出すための読み出し電流としてのロード電流を供給するセンスアンプ回路(SA)7と、センスアンプ回路7及び書き込み回路15を制御する制御回路18とを備える。制御回路18は、フォーミングパルスとロード電流との少なくともいずれかの大きさ(絶対値)を、メモリセルアレイ1における選択されたメモリセル2以外のメモリセル2で抵抗変化素子が上記第2の抵抗状態(高抵抗状態又は低抵抗状態)にあるものの数及び場所に応じて変更する。
メモリセルアレイ1において、(A)選択されたビット線4につながるメモリセル2のうち選択されたメモリセル2以外のメモリセル2で抵抗変化素子が第2の抵抗状態にあるものを第1メモリセルとし、(B)選択されたワード線3につながるメモリセル2のうち選択されたメモリセル2以外のメモリセル2で抵抗変化素子が第2の抵抗状態にあるものを第2メモリセルとする。このとき、制御回路18は、フォーミングパルスとロード電流との少なくともいずれかの大きさを、第1メモリセルに接続されたワード線3と、第2メモリセルに接続されたビット線4との交点にあるメモリセル2のうち第2の抵抗状態にある個数(回り込み電流経路数)に比例して変更し、回り込み電流経路数が大きいほど大きくする。
抵抗変化素子は、形成後の初期状態において超高抵抗状態にあり、フォーミングが行われると初期状態から、低抵抗状態と低抵抗状態より抵抗値の高い高抵抗状態との間で可逆的に変化が可能な第2の抵抗状態になる。フォーミングパルスは、選択されたメモリセル2の抵抗変化素子に対し、フォーミングを行うパルスであり、ロード電流は、フォーミングパルスの供給により、選択されたメモリセル2の抵抗変化素子が超高抵抗状態から高抵抗状態又は低抵抗状態になったことを確認するために、選択されたメモリセル2に読み出し電流として供給する電流である。
制御回路18は、ロード電流について前述の変更を行い、センスアンプ回路7は、選択されたビット線4に電流量の異なるロード電流を変更後のロード電流として選択的に切り替えて供給するロード電流源である回り込み電流補償用ロード電流供給部8を有している。この回り込み電流補償用ロード電流供給部8は、選択されたビット線4に流れ込む電流量が基準の電流量より多い場合は第1の論理値として‘L’レベルを出力し、基準の電流量より少ない場合は第2の論理値として‘H’レベルを出力する。
制御回路18は、メモリセル2が選択された状態で、選択されたメモリセル2にフォーミングパルスが印加される前に、センスアンプ回路7の出力が‘H’レベルとなる所定の電流量に回り込み電流補償用ロード電流供給部8のロード電流の電流量を設定した後、回り込み電流補償用ロード電流供給部8に所定の電流量のロード電流を供給させてセンスアンプ回路7の出力が‘L’レベルとなるまで、所定のメモリセル2に対しフォーミングパルスを印加させる。
センスアンプ回路7は、列選択回路6により選択されたビット線4の電圧と基準の電圧(比較電圧REF)とを比較し、列選択回路6により選択されたビット線4の電圧が基準の電圧より高い場合は‘H’レベルを出力し、基準の電圧より低い場合は‘L’レベルを出力する差動アンプ14を有する。センスアンプ回路7は、選択されたメモリセル2の抵抗変化素子が第2の抵抗状態にあるときに、選択されたメモリセル2に変更後の所定のロード電流を供給すると‘L’レベルを出力し、選択されたメモリセル2の抵抗変化素子が第1の超高抵抗状態にあるときに、選択されたメモリセル2に変更後の所定のロード電流を供給すると‘H’レベルを出力する。
回り込み電流補償用ロード電流供給部8は、第1のロード電流と、第1のロード電流より多い第2のロード電流を選択的に切り替えて選択されたビット線4に供給する。センスアンプ回路7は、メモリセルアレイ1の全てのメモリセル2がフォーミングされていない状態において、所定のメモリセル2が選択されたとき、所定のメモリセル2にフォーミングパルスが印加される前で、回り込み電流補償用ロード電流供給部8のロード電流が第1のロード電流及び第2のロード電流の何れの場合も‘H’レベルを出力する。さらに、センスアンプ回路7は、メモリセルアレイ1の1つの所定のメモリセル2以外の全てのメモリセル2がフォーミングされている状態において、所定のメモリセル2が選択されたとき、所定のメモリセル2にフォーミングパルスが印加される前に、回り込み電流補償用ロード電流供給部8のロード電流が第1のロード電流の場合に‘L’レベルを出力し、第2のロード電流の場合に‘H’レベルを出力する。
回り込み電流補償用ロード電流供給部8は、P型MOSトランジスタ8bを有する。不揮発性記憶装置100は、さらに、P型MOSトランジスタ8bのゲート端子に接続され、P型MOSトランジスタ8bのゲート端子に電圧値の異なる電圧を選択的に切り替えて供給する可変電圧源16を備える。回り込み電流補償用ロード電流供給部8は、少なくとも第1のロード電流と、第2のロード電流と、第1のロード電流と第2のロード電流との間の第3のロード電流とを選択的に切り替えて供給する。制御回路18は、第2のロード電流を回り込み電流補償用ロード電流供給部8に供給させる場合は、第3のロード電流を回り込み電流補償用ロード電流供給部8に供給させる場合に比べP型MOSトランジスタ8bの出力電流が大きくなり、かつ、第3のロード電流を回り込み電流補償用ロード電流供給部8に供給させる場合は、第1のロード電流を回り込み電流補償用ロード電流供給部8に供給させる場合に比べP型MOSトランジスタ8bの出力電流が大きくなるように可変電圧源16の電圧値を調整する。
以下、本実施の形態に係る不揮発性記憶装置100について詳細に説明する。この不揮発性記憶装置100は、メモリセルアレイ(クロスポイントメモリセルアレイ)1と、行選択回路5と、列選択回路6と、センスアンプ回路7と、書き込み回路15と、可変電圧源16及び17と、制御回路18と、記憶部(メモリ)30とから構成される。なお、記憶部30は、不揮発性記憶装置100とは別チップに設けられてもよいし、制御回路18内に設けられてもよい。
メモリセルアレイ1では、ワード線3とビット線4との交点のそれぞれに設けられたクロスポイント型のメモリセル2がマトリックス状に配列されている。
なお、図1Aではメモリセルアレイ1を4×4の配列に簡単化している。また、メモリセル2の各々の配置場所に対応して、M11からM44までの行列記号でその位置を表現している。また、以降の説明において、対応する図のメモリセルアレイ1に行列記号の表記が無い場合も、図1Aの行列記号に対応させて説明している。
行選択回路5は複数のワード線3のうち1本を選択制御し、列選択回路6は複数のビット線4のうち1本を選択制御する。
センスアンプ回路7は、列選択回路6で選択されるビット線に流れる電流量の大小に応じて、論理的な値であるデータ“1”及びデータ“0”のいずれかを判定信号SOとして出力する。センスアンプ回路7では、回り込み電流補償用ロード電流供給部8、リード電流検知用ロード電流供給部9、データ“0”ベリファイ用ロード電流供給部10、及びデータ“1”ベリファイ用ロード電流供給部11が並列に接続されている。この4つのロード電流供給部はクランプ用N型MOSトランジスタ(ビット線クランプトランジスタ)12を介して列選択回路6につながっており、また差動アンプ14の一方の入力端子とつながっている。
回り込み電流補償用ロード電流供給部8は、直列に接続されたP型MOSトランジスタ8a及びP型MOSトランジスタ8bで構成された電流出力量が可変な電流源であり、クランプ用N型MOSトランジスタ12のドレインに接続されている。P型MOSトランジスタ8aのゲートには、回り込み電流補償用ロード電流供給部8の選択、非選択を指示する選択信号NSが供給されている。一方、P型MOSトランジスタ8bのゲートには、その電圧値で回り込み電流補償用ロード電流供給部8の電流出力量を調整可能にすべくロード電流制御電圧LA(M)(Mは自然数)が供給されている。
リード電流検知用ロード電流供給部9は、直列に接続されたP型MOSトランジスタ9a及びP型MOSトランジスタ9bで構成された電流出力量が可変な電流源であり、クランプ用N型MOSトランジスタ12のドレインに接続されている。P型MOSトランジスタ9aのゲートには、リード電流検知用ロード電流供給部9の選択、非選択を指示する選択信号N01が供給されている。一方、P型MOSトランジスタ9bのゲートには、その電圧値でリード電流検知用ロード電流供給部9の電流出力量を調整可能にすべくロード電流制御電圧LB(N)(Nは自然数)が供給されている。
データ“0”ベリファイ用ロード電流供給部10は、直列に接続されたP型MOSトランジスタ10a及びP型MOSトランジスタ10bで構成された電流出力量が可変な電流源であり、クランプ用N型MOSトランジスタ12のドレインに接続されている。P型MOSトランジスタ10aのゲートには、データ“0”ベリファイ用ロード電流供給部10の選択、非選択を指示する選択信号N0が供給されている。一方、P型MOSトランジスタ10bのゲートには、その電圧値でデータ“0”ベリファイ用ロード電流供給部10の電流出力量を調整可能にすべくロード電流制御電圧LB(N)が供給されている。
データ“1”ベリファイ用ロード電流供給部11は、直列に接続されたP型MOSトランジスタ11a及びP型MOSトランジスタ11bで構成された電流出力量が可変な電流源であり、クランプ用N型MOSトランジスタ12のドレインに接続されている。P型MOSトランジスタ11aのゲートには、データ“1”ベリファイ用ロード電流供給部11の選択、非選択を指示する選択信号N1が供給されている。一方、P型MOSトランジスタ11bのゲートには、その電圧値でデータ“1”ベリファイ用ロード電流供給部11の電流出力量を調整可能にすべくロード電流制御電圧LB(N)が供給されている。
クランプ電圧制御回路13は、その出力がクランプ用N型MOSトランジスタ12のゲートに接続されており、読み出し動作において列選択回路6で選択されるビット線の電圧を所定電圧以下に抑える働きをする。
差動アンプ14は、2つの入力端子を備え、4つのロード電流供給部とクランプ用N型MOSトランジスタ12との接点SENを第1の入力とし、所定の電圧に設定された比較電圧REFを第2の入力とし、その出力をSOとしている。差動アンプ14の出力SOは、センスアンプ回路7の出力となる。
パルス用電圧源Vw(M)は、制御回路18で指示される所定のパルス電圧を書き込み回路15に供給する。このパルス用電圧源Vw(M)は、不揮発性記憶装置100の内部に電源回路を設け、それで生成される電圧を用いてパルス電圧を生成しても良いし、または不揮発性記憶装置100の外部より直接供給される電圧を用いてパルス電圧を生成してもよい。
書き込み回路15は、列選択回路6と行選択回路5との何れかまたは両方に接続され(図1Aでは行選択回路5への接続のケースは図示していない)、メモリセル2への情報の書き込み時に書き込みパルスを、メモリセル2のフォーミング時にフォーミングパルスを、列選択回路6と行選択回路5との何れかまたは両方に供給する。書き込み回路15は、パルス電圧源Vw(M)からのパルス電圧Vw(M)を調整することで、書き込みパルス(書き込み電圧や書き込み電流)を生成して列選択回路6と行選択回路5との何れかまたは両方に供給する。
書き込み回路15は、パルス用電圧源Vw(M)から供給される電圧がソースに印加され、ドレインがメモリセルアレイ1に接続されたトランジスタ等から構成され、パルス用電圧源Vw(M)からの電圧に応じて異なる書き込み電圧をメモリセルアレイ1に供給する。
可変電圧源16は、制御回路18で指示される所定のロード電流制御電圧LA(M)を出力する。
可変電圧源17は、制御回路18で指示される所定のロード電流制御電圧LB(N)を出力する。
制御回路18は、パルス用電圧源Vw(M)(書き込み回路15)、可変電圧源16及び17を制御し、出力電圧の選択指示を行う。
記憶部30には、メモリセルアレイ1のフォーミングにおいてフォーミング対象の各メモリセル2が選択されたときの回り込み電流経路数を示すテーブルが格納されている。制御回路18は、記憶部30のテーブルに基づいて最適なフォーミングパルス及びロード電流の少なくともいずれかが供給されるように、フォーミング対象のメモリセル2毎にフォーミングパルス及びロード電流を変更する。具体的には、制御回路18は、テーブルでフォーミング対象のメモリセル2に対応付けられた回り込み電流経路数に比例したフォーミングパルス及びロード電流をフォーミング対象のメモリセル2に供給する。
このとき、記憶部30のテーブルの回り込み電流経路数は、メモリセルアレイ1のフォーミングにおいてフォーミング対象のメモリセル2がどのような順番で選択されていくか、つまりフォーミング順に依存して変わる。従って、記憶部30には、フォーミング順に対応して複数のテーブルが格納されていてもよい。
図1B及び図1Cは可変電圧源16及び17の構成の一例を示す回路図である。
図1Bに示すように、可変電圧源16では、6個の固定抵抗素子19が電源部とグランド部との間で直列接続されている。可変電圧源16は、各接点LA(1)、LA(2)、LA(3)、LA(4)、LA(5)、LA(6)、LA(7)の一箇所をロード電流制御電圧選択スイッチ20で選択し、ロード電流制御電圧LA(M)として出力する。
また、図1Cに示すように、可変電圧源17は、6個の固定抵抗素子19が電源部とグランド部との間で直列接続されている。可変電圧源17は、各接点LB(1)、LB(2)、LB(3)、LB(4)、LB(5)、LB(6)、LB(7)の一箇所をロード電流制御電圧選択スイッチ20で選択し、ロード電流制御電圧LB(N)として出力する。
なお、可変電圧源16及び17は、固定抵抗素子19の直列体で構成され、等分割電圧を供給する構成が示されているが、電圧分割に重み付け分割をして供給する構成であってもよい。また固定抵抗素子19の代わりにトランジスタが用いられてもよい。また、一般的に知られているその他の可変電圧供給手段の構成であっても良いことは言うまでも無い。
図2Aは、メモリセル2の構成を示す回路図である。
メモリセル2では、抵抗変化素子2aとダイオード素子2bとが直列に接続されている。
図2Bはメモリセル2の断面構造の一例を示す断面図である。
メモリセル2は、抵抗変化素子2aとダイオード素子2bとの積層体から構成されている。
ダイオード素子2bは、半導体層23を第1電極22と第2電極24で挟んだMSM構造で形成され、抵抗変化素子2aはダイオード素子2bの第2電極24を下部電極として共有し、その上に第1の抵抗変化層25、第2の抵抗変化層26、及び上部電極としての第3電極27が形成された構造を有している。抵抗変化素子2a及びダイオード素子2bは、絶縁層29で覆われている。
第1電極22は、第1ビア21を介してワード線3に接続され、第3電極27は第2ビア28を介してビット線4に接続される。
半導体層23の材料には、窒素不足型シリコン窒化物(SiNx)が用いられる。ここで、窒素不足型シリコン窒化物とは、化学量論的組成のシリコン窒化物であるSi3N4よりも窒素含有率が小さいシリコン窒化物を指し、窒素不足型シリコン窒化物は半導体的な特性を示す。
第1電極22及び第2電極24の材料には、TaN(窒化タンタル)、TiN(窒化チタン)またはW(タングステン)を用いることができるが、ここでは膜厚50nmのTaNを用いている。
第3電極27の材料には、Pt(白金)、Ir(イリジウム)及びPd(パラジウム)などの貴金属もしくはこれらの合金を用いることができるが、ここでは膜厚50nmのIrを用いている。
抵抗変化素子2aは、第2電極24と、第3電極27と、第2電極24と第3電極27との間に配置される第1の抵抗変化層25、第2の抵抗変化層26にて構成される。第1の抵抗変化層25及び第2の抵抗変化層26は、抵抗変化層と総称される。
抵抗変化層は、第2電極24と第3電極27との間に与えられる電気的信号に基づいて可逆的に抵抗値が変化する層である。例えば、第2電極24と第3電極27との間に与えられる電圧の極性に応じて高抵抗状態と低抵抗状態とを可逆的に遷移する層である。抵抗変化層は、第2電極24に接続する第1の抵抗変化層25と、第3電極27に接続する第2の抵抗変化層26の少なくとも2層を積層して構成される。
第1の抵抗変化層25は、酸素不足型の第1の金属酸化物で構成され、第2の抵抗変化層26は、第1の金属酸化物よりも酸素不足度が小さい第2の金属酸化物で構成されている。抵抗変化素子2aの第2の抵抗変化層26中には、電気パルスの印加に応じて酸素不足度が可逆的に変化する微小な局所領域が形成されている。局所領域は、酸素欠陥サイトから構成されるフィラメントを含むと考えられる。
「酸素不足度」とは、金属酸化物において、その化学量論的組成(複数の化学量論的組成が存在する場合は、そのなかで最も抵抗値が高い化学量論的組成)の酸化物を構成する酸素の量に対し、不足している酸素の割合をいう。化学量論的組成の金属酸化物は、他の組成の金属酸化物と比べて、より安定でありかつより高い抵抗値を有している。
例えば、金属がタンタル(Ta)の場合、上述の定義による化学量論的組成の酸化物はTa2O5であるので、TaO2.5と表現できる。TaO2.5の酸素不足度は0%であり、TaO1.5の酸素不足度は、酸素不足度=(2.5−1.5)/2.5=40%となる。また、酸素過剰の金属酸化物は、酸素不足度が負の値となる。なお、本明細書中では、特に断りのない限り、酸素不足度は正の値、0、負の値も含むものとして説明する。
酸素不足度の小さい酸化物は化学量論的組成の酸化物により近いため抵抗値が高く、酸素不足度の大きい酸化物は酸化物を構成する金属により近いため抵抗値が低い。
「酸素含有率」とは、総原子数に占める酸素原子の比率である。例えば、Ta2O5の酸素含有率は、総原子数に占める酸素原子の比率(O/(Ta+O))であり、71.4atm%となる。したがって、酸素不足型のタンタル酸化物は、酸素含有率は0より大きく、71.4atm%より小さいことになる。例えば、第1の金属酸化物層を構成する金属と、第2の金属酸化物層を構成する金属とが同種である場合、酸素含有率は酸素不足度と対応関係にある。すなわち、第2の金属酸化物の酸素含有率が第1の金属酸化物の酸素含有率よりも大きいとき、第2の金属酸化物の酸素不足度は第1の金属酸化物の酸素不足度より小さい。
抵抗変化層を構成する金属にタンタルを用いる場合、第1の金属酸化物の組成をTaOxとした場合にxが0.8以上1.9以下であり、かつ、第2の金属酸化物の組成をTaOyとした場合にyが2.1以上である場合に、抵抗変化層の抵抗値を安定して高速に変化させることができる。この場合、第2の金属酸化物の膜厚は1nm以上8nm以下としてもよい。
抵抗変化層を構成する金属は、タンタル以外の金属を用いてもよい。抵抗変化層を構成する金属としては、遷移金属、またはアルミニウム(Al)を用いることができる。遷移金属としては、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)等を用いることができる。遷移金属は複数の酸化状態をとることができるため、異なる抵抗状態を酸化還元反応により実現することが可能である。
例えば、ハフニウム酸化物を用いる場合、第1の金属酸化物の組成をHfOxとした場合にxが0.9以上1.6以下であり、かつ、第2の金属酸化物の組成をHfOyとした場合にyがxの値よりも大である場合に、抵抗変化層の抵抗値を安定して高速に変化させることができる。この場合、第2の金属酸化物の膜厚は、3〜4nmとしてもよい。
また、ジルコニウム酸化物を用いる場合、第1の金属酸化物の組成をZrOxとした場合にxが0.9以上1.4以下であり、かつ、第2の金属酸化物の組成をZrOyとした場合にyがxの値よりも大である場合に、抵抗変化層の抵抗値を安定して高速に変化させることができる。この場合、第2の金属酸化物の膜厚は、1〜5nmとしてもよい。
第1の抵抗変化層25となる第1の金属酸化物を構成する第1の金属と、第2の抵抗変化層26となる第2の金属酸化物を構成する第2の金属とは、異なる金属を用いてもよい。この場合、第2の金属酸化物は、第1の金属酸化物よりも酸素不足度が小さい、つまり抵抗が高くてもよい。このような構成とすることにより、抵抗変化時に第2電極24と第3電極27との間に印加された電圧は、第2の金属酸化物に、より多くの電圧が分配され、第2の金属酸化物中で発生する酸化還元反応をより起こしやすくすることができる。
また、第1の金属酸化物を構成する第1の金属と、第2の金属酸化物を構成する第2の金属とを、互いに異なる材料を用いる場合、第2の金属の標準電極電位は、第1の金属の標準電極電位より低くてもよい。標準電極電位は、その値が高いほど酸化しにくい特性を表す。これにより、標準電極電位が相対的に低い第2の金属酸化物において、酸化還元反応が起こりやすくなる。なお、抵抗変化現象は、抵抗が高い第2の金属酸化物中に形成された微小な局所領域中で酸化還元反応が起こってフィラメント(導電パス)が変化することにより、その抵抗値(酸素不足度)が変化すると考えられる。
例えば、第1の金属酸化物に酸素不足型のタンタル酸化物(TaOx)を用い、第2の金属酸化物にチタン酸化物(TiO2)を用いることにより、安定した抵抗変化動作が得られる。チタン(標準電極電位=−1.63eV)はタンタル(標準電極電位=−0.6eV)より標準電極電位が低い材料である。このように、第2の金属酸化物に第1の金属酸化物より標準電極電位が低い金属の酸化物を用いることにより、第2の金属酸化物中でより酸化還元反応が発生しやすくなる。その他の組み合わせとして、高抵抗層となる第2の金属酸化物にアルミニウム酸化物(Al2O3)を用いることができる。例えば、第1の金属酸化物に酸素不足型のタンタル酸化物(TaOx)を用い、第2の金属酸化物にアルミニウム酸化物(Al2O3)を用いてもよい。
積層構造の抵抗変化層における抵抗変化現象は、いずれも抵抗が高い第2の金属酸化物中に形成された微小な局所領域中で酸化還元反応が起こって、局所領域中のフィラメント(導電パス)が変化することにより、その抵抗値が変化すると考えられる。
つまり、第2の金属酸化物に接続する第3電極27に、第2電極24を基準にして正の電圧を印加したとき、抵抗変化層中の酸素イオンが第2の金属酸化物側に引き寄せられる。これによって、第2の金属酸化物中に形成された微小な局所領域中で酸化反応が発生し、酸素不足度が減少する。その結果、局所領域中のフィラメントが繋がりにくくなり、抵抗値が増大すると考えられる。
逆に、第2の金属酸化物に接続する第3電極27に、第2電極24を基準にして負の電圧を印加したとき、第2の金属酸化物中の酸素イオンが第1の金属酸化物側に押しやられる。これによって、第2の金属酸化物中に形成された微小な局所領域中で還元反応が発生し、酸素不足度が増加する。その結果、局所領域中のフィラメントが繋がりやすくなり、抵抗値が減少すると考えられる。
酸素不足度がより小さい第2の金属酸化物に接続されている第3電極27は、例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)など、第2の金属酸化物を構成する金属及び第2電極24を構成する材料と比べて標準電極電位が、より高い材料で構成する。また、酸素不足度がより高い第1の金属酸化物に接続されている第2電極24は、例えば、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)など、第1の金属酸化物を構成する金属と比べて標準電極電位が、より低い材料で構成してもよい。標準電極電位は、その値が高いほど酸化しにくい特性を表す。
すなわち、第3電極27の標準電極電位V2、第2の金属酸化物を構成する金属の標準電極電位Vr2、第1の金属酸化物を構成する金属の標準電極電位Vr1、第2電極24の標準電極電位V1との間には、Vr2<V2、かつV1<V2なる関係を満足してもよい。さらには、V2>Vr2で、Vr1≧V1の関係を満足してもよい。
上記の構成とすることにより、第2電極と第2の金属酸化物の界面近傍の第2の金属酸化物中において、選択的に酸化還元反応が発生し、安定した抵抗変化現象が得られる。
なお、メモリセル2の構成は、図2Bの構成に限定されるものではなく、図2Aの等価回路を実現できる構成であれば他の構成でもよい。
図2Cは、メモリセル2の抵抗変化のVIカーブを示す図である。
図2Cでは、ビット線4を基準にしてワード線3が高電圧となる電圧方向が負電圧側で、ワード線3を基準にしてビット線4が高電圧となる電圧方向が正電圧側に対応している。そして、メモリセル2は、C点からA点の間の負電圧領域で高抵抗状態から低抵抗状態に遷移し、反対にD点からB点を超える正電圧領域で低抵抗状態から高抵抗状態に遷移する双方向の抵抗変化動作をする。言い換えると、低抵抗化(LR化)の負電圧印加で高抵抗状態から低抵抗状態に遷移し、高抵抗化(HR化)の正電圧印加で低抵抗状態から高抵抗状態に遷移する。なお、C点とD点の間で見える、電流がほぼ流れないオフ領域がダイオード素子2bの非線形特性によるものである。
[抵抗変化素子のフォーミング特性]
ところで、図2Cに示す可逆的な抵抗変化動作は、メモリセル2を形成後フォーミングとよぶ操作を行う事で開始できる。例えば特許文献2に記載されているフォーミング操作の一例を説明する。
図3Aは、測定に用いられた評価用素子の構成を示す回路図である。
図3Aの評価用素子では、図2Bと同じ構造の抵抗変化素子2aと1.5kΩの固定抵抗素子とが直列に接続されている。
図3Bは、図3Aの3つの評価用素子に対しフォーミングパルスを印加したときの、抵抗値の推移を3評価用素子分示す図である。図3Bでは、例えばフォーミング用の正電圧パルス(パルス幅=1μs)を印加してフォーミングを試みたときの、抵抗変化素子2aの抵抗値とフォーミングパルスの累積パルス印加時間との関係をプロットしている。
図3Bに示されるように、評価用素子によって累積パルス印加時間は異なるが、評価用素子は数十MΩの超高抵抗状態(第1の抵抗状態)から数十kΩ台の高抵抗状態(第2の抵抗状態)に突然低下している。この低下した抵抗状態がフォーミングのなされた状態に対応する。この評価結果からもわかるように、抵抗変化素子によってフォーミングが完了するパルス印加回数が異なる。しかし、その抵抗値が初期状態に比べ大きく低下した状態を捉えそこでフォーミングを終了すれば、無駄が無く、良好なフォーミングを行うことができる。
[クロスポイント型不揮発性記憶装置のフォーミングに関係する基本的な説明]
以下、本発明の詳細を説明する前に、本発明の基本となる新たな知見について説明する。
これはクロスポイント型不揮発性記憶装置の回り込み電流に関するものである。以下では、図4A乃至図8を参照しながら当該知見について説明するが、これは後述の本発明の構成を理解するための一助とするものである。したがって、本発明はこれらの図面及びその説明に限定されない。
図4Aは、図1Aに示すメモリセルアレイ1の構成を詳細に示す図である。
図4Aにおいて、ワード線3のそれぞれは、選択線の説明を分かり易くするためWL1〜WL4と記している。同様に、ビット線4のそれぞれは、BL1〜BL4と記している。また、WL3及びBL3が選択線つまり選択ワード線及び選択ビット線であることを示すため、WL3及びBL3を太線で図示している。WL3及びBL3の選択の具体的動作は、WL3とBL3の両者の間に所定電圧差を印加してWL3及びBL3が交差するメモリセル2に電流を流し、それ以外のワード線3及びビット線4はフローティング状態とするものである。また、メモリセル2について、白丸はフォーミング前の状態のメモリセル、黒丸はフォーミング後の状態のメモリセル、斜線付き丸は選択された状態のメモリセル(図4AではM33)を示すものとする。これは、以降の説明でも同様である。
図4Bは、図4Aのメモリセルアレイ1を等価回路図に展開したものである。
図4Bにおいて、ビット線4(BL3)とワード線3(WL3)との間に選択されたメモリセル2(M33)が接続されている。またそれと並列に、例えばビット線4(BL3)に一端が接続されるメモリセル2(M13)は、他端がワード線3(WL1)に繋がり、さらにメモリセル2(M11)を介してビット線4(BL1)に繋がり、メモリセル2(M31)を介してワード線3(WL3)に繋がる。従って、メモリセル2(M13)−メモリセル2(M11)−メモリセル2(M31)のように、ビット線4(BL3)及びワード線3(WL3)が3段直列な関係の非選択のメモリセル2を介して接続された電流経路、即ち回り込み電流経路が形成されている。また、同様に、メモリセル2(M13)−メモリセル2(M12)−メモリセル2(M32)、メモリセル2(M13)−メモリセル2(M14)−メモリセル2(M34)、メモリセル2(M23)−メモリセル2(M21)−メモリセル2(M31)、メモリセル2(M23)−メモリセル2(M22)−メモリセル2(M32)、メモリセル2(M23)−メモリセル2(M24)−メモリセル2(M34)、メモリセル2(M43)−メモリセル2(M41)−メモリセル2(M31)、メモリセル2(M43)−メモリセル2(M42)−メモリセル2(M32)、メモリセル2(M43)−メモリセル2(M44)−メモリセル2(M34)の回り込み電流経路も形成されている。
図4Cは、選択された状態のメモリセル2(M33)以外のメモリセル2の抵抗が同じ状態の時の図4Bで示す等価回路を縮退した等価回路を示すものである。
選択された状態のメモリセル2(M33)以外のメモリセル2の抵抗状態が同一である。従って、3段直列な関係の非選択のメモリセル2を介した回り込み電流経路は、図4Cに示されるように、上段部にメモリセル2が3個並列に接続され、中段部にメモリセル2が9個並列に(上段部個数と下段部個数の積)に接続され、下段部にメモリセル2が3個並列に接続された関係に単純化できる。
次にメモリセルアレイ1の等価回路図を用いて、いくつかのケース(選択されたメモリセル2以外のメモリセル2の抵抗状態が異なるケース)についてフォーミングにおける回り込み電流量を説明する。
図5Aは、図4Aで示したのと同様に、メモリセル2(M33)を選択し、フォーミングする場合を示している。但し、図5Aは、選択されたビット線4(BL3)に繋がるメモリセル2(M13)及びメモリセル2(M23)と、選択されたワード線3(WL3)に繋がるメモリセル2(M31)及びメモリセル2(M32)とは、黒丸で示すように、既にフォーミングされた状態を仮定している。一方、黒丸で示した以外の白丸のメモリセル2はフォーミングされていない状態を仮定している。
図5Bは、図5Aの等価回路図を示すものである。なお、図5Bの接続関係は既に図4Bで説明しているので省略する。
図5Bの等価回路図によると、3段直列な関係の非選択のメモリセル2を介した回り込み電流経路では、中段部に何れもフォーミング前の状態のメモリセル2が接続されている。フォーミング前のメモリセル2は超高抵抗状態にあり、従って回り込み電流はこの中段部で遮断され、図5Aの状態では回り込み電流は発生しない。このような状態を、回り込み電流経路数が0と定義する。
図5Cは、図4Aで示したのと同様に、メモリセル2(M33)を選択し、フォーミングする場合を示している。但し、図5Cは、図5Aの状態に対し、メモリセル2(M11)がフォーミングされた状態を仮定している。
図5Dは、図5Cの等価回路図を示すものである。
図5Dの等価回路図によると、3段直列な関係の非選択のメモリセル2を介した回り込み電流経路では、メモリセル2(M13)−メモリセル2(M11)−メモリセル2(M31)の1経路が何れもフォーミングされたメモリセル2で繋がっている。一方、それ以外の他の回り込み電流経路では、上段部、中段部または下段部にフォーミング前の超高抵抗状態のメモリセル2があるため、回り込み電流は遮断される。このような状態を、回り込み電流経路数が1と定義する。
図5Eは、図4Aで示したのと同様に、メモリセル2(M33)を選択し、フォーミングする場合を示している。但し、図5Eは、図5Cの状態に対し、メモリセル2(M11)の代わりにメモリセル2(M14)がフォーミングされた状態を仮定している。
図5Fは、図5Eの等価回路図を示すものである。
図5Fの等価回路図によると、3段直列な関係の非選択のメモリセル2を介した回り込み電流経路では、上段部、中段部または下段部にフォーミング前の超高抵抗状態のメモリセル2があるため、回り込み電流は遮断される。従って、回り込み電流経路数が0となる。即ち図5Fの場合と図5Cの場合とで、フォーミング後のメモリセル2の数は同じだが、フォーミング後のメモリセル2の配置場所が異なることに依って回り込み電流経路数が変わることがわかる。
図5Gは、図4Aで示したのと同様に、メモリセル2(M33)を選択し、フォーミングする場合を示している。但し、図5Gは、図5Cでの状態に対し、さらにメモリセル2(M12)がフォーミングされた状態を仮定している。
図5Hは、図5Gの等価回路図を示すものである。
図5Hの等価回路図によると、3段直列な関係の非選択のメモリセル2を介した回り込み電流経路では、メモリセル2(M13)−メモリセル2(M11)−メモリセル2(M31)、メモリセル2(M13)−メモリセル2(M12)−メモリセル2(M32)の2経路が何れもフォーミングされたメモリセル2で繋がっている。一方、それ以外の他の回り込み電流経路では、上段部、中段部または下段部にフォーミング前の超高抵抗状態のメモリセル2があるため、回り込み電流は遮断される。このような状態を、回り込み電流経路数が2と定義する。
図5Iは、図4Aで示したのと同様に、メモリセル2(M33)を選択し、フォーミングする場合を示している。但し、図5Iは、図5Gでの状態に対し、さらにメモリセル2(M21)がフォーミングされた状態を仮定している。
図5Jは、図5Iの等価回路図を示すものである。
図5Jの等価回路図によると、3段直列な関係の非選択のメモリセル2を介した回り込み電流経路では、メモリセル2(M13)−メモリセル2(M11)−メモリセル2(M31)、メモリセル2(M13)−メモリセル2(M12)−メモリセル2(M32)、メモリセル2(M23)−メモリセル2(M21)−メモリセル2(M31)の3経路が何れもフォーミングされたメモリセル2で繋がっている。一方、それ以外の他の回り込み電流経路では、上段部、中段部または下段部にフォーミング前の超高抵抗状態のメモリセル2があるため、回り込み電流は遮断される。このような状態を、回り込み電流経路数が3と定義する。
図5Kは、図4Aで示したのと同様に、メモリセル2(M33)を選択し、フォーミングする場合を示している。但し、図5Kは、図5Iでの状態に対し、さらにメモリセル2(M22)がフォーミングされた状態を仮定している。
図5Lは、図5Kの等価回路図を示すものである。
図5Lの等価回路図によると、3段直列な関係の非選択のメモリセル2を介した回り込み電流経路では、メモリセル2(M13)−メモリセル2(M11)−メモリセル2(M31)、メモリセル2(M13)−メモリセル2(M12)−メモリセル2(M32)、メモリセル2(M23)−メモリセル2(M21)−メモリセル2(M31)、メモリセル2(M23)−メモリセル2(M22)−メモリセル2(M32)の4経路が何れもフォーミングされたメモリセル2で繋がっている。一方、それ以外の他の回り込み電流経路では、上段部、中段部または下段部にフォーミング前の超高抵抗状態のメモリセル2があるため、回り込み電流は遮断される。このような状態を、回り込み電流経路数が4と定義する。
以上の説明で分かるように回り込み電流経路数は、選択ビット線に接続されたフォーミング済みのメモリセル2(M13、M23)が接続された非選択ワード線と、選択ワード線に接続されたフォーミング済みのメモリセル2(M31、M32)が接続された非選択ビット線との交点に位置するメモリセル2(図5A、図5C、図5E、図5G、図5I及び図5Kにおいて破線で囲うメモリセル2(M11、M12、M21、M22))の内、フォーミング済みのメモリセル2の個数に相当(一致)している。
次に回り込み電流経路数を一般化して説明する。
図6は4行4列のメモリセルアレイ1を、M行N列のメモリセルアレイ101に拡張し一般化したものである。メモリセルアレイ101の個別の構成要素はメモリセルアレイ1と同一なのでその詳細説明は省略する。
なお、図6では、ワード線は選択ワード線103のみを、ビット線は選択ビット線104のみを表示し、非選択ワード線及び非選択ビット線の表示は省略している。また選択ワード線103または選択ビット線104以外に接続されるメモリセルは、フォーミング済みのメモリセルのみを示し、それ以外は省略している。
また、図6では、選択ワード線103と選択ビット線104との交点の選択メモリセル102aをフォーミングする場合を示している。選択ワード線103にはフォーミング済みのメモリセルがnビット、選択ビット線104にはフォーミング済みのメモリセルがmビット存在しているとしている。そして、そのフォーミング済みのメモリセルの各々に接続される非選択ビット線(図示なし)及び非選択ワード線(図示なし)の交差する領域を交差領域105とし、この交差領域105にAビットのフォーミング済みメモリセル領域106aが含まれるとしている。
また、図6では、交差領域105内のフォーミング済みメモリセル領域106aをm0行n0列のまとまった単位で表現しているが、これは後ほどの説明を簡単にするためのもので、交差領域105内のフォーミング済みメモリセル領域106aは分散されたメモリセルの行及び列から構成されるものであってもよい。また、交差領域105に属さない領域にBビットのフォーミング済みメモリセル領域106bが存在してもよい。
図7は、図6に示すM行N列のメモリセルアレイ101の縮退した等価回路図を示すものである。
図7では、選択ビット線104と選択ワード線103とに両端が接続された選択メモリセル102aと並列に、回り込み電流経路としてAビット(=m0ビット×n0ビット)からなるフォーミング済みメモリセル領域106aを中間段とする3段直列の回り込み電流経路が形成されている。この3段直列の回り込み電流経路で、上段は選択ビット線104に接続されたフォーミング済みのmビットのメモリセルの内、交差領域105のメモリセルを介して選択ワード線103に接続されたフォーミング済みのm0ビットのメモリセルから構成される。そして、下段は選択ワード線103に接続されたフォーミング済みのnビットのメモリセルの内、交差領域105のメモリセルを介して選択ビット線104に接続されたフォーミング済みのn0ビットのメモリセルから構成される。
図6のような一般化した場合の回り込み電流経路数も、図5A〜図5Lの説明から類推でき、交差領域105に属するフォーミング済みメモリセルの数であるAに相当する。一方、交差領域105以外のフォーミング済みメモリセルを介した回り込み電流経路は、メモリセルアレイ101の等価回路図で示される3段直列の非選択のメモリセルの回り込み電流経路の上段部または下段部の何れかで遮断された状態に対応するため回り込み電流経路数に寄与しない。
図8は、回り込み電流経路数と回り込み電流値の関係を示している。
回り込み電流経路数は回り込み電流経路の並列個数に相当するため、回り込み電流経路数と回り込み電流値は概ね線形関係にある。また回り込み電流経路数は、フォーミング対象の最後のメモリセル1ビットを残し、その他の全てのメモリセルがフォーミング済みの状態であるときに最大値となる。即ちM行N列のメモリセルアレイにおいて、フォーミング済みメモリセル領域106aが(M−1)×(N−1)のメモリセルから構成されるときに最大となる。この時の回り込み電流値をISmaxとすると、それ以外の時の回り込み電流値は、回り込み電流値=ISmax×{回り込み電流経路数/(M−1)×(N−1)}として、回り込み電流経路数より比例配分で算出することが出来る。回り込み電流経路数は、その時点までにどのメモリセルをフォーミングしたかの情報を基に求めることができる。
なお、この回り込み電流値は、選択ビット線104と選択ワード線103との間の印加電圧に依存する。即ち選択メモリセル102aを読み出し動作する場合と、フォーミング動作する場合とでは、同じ回り込み電流経路数の状態であっても回り込み電流値は異なるので、各々の動作に対応した回り込み電流値を算出することは言うまでもない。
図9Aは、本発明をフォーミング時のメモリセルのフォーミング状態を判定するフォーミング動作(読み出し動作)に適用した場合の概念を説明するものである。
選択メモリセル102aの情報を読み出す場合、センスアンプ回路7のリード電流検知用ロード電流供給部9に対応するロード電流源208aで選択メモリセル102aのフォーミング判定に必要なロード電流IMrをメモリセルアレイ101に供給する。さらにセンスアンプ回路7の回り込み電流補償用ロード電流供給部8に対応するロード電流源208bで非選択メモリセル群102bに流れる回り込み電流ISrに相当する電流をメモリセルアレイ101に並列に供給する。これらのロード電流IMr及び回り込み電流ISrによりフォーミング対象のメモリセルに供給される最終的なフォーミング判定のロード電流が構成される。このとき、ロード電流IMrは、回り込み電流が無い状態において、フォーミング済みの選択メモリセル102aをセンスアンプ回路7でフォーミング判定できる電流であり、選択メモリセル102aのアドレスに依らず一定値である。一方、回り込み電流ISrは、フォーミング済みの非選択メモリセル群102bが含む回り込み電流経路数m0×n0に依存し、読み出し動作を阻害するノイズ的成分として働く。
しかし、回り込み電流経路数は、図5A乃至図5Lで説明したように、フォーミングを行う選択メモリセル102aのアドレス経路(フォーミング対象のメモリセルを選択する順番)を元に、フォーミング対象の選択メモリセル102aのアドレス毎に予め算出しておくことができる。従って、図8で示したように回り込み電流経路数と回り込み電流の関係より、その都度(選択メモリセル102a毎)の回り込み電流経路数に相当する回り込み電流ISrに対応する電流をロード電流源208bで補償電流として流すことにより、回り込み電流の影響を排除できる。その結果、フォーミング対象の選択メモリセル102aのフォーミング判定を安定に行うことができる。
なお、図9Aでは、ロード電流源208aとロード電流源208bとは2つの分離した2つのロード回路として説明したが、一つのロード回路で構成し、図9Aで示した趣旨に従って1つのロード回路のロード電流(駆動電流)を調整してメモリセルアレイ101に供給してもよい。
図9Bは本発明を、フォーミング時の印加パルス(フォーミングパルス)に適用した場合の概念を説明するものである。
選択メモリセル102aをフォーミングする場合、書き込み回路15内の書き込み回路215aにより選択メモリセル102aのフォーミングに必要なフォーミング電流IMwをメモリセルアレイ101に供給する。さらに書き込み回路215bで非選択メモリセル群102bに流れる回り込み電流ISwに相当する電流をメモリセルアレイ101に並列に供給する。これらのフォーミング電流IMw及び回り込み電流ISwによりフォーミング対象のメモリセルに供給される最終的なフォーミング電流が構成される。このとき、フォーミング電流IMwは、回り込み電流が無い状態において選択メモリセル102aをフォーミングできる電流であり、選択メモリセル102aのアドレスに依らず一定値である。一方、回り込み電流ISwは、フォーミング済みの非選択メモリセル群102bが含む回り込み電流経路数m0×n0に依存し、フォーミング対象の選択メモリセル102aに流すフォーミング電流を低下させフォーミング動作を阻害する。
しかし、回り込み電流経路数は、図5A乃至図5Lで説明したように、フォーミングを行う選択メモリセル102aのアドレス経路を元に、フォーミング対象の選択メモリセル102aのアドレス毎に予め算出しておくことができる。従って、図8で示したように回り込み電流経路数と回り込み電流との関係より、その都度(選択メモリセル102a毎)の回り込み電流経路数に相当する回り込み電流ISwに対応する電流を書き込み回路215bで補償電流として流すことで、回り込み電流の影響を排除できる。その結果、選択メモリセル102aの安定なフォーミングを実現できる。
なお、書き込み回路215aと書き込み回路215bは2つの分離した2つの書き込み回路として説明したが、一つの書き込み回路で構成し、図9Bで示した趣旨に従って1つの書き込み回路のフォーミング電流を調整してメモリセルアレイ101に供給してもよい。
以上の説明を基に、本発明の不揮発性記憶装置100のフォーミング方法を説明する。
[不揮発性記憶装置のフォーミング判定方法]
まず、不揮発性記憶装置100のフォーミングにおいて、フォーミング判定のロード電流を回り込み電流経路数に応じて設定する例(図9Aの例)を説明する。
図10A及び図10Bは、製造後のフォーミングを行う前のメモリセルアレイ1に配列される16ビットのメモリセル2について、フォーミングのアドレス順番(フォーミング順)と、それに対応する各々の時の回り込み電流経路数を示している。図10A及び図10Bにおいて、矢印がフォーミングの行われるメモリセル2が変更される流れを示している。また、回り込み電流経路数を符号Pと表記している。
なお、図10A及び図10Bでは、選択ワード線を切り替えることなくワード線方向(右方向)に選択ビット線を順次切り替えながらメモリセル2をスキャンし、最大アドレスに到達したら、ビット線方向(下方向)の隣に選択ワード線を切り替えて、再びワード線方向に選択ビット線を順次切り替えるワード線スキャン方式を示しているが、これは一例であって、これに限定されるものではない。
まず、ステップS1では、ワード線3(WL1)とビット線4(BL1)に所定の電圧を印加し、メモリセル2(M11)をフォーミングする。この時の回り込み電流経路数Pは0である。
次に、ステップS2では、ワード線3(WL1)とビット線4(BL2)に所定の電圧を印加し、メモリセル2(M12)をフォーミングする。この時メモリセル2(M11)はフォーミング済みであるが回り込み電流経路数Pは0のままである。
次に、ステップS3〜S5のメモリセル2(M13、M14及びM21)のフォーミングでは、ステップS1〜S2のフォーミングと同様のフォーミングが行われるため、その詳細な説明は省略するが、回り込み電流経路数Pは0のままである。
次に、ステップS6のメモリセル2(M22)のフォーミングにおいて、破線で示すフォーミング済みメモリセル領域(図10AのA)が回り込み電流経路となり、回り込み電流経路数Pが1となる。
次に、ステップS7のメモリセル2(M23)のフォーミングにおいて、フォーミング済みメモリセル領域(図10AのB)が回り込み電流経路となり、回り込み電流経路数Pが2となる。
次に、ステップS8のメモリセル2(M24)のフォーミングにおいて、フォーミング済みメモリセル領域(図10AのC)が回り込み電流経路となり、回り込み電流経路数Pが3に増加する。
次に、図10Bにおいて、ステップS9では、選択ワード線がワード線3(WL2)からワード線3(WL3)に切り替わり、メモリセル2(M31)のフォーミングに移る。メモリセル2(M31)のフォーミングでは、回り込み電流経路を形成するフォーミング済みメモリセル領域は存在しなくなり、回り込み電流経路数Pは0となる。
次に、ステップS10のメモリセル2(M32)のフォーミングにおいて、フォーミング済みメモリセル領域(図10BのD)が回り込み電流経路となり、回り込み電流経路数Pが2となる。
次に、ステップS11のメモリセル2(M33)のフォーミングにおいて、フォーミング済みメモリセル領域(図10BのE)が回り込み電流経路となり、回り込み電流経路数Pが4となる。
次に、ステップS12のメモリセル2(M34)のフォーミングにおいて、フォーミング済みメモリセル領域(図10BのF)が回り込み電流経路となり、回り込み電流経路数Pが6に増加する。
次に、ステップS13では、選択ワード線が再びワード線3(WL3)からワード線3(WL4)に切り替わり、メモリセル2(M41)のフォーミングに移る。メモリセル2(M41)のフォーミングでは、回り込み電流経路を形成するフォーミング済みメモリセル領域は存在しなくなり、回り込み電流経路数Pは0となる。
次に、ステップS14のメモリセル2(M42)のフォーミングにおいて、フォーミング済みメモリセル領域(図10BのG)が回り込み電流経路となり、回り込み電流経路数Pが3となる。
次に、ステップS15のメモリセル2(M43)のフォーミングにおいて、フォーミング済みメモリセル領域(図10BのH)が回り込み電流経路となり、回り込み電流経路数Pが6となる。
最後に、ステップS16のメモリセル2(M44)のフォーミングにおいて、フォーミング済みメモリセル領域(図10BのI)が回り込み電流経路となり、回り込み電流経路数Pが9の最大値になる。
図11は、図10A及び図10Bで説明の回り込み電流経路数Pの推移を示すグラフである。
フォーミング済みのメモリセル2の数はフォーミングの進行とともに単調増加するが、図11に示されるように、回り込み電流経路数は単調増加とはならず増減を繰り返す。回り込み電流経路数は、フォーミングされるメモリセル2の場所に応じて、0、1、2、3、4、6、9の離散的な値をとる。
図12は、回り込み電流補償用ロード電流供給部8のP型MOSトランジスタ8bのゲート端子へ設定するロード電流制御電圧LA(M)と回り込み電流経路数との関係を示している。
図12に示されるように、離散的な回り込み電流経路数0、1、2、3、4、6、9に対応してLA(1)からLA(7)を、可変電圧源16の出力であるロード電流制御電圧LA(M)に対応させている。これにより、メモリセル2をフォーミングするときの回り込み電流経路数に応じて、そのときに回り込み電流補償用ロード電流供給部8がフォーミング判定のために供給するロード電流を変化させることができる。
図13は、P型MOSトランジスタ8bに流れるロード電流と、そのゲート端子に印加するロード電流制御電圧LA(M)との関係を示す電圧−電流特性(V−I特性)である。図13では、回り込み電流経路数が1つのときに回り込み電流補償用ロード電流供給部8によりフォーミング判定のために供給する回り込み電流をISr1として、その整数倍の電流値とそれに対応するゲート電圧値を示している。
図13のV−I特性において、回り込み電流経路数が0の場合には回り込み電流が流れないため、ゲート電圧値LA(1)をロード電流0に対応させている。しかし、回り込み電流経路数に比例して回り込み電流は増加するため、回り込み電流経路数が1のときのゲート電圧値LA(2)をロード電流1×Is、回り込み電流経路数が2のときのゲート電圧値LA(3)にロード電流2×Is、回り込み電流経路数が3のときのゲート電圧値LA(4)にロード電流3×Is、回り込み電流経路数が4のときのゲート電圧値LA(5)にロード電流4×Is、回り込み電流経路数が6のときのゲート電圧値LA(6)にロード電流6×Is、回り込み電流経路数が9のときのゲート電圧値LA(7)にロード電流9×Isを各々対応させている。
ここで、フォーミング判定のロード電流を回り込み電流経路数に応じて設定する構成は、可変電圧源16を、図1Bの各電圧値が図13の関係を満足するように設計しておき、かつ、図11及び図12の関係を示すテーブルを記憶部30に格納しておくことにより実現される。具体的には、制御回路18が記憶部30に格納された図11及び図12の関係を示すテーブルに基づいて、可変電圧源16を制御することにより実現される。
なお、例えば可変電圧源16をさらに細分化された電圧設定も可能な構成にしておき、フォーミング段階で上記に示した必要なゲート電圧値をプログラム設定する構成でもよい。また、P型MOSトランジスタ8bのゲート端子の電圧を、可変電圧源16より供給するのではなく、不揮発性記憶装置100の外部より直接DC電圧を供給する構成でもよい。この場合、不揮発性記憶装置100は、P型MOSトランジスタ8bのゲート端子に電気的に接続され、異なる電圧が選択的に切り替えて供給される外部電圧印加端子を備え、制御回路18は、外部電圧印加端子に供給する電圧値を調整してP型MOSトランジスタ8bの出力電流を調整することで、回り込み電流補償用ロード電流供給部8に供給させるロード電流を調整する。
次に、図3Bのようなフォーミング特性を有する抵抗変化素子で構成された不揮発性記憶装置100についてのフォーミング方法(駆動方法)を説明する。
図14はフォーミングの流れを示すフローチャートである。
メモリセル2のフォーミング方法では、まず、フォーミング対象の領域の先頭アドレスがフォーミング対象のメモリセル2として指定(選択)される。
次に、回り込み電流補償用ロード電流供給部8及びリード電流検知用ロード電流供給部9つまりセンスアンプ回路7から供給されるロード電流の値を、メモリセルアレイ1におけるフォーミング対象のメモリセル2以外のメモリセル2で抵抗変化素子が第2の抵抗状態にあるものの数及び場所に応じて変更する。つまり、フォーミング対象のメモリセル2の回り込み電流経路数に対応して回り込み電流補償用ロード電流供給部8のゲート電圧を設定する第1のステップ(ステップS1)が行われる。その後、フォーミング対象のメモリセル2に、変更後のロード電流を供給し、センスアンプ回路7の出力が‘L’レベルか否かを判定する(‘H’レベルであることを確認する)第2のステップ(ステップS2)が行われる。
ここで、第1のステップでは、ロード電流の値を、前述した第1メモリセルに接続されたワード線3と、前述した第2メモリセルに接続されたビット線4との交点にあるメモリセル2のうち第2の抵抗状態にあるものの個数に比例して変更する。また第2のステップではフォーミング対象のメモリセル2にはこの時点ではまだ一度もフォーミングパルスは供給されていないため、センスアンプ回路7の出力は‘H’レベルであることが期待される。なおこの段階で‘L’レベルであった場合は、既にフォーミングされた状態と判断し、選択されたメモリセル2のフォーミングは終了する。
次に、第2のステップの後で、フォーミング対象のメモリセル2に書き込み電流としてのフォーミングパルスを供給する第3のステップ(ステップS2a)が行われる。
次に、第3のステップの後で、フォーミング対象のメモリセル2に第1のステップ(ステップS1)で設定した変更後のロード電流を供給し、フォーミング対象のメモリセル2の抵抗変化素子の抵抗状態を読み出す第4のステップ(ステップS2)が行われる。
次に、第4のステップにおいて、センスアンプ回路7の出力が‘L’レベルの場合(ステップS2でY)は、フォーミング対象のメモリセル2はフォーミングがなされた(抵抗変化素子の抵抗状態が変化した)と判定し、フォーミングパルスの供給を終了してフォーミング対象のメモリセル2のフォーミングを終了する。一方、センスアンプ回路7の出力が‘H’レベルの場合(ステップS2でN)は、フォーミング対象のメモリセル2はフォーミングがなされていない(抵抗変化素子の抵抗状態が変化していない)と判定し、第3のステップ(ステップS2a)を再度実行する。
次に、第5のステップ(ステップS3)において、フォーミングがフォーミング対象の領域の最終アドレスまで実行されていればフォーミングを終了し、最終アドレスではない場合は、1アドレス進めて(ステップS3a)再度第1のステップ(ステップS1)からのフォーミングを続ける。
以下では、図14で示したフォーミング方法について、図10A及び図10Bに示すフォーミング順番に従いフォーミングするとして詳細に説明する。
まず、フォーミング対象の領域が決められ、その領域の先頭アドレスであるメモリセル2(M11)がフォーミング対象のメモリセル2として指定される。
次に、メモリセル2(M11)の回り込み電流経路数に対応して回り込み電流補償用ロード電流供給部8のゲート電圧を設定する(ステップS1)。メモリセル2(M11)をフォーミングするときの回り込み電流経路数は0であるため、図12より可変電圧源16の出力であるロード電流制御電圧LA(M)としてゲート電圧LA(1)が設定される。
次に、メモリセル2(M11)の情報(抵抗状態)をセンスアンプ回路7で読み出す。そして、センスアンプ回路7の出力SOの結果に応じて分岐判断を行い、メモリセル2(M11)が可逆的な抵抗変化動作が可能な状態か判断する(ステップS2)。具体的には、ステップS1で設定された条件でメモリセルアレイ1に電流印加を行った状態で、センスアンプ回路7の出力SOが‘H’レベルから‘L’レベルに変更されたか判断する。
次に、センスアンプ回路7の出力SOが‘L’レベルの場合(ステップS2でY)、メモリセル2(M11)は可逆的な抵抗変化動作が可能な状態(第1の抵抗状態に対してより抵抗値が低い第2の抵抗状態)にあると判断し、次の処理に移る。一方、センスアンプ回路7の出力SOが‘H’レベルの場合(ステップS2でN)、メモリセル2(M11)は第2の抵抗状態より抵抗値が高い第1の抵抗状態にあると判断し、フォーミングパルスを印加する(ステップS2a)。そしてセンスアンプ回路7の出力が‘L’レベルとなるまで、または事前に指定の所定回数分のフォーミングパルスの印加が行われるまで同様の処理を繰り返す。
次に、メモリセル2(M11)を示すアドレスが、フォーミング領域の最終アドレスか否かを判定する(ステップS3)。最終アドレスで無い場合(ステップS3でN)は、1アドレス進め(ステップS3a)、再度ステップS1より同様の処理を実行する。最終アドレスはメモリセル2(M44)であり、メモリセル2(M11)は最終アドレスで無いため、メモリセル2(M11)の1アドレス先のメモリセル2(M12)について、再度ステップS1より同様の処理を実行する。
メモリセル2(M12)以降のアドレスのフォーミングについて、メモリセル2(M12)からメモリセル2(M21)までは回り込み電流経路数は0のため、ステップS1では可変電圧源16の出力であるロード電流制御電圧LA(M)としてゲート電圧LA(1)が設定される。従って、上述したステップS1、ステップS2、ステップS3及びステップS3aと同様の処理がメモリセル2(M12)からメモリセル2(M21)について繰り返される。
しかし、メモリセル2(M22)では、回り込み電流経路数は1に増加するため、メモリセル2(M22)のフォーミングのステップS1では可変電圧源16の出力であるロード電流制御電圧LA(M)としてゲート電圧LA(2)が設定される。そして、メモリセル2(M22)のフォーミングにおいて、上述したステップS2、ステップS3及びステップS3aを実行する。
メモリセル2(M23)以降のフォーミングにおいても同様に、図11及び図12に基づいてメモリセル2のアドレスに対応するゲート電圧(ゲート電圧設定値)を、可変電圧源16の出力であるロード電流制御電圧LA(M)として設定し、上述したステップS2、ステップS3及びステップS3aを実行する。そして、メモリセル2(M44)のフォーミングにおいて、ステップS3でYとなった場合に、フォーミングを終了する。
[クロスポイント型不揮発性記憶装置のフォーミング電圧設定方法]
次に、不揮発性記憶装置100のフォーミングにおいて、フォーミング電流を回り込み電流経路数に応じて設定する例(図9Bの例)を説明する。なお、以下では、図10A及び図10Bに示すフォーミング順番に従いフォーミングが行われるとして説明する。従って、その時々のフォーミングを行っているアドレスでの回り込み電流経路数の推移も同じなので、回り込み電流経路数についての説明は省略する。
図15は、書き込み回路15に供給するパルス電圧Vw(M)と回り込み電流経路数との関係を示している。
図15に示されるように、離散的な回り込み電流経路数0、1、2、3、4、6、9にパルス電圧Vw(1)からパルス電圧Vw(7)を対応させている。これにより、メモリセル2をフォーミングするときの回り込み電流経路数に応じて、そのときに書き込み回路15がフォーミングのために供給するフォーミング電流を変化させることができる。
図16は、書き込み回路15に供給するパルス電圧Vw(M)と、書き込み回路15の出力電流(フォーミング電流)との関係を示す電圧−電流特性(V−I特性)である。図16では、回り込み電流経路が無い場合に、選択メモリセルをフォーミングするのに必要なフォーミング電流をIMwとし、また回り込み電流経路数が1つのときに書き込み回路15によりフォーミングのために供給する回り込み電流をISw1として、その整数倍の電流値とそれに対応するパルス電圧Vw(M)を示している。
図16のV−I特性において、回り込み電流経路数0の場合には回り込み電流が流れないため、パルス電圧Vw(1)を、書き込み回路15の出力電流IMwを駆動可能な電圧として対応させている。しかし、回り込み電流経路数に比例して回り込み電流は増加するため、回り込み電流経路数1のときのパルス電圧Vw(2)を、出力電流IMw+ISw1を駆動可能な電圧として対応させ、回り込み電流経路数2のときのパルス電圧Vw(3)を、出力電流IMw+2×ISw1を駆動可能な電圧として対応させ、回り込み電流経路数3のときのパルス電圧Vw(4)を、出力電流IMw+3×ISw1を駆動可能な電圧として対応させ、回り込み電流経路数4のときのパルス電圧Vw(5)を、出力電流IMw+4×ISw1を駆動可能な電圧として対応させ、回り込み電流経路数6のときのパルス電圧Vw(6)を、出力電流IMw+6×ISw1を駆動可能な電圧として対応させ、回り込み電流経路数9のときのパルス電圧Vw(7)を、出力電流IMw+9×ISw1を駆動可能な電圧として対応させている。
ここで、フォーミング電流を回り込み電流経路数に応じて設定する構成は、図11及び図15の関係を示すテーブルを記憶部30に格納しておくことにより実現される。具体的には、制御回路18が、記憶部30に格納された図11及び図15の関係を示すテーブルに基づいて、パルス電圧源Vw(M)を制御することにより実現される。
次に図3Bのようなフォーミング特性を有する抵抗変化素子で構成された不揮発性記憶装置100についてのフォーミング方法(駆動方法)を説明する。
図17はフォーミングの流れを示すフローチャートである。
メモリセル2のフォーミング方法では、まず、フォーミング対象の領域の先頭アドレスがフォーミング対象のメモリセル2として指定(選択)される。
次に、書き込み回路15から供給される書き込み電流としてのフォーミングパルスの値を、メモリセルアレイ1における選択されたメモリセル2以外のメモリセル2で抵抗変化素子が第2の抵抗状態にあるものの数及び場所に応じて変更する第1のステップ(ステップS1)が行われる。つまり、フォーミング対象のメモリセル2の回り込み電流経路数に対応してフォーミング電流を設定する第1のステップ(ステップS1)が行われる。その後、選択されたメモリセル2に、所定のロード電流を供給し、センスアンプ回路7の出力が‘L’レベルか否かを判定する(‘H’レベルであることを確認する)第2のステップ(ステップS1)が行われる。
ここで、第1のステップでは、フォーミングパルスの値を、前述した第1メモリセルに接続されたワード線3と、前述した第2メモリセルに接続されたビット線4との交点にあるメモリセル2のうち第2の抵抗状態にあるものの個数に比例して変更する。また、第2のステップでは、フォーミング対象のメモリセル2にはこの時点ではまだ一度もフォーミングパルスは供給されていないため、センスアンプ回路7の出力は‘H’レベルであることが期待される。なお、この段階で‘L’レベルであった場合は、既にフォーミングされた状態と判断し、選択されたメモリセル2のフォーミングは終了する。
次に、第2のステップの後で、フォーミング対象のメモリセル2に第1のステップで変更した変更後のフォーミングパルスを供給する第3のステップ(ステップS2a)が行われる。
次に、第3のステップの後で、センスアンプ回路7でフォーミング対象のメモリセル2に所定のロード電流を供給し、フォーミング対象のメモリセル2の抵抗変化素子の抵抗状態を読み出す第4のステップ(ステップS2)が行われる。
次に、第4のステップにおいて、センスアンプ回路7の出力が‘L’レベルの場合(ステップS2でY)は、フォーミング対象のメモリセル2はフォーミングがなされた(抵抗変化素子の抵抗状態が変化した)と判定し、フォーミングパルスの供給を終了してフォーミング対象のメモリセル2のフォーミングを終了する。一方、センスアンプ回路7の出力が‘H’レベルの場合(ステップS2でN)は、フォーミング対象のメモリセル2はフォーミングがなされていない(抵抗変化素子の抵抗状態が変化していない)と判定し、第3のステップ(ステップS2a)を再度実行する。
次に、第5のステップ(ステップS3)において、フォーミングがフォーミング対象の領域の最終アドレスまで実行されていればフォーミングを終了し、最終アドレスではない場合は、1アドレス進めて(ステップS3a)再度第1のステップ(ステップS1)からのフォーミングを続ける。
図14で示したフォーミング方法がフォーミング対象のメモリセル2の回り込み電流経路数に対応させてフォーミング判定のロード電流値を変更するのに対し、図17で示したフォーミング方法は、フォーミング対象のメモリセル2の回り込み電流経路数に対応させてフォーミングのフォーミング電流値を変更する点でのみ異なる。従って、図17のフォーミング方法の詳細な説明は省略する。
なお、図17のフォーミング電流を回り込み電流経路数に応じて切り替える構成と、図14のロード電流値を回り込み電流経路数に応じて切り替える構成とが組み合わせられても良い。つまり、フォーミング対象のメモリセル2のアドレスに応じて、そのアドレスのメモリセル2のフォーミングを行うときのフォーミング電流及びロード電流値の双方が切り替えられてもよい。
以上のように本実施の形態のクロスポイント型不揮発性記憶装置によれば、フォーミング対象のメモリセル2のアドレスに応じて、メモリセル2のフォーミングを行うときのフォーミング電流及びロード電流値の少なくともいずれかがそのアドレスの回り込み電流経路数を考慮して切り替えられる。従って、フォーミングにおいて回り込み電流の影響を排除し、安定なフォーミングを実現できる。
以上、本発明のクロスポイント型不揮発性記憶装置及びその駆動方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
例えば、本実施の形態では、フォーミング電流値を適切な値に切り替えるとした。これは、フォーミング前のメモリセルは超高抵抗状態であるのに対し、フォーミング後のメモリセルはそれに比べて抵抗値が十分低く、回り込み電流経路のインピーダンスとしてはフォーミング後のメモリセルが支配的で、フォーミング前のメモリセルは無視して取り扱える点に基づく。従って、本発明はフォーミングに限られるものではなく、例えば高抵抗化及び低抵抗化の少なくとも2つの書き込み状態を持つメモリセルにおいて、高抵抗化の書き込み状態(高抵抗状態)のメモリセルの抵抗値が低抵抗化の書き込み状態(低抵抗状態)のメモリセルの抵抗値に比べ十分高い場合には、本発明をメモリセルの書き込み及び読み出し動作にも適用することができる。一般的に高抵抗状態の抵抗値は低抵抗状態の抵抗値に比べ10倍以上の抵抗値を有しており、従って高抵抗状態のメモリセルへ流れる電流を相対的に無視できる場合は、低抵抗状態のメモリセルだけで回り込み電流経路数が形成されるとして本発明を適用することができる。
この場合、抵抗変化素子は低抵抗状態と高抵抗状態とへ可逆的に変化し、書き込み電流又は書き込み電圧は、選択されたメモリセルの抵抗変化素子に対し、低抵抗状態と高抵抗状態とを可逆的に変化させる電気的信号であり、ロード電流は、選択されたメモリセルの抵抗変化素子が低抵抗状態及び高抵抗状態のいずれにあるのかを確認するための電流である。言い換えると、上記実施の形態において、フォーミング動作をメモリセルへの通常の書き込み動作とし、フォーミング判定の動作をメモリセルの情報の読み出し動作として、フォーミングパルスが低抵抗状態と高抵抗状態とを可逆的に変化させる電気的信号に置き換えられ、フォーミング判定のロード電流が低抵抗状態及び高抵抗状態のいずれにあるのかを確認するためのロード電流に置き換えられる。従って、第1の抵抗状態が高抵抗状態であり、第2の抵抗状態が低抵抗状態であるとして、書き込み対象のメモリセルのアドレスに応じて、そのアドレスの回り込み電流経路に対応した電流又は電圧となるように電気的信号が切り替えられる。また、読み出し対象のメモリセルのアドレスに応じて、そのアドレスの回り込み電流経路に対応した電流となるようにロード電流が切り替えられる。
また、回り込み電流補償用ロード電流供給部8からの回り込み電流と、データ“0”ベリファイ用ロード電流供給部10又はデータ“1”ベリファイ用ロード電流供給部11からのロード電流により情報の読み出し対象のメモリセルに供給される最終的な情報読み出しのロード電流が構成される。また、書き込み回路15からの書き込み電流により情報の書き込み対象のメモリセルに供給される最終的な電気的信号が構成される。
また、情報の書き込み及び読み出しが行われるメモリセル以外のいずれのメモリセルが低抵抗状態にあるのかを容易に把握できるように、いずれのメモリセルに情報の書き込み及び読み出しを行うかについて、規則性がある不揮発性記憶装置に適用されていてもよい。
また、本実施の形態では、フォーミングパルスは書き込み電流であり、選択メモリセルのフォーミングが電流印加により行われるとしたが、フォーミングパルスは書き込み電圧であり、選択メモリセルのフォーミングが電圧印加により行われてもよい。この場合、書き込み回路は、回り込み電流経路数に比例して変化する書き込み電圧を印加する。
また、本実施の形態では、1アドレス毎に回り込み電流経路数に応じた回り込み電流を供給する(回り込み電流の補正を行う)とした。しかし、大規模なメモリセルアレイの場合、1アドレス毎の回り込み電流の変化量は小さいため、2以上の所定のアドレス毎に図14及び図17のステップS1の工程を行い、フォーミングを簡略化してもよい。
本発明は、クロスポイント型不揮発性記憶装置とその駆動方法において、クロスポイント型不揮発性記憶装置固有の回り込み電流をキャンセルし、安定したフォーミングを実現できるので、デジタル家電、メモリカード、携帯型電話機及びパーソナルコンピュータなどの種々の電子機器に用いられる不揮発性半導体記憶装置として有用である。
1、101、110 メモリセルアレイ
2 メモリセル
2a 抵抗変化素子
2b ダイオード素子
3 ワード線
4 ビット線
5 行選択回路
6 列選択回路
7 センスアンプ回路
8 回り込み電流補償用ロード電流供給部
8a、8b、9a、9b、10a、10b、11a、11b P型MOSトランジスタ
9 リード電流検知用ロード電流供給部
10 データ“0”ベリファイ用ロード電流供給部
11 データ“1”ベリファイ用ロード電流供給部
12 クランプ用N型MOSトランジスタ
13 クランプ電圧制御回路
14 差動アンプ
15 書き込み回路
16、17 可変電圧源
18 制御回路
19 固定抵抗素子
20 ロード電流制御電圧選択スイッチ
21 第1ビア
22 第1電極
23 半導体層
24 第2電極
25 第1の抵抗変化層
26 第2の抵抗変化層
27 第3電極
28 第2ビア
29 絶縁層
30 記憶部
100 不揮発性記憶装置
102a 選択メモリセル
102b 非選択メモリセル群
103 選択ワード線
104 選択ビット線
105 交差領域
106a、106b フォーミング済みメモリセル領域
111 データ線ドライブ回路
112 ビット線ドライブ回路
113 行デコーダ
114 列デコーダ
115 センス回路
120a、120b リファレンスメモリセルアレイ
208a、208b ロード電流源
215a、215b 書き込み回路
上記目的を達成するために、本発明に係るクロスポイント型不揮発性記憶装置の一形態は、第1の平面内において互いに平行に形成された複数のワード線と、前記第1の平面に平行な第2の平面内において互いに平行にかつ前記複数のワード線と立体交差するように形成された複数のビット線と、前記複数のワード線と前記複数のビット線との立体交差点に設けられ、第1の抵抗状態と前記第1の抵抗状態より抵抗値の低い第2の抵抗状態との2つの抵抗状態をとる抵抗変化素子を含んで構成されたメモリセルが行列状に配列されたクロスポイントメモリセルアレイと、前記ワード線の1本を選択するワード線選択器と、前記ビット線の1本を選択するビット線選択器と、前記ビット線選択器及び前記ワード線選択器により前記ビット線及び前記ワード線を選択することで選択された前記メモリセルに対し、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態を変化させる書き込み電流又は書き込み電圧を供給する書き込み回路と、前記選択されたメモリセルに対し、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態を読み出すためのロード電流を供給するセンスアンプ回路と、前記センスアンプ回路及び前記書き込み回路を制御する制御回路とを備え、前記クロスポイントメモリセルアレイにおいて、(A)前記選択されたビット線につながる前記メモリセルのうち前記選択されたメモリセル以外のメモリセルで抵抗変化素子が前記第2の抵抗状態にあるものを第1メモリセルとし、(B)前記選択されたワード線につながる前記メモリセルのうち前記選択されたメモリセル以外のメモリセルで抵抗変化素子が前記第2の抵抗状態にあるものを第2メモリセルとし、前記制御回路は、前記書き込み電流又は前記書き込み電圧と前記ロード電流との少なくともいずれかの大きさを、前記第1メモリセルに接続されたワード線と、前記第2メモリセルに接続されたビット線との交点にある前記メモリセルのうち前記第2の抵抗状態にあるものの個数に比例して変更することを特徴とする。
本発明の一態様に係るクロスポイント型不揮発性記憶装置は、第1の平面内において互いに平行に形成された複数のワード線と、前記第1の平面に平行な第2の平面内において互いに平行にかつ前記複数のワード線と立体交差するように形成された複数のビット線と、前記複数のワード線と前記複数のビット線との立体交差点に設けられ、第1の抵抗状態と前記第1の抵抗状態より抵抗値の低い第2の抵抗状態との2つの抵抗状態をとる抵抗変化素子を含んで構成されたメモリセルが行列状に配列されたクロスポイントメモリセルアレイと、前記ワード線の1本を選択するワード線選択器と、前記ビット線の1本を選択するビット線選択器と、前記ビット線選択器及び前記ワード線選択器により前記ビット線及び前記ワード線を選択することで選択された前記メモリセルに対し、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態を変化させる書き込み電流又は書き込み電圧を供給する書き込み回路と、前記選択されたメモリセルに対し、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態を読み出すためのロード電流を供給するセンスアンプ回路と、前記センスアンプ回路及び前記書き込み回路を制御する制御回路とを備え、前記クロスポイントメモリセルアレイにおいて、(A)前記選択されたビット線につながる前記メモリセルのうち前記選択されたメモリセル以外のメモリセルで抵抗変化素子が前記第2の抵抗状態にあるものを第1メモリセルとし、(B)前記選択されたワード線につながる前記メモリセルのうち前記選択されたメモリセル以外のメモリセルで抵抗変化素子が前記第2の抵抗状態にあるものを第2メモリセルとし、前記制御回路は、前記書き込み電流又は前記書き込み電圧と前記ロード電流との少なくともいずれかの大きさを、前記第1メモリセルに接続されたワード線と、前記第2メモリセルに接続されたビット線との交点にある前記メモリセルのうち前記第2の抵抗状態にあるものの個数に比例して変更することを特徴とする。
本態様によれば、前記第1メモリセルに接続されたワード線と、前記第2メモリセルに接続されたビット線との交点にある前記メモリセルのうち前記第2の抵抗状態にあるものの個数、つまり回り込み電流経路数に対応してフォーミング判定のロード電流(読み出し電流)を変更する。従って、ロード電流を、適切な回り込み電流量を補填して選択メモリセルに供給することができる。その結果、初期状態の選択メモリセルに対して実施するフォーミング工程において、回り込み電流の影響を排除して選択メモリセルのフォーミングの判定を行うことが可能となるため、安定なフォーミングを実現することができる。
また、本発明に係るクロスポイント型不揮発性記憶装置の駆動方法の一形態は、クロスポイント型不揮発性記憶装置の駆動方法であり、前記クロスポイント型不揮発性記憶装置は、第1の平面内において互いに平行に形成された複数のワード線と、前記第1の平面に平行な第2の平面内において互いに平行にかつ前記複数のワード線と立体交差するように形成された複数のビット線と、前記複数のワード線と前記複数のビット線との立体交差点に設けられ、第1の抵抗状態と前記第1の抵抗状態より抵抗値の低い第2の抵抗状態との2つの抵抗状態をとる抵抗変化素子を含んで構成されたメモリセルが行列状に配列されたクロスポイントメモリセルアレイと、前記ワード線の1本を選択するワード線選択器と、前記ビット線の1本を選択するビット線選択器と、前記ビット線選択器及び前記ワード線選択器により前記ビット線及び前記ワード線を選択することで選択された前記メモリセルに対し、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態を変化させる書き込み電流又は書き込み電圧を供給する書き込み回路と、前記選択されたメモリセルに対し、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子の抵抗状態を読み出すためのロード電流を供給するセンスアンプ回路とを備え、前記クロスポイントメモリセルアレイにおいて、(A)前記選択されたビット線につながる前記メモリセルのうち前記選択されたメモリセル以外のメモリセルで抵抗変化素子が前記第2の抵抗状態にあるものを第1メモリセルとし、(B)前記選択されたワード線につながる前記メモリセルのうち前記選択されたメモリセル以外のメモリセルで抵抗変化素子が前記第2の抵抗状態にあるものを第2メモリセルとし、前記クロスポイント型不揮発性記憶装置の駆動方法は、前記書き込み電流又は前記書き込み電圧と前記ロード電流との少なくともいずれかの大きさを、前記第1メモリセルに接続されたワード線と、前記第2メモリセルに接続されたビット線との交点にある前記メモリセルのうち前記第2の抵抗状態にあるものの個数に比例して変更する第1のステップを含むことを特徴とする。
また、前記抵抗変化素子は、形成後の初期状態において前記第1の抵抗状態にあり、フォーミングが行われると前記初期状態から低抵抗状態と前記低抵抗状態より抵抗値の高い高抵抗状態との間で可逆的に変化が可能な前記第2の抵抗状態になり、前記書き込み電流又は前記書き込み電圧は、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子に対し、前記フォーミングを行うフォーミングパルスであり、前記ロード電流は、前記フォーミングパルスの供給により、前記選択されたメモリセルの抵抗変化素子が前記第2の抵抗状態になったことを確認するための電流であってもよい。