JPWO2013027651A1 - 強化ガラス基板の製造方法および強化ガラス基板 - Google Patents
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Abstract
化学強化後の板状ガラス材をエッチング処理により切断して小片化しても破損や破壊等が生じないようにする。板状ガラス材をイオン交換処理により化学強化する化学強化工程と、化学強化後の前記板状ガラス材をエッチング処理により切断する形状加工工程と、を含むガラス基板の製造方法であって、前記化学強化工程にて、前記板状ガラス材の板厚をt[μm]、前記板状ガラス材における前記圧縮応力層の厚さをd[μm]、前記圧縮応力層の最大圧縮応力値をF[MPa]、前記圧縮応力層の圧縮応力積算値をX[MPa・μm]、前記引張応力層の厚さをt2[μm]、前記引張応力層の平均引張応力値をTave[MPa]とし、X=F?d、t2=t−2dかつTave=X/t2の関係が成り立つときに、7≰Tave<50[MPa]の条件を満たすように前記イオン交換処理を行う。
Description
本発明は、例えば携帯機器(携帯型電子機器)等の電子機器用のカバーガラスに適した強化ガラス基板の製造方法、および強化ガラス基板に関する。
携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯機器等の電子機器は、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等の表示画面部分がカバーガラスによって保護されている。カバーガラスとしては、例えば表層部に圧縮応力層が形成された強化ガラスが用いられる。このようなカバーガラスは、例えば、以下に述べる手順で製造される。先ず、板状ガラス材を所定形状に切断して、小片化されたガラス基板を得る。次いで、小片化されたガラス基板を溶融塩に浸漬して化学強化する。その後、化学強化されたガラス基板の表面に、必要に応じて反射防止膜等の各種の機能膜を成膜する。このようにして得られたガラス基板(以下、「強化ガラス基板」と称することもある)がカバーガラスとなる(例えば特許文献1参照)。すなわち、特許文献1に記載の技術では、板状ガラス材に対する切断を行った後に小片化されたガラス基板に対する化学強化処理を実施してカバーガラスを得るようになっている。
板状ガラス材の切断については、機械的に行うスクライブ切断ではなく、ウエットエッチング(ケミカルエッチング)処理によって行ったり(例えば特許文献2参照)、ドライエッチング処理によって行うことが提案されている(例えば特許文献3参照)。また、特許文献3に記載の技術では、板状ガラス材に対して各種機能膜を成膜した後に、板状ガラス材と合わせて各種機能膜をエッチング処理で切断することも提案されている。
ところで、板状ガラス材の切断は、化学強化処理の実施前(すなわち圧縮応力層の形成前)であれば容易に行うことができるが、表層部に圧縮応力層が形成された後には、当該圧縮応力層の形成前に比べて、板状ガラス材に対する切断の際に破損や破壊等が生じ易くなる。例えば、スクライブ切断を風冷強化ガラスまたは化学強化ガラスに対して行おうとした場合、風冷強化ガラスでは粉々に粉砕してしまい、化学強化ガラスではスクライブ線に沿って分割できなかったり、あるいはスクライブ切断により得られたガラス基板が想定荷重よりも小さな荷重で破壊することが指摘されている(例えば特許文献4参照)。そのため、特許文献4に記載の技術では、化学強化ガラスをスクライブ線に沿って的確に切断するために、圧縮応力層の厚みを10μm〜30μmの範囲内とし、かつ、圧縮応力の値を30kgf/mm2〜60kgf/mm2(=294MPa〜588MPa)の範囲内とした化学強化ガラスを用いることが提案されている。
近年、携帯機器用のカバーガラスについては、生産性向上および強度や耐傷性等の商品性の向上が強く求められている。
カバーガラスの生産性を向上させるためには、板状ガラス材に対して化学強化処理を実施し、さらに必要に応じて各種機能膜の成膜や印刷加飾等の処理を行った後に、当該板状ガラス材を所定形状に切断する、という手順の製造プロセスを経ることが考えられる。このような手順を経れば、小片化されたガラス基板のそれぞれに対して個別に化学強化処理等を実施するのではなく、板状ガラス材の段階で纏めて化学強化処理等を実施することになり、生産効率の向上が図れるからである。
その一方で、カバーガラスの商品性を向上させるためには、圧縮応力層を厚く、当該圧縮応力層における圧縮応力を大きくして、カバーガラスの強度向上や薄板化等を実現することが考えられる。
しかしながら、上述した生産性向上を図るための製造プロセスでは、化学強化処理後の板状ガラス材を切断することになるため、特許文献1〜3に記載の技術のように当該切断を化学強化処理前に行う場合に比べて、当該切断による小片化の際にガラス基板に破損や破壊等が生じ易くなる。この点については、特許文献4に記載の技術のように圧縮応力層の厚みおよび圧縮応力の値を設定することが考えられるが、その場合にはカバーガラスの強度向上や薄板化等に十分に対応し得るとはいえない。
また、化学強化処理後の板状ガラス材をエッチングにより切断する場合は、機械加工と異なり、ガラスを加工する際のクラックの発生を減らすことができるが、化学強化処理によって形成される応力層(圧縮応力層や引張応力層)が不適切な場合は、加工中に微細な割れや傷が生じることがある。つまり、上述した従来技術では、カバーガラスの生産性向上と商品性向上とを併せて実現することが困難である。
そこで、本発明は、板状ガラス材の状態で化学強化処理等を実施した後に、板状ガラス材をエッチング処理により切断して小片化するにあたり、化学強化処理によって形成される応力層を適性化することにより、化学強化後の板状ガラス材をエッチング処理により小片化しても破損や破壊等が生じることなく、得られるガラス基板の商品性向上を図ることができる強化ガラス基板の製造方法、ならびに強化ガラス基板を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために案出されたものである。
本発明の第1の態様は、板状ガラス材に対するイオン交換処理により当該板状ガラス材の表層部を圧縮応力層とし当該表層部以外の深層部を引張応力層とする化学強化工程と、前記化学強化工程を経た後の前記板状ガラス材に対するエッチング処理により当該板状ガラス材を切断して小片化されたガラス基板を得る形状加工工程と、を含む強化ガラス基板の製造方法であって、アルカリ金属酸化物含有のアルミノシリケートガラスからなる前記板状ガラス材を用意し、前記化学強化工程にて、前記板状ガラス材の板厚をt[μm]、前記圧縮応力層の厚さをd[μm]、前記圧縮応力層の最大圧縮応力値をF[MPa]、前記圧縮応力層の圧縮応力積算値をX[MPa・μm]、前記引張応力層の厚さをt2[μm]、前記引張応力層の平均引張応力値をTave[MPa]とし、X=F×d、t2=t−2dかつTave=X/t2の関係が成り立つときに、7≦Tave<50[MPa]の条件を満たすように前記イオン交換処理を行うことを特徴とする強化ガラス基板の製造方法である。
本発明の第2の態様は、板状ガラス材に対するイオン交換処理により当該板状ガラス材の表層部を圧縮応力層とし当該表層部以外の深層部を引張応力層とする化学強化工程と、前記化学強化工程を経た後の前記板状ガラス材に対するエッチング処理により当該板状ガラス材を切断して小片化されたガラス基板を得る形状加工工程と、を含む強化ガラス基板の製造方法であって、アルカリ金属酸化物含有のアルミノシリケートガラスからなる前記板状ガラス材を用意し、前記化学強化工程では、前記エッチング処理によって前記板状ガラス材の破損が生じない引張応力となるように前記イオン交換処理を行うことを特徴とする強化ガラス基板の製造方法である。
本発明の第3の態様は、第1の態様及び第2の態様のいずれかに記載の発明において、前記化学強化工程の後、前記形状加工工程の前に、前記イオン交換処理が行われた前記板状ガラス材の少なくとも一方の表面に、一層以上の加飾層を形成する加飾層形成工程を含み、前記加飾層形成工程の後に行う前記形状加工工程にて、前記加飾層が形成された前記板状ガラス材を前記エッチング処理によって切断することを特徴とする。
本発明の第4の態様は、第3の態様に記載の発明において、前記加飾層形成工程は、前記板状ガラス材の端面を保持した状態で主表面に印刷処理を施す印刷処理を含むことを特徴とする。
本発明の第5の態様は、第3の態様及び第4の態様のいずれかに記載の発明において、前記加飾層形成工程は、導電性層と透明導電層とを主表面に形成する処理を含むことを特徴とする。
本発明の第6の態様は、第1の態様乃至第5の態様のいずれかに記載の強化ガラス基板の製造方法であって、前記板状ガラス材として、SiO2:50〜75重量%と、Al2O3:5〜20重量%と、Li2O、Na2OおよびK2Oから選ばれるアルカリ金属酸化物のうち少なくとも一種を含むガラスを用いることを特徴とする。
本発明の第7の態様は、第6の態様に記載の強化ガラス基板の製造方法であって、前記板状ガラス材として、Na2Oを8重量%以上、CaOを8重量%以下(0を含む)含むガラスを用いることを特徴とする。
本発明の第8の態様は、第1の態様乃至第7の態様のいずれかに記載の強化ガラスの製造方法であって、前記強化ガラス基板は、電子機器用カバーガラスとされるガラス基板であることを特徴とする。
本発明の第9の態様は、アルカリ金属酸化物含有のアルミノシリケートガラスからなり、表層部に圧縮応力層を有するとともに深層部に引張応力層を有する強化ガラス基板であって、前記アルミノシリケートガラスの板厚をt[μm]、前記圧縮応力層の厚さをd[μm]、前記圧縮応力層の最大圧縮応力値をF[MPa]、前記圧縮応力層の圧縮応力積算値をX[MPa・μm]、前記引張応力層の厚さをt2[μm]、前記引張応力層の平均引張応力値をTave[MPa]とし、X=F×d、t2=t−2dかつTave=X/t2の関係が成り立つときに、7≦Tave<50[MPa]の条件を満たすイオン交換処理が施され、さらに、当該強化ガラス基板の端面がエッチング処理された面であることを特徴とする強化ガラス基板である。
本発明の第10の態様は、第9の態様に記載の強化ガラス基板であって、前記強化ガラス基板の端面は、主表面における厚さ方向外側に凸となるように湾曲する一対の湾曲面と、これらの湾曲面からガラス基材の面方向外側へ向けて突出する頂部とを有していることを特徴とする。
本発明の第11の態様は、第9の態様及び第10の態様のいずれかに記載の強化ガラス基板であって、前記強化ガラス基板の端面の少なくとも一部の領域には、圧縮応力層が形成されていないことを特徴とする。
本発明の第12の態様は、第9の態様乃至第11の態様のいずれかに記載の発明において、前記アルミノシリケートガラスは、ガラス成分として、SiO2:50〜75重量%と、Al2O3:5〜20重量%と、Li2O、Na2OおよびK2Oから選ばれるアルカリ金属酸化物のうち少なくとも一種を含むガラスであることを特徴とする。
本発明の第13の態様は、第12の態様に記載の発明において、前記アルミノシリケートガラスは、Na2Oを8重量%以上、CaOを8重量%以下(0を含む)含むガラスであることを特徴とする。
本発明の第14の態様は、第9の態様乃至第13の態様のいずれかに記載の発明において、前記強化ガラス基板は、電子機器用カバーガラスとされるガラス基板であることを特徴とする。
本発明は、板状ガラス材の状態で化学強化を行った後に、当該板状ガラス材をエッチング処理により切断しても破損や破壊等が生じることなく小片化することができることから、強化ガラス基板の製造における生産性を向上させることができる。しかも、小片化した強化ガラス基板の商品性向上を図ることができる。つまり、本発明によれば、製造される強化ガラス基板の生産性向上と商品性向上とを併せて実現することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態では、先ず、被製造物であるガラス基板について説明し、次いで、ガラス基板の製造方法の概要、当該製造方法における特徴的な工程、および、本実施形態における効果について、順に説明する。
<1.ガラス基板>
本実施形態では、被製造物となるガラス基板として、携帯機器用のカバーガラスを例に挙げる。
本実施形態では、被製造物となるガラス基板として、携帯機器用のカバーガラスを例に挙げる。
図1は、カバーガラスを装着した携帯機器の一部の構成例を示す断面図である。
図例の携帯機器において、カバーガラス1は、当該携帯機器が備える画像表示パネル2をその表示画面から間隔Dを開けて覆うように配設されている。これにより、画像表示パネル2は、その表示画面部分がカバーガラス1によって保護されることになる。なお、図例では、表示画面部分の構成に着目しており、他の構成部分については図示を省略している。また、図例では、画像表示パネル2が液晶表示パネルである場合、すなわち一対のガラス基板21,22が液晶層23を挟持して構成されている場合を示しているが、画像表示パネル2はこれに限定されることはなく、例えば有機ELパネルであっても構わない。また、携帯機器の表示画面部分を保護するカバーガラス1のほかに、携帯機器の筐体用のガラス基板として用いることもできる。
図2は、化学強化ガラスの内部応力分布を模式的に示す側断面図である。
カバーガラス1としては、イオン交換処理がされた化学強化ガラスを用いる。化学強化ガラスは、外表面(表裏面の両方を含む)から板厚方向所定深さの表層部に、圧縮応力が生じている層である圧縮応力層1aを備えている。また、表層部以外の深層部(すなわち板厚方向中央近傍部分)には、引張応力が生じている層である引張応力層1bを備えている。
これらのガラス基板を携帯電子機器のカバーに使用した場合、表示部の表面に露出するガラス表面には圧縮応力層が形成されているので、この圧縮応力層による耐傷性が発揮される。さらに、圧縮応力層作用により表面に微細なクラックや傷が生じた場合であっても、ガラス内部へのクラックの進行を防止することができるので、高い機械的強度を維持することができる。
このような化学強化ガラスを用いれば、その板厚が薄い場合であっても高い機械的強度を維持することができる。また、このように板厚が薄い化学強化ガラスをカバーガラス1として携帯機器に装着すれば、高い機械的強度のためカバーガラス1が外力によって撓み難くなり、カバーガラス1と画像表示パネル2の表示画面との間隔を狭く設定することができる。その結果、携帯機器の薄型化を図ることが可能となる。
<2.ガラス基板の組成>
また、本発明に係るガラス基板に用いるガラスとしては、アルカリ金属酸化物を含有するアルミノシリケートガラスを好ましく用いることができる。アルミノシリケートガラスはイオン交換型化学強化方法により好ましい圧縮応力、圧縮応力層、引張応力を精密に発揮させることができるので、本発明の作用を好ましく得ることができる。このような、アルミノシリケートガラスとして、その組成成分は、SiO2:50〜75重量%、Al2O3:5〜20重量%、Li2O、Na2O、K2Oから選ばれるアルカリ金属酸化物のうち少なくとも一種を含有するガラスであることが好ましい。さらに、本発明に係るアルミノシリケートガラスは、Na2O:8重量%以上、CaO:8重量%以下(0を含む)含有することが好ましい。
また、本発明に係るガラス基板に用いるガラスとしては、アルカリ金属酸化物を含有するアルミノシリケートガラスを好ましく用いることができる。アルミノシリケートガラスはイオン交換型化学強化方法により好ましい圧縮応力、圧縮応力層、引張応力を精密に発揮させることができるので、本発明の作用を好ましく得ることができる。このような、アルミノシリケートガラスとして、その組成成分は、SiO2:50〜75重量%、Al2O3:5〜20重量%、Li2O、Na2O、K2Oから選ばれるアルカリ金属酸化物のうち少なくとも一種を含有するガラスであることが好ましい。さらに、本発明に係るアルミノシリケートガラスは、Na2O:8重量%以上、CaO:8重量%以下(0を含む)含有することが好ましい。
また、本発明に係るアルミノシリケートガラスの組成成分は、SiO2:50〜75重量%、Al2O3:5〜20重量%、B2O3:0〜5重量%(0を含む)、Na2O:8〜25重量%、Li2O:0〜6重量%(0を含む)、K2O:15%以下(0を含む)であることが好ましい。
本発明に適用される化学強化用のガラス基板は、SiO2,Al2O3およびNa2Oを含有し、必要に応じて、B2O3,Li2O,K2O,MgO,CaO,SrO,BaO,ZnO、ZrO2、Fe2O3およびSnO2などを含有することができる。
(SiO2)
SiO2は、ガラス基板に用いるガラスの骨格をなす必須成分であり、ガラスの化学的耐久性と耐熱性を高める効果を有する。その含有率が50%未満では、ガラス基板を形状加工するためにエッチングを行うときのエッチングレートは向上する傾向にあるものの、ガラス化が困難であり、上記効果も十分に得ることができない。他方、含有率が75%を超えると、ガラスが失透を起こしやすくなり、ガラス原料の熔融や成形が困難になるとともに、粘性が上昇してガラスの均質化が困難になるので、ダウンドロー法を利用した安価なガラスの大量生産が困難となる。また、含有率が75%を超えると、低温粘性が過度に上昇することによってイオン交換速度が低下するため、イオン交換により化学強化した場合にも十分な強度を得ることができない。したがって、SiO2の含有率は、50〜75%であり、53〜70%が好ましく、55〜67%がより好ましく、58〜65%がより一層好ましく、60〜65%が特に好ましい。なお、本実施形態では、低温粘性とは107.6dPa・s近傍における温度とする。
SiO2は、ガラス基板に用いるガラスの骨格をなす必須成分であり、ガラスの化学的耐久性と耐熱性を高める効果を有する。その含有率が50%未満では、ガラス基板を形状加工するためにエッチングを行うときのエッチングレートは向上する傾向にあるものの、ガラス化が困難であり、上記効果も十分に得ることができない。他方、含有率が75%を超えると、ガラスが失透を起こしやすくなり、ガラス原料の熔融や成形が困難になるとともに、粘性が上昇してガラスの均質化が困難になるので、ダウンドロー法を利用した安価なガラスの大量生産が困難となる。また、含有率が75%を超えると、低温粘性が過度に上昇することによってイオン交換速度が低下するため、イオン交換により化学強化した場合にも十分な強度を得ることができない。したがって、SiO2の含有率は、50〜75%であり、53〜70%が好ましく、55〜67%がより好ましく、58〜65%がより一層好ましく、60〜65%が特に好ましい。なお、本実施形態では、低温粘性とは107.6dPa・s近傍における温度とする。
(Al2O3)
Al2O3はガラス基板に用いるガラスの骨格をなす必須成分であり、ガラスの化学的耐久性と耐熱性、さらにはイオン交換性能やエッチングによって形状加工を行うときのエッチングレートを高める効果を有している。Al2O3の含有率が5%未満では、上記効果が十分に得られない。他方、Al2O3の含有率が20%を超えると、ガラスの熔融が困難となり、ガラスの粘性が上昇して成形が困難になる。このため、ダウンドロー法を利用した安価なガラスの大量生産が困難となる。また、Al2O3の含有率が20%を超えると耐酸性が過剰に低下するので、保護部材として用いられるカバーガラスとしては好ましくない。また、Al2O3の含有率が20%を超えると、ガラスが失透を起こしやすくなり、耐失透性も低下するので、ダウンドロー法に適用できない。したがって、Al2O3の含有率は5〜20%であり、5〜17%が好ましく、7〜16%がより好ましい。
Al2O3はガラス基板に用いるガラスの骨格をなす必須成分であり、ガラスの化学的耐久性と耐熱性、さらにはイオン交換性能やエッチングによって形状加工を行うときのエッチングレートを高める効果を有している。Al2O3の含有率が5%未満では、上記効果が十分に得られない。他方、Al2O3の含有率が20%を超えると、ガラスの熔融が困難となり、ガラスの粘性が上昇して成形が困難になる。このため、ダウンドロー法を利用した安価なガラスの大量生産が困難となる。また、Al2O3の含有率が20%を超えると耐酸性が過剰に低下するので、保護部材として用いられるカバーガラスとしては好ましくない。また、Al2O3の含有率が20%を超えると、ガラスが失透を起こしやすくなり、耐失透性も低下するので、ダウンドロー法に適用できない。したがって、Al2O3の含有率は5〜20%であり、5〜17%が好ましく、7〜16%がより好ましい。
なお、本実施形態では、SiO2含有率をXとし、Al2O3含有率をYとしたとき、X−1/2・Yが57.5%以下であることが好ましい。X−1/2・Yが57.5%以下であると、ガラス基板のエッチングレートを効果的に向上させることができる。X−1/2・Yの好ましい範囲は、56%以下がより好ましく、55%以下がより一層好ましい。
他方、上記X−1/2・Yが45%未満であると、エッチングレートは5μm/分以上であるものの、失透温度が高くなるため耐失透性が低下してしまう。したがって、耐失透性とエッチングレート向上の両立を実現させるためには、上記X−1/2・Yが45%以上であることが好ましく、47%以上であることがより好ましく、50%以上が特に好ましい。
(B2O3)
B2O3はガラスの粘性を下げて、ガラス基板に用いるガラスの熔解および清澄を促進する任意成分である。その含有率が5%を超えると、ガラスの耐酸性が低下するとともに、揮発が増加してガラスの均質化が困難になる。また、揮発が増加することでガラスにムラが生じ、ガラス基板のエッチングにもムラが生じる。つまり、ガラスの領域によってエッチングレートが不均一となってしまうため、B2O3を過剰に含有したガラス基板は、高精度が求められる形状加工のためのエッチングなどには不向きである。さらに、含有率が5%を超えると、歪点も過剰に低下してしまい、ガラス基板に熱処理を施す際にガラスが変形してしまうという不都合が生じる。したがって、B2O3の含有率は0〜5%であることが好ましく、0〜3%がより好ましく、0〜2%未満がより一層好ましく、0.01%未満であって不純物を除き意図的に含有させないことが特に好ましい。B2O3の含有率を0〜5%とすることで、エッチングレートを向上させるという効果に加え、エッチングのムラを防止することができ、より品質の高いカバーガラスを得ることができる。
B2O3はガラスの粘性を下げて、ガラス基板に用いるガラスの熔解および清澄を促進する任意成分である。その含有率が5%を超えると、ガラスの耐酸性が低下するとともに、揮発が増加してガラスの均質化が困難になる。また、揮発が増加することでガラスにムラが生じ、ガラス基板のエッチングにもムラが生じる。つまり、ガラスの領域によってエッチングレートが不均一となってしまうため、B2O3を過剰に含有したガラス基板は、高精度が求められる形状加工のためのエッチングなどには不向きである。さらに、含有率が5%を超えると、歪点も過剰に低下してしまい、ガラス基板に熱処理を施す際にガラスが変形してしまうという不都合が生じる。したがって、B2O3の含有率は0〜5%であることが好ましく、0〜3%がより好ましく、0〜2%未満がより一層好ましく、0.01%未満であって不純物を除き意図的に含有させないことが特に好ましい。B2O3の含有率を0〜5%とすることで、エッチングレートを向上させるという効果に加え、エッチングのムラを防止することができ、より品質の高いカバーガラスを得ることができる。
(Na2O)
Na2Oは、イオン交換成分であり、ガラス基板に用いるガラスの高温粘性を低下させて、ガラスの熔融性や成形性を向上させる必須成分である。また、Na2Oは、ガラスの耐失透性を改善する成分である。Na2Oの含有率が8%未満ではガラスの熔融性が低下し、熔融のためのコストが高くなってしまう。また、Na2Oの含有率が8%未満ではイオン交換性能も低下してしまうため、十分な強度を得ることができない。また、Na2Oの含有率が8%未満では熱膨張率が過度に低下し、金属や有機系接着剤などの周辺材料と熱膨張係数が整合し難くなる。さらに、Na2Oの含有率が8%未満ではガラスが失透を起こしやすくなり、耐失透性も低下するので、ダウンドロー法に適用できない。このため、安価なガラスの大量生産が困難となる。他方、含有率が25%を超えると、低温粘性が低下し、熱膨張率が過度に大きくなり、耐衝撃性が低下し、金属や有機系接着剤などの周辺材料と熱膨張係数が整合し難くなる。したがって、Na2Oの含有率は、8〜25%であり、10〜20%がより好ましく、12〜20%がより一層好ましく、13〜19%が特に好ましい。
Na2Oは、イオン交換成分であり、ガラス基板に用いるガラスの高温粘性を低下させて、ガラスの熔融性や成形性を向上させる必須成分である。また、Na2Oは、ガラスの耐失透性を改善する成分である。Na2Oの含有率が8%未満ではガラスの熔融性が低下し、熔融のためのコストが高くなってしまう。また、Na2Oの含有率が8%未満ではイオン交換性能も低下してしまうため、十分な強度を得ることができない。また、Na2Oの含有率が8%未満では熱膨張率が過度に低下し、金属や有機系接着剤などの周辺材料と熱膨張係数が整合し難くなる。さらに、Na2Oの含有率が8%未満ではガラスが失透を起こしやすくなり、耐失透性も低下するので、ダウンドロー法に適用できない。このため、安価なガラスの大量生産が困難となる。他方、含有率が25%を超えると、低温粘性が低下し、熱膨張率が過度に大きくなり、耐衝撃性が低下し、金属や有機系接着剤などの周辺材料と熱膨張係数が整合し難くなる。したがって、Na2Oの含有率は、8〜25%であり、10〜20%がより好ましく、12〜20%がより一層好ましく、13〜19%が特に好ましい。
(Li2O)
Li2Oはイオン交換成分の一つであり、ガラス基板に用いるガラスの粘度を低下させて、ガラスの熔融性や成形性を向上させる任意成分である。また、Li2Oは、ガラス基板のヤング率を向上させる成分である。さらに、Li2Oは、アルカリ金属酸化物の中では圧縮応力層の深さを深くする効果が高い。しかし、Li2Oの含有率が多くなり過ぎると、ガラス基板の強化を行う工程であるイオン交換処理におけるイオン交換塩の劣化がはやくなるという不都合があるため、カバーガラスの製造コストが高くなってしまう。また、Li2Oの含有率が多くなり過ぎると、ガラスの熱膨張係数が低くなり過ぎて、ガラスの耐熱衝撃性が低下し、金属や有機系接着剤などの周辺材料と熱膨張係数が整合し難くなる。また、Li2Oの含有率が多くなり過ぎると、耐熱性(歪点やガラス転移点)が過度に低下することに加え、低温粘性が過度に低下することで、化学強化後の加熱工程で応力緩和が発生し、圧縮応力層の応力値が低下してしまうため、十分な強度のカバーガラスを得ることができない。したがって、Li2Oの含有率は0〜8%未満であり、0〜6%が好ましく、0.1〜5%がより好ましく、0.2〜2%がさらにより好ましい。
Li2Oはイオン交換成分の一つであり、ガラス基板に用いるガラスの粘度を低下させて、ガラスの熔融性や成形性を向上させる任意成分である。また、Li2Oは、ガラス基板のヤング率を向上させる成分である。さらに、Li2Oは、アルカリ金属酸化物の中では圧縮応力層の深さを深くする効果が高い。しかし、Li2Oの含有率が多くなり過ぎると、ガラス基板の強化を行う工程であるイオン交換処理におけるイオン交換塩の劣化がはやくなるという不都合があるため、カバーガラスの製造コストが高くなってしまう。また、Li2Oの含有率が多くなり過ぎると、ガラスの熱膨張係数が低くなり過ぎて、ガラスの耐熱衝撃性が低下し、金属や有機系接着剤などの周辺材料と熱膨張係数が整合し難くなる。また、Li2Oの含有率が多くなり過ぎると、耐熱性(歪点やガラス転移点)が過度に低下することに加え、低温粘性が過度に低下することで、化学強化後の加熱工程で応力緩和が発生し、圧縮応力層の応力値が低下してしまうため、十分な強度のカバーガラスを得ることができない。したがって、Li2Oの含有率は0〜8%未満であり、0〜6%が好ましく、0.1〜5%がより好ましく、0.2〜2%がさらにより好ましい。
(K2O)
K2Oは、含有することでガラス基板のイオン交換性能を向上させることができる任意成分である。また、K2Oはガラスの高温粘性を低下させて、ガラスの熔融性や成形性を向上させると同時に、耐失透性を改善する成分でもある。しかし、K2Oの含有率が多くなり過ぎると、低温粘性が低下し、熱膨張率が過度に大きくなり、耐衝撃性が低下するため、カバーガラスとして好ましくない。また、K2Oの含有率が多くなり過ぎると、金属や有機系接着剤などの周辺材料と熱膨張係数が整合し難くなる。したがって、K2Oの含有率は、15%以下であり、10%以下が好ましく、5%未満がより好ましく、4%未満がさらに好ましい。他方、K2Oの含有率の下限は、0%以上であり、0.1%以上であることが好ましく、1%以上であることがより好ましく、2%以上であることがさらに好ましい。K2Oの含有率の下限を上記範囲とすることで、イオン交換処理の時間を短縮することができ、カバーガラスの生産性を向上させることができる。
K2Oは、含有することでガラス基板のイオン交換性能を向上させることができる任意成分である。また、K2Oはガラスの高温粘性を低下させて、ガラスの熔融性や成形性を向上させると同時に、耐失透性を改善する成分でもある。しかし、K2Oの含有率が多くなり過ぎると、低温粘性が低下し、熱膨張率が過度に大きくなり、耐衝撃性が低下するため、カバーガラスとして好ましくない。また、K2Oの含有率が多くなり過ぎると、金属や有機系接着剤などの周辺材料と熱膨張係数が整合し難くなる。したがって、K2Oの含有率は、15%以下であり、10%以下が好ましく、5%未満がより好ましく、4%未満がさらに好ましい。他方、K2Oの含有率の下限は、0%以上であり、0.1%以上であることが好ましく、1%以上であることがより好ましく、2%以上であることがさらに好ましい。K2Oの含有率の下限を上記範囲とすることで、イオン交換処理の時間を短縮することができ、カバーガラスの生産性を向上させることができる。
(R12O)(R1は、Li、Na、Kのうちガラス基板に含有されるすべての元素)
本実施形態では、R12Oの含有率(Li、Na、Kのうちガラス基板に含有されるすべての元素の含有率の合計)は10〜30%であることが好ましい。R12Oが10%未満ではイオン交換が十分に行われないため、強度を十分に得ることができず、カバーガラスに適用しがたくなる。他方、R12Oが30%を超えると、ガラスの化学的耐久性が劣化する。したがって、機械的強度と耐失透性を両立し、化学的耐久性や生産性を向上させるために、R12Oの含有率は、10〜28%とすることがより好ましく、13〜25%とすることがさらに好ましく、14〜24%とすることがさらにより好ましく、17〜23%とすることが特に好ましい。
本実施形態では、R12Oの含有率(Li、Na、Kのうちガラス基板に含有されるすべての元素の含有率の合計)は10〜30%であることが好ましい。R12Oが10%未満ではイオン交換が十分に行われないため、強度を十分に得ることができず、カバーガラスに適用しがたくなる。他方、R12Oが30%を超えると、ガラスの化学的耐久性が劣化する。したがって、機械的強度と耐失透性を両立し、化学的耐久性や生産性を向上させるために、R12Oの含有率は、10〜28%とすることがより好ましく、13〜25%とすることがさらに好ましく、14〜24%とすることがさらにより好ましく、17〜23%とすることが特に好ましい。
R12Oの含有率の上記範囲は、Li,Na,Kのうち含有する全ての元素について、その酸化物の上述した含有率を満たした上での範囲である。
(MgO)
MgOは、ガラス基板に用いるガラスの粘性を下げて、ガラスの熔解および清澄を促進する任意成分である。また、MgOは、アルカリ土類金属の中ではガラスの密度を上昇させる割合が小さいため、得られるガラスを軽量化しつつ熔融性を向上するためには有効な成分である。また、成形性を向上させ、ガラスの歪点やヤング率を高める成分でもある。さらに、MgOを含有するガラスを、例えばフッ酸を用いてエッチングした際に形成される析出物の溶解度が大きく、生成速度は比較的遅いため、エッチング中のガラス表面に結晶物が付着することは相対的に少ない。よって、ガラスの熔解性を改善すると同時に速いエッチングレートを得るためにMgOを含有させることが好ましい。しかし、MgOの含有量が多くなり過ぎると、耐失透性の低下が生じるため、ダウンドロー法を利用した安価なガラスの大量生産が困難となる。したがって、MgOの含有率は、0〜15%であり、1%超〜15%が好ましく、1%超〜12%が好ましく、1%超〜7%未満がより好ましく、3%〜7%未満がさらにより好ましく、4.5%超〜6%が特に好ましい。MgOを0〜15%の範囲で含有することで、より低い温度でガラスの熔融が可能となり、カバーガラス製造のコストをさらに低減することができる。また、イオン交換性能と歪点の向上を両立できるため、高い機械的強度が求められるカバーガラスに好適となる。これは、ガラス基板の表面に十分な圧縮応力層を形成することができ、熱処理を行った際にも、表面に形成された圧縮応力層の応力緩和や消失を防ぐことができるからである。
MgOは、ガラス基板に用いるガラスの粘性を下げて、ガラスの熔解および清澄を促進する任意成分である。また、MgOは、アルカリ土類金属の中ではガラスの密度を上昇させる割合が小さいため、得られるガラスを軽量化しつつ熔融性を向上するためには有効な成分である。また、成形性を向上させ、ガラスの歪点やヤング率を高める成分でもある。さらに、MgOを含有するガラスを、例えばフッ酸を用いてエッチングした際に形成される析出物の溶解度が大きく、生成速度は比較的遅いため、エッチング中のガラス表面に結晶物が付着することは相対的に少ない。よって、ガラスの熔解性を改善すると同時に速いエッチングレートを得るためにMgOを含有させることが好ましい。しかし、MgOの含有量が多くなり過ぎると、耐失透性の低下が生じるため、ダウンドロー法を利用した安価なガラスの大量生産が困難となる。したがって、MgOの含有率は、0〜15%であり、1%超〜15%が好ましく、1%超〜12%が好ましく、1%超〜7%未満がより好ましく、3%〜7%未満がさらにより好ましく、4.5%超〜6%が特に好ましい。MgOを0〜15%の範囲で含有することで、より低い温度でガラスの熔融が可能となり、カバーガラス製造のコストをさらに低減することができる。また、イオン交換性能と歪点の向上を両立できるため、高い機械的強度が求められるカバーガラスに好適となる。これは、ガラス基板の表面に十分な圧縮応力層を形成することができ、熱処理を行った際にも、表面に形成された圧縮応力層の応力緩和や消失を防ぐことができるからである。
(CaO)
CaOは、ガラス基板に用いるガラスの粘性を下げて、ガラスの熔解および清澄を促進する任意成分である。また、CaOは、アルカリ土類金属の中ではガラスの密度を上昇させる割合が小さいため、得られるガラスを軽量化しつつ熔融性を向上するためには有利な成分である。また、成形性を向上させ、ガラスの歪点やヤング率を高める成分でもある。しかし、CaOの含有量が多くなり過ぎると、耐失透性の低下が生じるため、ダウンドロー法を利用した安価なガラスの大量生産が困難となる。さらに、CaOの含有量が多くなり過ぎると、イオン交換性能も悪化してしまうため、強度を十分に得ることができず、生産性も低下してしまう。さらに、CaOを多量に含有するガラスを、例えばフッ酸を用いてウェットエッチングした際に生成される析出物(化学物質)は、エッチング液に不溶であるばかりか、析出速度が非常に速いため、エッチングするガラスの表面に付着し、その量が著しい場合、エッチング反応を阻害して、ガラスの加工生産性を低下させ、さらには、エッチング処理後のガラスの表面を悪化させてしまう。つまり、CaOを含有することで、エッチング処理後のカバーガラスの表面品質を悪化させるばかりか、大量の化学物質がガラス表面に付着する場合は、エッチングの進行を妨げてしまい、エッチング処理時間が長くなる場合や、形状精度が低下したりする場合もある。他方、CaOを含有することで、失透温度を低下させ、耐失透性及び熔融性を向上させることができるので、CaOの含有率は0%〜8%であり、0%〜5%が好ましく、0%〜4%がより好ましく、0%〜2%がさらに好ましい。なお、極めて高いエッチング加工品質が求められる場合には、CaOを実質的に含まないようにすることが好ましい。
CaOは、ガラス基板に用いるガラスの粘性を下げて、ガラスの熔解および清澄を促進する任意成分である。また、CaOは、アルカリ土類金属の中ではガラスの密度を上昇させる割合が小さいため、得られるガラスを軽量化しつつ熔融性を向上するためには有利な成分である。また、成形性を向上させ、ガラスの歪点やヤング率を高める成分でもある。しかし、CaOの含有量が多くなり過ぎると、耐失透性の低下が生じるため、ダウンドロー法を利用した安価なガラスの大量生産が困難となる。さらに、CaOの含有量が多くなり過ぎると、イオン交換性能も悪化してしまうため、強度を十分に得ることができず、生産性も低下してしまう。さらに、CaOを多量に含有するガラスを、例えばフッ酸を用いてウェットエッチングした際に生成される析出物(化学物質)は、エッチング液に不溶であるばかりか、析出速度が非常に速いため、エッチングするガラスの表面に付着し、その量が著しい場合、エッチング反応を阻害して、ガラスの加工生産性を低下させ、さらには、エッチング処理後のガラスの表面を悪化させてしまう。つまり、CaOを含有することで、エッチング処理後のカバーガラスの表面品質を悪化させるばかりか、大量の化学物質がガラス表面に付着する場合は、エッチングの進行を妨げてしまい、エッチング処理時間が長くなる場合や、形状精度が低下したりする場合もある。他方、CaOを含有することで、失透温度を低下させ、耐失透性及び熔融性を向上させることができるので、CaOの含有率は0%〜8%であり、0%〜5%が好ましく、0%〜4%がより好ましく、0%〜2%がさらに好ましい。なお、極めて高いエッチング加工品質が求められる場合には、CaOを実質的に含まないようにすることが好ましい。
尚、カリウムイオンとのイオン交換による化学強化に好適であると同時に、エッチング処理にも好適なガラス基板とするためには、Na2Oを8%以上含み、かつ、CaOを8%以下(0を含む)含む組成のガラスを用いることが好ましい。
(SrO)
SrOは、ガラス基板に用いるガラスの粘性を下げて、ガラスの熔融および清澄を促進する任意成分である。また、成形性を向上させ、ガラスの歪点やヤング率を高める成分でもある。しかし、SrOの含有量が多くなり過ぎると、ガラスの密度が上昇するため、軽量化が求められるカバーガラスなどには不適となる。また、SrOの含有量が多くなり過ぎると、熱膨張率が過度に大きくなり、金属や有機系接着剤などの周辺材料と熱膨張係数が整合し難くなる。さらに、SrOの含有量が多くなり過ぎると、イオン交換性能も低下するため、カバーガラスに求められる高い機械的強度は得がたくなる。したがって、SrOの含有率は、0〜10%が好ましく、0〜5%がより好ましく、0〜2%がより一層好ましく、0〜0.5%がさらにより一層好ましく、不純物を除き意図的に含有させないことが特に好ましい。
SrOは、ガラス基板に用いるガラスの粘性を下げて、ガラスの熔融および清澄を促進する任意成分である。また、成形性を向上させ、ガラスの歪点やヤング率を高める成分でもある。しかし、SrOの含有量が多くなり過ぎると、ガラスの密度が上昇するため、軽量化が求められるカバーガラスなどには不適となる。また、SrOの含有量が多くなり過ぎると、熱膨張率が過度に大きくなり、金属や有機系接着剤などの周辺材料と熱膨張係数が整合し難くなる。さらに、SrOの含有量が多くなり過ぎると、イオン交換性能も低下するため、カバーガラスに求められる高い機械的強度は得がたくなる。したがって、SrOの含有率は、0〜10%が好ましく、0〜5%がより好ましく、0〜2%がより一層好ましく、0〜0.5%がさらにより一層好ましく、不純物を除き意図的に含有させないことが特に好ましい。
(BaO)
BaOは、ガラス基板に用いるガラスの粘性を下げて、ガラスの熔融および清澄を促進する任意成分である。また、成形性を向上させ、ガラスの歪点やヤング率を高める成分でもある。しかし、BaOの含有量が多くなり過ぎると、ガラスの密度が上昇するため、軽量化が求められるカバーガラスなどには不適となる。また、BaOの含有量が多くなり過ぎると、熱膨張率が過度に大きくなり、金属や有機系接着剤などの周辺材料と熱膨張係数が整合し難くなる。さらに、BaOの含有量が多くなり過ぎると、イオン交換性能も低下するため、カバーガラスに求められる高い機械的強度を得がたくなる。したがって、BaOの含有率は、0〜10%が好ましく、0〜5%がより好ましく、0〜2%がより一層好ましく、0〜0.5%がさらにより一層好ましい。なお、BaOは環境への負荷が大きいことから0.01%未満であって不純物を除き意図的に含有させないことが特に好ましい。
BaOは、ガラス基板に用いるガラスの粘性を下げて、ガラスの熔融および清澄を促進する任意成分である。また、成形性を向上させ、ガラスの歪点やヤング率を高める成分でもある。しかし、BaOの含有量が多くなり過ぎると、ガラスの密度が上昇するため、軽量化が求められるカバーガラスなどには不適となる。また、BaOの含有量が多くなり過ぎると、熱膨張率が過度に大きくなり、金属や有機系接着剤などの周辺材料と熱膨張係数が整合し難くなる。さらに、BaOの含有量が多くなり過ぎると、イオン交換性能も低下するため、カバーガラスに求められる高い機械的強度を得がたくなる。したがって、BaOの含有率は、0〜10%が好ましく、0〜5%がより好ましく、0〜2%がより一層好ましく、0〜0.5%がさらにより一層好ましい。なお、BaOは環境への負荷が大きいことから0.01%未満であって不純物を除き意図的に含有させないことが特に好ましい。
(ZnO)
ZnOは、イオン交換性能を高める任意成分であり、特に圧縮応力値を高くする効果が大きい成分であるとともに、ガラスの低温粘性を低下させずに高温粘性を低下させる成分である。しかし、ZnOの含有量が多くなり過ぎると、ガラスが分相し、耐失透性が低下する。また、ZnOの含有量が多くなり過ぎると、ガラスの密度が上昇するため、軽量化が求められるカバーガラスなどには不適となる。したがって、ZnOの含有率は、0〜6%が好ましく、0〜4%がより好ましく、0〜1%がより一層好ましく、0〜0.1%がさらにより一層好ましく、0.01%未満であって不純物を除き意図的に含有させないことが特に好ましい。
ZnOは、イオン交換性能を高める任意成分であり、特に圧縮応力値を高くする効果が大きい成分であるとともに、ガラスの低温粘性を低下させずに高温粘性を低下させる成分である。しかし、ZnOの含有量が多くなり過ぎると、ガラスが分相し、耐失透性が低下する。また、ZnOの含有量が多くなり過ぎると、ガラスの密度が上昇するため、軽量化が求められるカバーガラスなどには不適となる。したがって、ZnOの含有率は、0〜6%が好ましく、0〜4%がより好ましく、0〜1%がより一層好ましく、0〜0.1%がさらにより一層好ましく、0.01%未満であって不純物を除き意図的に含有させないことが特に好ましい。
(ZrO2)
ZrO2は、イオン交換性能を顕著に向上させるとともに、ガラスの失透温度付近の粘性や歪点を高くする任意成分である。また、ZrO2は、ガラスの耐熱性を向上させる成分でもある。しかし、ZrO2の含有量が多くなり過ぎると、失透温度が上昇し、耐失透性が低下する。したがって、耐失透性の低下を防止するために、ZrO2の含有率は、0〜10%であることが好ましく、0〜6%であることがより好ましく、0〜4%であることがより一層好ましく、0.1〜3%であることがさらにより一層好ましい。
ZrO2は、イオン交換性能を顕著に向上させるとともに、ガラスの失透温度付近の粘性や歪点を高くする任意成分である。また、ZrO2は、ガラスの耐熱性を向上させる成分でもある。しかし、ZrO2の含有量が多くなり過ぎると、失透温度が上昇し、耐失透性が低下する。したがって、耐失透性の低下を防止するために、ZrO2の含有率は、0〜10%であることが好ましく、0〜6%であることがより好ましく、0〜4%であることがより一層好ましく、0.1〜3%であることがさらにより一層好ましい。
(Fe2O3)
Fe2O3は、ガラスの透明性及び可視透過率に影響がある着色成分である。Fe2O3の含有量が多くなり過ぎると、ガラスが不安定となり失透を生じるので、0〜4%がより好ましく、0〜1%がより一層好ましく、0〜0.1%がさらにより一層好ましく、0.01%未満であって不純物を除き意図的に含有させないことが特に好ましい。
Fe2O3は、ガラスの透明性及び可視透過率に影響がある着色成分である。Fe2O3の含有量が多くなり過ぎると、ガラスが不安定となり失透を生じるので、0〜4%がより好ましく、0〜1%がより一層好ましく、0〜0.1%がさらにより一層好ましく、0.01%未満であって不純物を除き意図的に含有させないことが特に好ましい。
(SnO2)
SnO2は、ガラスの清澄剤として用いられ、またイオン交換性能を向上させる効果がある。ただし、その含有量が多くなり過ぎると、失透が発生したり透過率が低下する傾向がる。したがって、SnO2の含有率は0〜2%であることが好ましく、0.1〜1%がより好ましい。
SnO2は、ガラスの清澄剤として用いられ、またイオン交換性能を向上させる効果がある。ただし、その含有量が多くなり過ぎると、失透が発生したり透過率が低下する傾向がる。したがって、SnO2の含有率は0〜2%であることが好ましく、0.1〜1%がより好ましい。
表1は本発明にかかるガラス基板として適用可能なガラス組成の実施例(試料No.1〜6)を示している。なお、表1における圧縮応力層、圧縮応力、及びTaveについては、後述の条件で化学強化した場合の値である。
<3.ガラス基板の製造方法の概要>
次に、ガラス基板の一例であるカバーガラス1の製造方法の概要を説明する。
次に、ガラス基板の一例であるカバーガラス1の製造方法の概要を説明する。
図3は、ガラス基板の製造方法の手順の概要を示す流れ図である。
カバーガラス1の製造にあたっては、先ず、カバーガラス1の形成材料となるガラス素材を用意する(ステップ1、以下ステップを「S」と略す)。ガラス素材としては、例えばダウンドロー法のような公知手法を用いて溶融ガラスをシート状に成形した板状ガラス材(シートガラス)を用いることが考えられる。ただし、用意する板状ガラス材は、ガラス骨格を形成する必須成分であるSiO2に加えて、1種以上のアルカリ金属成分を含んで構成されているものとする。1種以上のアルカリ金属成分としては、Na2OやLi2O等といった後述するイオン交換処理を行う際の必須成分が挙げられる。Na2Oは、イオン交換処理において、主としてカリウムイオン置換されることによってガラスを化学強化する成分である。また、Li2Oは、イオン交換処理において、主としてナトリウムイオンと置換されることによってガラスを化学強化する成分であり、Na2Oよりもイオン交換速度が大きいため、短時間で深い圧縮応力層を形成するために用いられる。このような成分を含んで構成された板状ガラス材の具体例としては、アルミノシリケートガラスが挙げられる。
ガラス素材としての板状ガラス材を用意した後は、次いで、その板状ガラス材に対して、化学強化工程(S2)、加飾層形成工程(S3)および形状加工工程(S4)を順に実行する。以下、これらの各工程(S2〜S4)について順に説明する。
(化学強化工程)
化学強化工程(S2)では、用意した板状ガラス材を、1種以上のアルカリ金属成分を含む溶融塩と接触させて、当該板状ガラス材に対するイオン交換処理を行う。具体的には、所定温度(例えば350℃〜500℃)に保たれた硝酸カリウム(KNO3)の単塩や硝酸カリウムと硝酸ナトリウム(NaNO3)の混塩の処理液中に、板状ガラス材を所定時間(例えば2〜8時間)浸漬する。ここで、表1に示す試料No.1〜6の各ガラス組成の強化条件は、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムとの混合比を9:1とし、溶融塩の温度を400℃とし、浸漬時間を3時間とした。
化学強化工程(S2)では、用意した板状ガラス材を、1種以上のアルカリ金属成分を含む溶融塩と接触させて、当該板状ガラス材に対するイオン交換処理を行う。具体的には、所定温度(例えば350℃〜500℃)に保たれた硝酸カリウム(KNO3)の単塩や硝酸カリウムと硝酸ナトリウム(NaNO3)の混塩の処理液中に、板状ガラス材を所定時間(例えば2〜8時間)浸漬する。ここで、表1に示す試料No.1〜6の各ガラス組成の強化条件は、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムとの混合比を9:1とし、溶融塩の温度を400℃とし、浸漬時間を3時間とした。
1種以上のアルカリ金属成分を含んで構成された板状ガラス材を、1種以上のアルカリ金属成分を含む溶融塩と接触させると、板状ガラス材の表層部では、当該板状ガラス材を構成するアルカリ金属イオン(例えばナトリウムNa+)が、それよりも大きいアルカリ金属イオン(例えばカリウムK+)で、イオン交換により置換される。これにより、イオン交換処理後の板状ガラス材の表層部には、圧縮応力が生じている層、すなわち図2の圧縮応力層1aが形成されることになる。また、圧縮応力層1aの形成に伴って、板状ガラス材の深層部には、内部応力のバランスを保つために、引張応力が生じている層、すなわち引張応力層1bが形成されることになる。つまり、化学強化工程では、板状ガラス材に対するイオン交換処理により、当該板状ガラス材の表層部を圧縮応力層1aとし、当該表層部以外の深層部を引張応力層1bとするのである。なお、圧縮応力層1aの厚さdや圧縮応力値Fは、ウェーブガイド法、バビネ法などの公知の手法を用いて求めることができる。但し、本明細書では、圧縮応力層1aの厚さdや圧縮応力値Fについては、ウェーブガイド法による測定値であることを前提に説明する。
(加飾層形成工程)
加飾層形成工程(S3)では、イオン交換処理が行われた板状ガラス材の少なくとも一方の表面に、一層以上の加飾層を形成する。加飾層としては、例えば、カバーガラス1を装飾する印刷層や、カバーガラス1の表面の汚れを防止する防汚層や、カバーガラス1の表面の光反射を防止する反射防止層や、カバーガラス1の表面の導電性を確保する導電性層や、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)等のタッチパネル用の透明電極層や、透明電極層の保護層等が挙げられる。これらの所望の加飾層の形成には、例えば印刷法等を用いることができる。また、加飾層は、次工程の形状加工工程で板状ガラス材から抜き切り出される複数の小片のそれぞれに対応するように、板状ガラス材の表面に形成される。
加飾層形成工程(S3)では、イオン交換処理が行われた板状ガラス材の少なくとも一方の表面に、一層以上の加飾層を形成する。加飾層としては、例えば、カバーガラス1を装飾する印刷層や、カバーガラス1の表面の汚れを防止する防汚層や、カバーガラス1の表面の光反射を防止する反射防止層や、カバーガラス1の表面の導電性を確保する導電性層や、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)等のタッチパネル用の透明電極層や、透明電極層の保護層等が挙げられる。これらの所望の加飾層の形成には、例えば印刷法等を用いることができる。また、加飾層は、次工程の形状加工工程で板状ガラス材から抜き切り出される複数の小片のそれぞれに対応するように、板状ガラス材の表面に形成される。
ここで、加飾層のうち印刷層について、より具体的に説明する。
さらに、印刷層は、塗料による複数の層(多層構造)によって構成される。多層構造の印刷層を形成する場合の代表的な例(第1層がネガ印刷の例)を挙げると、第1層は外周の額縁部分を印刷する層で、当該第1層には機器のモデル、社名のロゴ、各種センサーホールなどが抜き形状となっている。
また、第2層は社名のロゴやモデル名を指定の色で印刷する層である。第3層はロゴやモデル名の印刷部の遮光性ならびに額縁印刷部分のピンホールを消すための裏打ち層である。第4層も裏打ち層である。第5層は明度センサーホール部分に印刷する透過率調整用のフィルターインクの層である。第6層は筐体に接着するための位置合わせ用ガイドラインの層といった構成がある。これらの印刷層の印刷処理は、板状ガラス材の端面を位置合わせ治具により保持した状態で印刷機にセットされて行われる。
次に、加飾層のうち透明電極層及び導電性層について、より具体的に説明する。
透明電極層は、例えば、板状ガラス材の主表面にスパッタリング法等を用いて透明導電膜、例えばITO膜を成膜し、フォトリソグラフィ技術、又はYAG(Yttrium Aluminum Garnet)の基本波やCO2レーザ等によるレーザパターニング技術を用いて透明導電膜を所望のパターン形状に加工することにより、形成される。
導電性層は、例えば、Ag、Al、Mo若しくはCr又はこれらの合金や多層膜からなる信号配線用の金属パターン(補助導線)や、フレキシブルプリント基板(FPC)に接続するためのランド等である。また、導電性層は、透明導電層とカバーガラスの外部(例えば、位置検出回路等)とを電気的に接続するために用いられる。さらに、導電性層は、板状ガラス材の主表面に対して、スパッタリング法等を用いて金属製の導電物質を成膜することにより金属膜を形成し、フォトリソグラフィ技術等を用いて金属膜を所望のパターン形状に加工することにより、形成される。
このように、板状ガラス材の主表面に、透明電極層及び導電性層を形成することにより、小片化された後のガラス基板にタッチパネルとしての機能を付加することができる。
(形状加工工程)
形状加工工程(S4)では、化学強化工程(S2)および加飾層形成工程(S3)を経た後の板状ガラス材に対してエッチング処理を行い、これにより板状ガラス材を切断して、小片化されたガラス基板を得る。すなわち、エッチング処理によって外形加工がされ、また必要に応じて穴加工等がされたガラス基板を得る。また、板状ガラス材の面上に形成されている加飾層についても、板状ガラス材と合わせてエッチング処理により切断する。このようにして得られたガラス基板が、カバーガラス1となる。これらの処理を行う形状加工工程(S4)について、以下、さらに詳しく説明する。
形状加工工程(S4)では、化学強化工程(S2)および加飾層形成工程(S3)を経た後の板状ガラス材に対してエッチング処理を行い、これにより板状ガラス材を切断して、小片化されたガラス基板を得る。すなわち、エッチング処理によって外形加工がされ、また必要に応じて穴加工等がされたガラス基板を得る。また、板状ガラス材の面上に形成されている加飾層についても、板状ガラス材と合わせてエッチング処理により切断する。このようにして得られたガラス基板が、カバーガラス1となる。これらの処理を行う形状加工工程(S4)について、以下、さらに詳しく説明する。
図4は、形状加工工程の手順の概要を示す流れ図である。
形状加工工程(S4)では、先ず、板状ガラス材の少なくとも一方の面上に、耐エッチング膜であるレジスト膜をコーティングする(S41)。次いで、所望の外形形状に対応したパターンを有するフォトマスクを介して、レジスト膜を露光する(S42)。さらに、露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成した後(S43)、形成したレジストパターンに対するポストベーク(熱処理)を行う(S44)。そして、形成したレジストパターンを有するレジスト膜をマスクにして、板状ガラス材の被エッチング領域をエッチングする(S45)。
レジスト膜を構成するレジスト材料としては、板状ガラス材をエッチングする際に使用するエッチャントに対して耐性を有する材料であればよい。板状ガラス材は、フッ酸を含む水溶液のウエットエッチングやフッ素系ガスのドライエッチングにより食刻されるので、例えばフッ酸耐性に優れたレジスト材料などを用いることが考えられる。
また、レジスト膜は、加飾層のエッチャントによる食刻を保護するため、加飾層全体を覆うように形成される。さらに、レジスト材料は、加飾層と反応しないものが良い。さらにまた、レジスト材料は、加飾層の特性に応じて、耐アルカリ性の材質を選択すると良い。例えば加飾層が耐アルカリ性材質(アルカリ溶液に溶解し難い材質)の場合、レジスト材料の材質はアルカリ溶液に溶解し易い材質を選択すると良い。このように材質を選択することにより、後工程の剥離・洗浄工程(S46)で効率良くレジスト膜を除去することができる。
板状ガラス材をエッチングする際に使用するエッチャントとしては、フッ酸に、硫酸、硝酸、塩酸、ケイフッ酸のうち少なくとも一つの酸を含む混酸等を用いることができる。エッチング処理により板状ガラス材を所望の形状に加工することで、小片化された各ガラス基板の端面(エッチング処理端面)は、機械加工により外形形成される際に必ず形成されるマイクロクラックの無い、極めて良好な表面状態を有することになる。また、フォトリソグラフィによってレジストパターンを形成してエッチングしているので、板状ガラス材から切り抜かれたガラス基板の寸法精度も良い。したがって、携帯機器用のカバーガラス1の外形形状が複雑な形状であっても、寸法精度の良いカバーガラス1が得られ、かつ、携帯機器用のカバーガラス1に求められる高い機械的強度を得ることが可能となる。また、このフォトリソグラフィおよびエッチングによる外形加工により生産性も向上でき、加工コストも低減することができる。なお、エッチングは、上述したようにウエットエッチングではなく、例えばフッ素系ガスをエッチャントとして使用するドライエッチングであっても構わない。
ここで、小片化された各ガラス基板の端面は、機械的強度及び外観品質の点で鏡面であることが好ましい。この鏡面とは、無数の微細凹凸を有する梨地面に対して、鏡のように物が写るほどよく仕上げられた面のことである。
なお、レジスト膜は、液体又は固体のレジスト材料を塗布してフォトリソグラフィにより形成してもよく、スクリーン印刷によりレジスト材料をパターニングした後に熱硬化して形成してもよく、レーザ等で予めカットや型抜きされたシール状レジスト材料を貼り付けて形成してもよい。
エッチングを行った後は、当該エッチングによって得られた小片化後のガラス基板に対して、当該ガラス基板からのレジスト膜の剥離および当該ガラス基板の洗浄を行う(S46)。レジスト膜をガラス基材から剥離するための剥離液としては、KOHやNaOH等のアルカリ溶液を用いることが好ましい。なお、レジスト材料、エッチャント、剥離液の種類は、被エッチング材料である板状ガラス材の組成等に応じて適宜選択すればよい。
なお、レジスト膜の形成方法としては、フォトリソグラフィのほかに、印刷、液状硬化樹脂の塗布、シールなどの公知の手法を用いることができる。また、レーザ等で予めカットや型抜きされたシート状レジスト材料を板状ガラス材に貼り付けてレジスト膜を形成する場合には、レジスト膜を紫外線剥離や熱剥離してもよい。
このように、エッチングによって得られたガラス基板の端部の形状は、図6に示すようになる。つまり、ガラス基板の端面は、主表面における厚さ方向外側に凸となるように湾曲する一対の湾曲面14と、これらの湾曲面14からガラス基材の面方向外側へ向けて突出する頂部15とを有している。なお、エッチング処理に関して、板状ガラス材の一対の主表面の両方からエッチング処理を施すことにより、ガラス基板の端部の形状を厚さ方向で実質的に対称とすることができ、後述の圧縮応力を一対の主表面間で同等にすることができる点で好ましい。
<4.ガラス基板の製造方法における特徴的な工程>
次に、上述した一連のカバーガラス1の製造方法において、最も特徴的な工程である化学強化工程(S2)について、さらに詳しく説明する。
次に、上述した一連のカバーガラス1の製造方法において、最も特徴的な工程である化学強化工程(S2)について、さらに詳しく説明する。
上述したように、カバーガラス1の製造にあたっては、板状ガラス材に対して化学強化工程(S2)を実行し、さらに加飾層形成工程(S3)を実行した後に、エッチング処理による形状加工工程(S4)を実行する、という手順の製造プロセスを経る。このような手順を経れば、小片化されたガラス基板のそれぞれに対して個別にイオン交換処理による化学強化を実施するのではなく、板状ガラス材の段階で纏めてイオン交換処理による化学強化を実施することになり、小片化後に化学強化処理を行う従来手順の場合に比べて生産効率の向上が図れる。しかも、形状加工工程(S4)をエッチング処理によって行うので、複雑な加工形状にも柔軟かつ容易に対応し得るとともに、良好な寸法精度や加工表面状態等を得ることもできる。
ところが、上述した手順の製造プロセスでは、化学強化工程(S2)にてイオン交換処理による化学強化がされた後の板状ガラス材に対してエッチング処理による切断を行うことになるので、従来手順の外径形状加工により小片化した後に化学強化をする場合に比べると切断の際にカバーガラス1の破損や破壊等が生じ易い。
これを回避するためには、化学強化工程(S2)にて形成される圧縮応力層1aにつき、当該圧縮応力層1aの厚みおよび圧縮応力の値を、スクライブ切断でも破壊しない程度に低く抑えて設定することが考えられる(例えば特許文献4参照)。しかしながら、それでは必ずしもカバーガラス1の強度向上や薄板化等に十分に対応し得るとはいえない。
つまり、カバーガラス1の商品性向上を実現する上では圧縮応力層1aを深く強く形成することが望ましい一方で、強化し過ぎると化学強化工程後の形状加工工程(S4)が困難になってしまうおそれがある。
この点につき、本願発明者は、鋭意検討を重ねた結果、以下に述べる知見を得るに至った。ここで、検討内容および得られた知見について詳しく説明する。
(強化ガラスの圧縮応力と加工性との関係)
本願発明者は、先ず、化学強化された板状ガラス材(化学強化ガラス)の圧縮応力と加工性との関係について検討した。
本願発明者は、先ず、化学強化された板状ガラス材(化学強化ガラス)の圧縮応力と加工性との関係について検討した。
かかる検討に際して、本願発明者は、化学強化ガラスに対する加工の成否を決める数値として、化学強化ガラスにおける圧縮応力値および圧縮応力層の厚さに着目し、化学強化ガラスの板厚方向の全体にかかる圧縮応力の積算値を求めた。圧縮応力の積算値は、圧縮応力層1aにおける圧縮応力の値を化学強化ガラスの板厚方向に積分して求めればよい。
具体的には、図2に示した内部応力分布を有する化学強化ガラスを例に挙げると、図中において圧縮応力の分布を示す線分σ、応力=0の平衡点を示す線分Oおよび化学強化ガラスの外表面を示す線分Sによって囲まれる領域の面積を、圧縮応力の積算値として近似的に求めた。さらに詳しくは、図中に示したように、圧縮応力層1aの厚さをd[μm]、圧縮応力層1aにおける最大圧縮応力値をF[MPa]としたときに、ガラス加工の成否を決める数値である圧縮応力の積算値Xを、以下の(1)式を用いて求めた。
X=F×d[MPa・μm]・・・(1)
X=F×d[MPa・μm]・・・(1)
また、化学強化ガラス内において引張応力が生じている層(すなわち引張応力層1b)の厚さをt2[μm]とすると、厚さt2は、ガラス全体の板厚tから圧縮応力層1aの厚さd×2(表裏分)を引いた分に相当するので、以下の(2)式で表される。
t2=t−2d[μm]・・・(2)
t2=t−2d[μm]・・・(2)
さらに、厚さt2の引張応力層1bに生じる平均引張応力値Tave[MPa]は、力のつり合いから引張応力の積算値と圧縮応力積算値Xとが同じなので、以下の(3)式で表される。
Tave=X/t2=(F×d)/(t−2d)[MPa]・・・(3)
Tave=X/t2=(F×d)/(t−2d)[MPa]・・・(3)
また、かかる検討に際して、本願発明者は、最大圧縮応力値F[MPa]と圧縮応力層1aの厚さd[μm]がそれぞれ異なるように形成された圧縮応力層1aを有する図5に示す実施例1〜12、比較例1〜7の各化学強化ガラスについて、エッチング処理により切断加工(外形形状加工)を行った場合における破損発生の有無、およびエッチング処理により切断した小片の強度特性を検証した。さらには、機械的なスクライブ切断を行った場合における破損発生の有無についても併せて検証した。なお、実施例1〜12、比較例1〜7の各化学強化ガラスは板厚tが500μm(=0.5mm)のものと700um(=0.7mm)のものを含む。また、ここでいう破損発生は、主としてマイクロクラックが発生することをいう。また、この検証に用いたガラス材は、重量%でSiO2 63.2%、Al2O3 12.6%、Li2O 0.2%、Na2O 15.6%、K2O 3.2%、MgO 5.2%を含有するアルミノシリケートガラスである。
上記検証試験は、次の方法により行った。すなわち、50×100mmに加工したガラス基板を準備し、ガラスの外周部を3mm縁取るように金属枠に接着固定した。ガラスと金属枠の固定には両面テープを用いた。金属枠に固定したガラスの中央に、重さ100gの鋼球を50cmの高さから落下して、ガラスの破損率を算出した。各条件について30枚のガラス基板を準備して同様の実験を繰り返した。破損率別に下記の通りA〜Cで、衝撃強度特性を評価した。
A:破損率は5%以下である。
B:破損率は5%を超え、20%である。
C:破損率は20%を超える。
B:破損率は5%を超え、20%である。
C:破損率は20%を超える。
図5は、化学強化ガラスの圧縮応力と加工性および衝撃強度特性との関係の具体例を示す説明図である。図例は、実施例1〜12、比較例1〜7の各化学強化ガラスについて、それぞれのF、d、X、t、t2およびTaveの具体的な数値と、エッチング処理による切断工程における破損発生有無、衝撃強度特性とを、互いに関連付けて一覧表示している。なお、化学強化ガラスの圧縮応力値は、(有)折原製作所製のガラス表面応力計「FSM−6000」を用いたウェーブガイド法による測定結果である。
図例の結果によれば、小片化されたガラス基板に破損を生じさせずに、エッチング処理による切断で外形形状を加工可能にするためには、板厚tの値に関係なく、平均引張応力値Taveを50MPa未満とすることが好ましいことが分かる。これは、比較例3〜7の各化学強化ガラスがエッチング加工で破損が生じることに基づく。
また、図例の結果によれば、小片化されたガラス基板の衝撃強度特性を確保するには、平均引張応力値Taveを7MPa以上とすることが好ましいことが分かる。これは、比較例1,2の各化学強化ガラスは衝撃強度特性が不充分(B評価以下)であることに基づく。
つまり、本願発明者は、以上の検討内容から、平均引張応力値Taveを50MPa未満にすれば、予め化学強化した板状ガラス材であっても、当該板状ガラス材の板厚tの値に関係なく、エッチング処理による形状加工で様々な形状のガラス基板を破損させずに作製することが可能になる、という知見を得たのである。
平均引張応力値Taveについては、上述したように50MPa未満とすればよいが、好ましくは45MPa以下、さらに好ましくは40MPa以下とすれば、エッチング処理により強化ガラスを小片化する際に破損が生じてしまうのを確実に回避することができる。
一方で、平均引張応力値Taveが小さすぎると衝撃強度特性が低下するため、上述したように7MPa以上とすればよい。平均引張応力値Taveは、好ましくは10MPa以上、さらに好ましくは18MPa以上とすれば、より好ましくは20MPa以上とすれば小片化された強化ガラスの衝撃強度特性を確実に確保することができる。なお、機械的なスクライブ切断を行った場合において、実施例1〜12および比較例1〜7の各化学強化ガラスは、いずれもマイクロクラック(破損)が発生した。
一般に、ガラス基板の強度や耐傷性を高めるためには、圧縮応力層厚さを厚くし、圧縮応力値を大きくすることが考えられるが、圧縮応力値が大きくなるのに伴って、内部引張応力も大きくなる。ところが、内部引張応力に基づいて算出される平均引張応力値Taveが、上述のように50MPa以上になると、エッチング処理による形状加工時にガラス基板が破損するリスクが高まる。そこで、本願発明によれば、平均引張応力値Taveが50MPa未満という条件を満たす範囲内で、圧縮応力値を大きくしても、あるいは圧縮応力が同程度で板厚が薄いガラス材に適用しても、平均引張応力値Taveが7MPa以上あって強度や耐傷性の高い強化ガラス材を破損させずに加工することができる。
(化学強化工程における処理条件)
以上に説明した知見に基づき、本願発明者は、化学強化工程(S2)について、以下に述べる条件を満たしつつイオン交換処理を行うことに想到した。この知見に基づいてなされた本実施形態における化学強化工程(S2)の処理条件は、以下のとおりである。
以上に説明した知見に基づき、本願発明者は、化学強化工程(S2)について、以下に述べる条件を満たしつつイオン交換処理を行うことに想到した。この知見に基づいてなされた本実施形態における化学強化工程(S2)の処理条件は、以下のとおりである。
化学強化工程(S2)においては、処理対象となる板状ガラス材の板厚をt[μm]、形成する圧縮応力層1aの厚さをd[μm]、当該圧縮応力層1aにおける最大圧縮応力値をF[MPa]、当該圧縮応力層1aにおける圧縮応力積算値をX[MPa・μm]、当該圧縮応力層1aに伴って形成される引張応力層1bの厚さをt2[μm]、当該引張応力層の平均引張応力値をTave[MPa]とし、X=F×d、t2=t−2dかつTave=X/t2の関係が成り立つときに、以下の(4)式の条件を満たすようにイオン交換処理を行う。
7≦Tave<50[MPa]・・・(4)
7≦Tave<50[MPa]・・・(4)
(処理条件を満たすための手法)
上述した処理条件を満たすためには、化学強化工程(S2)にて形成する圧縮応力層1aの厚さdおよび最大圧縮応力値Fについて、それぞれが所望値となるように制御(コントロール)すればよい。
上述した処理条件を満たすためには、化学強化工程(S2)にて形成する圧縮応力層1aの厚さdおよび最大圧縮応力値Fについて、それぞれが所望値となるように制御(コントロール)すればよい。
圧縮応力層1aの厚さdおよび最大圧縮応力値Fは、化学強化工程(S2)の実行時の処理温度と処理時間、さらには化学強化用処理液の選択およびその濃度に影響される。また、化学強化されるガラス材の組成やガラス内のイオン交換状況によっても異なる。したがって、化学強化工程(S2)の実行にあたっては、これらの処理温度、処理時間、処理液の選択、処理液の濃度、ガラス組成の選択等といった処理パラメータを適宜設定することで、圧縮応力層1aの厚さおよび最大圧縮応力値Fを所望値にコントロールすればよい。
ガラス組成の選択にあたっては、本願発明においては、アルカリ金属酸化物含有のアルミノシリケートガラスからなるガラス材を用いる。アルミノシリケートガラスは、ソーダライムガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラスなどのガラスと比べて、イオン交換特性が良好であるため、前記(4)の条件式を満たすようにイオン交換処理するには最も適したガラス材である。
イオン交換時の効率低下を防止して十分な深さの圧縮応力層1aを形成すべくNa2OとLi2Oの合計含有量を10〜25重量%とし、また短時間で深い圧縮応力層1aを形成するためにLi2Oの含有量を0.1〜7重量%とすることが考えられる。これらの含有量を許容範囲内において適宜設定することによって、圧縮応力層1aの厚さおよび最大圧縮応力値を所望値にコントロールすることが可能となる。さらには、Na2OやLi2O等といったアルカリ金属成分の他に、ガラス表面のイオン交換性能を向上させる成分であるAl2O3を5〜20重量%程度含有させたり、イオン交換速度を向上させガラスの化学的耐久性や硬さを向上させる成分であるZrO2を0.1〜6重量%程度含有させることも考えられる。また、CaOは、イオン交換時のアルカリイオンの交換速度を低下させる作用があるため、その含有量は0〜8重量%に留めることが好ましい。
化学強化用処理液としては、Naイオンおよび/またはKイオンを含有する処理液、具体的には、硝酸ナトリウム(NaNO3)および/または硝酸カリウム(KNO3)を含有する硝酸塩を単塩または混合塩で用いるのが好ましい。ただし、硝酸塩に限定されるものではなく、硫酸塩、重硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、ハロゲン化物を用いても良い。処理液がNaイオンを含む場合には、このNaイオンがガラス中のLiイオンとイオン交換し、また処理液がKイオンを含む場合には、このKイオンがガラス中のLiイオンおよびNaイオンとイオン交換し、さらに処理液がNaイオンおよびKイオンを含む場合には、これらNaイオンおよびKイオンが、ガラス中のLiイオンおよびNaイオンとそれぞれイオン交換する。このイオン交換により、ガラス表層部のアルカリ金属イオンが、より大きなイオン半径のアルカリ金属イオンに置き換わり、ガラス表層部に圧縮応力層1aが形成されてガラスが化学強化される。
ここで、ガラス組成や処理液の温度、処理時間を一定にしたとき、処理液における硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混合比を調整することで、圧縮応力層1aの厚さdと最大圧縮応力値Fを操作することができる。たとえば、ガラス中のNaイオンを処理液中のKイオンとイオン交換する場合、硝酸カリウム熔融塩に硝酸ナトリウム熔融塩を適宜量(1〜15質量%程度)添加することにより、圧縮応力層1aの厚さdはほぼ一定で最大圧縮応力値Fを下げることができる。また、ガラス成分としてLi2Oを多量に(例えば、3重量%以上)含むガラス中のLiイオンを処理液中のNaイオンとイオン交換する場合、硝酸カリウム熔融塩に硝酸ナトリウム熔融塩を20質量%〜50質量%程度添加することで、最大圧縮応力値Fが数%〜数十%低下する。
また、ガラス組成が一定で、化学強化用処理液(熔融塩)の組成を同一としたとき、処理温度(板状ガラス材を浸漬させる処理液の温度)と処理時間(板状ガラス材の処理液への浸漬時間)を調整することで、圧縮応力層1aの厚さdと最大圧縮応力値Fおよび圧縮応力積算値Xを操作することができる。すなわち、圧縮応力層1aの厚さdについては、処理時間が長いほど当該厚さdの値が大きくなる。また、圧縮応力積算値Xについては、処理温度が高いほど、当該圧縮応力積算値Xが大きくなる。たとえば、化学強化工程(S2)は、ガラス材の歪点以下の温度で、かつ熔融塩が分解しない温度で行うことが肝要であり、通常350〜500℃、好ましくは360〜400℃にて、1〜12時間程度、好ましくは2〜8時間行う。
ここで、処理温度を上記範囲内で比較的低く設定し、かつ処理時間を上記範囲内で比較的長く設定した場合、圧縮応力層1aの厚さdが薄く、最大圧縮応力値Fが大きな圧縮応力層1aが形成される。
以上のように、化学強化工程(S2)の実行時における処理温度、処理時間、処理液の種類、板状ガラス材のガラス組成等を適宜選択すれば、圧縮応力層1aの厚さおよび最大圧縮応力値Fもしくは圧縮応力積算値Xを所望値にコントロールすることが可能となり、その結果として上述した処理条件を満たす化学強化ガラスを得ることができる。
<5.本実施形態の効果>
本実施形態で説明したカバーガラス1の製造方法によれば、以下に述べる効果が得られる。
本実施形態で説明したカバーガラス1の製造方法によれば、以下に述べる効果が得られる。
本実施形態によれば、板状ガラス材の状態でイオン交換処理による化学強化を行った後に、板状ガラス材をエッチング処理により切断して小片化することで、カバーガラス1を得る。したがって、小片化されたガラス基板のそれぞれに対して個別にイオン交換処理による化学強化を実施するのではなく、板状ガラス材の段階で纏めてイオン交換処理による化学強化を実施することになり、小片化後に化学強化処理を行う従来手順の場合に比べて生産効率の向上が図れ、その結果としてカバーガラス1の製造における生産性を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、板状ガラス材をエッチング処理により切断して小片化するので、複雑な加工形状にも柔軟かつ容易に対応し得るとともに、良好な寸法精度や加工表面状態(例えば切断面の面粗さRa=10nm以下)等を得ることもできる。
さらに、本実施形態によれば、エッチング処理による切断前の板状ガラス材に対するイオン交換処理を、ガラス内の平均引張応力値Taveが7MPa以上、50MPa未満となる条件を満たすように行う。したがって、化学強化後の板状ガラス材に対してエッチング処理による切断を行う場合であっても、切断面にマイクロクラック等の破損が生じてしまうことがなく、かつ衝撃強度特性を満足し得る当該切断を適切に行うことができる。つまり、本実施形態で製造されるカバーガラス1は、圧縮応力層1aの強化し過ぎによる形状加工の困難性を招いてしまうことなく、当該圧縮応力層1aを極力深く強く形成することが可能になるので、強度向上や薄板化等に十分に対応し得るものとなり、カバーガラス1としての商品性を十分に高められる。
以上のことから、本実施形態の製造方法を用いてカバーガラス1を製造すれば、カバーガラス1の生産性向上と商品性向上とを併せて実現することが可能であるといえる。
また、本実施形態によれば、イオン交換処理による化学強化後の板状ガラス材の少なくとも一方の表面に一層以上の加飾層を形成し、その後に加飾層が形成された板状ガラス材をエッチング処理によって切断する。つまり、板状ガラス材の面上に形成されている加飾層についても、板状ガラス材と合わせてエッチング処理により切断する。したがって、小片化されたガラス基板のそれぞれに対して個別に加飾層の形成を行うのではなく、板状ガラス材の段階で纏めて加飾層の形成を行うことになるので、カバーガラス1の製造における生産効率向上が図れる。特に印刷法により板状ガラス材に加飾層を形成する場合、小片化したガラス基板に個別に印刷法により加飾層を形成する場合と加工時間及び加工工数が同等である。このことから、小片化したガラス基板1枚当たりの加工時間を大幅に短縮させることが可能になる。
さらに、従来のガラス基板の製造方法において、化学強化前にエッチング処理により板状ガラス材を小片化する場合には、エッチング後の各工程間において、複数のガラス基板を保持具と搬送具との一方から他方へ載せ変える必要がある。この載せ変え作業は、全ての工程を通して複数回行われ、この載せ変え作業によって、ガラス基板の端面にクラックやきずが生じてしまう可能性があった。これに対して、本実施の形態では、板状ガラス材を化学強化後にエッチング処理により板状ガラス材を小片化するので、工程数を削減でき、載せ変え作業回数も削減することができる。この結果、ガラス基板の端面にクラックやきずの発生を抑えることができ、カバーガラス1の強度品質を向上させることができる。
しかも、スクライブ切断ではなくエッチング処理による切断を行うので、複雑な加工形状にも柔軟かつ容易に対応し得るとともに、良好な寸法精度や加工表面状態等を得ることもできる。つまり、加飾層の形成する場合であっても、カバーガラス1の生産性向上と商品性向上とを併せて実現することが可能となる。
<6.その他>
なお、本実施形態では、本発明の好適な実施具体例として、携帯機器用のカバーガラス1の製造方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、本実施形態では、本発明の好適な実施具体例として、携帯機器用のカバーガラス1の製造方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、本発明において被製造物となるガラス基板は、イオン交換処理による化学強化後の板状ガラス材に対してエッチング処理による形状加工を行って得られるものであれば、携帯機器用のカバーガラス1以外のガラス基板であってもよい。その場合であっても、本発明を適用することによって、当該ガラス基板の生産性向上と商品性向上とを併せて実現することが可能となる。
以上のように、本発明は、上述した本実施形態の内容に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
1…カバーガラス
1a…圧縮応力層
1b…引張応力層
t…板状ガラス材の板厚
d…圧縮応力層の厚さ
F…圧縮応力層の最大圧縮応力値
X…圧縮応力積算値
t2…引張応力層の厚さ
Tave…引張応力層の平均引張応力値
1a…圧縮応力層
1b…引張応力層
t…板状ガラス材の板厚
d…圧縮応力層の厚さ
F…圧縮応力層の最大圧縮応力値
X…圧縮応力積算値
t2…引張応力層の厚さ
Tave…引張応力層の平均引張応力値
Claims (14)
- 板状ガラス材に対するイオン交換処理により当該板状ガラス材の表層部を圧縮応力層とし当該表層部以外の深層部を引張応力層とする化学強化工程と、
前記化学強化工程を経た後の前記板状ガラス材に対するエッチング処理により当該板状ガラス材を切断して小片化されたガラス基板を得る形状加工工程と、
を含む強化ガラス基板の製造方法であって、
アルカリ金属酸化物含有のアルミノシリケートガラスからなる前記板状ガラス材を用意し、
前記化学強化工程にて、前記板状ガラス材の板厚をt[μm]、前記圧縮応力層の厚さをd[μm]、前記圧縮応力層の最大圧縮応力値をF[MPa]、前記圧縮応力層の圧縮応力積算値をX[MPa・μm]、前記引張応力層の厚さをt2[μm]、前記引張応力層の平均引張応力値をTave[MPa]とし、X=F×d、t2=t−2dかつTave=X/t2の関係が成り立つときに、
7≦Tave<50[MPa]
の条件を満たすように前記イオン交換処理を行う
ことを特徴とする強化ガラス基板の製造方法。 - 板状ガラス材に対するイオン交換処理により当該板状ガラス材の表層部を圧縮応力層とし当該表層部以外の深層部を引張応力層とする化学強化工程と、
前記化学強化工程を経た後の前記板状ガラス材に対するエッチング処理により当該板状ガラス材を切断して小片化されたガラス基板を得る形状加工工程と、
を含む強化ガラス基板の製造方法であって、
アルカリ金属酸化物含有のアルミノシリケートガラスからなる前記板状ガラス材を用意し、
前記化学強化工程では、前記エッチング処理によって前記板状ガラス材の破損が生じない引張応力となるように前記イオン交換処理を行う
ことを特徴とする強化ガラス基板の製造方法。 - 前記化学強化工程の後、前記形状加工工程の前に、前記イオン交換処理が行われた前記板状ガラス材の少なくとも一方の表面に、一層以上の加飾層を形成する加飾層形成工程を含み、
前記加飾層形成工程の後に行う前記形状加工工程にて、前記加飾層が形成された前記板状ガラス材を前記エッチング処理によって切断する
ことを特徴とする請求項1及び2のいずれかに記載の強化ガラス基板の製造方法。 - 前記加飾層形成工程は、前記板状ガラス材の端面を保持した状態で主表面に印刷処理を施す印刷処理を含むことを特徴とする請求項3に記載の強化ガラス基板の製造方法。
- 前記加飾層形成工程は、導電性層と透明導電層とを主表面に形成する処理を含むことを特徴とする請求項3及び4のいずれかに記載の強化ガラス基板の製造方法。
- 前記板状ガラス材として、SiO2:50〜75重量%と、Al2O3:5〜20重量%と、Li2O、Na2OおよびK2Oから選ばれるアルカリ金属酸化物のうち少なくとも一種を含むガラスを用いる
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の強化ガラス基板の製造方法。 - 前記板状ガラス材として、Na2Oを8重量%以上、CaOを8重量%以下(0を含む)含むガラスを用いる
ことを特徴とする請求項6に記載の強化ガラス基板の製造方法。 - 前記強化ガラス基板は、電子機器用カバーガラスとされるガラス基板であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の強化ガラス基板の製造方法。
- アルカリ金属酸化物含有のアルミノシリケートガラスからなり、表層部に圧縮応力層を有するとともに深層部に引張応力層を有する強化ガラス基板であって、
前記アルミノシリケートガラスの板厚をt[μm]、前記圧縮応力層の厚さをd[μm]、前記圧縮応力層の最大圧縮応力値をF[MPa]、前記圧縮応力層の圧縮応力積算値をX[MPa・μm]、前記引張応力層の厚さをt2[μm]、前記引張応力層の平均引張応力値をTave[MPa]とし、X=F×d、t2=t−2dかつTave=X/t2の関係が成り立つときに、
7≦Tave<50[MPa]
の条件を満たすイオン交換処理が施され、
さらに、当該強化ガラス基板の端面がエッチング処理された面である
ことを特徴とする強化ガラス基板。 - 前記強化ガラス基板の端面は、主表面における厚さ方向外側に凸となるように湾曲する一対の湾曲面と、これらの湾曲面からガラス基材の面方向外側へ向けて突出する頂部とを有していることを特徴とする請求項9に記載の強化ガラス基板。
- 前記強化ガラス基板の端面の少なくとも一部の領域には、圧縮応力層が形成されていないことを特徴とする請求項9及び10のいずれかに記載の強化ガラス基板。
- 前記アルミノシリケートガラスは、ガラス成分として、SiO2:50〜75重量%と、Al2O3:5〜20重量%と、Li2O、Na2OおよびK2Oから選ばれるアルカリ金属酸化物のうち少なくとも一種を含むガラスである
ことを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の強化ガラス基板。 - 前記アルミノシリケートガラスは、Na2Oを8重量%以上、CaOを8重量%以下(0を含む)含むガラスである
ことを特徴とする請求項12に記載の強化ガラス基板。 - 前記強化ガラス基板は、電子機器用カバーガラスとされるガラス基板であることを特徴とする請求項9乃至13のいずれかに記載の強化ガラス基板。
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