JP2018025614A - 基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
かかるタッチパネルでは、表示面内に金属からなる電極や配線が形成される場合がある。例えば、このような電極としては、CuやAgを用いた金属メッシュ電極が挙げられる。しかし、表示面内に金属からなる電極や配線が形成される場合、タッチパネルの使用者に金属電極や金属配線が視認されやすくなる問題があり、仮に、この金属電極や金属配線の線幅を人間の目で視認できない程度に細くしても、金属の反射率の高さに起因する外光反射が起こるという問題が生じうる。
具体的には、透明な支持体上の金属層上に、感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィー法によりパターン化された樹脂層を設けた後、パターン化された樹脂層の開口部から露出する金属層をエッチングにより除去し、次いで、樹脂層をベークすることによってエッチングされた金属層の表面を均一に被覆する反射率制御手段(ベークされた樹脂層)を設ける方法が知られている(特許文献1を参照。)。
ここで、カラーフィルタを備える基板上において、そのまま金属層(金属配線)を配置できる場合は、金属層(金属配線)の存在する領域を制御管理しやすくなり、ひいては、ピクセルの開口率の低下を招きにくくなることが期待される。
この点について本発明者らが検討した結果、カラーフィルタを備える基板に対して適切な感光性樹脂組成物を用いなければ、金属層(金属配線)上に形成される被覆樹脂層(反射率制御手段)について、金属配線の被覆が不十分な箇所が生じたり、ベーク時の被覆樹脂層の過度なフローによってピクセル部が被覆されたりする場合があることがわかった。
このため、カラーフィルタを備える基板上に設けられたパターン化された金属層を被覆樹脂層で被覆する際に、金属層の被覆が不十分な箇所が生じたり、ベーク時の被覆樹脂層の過度なフローによって金属層が形成されていないピクセル部が被覆されたりすると考えられる。
カラーフィルタと、カラーフィルタ上に、直接又は透明層を介して形成された被エッチング金属層とを備える被加工基板において、ポジ型感光性樹脂組成物を被エッチング金属層上に塗布して感光層を形成する、感光層形成工程と、
感光層中の、パターン化された金属層が形成される位置以外の位置を露光する、露光工程と、
露光された感光層を現像して被覆樹脂層を形成する、現像工程と、
被覆樹脂層をエッチングマスクとして用い、エッチングマスクから露出する被エッチング金属層をエッチングにより除去してパターン化された金属層を形成する、エッチング工程と、
被覆樹脂層をベークする、ポストベーク工程と、を含み、
ポジ型感光性樹脂組成物に含まれる基材樹脂成分(A)の分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1以上20以下であり、
製造された基板における、被覆樹脂層の光学濃度が0.10/μm以上である、方法に関する。
被覆樹脂層は、そのポストベーク工程を経た後の光学濃度が0.10/μm以上であるように形成される。このため、本発明にかかる方法に従って製造された基板を備えるタッチパネルでは、タッチパネルの使用時に、金属配線がタッチパネルの使用者に視認されにくい。
カラーフィルタと、カラーフィルタ上に、直接又は透明層を介して形成された被エッチング金属層とを備える被加工基板において、ポジ型感光性樹脂組成物を被エッチング金属層上に塗布して感光層を形成する、感光層形成工程と、
感光層中の、パターン化された金属層が形成される位置以外の位置を露光する、露光工程と、
露光された感光層を現像して被覆樹脂層を形成する、現像工程と、
被覆樹脂層をエッチングマスクとして用い、エッチングマスクから露出する被エッチング金属層をエッチングにより除去してパターン化された金属層を形成する、エッチング工程と、
被覆樹脂層をベークする、ポストベーク工程と、を含む。
このため、基板を製造する際に、パターン化された金属層を被覆樹脂層により均一に被覆しやすく、且つ、金属層が形成されていない箇所が被覆樹脂層で被覆されにくくなる。
感光層形成工程では、図1(a)及び図1(b)に示されるように、被エッチング金属層11を備える被加工基板10において、被エッチング金属層11上にポジ型組成物を塗布して感光層12が形成される。
以下、被加工基板と、ポジ型組成物と、塗布方法とについて説明する。
被加工基板10としては、カラーフィルタ13と、カラーフィルタ13上に、直接又は透明層14を介して形成された被エッチング金属層11とを備える基板が用いられる。
なお、図1(a)〜図1(e)には、透明層14を備える被加工基板10を用いる態様について示す。被エッチング金属層11、カラーフィルタ13、及び透明層14以外の被加工基板10の構成については図示を割愛する。
図2に示される基板1は被加工基板10を加工して得られるものであり、アレイ基板23、絶縁層22、液晶層20、透明樹脂層19、カラーフィルタ13、透明層14、パターン化された金属層18、被覆樹脂層17がこの順で積層されている。かかる基板は、オンセルタッチパネルに好適に使用される。
カラーフィルタ13は、ブラックマトリックスBMと、赤色着色膜R、緑色着色膜G、及び青色着色膜Bとを備える。
また、絶縁層22上面には、カラーフィルタ13の赤色着色膜R、緑色着色膜G、及び青色着色膜Bの位置に対応する位置に画素電極21が形成されている。
また、ブラックマトリックスBMと、被覆樹脂層17と、パターン化された金属層18とは基板の平面視において、これらが重なるように構成されている。
かかる基板1を、バックライト等の一般的に液晶表示装置に備えられる部材と組み合わせ、適宜配線することにより、液晶表示装置が製造される。
このような点を考慮し、本実施形態においては、後述するポストベーク工程におけるベーク温度を80℃以上150℃以下のような低い温度で行うことが好ましい。このような温度条件においても、被覆樹脂層17を良好に形成することが可能である。
ポジ型組成物は、分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1以上20以下である基材樹脂成分(A)を含む。
基材樹脂成分(A)は、ポジ型組成物に製膜性等の特性を付与する成分であって、そのまま又は化学的な変化を受けた状態で、ポジ型組成物を用いて形成される膜のマトリックス材として機能する。
基材樹脂成分(A)の分散度は、本発明による効果を特に得やすいことから、2〜17が好ましく、3〜15がより好ましく、4〜12が特に好ましい。
また、より良好なフロー性の点から、基材樹脂成分(A)の分散度が5超20以下であるのも好ましい。
なお、本明細書において、重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnは、GPC(ゲル透過クロマトグラフィ)測定における、ポリスチレン換算の相対値として定義することができる。
また、基材樹脂成分(A)を構成する樹脂が複数種存在する場合(例えば、ノボラック樹脂(A1)とアルカリ可溶性アクリル樹脂(A1−1)を併用する場合等)は、これら複数種の樹脂を組み合わせた状態で、GPC(ゲル透過クロマトグラフィ)測定を行い、得られたチャートから分散度を決定すればよい。
以下、第1のポジ型組成物と、第2のポジ型組成物とについて説明する。
前述の通り、第1のポジ型組成物は、ノボラック樹脂(A1)と、キノンジアジド基含有化合物(B1)とを含む。以下、第1のポジ型組成物の必須又は任意の成分について説明する。
ノボラック樹脂(A1)としては、従来からポジ型感光性樹脂組成物に配合されている種々のノボラック樹脂を用いることができる。ノボラック樹脂(A1)としては、フェノール性水酸基を有する芳香族化合物(以下、単に「フェノール類」という。)とアルデヒド類とを酸触媒下で付加縮合させることにより得られるものが好ましい。
フェノール類としては、例えば、フェノール;o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール類;2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール類;o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール類;2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、並びにp−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール類;2,3,5−トリメチルフェノール、及び3,4,5−トリメチルフェノール等のトリアルキルフェノール類;レゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、及びフロログリシノール等の多価フェノール類;アルキルレゾルシン、アルキルカテコール、及びアルキルハイドロキノン等のアルキル多価フェノール類(いずれのアルキル基も炭素数1以上4以下である。);α−ナフトール;β−ナフトール;ヒドロキシジフェニル;並びにビスフェノールA等が挙げられる。これらのフェノール類は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、及びアセトアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒド類は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、及び亜リン酸等の無機酸類;蟻酸、シュウ酸、酢酸、ジエチル硫酸、及びパラトルエンスルホン酸等の有機酸類;並びに酢酸亜鉛等の金属塩類等が挙げられる。これらの酸触媒は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ノボラック樹脂(A1)のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw;以下、単に「重量平均分子量」ともいう。)は、ノボラック樹脂(A1)を含む基材樹脂成分(A)の分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1以上20以下である限りにおいて、特に限定されない。
ノボラック樹脂(A1)の分散度も、先述した基材樹脂成分(A)同様、1以上20以下が好ましく、2〜17がより好ましく、3〜15が特に好ましく、4〜12がさらに好ましい。
第1のポジ型組成物の現像性、解像性等の観点から、ノボラック樹脂(A1)の重量平均分子量は1000以上が好ましく、2000以上がより好ましく、3000以上がさらに好ましく、また、50000以下が好ましく、40000以下がより好ましく、30000以下がさらに好ましく、20000以下がさらにより好ましい。
ノボラック樹脂(A1)として、重量平均分子量が異なる樹脂の組み合わせとしては、特に限定されないが、重量平均分子量が1000〜10000である低重量平均分子量側の樹脂と、重量平均分子量が5000〜50000である高重量平均分子量側の樹脂との組み合わせが好ましく、重量平均分子量が2000〜8000である低重量平均分子量側の樹脂と、重量平均分子量が8000〜40000である高重量平均分子量側の樹脂との組み合わせがより好ましく、重量平均分子量が3000〜7000である低重量平均分子量側の樹脂と、重量平均分子量が10000〜20000である高重量平均分子量側の樹脂との組み合わせがさらに好ましい。
その他の樹脂の好適な例としては、アルカリ可溶性アクリル樹脂(A1−1)が挙げられる。かかるアルカリ可溶性アクリル樹脂(A1−1)は、被覆樹脂層17において可塑剤として作用し、被覆樹脂層17におけるクラックの発生を抑制する。
アルカリ可溶性アクリル樹脂(A1−1)としては、基材樹脂成分(A)の分散度が所定の範囲内である限りにおいて、一般に、可塑剤としてポジ型組成物に配合されているものを使用することができる。
第1のポジ型組成物は、キノンジアジド基含有化合物(B1)を含有する。キノンジアジド基含有化合物(B1)としては、従来から種々のポジ型組成物に配合されているキノンジアジド基を有する化合物から、適宜選択することができる。
キノンジアジド基含有化合物(B1)の好適な具体例としては、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,6−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシ−2’−メチルベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’,6−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,4’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,5−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’,5’,6−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、2,3,3’,及び4,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン等のポリヒドロキシベンゾフェノン類;ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(2’,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−{1−[4−〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕フェニル]エチリデン}ビスフェノール、及び3,3’−ジメチル−{1−[4−〔2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕フェニル]エチリデン}ビスフェノール等のビス[(ポリ)ヒドロキシフェニル]アルカン類;トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、及びビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン等のトリス(ヒドロキシフェニル)メタン類又はそのメチル置換体;ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、及びビス(5−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン等のビス(シクロヘキシルヒドロキシフェニル)(ヒドロキシフェニル)メタン類又はそのメチル置換体;フェノール、p−メトキシフェノール、ジメチルフェノール、ヒドロキノン、ナフトール、ピロカテコール、ピロガロール、ピロガロールモノメチルエーテル、ピロガロール−1,3−ジメチルエーテル、没食子酸、アニリン、p−アミノジフェニルアミン、及び4,4’−ジアミノベンゾフェノン等の水酸基又はアミノ基を有する化合物;並びにノボラック、ピロガロール−アセトン樹脂、及びp−ヒドロキシスチレンのホモポリマー又はこれと共重合し得るモノマーとの共重合体等と、キノンジアジド基含有スルホン酸との完全エステル化合物、部分エステル化合物、アミド化物、又は部分アミド化物等が挙げられる。これらのキノンジアジド基含有化合物(B1)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第1のポジ型組成物は、架橋剤を含有していてもよい。架橋剤は、ノボラック樹脂(A1)を架橋させることができる化合物の中から適宜選択することができるが、例えば、メラミン化合物;ヘキサメチレンテトラミン、尿素誘導体等のアミン系架橋剤;エポキシ化合物を用いることができる。第1のポジ型組成物が、このような架橋剤を含有することにより、耐水性、耐熱性、及び耐溶剤性に優れる被覆樹脂層17を形成することができる。
R7で示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基等の炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましい。
架橋剤の含有量は、ノボラック樹脂(A1)100質量部に対して、3質量部以上とすることができ、10質量部以上とすることができ、15質量部以上とすることができる。また、架橋剤の含有量は、ノボラック樹脂(A1)100質量部に対して、40質量部以下とすることができ、30質量部以下とすることができ、25質量部以下とすることができる。架橋剤の含有量が上記下限値以上であると、樹脂の架橋が十分となりやすく、上記上限値以下であると、第1のポジ型組成物の貯蔵安定性が良好となりやすい。
第1のポジ型組成物は、シランカップリング剤を含有していてもよい。
シランカップリング剤は、ケイ素原子に結合するアルコキシ基及び/又は反応性基を介して、ノボラック樹脂(A1)が有するフェノール性水酸基と反応し得るので、架橋剤として作用し、第1のポジ型組成物を用いて形成される被覆樹脂層17を緊密化することができ、被覆樹脂層17の耐水性、耐溶剤性、耐熱性等を向上し得るほか、被覆樹脂層17のパターン化された金属層18との密着性を向上することができる。
反応性基を有するシランカップリング剤としては、ビニル基、アミノ基、エポキシ基又はオキセタニル基を有するシランカップリング剤が好ましい。現像液との相溶性が高く、残渣(溶け残り)を低減でき、特に金属との密着性に優れる被覆樹脂層17を形成できる観点から、エポキシ基を有するシランカップリング剤がより好ましい。
シランカップリング剤の含有量が上記下限値以上であると、パターン化された金属層18との密着性に優れる被覆樹脂層17を形成しやすい。
シランカップリング剤の含有量が上記上限値以下であると、保管中のシランカップリング剤同士の縮合反応による、現像時の残渣の発生を抑制しやすい。
本実施形態の方法により形成される被覆樹脂層17の光学濃度は0.10/μm以上である。このような光学濃度を達成する観点から、第1のポジ型組成物は、典型的には、光学濃度を調整する目的で着色剤を含む。
着色剤としては、特に限定されないが、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)において、ピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを用いるのが好ましい。
1)濃硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸等を用いる直接置換法や、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩等を用いる間接置換法により、カーボンブラックにスルホン酸基を導入する方法。
2)アミノ基と酸性基とを有する有機化合物と、カーボンブラックとをジアゾカップリングさせる方法。
3)ハロゲン原子と酸性基とを有する有機化合物と、水酸基を有するカーボンブラックとをウィリアムソンのエーテル化法により反応させる方法。
4)ハロカルボニル基と保護基により保護された酸性基とを有する有機化合物と、水酸基を有するカーボンブラックとを反応させる方法。
5)ハロカルボニル基と保護基により保護された酸性基とを有する有機化合物を用いて、カーボンブラックに対してフリーデルクラフツ反応を行った後、脱保護する方法。
樹脂により被覆されたカーボンブラックを含む感光性樹脂組成物を用いる場合、遮光性に優れ、表面反射率が低い遮光性の被覆樹脂層17を形成しやすい。
カーボンブラックの被覆に使用できる樹脂の例としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、グリプタル樹脂、エポキシ樹脂、アルキルベンゼン樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンオキサイド、ポリスルフォン、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリエーテルスルフォポリフェニレンスルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。カーボンブラックに対する樹脂の被覆量は、カーボンブラックの質量と樹脂の質量の合計に対して、1〜30質量%が好ましい。
式(e−4)で表される化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
Re9は、式(e−4)で表される化合物の製造が容易である点から、ジヒドロインドロン環の6位に結合するのが好ましく、Re11はジヒドロインドロン環の4位に結合するのが好ましい。同様の観点から、Re9、Re10、及びRe11は、好ましくは水素原子である。
式(e−4)で表される化合物は、幾何異性体としてEE体、ZZ体、EZ体を有するが、これらのいずれかの単一の化合物であってもよいし、これらの幾何異性体の混合物であってもよい。
式(e−4)で表される化合物は、例えば、国際公開第2000/24736号,国際公開第2010/081624号に記載された方法により製造することができる。
このAgSn合金微粒子の平均粒子径は、1〜300nmが好ましい。
ここで、上記xの範囲でAgSn合金中のAgの質量比を求めると、
x=1の場合、 Ag/AgSn=0.4762
x=3の場合、 3・Ag/Ag3Sn=0.7317
x=4の場合、 4・Ag/Ag4Sn=0.7843
x=10の場合、10・Ag/Ag10Sn=0.9008
となる。
従って、このAgSn合金は、Agを47.6〜90質量%含有した場合に化学的に安定なものとなり、Agを73.17〜78.43重量%含有した場合にAg量に対し効果的に化学的安定性と黒色度とを得ることができる。
金属酸化物としては、絶縁性を有する金属酸化物、例えば、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化イットリウム(イットリア)、酸化チタン(チタニア)等が好適に用いられる。
また、有機高分子化合物としては、絶縁性を有する樹脂、例えば、ポリイミド、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリアミン化合物等が好適に用いられる。
絶縁膜は、表面改質技術あるいは表面のコーティング技術により容易に形成することができる。特に、テトラエトキシシラン、アルミニウムトリエトキシド等のアルコキシドを用いれば、比較的低温で膜厚の均一な絶縁膜を形成することができるので好ましい。
その他、遮光剤は、色調の調整の目的等で、上記の黒色顔料や紫顔料とともに、赤、青、緑、黄等の色相の色素を含んでいてもよい。黒色顔料や紫顔料の他の色相の色素は、公知の色素から適宜選択することができる。例えば、黒色顔料や紫顔料の他の色相の色素としては、上記の種々の顔料を用いることができる。黒色顔料や紫顔料以外の他の色相の色素の使用量は、遮光剤の全質量に対して、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
なお、分散剤の種類や表示装置の製造条件、使用条件によっては、分散剤に起因する揮発成分が表示装置に悪影響を及ぼす可能性があるため、着色剤が、分散剤を用いることなく分散処理されるのも好ましい。
第1のポジ型組成物に適用可能な染料としては、例えば、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、アントラキノン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、シアニン染料、ナフトキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、フタロシアニン染料等を挙げることができる。
また、これら染料については、レーキ化(造塩化)することで有機溶媒等に分散させ、これを着色剤として用いることができる。
これらの染料以外にも、例えば、特開2013−225132号公報、特開2014−178477号公報、特開2013−137543号公報、特開2011−38085号公報、特開2014−197206号公報等に記載の染料等も好ましく用いることができる。
これら染料もまた、前述の顔料(例えば、ペリレン系顔料、ラクタム系顔料、AgSn合金微粒子等)と組み合わせて使用することもできる。
この第1のポジ型組成物における着色剤の使用量は、例えば、ノボラック樹脂(A1)100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましく、また、60質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、45質量部以下がさらに好ましく、40質量部以下がさらにより好ましい。
また、被覆樹脂層17の光学濃度は0.20〜2.0/μmであることがより好ましく、0.30〜1.0/μmであることがさらに好ましい。
第1のポジ型組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、増感剤、密着性向上剤、界面活性剤、可塑剤等の種々の添加剤を含有していてもよい。
増感剤としては、特に限定されず、ポジ型組成物において通常用いられる増感剤の中から任意に選択することができる。増感剤としては、例えば、分子量1000以下のフェノール性水酸基を有する化合物等が挙げられる。
密着性向上剤としては、被覆樹脂層17と、パターン化された金属層18との密着性を向上させることのできる材料の中から適宜選択できる。例えば、2−ヒドロキシエチルピリジン等のヒドロキシアルキル含窒素複素環化合物を、この密着性向上剤として用いることができる。
第1のポジ型組成物は、塗布性、消泡性、及びレベリング性等を向上させるため、界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤としては、例えばBM−1000、BM−1100(BMケミー社製)、メガファックF142D、メガファックF172、メガファックF173、メガファックF183(大日本インキ化学工業社製)、フロラードFC−135、フロラードFC−170C、フロラードFC−430、フロラードFC−431(住友スリーエム社製)、サーフロンS−112、サーフロンS−113、サーフロンS−131、サーフロンS−141、サーフロンS−145(旭硝子社製)、SH−28PA、SH−190、SH−193、SZ−6032、SF−8428(東レシリコーン社製)、BYK−310、BYK−330(ビックケミージャパン社製)等の名称で市販されているシリコン系又はフッ素系界面活性剤を使用することができる。
第1のポジ型感光性樹脂組成物は、上記の各成分を適当な溶剤に溶解して、溶液の形で用いることが好ましい。このような溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、及びエチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、及びジエチレングリコールジブチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類;メチルセロソルブアセテート、及びエチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、及びプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、及びメチルアミルケトン等のケトン類;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類;ジオキサン等の環式エーテル類;並びに2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、オキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、及びアセト酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
第1のポジ型組成物は、上記の各成分を所定の比率で配合した後、通常の方法で混合、撹拌することにより調製することができる。また、必要に応じて、さらにメッシュ、メンブレンフィルタ等を用いて濾過してもよい。
第2のポジ型組成物は、前述の通り、酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂(A2)と、活性光線又は放射線照射により酸を発生する化合物(B2)とを含む。
以下、酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂(A2)について「樹脂(A2)」とも記す。また、活性光線又は放射線照射により酸を発生する化合物(B2)について、「酸発生剤(B2)」とも記す。
以下、第2のポジ型組成物が含む、必須又は任意の成分について説明する。
第2のポジ型組成物は、基材樹脂成分(A)として酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂(A2)を含む。樹脂(A2)としては、特に限定されず、酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する任意の樹脂を用いることができる。
樹脂(A2)の分散度は、先述の基材樹脂成分(A)と同様、1以上20以下が好ましく、2〜17がより好ましく、3〜15が特に好ましく、4〜12がさらに好ましい。
樹脂(A2)の中でも、酸解離性溶解抑制基を備えるノボラック樹脂(A2−1)(以下、単にノボラック樹脂(A2−1)ともいう。)、酸解離性溶解抑制基を備えるポリヒドロキシスチレン樹脂(A2−2)(以下、単にポリヒドロキシスチレン樹脂(A2−2)ともいう。)、及び後述する特定の構造単位を有するアクリル樹脂(A2−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有することが好ましい。
ノボラック樹脂(A2−1)としては、下記式(a1)で表される構成単位を含む樹脂を使用することができる。
ポリヒドロキシスチレン樹脂(A2−2)としては、下記式(a4)で表される構成単位を含む樹脂を使用することができる。
アクリル樹脂(A2−3)としては、下記式(a5)、(a6−1)、(a6−2)、及び(a7)で表される構成単位を適宜組合せながら含む樹脂を使用することができる。
脂肪族環式基の具体例としては、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が挙げられる。特に、シクロヘキサン、アダマンタンから1個の水素原子を除いた基(さらに置換基を有していてもよい)が好ましい。
エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する化合物は、1分子中にエポキシ基又はオキセタニル基を少なくとも1つ有していればよく、1つ以上のエポキシ基及び1つ以上オキセタニル基、2つ以上のエポキシ基、又は、2つ以上のオキセタニル基を有していてもよい。エポキシ基及び/又はオキセタニル基を合計1〜3つ有する化合物が好ましく、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を合計1又は2つ有する化合物がより好ましく、エポキシ基又はオキセタニル基を1つ有する化合物がさらに好ましい。
オキセタニル基を有する重合性化合物の具体例としては、例えば、特開2001−330953号公報の段落0011〜0016に記載のオキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
上記エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する重合性化合物の具体例としては、メタクリル酸エステル構造を含有するモノマー、アクリル酸エステル構造を含有するモノマーであることが好ましい。
なお、樹脂(A2)の分散度は、1.05〜18が好ましく、1.2〜12がより好ましく、1.5〜6が特に好ましい。
また、第2のポジ型組成物が、後述のアルカリ可溶性樹脂(A2−4)を有する場合、この樹脂(A2)の分散度は、このアルカリ可溶性樹脂(A2−4)を組み合わせた状態でGPC(ゲル透過クロマトグラフィ)測定を行い、得られたチャートから導くことができる。
第2のポジ型組成物は、被覆樹脂層17のクラック耐性を向上させる目的等で、基材樹脂成分(A)として、さらにアルカリ可溶性樹脂(A2−4)を含んでいてもよい。
ここで、アルカリ可溶性樹脂(A2−4)とは、分子内にアルカリ可溶性をもたせる官能基(例えば、フェノール性水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基等)を備える樹脂を指す。
アルカリ可溶性樹脂(A2−4)としては、ノボラック樹脂(A2−4a)、ポリヒドロキシスチレン樹脂(A2−4b)、及びアクリル樹脂(A2−4c)からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。
ノボラック樹脂(A2−4a)は、前述のノボラック樹脂(A1)と同様に、例えばフェノール性水酸基を有する芳香族化合物(以下、単に「フェノール類」という。)とアルデヒド類とを酸触媒下で付加縮合させることにより得られる。
上記アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、アセトアルデヒド等が挙げられる。
付加縮合反応時の触媒は、特に限定されるものではないが、例えば酸触媒では、塩酸、硝酸、硫酸、蟻酸、シュウ酸、酢酸等が使用される。
ポリヒドロキシスチレン樹脂(A2−4b)を構成するヒドロキシスチレン系化合物としては、p−ヒドロキシスチレン、α−メチルヒドロキシスチレン、α−エチルヒドロキシスチレン等が挙げられる。
さらに、ポリヒドロキシスチレン樹脂(A2−4b)は、スチレン樹脂との共重合体とすることが好ましい。このようなスチレン樹脂を構成するスチレン系化合物としては、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
アクリル樹脂(A2−4c)としては、エーテル結合を有する重合性化合物から誘導された構成単位、及びカルボキシ基を有する重合性化合物から誘導された構成単位を含む樹脂が好ましい。
酸発生剤(B2)は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物であり、光により直接又は間接的に酸を発生する化合物であれば特に限定されない。酸発生剤(B2)としては、以下に説明する、第一〜第五の態様の酸発生剤が好ましい。以下、第2のポジ型組成物において好適に使用される酸発生剤(B2)のうち好適なものについて、第一から第五の態様として説明する。
第2のポジ型組成物は、被覆樹脂層17の形状や、感光層の引き置き安定性等の向上のため、さらに酸拡散制御剤(C)を含有していてもよい。酸拡散制御剤(C)としては、含窒素化合物が好ましく、さらに必要に応じて、有機カルボン酸、又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体を含有させることができる。
本実施形態の方法に従って形成される、ポストベーク工程を経た後の被覆樹脂層17の光学濃度は0.10/μm以上である。このため、第2のポジ型組成物は、第1のポジ型組成物と同様に、典型的には、光学濃度の調整の目的で着色剤を含む。
第2のポジ型組成物において、着色剤としては、第1のポジ型組成物について説明した着色剤と同様のものを用いることができる。
この第2のポジ型組成物における着色剤の使用量は、例えば、上記樹脂(A2)及び上記アルカリ可溶性樹脂(A2−4)の合計質量100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましく、また、60質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、45質量部以下がさらに好ましく、40質量部以下がさらにより好ましい。
また、被覆樹脂層17の光学濃度は0.20〜2.0/μmであることがより好ましく、0.30〜1.0/μmであることがさらに好ましい。
第2のポジ型組成物は、上記の各成分を適当な溶剤に溶解して、溶液の形で用いることが好ましい。溶剤の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来よりポジ型の感光性樹脂組成物に使用されている有機溶剤から適宜選択して使用することができる。
第2のポジ型組成物は、可塑性を向上させるため、さらにポリビニル樹脂を含有していてもよい。ポリビニル樹脂の具体例としては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリヒドロキシスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニル安息香酸、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルフェノール、及びこれらの共重合体等が挙げられる。ポリビニル樹脂は、ガラス転移点の低さの点から、好ましくはポリビニルメチルエーテルである。
第2のポジ型組成物は、上記の各成分を通常の方法で混合、撹拌して調製される。上記の各成分を、混合、撹拌する際に使用できる装置としては、ディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミル等が挙げられる。上記の各成分を均一に混合した後に、得られた混合物を、さらにメッシュ、メンブレンフィルタ等を用いて濾過してもよい。
以上説明したポジ型組成物を、被エッチング金属層11上に塗布して感光層12が形成される。感光層12の膜厚は特に限定されないが、0.1〜10μmが好ましい。
ポジ型組成物の塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、アプリケーター法等の方法を採用することができる。感光層12に対してはプリベークを行うのが好ましい。プリベーク条件は、感光層中の各成分の種類、配合割合、塗布膜厚等によって異なるが、通常は70〜150℃で、好ましくは80〜140℃で、2〜60分間程度である。
露光工程では、図1(c)に示されるように、感光層12中の、パターン化された金属層18が形成される位置以外の位置に対して露光が行われる。
感光層12は、前述の通りポジ型組成物を用いて形成される。ポジ型組成物からなる感光層12では、露光された部位がアルカリ現像液に対して可溶化する。このため、露光によって、感光層12中のパターン化された金属層18が形成される位置以外の位置が、現像液に対して可溶化する。
露光光16としては、活性光線又は放射線、例えば波長が300〜500nmの紫外線又は可視光線が用いられる。
図1(c)に示されるように位置選択的に露光された感光層12が、現像工程において現像されることで、図1(d)に示されるように、パターン化された感光層12である被覆樹脂層17が形成される。この際、現像液としては、アルカリ性水溶液が使用される。
エッチング工程では、図1(d)及び図1(e)に示されるように、現像工程で形成された被覆樹脂層17をエッチングマスクとして用いて、エッチングマスクから露出する被エッチング金属層11をエッチングにより除去してパターン化された金属層18を形成する。
エッチング方法は特に限定されず、被エッチング金属層11の材質に応じて適宜選択される。エッチング方法は、ウェットエッチングでもドライエッチングでもよく、低コストであることからウェットエッチングが好ましい。
ポストベーク工程では、図1(e)に示されるように形成された被覆樹脂層17に対してベークを行う。ベークは、現像工程とエッチング工程との間に行われてもよく、エッチング工程後に行われてもよい。
被覆樹脂層17に対してベークを行うことにより、被覆樹脂層17の硬化が進行したり、被覆樹脂層17が緊密化される。その結果、被覆樹脂層17の、耐水性、耐熱性、耐溶剤性等が向上する。
また、前述のエッチング工程において、被覆樹脂層17の端部の下部におけるエッチングが過度に進行するアンダーエッチが生じ、パターン化された金属層18のトップ(被覆樹脂層17側)の幅がボトム(透明層14側)の幅よりも狭くなる場合がある。
この場合、エッチング工程後にポストベーク工程を実施するのが好ましい。ポストベーク工程での加熱により、被覆樹脂層17が軟化し、被覆樹脂層17がパターン化された金属層18の表面形状に沿って変形するためである。その結果、パターン化された金属層18のほぼ全表面に密着する被覆樹脂層17が形成されるので、パターン化された金属層18がタッチパネルの使用者に視認されにくい。
なお、被加工基板10が液晶層20を含む液晶セルを備える場合は、ベーク温度は80〜150℃が好ましい。
ベーク時間は、15〜60分が好ましく、30分以下がより好ましい。
ノボラック樹脂100質量部と、増感剤13質量部と、キノンジアジド基含有化合物22.6質量部と、全固形分質量に対して27質量%の顔料とを、固形分濃度が20質量%であるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中に均一に、溶解、分散させて、ポジ型組成物を得た。
なお、ポジ型組成物には、全固形分に対して1質量%の2−ヒドロキシエチルピリジンと、全固形分に対して0.4質量%のシリコン系界面活性剤(BYK−310、ビックケミー社製)を含有させた。
増感剤としては、フェノール樹脂(商品名:TrisP−PA−MF、本州化学工業株式会社製)を用いた。
キノンジアジド基含有化合物としては、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンとナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン酸とをエステル化させて得られる化合物を用いた。
顔料としては、全固形分に対して14.9質量%の御国色素社製の赤色顔料と、全固形分に対して12.1質量%の御国色素社製の青色顔料を用いた。
得られた感光層を、L/S=1:1で3μm幅のフォトマスクを介して、露光装置(MPA−600FA、365mW、100mJ/cm2、キヤノン社製)を用いて露光した。
次いで、濃度2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を現像液として用いて現像を行い、所定の形状にパターニングされた被覆樹脂層を形成した。
形成された被覆樹脂層をエッチングマスクとして用いて、Alエッチャント混酸(リン酸・硝酸・酢酸)を用いてエッチングを行い、パターニングされた金属層を形成した。パターニングされた金属層の表面は、被覆樹脂層で被覆されていた。
エッチング後の基板に対して、120℃で5分間のポストベークを行い、パターニングされた金属層と、被覆樹脂層とを備える基板を得た。
すなわち、まず、ガラス基板の片方の面に対して、線幅5μmのブラックマトリクスと、RGBのパターンを設け、ガラス基板の他方の面の表面上に厚さ0.2μmのアルミニウム層をスパッタ形成して、被加工基板とした。
また、形成された被覆樹脂層の形状を顕微鏡観察したところ、ピクセル上が被覆樹脂層により被覆されておらず、被覆樹脂層の膜厚がほぼ均一であり、パターン化された金属層の露出は観察されなかった。
ノボラック樹脂を、重量平均分子量4700、分散度10.0のクレゾール型のノボラック樹脂に変更することの他は、実施例1と同様にしてポジ型組成物を調製し、実施例1と同様にして基板上にパターン化された金属層と被覆樹脂層とを形成した。
形成された被覆樹脂層の光学濃度は0.60/μmであった。
また、形成された被覆樹脂層の形状を顕微鏡観察したところ、ピクセル上が被覆樹脂層により被覆されておらず、被覆樹脂層の膜厚がほぼ均一であり、パターン化された金属層の露出は観察されなかった。
アクリル樹脂100質量部と、光酸発生剤3質量部と、着色剤5質量部とを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中に、固形分濃度12質量%であるように溶解、分散させてポジ型組成物を得た。
光酸発生剤としては、トリアリールスルホニウム塩(商品名:DTS−105、みどり化学社製)を用いた。
着色剤としては、カーボンブラック13.1質量部を、プロピレングリコールモノメチルエーテル79.53質量部中で、分散剤0.65質量部と、ポリマー(ベンジルメタクリレート(72モル%)とメタクリル酸(28モル%)とのランダム共重合体、重要平均分子量3.7万)とを用いて分散させた黒色顔料を用いた。
形成された被覆樹脂層の光学濃度は0.60/μmであった。
また、形成された被覆樹脂層の形状を顕微鏡観察したところ、ピクセル上が被覆樹脂層により被覆されておらず、被覆樹脂層の膜厚がほぼ均一であり、パターン化された金属層の露出は観察されなかった。
ノボラック樹脂を、重量平均分子量4700、分散度30.0のクレゾール型のノボラック樹脂に変更することの他は、実施例1と同様にしてポジ型組成物を調製し、実施例1と同様にして基板上にパターン化された金属層と被覆樹脂層とを形成した。
形成された被覆樹脂層の光学濃度は0.60/μmであった。
しかし、形成された被覆樹脂層の形状を顕微鏡観察したところ、被覆樹脂層がポストベーク時に過度にフローしてしまい、ピクセル上が被覆樹脂層により被覆された箇所が散見されたり、パターン化された金属層の露出が観察されたりした。
10 被加工基板
11 被エッチング金属層
12 感光層
13 カラーフィルタ
14 透明層
15 フォトマスク
16 露光光
17 被覆樹脂層
18 パターン化された金属層
19 透明樹脂層
20 液晶層
21 画素電極
22 絶縁層
23 アレイ基板
BM ブラックマトリックス
R,G,B 赤色(R)着色膜、緑色(G)着色膜、青色(B)着色膜
Claims (4)
- カラーフィルタと、前記カラーフィルタ上に、直接又は透明層を介して形成されたパターン化された金属層と、前記パターン化された金属層を被覆する被覆樹脂層とを、一方の主面上に備える基板の製造方法であって、
前記カラーフィルタと、前記カラーフィルタ上に、直接又は透明層を介して形成された被エッチング金属層とを備える被加工基板において、ポジ型感光性樹脂組成物を前記被エッチング金属層上に塗布して感光層を形成する、感光層形成工程と、
前記感光層中の、前記パターン化された金属層が形成される位置以外の位置を露光する、露光工程と、
露光された前記感光層を現像して前記被覆樹脂層を形成する、現像工程と、
前記被覆樹脂層をエッチングマスクとして用い、前記エッチングマスクから露出する前記被エッチング金属層をエッチングにより除去して前記パターン化された金属層を形成する、エッチング工程と、
前記被覆樹脂層をベークする、ポストベーク工程と、を含み、
前記ポジ型感光性樹脂組成物に含まれる基材樹脂成分(A)の分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1以上20以下であり、
製造された前記基板における、前記被覆樹脂層の光学濃度が0.10/μm以上である、方法。 - 前記ポジ型感光性樹脂組成物が、基材樹脂成分(A)としてノボラック樹脂(A1)と、さらに、キノンジアジド基含有化合物(B1)とを含む、請求項1に記載の製造方法。
- 前記ポジ型感光性樹脂組成物が、基材樹脂成分(A)として酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂(A2)と、さらに、活性光線又は放射線照射により酸を発生する化合物(B2)とを含む、請求項1に記載の製造方法。
- 前記被加工基板が液晶セルを含み、前記ポストベーク工程におけるベーク温度が80℃以上150℃以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
Priority Applications (7)
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