JPWO2013021854A1 - 携帯機器用カバーガラス及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明にかかる携帯機器用カバーガラスの製造方法の構成は、アルカリ金属イオンを含有するガラス基板の表面に印刷処理を施す印刷処理工程を含む携帯機器用カバーガラスの製造方法であって、ガラス基板の表面のうち印刷処理工程において印刷処理を施される印刷領域における水(水滴)の接触角と、印刷されたガラス基板における印刷品質とが相関関係を有することを利用し、当該携帯機器用カバーガラスにおいて求められる印刷品質を満たす水の接触角を有するガラス基板に対して印刷処理工程を行うことを特徴とする。

Description

本発明は、携帯電話やスマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)などの携帯機器の表示画面の保護に用いられる携帯機器用カバーガラス及びその製造方法に関する。
携帯電話やスマートフォン、PDAなどの携帯機器においては、液晶パネルなどの表示装置を保護するために、表示装置の外側に透明な保護板が配置される。保護板としてはアクリルなどの樹脂が多く用いられているが、樹脂の保護板はたわみやすいため、板厚を厚くしたり、表示装置との間隙を多く取ったりする必要がある。そこで、上記の表示装置の保護板として、ガラス素材からなるカバーガラスが普及し始めている。ガラスは硬度が高いためにたわみが少なく、薄型化に寄与することができる。
しかしながら、ガラスは、割れるという特性を有しているため、高い強度が要求されている携帯機器用カバーガラスでは、薄型化によって不足しがちな強度を向上させる必要がある。強度を向上させるための手法としては、カバーガラスの外形に切り抜かれたガラス基板を化学強化することが提案されている(化学強化処理)。この化学強化処理によって、表面に圧縮応力が作用するイオン交換層を形成することで、撓みが抑えられ、また十分な強度が得られるため破損しにくくなる。
上記の化学強化処理を行うためには、カバーガラスとなるガラス基板は、その処理を実施可能な組成である必要がある。具体的には、化学強化処理として、ガラス中のアルカリ金属イオンを、そのアルカリ金属イオンよりもイオン半径の大きいイオンと交換するイオン交換処理を行う。したがって化学強化を行う場合には、その対象となるガラス基板は、アルカリ金属イオンを含有する組成である必要がある。
ところで、一般に、カバーガラスは、大きい一枚の板状ガラスから任意の形状のガラス基板を複数枚抜き出し、この抜き出されたガラス基板を加工することにより製造される。これにより、カバーガラスを1枚1枚製造する場合よりも高い生産性が得られる。そして、板状ガラスから抜き出されたガラス基板は、上述した化学強化処理等の工程が行われた後に、その表面に所望の文字または模様等の印刷が施されてカバーガラスとなる。例えば特許文献1では、強化ガラス板(ガラス基板)の表面に、文字または模様の印刷を施したフィルムを貼付したり、文字または模様を焼付け塗装したりしている。
特開2003−140558号公報
上述したように、携帯機器用カバーガラスはユーザに最も目視される表示画面の保護に用いられるため、極めて高い品質が求められ、且つ要求されている印刷パターンを正確に印刷する必要がある。印刷パターンとしては、特許文献1に例示される文字や模様に加えて、表示領域の周囲を縁取る枠も印刷されることがある。近年の携帯機器用カバーガラスでは、印刷品質もより高いレベルが求められており、インクの僅かな弾き等による印刷不良が発生すると不良品となる場合があった。
本発明はこのような課題に鑑み、印刷不良を防ぎ、歩留まりを向上することが可能な携帯機器用カバーガラスの製造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために発明者が精査したところ、ガラス基板を製造してから印刷処理工程までの保管が印刷不良の発生に影響することがわかった。これは保管中の、周囲環境からの汚染物のガラス基板への付着、梱包材から発生した異物のガラス基板表面への移着、またはガラス基板に含まれるアルカリ金属イオンと大気中の水(湿気)や二酸化炭素との反応によるいわゆるヤケ生成物の発生等により、ガラス基板表面が変質したことが原因と推察された。そこで、発明者は鋭意検討し、変質してしまったガラス基板の表面を改質することで印刷不良を解消することができると考えた。
しかしながら、保管されたガラス基板のすべてにおいて印刷不良が生じるわけではないため、すべてのガラス基板に対して改質する処理を施すことは、非効率的であり且つ製造コストの増大を招くこととなる。故に好ましくは、それらのガラス基板のうち、印刷処理時に不具合が生じうるガラス基板を選別し、そのガラス基板にのみ改質する処理を施すべきである。このため、発明者は更なる検討を重ねた結果、意外にも、ガラス基板表面における水の接触角と印刷不良の間に相関関係があることを見出した。
詳細には、印刷処理工程前までの工程を終えて保管されたガラス基板であっても、表面状態が変化しなければ、換言すれば表面に変質が生じていなければ、印刷処理工程前までの工程を終えたときの水の接触角とほぼ同じ接触角になり、一方、保管時においてガラス基板の表面に変質が生じていたら、その変質によって表面における水の接触角が増大すると考えられる。そして、印刷すべき領域におけるガラス基板の水の接触角を管理することで、印刷不良を低減させることができることに想到し、更に研究を重ねることにより本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる携帯機器用カバーガラスの製造方法の代表的な構成は、アルカリ金属イオンを含有するガラス基板の表面に印刷処理を施す印刷処理工程を含む携帯機器用カバーガラスの製造方法であって、ガラス基板の表面のうち印刷処理工程において印刷処理を施される印刷領域における水の接触角と、印刷されたガラス基板における印刷品質とが相関関係を有することを利用し、当該携帯機器用カバーガラスにおいて求められる印刷品質を満たす水の接触角を有するガラス基板に対して印刷処理工程を行うことを特徴とする。
上記構成では、上述した相関関係を利用して、水の接触角が、求められる印刷品質を満たす範囲であったガラス基板にのみ印刷処理工程を行っている。すなわち、水の接触角によって、良好に印刷可能なガラス基板と、印刷不良が生じ得るガラス基板とを選別し、良好に印刷可能なガラス基板のみに印刷処理工程を行っている。このような構成により、印刷不良となるカバーガラスを発生させることなく、良好に印刷されたカバーガラスを得ることができ、携帯機器用カバーガラスの歩留まり、ひいては生産効率の向上を図り、製造コストを抑制することが可能となる。
当該携帯機器用カバーガラスにおいて求められる印刷品質を満たさない水の接触角を有するガラス基板に対して、印刷処理工程を行う直前にガラス基板をと接触させる水の接触角を調整する調整工程後、印刷処理工程を行うとよい。かかる酸性溶液に接触させる処理により、上述したように、水の接触角によって印刷不良が生じ得ると判断されたガラス基板の表面を改質することができる。したがって、そのようなガラス基板においても不具合なく印刷処理を施すことができ、良好に印刷されたカバーガラスとすることが可能となる。
本発明にかかる携帯機器用カバーガラスの製造方法の他の構成は、アルカリ金属イオンを含有するガラス基板の表面に対して印刷処理が施される携帯機器用カバーガラスの製造方法であって、ガラス基板の表面のうち印刷処理を施される印刷領域における水の接触角と、印刷されたガラス基板における印刷品質とが相関関係を有することを利用し、当該携帯機器用カバーガラスにおいて求められる印刷品質を満たすべく、印刷処理を行う直前に、ガラス基板表面の水の接触角を調整する調整工程を行うことを特徴とする。
上記構成によれば、印刷領域での水の接触角と、印刷されたガラス基板における印刷品質との相関関係を利用して、印刷処理を行う前のガラス基板への水の接触角が、当該携帯機器用カバーガラスにおいて求められる印刷品質を満たす範囲内であるか否か、すなわちかかるガラス基板において印刷処理時の不具合が生じる可能性があるか否かを判断することができる。そして、その相関関係に基づいて、印刷処理前にガラス基板表面の水の接触角を調整することによりガラス基板表面の変質に起因する印刷不良を防ぐことができる。したがって、携帯機器用カバーガラス製造時の歩留まりの向上を図ることができる。
上記の調整工程の後、ガラス基板表面に印刷処理を施す印刷処理工程を行うとよい。上述したように調整工程においてガラス基板表面に対する水の接触角を調整すれば、その後の印刷処理工程時における印刷不良の発生を回避することが可能である。
上記の調整工程は、ガラス基板を酸性溶液に接触させるものであるとよい。水の接触角が、求められる印刷品質を満たさない、換言すれば上記範囲外であったガラス基板にこのような酸性溶液に接触させる処理を行うと、ガラス基板表面が改質される。これにより、ガラス基板の接触角が低下し、求められる印刷品質を満たす範囲内となるため、ガラス基板を、良好に印刷されたカバーガラスとすることが可能となる。
上記のガラス基板は、化学強化可能なガラス組成であるとよい。これによりカバーガラスにおいて高い強度を得ることができる。
また、本発明にかかる携帯機器用カバーガラスの製造方法は、アルカリ金属イオンを含有するガラス基板からなる、携帯機器用カバーガラスの製造方法であって、ガラス基板に印刷処理を施す印刷処理工程を少なくとも含み、印刷処理工程を行う直前にガラス基板の印刷を行う領域に対して水の接触角を低下させる処理を施すことを特徴とする。
本発明にかかる携帯機器用カバーガラスの製造方法は、アルカリ金属イオンを含有するガラス基板からなる、携帯機器用カバーガラスの製造方法であって、ガラス基板に印刷処理を施す印刷処理工程を少なくとも含み、印刷処理工程を行う直前にガラス基板を酸性溶液と接触させることを特徴とする。
上記構成によれば、印刷処理工程前のガラス基板表面を酸性溶液に接触させることによりガラス基板表面が改質され水の接触角を上述した範囲内に調整可能となる。これにより、印刷処理工程前に表面が変質したガラス基板における、インク弾き等の印刷処理工程時の不具合を解消することができるため、携帯機器用カバーガラスの歩留まりを向上することが可能となる。
本発明にかかる携帯機器用カバーガラスの代表的な構成は、化学強化可能なガラス組成であり、主表面の少なくとも一方に印刷が施される携帯機器用カバーガラスであって、ガラス基板の主表面の印刷が施される領域の水の接触角が、30度以下であることを特徴とする。
携帯機器用カバーガラスとなるガラス基板において、主表面の印刷が施される領域の水の接触角を上記範囲内とすることにより、ガラス基板表面の変質に起因する印刷不良を抑制することができる。したがって、印刷後の携帯機器用カバーガラスを良好なものとすることができ、製造時の歩留まりを向上させることが可能となる。
本発明によれば、印刷不良を防ぎ、歩留まりを向上することが可能な携帯機器用カバーガラス及びその製造方法を提供することができる。
携帯機器用カバーガラスを備える携帯機器の一例を示す分解図である。 カバーガラスおよびガラス基板の一例を示す平面図である。 カバーガラスおよびガラス基板の一例を示す平面図である。 ガラス基板における水の接触角について説明する模式図である。 ガラス基板における水の接触角について説明する模式図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、携帯機器用カバーガラスを備える携帯機器の一例を示す分解図である。なお、図1では、携帯機器の一例として携帯端末100(携帯電話)を示すが、これに限定するものではない。後に詳述する本実施形態の製造方法によって製造された携帯機器用カバーガラス(以下、カバーガラス120と称する)は、PDA、携帯用ゲーム機、携帯用カメラ機等の携帯機器、すなわち携帯可能な機器であれば如何なるものにも適用可能である。また本実施形態では、タッチパネル式の携帯端末100の例を示すが、表示部と操作部とが別構成の携帯端末であってもよい。
図1に示す携帯端末100は、タッチパネル機であり、筐体102の正面部の全体を覆う大型のカバーガラス120を備えている。携帯端末100の筐体102には、主基板104、液晶パネルや有機ELパネルなどの表示画面106をなす表示装置、スピーカー108、ボタン110等が収容されている。またカバーガラス120の内側(表示画面106側)には、タッチパネル機能を実現するための透明電極114を有するフィルム112が配置されている。透明電極114には、フレキシブルケーブルからなる配線116が取り付けられており、透明電極114は、コネクタ(不図示)を介して主基板104と電気的に接続されている。なお、透明電極114として静電容量式の透明電極を用いる場合には、透明電極114は、フィルム112におけるカバーガラス120側の面に配置される。他方、透明電極114として感圧式の透明電極を用いる場合には、フィルム112における表示画面106側の面に配置される。
カバーガラス120は、携帯端末100の表示画面106を保護するために取り付けられている。また、カバーガラス120の形状は、略矩形状である。カバーガラス120の長手方向の一端部には、スピーカー用孔部132が形成されている。カバーガラス120の長手方向の他端部には、複数のボタン用孔部134が形成されている。なお、本実施形態においては、表示画面106を保護するカバーガラス120を例示するが、カバーガラス120は、例えばカメラのレンズ部を保護するカバーガラスや、携帯機器の筐体を保護するカバーガラス等であってもよい。
図2は、カバーガラス120およびガラス基板の一例を示す平面図であり、図2Aは図1に示すカバーガラス120の平面図であり、図2Bは図2Aのカバーガラス120となるガラス基板の平面図である。なお、理解を容易にするために、図1においてカバーガラス120に施されている枠塗装122を図2Aでは黒塗りで示し、その枠塗装122が施される印刷領域130aを図2Bではハッチングで示している。
図2Aに示すように、カバーガラス120は全体的にほぼ矩形の板状であり、図2Bに示すように、このカバーガラス120となるガラス基板130は、かかるカバーガラス120と略同一の形状である。カバーガラス120は、図2Bに示すガラス基板130の外周部の印刷領域130aに、後述する印刷処理によって枠塗装122を施すことによって構成される。携帯端末100に内蔵される表示画面106は縁部に非表示領域があり、また表示装置の側面と筐体102の側壁との間には間隙が設けられている。更に、透明電極114の配線116がカバーガラス120の内側の外周縁に設けられている。ここで、枠塗装122は、これらの非表示領域や隙間、配線などを隠すために設けられている。また、枠塗装122は、例えば黒や白などの塗料が塗布されて形成される。
上述したようにカバーガラス120は、携帯端末100においてユーザに最も目視される表示画面106を保護する。このため、枠塗装122においてインクの弾き等の印刷不良が発生すると、その枠塗装122は外観不良品となる。故に、カバーガラス120は、ガラス基板130上の印刷領域130a(枠塗装122)を目視で観察したときにインクの弾き等がない状態、換言すれば印刷品質が満たされた状態であることが求められる。そこで本実施形態では、印刷不良を防ぎ、歩留まりを向上することが可能な携帯機器用カバーガラスの製造方法を提供することを目的としている。
次に、本実施形態の携帯機器用カバーガラスの製造方法について説明する。かかる製造方法では、まず板状ガラス(不図示)を個片化してガラス基板130を成形する。板状ガラスは、溶融ガラスから直接シート状に成型したもの、あるいは、ある厚さに成型されたガラス体を所定の厚さに成型し、主表面を研磨して所定の厚さに仕上げたものを使用することができる。特に、溶融ガラスから直接シート状に成型した場合には、板状ガラスの主表面がマイクロクラックのない表面状態を有するため好ましい。溶融ガラスから直接シート状に成型する方法としては、ダウンドロー法、フロート法などが挙げられる。
板状ガラスは、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラス、結晶化ガラスなどで構成されていることが好ましい。中でも、SiO、Al、LiO及び/又はNaOを含有したアルミノシリケートガラスであることが好ましい。Alは、後述する化学強化においてイオン交換性能を向上させるため有用である。LiOは、化学強化においてNa+イオンとイオン交換させるための成分である。NaOは、化学強化においてK+イオンとイオン交換させるための成分である。
アルミノシリケートガラスとして、その組成成分は、SiO:50〜75重量%、Al:5〜20重量%、LiO、NaO、KOから選ばれるアルカリ金属酸化物のうち少なくとも一種を含有するガラスであることが好ましい。さらに、本発明に係るアルミノシリケートガラスは、NaO:8重量%以上、MgO:6重量%以下(0を含む)、CaO:7重量%以下(0を含む)、ZrO2:10重量%以下(0を含む)含有することが好ましい。
すなわち、本実施形態の板状ガラス、ひいてはそれを個片化して成形されるガラス基板130は、化学強化可能なアルカリ金属イオンを含有するガラス素材である。このようにガラス基板130が化学強化可能なガラス組成であることにより、化学強化によって高い強度を得ることができる。ここで、アルカリ金属イオンを含有するガラス素材では、化学強化後から印刷処理までの保管状態によっては印刷不良が生じることが発明者の研究により明らかになっているが、本実施形態にかかる製造方法であれば、後述するようにガラス基板130への水の接触角を利用することにより、枠塗装122が良好に印刷されたカバーガラス120を製造することができる。
本実施形態では、上記のガラス基板130の成形をエッチングによって行う。詳細には、板状ガラスの主表面にレジストパターンを形成し、エッチャントでエッチングすることによりガラス基板130を切り抜いて成形する。このようにエッチングによって成形することにより、端面はエッチング処理面となって非常に高い平滑性を有し、機械加工では必ず生じるマイクロクラックが生じないため、携帯端末用カバーガラスに求められる高い強度を得ることができる。また、機械加工では困難な複雑な形状であっても、容易に加工することができる。
エッチング方法は、湿式エッチング(ウェットエッチング)、乾式エッチング(ドライエッチング)のいずれであってもよい。ウェットエッチングに使用するエッチャントは、板状ガラスを食刻できるものであればよい。例えば、フッ酸を主成分とする酸性溶液や、フッ酸に硫酸、硝酸、塩酸、ケイフッ酸のうち少なくとも一つの酸を含む混酸などを用いることができる。ドライエッチングに使用するエッチャントは、板状ガラスを食刻できるものであればよいが、例えばフッ素系ガスを使用することができる。
なお、上記説明ではエッチングによってガラス基板130を成形する(個片化する)場合を例示したが、これに限定するものではなく、機械加工等、他の方法を用いて成形することも当然にして可能である。ただし、機械加工を用いる場合はマイクロクラックが生じやすい傾向があるため、その対策を施すことが好ましい。
続いて、成形されたガラス基板130に対して、イオン交換処理により化学強化を行う。化学強化は、ガラスの表層面のイオンをイオン半径の大きな他のイオンと交換することにより、ガラス表面に圧縮応力層を形成し、機械的強度をさらに高める処理である。化学強化は、例えば、硝酸カリウムや硝酸ナトリウムなどの溶融塩を用い、温度300℃〜450℃、1時間〜30時間の処理を行うことにより、ガラス中のLi+イオンを溶融塩中のNa+イオンと、ガラス中のNa+イオンを溶融塩中のK+イオンと交換する。化学強化により形成する圧縮応力層は5μm以上あればよい。圧縮応力層の厚みは、好ましくは50μm以上、さらに好ましくは100μmが望ましい。
また、ガラス基板130(カバーガラス120)に含有されるアルカリ金属イオンは、酸化物換算したときのLi、NaおよびKの合計量が全体に対して12〜18.5重量%の範囲内であるとよい。ただし、このような組成のカバーガラスは化学強化処理に起因するヤケ、ひいてはそれによる表面状態の変化が生じやすい。このため、本発明が特に有効である。
なお、化学強化は、本実施形態のようにガラス基板130を切り抜いた後に行うことが好ましい。これにより、ガラス基板130の端面も化学強化されるため、カバーガラス120(ガラス基板130)を携帯端末100に装着する際、欠けや割れが生じることを防止できるからである。ただし、これに限定するものではなく、個片化する前の板状ガラスの状態において化学強化を行うことも可能である。
化学強化を終えたら、ガラス基板130に付着している溶融塩やその他の付着物を取り除くために、ガラス基板130を洗浄する。洗浄方法としては、水などの洗浄液で洗い流す方法や、洗浄液に浸漬する浸漬法、洗浄液を流しながら回転するロール体をガラス基板130に接触させるスクラブ洗浄法などを利用することができる。浸漬法では、洗浄液に超音波を印加した状態で実施してもよい。
成形から化学強化後の洗浄までを終えたガラス基板130は、印刷処理工程での印刷処理によって表面に枠塗装122が印刷されてカバーガラス120となる。ここで、化学強化後の洗浄を終えたガラス基板130は、そのまま次の印刷処理工程に進むこともあり、他方で、保管された後に印刷処理工程に進むこともある。このうち、洗浄後にすぐに印刷処理が行われる場合には然程問題はないが、保管した後に印刷処理が行われる場合、ガラス基板130は、汚染物の付着やヤケ等によるガラス基板表面の変質による印刷不良が発生することがある。
そこで、本実施形態では、カバーガラス120において求められる印刷品質を満たすべく、印刷処理を行う直前に、ガラス基板130の表面の水の接触角を測定し、印刷品質を満たす水の接触角を有するガラス基板130に対して印刷処理工程を行う。また、印刷品質を満たさない水の接触角を有するガラス基板に対しては、印刷処理工程を行う直前に水の接触角を調整する調整工程を行う。このとき、以下に詳述するように、ガラス基板130の表面のうち印刷領域130a(印刷処理工程において印刷処理を施される領域)における水の接触角と、印刷されたガラス基板130(カバーガラス120)における印刷品質とが相関関係を有することを利用する。
ここで、接触角とは、固体表面に滴下された液滴の表面張力によって、固体表面と液滴の接線とがなす角のことである。接触角は、固体表面への液滴の濡れ性を評価する指標であり、接触角が大きい場合、固体表面での液滴の濡れ性が悪い、すなわち弾きが生じ易い傾向があるとされる。一方、接触角が小さい場合、固体表面での液滴の濡れ性が良い、すなわち弾きが生じにくい傾向があると評価することができる。
成形から化学強化後の洗浄までを終えたガラス基板130すなわちカバーガラス120は、印刷処理工程での印刷処理によって表面に枠塗装122が印刷される。上述した調整工程を行った後、ガラス基板130の表面のうち印刷領域130aに印刷処理を施す印刷処理工程を行う。これにより、ガラス基板130の印刷領域130aに枠塗装122が施されたカバーガラス120が製造される。印刷用インキとしては、樹脂成分として、エポキシ、フェノール、ポリエステル、ポリイミド、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリビニルブチラール、アクリロニトリルブタジエンスチレンの一種類以上を含有する熱硬化型またはUV硬化型を使用できる。
ここで、化学強化後の洗浄を終えたカバーガラス120はそのまま次の印刷処理工程に進みこともある一方、様々な条件で保管された後に印刷処理工程が行われることもある。このうち、洗浄後にすぐに印刷処理が行われる場合には然程問題はないが、保管した後に印刷処理が行われる場合、ガラス基板130は、汚染物の付着やヤケ等によるガラス基板表面の変質による印刷不良が発生することがある。
そこで本実施形態では、カバーガラス120において求められる印刷品質を満たすべく、カバーガラス120となるガラス基板130(ガラス)において、印刷が施される主表面(本実施形態においては、枠塗装122が印刷される印刷領域130aを有する側の主表面)の水の接触角を管理する。具体的には、かかる主表面の水の接触角を30度以下の範囲内とする。
図3は、ガラス基板130における水の接触角について説明する模式図である。接触角の測定方法としては、液滴法を好適に用いることができる。図3に示すように、本実施形態では、ガラス基板130の印刷領域130a(図2B参照)の表面(固体表面)と、それに滴下した水滴150(液滴)の接線152とがなす接触角θを求める。なお測定はJIS R3257の静滴法に準拠して行った。
インク弾き等の不具合がない、すなわち印刷品質を満たした良品のカバーガラス120となるガラス基板130では、図3Aに示すように水(水滴150)の接触角θが小さい。これに対し、インク弾き等の不具合が生じ、印刷品質が満たせず印刷不良品となってしまうカバーガラス120のガラス基板130では、図3Bに示すように水(水滴150)の接触角θが大きい。このように、ガラス基板130の印刷領域における水の接触角と印刷品質とには相関関係がある。したがって、この相関関係を利用すれば、印刷処理工程前のガラス基板130の接触角θを、印刷品質を満たすことが可能な範囲に調整することができる。したがって、印刷不良を防ぎ、カバーガラス製造時の歩留まりを向上させることが可能となる。
本実施形態では、ガラス基板130の表面の水の接触角を調整する調整工程として酸性溶液に接触させた。この酸性溶液に接触する処理を行うことによって、ガラス基板130の表面が改質されて接触角が低下し、カバーガラス120に求められる印刷品質を満たす範囲内となる。このため、ガラス基板130に良好な印刷を施すことが可能となる。
なお酸性溶液に接触する処理(調整工程)を行うタイミングとしては、印刷処理の直前であることが好ましい。この場合において直前とは、酸性溶液処理(調整工程)と印刷処理の間に他の工程を有さないことを意味している。他の工程とは、洗浄工程、成形工程(エッチング)、および保管工程を含む。このような他の工程を経ると、調整工程によって調整したガラス基板表面の水の接触角がふたたび変化してしまう可能性があるためである。
上述した調整工程を行った後、ガラス基板130の表面のうち印刷領域130aに印刷処理を施す印刷処理工程を行う。これにより、ガラス基板130の印刷領域130aに枠塗装122が施されたカバーガラス120が製造される。本実施形態では、調整工程においてガラス基板130の表面に対する水の接触角θが調整されているため、この印刷処理工程時における印刷不良の発生が抑制され、枠塗装122が良好に印刷されたカバーガラス120を得ることができる。
上記の印刷処理に用いられる印刷用インキとしては、樹脂成分として、エポキシ、フェノール、ポリエステル、ポリイミド、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリビニルブチラール、アクリロニトリルブタジエンスチレンの一種類以上を含有する熱硬化型またはUV硬化型を使用できる。
なお、上記の実施形態では、印刷処理前のガラス基板130すべてに対して調整工程を実施する場合を例示したが、これに限定するものではない。例えば、上述した相関関係を利用して、カバーガラス120において求められる印刷品質を満たす水の接触角θを有する(水の接触角θが印刷品質を満たす範囲であった)ガラス基板130にのみ印刷処理工程を行ってもよい。
すなわち、かかる構成では、上述した相関関係を利用し、印刷処理工程前のガラス基板130の接触角θが、カバーガラス120に求められる印刷品質を満たす範囲内である(良好に印刷可能な)ガラス基板130と、かかる範囲外の(印刷不良が生じ得る)ガラス基板130とを選別する。そして、良好に印刷可能であったガラス基板130に対して印刷処理工程を行う。これにより、印刷不良となるカバーガラス120を発生させることなく、良好に印刷されたカバーガラス120を得ることができる。
一方、印刷処理工程前のガラス基板130の接触角θが、カバーガラス120に求められる印刷品質を満たす範囲内でなかったら(印刷品質を満たさない角度であったら)、そのガラス基板130は、そのまま印刷処理を行うと印刷不良品のカバーガラス120となる可能性がある。そこで本実施形態では、このようなガラス基板130に対して調整工程として酸性溶液への接触させた後、印刷処理工程を行う。これにより、ガラス基板130の表面を改質して、その接触角θを、カバーガラス120に求められる印刷品質を満たす範囲内にすることができるため、不具合なく印刷処理を施すことができ、良好に印刷されたカバーガラス120とすることが可能となる。
上記構成によれば、ガラス基板130における水の接触角と印刷品質との相関関係を利用することにより、かかるガラス基板130に印刷不良が生じるか否かを判別可能となる。したがって、酸性溶液に接触する処理(調整工程)を行う必要があるガラス基板130を選別することができる。そして、良好に印刷可能なガラス基板130はそのまま印刷処理を行い、印刷不良が生じる可能性があるガラス基板130には酸性溶液処理後に印刷処理を行うことにより、カバーガラス120の歩留まりを向上させ、生産効率の向上ひいては製造コストを削減することが可能となる。
なお、本実施形態においては、ガラス基板130の成形(個片化)、化学強化、印刷処理の順に実施することによりカバーガラス120を製造したが、これに限定するものではない。カバーガラス120の製造工程では、少なくとも印刷処理を化学強化の後に行えばよく、それら以外の順序は適宜変更することが可能である。例えば、カバーガラス120の製造工程は、化学強化、印刷処理、ガラス基板の成形(個片化)という順序や、化学強化、ガラス基板の成形(個片化)、印刷処理という順序であってもよい。
上記説明したようにカバーガラス120(ガラス基板130)に対する水の接触角を管理するために、カバーガラス120の製造工程において、印刷処理工程を行う直前にガラス基板130を酸性溶液と接触させるとよい。これによりガラス基板130表面が改質され水の接触角を上述した範囲内に調整することができる。
(実施例)
以下、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。以下の例では、(1)成形工程としてのガラス基板形状加工工程、(2)化学強化工程、(3)印刷処理工程を順に行ってカバーガラスを製造した。例1−12(表1参照)では水の接触角と印刷品質の関係を測定・評価した。
(1)ガラス基板形状加工工程
フロート法で製造されたアルミノシリゲートガラスからなる厚さ0.5mmの板ガラスから所定の大きさに切り出してカバーガラス用ガラス基板を作製した。このアルミノシリケートガラスのガラス組成は、SiO:63.5〜66.5重量%、Al:14.5〜17.5重量%、LiO:2〜5重量%、NaO:9〜12重量%、MgO:0〜3重量%、CaO: 1〜4重量%、ZrO2:0〜3重量、また酸化物換算したときのLi、NaおよびKの合計量が13〜16重量%含有する化学強化用ガラスを使用した。
板ガラスの切り出しはエッチングによって行った。すなわち、上記板ガラスの両面にそれぞれレジストを塗布し、所定の露光、現像を行って、カッティングラインのパターンを有するレジストパターンをもつレジストを形成した。そしてこのレジストをマスクとして、ガラス素材をエッチングするエッチング液(例えばフッ酸を含有する酸性溶液など)を用いてウェットエッチングすることにより小片(10cm×5cm)に切り出し、残ったレジストを除去し、洗浄した。
(2)化学強化工程
次に、上記形状加工を終えたガラス基板に化学強化を施した。化学強化は硝酸カリウムと硝酸ナトリウムを混合した化学強化液を約380℃に加熱し上記形状加工後のガラス基板を約4時間浸漬して化学強化処理を行なった。化学強化を終えたガラス基板を硫酸、アルカリ洗剤、純水、純水、IPA、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、超音波洗浄し、乾燥した。
化学強化処理を行ったガラス基板の水の接触角を、JIS R3257に準拠した静滴法を用い測定した。測定は1枚のガラス基板の10箇所で実施しその平均値を測定値とした。
(3)印刷処理工程
上記の測定品から水の接触角が異なるサンプルを準備し、印刷処理工程を実施した。この印刷処理工程では、ガラス基板の外周部(印刷を施す領域)に、スクリーン印刷によって所定の印刷層(インキ層)の枠塗装を形成した。印刷用インキは、樹脂成分としてエポキシを含有する熱硬化型を使用した。
印刷処理工程後のカバーガラスの印刷品質を目視で評価した。表1に水の接触角と印刷品質の測定・評価結果を示す。なお、印刷品質のランクは次の通りである。
ランク○:インクの弾きなし
ランク×:インクの弾きあり(弾き部分が小)
ランク××:インクの弾きあり(弾き部分が大)
ここで、弾きとは、カバーガラスの印刷領域内で本来印刷すべき部分に印刷されない部分が発生する現象である。ランク○は製品に対する印刷品質上の問題がないレベルである。これに対して、ランク×と××は印刷品質上の問題が発生する可能性があるレベルである。弾き部分が小さい場合をランク×、大きい場合をランク××とした。ここでランク×とランク××の大きさの境界は約100umである。
Figure 2013021854
表1において、水の接触角は例1−4が約25度、例5−8が約40度、そして例9−12が約50度であり、それぞれの印刷品質ランクが○、×、××であったことから、水の接触角と印刷品質は相関関係を有することが分かる。水の接触角が小さいほど印刷品質が向上する関係がある。この要因はガラス基板の水の接触角が小さいほどインクの付着性(濡れ性)が良好になりその結果インクの弾きが抑制され印刷品質が良好になったと推定される。
また本例のガラス組成および印刷工程にて樹脂成分として、エポキシを含有する熱硬化型のインキを使用した場合、水の接触角が30度以下の場合印刷品質が良好であることが分かる。
またダウンドロー法で製造された、ガラス組成としてSiO:62〜65重量%、Al:12.5〜15.5重量%、LiO:4.5〜7.5重量%、NaO:9〜12重量%、MgO:0〜3重量%、CaO: 0〜3重量%、ZrO2:4.5〜7.5重量、また酸化物換算したときのLi、NaおよびKの合計量が15〜18重量%含有するアルミナシリケート化学強化用ガラスを使用して、樹脂成分として、ポリメタクリル酸メチルを含むUV硬化型のインクを使用して、同様な実験を行った結果、水の接触角と印刷品質には相関があり、水の接触角が小さいほど印刷品質が良好になる例1〜12と同様な結果を得た。この実験でも水の接触角が30度以下に低下した場合、その印刷品質が問題のないレベルであった。
例13−18(表2参照)では調整工程としてガラス基板を酸性溶液に接触させたときの水の接触角の変化を調べた。表2に酸性溶液への接触(調整工程)前後の水の接触角の測定結果を示す。例13−18は上記例1−12と同様に水の接触角を測定し、水の接触角が異なるガラス基板を準備した。次に上記ガラス基板を酸性溶液に接触させる調整工程を実施後、ガラス基板の水の接触角を測定した。この調整工程で使用した酸性溶液は硫酸溶液である。濃度約15重量%、温度約45℃、浸漬時間約3分間の条件で、硫酸溶液にガラス基板を浸漬し接触させた。この酸性溶液はpH≦3である。なお、水の接触角の測定方法、測定値の求め方は例1−12と同様である。
次に調整工程後のガラス基板の水の接触角を測定し、その直後に印刷処理を実施し印刷品質を評価した。表2に酸性溶液への接触(調整工程)前後の水の接触角の測定結果および調整工程後の印刷品質の評価結果を示す。水の接触角の測定方法、測定値の求め方は例1〜12と同様である。また印刷処理および印刷品質の評価も例1〜12と同様の方法で実施した。
Figure 2013021854
表2から水の接触角が約36(例13)〜約50度(例17)のガラス基板は酸性溶液への接触(調整工程)により、約17度〜約24度になり、このことから酸性溶液に接触することにより水の接触角を大幅に低下することが分かる。また酸性溶液へ接触する前に水の接触角が印刷品質で問題となる30度を超えていたガラス基板は、酸性溶液に接触させることにより、30度以下になり印刷品質の問題が発生しないレベルに向上したことが分かる。なお上記例13−18と同等の水の接触角のガラス基板を酸性溶液に接触させず、純水に接触させたが、水の接触角は30度以下にはならなかった。
またダウンドロー法で製造された、ガラス組成としてSiO:62〜65重量%、Al:12.5〜15.5重量%、LiO:4.5〜7.5重量%、NaO:9〜12重量%、MgO:0〜3重量%、CaO: 0〜3重量%、ZrO2:4.5〜7.5重量、また酸化物換算したときのLi、NaおよびKの合計量が15〜18重量%含有するアルミナシリケート化学強化用ガラスを使用して、樹脂成分として、ポリメタクリル酸メチルを含むUV硬化型のインクを使用して、同様な実験を行った結果、酸性溶液に接触させる処理が水の接触角を低下する例13〜18と同様な結果を得た。この実験でも水の接触角が30度以下に低下し、その印刷品質が問題のないレベルであった。
以上から、ガラス組成としてSiO:62〜66.5重量%、Al:12.5〜17.5重量%、LiO:2〜5.5重量%、NaO:9〜12重量%、MgO:0〜3重量%、CaO: 0〜4重量%、ZrO2:0〜7.5重量、また酸化物換算したときのLi、NaおよびKの合計量が13〜18重量%を含有するアルミノシリケートガラスに、樹脂成分としてエポキシまたはポリメタクリル酸メチルなどを含む、熱硬化型およびUV硬化型のインクにより印刷した場合、水の接触角と印刷品質には相関があり、水の接触角が小さいほど印刷品質が良好になり、水の接触角が30度以下で印刷品質が問題のないレベルとなることが分かる。
以上の説明では、ガラス基板の水の接触角を管理することにより、印刷不良を低減させた。しかしながら、本実施の形態の印刷処理工程に代えて、ガラス基板の主表面に対してITO(酸化インジウムスズ)等の透明導電膜(又はSiO2等の透明性を有する絶縁性物質膜)の成膜処理を施す成膜処理工程や、例えばパーフルオロポリエーテル化合物などのフッ素系樹脂材料等の防汚性材料のコーティング処理をガラス基板に対して施すコーティング処理工程を行っても良い。防汚性材料のコーティング処理や、透明導電膜等の成膜処理についても、水の接触角を管理することが有効である。つまり、防汚性材料のコーティング不良や、透明導電膜の成膜不良を低減させたり、各機能膜のガラス基板に対する付着安定性を向上させたりすることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、携帯電話やスマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)などの携帯機器の表示画面の保護に用いられる携帯機器用カバーガラスの製造方法に利用することができる。

Claims (10)

  1. アルカリ金属イオンを含有するガラス基板の表面に印刷処理を施す印刷処理工程を含む携帯機器用カバーガラスの製造方法であって、
    前記ガラス基板の表面のうち前記印刷処理工程において印刷処理を施される印刷領域における水の接触角と、印刷されたガラス基板における印刷品質とが相関関係を有することを利用し、
    当該携帯機器用カバーガラスにおいて求められる印刷品質を満たす水の接触角を有するガラス基板に対して前記印刷処理工程を行うことを特徴とする携帯機器用カバーガラスの製造方法。
  2. 当該携帯機器用カバーガラスにおいて求められる印刷品質を満たさない水の接触角を有するガラス基板に対して、前記印刷処理工程を行う前に前記ガラス基板を酸性溶液と接触させる水の接触角を調整する調整工程後、前記印刷処理工程を行うことを特徴とする請求項1に記載の携帯機器用カバーガラスの製造方法。
  3. アルカリ金属イオンを含有するガラス基板の表面に対して印刷処理が施される携帯機器用カバーガラスの製造方法であって、
    前記ガラス基板の表面のうち前記印刷処理を施される印刷領域における水の接触角と、印刷されたガラス基板における印刷品質とが相関関係を有することを利用し、
    当該携帯機器用カバーガラスにおいて求められる印刷品質を満たすべく、印刷処理を行う前に、前記ガラス基板表面の水の接触角を調整する調整工程を行うことを特徴とする携帯機器用カバーガラスの製造方法。
  4. 前記調整工程の後、ガラス基板表面に印刷処理を施す印刷処理工程を行うことを特徴とする請求項3に記載の携帯機器用カバーガラスの製造方法。
  5. 前記調整工程は、ガラス基板を酸性溶液と接触させるものであることを特徴とする請求項3または4に記載の携帯機器用カバーガラスの製造方法。
  6. 前記ガラス基板は、化学強化可能なガラス組成であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の携帯機器用カバーガラスの製造方法。
  7. アルカリ金属イオンを含有するガラス基板からなる、携帯機器用カバーガラスの製造方法であって、
    前記ガラス基板に印刷処理を施す印刷処理工程を少なくとも含み、
    前記印刷処理工程を行う前に前記ガラス基板の印刷を行う領域に対して水の接触角を低下させる処理を施すことを特徴とする携帯機器用カバーガラスの製造方法。
  8. 前記ガラス基板の水の接触角を低下させる処理は、該ガラス基板を酸性溶液と接触させるものであることを特徴とする請求項7に記載の携帯機器用カバーガラスの製造方法。
  9. 化学強化可能なガラス組成であり、主表面の少なくとも一方に印刷が施される携帯機器用カバーガラスであって、
    前記ガラス基板の主表面の前記印刷が施される領域の水の接触角が、30度以下であることを特徴とする携帯機器用カバーガラス。
  10. 前記印刷処理では、エポキシ、フェノール、ポリエステル、ポリイミド、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリビニルブチラール、アクリロニトリルブタジエンスチレンの一種類以上を含有する熱硬化型またはUV硬化型の樹脂を用いることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の携帯機器用カバーガラスの製造方法。
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