JP6342648B2 - 化学強化ガラス基板の加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、化学強化ガラス基板の加工方法、及び当該加工方法に供される化学強化ガラス基板に関する。
タッチパネルは、スペーサを介して対向するガラス基板とフィルム材との対向面に、各々、ITO等の透明導電物質を成膜して構成されている。このタッチパネルでは、フィルム材の接触位置が座標情報として検出される。
また、最近では、タッチパネル一体型の液晶ディスプレイも提案されている。これは、液晶ディスプレイを構成する2枚のガラス基板の一方がタッチパネルのガラス基板を兼ねるものであり、薄型化及び軽量化を実現する上で非常に有効である。
従来、このようなガラス基板の加工方法としては物理的方法が一般的であったが、加工の際にクラックが入りやすく、強度が低下したり歩留まりが悪化したりするという問題があった。
そこで、近年、感光性樹脂組成物をパターニングして得られる樹脂パターンをマスクとしてガラス基板をエッチング加工する化学的方法が提案されている(例えば特許文献1及び2を参照)。このような化学的方法によれば、加工の際に物理的な負荷がかからないため、クラックが入りにくい。また、物理的方法とは異なり、ガラス基板にマイクやスピーカ用の穴あけ加工を行うことも可能である。
特開2008−076768号公報 特開2010−072518号公報
上記のような方法では、強度の点から、ガラス基板として化学強化ガラス基板が用いられることも多い。しかし、特許文献1及び2に記載の方法には、これらの方法を化学強化ガラス基板の加工に適用する場合に、感光性樹脂組成物を用いて形成されるエッチングマスクのガラス基板の表面からの剥離に長時間を要したり、エッチングマスクの剥離後にガラス基板表面に多量の残渣が残留したりしやすい問題がある。この問題は、感光性樹脂組成物に含まれる高分子化合物が水酸基又はカルボキシル基を有する場合に、特に顕著である。
このため、特許文献1及び2に記載の方法において化学強化ガラス基板を用いる場合、歩留まりは向上しても、製品のスループットが極端に低下してしまう。
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであって、化学強化ガラス基板の表面に感光性樹脂組成物を用いてエッチングマスクを形成した後に、化学強化ガラス基板の表面にエッチング加工を施す方法であって、エッチングマスクの残渣を殆ど発生させることなく化学強化ガラス基板の表面から速やかにエッチングマスクを除去できる化学強化ガラス基板の加工方法と、当該加工方法に供される化学強化ガラス基板とを提供することを目的とする。
本発明者らは、感光性樹脂組成物を用いて形成されるエッチングマスクを備える化学強化ガラス基板をエッチング加工する際に、エッチングを施される面の、表面から深さ10μmまでの表層のナトリウムとカリウムの元素成分比率合計が13質量%以下である化学強化ガラス基板を用いることで上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の第一の態様は、ビッカース硬度が500kgf/mm以上である化学強化ガラス基板の加工方法であって、
化学強化ガラス基板に、感光性樹脂組成物からなる塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、
塗布膜を位置選択的に露光する露光工程と、
露光された塗布膜を現像して、所望の形状にパターン化されたエッチングマスクを得るエッチングマスク形成工程と、
エッチングマスクを備える化学強化ガラス基板をエッチングするエッチング工程と、
エッチングマスクを化学強化ガラス基板の表面から剥離させる剥離工程と、を含み、
化学強化ガラス基板のエッチングを施される面の、表面から深さ10μmまでの表層のナトリウムとカリウムの元素成分比率合計が、13質量%以下である、化学強化ガラス基板の加工方法に関する。
本発明の第二の態様は、ビッカース硬度が500kgf/mm以上であって、表面から深さ10μmまでの表層のナトリウムとカリウムの元素成分比率合計が13質量%以下である面を備える、化学強化ガラス基板に関する。
本発明によれば、化学強化ガラス基板の表面に感光性樹脂組成物を用いてエッチングマスクを形成した後に、化学強化ガラス基板の表面にエッチング加工を施す方法であって、エッチングマスクの残渣を殆ど発生させることなく化学強化ガラス基板の表面から速やかにエッチングマスクを除去できる化学強化ガラス基板の加工方法と、当該加工方法に供される化学強化ガラス基板とを提供することができる。
以下、本発明について、加工対象である化学強化ガラス基板と、エッチングマスクの形成に用いられる感光性樹脂組成物と、化学強化ガラス基板とについて順に説明する。
≪化学強化ガラス基板≫
化学強化ガラス基板とは、表層にナトリウムを含むガラス基板をカリウムを含む溶融塩に接触させることで、ガラス基板の表層に対してナトリウムイオンと、カリウムイオンとのイオン交換を施したものである。強化の程度としてはこのイオン交換処理前よりも処理後の強度が向上しているものであればよく、その強度について特段限定されるものではないが、このイオン交換処理により、ガラス基板表面に圧縮層が形成され、ガラス基板の強度を、例えば、5倍以上に強化することができる。
化学強化ガラス基板の強度は、ナトリウムイオンのカリウムイオンへの交換量が増すほど高まる。以下説明する化学強化ガラス基板の加工方法では、ビッカース硬度が500kgf/mm以上である化学強化ガラス基板を用いる。化学強化ガラス基板のビッカース硬度は600kgf/mm以上がより好ましく、650kgf/mm以上が特に好ましい。化学強化ガラス基板のビッカース硬度は高いほどよいが、現実的に入手可能な化学強化ガラス基板のビッカース強度は2000kgf/mm以下である。
化学強化ガラス基板のビッカース硬度は、JIS Z 2244に従って測定することができる。ビッカース硬度を測定する際の化学強化ガラス基板の厚さは、硬度の測定時に圧子の押し込みにより破壊されない厚さであれば特に限定されない。
化学強化ガラス基板は、エッチング加工される表面に金属配線を有していてもよい。この場合、金属配線をエッチングマスクにより被覆した後、化学強化ガラス基板の金属配線を備える面の、ガラスが露出している部分に対してエッチングが行なわれる。
エッチング加工された化学強化ガラス基板は、表面に金属配線を備える状態で各種装置用の基板として使用されることが多い。しかし、表面に金属配線を備えない大型の化学強化ガラス基板をエッチング加工により切断して、所定のサイズの複数の化学強化ガラス基板に切り分ける場合、得られた複数の小型の化学強化ガラス基板それぞれの表面に対してそれぞれ金属配線を形成する煩雑な工程を要する。
これに対して、切断される前の大型の化学強化ガラス基板の表面に、小型の化学強化ガラス基板が備えるべき金属配線を一括して形成しておけば、エッチング加工で切断して得られる小型の化学強化ガラス基板をそのまま各種装置用の基板として使用できる。
化学強化ガラス基板としては、上記のビッカース硬度を有するものであって、表面から深さ10μmまでの表層のナトリウム及びカリウムの元素成分比率の合計が13質量%以下のであるものを用いる。化学強化ガラス基板をエッチングにより加工するにあたって、表層のナトリウム及びカリウムの含有量がこのような範囲内である化学強化ガラス基板を用いることで、感光性樹脂組成物を用いて形成されるエッチングマスクを、エッチングマスクの残渣を残すことなく短時間で基板の表面から剥離させることができる。
前述の通り化学強化ガラス基板は、その表面に金属配線を備える場合がある。この場合、化学強化ガラス基板のエッチング加工後に剥離液を用いてエッチングマスクを剥離させる際に、剥離液の種類によっては金属配線がダメージを受ける場合がある。しかし、表層のナトリウム及びカリウムの元素成分比率の合計が上記の範囲内である化学強化ガラス基板を用いる場合、短時間でエッチングマスクが剥離されるため、剥離液によって金属配線が受けるダメージを軽減させることができる。
化学強化ガラス基板の表面から深さ10μmまでの表層のナトリウム及びカリウムの元素成分比率の合計は、より短時間でエッチングマスクを基板表面から剥離させることができる点で、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく,3質量%以下が特に好ましい。
化学強化ガラス基板の表面から深さ10μmまでの表層のカリウムの元素成分比率は、10質量%以下が好ましく、8.5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が特に好ましい。化学強化ガラス基板の表面から深さ10μmまでの表層のナトリウムの元素成分比率は、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が特に好ましい。
化学強化ガラス基板の、表面から深さ10μmまでの表層のナトリウム及びカリウムの元素成分比率は、XPS法(X線光電子分光分析法)を用いて測定することができる。
化学強化ガラス基板の、表面から深さ10μmまでの表層のナトリウム及びカリウムの元素成分比率の合計量を13質量%以下に調整する方法は特に限定されない。通常、ビッカース硬度が500kgf/mm以上である化学強化ガラス基板の、表面から深さ10μmまでの表層のナトリウム及びカリウムの元素成分比率の合計量は13質量%を超えている。このため、表層のナトリウム及びカリウムの元素成分比率の合計量を所望する値に低減させる方法としては、化学強化ガラス基板の表面を、化学強化ガラス基板の表面からナトリウムイオン及びカリウムイオンを溶出させることが可能な処理液と接触させる方法が好ましい。
このような、処理液としては、化学強化ガラスを腐食させないものであれば特に限定されない。処理液の例としては、水、酸性基を持たない有機溶剤、及び酸性基を持たない有機溶剤の水溶液;液状の有機酸;無機酸及び有機酸から選択される酸性化合物と、水、酸性基を持たない有機溶剤、及び酸性基を持たない有機溶剤の水溶液からなる群より選択される溶媒とからなる処理液;キレート剤を含有する処理液が挙げられる。
キレート剤を含有する処理液中のキレート剤は特に限定されず、周知のキレート剤から適宜選択できる。キレート剤は、通常、水や有機溶剤の溶液として使用されるが、例えば、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、及びアセト酢酸エチルのような室温付近で液状であるキレート剤は、水や有機溶剤に溶解させることなく、そのまま処理液として使用することができる。室温付近で液状であるキレート剤からなる処理液は、化学強化ガラス基板が金属配線を備える場合に、金属配線を殆ど腐食させない点で有用である。
上記の処理液の中では、ナトリウム及びカリウムの低減効果の点と、化学強化ガラス基板の表面を処理した後の、処理液の廃棄や精製の容易性の点から、無機酸及び有機酸から選択される酸性化合物と、水、酸性基を持たない有機溶剤、及び酸性基を持たない有機溶剤の水溶液からなる群より選択される溶媒とからなる処理液が好ましい。
上記の処理液について、無機酸及び有機酸としては、通常、ブレンステッド酸が用いられる。無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、次亜塩素酸、過塩素酸、亜硫酸、過硫酸、亜硝酸、亜リン酸、次亜リン酸、及びホスフィン酸が挙げられる。これらの中では、塩酸、硫酸、硝酸、及びリン酸が好ましい。有機酸としては、酢酸、蟻酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、安息香酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、及びp−トルエンスルホン酸が挙げられる。
酸性化合物と、水、酸性基を持たない有機溶剤、及び酸性基を持たない有機溶剤の水溶液からなる群より選択される溶媒とからなる処理液について、処理液中の酸性化合物の濃度は特に限定されないが、50質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が特に好ましく、3質量%以下が最も好ましい。
無機酸及び有機酸から選択される酸性化合物と、水とを含む処理液について、処理液は、緩衝化を目的に、さらに処理液に含まれる酸性化合物の塩を含んでいてもよい。酸性化合物の塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩又はカリウム塩が好ましい。緩衝化された酸性化合物を含む処理液について、そのpHは3以上7未満が好ましく、4以上6以下がより好ましい。
以上説明した処理液を用いる化学強化ガラス基板の処理条件は、化学強化ガラス基板の表層のカリウム及びナトリウムの元素含有比率を所望する程度まで低減できれば特に限定されない。当該処理では、化学強化ガラス基板の表面を処理液に接触させ、処理液中にカリウム及びナトリウムを溶出させる。上記処理液を化学強化ガラス基板の表面に接触させる方法としては、化学強化ガラス基板を処理液に浸漬させた後に基板の表面を水洗する方法や、化学強化ガラス基板の表面に上記の処理液を盛った後に基板の表面を水洗する方法や、化学強化ガラス基板の表面に処理液を噴霧した後に基板の表面を水洗する方法や、化学強化ガラス基板の表面に処理液を流下させた後に基板の表面を水洗する方法等が挙げられる。
化学強化ガラス基板の表面と処理液とを接触させる時間は、45秒以上が好ましく、1分以上がより好ましく、2分以上が特に好ましい。また、接触時間は10分以下であるのが好ましい。化学強化ガラス基板の表面と処理液とを10分を超えて接触させても著しい不具合は生じないが、エッチングマスクの剥離性の改善について特段優れた効果が得られるわけではない。なお、化学強化ガラス基板が金属配線を備えるものである場合、処理液の種類やpHによっては、処理液と化学強化ガラス基板を10分を超えるような長時間接触させることで、金属配線が腐食するおそれがある。
なお、化学強化ガラス基板は、金属配線や永久膜を備えることもある。このような化学強化ガラス基板の表面は、金属配線や永久膜を形成するためのさまざまな処理に起因する基板表面への付着物の影響で、化学強化ガラス基板の表層のカリウム及びナトリウムの含有量を低減させるための処理液に対する濡れ性に劣ることがある。化学強化ガラス基板の表面が、化学強化ガラス基板の表層のカリウム及びナトリウムの含有量を低減させるための処理液に対する濡れ性に劣る場合、当該処理液を用いる処理の前に、化学強化ガラス基板の表面に対して、当該処理液に対する濡れ性を改善する処理を施すのが好ましい。
化学強化ガラス基板の表面の当該処理液に対する濡れ性を改善する処理の例としては、UV/オゾン洗浄のようなUV洗浄法や、Oプラズマ処理のようなプラズマ処理が挙げられる。化学強化ガラス基板の表面の当該処理液に対する濡れ性の改良の程度を知る方法としては、当該処理液そのもの又は当該処理液に含まれる溶媒の化学強化ガラス基板の表面に対する接触角を測定する方法が挙げられる。接触角が低いほど、当該処理液の化学強化ガラス基板に対する濡れ性は良好である。
化学強化ガラス基板の表面の処理に用いる処理液の温度は、ガラス基板の表面や、ガラス基板が備える金属配線が激しく腐食しない温度であれば特に限定されない。処理液の温度は、典型的には、0〜60℃が好ましい。
≪感光性樹脂組成物≫
後述する方法により化学強化ガラス基板を加工する際には、エッチングが行われる。このため、エッチングに先立って、化学強化ガラス基板の表面にはエッチングマスクが形成される。このエッチングマスクは、感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィー法により形成される。
感光性樹脂組成物としては、従来から、エッチング加工時のエッチングマスク形成に用いられている感光性樹脂組成物であれば特に限定されない。このような感光性樹脂組成物の中では、水酸基又はカルボキシル基を有する高分子化合物を含む感光性樹脂組成物が好ましい。このような感光性樹脂組成物を用いて形成されるエッチングマスクは、基板への密着性に優れエッチング加工時に基板から剥離しにくいため、エッチング加工の精度の点で有利である。
一方で、水酸基又はカルボキシル基を有する高分子化合物を含む感光性樹脂組成物を用いて、従来使用されている化学強化ガラス基板の表面に形成されたエッチングマスクは、エッチング加工の後に、エッチングマスクの残渣を残すことなく短時間で基板表面から剥離させることが困難であった。しかし、化学強化ガラス基板として、表層中のナトリウム及びカリウムの含有量を特定量に低減された前述のガラス基板を用いる場合、エッチングマスクの残渣を残すことなく短時間で、エッチングマスクを基板表面から剥離させることができる。
以下、感光性樹脂組成物の好適な具体例について説明する。なお、感光性樹脂組成物は、以下に具体的に説明する感光性樹脂組成物には限定されない。
<ポジ型感光性樹脂組成物>
ポジ型感光性樹脂組成物は、(A1)フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂、及び(B1)キノンジアジド基含有化合物を少なくとも含有する。
〔(A1)フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂〕
フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂(以下、「(A)成分」ともいう。)としては、例えば、ポリヒドロキシスチレン系樹脂を用いることができる。ポリヒドロキシスチレン系樹脂は、ヒドロキシスチレンに由来する構成単位を少なくとも有する。
ここで「ヒドロキシスチレン」とは、ヒドロキシスチレン、及びヒドロキシスチレンのα位に結合する水素原子がハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体のヒドロキシスチレン誘導体(モノマー)を含む概念とする。
「ヒドロキシスチレン誘導体」は、少なくともベンゼン環とこれに結合する水酸基とが維持されており、例えば、ヒドロキシスチレンのα位に結合する水素原子が、ハロゲン原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにヒドロキシスチレンの水酸基が結合したベンゼン環に、さらに炭素原子数1〜5のアルキル基が結合したものや、この水酸基が結合したベンゼン環に、さらに1〜2個の水酸基が結合したもの(このとき、水酸基の数の合計は2〜3である。)等を包含するものとする。
ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
「ヒドロキシスチレンのα位」とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
ヒドロキシスチレンに由来する構成単位は、例えば下記式(a−1)で表される。
Figure 0006342648
式(a−1)中、Ra1は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、又はハロゲン化アルキル基を示し、Ra2は炭素原子数1〜5のアルキル基を示し、pは1〜3の整数を示し、qは0〜2の整数を示す。
a1のアルキル基は、好ましくは炭素原子数1〜5である。また、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、工業的にはメチル基が好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
ハロゲン化アルキル基としては、上述した炭素原子数1〜5のアルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換されたものである。この中でも、水素原子の全部がフッ素原子で置換されたものが好ましい。また、直鎖状又は分岐鎖状のフッ素化アルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基、ヘキサフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等がより好ましく、トリフルオロメチル基(−CF)が最も好ましい。
a1としては、水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
a2の炭素原子数1〜5のアルキル基としては、Ra1の場合と同様のものが挙げられる。
qは0〜2の整数である。これらの中でも0又は1であることが好ましく、工業上は特に0であることが好ましい。
a2の置換位置は、qが1である場合にはオルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよく、さらに、qが2の場合には任意の置換位置を組み合わせることができる。
pは1〜3の整数であり、好ましくは1である。水酸基の置換位置は、pが1である場合にはオルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよいが、容易に入手可能で低価格であることからパラ位が好ましい。さらに、pが2又は3の場合には任意の置換位置を組み合わせることができる。
式(a−1)で表される構成単位は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリヒドロキシスチレン系樹脂中、ヒドロキシスチレンに由来する構成単位の割合は、ポリヒドロキシスチレン系樹脂を構成する全構成単位に対して60〜100モル%であることが好ましく、70〜100モル%であることがより好ましく、80〜100モル%であることがさらに好ましい。上記の範囲内とすることにより、感光性樹脂組成物のアルカリ溶解性を適度なものとすることができる。
ポリヒドロキシスチレン系樹脂は、スチレンに由来する構成単位をさらに有することが好ましい。ここで「スチレンに由来する構成単位」とは、スチレン及びスチレン誘導体(但し、ヒドロキシスチレンは含まない。)のエチレン性二重結合が開裂してなる構成単位を包含するものとする。
「スチレン誘導体」は、スチレンのα位に結合する水素原子が、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにスチレンのフェニル基の水素原子が、炭素原子数1〜5のアルキル基等の置換基に置換されているもの等を包含するものとする。
ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。なお、「スチレンのα位」とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
このスチレンに由来する構成単位は、例えば下記式(a−2)で表される。式中、Ra1、Ra2、qは上記式(a−1)と同義である。
Figure 0006342648
a1及びRa2としては、上記式(a−1)のRa1及びRa2とそれぞれ同様のものが挙げられる。qは0〜2の整数である。これらの中でも0又は1であることが好ましく、工業上は特に0であることが好ましい。Ra2の置換位置は、qが1である場合にはオルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよく、さらに、qが2の場合には任意の置換位置を組み合わせることができる。
上記式(a−2)で表される構成単位は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリヒドロキシスチレン系樹脂中、スチレンに由来する構成単位の割合は、ポリヒドロキシスチレン系樹脂を構成する全構成単位に対して40モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であることがより好ましく、20モル%以下であることがさらに好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性樹脂組成物のアルカリ溶解性を適度なものとすることができ、他の構成単位とのバランスも良好になる。
ポリヒドロキシスチレン系樹脂は、ヒドロキシスチレンに由来する構成単位やスチレンに由来する構成単位以外の他の構成単位を有していてもよい。より好ましくは、上記ポリヒドロキシスチレン系樹脂は、ヒドロキシスチレンに由来する構成単位のみからなる重合体、あるいはヒドロキシスチレンに由来する構成単位とスチレンに由来する構成単位とからなる共重合体である。
ポリヒドロキシスチレン系樹脂の質量平均分子量は、特に限定されないが、1500〜40000であることが好ましく、2000〜8000であることがより好ましい。
また、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、ノボラック樹脂を用いることもできる。このノボラック樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを酸触媒の存在下で付加縮合させることにより得ることができる。
フェノール類としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール類;2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール類;o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール類;2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール等のトリアルキルフェノール類;レゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、フロログリシノール等の多価フェノール類;アルキルレゾルシン、アルキルカテコール、アルキルハイドロキノン等のアルキル多価フェノール類(いずれのアルキル基も炭素原子数1〜4である);α−ナフトール、β−ナフトール、ヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA等が挙げられる。これらのフェノール類は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのフェノール類の中でも、m−クレゾール、p−クレゾールが好ましく、m−クレゾールとp−クレゾールとを併用することがより好ましい。この場合、両者の配合割合を調整することにより、感度等の諸特性を調整することができる。
アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、アセトアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒド類は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜リン酸等の無機酸類;蟻酸、シュウ酸、酢酸、ジエチル硫酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸類;酢酸亜鉛等の金属塩類等が挙げられる。これらの酸触媒は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このようにして得られるノボラック樹脂としては、具体的には、フェノール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、フェノール−ナフトール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂等が挙げられる。
ノボラック樹脂の質量平均分子量は、特に限定されないが、1000〜30000であることが好ましく、3000〜25000であることがより好ましい。
フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、フェノール−キシリレングリコール縮合樹脂、クレゾール−キシリレングリコール縮合樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン縮合樹脂等を用いることもできる。
(A)成分の含有量は、ポジ型感光性樹脂組成物の固形分に対して50〜95質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
〔(B)キノンジアジド基含有化合物〕
キノンジアジド基含有化合物(以下、「(B)成分」ともいう。)としては、特に限定されないが、フェノール性水酸基を1つ以上有する化合物と、キノンジアジド基含有スルホン酸との完全エステル化物や部分エステル化物が好ましい。このようなキノンジアジド基含有化合物は、フェノール性水酸基を1つ以上有する化合物とキノンジアジド基含有スルホン酸とを、ジオキサン等の適当な溶剤中において、トリエタノールアミン、炭酸アルカリ、炭酸水素アルカリ等のアルカリの存在下で縮合させ、完全エステル化又は部分エステル化することにより得ることができる。
上記フェノール性水酸基を1つ以上有する化合物としては、例えば、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、及び2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等のポリヒドロキシベンゾフェノン類;トリス(4−ヒドロシキフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、及びビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン等のトリスフェノール型化合物;
2,4−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−5−ヒドロキシフェノール、及び2,6−ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール等のリニア型3核体フェノール化合物;1,1−ビス〔3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル〕イソプロパン、ビス[2,5−ジメチル−3−(4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン、ビス[2,5−ジメチル−3−(4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−エチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−エチルフェニル]メタン、ビス[2−ヒドロキシ−3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[2−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、及びビス[2,5−ジメチル−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン等のリニア型4核体フェノール化合物;
2,4−ビス[2−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルベンジル]−6−シクロヘキシルフェノール、2,4−ビス[4−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルベンジル]−6−シクロヘキシルフェノール、及び2,6−ビス[2,5−ジメチル−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシベンジル]−4−メチルフェノール等のリニア型5核体フェノール化合物;
ビス(2,3,−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、2,3,4−トリヒドロキシフェニル−4’−ヒドロキシフェニルメタン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(2’,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3’−フルオロ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)プロパン、及び4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール等のビスフェノール型化合物;
1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、及び1−[1−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン等の多核枝分かれ型化合物;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等の縮合型フェノール化合物;が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記キノンジアジド基含有スルホン酸としては、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン酸、ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホン酸、オルトアントラキノンジアジドスルホン酸等が挙げられる。
(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し5〜50質量部であることが好ましく、5〜25質量部であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、ポジ型感光性樹脂組成物の感度を良好なものとすることができる。
〔(C)ポリビニルアルキルエーテル〕
ポジ型感光性樹脂組成物は、可塑剤としてポリビニルアルキルエーテル(以下、「(C1)成分」ともいう。)を含有していてもよい。可塑剤としてポリビニルアルキルエーテルを含有することにより、ポジ型感光性樹脂組成物のエッチング耐性を向上させることができる。
ポリビニルアルキルエーテルのアルキル部分としては、炭素原子数1〜5であることが好ましく、炭素原子数1又は2であることがより好ましい。すなわち、ポリビニルアルキルエーテルは、ポリビニルメチルエーテル又はポリビニルエチルエーテルであることがより好ましい。
ポリビニルアルキルエーテルの質量平均分子量は、特に限定されないが、10000〜200000であることが好ましく、50000〜100000であることがより好ましい。
(C)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し1〜100質量部であることが好ましい。上記の範囲とすることにより、ポジ型感光性樹脂組成物のエッチング耐性を適度に調整することができる。
〔(S)有機溶剤〕
ポジ型感光性樹脂組成物は、希釈のための有機溶剤(以下、「(S)成分」ともいう。)を含有することが好ましい。
有機溶剤としては、特に限定されず、本分野で汎用されている有機溶剤を用いることができる。例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;ブチルカルビトール等のカルビトール類;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸イソプロピル等の乳酸エステル類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(S)成分の含有量は、特に限定されないが、一般にはポジ型感光性樹脂組成物の固形分濃度が10〜60質量%となる量が好ましく、20〜50質量%となる量がより好ましい。
〔その他の成分〕
ポジ型感光性樹脂組成物は、所望により、付加的樹脂、安定剤、着色剤、界面活性剤、無機フィラー、シランカップリング剤等を含有していてもよい。
無機フィラーとしては、特に限定されないが、硫酸バリウム、及びシリカ等の無機微粒子が好適に用いられる。無機フィラーを含有することによりエッチング耐性、物理的応力耐性、熱的応力耐性を良好なものとすることができる。
シランカップリング剤としては、従来公知のシランカップリング剤を用いることができるが、含有しないことが好ましい。シランカップリング剤を含有しないことにより、経時安定性を良好なものとすることができる。
<第一のネガ型感光性樹脂組成物>
第一のネガ型感光性樹脂組成物は、(A)フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂、(D)架橋剤、及び(E)酸発生剤を少なくとも含有する。
〔(A)フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂〕
フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂(以下、「(A)成分」ともいう。)としては、ポジ型感光性樹脂組成物において例示したものを用いることができる。
(A)成分の含有量は、第一のネガ型感光性樹脂組成物の固形分に対して50〜99質量%であることが好ましく、60〜95質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
〔(D)架橋剤〕
架橋剤(以下、「(D)成分」ともいう。)としては、特に限定されないが、アミノ化合物、例えばメラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂、スクシニルアミド−ホルムアルデヒド樹脂、エチレン尿素−ホルムアルデヒド樹脂等を用いることができる。
これらの中でも、アルコキシメチル化メラミン樹脂やアルコキシメチル化尿素樹脂等のアルコキシメチル化アミノ樹脂が好ましい。アルコキシメチル化アミノ樹脂は、例えば、沸騰水溶液中でメラミン又は尿素をホルマリンと反応させて得た縮合物を、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類でエーテル化させ、次いで反応液を冷却して析出させることで製造できる。アルコキシメチル化アミノ樹脂としては、メトキシメチル化メラミン樹脂、エトキシメチル化メラミン樹脂、プロポキシメチル化メラミン樹脂、ブトキシメチル化メラミン樹脂、メトキシメチル化尿素樹脂、エトキシメチル化尿素樹脂、プロポキシメチル化尿素樹脂、ブトキシメチル化尿素樹脂等が挙げられる。これらの架橋剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して5〜50質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、第一のネガ型感光性樹脂組成物の硬化性、パターニング特性が良好になる。
〔(E)酸発生剤〕
酸発生剤(以下、「(E)成分」ともいう。)としては、特に限定されず、従来公知の酸発生剤を用いることができる。
酸発生剤として具体的には、ヨードニウム塩やスルホニウム塩等のオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ハロゲン含有トリアジン化合物、ジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤(ニトロベンジル誘導体)、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤等が挙げられる。
好ましいスルホニウム塩系酸発生剤としては、例えば下記式(e−1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006342648
式(e−1)中、Re1及びRe2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、酸素原子若しくはハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を示し、Re3はハロゲン原子又はアルキル基を有していてもよいp−フェニレン基を示し、Re4は水素原子、酸素原子若しくはハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいベンゾイル基、又は置換基を有していてもよいポリフェニル基を示し、Aはオニウムイオンの対イオンを示す。
として具体的には、SbF 、PF 、AsF 、BF 、SbCl 、ClO 、CFSO 、CHSO 、FSO 、FPO 、p−トルエンスルホネート、ノナフロロブタンスルホネート、アダマンタンカルボキシレート、テトラアリールボレート、下記式(e−2)で表されるフッ素化アルキルフルオロリン酸アニオン等が挙げられる。
Figure 0006342648
式(e−2)中、Rfは水素原子の80%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基を示す。nはその個数であり1〜5の整数を示す。n個のRfはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(e−1)で表される酸発生剤としては、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−メチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−(β−ヒドロキシエトキシ)フェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−メチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(3−メチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−フルオロ4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−メチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,3,5,6−テトラメチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,6−ジクロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,6−ジメチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,3−ジメチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−メチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(3−メチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−フルオロ4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−メチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,3,5,6−テトラメチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,6−ジクロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,6−ジメチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,3−ジメチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−アセチルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−メチルベンゾイル)フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−フルオロベンゾイル)フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−メトキシベンゾイル)フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ドデカノイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−アセチルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−メチルベンゾイル)フェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−フルオロベンゾイル)フェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−メトキシベンゾイル)フェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ドデカノイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−アセチルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−メチルベンゾイル)フェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−フルオロベンゾイル)フェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−メトキシベンゾイル)フェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ドデカノイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムパークロレート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムテトラフルオロボレート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムパークロレート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムp−トルエンスルホネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムカンファースルホネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムテトラフルオロボレート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムパークロレート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムトリフルオロトリスペンタフルオロエチルホスファート、ジフェニル[4−(p−ターフェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル[4−(p−ターフェニルチオ)フェニル]スルホニウムトリフルオロトリスペンタフルオロエチルホスファート等が挙げられる。
その他のオニウム塩系酸発生剤としては、上記式(e−1)のカチオン部を、例えば、トリフェニルスルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ジフェニル(4−チオフェノキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、2−ナフチルジフェニルスルホニウム、ジメチル−2−ナフチルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、4−メトキシフェニルジメチルスルホニウム、トリメチルスルホニウム、2−オキソシクロヘキシルシクロヘキシルメチルスルホニウム、トリナフチルスルホニウム、トリベンジルスルホニウム等のスルホニウムカチオンや、ジフェニルヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウム等のアリールヨードニウムカチオン等のヨードニウムカチオンに置き換えたものが挙げられる。
オキシムスルホネート系酸発生剤としては、[2−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−2,3−ジヒドロチオフェン−3−イリデン](o−トリル)アセトニトリル、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル等が挙げられる。また、上記以外にも、下記式(e−3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006342648
式(e−3)中、Re5は1価、2価、又は3価の有機基を示し、Re6は置換又は未置換の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、又は芳香族性化合物基を示し、rは1〜6の整数を示す。
e5としては芳香族性化合物基であることが特に好ましく、このような芳香族性化合物基としては、フェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基や、フリル基、チエニル基等の複素環基等が挙げられる。これらは環上に適当な置換基、例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基等を1個以上有していてもよい。また、Re6としては炭素原子数1〜6のアルキル基が特に好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。また、rは1〜3の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。
式(e−3)で表される酸発生剤としては、r=1のときに、Re5がフェニル基、メチルフェニル基、及びメトキシフェニル基のうちのいずれかであり、かつRe6がメチル基である化合物が挙げられる。より詳細には、上記式(e−3)で表される酸発生剤としては、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−(p−メチルフェニル)アセトニトリル、及びα−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−(p−メトキシフェニル)アセトニトリルが挙げられる。
式(e−3)で表される酸発生剤としては、r=2のときに、下記式で表される酸発生剤が挙げられる。
Figure 0006342648
ハロゲン含有トリアジン化合物としては、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−メチル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−エチル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−プロピル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジエトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジプロポキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3−メトキシ−5−エトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3−メトキシ−5−プロポキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−メチル−2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、トリス(1,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン等のハロゲン含有トリアジン化合物、並びにトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート等の下記式(e−4)で表されるハロゲン含有トリアジン化合物が挙げられる。
式(e−4)中、Re7、Re8、Re9はそれぞれ独立に炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基を示す。
その他の酸発生剤としては、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニル−p−トルエンスルホニルジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1−メチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−エチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(3−メチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−tert−ブチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等のビススルホニルジアゾメタン類;2−メチル−2−(p−トルエンスルホニル)プロピオフェノン、2−(シクロヘキシルカルボニル)−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2−メタンスルホニル−2−メチル−(p−メチルチオ)プロピオフェノン、2,4−ジメチル−2−(p−トルエンスルホニル)ペンタン−3−オン等のスルホニルカルボニルアルカン類;1−p−トルエンスルホニル−1−シクロヘキシルカルボニルジアゾメタン、1−ジアゾ−1−メチルスルホニル−4−フェニル−2−ブタノン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−シクロヘキシルカルボニルジアゾメタン、1−ジアゾ−1−シクロヘキシルスルホニル−3,3−ジメチル−2−ブタノン、1−ジアゾ−1−(1,1−ジメチルエチルスルホニル)−3,3−ジメチル−2−ブタノン、1−アセチル−1−(1−メチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、1−ジアゾ−1−(p−トルエンスルホニル)−3,3−ジメチル−2−ブタノン、1−ジアゾ−1−ベンゼンスルホニル−3,3−ジメチル−2−ブタノン、1−ジアゾ−1−(p−トルエンスルホニル)−3−メチル−2−ブタノン、2−ジアゾ−2−(p−トルエンスルホニル)酢酸シクロヘキシル、2−ジアゾ−2−ベンゼンスルホニル酢酸−tert−ブチル、2−ジアゾ−2−メタンスルホニル酢酸イソプロピル、2−ジアゾ−2−ベンゼンスルホニル酢酸シクロヘキシル、2−ジアゾ−2−(p−トルエンスルホニル)酢酸−tert−ブチル等のスルホニルカルボニルジアゾメタン類;p−トルエンスルホン酸−2−ニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸−2,6−ジニトロベンジル、p−トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸−2,4−ジニトロベンジル等のニトロベンジル誘導体;ピロガロールのメタンスルホン酸エステル、ピロガロールのベンゼンスルホン酸エステル、ピロガロールのp−トルエンスルホン酸エステル、ピロガロールのp−メトキシベンゼンスルホン酸エステル、ピロガロールのメシチレンスルホン酸エステル、ピロガロールのベンジルスルホン酸エステル、没食子酸アルキルのメタンスルホン酸エステル、没食子酸アルキルのベンゼンスルホン酸エステル、没食子酸アルキルのp−トルエンスルホン酸エステル、没食子酸アルキル(アルキル基の炭素原子数は1〜15である)のp−メトキシベンゼンスルホン酸エステル、没食子酸アルキルのメシチレンスルホン酸エステル、没食子酸アルキルのベンジルスルホン酸エステル等のポリヒドロキシ化合物と脂肪族又は芳香族スルホン酸とのエステル類;等が挙げられる。
これらの酸発生剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(E)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し0.05〜30質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、第一のネガ型感光性樹脂組成物の硬化性が良好になる。
〔(C)ポリビニルアルキルエーテル〕
第一のネガ型感光性樹脂組成物は、可塑剤としてポリビニルアルキルエーテル(以下、「(C)成分」ともいう。)を含有していてもよい。可塑剤としてポリビニルアルキルエーテルを含有することにより、第一のネガ型感光性樹脂組成物のエッチング耐性を向上させることができる。このポリビニルアルキルエーテルとしては、ポジ型感光性樹脂組成物において例示したものを用いることができる。
(C)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し1〜100質量部であることが好ましい。上記の範囲とすることにより、第一のネガ型感光性樹脂組成物のエッチング耐性を適度に調整することができる。
〔(S)有機溶剤〕
第一のネガ型感光性樹脂組成物は、希釈のための有機溶剤(以下、「(S)成分」ともいう。)を含有することが好ましい。この有機溶剤としては、ポジ型感光性樹脂組成物において例示したものを用いることができる。
(S)成分の含有量は、特に限定されないが、一般には第一のネガ型感光性樹脂組成物の固形分濃度が10〜60質量%となる量が好ましく、20〜50質量%となる量がより好ましい。
〔その他の成分〕
第一のネガ型感光性樹脂組成物は、所望により、付加的樹脂、安定剤、着色剤、界面活性剤、無機フィラー、シランカップリング剤等を含有していてもよい。
無機フィラーとしては、特に限定されないが、硫酸バリウム及びシリカ等の無機微粒子が好適に用いられる。無機フィラーを含有することによりエッチング耐性、物理的応力耐性、熱的応力耐性を良好なものとすることができる。
シランカップリング剤としては、従来公知のシランカップリング剤を用いることができるが、含有しないことが好ましい。シランカップリング剤を含有しないことにより、経時安定性を良好なものとすることができる。
<第二のネガ型感光性樹脂組成物>
第二のネガ型感光性樹脂組成物としては、(F)カルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂、(G)光重合性化合物、及び(H)光重合開始剤を少なくとも含有する。
〔(F)カルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂(A)〕
(F)カルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂(以下、「(F)成分」ともいう。)の好適な例としては、酸基含有アクリル系樹脂が挙げられる。酸基含有アクリル系樹脂としては、エチレン性不飽和酸と、(メタ)アクリル酸のエステル類、ビニル芳香族化合物、アミド系不飽和化合物、ポリオレフィン系化合物等のモノマーから選ばれる1種又は2種以上とを共重合した共重合体を用いることができる。具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、(無水)マレイン酸等のエチレン性不飽和酸を必須成分とし、これに、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のエステル類;例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロルスチレン等のビニル芳香族化合物;例えば(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等のアミド系不飽和化合物;例えばブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のポリオレフィン系化合物及び(メタ)アクリロニトリル、メチルイソプロペニルケトン、酢酸ビニル、ベオバモノマー(シェル化学製品)、ビニルプロピオネート、ビニルピバレート等のその他のモノマーから選ばれる1種又は2種以上のモノマーを共重合させた共重合体が挙げられる。
また、上記の酸基含有アクリル系樹脂と、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物とを反応させて得られる樹脂も、アルカリ可溶性樹脂として好ましい。この場合、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物としては、一分子中に1つのエチレン性不飽和基と脂環式エポキシ基とを有する化合物が好ましい。具体的には、例えば、下記式(f−1)〜(f−15)により表される化合物が挙げられる。
Figure 0006342648
Figure 0006342648
Figure 0006342648
ここで、R11は水素原子又はメチル基である。R12は炭素原子数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基である。R13は炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基である。tは0〜10の整数である。R12としては、直鎖又は分枝状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。R13としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基、−CH−Ph−CH−(Phはフェニレン基である。)が好ましい。
酸基含有アクリル系樹脂と、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物との反応は、例えば、酸基含有アクリル系樹脂の不活性有機溶剤溶液と、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物とを混合した後、約20〜120℃で、約1〜5時間行われる。不活性有機溶剤としては、特に限定されないが、アルコール類、エステル類、脂肪族又は芳香族炭化水素類が挙げられる。酸基含有アクリル系樹脂と、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物との比率は、用いるモノマーの種類に応じて変えることができるが、得られる樹脂が有する不飽和基の数は、分子量1000当り0.2〜4.0個、好ましくは0.7〜3.5個の範囲に調整されるのがよい。得られる樹脂が有する不飽和基の数をこのような範囲に調整することで、化学強化ガラス基板への密着性に優れるエッチングマスクを形成でき、硬化性や保存安定性に優れる第二のネガ型感光性樹脂組成物を得やすい。
以上説明した(F)成分の質量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定することにより求めることができ、その値は、好ましくは1000〜100000、より好ましくは、3000〜70000、さらに好ましくは、9000〜30000である。このような(F)成分の酸価は20〜200mgKOH/gであることが好ましく、30〜150mgKOH/gであることがより好ましい。下限値以上とすることで優れた現像性を奏する。上限値以下とすることで、薬液耐性が良好となり、またパターン形状にも優れる。
〔(G)光重合性化合物〕
(G)光重合性化合物(以下、「(G)成分」ともいう。)には、単官能化合物と多官能化合物とがある。
単官能化合物としては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
一方、多官能化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能モノマーや、トリアクリルホルマール等が挙げられる。また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、及びビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能以上のエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレートも、多官能化合物として使用することができる。
以上説明した、(G)成分は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。上記の(G)成分の中では、多官能化合物が好ましい。第二のネガ型感光性樹脂組成物が(G)成分として多官能化合物を含有することで、柔軟性に優れるエッチングマスクを形成でき、硬化性に優れる第二のネガ型感光性樹脂組成物を調製しやすい。
(G)成分の含有量は、(F)成分100質量部に対して30〜250質量部であることが好ましく、40〜200質量部がより好ましく、50〜160質量部がさらに好ましいい。上記の範囲とすることにより、第二のネガ型感光性樹脂組成物を用いて形成されるエッチングマスクのフッ酸耐性を向上することができる。また、上限値以下とすることで、現像特性が良好となる。
〔(H)光重合開始剤〕
(H)光重合開始剤(以下、「(H)成分」ともいう。)としては、特に限定されないが、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル]−1−(o−アセチルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(H)成分の含有量は、(G)成分の含有量にあわせて適宜調整すればよいが、アルカリ可溶性樹脂(F)100質量部に対して1〜25質量部であることが好ましく、2〜15質量部がより好ましく、5〜15質量部がさらに好ましい。上記の範囲とすることにより、十分な耐熱性、耐薬品性を得ることができ、また塗膜形成能を向上させ、光硬化不良を抑制することができる。
〔(S)有機溶剤〕
第二のネガ型感光性樹脂組成物は、希釈のための有機溶剤(以下、「(S)成分」ともいう。)を含有することが好ましい。この有機溶剤としては、ポジ型感光性樹脂組成物において例示したものを用いることができる。
(S)成分の含有量は、特に限定されないが、一般には第二のネガ型感光性樹脂組成物の固形分濃度が10〜60質量%となる量が好ましく、20〜50質量%となる量がより好ましい。
〔その他の成分〕
第二のネガ型感光性樹脂組成物は、所望により、付加的樹脂、安定剤、着色剤、界面活性剤、無機フィラー、シランカップリング剤等を含有していてもよい。
無機フィラーとしては、特に限定されないが、硫酸バリウム及びシリカ等の無機微粒子が好適に用いられる。無機フィラーを含有することによりエッチング耐性、物理的応力耐性、熱的応力耐性を良好なものとすることができる。
シランカップリング剤としては、従来公知のシランカップリング剤を用いることができるが、含有しないことが好ましい。シランカップリング剤を含有しないことにより、経時安定性を良好なものとすることができる。
≪化学強化ガラス基板の加工方法≫
化学強化ガラス基板の加工方法は、
前述の化学強化ガラス基板の表面に、感光性樹脂組成物からなる塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、
形成された塗布膜を位置選択的に露光する露光工程と、
露光された塗布膜を現像して、所望の形状にパターン化されたエッチングマスクを得るエッチングマスク形成工程と、
エッチングマスクを備える化学強化ガラス基板をエッチングするエッチング工程と、
エッチング工程に次いで、エッチングマスクを前記化学強化ガラス基板の表面から剥離させる剥離工程と、を含む。
以下、各工程について順に説明する。
〔塗布膜形成工程〕
塗布膜形成工程では、例えば、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター等の接触転写型塗布装置やスピンナー、カーテンフローコーター、スリットコーター等の非接触型塗布装置を用いて、化学強化ガラス基板上に上述した感光性樹脂組成物を塗布して、塗布膜を形成する。形成された塗布膜は、必要に応じて加熱(プレベーク)されてもよい。
形成される塗布膜の膜厚は、特に限定されないが、例えば20〜200μm程度である。プレベークの際の加熱条件は、特に限定されないが、例えば70〜150℃で2〜60分間程度である。なお、感光性樹脂組成物の塗布及びプレベークは、所望の膜厚の塗布膜が形成できるように、複数回繰り返してもよい。
感光性樹脂組成物がドライフィルムとして使用可能である場合、感光性樹脂組成物のドライフィルムを化学強化ガラス基板の表面に貼り付けて、塗布膜を形成することもできる。感光性樹脂組成物のドライフィルムは、離型フィルム上に感光性樹脂組成物を塗布した後、必要に応じて感光性樹脂組成物を乾燥させることで形成できる。
〔露光工程〕
露光工程では、遮光パターンを介して紫外線等の活性エネルギー線を照射することにより、塗布膜を位置選択的に露光する。露光には、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、カーボンアーク灯等の紫外線を発する光源を用いることができる。照射するエネルギー線量は、感光性樹脂組成物の組成によっても異なるが、例えば30〜3000mJ/cm程度が好ましい。露光には、必要に応じて塗布膜に加熱(PEB)を施してもよい。その場合の加熱条件は、特に限定されないが、例えば80〜150℃で3〜20分間程度である。
〔エッチングマスク形成工程〕
エッチングマスク形成工程では、露光工程において位置選択的に露光された塗布膜を、現像液を用いて現像することによりエッチングマスクを得る。現像方法は、特に限定されず、浸漬法、スプレー法、シャワー法、パドル法等を用いることができる。現像液は、感光性樹脂組成物の種類に応じて適宜選択される。現像液としては、例えば0.25〜3質量%の水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、有機アミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエタノールアミン、N―メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。現像時間は、特に限定されないが、例えば1〜120分間程度である。なお、現像液は、25〜40℃程度に加温されていてもよい。現像後に、エッチングマスクに対して加熱(ポストベーク)を施してもよい。加熱条件は、特に限定されないが、例えば70〜300℃で2〜120分間程度である。
また、感光性樹脂組成物がポジ型である場合には、現像後に、紫外線等の活性エネルギー線を照射しながら加熱するアフターキュアを、エッチングマスクに施してもよい。アフターキュアでは、活性エネルギー線により、感光性樹脂組成物に含まれるキノンジアジド基含有化合物が中間体(インデンケテン)を形成し、これがフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂やキノンジアジド基含有化合物と結合して高分子化する。
〔エッチング工程〕
エッチングマスクを備える化学強化ガラス基板に対して、エッチング加工が行われる。エッチングによる基板の加工の例としては、基板表面への点状又は線状の凹部の形成、厚さ方向に基板を貫通する貫通孔の形成、基板の切断等が挙げられる。エッチング方法としては、一般的に行われている、エッチング液に浸漬するウェットエッチングが挙げられる。エッチング液としては、フッ酸単独、フッ酸とフッ化アンモニウム、フッ酸と他の酸(塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等)との混酸等が挙げられる。エッチング処理時間は、特に限定されないが、例えば10〜60分間程度である。なお、エッチング液は、25〜60℃程度に加温してもよい。
〔剥離工程〕
エッチング工程後に、剥離工程において、エッチングマスクを化学強化ガラス基板の表面から剥離させる。エッチングマスクを化学強化ガラス基板の表面から剥離される方法は特に限定されないが、典型的には、剥離液を用いてエッチングマスクの剥離が行われる。
剥離液は、化学強化ガラス基板の表面からエッチングマスクを剥離させることができるものであれば特に限定されず、従来、感光性樹脂組成物の剥離用途で使用されている剥離液から適宜選択される。
剥離液の例としては、有機溶剤系の剥離液や、有機アミン類や四級アンモニウム水酸化物のような含窒素塩基性有機化合物、又はアンモニアや塩基性アルカリ金属化合物のような無機塩基性化合物を含む塩基性剥離液が挙げられる。有機アミン類の例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。四級アンモニウム水酸化物の例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。塩基性アルカリ金属化合物の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び炭酸ナトリウム等が挙げられる。塩基性剥離液に含まれる溶媒は、水、有機溶剤、及び有機溶剤水溶液から適宜選択される。上記の剥離液の中では、エッチングマスクの剥離が容易である、塩基性化合物と有機溶剤とを含む剥離液が好ましい。
剥離液が塩基性剥離液である場合、剥離液に含まれる塩基性化合物としては、金属配線に与えるダメージが少ないことから含窒素塩基性有機化合物が好ましい。また、剥離液中の溶媒が有機溶剤を含む場合、金属配線に与えるダメージが少ないことから、溶媒が有機溶剤のみからなるのが好ましく、有機溶剤のみからなる溶媒が非プロトン性極性有機溶剤を含むのがより好ましい。剥離液中の溶媒は、2種以上の非プロトン性極性有機溶剤を組み合わせて含んでいてもよい。剥離液が含んでいてもよい非プロトン性極性有機溶剤の例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルウレア、及びジメチルイミダゾリジノン等が挙げられる。剥離液が、非プロトン性極性有機溶剤を含み有機溶剤のみからなる溶媒を含有する場合、溶媒中の非プロトン性極性有機溶剤の含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましい。
剥離液によるエッチングマスクの剥離方法は特に限定されない。剥離液によりエッチングマスクを剥離させる方法としては、液盛り法、ディッピング法、パドル法、及びスプレー法等が挙げられる。剥離液によりエッチングマスクを剥離する際の条件は特に限定されない。剥離液は、25〜60℃に加温して用いてもよい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例において、感光性樹脂組成物としては、以下に記す組成物1又は組成物2を用いた。
〔組成物1〕
樹脂80質量部、硫酸バリウム微粒子30質量部、架橋剤10質量部、酸発生剤0.5質量部、及び可塑剤10質量部を、固形分濃度が50質量%となるように有機溶剤中に均一に混合して組成物1を得た。
樹脂としては、m−クレゾールとp−クレゾールを、m−クレゾール/p−クレゾール=60/40(質量比)でホルマリンにより縮合させて得られたクレゾールノボラック樹脂を用いた。当該クレゾールノボラック樹脂の質量平均分子量は5000であった。
架橋剤としては、2,4,6−トリス[ビス(メトキシメチル)アミノ]−1,3,5−トリアジンを用いた。
酸発生剤としては、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジンを用いた。
可塑剤としては、ポリビニルメチルエーテル(質量平均分子量:100000)を用いた。
有機溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いた。
〔組成物2〕
アクリル樹脂50質量部、エポキシアクリレート50質量部、光重合性モノマー100質量部、硫酸バリウム微粒子15質量部、シリカ微粒子15質量部、及び光重合開始剤2質量部を、固形分濃度が50質量%となるように有機溶剤中に均一に混合して組成物2を得た。
アクリル樹脂としては、メタクリル酸(MAA)、メタクリル酸メチル(MMA)、及びメタクリル酸イソブチル(iBMA)を、MAA/MMA/iBMA=20/50/30(質量比)の比率で共重合させた共重合体(質量平均分子量:60000)を用いた。
エポキシアクリレートとしては、ビスフェノールA型エポキシアクリレート(質量平均分子量;10000)を用いた。
光重合性モノマーとしては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを用いた。
光重合開始剤としては、Irgacure 651(BASF社製)を用いた。
有機溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いた。
実施例で加工に供した化学強化ガラス基板の、基板表面のカリウム及びナトリウムの低減処理には、以下の処理液1〜17を用いた。
処理液1:濃度1質量%の硫酸水溶液に、濃度1質量%の硫酸ナトリウム水溶液を加えて調製されたpH5の処理液。
処理液2:濃度1質量%の硫酸水溶液。
処理液3:濃度1質量%の塩酸水に、濃度1質量%の塩化ナトリウム水溶液を加えて調製されたpH5の処理液。
処理液4:濃度1質量%の塩酸水。
処理液5:濃度1質量%の硝酸水溶液に、濃度1質量%の硝酸ナトリウム水溶液を加えて調製されたpH5の処理液。
処理液6:濃度1質量%の硝酸水溶液。
処理液7:濃度1質量%のシュウ酸水溶液に、濃度1質量%のシュウ酸ナトリウム水溶液を加えて調製されたpH5の処理液。
処理液8:濃度1質量%のシュウ酸水溶液。
処理液9:濃度1質量%の蟻酸水溶液に、濃度1質量%の蟻酸ナトリウム水溶液を加えて調製されたpH5の処理液。
処理液10:濃度1質量%の蟻酸水溶液。
処理液11:濃度1質量%のクエン酸水溶液に、濃度1質量%のクエン酸ナトリウム水溶液を加えて調製されたpH5の処理液。
処理液12:濃度1質量%のクエン酸水溶液。
処理液13:濃度1質量%の酢酸水溶液に、濃度1質量%の酢酸ナトリウム水溶液を加えて調製されたpH5の処理液。
処理液14:濃度1質量%の酢酸水溶液。
処理液15:濃度1質量%のp−トルエンスルホン酸水溶液。
処理液16:濃度1質量%の炭酸水素ナトリウム水溶液。
処理系17:アセチルアセトン。
〔実施例1〜48〕
まず、表面にMo−Al−Mo積層体からなる金属配線のパターンを備える、ビッカース硬度が570kgf/mmである厚さ0.55mmの化学強化ガラス基板を、表1又は2に記載の種類の処理液に、室温(約23℃)にて、表1又は2に記載の時間浸漬させた。なお、表1又は2に記載の処理液の、実施例で用いた化学強化ガラス基板の表面に対する接触角は概ね5〜10°の範囲内であり、処理液の化学強化ガラス基板の表面に対する濡れ性は良好であった。次いで、化学強化ガラス基板の表面をイオン交換水でリンスした。リンス後、化学強化ガラス基板を乾燥させ、表層のカリウム及びナトリウムの含有量が低減された化学強化ガラス基板を得た。なお、処理液を用いる処理による、化学強化ガラス基板のビッカース硬度の低下は見られなかった。
得られた化学強化ガラス基板について、表面から深さ10μmまでの表層のナトリウム及びカリウムの元素成分比率を、XPS法(X線光電子分光分析法)で測定した。測定された、化学強化ガラス基板の表層のナトリウム及びカリウムの元素成分比率(質量%)を表1及び2に記す。
得られた化学強化ガラス基板の表面に、後述するエッチングマスク耐性の評価方法に従って、感光性樹脂組成物を用いてエッチングマスクを形成した後に、エッチング加工後を施した。
エッチング加工後には、後述する剥離時間の評価方法に従って、化学強化ガラス基板の表面からエッチングマスクを剥離させた。
上記の化学強化ガラス基板の加工方法の過程において、下記の方法に従って、処理液による配線ダメージと、エッチングマスクのエッチング耐性と、エッチングマスクの剥離時間と、エッチングマスクの残渣の量と、エッチングマスクの剥離時の配線ダメージとを評価した。処理液による配線ダメージの評価結果を表1及び表2に記し、エッチングマスク耐性、剥離時間、エッチングマスクの残渣の量、及びエッチングマスクの剥離時の配線ダメージの評価結果を表3及び4に記す。
〔比較例1及び2〕
化学強化ガラス基板として、表層のカリウム及びナトリウムの元素成分比率を低減させる処理を施されていない化学強化ガラス基板を用いることの他は、実施例1〜48と同様にして、化学強化ガラス基板のエッチング加工と、化学強化ガラス基板の表面からのエッチングマスクの剥離とを行った。
上記の化学強化ガラス基板の加工方法の過程において、実施例1〜48と同様にして、処理液による配線ダメージと、エッチングマスクのエッチング耐性と、エッチングマスクの剥離時間と、エッチングマスクの残渣の量と、エッチングマスクの剥離時の配線ダメージとを評価した。処理液による配線ダメージの評価結果を表2に記し、エッチングマスク耐性、剥離時間、エッチングマスクの残渣の量、及びエッチングマスクの剥離時の配線ダメージの評価結果を表4に記す。
<処理液による配線ダメージ>
以下の方法に従って、表面に金属配線を備える化学強化ガラス基板の表面を、前述の処理液1〜17を用いて処理する際の、金属配線のダメージの程度を評価した。
具体的には、処理液による処理前後の、化学強化ガラス基板表面の金属配線部分のシート抵抗値の変化から、処理後の金属配線の膜厚の減少量(nm)を測定した。測定された金属配線の膜厚の減少量を表1及び2に記す。
<エッチングマスク耐性>
以下の方法に従って、化学強化ガラス基板上に形成されたエッチングマスクのエッチング耐性を評価した。
まず、表1又は2に記載の化学強化ガラス基板上に、表1又は2に記載の種類の感光性樹脂組成物を塗布して、膜厚50μmの塗布膜を形成した。形成された塗布膜を、位置選択的に露光した後に現像して、孔径2mmのホールを備えるエッチングマスクを形成した。
エッチングマスク形成後、55℃のエッチング液(組成:フッ化水素酸/硫酸/水=15/15/70(質量比))を用いて、90分間、化学強化ガラス基板を搖動させるエッチング処理を行い、化学強化ガラス基板に貫通孔を形成させた。
エッチング処理後に、エッチングマスクと貫通孔とを観察し、以下の基準に従い、化学強化ガラス基板上に形成されたエッチングマスクのエッチング耐性を評価した。
○:エッチングマスクの剥離と、サイドエッチとが観察されなかった。
△:エッチングマスクの剥離は観察されなかったが、サイドエッチが観察された。
×:エッチングマスクの剥離と、サイドエッチとが観察された。
<剥離時間>
エッチング耐性の試験後の、エッチングマスクを備える化学強化ガラス基板を、60℃に温められた剥離液(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド/ジメチルスルホキシド/プロピレングリコール=2/90/8(質量%))に浸漬し、化学強化ガラス基板からエッチングマスクを剥離させた。浸漬開始時から、化学強化ガラス基板の表面からエッチングマスクが剥離された時までの時間を計測した。剥離完了の時間は、目視にて判断した。計測されたエッチングマスクの剥離に要した時間に基づいて、以下の基準に従い、各実施例、比較例の剥離時間を評価した。
A:10分以下。
B:10分超、15分以下。
C:15分超、30分以下。
D:30分超、45分以下。
E:45分超。
〔エッチングマスク残渣〕
剥離時間評価において、エッチングマスクを剥離された化学強化ガラス基板の表面について、エッチングマスクの残渣の有無を目視にて観察した。目視観察で残渣が確認されなかった場合、化学強化ガラス基板の表面を、光学顕微鏡を用いて倍率100倍にて観察した。化学強化ガラス基板の、目視観察、及び顕微鏡観察に基づき、以下の基準に従い、各実施例、比較例のエッチングマスク残渣の程度を評価した。
◎:基板表面にエッチングマスク残渣が観察されなかった。
○:顕微鏡観察時に、基板表面にエッチングマスク残渣がわずかに観察された。
×:顕微鏡観察時、又は目視観察時に、基板表面にエッチングマスク残渣が多量に観察された。
〔剥離液による配線ダメージ〕
以下の方法に従って、剥離液を用いて化学強化ガラス基板の表面からエッチングマスクを剥離させる際の、金属配線のダメージの程度を評価した。
具体的には、上記の剥離時間の評価を行う際の剥離液による処理前後の、化学強化ガラス基板表面の金属配線部分のシート抵抗値の変化から、処理後の金属配線の膜厚の減少量(nm)を測定した。測定された膜厚の減少量から、剥離液による配線ダメージの程度を以下の基準に従って評価した。
○:5nm以下。
×:5nm超。
Figure 0006342648
Figure 0006342648
Figure 0006342648
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表1及び2によれば、例えば、硫酸を含み、硫酸塩によって緩衝化されたpH5の処理液を用いた実施例1と、強酸性の硫酸水溶液を処理液として用いた実施例2との比較から、酸性物質を含む処理液を用いる場合、化学強化ガラス基板の表面からカリウム及びナトリウムを除去する効果は、処理液の緩衝化の有無によらず大きく変わらないことが分かる。
また、処理液が緩衝化されたものである場合、処理液を用いて化学強化ガラス基板の表面のカリウム及びナトリウムを除去する際の、基板表面の金属配線の腐食が顕著に抑制される。
実施例1〜48によれば、表面から深さ10μmまでの表層のナトリウムとカリウムの元素成分比率合計が13質量%以下である化学強化ガラス基板を用いる場合、感光性樹脂組成物を用いて形成されたエッチングマスクを備える化学強化ガラス基板をエッチング加工した後に、エッチングマスクを剥離させる化学強化ガラス基板の加工方法において、エッチングマスクの残渣を殆ど残すことなく、化学強化ガラス基板の表面から速やかにエッチングマスクを剥離できることが分かる。
エッチングマスクを形成するための感光性樹脂組成物には、通常、極性基を有する有機化合物が含まれている。このため、極性基や極性の化合物の分極によって、エッチングマスクの表面には、微視的に、弱く負帯電している部分と、弱く正帯電している部分とが存在している。これに対して、化学強化ガラス基板の表面には、正電荷を有するカリウムイオンやナトリウムイオンが多数存在している。このため、感光性樹脂組成物を用いて形成されるエッチングマスクは、静電気的な作用により化学強化ガラス基板の表面に強固に密着していると思われる。
しかし、実施例1〜48で用いた化学強化ガラス基板は、エッチングマスクを形成する前に基板表層のカリウム及びナトリウムの元素含有比率を低減させる処理を施されている。このため、実施例1〜48では、エッチングマスクと化学強化ガラス基板との密着が弱まり、エッチングマスクの残渣を殆ど残すことなく速やかにエッチングマスクが剥離されたと推測される。
比較例1及び2によれば、表面から深さ10μmまでの表層のナトリウムとカリウムの元素成分比率合計が13質量%超である化学強化ガラス基板を用いる場合、感光性樹脂組成物を用いて形成されたエッチングマスクを備える化学強化ガラス基板をエッチング加工した後に、エッチングマスクを剥離させる化学強化ガラス基板の加工方法において、エッチングマスクの剥離に長時間を要し、エッチングマスク剥離後のエッチングマスクの残渣が多量であることが分かる。

Claims (5)

  1. ビッカース硬度が500kgf/mm以上である化学強化ガラス基板の加工方法であって、
    前記化学強化ガラス基板に、感光性樹脂組成物からなる塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、
    前記塗布膜を位置選択的に露光する露光工程と、
    露光された前記塗布膜を現像して、所望の形状にパターン化されたエッチングマスクを得るエッチングマスク形成工程と、
    前記エッチングマスクを備える前記化学強化ガラス基板をエッチングするエッチング工程と、
    前記エッチングマスクを前記化学強化ガラス基板の表面から剥離させる剥離工程と、を含み、
    前記化学強化ガラス基板のエッチングを施される面の、表面から深さ10μmまでの表層のナトリウムとカリウムの元素成分比率合計が、13質量%以下である、化学強化ガラス基板の加工方法。
  2. 前記感光性樹脂組成物が、水酸基又はカルボキシル基を有する高分子化合物を含む、請求項1に記載の化学強化ガラス基板の加工方法。
  3. 前記剥離工程において、塩基性化合物と有機溶剤とを含む剥離液を用いる、請求項1又は2に記載の化学強化ガラス基板の加工方法。
  4. 前記塩基性化合物が含窒素塩基性有機化合物である、請求項3に記載の化学強化ガラス基板の加工方法。
  5. 前記化学強化ガラス基板が、エッチングを施される面上に金属配線を備えるものであり、前記エッチング工程におけるエッチングが、ガラスが露出している部分に対して行われる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化学強化ガラス基板の加工方法。
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