JPWO2013073424A1 - 液状発酵乳及びその製造方法 - Google Patents
液状発酵乳及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JPWO2013073424A1 JPWO2013073424A1 JP2013544225A JP2013544225A JPWO2013073424A1 JP WO2013073424 A1 JPWO2013073424 A1 JP WO2013073424A1 JP 2013544225 A JP2013544225 A JP 2013544225A JP 2013544225 A JP2013544225 A JP 2013544225A JP WO2013073424 A1 JPWO2013073424 A1 JP WO2013073424A1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fermented milk
- fermentation
- lactic acid
- liquid
- milk
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Classifications
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A23—FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
- A23C—DAIRY PRODUCTS, e.g. MILK, BUTTER OR CHEESE; MILK OR CHEESE SUBSTITUTES; MAKING THEREOF
- A23C9/00—Milk preparations; Milk powder or milk powder preparations
- A23C9/12—Fermented milk preparations; Treatment using microorganisms or enzymes
- A23C9/127—Fermented milk preparations; Treatment using microorganisms or enzymes using microorganisms of the genus lactobacteriaceae and other microorganisms or enzymes, e.g. kefir, koumiss
Landscapes
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Microbiology (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Food Science & Technology (AREA)
- Polymers & Plastics (AREA)
- Dairy Products (AREA)
Abstract
(A)発酵乳の原料に乳酸菌を添加した後、静置発酵させて、乳酸発酵生成物を得る静置発酵工程、(B)工程(A)で得られた乳酸発酵生成物に酵母を添加した後、撹拌発酵させて、液状発酵乳を得る撹拌発酵工程、及び、(C)工程(B)で得られた液状発酵乳に対して均質化処理を行なう均質化工程、を含む液状発酵乳の製造方法。
Description
例えば、特許文献1に、乳糖分解酵素により獣乳中に含まれる乳糖を部分的に分解する工程、ガラクトースを培地中に蓄積しない乳酸菌による乳酸発酵を行う工程および当該乳酸発酵により得られた発酵乳を乳糖発酵性酵母によりアルコール発酵する工程を含み、上記アルコール発酵を培地中の乳糖が実質的に消失するまで行うことを特徴とするケフィア様乳製品の製造法が記載されている。
また、特許文献2に、実施例5−1〜5−3として、脱イオン水に脱脂粉乳を添加し、殺菌後、乳酸菌株を接種し、37℃、24時間の発酵を行い、発酵乳を得たこと、及び、この発酵乳にHF液糖及び果糖を添加後、酵母スターターを接種し、様々な発酵温度及び発酵時間で発酵を行ない、発酵物を得たことが記載されている。また、特許文献2には、前記の実施例で得られた発酵物について官能評価を行ったところ、甘さを抑えた乳酒様の風味、及びヨーグルト臭と果実臭のマッチした独特の香りが得られたことが記載されている。
例えば、特許文献3の実施例1に、ホエーパウダー溶液に、乳酸菌スターターの脱脂粉乳培養液を加えて、静置発酵した後、得られた乳酸菌発酵液に、グルコース溶液および酵母エキス溶液を添加し、次いで、これに酵母スターターの培養液を加え、無菌エアーを吹き込みながら、200rpm、30℃、20時間の通気攪拌培養を行い、乳酸菌・酵母発酵乳清液を得たことが記載されている。
本発明者は、液状発酵乳の開発に際し、芳醇な香り等を与えるために、乳酸菌と酵母を併用することを検討した。
しかし、発酵乳の原料に、乳酸菌及び酵母を同時に添加し、その後、静置発酵させると、酵母の産生する二酸化炭素によって固形物が浮上してしまい、その後の均質化処理、殺菌処理などの処理が不可能になることが判明した。
また、発酵乳の原料に乳酸菌を添加し、静置発酵させて、カードを形成させた後、このカードを細かく砕いて得られた液状物と、酵母を混合し、その後、静置発酵させた場合には、酵母の産生する二酸化炭素によって固形物が浮上してしまい、その後の均質化処理、殺菌処理などの処理が不可能になることが判明した。
そこで、本発明は、乳酸菌及び酵母を用いて、酵母による発酵に由来する芳醇な香り等を有するとともに、外観及び飲み口が良好な液状発酵乳及びその製造方法を提供することを目的とする。
[1] (A)発酵乳の原料に乳酸菌を添加した後、静置発酵させて、乳酸発酵生成物を得る静置発酵工程と、(B)上記乳酸発酵生成物に酵母を添加した後、撹拌発酵させて、液状発酵乳を得る撹拌発酵工程、を含む液状発酵乳の製造方法。
[2] 工程(A)における静置発酵を、3〜45時間で行ない、かつ、工程(B)における撹拌発酵を、20〜65時間で行なう、上記[1]に記載の液状発酵乳の製造方法。
[3] 工程(A)における静置発酵を、20〜44℃の温度下で行ない、かつ、工程(B)における撹拌発酵を、20〜44℃の温度下で行なう、上記[1]又は[2]に記載の液状発酵乳の製造方法。
[4] 工程(A)における上記静置発酵の開始時から、工程(B)における上記撹拌発酵の終了時までの間、酵母スターター以外のものを添加しない、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の液状発酵乳の製造方法。
[5] 上記発酵乳の原料が、脱脂粉乳、脱脂乳、生乳、及び乳タンパク質濃縮物からなる群より選ばれる一種以上を含む、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の液状発酵乳の製造方法。
[6] 工程(B)の後に、(C)上記発酵乳に対して均質化処理を行なう均質化工程、を含む、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の液状発酵乳の製造方法。
[7] 上記[6]に記載の液状発酵乳の製造方法によって得られた液状発酵乳。
[8] 上記液状発酵乳の固形分を構成する粒子のメディアン径が、30μm以下である上記[7]に記載の液状発酵乳。
[9] 上記[7]又は[8]に記載の液状発酵乳を含む飲料であって、該飲料の固形分を構成する粒子のメディアン径が、2.5μm以下である飲料。
また、本発明の液状発酵乳の製造方法によれば、乳酸菌に加えて酵母を用いているので、乳酸菌による発酵生成物である乳酸に由来する酸味とともに、酵母による発酵生成物に由来する芳醇な香り、後引きのある風味、及び若干のアルコール香を有する液状発酵乳を得ることができる。なお、本発明の液状発酵乳は、アルコール含量が0.5重量%を下回るため、ノンアルコール飲料として飲用に供することができる。
本発明の液状発酵乳は、そのまま単独で、または、砂糖、水等の他の材料と混合した後に、飲用に供することができる。
例えば、本発明で得られる液状発酵乳に対して均質化処理を行った後に、この処理済みの液状発酵乳と他の材料(例えば、水、砂糖等)を混合し、得られた混合物に対して、さらに均質化処理を行うことによって、均質な液状物としての外観と、良好な飲み口と、嗜好性を兼ね備えた飲料を得ることができる。この飲料は、当該飲料を収容する容器の底部等に沈殿物(固形分)を生じさせることがなく、商品価値が高い。
また、本発明の液状発酵乳の製造方法は、(C)工程(B)で得られた液状発酵乳に対して均質化処理を行ない、均質化処理済みの液状発酵乳を得る均質化工程、を含むことができる。
以下、各工程について詳しく説明する。
工程(A)は、発酵乳の原料に乳酸菌を添加した後、静置発酵させて、乳酸発酵生成物を得る工程である。
発酵乳の原料としては、工程(B)の撹拌発酵の終了時点で、無脂乳固形分の含有率が5重量%以上、好ましくは8重量%以上の液状物が得られるものであればよい。
発酵乳の主原料としては、獣乳(牛乳、羊乳、ヤギ乳、水牛乳等)や豆乳等の乳及びその加工品であれば、特に制限されずに任意のものを使用可能であり、例えば、脱脂粉乳、脱脂乳、生乳、乳タンパク質濃縮物等の他、ホエイを原料として製造されるホエイパウダーや、ホエイタンパク濃縮物等も使用可能である。発酵乳の主原料は、前記の一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
発酵乳の副原料としては、公知の食品及び食品添加物であって、発酵時間を大幅に遅延させるものでなければ、特に制限されずに任意のものを使用可能であり、例えば、後述の実施例で用いられているぶどう糖、酵母エキス等が挙げられる。
なお、本明細書中、発酵乳の主原料とは、乳由来の原料をいう。発酵乳の副原料とは、乳由来の原料以外の原料(ただし、乳酸菌及び酵母を除く。)をいう。
発酵乳の原料の全量中の主原料の割合は、特に限定されない。
発酵乳の原料には、必要に応じて、水を加えることができる。例えば、発酵乳の主原料として、脱脂粉乳のみを用いる場合、脱脂粉乳10重量部に対して、50〜150重量部の水を加えることが好ましい。
水を加える場合、発酵乳の原料と水との混合物に対して、乳酸菌を添加してもよいし、発酵乳の原料と乳酸菌との混合物に対して、水を加えてもよいし、発酵乳の原料と水と乳酸菌を同時に混合してもよい。
このような液状物は、例えば、脱脂粉乳等の栄養源、水、及び乳酸菌を含む混合液を、所定の温度(例えば、35〜40℃)下で、所定の時間(例えば、10〜20時間)、培養して、マザースターターを得た後、このマザースターターと、水と、脱脂粉乳等の栄養源を混合し、得られた混合液を、所定の温度(例えば、35〜40℃)下で、所定の時間(例えば、10〜20時間)、さらに培養することによって、得ることができる。
乳酸菌中の乳酸菌の数は、特に限定されないが、例えば、1×107〜1×109cfu/mlである。
乳酸菌としては、発酵乳の製造に用いられる一般的な乳酸菌の中から選択される一種又は二種以上の乳酸菌を用いることができる。乳酸菌の例としては、例えば、ラクトバチルス属の乳酸菌、ストレプトコッカス属の乳酸菌等が挙げられる。
ラクトバチルス属の乳酸菌としては、例えば、ラクトバチルス・ヘルベチカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・デルブリュッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス(Lactobacillus delbruekii subsp. bulgaricus)、ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)等が挙げられる。
本発明において、ラクトバチルス・ヘルベチカスは、他の乳酸菌よりも酸度の上昇が進むため、長時間の発酵が必要な発酵乳においても、汚染微生物の増殖を防止することができるという観点から好ましい。なお、ラクトバチルス・ヘルベチカスは、市販品を容易に入手することができる。
ストレプトコッカス属の乳酸菌としては、例えば、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)等が挙げられる。
静置発酵の時間は、好ましくは3〜45時間、より好ましくは5〜45時間、さらに好ましくは8〜45時間、さらに好ましくは10〜40時間、さらに好ましくは15〜35時間、特に好ましくは20〜30時間である。
静置発酵の温度は、好ましくは25〜50℃、より好ましくは30〜45℃、さらに好ましくは32〜43℃、特に好ましくは35〜40℃である。
静置発酵によって、発酵生成物であるカードが得られる。このカードは、工程(B)で細かく砕かれて、液状物となる。
工程(B)は、工程(A)で得られた乳酸発酵生成物に酵母を添加した後、撹拌発酵させて、液状発酵乳を得る工程である。
酵母としては、生菌である酵母を含むものであればよく、特に限定されないが、一例として、乾燥酵母(ドライイースト)が挙げられる。
乾燥酵母は、乾燥によって休眠状態にある酵母である。乾燥酵母は、例えば、水と混合してなる液状物の状態で用いることができる。
酵母としては、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastrianus)、サッカロマイセス・パラドキサス(Saccharomyces paradoxus)、サッカロマイセス・バヤヌス(Saccharomyces bayanus)等が挙げられる。
本発明において、サッカロマイセス・セレビシエは、市販品で容易に入手できるため、汎用性の観点から好ましい。サッカロマイセス・セレビシエの市販品としては、サフ インスタントドライイースト 赤(Lesaffre社製)、オリエンタルドライイースト(オリエンタル酵母工業社製)等が挙げられる。
酵母は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
工程(A)で得られた乳酸発酵生成物は、静置発酵によって得られたものであるため、液状ではなく、固形状のカードの形態を有する。工程(B)において、このカードを細かく砕いた後に、酵母を添加してもよいし、あるいは、このカードに酵母を添加した後、撹拌によって、カードを細かく砕いてもよい。
撹拌は、連続的な撹拌と断続的な撹拌のいずれでもよいが、酵母が産生する炭酸ガスの除去、及び固形物の浮上の抑制の観点から、連続的な撹拌が好ましい。
撹拌発酵の時間は、好ましくは20〜50時間、より好ましくは25〜45時間、さらに好ましくは30〜40時間、特に好ましくは35〜40時間である。
撹拌発酵の温度は、好ましくは20〜44℃、より好ましくは25〜42℃、さらに好ましくは30〜40℃、特に好ましくは35〜38℃である。
工程(A)における静置発酵の時間と、工程(B)における撹拌発酵の時間の合計は、液状発酵乳の風味、実用性等の観点から、好ましくは40〜85時間、より好ましくは45〜80時間、さらに好ましくは50〜75時間、さらに好ましくは55〜70時間、特に好ましくは60〜70時間である。
なお、撹拌発酵の終了後に、乳酸等を添加して、液状発酵乳の乳酸酸度を調整することができる。液状発酵乳の乳酸酸度は、適度な酸味を与える観点から、好ましくは2.1〜2.7%である。
工程(C)は、工程(B)で得られた液状発酵乳に対して均質化処理を行なう工程である。ここでいう、均質化とは、均質機(ホモゲナイザー)を用いた均質化処理に限られることなく、攪拌やホモミキサー、エクストルーダーなどによる公知の剪断処理も含まれる。
均質化処理は、例えば均質機(ホモゲナイザー)を用いる場合、1段目の均質化処理として、7〜13MPaの圧力で加圧した後、2段目の均質化処理として、4〜6MPaの圧力で加圧することによって行なわれる。
工程(C)としては、1段目と2段目を組み合わせた均質化処理を1回のみ行なってもよいし、1段目と2段目を組み合わせた均質化処理を2回以上行なってもよい。例えば、1段目と2段目を組み合わせた均質化処理を行なった後、加熱殺菌及び冷却を行ない、次いで、1段目と2段目を組み合わせた均質化処理をさらに行なってもよい。
工程(C)で得られる処理済みの液状発酵乳に含まれている固形分を構成する粒子のメディアン径は、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下、さらに好ましくは20μm以下、特に好ましくは15μm以下である。
液状発酵乳と他の成分の混合物に対して、均質化処理を行うこともできる。この場合の均質化処理は、1段のみでも、複数段(例えば、1段目と2段目の併用)でもよい。均質化処理の圧力は、合計で、好ましくは10〜20MPaである。また、この場合、均質化処理後の飲料(液状発酵乳と他の成分の混合物)に含まれている固形分を構成する粒子のメディアン径は、好ましくは2.5μm以下、より好ましくは2.0μm以下、さらに好ましくは1.5μm以下、特に好ましくは1.0μm以下である。
[実施例1]
(1)乳酸菌スターターの調製
脱脂粉乳(明治社製)、粉末酵母エキス(商品名:イーストエキスT−154、オリエンタル酵母工業社製)、乳酸菌(Lactobacillus helveticus、ダニスコ社製の「FLAV 54 LYO 5D」)、及び、水を用いて、乳酸菌スターターを調製した。この乳酸菌スターターは、脱脂粉乳を10重量%、水を90重量%、イーストエキスを0.002重量%、乳酸菌を3×108cfu/ml含むものであった。また、この乳酸菌スターターの乳酸酸度は、1.6%であった。
(2)酵母スターターの調製
40℃の滅菌水に乾燥酵母(商品名:サフ インスタントドライイースト 赤、Lesaffre社製)を添加して、20分間で静置したものを、酵母スターターとして、後述の液状発酵乳の調製で用いた。
40℃程度に加温した水86.69重量部と、脱脂粉乳(明治社製)10.76重量部と、ぶどう糖(商品名:グルファイナル、サンエイ糖化社製)0.5重量部と、粉末酵母エキス(商品名:イーストエキスT−154、オリエンタル酵母工業社製)0.04重量部を混合した後、得られた混合液を75℃、30分間で殺菌し、次いで、37℃に冷却した。冷却後の混合液に、前記の乳酸菌スターター2重量部を添加し、37℃、16時間で、静置発酵し、カードを形成させた。
静置発酵後、撹拌装置を起動させ、カードを破砕すると同時に、前記の酵母スターターを、乾燥酵母の重量に換算して0.01重量部の配合量(以上の合計100重量部)となるように添加し、37℃、42時間で撹拌発酵した。撹拌は、60rpmで連続的に行なった。
撹拌発酵の終了後、得られた液状発酵乳の乳酸酸度を確認したところ、2.4%であったため、乳酸を添加して、酸度を2.5%に調整した。
次に、この液状発酵乳に対して、1段目として10MPa、2段目として5MPaの均質化処理を行なった。処理後の液状発酵乳を75℃、30分間で殺菌した後、10℃以下に冷却した。
この、得られた液状発酵乳では、全固形分の含有率が11.6重量%、無脂乳固形分の含有率が10.4重量%、乳酸酸度が2.5%、pHが3.3であった。また、液状発酵乳では、浮上した固形物や、粗大粒子を含まず、均質で、乳白色の液状物であり、乳酸発酵に由来する酸味と、酵母発酵に由来する風味(まろやかさ、果実のような香り、後に感じる芳醇な香り)と、若干のアルコール香を有するものであった。液状発酵乳に、異味、異臭、異物は、認められなかった。
前記の(3)で得られた液状発酵乳を、均質機(ホモミキサー)にて合計15MPaの圧力で均質化処理を行った後、85℃、2分間で加熱し、次いで、10℃以下に冷却した。均質化処理後の液状発酵乳の固形分を構成する粒子のメディアン径は、14.05μmであった。
一方、40℃に加温した水82.02重量部に、大豆多糖類(商品名:SM900、三栄源エフ・エフ・アイ社製)0.2重量部を添加して、水溶液を得た後、この水溶液を10℃以下に冷却した。この水溶液に、砂糖10.112重量部、乳酸(商品名:50%乳酸、第一ファインケミカル社製)0.063重量部、食塩0.004重量部、及び、前記のホモミキサーで処理済みの液状発酵乳7.6重量部(以上の合計100重量部)を加えて、混合液を得た。この混合液を60℃に加温した後、均質機にて合計15MPaの圧力で均質化し、次いで、10℃以下に冷却した。冷却後の混合液を、オートクレーブを用いて110℃、1分間で加熱し、飲料を得た。
この飲料について、固形分を構成する粒子のメディアン径を測定したところ、1.0μmであった。また、この模擬飲料は、固形分の浮上や粗大粒子による外観の異常が見られず、乳白色で均質な液状物であった。
静置発酵の時間を24時間に定め、かつ撹拌発酵の時間を40時間に定めた以外は実施例1と同様にして実験した。
その結果、均質化処理前の液状発酵乳では、実施例1と同様に、浮上した固形物や、粗大粒子を含まず、均質で、乳白色の液状物であり、乳酸発酵に由来する酸味等を有するものであった。液状発酵乳に、異味、異臭、異物は、認められなかった。
均質化処理後の液状発酵乳の固形分を構成する粒子のメディアン径は、10μmであった。
また、得られた飲料の粒子のメディアン径は、0.8μmであった。また、この飲料は、当該模擬飲料を収容する容器の底における沈殿が見られず、乳白色で均質な液状物であった。
[実施例3]
静置発酵の時間を5時間に定め、かつ撹拌発酵の時間を59時間に定めた以外は実施例1と同様にして実験した。
その結果、均質化処理前の液状発酵乳では、粒子の粒度は若干大きく、長時間静置すると粗大粒子の沈降がみられたものの、浮上した固形物を含まず、乳白色の液状物であり、乳酸発酵に由来する酸味等を有するものであった。液状発酵乳に、異味、異臭、異物は、認められなかった。
また、得られた模擬飲料の粒子のメディアン径は、2.1μmであった。この飲料を収容する容器の底部等に、沈殿物が若干で認められた。
乳酸菌スターターと酵母スターターを同時に添加し、かつ、静置発酵の時間を64時間に定め、撹拌発酵を行なわなかった以外は実施例1と同様にして実験した。
その結果、液状発酵乳では、発酵終了時に、固形分が液面に浮上して乾燥し、硬化しており、外観が劣っていた。このため、手作業にて固形分を粉砕した後、均質化処理を行った。
また、得られた飲料の粒子のメディアン径は、3.1μmであった。この飲料を収容する容器の底部等に、実施例3よりも多量の沈殿物が認められた。
[比較例2]
乳酸菌スターターと酵母スターターを同時に添加し、かつ、撹拌発酵の時間を64時間に定め、静置発酵を行なわなかった以外は実施例1と同様にして実験した。
その結果、液状発酵乳の発酵終了時に、固形分の液面への浮上は見られなかったものの、粗大粒子の沈降による外観の異常が認められた。以後の液状発酵乳の処理は、沈降した粗大粒子も含めて行った。
また、得られた飲料の粒子のメディアン径は、4.6μmであった。この飲料を収容する容器の底に、比較例1よりも多量の沈殿物が認められた。
[比較例3]
乳酸菌スターターと酵母スターターを同時に添加し、かつ、静置発酵の時間を24時間に定め、撹拌発酵の時間を40時間に定めた以外は実施例1と同様にして実験した。
その結果、液状発酵乳は、発酵終了時に、固形分が液面に浮上して乾燥し、硬化しており、外観が劣っていた。このため、手作業にて固形分を粉砕した後、均質化処理を行った。
また、得られた模擬飲料の粒子のメディアン径は、2.0μmであった。この飲料を収容する容器の底部等に、沈殿物が若干認められた。
以上の結果を表1に示す。なお、表1中、総合評価に関し、「◎」は「非常に良好」、「○」は「良好」、「×」は「不良」を表す。
一方、静置発酵のみを行なった場合(比較例1)には、固形分が浮上するなどの問題があった。撹拌発酵のみを行なった場合(比較例2)には、固形分の浮上は認められなかったものの、粗大粒子の沈降による外観の異常が認められた。静置発酵と撹拌発酵を組み合わせたものの、乳酸菌スターターと酵母スターターを同時に添加した場合(比較例3)には、固形分が浮上するなどの問題があった。
Claims (9)
- (A)発酵乳の原料に乳酸菌を添加した後、静置発酵させて、乳酸発酵生成物を得る静置発酵工程と、
(B)上記乳酸発酵生成物に酵母を添加した後、撹拌発酵させて、液状発酵乳を得る撹拌発酵工程、
を含む液状発酵乳の製造方法。 - 工程(A)における静置発酵を、3〜45時間で行ない、かつ、工程(B)における撹拌発酵を、20〜65時間で行なう請求項1に記載の液状発酵乳の製造方法。
- 工程(A)における静置発酵を、20〜44℃の温度下で行ない、かつ、工程(B)における撹拌発酵を、20〜44℃の温度下で行なう請求項1又は2に記載の液状発酵乳の製造方法。
- 工程(A)における上記静置発酵の開始時から、工程(B)における上記撹拌発酵の終了時までの間、酵母以外のものを添加しない請求項1〜3のいずれか1項に記載の液状発酵乳の製造方法。
- 上記発酵乳の原料が、脱脂粉乳、脱脂乳、生乳、及び乳タンパク質濃縮物からなる群より選ばれる一種以上を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の液状発酵乳の製造方法。
- 工程(B)の後に、(C)上記発酵乳に対して均質化処理を行なう均質化工程、を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の液状発酵乳の製造方法。
- 請求項6に記載の液状発酵乳の製造方法によって得られた液状発酵乳。
- 上記液状発酵乳の固形分を構成する粒子のメディアン径が、30μm以下である請求項7に記載の液状発酵乳。
- 請求項7又は8に記載の液状発酵乳を含む飲料であって、該飲料の固形分を構成する粒子のメディアン径が、2.5μm以下である飲料。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011248174 | 2011-11-14 | ||
JP2011248174 | 2011-11-14 | ||
PCT/JP2012/078793 WO2013073424A1 (ja) | 2011-11-14 | 2012-11-07 | 液状発酵乳及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2013073424A1 true JPWO2013073424A1 (ja) | 2015-04-02 |
JP6181557B2 JP6181557B2 (ja) | 2017-08-16 |
Family
ID=48429487
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013544225A Active JP6181557B2 (ja) | 2011-11-14 | 2012-11-07 | 液状発酵乳の製造方法 |
Country Status (4)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6181557B2 (ja) |
CN (1) | CN103813715A (ja) |
SG (1) | SG11201402248QA (ja) |
WO (1) | WO2013073424A1 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015133122A1 (ja) * | 2014-03-04 | 2015-09-11 | カルピス株式会社 | 鎮静用の自律神経調整剤及び日周リズム改善剤 |
JP6964418B2 (ja) * | 2017-03-09 | 2021-11-10 | 雪印メグミルク株式会社 | 発酵乳 |
JP7131913B2 (ja) * | 2018-01-05 | 2022-09-06 | 株式会社明治 | 発酵乳及び乳酸菌スターターの製造方法 |
Citations (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61115443A (ja) * | 1984-11-13 | 1986-06-03 | Kyodo Nyugyo Kk | 発泡性液状濃厚発酵乳及びその製造法 |
JPS61135540A (ja) * | 1984-12-05 | 1986-06-23 | Glyco Kyodo Nyugyo Kk | フル−ツケフイアの製造法 |
JPH01317355A (ja) * | 1988-06-16 | 1989-12-22 | Yakult Honsha Co Ltd | ケフィア様乳製品の製造法 |
JPH02219538A (ja) * | 1989-02-20 | 1990-09-03 | Kyodo Nyugyo Kk | 乳酸菌飲料とその製造方法 |
JPH07103A (ja) * | 1993-06-14 | 1995-01-06 | Morinaga Milk Ind Co Ltd | 適量の炭酸及び低濃度のエタノールを含有する発酵乳 の製造法 |
JPH0775521A (ja) * | 1993-09-06 | 1995-03-20 | Asahi Chem Ind Co Ltd | 果実風味増強剤および風味が増強された果実飲料 |
JPH1023859A (ja) * | 1996-07-10 | 1998-01-27 | Nagamasa Yoshida | 牛乳から酒を製造する方法 |
JPH1042850A (ja) * | 1996-08-01 | 1998-02-17 | Akita Pref Gov | 発泡性乳酒飲料の製造方法 |
JP3194902B2 (ja) * | 1997-12-26 | 2001-08-06 | カルピス株式会社 | カルシウム強化乳性酸性濃縮飲料及びその製造方法 |
JP2008228648A (ja) * | 2007-03-20 | 2008-10-02 | Calpis Co Ltd | 乳酒の製造方法 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN1180700C (zh) * | 2003-08-08 | 2004-12-22 | 邢岩 | 一种多功能发酵奶及其制造方法 |
-
2012
- 2012-11-07 SG SG11201402248QA patent/SG11201402248QA/en unknown
- 2012-11-07 CN CN201280045513.3A patent/CN103813715A/zh active Pending
- 2012-11-07 JP JP2013544225A patent/JP6181557B2/ja active Active
- 2012-11-07 WO PCT/JP2012/078793 patent/WO2013073424A1/ja active Application Filing
Patent Citations (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61115443A (ja) * | 1984-11-13 | 1986-06-03 | Kyodo Nyugyo Kk | 発泡性液状濃厚発酵乳及びその製造法 |
JPS61135540A (ja) * | 1984-12-05 | 1986-06-23 | Glyco Kyodo Nyugyo Kk | フル−ツケフイアの製造法 |
JPH01317355A (ja) * | 1988-06-16 | 1989-12-22 | Yakult Honsha Co Ltd | ケフィア様乳製品の製造法 |
JPH02219538A (ja) * | 1989-02-20 | 1990-09-03 | Kyodo Nyugyo Kk | 乳酸菌飲料とその製造方法 |
JPH07103A (ja) * | 1993-06-14 | 1995-01-06 | Morinaga Milk Ind Co Ltd | 適量の炭酸及び低濃度のエタノールを含有する発酵乳 の製造法 |
JPH0775521A (ja) * | 1993-09-06 | 1995-03-20 | Asahi Chem Ind Co Ltd | 果実風味増強剤および風味が増強された果実飲料 |
JPH1023859A (ja) * | 1996-07-10 | 1998-01-27 | Nagamasa Yoshida | 牛乳から酒を製造する方法 |
JPH1042850A (ja) * | 1996-08-01 | 1998-02-17 | Akita Pref Gov | 発泡性乳酒飲料の製造方法 |
JP3194902B2 (ja) * | 1997-12-26 | 2001-08-06 | カルピス株式会社 | カルシウム強化乳性酸性濃縮飲料及びその製造方法 |
JP2008228648A (ja) * | 2007-03-20 | 2008-10-02 | Calpis Co Ltd | 乳酒の製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6181557B2 (ja) | 2017-08-16 |
CN103813715A (zh) | 2014-05-21 |
WO2013073424A1 (ja) | 2013-05-23 |
SG11201402248QA (en) | 2014-10-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6757810B2 (ja) | 風味が改善された発酵乳およびその製造方法 | |
KR101501300B1 (ko) | 발효 유장 제조물 및 이의 제조 방법 | |
JP6961339B2 (ja) | 微生物菌体含有飲料 | |
JP2016189709A (ja) | 発酵乳の製造方法 | |
JP2020530288A (ja) | 発酵前および発酵後の膜システムを使用する高タンパク質ギリシャヨーグルトの製造方法 | |
JP6181557B2 (ja) | 液状発酵乳の製造方法 | |
JP4464324B2 (ja) | 発酵乳飲料の製造法 | |
US20200045985A1 (en) | Choline ester-containing composition for oral ingestion | |
JP7232177B2 (ja) | 乳酸菌スターター及び発酵乳の製造方法 | |
JP2016178922A (ja) | 後発酵型ドリンクヨーグルトおよびその製造方法 | |
WO2014173978A1 (en) | Fermented dairy products suitable for fruit taste enhancement | |
JPWO2018056425A1 (ja) | 風味豊かな発酵乳及びその製造方法 | |
JP2018050493A (ja) | 低温殺菌した原料ミックスを用いた発酵乳の製造方法 | |
JP2013233097A (ja) | 風味良好なドリンクタイプヨーグルト | |
JP2018074911A (ja) | 濃厚な発酵乳およびその製造方法 | |
JP7219029B2 (ja) | 大豆加工食品の製造方法 | |
EP3042566A1 (en) | Vegetable yoghurt-like products and methods for producing these | |
JP6655405B2 (ja) | 発酵乳の製造方法 | |
JP2018170981A (ja) | 低温発酵による発酵乳の製造方法および該方法により製造された発酵乳 | |
JP2005137245A (ja) | 糸引き粘性を有する殺菌発酵乳の製造方法 | |
CN114568491A (zh) | 一种改善高蛋白酸奶质构的方法和高蛋白酸奶 | |
Casarotti et al. | Fermented Dairy Beverages in Latin America | |
WO2022238329A1 (en) | Compositions and methods for producing fermented milk products | |
JP2021035336A (ja) | 乳飲食品及びその製造方法 | |
CN116098206A (zh) | 一种凝酪质地的常温酸奶及其制备方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20140225 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140225 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20151028 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20160705 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160825 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20161213 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170201 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20170627 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20170720 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6181557 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |