JPWO2013046643A1 - 不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法及び不揮発性記憶装置 - Google Patents

不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法及び不揮発性記憶装置 Download PDF

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Abstract

抵抗値の揺らぎ現象の影響を抑制することができる不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法を提供する。不揮発性記憶素子(100)の抵抗状態を第1の状態から第2の状態へ変化させるための第1の電圧パルスを印加する第1の印加ステップ(S120)と、第1の電圧パルスと同じ極性で、かつ第1の電圧パルスよりも電圧値の絶対値が小さい第2の電圧パルスを印加する第2の印加ステップ(S121)と、不揮発性記憶素子(100)の抵抗状態が第2の状態であるか否かを判定する判定ステップ(S122)と、不揮発性記憶素子(100)の抵抗状態が第2の状態でないと判定された場合、不揮発性記憶素子(100)の抵抗状態を第1の状態から第2の状態へ変化させる第3の電圧パルスを印加する第3の印加ステップ(S123)とを含む。

Description

本発明は、与えられる電気的信号に応じて抵抗値が変化する抵抗変化型の不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法、及びその方法を実施する不揮発性記憶装置に関する。
近年、デジタル技術の進展に伴って、携帯情報機器や情報家電等の電子機器がより一層高機能化している。そのため、これらの機器に搭載される不揮発性記憶装置の大容量化、書き込み電力の低減、書き込み/読み出し時間の短縮化、及び長寿命化等の要求が高まっている。こうした要求に対して、既存のフローティングゲートを用いたフラッシュメモリでは微細化に限界があるため大容量化が困難である等の問題がある。そこで、電気的信号によって抵抗値が可逆的に変化する性質を有する抵抗変化型の不揮発性記憶素子を備えた不揮発性記憶装置の研究開発が進んでいる。
上述したような不揮発性記憶素子は、抵抗変化層を下部電極と上部電極とでサンドイッチしたような非常に単純な構造で構成される。そして、この上下の電極間に、ある閾値以上の大きさの電圧を有する所定の電気的パルスを与えるだけで、抵抗変化層が高抵抗状態又は低抵抗状態に変化する。これらの異なる抵抗状態とデータとを対応させることにより情報の記録が行われる。このように、抵抗変化型の不揮発性記憶素子の場合、その構造及び動作が単純であるため、さらなる微細化及び低コスト化等が可能であると期待されている。また、高抵抗状態と低抵抗状態との状態変化が100ns以下のオーダーで起き得るため、高速動作という観点からも注目を集めている。
このような不揮発性記憶素子は、抵抗変化層に用いられる材料(抵抗変化材料)によって大きく2種類に分類される。その一つは、特許文献1等に開示されているペロブスカイト材料(例えば、Pr(1−x)CaMnO(PCMO)、LaSrMnO(LSMO)、GdBaCo(GBCO)等)を抵抗変化材料に用いた不揮発性記憶素子である。また、他の一つは、2元系の遷移金属酸化物を抵抗変化材料に用いた不揮発性記憶素子である。2元系の遷移金属酸化物は、上述したペロブスカイト材料と比較して組成及び構造が非常に単純であるため、製造工程における組成制御及び成膜が容易である。その上、半導体製造プロセスとの整合性も比較的良好であるという利点もあり、近年多くの研究がなされている。
抵抗変化の物理的なメカニズムについては未だに不明なところが多いものの、近年の研究の結果、2元系の遷移金属酸化物中に導電性のフィラメントが形成され、酸化還元によりそのフィラメント中の欠陥密度が変化することで抵抗変化が生じるものと考えられている(例えば、特許文献2及び非特許文献1を参照。)。
米国特許第6473332号明細書 特開2008−306157号公報
R.Waser et al.,Advanced Materials,NO21,2009,pp.2632−2663
不揮発性記憶素子は、その名の通り、情報を電気的に記憶した後、電源を切っても情報が揮発(消失、劣化、変化)せずに保持される性質を有している。しかしながら、一般に、どのような不揮発性記憶素子であっても、記憶した情報がある有限の時間内に変化してしまうことは避けられない。
抵抗変化型の不揮発性記憶素子も例外ではなく、一旦記憶した情報が時間の経過とともに徐々に変化してしまう性質がある。この場合、情報の変化は、設定した抵抗値の経時変化として観測される。一般的には、ある程度長い時間(例えば100時間以上)が経過すると、高抵抗状態が低抵抗状態へ、あるいは低抵抗状態が高抵抗状態へと徐々に変化することにより、記憶した情報が劣化する現象が知られている。
発明者等は、このような比較的長時間にわたって抵抗値がゆっくりと変化することによる情報の劣化(リテンション特性劣化)に加えて、短時間で抵抗値が増減するような新たなタイプの抵抗値の変化現象を見出した。この現象は、不揮発性記憶素子に電気的パルスを印加してから数分以内の短時間の間に設定抵抗値がランダムに変化する現象で、タンタル(Ta)の酸化物を抵抗変化材料として用いた不揮発性記憶素子において観測されている。なお、同様の現象は、ニッケル(Ni)酸化物を用いた抵抗変化型の不揮発性記憶素子においても報告されており(非特許文献2:Daniele lelmini他,Appl.Phys.Lett.,Vol.96,2010,pp.53503)、抵抗変化型の不揮発性記憶素子において一般的に生じる現象であると考えられる。
しかしながら、この短時間の間に変動する抵抗値の変動(つまり、揺らぎ)を抑制する効果的な方法はこれまで提案されていない。なお、本明細書においては、このような短時間での抵抗変動現象を、上述した長時間で抵抗変動現象と区別して、「抵抗値の揺らぎ」又は単に「揺らぎ」と表現する。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、上記の抵抗値の揺らぎに関して、本発明者等が新たに見出した知見(後述)に基づいてなされたものである。本発明の主たる目的は、上記の揺らぎの影響を抑制することができる不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法及びその方法を実施する不揮発性記憶装置を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極間に介在し、金属酸化物から構成される抵抗変化層とを備える不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法であって、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を第1の状態から第2の状態へ変化させるための第1の電圧パルスを印加する第1の印加ステップと、前記第1の印加ステップの後で、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記第1の電圧パルスと同じ極性で、かつ前記第1の電圧パルスよりも電圧値の絶対値が小さい第2の電圧パルスを印加する第2の印加ステップと、前記第2の印加ステップの後で、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態であるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップで前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態でないと判定された場合、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を前記第1の状態から前記第2の状態へ変化させるための第3の電圧パルスを印加する第3の印加ステップとを含む。
また、上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の不揮発性記憶装置は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極間に介在し、金属酸化物から構成される抵抗変化層とを備える不揮発性記憶素子と、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を第1の状態から第2の状態へ変化させるための第1の電圧パルスを印加し、その後、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記第1の電圧パルスと同じ極性で、かつ前記第1の電圧パルスよりも電圧値の絶対値が小さい第2の電圧パルスを印加する書き込み部と、前記第2の電圧パルスが印加された後で、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態であるか否かを判定する判定部と、前記判定部により前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態でないと判定された場合、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を前記第1の状態から前記第2の状態へ変化させるための第3の電圧パルスを印加する再書き込み部とを備える。
本発明に係る不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法及び不揮発性記憶装置によれば、揺らぎの影響を抑制することができ、データの保持特性を向上させることができる。
図1Aは、本発明の実施の形態1に係る不揮発性記憶素子の構成を示す断面図である。 図1Bは、不揮発性記憶素子の第2の金属酸化物層に形成される局所領域を示す断面図である。 図2は、抵抗変化層におけるフィラメントの形成を説明するための図である。 図3は、本発明の実施の形態1に係る不揮発性記憶素子へ電圧パルスを印加する場合の回路構成図である。 図4は、本発明の実施の形態1に係る不揮発性記憶素子の抵抗値の変動を示す図である。 図5は、本発明の実施の形態1に係る不揮発性記憶素子の高抵抗状態での抵抗値の変動の最大値及び最小値をプロットした図である。 図6は、本発明の実施の形態1に係る不揮発性記憶素子が高抵抗状態にある場合における電流値と電流値の正規分布との関係を示す図である。 図7Aは、本発明の実施の形態1に係る不揮発性記憶素子のデータ書き込み処理の手順を示すフローチャートである。 図7Bは、図7Aのフローチャートにおける手順をまとめたものに相当するフローチャートである。 図8は、書き込み処理及びベリファイリード処理における電圧パルスの印加状態を説明するための図である。 図9は、高抵抗状態の不揮発性記憶素子単体に正極性の電圧パルスが印加された場合における実効電圧と電流値との関係を示す図である。 図10は、高抵抗状態の不揮発性記憶素子単体に正極性の電圧パルスが印加された場合における実効電圧と抵抗値との関係を示す図である。 図11は、低抵抗状態の不揮発性記憶素子単体に負極性の電圧パルスが印加された場合における実効電圧と電流値との関係を示す図である。 図12は、本発明の実施の形態2に係る不揮発性記憶装置の構成の一例を示すブロック図である。 図13は、本発明の実施の形態3に係る不揮発性記憶装置の構成の一例を示すブロック図である。 図14は、従来の不揮発性記憶素子の抵抗値の変動を示す図である。
まず、本発明の実施の形態を説明する前に、抵抗変化型の不揮発性記憶素子における抵抗値の揺らぎについて実際に行なった実験について説明する。なお、以下の説明は本発明を理解する上で一助となるものであるが、以下の種々の実験条件等は本発明を限定するものではない。
以下、発明者等は、酸素が化学量論的組成から不足したTaの酸化物を抵抗変化材料として用いた不揮発性記憶素子を作製し、電気的パルスを印加して動作させ、設定した抵抗値が時間に対してどのように変化するかを詳細に調べた。なお、この不揮発性記憶素子は、下部電極を基準にして上部電極に正の電圧を印加した場合に高抵抗化し、同じく負の電圧を印加した場合に低抵抗化する、バイポーラスイッチング特性を有する抵抗変化型の不揮発性記憶素子である。
図14にその測定結果を示す。なお、ここでは、作製した不揮発性記憶素子に6.4kΩの負荷抵抗を直列に接続した状態で、+2.5Vで100nsの電気的パルスと、−2.0Vで100nsの電気的パルスとを交互に合計100回印加して不揮発性記憶素子を動作させた。そして、最後に+2.5Vで100nsの電気的パルスを不揮発性記憶素子に印加することにより高抵抗状態(約120kΩ)に設定した。この状態で不揮発性記憶素子を室温に保持し、抵抗値が時間に対してどのように変化するか(つまり、揺らぎ)を調べた。
図14を参照すると、室温に保持されており、且つ抵抗変化を発現する程度の大きさの電圧が印加されていないにもかかわらず、不揮発性記憶素子の抵抗値が激しく増減を繰り返していることが分かる。具体的には、最後に電気的パルスを印加してから、200秒後に抵抗値が50kΩ程度に激減し、その後1000秒後から増加に転じて200kΩにまで達している。
上述したように、当初設定した抵抗値(約120kΩ)が短時間で大きく増減しているため、データの読み出し誤りが発生する可能性がある。以下、図14に測定結果を示した設定抵抗値が120kΩである不揮発性記憶素子を例にして説明する。ここでは、その設定抵抗値の半分の60kΩを閾値(データの判定点、リファレンスレベル)とし、60kΩ以上の場合を高抵抗状態、60kΩよりも小さい場合を低抵抗状態と規定する。この場合において、抵抗値を設定(つまり、不揮発性記憶素子の抵抗値を120kΩに設定)してから1000秒程度の時点で不揮発性記憶素子の抵抗値を読み出すと、その抵抗値は50kΩとなるため、低抵抗状態にあると判定される。他方で、2000秒後に読み出すと、その抵抗値は200kΩを超えるため、高抵抗状態にあると判定される。このように、データを読み出すタイミングによって、同一の不揮発性記憶素子のデータが“1”になったり“0”になったりするという事態が起きることになる。
そこで、本発明者等は、実験と考察を繰り返すことによって、抵抗変化型の不揮発性記憶素子において、このような揺らぎの影響を抑制し、データの保持特性を向上させうるデータ書き込み方法等を考案した。
そのデータ書き込み方法の一態様は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極間に介在し、金属酸化物から構成される抵抗変化層とを備える不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法であって、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を第1の状態から第2の状態へ変化させるための第1の電圧パルスを印加する第1の印加ステップと、前記第1の印加ステップの後で、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記第1の電圧パルスと同じ極性で、かつ前記第1の電圧パルスよりも電圧値の絶対値が小さい第2の電圧パルスを印加する第2の印加ステップと、前記第2の印加ステップの後で、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態であるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップで前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態でないと判定された場合、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を前記第1の状態から前記第2の状態へ変化させるための第3の電圧パルスを印加する第3の印加ステップとを含む。
これにより、不揮発性記憶素子の抵抗状態を第1の状態から第2の状態へ変化させる書き込みがされた後に揺らぎ判定のための書き込みが行われ、不揮発性記憶素子が揺らぎやすい状態にあると判定された場合には再度の書き込みが行われる。よって、揺らぎの影響が抑制され、データの保持特性が向上される。
ここで、前記第1の状態が低抵抗状態であり、前記第2の状態が前記低抵抗状態よりも前記不揮発性記憶素子の抵抗値が高い高抵抗状態であってもよい。つまり、本発明に係るデータ書き込み方法を高抵抗化書き込みに適用してもよい。
このときには、前記第2の電圧パルスの電圧値の絶対値は、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記高抵抗状態である場合に前記第1の電極及び前記第2の電極間に電圧を印加したときに前記不揮発性記憶素子に電流が流れ始める最小の電圧以上であり、かつ、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記高抵抗状態である場合に前記第1の電極及び前記第2の電極間に電圧を印加したときに前記不揮発性記憶素子の絶縁破壊を引き起こすことがない最大の電圧以下であるのが好ましい。たとえば、前記最小の電圧は、0.6Vであり、前記最大の電圧は、1.3Vであるのが好ましい。
同様に、前記第1の状態が高抵抗状態であり、前記第2の状態が前記高抵抗状態よりも前記不揮発性記憶素子の抵抗値が低い低抵抗状態であってもよい。つまり、本発明に係るデータ書き込み方法を低抵抗化書き込みに適用してもよい。
このときには、前記第2の電圧パルスの電圧値の絶対値は、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記低抵抗状態である場合に前記第1の電極及び前記第2の電極間に電圧を印加したときに前記不揮発性記憶素子に電流が流れ始める最小の電圧以上であり、かつ、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記低抵抗状態である場合に前記第1の電極及び前記第2の電極間に電圧を印加したときに前記不揮発性記憶素子の低抵抗化の進行を引き起こすことがない最大の電圧以下であるのが好ましい。たとえば、前記最小の電圧は、0.05Vであり、前記最大の電圧は、0.75Vであるのが好ましい。
また、第3の電圧パルスとしては、前記第3の電圧パルスが、前記第1の電圧パルスと同じ電圧値であってもよいし、前記第3の電圧パルスが、前記第1の電圧パルスに比べて電圧値の絶対値が大きくてもよい。
また、不揮発性記憶素子の特性として、前記金属酸化物がタンタル酸化物であってもよいし、前記不揮発性記憶素子は、前記第1の電極及び前記第2の電極間に印加される電圧パルスの極性に応じて、当該不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第1の状態から前記第2の状態、又は、前記第2の状態から前記第1の状態に遷移するバイポーラ型の記憶素子であってもよい。さらに、前記抵抗変化層は、第1の金属の酸化物を含む第1の金属酸化物層と、第2の金属の酸化物を含む第2の金属酸化物層とを含む積層構造を有し、前記第1の金属酸化物層の酸素不足度は、前記第2の金属酸化物層の酸素不足度よりも大きくてもよいし、前記第2の金属酸化物層は、当該第2の金属酸化物層内に、局所的に高い電流密度の電流を流す電流経路であるフィラメントを有してもよいし、前記第2の金属酸化物層は、当該第2の金属酸化物層内に、局所的に高い酸素欠陥濃度をもつ領域を有してもよい。
また、不揮発性記憶装置の一態様は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極間に介在し、金属酸化物から構成される抵抗変化層とを備える不揮発性記憶素子と、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を第1の状態から第2の状態へ変化させるための第1の電圧パルスを印加し、その後、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記第1の電圧パルスと同じ極性で、かつ前記第1の電圧パルスよりも電圧値の絶対値が小さい第2の電圧パルスを印加する書き込み部と、前記第2の電圧パルスが印加された後で、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態であるか否かを判定する判定部と、前記判定部により前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態でないと判定された場合、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を前記第1の状態から前記第2の状態へ変化させるための第3の電圧パルスを印加する再書き込み部とを備える。
これにより、不揮発性記憶素子の抵抗状態を第1の状態から第2の状態へ変化させる書き込みがされた後に揺らぎ判定のための書き込みが行われ、不揮発性記憶素子が揺らぎやすい状態にあると判定された場合には再度の書き込みが行われる。よって、揺らぎの影響が抑制され、データの保持特性が向上される。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。本発明は、請求の範囲によって限定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
[不揮発性記憶素子の構成]
図1Aは、本発明の実施の形態1に係る不揮発性記憶素子の構成を示す断面図である。
図1Aに示すとおり、本実施の形態の不揮発性記憶素子100は、基板101と、その基板101上に形成された層間絶縁膜102と、その層間絶縁膜102上に形成された第1の電極103と、第2の電極105と、第1の電極103及び第2の電極105に挟まれた抵抗変化層104とを備えている。なお、本図では、不揮発性記憶素子100は、基板101及び層間絶縁膜102を備えたが、これらの構成要素は必ずしも必須ではない。
抵抗変化層104は、第1の金属の酸化物を含む第1の金属酸化物層104aと第2の金属の酸化物を含む第2の金属酸化物層104bとの積層構造を有している。本実施の形態では、第1の金属酸化物層104aが酸素不足型のタンタル酸化物を含んでおり、第2の金属酸化物層104bが同じくタンタル酸化物を含んでいる。ここで、第2の金属酸化物層104bの酸素含有率は、第1の金属酸化物層104aの酸素含有率よりも高くなっている。言い換えると、第1の金属酸化物層104aの酸素不足度は、第2の金属酸化物層104bの酸素不足度よりも大きくなっている。そのため、第2の金属酸化物層104bの抵抗値(より厳密には比抵抗)は、第1の金属酸化物層104aの抵抗値(より厳密には比抵抗)より大きくなる。
なお、第1の金属酸化物層104aの組成をTaOとし、第2の金属酸化物層104bをTaOとした場合に、0<x<2.5、x<yを満たすことが望ましい。さらに、不揮発性記憶素子100の抵抗変化動作を安定して実現するためには、2.1≦y、0.8≦x≦1.9を満たすことがより望ましい。金属酸化物層の組成についてはラザフォード後方散乱法等を用いて測定することができる。
このような構造をもつ不揮発性記憶素子100は、製造直後に第1の電極103及び第2の電極105間に所定の電圧以上の初期ブレイク電圧が印加される(初期ブレイク)されることで、高抵抗状態と低抵抗状態とを可逆的に遷移できる状態になる。初期ブレイクによって、不揮発性記憶素子100の第2の金属酸化物層104bに、図1Bに示されるように、電気的パルスの印加に応じて酸素不足度が可逆的に変化する微小な局所領域110が形成される。局所領域110は、酸素欠陥サイトから構成されるフィラメント112を含むと考えられる。つまり、第2の金属酸化物層104bは、内部に、局所的に高い酸素欠陥濃度をもつ領域を有する。フィラメント112は、局所的に高い電流密度の電流を流す電流経路(導電パス)である。なお、図1Bには、図1Aにおける基板101及び層間絶縁膜102の図示が省略されている。
初期ブレイクが行われた不揮発性記憶素子100では、第2の電極105と接する、より酸素濃度の高い第2の金属酸化物層104bで抵抗変化が生じる。たとえば、第2の電極105の電圧を第1の電極103の電圧より、所定電圧以上高く印加した場合、不揮発性記憶素子100は高抵抗状態に変化し、逆に第1の電極103の電圧を第2の電極105の電圧より、所定電圧以上高く印加した場合、不揮発性記憶素子100が低抵抗状態に変化する。つまり、本実施の形態では、不揮発性記憶素子100は、一例として、第1の電極103及び第2の電極105間に印加される電圧パルスの極性に応じて、不揮発性記憶素子100の抵抗状態が高抵抗状態から低抵抗状態、又は、低抵抗状態から高抵抗状態に遷移するバイポーラ型の記憶素子である。
なお、「不揮発性記憶素子の抵抗状態」とは、厳密には、「抵抗変化層の抵抗状態」を意味する。
ここで、「酸素不足度」とは、金属酸化物において、その化学量論的組成(複数の化学量論的組成が存在する場合は、そのなかで最も抵抗値が高い化学量論的組成)の酸化物を構成する酸素の量に対し、不足している酸素の割合をいう。化学量論的組成の金属酸化物は、他の組成の金属酸化物と比べて、より安定であり、かつ、より高い抵抗値を有している。
例えば、金属がタンタル(Ta)の場合、上述の定義による化学量論的組成の酸化物はTaであるので、TaO2.5と表現できる。TaO2.5の酸素不足度は0%であり、TaO1.5の酸素不足度は、酸素不足度=(2.5−1.5)/2.5=40%となる。また、酸素過剰の金属酸化物は、酸素不足度が負の値となる。なお、本明細書中では、特に断りのない限り、酸素不足度は正の値、0、負の値も含むものとして説明する。
酸素不足度の小さい酸化物は化学量論的組成の酸化物により近いため抵抗値が高く、酸素不足度の大きい酸化物は酸化物を構成する金属により近いため抵抗値が低い。
また、「酸素含有率」とは、総原子数に占める酸素原子の比率である。例えば、Taの酸素含有率は、総原子数に占める酸素原子の比率(O/(Ta+O))であり、71.4atm%となる。したがって、酸素不足型のタンタル酸化物は、酸素含有率は0より大きく、71.4atm%より小さいことになる。例えば、第1の金属酸化物層104aを構成する金属と、第2の金属酸化物層104bを構成する金属とが同種である場合、酸素含有率は酸素不足度と対応関係にある。すなわち、第2の金属酸化物層104bの酸素含有率が第1の金属酸化物層104aの酸素含有率よりも大きいとき、第2の金属酸化物層104bの酸素不足度は第1の金属酸化物層104aの酸素不足度より小さい。
抵抗変化層104を構成する金属は、タンタル以外の金属を用いてもよい。抵抗変化層104を構成する金属としては、遷移金属、またはアルミニウム(Al)を用いることができる。遷移金属としては、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)等を用いることができる。遷移金属は複数の酸化状態をとることができるため、異なる抵抗状態を酸化還元反応により実現することが可能である。
例えば、ハフニウム酸化物を用いる場合、第1の金属酸化物層104aの組成をHfOとした場合にxが0.9以上1.6以下であり、かつ、第2の金属酸化物層104bの組成をHfOとした場合にyがxの値よりも大である場合に、抵抗変化層の抵抗値を安定して高速に変化させることができる。この場合、第2の金属酸化物層104bの膜厚は、3〜4nmとしてもよい。
また、ジルコニウム酸化物を用いる場合、第1の金属酸化物層104aの組成をZrOとした場合にxが0.9以上1.4以下であり、かつ、第2の金属酸化物層104bの組成をZrOとした場合にyがxの値よりも大である場合に、抵抗変化層の抵抗値を安定して高速に変化させることができる。この場合、第2の金属酸化物層104bの膜厚は、1〜5nmとしてもよい。
第1の金属酸化物層104aを構成する第1の金属と、第2の金属酸化物層104bを構成する第2の金属とは、異なる金属を用いてもよい。この場合、第2の金属酸化物層104bは、第1の金属酸化物層104aよりも酸素不足度が小さい、つまり抵抗が高くてもよい。このような構成とすることにより、抵抗変化時に第1の電極103と第2の電極105との間に印加された電圧は、第2の金属酸化物層104bに、より多くの電圧が分配され、第2の金属酸化物層104b中で発生する酸化還元反応をより起こしやすくすることができる。
また、第1の金属酸化物層104aを構成する第1の金属と、第2の金属酸化物層104bを構成する第2の金属とを、互いに異なる材料を用いる場合、第2の金属の標準電極電位は、第1の金属の標準電極電位より低くてもよい。標準電極電位は、その値が高いほど酸化しにくい特性を表す。これにより、標準電極電位が相対的に低い第2の金属酸化物層104bにおいて、酸化還元反応が起こりやすくなる。なお、抵抗変化現象は、抵抗が高い第2の金属酸化物層104b中に形成された微小な局所領域110中で酸化還元反応が起こってフィラメント(導電パス)112が変化することにより、第2の金属酸化物層104bの抵抗値(酸素不足度)が変化すると考えられる。
例えば、第1の金属酸化物層104aに酸素不足型のタンタル酸化物(TaO)を用い、第2の金属酸化物層104bにチタン酸化物(TiO)を用いることにより、安定した抵抗変化動作が得られる。チタン(標準電極電位=−1.63eV)はタンタル(標準電極電位=−0.6eV)より標準電極電位が低い材料である。このように、第2の金属酸化物層104bに第1の金属酸化物より標準電極電位が低い金属の酸化物を用いることにより、第2の金属酸化物層104b中でより酸化還元反応が発生しやすくなる。その他の組み合わせとして、第2の金属酸化物層104bにアルミニウム酸化物(Al)を用いることができる。例えば、第1の金属酸化物層104aに酸素不足型のタンタル酸化物(TaO)を用い、第2の金属酸化物層104bにアルミニウム酸化物(Al)を用いてもよい。
積層構造をもつ抵抗変化層104における抵抗変化現象は、上述したように、いずれも抵抗が高い第2の金属酸化物層104b中に形成された微小な局所領域110中で酸化還元反応が起こって、局所領域110中のフィラメント(導電パス)112が変化することにより、第2の金属酸化物層104bの抵抗値が変化すると考えられる。
つまり、第2の金属酸化物層104bに接続された第2の電極105に、第1の電極103を基準にして正の電圧を印加したとき、抵抗変化層104中の酸素イオンが第2の金属酸化物層104b側に引き寄せられる。これによって、第2の金属酸化物層104b中に形成された微小な局所領域110中で酸化反応が発生し、酸素不足度が減少する。その結果、局所領域110中のフィラメント112が繋がりにくくなり、第2の金属酸化物層104bの抵抗値、つまり、不揮発性記憶素子100の抵抗値が増大すると考えられる。
逆に、第2の金属酸化物層104bに接続された第2の電極105に、第1の電極103を基準にして負の電圧を印加したとき、第2の金属酸化物層104b中の酸素イオンが第1の金属酸化物層104a側に押しやられる。これによって、第2の金属酸化物層104b中に形成された微小な局所領域110中で還元反応が発生し、酸素不足度が増加する。その結果、局所領域110中のフィラメント112が繋がりやすくなり、第2の金属酸化物層104bの抵抗値、つまり、不揮発性記憶素子100の抵抗値が減少すると考えられる。
酸素不足度がより小さい第2の金属酸化物層104bに接続されている第2の電極105は、例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)など、第2の金属酸化物層104bを構成する金属及び第1の電極103を構成する材料と比べて標準電極電位が、より高い材料で構成する。また、酸素不足度がより高い第1の金属酸化物層104aに接続されている第1の電極103は、例えば、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)など、第1の金属酸化物層104aを構成する金属と比べて標準電極電位がより低い材料で構成してもよい。標準電極電位は、その値が高いほど酸化しにくい特性を表す。
すなわち、第2の電極105の標準電極電位Ve2、第2の金属酸化物層104bを構成する金属の標準電極電位Vr2、第1の金属酸化物層104aを構成する金属の標準電極電位Vr1、第1の電極103の標準電極電位Ve1との間には、Vr2<Ve2、かつVe1<eV2なる関係を満足してもよい。さらには、Ve2>Vr2で、Vr1≧Ve1の関係を満足してもよい。
上記の構成とすることにより、第2の電極105と第2の金属酸化物層104bの界面近傍の第2の金属酸化物層104b中において、選択的に酸化還元反応が発生し、安定した抵抗変化現象が得られる。
また、第2の金属酸化物層104bの誘電率は、第1の金属酸化物層104aの誘電率より大きい方が好ましい。あるいは、第2の金属酸化物層104bのバンドギャップは、第1の金属酸化物層104aのバンドギャップより小さい方が好ましい。例えば、TiO(比誘電率=95、バンドギャップ=3.1ev)はTa(比誘電率=26、バンドギャップ=4.4eV)より比誘電率が大きく、バンドギャップが小さい。一般的に、比誘電率が大きい材料の方が、比誘電率が小さい材料よりブレイクダウン(初期ブレイク)しやすく、また、バンドギャップが小さい材料の方が、バンドギャップが大きい材料よりブレイクダウンしやすいため、初期ブレイク電圧を低くすることができる。
上記の条件(つまり、誘電率及びバンドギャップに関する条件)のいずれか一方または両方を満足する金属酸化物を第2の金属酸化物層104bに用いることにより、第2の金属酸化物層104bの絶縁破壊電界強度が第1の金属酸化物層104aのそれに比べて小さくなり、初期ブレイク電圧を低減できる。これは、例えば、非特許文献3(J.McPherson et al.,IEDM 2002,p.633−636)の図1に示されているように、金属酸化物層の絶縁破壊電界強度(Breakdown Strength)と誘電率との間には、誘電率が大きいほど絶縁破壊電界強度が小さくなるという相関関係が見られるためである。また、同非特許文献3の図2に示されているように、金属酸化物層の絶縁破壊電界強度とバンドギャップとの間には、バンドギャップが大きいほど絶縁破壊電界強度が大きくなると言う相関関係が見られるためである。
図2は、上述したフィラメント112の形成を説明するための図であり、パーコレーションモデルを用いてシミュレートした結果の一例を示している。ここでは、抵抗変化層104中(特に第2の金属酸化物層104b中)の酸素欠陥サイトが繋がることによりフィラメント(導電パス)112が形成されると仮定している。パーコレーションモデルとは、抵抗変化層104中の酸素欠陥サイト(以下、単に「欠陥サイト」という)等のランダムな分布を仮定し、欠陥サイト等の密度がある閾値を超えると欠陥サイト等の繋がりが形成される確率が増加するという理論に基づくモデルである。ここで「欠陥」とは、金属酸化物中で酸素が欠損していることを意味し、「欠陥サイトの密度」とは酸素不足度とも対応している。すなわち、酸素不足度が大きくなると、欠陥サイトの密度も大きくなる。
ここでは、抵抗変化層104の酸素イオンサイトを、格子状に仕切られた領域(サイト)として近似的に仮定し、確率的に形成される欠陥サイトによって形成されるフィラメント112をシミュレーションで求めている。図2において、“0”が含まれているサイトは抵抗変化層104中に形成される欠陥サイトを表している。他方、空白となっているサイトは酸素イオンが占有しているサイトを表しており、高抵抗な領域を意味している。また、矢符で示される欠陥サイトのクラスター(上下、左右及び斜め方向に1個のサイトの範囲内で互いに接続された欠陥サイトの集合体)は、図中の上下方向に電圧が印加された場合に抵抗変化層104内に形成されるフィラメント112、すなわち電流が流れるパスを示している。図2に示すように、抵抗変化層104の下面と上面との間に電流を流すフィラメント112は、ランダムに分布する欠陥サイトの内の上端から下端までを接続する欠陥サイトのクラスターで構成される。このパーコレーションモデルに基づくと、フィラメント112の本数及び形状は確率的に形成されることになる。フィラメント112の本数及び形状の分布は、抵抗変化層104の抵抗値のばらつきとなる。
[不揮発性記憶素子の製造方法]
次に、本実施の形態の不揮発性記憶素子100の製造方法の一例について説明する。なお、以下で説明する、各工程における手法、材料、膜厚、その他の条件等についてはあくまでも例示であり、本実施の形態はこれに限定されない。
まず、単結晶シリコンである基板101上に、厚さ200nmの層間絶縁膜102を熱酸化法により形成する。そして、第1の電極103として厚さ100nmのPt薄膜を、スパッタリング法により層間絶縁膜102上に形成する。なお、第1の電極103と層間絶縁膜102との間にTi、TiN等の密着層をスパッタリング法により形成してもよい。その後、第1の電極103上に、酸素不足型の第1の金属酸化物層104aを、例えばTaターゲットを用いた反応性スパッタリング法で形成する。
次に、例えば第1の金属酸化物層104aの最表面の酸化による改質、またはTaターゲットを用いた反応性スパッタリング法により、第1の金属酸化物層104aの表面に、第1の金属酸化物層104aよりも酸素不足度の小さい第2の金属酸化物層104bを形成する。これら第1の金属酸化物層104a及び第2の金属酸化物層104bの積層構造により抵抗変化層104が構成される。
ここで、第2の金属酸化物層104bの厚みは、初期抵抗値を適切に低くするためには8nm以下程度が好ましく、また安定した抵抗変化を得るためには1nm以上程度が好ましい。例えば、第2の金属酸化物層104bの厚みは6nmである。
次に、第2の金属酸化物層104bの上に、第2の電極105として例えば厚さ150nmのPt薄膜をスパッタリング法で形成する。
以上により、酸素不足型のTa酸化物を用いた抵抗変化層104を第1の電極103及び第2の電極105で挟み込んだ形の不揮発性記憶素子100を作製することができる。
[抵抗値の揺らぎ現象とその性質]
以下では、上述のようにして作製された不揮発性記憶素子100の抵抗状態の保持特性について、本発明者等が実験によって新たに見出した知見について詳細に説明する。なお、以下で説明する、電圧値、パルス幅、印加回数、抵抗値等はあくまでも、当該知見を説明する実験例を示すものであり、本実施の形態はこれに限定されない。
〈抵抗値の設定〉
不揮発性記憶素子100の第1の電極103及び第2の電極105間に電気的パルス信号を与えることにより抵抗変化を起こさせた。以下では、電気的パルス信号として電圧パルスを用いた場合について説明する。なお、本明細書では、第1の電極103を基準にして電圧の正負を表現する。すなわち、第1の電極103に対して、高い電圧を第2の電極105に印加した場合の電圧は“正”であり、同じく低い電圧を第2の電極105に印加した場合の電圧は“負”である。不揮発性記憶素子100は、正の電圧が与えられた場合に高抵抗化し、負の電圧が与えられた場合に低抵抗化する。
本実験例では、図3に示すように、抵抗変化型の不揮発性記憶素子201(上述の不揮発性記憶素子100に相当する)に、0〜6.4kΩの種々の負荷抵抗202を直列に接続した状態で電圧印加を行った。具体的には、図3に示す端子203及び端子204に、時間的な長さ(つまり、パルス幅)が100nsで、大きさが+2.5V及び−2.0Vの電圧パルスを交互に100回印加した。
上述したように負荷抵抗202を接続したのは次の2つの理由による。1つは、負荷抵抗202を接続することで不揮発性記憶素子201の設定抵抗値が変化し、広い抵抗範囲の情報を得ることが可能になるからである。本実施の形態で使用した試料では、不揮発性記憶素子201の低抵抗値は負荷抵抗202と同等の値になる特性があり、高抵抗値は低抵抗値の10倍から100倍程度の値をとることが多い。したがって、負荷抵抗202を小さくすれば、設定される不揮発性記憶素子201の抵抗値を小さくでき、反対に大きくすれば、当該抵抗値を大きくできる。
2つめの理由は、不揮発性記憶素子201の実使用時の抵抗値の揺らぎ現象の把握を想定したからである。抵抗変化型の不揮発性記憶素子の場合、実使用時は、これ単体で用いられることはなく、ある程度の大きさの抵抗値を有するトランジスタ及びダイオード等が接続された状態で使用される。その他、配線による抵抗も少なからず存在する。そのため、実使用時に発生するこれらの外部負荷抵抗を想定して、負荷抵抗202を接続した。
以上のようにして、不揮発性記憶素子201の抵抗値を高抵抗状態(抵抗値RH)及び低抵抗状態(抵抗値RL)に設定した。なお、高抵抗状態に設定する場合は+2.5V及び−2.0Vの電圧パルスを交互に100回印加した後、最後に+2.5Vの電圧パルスを1回印加した。他方、低抵抗状態に設定する場合は最後に−2.0Vの電圧パルスを1回印加した。ここでのパルス幅はいずれも100nsとした。
〈抵抗値の短時間変動(揺らぎ)の測定〉
上述したようにして抵抗値を設定した不揮発性記憶素子201を室温に保持し、20秒毎に50mVの電圧を印加して不揮発性記憶素子201の抵抗値を測定した。なお、このような50mV程度の低い電圧では、不揮発性記憶素子201の抵抗値は変化しない。
図4は、6.4kΩの負荷抵抗を接続した状態で不揮発性記憶素子201を高抵抗状態に設定した後の、0秒から50000秒までの不揮発性記憶素子201の抵抗値の変動(つまり、揺らぎ)を示す図である。以下、不揮発性記憶素子201を高抵抗状態に設定した直後における不揮発性記憶素子201の抵抗値を、設定抵抗値と呼ぶ。図4に示される例では、設定抵抗値は約170kΩであった。図4を参照すると、この抵抗値は、時間の経過とともに増減し、揺らぎ現象を起こしていることが分かる。具体的には、測定開始から2000秒程度で最低値の150kΩとなり、20000秒程度で最大値の250kΩとなっている。
なお、図4は、高抵抗状態に設定した後の抵抗値の変動を示すものであるが、本発明者は、低抵抗状態に設定した場合も、類似の抵抗値の変動現象を確認した。
上記と同様の測定を、0Ω(負荷なし)、1700Ω、2150Ω、3850Ω、4250Ω、6400Ωの負荷抵抗202を接続して行った。その結果をまとめたのが図5である。図5において、横軸は不揮発性記憶素子201の設定抵抗値を示す。縦軸は、高抵抗状態に設定後、0秒から50000秒までの間に変動した不揮発性記憶素子201の抵抗値のうち、最大値または最小値を示す。ここで、黒く塗り潰した丸のマークで示したデータが抵抗値の最大値であり、白抜きの丸のマークで示したデータが抵抗値の最小値である。また、それぞれのデータをフィッティングした結果(近似曲線)も示している。実線が抵抗値の最大値をフィッティングした結果であり、破線が抵抗値の最小値をフィッティングした結果である。
図5を参照すると、例えば、設定抵抗値が100kΩの場合、抵抗値の揺らぎによって、平均的には抵抗値が約80kΩから約200kΩまで変化していたことが見て取れる。図中には、フィッティングにより得られた関係式(近似式)も示している。この関係式において、xは設定抵抗値を、yは抵抗値の最大値又は最小値をそれぞれ示している。
〈揺らぎやすさの予測〉
上述したように、抵抗変化現象は、抵抗変化層104中に微小なフィラメントが形成され、この微小なフィラメント中で酸化還元反応が起こり、抵抗変化層104の抵抗値が変化することによって発生すると考えられる。したがって、今回発明者等が発見した揺らぎ現象も、この微小なフィラメント中の導通状態が何らかの影響で変化することにより発生していると考えられる。具体的には、酸素原子が不完全な結合をしたり、乖離をしたりすることで揺らぎが発生している可能性があると考えられる。また、微小なフィラメント内に存在するダングリングボンドに電子が捕獲されたり、放出されたりすることで、電気的なポテンシャルが変化して抵抗状態が揺らいでいる可能性も考えられる。したがって、微小なフィラメントが関係して抵抗値が増減するような構造を有する抵抗変化型の不揮発性記憶素子であれば、その程度の大小はあるものの、揺らぎ現象は必然的に発生するものであると推測される。
以上の知見に基づいて、本発明者等は揺らぎ現象に関する以下の性質を新たに見出した。
上述したように、微小なフィラメント内に存在するダングリングボンドに電子が捕獲されたり放出されたりすることにより揺らぎ現象が生じている場合、この電子の捕獲及び放出を意図的に行うことにより、揺らぎ現象を誘発させることできる。具体的には、負極性の電圧パルスを第2の電極105に印加して電子をフィラメントに注入することにより、フィラメント中のダングリングボンドに電子を捕獲させることができる。これにより導通パス(フィラメント)が遮断されるため、抵抗値が高くなる。他方、正極性の電圧パルスを第2の電極105に印加することにより、フィラメントから電子を放出させることができる。これにより導通パス(フィラメント)が回復するため、抵抗値が低くなる。このようにして、通常の書き込み電圧より小さい振幅の電圧であっても抵抗値が変動し、揺らぎ現象が誘発される。なお、揺らぎ現象を誘発させるための電圧パルスは、不揮発性記憶素子に流れる電流が1μA以上となる大きさの電圧値であることが望ましい。
以下では、上述したような揺らぎ現象を誘発させるための電圧パルスを揺らぎ判定電圧パルスと表現する。揺らぎやすい不揮発性記憶素子は揺らぎ判定電圧パルスによって揺らぎ現象が誘発され、揺らぎにくい不揮発性記憶素子は揺らぎ判定電圧パルスを印加しても揺らぎ現象は誘発されない。図6は、揺らぎ判定電圧パルスにより不揮発性記憶素子の抵抗値が変動する様子の一例を示している。図6の左側は、不揮発性記憶素子100を高抵抗状態に設定した後に揺らぎ判定電圧パルスを印加し、その後に読み出し処理を行うことにより得られた電流値(横軸)と電流値の正規分布(正規期待値;縦軸)との関係を示す図である。図6の右側は、不揮発性記憶素子100を低抵抗状態に設定した後に揺らぎ判定電圧パルスを印加し、その後に読み出し処理を行うことにより得られた電流値(横軸)と電流値の正規分布(正規期待値;縦軸)との関係を示す図である。なお、ここでは、不揮発性記憶素子100を高抵抗状態に設定するために+2.5Vで200nsの高抵抗化書き込み用電圧パルスを用い、不揮発性記憶素子100を低抵抗状態に設定するために−1.5Vで200nsの低抵抗化書き込み用電圧パルスを用いた。また、抵抗値が低くなる揺らぎ現象を誘発させるための揺らぎ判定電圧パルスとして+700mVで200nsの電圧パルスを、抵抗値が高くなる揺らぎ現象を誘発させるための揺らぎ判定電圧パルスとして−700mVで200nsの電圧パルスをそれぞれ用いた。
図6には、比較対象として、揺らぎ判定電圧パルスを印加せずに読み出し処理を行った場合(図中“0V”と付記されているプロットの集合)についても示されている。図6を参照すると、高抵抗状態及び低抵抗状態のいずれの場合においても、+700mVの揺らぎ判定電圧パルスを印加することにより電流値が増大している(すなわち、不揮発性記憶素子100の抵抗値が減少している)ことが確認できる。また、高抵抗状態及び低抵抗状態のいずれの場合においても、−700mVの揺らぎ判定電圧パルスを印加することにより電流値が減少している(すなわち、不揮発性記憶素子100の抵抗値が増大している)ことが確認できる。
このように、揺らぎ判定電圧パルスを用いることにより不揮発性記憶素子の抵抗値を変動させることができる。ここで、揺らぎ判定電圧パルスを印加した結果、データの読み出し誤りが発生するほど設定抵抗値が大きく変化した場合、その不揮発性記憶素子は揺らぎやすい状態にあるといえる。他方、揺らぎ判定電圧パルスを印加した結果、設定抵抗値が変化しない場合、あるいはデータの読み出し誤りが発生しない範囲でのみ設定抵抗値が変化する場合、その不揮発性記憶素子は揺らぎにくい状態にあるといえる。このように、揺らぎ判定電圧パルスを用いることにより、当該不揮発性記憶素子が揺らぎやすい状態にあるか否かを判定することができる。
[不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法]
本実施の形態のデータ書き込み方法は、上述の新規の知見に基づいて見出されたものである。以下に、本実施の形態のデータ書き込み方法について説明する。
不揮発性記憶素子が揺らぎやすい状態にある場合、設定抵抗値が大きく変化してデータの読み出し誤りが生じる可能性が高いと考えられる。このような不都合を回避するために、本実施の形態では、不揮発性記憶素子に対してデータの書き込みを行った後に、その不揮発性記憶素子が揺らぎやすい状態にあるか否かを判定し、その結果、揺らぎやすい状態にあると判定された場合に、データの再書き込みを実行する。これにより、揺らぎ現象による抵抗値の変動を抑制し、データの保持特性を高めることができる。以下、本実施の形態の不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法について、フローチャートを参照しながら説明する。
図7Aは、本発明の実施の形態1に係る不揮発性記憶素子のデータ書き込み処理の手順を示すフローチャートである。図7Aに示すとおり、まず、不揮発性記憶素子100を高抵抗状態にするための書き込み(HR書き込み)であるか低抵抗状態にするための書き込み(LR書き込み)であるかを判定する(S101)。ここでHR書き込みであると判定した場合(S101でYES)、HR書き込み処理を実行する(S102)。HR書き込みでは、例えば正極性の書き込み用の電圧パルス(例えば、+2.0V)が第1の電極103及び第2の電極105間に印加される。次に、揺らぎ判定電圧パルスを両電極間に印加する(S103)。揺らぎ判定電圧パルスは、HR書き込み用の電圧パルスと同極性であって、HR書き込み用の電圧パルスよりも電圧値の絶対値が小さい電圧パルスである。ステップS103における揺らぎ判定電圧パルスは、例えば+0.7Vである。なお、以下では、揺らぎ判定電圧パルスによる書き込み処理を、揺らぎ判定書き込み処理という。
上述したとおり、本実施の形態のHR書き込みの場合には、揺らぎ判定書き込み処理において正極性(つまり、HR書き込み用の電圧パルスと同極性)の揺らぎ判定電圧パルスを用いる。正極性の揺らぎ判定電圧パルスを両電極間に印加した場合、抵抗変化層104内に形成されたフィラメントから電子が放出され、その結果導通パスが回復して抵抗値が低くなる。このように、正極性の揺らぎ判定電圧パルスにより抵抗値を低くする作用が働くため、高抵抗状態にある不揮発性記憶素子100において低抵抗化揺らぎ現象が誘発されることになる。
次に、読み出し用の電圧パルスを両電極間に印加し、そのときに抵抗変化層104を流れる電流の値を検知し、不揮発性記憶素子100が高抵抗状態にあるか低抵抗状態にあるかを判定するためのベリファイリード処理を実行する(S104)。そして、このベリファイリード処理の結果に基づいて、ステップS102のHR書き込み処理により設定された高抵抗状態が失われていないかどうか、すなわち不揮発性記憶素子100が揺らぎやすい状態にあるか否かを判定する(S108)。ここで、不揮発性記憶素子100が高抵抗状態ではなく低抵抗状態にあると判定した場合、すなわち不揮発性記憶素子100が揺らぎやすい状態にあると判定した場合(S108でYES)、HR書き込み用の電圧パルスを両電極間に再度印加する再書き込み処理を実行する(S109)。これにより、不揮発性記憶素子100を所望の高抵抗状態に設定し直すことができる。他方、ベリファイリード処理(S104)によって不揮発性記憶素子100が高抵抗状態に維持されていると判定した場合、すなわち不揮発性記憶素子100が揺らぎやすい状態にはないと判定した場合(S108でNO)、処理は終了する。
また、ステップS101においてHR書き込みではないと判定した場合、すなわちLR書き込みであると判定した場合(S101でNO)、LR書き込み処理を実行する(S105)。LR書き込みでは、例えば負極性の書き込み用の電圧パルス(例えば、−2.4V)が第1の電極103及び第2の電極105間に印加される。次に、揺らぎ判定電圧パルスを両電極間に印加する(S106)。揺らぎ判定電圧パルスは、LR書き込み用の電圧パルスと同極性であって、LR書き込み用の電圧パルスよりも電圧値の絶対値が小さい電圧パルスである。S106における揺らぎ判定電圧パルスは、例えば−0.7Vである。
上述したとおり、本実施の形態のLR書き込みの場合には、揺らぎ判定書き込み処理において負極性(つまり、LR書き込み用の電圧パルスと同極性)の揺らぎ判定電圧パルスを用いる。負極性の揺らぎ判定電圧パルスを両電極間に印加した場合、抵抗変化層104内に形成されたフィラメントに電子が注入され、その結果導通パスが遮断されて抵抗値が高くなる。このように、負極性の揺らぎ判定電圧パルスにより抵抗値を高くする作用が働くため、低抵抗状態にある不揮発性記憶素子100において揺らぎ現象が誘発されることになる。
次に、上記のS104と同様のベリファイリード処理を実行する(S107)。そして、このベリファイリード処理の結果に基づいて、ステップS105のLR書き込みにより設定された低抵抗状態が失われていないかどうか、すなわち不揮発性記憶素子100が揺らぎやすい状態にあるか否かを判定する(S108)。ここで、ベリファイリード処理(S107)により不揮発性記憶素子100が低抵抗状態ではなく高抵抗状態にあると判定した場合、すなわち不揮発性記憶素子100が揺らぎやすい状態にあると判定した場合(S108でYES)、LR書き込み用の電圧パルスを両電極間に再度印加する再書き込み処理を実行する(S109)。これにより、不揮発性記憶素子100を所望の低抵抗状態に設定し直すことができる。他方、ベリファイリード処理(S107)により不揮発性記憶素子100が低抵抗状態に維持されている判定した場合、すなわち不揮発性記憶素子100が揺らぎやすい状態にはないと判定した場合(S108でNO)、処理は終了する。
図7Bは、図7Aのフローチャートにおける手順をまとめたものに相当する。つまり、HR書き込みでの処理とLR書き込みでの処理を共通化したフローチャートが示されている。
まず、第1の電極103及び第2の電極105間に、不揮発性記憶素子100の抵抗状態を第1の状態から第2の状態へ変化させるための第1の電圧パルス(書き込み用の電圧パルス)を印加する(第1の印加ステップS120)。つまり、書き込み処理(図7AのS102又はS105)を行う。
次に、第1の電極103及び第2の電極105間に、第1の電圧パルスと同じ極性で、かつ第1の電圧パルスよりも電圧値の絶対値が小さい第2の電圧パルス(揺らぎ判定電圧パルス)を印加する(第2の印加ステップS121)。つまり、揺らぎ判定書き込み処理(図7AのS103又はS106)を行う。
そして、不揮発性記憶素子100の抵抗状態が第2の状態であるか否かを判定する(判定ステップS122)。つまり、ベリファイリード処理(図7AのS104又はS107)と揺らぎやすさの判定(図7AのS108)を行う。
その結果、判定ステップS122で不揮発性記憶素子100の抵抗状態が第2の状態でないと判定された場合(S122でNo)、第1の電極103及び第2の電極105間に、不揮発性記憶素子100の抵抗状態を第1の状態から第2の状態へ変化させるための第3の電圧パルス(書き込み用の電圧パルス)を印加する(第3の印加ステップS123)。つまり、再書き込み処理(図7AのS109)を行う。一方、判定ステップS122で不揮発性記憶素子100の抵抗状態が第2の状態であると判定された場合(S122でYes)、処理を終了する。
ここで、本図のフローチャートをHR書き込みに適用する場合には、第1の状態が低抵抗状態であり、第2の状態が高抵抗状態に相当する。一方、本図のフローチャートをLR書き込みに適用する場合には、第1の状態が高抵抗状態であり、第2の状態が低抵抗状態に相当する。
なお、第3の電圧パルスは、典型的には、第1の電圧パルスと同じ電圧値であるが、より再書き込みを確実にさせるために、第1の電圧パルスに比べて電圧値の絶対値が大きくてもよい。
また、第3の印加ステップS123の後に、第2の印加ステップS121と判定ステップS122とを繰り返してもよい。つまり、判定ステップS122において不揮発性記憶素子100の抵抗状態が第2の状態であると判定されるまで、第3の印加ステップS123、第2の印加ステップS121及び判定ステップS122を繰り返してもよい。
図8の(a)は、HR書き込みにおける電圧パルスの印加状態を説明するための図である。図8の(b)は、LR書き込みにおける電圧パルスの印加状態を説明するための図である。図8の(a)に示すとおり、本実施の形態では、HR書き込み処理(S102)とベリファイリード処理(S104)との間に、HR書き込み処理のときと比べて絶対値で低い電圧値の正極性の電圧パルスを書き込む揺らぎ判定書き込み処理(S103)を実行する。そして、その後のベリファイリード処理の結果に基づいて不揮発性記憶素子100が揺らぎやすい状態にあると判定した場合、再書き込み処理(S109)が実行される。同様にして、図8の(b)に示すとおり、LR書き込み処理(S105)とベリファイリード処理(S107)との間に、LR書き込み処理のときと比べて絶対値で低い電圧値の負極性の電圧パルスを書き込む揺らぎ判定書き込み処理(S106)を実行する。そして、ベリファイリード処理の結果に基づいて不揮発性記憶素子100が揺らぎやすい状態にあると判定した場合、再書き込み処理(S109)が実行される。
以上のとおり、本実施の形態では、不揮発性記憶素子100に対する書き込み時に、通常の書き込みをした後に揺らぎ判定書き込みをし、不揮発性記憶素子100が揺らぎやすい状態にあると判定した場合にはデータの再書き込みを行うことで、データの保持特性の向上化を図ることができる。
[揺らぎ判定電圧パルスの電圧値]
以下、HR書き込み及びLR書き込みの際に用いられる揺らぎ判定電圧パルスの電圧値の望ましい範囲について説明する。
図9は、高抵抗状態の不揮発性記憶素子に正極性の電圧パルスが印加された場合における、不揮発性記憶素子にかかる電圧である実効電圧(横軸の「実効素子電圧」)と、不揮発性記憶素子を流れる電流の電流値(縦軸)との関係の一例を示す図であり、図10は同じく実効電圧(横軸の「実効素子電圧」)と不揮発性記憶素子の抵抗値(縦軸)との関係の一例を示す図である。図9に示す例では、不揮発性記憶素子が高抵抗状態にある場合、+0.6Vの電圧を印加することにより電流が流れ始め、電子の注入・放出が可能になる。そのため、揺らぎ現象を誘発させるためには、揺らぎ判定電圧パルスの電圧値V1は+0.6V以上であることが望ましい。また、図10に示す例では、不揮発性記憶素子が高抵抗状態にある場合、+1.3Vを超える電圧を印加すると高抵抗化と絶縁破壊との競合状態が生じ、抵抗値が大きくばらついて不安定となってしまう。そのため、このような抵抗値のばらつきを回避するために、揺らぎ判定電圧パルスの電圧値V1は+1.3V以下であることが望ましい。以上より、HR書き込みの際に用いる揺らぎ判定電圧パルスの電圧値V1は、0.6V≦|V1|≦1.3Vを満たすことが望ましい。
つまり、HR書き込みの場合には、上記第2の電圧パルス(書き込み用の電圧パルス)の電圧値の絶対値は、不揮発性記憶素子100の抵抗状態が高抵抗状態である場合に第1の電極103及び第2の電極105間に電圧を印加したときに不揮発性記憶素子100に電流が流れ始める最小の電圧(ここでは、0.6V)以上であり、かつ、不揮発性記憶素子100の抵抗状態が高抵抗状態である場合に第1の電極103及び第2の電極105間に電圧を印加したときに不揮発性記憶素子100の絶縁破壊を引き起こすことがない最大の電圧(ここでは、1.3V)以下であることが望ましい。
図11は、低抵抗状態の不揮発性記憶素子単体に負極性の電圧パルスが印加された場合における、不揮発性記憶素子にかかる電圧である実効電圧(横軸の「実効素子電圧」)と不揮発性記憶素子を流れる電流の電流値(縦軸)との関係の一例を示す図である。図11に示す例では、不揮発性記憶素子が低抵抗状態にある場合、−0.05V程度の電圧でも電流が流れ始め、電子の注入・放出が可能になる。そのため、揺らぎ現象を誘発させるためには、揺らぎ判定電圧パルスの電圧値V2は−0.05V以上(絶対値で)であることが望ましい。また、図11に示す例では、−0.75Vを超える電圧を印加すると低抵抗化が進行し、抵抗値が設定値よりも小さい値となってしまう。そのため、揺らぎ判定電圧パルスの電圧値V2は−0.75V以下(絶対値で)であることが望ましい。以上より、LR書き込みの際に用いる揺らぎ判定電圧パルスの電圧値V2は、0.05V≦|V2|≦0.75を満たすことが望ましい。
つまり、HR書き込みの場合には、上記第2の電圧パルス(書き込み用の電圧パルス)の電圧値の絶対値は、不揮発性記憶素子100の抵抗状態が低抵抗状態である場合に第1の電極103及び第2の電極105間に電圧を印加したときに不揮発性記憶素子100に電流が流れ始める最小の電圧(ここでは、0.05V)以上であり、かつ、不揮発性記憶素子100の抵抗状態が低抵抗状態である場合に第1の電極103及び第2の電極105間に電圧を印加したときに不揮発性記憶素子100の低抵抗化の進行を引き起こすことがない最大の電圧(ここでは、0.75V)以下であることが望ましい。
(実施の形態2)
実施の形態2は、実施の形態1において説明した不揮発性記憶素子を用いて構成される、1トランジスタ/1不揮発性記憶部型(いわゆる1T1R型)の不揮発性記憶装置である。
[不揮発性記憶装置の構成]
図12は、本発明の実施の形態2に係る不揮発性記憶装置の構成の一例を示すブロック図である。図12に示すとおり、本実施の形態の不揮発性記憶装置300は、不揮発性記憶素子R311〜R322を具備するメモリセルアレイ301と、アドレスバッファ302と、制御部303と、行デコーダ304と、ワード線ドライバ305と、列デコーダ306と、ビット線/プレート線ドライバ307とを備えている。また、ビット線/プレート線ドライバ307はセンス回路(センスアンプ)を備えており、ビット線またはプレート線に流れる電流を測定することができる。
メモリセルアレイ301は、互いに平行に延びる2本のワード線W1、W2と、これらのワード線W1、W2と交差して互いに平行に延びる2本のビット線B1、B2と、これらのビット線B1、B2と一対一で対応して設けられる2本のプレート線P1、P2と、ワード線W1、W2及びビット線B1、B2との各交差点に対応してマトリクス状に設けられた4個のメモリセルMC311、MC312、MC321、MC322とを具備している。なお、メモリセルMC311、MC312、MC321、MC322はそれぞれ、選択トランジスタT311及び不揮発性記憶素子R311、選択トランジスタT312及び不揮発性記憶素子R312、選択トランジスタT321及び不揮発性記憶素子R321、並びに選択トランジスタT322及び不揮発性記憶素子R322から構成されている。ここで、不揮発性記憶素子R311〜R322は、実施の形態1に係る不揮発性記憶素子100に相当する。
なお、これらの各構成要素の個数または本数は上記のものに限定されるわけではない。例えば、メモリセルアレイ301が具備するメモリセルの個数は上記の4個に限定されるわけではなく、5個以上であってもよい。
なお、上記の構成例では、プレート線はビット線と平行に配置されているが、プレート線がワード線と平行に配置されていてもよい。また、プレート線は接続されているトランジスタに共通の電位を与える構成としているが、行デコーダ304及びワード線ドライバ305と同様の構成のソース線選択回路及びドライバを有し、選択されたソース線と非選択のソース線とを異なる電圧(極性を含む)で駆動する構成としてもよい。
メモリセルアレイ301の構成についてさらに説明すると、メモリセルMC311(選択トランジスタT311及び不揮発性記憶素子R311)は、ビット線B1とプレート線P1との間に設けられており、選択トランジスタT311のソースと不揮発性記憶素子R311とが接続されるべく直列に並んでいる。より詳しくは、選択トランジスタT311は、ビット線B1と不揮発性記憶素子R311との間で、ビット線B1及び不揮発性記憶素子R311と接続されており、不揮発性記憶素子R311は、選択トランジスタT311とプレート線P1との間で、選択トランジスタT311及びプレート線P1と接続されている。また、選択トランジスタT311のゲートはワード線W1と接続されている。なお、他のメモリセルMC312、MC321、MC322の構成も同様であるので説明を省略する。
以上の構成により、選択トランジスタT311、T312、T321、T322のそれぞれのゲートに、ワード線W1、W2を介して所定の電圧(活性化電圧)が供給されると、選択トランジスタT311、T312、T321、T322のドレイン及びソース間が導通することになる。
アドレスバッファ302は、外部回路(図示せず)からアドレス信号ADDRESSを受け取り、このアドレス信号ADDRESSに基づいて行アドレス信号ROWを行デコーダ304に出力するとともに、列アドレス信号COLUMNを列デコーダ306に出力する。ここで、アドレス信号ADDRESSは、メモリセルMC311〜MC322のうちの選択されるメモリセルのアドレスを示す信号である。また、行アドレス信号ROWはアドレス信号ADDRESSに示されたアドレスのうちの行のアドレスを示す信号であり、列アドレス信号COLUMNは、同じく列のアドレスを示す信号である。
なお、アドレスバッファ302と、行デコーダ304と、ワード線ドライバ305と、列デコーダ306と、ビット線/プレート線ドライバ307とは、メモリセルアレイ301から、書き込み又は読み出しの対象となる一つのメモリセル(あるいは、不揮発性記憶素子)を選択する選択回路を構成している。
制御部303は、外部回路から受け取ったモード選択信号MODEに応じて、書き込みモード、消去モード及び読み出しモードのうちのいずれか1つのモードを選択し、選択したモードに対応する制御を行う。なお、本明細書において、書き込みモードとは、不揮発性記憶素子を低抵抗状態にすることをいい、消去モードとは、不揮発性記憶素子を高抵抗状態にすることをいい、読み出しモードとは、不揮発性記憶素子からデータを読み出す(不揮発性記憶素子の抵抗状態を判別する)ことをいう。以下、電圧印加の場合、プレート線を基準に各電圧が印加されるものとする。
書き込みモードにおいて、制御部303は、外部回路から受け取った入力データDinに応じて、「書き込み電圧印加」を指示する制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ307に出力する。また、この書き込みモードにおいて、制御部303は、「第1揺らぎ判定電圧印加」を指示する制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ307に出力する。
読み出しモードの場合、制御部303は、「読み出し電圧印加」を指示する制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ307に出力する。この読み出しモードでは、制御部303はさらに、ビット線/プレート線ドライバ307から出力される信号IREADを受け取り、この信号IREADに応じたビット値を示す出力データDoutを外部回路へ出力する。この信号IREADは、読み出しモードのときにプレート線P1、P2を流れる電流の電流値を示す信号である。
また、消去モードの場合、制御部303は、「消去電圧印加」を指示する制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ307に出力する。また、この消去モードにおいて、制御部303は、「第2揺らぎ判定電圧印加」を指示する制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ307に出力する。
なお、書き込みモード及び消去モードにおいても、ベリファイリード処理を行うために、制御部303は、読み出しモードと同様の処理を行う。
行デコーダ304は、アドレスバッファ302から出力された行アドレス信号ROWを受け取り、この行アドレス信号ROWに応じて、2本のワード線W1、W2のうちの一方を選択する。ワード線ドライバ305は、行デコーダ304の出力信号に基づいて、行デコーダ304によって選択されたワード線に活性化電圧を印加する。
列デコーダ306は、アドレスバッファ302から出力された列アドレス信号COLUMNを受け取り、この列アドレス信号COLUMNに応じて、2本のビット線B1、B2のうちの一方を選択するとともに、選択されたビット線に対応する、2本のプレート線P1、P2のうちの一方を選択する。
ビット線/プレート線ドライバ307は、制御部303から「書き込み電圧印加」を指示する制御信号CONTを受け取ると、列デコーダ306の出力信号に基づいて、列デコーダ306によって選択されたビット線と選択されたプレート線との間に書き込み電圧VWRITE(書き込み電圧パルス)を印加する。また、ビット線/プレート線ドライバ307は、制御部303から「第1揺らぎ判定電圧印加」を指示する制御信号CONTを受け取ると、同じビット線とプレート線との間に第1揺らぎ判定電圧VFLUC1(第1揺らぎ判定電圧パルス)を印加する。
また、ビット線/プレート線ドライバ307は、制御部303から「読み出し電圧印加」を指示する制御信号CONTを受け取ると、列デコーダ306の出力信号に基づいて、列デコーダ306によって選択されたビット線と選択されたプレート線との間に読み出し電圧VREAD(読み出し電圧パルス)を印加する。その後、ビット線/プレート線ドライバ307は、そのプレート線を流れる電流の電流値を示す信号IREADを制御部303に出力する。
さらに、ビット線/プレート線ドライバ307は、制御部303から「消去電圧印加」を指示する制御信号CONTを受け取ると、列デコーダ306の出力信号に基づいて、列デコーダ306によって選択されたビット線と選択されたプレート線との間に消去電圧VRESET(書き込み電圧パルス)を印加する。また、ビット線/プレート線ドライバ307は、制御部303から「第2揺らぎ判定電圧印加」を指示する制御信号CONTを受け取ると、同じビット線とプレート線との間に第2揺らぎ判定電圧VFLUC2(第2揺らぎ判定電圧パルス)を印加する。
ここで、書き込み電圧VWRITE及び第1揺らぎ判定電圧VFLUC1の電圧値はそれぞれ、例えば−2.4V及び−0.7Vに設定され、それらのパルス幅は100nsに設定される。また、読み出し電圧VREADの電圧値は、例えば+0.4Vに設定される。消去電圧VRESET及び第2揺らぎ判定電圧VFLUC2の電圧値はそれぞれ、例えば+2.0V及び+0.7Vに設定され、それらのパルス幅は100nsに設定される。
[不揮発性記憶装置の動作]
以下、上述しように構成される不揮発性記憶装置300の動作例を、上記の書き込みモード、読み出しモード、及び消去モードの各モードに分けて説明する。
なお、以下では、不揮発性記憶素子が低抵抗状態にある場合をデータ“1”に対応させ、同じく高抵抗状態にある場合をデータ“0”に対応させる。また、説明の便宜上、アドレス信号ADDRESSは、メモリセルMC311のアドレスを示す信号であるものとする。
〔書き込みモード〕
制御部303は、書き込みモードにおいて、実施の形態1において図7Aを参照しながら説明したS105〜S109を実行する。具体的に説明すると、制御部303は、ビット線/プレート線ドライバ307に対して、「書き込み電圧印加」及び「第1揺らぎ判定電圧」をそれぞれ指示する制御信号CONTをこの順に出力する。これにより、メモリセルMC311に対して、「LR書き込み処理」(S105)及び「揺らぎ判定書き込み処理」(S106)が行われることになる。
次に、制御部303は、「読み出し電圧印加」を指示する制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ307に出力し、その後、ビット線/プレート線ドライバ307から受け取った信号IREADに示されている電流値が、不揮発性記憶素子R311が低抵抗状態のときに流れる電流の電流値に相当するか否かを判定する。このようにして「ベリファイリード処理」(S107)が実行される。そして、制御部303は、このベリファイリード処理の結果に基づいて、先のLR書き込みにより設定された低抵抗状態が失われていないかどうか、すなわちメモリセルMC311の不揮発性記憶素子R311が揺らぎやすい状態にあるか否かを判定する(S108)。その結果、不揮発性記憶素子R311が揺らぎやすい状態にあると判定した場合、制御部303は、「書き込み電圧印加」を指示する制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ307に再度出力する。これにより、メモリセルMC311に対して、「再書き込み処理」(S109)が実行されることになる。他方、不揮発性記憶素子R311が揺らぎやすい状態にはないと判定した場合、制御部303は、「再書き込み処理」を行うことなく、メモリセルMC311に対する処理を終了させる。
〔読み出しモード〕
制御部303は、読み出しモードにおいて、「読み出し電圧印加」を指示する制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ307に出力する。これを受けたビット線/プレート線ドライバ307は、ビット線B1とプレート線P1との間に読み出し電圧VREAD(読み出し電圧パルス)を印加し、その後、プレート線P1に流れる電流の電流値を示す信号IREADを制御部303に出力する。
制御部303は、ビット線/プレート線ドライバ307から受け取った信号IREADに示された電流値に応じた出力データDoutを決定し、外部へ出力する。本実施の形態の場合、IREADに示された電流値が、不揮発性記憶素子R311が低抵抗状態のときに流れる電流の電流値に相当する場合、制御部303は、「1」を示す出力データDoutを出力する。他方、IREADに示された電流値が、不揮発性記憶素子R311が高抵抗状態のときに流れる電流の電流値に相当する場合、制御部303は、「0」を示す出力データDoutを出力する。
〔消去モード〕
制御部303は、消去モードにおいて、実施の形態1において図7Aを参照しながら説明したステップS102〜S104、S108及びS109を実行する。具体的に説明すると、制御部303は、ビット線/プレート線ドライバ307に対して、「消去電圧印加」及び「第2揺らぎ判定電圧」をそれぞれ指示する制御信号CONTをこの順に出力する。これにより、メモリセルMC311に対して、「HR書き込み処理」(S102)及び「揺らぎ判定書き込み処理」(S103)が行われることになる。
次に、制御部303は、「読み出し電圧印加」を指示する制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ307に出力し、その後、ビット線/プレート線ドライバ307から受け取った信号IREADに示されている電流値が、不揮発性記憶素子R311が高抵抗状態のときに流れる電流の電流値に相当するか否かを判定する。このようにして「ベリファイリード処理」(S104)が実行される。そして、制御部303は、このベリファイリード処理の結果に基づいて、先のHR書き込みにより設定された高抵抗状態が失われていないかどうか、すなわちメモリセルMC311の不揮発性記憶素子R311が揺らぎやすい状態にあるか否かを判定する(S108)。その結果、不揮発性記憶素子R311が揺らぎやすい状態にあると判定した場合、制御部303は、「消去電圧印加」を指示する制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ307に再度出力する。これにより、メモリセルMC311に対して、「再書き込み処理」(S109)が実行されることになる。他方、不揮発性記憶素子R311が揺らぎやすい状態にはないと判定した場合、制御部303は、「再書き込み処理」を行うことなく、メモリセルMC311に対する処理を終了させる。
以上のことをまとめると、本実施の形態における不揮発性記憶装置300は、主要な構成要素として、(1)第1の電極103と第2の電極105と第1の電極103及び第2の電極105間に介在し、金属酸化物から構成される抵抗変化層104とを備える不揮発性記憶素子R311等と、機能的な構成要素として、(2)第1の電極103及び第2の電極105間に、不揮発性記憶素子R311等の抵抗状態を第1の状態から第2の状態へ変化させるための第1の電圧パルス(書き込み用の電圧パルス)を印加し、その後、第1の電極103及び第2の電極105間に、第1の電圧パルスと同じ極性で、かつ第1の電圧パルスよりも電圧値の絶対値が小さい第2の電圧パルス(揺らぎ判定電圧パルス)を印加する書き込み部と、(3)第2の電圧パルスが印加された後で、不揮発性記憶素子R311等の抵抗状態が第2の状態であるか否かを判定する判定部と、(4)判定部により不揮発性記憶素子R311等の抵抗状態が第2の状態でないと判定された場合、第1の電極103及び第2の電極105間に、不揮発性記憶素子R311等の抵抗状態を第1の状態から第2の状態へ変化させるための第3の電圧パルス(書き込み用の電圧パルス)を印加する再書き込み部とを備える。
ここで、書き込み部、判定部及び再書き込み部は、上述したように、主に、制御部303とビット線/プレート線ドライバ307とによって実現される。
このような構成により、本実施の形態では、不揮発性記憶素子R311等に対する書き込み時においては、通常の書き込みをした後に揺らぎ判定書き込みをし、不揮発性記憶素子R311等が揺らぎやすい状態にあると判定した場合にはデータの再書き込みが行われるので、データの保持特性が向上される。
(実施の形態3)
実施の形態3は、実施の形態1において説明した不揮発性記憶素子を用いて構成される、クロスポイント型の不揮発性記憶装置である。ここで、クロスポイント型の不揮発性記憶装置とは、ワード線とビット線との交点(立体交差点)にアクティブ層を介在させた態様の記憶装置である。以下、この不揮発性記憶装置の構成及び動作について説明する。
[不揮発性記憶装置の構成]
図13は、本発明の実施の形態3に係る不揮発性記憶装置の構成の一例を示すブロック図である。図13に示すように、本実施の形態の不揮発性記憶装置400は、不揮発性記憶素子R11〜R33を具備するメモリセルアレイ401と、アドレスバッファ402と、制御部403と、行デコーダ404と、ワード線ドライバ405と、列デコーダ406と、ビット線ドライバ407とを備えている。また、ビット線ドライバ407はセンス回路を具備しており、ビット線に流れる電流を測定することができる。
メモリセルアレイ401は、互いに平行に延びるように形成された複数のワード線W1、W2、W3と、これらのワード線W1、W2、W3と交差し、互いに平行にして延びるように形成されたビット線B1、B1、B3とを具備している。ここで、ワード線W1、W2、W3は、基板(図示せず)の主面に平行な第1の平面内に形成されており、ビット線B1、B1、B3は、その第1の平面より上方または下方に位置し且つ第1の平面に実質的に平行な第2の平面内に形成されている。そのため、ワード線W1、W2、W3とビット線B1、B1、B3とは立体交差しており、その立体交差点に対応して、複数のメモリセルMC11、MC12、MC13、MC21、MC22、MC23、MC31、MC32、MC33(以下、「メモリセルMC11、MC12、…」と表す)が設けられている。
個々のメモリセルMC11、MC12、…は、それぞれ、直列に接続された不揮発性記憶素子R11、R12、R13、R21、R22、R23、R31、R32、R33と、例えば双方向ダイオードで構成される電流制御素子D11、D12、D13、D21、D22、D23、D31、D32、D33とを具備している。これらの不揮発性記憶素子R11〜R33は、ビット線B1、B1、B3と接続され、電流制御素子D11〜D33は各不揮発性記憶素子及びワード線W1、W2、W3と接続されている。ここで、不揮発性記憶素子R11〜R22は、実施の形態1に係る不揮発性記憶素子100に相当する。また、電流制御素子D11〜D33としては、MIM(Metal Insulator Metal)ダイオード、MSM(Metal Semiconductor Metal)ダイオード、及びバリスタ等を用いることができる。
なお、これらの各構成要素の個数または本数は上記のものに限定されるわけではないことは、実施の形態2の場合と同様である。
アドレスバッファ402は、外部回路(図示せず)からアドレス信号ADDRESSを受け取り、このアドレス信号ADDRESSに基づいて行アドレス信号ROWを行デコーダ404に出力するとともに、列アドレス信号COLUMNを列デコーダ406に出力する。ここで、アドレス信号ADDRESSは、メモリセルMC11、MC12、…のうちの選択されるメモリセルのアドレスを示す信号である。また、行アドレス信号ROWはアドレス信号ADDRESSに示されたアドレスのうちの行のアドレスを示す信号であり、列アドレス信号COLUMNは、同じく列のアドレスを示す信号である。
なお、アドレスバッファ402と、行デコーダ404と、ワード線ドライバ405と、列デコーダ406と、ビット線ドライバ407とは、メモリセルアレイ401から、書き込み又は読み出しの対象となる一つのメモリセル(あるいは、不揮発性記憶素子)を選択する選択回路を構成している。
制御部403は、外部回路から受け取ったモード選択信号MODEに応じて、書き込みモード、消去モード及び読み出しモードのうちのいずれか1つのモードを選択肢、選択したモードに対応する制御を行う。以下、電圧印加の場合、ビット線を基準に各電圧が印加されるものとする。
書き込みモード及び消去モードにおいて、制御部403は、外部回路から受け取った入力データDinに応じて、書き込み電圧パルス及び第1揺らぎ判定電圧パルス、並びに消去電圧パルス及び第2揺らぎ判定電圧パルスをそれぞれワード線ドライバ405に出力する。
また、読み出しモードの場合、制御部403は、読み出し電圧パルスをワード線ドライバ405に出力する。この読み出しモードでは、制御部403はさらに、ビット線B2とワード線W2との間に流れる電流の電流値を検知し、その電流値に応じたビット値を示す出力データDoutを外部回路へ出力する。
なお、書き込みモード及び消去モードにおいても、ベリファイリード処理を行うために、制御部303は、読み出しモードと同様の処理を行う。
行デコーダ404は、アドレスバッファ402から出力された行アドレス信号ROWを受け取り、この行アドレス信号ROWに応じて、ワード線W1、W2、W3のうちのいずれか一つを選択する。ワード線ドライバ405は、行デコーダ404の出力信号に基づいて、行デコーダ404によって選択されたワード線に所定の電圧を印加する。
列デコーダ406は、アドレスバッファ402から出力された列アドレス信号COLUMNを受け取り、この列アドレス信号COLUMNに応じて、ビット線B1、B2、B3のうちのいずれか一つを選択する。
ビット線ドライバ407は、列デコーダ406の出力信号に基づいて、列デコーダ406によって選択されたビット線を接地状態にする。
なお、本実施の形態は、1層型のクロスポイント型の不揮発性記憶装置であるが、メモリセルアレイを積層することにより、複層型のクロスポイント型の不揮発性記憶装置としてもよい。
また、不揮発性記憶素子と電流制御素子とは、その位置関係が入れ替わっていてもよい。すなわち、ワード線が不揮発性記憶素子に、ビット線が電流制御素子にそれぞれ接続されていてもよい。
さらに、ビット線及び/又はワード線が不揮発性記憶素子における電極を兼ねるような構成であってもよい。
[不揮発性記憶装置の動作]
次に、上述したように構成された不揮発性記憶装置400の動作例を、書き込みモード、消去モード及び呼び出しモードの各モードに分けて説明する。なお、ビット線及びワード線を選択する方法、並びに電圧パルスを印加する方法等については、周知のものが利用可能であるため、詳細な説明を省略する。
以下では、メモリセルMC22に対して書き込み/読み出しを行う場合を例にして説明する。なお、一般的に、メモリセルを構成する電流制御素子(ダイオード)のオン抵抗は、トランジスタのオン抵抗よりも高いため、各モードにおいてメモリセルに印加される電圧は、トランジスタで構成されるメモリセルの場合よりも高くなる。
〔書き込みモード〕
制御部403は、書き込みモードにおいて、実施の形態1において図7Aを参照しながら説明したS105〜S109を実行する。具体的に説明すると、メモリセルMC22に“1”を表すデータを書き込む場合、ビット線ドライバ407によりビット線B2が接地され、ワード線ドライバ405によりワード線W2と制御部403とが電気的に接続される。そして、制御部403によって、ワード線W2に書き込み電圧パルスが印加され、さらに、ワード線W2に第1揺らぎ判定電圧パルスが印加される。これにより、メモリセルMC22に対して、「LR書き込み処理」(S105)及び「揺らぎ判定書き込み処理」(S106)が行われることになる。
次に、制御部403は、ワード線ドライバ405を介して、ワード線W2に読み出し電圧パルスを出力し、その後、ビット線B2とワード線W2との間に流れる電流の電流値(メモリセルMC22の不揮発性記憶素子R22の抵抗値に応じた電流値)を検知する。そして、制御部403は、その電流値が、不揮発性記憶素子R22が低抵抗状態のときに流れる電流の電流値に相当するか否かを判定する。このようにして「ベリファイリード処理」(S107)が実行される。そして、制御部403は、このベリファイリード処理の結果に基づいて、先のLR書き込みにより設定された低抵抗状態が失われていないかどうか、すなわちメモリセルMC22の不揮発性記憶素子R22が揺らぎやすい状態にあるか否かを判定する(S108)。その結果、不揮発性記憶素子R22が揺らぎやすい状態にあると判定した場合、制御部403は、書き込み電圧パルスをワード線W2に対して再度出力する。これにより、メモリセルMC22に対して、「再書き込み処理」(S109)が実行されることになる。他方、不揮発性記憶素子R22が揺らぎやすい状態にはないと判定した場合、制御部403は、「再書き込み処理」を行うことなく、メモリセルMC22に対する処理を終了させる。
〔読み出しモード〕
メモリセルMC22に書き込まれているデータを読み出す場合、ビット線ドライバ407によりビット線B2が接地され、ワード線ドライバ405によりワード線W2と制御部403とが電気的に接続される。そして、制御部403により、ワード線W2に読み出し電圧パルスが印加される。
メモリセルMC22に読み出し電圧パルスが印加されると、メモリセルMC22の不揮発性記憶素子R22の抵抗値に応じた電流値を有する電流がビット線B2とワード線W2との間に流れる。制御部403は、この電流の電流値を検知し、その電流値に基づいて不揮発性記憶素子R22の抵抗状態を判定する。ここで、不揮発性記憶素子R22が低抵抗状態であれば、メモリセルMC22に書き込まれているデータが“1”であることが分かる。他方、高抵抗状態であれば、メモリセルMC22に書き込まれているデータが“0”であることが分かる。
〔消去モード〕
制御部403は、消去モードにおいて、実施の形態1において図7Aを参照しながら説明したS102〜S104、S108及びS109を実行する。具体的に説明すると、メモリセルMC22に“0”を表すデータを書き込む場合、ビット線ドライバ407によりビット線B2が接地され、ワード線ドライバ405によりワード線W2と制御部403とが電気的に接続される。そして、制御部403によって、ワード線W2に消去電圧パルスが印加され、さらに、ワード線W2に第2揺らぎ判定電圧パルスが印加される。これにより、メモリセルMC22に対して、「HR書き込み処理」(S102)及び「揺らぎ判定書き込み処理」(S103)が行われることになる。
次に、制御部403は、ワード線ドライバ405を介して、ワード線W2に読み出し電圧パルスを出力し、その後、ビット線B2とワード線W2との間に流れる電流の電流値(メモリセルMC22の不揮発性記憶素子R22の抵抗値に応じた電流値)を検知する。そして、制御部403は、その電流値が、不揮発性記憶素子R22が高抵抗状態のときに流れる電流の電流値に相当するか否かを判定する。このようにして「ベリファイリード処理」(S104)が実行される。そして、制御部403は、このベリファイリード処理の結果に基づいて、先のHR書き込みにより設定された高抵抗状態が失われていないかどうか、すなわちメモリセルMC22の不揮発性記憶素子R22が揺らぎやすい状態にあるか否かを判定する(S108)。その結果、不揮発性記憶素子R22が揺らぎやすい状態にあると判定した場合、制御部403は、消去電圧パルスをワード線W2に対して再度出力する。これにより、メモリセルMC22に対して、「再書き込み処理」(S109)が実行されることになる。他方、不揮発性記憶素子R22が揺らぎやすい状態にはないと判定した場合、制御部403は、「再書き込み処理」を行うことなく、メモリセルMC22に対する処理を終了させる。
以上のことをまとめると、本実施の形態における不揮発性記憶装置400は、主要な構成要素として、(1)第1の電極103と第2の電極105と第1の電極103及び第2の電極105間に介在し、金属酸化物から構成される抵抗変化層104とを備える不揮発性記憶素子R11等と、機能的な構成要素として、(2)第1の電極103及び第2の電極105間に、不揮発性記憶素子R11等の抵抗状態を第1の状態から第2の状態へ変化させるための第1の電圧パルス(書き込み用の電圧パルス)を印加し、その後、第1の電極103及び第2の電極105間に、第1の電圧パルスと同じ極性で、かつ第1の電圧パルスよりも電圧値の絶対値が小さい第2の電圧パルス(揺らぎ判定電圧パルス)を印加する書き込み部と、(3)第2の電圧パルスが印加された後で、不揮発性記憶素子R11等の抵抗状態が第2の状態であるか否かを判定する判定部と、(4)判定部により不揮発性記憶素子R11等の抵抗状態が第2の状態でないと判定された場合、第1の電極103及び第2の電極105間に、不揮発性記憶素子R11等の抵抗状態を第1の状態から第2の状態へ変化させるための第3の電圧パルス(書き込み用の電圧パルス)を印加する再書き込み部とを備える。
ここで、書き込み部、判定部及び再書き込み部は、上述したように、主に、制御部403とビット線ドライバ407とによって実現される。
このような構成により、本実施の形態では、不揮発性記憶素子R11等に対する書き込み時においては、通常の書き込みをした後に揺らぎ判定書き込みをし、不揮発性記憶素子R11等が揺らぎやすい状態にあると判定した場合にはデータの再書き込みが行われるので、データの保持特性が向上される。
(その他の実施の形態)
上記の各実施の形態においては、HR書き込み及びLR書き込みの両方の場合に揺らぎ判定電圧パルスの書き込みを行っているが、いずれか一方の場合のみに行うようにしてもよい。特に、抵抗値の揺らぎ現象は低抵抗状態の場合よりも高抵抗状態の場合の方がより顕著に表れることが観察されていることから、HR書き込みの場合にのみ揺らぎ判定電圧パルスの書き込みを行うようにしてもよい。
また、上記の各実施の形態においては、再書き込み処理(S109)には、通常の書き込み処理(S102またはS105)と同じ条件の電圧パルスが印加される例について説明したが、再書き込み処理の電圧パルスはこれに限定されない。例えば、再書き込み処理の際の電圧パルスが、通常の書き込み処理の際の電圧パルスに比べて電圧値の絶対値が大きくてもよい。これにより、再書き込みを確実が行なわれる。他方、上述のように、再書き込み処理の際の電圧パルスが、通常の書き込み処理の際の電圧パルスと同じである場合には、不揮発性記憶装置の構成(例えば、再書き込み部)を簡素化することができる。
本発明の不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法及び不揮発性記憶装置はそれぞれ、パーソナルコンピュータまたは携帯型電話機などの種々の電子機器に用いられる不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法及び記憶装置などとして有用である。
100、201、R11〜R33、R311〜R322 不揮発性記憶素子
101 基板
102 層間絶縁膜
103 第1の電極
104 抵抗変化層
104a 第1の金属酸化物層
104b 第2の金属酸化物層
105 第2の電極
202 負荷抵抗
203、204 端子
300、400 不揮発性記憶装置
301、401 メモリセルアレイ
302、402 アドレスバッファ
303、403 制御部
304、404 行デコーダ
305、405 ワード線ドライバ
306、406 列デコーダ
307 ビット線/プレート線ドライバ
407 ビット線ドライバ
MC11〜MC33、MC311〜MC322 メモリセル
T311〜T322 選択トランジスタ
D11〜D33 電流制御素子
【0004】
前記第2の電極間に介在し、金属酸化物から構成される抵抗変化層とを備える不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法であって、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を第1の状態から第2の状態へ変化させるための第1の電圧パルスを印加する第1の印加ステップと、前記第1の印加ステップの後で、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記第1の電圧パルスと同じ極性で、かつ前記第1の電圧パルスよりも電圧値の絶対値が小さい第2の電圧パルスを印加する第2の印加ステップと、前記第2の印加ステップの後で、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態であるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップで前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態でないと判定された場合、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を前記第1の状態から前記第2の状態へ変化させるための第3の電圧パルスを印加する第3の印加ステップとを含み、前記判定ステップは、前記第2の印加ステップの後に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を変化させるための他の電圧パルスが印加されることなく実行される。
[0014]
また、上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の不揮発性記憶装置は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極間に介在し、金属酸化物から構成される抵抗変化層とを備える不揮発性記憶素子と、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を第1の状態から第2の状態へ変化させるための第1の電圧パルスを印加し、その後、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記第1の電圧パルスと同じ極性で、かつ前記第1の電圧パルスよりも電圧値の絶対値が小さい第2の電圧パルスを印加する書き込み部と、前記第2の電圧パルスが印加された後で、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態であるか否かを判定する判定部と、前記判定部により前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態でないと判定された場合、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を前記第1の状態から前記第2の状態へ変化させるための第3の電圧パルスを印加する再書き込み部とを備え、前記判定部による判定は、前記書き込み部による前記第2の電圧パルスの印加の後に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を変化させるための他の電圧パルスが印加されることなく実行される。
発明の効果
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極間に介在し、金属酸化物から構成される抵抗変化層とを備える不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法であって、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を第1の状態から第2の状態へ変化させるための第1の電圧パルスを印加する第1の印加ステップと、前記第1の印加ステップの後で、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記第1の電圧パルスと同じ極性で、かつ前記第1の電圧パルスよりも電圧値の絶対値が小さい第2の電圧パルスを印加する第2の印加ステップと、前記第2の印加ステップの後で、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態であるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップで前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態でないと判定された場合、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を前記第1の状態から前記第2の状態へ変化させるための第3の電圧パルスを印加する第3の印加ステップとを含み、前記第2の電圧パルスの電圧値の絶対値は、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態である場合に前記第1の電極及び前記第2の電極間に電圧を印加したときに、前記不揮発性記憶素子に電流が流れ始める最小の電圧以上であり、かつ、前記不揮発性記憶素子の絶縁破壊を引き起こすことがない最大の電圧以下である
また、上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の不揮発性記憶装置は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極間に介在し、金属酸化物から構成される抵抗変化層とを備える不揮発性記憶素子と、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を第1の状態から第2の状態へ変化させるための第1の電圧パルスを印加し、その後、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記第1の電圧パルスと同じ極性で、かつ前記第1の電圧パルスよりも電圧値の絶対値が小さい第2の電圧パルスを印加する書き込み部と、前記第2の電圧パルスが印加された後で、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態であるか否かを判定する判定部と、前記判定部により前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態でないと判定された場合、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を前記第1の状態から前記第2の状態へ変化させるための第3の電圧パルスを印加する再書き込み部とを備え、前記第2の電圧パルスの電圧値の絶対値は、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態である場合に前記第1の電極及び前記第2の電極間に電圧を印加したときに、前記不揮発性記憶素子に電流が流れ始める最小の電圧以上であり、かつ、前記不揮発性記憶素子の絶縁破壊を引き起こすことがない最大の電圧以下である
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の不揮発性記憶素子のデータ書き込
み方法は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極間に介在し、金属酸化物から構成される抵抗変化層とを備える不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法であって、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を第1の状態から第2の状態へ変化させるための第1の電圧パルスを印加する第1の印加ステップと、前記第1の印加ステップの後で、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記第1の電圧パルスと同じ極性で、かつ前記第1の電圧パルスよりも電圧値の絶対値が小さい第2の電圧パルスを印加する第2の印加ステップと、前記第2の印加ステップの後で、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態であるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップで前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態でないと判定された場合、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を前記第1の状態から前記第2の状態へ変化させるための第3の電圧パルスを印加する第3の印加ステップとを含み、前記第1の状態が低抵抗状態であり、前記第2の状態が前記低抵抗状態よりも前記不揮発性記憶素子の抵抗値が高い高抵抗状態であり、前記第2の電圧パルスの電圧値の絶対値は、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記高抵抗状態である場合に前記第1の電極及び前記第2の電極間に電圧を印加したときに、前記不揮発性記憶素子に電流が流れ始める最小の電圧以上であり、かつ、前記不揮発性記憶素子の絶縁破壊を引き起こすことがない最大の電圧以下である。
また、本発明の他の態様の不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極間に介在し、金属酸化物から構成される抵抗変化層とを備える不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法であって、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を第1の状態から第2の状態へ変化させるための第1の電圧パルスを印加する第1の印加ステップと、前記第1の印加ステップの後で、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記第1の電圧パルスと同じ極性で、かつ前記第1の電圧パルスよりも電圧値の絶対値が小さい第2の電圧パルスを印加する第2の印加ステップと、前記第2の印加ステップの後で、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態であるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップで前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態でないと判定された場合、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を前記第1の状態から前記第2の状態へ変化させるための第3の電圧パルスを印加する第3の印加ステップとを含み、前記第1の状態が高抵抗状態であり、前記第2の状態が前記高抵抗状態よりも前記不揮発性記憶素子の抵抗値が低い低抵抗状態であり、前記第2の電圧パルスの電圧値の絶対値は、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記低抵抗状態である場合に前記第1の電極及び前記第2の電極間に電圧を印加したときに、前記不揮発性記憶素子に電流が流れ始める最小の電圧以上であり、かつ、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記低抵抗状態である場合に前記第1の電極及び前記第2の電極間に電圧を印加したときに前記不揮発性記憶素子の低抵抗化の進行を引き起こすことがない最大の電圧以下である。
また、上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の不揮発性記憶装置は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極間に介在し、金属酸化物から構成される抵抗変化層とを備える不揮発性記憶素子と、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を第1の状態から第2の状態へ変化させるための第1の電圧パルスを印加し、その後、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記第1の電圧パルスと同じ極性で、かつ前記第1の電圧パルスよりも電圧値の絶対値が小さい第2の電圧パルスを印加する書き込み部と、前記第2の電圧パルスが印加された後で、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態であるか否かを判定する判定部と、前記判定部により前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態でないと判定された場合、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を前記第1の状態から前記第2の状態へ変化させるための第3の電圧パルスを印加する再書き込み部とを備え、前記第1の状態が低抵抗状態であり、前記第2の状態が前記低抵抗状態よりも前記不揮発性記憶素子の抵抗値が高い高抵抗状態であり、前記第2の電圧パルスの電圧値の絶対値は、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記高抵抗状態である場合に前記第1の電極及び前記第2の電極間に電圧を印加したときに、前記不揮発性記憶素子に電流が流れ始める最小の電圧以上であり、かつ、前記不揮発性記憶素子の絶縁破壊を引き起こすことがない最大の電圧以下である。
また、本発明の他の態様の不揮発性記憶装置は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極間に介在し、金属酸化物から構成される抵抗変化層とを備える不揮発性記憶素子と、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を第1の状態から第2の状態へ変化させるための第1の電圧パルスを印加し、その後、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記第1の電圧パルスと同じ極性で、かつ前記第1の電圧パルスよりも電圧値の絶対値が小さい第2の電圧パルスを印加する書き込み部と、前記第2の電圧パルスが印加された後で、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態であるか否かを判定する判定部と、前記判定部により前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態でないと判定された場合、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を前記第1の状態から前記第2の状態へ変化させるための第3の電圧パルスを印加する再書き込み部とを備え、前記第1の状態が高抵抗状態であり、前記第2の状態が前記高抵抗状態よりも前記不揮発性記憶素子の抵抗値が低い低抵抗状態であり、前記第2の電圧パルスの電圧値の絶対値は、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記低抵抗状態である場合に前記第1の電極及び前記第2の電極間に電圧を印加したときに、前記不揮発性記憶素子に電流が流れ始める最小の電圧以上であり、かつ、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記低抵抗状態である場合に前記第1の電極及び前記第2の電極間に電圧を印加したときに前記不揮発性記憶素子の低抵抗化の進行を引き起こすことがない最大の電圧以下である。

Claims (26)

  1. 第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極間に介在し、金属酸化物から構成される抵抗変化層とを備える不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法であって、
    前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を第1の状態から第2の状態へ変化させるための第1の電圧パルスを印加する第1の印加ステップと、
    前記第1の印加ステップの後で、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記第1の電圧パルスと同じ極性で、かつ前記第1の電圧パルスよりも電圧値の絶対値が小さい第2の電圧パルスを印加する第2の印加ステップと、
    前記第2の印加ステップの後で、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態であるか否かを判定する判定ステップと、
    前記判定ステップで前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態でないと判定された場合、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を前記第1の状態から前記第2の状態へ変化させるための第3の電圧パルスを印加する第3の印加ステップと
    を含む不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法。
  2. 前記第1の状態が低抵抗状態であり、前記第2の状態が前記低抵抗状態よりも前記不揮発性記憶素子の抵抗値が高い高抵抗状態である
    請求項1に記載の不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法。
  3. 前記第2の電圧パルスの電圧値の絶対値は、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記高抵抗状態である場合に前記第1の電極及び前記第2の電極間に電圧を印加したときに前記不揮発性記憶素子に電流が流れ始める最小の電圧以上であり、かつ、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記高抵抗状態である場合に前記第1の電極及び前記第2の電極間に電圧を印加したときに前記不揮発性記憶素子の絶縁破壊を引き起こすことがない最大の電圧以下である
    請求項2に記載の不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法。
  4. 前記最小の電圧は、0.6Vであり、
    前記最大の電圧は、1.3Vである
    請求項3に記載の不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法。
  5. 前記第1の状態が高抵抗状態であり、前記第2の状態が前記高抵抗状態よりも前記不揮発性記憶素子の抵抗値が低い低抵抗状態である
    請求項1に記載の不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法。
  6. 前記第2の電圧パルスの電圧値の絶対値は、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記低抵抗状態である場合に前記第1の電極及び前記第2の電極間に電圧を印加したときに前記不揮発性記憶素子に電流が流れ始める最小の電圧以上であり、かつ、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記低抵抗状態である場合に前記第1の電極及び前記第2の電極間に電圧を印加したときに前記不揮発性記憶素子の低抵抗化の進行を引き起こすことがない最大の電圧以下である
    請求項5に記載の不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法。
  7. 前記最小の電圧は、0.05Vであり、
    前記最大の電圧は、0.75Vである
    請求項6に記載の不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法。
  8. 前記第3の電圧パルスが、前記第1の電圧パルスと同じ電圧値である
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法。
  9. 前記第3の電圧パルスが、前記第1の電圧パルスに比べて電圧値の絶対値が大きい
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法。
  10. 前記金属酸化物がタンタル酸化物である
    請求項1〜9のいずれか1項に記載の不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法。
  11. 前記不揮発性記憶素子は、前記第1の電極及び前記第2の電極間に印加される電圧パルスの極性に応じて、当該不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第1の状態から前記第2の状態、又は、前記第2の状態から前記第1の状態に遷移するバイポーラ型の記憶素子である
    請求項1〜10のいずれか1項に記載の不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法。
  12. 前記抵抗変化層は、第1の金属の酸化物を含む第1の金属酸化物層と、第2の金属の酸化物を含む第2の金属酸化物層とを含む積層構造を有し、
    前記第1の金属酸化物層の酸素不足度は、前記第2の金属酸化物層の酸素不足度よりも大きい
    請求項1〜11のいずれか1項に記載の不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法。
  13. 前記第2の金属酸化物層は、当該第2の金属酸化物層内に、局所的に高い電流密度の電流を流す電流経路であるフィラメントを有する
    請求項12に記載の不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法。
  14. 前記第2の金属酸化物層は、当該第2の金属酸化物層内に、局所的に高い酸素欠陥濃度をもつ領域を有する
    請求項12に記載の不揮発性記憶素子のデータ書き込み方法。
  15. 第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極間に介在し、金属酸化物から構成される抵抗変化層とを備える不揮発性記憶素子と、
    前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を第1の状態から第2の状態へ変化させるための第1の電圧パルスを印加し、その後、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記第1の電圧パルスと同じ極性で、かつ前記第1の電圧パルスよりも電圧値の絶対値が小さい第2の電圧パルスを印加する書き込み部と、
    前記第2の電圧パルスが印加された後で、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態であるか否かを判定する判定部と、
    前記判定部により前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第2の状態でないと判定された場合、前記第1の電極及び前記第2の電極間に、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態を前記第1の状態から前記第2の状態へ変化させるための第3の電圧パルスを印加する再書き込み部と
    を備える不揮発性記憶装置。
  16. 前記第1の状態が低抵抗状態であり、前記第2の状態が前記低抵抗状態よりも前記不揮発性記憶素子の抵抗値が高い高抵抗状態である
    請求項15に記載の不揮発性記憶装置。
  17. 前記第2の電圧パルスの電圧値の絶対値は、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記高抵抗状態である場合に前記第1の電極及び前記第2の電極間に電圧を印加したときに前記不揮発性記憶素子に電流が流れ始める最小の電圧以上であり、かつ、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記高抵抗状態である場合に前記第1の電極及び前記第2の電極間に電圧を印加したときに前記不揮発性記憶素子の絶縁破壊を引き起こすことがない最大の電圧以下である
    請求項16に記載の不揮発性記憶装置。
  18. 前記最小の電圧は、0.6Vであり、
    前記最大の電圧は、1.3Vである
    請求項17に記載の不揮発性記憶装置。
  19. 前記第1の状態が高抵抗状態であり、前記第2の状態が前記高抵抗状態よりも前記不揮発性記憶素子の抵抗値が低い低抵抗状態である
    請求項15に記載の不揮発性記憶装置。
  20. 前記第2の電圧パルスの電圧値の絶対値は、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記低抵抗状態である場合に前記第1の電極及び前記第2の電極間に電圧を印加したときに前記不揮発性記憶素子に電流が流れ始める最小の電圧以上であり、かつ、前記不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記低抵抗状態である場合に前記第1の電極及び前記第2の電極間に電圧を印加したときに前記不揮発性記憶素子の低抵抗化の進行を引き起こすことがない最大の電圧以下である
    請求項19に記載の不揮発性記憶装置。
  21. 前記最小の電圧は、0.05Vであり、
    前記最大の電圧は、0.75Vである
    請求項20に記載の不揮発性記憶装置。
  22. 前記金属酸化物がタンタル酸化物である
    請求項15〜21のいずれか1項に記載の不揮発性記憶装置。
  23. 前記不揮発性記憶素子は、前記第1の電極及び前記第2の電極間に印加される電圧パルスの極性に応じて、当該不揮発性記憶素子の抵抗状態が前記第1の状態から前記第2の状態、又は、前記第2の状態から前記第1の状態に遷移するバイポーラ型の記憶素子である
    請求項15〜22のいずれか1項に記載の不揮発性記憶装置。
  24. 前記抵抗変化層は、第1の金属の酸化物を含む第1の金属酸化物層と、第2の金属の酸化物を含む第2の金属酸化物層とを含む積層構造を有し、
    前記第1の金属酸化物層の酸素不足度は、前記第2の金属酸化物層の酸素不足度よりも大きい
    請求項15〜23のいずれか1項に記載の不揮発性記憶装置。
  25. 前記第2の金属酸化物層は、当該第2の金属酸化物層内に、局所的に高い電流密度の電流を流す経路であるフィラメントを有する
    請求項24に記載の不揮発性記憶装置。
  26. 前記第2の金属酸化物層は、当該第2の金属酸化物層内に、局所的に高い酸素欠陥濃度をもつ領域を有する
    請求項24に記載の不揮発性記憶装置。
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